平成17年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、三位一体の改革と地方分権の推進についてお尋ねいたします。
 さきの総選挙では、与党が国民から三分の二を上回る議席を与えられ、第三次小泉内閣が発足いたしました。小泉首相は記者会見で、今後の課題について、国・地方の効率的な税財政システムを構築するための三位一体改革や公務員改革、政府系金融機関の統廃合や民営化などを強調しました。さらに公務員改革では、九月二十七日に開催される経済財政諮問会議が、歳出を削減するため、公務員の総人件費改革の基本指針を今秋までに策定することを提言するとのことであります。
 また、本年三月に総務省は、各地方公共団体あてに新地方行革指針を通知しました。それによりますと、我が国は少子高齢化による人口減少時代を迎え、国・地方を通じた厳しい財政状況の中で、地方公共団体が中心となって、住民の負担と選択に基づき、おのおのの地域にふさわしい公共サービスを提供する分権型社会システムに転換していく必要があります。
 現在、市町村合併が推進され、その規模、能力は急速に拡大しつつあり、地方公共団体の果たすべき役割が改めて問われています。また、NPO活動等の活発化など、公共的サービスの提供は住民みずからが担うという認識も広がりつつあります。これまで行政が提供してきた公共サービスについても、今後は、地域の住民団体を初め、NPOや企業等の多様な主体が提供する仕組みを整えていく必要があります。
 このような状況の中で、地方公共団体は、新しい視点に立って不断の行政改革に取り組み、その体制を刷新していくことが必要であります。地方公共団体において推進されてきた行政改革により公務員総数の純減やラスパイレス指数も一〇〇を切るなど、行革の成果が上がってきております。また、行政評価システムの取り組み、情報公開条例の制定、事務事業の民間委託等も着実に進展してきております。さらに、給与・旅費等に関する事務の集中化、アウトソーシングといった新たな取り組みや指定管理者制度の活用も見られるようになってきています。しかし、厳しい財政や地方経済の状況等を背景に、行政改革の進捗状況に対する国民の厳しい視線があり、危機意識と改革意欲が強く求められております。このため、平成十七年度を起点として、おおむね平成二十一年までの集中改革プランの公表と行政改革推進上の重要事項が示されたところであります。
 さらに、本年六月には、国において「経済財政運営と構造改革に関する基本指針二〇〇五」が閣議決定され、平成十八年度までに三位一体の改革を確実に実現するための取り組みが示されました。しかし、これまでの三位一体の改革への政府における取り組みは、真の地方分権改革を推進するものとなっていないと評価されております。
 国は、第一期改革として、三・二兆円に上る国庫補助負担金を廃止し、それに見合う税源として所得税から住民税へ三兆円程度の移譲を実施すると提言しましたが、実際に税源移譲に結びついたのは三・二兆円のうちわずか一兆円余りであり、一年おくれの平成十六年度分の税源移譲額と国民健康保険国庫負担金分を含めて、税源移譲額は、政府の目指す三兆円の八割である二・四兆円にとどまっていることは大きな問題であり、さらに平成十九年度以降の第二期改革に着手することを強く求める必要があります。
 そのため、七月八日に本県の地方六団体代表で構成する和歌山県自治体代表者会議及び和歌山県地方分権推進連盟において、「「真の三位一体の改革」の実現についての緊急アピール」を行いました。また、七月二十日には、全国知事会等地方六団体が、昨年先送りされた税源移譲額六千億円に結びつく国庫補助負担金改革案を小泉総理に提出いたしました。
 そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
 平成十八年度の予算編成に当たっては、三位一体改革に伴う国庫補助負担金の廃止・縮減や地方交付税の見直し、歳出面で団塊の世代の退職による退職手当の大幅な増加が見込まれます。知事は、財政改革プログラムに基づいて人件費の抑制や包括予算制度の導入等、財源を生かして重点事業を行ってきております。知事は、三位一体改革による本県への影響と平成十八年度予算編成にどう取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
 次に、総務部長及び教育長にお尋ねいたします。
 一、新地方行革指針では、平成十七年度を起点として、おおむね平成二十一年までの集中改革プランを平成十七年度中に公表するとありますが、本県では平成十六年十月に財政改革プログラムが策定され、実施されてきておりますが、どう対応されますか。
 二、定員管理の適正化計画では、退職者数及び採用者数の見込みを明示し、平成二十二年四月一日における明確な数値目標を掲げることとしております。財政改革プログラムでは、平成二十年までに知事部局で約四百三十名、教育委員会で約四百名の職員定数の削減を行うとしております。さらに、この期間に団塊の世代の職員の退職を迎えるが、どう対応されるのか。
 また、給与の適正化については本年、人事院勧告において国家公務員については本俸を四・八%引き下げるとともに地域手当の創設が勧告されております。加えて本県では独自の給与カットが実施されておりますが、どう対応されるのか、お尋ねをいたします。
 三、三位一体改革における税源移譲の見直しと自主財源の確保のため、徴税体制の充実対策はどう進めるのか。
 四、指定管理者制度への移行により、県より派遣職員への対応はどうか、また財政的メリットはどうか、逆にリスクや損失発生への対応はどうか。
 以上四点、お尋ねをいたします。
 次に、少子化社会へ次世代支援対策の充実についてお尋ねいたします。
 本年三月末に、政府は人口推移の速報値を発表しました。それによると、二〇〇四年の出生数は百十二万一千人で、前年に比べ一万四千人の減少となり、戦後四年連続の最少記録を更新しました。全国の合計特殊出生率においても、二〇〇四年は一・二九であり、東京都が一・〇一で、過去の推移を見てみると全国の出生率は東京での十年おくれであるため、「子供一人」が今日本の現実の姿となってきています。加えて、日本の人口は二〇〇六年がピークとなり、二〇〇七年から減り始め、五十年後には一億人を割るという試算もあります。
 本年は国勢調査の年であり、新たな人口動態が明らかになります。少子化現象が深刻とされるのは、人口構成の急激な変化により高齢者がふえていく一方で、若年層が対比して極めて少ないという問題であります。このままで進むと、我が国は二〇二五年には世界の最長老国となり、アメリカや中国など諸外国と比べて総合的な社会活力の低下が強く懸念されます。
 出生率が低下した原因は、女性の社会進出による晩婚化、未婚化が挙げられます。しかし、未婚者の九割は結婚願望があり、そのうち九割の方は子供を産みたいと思っているという調査結果があります。
 富士通総研の上級研究員・渥美由喜氏は、雑誌「潮」六月号の「少子社会をストップさせる次世代支援とは」において、「日本は高齢者対策に力を入れ過ぎ、少子化対策をおざなりにしてきた。新ゴールドプラン、九四年から二〇〇〇年で九兆円を投入し、現在も高齢者に対する給付費は増加しているのに対し、今年度の少子化予算は前年度の三千八百億円とほぼ同額規模で、大きなアンバランスとなっている」と指摘しております。さらに、「スウェーデンでは、出産・育児のための休暇制度を導入している企業は十割で、すべての企業に子育てのための休暇制度が設けられています。そのうち休暇制度を取得した女性は九割、男性も八割が取得しており、これは公務員、民間、正社員、契約社員の区別なく、すべての雇用者を対象にした数字である」と述べています。
 これに対して日本では、育児休業制度を導入する企業は全体の約六割であり、就労女性のうち出産や育児を機に退職する女性が七割に上り、就労女性の二割が育児休暇を取得しているにすぎません。また、就労男性の育休取得率は一%未満であり、日本では制度があっても機能していないと指摘をしております。
 また、公明党代表代行・参議院議員の浜四津敏子さんは、インタビュー「チャイルドファースト社会へ」において、「現行の子育て支援は親への支援という視点で考えられてきたが、視点を百八十度変えて子供たちへの視点で考え直し、子供優先の社会をつくろうと、「チャイルドファースト社会」という言葉であらわしました」と述べています。さらに、これまで働くことが中心で、それにあわせた子育てから子育てを中心軸に据えた社会システムを構築することを提案しております。子育ては親や家族だけの責任という考え方から子育てを社会全体で支える形に変えていく、家庭内育児・保育から地域や職場での共同保育へシステム変革を提案しています。インタビューの最後で、「子育て支援に大事な視点として、本当の意味での男女共同参画社会の実現です。EU諸国では、児童手当とか経済的な面の子育て支援をしている国がたくさんあります。ところが、出生率が上がっている国とほとんど効果のない国があります。効果の上がらない国というのは、男女共同参画社会になっていない国である」と述べております。
 また、日本経済新聞に本年一月から連載されました「少子に挑む」が七月に単行本として発売されました。その中の一部を紹介させていただきますと、秋田県では、九年連続で出生率が全国最下位。県内各地で母親たちと懇談すると、保育料がかさむ、子供三人を抱え生活に余裕がないとの意見に、同県では最下位からの脱出を目指して、早ければ本年八月から保育園、幼稚園に通う一歳以上の子供の保育料を現在の半分にする、ゼロ歳児には原則として月一万円を給付することを決定したとのことであります。
 また、名古屋市では、二〇〇三年の合計特殊出生率は一・一八で、九〇年に比べ〇・二九ポイントも低下しており、全国平均一・二九と比べて低いことから、市民を対象に意識調査をしたところ、理想の子供の数は三人なのに二人しか生まない夫婦が多いことがわかった、理由は、経済的負担を挙げる人が最も多かった、そこで市では二〇〇四年から三人目以降の子供を保育園に預ける場合、ゼロ歳から二歳児までの保育料を無料にした、子供を保育園に預けない場合は子育て支援手当を月二万円支給する、この結果、市の支出は年間十三億円増加した、他方、高齢者に対しては、市営交通を無料で使える敬老パスを三年かけて関係者の理解を得て一部自己負担を導入することで〇四年には敬老パスへの市の支出を十一億円抑制することができたとのことであります。高齢者からは「一部負担は孫へのプレゼント」と評価する声が寄せられていると、松原武久名古屋市長は述べております。
 また、ある女性から、「経済的に最も援助してほしい年齢は、子供が中学・高校生になって進学に必要なお金です。せめて、簡単な手続で借りられるシステムや、公立校なら第三子以降は授業料を割引にしてくれる優遇策があってほしい」と述べております。
 本県においても、少子化は全国より深刻で、二〇〇四年の出生数は八千六十五人と前年に比べ四百九十六人減少し、出生率も七・八で、全国と比較すると過去六年連続で全国平均を下回り、本県の人口減少の大きな原因となっております。本年五月に和歌山県次世代育成支援行動計画「紀州っ子元気プラン」を発表、少子化対策に数値目標を設定し、取り組んでいるところであります。
 そこで、木村知事にお尋ねいたします。
 少子社会へ、知事の所見と本県の次世代支援対策の推進についてどう進められるのか。
 次に、関係部長にお尋ねいたします。
 一、家庭内育児・保育から地域や職場での共同保育へ変革していく方策として「つどいの広場」支援事業がありますが、本県ではどう推進するのか。
 二、保育サービスの向上対策にどう取り組まれるのか。
 三、乳幼児の医療費支援の向上にどう取り組まれるのか。
 四、群馬県太田市では本年一月より男性職員に育児休暇の取得を義務づけたと伺っていますが、本県における官民の育児休業の取得状況及び取得率向上対策はどうか。
 五、本年十月に国勢調査が実施されますが、個人情報保護法の制定後、初めて実施されるわけでありますが、どう対応されるのか。
 以上五点、お尋ねいたします。
 次に、健康被害の原因となるアスベスト問題への対応についてお尋ねいたします。若干重複する点については御理解を賜りたいと存じます。
 本年六月末に、大手機械メーカーでアスベスト被害と見られる死者が多数に上ることが発覚して以来、全国にアスベストに対する不安が急速に広がっています。
 厚生労働省は、健康被害や死亡事例が報告されている企業への立入調査の実施、労災申請への迅速な対応や各種の相談窓口の設置を決めたほか、アスベストを使用していた企業に対し、従業員や退職者に対する健康診断を行うことを指導するとともに、アスベストを使った建物などの解体時に飛散したり作業員が吸い込まないような対策を強化するなどの対応策を決めました。
 アスベストは、天然に産出する繊維状珪酸塩鉱物で、石綿とも呼ばれています。高い耐熱性、絶縁性などの特性を持つことから住宅の断熱材などに広く利用され、九割以上が建材に使用されてきました。我が国では、クリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)を輸入し、六〇年代から増加した輸入は、七四年の三十五万トンを最高に年間三十万トン前後で推移し、九〇年代からは減少傾向に転じ、本年は百トン以下になると予測されております。
 この間、七二年にILO(国際労働機関)やWHO(世界保健機関)の専門家会議などで、アスベストががんの原因物質であることが認められました。我が国では、旧労働省が七六年にアスベストの危険性を指摘する通達を出しましたが、その後、具体的な対策がとられず、九五年にやっと、特に有害性の高い茶石綿、青石綿の製造、使用を禁止しました。そして昨年は、それ以外の石綿を含む建材、摩擦材、接着剤の製造、輸入、譲渡、提供または使用を禁止したところであります。
 アスベストの繊維は極めて細いため、人が吸い込むとその繊維は悪性の中皮腫の原因になるとされ、肺がんを起こす可能性があることで知られております。その健康被害は、アスベストを吸ってから長い年月を経てから出てくる、中皮腫は平均三十五年前後という長い潜伏期間の後に発病することが多いと言われております。
 アスベストによる健康被害が問題化したのは今回が初めてではなく、八〇年代には全国の学校で使われたアスベストが危険視され、旧文部省が教育委員会などに処理をする旨指導してきたところであります。
 本県では七月八日に各保健所に健康相談窓口を設けるとともに、アスベスト問題庁内連絡会議を設置いたしました。また、七月十四日には、全国知事会から国へ「アスベストによる健康被害に関する緊急要望」を提言した旨、知事より報告されました。さらに、県有建築物に対し、第一次調査、第二次調査を実施し、速やかに対応を行う、さらに、吹きつけアスベストの使用された建築物を解体、改造、補修する場合、大気汚染防止法、廃棄物処理法、建設リサイクル法等関連法令を遵守するよう関係業界に対し指導している旨報告されたところであります。
 一昨日の土曜日に、和歌山市内に在住する女性の方から電話をいただきました。「実は、夫は中学校の理科の教員をしてきましたが、退職後、肺に水がわいているとの診断で、平成十三年三月、向陽病院に入院。その後、五月に県立医大病院に転院し、診察の結果、悪性中皮腫とのことで治療を受けてきましたが、同年十二月に六十七歳で亡くなりました。死亡解剖の結果でも悪性中皮腫が確認され、アスベストとの関係を主治医より聞かれましたが、当時はアスベストに対する認識もほとんどなく、今回のマスコミ報道で私の夫もアスベストが原因だったのではないかと心配になり、電話をした」とのことでありました。
 そこで、関係部長及び教育長にお尋ねいたします。
 一、アスベストの使用の有無を確認する第一次調査及び第二次調査の結果と健康被害への安全対策はどうとられるのか。
 二、本県では、大気汚染防止法に基づく特定粉じん(石綿)発生施設は過去に二カ所あり、特定粉じん排出等作業の実施は和歌山市で十一カ所、和歌山市以外の県内で十四カ所あるとのことです。アスベスト作業従事者に対する健康診断や治療体制の整備はどうか。また、県民への健康対策はどうか。
 三、アスベストを使用した建物における消防活動を行う消防隊員にはどう対応されるのか。
 四、アスベストを使用した建築物の解体、補修については、大気汚染防止法で県への届け出が義務づけられているのは、延べ床面積が五百平米以上で石綿を吹きつけた壁や天井などの面積が五十平米以上という要件があります。同法で規制対象外にしている小規模な建築物に対しても、解体や補修計画を県に届ける、違反があれば改善の勧告や命令もできる等の条例の制定や条例改正が各府県で進められています。本県では、知事の決断により、本日、条例の改正案が提案されました。
 また、建築物の解体作業等におけるアスベスト暴露防止措置、大気環境への飛散防止措置を徹底する、さらに、解体後の廃棄物(廃アスベスト)等の適正処理を確保するための対策を徹底する等の指示がありました。本県における小規模な建築物の解体、補修への対応及びアスベスト廃棄物の適正処理への対応はどうか。
 以上四点、お尋ねをいたします。
 最後に、文字・活字文化の振興に関する施策の推進についてお尋ねをいたします。
 本年七月二十二日に文字・活字文化振興法が成立し、七月二十九日から施行されました。同法では、活字文化を振興するための国や地方自治体の責務を定め、学校教育や地域で施策を講じることが定められています。
 具体的には、地域の施策として、必要な数の図書館を適切に配置する、司書の充実や情報化の推進で読書環境の整備を図る、また、学校教育では言語力の涵養を図ることが盛り込まれ、国語力の向上を目指すとしております。このほか、活字文化の国際交流の促進や読書週間の初日に当たる十月二十七日を「文字・活字文化の日」とすることなどが定められました。
 この文字・活字文化振興法は、さきに成立した文化芸術振興基本法を土台に、より具体的な施策を展開するための個別法であります。基本法の第十八条に、国語についての理解を定めています。そこには、「国語が文化芸術の基盤をなす」と明記され、国語教育の充実や調査研究、知識の普及など、必要な施策を講ずることがうたわれております。
 また、同法制定の背景には、急速に進む国民の活字離れや若者の読解力低下があります。経済協力開発機構(OECD)が、中・先進諸国の高校生を対象にして行われている国際学習到達度調査の二〇〇〇年では、毎日の読書量を聞いた設問に対して「趣味で読書をすることはない」と回答した日本の高校生は五五%で、調査対象国の中でワースト一位となり、二〇〇三年の調査では二〇〇〇年に八位だった日本の高校生の読解力が十四位まで後退し、活字離れを裏づけるデータが相次いだため、国語力低下が学校教育を揺るがす大きな問題となっております。
 今回の法制化に当たり劇作家の山崎正和氏は、国の活字教育に対する使命、国民が活字を初めとする言語教育を受ける義務と権利が今まで以上に明確になると評価しています。さらに、文化的な活動から日常生活のコミュニケーション全般に至るまで、人は必ず言語的な要素を介して物事の意味や関係性を理解することを指摘し、言語に対する能力を発達させることは自己実現を大いに助けるものであると強調しております。
 一方、子供の活字離れに対する対策として、二〇〇一年十一月に子どもの読書活動の推進に関する法律が制定され、二〇〇二年八月には同法の規定に基づいて基本的な計画が閣議決定され、二〇〇二年から二〇〇六年までのおおむね五年間にわたる施策が示されました。
 基本計画では、家庭、地域、学校を通じた子供が読書に親しむ機会の提供が促され、学校における朝の読書の奨励などが定められました。また、図書館の整備・充実として、司書教諭の発令の促進や学校図書の計画的整備の推進として、〇二年度から毎年約百三十億円、五年間で総額約六百五十億円の地方交付税措置が実施されてきています。さらに、四月二十三日が「子ども読書の日」と定められてきております。
 本県においても、子供の読書活動の推進にはブックスタート事業や朝の読書の推進が図られ、国語力向上対策として、「きのくに学びのルネサンスプラン」の実施や子ども読書活動推進計画にのっとり、学校教育において読書機会の提供と環境の整備充実を図る、また学校図書館教育の充実を目指してきております。さらに、学校関係者の専門性の充実を図るため、国立教育政策研究所と和歌山県教育委員会が主催して、全国を三ブロックに分けた平成十七年度中部地区学校図書館活用フォーラムが本年十月二十日から二十一日、本県で開催され、十三府県五市から参加し、その成果が期待されております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、文字・活字文化振興法の制定に対する所見と今後の同施策の推進と実施をどう進めるのか。
 二、若者の活字離れや、本県が実施している学力テストにおいても国語科の読解力の向上が指摘されています。本県の国語力向上へどう取り組まれるのか。
 三、図書館の活用と充実をどう図るのか。また、学校図書館への地方交付税は十分に生かされているのか。
 四、学校図書館への司書教諭の人的配置はどうか。
 以上、四点をお尋ねいたしまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革と本県への影響ということでございますが、先般の衆議院選挙の結果を受けて、きょうの新聞にも載っておりましたけども、三位一体の改革ということが今後の小泉改革の大きな柱の一つになるというふうな感じが非常に強くなってきているわけでございます。
 今、この六千億円の補助金の改革の問題についてもはっきりした状況は見えませんし、さらには、義務教育の給与のあり方、生活保護の扱い等々未処理の問題は大きいわけでございますけども、先般の結果がこの三位一体の改革にいい影響を及ぼすというふうな感じが強くなってきている。そういう中で、本県としても、全国知事会等と協力しながら、この地方分権へ向けた三位一体の改革をさらに進めていくようにしたいというふうに思っているわけでございますが、これと来年度の和歌山県の予算の影響ということになりますと、ただいま申し上げましたように、まだ今後の様子ということがはっきりいたしませんので、これを見積もることはできないわけですけども、本県のように財政的な基盤の弱いところにしわ寄せが来ないように、交付税等を通じる調整措置ということの確保もあわせて強く要求をしていきたい、このように考えているところでございます。
 また、こういうふうな状況下でございますので、来年度の予算の編成等に当たっては、当然のことながら、税収の徴収率が低いというようなこともありますので、歳入の確保、そしてまたいろいろ公務員制度の改革等、国の方でも焦眉の急になっているわけでございますけども、歳出の削減、そして現在、景気がようやく回復基調に乗ってきているというふうな認識もありますので、こういう時をとらえて、和歌山県が元気になるような予算の重点的、効率的な配分ということに努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
 次に、少子化の問題でございます。
 少子化については、合計特殊出生率──これ、ちょっと言葉が難しいんですけども──和歌山県は一・二八ということで、全国平均より〇・〇一低いということでございます。全国で今三十六位ということで、決して誇れる数字ではございません。この少子化の問題につきましては、もう日本の国はことしから人口減少に入ったというふうな話もございまして、社会の活力を維持するという面からは大変ゆゆしき事態だというふうに考えております。
 県では、ついおとつい、子育て大賞というのを初めて行いまして、私が表彰式を行ったんですけども、子供を五人、七人育てて明るい家庭を築かれている方々とお話をいたしました。本当に皆さん元気で頑張って、そしてまた子供がたくさんいるということを非常に前向きにとらえておられるので、感動したわけでございます。
 しかしながら、この少子化ということは、私自身も、これは文明病の一種かなというふうな認識を以前は持っていたんでございますけども、最近いろんなところで勉強いたしますと、ヨーロッパなんかでこの少子化問題に真剣に取り組んだ国では出生率が回復しているというふうな傾向が出てきているというふうなことなんで、これは文明病というふうなことで退けるものではなく、高齢化、老人問題と同じぐらい、そしてまたそれ以上に力を入れていけば効果も出てくるというふうなことが期待されますので、和歌山県でも本年度を初年度として数値目標を入れてこの少子化対策に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○議長(吉井和視君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 行政改革など五点のお尋ねがございました。
 まず、行政改革のプランについてお答えいたします。
 本県におきましては、御質問にもありましたとおり、昨年の十月に平成十六年度から二十年度までの五年間を計画期間と定めました財政改革プログラムといったものを策定しまして、人件費総額の抑制あるいは事務事業の見直し、県税収入の確保などに努めてまいりますとともに、知事部局の職員も四百三十人削減するということで職員定数適正化計画も策定しまして、行財政改革に全庁挙げて取り組んでいるところであります。
 御質問にもありました集中改革プランにつきましては、今御説明申し上げた財政改革プログラムなどを一年ずらした形で十七年度から二十一年度までの五年間を計画期間とする行政改革プランでございまして、現行のプログラムを基礎にして具体的な取り組みを盛り込むなど必要な見直しを行いまして、平成十八年の三月には公表できますよう検討を進めてまいります。
 それから次に、団塊の世代の大量退職への対応と給与の適正化についての御質問がございました。
 知事部局におけます平成十八年度から平成二十年度までの三年間の定年退職者予定者数は五百六十名でありまして、この期間における適正な人員体制につきましては、行政サービスの低下を招かないように留意もしながら、先ほどお答えしました集中改革プランを策定する中で、その大量退職への対応も含めて検討してまいりたいと考えております。
 また、本年の国の人事院勧告における俸給表の平均四・八%の引き下げや現行の調整手当にかえた地域手当の支給につきましては、十月に予定されております和歌山県の人事委員会の勧告を踏まえまして、国やほかの県の状況も踏まえて適切に対応したいと考えております。
 また、県独自の給与カットにつきましては、平成十三年度に管理職など二%、十四年度からは管理職二%、その他の職員一%ということで行ってまいっておりまして、来年度につきましても財政状況を考慮して関係団体と協議を進めてまいりたいと考えております。
 それから三番目に、三位一体改革における税源移譲についてのお尋ねでありました。
 個人住民税の一〇%フラット化によりまして国から地方に三兆円の税源移譲がなされますと、和歌山県にも、県と市町村を合わせましておおむね二百億円程度の住民税がふえるというふうに推計されております。ただ、そうなりますと所得税より個人住民税の方が多くなる住民が多くなるわけでございますので、御指摘のとおり、徴収対策は今後ますます重要な課題と考えております。
 平成十六年度の県税の徴収率でございますが、九五・八%であります。特に個人住民税が八八・一%と低くなっております。これを除いた県税では九七・四%となっております。個人県民税につきましては、収入未済額全体の四九・三%を占めている状況にありますので、本年度から、地方税法四十八条に基づきまして、徴収困難なものにつきましては県が直接徴収を行うという取り組みも行っているところであります。
 また、自動車税等の徴収や県税に係る滞納処分の強化を図りますために、振興局への納税推進員の配置につきましても補正予算案でお願いしているところであります。
 県といたしましては、本年度の目標収入率を九六%と掲げまして、こうした取り組みとあわせまして、市町村と共同で滞納処分に当たるための滞納整理組合の設立、あるいは市町村との共同公売、共同納税窓口の設置など、市町村への支援や連携強化にも取り組みまして一層の収入率向上に努めてまいりたいと考えております。
 四番目が、指定管理者制度の御質問でございました。
 まず、県から指定管理者制度が適用される法人への派遣職員の対応についてでございますが、現在、派遣職員は知事部局と教育委員会で五十名ございます。これらの職員については、当該職員の適性等もかんがみまして、基本的にはほかの部署への配置を検討してまいります。
 次に、指定管理者制度移行による財政的効果でございますが、平年度の一般財源ベースで総額約九億円の節減になるものと推計しており、今後決定する指定管理候補者からの提案内容によってはさらに節減効果があるのではないかと考えております。
 次に、リスクや損失発生への対応につきましては、債務負担行為で設定している委託料がこれまでの施設管理運営実績あるいは民間同種施設の運営状況を参考にしておりまして、通常の管理運営には支障のないものと考えております。
 いずれにしても、指定管理者がみずから提示した委託料の範囲で適切に管理運営を行っていただく必要があると考えております。さらに、指定管理者が万が一その業務を果たす上で適正を欠くこととなった場合には、直ちに指定を解き、新たに指定管理者を選定することといたしております。
 最後に、育児休業についてのお尋ねがございました。
 知事部局における平成十六年度の育児休業取得状況は、女性職員が九六・八%、男女合わせますと取得率は六二・二%となっております。男性職員も、平成十六年度に初めて二名が取得したところであります。
 取得率向上対策といたしましては、平成十五年度に公布されました次世代育成支援対策推進法に基づいて、県も十七年度から五年間にわたる和歌山県子育て推進プログラムを策定しておりまして、育児休業取得者の負担を軽減し、子供を育てやすい環境を整備することが重要との観点から、育休代替職員の確保にさらに努めますとともに、業務に関連した情報を提供するなど、このプログラムに基づきまして一層推進を図っていきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、少子社会へ次世代支援対策の充実についての御質問の中で、まず「つどいの広場」についてお答えを申し上げます。
 少子化の原因の一つとして、母親の子育てについての負担感あるいは不安感の増大が言われてございます。そのような中で、これからの育児は社会全体で支援することが基本的な方向として求められてございまして、つどいの広場は、乳幼児期の子育て中の親子が気楽に集い、打ち解けた雰囲気の中で相談、交流、情報交換を行う事業でございます。核家族化が進行する中、その役割は今後ますます重要でございまして、平成二十一年度までに六市町村六カ所の設置に向け、市町村に積極的に働きかけてまいります。
 なお、今年度、県では単独事業として田辺市本宮町において地方型つどいの広場モデル事業を実施してございます。
 次に保育サービスの向上対策でございますが、本年四月、橋本市に幼保一元化施設が開園し、県内初めての病後児保育が始まったところでございます。また、受け入れ児童数の拡大、延長保育、一時保育などさまざまな保育サービスにつきまして紀州っ子元気プランにおいて今後五年間の数値目標を設定したところでございまして、その進捗状況を見きわめるとともに、地域社会の少子化が進む中、和歌山モデルの地方型子ども園の推進など、和歌山の地域の特性に応じた多様な保育サービスの充実に取り組んでまいります。
 次に、乳幼児への医療費支援についてでございます。
 乳幼児への医療費助成は少子化対策の重要な柱と考えてございまして、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため本制度を実施しておりますが、市町村を初め各種団体からも、さらなる制度の拡充について御要望をいただいているところでございます。
 こうした中、乳幼児医療費助成制度につきましては、県単独医療費助成制度全体の見直しの中で、対象年齢の拡大も含めまして、本年度内に検討を行い、来年度中にも実施いたしたいと考えております。
 次に、健康被害の原因となるアスベスト問題への対応についての御質問の中でのアスベスト作業従事者に対する健康診断や治療体制についてでございますけれども、これにつきましては、厚生労働省の地方機関である和歌山労働局及び産業保健推進センターなどにおいて、七月以降、労働者やその家族からの健康相談などに応じているほか、和歌山労災病院等において専門的な健康診断や治療が行われているところでございます。
 また、県民に対する健康対策としましては、七月八日、各県立保健所に相談窓口を開設いたしました。九月十五日現在、百八十八件の相談を受けてございまして、その相談内容としては、住宅及び施設に使用されている建材に対する相談が主なものとなってございます。
 なお、医療機関の受診を希望される方には労災病院等の専門機関を紹介するなど、県民のアスベストの健康影響に対する不安の解消に努めてまいりたいと考えております。
 また、議員からお話がございました方も含めまして、県内での中皮腫で亡くなられた方は、平成七年から平成十五年までの九年間で四十九名と把握してございます。アスベストによる健康影響につきましては、その解明に向け、国において専門家による研究がなされることになってございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 私からは、民間企業の育児休業の取得率及び取得率の向上対策についてお答えをいたします。
 まず、平成十六年度の和歌山県労働条件等実態調査によりますと、育児休業制度の規定を設けている事業所は六二・五%で、育児休業の取得率は、男性が〇・〇九%、女性が六九・六三%であります。
 県の施策といたしましては、従来から仕事と家庭の両立に関するセミナーを開催しており、本年度も来月十八日から県内四会場で育児休業に関する説明会を開催することとしております。あわせて、県が委嘱した社会保険労務士が企業を巡回訪問する中小企業労働施策アドバイザーの活用によりまして、子育て支援に対する意識向上のための啓発に取り組んでいるところでございます。
 また、育児中の労働者の負担を軽減し、子供を育てやすい環境を整備することが重要な課題であると認識しており、働くことをやめずに子供を育てられるようにするためには、男女ともに育児休業等を取得しやすい職場の環境づくりと意識の向上が必要不可欠であると考えております。引き続き、和歌山労働局など関係機関と連携しながら、事業者等に積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 国勢調査と個人情報保護法に関してでございます。
 個人情報保護意識の高まりに対応いたしまして、今回の国勢調査では調査書類整理用封筒を用いた封入提出方式が採用されております。こういうふうな封筒を用いまして(現物を示す)提出するというようなことでございます。
 また、調査員等関係者には統計法によります秘密の保護が課せられておりますし、また調査員は非常勤の国家公務員として守秘義務が課せられております。さらに、調査員向けの個人情報保護マニュアルを作成いたしまして、市町村を通じてプライバシー保護の徹底を図っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) アスベストに関する二点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、一点目の県有施設の調査結果についてでございますが、本年八月から五百十一の県有施設につきまして、施設管理者及び県建築関係職員による調査を実施してまいったところでございます。その結果、県立学校を除く施設につきましては、アスベストの含有吹きつけのある施設が三カ所、そのうち県民文化会館小ホール及び県立体育館ロビー天井につきましては、既に対策工事が完了しております。残りの一カ所につきましては、紀伊風土記の丘資料館で現在使用中止の措置をとっているところでございます。
 アスベスト含有の可能性があり現在分析中のものが四十七施設、そのうち飛散の可能性があるため現在使用中止のものが二十七施設、飛散の可能性がないものが二十施設でございます。残りの四百六施設につきましては、アスベストの使用はないと確認をしております。
 今後の対応につきましては、現在分析調査を実施しております施設のうちアスベストの含有が認められた施設につきましては、対策工事を実施してまいる予定でございます。
 次に、小規模な建築物の解体、補修及びアスベスト廃棄物処理への本県の対応についてでございますが、既に県の建設業協会及び県建築士会等関係団体に対しまして、大気汚染防止法に基づく特定粉じん排出等作業に係る大気環境中への飛散防止対策の徹底を依頼したところでございます。
 また、作業従事者の安全対策の観点から現在石綿障害予防規則が定められているところでございますが、今後、和歌山労働局と連携の上、必要に応じ立入調査を合同で実施するなど、作業基準の遵守を徹底してまいりたいと考えております。
 また、現行の大気汚染防止法で適用外となっております小規模な建築物の解体時におけるアスベストの飛散防止の徹底を図るため、ただいま県公害防止条例の一部改正を提案させていただいたところでございます。今後とも、建築物の解体時における飛散防止及び作業従事者の安全対策の徹底に努めてまいる所存でございます。
 最後に、アスベスト廃棄物処理についてでございますが、飛散性及び非飛散性アスベスト廃棄物の取り扱いにつきましては、本年七月、県の許可を有するすべての産業廃棄物処理業者に対しまして、その適正処理について周知を図ったところでございます。飛散性アスベストにつきましては、県内に処理可能な施設がないため、近県の処理可能な施設で適切に処理するよう指導しております。また、非飛散性アスベスト廃棄物処理事業場に対しましては、本年八月より随時立入調査を実施しているところでございます。
 今後とも、適正処理について事業者を監視、指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) アスベスト問題に関しての消防隊員への対応についてお答え申し上げます。
 消防隊員は、火災など災害現場での活動時にアスベストを含んだ粉じんを吸入する可能性があることから、災害現場では防じんマスク等の着用をさせるとともに、早急に必要な整備を行うこと、また関係部局とアスベストを使用した建築物の情報共有に努めるよう、本年八月、文書で県内各消防本部に対し周知徹底を図ったところであります。
 今後も引き続き、災害現場での消防隊員の安全確保の徹底に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育関係六項目についてお答えいたします。
 初めに、定員管理計画に関して教育委員会では、児童生徒数の減少に伴う学級減や事務局組織の改編に伴う事務の効率化等により、四百人の定員削減を行うこととしております。財政改革プログラム期間中には一千三十九人の定年退職があり、中でもいわゆる団塊の世代が定年を迎える平成十九年、二十年度には、その半数を超える退職者が見込まれます。こうした状況を考慮し、教職員の採用については従前から計画的に進めてきているところであり、今後も適切に行ってまいります。
 次に、学校施設の吹きつけアスベスト等の使用に係る調査については、議員御指摘の児童生徒の安全対策の観点から七月に県独自の第一次調査を実施し、小学校十三校、中学校三校、高等学校六校にアスベスト含有のおそれがある吹きつけ材を確認しております。これらは飛散の可能性はありませんが、児童生徒、教職員の健康に万全を期するため、安全性が確認できるまでの間は当該箇所への立ち入りを禁止したところです。
 また、八月以降は第二次調査として、文部科学省が示した基準に基づき、県立学校五十四校、千三百二十九棟を対象とした建築関係職員による立入調査を行うとともに、小中学校については市町村教育委員会に依頼しております。現時点で判明したところでは、県立学校二校、小学校一校においてアスベストを含む吹きつけが認められますので、立入禁止を継続するとともに速やかに除去する等、適切な措置を講じるよう進めております。
 今後とも児童生徒の安全確保を最優先するとともに、重大な健康被害のおそれがあると判断される場合は必要な健康診断を行うなど、適切な対応をしてまいりたいと考えています。
 続いて、このたび制定された文字・活字文化振興法は、国語を日本文化の基盤として深く広くとらえ、昨今の活字離れや読解力の低下を是正する上で大きな意義を持つものと受けとめております。
 本県では、これまでも「きのくに学びのルネサンスプラン」を初めとするさまざまな取り組みを進めてきたところであり、このたびの法制定を機に関連施策の一層の充実に努めたいと考えております。
 特に、国語力の向上については、学力診断テストにおいて読解力等に課題が見られたため、昨年度庁内に設置した国語力向上推進会議での検討をもとに、小中学校が連携した系統的な指導のあり方の研究や全校種・教科での読解力向上に向けた工夫、改善に取り組んでおります。
 また、和歌山県子ども読書活動推進計画を踏まえ、朝の一斉読書等を全県的に進めるほか、小学生と交流活動を行う高校生よみかたりボランティア活動を展開し、好評を得ております。
 図書館の活用と充実については、県立図書館全体の利用者数が年々増加傾向を示し、特に本年一月に移転・開館した田辺市の県立紀南図書館では、八月末までの入館者数は十一万人を超え、昨年の同時期に比べて約八倍に、同じく貸し出し冊数は約四倍に増加しております。
 今後も県立図書館の整備充実に努めるとともに、市町村に対し、住民への貸し出し用として一千冊程度の本を一括貸与するほか、図書館運営に関する助言を行うなど、支援してまいります。
 一方、学校図書館については、学習活動や読書活動を一層推進するため、その中心的な役割を担う司書教諭を十二学級規模以上の学校に置くこととされており、本年度、小学校では一〇〇%、中学校八七・九%、県立学校九三・三%の配置となっています。今後すべての学校に配置するよう努めてまいります。
 また、学校の図書費については、地方交付税措置を中心に県内の市町村が合計約一億四千万円を支出し、蔵書も充実してきておりますが、市町村によっては予算措置が十分でない実態も見られるため、改善に向けてさらに指導してまいります。
 この十月に本県で開催する、議員御紹介の中部地区学校図書館活用フォーラムでは、各学校の実践発表やさまざまな観点からの研究、協議を行い、本県学校図書館のさらなる活性化への契機にしてまいりたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──この際、申し上げます。所定の時間の六十分を過ぎておりますので、再質問される場合は簡潔に願います。再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 以上で、新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十一分休憩
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