平成17年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十五番玉置公良君。
〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。
今回は、限られた時間で五つの質問をさせていただきたいと思います。テーマは、小さな一人一人の人間の命と人間を含め生物の存在を左右する地球の命、きょう、あすの緊急課題についてであります。
まず、小さな一人一人の人間の命についてでありますが、県民の命を救うために、きょう、あすからやらなければならない、和歌山県民にとって本当に大丈夫なのかと心配をしています鳥インフルエンザを原因とする新型インフルエンザへの対応と紀南への救命救急センター設置について、これから質問してまいりたいと思います。
最初に、鳥インフルエンザについてでありますが、鳥インフルエンザの発生の世界的な拡大、人への感染報告の増加を背景に、国はことしの十月、新型インフルエンザ対策推進本部を設置しました。
鳥インフルエンザについては、昨年一月に我が国では七十九年ぶりとなる発生が山口県で確認をされ、本年六月までに大分県、京都府、茨城県の四府県で発生があり、約百七十万羽の鶏が処分をされました。これで終息かと思われたやさきの十一月に入り、新たに茨城県の五農場で感染が認められ、防疫活動が今も行われています。
また、海外では東アジア、東南アジアで発生が続発をし、東南アジアでは人への感染も確認をされ、六十人以上の死亡が確認されており、ロシアを経由してヨーロッパへの拡大も見られ、今、国際的な規模での対策が求められております。
和歌山県では、本年七月に危機管理室を中心に和歌山県高病原性鳥インフルエンザ対応マニュアルを策定し、全庁的な体制が確立されたようですが、世界の対応や日本の対応について、県民の立場に立って幾つかの点について質問をしてまいりますので、県民が安全で安心できる当局の答弁を求めたいと思います。
まず一つ目は、きょう現在、和歌山県では鳥インフルエンザの感染者は全く発生をしていないのかどうか、また、和歌山県内で第一号が出たら、その対応はどうするのか。
二つ目は、県内で隔離をする場合に、その収容する施設があるのかないのか。
三つ目は、海外旅行者に発生した場合、どういう対応をするのか。
以上三点は、福祉保健部長にお伺いします。
四つ目は、新型インフルエンザの治療薬についてお伺いします。
ここに、皆さん方のお手元にもございますが、十一月二十日付の毎日新聞の全国調査が発表されています。対応の遅さにびっくりをしています。少し紹介します。
「新型インフルエンザの治療薬として有効とされる「タミフル」の備蓄量が十八日現在──これは十一月十八日現在ですけども──栃木県を除く四十六都道府県で計一万五千八百人分しかないことが毎日新聞の全国調査でわかった。政府の行動計画は、国と都道府県に各一千五十万人分の備蓄目標を設定しており、都道府県側の達成率は〇・一五%。厚生労働省は今月中に約七万二千人分を備蓄する見通しで、国側は来年度中の実現を目指すが、財源確保や購入方法などで不安感が強い都道府県側は、「国の助成がなければ達成は不可能」との声が大勢だ。厚労省は今月中にも支援策を明らかにする方針だ」、このように報道をされております。
タミフルの備蓄量の調査結果を見ると、和歌山県はゼロになっています。ちなみに、隣接をしている奈良県は百人分、大阪府は六百人分、三重県は二百人分は確保しています。
そこで、お伺いをいたします。新型インフルエンザの治療薬は今現在どれくらいの備蓄があるのか、新聞発表ではゼロになっているが、その理由は何なのか、どのくらいの備蓄目標を考えているのか、治療薬は県内の病院に配られるのか、なぜその数にしたのか、数の基礎をどこに置いたのか、福祉保健部長にお伺いをしたいと思います。
最後に、国に対して求めることは何か。県民の命を守るため先頭に立つ知事としての決意をお聞かせください。
続いての質問に入ります。生きるか死ぬかの人を救う救命救急センターの紀南への実現についてであります。
救命救急につきましては、現在、和歌山市内に救命救急センターが日赤及び和医大の二カ所設置されているとともに、ドクターヘリを導入され、県全体の救命救急に取り組まれているところでありますが、南北に長い地勢の上からも紀南地域を対象とする救命救急センターの設置の必要性について叫ばれながら、実現をしていませんでした。
長年、県議会で訴え続けてきました先輩・同僚議員の悲願であり、私自身も三年前の九月議会において知事にその設置を迫ったところですが、今回、十床の新型救命救急センターの紀南への設置ということで長い間の懸案が日の目を見ることはありがたく、感謝を申し上げる次第でございます。
そこで、せっかく設置を決めていただいたこのセンターをよりよいものにしていくために県民の要求があるのですが、県としてはどの程度対応していただけるのか、これからお伺いをしたいと思います。
まず、設置場所についてであります。私としては田辺市内に設置をすることが適当であると考えておりますが、その中でも紀南病院にぜひとも指定をお願いをしたいのです。このことは、県議会開会日の二十九日に、田辺、西牟婁選出の県議会議員そろって県当局に対して要望したところです。
紀南病院は六十年の歴史を持ち、ことし新病院としてオープンをし、救急医療を果たす機能、設備機器及びマンパワーを有し、過去の救急医療に果たしてきた役割、実績を持っています。
具体的に申し上げましょう。まず、紀南病院の救急外来者数は一日平均四十一・二人と、医大の四十三・一人とほとんど変わらないのです。また救急車の搬送患者は、周辺の田辺、白浜、日高救急での平成十七年度の六カ月の現状を見ると、全体で二千九百五十五人で、そのうち紀南病院は断トツで一千三百二十七人と、約五〇%弱も占めています。ことしの新病院オープンで、ヘリポートはもちろん、施設面や配置人員体制、救急外来体制を備えています。つまり、ほかの病院よりも一歩進んだ体制を持っているのです。
以上、申し上げてきましたが、救命救急センターを紀南病院へ設置することについての福祉保健部長の考えはいかがか、お伺いをしたいと思います。
もう一つ大事なことがあります。今回は十床の新型救命救急センターからスタートしますが、今後どういう趣旨でやられようとしているのか、どのような考え方を持っておられるのか、お聞きをしたいと思います。
患者が飛び込んできてもすぐ対応できる医療体制を持っていることに県民は安心をし、そのことが医療費の抑制につながっていくと私は思います。救命救急センターをつくることによって安心できることにより、医療費の抑制や早期発見、早期治療以前の大事な問題が、つまり予防医療につながっていくかもしれないと思います。
そうした意味において、今回の十床での新型救命救急センターが田辺にできることはうれしいことですが、御坊・日高医療圏域や新宮・東牟婁医療圏域にも今後も必要であると私は思いますが、当局の救命救急センターと医療ビジョンについての考え方をお伺いしたいと思います。
今までの質問はきょう、あすの緊急課題で、しかも県民を中心とした医療のあり方を追求してきました。これからの質問は、同じ命ですが、人間を含めた生物の存在を左右する地球の命の緊急課題について取り上げてまいります。つまり、今から私たちが緊急に取り組まなければ地球上の生物が絶えるという問題です。
最近、あすは我が身だと感じる事件があり、他人事ではないという気持ちで現地に飛びました。それは、五月に行ったロシアと十一月に行ったスペインでの出来事であります。この二カ所は地球温暖化が確実に広がっており、既に深刻に悪化が進んでおりました。
まず、ロシアに参りました。皆さん御存じのシベリアにあるツンドラですが──この資料の中にもシベリアのツンドラの写真も載せておりますけども──地球温暖化のおかげでツンドラの凍土が解け、本当は喜ばしいことではないのですが、皮肉にも、ことし名古屋で開催されました愛・地球博で人気を博した、凍土の中から発見されたマンモスが展示をされたということでも、ツンドラのことはすぐ連想されるかもしれません。
ツンドラとは、北半球の亜寒帯に広がる針葉樹林地帯で、何万年と永久凍土に覆われて地球の温度調整をしてくれている、そういう地帯です。シベリアには地球上に存在する永久凍土の半分があり、それは日本の面積の二十六倍にもなると言われています。これが実は解けてきているのです。表面が解けると山の地すべりのように崩れ、氷河が崩れるよりも衝撃的な災害が起こるのであります。ツンドラは、地球温暖化で永久凍土がだんだんと氷解をしてきて、地中に何万年と眠っていたのが表面に出てきたのであります。
専門家の広島大学総合科学部助手の中坪孝之さんによると、ツンドラが解けるということは、地中にあった大量の有機炭素が──その量は地球全土壌の炭素量のおよそ四分の一を占めると言われていますが──それらが二酸化炭素の形で大気中に放出をされ、これはさらに地球温暖化を加速する最悪の結果となる、このような地域には温暖化の影響が最も大きくあらわれると予想されている、それまで進入できなかった生物が進入し、その結果、生態系のバランスが崩れ、予想もしなかった結果をもたらすかもしれないと言っています。つまり、まさかツンドラまでは解けてはこないだろうとロシアの専門家や世界の学者が言っていたのが、予想を裏切るように温暖化が進んでいるのであります。
ツンドラは長期に起こり、範囲が広大であります。しかも、ロシア当局も経済的な負担を考えて真剣に取り組まれていないのが大使館での調査でわかりましたが、私はこれは緊急を要する一人一人の命の問題であると思っていますが、知事はこのことをどのように受けとめられるのか、また和歌山はまだまだ大丈夫だと思っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
もう一つは、スペインの例です。スペインと和歌山県とはいろんな意味において非常に似ており、親しみを持っている国です。具体的には、和歌山県とは緯度が近くて、熊野古道とスペインのサンティアゴの道とは姉妹道提携をしていること、和歌山と同じように農業国であるということ、さらに、地中海という海岸線を持っており、海を持っている和歌山とよく似ているのであります。
そのスペインで、ことしの六月にスペイン環境省が、スペインの全土の三一・五%が砂漠化の危機にある、特に三つの州では九〇%以上の土地が砂漠化の危機にさらされているということを発表し、大変深刻な事態なので、私はその現場を見るために現地に飛んでまいりました。そこで大変ショックを受けました。スペインで起こっていることがこの日本の和歌山でも起こるのではないかと心配になってきたのであります。
これまたお手元の──これ、下手な写真ですけども。写りが悪いんですけども──この中に、日本でも三十三年にわたり帝国劇場を初舞台に松本幸四郎が主演をしていますミュージカル「ラ・マンチャの男」でも有名なラマンチャ地方です。九州程度の広い土地で、砂漠化が広がっているラマンチャ地方の砂漠化の写真であります。「乾いた大地」「不毛の地」「不名誉な地」と呼ばれ、恥ずかしいぐらいの、作物がとれないところだそうであります。
もう一つの写真は、バレンシア地方であります。皆さんも御存じのように、和歌山のミカンのように、バレンシアオレンジの生産で有名なところであります。実は、この地域がこのままいくと九〇%の領土が砂漠化になるだろうと言われているのです。
また、これはバルセロナで写した地中海の写真ですが、水を畑に散水をして、それに塩分が海から入り、大変深刻になっているのが海岸寄りの地中海であります。和歌山のように海岸寄りの土地は土質の変化が起きてくるのは必至ではないかと心配になってきました。
スペイン当局は、作物も塩分に強いトマトなどに変えていくなど、農家のスタイルが変わってきているのであります。知事におかれても、和歌山の海岸寄りの土地への関心をもっと持っていただいて現場を見学されてはと思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
また、砂漠化対策の中心である水利用の地中海の塩害対策のために、脱塩化施設の整備に三十九億ユーロ、日本円では約五千八百九十億円の投資を予定していることを聞きました。これは和歌山県の当初予算に等しい費用であります。
このように、これから長い目で見ると、農業を営々と築いてきたのが根本的に覆されてくるのです。日本でもその対策はどうなのか、心配になってきました。スペイン当局は、救急策として植えるものを変えています。しかし、変えても定着できるかどうかわからないのです。
和歌山も地下水を散布していますが、その実態はどうなのか。点検はされているのか、それに該当する土地はどれだけあるのか。また、土質の変化が起きてはいないのか、その点検とパトロールを始めるべきではないでしょうか。さらに、日本の農地、山林を調査をして土の成分マップみたいなものをつくったらどうでしょうか。例えば、危険度一、危険度二とか。もしかすると日本の畑は安全だという神話は崩れるかもしれません。農林水産部長にお伺いをいたしたいと思います。
また、国連主導のミレニアム・エコシステム調査委員会というところが、二十一億の人々が住む世界の乾燥地域が食料生産不能になる危機にあるという新たな報告書を発表しました。土地が砂漠化したら本来の土質に変えることはできない、戻すことはできないのであります。つまり、人間が生きていくための陸地がだんだんとなくなってきているのであります。日本の九州あたりは、今は温帯ですが、だんだんと亜熱帯、熱帯になり、東北地方の冷帯が温帯になり、亜熱帯になっていく日は近いかもしれません。
日本では砂漠化を防ぐためには何が必要なのか。単なる農業をやっている個人と土地の問題だけでなく、国や県行政の危機管理というものが必要ではないでしょうか。今は専門家から言われていますが、行政としてその現状と見通しについてどう対処しようとしているのか、環境生活部長にお伺いをしたいと思います。
以上、ロシアやスペインの地球温暖化の深刻な実態を報告し、他人事ではない、いつ和歌山もこうなるかもしれないという危機感を私は抱いていますが、知事の御見解を求めたいと思います。
深刻な話ばかりではなく、明るい話もあります。続いて、私のライフワークとして取り組んでいます世界遺産について入りたいと思います。
まず観光客ですが、昨年の七月に世界遺産登録で大幅にふえた熊野古道の中心であります田辺市本宮では、もしかしたら減っているのではと心配しながら、ことしはどうなっているのか調べてみました。観光客が多い七月、八月の昨年と、ことしの日帰り、宿泊客も含めて比べてみますと、十九万四千三百三十五人から二十二万七千三百八十九人とさらに伸びているという、うれしい結果が出ています。先日、東京の旅行会社へ行ってきましたが、一番熊野古道が人気があると喜んでくれています。
そこで、ことしと来年の世界遺産に対しての予算は、どこにアクセントをつけていくのか、タイトルはどのように考えておられるのか。例えば愛知万博のように「愛」というテーマをつけたように、和歌山の知名度が広がるような世界遺産の来年度への課題について、まず知事にお伺いをしたいと思います。
さらに、具体的な提案をこれから申し上げます。
私どもの高野熊野世界遺産連絡会での主な要望や意見を集約したものでありますが、まず一つ目は、手前みそですが、六月議会で御紹介しました「空海の知恵袋」が実は出始めました。旅行業者の皆さんに好評であります。来年からスタートすることが決まりました。早いところは、来年の三月から六月までの間で千人を超える第一陣が来るようになりました。このことによって、私たちにとって念願でありました雇用のスタートが始まればよいのだと思っています。
これは、世界遺産というふるさとの素材を生かしながら新しい雇用というものを生み出し、生活の糧を与えることができるように、年々大きくなっていくだろうと期待しています。働く仕事の場を創出することが大きなねらいだったことが実現しそうで、主婦や高齢者の方々や身障者の人々にもその仕事がつながっていくことになります。ふるさとの人たちが世界遺産によって元気が出、ふるさとが美しくなり、世界の人々が来てくれている。わずかな日当だけど、一生懸命世界のために、和歌山県のためにやってくれて、具体的に動き出しました。
そこで、県行政にも支援をお願いしたいと思います。企画部長にお伺いをいたします。
二つ目は、身体障害者や外国の方々を大切にした観光客の受け入れについてであります。
地域限定通訳案内士試験制度が法律改正で来年度から県独自で導入できるようになりましたが、これを積極的に取り組んでいただきたい。私ども連絡会の方へは、外国語の語り部学校を開こうと、県内の専門学校やNPOの人たちが相談に来ています。この機会にこうしたところと連携していただいて外国語での語り部育成に取り組むことを提案しますが、いかがでしょうか。商工労働部長にお伺いをしたいと思います。
また、昨年からことしにかけて、県も支援をしていただき、世界遺産連絡会が推薦をしました七カ国語音声案内装置が完成しました。それを熊野本宮大社で、行政や神社の御協力を得て試験的に設置をして取り組んでいますが、大変好評です。数値で言えば、本年二月の設置より五月までの三カ月で、英語が四百十八人、韓国語三百六十三人、中国語二百九十六人、フランス語百四十八人、イタリア語百六十人、ドイツ語百九十人、日本語二千九百七十三人と出ており、関係者も大変喜んでくれています。
こうしたことからも、世界の人々に訪れてもらうための諸条件づくりにこのような設備の有効的活用や設置をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。企画部長にお伺いをしたいと思います。
三つ目は、ふるさとを見直す世界遺産についてであります。
大辺路では、ことしの五月に富田坂の地元の子供たちが、土に溶ける風船に世界遺産のPRや自分の名前を書き、全国、世界の空に向けて飛ばしました。こうしたことによって、子供たちも自分たちのふるさとをだんだんと誇りに思うようになってきました。このような行事、イベント等についても教育の一環として取り上げてはどうでしょうか、教育長にお伺いをしたいと思います。
また、大辺路の仏坂では、安居の渡し舟が地元の方から寄附をしていただき復活をし、ふるさとに活気が出てきました。しかし、大辺路は中辺路に比べてまだまだ保全整備や受け入れ態勢がおくれているのが現実であります。世界遺産に先行投資をすることで多くの経済効果を地域に起こしていますが、来年度予算の中で特に大辺路について配慮をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。知事にお伺いをしたいと思います。
最後に、一言言わせていただきたいと思います。
今議会に自由民主党県議団を中心に提出をされています議員提案条例の紀の国森づくり税及び基金条例についてであります。
私は、環境を守って、世界から来られる観光客に喜んでもらい、世界遺産にふさわしい森林や環境づくりに膨大な費用がかかることは十分承知をしています。それゆえに、今回の議員提案に関して頭から反対するものではありません。ただし、この条例の財源、趣旨、名称等にかなりの不満や疑念があるのは事実であります。その上、余りにも拙速な条例の提案の仕方に再考を求めるものであります。これは、新生わかやま県議団全員の意見でもあります。
まず財源についてでありますが、まだ記憶にある人がいると思いますが、三年前に私が議会で提案をし、知事がいち早く取り上げていただき、ストップ温暖化家庭の省エネの施策として実現をしていただき、全国に先駆けて取り組み、既に実績が出ています。地球温暖化防止のため家庭の省エネ指導をすることで、環境省の試算では一軒当たりの省エネが年間約四万一千円になると言われております。県下の省エネ実績結果では、これ以上の省エネ金額になっているところもあります。そして、実践をされた主婦の方から、例えば年間千円や二千円ぐらいなら環境をよくするために寄附をしてもよいと言ってくれています。こうした活動を広めていくことによって、県下の三十八万世帯で千円なら三億八千万円、二千円なら七億六千万円の基金ができ、県民の意識改革にもつながり、県民の賛同も得られるのではないでしょうか。
このように、環境をよくしていく活動は、まじめに努力して取り組んだ者が報われ、活動してよかったと実感ができます。反対に、努力をしない人にはペナルティーを科すという税の公平感が保てるような仕組みを考え、そのように実施しないと県民の理解や協力が得られなく、長続きをしないと私は考えます。
また、平成十五年から始まり県立学校を中心に取り組まれている和歌山方式のエコスクールは、全国的にも高く評価をされています。努力した学校には前年度と比べた経費の六割を還元し、さらに努力した学校にはボーナスを与えるという、全国に例のない仕組みを取り入れることによって大きな成果が出ています。──資料の中にも入れております。
この二つの事例を示し、私が何を訴えたいのか申し上げてきました。
今回提案されています内容では、税という形で結果的に上から強制をして一律に徴収をするのは、環境に対する一人一人の意識を改革するという観点からはなじまないし、長続きをしないと考えます。なぜなら、このことはそのときだけよかれというのではなく、地球が存在する限り永久に取り組まなければならないからです。
環境というのは他人任せでは守れません。一人一人の努力によってこそ、よい結果が出てくるのであります。環境を守り努力する人が報われる、それを契機としてさらに広がっていくような施策を行うことが県行政に求められているのであり、税を県民から一律に徴収するのではなく、県民から努力して浮いたお金の一部をみずから進んで提供してもらうという財源づくりをまず考え、そうしたことも含めて取り組むことが必要ではないでしょうか。
二点目として、条例の趣旨についてですが、今回のように税として県民から取ったら、森林や環境に対する造詣や愛着というものに県民の心が向かなくなってしまうのではないかとの心配をします。それより、今、県知事が積極的に取り組んでいただいています緑の雇用事業や企業の森事業のさらなる拡大や、大阪府が今度、自治体や企業、大学と連携をし森林整備を呼びかける「森の貯金箱CO2制度」など参考にしていただくことや、私どもも来年から、世界の観光客に自然林を植林して世界遺産の保全に貢献してもらう事業を、微力ですが、取り組む準備を進めています。
このような県民一人一人のそれぞれの知恵を出し、努力し、協力をすることで和歌山の森林を初めとする環境を守っていくことが、本当の意味での世界遺産や森林や環境に対する造詣や愛着が生まれてくるのではないでしょうか。そして、そのことによって県民の理解と、それを守り、後世に手渡していくため、みずから進んで献金しようという郷土愛というのが生まれてくるのだと私は思います。
三点目として、行政に対してですが、森林を守るために当然しておかなければならない事業、行政はやられているのかどうか、まず見直しが必要ではないでしょうか。
例えば、公的資金の使途の見直し、次に、私も四年前から議会でずっと提案をしています県民の飲み水を守る危機管理条例の制定に関して、地下水の涵養や取水の制限や水を利用する企業等に対する協力金制度などは、まだできていません。水をはぐくむ森林育成が大事だといっても、今申し上げたようなことができていなくては、本当に県民が理解してくれるでしょうか、疑問です。まず、行政がやらなければならないことを先に取り組むべきです。
最後に、環境をよくしていくためには県民の一人一人の理解と協力が欠かせないものであり、県行政は、まず森林や環境に対する県民の意識や考え方をパブリシティーすべきだと考えます。また、先に森林環境税を導入している自治体、高知県を例に見てみますと、導入に至るまで県民に対する啓発や理解を得るために二年近くの時間をかけています。それゆえ、今回の提案は全く拙速過ぎます。知事の御見解をお聞かせください。さらに、今回条例提案をされました自由民主党県議団からも責任ある答弁を求めます。
以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの玉置公良君の質問に対する提出者及び当局の答弁を求めます。
まず、提出者の答弁を求めます。
三番新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 玉置議員の質問にお答えをいたします。
かつて和歌山県の豊かな森林は、林業経営が順調に行われることで適切に管理が行われてきました。しかし、最近の林業経営をめぐる厳しい状況の中で、間伐材等の森林整備が十分に行われなくなっており、森林の荒廃がどんどん進んでいます。特に小規模林家の林業経営は一層厳しさを増しています。杉立木価格については昭和五十年時の〇・一九倍と低迷し、林業経営の収益率を非常に悪化させています。もはや、森林所有者や林業関係者だけでは森林の公益的機能を守ることは明らかに困難であります。
そこで、今回提案しております紀の国森づくり税は、税収自体を第一の目的とするのではなく、広く薄い負担を県民にお願いし、一年でも早く森の重要性を認識していただき、県民みんなで森を守っていくこと、そのことを一番の目的にしております。
税についての県民へのPRについては、各議員により地元あるいは近隣の市町村に出向き、税の必要性などを説明して回るとともに、十月の二日には「森林環境税を考える」と題してみんなの森づくりシンポジウムを開催し、県民参加による森林環境保全のための新たな取り組みについて広く情報発信したところであります。
また、森林環境税懇話会からの中間報告や最終報告の答申時には記者発表を行い、新聞、テレビ、ラジオ等に取り上げていただくとともに、自民党県議団のホームページに掲載するなど、広く県民に情報を発信したところであります。
なお、税を導入するだけで和歌山県の森林・林業関係の課題がすべて解決されるとは思っておりません。宇治田議員から提案説明で申し上げた中にも、特に、現行の施策、予算の配分をさらに森林整備に重点化すること、企業の森事業を無償貸与から一歩進めて所有してもらうようにすること、わかやま森林と緑の公社経営改善の推進に努力すること、木づかい社会の実現にさらに力を入れることを県当局に強く要請したところであります。御理解を賜りますようお願いをいたします。
以上です。
○議長(吉井和視君) 次に、当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、第一点の鳥インフルエンザについての御質問でございます。
この鳥インフルエンザについては、既に東南アジアを中心に六十人を超す人が亡くなっているということで、理論上はこのタミフルというのがきくのではないかというふうなことで、今、国の方も二千五百万人分の備蓄計画をつくって、和歌山県もその中で備蓄していこうというふうなことになっているわけです。
一説によると、これは普通のインフルエンザでも発熱期間が二日ぐらい減るだけだというような説もあって、これが万能だというふうに考えるのは明らかにおかしいということのようですが、今の現状で一番有効であろうというふうに思われているものはこのタミフルということですし、そしてまた、今は鳥から人に感染しているわけだけども、人から人に感染する新型になった場合に今のところほかに対応策はないわけなので、十分に危機管理という観点から国と協力しながらこの薬剤の備蓄というふうなことを進めていきたいと思いますし、和歌山県では、本年中をめどに行動計画をいち早くつくろうということで今作業を進めているところでございます。
次に、地球温暖化に伴う問題点ということですけれども、先ほどお話のあったロシア、スペインの事例、大変な状況であるということを改めて認識をいたしました。日本でも最近は局地的な豪雨が多発したり、地震は関係ないかもしれませんけども、いろんな今まで考えられなかったような天変地異というようなことが起こっているというふうなことだろうと思います。
そういう中で、本年の二月に京都議定書が発効し、日本は地球温暖化ガスの六%の削減ということを公約したところでございますので、これを着実に守っていくというふうなことが必要だと思いますし、今、和歌山県でも独自に計画を立てて、和歌山でできるCO2の削減ということを行いながら、また企業の森等によってCO2を森林で固定させ、そしてまたこれを県独自に認定していくという制度も今つくっているということで、この問題は本当に重大なことですし、そしてまた、和歌山だけがやってもというふうな発想では許されることではなくて、みんながやっていくということが大事だろうと思っております。
そういう中で、スペインと同じようなことが和歌山の海岸部でも起こるのではないかというふうな御質問ですが、和歌山は、御案内のように高温多湿の温帯モンスーン地帯ということで、砂漠からシロッコが吹いてくるスペインとはちょっと同義には考えにくいというふうに思いますけれども、しかしながら、この問題は和歌山がどうということじゃなくて、地球全体として本当に危機的な状況にあるということだろうと思いますので、いずれにせよ深刻に受けとめて、県でできること、最大限の努力を払っていきたいと、このように思っております。
それから、世界遺産の来年度の課題ということですけども、おかげで世界遺産については観光客が着実にふえておりますし、そしてまた、関東を中心に非常に関心が高いということがあります。ただ、そのことにあぐらをかいていては、これは観光客が潮が引くように去っていくということもまた考えられますので、新たに付加価値をつけていかなければならない。
例えば、ことし始まった川下りであるとか、それから渡しであるとか、こういうふうなものはまた新しい魅力としてこの熊野古道に付加価値をつけてくれると思います。そしてまた、熊野健康村構想とかいうふうなことを進めることによって、新たに団塊の世代の人たちの理解を深めていくということも可能だと思います。
来年は、これはまだ計画中ですけども、例えば「平成の旅籠」というふうなものをこの熊野古道につくって旅行する人がよりしやすいような方向にしていくとか、そういうふうないろんなことをやっていこうというふうに考えているところでございます。
さらに、大辺路の振興ということですが、この大辺路というのは距離も長いし、海が見えるところが非常に多いのですばらしいと思うんですが、ただ、熊野古道自体がなくなっているようなところがあって、今、NPO的な人たちとか、それから刈り開き隊の人たちとか、いろいろ自分たちの努力で新たに道をつくっていくというふうな努力をされてます。
県もこういうことを大いにバックアップするとともに、遺産登録されているか、されていないかは別の問題として、この道を例えば「海の見える熊野古道」というふうなキャッチフレーズのもとに新たな魅力として売り出していくということも、非常に大事なことだろうというふうに思っております。
紀の国森づくり税につきましては、先ほどお答えしたとおりで、環境づくりにもお金が要ることです。そしてまた、県民の人が広く負担することによって理解を求めるということも非常に有意義なことだということは、もう二年前、三年前の委員会の意見でも出ているというふうなことの中で今回提案がなされたというふうに考えているところで、いずれにせよ、議員間そしてまた各会派間でお互い十二分に御検討いただけたらと、このように思います。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、新型インフルエンザの対応についてお答えを申し上げます。
一点目の患者の発生状況についてでございますけれども、鳥の高病原性鳥インフルエンザウイルスが人に感染した事例の報告は、きょう現在、和歌山県を含む国内ではございません。また、現在これらが変異してできる人から人に感染する新型インフルエンザウイルスの発生につきましても、世界的に報告はされておりません。
次に、患者発生があった場合の対応についてでございますが、高病原性鳥インフルエンザの発生時の健康危機管理指針に基づきまして対応することとしてございますが、さらに、新型インフルエンザ対策として、先ほど知事から答弁がございましたが、本年中を目途として和歌山県新型インフルエンザ対策行動計画を策定し、適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、患者の治療や感染の拡大を防止するための施設につきましては、菌が外に出ないようにした設備を持った感染症指定医療機関等が県内に七施設あります。適時連携を図り、施設の確保に努めてまいりたいと考えております。
三点目の海外からの旅行者の対応についてでございますが、基本的には、発生・流行地域からの入国者につきましては、検疫の強化とともに、万が一県内での発生時には迅速かつ適切に対応できるように医療関係機関との協力体制の強化に努めてまいりたいと思っております。
四点目の治療薬についてでございますが、お示しの新聞に掲載された備蓄量につきましては直接買い上げされている数量でございまして、本県では医薬品卸業界との契約によりまして、いわゆる流通備蓄として現在百人分を別途確保しております。
また、新型インフルエンザ対策として抗インフルエンザウイルス薬の備蓄については、国から明示のあった人口の約八・三%に相当する八万八千人分を目標数量としまして、国と連携を図りながら確保に努めてまいりたいと考えております。
今後、新型インフルエンザが発生した場合、医療機関で混乱が生じないよう、当該抗インフルエンザウイルス薬を県において備蓄するとともに、必要な場合には県内の医療機関でスムーズに使用できる体制を構築してまいります。
次に、救命救急センターを紀南病院にとの御質問でございますが、重篤患者に対しまして緊急治療を行う三次救急医療体制の整備は重要でございまして、現在は救命救急センターが和歌山市内に二カ所設置されているものの、紀南地域への設置は従来からの懸案事項となっております。新たに国において人口おおむね約三十万人規模で十床型の新型救命救急センターの制度が加えられたことによりまして、このたび、田辺市にある社会保険紀南病院及び独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センターから設置申請書が提出されているところでございます。
県としましては、保健医療に関する重要な事項を協議する場である和歌山県地域保健医療協議会に検討を依頼し、保健医療に関する専門的な立場から御意見をお伺いすることにより、総合的かつ適切に判断してまいりたいと考えております。
二点目の救命救急センターと医療ビジョンについてでございますけれども、県民の皆さんが安心して暮らすことができるよう、救急医療体制の整備を進めていくことが重要でございます。新型救命救急センターを新たに紀南地域に一カ所設置することにより、県内どこに住んでいても三次救急医療を受けることのできる体制づくりを進めてまいりたいと考えてございます。新型救命救急センターは、御坊、田辺、新宮の三つの保健医療圏を合わせた人口おおむね三十万人規模で一カ所となってございます。
今後は、ドクターヘリの有効活用とあわせまして、いずれの医療圏におきましても三次救急医療体制に対応できるような体制の整備について検討を行うことにより、紀南地域の救急医療体制の機能充実を図ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 農林水産部長西岡俊雄君。
〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 地球温暖化に関連いたしまして、和歌山県における土質変化と、農業用水としての地下水の塩害実態とその点検とパトロールについてお答えいたします。
農業用水の地下水利用につきましては、浅井戸──打ち抜き井戸でございますが──などによりまして、県内に約三百カ所、かんがい面積は約八百ヘクタールございます。これらにつきましては、定期的に調査いたしているところでございます。うち、塩害の発生につきましては、過去に河口部の砂地地域で二例程度、過剰くみ上げによる被害がございましたが、いずれも局地的なものであったと把握をしてございます。
次に、土質の変化につきましては、国土調査法に基づきます土地分類調査を実施いたしまして県全域の土性等を調査しているところでございます。また、農地の土壌につきましては、土壌機能実態モニタリング調査により定点調査を実施いたしてございます。農作物の栽培に影響を与えるような変化は見受けられないとの調査結果を得ているところでございます。
しかしながら、議員御指摘の温暖化の影響につきましては、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構におきまして日本の農業への影響が懸念されているところでもございますので、こうした土壌等の調査を継続して実施しつつ農地や水の保全を図ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 地球温暖化に伴う砂漠化に関する御質問でございます。
一般的に砂漠化とは、干ばつなどの気候変動による要因のほか、放牧地の再生能力を超えた家畜の放牧や過度な土地の耕作などの人間の活動によってももたらされる現象であると認識をしております。
最近では、地球温暖化に伴う気温の上昇や降雨量の減少により乾燥化が進むなどの要因でも砂漠化が進むと考えられております。我が国では、地球温暖化の影響として既に局地的な大雨や勢力の強い台風などの発生、これによりまして、地球温暖化がこのまま進めば海面の上昇あるいは生態系や農林水産業への影響も懸念をされております。
地球温暖化を防止するための京都議定書が本年二月に発効した今、県では、既に県地球温暖化防止活動推進センターの指定を行うとともに、県内の温室効果ガスを削減するため、排出削減やCO2吸収源対策を盛り込んだ地域計画の策定に向け、現在、地域推進計画検討会において数値目標の設定などさまざまな検討を行っているところでございます。
今後は、温室効果ガスの削減に向け、県民の皆様方の御協力をいただきながら、県民総ぐるみの運動として展開をしていくことが何よりも大切であると考えております。
議員御指摘のスペインの状況につきましては、その深刻さを再認識いたしたところでございます。今後の取り組みに当たって参考とさせていただきます。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 企画部長高嶋洋子君。
〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 世界遺産のことについてでございますが、本県の豊かな自然と文化を生かした地域づくりを進める上で、世界遺産の保存にあわせて、それを適切に活用していくことが大変重要であると認識しております。その中で、議員のお話にありましたように、「空海の知恵袋」のような世界遺産の魅力を生かした新たな雇用創出などの積極的な取り組みが始まっていることについては、非常に心強く感じているところでございます。
県といたしましても、こうした地域活動がより拡大し、地域全域の活性化につながるよう、他部局と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
また、世界遺産を訪れる方々の受け入れ態勢の整備は大変重要なことであります。特に、議員御指摘の外国人観光客あるいは体の不自由な方々への対応につきましては、さらに充実を図っていく必要があるものと考えております。
こうしたことから、外国語のPRパンフレットの充実や体の不自由な方々にも利用いただける展示物の設置などの検討を進めるとともに、議員お話しの音声案内装置の設置につきましても今後研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下 宏君。
〔下 宏君、登壇〕
○商工労働部長(下 宏君) 外国語での語り部育成についてでございます。
地域限定通訳案内士試験制度については、現在、導入に向けてのガイドラインを国において策定中であります。ガイドラインが示された後、各都道府県で実施に向け具体的に検討することとなりますが、本県でも地域固有の魅力を外国人観光客に伝えるため、積極的な取り組みが必要と考えてございます。
また、議員御提案の外国語での語り部育成につきましては、外国人観光客受け入れのために大変重要なことと認識しており、NPOの方々を初め、広く連携し、進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 世界遺産を活用したふるさと教育についてお答えいたします。
教育委員会では、昨年度から高野・熊野の価値を伝え、その保全に取り組むとともに、小中学生の現地学習のサポート活動等を行う高校生「高野・熊野ワールドヘリテージレンジャー」の育成に取り組んでおります。
また、熊野古道のロングハイキングを実施している高校や、地域の文化遺産を絵画マップにまとめたり歴史や文化についてのガイドブックを作成したりするほか、街道の整備や清掃活動を行うなど、世界遺産に関するさまざまな学習を積極的に展開している小中学校も数多くございます。
県教育委員会で定めている「学校教育指導の方針と重点」では、文化遺産を活用した学習をその柱の一つに位置づけ、子供たちがふるさとへの愛情や誇りを一層高め、豊かな情緒や感性、国際性を身につけることを目指しております。
今後とも、こうした観点に立って、世界遺産を大いに活用してまいる所存であります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十五番玉置公良君。
○玉置公良君 御答弁、ありがとうございました。時間がございませんから、もう一点に絞って再質問を行います。
紀の国森づくり税についてであります。
先ほど御答弁いただきましたけども、私は、まだ財源のあり方とか、その趣旨についても議論はしたいんですが、時間がございませんから、一つに絞って質問いたします。
先ほどの話の中ででも、果たして県民の理解と協力というのは得られたということを判断しておられるのかどうか、ここが私はやっぱり大きな焦点やと思っております。県の考え方もこういった──九月議会でも請願書が出てますけども、そこに県はこういう書き方をしています。「県民の理解を得る中で」と、答弁でこういう書き方をしております。
さらに、私も先ほど申しましたけども、今、十四県がされております。私なりに調べました。平均して、やっぱり二年間の県民に対する啓発とか理解を得るための時間をかけておるんです。
こういったことも含めて、実は、きのう和歌山市議会がこの税や基金に対して反対決議を全会一致でやられたものを、きょうは見さしていただきました。ここで簡潔に聞かれておりますし、私は、この県民の税の三分の一以上納める和歌山市がこういうことをやられておるということについて大変危惧をしておりますから、このことについて、一本に絞って質問したいと思います。
この中に、一つは、「議案提出に当たって、「県民の理解と協力のもと」としながら、和歌山県民はもとより、その税の三分の一以上を負担する我が和歌山市民にいかなる説明をしたのか、現時点において和歌山市民のコンセンサスが得られたものとは認められず、全くもって一方的な議案提出と断じざるを得ない」と、こう書かれておりますけども、このことについて一点。
二つ目、「今回示された議案では、実質的な県民税の増税であり、現下の本市経済状況を勘案するとき、適切な施策といえるのか甚だ疑問である」。これが二点目。
三点目、「地方税上、その県民税の徴収は、市民税の徴収と併せて行うものとなっており、今回の増税は、その徴収率にも大きく影響を与えることが危惧されるところである」。これが三点目であります。
四点目、「かかる議案の提出に当たっては、県民に対する十分な説明責任を果たすことはもとより、各市町村との協議、検討がなされた上でされるべきである」。
この四点について、大変大事なことでありますので、先ほど答弁をされました新島議員に答弁を求めたいと思います。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する提出者の答弁を求めます。
三番新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 再質問にお答えをいたします。
まず、私ども自由民主党県議団では、二年前より森林に関する研究会を立ち上げてまいりました。その中で調査研究をしてまいりました。そして、先ほどの答弁をさせていただいた中でも、各議員がいろんなところで話をし、また森林環境税懇話会をつくってまいりました。そして、その中間報告並びに最終報告を受ける中で、新聞、テレビ、ラジオを通じて県民の皆さん方に報告をするとともに、私どものホームページに掲載もしてまいりました。
そして、先ほどの答弁で申し上げた中にも、私どもは、今回、税を導入するだけで森林・林業の関係がすべて解決されるとは思っていませんし、また、税収自体を第一の目的とするものではないということであります。
今の御質問の中で、確かに増税でありますが、県民から広く薄く県民の知恵をいただき、そして有効に活用する財源を求めるものであります。
各都道府県では二年間の経緯ということを申しておりますが、私どもも各地域を調査研究する中で、二年の歳月をやってきたのは事実であります。
また、質問の中で、経済に与える影響ということになってきますと、私個人の考えから申し上げますと、そんなに大きな影響がない、そのように考えているものであります。
御理解を賜りたいと思います。以上です。
〔「理解できない」「質問の趣旨に答えてない」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間、六十分が過ぎておりますが、再々質問をされますか。──答弁漏れですか。
〔「答弁漏れあり」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 答弁漏れがあるようですので、提出者の答弁を求めます。
〔「答弁漏れって何や。ちゃんと答弁してあるやないか」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 三十五番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁漏れありと言ったんですけどね、出てこられませんので。
私は、やはりこれは大変大事な問題で、重く受けとめております、この決議も含めて。したがって、時間の関係もございますから、もうあえてしつこく言いません。これはこれから委員会、本会議等で議論をされてきますけども、ぜひとも、先ほど言ったことも含めてきちっと答弁をしていただくように、そのことがやっぱり県民に果たす我々の役目やと思っておりますので、よろしくお願いをして終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十分休憩
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