平成17年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時三分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、知事専決処分報告報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
四十四番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。
議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
まず初めに、アスベスト対策についてお伺いをいたします。
この問題で、県においては県有施設使用状況調査や除去工事が進められ、民間建築物についても、使用状況の調査、除去費用への融資制度の創設などが行われてきたところです。公害防止条例の一部改正によって建築物の解体等においてアスベストの飛散を防ぐ措置がとられたことや、融資制度は近畿で初めてという特別融資であったことなどは評価したいというふうに思います。
保健所における健康相談も行われてまいりました。十一月二十八日現在で二百三十八件の相談が寄せられているとお聞きしております。
県の施設については、今議会の補正予算案で除去工事の費用も計上されているところですが、今後は、今県で調査されている民間の事業所の実態把握と対応がより一層求められると考えられます。
知事からは、せんだって、民間建築物の使用状況調査の結果、千三十九件の報告のうち百十三件に露出した状態でのアスベストの吹きつけなどが確認されているという説明がありました。これらにどのように対応されておられるのでしょうか。その対応をお聞かせください。
アスベストを大量に使用してきた住友金属などで働く労働者から幾つかの訴えがありました。このことを紹介し、質問を申し上げたいと思います。
九年間アスベストを使用する職場にいたという労働者からです。溶けた鉄を入れるとりなべの下にノズルがあり、保温のためにスカート状にアスベストを巻いたりして扱っていたということであります。そして、それを手でさわっても大丈夫なくらいに冷めてからアスベストを捨てるとき、このときには非常に多くの石綿が飛び散ったという話であります。この方は、初めの三年ぐらいは市販のマスクをつけていたそうですが、その後、防じん効果のあるマスクが会社から支給されたということであります。でも、退職後、最近ではせきやたんがよく出るので、不安だとおっしゃっておりました。
住友金属の中では、このほかにもクレーンのブレーキシューなどでも使用されてきたということもお聞きをしております。もともと鉄鋼の職場ではアスベストの使用規制が例外扱いされてきたところに問題があると指摘されているところでもあります。
ことし七月二十日付の新聞各紙は、鉄鋼メーカーの中で、過去十年間に中皮腫で亡くなった人が十四人あったことを日本鉄鋼連盟が発表したと報じています。連盟の会長は製鉄所の配管用の代替品に切りかえていく計画を前倒しで進めていく方針を明らかにしたところでありますが、これは本当に早急に改善を進めていくことを希望するものであります。住友金属においても、事業所の責任で代替品への切りかえと労働者の健康管理について取り組まれることが最も重要だと私は考えるものです。
住友金属などアスベストを大量に使用してきた事業所の実態把握について調査結果をお示しください。それについての指導や要請はどのようにしてこられたのでしょうか。
さきに紹介したような健康への不安をお持ちの方は大勢いらっしゃると思います。現在働いている労働者、そして離職・退職者、さらに周辺住民を含めた対応が必要だと考えるものです。住友金属の対応について、どのように掌握されているのでしょうか。環境生活部長からお答えをいただきたいと思います。
アスベストについては、もう一件、私どもにお話がございました。和歌山市内の方で、七十歳の女性からであります。五十年ほど前、二十歳のころに三、四カ月だけれどもアスベストを扱う仕事をしていたことを思い出し、不安になって労災病院で診察を受けました。そして、CT検査の結果、石綿肺、じん肺と診断をされました。私と同じような人がいるのではないかという不安なお話でもありましたし、私はもっと詳しいお話を聞きたいと思い、早速訪問してまいりました。
その方は、有田の初島にある会社の中で、朝八時半ごろから午後五時ごろまで、石綿をハンマーで砕いて袋に詰める仕事をしておられたそうです。この方は、十七年ほど前に胃がんの大手術をされています。定期的に検査をしてこられたわけですが、主治医から二年ほど前、「肺が汚いな」と言われたことがあったそうです。その後、「石綿でも吸ったのか」と言われたことがあったそうですが、そう言われてみれば、短い期間だが、そんな仕事をしたということを思い出されたそうです。
そうしているうちに、ことしの夏、新聞、テレビでアスベストによる健康被害が取り上げられる中で、不安になりました。新聞を見て、労災病院に専門の医師がいることを知って診察を受けられました。検査ではらせんCTという特殊な検査を行い、その結果、先ほど申し上げた石綿肺、じん肺の所見が認められるという診断書と同時に、これからは半年に一度必ず検査するようにと言われたそうであります。
そして、その診断書を持って、労働災害の相談で労働局を訪れられました。しかし、勤めていたのは大手の会社の下請であったことは確かでありますけれども、その下請の会社名はもちろんのこと、雇用主も覚えていないし、従業員はわずかに二人だけだったということです。これは、ごくごく小さな作業所だったということしか覚えていないということでもありました。労働局では、この女性の訴えを聞いた中で、また診断書を見た中で、確かにアスベストを扱っていたという証明は不可能だと判断をいたしました。現行制度の適用は無理と言われて、健康管理手帳さえも申請できない現実が目の当たりにありました。この女性のことから考えれば、労災対策の枠を超えた緊急対策が求められるところになっています。
この女性は、「十七年前の胃がんという大病は非常に精神的にもしんどかった」と。いつ再発するかという不安にさいなまれながら医療を続けてこられたわけですから、「そこからやっと立ち直ったと思ったところ、また思いがけないことになってしまった。何と運の悪いことか。そんなに言うても、五十年も何もなかったんやから、よかったと思えばいいのかもしれないけれども、いつ発病するか大変不安になってきている」と、この不安は尽きない思いを私に切々と訴えられました。
アスベストは、潜伏期間が長いという状況の中で、その変化を医学的に把握することが、健康管理を進める上で、本人にとっても、医療側にとっても大変重要なことだと私は考えるところです。
そこで、お尋ねをするわけですが、この女性のように、現行制度が適用されない県民の健康被害に対する救済措置を求めたいと思うのです。年二回の健康診断が必要となりました。かかる費用は医療保険適用になるのでしょうか。もし保険適用外であれば一回二万一千円の負担が必要になります。この女性は月三万円の国民年金で暮らしておられますし、こうした人への救済措置をぜひとも国に求めることは当然ではありますが、ぜひとも県としての対応を検討していただきたいと、こう願うものでありますが、いかがでしょうか。福祉保健部長の見解をお聞かせ願います。
この女性は、「今なお大変情報が不足している。私の知りたい、そういう情報が非常に少ない」、こういうお気持ちだとも言っていらっしゃいますし、また、「私のように大変不安に思っていらっしゃる方もあるのではないか。この方々とも連絡をとり合いたいのだがな。できることは自分たちでやりたい」、こういう話もされました。
そこで、今、政府は、来年の通常国会に健康被害の救済に関する新法を提案するとしております。先月二十九日に発表されました仮称「石綿による健康被害の救済に関する法律」案の大綱では、救済する被害者を石綿が原因と認定された特定疾患の患者とその遺族とされていますが、特定疾患の範囲は明記されていない、救済費用については国、アスベスト関連企業の負担額さえも明示されていないなど、解決すべき課題は多いと言わざるを得ません。
和歌山県内で起こっている県民の不安にもこたえられる救済となるよう、県としても県民への十分な情報の提供と実態の把握に努めること、法律制定に対して、すべての被害者が救済されるよう政府に強い姿勢で必要な意見を上げることを求めたいと思いますが、環境生活部長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
次に、下請業者保護について、雇用と地域経済を守る観点から質問を申し上げたいと思います。
十一月二十九日、総務省が発表した労働力調査によりますと、十月の完全失業率は四・五%となり、先月と比べて〇・三%悪化をいたしました。近畿二府四県の有効求人倍率を見ましても、和歌山は〇・七六と最低で、地域経済と県民の雇用問題の深刻さをここにあらわしています。県経済に大きな影響力を持つ県下最大の企業である住友金属の下請業者の状況について、県行政としての対応を求めるものです。
九九年から始まった住友金属のリストラは、県民に大きな不安を広げました。当時の西口知事は、住友金属の社長と会談をし、要請文を渡されました。西口知事は「一言不満を申し上げたい」と切り出し、経営改革プランという名のリストラ計画の県への事前の説明が不十分だったと指摘した上で、関連企業の進出や新たな産業への取り組みを要請したと当時の新聞は報じています。
当時、下請業者の間では、三〇%のコスト削減、つまり下請単価の削減ということですが、これができなければ取引停止になるという不安が広がりました。今、下請業者の皆さんからは、当時、住友金属は、取引停止というようなことは一切ないということとともに、業績が回復すれば下請単価の見直しをすると約束したのではなかったのでしょうか、その約束が守られていると言えるのでしょうか、こういう声が大きく上がっております。
一九九九年には、関係会社、元請会社、下請企業が合わせて二百社を超えていたとされますが、今では関係・元請会社は約半数に減少、下請企業も廃業が相次ぎ、合わせて六十数社が廃業や撤退に追い込まれていると聞きます。住金に残された下請企業では、大幅な人員の削減と労働条件の切り下げが労働者に押しつけられているという訴えが多く寄せられるようになってまいりました。
労働者と下請企業、職場の日本共産党が下請単価をもとに戻せと運動をする中で、住友金属は、生産ラインを担う作業請負は昨年来一〇%を超える単価引き上げが実行されたと聞きます。設備の保守・点検を担う工事請負においても引き上げたというのが住友金属の説明です。下請業者の声としては、現実はなかなかそうはなっていないという訴えでもあります。製鉄所の所長が二次、三次の下請にも配慮を求めたということに、この現状が示されているのではないかというふうに思います。元請のところで引き上げがあったとしても、住友金属が一〇〇%出資の関連会社を発注者とする入札制度のもとで引き上げ分が下請までは回らないというのが実態で、経営の困難は深刻だとお聞きをするところであります。以前の入札では、いい技術を持っている企業を見きわめるという意味がありましたが、今は設備保全の費用をカットするためのものになってしまっているという怒りの声が関係者から寄せられているところであります。
保全の費用については、住友金属が経営改革プランを発表した当時、十月二十日付の「鉄鋼新聞」では、当時の製鉄所所長が、設備保全ではコストミニマムに移行する、定期的な修繕という考え方をなくしたいと述べて、コスト削減を明言してきた経過もあります。定期的な修繕は現在行われつつありますが、設備のトラブルはしばしば発生しているとも言われます。しかし、単価が低くて地元の業者はやりたがらない。これでは地元経済の活性化にも業者の育成にもマイナスだという点からも、単価の改善が必要ではないのでしょうかなどとした声が寄せられているところでもあります。
住友金属は、十一月九日、史上最高の一千七百三十二億円の経常利益を上げてきましたし、来期も二千五百億円もの利益が見込めると発表をしています。しかも、壮大な実験だったと幹部が語る多角化事業の失敗などで一兆六千億円を超えた有利子負債も、半分以下の七千九百六十一億円にまで減らしてきたと発表したところであります。
今、多くの経営者が、法令順守、コンプライアンスをうたうようになってまいりました。下請中小企業振興法は、親会社が守るべき事項として、下請企業に仕事を発注する際には、優越的地位を利用した不適正な単価を押しつけてはならないことなどを定めているところです。
また、こうした状況を、マスコミでも先日、「コンプライアンス」と題するコラムが掲載されているのを見ました。朝日新聞の十月二十六日付でありますけれども、コラムニストは、「かつて経営状態が深刻だということで業者に対して単価を下げさせ、今現在そのメーカーは高水準の業績を上げているのに請負単価を戻していないとすればそれは詐欺的行為だとは思いませんか」と告発をしていますし、圧倒的な力関係をもとに下請業者に相対するメーカーの姿勢とそれに基づく契約はコンプライアンスとどうつながるのだろうかと問題提起さえしているところです。
私は、住友金属が一九九九年当時、知事に約束した地元との共存共栄を実行することを期待するものですが、下請単価がもとに戻り、下請企業の経営の安定と労働者の家計がよくなること、そして雇用の場も広がることが今求められていると思うところです。
一九九九年の住友金属の経営改革プラン発表直後に、県は、さきに述べましたように要請文を提出するとともに、副知事を座長とする特定企業対策連絡協議会が開かれてまいりました。その後も、住友金属等を議題にした協議会が開かれているとお聞きをしました。その会議の中で、下請業者の苦境について検討されてきたのでしょうか。下請業者の実態について、単価の問題も含めた調査をすることが必要ではないのでしょうか。商工労働部長の答弁をお伺いするものです。
次に、測量・設計業務等業者選定ガイドラインについて質問を申し上げます。
このガイドラインは、県工事で測量・設計の入札に参加できる業者の基準を明確にするために、ことし六月一日に基準が改正され、適用されてまいりました。ただし、県内業者については来年の六月一日までの猶予期間が設けられているところです。
設計業務においては、国家資格である技術士と社団法人建設コンサルタンツ協会が認定したシビルコンサルティングマネージャ、RCCMという資格を持つ人が複数名必要になっています。従来は各振興局の建設部が内規で基準を持っていた状態から業務の難易度に沿った基準を設けられるということは、業者選定の透明性を高めるという意味があると考えるものです。しかし同時に、資格を持った人がいない、あるいは有資格者が一人しかいないという業者では、資格を持つ人を雇うか、勉強をして資格を取る必要があるということになります。したがって、複数の資格者を持たない小さな業者からは、仕事が減るのではないかという不安が多く出されています。もちろん、単に不安だというだけでなく、これを機会に技術力を高める努力を自分の会社でしなければならないという意欲を持った経営者の声もお聞きをしているところです。
難易度の比較的低い、構造計算を要しない業務などでは、有資格者を求めるのではなくて実務実績を参考に選定するということになっているものの、公共事業が今縮小されているもとでは不安の声が出ることは無理からぬことだと思うところです。
最近四年間の測量・設計の委託業務総額を、振興局建設部ごとに見てみました。那賀、有田、西牟婁の建設部と東牟婁の串本建設部では、増減はあり、ほぼ横ばいと言える一方で、海草建設部では、二〇〇四年の業務総額は二〇〇一年の五二%になります。伊都や日高でも八割前後に減少している実態を見ました。
このガイドラインの適用は県内業者は一年間の猶予があるとはいえ、技術士もRCCMも、試験はそれぞれ十一月に年一回きりであります。有資格者を雇用するというやり方もありますが、さきに紹介したように業務量が減少しているもとで社員を減らさざるを得なくなっているのがつらいしと漏らす経営者もいらっしゃるのが現実であります。人件費をふやすことにはちゅうちょすることもあるのではないでしょうか。
そこで、提案を申し上げたいと思いますが、一年の猶予について二年から三年程度に見直すことを検討してはいかがでしょうか。技術を身につける有資格者をふやし県内業者の水準を高める、育成することからも猶予期間の見直しが必要ではないのでしょうか。県土整備部長のお考えを聞きたいと思います。
以上で、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
環境生活部長楠本 隆君。
〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) アスベストに関する三点の御質問にお答えを申し上げます。
まず、民間事業所におけるアスベスト使用実態調査でありますが、本県と公害防止協定または環境保全協定を締結している住友金属工業を含む五事業所を対象に実施をいたしたところでございます。その結果、すべての事業所においてアスベストを使用しておりましたが、特に飛散性の高い吹きつけアスベストについては、既に大部分は除去されておりますが、一部について現在分析調査中でございます。また、保温剤やスレート等含有建材につきましては、順次非石綿製品への代替を進める等、アスベスト対策を講じているところでございます。
県といたしましては、今後とも、アスベストの使用が確認された場合は、除去、封じ込め等の飛散防止について適切に対応するよう指導を行うとともに、施設の解体、改修に当たっては大気汚染防止法及び県の公害防止条例に基づく作業基準の遵守について監視を行ってまいります。
なお、民間建築物における吹きつけアスベスト等の使用状況につきましては、現時点で、御指摘のとおり百十三棟においてアスベスト含有の可能性があることを把握しております。このうち除去等の対応がなされていない九十七棟につきましては、現地へ赴くなどして吹きつけ箇所や状態の確認を行った上で、適正な保全管理や除去等の必要な措置を促すなどの指導を行っているところでございます。
次に、労働者等の健康不安についての御質問でございますが、県といたしましては、既にアスベスト対策について、健康相談窓口の設置、ホームページの作成、啓発パンフレットの配布、広報紙での周知等を図っているところでございます。
なお、住友金属工業に確認をいたしましたところ、過去にアスベストを使用していた退職者から問い合わせがあった場合等には健康診断を実施するようにしている、また、現従業員につきましては定期健康診断等アスベストの取り扱い状況の有無も確認し、診断をしている、この結果、現在のところ労災認定の対象になるような健康被害はないと聞いております。また、現在のところ周辺地域への影響はないと考えており、周辺住民から当社影響によるアスベストに関する被害の情報は現時点ではないとも聞いております。
しかしながら、県といたしましては、石綿等を取り扱っている事業場の労働者及び周辺住民の健康障害につきまして広く社会問題となっていることを踏まえまして、新たな健康障害の発生防止や不安の解消を図るため、県と和歌山労働局との労働関係調整会議を活用するなど、国と県の連携を強化し、相互に情報提供を行いながら今後とも適切に取り組んでまいります。
次に、健康被害の救済に関する新法に関する御質問でございますが、議員御指摘のとおり、石綿による健康被害の救済に関する法律につきましては、現在、大綱が決定され、救済経費等の調整がなされている段階でございます。国が示しました健康被害の救済に関する基本的枠組みの中では、被害者をすき間なく救済する仕組みを構築するため、対象者につきましても、労災補償の対象者以外の者で、石綿を原因とする中皮腫、肺がんに罹患した者及びその遺族であれば幅広く救済できると聞いております。
また、全国知事会では、去る十月の二十七日、健康被害等に関する事項といたしまして、健康被害者への治療等を早急に実施するため、健康被害が懸念される周辺住民等に対する健診、医療費補助等の必要な措置を講じることを盛り込んだ「アスベスト対策の強化に関する緊急提言」を国に対し要請を行ったところでございます。県といたしましても、情報の収集や実態の把握に努めながら、法律の動向を注視し、機会あるごとに国に対しまして必要な意見を申し上げてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) アスベスト対策の、現行の救済制度が適用されない健康被害者への対応についてでございますけれども、先ほど環境生活部長から答弁がございましたけれども、現在、国において、仮称ですが、石綿による健康被害の救済に関する法律の検討がなされてございまして、この枠組みの中で国の責任のもとに救済がなされるものと認識をしてございます。
また、議員からお話がございました方のように、精密検査の結果、異常が認められる方の経過観察のために行われる検査につきましては、医療保険の対象となると考えてございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下 宏君。
〔下 宏君、登壇〕
○商工労働部長(下 宏君) 住友金属の下請企業の実態調査をという御質問にお答えいたします。
長引く不況の中で、住友金属は下請関連企業の協力を得ながら経営刷新を図り、高炉の更新などの大型投資計画、新規高卒者の採用再開など、ようやく業況も改善の方向に向かいつつあります。このような経営環境を反映して、住友金属におきましても、下請関連企業の健全な発展と良好な連携ができるよう、実勢に応じた作業請負単価の引き上げ等に努力をしているというふうに聞いてございます。
議員御質問の特定企業対策連絡協議会においては、平成十四年に住友金属が中期経営計画を公表した際に下請事業者等の経営安定について要請をしてきたところです。現時点では、民間取引の実態を把握することは想定をしておりませんが、住友金属とは定期的な情報交換の場を設定しており、今後とも適宜適切に意見交換などを実施してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 測量・設計等業者のガイドラインについてお尋ねがありました。
公共施設の設計は、長期にわたる安全性など、品質確保の点から非常に重要なものであります。また、本年四月に施行された公共工事の品質確保の促進に関する法律で、「公共工事に関する調査及び設計の品質が確保されるようにしなければならない」と定められました。このため、すぐれた技術力を有する測量・設計業者の透明性ある選定が喫緊の課題となっており、和歌山県県土整備部測量及び設計業務等業者選定基準を本年六月に策定し、施行いたしました。しかしながら、県内企業に配慮し、この基準の猶予期間を一年間としたところであります。
なお、猶予期間後は、年度途中でも新たな資格取得者や資格保有者の雇用があれば随時申請を受け付けるようにしております。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただいたわけですが、アスベストの問題については、今、法律に向けて論議が交わされていますけども、しかし、その中身そのものがまだ明快に示されていないという部分では不透明なところがあるわけです。しかし、現実的には、労災適用される人たちは──この人たちもなかなか労災認定をされないというような実態、その上に健康管理手帳というのも非常にわずかな人しか支給されていないという状況ですから、国の制度そのものも、大きく労災認定の部分では見直さなくちゃいけないというところもあると思うんです。
しかし、労災認定から、それに該当しないような人たちを今度はすくい上げるということになっているわけですけども、これは今、私が一事例を申し上げましたけれども、しかし、やっぱりこういう人たちが──私も初めてなんですね、こういう事例が訴えられてきたというのは。恐らく県行政の中には、そういう事例も訴えられてないんじゃないかというふうに思うわけです。非常に長い間の潜伏期を要するあれですから、まさかこういう事態になるとは夢にも思わなかったというのが実感だと思うんですよね。
それで、やっぱり国の制度、全面使用禁止をしなかったところに最大の原因があるわけですけれども、しかし、そうした適切な代替品がないということでその使用をいつまででも続けさせてきた、続けてきたという使用者側にもやはり責任があるというふうに思うわけです。そういう点でも、やはり使用した企業、そういうところと国に最大の責任は求めていかなくちゃいけないというふうに思っていますし、全国知事会でもそのことはきちっと指摘をしているわけですね。
しかし、やっぱり本当にこういった人たちが救われるのかどうかというところは、「すき間のない」というふうに知事たちがおっしゃっているわけですけど、まさにそのとおりだと思いますし、一人でもこういう事態の人を取り残してはならないというふうに思いますので、国に対する強い要望活動を担当課なり、あるいは県としての働きかけを、今、法案が論議されている最中ですから、そこへ意見を積極的に求めてほしいというふうに思います。
恐らく全国知事会は同じような思いでやられたというふうに思いますけども、木村知事も和歌山県にこんな人がいるというのは、恐らく知らんかったと思うんですよね。そういう点では、全国の皆さん方と一緒に適切にやられたというふうに思うわけです。ですから、ぜひこの一人の人をやっぱりすくい上げるということが何よりも大事なことだと思いますので、積極的な国への働きかけを何らかの形でやっていただきたいというふうに思います。これは要望にしておきたいというふうに思います。
それから、住友金属を退職された方々。これは住友金属もそれなりに努力をされてきているというふうには思っているわけですけれども、住友金属だけではなく、県が公害協定を結んだり環境協定を結んだりしている企業の調査をされたというふうには、ここにいただいているわけですけども。しかし、住友金属だけではなく、きょうは、住友金属の労働者から強い訴えがありましたので、あえて住友金属という名前を出しましたけれども、しかし、そのほかにもあります協定を結んでいる企業に対しても、全部その企業は石綿を使っているわけですから、それと、この方のように、その企業の中でもろに仕事をしていたという訴えがあるわけですから、そういう部分では、こうした企業に対してはもっと厳しい姿勢で臨むべきだというふうに思います。
とりわけ、退職していった人たちに対して、そういう相談があればというような消極的な姿勢ではだめだと思うんです。言ってこられなかったら放置するんだということではなくて、厳然として今まで使ってきていた部分に対して、そこで働いた労働者、過去であろうと、最もたくさん使っていた時分にそこで会社の維持経営を守るために頑張ってきた労働者、下請業者、そういうところに責任はあると思うんです。
そういう点で、「来た分に対しては対応するよ。言うてこんもんは知らんわ」というような、そういう企業の社会的責任ではないというふうに思うんです。あえて社会問題化しているこの事態に、そういう受け身的な姿勢ではなくて、会社の責任をもって積極的に通知をするなり──どこでどういうふうに使ってたという職場はもう明確にわかるわけですからね、企業にとっては。そういう部分での職場や作業員に対して、あえてやっぱり通知をすると。そして、地域住民の人たちには、「ありませんよ」というような無責任な態度ではなくて、地域の人たちにもそういった問題を、会社として少なくとも地域については、公害をずっと我慢してきたところについては、あえて会社の方から通知をする、お知らせをするということぐらいの姿勢があっても当然だと思うんです。
その点について、「県はどないですか」と聞いて「やってまっせ」ということで、我々に、県民にそういう答弁をするというのは余りにも企業に対して積極性がないんじゃないですか。こういう点で、もう一回、環境生活部長、こうした企業に対する姿勢を貫くことを求めたいと思うんですが、いかがですか。御答弁願いたいと思います。
それから二つ目は、この下請の単価の引き上げの問題です。もう細かくは申しませんけれども、やっぱり作業ラインに入っているところの下請については単価が一〇%引き上げられたというふうに私どもも聞いております。しかし、点検・保守や修繕、そういったものについては上がっていないというのが下請や孫請の人たちの声なんですよ。恐らく中間で、言葉は悪いですが、ピンはねされているところがあるんではないかというようなことも伺いますし、特にこの所長が、二次、三次の人たちにも引き上げた分が加算されるようにということを二回も訓辞をしているわけですよ。だから、そういった点が本当にここに反映されているのかどうかということも大きな問題だと思うんです。そういう点で、それらが本当に実施されているのかどうかという問題があります。ここまで突っ込めるかどうかというのはわかりませんけれども、しかし、声は現実に上がっているわけですから、限界はあったとしても、訴えをちゃんと伝えるということは大事なことだと思います。
中小企業、下請、孫請の人たちというのは、和歌山県の経済の底支えの部分でしょう。その人たちが元気にならなければ和歌山県の経済活性化というのはあり得ないことですよ。そういう点でも、やっぱりしっかりと県行政が企業に物言うときには──この会議があると言いますけれども、そして定期的に懇談をやったり意見交換をしているとおっしゃいますけれども、下請の人たちの実態を知らないで意見交換をするなんていうのは、何をやっているのかということですよ。
ただ住友金属だけの下請を調査しなさいと言ってることではないんですよ。県下で下請の事業をやっている人たちというのはたくさんあるわけですから、その人たちにだって、恐らく全体的には単価の引き下げがあると思うんです。でも、それを我慢し我慢ししながらやってきているんでしょう。景気が悪いと言えば「もうしゃあないな」と言うて、うんと我慢しながら、自分ところの身銭を切ったり、あるいは職員を首切ったりしながらやってきたじゃないですか。この下支えの人たちをどうやって行政が救うのか、企業に対してもしっかりとした物を言うのかと。実態調査ぐらいは全県下の中でやれるじゃないですか。それをもって、実態を知らないで何で意見交換や情報交換できるんですか。そのことに対して私は今、行政の姿勢としては何という姿勢だということを言わざるを得ないんですが、もう一回、商工労働部長、実態把握の面で、全県下のそういう中小零細業者の今の苦境について調査することは考えていませんか。そのことについて、もう一回答弁してください。
それから、土木部長。和歌山県の技術、県内事業者の技術や水準を引き上げていく、品質管理をさらに一層進めていくということで基準がつくられて結構なことだと思うんです。しかし、やっぱりもっといい仕事をしたい、資格も取りたいと、こう思っている人たちがたくさんいらっしゃると思うんですよ。そういった人たちが、年に一回の試験制度の中で、今この基準が定められた時点で、一年ぽっきりで本当にそうなるのかどうか。もっと猶予期間が一年ないし二年あってもおかしくないんじゃないかというのが業者の皆さん方の声なんですよ。
それで、いつでも登録そのものはやりますよとおっしゃいますけれども、しかし、それ以前に、したいと思っている人たちがこの猶予期間の中で本当に頑張っていこうという意欲を持たせるような配慮がもうひとつ必要じゃないかというふうに思うわけですけれども、これは頑として動かんようですから、ぜひこういう県内業者の技術水準を引き上げていく、技術者を高めるための配慮をお願いしたいというふうに要望しておきます。
以上です。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
環境生活部長楠本 隆君。
〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 再質問にお答えをいたします。
議員御指摘の県が公害防止協定等を締結している事業所につきましては、いずれも和歌山県における経済的、社会的に大変影響力のある大きな企業でございます。そのためにも、社会的な責任あるいは使命というものは大きなものというふうに考えております。県といたしましても、今後さらなる実態把握に努めまして、適切に対応をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下 宏君。
〔下 宏君、登壇〕
○商工労働部長(下 宏君) 再質問にお答えをいたします。
結論から申し上げて、現段階で下請企業の実態調査をする考えはございません。ただ、先ほどもお話がございましたが、県内に事業所を有する大手企業につきましては、住友金属を含めまして定期的な情報交換の場を持ってございますので、その場の中で、下請関連企業が健全な伸展が図れるように適切なお話をしてまいりたいと、そういうふうに考えてございます。
また、下請企業への発注を含めまして民間企業間の取引に行政として具体的に関与するということは非常に難しい問題がございますので、そういったこともございますが、今申し上げましたように、この情報交換の場で適切なお話をしてまいりたいと、そういうふうに考えてございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 二人とも「適切な対応をしてまいります」と言うんだけども、これはもう行政用語ですわね。逃げ道やと思うんですよ、私は。でも、具体的にどうするのかという、問題が起きているときにその「適切な対応」というのは一体行政として何を考えているのかということが明確にならないという不透明さがあると思うんです。
だから、そういう点で見れば、本当に、先ほど申し上げましたように実態を知らずして何を情報交換するのかと。実態を知らずして適切にどうするのかという問題は、やっぱり課題として残ると思うんです。私は、そういう点では、「適切」と言えば言葉はきれいですけれども、中身のない問題だというふうに思っていますので、これについてはきちっとした姿勢をこれからとっていただきたいというふうに思うところです。
以上は、先ほど申し上げましたように、適切というのは中身的には私が申し上げた具体的な例もありますので、そういう点も含めてぜひ検討して対処していただきたいということを要請しておきます。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。