平成17年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)
県議会の活動
平成十七年二月 和歌山県議会定例会会議録 第七号
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議事日程 第七号
平成十七年三月十日(木曜日)午前十時開議
第一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百三十二号まで、並びに報第三号から報第五号まで及び報第七号(質疑)
第二 一般質問
第三 議案等の付託
第四 請願付託の件
会議に付した事件
一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百三十二号まで、並びに報第三号から報第五号まで及び報第七号(質疑)
二 一般質問
三 議案等の付託
四 請願付託の件
五 休会の決定
出席議員(四十六人)
一 番 須 川 倍 行
二 番 尾 崎 太 郎
三 番 新 島 雄
四 番 山 下 直 也
五 番 小 川 武
六 番 吉 井 和 視
七 番 門 三 佐 博
八 番 町 田 亘
九 番 東 幸 司
十 番 浅 井 修 一 郎
十一 番 山 田 正 彦
十二 番 坂 本 登
十三 番 向 井 嘉 久 藏
十四 番 大 沢 広 太 郎
十五 番 平 越 孝 哉
十六 番 下 川 俊 樹
十七 番 花 田 健 吉
十八 番 藤 山 将 材
十九 番 小 原 泰
二十 番 前 芝 雅 嗣
二十一番 飯 田 敬 文
二十二番 谷 洋 一
二十三番 井 出 益 弘
二十四番 宇 治 田 栄 蔵
二十五番 前 川 勝 久
二十六番 山 下 大 輔
二十七番 木 下 善 之
二十八番 原 日 出 夫
二十九番 冨 安 民 浩
三十 番 野 見 山 海
三十一番 尾 崎 要 二
三十二番 中 村 裕 一
三十三番 浦 口 高 典
三十四番 角 田 秀 樹
三十五番 玉 置 公 良
三十六番 江 上 柳 助
三十七番 森 正 樹
三十八番 長 坂 隆 司
三十九番 阪 部 菊 雄
四十 番 新 田 和 弘
四十一番 松 坂 英 樹
四十二番 雑 賀 光 夫
四十三番 藤 井 健 太 郎
四十四番 村 岡 キ ミ 子
四十五番 松 本 貞 次
四十六番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 小 佐 田 昌 計
出納長 水 谷 聡 明
知事公室長 野 添 勝
危機管理監 白 原 勝 文
総務部長 宮 地 毅
企画部長 高 嶋 洋 子
環境生活部長 津 本 清
福祉保健部長 嶋 田 正 巳
商工労働部長 石 橋 秀 彦
農林水産部長 阪 口 裕 之
県土整備部長 酒 井 利 夫
企業局長 楠 本 隆
教育委員会委員長 駒 井 則 彦
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 大 岡 淳 人
警察本部長 宮 内 勝
人事委員会委員長 西 浦 昭 人
代表監査委員 垣 平 高 男
選挙管理委員会委員 森 本 明 雄
職務のため出席した事務局職員
事務局長 小 住 博 章
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 島 光 正
議事課副課長 薮 上 育 男
議事班長 山 本 保 誠
議事課主任 尾 崎 善 亮
議事課副主査 楠 見 直 博
総務課長 土 井 陽 義
調査課長 宗 野 幸 克
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課主査 保 田 良 春
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午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百三十二号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第五号まで及び報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
二十五番前川勝久君。
〔前川勝久君、登壇〕(拍手)
○前川勝久君 おはようございます。早いもので、きょうでもう一般質問最終日でございます。ひとつ元気を出して進めますので、よろしくお願いをいたします。
議長のお許しを得ましたので、早速、一般質問をさせていただきます。
私が議席を得させていただいてもう既に二年たつわけですけども、この二年間に本会議場で正面から議論されたことはございませんし、また私の記憶でも、ここ当分この本会議場で議論されたことがなかったと思います。そういうことで、今回は特に私にとっては地域密着型の課題であります過疎問題について質問をさせていただきます。
議員になって二年、時折というか再々ですけども、一人で車を運転して山間部の集落を回りますけども、一時間も二時間も対向車に出会わない、あるいは本当にもう途中で車が故障したらどうしようか、また、あらかじめあこそまで行ったらもう暗くなるんで途中で引き返して帰ろうと、そんなことを常時思いながらその山間部を回っているわけでございます。
戦後六十年、我が国の近代化攻勢は、有史以来我が国社会の基盤、根源であった山村、農山村を音を立てて崩壊させ、いよいよその終着駅に導こうとしているのであります。昨今、心の底から、今日社会のあらゆるところで起きているいろんな混乱の遠因は案外こんなところ、いわゆる農山村の崩壊にあるのではないかとさえ思うのでございます。そして、私自身も役所におったら恐らくこうした実感はわいてこなかったと思いますし、ましてや都会の過密の中で生活する人、あるいは書斎にこもってたとえ万巻の書を読破する人であっても、このような実感はわいてこないのでございます。
さて、去年の年末に私はふるさと日置川上流の二十戸ほどの集落を訪れて、七十中ごろの老人ひとり住まいの家を尋ねてみました。この家は私の母方の遠戚に当たり、久しぶりにと思ったこともありますし、尋ねるのは私が高校のとき以来ですから、約四十年ぶりぐらいでございました。驚いたことに、家のたたずまいが四十年前とほとんど変わっていないのであります。玄関は昔どおり──昔、田舎では玄関は障子のドアでございました。この家もいまだに障子戸で、開けて入ると土間が奥まで続き、突き当たりに台所、その横に板張りの居間、全体として薄暗いといった、もうその昔のままのたたずまいで、どこを見渡しても新しい造作を加えたというような跡もないわけであります。
その老人いわく、「連れ合いも亡くなって現在はひとり暮らしやし、子供らも町へ出て行ってそれぞれの世帯を持ち独立している。将来この家へ返ってくることもない。今さらこの家を直したら、将来、子供たちが町の家とこの家の両方を維持管理せなあかんことになって子供に負担をかける。この家はわしで終わり。わしが死んだら取り壊したらええんや」とのことでございました。なるほど、こんな考えもあるんかなと感心したわけでありますけども、実はその前には、「まあちょっと家でも直して快適な生活をしたらどうよ」と言おうと思ったんですけども、これを聞いてもう言うことができませんでした。
このようにして、過疎地では住人が一人欠け、二人欠けし、彼らが細々とでも耕してきた田畑も荒れ放題、見る影もない光景を至るところで目にするのであります。この集落では小学校も十数年前に既に廃校となり、朽ちかけた校舎がかつての面影を残しているのみであります。このままでは、早晩、紀南の山村が消える、農村が崩壊するとの危機感を強くするのでございます。
そこで、今回は古くて新しい課題である過疎問題について、さきにも言いましたとおり、今この時期に再認識しておくことが極めて重要であるとの立場から、この問題について幾つかの問題を取り上げてみたいと思います。
古い話で恐縮でありますが、昭和四十一年八月十一日付の「京都新聞」投書欄に掲載された投書は、「辺地の行く末を案ずる」というものでございます。投書の主は、当時四十一歳の団体職員であります。その投書いわく、「私の住む広河原地区──これは京都の北側らしいんですけども──では、辺地に見切りをつけた若い人が次々と町に出て行く。七十戸ある中で二十代の男は一人というありさまで、子供と壮年、老年層の地区になった。京都の辺地にも、現在、日本のゆがんだ社会の縮図が見られる。今は年寄りたちが頑張って山や田を守っているが、二十年後はどうなるのか。祖先から受け継いだ財産の荒廃は必至だ。個人の富ひいては国家の富が損なわれようとしているのに、手をこまねいている今の政治を遺憾に思う。時の流れとあきらめろというのか。中心部、大きく言えば表日本に集中した開発しかされていない。しかも、裏日本、辺地の犠牲に立脚したものだ。政治は弱者、日の当たらない場所にこそ目を向けるべきで、そのためには公営企業の地方分散、辺地の産業振興に尽くしてほしい。今のままでは、若者どころか壮年、老年層にさえ魅力のないふるさとになってしまう」。
昭和四十一年のこの投書は二十年後はどうなるのかと懸念をしているわけでございますが、この投書からことしで既に三十九年たつわけですが、今まさに正真正銘、この投書に言う「若者どころか壮年、老年層にさえ魅力のないふるさと」が我が紀南のあちこちに出現しているのでございます。
自然志向、健康志向の高まりの中で、現代の多くの若者たちはこうした過疎と呼ばれる地域をハイクいたしますし、またあるいはその一隅でキャンプも張ります。しかし、その場所とその場所の持つ意味については何も気づかず、無責任な傍観者的態度でしか見ることができず、行きずりの一地点としての記憶さえ定かではないのではないでしょうか。しかし、表面的にはのどかで一見何もないように見えるこれらの地域に、実は大変なことが起きているのであります。とりわけふるさと紀南地方の農山村は、病んでいる、悩んでいる、そして恐るべき危機に直面しているのであります。
さて、「過疎」あるいは「過疎問題」という言葉が公式に登場した昭和四十二年十月の国の経済審議会地域部会報告では、当時まだ辞書にも百科事典にも取り上げられていない「過疎」という言葉の定義について、「都市への激しい人口移動は人口の減少地域にも種々の問題を提起している。人口減少地域における問題を過密問題に対する意味で「過疎問題」と呼び、「過疎」を人口減少のために一定の生活水準を維持することが困難になった状態、例えば、防災、教育、保健などの地域社会の基礎的条件の維持が困難になり、それとともに資源の合理的利用が困難となって地域の生産機能が著しく低下することと理解すれば、人口減少の結果、人口密度が低下し、年齢構成の老齢化が進み、従来の生活パターンの維持が困難となりつつある地域では過疎問題が生じ、また生じつつあると思われる」とあり、今日でもおおむねこの解釈がとられているわけでありますが、ここで明確にしておかなければならないことは、人口減少イコール過疎ではないということであります。確かに人口減少は過疎をもたらす最大の要因でありますが、この報告にもあるように、人口減少に伴って従来の地域生活のパターンが維持できなくなった状態ないしはなりつつある状態を言うということでございます。この点が従来の辺地、僻地とは基本的に違うところであります。
ただ、旧過疎地域活性化特別措置法及び現行の過疎地域自立促進特別措置法においては、これらの地域について総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な措置を講ずる必要から、過疎地域を基本的に人口減少率をもって明確に数字であらわしています。そこでは昭和三十五年国勢調査人口が基準とされ、現行自立促進特措法では平成七年国勢調査までの三十五年間人口減少率を基本に、平成七年国勢調査の六十五歳以上の比率、同じく十五歳以上三十歳未満の比率の組み合わせの方法がとられ、その結果、和歌山県では現在、十九町村が過疎地域指定を受けている状況であります。そして、これら過疎地域を覆う過疎がもたらしたもの、その社会的影響は、今日ではもはや惨たんたる状況であると言っても過言ではありません。
一番の関心事は人口の流出、特に若年層の地域からの脱出によって引き起こされた居住住民の高齢化、つまり老人問題であります。この老人問題は、都会、田舎を問わず一般的に提起されている社会問題でもありますが、特に過疎地域では、既に若年層の流出による高齢化現象や地域の農作業労働力において婦人のウエートが格段に高まっていること等、あらゆる面に深刻な問題を投げかけているのであります。そして、今や、過疎とまでは至っていない農村地域でも後継者を確保することの難しさが大きな問題となっているのであります。
過疎地域における老人問題は、その生活環境がますます悪化していることを考えると、都市部でのそれとは比較にならないほど深刻であります。さらに、紀南地域の過疎地域は山間部における戸数二十から三十戸未満の小集落が点在するという形態が多く、人口構成の老化と若年層の急激な減少は、地域社会における通常の社会生活、生産活動すら困難にし、行き着く先は地域社会として衰退、崩壊するところが相当に発生すると危惧せざるを得ないのであります。
現行の過疎地域自立促進特別措置法では昭和三十五年国勢調査人口を基準にしていると述べましたが、そもそも山間地域からの人口流出は昭和三十年ごろからわずかずつ始まり、昭和三十五年以降、本格的に民族の大移動と呼ぶべき流出が始まったからでございます。
昭和四十年代前半には、過疎地域における老人の悲惨な最期を扱った地方新聞の特集が数多くございますが、その中の一つ「中国新聞」の特集では、自殺老人の心境を「結核を苦にして死んだ六十四歳の老人の場合、水田五十アール、山林二十アールで部落では中流どころ。医者通いをしていた老人は、医療費がかさむのを苦にして医療扶助を役場に頼んでいた。しかし、資産があるというので扶助はもらえなかった。また、中風などの半身不随の体では、付き添いでもなければ入院治療もできない。しかし、それほど経済的に余裕のある家庭は少ない。老人ホームもそうした重症の患者は入れてくれないのだ。体の不自由な老人を家に残しては、働きにも行けない。といって、医療費や生活費はかさむ。その板挟みに苦しむ家族を見かねて老人は死を選ぶ。生活の底が浅い山村では、働き手の夫や息子を失うと、たちまち生きる望みを失う」という推測をしてございます。
四十年たった今日、なるほど老人福祉施設や介護保険等のいろんな制度の整備が進んでおりますが、過疎地域におけるこうした状況が格段に改善されているでしょうか。それどころか、なお最重要課題は、過疎地域に取り残された、あるいは残らざるを得なかった、そしてその社会的影響を一番強く受けている老人への配慮、対策であることは論をまちません。国も自治体も我々も、過疎地域に住む老人の末路をただ傍観しているだけでよいのでしょうか。
第二の関心事は、医療問題であります。
かつては、働ける間は都会で働き、定年後、老後は田舎へ帰ってということが言われたものですが、私たちの周りでは文字どおりそのとおり実行している人は案外少ないのであります。その理由は単純明快、医療の問題でございます。自分で車を運転してどこへでも行く達者な間はともかく、そうでなくなったときに果たして遠くの医療機関にどうして通院するのか、何とか公共交通機関を利用して通院するとしても、一人で通院できるのか、月のうち何日も通院できるのか、その交通費もばかにならない、不安ばかりが先立ち、逆に老後はとても田舎に住めないということになるわけであります。
過疎地域は大部分が従来の辺地、僻地と言われてきたところと重なるわけでございますが、これらの地域における医者不足、医者確保の困難さは今に始まったことではなく、無医村の悲劇はこれまで嫌というほど聞かされてきたところでございます。また、医者の側からすれば、私的医療機関は中心部に集中していますし、辺地に行きたがらない理由として、生活環境が悪い、研究の機会に恵まれない、子供の教育に不便、勤務が不規則等が挙げられ、都市への魅力は何としても大きいのであります。この分野でも、行政の配慮、対策が極めて大きいのでございます。
これに関連して島根県は、いよいよ団塊の世代が退職時期を迎えるので、知事名で「定年後、ふるさとで暮らしませんか」という手紙を出すということが十日ほど前の新聞に載っておりました。これなんかも、発想はいいんですけど、今申しましたように、果たして老後、山村で生活ができるかどうか、極めてクエスチョンな部分がかなりあると思うんで、この島根県の取り組みもまた何年か先の結果を注目して見ておきたいと思います。
第三の関心事は、教育問題であります。
教育問題は、老人、医療問題と並んで過疎がもたらす大きな社会問題であります。かつては、たとえ辺地、僻地であっても、我らの小学校あるいは分教場があり、元気な子供たちの声が聞こえ、秋の運動会は村じゅうのみんなが参加するといったように、学校が地域社会存立の中心的な役割を担ってきたのであります。それだけに、学校が廃校になる、分教場が本校に統合になることが現実となったときの地域の落胆は想像にかたくないのであります。しかも、人口流出の激しい山村、農山村の人たちがなぜ離村したかという転出理由の中でも「子供の教育のため」という理由が常に上位を占めているのであります。皮肉なことに、このことがまた地域の過疎化に拍車をかけたのであります。
学校がなくなった地域の子供たちの教育の問題についても、現実の問題となると、通学の方法、保護者の経済的負担、町村財政等、難しい問題がいろいろと提起されますし、また現在も過疎地域に存する学校の問題を考えても、恵まれない教育環境をどのように整備するか、学力水準をどうして向上させるか、ベテラン教員をどう定着させるか、苦しい地方財政の中で教育施設を充実させる方途は等、多くの難題に直面しているのであります。しかし、いかに厳しい環境の中にあっても、小・中学校の教育は義務教育であり、これを無視、軽視することは許されないのであります。国はもとより地方公共団体にとっても、その財政がいかに厳しくとも、事教育に関する限りあらゆる方策を講ずる最大限の努力が要請されるところでございます。
第四の関心事は、防災であります。今日的課題として過疎がもたらす社会的影響の大きな問題として、防災への影響があります。
山村、農山村の過疎地域ではほとんどが消防活動を消防団に依存しているのでありますが、問題なのは、過疎化に伴って団員の数が年々減少していることと高齢化を来していることであります。消防団員の年齢構成も年々高齢化の傾向にあり、このことは逆に若年層の流出に起因する若い消防団員を確保することの困難さを示しているのであります。
これも新聞報道ですけども、瀬戸内海の島々を結んで「過疎の島々アート悠遊」というこの記事もごく最近載っておりました。この中で見ますと、この一つの島で人口が、志々島は三十四人、消防団副分団長を務めるのは北野さんという八十二歳。「みんな年金暮らし。若い者はおらんし、いずれ無人島になってしまうんかなあ」というコメントを出しています。和歌山県には恐らく八十代の消防団長さんはおらんと思うんですけども、私の知る限りでも七十中ごろの消防団長さんは何人かございます。地域の消防団の現状もそういうところでございます。そして、そのことが過疎の農山村の消防・防災能力の低下を来しているのであります。
また、これらの地域では、消防団員は単に消防活動にとどまらず、防災活動、治安活動等、地域の安全・安心の中心として幅広い活動を担うだけに、地域社会にとって消防団の弱体化は看過できない問題であり、大きな課題を投げかけているのであります。
以上、過疎問題について述べてまいりましたが、もとより過疎化は、昭和三十年代以降の我が国社会のあらゆる現象、要素を巻き込んで起きた現象であり、多くの事柄について、それが解決のために本県独自であるいは町村独自でどうこうできる問題ではないということも十分承知をしておりますが、それでもなお今日、行政、マスコミ等において過疎が論じられることがめっきり少なくなったことに危機感を持つがゆえに、改めて過疎問題は過去の問題ではなく現在進行形の問題であることを再認識していただき、県行政においても格段の配慮を求めるものでございます。
そこで、まず知事に過疎問題、過疎対策に対する今日的な認識を、農林水産部長に、現行の過疎地域自立促進特別措置法は平成二十二年三月三十一日まで効力を有するわけですが、例えば過疎指定の日置川町と指定外の白浜町が合併して新白浜町が誕生した場合、新白浜町の旧日置川町エリアには引き続き当該措置法が適用されるのかどうか、福祉保健部長に老人問題と医療問題について、危機管理監に消防・防災について、教育長に教育問題について、過疎地域における対策の現状と今後の取り組み方針についてお伺いをいたします。
次に、南紀白浜の観光振興に関連して若干質問をいたします。
第一点は南紀白浜空港の名称についてでありますが、よく考えてみますと、白浜へ来られる観光客の大多数は白浜という土地へ来るのではなくて白浜温泉へ来るのだと思います。だとすると、我々は白浜温泉を売る、アピールすることをまず考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
そこで、いっそのこと南紀白浜空港を「南紀白浜温泉空港」あるいは「白浜温泉空港」と名称を変え、白浜温泉にある空港ということを強調したらと思うんですが、いかがでしょうか。現に、先日も高知県へ行きましたら、高知は「高知龍馬空港」というように呼んでおりますし、去年行かしていただいた中国北京では「北京空港」と言わずにわざわざ「北京首都空港」と呼んでおります。高知へ来たらやっぱり龍馬ですぞ、北京は首都ですぞというのが強調されていて非常におもしろいと思ったんで、白浜空港の名称についても提案します。
第二点は、南紀白浜空港管理事務所について。
この事務所は、県の機構の上では県土整備部に属しています。しかし、空港建設時あるいは完成後間もない時期ならともかく、もう既に開港九年を迎える今日においては、この空港にとって一番必要なこと、やらなければならないことはポートセールス、いわゆる空港の利用促進活動であります。現行の管理事務所にはこの機能がほとんどなく、また職員も二年から三年で異動するので、この方面の腰の据えた取り組みができていないとの意見もございます。
現行の機構では、ポートセールスいわゆる利用促進活動については本庁の港湾空港振興局で対応するということだと思いますが、利用促進活動等は地元の行政、各種団体、住民との日常的な緊密な連絡があって初めて効果が期待できるものであると思います。したがって、この点も考慮し、ポートセールス体制を強化し、組織も企画部か観光局を所管する商工労働部に移管することを提案いたしますが、どうでしょうか。
第三点は、旧空港跡地の活用について。
既に九年が経過し、このまま何の手だてもなく放置することはできません。千二百メートルの滑走路を備えた遊休地は、全国広しといえどもここ白浜だけでございます。何とかこの点を生かした利活用の方法がないものか、そばを通るたびに思います。跡地活用に向けての検討の現状と今後の取り組みについての考えはいかがでしょうか。
第四点は、以前に本議場で白浜駅や空港に着いてからの二次交通の問題に関連して泉都白浜をめぐる周遊バス構想を提案させていただきましたが、県は昨年、国の地域再生構想を実現するために必要な支援措置の提案募集に応じてコミュティーバスによる来訪者の有償輸送の容認の提案を行いましたが、その結果はどうでありましたか。
第一点、第二点は県土整備部長に、第三点、四点は企画部長に答弁をお願いいたします。
以上で、終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの前川勝久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 過疎問題についての御質問でございます。
過疎問題は、決してこれはもう古い問題じゃなくて、はっきり言って日本の国の地方が今もう崩壊の危機に瀕しているというふうなことだと。しかも、人が年をとるのは──百歳以上生きる人は余りいないわけですから、割と短期間のうちにそういう状況が来るというふうなことで。ところが、今御質問にもありましたように、これはもう三十年前から問題になっていて、しかもほぼ全く改善されていないという難しい問題でもあるわけです。
そういうふうな中で、和歌山県も多くの過疎地域を抱える県として、一発逆転のホームランというふうなことはなかなか難しいと思うんですけれども、例えば緑の雇用事業で都市から若い人を呼び込むことをやりました。五百数十人の人が今、家族とともに移り住んで、子供も生まれて、久しく赤ん坊の声を聞くことがなかった地域に元気が出てきているというふうなこともあります。ただ、これ五百数十人で事が足るというふうな単純な問題でないところがこの問題の難しいところで、島根県の団塊の世代を呼び戻すような政策についても、僕は和歌山県で定年後帰住政策というのをこれから打ち出していきたいと思っていますし、それからまた、今ようやく農業とか漁業とか林業とか、こういうふうな第一次産業に対する考え方が変わってきています。国の方も変わってきている。そういう機をとらえて、この一次産業と、それから物を売っていくという流通の三次産業を合わせた新四次産業というふうなものを興して、都会へ出た若い人、そして、都会で十分順応した人はいいんだけども、やはり帰ってきてみたいなと思う人が帰りやすいような状況をつくっていくというふうなこともしていきたいと思っております。
そういうふうなことをやっていく中で、去年、世界遺産に登録されたのを機に、例えば、今御質問にありました日置川町でも「大好き日置川の会」という会を地域の人がつくって多彩な活動を繰り広げるようになってきているというふうなこと、それから同じような地域で言うと「大辺路刈り開き隊」ですか、大辺路をもう一回切り開いて道をつくっていこうというふうな動き、それから津波に対して自分たちで道をつくっていこうというふうな動き、いろいろな地域で自分たちで元気になっていこうという動きも出てきております。
県としては、こういうふうな動きも大いに力づけてもっと活性化するようにしていきながら、何とか和歌山県の持っている、「過疎性」と言うと悪い言葉になりますけども、自然の豊かさと、それから落ちついたお年寄りが多いというふうなことを逆に売り物にしていくような状況にしていきたいと思うんですが。ただ、都会から来た人に農地とか住宅とかをあっせんしようとしてもなかなか貸し手がないというふうな問題であるとか、非常に難しい問題もありますので、そういうふうな意識の改革。
ある町長が、実はお年寄りに新しい屋敷を建てろという話をしているんだと。お年寄りの人は、先ほどの話じゃないけど、自分の代で終わるからもう建てないと言っているんだけども、建てろと。建てると必ず、そのお年寄りが仮に亡くなっても息子とかが帰ってくるというふうなことで、これはまあ非常に逆説的な話だけども、こういうふうなことも一つのアイデアかもしれません。いろんなことをやって地域の崩壊をとめていくというのが県の責務だと、このように考えております。
○議長(小川 武君) 農林水産部長阪口裕之君。
〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 市町村合併の場合の過疎地域自立促進特別措置法の適用についてでございますが、過疎地域とは同法に規定する人口要件及び財政力要件に該当する市町村とされており、現在、本県では十九町村が過疎地域となってございます。
過疎地域が市町村合併した場合は、人口や財政力等、市町村の状況により、その新市町村の全域が過疎地域になる場合と合併前の町村の区域だけが過疎地域となる場合がございます。
議員御質問の日置川町と白浜町が合併して新白浜町が誕生した場合は、合併後の新白浜町全域が過疎地域として国から公示されると判断しております。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 過疎地域における老人問題と医療問題についてお答えを申し上げます。
高齢者の方々が住みなれた地域で安心して暮らしていくためには、医療、福祉、介護などの必要なサービスができるだけ身近で受けられるような体制づくりを推進することが重要でございます。県としましては、高齢者地域ケアネットワーク事業としまして、介護、医療など関係機関による連携体制の構築等を行う市町村に対し支援をしているところでございます。
また、今国会に提出されております介護保険法改正法案には、介護予防や総合相談窓口の設置等、地域における総合的なマネジメントを担う中核機関として、各市町村に、仮称でございますが、地域包括支援センターの設置が盛り込まれております。今後とも、県としましては、このような地域包括ケア体制づくりを市町村とともに推進してまいりたいと思います。
また、医療につきましては、現在十九市町村が三十九カ所に僻地診療所を開設・運営しており、十三診療所に常勤医師が配置され、残りの診療所は地域の公立病院などから派遣される医師により診療が行われている状況でございます。県としましては、過疎地域において安定的に医療が提供されるよう、医師確保が困難な診療所や公立病院に自治医科大学卒業医師の派遣を行っているのを初め、僻地診療所や医師派遣を行っている公立病院に対する運営補助等の支援を行っているところでございます。今後とも、新たに創設するドクターバンク制度等を活用しながら、地域の高齢者等に対して必要な医療が提供されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 過疎地域における消防・防災についてお答えいたします。
現在、本県の消防団の状況でございますが、約一万二千人の団員がございます。団員の皆さんは、火災や災害等から住民の生命、財産を守るため、昼夜を問わず御活躍いただいております。また、東南海・南海地震等、発生が危惧される中、今後も果たす役割はますます大きくなっております。
しかし、議員御指摘のように、団員数は全国的にも、また本県においても減少傾向にあります。とりわけ過疎地においては深刻な状況にあります。こうした課題に対応するためには、市町村を初め消防本部等となお一層連携を深め、女性やサラリーマンなども視野に入れた新たな団員の確保により消防・防災能力の維持に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 南紀白浜空港の名称についてでございます。
空港の名称は、議員御指摘のように、地域の特色をあらわしてアピールするという役割を担っております。「南紀白浜空港」という名称は、紀南地方の空の玄関口として紀南の広い地域を踏まえたものであり、温暖で南国の香りが高い地域、美しい山々、黒潮躍る海岸線、熊野古道を初めとする歴史や文化、自然環境に恵まれた温泉、海の幸・山の幸、温かい人情などなど、数え切れない魅力をイメージした大変いい名称だと考えております。
今後、このような紀南地域のさまざまな魅力をさらに全国にアピールし、より一層空港の知名度を上げ、観光振興にもつなげてまいりたいと思います。
次に、ポートセールス体制の強化についてでございます。
これまで県、周辺市町村、地元民間団体で組織する南紀白浜空港利用促進実行委員会で継続的に利用促進を図ってまいりました。一方、空港の管理運営業務は利用客に対する安全確保とサービス向上が第一であり、そのため、施設の維持管理や大規模地震等を初めとする危機管理への対応から、県土整備部が所掌することが円滑な空港運営につながると考えております。
今後、観光という観点からより一層の利用促進を図るため、従前の南紀白浜空港利用促進実行委員会の活動に加え、平成十七年度より企画部、商工労働部、県土整備部による庁内横断的な連絡組織を設置し、連携しながら世界遺産、体験型観光等のPRなどに取り組んでいくこととしております。
その際、他の地方空港のように、地元の皆様がみずから自分の地域の魅力をより一層磨き上げ、地域の皆様と行政とが一体となって利用促進を図っていくことが何より大切だと思っております。いずれにしても、関係者連携しながら総合力でポートセールスに努めてまいります。
○議長(小川 武君) 企画部長高嶋洋子君。
〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 議員御質問の二点についてお答えを申し上げます。
まず、旧南紀白浜空港跡地の恒久的な利用につきましては、地方公共団体や民間企業を取り巻く厳しい経済・財政状況の中、現時点では具体的な事業計画はございませんが、一方で、その暫定的な利用に関しては平成十五年度実績では延べ百十五日間利用されております。
例えば、この広い土地を利用しました全国の工業高校の生徒による電気自動車競技会や大阪府立大学の人力飛行機の試験飛行などが毎年恒例の行事として定着するほか、駐車場としても利用されるなど、さまざまな用途に有効活用されているところでございます。
当該跡地は紀南地方の貴重な財産であることから、その活用方法につきましては、幅広く御意見をちょうだいしながら、地元とも十分連携の上、引き続き検討してまいりたいと考えております。
次に、コミュニティーバスによります観光客等の輸送についてでございますが、コミュニティーバスにつきましては、市町村が交通空白地域を解消し地域住民の福祉向上を図ることを目的として運行されるものであり、地域住民以外の観光客等を輸送することは従前認められていませんでした。しかし、昨年度、県が地域再生構想の中でコミュニティーバス等による観光客等の輸送について提案いたしまして、国から認められたところでございます。
現在、白浜町におきましては路線バス以外に白浜温泉旅館協同組合による宿泊者の送迎用の無料シャトルバス等が運行されておりますが、コミュニティーバスは運行されておりません。昨年議員から御提案のありました白浜町の周遊バス構想につきましては、白浜町の公共交通体系改善協議会において協議されているものの、進展していないと聞いておりますが、今後、白浜町から地域住民の生活交通の確保はもちろんのこと、観光客等の利便性向上の観点も含めコミュニティーバス等の運行について協議がありましたら、既設路線との調整等の課題もございますが、県としましても積極的に協力してまいります。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 地域の過疎化が進む中で児童生徒数が減少したため適正な規模での十分な教育が難しくなってきていることは、議員御指摘のとおりであります。
過疎地域にある学校では、近隣の学校と合同で学習する機会をつくったり遠隔地の学校とテレビ会議システムを活用して授業や交流を行うなど、さまざまな工夫をして社会性やコミュニケーション能力を身につけるための取り組みが行われております。また、家族的な雰囲気の中できめ細かな個別指導や充実した複式指導を行うことによって、学力面についても都市部の学校との間に格差は見られません。
今後とも、過疎地域にある学校で学ぶ子供たちに確かな学力とふるさとを愛する心を育てる教育の充実に努めてまいります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、前川勝久君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十四番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、きょうは二つの問題について御質問をさせていただきたいと思います。一つは若年者雇用問題、もう一つはサービス残業問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
まず初めに、若年者雇用問題についてでございます。
総務省が三月一日に発表いたしました一月の労働力調査によりますと、和歌山県の完全失業率は四・六%で、前年比では〇・六%減少しました。厚生労働省が同日発表いたしました公共職業紹介所での一般職業紹介状況によりますと、一月の有効求人倍率の全国平均は〇・九一倍で前月を〇・〇一ポイント上回りましたが、パートを除きますと〇・七九倍に落ちてしまいます。パートのみの倍率では一・三一倍なので、この倍率を牽引しているのはパート求人だと言えます。フリーターは依然としてふえ続けています。
和歌山県も、全国平均を下回っているとはいえ、〇・〇一ポイントふえていることになっています。企業の中ではリストラ合理化計画の中で解雇や早期退職、新規採用の抑制が進められて、その中で青年の就職状況はますます厳しくなっています。派遣やパート、アルバイトが一層拡大されてきている現状にあります。知事は、公約どおり一万五千人の雇用創出計画を立てられました。しかし、青年にとっては大変厳しい就職状況の中で、この計画は本当に若者の働きたい気持ちを生かし支援するものとなることを切に私は願うものです。
きょうは、若年者就職支援センター、いわばジョブカフェの問題を中心に質問を申し上げたいと思います。
先月、私どもは鳥取県が設置・運営している「とっとり若者仕事ぷらざ」を見学させていただいたところです。「とっとり若者仕事ぷらざ」は、鳥取駅正面にあるビルの一階にありました。入り口には大きな看板がかかり、ガラス張りなので中の様子がよくわかりました。中はとても明るく、気にならない程度の音量でBGMがかかり、無料でお茶を飲んでくつろげるテーブルやいすもありました。検索機器は窓際のカウンターに一台ずつ仕切られた形で並べられ、高いしゃれたいすに腰かけて、外の景色を見たりお茶を飲んだりしながらその検索ができるようになっています。まさにカフェそのものでありました。
ここでは、ヤングハローワークと県が財団法人ふるさと鳥取定住機構、鳥取商工会議所、そして雇用・能力開発機構鳥取センターに委託しているサービスをワンフロアで協力して利用者に提供をしております。同じフロア内ですから、情報をお互い提供し合い、そしてなかなか就職できないでいる利用者を同じフロアの相談員に紹介したり、相談に来た利用者がすぐ情報を見ることも可能な設置状況になっていました。
ところで、和歌山県のジョブカフェは、和歌山市美園商店街と西牟婁振興局の二カ所にあります。この二カ所とも、ハローワークは近くにはあります。情報が必要になれば、相談を一たん打ち切って移動しなければならないという欠点もございます。和歌山県も鳥取県のように、ヤングハローワークと同じフロアでジョブカフェ事業ができないものなのでしょうか。
先日、美園と西牟婁振興局のジョブカフェを私は見学してまいりました。美園のジョブカフェは、和歌山駅から近く、利便性はよいと思います。壁がガラス張りなので十分に明るく開放的、キャリアカウンセラーの女性も大変雰囲気のよい方なのです。肝心の相談スペースを言いますと、とにかく狭いと言えます。「ジョブカフェ」という名称なのに、フロアにはお茶やコーヒーを出せるような設備もなければBGMもない、洗面所もない、リラックスして相談できる環境とは言えませんでした。予約制とはいえ、通りすがりの相談もあると聞きます。複数の若者が相談に来た場合、相談している真横で次の人が待っているという状態です。これではプライバシーを守ることはできません。周りが気になり逆に緊張してしまうのではという感じをいたしました。
西牟婁振興局のジョブカフェは、十年前まで当直室であった六畳の和室が会場になっています。和室は一階ですが、正面玄関へ続くスロープの真下に位置しているために大変薄暗く、実質は地下室とも言えます。入り口には細いワープロの字で「ジョブカフェわかやま 出前相談の会場は一階会議室です」とだけ書かれた張り紙がしてありました。ジョブカフェがつくったポスターを張らないのは、規定で掲示する場所が決まっているから張れないんだということでもありました。部屋にはポットさえ設置されていません。パソコンも使えないので、情報の検索もできないという状況です。幾らハローワークが近いからといっても、このIT時代にお粗末な話です。しかも、部屋にある唯一の大きな窓は外から丸見えです。
相談員は、朝一番に振興局隣の職安で情報を収集し、そして朝十時半から夕方四時までその部屋で来訪者を待つといった状況です。いつ相談者が訪れるかわからないので、できるだけその場を離れることのないようにと気をもんでおられます。こうした努力とは裏腹に、どうも間に合わせ的な部屋としか私は見ることができませんでした。振興局や関係部局の皆さんが少な過ぎる予算の中で本当に努力をされている、このこともよくわかります。しかし、職業安定法の改正を受けて本県でもいち早く無料紹介事業が始められ、さらに充実、継続しようとしているときに、この施設環境では県の意気込みが伝わってきません。広い県内にわずかに二カ所というのも問題です。今あるジョブカフェがせめて「カフェ」の名に値するように、来談者がゆったりした気持ちで将来を見詰め、落ちついて職業相談ができる場になることを切に願うものです。
現在、ジョブカフェの相談員は県が毎年コンペで委託契約を結んだ企業による一年契約となっているようです。どんなに人望厚く丁寧な相談業務を行う相談員であっても、一年で終わりということではいかがなものでしょうか。現在、相談員三名が交代で和歌山市と田辺市を担当されているようです。話を聞かせていただいたある相談員の方は、とても穏やかで笑顔がすてきな方です。そして、話していてもとても気持ちがほぐれるような雰囲気を持った方でもありました。毎日その方は、本当に来訪者にお役に立てているのだろうかと思い悩みながら相談活動にも熱心に取り組んでおられる姿を見ました。ある利用者の相談に粘り強く応じて、十数回の相談の後にやっと就職へと導くことができたという事例も聞かせていただきました。この事例の若者は、ジョブカフェの中をうかがいながらなかなか入ってこられなかったのを、この相談員の呼びかけで相談が始まったそうです。相談に来る若者は、就職への悩みに真剣に耳を傾けてくれる人や場所を探しているのです。
相談活動の中で信頼関係を築いてきたのに、一年契約ということで相談の途中でまた別の相談員にかわることになってしまえば、事業の趣旨からいっても好ましくないのではありませんか。相談に来る利用者の気持ちや相談員自身の経験の蓄積や成長を支援していくという点から考えても、事務的に一年契約で相談員をかえていくやり方はこの事業にはそぐわないのではないでしょうか。私はそのように思います。ぜひ県が専門相談員を直接雇用し、継続して相談活動に取り組める手だてはとれないものでしょうか、商工労働部長の考えをお聞かせいただきたいと思います。
将来の和歌山県をつくっていくのは、若い世代です。若い世代の県内での就職を前進させる上でも、県の行政に青年の意見を反映させるという課題も今必要だと思います。最近では女性の声を行政に反映させるシステムづくりは大分進んでまいりましたが、青年の場合はそのシステムが保障されていないというのが現状ではないのでしょうか。
先日、人事課で県が所管している平成十五年六月一日現在の審議会の一覧表をいただきました。審議会は全部で百四十八ほどあります。しかし、その中で青年の問題を審議しているのは、青少年課が所管している県青少年問題協議会の中の児童福祉専門分科会、その中の文化財部会だけのようです。十七年度予算で若年者雇用向けの事業は、高等技術専門学校関係を省きますと、人材Uターン促進と若年者就職支援センター運営、いわゆるジョブカフェの運営、この二つで二千四百四十三万円だけの予算になっています。より充実した雇用施策のためにも、雇用問題にかかわる審議会への青年の参加や青年の意見や思いを行政が聞いていくイベントなども行っていく必要があるように考えます。県内で働く場ができるということは、県内で住み続けられるということであります。町づくりという観点からも、あすの和歌山県を担っていく青年が積極的な参加、そして意見を述べて行政に反映させていく条件づくりをぜひ確立してほしいものです。商工労働部長、いかがでございますか。
次に、雇用対策の具体的な施策についてお伺いをいたします。
一つは求職者職場適応訓練事業、これは国と県が二分の一ずつ負担をしている事業であります。しかし、この事業は雇用対策法や雇用保険法に縛られて、とても活用しにくい制度だと聞きます。現在とりわけ就職状況が深刻な若年者のための枠も、この事業には入っておりません。若年者のための就業支援として県みずから受け入れ企業の開拓を行うと同時にそこへ補助していく制度など、独自の施策が求められるのではないでしょうか。未来を担う若者を県が直接雇用していくことも検討していただきたいと思います。商工労働部長、お聞かせください。
もう一つはキャリア教育事業でありますけれども、今、若年者雇用におけるミスマッチや「ニート」と呼ばれる若者たちが生み出される最大の原因の一つは、職業観や勤労観、そしてコミュニケーション力が欠如しているからだと言われています。その対策として、今龍神村で平成十六年度から十八年度までの国の事業としてキャリア教育というものが行われているようでありますが、この事業の内容と現在の取り組み状況について、教育長から答弁をお願いいたします。
二つ目の質問課題でありますサービス残業問題について、お尋ねをいたします。
九〇年代後半から大企業は、「世界的大競争の時代、生き残りをかけて打ち勝つ」、この言葉を合い言葉に、六十万人を超えるリストラ計画を強行いたしました。特に、電気、自動車、鉄鋼、建設、金融、運輸、通信など、十九の産業分野の大企業百九十七社だけで国内の人員削減計画は五十五万一千人、加えて海外で五万七千人と、大規模な削減計画です。リストラ計画は、企業の利潤追求のため人減らしと賃金引き下げが中心に強行されたと言えます。この徹底したリストラ、人減らしによる失業者は百六万人にも上っています。雇用不安はかつてない深刻な状況が続いているところですが、職場では労働者の五人に一人が週六十時間以上、年間三千時間を超える長時間労働が強いられ、違法なサービス残業が横行している現状にあります。長時間労働は、過労死や過労自殺、職場での心の病など、労働者の命と健康、そして家族や家庭の暮らしに大きな影響を及ぼすことになります。
我が日本共産党は、サービス残業根絶を求めてこの二十七年間、国会で二百四十回を超える質問で政府と企業の姿勢を追及してきました。サービス残業については労働基準法に違反する企業犯罪であることについてもこれを認めさせ、二〇〇三年三月にはサービス残業根絶法案も国会に提出をするなど、継続した取り組みをしてきたところです。サービス残業根絶で百六十万人の雇用拡大につながることも、職場の実態をもとに一貫して求めてきたところであります。
厚生労働省は、二〇〇一年四月六日、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」との通達を出しました。この通達は労働時間の把握と管理は使用者の責務と明確に述べて、二五%の割り増し賃金の支払いは労働基準法上の義務であることを改めて強調しています。この通達は、地方公務員に対しても総務省から行われているところであります。さらに二〇〇三年五月二十三日には、残業代不払いは労基法に違反する、あってはならないものとして、自己申告制について時間外労働時間数の上限を設けたり残業時間削減のための社内通達や手当の定額払いなどで適正な申告を阻害してはならない、こういう強調した指針も改めて出しました。
そこで、知事にお尋ねをいたしますが、私は平成十三年だったと思いますが、医大を初め県職員等の超過勤務手当、いわゆるサービス残業の不払い問題を指摘し、是正を求めてまいりましたが、結果的には労働基準監督署、そして人事委員会の是正の勧告・指導のもとにこれが是正されたところであります。そこで、その後、全庁的には、目に見えるところでは毎水曜日のノー残業デーの実施は私もよく見るところでございますが、これ以外に残業根絶にどのような取り組みを進めておられるのでしょうか、知事からお聞かせ願いたいと思います。
新聞報道によりますと、二〇〇一年の厚生労働省の通達以来、残業の支払い額は二〇〇四年三月までに四百二十七億円に上っていますし、是正した企業は二千二百社を超えています。その後も是正が進み、四百四十七億円という膨大なサービス残業についての是正であります。ごく最近では、新聞報道によりましても、郵政公社で三十二億円の未払い残業代が支払われたとありました。支払われたのは四十万人の郵政労働者のうちわずか五万七千人だそうです。ほんのごく一部にすぎません。これは、一人の課長代理が残業手当未払いの支払いを求めて裁判を起こし、労基署にも申告いたしました。しかし、他の労働者の訴えもあって、我が党の国会議員団が現地調査をつぶさに行い、国会で繰り返し質問してまいりました。昨年十一月十六日、郵政公社総裁であります生田さんは、「サービス残業は経営の恥だ。かなり時間はかかるだろうが、必ず根絶していきたい」と答弁をされています。この答弁が一日も早くスピーディーに実現することを私は期待するものです。
先ほど申し上げた残業未払い分の是正・四百四十七億円のうち金額の大きなケースを見てみますと、トヨタ自動車が三十八億円、消費者金融の武富士が三十五億円などとなっています。電力会社ではどうかといいますと、東京電力が全労働者数三万五千八百人のうち本店の二千八百人に対して十四億四千百八十万円が支払われました。すべての労働者についてこの三月までに調査を行うとしていますが、その金額は約百億円にも上るだろうと言われています。
中部電力で申しますと、社員二万人に総額約六十五億二千万円、そして中国電力は社員九千百五十三人調査をいたしまして、そのうち千百八十八人に一億三千八百万円を支払っています。関西電力はと申しますと、昨年十一月、複数の事業所で労基署から勧告を受けたと発表したところです。現在、関西電力では全職場で平成十四年十月から十六年九月までの二年間について自己修正申告を行い、この六月、支払いを完了するとして今調査中であります。最終的には数十億円になるものと見込まれています。社員は関電は二万三千人でありますが、とりわけ関西電力のリストラの人員削減によって第一線で働く職場では慢性的な人員不足が続いているといいますから、この関連下請会社はどうなのでしょうか。
そこで、株式会社きんでんの実態を申し上げまして、改善を御指導願いたいというふうに思います。
関電の下請最大手の株式会社きんでんでは、長年にわたって長時間労働とサービス残業が常態化し、過去には過労死や事故死も起こっています。従業員数は二〇〇四年三月末で六千六百九十八名、近畿を中心にした電気工事事業を行っていますが、香港やベトナム、フィリピンなどにも進出をして一部上場の企業となっています。きんでんは、本県に紀北、和歌山、田辺、新宮の四営業所を持ち、主に電柱の建設や建てかえ、変圧器の取りかえ修繕、配線工事、光ファイバーの各家庭への配線工事など、また台風や災害時には重要な仕事として役割を果たしているところです。
二〇〇二年五月に関電リストラ実施後、リストラをきんでんも行いました。全社で千百五十人、和歌山でも百二十四人が希望退職の名のもとにベテランの労働者が職場を去りました。人は減らされても仕事は減らない、この状況が今もって続き、職場は大変繁忙が続いているそうです。
長時間労働とサービス残業の実態を直接的、間接的に私は聞く機会がありましたので、そのお話を申し上げます。直接指導は労働基準監督署であります。しかし、県の労働行政としての検討を願う次第です。既にこの一月、和歌山労働基準局と基準監督署に対しては実態の資料などを提供してその改善を求めているところであります。
どの営業所も共通していますのは、勤務時間は始業八時三十分、終業は十七時三十分となっています。ただし、九月からは冬ということで、終業時間が十七時十五分となっています。実際は、朝は事務系の人も技術系の人も七時三十分には出社をしています。現場の仕事着手は九時であります。荷物の積み込みは、幾ら遅くなっても前日に済ませておくという状況にあります。現場から帰社するのは、ひどいときは日もかわっていることも多い。一日の労働時間は十五時間から十八時間連続することもある。土・日曜日に出勤しても、代休になるために有給休暇はほとんど残ってしまう。月の残業時間は少なくて五十時間から六十時間、一人の労働者の勤務実態を見てみますと、昨年十一月は残業百五十八時間で、深夜一時三十分または二時までの仕事を月九回、他の日もほとんど毎日二十二時から二十四時が帰社です。出社記録は、勤務表に印鑑を押して時間外の記録は自己申告で実労働分を勤務表に記入する。ところが、残業手当を見てみますと二十五時間から三十時間しか支給をされていないという状況であります。
労働者の声は、「とにかくその日のうちに家に帰りたい」「働いた分は全額手当として払ってほしい」「リストラで熟練者がいなくなって仕事量がふえるばかりだから、会社をやめたいという人、やめた人も二人もある」「とにかく若い人を採用してくれない」と訴えています。この方々の奥さんからの訴えですが、「帰りが余りにも遅いので病気にならないかと心配ばかりしている。半年前から帰宅時間を記録するようにしました」「帰宅も遅いし、休みはぐったりして寝てばかり。母子家庭を通り越している。子供は近所のお父さんに遊んでもらっている」などの声が上がっています。
知事、これがきんでんの職場の労働実態です。長時間・過密労働と法を無視した企業の体質は明らかな労働基準法違反です。これでは、いつ事故が起こっても不思議ではありませんし、労働者の健康破壊も危惧するところです。子供と家族とゆったり楽しむ時間も、これではありません。法を守り、労働者の安全、命を守ることは企業の社会的責任でもあります。和歌山労働基準局の調査が始まっているところでありますが、県の労働行政として、限界はあろうかというふうに思いますけれども、会社に実情を聞くなど改善に進むための積極的な対応を求めたいと思いますが、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
これで、私の第一回目の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず一つは、県の職員の残業を減らそうという御質問でございます。
効率的な事務の処理によって勤務時間内に仕事をするということが、職務の大原則というふうに考えております。現在、御案内のように、地方財政も非常に厳しい中で定数の削減などが進んでおりますので、実際、実情を見ればなかなか完全な達成というのは難しいところもございますけれども、県の方としては業務量に見合った人員配置、これはもう昔から言われていることですけども、やはり科学的にちゃんと統計的にとって仕事量を見ていくというふうなことによる人員配置を行うことによって残業を減らしていくというふうな努力を続けているところでございますし、これからも続けていきたいと思っております。
それから、きんでんのサービス残業の問題でございます。
賃金の不払い残業というのは、これは労働基準法違反ということでございまして、御質問の件につきましては、御質問の中にもありましたように、国の労働基準監督署の仕事ということになっているわけでございますけども、県の方としても、状況を把握して国や企業に対し適切な対応を要請していきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 若年者雇用問題の四点についてお答え申し上げます。
まず、ジョブカフェ・わかやまの充実につきましては、若者を取り巻く深刻な雇用情勢に対応するため、適切な就職活動の進め方や効果的な面接の受け方など、若年求職者の多様な悩みに応じ、きめ細かな対応に努めているところでございます。
現在の施設につきましては、交通の利便性、経済性、ハローワークとの連携などの観点から選定したところでありますが、議員御指摘のヤングハローワークの併設を含め、設置形態につきましては今後和歌山労働局との労働関係調整会議などの場を通じ協議してまいります。また、田辺での相談会場につきましては、より相談のしやすい環境づくりに向け、関係機関と調整を行ってまいります。
次に、相談体制につきましては、現在、相談員二名を中心に、キャリアカウンセラー一名、雇用能力開発機構からの能力開発支援アドバイザー一名のうち最低二名は常駐する形をとっているところです。運営につきましては、民間のノウハウを生かすため就職支援会社への委託により実施をしておりますが、申すまでもなく、カウンセリング業務の成否は人的要因に負うところが大きいことから、利用者の声を第一義に相談者との信頼関係を重視し、適切な人材の配置に努めてまいります。
次に、雇用対策に関し青年の意見などの反映をという点に関しましては、Uターンフェアや各種企業との合同面談会、ジョブカフェなどの参加者等を対象にアンケート調査を実施するとともに、現在、若年者を対象とした雇用の実態調査を実施中であり、こうした調査結果も踏まえて若者の思いを今後の施策等により一層反映していきたいと考えてございます。
最後に、県行政の直接雇用の問題につきましては、来年度、若年者オールインワン支援事業の一環として無料職業紹介と連動した形で受け入れ企業の開拓に取り組むこととしてございます。あわせて企業への支援という形で、現在国のトライアル雇用制度が若者の就業促進を図る上で大きな役割を果たしていることから、今後、和歌山労働局やハローワークなど関係機関との連携のもと、事業の周知や制度の有効活用に努めてまいります。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 若年者に対するキャリア教育についてお答えいたします。
議員のお話の中にありました龍神村の場合は、これはキャリア教育推進地域指定事業という中で行っておりまして、小・中・高等学校の生徒たちがそれぞれの発達段階に応じて、例えば森林組合での職場体験や福祉施設を訪問してのボランティア活動などを行うことを通じて働くことへの意欲や関心を高めるとともに、確かな勤労観、職業観を育成することに努めております。
今後とも、こうした事例を初めとして多様な取り組みを展開する中で児童生徒一人一人の成長・発達を支援し、それぞれにふさわしいキャリアの形成に必要な態度や能力を育てる指導を行ってまいります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 要望だけ申し上げたいと思います。
ジョブカフェの問題ですけれども、和歌山はさておいたとしても、田辺の、この「出前相談」という名前も名前なんですが、これはちょっといかがなものかなという思いをいたします。
知事、田辺の、ごらんになりましたか。(手を左右に振る)──見てないんでしょう。だろうと思った。担当課はかなり苦労して、場所を設定するということで努力をされたというのは聞いておるんです。しかし、最終的にここしかないということで決めたには、ちょっとひどいなという印象を持ちました。相談に来た方も、非常に不安を持ちながら部屋に入ってくるという状況なんだそうです。「ここでするんですか」というような顔をされるそうです。「どうぞ」と言ってもなかなか座っていただけないという状況もあるんでね。これもっと利便性のいいところへぜひ場所がえを考えていただきたいというふうに思います。
紀南地域は来る方も少ないという現状もあるようですけれども、しかし、やっぱりもっと積極的な宣伝とか、それから県がやってるんですよという意気込みが伝わるような場所とか宣伝というものをぜひ積極的にやっていただきたいし、予算が削られるというので大変担当課も苦労しているようです。財政も、ちょっとそこらは、今のこの一番若い人たちの就職が困難なときですので、もっとこの予算をふやしていただいて活発な相談活動ができるようにしていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。
それから、相談員ですけれども、本当に皆さん一生懸命頑張っていただいているんです。その姿勢は私たちもじかに見ることができました。だけども、相談員の方というのは一年契約なんですね。県が事業所に委託をして、企業に委託をして、そしてそこでまた採用されていくという状況になっているんだそうですけれども、しかし、一回や二回で相談が終わるという状況はないわけですよね。その人に相談して、相談者と相談員とのコミュニケーションがやっととれたところで終わりになっちゃう、その人がいなくなっちゃうというような状況もあるわけですよね、一年ですから。だから、そういう点では、その人を信頼してやっとほっとしながら相談活動ができるという条件づくりができたところで終わるというのは、そこでもう中断せざるを得ないというようなことになるわけですよね。だから、そういう点では本来の事業としての役割を果たさないというふうに思うんです。そういうところで、契約するときにその人事権までいけるかどうかというのは私も非常に疑問を持ちますけれども、ぜひそういうことが可能な条件づくりを県としても検討していただけたらありがたいというふうに思います。
そういう点で、どうしてもそういう部分ではジョブカフェのあり方というものがやっぱり疑問に思うところであります。まして、鳥取県のええのを見てきたものですからね。そこのところにどうしてもそういうふうにあってほしいなという思いをしたものですから、私なりの感じをお伝えして改善をお願いしたいというふうに思います。
それから、残業問題ですけれども、これは今、きょうの新聞なんかを見ましても、大企業の利益は非常にこの二年半はウナギ登りに最高になってきていると。だけども、リストラや賃下げはさらに行うんだということを大企業の大幹部の人たちがおっしゃってるというふうに新聞に載ってるわけですけれども、これは、もうけはやっぱり労働者に還元をしていく。残業代まで切り捨てるというような会社の姿勢であってはならんというふうに思います。
そういう点でもこの関電の下請業者となっている(「下請と違う」と呼ぶ者あり)──関連企業ですか、ということで、ここの部分についてはぜひとも県の支援で残業手当が支払われて、それでさらにやっぱり労働者が安心して働ける職場づくりというものを企業にぜひともお願いをしていただきたいというふうに思います。
以上で、要望いたします。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時二十六分休憩
─────────────────────
午後一時二分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十三番井出益弘君。
〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 議長にお許しをいただきましたので、最終質問者でありますが、しばらく御清聴をお願いします。
まず、今回、資料をちょっと配らしていただいておりますので、これ一枚ですけど、裏表ありますので、よろしくお願いします。
中国との交流について、まずお伺いします。
今や日本は、毎日、中国に関係したニュースが多くの新聞やテレビで報道され、何と中国との関係が急に身近に感じる時代になったなあと今さらながら驚くとともに、県会に初当選したのが和歌山県と山東省が友好都市提携をしたころだったなあと思い出をかみしめながら、この質問の原稿のワープロを打った次第です。といいますのは、ちょうどこのとき、私は和歌山市議会議員を二期五年務めさせていただき、県会選挙に初挑戦したが敗れ、三年間浪人をし、再度、県会補欠選挙に背水の陣で戦っていた時期であり、マスコミで和歌山県と山東省との友好都市提携ニュースが華々しく流れていたのを今でもはっきり覚えているからであります。山東省と友好提携後、約二十年を経過した今日、いろいろな友好交流があったと思います。中でも、和歌山県と山東省の経済交流について、その成果を検証してみる必要がある時期だと私は考えます。
ここで、知事公室長にお尋ねします。
中国山東省と和歌山県内の市町村はどれぐらい友好都市提携を締結していますか。また、和歌山県の市町村と山東省以外の都市との友好都市提携についての実態はいかがですか。そして、現在、和歌山県文化国際課に山東省から幹部の職員の方が派遣されて来ていただいているため、いろいろと中国語の翻訳や通訳等お世話になっていますが、山東省との経済交流の成果としてどれくらいの内容があるか、お聞かせください。
次に、知事にお尋ねします。
和歌山県内の企業や各種団体でも山東省以外の都市とも多くの経済交流を持って努力をしており、また最近では、和歌山県内の市町村についても同様に山東省以外の都市と友好都市提携の動きが始まっています。山東省以外の都市との友好都市交流や経済交流について県はいかに対応を考えておられるか、知事にお伺いします。
次に、森林整備の重要性とその政策であります。
昨年は、台風が頻繁に日本に上陸し、大きな被害が多発した年でありました。これは地球温暖化の影響の序章であり、その元凶でもある二酸化炭素等の温暖化効果ガスの削減対策が急務として必要であると言われています。一九九七年十二月に京都で開催された気候変動枠組条約第三回締約国会議(COP3京都会議)では、京都議定書として先進国及び市場経済移行国の温暖化ガス排出の削減目的を定め、日本の温室効果ガス六%削減が採択されたところであります。その目標のうち三・九%を森林の吸収量でカバーできることなど、森林整備の重要性が認識されています。日本の社会経済に大きな負担をかけることなく温暖効果ガス削減目標を達成するには、森林の整備を積極的に進め、森林吸収量を確保することが必須であります。
県は、平成十四年度から全国をリードして緑の雇用に取り組み、荒廃した森林を対象に間伐など森林環境整備を進めるとともに、地球環境保全に貢献し、森林整備の担い手の育成を図るなど、木村知事のその取り組みは全国から高く評価されるところであります。
森林の環境保全的な効用としては、気象条件の緩和として気温、地温、湿度、風などの条件を和らげたり、水源涵養作用として洪水、渇水の緩和や水質の保全等があります。また、自然災害防止として、水害、干害、崩壊防止、潮害、なだれ、落石等の軽減に効果があると言われていますが、特に大気浄化、鳥獣保護、騒音阻止などの多くの作用があることをいま一度確認して大切にしなければならないと考えます。
さて、木材は資源としてもなお重要であります。今後は木材生産という有形的効用、環境保全という無形的効用の両方をともに活用する道を選ばなくてはならないのであります。幸か不幸か、樹木が木材として価値を持つためには、数十年以上の年月を要します。そして、木材としての価値を生み出させるための伐採は、同時にまた活力ある環境保全的にも能力の大きい森林への更新を意味するものとなります。数十年以上に及ぶ環境保全的効用の利用と数十年以上の間に一度の間隔で行われる伐採、更新、木材利用、この循環を時間的、面積的にうまく組み合わせれば二種の効用を両立させることは可能なはずであります。
ただし、森林には所有者があります。そして、森林で生計を営んでいる所有者にしてみれば、木材は売れるが環境は売れないのが現実であります。つまり所有者にとっては、木材は収入源だが環境は収入の伴う資源ではないからであります。社会が森林に人間生活環境保全を期待するならば、環境も売れることを社会が保証しなければならないと考えます。
緑の雇用事業により森林整備を進め、公的機能を高度に発揮させ、多様で豊かな森林整備を図ることは大変重要であります。しかし、林業経営者の現状は、木材価格の低迷のため人件費や物流コスト高を解決できず、木材が売れなく、生計維持のため木材とともに山林の土地も売ろうとしているのが実態であります。それでも売れず、倒産をしている山林経営者が少なくないのが最近の実態であります。木材を売って生計を立ててきた林業経営者に木を売るための何らかの支援ができないものかと、私も日夜考えております。今や山林は、金融の担保にもなりがたい状況であります。関係者の救済策を知事にもぜひ取り組んでいただきたく、知事の御所見をお伺いします。
次に、紀州材の中国への販売政策についてお伺いします。
また来年度の当初予算としても「紀州材を中国へ」として紀州材を中国に販売するための予算を計上していただいており、山林で生計を立てている県民の皆様は期待と喜びを感じているところでありましょう。
さて、昨年末に中国江西省の貴渓市、これは有田郡清水町が友好都市提携を進めている人口約五十六万人の市でありますが、そこの副市長と、その上級市であります鷹潭市──これは人口百八万人の市であります──の筆頭副市長を団長とする訪問団が訪日し、その際には、木村知事には急な訪問客であったにもかかわらず表敬訪問に快く対応していただき、ありがとうございました。
また、中国浙江省のじょう州市、これは空海が中国で学んでいた拠点と言われている市でありますが、ここの市長が、「空海が帰国後に真言密教を開いた高野山が世界遺産になったのを機会に訪問したい。空海の縁で高野町と友好都市の縁をいただけたら」とのことでしたので、高野町や金剛峯寺の幹部の方を紹介させていただきましたが、いずれの市長も清水町や高野山の紀州木材購入に関心を示され、清水町については本年三月一日にサンプルとして杉三本、ヒノキ三本を中国江西省に持っていっていただきました。じょう州市につきましては、空海記念堂と友好会館を高野山の材木を使って建設したいとのことで、その他多くの計画が起案中であります。
じょう州市には、空海が中国から帰国時に天文学書、薬学書、食学書、医学書、建築学書などを可能な限りの持ち金を使って買って帰ったことの記録など、空海が日本の学術の多くの草分けになったことがわかる多くの資料もあり、空海についての強い関心を覚え、ぜひ中国の空海の第二のふるさととして和歌山の皆様と一緒に訪問をしたいものだと考えております。
中国も、地球温暖化や京都議定書等の関係もあり、ことしより約三十年間、中国全土で木材の伐採を原則禁止と聞いております。外国に日本の木材を山の立ち木状態でできるだけ高価で買ってもらい引き取りに来てもらう方法や、緑の雇用とうまく組み合わせたりして切り出しや輸送コスト、経費を下げることに成功すれば何とか紀州材の中国への販売が可能になるのではないかと考えますが、今後、国の林業政策や入国管理法等、クリアしなければならない点があり、私も林業を多く抱えている町村の皆様と一丸となって今後、必死の取り組みをしなければと決意しております。何とか山の木が売れて出荷できる日が一日も早く来るように願うものであります。知事の考えをお尋ねします。
三点目に、和歌山下津港の使用状況であります。
和歌山下津港のさま変わりに最近疑問を感じていたのは、私だけでしょうか。ここ五年、十年前には輸入外材を山積みに置いてある風景や外国船からクレーンで大きな原木をおろしている場面をよく見かけたものでありましたが、最近ではいつ通っても広い空き地となっていて、万トンバース等は昔のように所狭しと積み荷を置いていた姿など昔の夢となっているようであります。
輸入原木は、和歌山県が日本の外材輸入の草分けとしても有名なことであります。二十年余り以前には国内消費木材量については三分の二も輸入に頼っていて、輸入額は石油に次ぎ鉄鉱と二位を競っていたようであります。その外材原木が和歌山下津港に入荷していたからであります。
県土整備部長にお尋ねします。
和歌山下津港の外材原木取り扱いの実態について、近況はいかなる状態でしょうか。
そしてまた、過去と現状、衰退の原因、今後の取り組みについてでありますが、港湾の統計資料を見ますと──これはちょっと配付資料を見ていただきたいんですけど、約十年前は輸入分として和歌山下津港の原木取扱量が四十八万トンでありました。平成十五年は輸入量はただの八万トンになっております。和歌山下津港の原木取扱量がここ十年間ぐらいで大きく減少しているようですが、和歌山下津港の衰退の理由として荷役料金や港湾施設利用料が高いため企業は和歌山下津港を離れて阪南港を利用していると聞いているが、県の見解はいかがですか。
私は、この十年ほど前といいますか、十年以前からも、和歌山以外の港が、大阪や全国的にもバブル崩壊後は料金を下げてきていると。それで、和歌山港も料金を下げなかったら、随分そういう相談をされるということで、港湾課にも私は再三、本当に──港湾のことは私、何かどうも相性が悪いというか、言っても本当に、なかなかその場だけの対応に終わってしまって。私も県政与党の自民党の一員として、このようなことをここで言わなあかんのは本当に辛いんですけども。
和歌山下津港の振興を図るためには、現在和歌山下津港を利用している企業を大事にするとともに、従来和歌山下津港を利用していた地元県内企業を和歌山に引き戻す努力が必要と考えます。料金の引き下げなど、やはりどうしても考えなかったらいかんと思いますが、遅きに失したかわかりませんが、答弁を求めます。
私も、言うばかりでなく、平成十三年度軽油引取税、これは十三年度の年度末に近かったころだと思うんですけど、一億円減額補正というのが載っていまして、軽油引取税、本当に最近少なくなってきたなと。年間九十億ぐらいあったのが最近は多分六十億ぐらいになってると思うんですけど、どんどん下がってきていると。
それで、私はある企業の社長にお願いして──これは滋賀県の石油会社ですけど──そしたら九州の方の本社の了解をとらなかったらということで、私これまた九州までお願いに行って、輸入の軽油引き取りを和歌山県で、引き取り支店をつくってもろて引き取ってほしいと随分お願いをしたところ、最後に「じゃ、和歌山へ営業所を持っていって和歌山県で引き取りましょう」ということになりまして、平成十三年度の──十四年のかかりですか──三億何千万か、三億強の輸入軽油税を企業誘致として県税収入の方にプラスをしてもらってというようなことも私もやっておるわけですよ。余り──嫌うかわからんけどね。
また、県財政確保に全力で取り組んでおります。私が議長在任中、企業局廃止問題についても、県職の人に発電所や工業用水の工場で運転をして働いてもらっているより、民間の専門の企業の方にそういう仕事をやってもらったらどうか、県の職員の方は県の適所でさらに活躍をしてもらったらどうかと知事に話をしました。その数日後、私のところに企業局幹部の方が見えました。「後で行くから」ということで知事からもお話を聞いていたので、廃止方法の話を聞きに来たのかなと思ったら、幹部の人は話を聞きに来たのでなく、「そのようなことを言わんとってよ」とのお願いに来たと聞いて、私はその話をまた知事にしましたら、知事は笑って頭をかいていたのを覚えています。本当に私は、知事も大変やなと思いました。その元幹部の人と、よくお会いします。その元幹部の方は、「部下もいない今となって当時のことを考えると、木村知事のような知事が和歌山に必要な知事やと思う」ということを大変話されているんで、一言つけ加えておきます。
しかし、和歌山港の荷物、しっかり営業しなければ、紀州材を岸和田の阪南港から出荷しなければならなくなるんではないでしょうか。県土整備部長に、和歌山下津港の取り組みについてお伺いします。
四番目に、有害鳥獣対策についてであります。
有害鳥獣の被害状況についての推移は、農産物の被害だけを見ても十三年度二億三千二百五十六万九千円、十四年度三億二千四百二十九万五千円、十五年度三億六千四百六十四万一千円と最近ふえてきておりますが、片や有害駆除等に関係ある狩猟人口は減る一方と聞いております。私が昨年の予算委員会で、猟友会の会員数が二千九百五十八名、三千名を切ったと。それで、猟友関係の手数料並びに狩猟者登録税、入猟税等を合わせて平成十四年度では約六千三百万円程度の収入があると答弁をいただきましたが、近年の狩猟者の推移はいかがか、環境生活部長にお尋ねします。
「動物を守るのか、県民を守るのか、どっちが大事と考えておるんやろう」というような話を農家の方からもしばしば聞きます。また、林業の方からも「随分木を傷められる」というようなことを聞きます。ちなみに、鉄砲も、種子島伝来をして以来、日本の本土には和歌山に根来寺のお坊さんが根来──現在は根来の鉄砲衆として私らもよく聞くんですけど、根来の方へ鉄砲が入ってきたのが全土での一番最初だと聞かされます。和歌山が鉄砲を広めた草分けなのであります。
その和歌山が、国体のクレー射撃の成績はとうとう四十六位となってしまいました。有害鳥獣対策も、和歌山県民のスポーツ対策も、まして銃の取り扱い研修・練習場は今こそ必要に迫られていると考えます。射撃及び狩猟者の研修場、練習場について知事の御所見をお尋ねします。
五番目です。来るべき東南海・南海地震に備えてお尋ねします。
昨年は、異常気象と言えるほど、十回にわたる日本列島への台風の上陸やたび重なる局地的豪雨がありました。また、九月五日の紀伊半島南東沖地震、十月二十三日の新潟県中越地震、十二月二十六日にはスマトラ島沖地震によるインド洋大津波などがありました。特にこのインド洋大津波では約三十万人の人々が死亡し、今なお行方不明者の確認作業が行われており、改めて津波の恐ろしさを痛感したところであります。被災された皆さんには心からお見舞い申し上げますとともに、犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。
さて、東南海・南海地震の今後三十年以内の発生確率が、平成十三年九月に政府の地震調査委員会により四〇%から五〇%と発表され、昨年九月には五〇%から六〇%と上方修正され、いつ起こってもおかしくないと言われているような状態に来ております。
私は、この地震防災は大変難しいことだと思います。きょう地震が起こって津波が来たと。だけど、それはなかなか本当に皆が「仕方なかったかな」と。だけど、来年になって起こった、あるいは三年先に起こった。そのときにやっぱり「仕方なかった」ではなかなか済まないと思うんでね。そういうようなことを、今来たら、できることとしても本当に少ないことしかできない。だけど、一年先、三年先、五年先ということを考えたら、本当に今から着々と。一〇〇%とか百点とかいうようなことは不可能だと思います。だけど、やはり早急を要することではないかと思います。
昨年の九月五日の紀伊半島沖地震が発生したとき、一瞬、東南海・南海地震が起こったのではと心配しました。幸い、大きな津波は発生せず、人的被害はなかったものの、漁船が転覆するなど、改めて津波の破壊力を見せつけられたと思います。もし今、東南海・南海地震が起こり大津波が和歌山県沿岸を襲ったときはどうなるか。高速道路は被害を受けるか、被害がなくても地震後はすぐに通行できず、一般道も至るところで寸断などの被害を受けるのか。そうでなくても大停滞が起きて救急車や消防車、緊急輸送車両が容易に走行できなくなるのではないだろうか。道路の通行が遮断されて、沿岸市町村はもとより、がけ崩れなどにより山間部の市町村も孤立状態となると思われます。
そこで、危機管理監にお尋ねします。
「津波が来たら逃げろ」と言われていますが、まさにそのとおりでありまして、私は一般住民参加による津波避難訓練を繰り返し繰り返し行い、避難になれることが非常に重要と考えております。速いところでは津波発生後十分で到達する地域もあるようですが、避難訓練のその実施状況はいかがか。また、今できることとしていかに現実対応をされているか、お伺いします。
近隣に高台などの避難場所がない場合、鉄筋の建物の屋上へ逃げさしてもらうとか──これは本当に民家とか、もちろん民有の会社とかいろんなことになってくると思うんですけど、近くに鉄筋の高層の建物があればそこへ逃げさしてほしいというようなことも、やはりこれはもう緊急に詰めていったらいいと思うんですよ。
また、道路の寸断や大規模広域災害を想定し、他府県との連携により船舶を活用した海からの物資輸送や医薬品輸送など、広域的な防災訓練も必要と考えますが、いかがお考えでしょうか。
次に、津波の被害を軽減する対策として、海岸沿いへの防潮林、防災林を整備してはどうかと考えます。
津波のときの漂流物には、海岸における建物の破壊された流材、船、貯木場の流木、カキやノリの養殖いかだの資材などが挙げられますが、これらの流入激突による被害は極めて大きく、災害が倍加されたと見られる例が多く報告されています。例えば、伊勢湾台風来襲時の高潮では、名古屋港の貯木場の木材が市街地に流れ込んで大きな被害を起こした。また、チリ地震津波でも漂流物による被害の大きかったことが報告されています。
一方、防潮林の存在がこれらの漂流物の阻止に大きな力を発揮した事例も多数報告されております。例えば、チリ地震津波では流材、小舟、カキ・ノリ養殖資材、小型の漂流物等が林帯の前縁で阻止をされ、十トン前後の漁船が六隻阻止された例、それから宮古市の津軽石字赤前海岸では、林帯幅二十五メートル──二十五メートルといったら、ぱっと見たら余り大した幅でもないです──樹高十ないし十五メートル、枝下高五メートル、胸高直径が十ないし十五センチというから、そう太くもない。そしてまた立ち木密度がヘクタール当たり五千五百本の松林で、宮古市の津波のときですけど、そういう樹木帯の八〇%ぐらいまで波が来て木が倒れてしまったと。だけど最後の数列で、樹木があったおかげで船が六隻も、十トン前後の船がこう来たのが六隻も阻止された。だから、私は本当に樹木の防災林というのは非常に機能があるんじゃないかと考えるわけです。
このように、漂流物阻止効果は林帯幅が相当少なくても効果があると報告されております。さきのインド洋大津波でも被害軽減の効果が指摘されていますが、防災林、防潮林についてはどのようにお考えか、危機管理監並びに、これは県土整備部長にも関係があるということでしたので、両者にお尋ねします。
私も、一般質問のいろいろ通告をさしてもらって以来、庁内で──やはり本来なら私は部長から一つ一つ答弁をもらいたいというようなこともたくさんあったんですけど、なかなか部と部との調整が、それは林と違って──例えば、とにかく木をたくさん売りたい、和歌山の紀州材を売りたいと。そしたら、売るためにはやっぱりコストを下げなかったら売れないということがまず。そうなると、林の問題でもあるし、輸送や販売といったら商工の問題やと。そしたら、和歌山港の港を安くしてやってほしいとか荷役とかと言い出したら県土整備やとかね。そんなことを言うとなかなか本当に話がまとまらない。そして、最後、知事に答弁もらわなしようないなと。
だけど、本来なら、そういうことじゃなくて、本当にみんなが連携して目的に向かって、各部長らが勉強して詰めてもらって答弁をしてもらえるぐらいの時代が来んとあかんのじゃないかなと本当に今回も思ったわけですが。まあこれ以上はもう余り申しませんが。
以上で終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、中国と最近非常に交流が盛んになっていると。和歌山県は山東省と交流をしているわけですけども、県としてそれ以外の提携を考えていくのかということなんですけども、県としては、とりあえず山東省との提携を重視して考えていくということですけども、今のダイナミックな中国との関係というふうなことを考えていくと、山東省とだけというふうなことが決して好ましいことではないので、広い範囲でいろんな対応を考えていきたいと思いますし、それから、県内の市町村が独自に山東省以外のところと交流を進めていくという動きがあれば、県の方としても積極的に応援をしていきたいというふうに思っております。
現在、中国との間は去年、観光ビザの発給地が拡大したということもあって中国からの観光客が激増しているというふうなこともございますので、現在、和歌山県では中国経済交流推進会議というのを設けまして、新たな市場開拓でありますとか、県産材の輸出でありますとか、観光客の呼び込みでありますとか、人材交流等々、多面にわたってどういうような形でやっていけばいいかということを研究しているというふうなことでございます。今後、ますます中国との間で多様な、そしてまた実のある交流が進んでいくように努力をしていきたいと、このように考えております。
次に、森林環境整備の必要性と、それからまた森林経営者の人への支援というふうなことでございます。
緑の雇用事業でありますとか企業の森でありますとか、こういうふうなものによって環境林としての面に着目していろいろな政策を行ってきて、これはある意味では林業経営者の人を間接的に支援するということにはなっているわけですけども、しかしながら、やはり最終的にはその木材が売れていくというふうなことにならないと本来的な目的の達成ということは期しがたいというふうなこともありまして、来年度、和歌山県ではこの木材の搬出コストを下げようということで、御質問にもありましたけども、間伐材搬出支援事業というふうなものを新規に行うとか、それからもう一つは中国への販売。これはなかなか言うは易くして行うはかたいんですけども、他の県でも非常に前向きに取り組んでいるところがありますし、中国国内のそういうような木材不足という状況もありますので、何とか紀州材をうまくそういうふうな形の中へ乗せていこうということで、新年度「紀州材を中国へ」という事業名で市場調査を行うというふうなことにしております。調査だけにとどまっていては、これは何も生み出さないので、その調査から本当に県産材が中国へ、いろんな形があると思うんですけども、売れていくような方策を考えていきたいというふうに思っております。
それから、第三番目の射撃場の問題でございます。
射撃場の問題については、以前も御質問があって、私は、一つは今度国体に立候補するというようなこともあって、そういうふうな面での競技の振興という面もありますし、それからもう一つは、和歌山の場合、有害獣がふえてきていて、ところがその狩猟人口が減ってきているというふうなことがあって、それも和歌山独自の大きな問題だというふうなことからこの必要性を強く認識しているところなんですけれども。ただ、近年、鉛による水質及び土壌の汚染というのが全国的に問題になってきておりまして、国の方で平成十七年度から二カ年にわたって射撃場に係る土壌及び水質汚染の防止対策を考えると、そしてまたガイドラインを示すというふうなことになっておりまして、これが出てこないとなかなか、和歌山県でつくるとしても、どの程度のお金がかかってどういうふうな規模になるのかということが少しはっきりしない面がありますので、こういうことも踏まえて対応をしていきたい、このように思っております。
○議長(小川 武君) 知事公室長野添 勝君。
〔野添 勝君、登壇〕
○知事公室長(野添 勝君) 中国との交流についての御質問、三点について一括してお答えいたします。
和歌山県と山東省が友好提携を締結して二十年が経過しましたが、この間、経済、文化、観光、教育等、さまざまな分野で派遣が約七十団六百人、受け入れが約九十団八百人が交流を積み重ねてまいりました。また、こうした交流を重ねることによりまして、県内市町村におきましては、和歌山市と済南市、橋本市と泰安市、かつらぎ町と莱西市の二市一町で友好提携が締結されております。また、それぞれが交流を図っているところでございます。なお、山東省以外の都市と友好提携を結んでいる市町村は現在ございません。
次に、経済交流の成果につきましては、平成十四年に県内企業を対象に中国貿易投資セミナーを開催したのを初め、平成十五年十月には山東省から十八企業を迎え、山東省投資セミナーを開催し、県内企業二十六社に参加をいただきました。その際、個別商談会を開催するとともに、観光、海運、行政の分野での個別協議を行いました。さらに、平成十六年二月には県内企業十二社の参加を得て山東省において商談会と企業訪問を実施するなど、経済面での交流を積極的に推進しているところでございます。
現在、山東省への県内企業の進出は四社と聞いておりますが、昨年、青島市に県内企業四社合同による服飾関係のアンテナショップが開設されるなど、今後のビジネス拡大が大いに期待されるところでございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 和歌山下津港の関係についてお答え申し上げます。
まず、和歌山下津港の平成十五年の原木取扱量につきましては、全体で十四万四千トン、うち輸入が、先ほど御指摘のありましたように七万七千トン、移出が三万五千トン、移入が三万二千トンでございました。
次に、和歌山下津港の原木取扱量の推移でございますが、その取扱量は御指摘のとおり年々減少しており、現在、十年前の二五%、輸入原木量につきましては一六%の水準まで落ち込んでおります。
この減少につきましては、そもそも県内の製材所の数が六割に、外材のみを取り扱う製材所につきましては四割にまで減少するなど、産業構造の変化がその背景にあると考えられます。一方、港湾施設使用料や荷役料金など、いわゆるポートチャージ料が他港に比べて相対的に高くなっている部分もあり、このことがどの程度影響したかについてはよく分析したいと思います。
このため、木材について見れば、背後にある木材関連産業が今後発展できるよう、関係部局、関係業界等と十分連携を図りながら、港湾サイドといたしましても、他港と競争できるような使用料、荷役料金、各種サービスのあり方など、官民一体となって総合的に検討し、港の魅力向上に努めてまいります。
次に、防災林の関係でございます。
津波対策は、まずは逃げるということを第一として、地元自治体等と連携を図りつつ、ハード、ソフトを組み合わせて総合的に対策を構ずべく関係部局と連携して対応しているところでございます。
御提案の防災林につきましては、その効果も報告されているようでございます。一方で、効果を発揮するために必要な一定の面積の確保やその後の維持管理の問題など、さまざまな課題もあろうかと存じます。
今後、既存施設の有効活用などを含め、その効果的な対策について関係部局とも連携して検討してまいります。
○議長(小川 武君) 環境生活部長津本 清君。
〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 有害鳥獣対策につきまして、狩猟人員の推移についてでございますが、県内の狩猟者登録人員は、十年前の平成六年度では三千九百十四人、五年前の平成十一年度では三千五百四十九人、直近の平成十五年度では三千四百十二人でございます。また猟友会の会員につきましては、平成六年度では三千七百二十九人、平成十五年度では二千九百五十五人と、いずれも減少傾向にあります。
このような状況を危惧しておりまして、有害鳥獣捕獲をしていく上でも支障が生じるおそれがございますので、平成十六年度からは狩猟人員の安定的な確保を図るため、狩猟試験の回数をふやすなど、対策を講じているところでございます。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) まず、避難訓練についてお答えいたします。
さきのインド洋大津波でもおわかりのように、津波から生命を守るためには高台等への避難が最も有効であります。このため、県では平成十四年度から沿岸市町による一斉の津波避難訓練を実施し、毎年一万人以上の方に御参加いただいております。また、本年度から夜間訓練も取り入れる地域もあり、訓練内容にも工夫をいただいております。このほか、県総合防災訓練や他府県との連携による防災訓練等も実施しております。
なお、市街地等で高台のない地域の避難につきましては、三階建て以上の鉄筋コンクリートの建物等を避難ビルとして使用することも有効であるため、平成十五年につくった和歌山県津波避難計画策定指針の中で避難所としての指定の考え方等も市町に提示しております。
また、議員御指摘のように、本県において大規模災害が発生した際、船舶を活用した物資輸送等が有効な手段と考えられます。現在、海上保安庁や漁船による訓練等も実施していただいておるほか、フェリー会社との間で船舶による災害時の輸送等に関する支援協定も締結しております。今後、こうした関係機関の協力をいただく中で実効性のある訓練等を検討してまいりたいと考えます。
次に、防災林等の設置についてでございますが、防災林等は津波被害の軽減に効果的で、インド洋大津波でも植生による被害軽減効果が指摘されております。防災林の設置や植栽方法については、関係機関での研究の動向を注視するとともに、関係部局とも連携を図り、整備手法等、検討してまいりたいと考えます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十三番井出益弘君。
○井出益弘君 知事に再質問といいますか、要望のような形にせないかんのかと思うんですけど、やはりちょっと一応確認さしてもらおうと思うんで、質問ということで。
環境庁の指導がどのように出るかとか、そういうガイドラインが出るというのは、二年間にガイドラインをつくるということであります。それで、知事が今そのようなお話をされて、私は多分、知事はそのようなお話をされたけども、必要性については、国体の開催とかいろんな話も含めてしてくれているから──ですけども、私は担当の部や課が、ああ、これでもう二年間、そしたらもう人事異動でまたと。本当に僕、こんなこと言いたくないんやけどね。二年間でこれ、今から勉強にも行ってもらって、環境庁とともに地方の声も、あるいはその必要性とか。
そして、鉛の弾も、問題になっておるのは、鳥とかけものに撃った弾が、鉛が残っておったやつを、その鳥をまた何かが食べてとか、砂袋へ入っておったとか、そういうのでいろんな害が出てきたとか、そういう猟のは非常に問題になっておっても、射撃場の鉛はその点また違う意味のこともあって、やっぱり射場というのは、世界的にも、オリンピックもあるし、いろんな大会もあるし、日本の国内でも国体でも取り上げておる種目やし、必ず僕はつくっていただけると思っておるんですけど。
また、二年先から、そしたらどんなんつくったらええよとか、どんなことをというスタートされたら、本当に緊迫しているこの銃の取り扱いというのが非常に──大阪へ行って練習せなあかんのですよ。新家、岸和田、茨木とか、だんだん遠くへ行かなならんのでね。それも、あいてる日とかしかやらしてもらえやんとか、いろんな支障を来しておるんで、ぜひ二年の間ガイドラインのことについての勉強もしながら、二年後とかにガイドラインが出たらもうすぐいける、こんなもんつくれるというようなことをできるぐらいの方向で僕はやってほしいと思うんで。二年間休憩というか凍結というんではないと思うんですけど、その点ちょっと知事に答弁いただけたらと思います。
○議長(小川 武君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 射撃場については、別に凍結というふうなことではなくて、そういうふうなことで検討をしてきた過程の中で、その鉛の問題──この鉛の問題は実は非常に大きな問題でして、空気銃のやつのところでも大変その処理のことで苦慮した経緯がございまして、これはやっぱりなかなかおろそかにはできない問題だというふうに考えておりますので、こういうふうなことの経緯も見ながら対応していこうということで、凍結とかやめてしまうとかいうような話ではもちろんございません。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、井出益弘君の質問が終了いたしました。
お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会及び予算特別委員会にこれを付託いたします。
次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
お諮りいたします。三月十一日及び十四日から十六日までは委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 御異議なしと認めます。よって、三月十一日及び十四日から十六日までは休会とすることに決定いたしました。
次会は、三月十七日定刻より再開いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後一時五十八分散会