平成17年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十番新田和弘君。
〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。若干質問で重複する点がありますが、よろしくお願いをいたします。
それでは、質問に入ります。
まず初めに、わかやま産業イノベーション構想に関連してお尋ねいたします。
本県には約四万六千社の中小企業があり、それぞれの企業が本県経済の活性化を目指して活動いたしております。そこで革新的、創造的経営を目指す人や企業を発掘し育成することは、次世代の県経済を牽引する新事業や新産業を創出し、新たな雇用機会の創出にもつながるものであります。わかやま産業イノベーション構想では、やる気のある企業の経営革新や新事業拡大へのニーズに、技術、経営ノウハウの提案や販路拡大、融資など、さまざまな支援を行ってきております。
まず、大学発ベンチャー支援事業では、県内産業を活性化するため、研究成果を活用して県内でビジネスを起こしたいと希望する大学の研究者や学生を対象に、創業に必要な経費の一部を補助しています。この制度を活用して、平成十四年十一月にジーンコントロール株式会社が設立され、近畿大学先端技術総合研究所にオフィスがあります。同社は、遺伝子操作によりがんなどの病気を発病したマウスを生産し、新薬の開発や医学の発展に役立てようとする企業で、取締役には農学博士の三谷氏が活躍をしております。
さらに、新しい才能を育てる環境づくりの事業としてスタートアップ・オフィスを実施しています。この事業は、ITを活用した新事業を目指す起業家や創業間もないベンチャー企業などに、低料金で充実したビジネス環境を県経済センターで提供しております。平成十五年二月に脳の血流量の計測など医療用ソフトを開発するアルファシステムズ株式会社を設立、赤松氏が活躍をいたしております。
知的財産の保護には、特許流通アドバイザーの活動費を県が補助する形で中小企業の特許有効活用などの相談に応じております。
産学官の共同開発で新分野を開く事業として、財団法人わかやま産業振興財団が支援するきのくにコンソーシアムでは、大洋化学株式会社がこの制度を活用して、県工業技術センターと共同でポリ乳酸を原料とした生分解性樹脂を開発しました。また、築野食品工業株式会社と県工業技術センターとの共同研究で、天然フェルラ酸の効率的な抽出製造法の開発に成功。今後は、食品分野だけではなく、化粧品や衣料品の原料として活用されるよう研究を続けております。太洋工業株式会社は、自社のプリント技術を生かし、県工業技術センターの支援を受けてフレキシブルプリント基板の製造に進出し、フレキシブルプリント基板を一貫生産できる試作メーカーとなりました。平成十五年には創造法の知事認定を受け、研究開発補助金によりフレキシブルプリント基板を用いた電子基板検査機の開発に成功。平成十六年十二月にはジャスダック市場への株式上場を果たし、活躍をいたしております。
プロのノウハウを技術革新に生かす事業として、財団法人わかやま産業振興財団の企業カルテ委員会が選んだ企業に専門家チームを派遣し、企業プロデュースを実施し、経営革新、第二創業、新製品開発、販路開拓などのビジネスプランの実現を企業とともに考える事業で、県民から期待をされております。また、オンリーワン企業を発掘・育成する企業ソムリエ委員会は、中小企業から応募された新製品、新サービス、新技術など新たなビジネスプランを審査・評価し、認定した企業に対して支援を行っております。昨年十二月には、奨励賞企業として、和歌山市の株式会社クリーンサワの新洗浄技術に基づくドライクリーニング装置及びドライクリーニング方法の開発が評価されました。
そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
一、本県では、新事業、新産業の創出により県経済の活性化と新規雇用の創出を目指して、わかやま産業イノベーション構想を推進しています。木村知事はマニフェストにおいても同構想の推進を挙げていますが、今後さらに県内のやる気のある人や企業を支援していくためにどう取り組まれるのか。
二、イノベーション構想を推進していくためには、財団法人わかやま産業振興財団や県工業技術センター等の人材確保にどう取り組まれるのか。
以上二点、お尋ねいたします。
次に、県内の中小企業を取り巻く金融情勢は厳しい状況にあります。中小企業においては、融資を受けたいが、既に保証協会より保証を受けて借り入れているため、借りかえ融資を希望する事業者が多くあります。一度借りかえたが、もう一度借りかえたいなどの要望もあります。また先般、民法が改正され、保証人の返済責任の上限と期限が定められていない包括根保証の廃止が実現いたしました。これにより、保証人が多額の保証債務に苦しむことが改善されたわけであります。本県では、中小企業への新たな金融支援として、無担保、第三者保証なしの元気わかやま資金を創設し、中小企業を支援しようとしております。
そこで、商工労働部長にお尋ねいたします。
一、資金繰り円滑化資金、いわゆる借りかえ融資において、中小企業の金融情勢や資金ニーズを踏まえて弾力的な支援を要望していますが、どう改善されるのか。
二、元気わかやま資金の融資条件はどうか。
三、県保証協会では、本年四月から包括根保証の廃止へどう取り組まれるのか。
以上三点、お尋ねをいたします。
次に、市町村合併の推進についてお尋ねいたします。
「平成の大合併」と呼ばれた市町村合併の動きが大詰めを迎えています。市町村合併のねらいは、地方分権化、生活の広域化、少子高齢化に対応して市町村の行政能力を高めるとともに、行政の効率化を図って国と地方を通じた財政危機から脱却することであります。平成十一年四月に全国で三千二百二十九あった市町村が、本年三月末には二千五百前後となり、さらに合併特例法の経過措置が切れる来年三月末には千八百前後になる見通しであります。本県でも、平成十六年四月一日に五十市町村が、合併により本年四月一日には四十七市町村に、さらに来年四月一日には岩出町が市制施行するため九市二十町一村の三十になる見通しであります。
政府の地方制度調査会では、市町村のほぼ半数を占める人口一万人未満の小規模町村に対して都道府県が合併を促すことを求めています。理想的な基礎自治体は十五万人から三十万人でありますが、少なくとも人口三万人以上の市に再編することが望ましいとの指摘もあります。今回の合併では、特例法で地方交付税や合併特例債による財政支援などを定め、合併後十カ年度は経費の九五%まで借金して新しい町づくりのための建設事業を行うことを認めており、その元金と利息の七〇%は国が地方交付税で措置することになっています。そのため、合併による住民に真に必要な公共事業の実施が強く望まれております。
今年四月からは五年間の時限立法で新市町村合併特例法が適用され、一層の合併促進を目指すことになります。都道府県は基本指針に基づいて合併構想を策定し、合併の法的手続の前提となる合併協議会の設置などを勧告することができることになっております。
そこで、木村知事にお尋ねいたします。
一、本県における市町村合併に対する知事の所見と、合併新法において本年度の早期に発表される国の基本指針に基づいて、合併構想の策定、市町村合併推進審議会の設置など、今後どう合併推進を図られるのか。
二、市町村合併や市制施行により、平成十六年四月には四十三町村がありましたが、平成十八年四月には二十一町村に半減し、それぞれ市となるため、従前は県の振興局で行っていた業務が市へ移管されることになります。県が平成十五年三月に策定いたしました行政組織等の見直し実施プログラムにおいて振興局の見直しが提言されていますが、県から市に移管される業務及び振興局体制の見直しをどう進めるのか。
以上二点、お尋ねをいたします。
次に、市町村の地方債の発行が平成十八年度から、県の許可制から県の事前協議制に変更されます。また、国からの税源移譲も、平成十八年からは所得税から住民税への移譲となるため、税収基盤の弱い小規模自治体は大きな影響を受け、地方交付税による補てんに期待をするしかない状況になります。財政の一層の悪化が危惧されるところであります。県は市町村の起債制限比率など財政状況を勘案して地方債の発行について協議をしていくわけでありますが、今後、市町村の地方債の事前協議制にどう対応されるのか。また、市町村の事業を円滑に進めるため、どう対応されるのか。総務部長にお尋ねをいたします。
次に、児童養護施設の整備についてお尋ねいたします。
去る二月八日、児童養護施設の社会福祉法人虎伏学園を、県子育て推進課の方に同行していただき、視察をしてきました。虎伏学園では五明理事長、理事の嶋園長さんたちが迎えてくださり、嶋園長さんより概要説明を受けた後、同学園の諸施設を視察しました。同学園の定員は六十名で、現在五十八名の子供さんが入所いたしております。同学園の沿革は、結核性虚弱児、ぜんそく等身体虚弱な児童を救済するため、和歌山市中之島に在住の谷本紀次郎氏が昭和三十四年五月に用地五百坪を寄贈し、昭和三十五年五月にお年玉付郵便葉書寄附金二千万円を受け、同年六月に和歌山市民生部が中心となり、財団法人和歌山虚弱児施設建設委員会を設立させ、昭和三十七年六月に開園いたしました。その後、宮小学校、日進中学校の特殊学級が併設され、昭和五十年四月より宮小学校、日進中学校の分校となりました。平成十年四月からは虚弱児施設より児童養護施設に移行し、関係者の皆様の御努力で今日に至っております。
視察をいたしました感想ですが、施設が開園して四十年も経過しており、建物の改良工事が昭和五十三年に中央競馬会等による助成金を受けて児童居室改造事業が行われているだけのようで、分校である校舎も二階にプレハブで設置されている状況で、学校の施設基準に合っているのかと思える状態でした。市の教育委員会によりますと、和歌山市が福祉法人から虎伏分校の校舎を賃貸借契約しているため、施設の改善は法人が実施していくものとのことでありました。
児童の居室についても、一室に七名から八名が生活しているとの説明でした。法律では設備の基準として、「児童の居室の一室の定員は、これを十五人以下とし、その面積は、一人につき三・三平方メートル以上とすること」と定められているため、十分な基準を満たしているとのことでありますが、一室に七、八人が共同生活することは、公営住宅の建設においても居住水準が改善されてきている今日、法律の改正を含めて早期の整備の必要を感じた次第であります。
分校の教室についても整備が必要であることは論をまちませんが、生徒の絵や作品が掲示されていないため、どうしたのかなと思った次第であります。見に来られる父母がいないためか、だれかの作品を掲示すると共同生活にトラブルが起こるのか、ほかに原因があるのか、いろいろ考えさせられました。
現在、子供をめぐる問題として児童虐待が急増してきており、平成十五年度に児童相談所が受けた虐待に関する相談は二百十八件と、過去最高となっております。さらに、児童・生徒のいじめの問題を初め、不登校児童・生徒の問題、非行少年問題など、課題が多くあります。こうした問題の解決のため、学校を初めとする関係機関が努力していただいていますが、保護者の監護を受けられない児童や保護者から虐待される児童等、児童相談所を通じて児童養護施設に入所することになります。本県では虎伏学園初め七カ所ありますが、設置主体者が福祉法人であるものがほとんどで、虎伏学園では、以前は理事長が和歌山市長でありましたが、その後、民間の方にかわり運営していただいてきておりますが、施設の整備には困難を来しているのが実情であります。
そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
一、児童福祉法の改正により、児童虐待防止対策等の児童相談体制の充実強化にどう取り組まれるのか。
二、虎伏学園初め、こばと学園、和歌山市旭学園など県下の児童養護施設の整備に対して県は今後どう取り組まれるのか。
以上二点、お尋ねをいたします。
次に、義務教育制度の改革についてお尋ねいたします。
文部科学省においては、新しい学習指導要領のもとで子供たちにみずから学び、みずから考える確かな学力をはぐくむため、平成十四年一月に「学びのすすめ」として五つの方策を示し、各学校での取り組みを支援してきました。本県では、平成十五年四月より少人数学級である三十五人学級を実施し、順次対象学年の拡大が図られてきました。さらに、文部科学省の学力向上フロンティア事業の研究指定を受けた和歌山市立城北小学校、町立粉河小学校、町立野上小学校では、教科担任制や習熟度別少人数指導、チーム担任制、土曜スクールなどの取り組みを行い、実績を上げ、平成十六年度の県教育研究奨励賞を受賞しています。また、かつらぎ町立妙寺小学校では平成十四年から二学期制を導入してきており、和歌山市の加太中学校、東和中学校の二校でも平成十六年度から二学期制が導入され、県下各市町村でも二学期制を試みる学校が増加してきています。
小中一貫教育につきましては、本県では平成十四年度に県独自で研究をスタートさせ、平成十五年度には国の研究指定を受け、県下三地域十四校で、小中一貫した教育課程の開発や教員の交流、授業の交流など、研究が行われております。加えて、新宮市立光洋中学校では、国の研究指定校として全国中学校の中で二校のうちに選ばれ、平成十四年から三年間、新しいタイプの学校運営のあり方に関する実践研究を行ってきております。光洋中学校では民間から校長先生を迎え、学校運営協議会制度を推進するコミュニティースクールとして保護者や地域住民と校長や教職員とが一体となった学校づくりを行い、地域に開かれた信頼される学校の実現を目指しております。
昨年の十一月十三日にNHKが「二十一世紀日本の課題 学校を変えるのは誰だ」とのタイトルで光洋中学校の取り組み等をテレビ放映し、全国に大きな反響を呼びました。こうした取り組みが行われる中で、文部科学省では、三位一体の改革において義務教育費国庫負担制度の議論が行われる中で、単に財政論議だけではなく、教育のあり方をどうするかという観点から義務教育における国と地方の役割などを議論することが喫緊の課題となっております。
こうした状況を踏まえて、昨年八月には河村文部科学大臣(当時)が義務教育の改善策を発表いたしました。さらに昨年九月には、中央教育審議会総会で義務教育改革の内容とスケジュール案が示されました。それによりますと、信頼され、安心して子供を託することができる学校づくりとして、義務教育制度の弾力化では、義務教育の最終の到達目標を明確に設定する、小中一貫教育を制度化する、教員養成の改革では、教員養成の専門職大学院を設置する、教員免許更新制を導入する、学校・教育委員会の改革では、学校評議員、学校運営協議会の全国的な設置を促進する、学校評価について自己評価、外部評価の規定のあり方について検討する、教員評価について評価システムを検討する、その他の制度改正事項として、小中学校における特別支援教育の推進体制を整備するとしております。
さらに、昨年十二月、経済開発協力機構(OECD)の学力調査で日本の子供の学力が大幅に低下したことを深く受けとめて、学力向上策を検討する義務教育改革推進本部の設置を決定いたしました。学力向上を目指す取り組みとして、東京都品川区では、国の学習指導要領の教育内容を前倒しした小中一貫のカリキュラムを本年二月に発表、金沢市でも、今年から指導要領に上乗せする形での金沢スタンダードを導入しております。本県の新宮市では、本年から春・夏・冬休みを削減して、授業時数を年間六日程度ふやす方針を発表いたしております。
そこで、教育長にお尋ねをいたします。
一、義務教育制度の改革については当然制度改正が必要でありますが、本県では義務教育の改革にどう取り組まれるのか、お尋ねいたします。
二、本県が実施している学力診断テストを通じて、中学校において、社会・数学・理科に課題がある、読解力・表現力に課題がある、また基本的な生活習慣と学力の相関関係が明らかになったとしていますが、本県の学力向上に向けて今後どう取り組まれるのか。
以上二点をお尋ねいたしまして、第一回目の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 産業イノベーション構想についての御質問でございます。
これまでの取り組みについて、るる事例を挙げて御質問いただき、非常に私も感銘したわけでございますけれども、この地域産業を中心とした地場産業のブラッシュアップと革新を目指すというこの産業イノベーション構想、いろいろな取り組みを行ってまいりました。そしてまた、それなりに一定の成果を上げてきたものと思っておりまして、新年度もこの方針をさらに強く貫いて行っていきたいと思っております。
例えば一つは、専門家をそれぞれの企業に派遣をいたしまして、その商品なんかが売れるようにいろいろなことを企画していく企業プロデュース事業──なかなか名前が難しいんですけども、企業プロデュース事業でありますとか、それから和歌山県の企業が持っている技術のブラッシュアップを行っていく「技あり」企業支援事業でありますとか、それから研究員を派遣していくいきいき研究スタッフ派遣事業と、みんなそれぞれに名前がついているわけでございますが、こういうふうな事業を重点的に行っていって、二十一世紀型のやる気のある地場の企業というものを育てていきたいというふうに思っております。
そして、こういうことを行っていく上では、こういうことを推進する人材の確保ということが、御質問にありましたように非常に重要でございます。去年から産業振興財団の部長さんに二名の民間の方に来ていただいたんですが、この方々の活躍は、私もよく見ていますけれども、もう大変大きな成果をおさめていただいておりまして、これはなかなかいい制度だなというふうに思っているわけです。その方がそれぞれに今までに培ってきた人的なネットワークでありますとかノウハウ、こういうものを和歌山県の産業の振興に存分に今生かしてもらっているというふうなことで、こういうことをさらに拡充していこうと思っております。
それからもう一つ、来年度の目玉といたしましては工業技術センター。この和歌山県の工業技術センターは、他県の工業技術センターと比べても、地域の産業との協力、そしてまたそれの支援ということに相当役に立っている機関だと自負しているわけでございますが、ここの所長に初めて民間の人を招くというふうなことで、名実ともに民間の人のノウハウというものを入れて和歌山の産業をイノベーションしていく構想を推進していこうと思っております。
次に、市町村合併についての所見ということでございます。
先ほども申し上げましたが、全国で三千二百ある市町村が二千になる、和歌山県でも五十が三十になるというふうなことで、数の上では一定の成果を上げたわけでございますけれども、しかしながら合併はしてからというふうなことになりますので、これからこの合併というものが本当に地域の振興に役立つような形で県もいろんな形でサポートしていかなければならないと思っております。さらには、新法が発効するわけでございますが、これによって、今回の合併では合併に至らなかったところとか、さらにはもっと大きな枠組みで合併を目指していこうというふうなところについて国の指針も示されるということになっておりますので、これに対応しつつ、来年度の当初予算でも検討のための合併推進審議会設置の所要経費を予算案に計上しているところでございまして、この審議会等を活用して来るべき次の合併についても前向きに取り組んでいきたいというふうに考えております。
さらに、合併した県から市への移管業務にどういうふうなものがあるのかという御質問でございますが、例えば生活保護の関連事務、さらには児童扶養手当の認定支給事務など、福祉関係の事務が県から市へ移管されるというふうなことになっております。こういうふうなことに伴いまして、これまでの振興局というふうなものについても、当然のことながら見直しをしていく必要があるということで、所管区域の広域化でありますとか本庁への集約化を通じてこの振興局の簡素化に努めていくということでございますけども、ただ、これは簡素化すればいいというだけのものじゃなくて、やはりそのことによって地域の人へのサービスというふうなことが低下しないような形でこの組織変更ということを行っていきたいと、このように考えております。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) わかやま産業イノベーション構想の三点についてお答え申し上げます。
まず中小企業への資金支援でございますが、制度融資を二制度九資金に再編・統合し、中小企業の利便性を向上させるとともに、資金ニーズにより、きめ細かくこたえてまいりたいと考えてございます。資金繰り円滑化資金、いわゆる借りかえ資金につきましては、新規融資枠を五百億円に増額したところでございます。さらに、資金使途に本年三月末まで実行された県借りかえ資金を組み入れ、再度借りかえることを可能とするとともに、協会保証つきの金融機関プロパー融資を新たに対象にするなど、制度の拡充を図ったところでございます。
次に元気わかやま資金の融資条件でございますが、県、保証協会、金融機関が連携することにより、今年度に実施した広域CLO融資と同様に無担保、第三者保証人不要とし、また法人企業だけでなく、青色申告の個人事業者も融資対象に含めるなど改善を図ったところでございます。
次に包括根保証についてでございますが、中小企業が金融機関から融資を受ける際には経営者等による個人保証が広く用いられ、また継続して借り入れる場合は根保証の活用が慣行となっております。しかし、根保証の中で極度額や期間を定めない包括根保証は、経営が破綻した際に経営者や連帯保証人に過重な負担となるおそれがあり、また経営者の再起を困難にしていることから、民法が改正され、本年四月から禁止される予定になっております。制度融資での包括根保証の利用はございませんが、保証協会では、これまで、当座貸し越し、手形貸し付け、手形割引など、一部制度で包括根保証を活用してきたところでございます。法改正を受け、保証協会では、現在、全国信用保証協会連合会などと協議をしながら保証契約の見直し作業を進め、対応を図っているところであり、県としましては、必要に応じ指導監督をしてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 地方債の事前協議制についてお答えを申し上げます。
地方債の協議制度は、地方分権を推進して地方団体の自主性を高める観点から導入されるものでありますが、同時に各市町村の自己責任も一層求められることになります。具体的な運用につきましては、今後総務大臣より示される同意基準等に基づくこととなりますが、県といたしましては、地方財源の保障、地方財政の健全性、市町村事業の円滑な実施などが確保されるよう十分配慮するとともに、市町村からのニーズを十分把握をした上で対処してまいりたいと考えております。また、その際は、財政健全化などの県市町村の共通課題に連携して対処するため、本年二月一日に設置をいたしました県・市町村連携会議も十分に活用してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、児童福祉法の改正による児童相談体制の充実強化についてお答えを申し上げます。
児童相談業務につきましては、児童福祉法の改正によりまして、本年四月から市町村が第一義的な相談を担い、県の児童相談所は処遇困難なケースへの対応や市町村への後方支援を行うなど、その役割が明確化されたところでございます。また、児童虐待防止関係機関の連携を強化するための要保護児童対策地域協議会、いわゆる市町村の児童虐待防止ネットワークの設置も法定化されたところでございます。このため、県では、市町村における児童相談が適切に実施できるよう担当職員に対する研修を行い、市町村での児童相談体制の確立を支援するとともに、現在五市町村に設置されております児童虐待防止ネットワークを平成十七年度中に二十市町村に、平成二十年までには全市町村に設置することにしてございます。さらに、児童相談所につきましては、市町村への技術的支援や処遇困難事例に的確に対応できるよう職員の専門性の向上を図るとともに、本年六月から被虐待児童などへの治療を行う子どもメンタルクリニックを開設するなど相談体制の充実に取り組んでまいります。
次に児童養護施設の整備についてでございますが、児童養護施設は保護者のいない児童や虐待を受けた児童の生活の場として安全で良好な居住環境を確保することが求められてございますが、議員御指摘のとおり、老朽化している施設が残されていると認識してございます。現在、こばと学園の整備が進められているところでございますが、今後、県といたしましても積極的な支援方法を検討するなど、施設の設置主体である社会福祉法人などと十分協議しながら老朽化している施設の整備を進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 本県における義務教育制度の改革についてお答えします。
まず、本年四月から全国に先駆けて、小学校と中学校のスムーズな接続を図るため、六・三制の見直しや小学校の高学年での教科担任制、九年間を見通したカリキュラム開発を行うなどを内容とする小中一貫教育モデル校事業を下津町と有田市で実施し、平成十九年度までに六地域を指定してまいります。また、昨年度から実施しているイングリッシュ・パワーアップ・プログラムでは、小学校第三学年から中学校を卒業するまでの七年間を通して、英語が話せる子供の育成を目指しております。
次に、個に応じたきめ細かな指導を行うため、一学級の人数を四十人から三十五人程度に引き下げる少人数学級編制を拡充し、小学校第一学年から第四学年までと中学校第一学年、第二学年で実施いたします。
また、公立学校教員の能力や実績等が適正に評価されるような制度のあり方について、平成十五年度から調査研究委員会を設置し、審議を行っており、平成十七年度は評価者の能力の向上及び評価システムの構築を行ってまいります。
こうした義務教育制度の改革全般について早急に取り組んでいくために、本年度から既に庁内において義務教育ニュービジョンスタッフ会議を発足させております。来年度は、学識経験者等を交えた研究会議を設置して、本県における義務教育のグランドデザインをつくり上げてまいりたいと考えております。
次に学力向上に向けた取り組みに関しましては、昨年度に引き続き、本県独自の学力診断テストと岩手県、宮城県、福岡県を含めた四県共同の統一学力テストをあわせて実施しました。また、県内の子供の生活実態と学力などの関連を見るための調査を初めて行ったところであります。その結果、読解力や表現力などに課題が見られたことから、中学校の国語担当教員が小学校で授業を行うなど、国語力向上のための小中連携研究事業をスタートさせます。さらに、各学校で明らかになった課題を克服するため、和歌山方式として僻地手当等を見直すことによって生み出した財源を活用し、学力アップ非常勤講師配置事業を行うこととしております。
今後、各学校に対し、保護者会などで家庭における生活面の重要性を説明するとともに、学校・家庭が一体となって子供の学力向上に努めることができるよう支援をしてまいります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十番新田和弘君。
○新田和弘君 御答弁をいただきましてありがとうございます。二点、簡潔に要望させていただきます。
まず第一点目でございますが、わかやま産業イノベーション構想の推進につきましては、先ほど木村知事の方からも積極的な御発言をいただきましたが、「足下に泉あり」という言葉がございます。本当に自分の足元を深く掘り下げていくとそこにすばらしいものが発見できるという言葉でございますが、和歌山のそれぞれ企業なり事業者が持っておりますノウハウをさらに深く掘り下げていただきまして和歌山の産業発展に生かしていく、そのためには人材確保か専門家の確保を各振興財団、また工業技術センター等に、今も立派な職員の方がたくさんいらっしゃるわけでございますが、さらに優秀な人材の方を迎えまして本県経済の発展のために御尽力を願えるよう要望いたしておきます。
二点目でございますが、この児童養護施設の施設整備の問題でございます。もともとこの施設は戦後の孤児の方等を収容するというようないきさつもございまして、設立から四十年以上経過している施設が大半でございます。それで、整備につきましては、国が二分の一、県が四分の一、そしてあと四分の一は福祉法人が負担をするということになっておりますが、この四分の一の財源の捻出が非常に困難をきわめておるというのが実態でございまして、今日、そういう各福祉法人が頭を痛めている問題でございます。私は、本来こういった施設は公設民営、やはり公共機関が施設をつくってあげて施設運営は民営でやっていただくというのが一番いいんではないかと思う次第でございますが、今後、早急にこういった施設の改善について積極的に取り組んでいただきたいことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十九分休憩
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