平成17年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(坂本 登議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時三分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、知事専決処分報告報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
十二番坂本 登君。
〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 皆さん、おはようございます。
議長のお許しをいただきましたので、少子化対策とふるさと再生の二点に絞って質問をいたします。一年ぶりの質問でもあり、緊張感を感じていますが、当局には誠意ある、わかりやすい答弁をお願いいたします。
少子化問題はゆゆしき問題とか、将来の日本の根底を揺さぶる問題、さらには少子化問題は根が深いと最近聞かれるようになってきました。
日本経済新聞の特集に「おらが国が消える」という見出しで、このままの日本では、村や町、すなわち私たちのふるさとがなくなってしまうという記事がありました。日本の人口が減るという事実はわかっているが、いまだ実感としてわいてこないのが現状ではないでしょうか。しかも、つい最近まで、政府も自治体もビジョンを持たず、何の手も打ってこなかったのであります。そのツケとして、長年苦労した高齢者の年金受給額の減少、医療費の負担増等、また過疎化などによる町村合併など、せざるを得なくなったと考えるのは私だけでしょうか。これらの大きな原因は、労働力の減少による税収入の不足によるものではないでしょうか。
今後さらに進行するであろう少子化による労働力の不足、税収減はどこにあるのか、少子高齢問題は深刻であり、根が深いことに気づいたのであります。
私は高校時代、学校の先生に、「フランスなどは、高齢者が日本の人口構成のピラミッド形、極端にいえば三角形とは反対の逆ピラミッド形、逆三角形形の人口構成であり、いつかは国が滅びるのではないか。しかし、フランスなどは社会保障制度が充実しているので、老人は安心して生活ができるのですよ」といったことを教えていただいた。
昭和二十五年ごろ、我が国は、数字で示すとおり、人口構成のピラミッドの底辺は次代を担う子供たちでありました。昭和二十二年には、夫婦が一生の間に産む子供の数は四・五人、夫婦二人が四人ないし五人の子供を育ててきたのであります。これは、単純計算すると、夫婦二人がその二倍余りの子供を産み、この四人の子供が親の生活を見ることになります。当然、高齢化した親は、その老後を安心して見てもらうことができます。
当時、ピラミッドの上底、三角形の頂点をなした高齢者は、生活の豊かさと医療の進歩で長寿になったことは喜ばしい限りであります。しかし今、老後を見てもらう子供たちが極端に減少し始めたのであります。喜ばしい長寿社会、しかし、少子化の極端な進行で高齢者が安心して生活できなければ悲劇であります。
人口の規模が維持され、再生される出生率の目安は、夫婦二人で二・〇八人の子供を産むことと言われます。すなわち、二人の親が二人余りの子供に頼るのが目安でしょう。しかし、この傾向は我が国では極端にバランスを欠いているのであります。平成十六年度の出生率は一・二九人、昭和二十二年の四・五人から一・二九人、すなわち五十七年間に三・二一人の減少、昭和二十二年の三分の一以下になってしまっているのであります。これは、世界でも最も低い出生率であります。
ちなみに、私が学校で学んだときのフランスですら、二十一世紀のスタート時点で一・八九人、アメリカで二・〇一人であり、出生率の目安はほぼ近い状況にあるのであります。
作家の堺屋太一は、戦後を振り返って「豊かさを得て誇りを失った六十年」として、「戦前は覚悟と我慢が一番の美意識で、主観的な誇りが価値基準であったが、戦後は主観から客観的な物量に変わった」と、さらにこの戦後は、「団塊の世代から始まり、数量の多さを至上の幸せとし、必死になって物をふやそうとした時代であった」とも言っています。
日本の経済の繁栄の中心となったのが団塊の世代。物質文明を求めたとはいえ、一生懸命に働いて社会に貢献した団塊の世代が、今、退職し始め、二〇〇七年にその数は七百万人にも及ぶと言われています。これと符合するかのように、政府見解では、我が国の総人口は二〇〇六年にピークとなり、少子化の進行による若年者人口の減少が続き、二〇〇七年から減少に転じるとしております。我が国の働き手不足という果てのない難問が待ち受けているのであります。
私は、人口問題に大きく影響している団塊の世代と少子化対策とは少なからず因果関係があると思いますし、このことは、第三次小泉内閣で少子化対策大臣が誕生し、来年度予算編成の焦点となり、さらに今後、中長期的に国の対策が打ち出されようとしていることでもわかります。
本県においても、和歌山県次世代育成支援行動計画が策定され、その計画は実に七十項目。まことに細やかに、そしてその数値目標が掲げられ、各部局を横断してのすばらしい対策だと思います。しかしながら、県の施策として、市町村の指導的な立場として果たして実効あるものかどうか。理念や政策体系は立派でありますが、何かしら不安もあります。
七十項目の指標の中には、二十代女性のやせの者の割合を二三・九%から平成二十二年に一五%以下にとか高校生の飲酒率のように、「ほっといてくれ」や「法律違反もの」といった意味の項目などもあります。これらの中にも見られるように、現代の若者の中には、子供を産みたがらない傾向や定職を持たないフリーターがふえる傾向もあります。
少子化の中で、さらに若者が定職につかない状況、その勤労観の育成や就労の場所の提供等で調査の意味がありますが、衰えかねない地方の未来に正面から向かい合い、その背景、具体的な問題や影響、そしてそれらを食いとめるための施策や行動の視点に立ち切っているのでしょうか。考えられる範囲の中で実現可能なものを持ち寄ったと見るのは私だけでしょうか。危機管理意識に温度差が見られはしないかと思うのであります。
先進諸国共通のこの少子化問題の原因の背景は何なのか。その社会的な背景の一つは、働き方の見直しに関しての取り組みが進んでいないこと、二つは、子育て支援サービスが十分な状況にないこと、三点目に、特に二十四歳以下の失業率の高さに関連して、若者が社会的に自立することが難しい社会経済状況にあること、そしてこれらを総括して、子供を産み育てやすい社会環境にないと感じていると厚生労働省が言っております。(私語する者あり)おい、ちょっと静かにしてくれよ。聞こえるぞ。ばんばん入ってくるから。ちょっと、わし真剣にやってんねから。──本県が実施した少子化対策に対する意識調査では、内閣府の実施した調査とほぼ同じ結果が出ております。その一位は子育てや教育に係る経済的な負担の軽減、二位は保育サービスの充実、三位は保育休業、再就職支援など子育てと仕事の両立支援となっています。両調査の結果、最大の課題は子育てに対する経済支援であります。
観点を変えて、少子化がもたらす将来の問題点として、第一に人口の減少。我が国一億二千万人が二十一世紀末には六千四百万人とその半分になると予測され、とりわけ地方は極端な高齢化となります。地域の活力をどこに求めるのでしょうか。
第二に、労働力の減少による経済活動の衰退をどうとらえるのか。労働力の減少の中で、今問題になっている、若者が定職につかない、いわゆるフリーターの増加をどう食いとめるのか。額に汗して働いてきた私たちには、どうにも不安な社会がイメージされて仕方がありません。
第三に、年金制度の破綻が心配されます。高齢化の進行と数少ない若者に大きな負担がかかってくる現状をどうするのか。こうした不安を払拭するための対策を直ちに行い、次の世代を担ってくれる若者たちに希望の持てる社会を準備し、残していかなければと考えます。
少子化対策の先進国を見てみますと、オランダでは、十八歳未満の子供を持つ家庭は、児童手当を受けるか、税制上の優遇措置を受けるか、どちらかを選択することができる対策をとっています。フランスでは、二十歳未満の子供二人以上を扶養している場合には、家族手当の支給、出産費用の全額支給がなされています。さらにスウェーデンでは、育児休業制度の充実。子供が八歳になるまで、両親合わせて最大四百八十労働時間、ほぼ一年十カ月程度の休業保障がなされます。その結果、オランダの出生率は一・七五人、フランス一・八九人、スウェーデン一・七一人まで、ほぼ基準に近づいております。
国内においての施策を見ても、東京都江戸川区の私立幼稚園の保育料の補助や乳幼児の就学前までの医療費の無料化、兵庫県では若い世代への宅地分譲割引制度の創設、京都府宇治市の「げんきひろば」の設備を初め井戸端会議等、さまざまな施策を行っております。
本県においては、人口増加率千人中、マイナス五・二八人、すなわち百万県民で五千二百八十人ずつ減ることになります。これは、四十七府県中、増加率は四十六番目、人口減少からいえば全国で第二位となります。人口の減少に加え、さらに県外大学進学率は第一位。彼らは県外で就職、結婚となり、さらに人口減を加速させます。失業率は全国で九位。若者は県外へ職を求め、出ていきます。
本県の少子化問題を解決するためには長期的な取り組みが重要であり、国の支援が不可欠であります。小手先だけの施策では解決できないと思います。家族制度のよさを見直し、人を大事にする企業への支援、後継者の育つ地場産業の振興、福祉制度の抜本的な見直しがキーワードであり、加えて、今でも人口減が加速している中で若者が定職につかない、いわゆるフリーターをどうなくしていくのか、緊急の課題だと思います。
そこで、知事並びに関係部長に質問いたします。
まず知事に、限られた予算及び職員体制の中で、対策もおのずと限界があると思いますが、全国で一番早く少子高齢化すると思われる本県の少子化対策について、その基本的な認識と今後の取り組みについて伺います。
各関係部長に伺います。
本県の少子化について、県がどのような見通しを持ち今後予想される人口構成とその影響を、他府県との差異をも含めて伺います。また、本県の地理的環境から、紀南、和歌山市、紀北地方の地域の特色を出しながらどう活力化させていくのか、伺います。
この少子化に対する対策の概要、特に今直ちに実施しなければならない施策と中長期的な施策と予算額について伺います。
本県の少子化は、全国で最も早いと思われます。若者が少なくなっていると同時に、大学、高校卒業生でいわゆるフリーターとなっている人数を見てみますと、全国では二百十三万人と聞いています。本県では何人ぐらい推定できますか。
これらのフリーターの定義づけは別として、定職につかないことにより税収入が減ります。この若者たちにどう定職につかせるのか、その手だてが必要と思います。私は、高校卒業後も就職相談に行ける施策を考えてはと思います。例えば、卒業後十年ぐらいは自分の母校で就職相談の窓口を開き、学校と職業安定所と連携して相談をしていく制度を考えられると思いますが、関係部長の見解を伺います。
次に、ふるさと再生について伺います。
一昨年に「人生の楽園」を引用して質問をいたしましたが、引き続き本県の観光振興と環境保全の視点から質問したいと思います。
関連する県の施策の一つには、きれいな町づくりがあります。例えば国道や県道の沿線に花を植えているのは、道行く人々の目を楽しませてくれ、大変うれしいことであります。これは本当にボランティアの方々やNPOの方々の協力あってのことと思います。
そこで、県の計画では、龍神温泉の第二由布院化と電線の地中化は私としては特に注目し、今後も関心を持ってまいりたいと考えています。
大分県の由布院は、テレビ等でもたびたび紹介され、全国でも知られ渡っています。これまでに至るまで、大分県及び県民の努力は大変なものだったろうと思います。
電線の地中化は、よき景観だけでなく、車の運転にも視界を広げ、事故防止につながることは立証済みであります。この問題の解決には、長期にわたり、しかも巨額な費用と、県行政のみでできる問題ではないことは私も知っています。観光地や世界遺産に指定されている高野山や熊野三山など、さらには県都和歌山市などでも実施できるよう県の強力な行政指導は行えないものかと考えます。
国際的にも有名な、日本を美しくする会の相談役でもあり、また株式会社イエローハットの相談役でもある鍵山氏の言葉に、「掃除は自分のためであり、社会や国家のためであることを念頭に置いて、自分の身の回りから取り組んでいただきたい。皆さんの人生も職場も変わってくるとお約束いたします。そして、掃除を続けることが、さまざまな災害を乗り越えていく力になります。幼きころ、私の両親はいつも掃除を行い、住まいの環境を整え、田畑の周りもいつもきれいに草刈りをしていました。子供のころより、環境を美しくするということが心を美しくする大きな力となることを薄々知っていました」。この鍵山氏の言葉から多くのことを学びます。
掃除をし、周囲の環境を美化することは、自分だけでなく、地域の人々、さらには他の地方から来られた人々の心もいやしてくれます。地域ぐるみで清掃運動や花植え運動をすることは、地域を美しくするだけでなく、この運動を通じて地域住民の交流、連帯感が生まれ、災害時には強力な連帯意識を発揮することにもなります。さらに、幼いころからの掃除、ごみ拾いのしつけ教育や花植え運動は、子供たちの情操教育にとっても特に大切であります。今、子供たち、とりわけ中学生などは所構わずぽい捨て等をしており、これを見ている大人も見ぬふりをしている現状であります。
戦後六十年、我が国は物の豊かさを求め、事もなげに自然破壊を行い、自然の美しさ、それによって心をいやされることをおろそかにしてきました。その結果、今、ツケが回ってきて、自然を守り、町をきれいにしようということが叫ばれ始めたのであります。
きれいな町づくり運動は、それほど資金を必要としません。掃除は自分のため、学校のため、地域・県のためを合い言葉に、地道に、しかも強力に推し進める運動を展開する必要があるのではないでしょうか。とりわけ観光県として生きていかなければならない和歌山県を、自然の調和を考え、美しい県にして観光客を誘致する必要があると思いますが、関係部長の所見とその対策を伺います。
次に、屋外広告物の規制の問題であります。
特に道路沿線の広告物に限定しても、沿線の建物、また歩道部分、ガードレール、路肩等に広告物が所狭しと並び、張られています。そのため、本来案内すべき観光施設、公的機関や学校、さらには文化施設などの案内板が見えにくく、地元住民ですら本当にわかりにくいと不満を耳にします。県は、市町村を交えて、訪れる方々に優しい配慮のある案内板の整備を考えるべきであります。
過日、徳島県から愛媛県を車で縦断した折に、車窓から見る風景、集落は本県と同様でしたが、しかし、どこか和歌山県と違うと思い、注意深く観察をしました。それらの県では、使われていない土地や空間はよく整備され、景観の損なわれているものが極端に少なかったのが印象的でした。こうした県の取り組みは、今や全国的に見て当たり前の時代でしょう。
本県の規制が他府県に比べて緩いのか、それとも規制が県民に周知されていないのか、非常に景観が損なわれています。特に、のぼりや旗が何十本もたなびくさまは、さながら戦国時代を思い出させます。その一因となっているのが、県の機関を含めた公共団体みずからが啓発のための標語や行事のPRのための旗などがガードレールを色とりどりに着飾っています。本当に県条例で広告物規制をかける当事者として何も感じないのか、これでは県民に自粛を促すための説得力に欠けてしまうのではないかと思わざるを得ません。公に供する場合であっても、時代とともに広告の媒体を積極的に見直すべきではないでしょうか、お伺いします。
さらに、美化運動の初期でしょうか、県の道路河川愛護奨励規定を読みますと、この規程は昭和三十二年の告示のままであり、その文章は、「何々するものとする」「何々しなければならない」、全文がこのように表現されています。これでは、県民が守らなければならない義務であるのか、義務に準ずるのか、判断が難しいと思います。したがって、県民の方々がみずからやろうという意欲がわいたりするのでしょうか。やらされているという感覚の方が強いのではないでしょうか。官僚的な文章にせず、平易なわかりやすい表現にすべきと考えます。
今、県で準備中の道路アダプト事業案の表現には十分な配慮がなされるよう要望するとともに、その考え方を伺います。
次に、空き地の芝生化についてであります。
京都経済同友会が平成十三年から始めた京都の子供たちに芝生の校庭を贈る運動には見るべきものがあります。芝生化によるCO2の削減で環境保全効果、教育環境が改善し、人間形成に役立ち、地域社会の発展に寄与するとして、賛助会員を募り、学校に芝生を贈ろうとしたことであります。同会のメンバーが北欧四カ国を視察し、その後の調査などで幾多の苦労を乗り越え、実現したものであります。
その後も大きな運動を経て、今は芝生スクール京都としてNPOにも昇格、市民の手でさらにこの輪を広げようとしています。三年間の活動でメンバーが実感したのは、「二十一世紀はやわらかな知の時代と言われているが、芝生化はまさに知の一つではないか」と。また、「人々の知恵を結集した試みや精神的な働きかけであり、それが子供たちの生活や行動を変化させるからです。やわらかな知は、理屈抜きに人を動かしてきました。阪神大震災の献身的なボランティアもそうであります。そして今、子供たちの心をいやすのは、青々とした校庭の芝生であり、それを守り、汗かく周囲の人々の姿ではないか。芝生スクール京都はそう確信しています」と結んでいます。本当にすばらしいことであります。
この京都の事例を、今、私はふるさと再生に生かせないものかと考えてみました。住宅団地や商業地、そして工業地域、また廃校した運動場跡地、河川、海岸等々、遊休になっているさまざまな土地の活用に官民挙げての空き地の芝生化運動をここに提唱いたします。考え方を伺います。
以上の点について、県の事業か、市町村にお願いするのか。また、自治会、NPO等の団体への助成、ボランティアの協力等々、規模や能力でおのずとえり分け、また協力すべきもの、さらには国へのお願い等があろうかと思います。
県が国、市町村、住民すべてを巻き込んだダイナミックな計画こそ、今必要であると思います。県のリーダーシップと長期戦略をベースに県民との協力によるきれいな町づくりを目指すことが観光資源そのものであり、現存する町並みや集落をいかによみがえらせるのかが大きな課題であります。
以上の点を踏まえて、知事には、きれいな町づくりを通じたふるさと再生に係る総合施策の観点で今後の取り組みの方針を、そして各部長にはそれぞれの点をお願いし、質問を終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの坂本登君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、一点目の少子化対策の問題ですが、この問題は本当にゆゆしき問題であるというふうに認識をしております。つい先ごろ行われました国勢調査の結果でも、和歌山県の人口は非常に減ってきているというふうなことがあるわけで、人口だけが別に県の勢いというわけではないんですけども、これも非常に大きな要素であるということを考えれば、この少子化問題が和歌山県に及ぼす影響は大変なものがあろうかと思います。
そしてその中で、この少子化は、もうこれは文明国だと仕方がないというふうにあきらめられていたような傾向があったわけですが、しかしながら、ヨーロッパなんかの先進国、フランスとかスウェーデンとかオランダなどでは、対策を打ったことによって明らかに少子化に歯どめがかかっているというふうなこともあるわけで、これはやはり手をこまねいていてはいけないことの大きな一つであろうというふうに考えております。
そういう中で、和歌山について考えれば、一つは、合計特殊出生率というのは、これはまあ全国平均よりちょっと低いぐらいなので、これを何とか和歌山県の場合、都市部は別として、特にそうでないところはある程度ゆとりを持って子供を育てられるような環境にあるわけだから、そういうふうなものがこの出生率に反映するような形の和歌山らしい施策ということを一つ考えていくことが大事だろうというふうに思っています。
それからもう一点は、子供を産む親が減ってきているということで、これが決定的なことでして、これは働く場所が少ないというふうなことが一番大きな原因なわけですが、こういうことの対策としては、やはり都市からの流入人口というものをふやしていく努力をしなければならないということで、緑の雇用で入ってきた人なんかも子供ができたりしているという例がありますし、これから農業や漁業なんかについてもこういうことをしていこうと思っています。
さらには、これだけではなかなか数がふえるというものでもありませんので、今ようやく景気が回復基調に向かってきているという中で、新規の企業の誘致というふうなことにも今まで以上に力を入れて、やはり新しく子供を産み育てるような人が和歌山へ来てくれるような施策、この二つを両々相まってやっていかなければならないと思っています。
そして、そういうものをサポートする施策として、いろいろな細々とした施策、和歌山県でも既にやっておりますし、そしてまた、もっと先進的なことをやっているようなところも見習いながら、いろいろな施策をやっていく。ついせんだっても、子育て大賞というのを設けて表彰したところで、やはり五人以上子供がいる家庭というのは非常に明るいところが多いというふうなこともわかってきております。何とかいろいろなことを組み合わせて、和歌山県は子供が産まれ育ちやすい県だというふうにしていきたいと思っています。
次にきれいな町づくりについて、これを通してのふるさと再生ということについては、私はこれは大賛成で、特に世界遺産の登録であるとかラムサール条約に登録された、行ってみたらごみが落ちていたというふうなことでは、これはもう二度と行かないでおこうというふうなことにもなってくるわけです。そして、今の和歌山県の県内の情勢を見ると、必ずしもよそに比べてきれいだというわけにはいかないというふうに思っています。
私は、一番大事なのは、これはもう和歌山県だけじゃなくて日本全国のことだけども、子供のときから、どうして小学校で──算数や国語を教えるのも大事だけども、まず、ごみは捨ててはいけませんということを毎朝一回先生が教えるようにしたら、これは、どんな子の頭の中にでも入ってきて、そうするとやっぱり、ぽっと捨てようかなと思ったときに、ああ、先生言ってたなということでポケットの中へ入るということがあるので、いろいろ問題はありますけども、こういうふうなことから少し国民運動として始めていくということが物すごく大事なことじゃないかと思います。
ただ、そういうふうなことだけ言ってても仕方がないので、これ、和歌山県で何かそういうふうな運動ができないかということを今考えておりますし、さらには先ほどのその広告物、これももう本当に統一とれた形であればそれなりに見やすいものであろうかと思いますが、のぼりなんかがあの熊野古道沿いなんかでも立ってるのを見ると本当に非常に残念な気持ちがするところがあるので、これも先進県の状況などを参考にしながら早急な対応をとっていきたいと思います。
それから、芝生化ということ。私は、これは余り知らなかったんですが、芝生というのは非常に目にも優しいし──ただ、維持管理は大変なんですけども──こういうことで、和歌山県の空き地になっているところが芝生化されるということになれば、これはもう県土がきれいになるということは間違いないんで、どんなやり方がいいのか研究して本当に前向きに対応していきたいと、このように思っております。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、本県の少子化の今後の見通しとその影響についてお答えを申し上げます。
平成十四年に社会保障・人口問題研究所が行いました将来の推計人口によりますと、和歌山県は二〇三〇年──平成四十二年でございますけれども──には八十七万八千人になると予測されております。そのうち、ゼロ歳から十四歳までの年少者が九万八千人で、その占める割合は一一・二%、十五歳から六十四歳までの生産年齢人口は四十八万七千人で、同じく五五・四%、六十五歳以上の高齢者は二十九万三千人で三三・四%と、少子高齢化社会がますます顕著になると予想されております。例えば、二〇三〇年の奈良県の高齢者の割合は二九・六%、滋賀県は二五・一%と予測されておりまして、この二県と比べましても、和歌山県の少子高齢化は一段と進み、地域経済の活力の低下と都市化、過疎化に一段と拍車がかかることが懸念されます。
そのような社会状況の中にございまして、地域特性を考えた少子化対策を組み立て、地域に活力をもたらすことが大変重要であると考えております。
今後、団塊の世代が定年を迎える時代となりますが、高齢者の方々が今まで培われてきた技術や経験を、子供たちとの交流活動や一時預かり、送迎など、子育て支援を含むさまざまな分野で発揮できる仕組みが機能していけば地域活力を一段と向上させる力になると考えますので、その構築に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に少子化対策の概要ですが、和歌山県次世代育成支援行動計画「紀州っ子元気プラン」を本年三月に策定し、総合的に施策を推進しているところでございます。本年十月二日に子ども救急相談ダイヤルを開設、十二月一日には県立医科大学附属病院内に総合周産期母子医療センターがオープンするなど、安心して子供を産み育てる環境の整備を図っているところでございますが、その他、当面の課題といたしまして、延長保育、一時保育や地域子育て支援センターの推進など、プランにおいて平成二十一年度までの数値目標を定め、保育サービスの充実に努めてまいります。
また、中長期的には、県内企業の育児休業取得の促進、子供に優しい建物のバリアフリー化、小児救急医療の充実などの施策を各地域で子育て支援に積極的に取り組まれている多くのNPOや子育てを応援するため意欲的に取り組んでおられる企業を初め、多くの団体、県民の皆様と連携しながら推進してまいりたいと考えております。各種施策の遂行に当たり、総合的、全庁的に取り組む中で、子育て支援、少子化対策関連予算につきましても今後とも重点的に対処してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下 宏君。
〔下 宏君、登壇〕
○商工労働部長(下 宏君) 若者の就労対策についてお答えをいたします。
初めに、県内のフリーターの状況ですが、昨年度実施したアンケート結果などから、おおむね一万四千人と推計をしているところです。全国的にも過去十年間で倍増していますが、こうした職業能力が蓄積されていない若者の増加は、経済基盤の弱体化のみならず、議員御指摘のように、現在の少子化をより一層深刻化させるものと憂慮をしているところです。
就職に関する若者のさまざまなニーズに対応するためには、多くの支援策を用意して最適なものを提供していくことが肝要であることから、県としましては、若年者雇用対策として、ジョブカフェ・わかやまでのカウンセリング事業や各企業との合同面談会の実施、それから、今年度から新たにわかやまジョブクラブやワークアドバイザー制度、ビジネスインターンシップなどの取り組みを始めたところです。また現在、国においても、フリーター二十万人常用雇用化プランが進行中であります。今後とも、和歌山労働局や経済界、教育界と連携をしながら若者の常用雇用を促進し、職業的自立を支援することによって少子化対策に寄与したいと考えています。
次に、環境保全運動と観光客の誘致についてでございます。
近年、観光の形態は個性化、多様化しており、多くの人々が懐かしさや安らぎを覚える伝統的な町並みや里山的風景が観光資源として着目をされています。こうした町並みや風景を維持、さらには再現する人々の取り組みが今後の観光振興に重要であると認識をしているところであります。
現在進めている特色ある観光地づくりや熊野川の景観整備事業では、地元の方々と協働して地域の美化や景観形成を積極的に進めるとともに、今後、他部局とも連携しながら、観光振興の視点で美しい県土づくりに取り組んでまいります。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 環境保全運動と観光客誘致についての御質問でございます。
和歌山県を訪れる方々に美しい景観や環境を提供することは、私たち受け入れ側の役割でもあり、和歌山県民が環境や美化を大切にしているというイメージアップにもつながるものと考えております。
先般、串本沿岸海域が貴重なサンゴ群落地域としてラムサール条約湿地に登録をされました。この美しいテーブルサンゴをいつまでも本県の貴重な財産とするため、地元の有志の方々がオニヒトデを駆除するための活動や周辺の清掃活動を行っております。
このように、地域を愛する大勢の方々が、沿道や駅前に花壇を設置、あるいは緑化運動など地域の特性に応じたさまざまな環境美化運動、環境保全運動に熱心に取り組んでいただいております。こうした運動をさらに広めていくために県民一人一人が理解と認識を深め、地域、職場、家庭、学校など、さまざまな場所において自発的な活動を行っていただく必要があると考えております。
このため、県では、模範的な取り組みに対して表彰を行います「わかやま環境大賞」を初め、さまざまな活動をしているNPO等に対する支援を行うとともに、次代を担う子供たちの環境教育の充実等に積極的に取り組んでおります。
今後とも、一人でも多くの方に本県の環境保全に向けた活動に自主的に御参加いただけるよう、関係部局間で連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
次に、官民挙げての空き地の芝生化運動の提唱についての御質問でございます。
ただいま知事から基本的な考え方につきまして御答弁を申し上げましたが、議員御指摘のとおり、芝生の緑は、地球温暖化問題であるCO2の削減等環境保全効果を初め、人々の心を和ませるなど、さまざまな効果があるものと考えております。
県では、今年度、県立医科大学の駐車場の一部の区画を芝生化する事業を実施しておりまして、温暖化防止の観点からも、その効果を検証しているところでございます。一方で、NPOや多くのボランティア団体の方々がそれぞれの立場で清掃活動や緑化活動に取り組んでおられますので、今後とも、県民、企業、行政等が協力して、議員御提唱の趣旨も踏まえまして美しい町づくりを推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) ふるさと再生に関連して、三点お尋ねがありました。
まず、電線の地中化については、安全かつ円滑な道路交通の確保だけではなく、景観の向上、防災面にも寄与する重要な事業と認識をしております。
昭和六十一年度から現在まで、電気通信事業者の協力も得て、道路事業としまして、和歌山市内を中心に約三十三キロの地中化を実施してまいりました。現在、世界遺産に指定されている地区での取り組みとしては、高野山の国道三百七十一号、新宮市の国道四十二号等で整備を進めております。また、和歌山市内においても、三年坂通りの岡山丁から橋向丁の間について事業着手しているところであります。
今後とも県内電線地中化促進のため、道路管理者はもとより、電気通信事業者に対し、関係機関から成る和歌山県電線類地中化地方部会を通じ強く働きかけてまいります。
次に、屋外広告物規制についてお答えをいたします。
道路沿線の広告物は、屋外広告物条例の中で、設置してはならない区域や場所、構造物を定めて規制をし、また、広告物についても、交通の安全等を阻害するおそれのあるものは禁止広告物として規制をしているところであります。
本来案内すべきものの弊害になっているのではないかということにつきましては、現場における指導や管理を徹底するとともに、新たな禁止区域の設定などを検討したいというふうに考えております。
また、訪れる方々に優しい配慮のある案内板の設置を考えるべきではないかということにつきましては、市町村初め関係部局と連携をし、訪れる方々にとってわかりやすい案内板の整備に努めてまいります。
次に、公共団体みずからが設置している啓発や行事のPRのためののぼり、これらにつきまして、適切なPRの方法の検討や相互調整について努めてまいります。
なお、屋外広告物条例については、屋外広告物法改正を受け、平成十六年度に改正をし、十七年度より施行しておりますが、この条例改正の中で立て看板や広告旗等の簡易除却制度を導入しており、昨日六日に一斉除却を行って約千三百件の広告物を撤去したところであります。
次に、道路アダプト制度についてお答えをいたします。
御指摘の道路河川愛護奨励規程は昭和三十二年に制定されたもので、内容の正確さを期して作成しておりますが、新しい管理のあり方とそぐわない面やわかりづらい面もありますので、修正をしたいというふうに考えております。
また、現在準備中の道路アダプト事業は、従来の道路愛護会を発展させ、NPO、各種団体、学校、企業等が里親となり、県と協働して清掃、除草、軽微な修繕などを継続的に実施するものであります。これらの活動により地域の愛着や誇りが生まれ、豊かで快適な生活空間が創造されるものと考えております。
なお、要綱、協定等については、御指摘のとおり、正確でわかりやすい表現になるように努めてまいります。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 若者の就労対策に関連してお答えいたします。
フリーター等の増加に対して、学校教育においては、在学中に生徒一人一人の勤労観、職業観をはぐくみ、働くことへの意欲や前向きな姿勢を確立するとともに、社会の現実をしっかりと認識させる取り組みを進めることが重要であると考えております。
このため、現在、各学校において、インターンシップや職業調べなどを中心にさまざまな活動を展開しているところであります。今後は、これらに加え、求人情報の入手方法や相談機関に関する知識を身につけるなど、生涯にわたって職業の選択、決定をいかに適切に行っていくかという観点に立った指導が必要であると考えております。
また、定職につかないまま高等学校を卒業していく者に対しては、職業安定所との連携を密にしながら、卒業した後も母校で就職相談に応じたり求人情報を提供したりするなど、希望に沿った就職につながる支援を一層進めるよう指導してまいります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
十二番坂本 登君。
○坂本 登君 二点、要望いたします。
少子化対策について、知事並びに部長から答弁いただきました。なかなか難しい、根の深い問題であり、これだという決め手に欠ける分野でもあります。しかしながら、時代は急速なスピードで進展しており、論議を重ねる間に事態はさらに深刻になっていってしまうと思いますので、はっきりしている課題でありますので、一日も、一刻でも早い手だてを講じていただきたいと重ねてお願いし、要望といたします。
二点目として、きれいな町づくり運動につきましては、この問題は、県民の方々の納得と努力が必要であると同時に、息の長い、粘り強い取り組みが必要であります。熊野川の美観道のように、わかりやすい、皆が喜ぶ町づくりを進め、県外から来た観光客から「和歌山はきれいですばらしいところだった」と言ってもらえるような運動にぜひ取り組んでいただきたい。これを要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で坂本登君の質問が終了いたしました。