平成17年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
県議会の活動
平成十七年二月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
平成十七年三月八日(火曜日)午前十時開議
第一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百三十二号まで、並びに報第三号から報第五号まで及び報第七号(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百三十二号まで、並びに報第三号から報第五号まで及び報第七号(質疑)
二 一般質問
出席議員(四十六人)
一 番 須 川 倍 行
二 番 尾 崎 太 郎
三 番 新 島 雄
四 番 山 下 直 也
五 番 小 川 武
六 番 吉 井 和 視
七 番 門 三 佐 博
八 番 町 田 亘
九 番 東 幸 司
十 番 浅 井 修 一 郎
十一 番 山 田 正 彦
十二 番 坂 本 登
十三 番 向 井 嘉 久 藏
十四 番 大 沢 広 太 郎
十五 番 平 越 孝 哉
十六 番 下 川 俊 樹
十七 番 花 田 健 吉
十八 番 藤 山 将 材
十九 番 小 原 泰
二十 番 前 芝 雅 嗣
二十一番 飯 田 敬 文
二十二番 谷 洋 一
二十三番 井 出 益 弘
二十四番 宇 治 田 栄 蔵
二十五番 前 川 勝 久
二十六番 山 下 大 輔
二十七番 木 下 善 之
二十八番 原 日 出 夫
二十九番 冨 安 民 浩
三十 番 野 見 山 海
三十一番 尾 崎 要 二
三十二番 中 村 裕 一
三十三番 浦 口 高 典
三十四番 角 田 秀 樹
三十五番 玉 置 公 良
三十六番 江 上 柳 助
三十七番 森 正 樹
三十八番 長 坂 隆 司
三十九番 阪 部 菊 雄
四十 番 新 田 和 弘
四十一番 松 坂 英 樹
四十二番 雑 賀 光 夫
四十三番 藤 井 健 太 郎
四十四番 村 岡 キ ミ 子
四十五番 松 本 貞 次
四十六番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 小 佐 田 昌 計
出納長 水 谷 聡 明
知事公室長 野 添 勝
危機管理監 白 原 勝 文
総務部長 宮 地 毅
企画部長 高 嶋 洋 子
環境生活部長 津 本 清
福祉保健部長 嶋 田 正 巳
商工労働部長 石 橋 秀 彦
農林水産部長 阪 口 裕 之
県土整備部長 酒 井 利 夫
企業局長 楠 本 隆
教育委員会委員長 駒 井 則 彦
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 大 岡 淳 人
警察本部長 宮 内 勝
人事委員会委員長 西 浦 昭 人
代表監査委員 垣 平 高 男
選挙管理委員会委員長 北 村 亮 三
職務のため出席した事務局職員
事務局長 小 住 博 章
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 島 光 正
議事課副課長 薮 上 育 男
議事班長 山 本 保 誠
議事課主任 尾 崎 善 亮
議事課副主査 楠 見 直 博
総務課長 土 井 陽 義
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主査 中 尾 祐 一
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午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百三十二号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第五号まで及び報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
二十一番飯田敬文君。
〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。
お許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。
今回は、昨年八月の補欠選挙で当選させていただいて初めての一般質問でありまして、いささか緊張ぎみでございますけれども、質問の機会を与えていただきました多くの皆さんに改めて感謝申し上げると同時に、その責任の重さを痛感しておるところでございます。
今回は三点に絞って質問させていただきたいと思いますが、県知事並びに県当局の簡単かつ明瞭──余り長い答弁は要りませんので、ひとつよろしくお願い申し上げまして質問をいたしたいと思います。
まず初めに、地方分権社会の実現と市町村合併についてという質問をいたします。
平成十二年四月の第一次地方分権改革は、機関委任事務制度を全廃し、中央省庁の自治体への関与、言いかえれば規制を緩和いたしました。今回、改革によって中央省庁と自治体はようやく法制上対等の関係になったと言われておりますが、実質は伴っておらないというふうに思うわけであります。中央省庁は今なお法令に基づき許認可権限を維持しており、私たち自治体行政を支配しているのが現状であります。加えて、国の一般会計だけを取り上げてみても、二十兆円余りの補助負担金を所管し、自治体行政をコントロールしておるところであります。
今回の地方分権改革は、単に「地方のことは地方で」といった次元から推進されるものではなく、日本のこれまでの明治維新以降の中央集権体制を分離分権型に組みかえ、政策や事業の立案から実行までを、地方自治を確立する中で責任を持って展開させるものであります。これこそ二十一世紀型の日本の未来を切り開く社会であり、とかく今言われておる国か地方かといった二者択一の権限争いではなく、もともと国と地方は対立するものではありません。その役割分担を明確にする中で、国民を幸せにするための手段であります。一般国民大衆は、国の権限はどこまでで、地方の権限はここまで持ってこいというふうなコップの中での争いには関心がないわけであります。こうした実態の中で、果たして真の地方分権、地方主権が実現するでしょうか。大きな疑問と不安がございます。
他方、過去にも申し上げてまいりました東京一極集中の問題は一向に是正されておりません。少子高齢化の進展により、日本の人口は二〇〇六年を境として減少すると予測されております。既に三十以上の道県では人口の減少が続いており、我が和歌山県においてもその例外ではありません。そのほか、政治、行政、経済、金融、文化、情報通信などすべてが東京圏を中心として機能している現状を見るとき、東京圏に対抗し得る魅力ある地域、対外的にも競争力のある地域を構築することが必要であり、地方が府県境を超えた連携を模索しなければならない時期だと考えております。このことが真の地方分権を実現することとなります。
具体的には、今、地方分権という大きな枠組みの中で、実現の手法といいますか、手段として、三位一体改革や道州制の議論、市町村合併の推進がなされておりますが、うがった見方をすれば、放漫経営において破綻した大手企業や銀行に対する公的資金の注入と同じように、地方が国の財政再建の犠牲になっておるように思われてなりません。真に地方分権を推進するならば、国及び地方がみずから襟を正し、痛みから逃避することなく、国の役割と地方の役割を明確にした上において推進されるものであります。その第一は地方への税源移譲であり、全体的な三位一体改革を推し進めていただきたいと考えるところであります。
さて、我が和歌山県においては、景気を含め、あらゆる面において厳しい現状であることを見るとき、開会日の知事説明にある現状認識の御説明の中で、政府と地方との分権そのものの理念の共有がないとしている点につきましては私も共感をいたしておりますが、一方、県行政と市町村行政、県民との関係において、その理念の共有があるとお考えなのか、疑問に思っているところであります。私も県政の一端を担っておる者として、県政への県民の皆様の理解を深めていただく手段として懇談会などを開く機会がございますが、理解されておらないことが多く見受けられ、非常に残念に思うところであります。
そこで、木村知事にお伺いをいたします。
今後の二十一世紀型分権社会の実現に向けての展望と課題について知事の考えをお聞かせいただきたいと思います。あわせて、国、県、市町村の役割認識、さらに市町村に対する分権の確立と県の指導についてお伺いをいたします。
次に、地方分権の手法の一つに、全国三千二百余りの市町村を一千程度に減らす市町村合併、いわゆる平成の大合併を促進しております。この平成の大合併も地方分権実現の中の一つでありますが、先ほど述べました国の財政再建の犠牲になっておるところが多うございます。「地方のことは地方で」という知事説明にもあるように、どのような町を、都市をつくり上げるのか。五十年先、百年先を見据えた地域のあり方を抜きにした押しつけの合併のように思えてならないわけであります。しかしながら、真に地域のあり方を模索した合併においては、むだをなくし、都市機能が充実した、地域住民にとって安全で住みやすい地域づくりができることとなるところから、私は、自分たちが考え、自分たちの手で推進される合併は好ましいことと考えておるところであります。
現在、全国において、一九九九年四月の兵庫県篠山市以降、二〇〇四年十月現在までに二百九十六市町村が参加して八十七の合併が成立しており、今でも五百八十七の法定協議会が進んでおります。和歌山県においても、昨年十月、南部町・南部川村の合併を最初に、県知事申請及び調印済みを含め、本年三月五日現在、十二地域が合併実現及び合併予定に至っております。
さて、各地で合併協議が進む中で、いわゆる破談に至るケースが続出しており、協議難航の原因など課題が多くあると聞いておりますが、このことについて木村知事におかれましてはどのように認識をされておるのか。また、合併ができたとして、その後の地方分権にかかわっての地方主権の受け皿となり得るのか。また、合併に残された市町村は、このような分権社会の実現の中で生き抜いていけるのか。現状認識と今後の課題について、また地方主権の受け皿としての新地域となれるのか、木村知事のお考えをお聞きしたいと思います。
次に、市町村合併にかかわって、このほど那賀郡五町、打田町、桃山町、貴志川町、粉河町、那賀町各町による合併が、新市名を「紀の川市」として、打田町役場を本庁舎として、本年十一月七日を合併期日として県に申請し、合併することとなりました。この市は、県内各合併実現地域の中で、いわゆる本当の意味での新設合併であり、平成の大合併のシンボルと言われる浦和市、大宮市、与野市の合併でできた新さいたま市と同じように、和歌山県における合併のシンボル的役割があると考えております。
しかし、合併後の新市のあり方、住民サービスなど、未来に向けての町づくりを見据えた上でなければなりません。過去県議会において私が提唱、質問をしてまいりました紀泉百万都市圏構想とともに、激動する世界情勢を考慮し、新市のあり方を模索すべきであると思います。もちろん、地域においてのさまざまな課題や問題があることは事実でありますが、個々の問題においては後ほど質問をさせていただくといたしまして、グローバルな視点で新市のあり方、考え方をお聞きしたいと思います。
現在、景気や国際情勢は、アジア、特に中国、インドなど極東地域が中心となっており、世界経済の面から見てまいりますと、二〇〇〇年代初頭の十年が半ばを迎え、世界の経済構造は急速に変化をしております。アメリカ、日本を軸とした大量生産型製造業の一九八〇年代から通信技術とグローバル化の一九九〇年代を経て、中国、インド、ブラジルなどの巨大人口を擁する農業国が急速に工業化を進める中で、地球環境を初めとするさまざまで困難な問題の挑戦が続いております。昨年は、とりわけ中国の影響が顕著であり、経済のみならず多くの分野で影響を受けることとなりました。日本にとりましても重要な意味を持っております。
そのことを踏まえ、新市紀の川市の進むべき方向は、私は、関西国際空港二期工事の完成とともに、アジア、特に中国を相手として発展させなければならないと思うわけであります。もちろん、大阪府泉南・泉州地域との連携は最重要課題であり、あえて私が申し上げるならば、将来この地域との合併も視野に入れることが望ましいと考えております。ただ、現在の状況では、広域連合による一体となった取り組みが必要であり、あらゆる課題、可能性に積極的に取り組んでいただきたいと思う次第であります。
合併後の県と市町村の役割、振興局を初めとする県の組織の再編や整備、とりわけ那賀郡は紀の川市といわゆる岩出市との二つの市に管轄がなるわけであり、町村がなくなるわけであります。そういう意味での振興局の役割、これもひとつ整備についてとりわけ考えていただきたいと思います。また、周辺単独行政庁、例えば那賀郡における岩出町との関係など、どのようにお考えなのか。また、知事説明の中に「行政組織のスリム化と県民サービスの向上」を掲げてありますが、地方分権の中での地方主権や合併を念頭に入れた具体的でわかりやすい改変になっておらないというふうに感じておるわけであります。さらに、現在合併協議されている地域やその他の地域の合併について、今後どのように県として指導されるのか。
新市紀の川市の和歌山県における認識と町づくり、振興局を初めとする県行政のかかわり及び整備について、さらに、これから問題になるであろう単独市町村等に対する県の取り組みをお伺いいたしたいと思います。
続きまして、二つ目の課題でございます。五点にわたり質問いたします。
関西国際空港と紀の川市を中心とした紀北地域の一体的な発展についてお伺いをいたします。
関空については、二〇〇七年に四千メートル滑走路の供用を目指す第二期工事が、問題のあった中で進められております。開港当初には、大阪府はもちろん、和歌山県にとりまして、一向に浮上しない県勢のカンフル剤になることと大きな期待をいたしておりました。私は、県議会初当選の年の開港であり、登壇初質問の中にも、関西国際空港を利用した和歌山県の発展を模索することが大事であると当時述べさせていただいたと記憶をいたしております。
しかし、さまざまな要因の中で、関西国際空港の業績が思惑外れに終わり、二〇〇三年度までの三年間で連続して旅客数の減少により一兆円を超える有利子負債を抱えることとなり、経営の不安視が叫ばれることとなりました。このようなとき、関西国際空港の大きな競争相手として、愛知県常滑市沖の伊勢湾上に本年、中部国際空港が開港いたしました。これは、関西国際空港にとって、また関西地域にとっても強力なライバルの出現となると同時に、東京圏を打破し、広域連携の中で地方が打って出るチャンスでもあると思うわけであります。そういう意味では、関西国際空港二期工事の完成は大きな意味があります。
話は少し横道にそれましたが、前段で申し上げました我が地域の発展は、府県間の壁を取り除き、広域的な視点のもとで推進されるであろうと思います。幸いにも二期工事が完成を見るところまで進展してきておるところを見据え、大阪泉南・泉州地域と和歌山県紀北地域が関西空港を中心として発展を強力に推進することと相なれば関西圏の中心的役割を担う地域が誕生することとなり、ひいては地方分権時代における地域の構築ができるものと考えます。関西国際空港二期工事完成と新市紀の川市を中心とした紀北、大阪泉南・泉州地域と一体となった発展に向けて、和歌山県の認識を木村知事にお伺いをいたしたいと思います。
二点目として、そのための道路交通体系についてお尋ねをいたします。
先ほど申し上げましたように、和歌山県の発展に大きな意味を持つ関西国際空港の二期工事完成、二〇〇七年まで、あと秒読みとなってまいりました。今度こそ関西国際空港二期工事完成におくれることなく、地方主権の受け皿となるように早急に対応をしなければなりません。その一つとして、関西国際空港に通ずる道路交通体系の早期完成が重要であります。
和歌山県におきましては、県内交通道路に重点的に改修、新設をいただいておりますが、県内道路交通体系は、高速道路としては阪和高速道路があるのみであり、他府県に比べ大きなおくれをとっております。現在建設中の京奈和自動車道路は、紀北地域の発展にとり大きな意味を持っております。とりわけ前段で申し上げてまいりました地方分権時代の主権の受け皿として、京奈和自動車道路の完成は将来の和歌山県発展を左右するものであり、早期の完成を望むものであります。
一方、泉南地域と紀北地域の生活道路として重要視されておる府県間道路についてであります。
現在、岩出町からの泉佐野岩出線の拡幅工事が急ピッチで進捗しており、このほど風吹トンネルの工事開始ができましたことは喜ばしいことであり、早期な完成をお願いしたいと思います。なお、合併により新しくできる新市紀の川市の中心と言うべき泉佐野打田線につきましては、当選以来何回も質問をさせていただいておるところでございますが、大阪側の進展が全くと言っていいほど進んでおらない現状を見るとき、新市の町づくりにおける重要課題であるところから、早期の改修を強く望んでおるところであります。
ちなみに、国道四百二十四号線が打田町竹房橋南詰までの改修が進んでおる中、これを接続することによって、美里、野上両町を含めた一体的な道路交通体系の完成が見られるわけであります。新市紀の川市の重要道路としての京奈和自動車道路と泉佐野岩出線、泉佐野打田線及び周辺県道の進捗状況と整備についてお伺いをいたしたいと思います。
次に、三点目でございますが、和歌山県の基幹産業である農業問題についてお伺いをいたします。
さて、農業のあり方について、現在多くの課題が提起されております。国においても新しい農業政策が打ち出されております。一つは、二〇〇三年六月、農業生産者保護の代名詞とも言われてきた農水省の外部機関である食糧庁、そして一九三九年から続いてきた食管制度がいずれも廃止になりました。これは、日本の農業行政が初めて生産者から消費者側に転換されたことを意味する歴史的な行政組織改革であります。その後、新たに農林水産省に食品安全局が新設され、食品安全基本法に基づいた取り組みが行われ、特に食の安全という面においての道が確保できるようになりました。
二つ目には、農政の基本課題についての転換であります。土地利用型農業の零細分散制から資源管理型農場制への変革、安全・安価な食糧を安定供給できる環境保全型の農場制農業であり、もう一つは、農業を第二次、第三次産業へとシフトすることで多角化を図ることが大事であります。現在、打田町等に見られるファーマーズマーケット「めっけもん広場」等は、食の安全、特に新鮮であることのほか、グリーンツーリズム的要素が人気を博している例を見ても明らかなように、これからの農業は、単に産業という一面だけではなく、農村住民同士や都市と農村双方の交流の場として、生活上の最も身近な食を通じて地域や地元を見直す地産地消を目指すべきであり、臨空農業を視野に発展させなければならないと考えております。このことは、知事が常々推進されております緑の雇用事業、これの将来の具体的な、典型的な発展であろうというふうに思うわけであります。
なお、これを達成するためには、農協を初めとする農業委員会のあり方、改良普及センターなどの支援体制の整備、役割を再構築することから始めなければなりません。新市における臨空・都市近郊型農業への展開と、農業委員会や農協の役割、改良普及センターの整備についての考え方及び認識をお伺いいたします。
四点目に、都市基盤の整備についてであります。
安全で住みよい地域には、都市機能の充実が欠かせない問題であります。その第一は、昨年大雨や地震など自然災害が多く発生いたしましたが、災害時にどのように対処するかという問題は数多く議論されており、重要課題であります。一方、人的災害を防ぐ防災意識が希薄であるように思えてなりません。例えば河川改修をとってみても、県管理の河川において改修が進まない箇所が多数あり、一たび増水すると水害が起こる危険な河川も数多く存在をしております。また、必ず出るごみ処理施設の老朽化は、既に処理能力の限界が来ており、新市の大きな課題でもありますので、県の全面的な協力が必要であり、バックアップをお願いするものであります。同時に下水道の早期整備でございますが、紀の川流域下水道整備については、環境及び都市機能の充実に向け、早期の完成を強く要望いたします。
新市紀の川市においてはこれらの課題が山積しており、県としての指導や予算措置を早急に計画され、安全で環境に優しい地域づくりが構築できますよう新市とともに図っていただきたいと思います。
五点目に、交通政策のあり方について警察本部長にお伺いをいたします。
新都市の基盤整備の中に、県民の安全と財産を守ることがございます。この中で一番重要な事柄として、人の命を守る体制の整備が急がれるわけであります。昨今、犯罪発生件数は、治安を守る警察や国の法律の強化によって若干の減少に転じておりますが、重犯罪、いわゆる凶悪な犯罪が増加しつつある傾向であります。また、交通事故件数も二〇〇三年以降減ってきておりますが、死亡事故が後を絶たないこととなっております。
交通事故の発生する原因は多岐にわたっておりますが、特に交差点内の事故が一番多いように思われます。このような中、交通体系の根本的な整備が必要であろうかと考えております。交差点内の事故発生率が高いという原因は、もちろん運転者の交通に対する認識不足も一因でありますが、信号機等の不備によるところにも大きな欠陥があるように思われてなりません。交通体系の整備、特に現在の信号機設置の現状をお伺いいたしたいと思います。
次に、三項目めの人権先進県づくりについてお伺いをいたします。
さて、個人が生まれながらに有する基本的人権を守る歴史は、一九四五年の七月、ポツダム宣言の訳語に人権が登場して以来、御存じのように日本国憲法第十一条並びに第九十七条に明記されました。人権が自然的権利という思想は、もともと社会契約説を背景とし、そのための国家に先立つ権利とも言われておりますが、個人が人間としてそうした自然権を持つということは、厳密には論証不可能な命題であります。その意味では、現在、憲法による権利保障にとっては、むしろ公理と見るべきであります。国連や国際社会においても人権という議論は中心的課題であります。
今、地方分権が大きな岐路に立っておるとき、また、地方主権が叫ばれている中で、今後の地域の将来を形づくる政策が必要であります。私は、過去にも申し上げてまいりました我が和歌山県の進むべき方向として、人権先進県を目指すべきであると考えております。人が生きていく上でかかわりのある生活、労働、環境、文化、歴史などあらゆる局面において人権が存在をしておるわけであり、人間一人一人が持っている歴史、文化などを尊重するところから個人の尊厳が図られることとなり、ひいては全体的な人権の機運が高まるわけであります。いわば人権とは、あらゆる差別と偏見から解放され、人間が人間としていやされ、尊敬されて生きる基本的権利であります。
特に和歌山県は、豊かな自然、伝統のある文化遺産の宝庫であり、人間が人間としていやされ、尊敬される魂の人権文化の先進県であります。そのことが全国に誇るべき和歌山県の和歌山県たるゆえんであり、全国に誇りを持って発信できるものであると思います。人間の尊厳のふるさと和歌山県づくりについて、知事の見解をお伺いいたします。
次に、具体的な行政の責任についてお伺いをいたします。
知事説明の中にもあったように、規制緩和の時代に合った行政組織のスリム化と県民サービスの向上は、もちろん推進されなければならない課題でありますが、経費最少、民益最大の目標は、まず第一に県民の人権を守るところから出発し、本当のむだをなくすところから取り組み、より具体的な予算を伴ったものでなければ意味のないものとなってしまいます。県として人権擁護に係る体制の整備と基本方針の具体化、予算についてお伺いをいたします。
次に、まず実態調査の実施等を含め、実態の把握について御質問をいたします。このことについては、山下直也議員もさきの県議会において一般質問されておりますが、重ねて質問をいたしたいと思います。
和歌山県では、昨年八月、人権施策基本方針が策定されましたが、これは二〇〇二年に施行された人権が尊重される社会づくり条例の具体化を目指したものであり、人権擁護の確立に向けた具体的な施策を実施するための基本方向を示したものであります。しかし、人権はこの基本方針の中でも触れられておるように、それぞれ具体的な人権の課題があり、またそれぞれの歴史や社会性及び具体的な課題があります。つまり独自性と共通性があるわけであり、そのことを見きわめる必要があります。
特に今後、この基本方針を受けて具体的な施策といいますか実施計画を進めていくためには、条例の中でも規定されているように、それぞれの人権課題についての実態の把握が不可欠であり、新年度に計画されている同和問題に係る調査については極めて重要な意味があります。特に同和問題については地域に対する差別と地域出身者を含めた関係住民という二つの要素があり、このことを十分踏まえられることを強く要請するとともに、さまざまな他の人権課題についても引き続き実態の把握に努められるよう要望いたします。実態調査実施の考え方についてお伺いをいたします。
最後に、昨年十二月、和歌山県議会において、多くの先輩・同僚議員の御理解を得、人権侵害救済法の意見書を採択していただきました。国に提出できましたことは、県議会の人権に対する認識があふれ出たことと深く敬意を表するところであります。国においては、こうした地方議会や多くの人権団体の思いを受け、現通常国会の場で成立を期して議論されております。この法案についてはこの場で詳細な論評は避けますが、骨子は、人権委員会という独立した人権の擁護と侵害への救済をするための機関を設置することであります。しかし、有効性や迅速性の面から見ますと極めて不十分であり、行政改革の中、地方にとりましても非常に難しいと言われております。
こうしたことを踏まえたとき、さきに述べた人権施策基本方針の中でも言われている独自の人権擁護と侵害への救済をするための機関やシステムについて十分検討する必要がございます。国会の動向や国の人権委員会との関係について、和歌山県としての人権侵害救済法の考え方と県独自の人権委員会の設置についてお伺いをいたします。
以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、二十一世紀型分権社会の展望と課題ということでございますが、このところ分権、分権ということで、かなり実質的にも地方の方が意見を言っていくというふうな環境ができてきたということは間違いないことだというふうに思っておりますが、しかしながら、高齢化社会が進展する中で来るべき分権社会がどんなものになるのかということの姿というものを国民にいまだ示すことができていないというふうなことの中で、十分な理解が得られるところには至っていないというふうなことを思っております。これからの課題としては、分権型社会になればどういうふうなメリットがあって、どういうことが国民の生活にプラスになってくるのか、日本の国にとってどういういいことがあるのかということを明らかにしていくことが必要であろうかというふうに思っております。
そういうふうな中で、国、県、市町村の役割ということですが、分権型社会では、当然のことながら住民に一番身近なところの市町村というふうなものが主体になって、そしてそれを都道府県が補完し、国は本来国が行うべき仕事に特化し、これを専門的に行っていくということが日本の国のこれからの進むべき方向として望ましいのではないかというふうなことになろうかと思います。国は県や市町村に対する過度のおせっかいをやめる、県もまた市町村に対するおせっかいをやめる、そういうふうなことの中から、それぞれが本来行っていくべき仕事をちゃんと見きわめて責任を持ってやっていくということが必要かと思っています。
とりあえず、県として、それに対してどうするのかというふうなことなんですけれども、この二月一日に和歌山県の県・市町村連絡会議というのを設置いたしました。これは、これからやっていくことについては、まだある程度五里霧中なところがあるわけですけども、権限の移譲でありますとか財源の移譲でありますとか、それから税源の確保のあり方でありますとか、お互いのコスト縮減の方向とか、いろいろな事柄について走りながら双方で考えていく、協力していくというふうなこと、そしてそれから新しいことを生み出していく会議にしていって、和歌山県内の市町村自治というふうなものの確立に向けて頑張っていきたいというふうに思っております。
それから、合併の認識と課題、分権の受け皿になれるのかどうかとというふうなことでございます。現在、全国で大体三千二百あった市町村が、今回の合併が終わると大体二千ぐらいになる。和歌山県もほぼ同じぐらいの割合で市町村の数が減ってくるというふうなことになってこようかと思います。そしてまた、この過程の中で、合併を目指していたけれども、なかなか最終的にはうまくいかなかったというふうなところが出てきていることも事実でございます。
いずれにしても、合併したところについては、この合併を形式的なものだけに終わらせずに、本当にその地域の発展に結びつくような形でこれを生かしていかなければならないと。例えば、南部川村と南部町はもう既に合併してみなべ町になったわけです。非常にうまくいっているというふうな話を聞いておりますけども、こういうふうなところが先行モデル事例になってよりよい形を示していくことも必要であろうかというふうに思っているところでございます。
そしてまた、うまくいっていないところというふうなことですが、これについても、第二期の合併というふうな問題が出てまいりますので、そういうふうな中で県も十分協力しながら今後の方向を探っていきたいというふうに思っております。
そして、今回合併していく紀の川市ということですけども、この地域は、和歌山県で人口が発展している、大阪との関係もあって非常に活力あふれる地域であるわけです。そこが今回の合併によって六町が──岩出町も市になりますから二市になるというふうなことで、環境が激変するというふうに思っているわけです。こういうふうな形になったときに、この地域の持っている潜在的な発展能力を思い切り引き出してこの地域が発展するようにしていくということが、私は和歌山県の変化にとっても非常に大きな要素であるというふうに思っておりますので、県としても大いに協力をしていきたい、このように思っております。
次に、こういうふうになったときに振興局の仕事がどうなるのかというふうなことでございます。
振興局のあり方については、和歌山県は地域が広いので、一気になくすとかいうふうな激論というのはなかなか難しいと思います。その地域によっては非常に大事なところがあるわけです。ただ、やっぱり合併によって状況が変わってきていることも、これはもう疑いもない事実ですので、所管区域の広域化でありますとか、それから本庁への事務の集約化、こういうふうなことを通じて、組織の簡素、効率的な体制づくりということを今鋭意検討して、近々また発表するような方向になっております。その他の地方機関につきましては、それぞれの行政管内の区域ということの変化に合わせて対応していくというふうなことになろうと思います。
それから、今回単独で残った町村というふうなものへの取り組みということですが、単独で残ったところも、それぞれに非常に重い事情を抱えて単独で残ったというふうな事情があるわけです。これから財政面等でいろいろ歩んでいく道は厳しいと思いますけども、県としても、こういうふうなところについても十分できる限りの支援をしていきたい、このように思っております。
それから次に、関空の二期工事で紀北と泉州の一体的な発展というふうなことでございます。
今、一般的に祝詞のようにこういうふうなことは言われるわけですけども、しかしながらやっぱり二期工事が完成するということは、一つの大きなきっかけになると思います。特に泉佐野岩出線なんかも広くなってきているわけですし、そういう中で、泉州と紀北地域の一体的な発展ということをもう一度改めて見直すいい契機だと僕は思います。今、現にめっけもん広場なんかを見てもわかるように、非常に交流人口がふえてきている。そういう中で、近場の観光資源というふうなものにも恵まれ、緑にも恵まれ、そしてまた住環境としても非常にすぐれたもののあるこの紀北の紀の川流域地域が関空の二期工事の完成と一体となって発展するというふうな要素は僕は大いにあると思いますので、そういうふうな観点からも十分考えていきたいと思いますし、あわせて府県間道路の整備については、これは非常に重要なことだと思っておりますので、これからも力を入れてやっていきたい、このように思っております。
最後に、人権尊重の社会づくりということでございます。
和歌山県は、人権尊重の社会づくり条例をつくり、さらには昨年八月に人権施策の基本方針を定めていろいろな施策を進めているわけですけども、今、非常に能力主義とか、それから弱肉強食とか、そういう形での経済の回復というふうなことになっておりまして、非常にぎすぎすした社会になりつつあると。そういうふうな社会では、ともすればいろんな形での人権侵害が今までよりも起こりやすいような環境にあるというふうな基本認識を私は持っております。そういうふうな中で、こういう条例とか要綱とか、そういうふうなことのお題目だけということではなくて、実質的ないろいろな面での弱者に対する人権侵害というふうなことが起こらないように県としては力いっぱい対処していきたいと、このように考えております。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 道路交通体系の早期完成についてでございます。
御指摘の各道路について、その状況を申し上げます。
まず、京奈和自動車道につきましては、橋本道路については平成十七年度供用に向けて工事が全面展開されております。また紀北東道路につきましては、用地買収について、関係町の協力のもと、県としても全面的に支援しており、現在、かつらぎ町と那賀町域において用地買収中であり、今後、西側へ順次用地買収の展開を図ってまいります。紀北西道路につきましては、予備設計が進められております。今後ともより効果的・効率的に早期整備が図られるよう、国に対して強く要望してまいります。
次に県道泉佐野岩出線につきましては、和歌山県側は現在用地買収率九八%で、昨年十二月に新風吹トンネルの掘削に着手し、事業の促進を図っております。大阪府側につきましては、平成十四年十一月に金熊寺バイパスが暫定供用され、現在残る区間の用地買収と工事が進められております。
また、県道和泉佐野打田線につきましては、和歌山県側は既に用地買収を完了しており、工事も府県境から百メートル間を残してすべて改良済みの状況であります。しかしながら大阪府側では、府県境部の大木工区で公図訂正作業が難航していると聞いております。大阪府においても鋭意努力していただいておりますが、公図訂正を早期に完了し、本格的に事業が進められるよう、今後とも阪和開発連絡協議会等の場で強く府に対し働きかけてまいります。
その他、周辺県道の整備状況につきましては、県道粉河加太線の岩出町山地内から和歌山市中筋日延地内間の延長一・三キロにつきまして、長年懸案であった用地問題も解決し、三月七日、昨日でございますが、供用したところでございます。また、県道西川原粉河線の中ノ歳地内から猪垣地内間について、平成十三年度より事業着手し、現在、用地買収率四二%と事業進捗を図っております。県道かつらぎ桃山線の黒川峠につきましては、特に交通の支障となる箇所の現道対策を検討してまいります。
次に、都市基盤についてでございます。
新市紀の川市の設置が進められている那賀五町における安全で環境に優しい都市基盤を形成するための県管理河川の改修につきましては、現在、新しい市の建設計画にも位置づけられている春日川の改修に重点的に取り組んでいるところでございます。直轄管理区間、上流端から支川森川合流点までの延長三・八キロのうち、下流から藤崎井用水横断部までの一・七キロの区間は改修済みであり、引き続き上流に向け、築堤、護岸等の工事を実施してまいります。また、近年の流域における開発に伴う流出形態の変化が見られる烏子川においても、流下能力の増大を図るべく、下流側より順次河川拡幅、護岸等の整備を進めているところでございます。これらの河川につきましては、引き続き計画的な整備を進めてまいります。
その他の河川につきましても、治水機能の確保、河川環境の保全を図るため、護岸の修繕、河床のしゅんせつ、除草等、適切な維持管理に努めているところでございます。今後とも流域の開発状況や浸水被害の状況等を勘案し、広域的な観点から重要度、優先度を判断しながら効率的・効果的な河川改修に取り組んでまいります。
以上です。
○議長(小川 武君) 農林水産部長阪口裕之君。
〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 臨空・都市近郊型農業への展開と農業委員会や農協の役割、改良普及センターの整備についてでございますが、新市の地域におきましても農業振興は大きな課題であり、議員御指摘のとおり、これからは農業は生産だけではなく、加工や観光、体験などを含めた独自産業への展開が重要と存じます。
紀の川流域は、大阪泉南地方に隣接し、関西国際空港にも近いことから、都市近郊型農業を進める地域として位置づけ、観光部門と連携し、都市部からの人口流動を図っているところでございます。そして、こうした取り組みが当地域の農業版緑の雇用と言えるものではないかと考えてございます。
今後、当地域で生産が拡大している有機農産物を初めとした新鮮で安全な和歌山ブランド農産物の生産、消費拡大を進める中、JAや市町村、振興局などが参画している那賀郡農業体験観光推進協議会や農業委員会と連携を図りながら、遊休農地の活用や農地の集約を推進することとしてございます。また、高度技術の普及、意欲的な担い手の育成はもとより、地域農業のコーディネーターとして地域により密着し、かつ効率的な普及活動に取り組むため普及センター組織を見直し、体験農園を初めとする多彩な都市近郊型農業の取り組みを支援してまいりたいと考えてございます。
○議長(小川 武君) 企画部長高嶋洋子君。
〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 人権先進県づくりについての三点についてお答えを申し上げます。
まず、体制の整備につきましては、企画部に人権局を設置するとともに、人権施策の推進を図るための全庁組織であります人権施策推進協議会の設置とか、あるいは各部局の課や室に人権同和施策推進員を配置するなど、人権施策推進体制を整えてまいりました。これらが核となりまして、昨年八月に策定いたしました和歌山県人権施策基本方針にうたわれております事項をより具体的に着実に、すなわち人権の視点に立った行政をさらに全庁的に、あらゆる人権侵害を許さない、そういう強い意思で推進してまいります。
そういったことも踏まえまして、平成十七年度から人権課題の克服、市町村との連携、NPO等との協働といった新たな事業について取り組みをいたします。また、人権啓発センターのさらなる充実強化など、すべての人の人権が尊重されるふるさと和歌山県づくりに積極的に取り組んでまいります。
人権尊重の社会づくり条例では、「人権施策の推進に当たっては、人権に関する実態の把握に努める」と定められているところであります。人権施策基本方針を具体化していく上で、実態の把握のための調査が必要と考えております。そのため、平成十七年度予算においては、同和問題を初め、さまざまな人権課題の現況を調査するための予算を計上させていただいております。今後、その方法、内容等を十分検討し、効果的な調査を実施してまいりたいと考えております。
平成十五年十月に廃案になりました人権擁護法案につきましては、政府・与党は一部修正して本年の通常国会へ再提出することを決定したというふうに聞いております。県といたしましても、実効ある救済制度としての人権擁護法の一日も早い成立を期待しております。
議員御質問の委員会の設置についてでございますが、この法律の状況を見守りながら、人権侵害に対する救済手法や組織体制など、被害者の視点に立った、より有効な救済のあり方について検討してまいります。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 警察本部長宮内 勝君。
〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 交通体系の整備、特に信号機設置についてお答えいたします。
交通信号機は、現在県下で一千五百五十九カ所に設置しており、毎年二十基程度を新設しております。交通信号機設置に対する県民の皆様からの要望も約三百カ所を数えており、警察としましては、交通の安全と円滑を図るため、今後も信号機を設置していく必要があると考えております。新設に当たっては、毎年新設できる基数が限られることから、交通事故の危険性、交通量、道路状況、通学路等の交通環境等を勘案の上、必要性、緊急性の高いところから計画的に整備しております。
今後も、地域の交通実態の変化を踏まえ、交通信号機の新設、改良等、必要な安全施設の充実に努めてまいる所存であります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十一番飯田敬文君。
○飯田敬文君 御答弁いただきました。一点だけ要望を申し上げたいと思います。
これからの分権型社会の実現に向けて、第一次の市町村合併は終わりましたが、地方が責任を持って自己決定していくという社会が今求められておるわけでありまして、これからは市町村の激烈な競争社会に入っていくんではないかという感がいたしておるわけでございます。これは、各都府県も一緒だろうと思います。そういう意味で、今度、第二次合併等、さまざまな受け皿社会としての取り組みが真剣にこれからは求められてくるというふうに思うわけでございます。
先ほど知事からも、県及び市町村連携会議を立ち上げていくんだと、こういう答弁をいただきまして、こうした流れを踏まえて、第一次合併の教訓を踏まえてこの分権社会に耐え得る、そういう県の強力な指導性を強くお願いをするものでございます。
また私は、県議会としても県会議員としても、この応分の責任は負わなければならない必要があるというふうに思っておるわけでございまして、この会議、あるいはこの会議に県議会の代表を送るとか、あるいはそれぞれの市町村の合併において県会議員が果たす役割を一定の組織の中で意見が言えるような場をひとつつくっていただいて、反映できるような形でこれからの社会を築いていかなければ大きな禍根を残すんじゃないかと、このように思うわけでございまして、そういうことで、そういったことをひとつ知事の頭の中に入れていただきまして、強く要望を申し上げまして質問にかえさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十番新田和弘君。
〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。若干質問で重複する点がありますが、よろしくお願いをいたします。
それでは、質問に入ります。
まず初めに、わかやま産業イノベーション構想に関連してお尋ねいたします。
本県には約四万六千社の中小企業があり、それぞれの企業が本県経済の活性化を目指して活動いたしております。そこで革新的、創造的経営を目指す人や企業を発掘し育成することは、次世代の県経済を牽引する新事業や新産業を創出し、新たな雇用機会の創出にもつながるものであります。わかやま産業イノベーション構想では、やる気のある企業の経営革新や新事業拡大へのニーズに、技術、経営ノウハウの提案や販路拡大、融資など、さまざまな支援を行ってきております。
まず、大学発ベンチャー支援事業では、県内産業を活性化するため、研究成果を活用して県内でビジネスを起こしたいと希望する大学の研究者や学生を対象に、創業に必要な経費の一部を補助しています。この制度を活用して、平成十四年十一月にジーンコントロール株式会社が設立され、近畿大学先端技術総合研究所にオフィスがあります。同社は、遺伝子操作によりがんなどの病気を発病したマウスを生産し、新薬の開発や医学の発展に役立てようとする企業で、取締役には農学博士の三谷氏が活躍をしております。
さらに、新しい才能を育てる環境づくりの事業としてスタートアップ・オフィスを実施しています。この事業は、ITを活用した新事業を目指す起業家や創業間もないベンチャー企業などに、低料金で充実したビジネス環境を県経済センターで提供しております。平成十五年二月に脳の血流量の計測など医療用ソフトを開発するアルファシステムズ株式会社を設立、赤松氏が活躍をいたしております。
知的財産の保護には、特許流通アドバイザーの活動費を県が補助する形で中小企業の特許有効活用などの相談に応じております。
産学官の共同開発で新分野を開く事業として、財団法人わかやま産業振興財団が支援するきのくにコンソーシアムでは、大洋化学株式会社がこの制度を活用して、県工業技術センターと共同でポリ乳酸を原料とした生分解性樹脂を開発しました。また、築野食品工業株式会社と県工業技術センターとの共同研究で、天然フェルラ酸の効率的な抽出製造法の開発に成功。今後は、食品分野だけではなく、化粧品や衣料品の原料として活用されるよう研究を続けております。太洋工業株式会社は、自社のプリント技術を生かし、県工業技術センターの支援を受けてフレキシブルプリント基板の製造に進出し、フレキシブルプリント基板を一貫生産できる試作メーカーとなりました。平成十五年には創造法の知事認定を受け、研究開発補助金によりフレキシブルプリント基板を用いた電子基板検査機の開発に成功。平成十六年十二月にはジャスダック市場への株式上場を果たし、活躍をいたしております。
プロのノウハウを技術革新に生かす事業として、財団法人わかやま産業振興財団の企業カルテ委員会が選んだ企業に専門家チームを派遣し、企業プロデュースを実施し、経営革新、第二創業、新製品開発、販路開拓などのビジネスプランの実現を企業とともに考える事業で、県民から期待をされております。また、オンリーワン企業を発掘・育成する企業ソムリエ委員会は、中小企業から応募された新製品、新サービス、新技術など新たなビジネスプランを審査・評価し、認定した企業に対して支援を行っております。昨年十二月には、奨励賞企業として、和歌山市の株式会社クリーンサワの新洗浄技術に基づくドライクリーニング装置及びドライクリーニング方法の開発が評価されました。
そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
一、本県では、新事業、新産業の創出により県経済の活性化と新規雇用の創出を目指して、わかやま産業イノベーション構想を推進しています。木村知事はマニフェストにおいても同構想の推進を挙げていますが、今後さらに県内のやる気のある人や企業を支援していくためにどう取り組まれるのか。
二、イノベーション構想を推進していくためには、財団法人わかやま産業振興財団や県工業技術センター等の人材確保にどう取り組まれるのか。
以上二点、お尋ねいたします。
次に、県内の中小企業を取り巻く金融情勢は厳しい状況にあります。中小企業においては、融資を受けたいが、既に保証協会より保証を受けて借り入れているため、借りかえ融資を希望する事業者が多くあります。一度借りかえたが、もう一度借りかえたいなどの要望もあります。また先般、民法が改正され、保証人の返済責任の上限と期限が定められていない包括根保証の廃止が実現いたしました。これにより、保証人が多額の保証債務に苦しむことが改善されたわけであります。本県では、中小企業への新たな金融支援として、無担保、第三者保証なしの元気わかやま資金を創設し、中小企業を支援しようとしております。
そこで、商工労働部長にお尋ねいたします。
一、資金繰り円滑化資金、いわゆる借りかえ融資において、中小企業の金融情勢や資金ニーズを踏まえて弾力的な支援を要望していますが、どう改善されるのか。
二、元気わかやま資金の融資条件はどうか。
三、県保証協会では、本年四月から包括根保証の廃止へどう取り組まれるのか。
以上三点、お尋ねをいたします。
次に、市町村合併の推進についてお尋ねいたします。
「平成の大合併」と呼ばれた市町村合併の動きが大詰めを迎えています。市町村合併のねらいは、地方分権化、生活の広域化、少子高齢化に対応して市町村の行政能力を高めるとともに、行政の効率化を図って国と地方を通じた財政危機から脱却することであります。平成十一年四月に全国で三千二百二十九あった市町村が、本年三月末には二千五百前後となり、さらに合併特例法の経過措置が切れる来年三月末には千八百前後になる見通しであります。本県でも、平成十六年四月一日に五十市町村が、合併により本年四月一日には四十七市町村に、さらに来年四月一日には岩出町が市制施行するため九市二十町一村の三十になる見通しであります。
政府の地方制度調査会では、市町村のほぼ半数を占める人口一万人未満の小規模町村に対して都道府県が合併を促すことを求めています。理想的な基礎自治体は十五万人から三十万人でありますが、少なくとも人口三万人以上の市に再編することが望ましいとの指摘もあります。今回の合併では、特例法で地方交付税や合併特例債による財政支援などを定め、合併後十カ年度は経費の九五%まで借金して新しい町づくりのための建設事業を行うことを認めており、その元金と利息の七〇%は国が地方交付税で措置することになっています。そのため、合併による住民に真に必要な公共事業の実施が強く望まれております。
今年四月からは五年間の時限立法で新市町村合併特例法が適用され、一層の合併促進を目指すことになります。都道府県は基本指針に基づいて合併構想を策定し、合併の法的手続の前提となる合併協議会の設置などを勧告することができることになっております。
そこで、木村知事にお尋ねいたします。
一、本県における市町村合併に対する知事の所見と、合併新法において本年度の早期に発表される国の基本指針に基づいて、合併構想の策定、市町村合併推進審議会の設置など、今後どう合併推進を図られるのか。
二、市町村合併や市制施行により、平成十六年四月には四十三町村がありましたが、平成十八年四月には二十一町村に半減し、それぞれ市となるため、従前は県の振興局で行っていた業務が市へ移管されることになります。県が平成十五年三月に策定いたしました行政組織等の見直し実施プログラムにおいて振興局の見直しが提言されていますが、県から市に移管される業務及び振興局体制の見直しをどう進めるのか。
以上二点、お尋ねをいたします。
次に、市町村の地方債の発行が平成十八年度から、県の許可制から県の事前協議制に変更されます。また、国からの税源移譲も、平成十八年からは所得税から住民税への移譲となるため、税収基盤の弱い小規模自治体は大きな影響を受け、地方交付税による補てんに期待をするしかない状況になります。財政の一層の悪化が危惧されるところであります。県は市町村の起債制限比率など財政状況を勘案して地方債の発行について協議をしていくわけでありますが、今後、市町村の地方債の事前協議制にどう対応されるのか。また、市町村の事業を円滑に進めるため、どう対応されるのか。総務部長にお尋ねをいたします。
次に、児童養護施設の整備についてお尋ねいたします。
去る二月八日、児童養護施設の社会福祉法人虎伏学園を、県子育て推進課の方に同行していただき、視察をしてきました。虎伏学園では五明理事長、理事の嶋園長さんたちが迎えてくださり、嶋園長さんより概要説明を受けた後、同学園の諸施設を視察しました。同学園の定員は六十名で、現在五十八名の子供さんが入所いたしております。同学園の沿革は、結核性虚弱児、ぜんそく等身体虚弱な児童を救済するため、和歌山市中之島に在住の谷本紀次郎氏が昭和三十四年五月に用地五百坪を寄贈し、昭和三十五年五月にお年玉付郵便葉書寄附金二千万円を受け、同年六月に和歌山市民生部が中心となり、財団法人和歌山虚弱児施設建設委員会を設立させ、昭和三十七年六月に開園いたしました。その後、宮小学校、日進中学校の特殊学級が併設され、昭和五十年四月より宮小学校、日進中学校の分校となりました。平成十年四月からは虚弱児施設より児童養護施設に移行し、関係者の皆様の御努力で今日に至っております。
視察をいたしました感想ですが、施設が開園して四十年も経過しており、建物の改良工事が昭和五十三年に中央競馬会等による助成金を受けて児童居室改造事業が行われているだけのようで、分校である校舎も二階にプレハブで設置されている状況で、学校の施設基準に合っているのかと思える状態でした。市の教育委員会によりますと、和歌山市が福祉法人から虎伏分校の校舎を賃貸借契約しているため、施設の改善は法人が実施していくものとのことでありました。
児童の居室についても、一室に七名から八名が生活しているとの説明でした。法律では設備の基準として、「児童の居室の一室の定員は、これを十五人以下とし、その面積は、一人につき三・三平方メートル以上とすること」と定められているため、十分な基準を満たしているとのことでありますが、一室に七、八人が共同生活することは、公営住宅の建設においても居住水準が改善されてきている今日、法律の改正を含めて早期の整備の必要を感じた次第であります。
分校の教室についても整備が必要であることは論をまちませんが、生徒の絵や作品が掲示されていないため、どうしたのかなと思った次第であります。見に来られる父母がいないためか、だれかの作品を掲示すると共同生活にトラブルが起こるのか、ほかに原因があるのか、いろいろ考えさせられました。
現在、子供をめぐる問題として児童虐待が急増してきており、平成十五年度に児童相談所が受けた虐待に関する相談は二百十八件と、過去最高となっております。さらに、児童・生徒のいじめの問題を初め、不登校児童・生徒の問題、非行少年問題など、課題が多くあります。こうした問題の解決のため、学校を初めとする関係機関が努力していただいていますが、保護者の監護を受けられない児童や保護者から虐待される児童等、児童相談所を通じて児童養護施設に入所することになります。本県では虎伏学園初め七カ所ありますが、設置主体者が福祉法人であるものがほとんどで、虎伏学園では、以前は理事長が和歌山市長でありましたが、その後、民間の方にかわり運営していただいてきておりますが、施設の整備には困難を来しているのが実情であります。
そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
一、児童福祉法の改正により、児童虐待防止対策等の児童相談体制の充実強化にどう取り組まれるのか。
二、虎伏学園初め、こばと学園、和歌山市旭学園など県下の児童養護施設の整備に対して県は今後どう取り組まれるのか。
以上二点、お尋ねをいたします。
次に、義務教育制度の改革についてお尋ねいたします。
文部科学省においては、新しい学習指導要領のもとで子供たちにみずから学び、みずから考える確かな学力をはぐくむため、平成十四年一月に「学びのすすめ」として五つの方策を示し、各学校での取り組みを支援してきました。本県では、平成十五年四月より少人数学級である三十五人学級を実施し、順次対象学年の拡大が図られてきました。さらに、文部科学省の学力向上フロンティア事業の研究指定を受けた和歌山市立城北小学校、町立粉河小学校、町立野上小学校では、教科担任制や習熟度別少人数指導、チーム担任制、土曜スクールなどの取り組みを行い、実績を上げ、平成十六年度の県教育研究奨励賞を受賞しています。また、かつらぎ町立妙寺小学校では平成十四年から二学期制を導入してきており、和歌山市の加太中学校、東和中学校の二校でも平成十六年度から二学期制が導入され、県下各市町村でも二学期制を試みる学校が増加してきています。
小中一貫教育につきましては、本県では平成十四年度に県独自で研究をスタートさせ、平成十五年度には国の研究指定を受け、県下三地域十四校で、小中一貫した教育課程の開発や教員の交流、授業の交流など、研究が行われております。加えて、新宮市立光洋中学校では、国の研究指定校として全国中学校の中で二校のうちに選ばれ、平成十四年から三年間、新しいタイプの学校運営のあり方に関する実践研究を行ってきております。光洋中学校では民間から校長先生を迎え、学校運営協議会制度を推進するコミュニティースクールとして保護者や地域住民と校長や教職員とが一体となった学校づくりを行い、地域に開かれた信頼される学校の実現を目指しております。
昨年の十一月十三日にNHKが「二十一世紀日本の課題 学校を変えるのは誰だ」とのタイトルで光洋中学校の取り組み等をテレビ放映し、全国に大きな反響を呼びました。こうした取り組みが行われる中で、文部科学省では、三位一体の改革において義務教育費国庫負担制度の議論が行われる中で、単に財政論議だけではなく、教育のあり方をどうするかという観点から義務教育における国と地方の役割などを議論することが喫緊の課題となっております。
こうした状況を踏まえて、昨年八月には河村文部科学大臣(当時)が義務教育の改善策を発表いたしました。さらに昨年九月には、中央教育審議会総会で義務教育改革の内容とスケジュール案が示されました。それによりますと、信頼され、安心して子供を託することができる学校づくりとして、義務教育制度の弾力化では、義務教育の最終の到達目標を明確に設定する、小中一貫教育を制度化する、教員養成の改革では、教員養成の専門職大学院を設置する、教員免許更新制を導入する、学校・教育委員会の改革では、学校評議員、学校運営協議会の全国的な設置を促進する、学校評価について自己評価、外部評価の規定のあり方について検討する、教員評価について評価システムを検討する、その他の制度改正事項として、小中学校における特別支援教育の推進体制を整備するとしております。
さらに、昨年十二月、経済開発協力機構(OECD)の学力調査で日本の子供の学力が大幅に低下したことを深く受けとめて、学力向上策を検討する義務教育改革推進本部の設置を決定いたしました。学力向上を目指す取り組みとして、東京都品川区では、国の学習指導要領の教育内容を前倒しした小中一貫のカリキュラムを本年二月に発表、金沢市でも、今年から指導要領に上乗せする形での金沢スタンダードを導入しております。本県の新宮市では、本年から春・夏・冬休みを削減して、授業時数を年間六日程度ふやす方針を発表いたしております。
そこで、教育長にお尋ねをいたします。
一、義務教育制度の改革については当然制度改正が必要でありますが、本県では義務教育の改革にどう取り組まれるのか、お尋ねいたします。
二、本県が実施している学力診断テストを通じて、中学校において、社会・数学・理科に課題がある、読解力・表現力に課題がある、また基本的な生活習慣と学力の相関関係が明らかになったとしていますが、本県の学力向上に向けて今後どう取り組まれるのか。
以上二点をお尋ねいたしまして、第一回目の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 産業イノベーション構想についての御質問でございます。
これまでの取り組みについて、るる事例を挙げて御質問いただき、非常に私も感銘したわけでございますけれども、この地域産業を中心とした地場産業のブラッシュアップと革新を目指すというこの産業イノベーション構想、いろいろな取り組みを行ってまいりました。そしてまた、それなりに一定の成果を上げてきたものと思っておりまして、新年度もこの方針をさらに強く貫いて行っていきたいと思っております。
例えば一つは、専門家をそれぞれの企業に派遣をいたしまして、その商品なんかが売れるようにいろいろなことを企画していく企業プロデュース事業──なかなか名前が難しいんですけども、企業プロデュース事業でありますとか、それから和歌山県の企業が持っている技術のブラッシュアップを行っていく「技あり」企業支援事業でありますとか、それから研究員を派遣していくいきいき研究スタッフ派遣事業と、みんなそれぞれに名前がついているわけでございますが、こういうふうな事業を重点的に行っていって、二十一世紀型のやる気のある地場の企業というものを育てていきたいというふうに思っております。
そして、こういうことを行っていく上では、こういうことを推進する人材の確保ということが、御質問にありましたように非常に重要でございます。去年から産業振興財団の部長さんに二名の民間の方に来ていただいたんですが、この方々の活躍は、私もよく見ていますけれども、もう大変大きな成果をおさめていただいておりまして、これはなかなかいい制度だなというふうに思っているわけです。その方がそれぞれに今までに培ってきた人的なネットワークでありますとかノウハウ、こういうものを和歌山県の産業の振興に存分に今生かしてもらっているというふうなことで、こういうことをさらに拡充していこうと思っております。
それからもう一つ、来年度の目玉といたしましては工業技術センター。この和歌山県の工業技術センターは、他県の工業技術センターと比べても、地域の産業との協力、そしてまたそれの支援ということに相当役に立っている機関だと自負しているわけでございますが、ここの所長に初めて民間の人を招くというふうなことで、名実ともに民間の人のノウハウというものを入れて和歌山の産業をイノベーションしていく構想を推進していこうと思っております。
次に、市町村合併についての所見ということでございます。
先ほども申し上げましたが、全国で三千二百ある市町村が二千になる、和歌山県でも五十が三十になるというふうなことで、数の上では一定の成果を上げたわけでございますけれども、しかしながら合併はしてからというふうなことになりますので、これからこの合併というものが本当に地域の振興に役立つような形で県もいろんな形でサポートしていかなければならないと思っております。さらには、新法が発効するわけでございますが、これによって、今回の合併では合併に至らなかったところとか、さらにはもっと大きな枠組みで合併を目指していこうというふうなところについて国の指針も示されるということになっておりますので、これに対応しつつ、来年度の当初予算でも検討のための合併推進審議会設置の所要経費を予算案に計上しているところでございまして、この審議会等を活用して来るべき次の合併についても前向きに取り組んでいきたいというふうに考えております。
さらに、合併した県から市への移管業務にどういうふうなものがあるのかという御質問でございますが、例えば生活保護の関連事務、さらには児童扶養手当の認定支給事務など、福祉関係の事務が県から市へ移管されるというふうなことになっております。こういうふうなことに伴いまして、これまでの振興局というふうなものについても、当然のことながら見直しをしていく必要があるということで、所管区域の広域化でありますとか本庁への集約化を通じてこの振興局の簡素化に努めていくということでございますけども、ただ、これは簡素化すればいいというだけのものじゃなくて、やはりそのことによって地域の人へのサービスというふうなことが低下しないような形でこの組織変更ということを行っていきたいと、このように考えております。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) わかやま産業イノベーション構想の三点についてお答え申し上げます。
まず中小企業への資金支援でございますが、制度融資を二制度九資金に再編・統合し、中小企業の利便性を向上させるとともに、資金ニーズにより、きめ細かくこたえてまいりたいと考えてございます。資金繰り円滑化資金、いわゆる借りかえ資金につきましては、新規融資枠を五百億円に増額したところでございます。さらに、資金使途に本年三月末まで実行された県借りかえ資金を組み入れ、再度借りかえることを可能とするとともに、協会保証つきの金融機関プロパー融資を新たに対象にするなど、制度の拡充を図ったところでございます。
次に元気わかやま資金の融資条件でございますが、県、保証協会、金融機関が連携することにより、今年度に実施した広域CLO融資と同様に無担保、第三者保証人不要とし、また法人企業だけでなく、青色申告の個人事業者も融資対象に含めるなど改善を図ったところでございます。
次に包括根保証についてでございますが、中小企業が金融機関から融資を受ける際には経営者等による個人保証が広く用いられ、また継続して借り入れる場合は根保証の活用が慣行となっております。しかし、根保証の中で極度額や期間を定めない包括根保証は、経営が破綻した際に経営者や連帯保証人に過重な負担となるおそれがあり、また経営者の再起を困難にしていることから、民法が改正され、本年四月から禁止される予定になっております。制度融資での包括根保証の利用はございませんが、保証協会では、これまで、当座貸し越し、手形貸し付け、手形割引など、一部制度で包括根保証を活用してきたところでございます。法改正を受け、保証協会では、現在、全国信用保証協会連合会などと協議をしながら保証契約の見直し作業を進め、対応を図っているところであり、県としましては、必要に応じ指導監督をしてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 地方債の事前協議制についてお答えを申し上げます。
地方債の協議制度は、地方分権を推進して地方団体の自主性を高める観点から導入されるものでありますが、同時に各市町村の自己責任も一層求められることになります。具体的な運用につきましては、今後総務大臣より示される同意基準等に基づくこととなりますが、県といたしましては、地方財源の保障、地方財政の健全性、市町村事業の円滑な実施などが確保されるよう十分配慮するとともに、市町村からのニーズを十分把握をした上で対処してまいりたいと考えております。また、その際は、財政健全化などの県市町村の共通課題に連携して対処するため、本年二月一日に設置をいたしました県・市町村連携会議も十分に活用してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、児童福祉法の改正による児童相談体制の充実強化についてお答えを申し上げます。
児童相談業務につきましては、児童福祉法の改正によりまして、本年四月から市町村が第一義的な相談を担い、県の児童相談所は処遇困難なケースへの対応や市町村への後方支援を行うなど、その役割が明確化されたところでございます。また、児童虐待防止関係機関の連携を強化するための要保護児童対策地域協議会、いわゆる市町村の児童虐待防止ネットワークの設置も法定化されたところでございます。このため、県では、市町村における児童相談が適切に実施できるよう担当職員に対する研修を行い、市町村での児童相談体制の確立を支援するとともに、現在五市町村に設置されております児童虐待防止ネットワークを平成十七年度中に二十市町村に、平成二十年までには全市町村に設置することにしてございます。さらに、児童相談所につきましては、市町村への技術的支援や処遇困難事例に的確に対応できるよう職員の専門性の向上を図るとともに、本年六月から被虐待児童などへの治療を行う子どもメンタルクリニックを開設するなど相談体制の充実に取り組んでまいります。
次に児童養護施設の整備についてでございますが、児童養護施設は保護者のいない児童や虐待を受けた児童の生活の場として安全で良好な居住環境を確保することが求められてございますが、議員御指摘のとおり、老朽化している施設が残されていると認識してございます。現在、こばと学園の整備が進められているところでございますが、今後、県といたしましても積極的な支援方法を検討するなど、施設の設置主体である社会福祉法人などと十分協議しながら老朽化している施設の整備を進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 本県における義務教育制度の改革についてお答えします。
まず、本年四月から全国に先駆けて、小学校と中学校のスムーズな接続を図るため、六・三制の見直しや小学校の高学年での教科担任制、九年間を見通したカリキュラム開発を行うなどを内容とする小中一貫教育モデル校事業を下津町と有田市で実施し、平成十九年度までに六地域を指定してまいります。また、昨年度から実施しているイングリッシュ・パワーアップ・プログラムでは、小学校第三学年から中学校を卒業するまでの七年間を通して、英語が話せる子供の育成を目指しております。
次に、個に応じたきめ細かな指導を行うため、一学級の人数を四十人から三十五人程度に引き下げる少人数学級編制を拡充し、小学校第一学年から第四学年までと中学校第一学年、第二学年で実施いたします。
また、公立学校教員の能力や実績等が適正に評価されるような制度のあり方について、平成十五年度から調査研究委員会を設置し、審議を行っており、平成十七年度は評価者の能力の向上及び評価システムの構築を行ってまいります。
こうした義務教育制度の改革全般について早急に取り組んでいくために、本年度から既に庁内において義務教育ニュービジョンスタッフ会議を発足させております。来年度は、学識経験者等を交えた研究会議を設置して、本県における義務教育のグランドデザインをつくり上げてまいりたいと考えております。
次に学力向上に向けた取り組みに関しましては、昨年度に引き続き、本県独自の学力診断テストと岩手県、宮城県、福岡県を含めた四県共同の統一学力テストをあわせて実施しました。また、県内の子供の生活実態と学力などの関連を見るための調査を初めて行ったところであります。その結果、読解力や表現力などに課題が見られたことから、中学校の国語担当教員が小学校で授業を行うなど、国語力向上のための小中連携研究事業をスタートさせます。さらに、各学校で明らかになった課題を克服するため、和歌山方式として僻地手当等を見直すことによって生み出した財源を活用し、学力アップ非常勤講師配置事業を行うこととしております。
今後、各学校に対し、保護者会などで家庭における生活面の重要性を説明するとともに、学校・家庭が一体となって子供の学力向上に努めることができるよう支援をしてまいります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十番新田和弘君。
○新田和弘君 御答弁をいただきましてありがとうございます。二点、簡潔に要望させていただきます。
まず第一点目でございますが、わかやま産業イノベーション構想の推進につきましては、先ほど木村知事の方からも積極的な御発言をいただきましたが、「足下に泉あり」という言葉がございます。本当に自分の足元を深く掘り下げていくとそこにすばらしいものが発見できるという言葉でございますが、和歌山のそれぞれ企業なり事業者が持っておりますノウハウをさらに深く掘り下げていただきまして和歌山の産業発展に生かしていく、そのためには人材確保か専門家の確保を各振興財団、また工業技術センター等に、今も立派な職員の方がたくさんいらっしゃるわけでございますが、さらに優秀な人材の方を迎えまして本県経済の発展のために御尽力を願えるよう要望いたしておきます。
二点目でございますが、この児童養護施設の施設整備の問題でございます。もともとこの施設は戦後の孤児の方等を収容するというようないきさつもございまして、設立から四十年以上経過している施設が大半でございます。それで、整備につきましては、国が二分の一、県が四分の一、そしてあと四分の一は福祉法人が負担をするということになっておりますが、この四分の一の財源の捻出が非常に困難をきわめておるというのが実態でございまして、今日、そういう各福祉法人が頭を痛めている問題でございます。私は、本来こういった施設は公設民営、やはり公共機関が施設をつくってあげて施設運営は民営でやっていただくというのが一番いいんではないかと思う次第でございますが、今後、早急にこういった施設の改善について積極的に取り組んでいただきたいことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十九分休憩
─────────────────────
午後一時四分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十六番山下大輔君。
〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。よろしくお願いします。
さて、質問に入る前に、最近感じたことを少しだけお話しさせていただきたいと思います。
今議会のやりとりなどでもそうですが、やはり今の厳しい社会環境では明るい話が少なく、地域全体としても、ある面ではあきらめの気分が蔓延しているように思います。そこでは、夢、希望といったものが持ちづらい状況になっているようです。最近読んだ本の中で、作家の村上龍さんも「この国には何でもある。しかし、希望、夢だけがない」といったことを書かれていました。この国には何でもある、しかし夢がない──昨年トヨタ自動車の幹部の方にお目にかかったときに、そこでもたまたまですが、希望、夢といったことについてお話を伺い、強く印象に残りました。今この社会にあるあらゆるものは、昔だれかが夢見たものです、携帯電話、自動車なども今の私たちの生活に欠かせない便利なものですが、それらも昔だれかが夢に見てつくり出されたものです、夢を持つということは非常に大切なことで、夢、希望がなくては私たちの社会は前進しません、よくならない、ぜひ夢があふれる国にしてもらいたいというお話でした。
今の時代、私たち大人自身がどれだけの夢、希望を持てているか。これは非常に大切なことだと思います。国づくりは人づくり、人づくりは今を生きる私たち大人の問題です。大人の背中を見て育つ子供たちのことを考えると、やはりこのままではいけないと思います。私自身もしっかりと夢、希望を持ち、そしてこの議会でも、先輩・同僚議員、また知事、当局の皆さんとともに夢、希望の持てる和歌山県づくりについて大いに議論していきたいと思っています。
それでは、議長のお許しをいただきましたので質問させていただきます。
今議会では、夢の持てる和歌山県政の実現を目指して、次の四点について提案、質問をさせていただきたいと思います。
まず一つ目は新たな視点の職員研究グループの発足について、二つ目には行政のペイオフ対応と地域の金融環境の整備、三つ目として危機管理の問題、そして四つ目にリサイクルなど環境先進県に向けた取り組みについてです。それぞれに新年度を目前にして検討していただく大切な課題だと思いますので、きのうの山下直也先輩の熱弁にもありましたが、ぜひ当局の皆様には誠意ある御答弁と、あわせて何といっても実現に向けた御努力をお願いいたします。この議会から一緒にすばらしい和歌山県づくりを進めていきたいと思います。
まずは、職員研究グループについて。
現在、和歌山県には優秀な職員さんがたくさんいます。特に今、民間への派遣などを通じてその能力がさらに高まり、これまで木村知事が民間企業との交流に力を入れてこられたその取り組みも、ようやく実を結ぶときを迎えていると感じます。
そんな中、最近読んだ「都道府県展望」という雑誌ですけれども、その昨年の九月号に、和歌山県の職員さんが書かれたレポートを見つけました。お手元に配付させていただいていますが、これは、現在マーケティング推進課で仕事をしている職員の方が書かれたものです。彼女は民間企業のリクルートに派遣され、そこで感じたことを素直にまとめられています。民間企業への派遣から多くのことを学んでこられたようで、私も直接お話を伺ったのですが、貴重な体験談を聞かせてもらいました。そこでは、民間と行政を冷静に比較する中でのすばらしい視点を持たれていて、なるほどと思う指摘がたくさんありました。民間での経験は非常に有益で、これは県庁にとって大きな財産になるものと思います。
今、県では、多くの人を民間企業に派遣しています。戻ってこられた皆さんは、その経験を生かして県庁内で活躍されています。しかし、戻ってきて、それを職場の仕事で生かすだけでなく、また個人レベルの提案、発表といったものだけに終わらせずに、もっとその知恵、経験、知識を広く活用してもらいたいと思います。これは、民間企業などでも使われるナレッジマネージの手法の一つとして民間に派遣された人たちでワーキンググループをつくり、県庁の改革・改善プランといったものを検討してもらう。民間を経験し、県庁に戻った中で、そこではさまざまな気づきがあります。その発想、アイデアをばらばらに活用するのではなく、グループで討議し、きちんと整理して今後の県行政に体系的に取り入れていくといった取り組みを提案します。そこからはいろいろおもしろいアイデアが出てくると思いますが、検討に当たって一つ重要なポイントがあります。それは、できるだけ制約、制限を設けずに議論してもらうということです。自由な発想により検討を進めてもらうことで多くの成果が上がるものと期待します。民間企業で得たその知識、経験、また感性、感覚をうまく引き出して県庁の改善運動につなげる取り組み、民間に派遣された人たちを対象としたワーキンググループの設置について、これは総務部長からお答えをいただきたいと思います。
続きまして、行政のペイオフ対応と、あわせて地域の金融環境について。
この春、ペイオフが全面解禁となります。これまでは預金などの払い戻しを政府が全額保証していたものを一定額までとする措置、いわゆるペイオフがこの四月からいよいよ全面実施される予定となっていますが、その対応とあわせて、これからの地域の金融環境について当局の考え方をお伺いしたいと思います。この問題については、さきに先輩議員である江上柳助議員も質問されていますので、私自身は視点を変え、何点かに絞って質問をさせていただきたいと思います。
さて、現在ペイオフへの対応ということで、日本全国の自治体でさまざまな動きが出ています。また、地域の金融機関、地方銀行などでもペイオフ解禁をにらんで預金が全額保護される決済用預金を相次いで導入するなど、こちらも対応に追われています。さて、そこで和歌山県の対応ですが、県自身の問題についてはさきに質問がありましたので、私は、特に各市町村への対応に絞って、少し心配するところがありますので質問させていただきたいと思います。
そもそも地方自治法では公金の安全な運用を義務づけていますが、これまで全国ではペイオフへの対応において問題を指摘されるケースがありました。一例として千葉県のある町では、三年前のペイオフ部分解禁時にさまざまな対策を講じる中で公金を外貨預金で運用して、為替差損を発生させたケースがあります。こういったこともあって、今回、千葉県では市町村への指導を徹底しているそうです。昨年末に県内市町村の対応状況を調査したのに続き、この二月にももう一度準備状況を確認し、公金をリスクにさらさないための万全の備えをとるというふうに指示しているということです。
このような他県の状況もある中で、現状、和歌山県として県下の市町村の実態についてどのように把握されているのか。また今、公金の扱いについては、公金を守る、公金を運用するといったことで、それぞれの市町村においては迷いもあるかもしれません。そこでは県として一貫した方針を示すことも必要ではないかと考えますが、あわせて県から指示している内容などがあればお聞かせいただきたいと思います。これは総務部長に御答弁をお願いいたします。
続いて、和歌山県の金融環境について。
現在、今回のペイオフなども含め、我が国の金融環境は大きな変動期に入っています。四月以降も昨年末に打ち出した金融改革プログラムが具体化される状況にあり、金融庁はことしを「金融政策転換の年」と位置づけています。不良債権処理の最優先路線から金融活力の強化に力点を移すということで、伊藤達也金融相は、官主導ではなく民の力で国際的評価も高い金融システムをつくるとしています。しかし、大手行においても、不良債権は減りつつも、公的資金なしで収益を高められる銀行は限られるとされる中、まして一周おくれと言われる地方の金融機関では、その将来の見通しは非常に不透明、厳しいと言わざるを得ない状況です。
そんな中、和歌山県では、地域の金融環境を構成する主要な柱となっていた紀陽銀行と和歌山銀行が、昨年十一月に経営統合に向けた交渉をスタートさせています。経営体質を強化し、今後の金融激変の時代を乗り切ろうというものですが、現時点で正式にアナウンスされているのは、この三月の期末をめどとして結論を出すということだけです。この経営統合問題は、地域の将来の金融環境を考えても非常に影響の大きい問題だと思います。現状のまだまだ厳しい状態にある和歌山の地域経済において、今回の経営統合、その取り組みいかんでは地域経済に大きなダメージを与えかねない問題です。
ただ、県として、これはあくまで民間事業者の問題であり、特別に立ち入ることではないということは当然のこととして、しかし、県政運営の中で地域経済に一定の責任を持たなければならない和歌山県として、関係ないものとは言えない状況です。よって、県としては、単に事の推移を眺めているだけではなく、今置かれている地域経済の状況と金融環境が変わることによる影響などその実態を把握することに努め、あわせて今後予測される事態を想定して万全の備えをしておくことが必要だと考えます。
そこで、幾つかを質問させていただきますが、まず、そもそもこの紀陽銀行と和歌山銀行の経営統合をどのように評価しているのか。また、これまでの経営統合に向けた取り組み状況をどのように把握されていますか。あわせて、この経営統合が地域経済に及ぼす影響についてどのように分析されているのか。また、経営統合後の問題として、県内の中小事業者の間では、これまでの事業資金が確保されるかなど、かなり心配する向きもあるようです。特に、経営統合を申し入れた和歌山銀行さんとつながりの深かった事業者の方からは、今後もこれまでどおりの融資が滞りなく進められるのかなど、さまざまな不安の声を聞く状況となっていますが、これらについて県としてどういった見通しを持っているのか。あわせて商工労働部長にお尋ねいたします。
さて、次に和歌山県の危機管理に関する問題として、まず国民保護法制と自衛官の活用について。
昨年六月、国会で武力攻撃事態対処法が成立しました。この法律は、皆様も御存じのとおり、我が国が武力攻撃等を受けたときの対処に関する基本理念、国・地方公共団体の責務などを定めた基本法であり、この法律の枠組みの下で国民保護法が整備されています。
そこで、防災の問題とあわせて、国民保護法にかかわる内容で幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
まず、一つ目として、国民保護計画について。
国民保護法の整備後、県は、国が策定する国民の保護に関する基本方針に基づいて国民の保護に関する計画を策定することとされています。このいわゆる国民保護計画について、現在の県の作業としては平成十八年三月をめどとして完成するように作業を進められているようですが、現在の取り組み状況はどのようになっているでしょうか。また、来年度の予定についてもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
また、この国民保護計画では、あくまで武力攻撃事態、大規模テロを想定した対策となるわけですが、しかし現状においては、そう日常的に大きな不安となっているものではありません。そこでは、この計画をより有効に活用するために、特に和歌山などでは自然災害対策にも応用、連携できるものとして作成し、幅広い事態に対応できる体制を考えるべきだと考えますが、危機管理監のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
次に、自衛官の専門性を生かした取り組みについて。
私は、危機管理の専門家、いわゆるエキスパートとして自衛隊OBの採用や自衛隊職員との人事交流が非常に大切だと考えます。現在、他の自治体では、退職自衛官などを含め、防災関係部局への配置が進められている状況があります。平成十五年度には長崎県や鹿児島県など十一団体、平成十六年度からは神奈川県、京都府、福井県などを初めとして十二団体で体制が整えられていて、現在一都二十二府県、二十五名の配置がされているようです。国民保護法の成立、国民保護計画の策定など、都道府県の使命と責任がより一層大きくなっている現状では、自衛官やOBを危機管理のエキスパートとして防災担当課に配置し、危機に臨んでのさまざまなノウハウを日々の業務を通じて県の職員が学習していくことは非常に有益だと考えます。
今、多数の都道府県が危機管理に係る組織の見直しとあわせて自衛官などの専門家を採用することに積極的に取り組んでいますが、和歌山県としての対応について、知事に現在の対応状況とあわせて今後の可能性について御所見を賜りたいと思います。
続いて和歌山県の防災計画について、その中で特に今回は議会・議員の位置づけについてお聞きしたいと思います。
昨年の新潟県中越地震では、大きな被害が出る中、議会・議員の対応についてもさまざまな課題が明らかになっているようです。私の友人で新潟県議である大渕健さんに当時の状況を伺ったのですが、震災時、特に災害が起こってすぐのころは、議会の対応、議員の役割ということで非常に混乱した状況があったようです。そこでは、議員として何ができるのか、議会・議員としてどういった役割を担っているのかということについて、これは住民の方からも数多く御指摘をいただいたそうです。事前の準備段階で、知事、行政にはそれぞれ明確な役割分担がされています。しかし、議会・議員の場合はその役割が明確でなく、いざ災害が起こると情報の入手すらもままならない状況に置かれ、これには非常に困惑したと大渕さんは話されていました。単に情報をとるだけでも、それぞれの議員が個別に対策本部や各担当課に連絡を入れ、行政側としても混乱したようです。大渕さんとさまざまな意見交換をする中で、事前の準備として、災害時における議会・議員の役割の明確化が非常に重要だと強く感じました。
先日参加した勉強会でも、たまたま同じような話を行政学の権威者である千葉大学の大森彌教授が指摘されていました。「地方自治は議会と知事、それぞれに県民から直接選挙で選ばれるいわゆる二元代表制により運営されているわけだが、災害時には議会・議員の顔が見えない。例えば防災対策本部、防災会議などが設置されたときには、少なくとも議会の代表者も会議に出て災害の状況を把握し、どういった対策を進めるのかといったことについて一緒に考える必要がある。しかし実際には、その位置づけ、役割分担についてほとんどの自治体で明確にはされていない。当然これは議会・議員間での議論も必要であり、活発な論議を期待するが、しかし体制の整備については議会・議員側で一方的に検討できるものではなく、あくまで防災計画を策定するその責任を負っている行政に問題意識を持ってもらわなくてはいけない。しかし残念ながら現状では、防災計画上、改めて議会・議員の位置づけを検討する必要があるという認識を持っている自治体はほとんどない」と指摘されていました。
実際、和歌山県で緊急時にどういった体制がとられるのか。これは和歌山県地域防災計画にその内容が示されているのですが、その中身を改めて確認してみると、確かに議会・議員のことにはほとんど触れられていない現実があります。
そこで質問ですが、災害時における議会を含めた体制の再整備についてどのような認識を持たれているのか。また、今後の対応としてどのようにお考えになられているのか。これも危機管理監から御答弁をいただきたいと思います。
最後の質問となりますが、二十一世紀和歌山の時代を切り開くための環境先進県に向けた取り組みについて。
最初に紹介した県の職員さんのレポートでも、やはりビジョンの大切さが強調されています。ビジョンを掲げ、そこから戦略をつくり、そしてそれを組織内で共有して目標の達成に向かう、これこそが大切なことだと思います。和歌山県でも、知事はさきの選挙で「私の政策宣言」を発表され、いわゆるマニフェストによりビジョンを描かれているわけですが、和歌山ではあくまで、山を切り開き、海を埋め立て、ビルを建て、大都会を目指すということでは決してなく、和歌山の地域資源、恵まれた自然環境という特徴を伸ばして、和歌山らしさを洗練させていく中で地域の魅力を膨らませていくことが将来への望まれる取り組みだと思います。
今回の知事の所信表明でも、「環境」といった言葉が特にたくさん使われていました。自然、環境といったものをキーワードとして、さらに知事の言われる都市との交流といった連携をより一層深めることができれば和歌山の価値は大きく増加し、この二十一世紀にこそ和歌山の時代になると私自身強く信じ、夢に描くものです。
さて、そこで今回は、自然、また環境というキーワードでくくられる幾つかの具体的な提案をさせていただきたいと思います。
「環境問題への対処法については、我々はその方法を知っている。問題はそれをやるかどうかだ」と、現在の環境経済学者の第一人者であるレスター・ブラウン氏は言います。問題は、現状を正確にとらえ、分析し、そして実行すること。「日本の炭素排出量の削減は難しいのではないか」と、ある雑誌のインタビューで質問を受けて、レスター・ブラウン氏は次のように話しています。場所は東京のホテルオークラで行われたインタビューです。「まず、この部屋の照明を見てください。ここの明かりはほとんど白熱灯ですね。つまりエネルギー消費の高いオールドファッションな電球です。これほど環境に配慮した先進的なホテルであっても、電球はトーマス・エジソンの時代の非効率なものを平気で使っています。日本が炭素を本気で削減するのであれば、例えば日本じゅうの白熱灯をすべて電気消費量の少ない小型の蛍光灯に変えてみたら、それだけでも幾つもの火力発電所を閉鎖することができます。世界規模で電球を蛍光灯に変えれば、数百基という火力発電所を閉鎖できるのです。炭素を削減するということ自体は、それほど大変なことではありません。我々はその方法を知っています。しかし、問題はそれを実行するかどうかです」と話されていました。
今、各都道府県においても、議論するだけでなく、その実行力が試されています。和歌山でも知事が明確に「環境先進県を目指す」としてさまざまな取り組みを進めようとしていますが、今後はその実行力を証明しなければいけない段階に入っています。
さて、最近の社会状況としても、和歌山県が真の環境先進県となることへの期待はさらに大きなものとなっているように感じます。先日、京都議定書が難産の末に発効されました。アメリカなどが脱退するなど、まだまだ課題は多いですが、しかし、これは地球温暖化防止、地球環境を守るという新たな時代の幕あけであり、人類の大きなチャレンジが始まる確かな一歩だと思います。
京都議定書では、温室効果ガスを二〇一二年までに先進国で少なくとも一九九〇年比五%削減するよう義務づけていて、各国は排出枠を売買する京都メカニズムなども利用しながら削減目標の達成に向け努力することになります。早速EUでは、ことし初めから域内でCO2 排出量を取引する市場をスタートさせています。日本は、当初六%の削減義務を負っていましたが、二〇〇三年の速報値では逆に八%増となっていて、目標達成にはトータルで一四%の削減が必要となり、非常に困難な挑戦となっています。しかし、小泉首相は「日本は世界の先頭に立って温暖化対策を進める」と表明し、政府を挙げて削減義務の実現に取り組もうとしています。
日本も、ここまで一九九八年に温暖化対策推進法を制定し、積極的に温室効果ガスの削減に取り組んできています。この法律では、各自治体にも温室効果ガスを削減する実行計画をつくることを義務づけていますが、しかし、先日公表された毎日新聞の調べでは、二〇〇四年度までの削減目標を具体的に設定しているのは四十七都道府県のうち二十五都道府県に限られていて、その中でも既に排出削減の実行計画を達成しているのは山梨県、さらに達成できそうだとしているのは東京都、三重県、徳島県、福岡県、そして和歌山県です。ぎりぎり達成できるかもしれないとしているのは秋田県、福島県、長崎県で、目標達成があるのはわずか九都県にとどまる状況です。他の十六道府県は〇三年度実績から見て達成はほぼ不可能だということで、温暖化対策を率先する都道府県ですら目標達成が困難な状況、その実行力が疑われる状況になっています。
和歌山県は、医大の移転を契機に一気に省エネ化が進んだという特殊事情もありますが、しかし、環境改善の取り組みについてしっかりと結果を出していることは紛れもない事実です。今後はさらに真の環境先進県を目指した取り組みを続け、他の都道府県を引っ張るリーダーとしての役割が望まれています。
そこで、幾つか質問をさせていただきます。
まず、今回の京都議定書の発効に先立ち、国では、京都議定書の国内担保法である地球温暖化対策の推進に関する法律について、その一部を平成十四年に改正しています。そこでは、温暖化防止対策に地域全体で取り組む行動計画として、地域推進計画の策定、あわせて地域の組織整備として温暖化防止活動推進センターの設置、また人材に係る整備として温暖化防止活動推進委員の育成などが義務づけられ、今後は、県庁内の取り組みに限らず、地域住民、民間の企業に対してより広範に協力してもらう体制づくりが急がれる状況です。
そこで、法律改正に伴う対応として、現在の県の取り組み状況について、担当部長からその評価をお伺いしたいと思います。現時点では、まだまだ足りない点、うまくいっている事例、また今後改善していくべきポイントなどいろいろとあるかと思いますが、率直にお感じになられているところをお聞かせ願いたいと思います。
また、今回県では、京都議定書が発効した日に合わせて、県の職員が家庭などで省エネルギー活動に率先して取り組むエコライフ宣言を発表しています。これはなかなか上手に情報発信を行い、マスコミなどでも取り上げられていましたが、今回の発表では「今後さらに活動を加速させる」としています。
そこで、今後の対応としてどのような取り組みを行われようとしているのか、その具体策について御説明をいただきたいと思います。
また、今議会で提案されている和歌山県世界遺産条例について。
これは、県として、地域文化とともに環境を守っていく姿勢が明確にされるものとなっています。自然環境を守る、地球環境を守っていくことが大きな社会問題となっている今の時代には大きな意義のあるものだと思います。今後は、この世界遺産条例を単なる理念条例の制定といったことだけに終わらせることなく、県庁内すべての部署、すべての事業について、その精神が行き渡るような取り組みを進め、その実効性を高めていくことが期待されます。
そこで知事に、この世界遺産条例の制定を契機として、どのような取り組みに力を入れていかれるのか。特に自然環境を守っていく、活用していくといったことに関しては、知事自身が強い思い入れを持たれているように伺っていますが、今後特に力を入れていこうとされているものについてお考えをお示しいただければと思います。
あわせて、今後行政として、この条例制定を受けて特に環境を守るといった観点で進めようとする具体的な取り組みについて、現状で考えられているところを企画部長から御説明をいただきたいと思います。
続いて、和歌山県が環境先進県を目指す中で、その重要な取り組みと位置づけられるリサイクルについてお伺いいたします。
現在、県ではリサイクルへの取り組みとして、リサイクル製品の認定事業、リサイクル製品活用モデル展示事業などを行い、またリサイクル製品利用推進要綱、グリーン購入推進方針などを策定し、その普及啓発に当たってきています。しかし、その取り組み内容についてはまだまだ改善の余地があり、もう一歩踏み込んだ県の対応が必要とされていると私は考えます。
そこで、今回はリサイクルの取り組みを加速させる二つの具体的な提案をさせていただきたいと思います。
先日、三重県にお邪魔し、三重県での取り組みを勉強させていただいてきたのですが、三重県はさすがに全国の手本となるリサイクル先進県、真の環境先進県であり、多くのことを学ばせていただきました。三重県では、平成十三年三月、全国初の条例として三重県リサイクル製品利用推進条例を制定し、リサイクル製品の認定とともにリサイクル製品の優先的な使用を県庁組織全体で徹底して進めています。あわせて、市町村への技術的助言や情報提供なども積極的に行い、三重地域全体としてリサイクルの循環が高いレベルで行える状況をつくっていこうとしています。やはり一日の長、早くから取り組まれているだけあって、和歌山と比較する中では数多く参考になるところがありました。三重県にお邪魔して特に感じたことは、リサイクル製品の利用促進について、「進めろ、進めろ」というかけ声だけでなく、具体的な仕組みづくり、仕掛けが大切だということです。
そこで、一つ目の提案ですが、三重では公共工事を発注する段階でチェックシートをつくっています。お手元にお配りさせていただいているものですが、これは三重県から参考にいただいてきたもので、リサイクル製品使用の検討を行うチェックリストの総括表となっています。この総括表にあわせて、実はこのほかにも細部にわたる確認を行う附属の表があるのですが、それはすべてお配りできていないのですけれども、三重県の取り組みでは、当該工事に使用可能なリサイクル認定製品があるかどうかのチェックをまずさせると。これについて、まだ細かい表がたくさんついています。次の二段階目で、そのリサイクル製品があったとして、当該工事で使えるかどうかということに関しても判断を行わせる。それで、これらにより県として行われるすべての工事についてリサイクル製品の利用を担当者が必ず確認する仕組みをつくっています。このチェックリストを入れておくことで大幅にリサイクル製品の使用頻度が上がると、三重県の担当者の方は話されていました。
まず一つ目に、このチェックリストの導入を提案いたしますが、これについて県土整備部長から御答弁をお願いいたします。
次に、二つ目の提案ですが、事業者のランクづけ、入札資格審査制度からリサイクル促進の取り組みについて。
現在、県工事の発注に際しては、入札資格審査制度があります。これには、客観的審査項目として国の経営事項審査結果、また主観的審査項目としてはISOの取得状況や受注工事の成績など細かく評価されるものとなっていますが、その中にリサイクル製品の使用状況を評価の対象として入れることを提案します。具体的には、現状ある工事成績採点表の中に社会性を見る評価ポイントがあり、そこには地域への貢献をチェックする欄があります。この中にリサイクル製品の優先使用という基準を設けるというものです。企業にとっては、入札資格のランクを上げるために技術者の確保などさまざまな面で努力をされているわけですが、その中にリサイクル製品の使用に努力したことをしっかりと評価してあげ、そこからリサイクル製品を使用するインセンティブを与えていければと期待するものです。
またあわせて、工事成績採点表の中で、社会性、地域への貢献度といったものの比重をもう少し重くすることはできないかといったことも検討していただければと思うのですが、これもあわせて県土整備部長から御答弁をお願いしたいと思います。
環境先進県と口で言うのは簡単ですが、真に環境先進県となるのは非常に難しいものだと思います。しかし、和歌山はそもそも自然保護運動、環境運動が比較的活発に行われてきた地域であり、近くの歴史を見ても、和歌山からは南方熊楠という世界的な偉人も輩出しています。熊楠は、今から百年も前にエコロジーの観点を持って、時には過激な行動も起こしました。近年になって自然保護運動の先駆者としてその行動力が評価されるものとなっていますが、森を守る、自然を守る、環境を守るといったその精神は今の時代にこそ受け継がれるべきものであり、将来にわたって和歌山を支える一つの大切な価値観であり、これからの時代に全国、世界に向けて発信されるべき和歌山のメッセージだと思います。
高野・熊野の世界遺産登録、世界遺産条例の制定などもよいきっかけです。今こそ、上辺だけのものではなく、改めて県政運営の基本に「環境を守る」といった大きな理念を打ち立て、今後他の自治体を真にリードする環境先進県和歌山を目指した真剣な取り組みを進めていただくことを大いに期待して、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、危機管理との関係で、自衛官の人、または自衛官のOBの人を県に採用してはどうかと、しかも幾つかの県ではもう既にそういう取り組みを進めているということでございますが、東南海・南海地震が来た場合に一番大変な被害を受けるというふうにされている和歌山県では、この間のスマトラ沖の地震の津波を見てもわかるように大変なことになる。こういうふうなときに、やはり組織立って活動できる自衛隊との連携ということは非常に大切な要素であると私は考えております。
これまでにも自衛隊との関係強化は非常に図っておりまして、自衛隊の方では、和歌山県を特に優先して応援に来ますよという話にはなっているんだけれども、何か起こったときに本当にうまくつないでいくためには、そういうふうなOBの人──現職がいいんだけど、現職が難しければOBの人の派遣をやっぱり求めるべきだろうということを去年考えまして、ことしの四月から自衛官のOBの方、もう人選も終わっているようですけども、和歌山県に採用するというふうな形にしました。国民保護法制との関係もありますし、いろんなことで交流によって和歌山県の危機管理能力が高まるものというふうに大いに期待をしているところでございます。
次に世界遺産条例にかける思いということでございますが、高野・熊野が去年世界遺産になって、ことしは二年目ということになるわけですけども、この高野・熊野というのは、歴史のある神社、仏閣と、それから自然というものが混然一体をなした紀伊半島の全体を覆う特異な世界遺産だろうと思っております。
一方で、御案内のように京都議定書が発効して、CO2 の削減ということが国、企業、そしてまた個人の責務となってくるというふうな時代になってきたときに、この森林から成る世界遺産というふうなものを環境面でもう一度アピールすることができるのではないかというふうな問題が一つあります。それからもう一つは、急激に日本の国は高齢化が進んでいるわけですけども、そういう中で、近々団塊の世代の方々がリタイアして、そういう方々が、グリーンツーリズムと言いますけども、いやしを求めるような形でこういうふうなところへ来るという傾向も高まるものだろうというふうに思っております。
そういう時期をとらえて、この世界遺産登録がだんだんと下火になっていくようなことにさせないために、ことし世界遺産条例を日本で初めて制定することにしました。これは、特別の義務とか、そういうふうなものを課するものじゃないんですけれども、和歌山県がいかにこの世界遺産というものを環境保全とかそういう観点から大事にしていくかということを全国、そしてまた世界に宣言するものとして、私は非常に意義のあるものだというふうに思っております。この世界遺産条例を核として、例えば企業の森の活動によっていろんな企業とか組合が和歌山に森を持っていくような活動とか、緑の雇用等で都会からたくさんの人が入ってきて働くとか、それから熊野健康村構想で熊野の森の中でいやしを得るような仕組みを多面的につくっていくとか、そういうふうなことをどんどん進めていけば、この和歌山県の持つ特性を生かした県づくりができるのではないかと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 民間での経験を行政に生かす取り組みについてお答えをいたします。
本県では、民間企業における経営感覚や斬新な考え方、経済活動状況などを身をもって経験させるために、研修として職員を派遣いたしております。民間企業などに派遣された職員につきましては、研修先と密接な関係のある部署への配置はもちろんのこと、帰庁後の意見発表会の開催ですとか、庁内コンピューターネットワークの掲示板サロン・ド・ナレッジへの体験談の掲載など、派遣の成果を組織全体の財産とすべく取り組んでいるところでございます。
本県の職員派遣は、民間企業以外にも国や他の自治体、大学など多方面にわたっておりまして、それぞれに県庁組織内では得がたい貴重な経験をしておりますので、議員御提言のワーキンググループも含め、これら職員の意見を提言として幅広く取りまとめ、施策に反映できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に市町村のペイオフ対策の関係でございますが、県内の各市町村のペイオフ対策につきましては、総務省の通知や研究内容をもとに、県より助言や実態調査などを行っております。各市町村においては、金融機関への預金債権と借入金などの債務との相殺や決済用預金の増額による対策を中心としておりまして、約四割の団体において対策が完了している一方で、約三割の団体においていまだ課題を残しているところでございます。県としては、合併により市町村構成や制度が変更される機会もとらえまして、県・市町村連携会議も活用しつつ、市町村に早急に対策を講じるようアドバイスをしてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 地域の金融環境の三点についてお答え申し上げます。
まず、紀陽銀行、和歌山銀行の経営統合に向けた一連の動向についてでございますが、現在、両行においてさまざまな角度から検討に入っているところであり、その推移を注視しているところでございます。このため、県としましては、昨年十一月に発表された両行のコメントにおいて、地域金融基盤の安定化、金融サービスの向上、地域経済の発展への寄与など、国が進めている金融改革プログラムに合致した基本的視点を踏まえていることから、その検討する方向性は理解できるものと考えてございます。
次に統合に向けた取り組み状況の把握についてでございますが、県から両行に中小企業への円滑な資金供給、従業員の雇用確保等について要請を行い、現況把握に努めているところであります。今後とも緊密な情報交換のもと、最新の情報収集を図ってまいります。
次に地域経済に及ぼす影響、今後の見通しについてですが、今回の経営統合の検討は、県民、事業者、市場では比較的冷静に受けとめられているものと考えております。現在、両行は統合検討に入っているわけですが、このことにより金融機関の経営基盤の強化へとつながり、地域密着型の県民銀行としてさらなる展開がなされることにより地域経済の発展に貢献、寄与されることを大いに期待しているところであります。しかし一方で、議員お話しのように、県民、事業者にとっては金融機関の選択が限定されることになり、また中小・小規模企業への資金供給、従業員の雇用、県民の利便性などへの影響が懸念されることから、両行の動向を見ながら、地域金融機関との連携強化など適切な対応策を検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) まず、国民保護法の関係でお答えいたします。
計画策定の取り組み状況と来年度の予定についてでございますが、本県の国民保護計画につきましては、今月下旬に国から示される基本指針やモデル計画をもとに平成十七年度に策定いたします。このため、武力攻撃事態発生時に設置する対策本部組織等の定めとあわせ、計画案や重要事項を審議いただくための国民保護協議会の設置について定めるため、関係条例議案を本定例議会に提案いたしております。
なお、現在は、協議会の委員構成の検討や事態発生時に大きな役割を担う輸送機関等の法人を指定地方公共機関に指定するための協議等を行っているところでございます。来年度は国民保護計画案を作成し、これを協議会で審議いただいた後、国と協議し、計画を定めるとともに、本議会に報告の上、公表する予定でございます。
次に国民保護計画と自然災害対策との連携についてでございますが、国民保護計画での避難誘導や救援等の措置については、巨大災害発生時においても適用できるものであるため、地域防災計画における対策との連携を密にし、実効性のあるものとして策定する必要があると考えております。
次に、和歌山県防災計画における議会・議員の位置づけについてでございますが、議員御指摘のように、災害対策基本法や都道府県地域防災計画では、議会・議員の役割等については明確な位置づけはされておりません。しかしながら、本県の地域防災計画では、災害対策本部の中に議会事務局職員で構成する議会部を設け、情報提供を行うほか、災害調査活動への支援なども行うこととなっております。
議員御指摘の災害発生時の円滑な情報提供のあり方等につきましては、今後、議会事務局と協議し、検討してまいります。
以上です。
○議長(小川 武君) 環境生活部長津本 清君。
〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 京都議定書発効を受けての県の温暖化対策についての対応でございますが、本県においては、独自の取り組みとして、森林県であるという本県の特性を生かし、他県と連携しながら緑の雇用を推進するとともに、企業の森などにより積極的に吸収源としての環境林整備に取り組んでいるところでございます。
一方、排出抑制につきましては、京都議定書発効直前に約百六十の団体、個人から成る実行委員会が中心となって開催した和歌山環境フォーラムにおいて多数の県民の参加を得るとともに、今後の行政と県民との協働による温暖化対策への大きなステップになったものと考えております。
来年度は、国において策定される京都議定書目標達成計画を踏まえ、地域推進計画を策定する予定でございますが、この計画で、県内の今後の排出量の推計をもとに、その削減のための具体的な施策を明らかにするとともに、各分野における対策や県民一人一人が取り組める施策、産業界へのアプローチなど実効性のある計画としてまいりたいと考えております。
また、県民の温暖化対策推進の核となる県温暖化防止活動推進センターの指定や地域温暖化防止活動推進員の育成、地域の具体的な温暖化対策を推進する地域協議会の育成など、県民生活の身近なところで温暖化対策を行う体制を整備してまいりたいと考えております。さらに、環境学習を深めるため、新たに自然エネルギーシステムや環境分析装置など体験重視の機材を積載した環境学習車を配備し、学校やイベント会場などに派遣してまいりたいと考えております。
今後とも関係部局と連携するとともに、県民各層とのパートナーシップによる温暖化対策を推進してまいります。
次に県職員のエコライフ宣言と今後の取り組みについてでございますが、県職員によるエコライフ宣言は、京都議定書発効を契機として省エネに取り組もうと、約一万人の県職員の協力を得て実施しているところでございます。これは、あらかじめ省エネ行動を宣言し、家庭などで実践するとともに、後日自己評価を行うことで今後の省エネ活動をさらに喚起しようとするものです。取りまとめたところ、今後新たに取り組もうとする内容は、平均四・一項目となってございます。今後はそれぞれの項目を点検し、取り組み内容の見直しを図るとともに、県民に対しては温暖化対策関係の研修や地球温暖化防止活動推進員の活動の中で普及啓発を行い、環境に配慮したライフスタイルの定着を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 企画部長高嶋洋子君。
〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 世界遺産条例を受けての特に環境を守るという観点からの取り組みについてでございますが、議員御提言のとおり、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を守り、かつ適切に活用を図り、良好な状態で将来の世代に引き継いでいくという条例の精神、基本理念を全庁的に浸透させ、実践に移していくことが肝要と考えております。
新年度の世界遺産の保存と適切な活用に係る三十事業、約十億円の世界遺産関連施策の中には、森林環境の保全や自然エネルギーを生かした環境対策などがあります。世界遺産地域の環境の整備が関係部局でなされることとされております。あわせて、世界遺産の周辺環境も含めた一体的な保存の拠点として和歌山県世界遺産センターをこの四月に本宮町に開設することとしておりまして、世界遺産を取り巻く環境保全の必要な取り組みに当たってまいります。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) リサイクルを加速させる具体的な提案、二ついただきました。一つずつお答え申し上げます。
チェックリストの導入についてでございますが、公共工事における和歌山県認定リサイクル製品の活用につきましては、認定された建設資材が大部分県産品となっており、県産品の活用促進として共通仕様書に優先使用を明記するとともに数値目標を設定して、建設部ごとにそのフォローアップを実施するなど優先利用に努めてきたところでございます。
今後、認定リサイクル製品のなお一層の活用を図るためには、工事発注段階だけではなく、計画の段階から検討することが重要であると考えております。議員御提案のチェックリストの導入など、さらなる活用策を検討してまいります。
それから、二つ目の御提案の方でございます。入札参加資格審査におきましては、工事成績など企業のさまざまな努力や成果、これを評価する項目を設けておりますが、今後受注者みずからの自主的なリサイクル製品の使用をさらに促すため、例えば工事成績の評定に当たりリサイクル製品や県産品の使用状況に関する項目を明確に加えるなどにより、入札参加資格審査における企業評価に反映できるよう検討してまいります。
いずれにしても、リサイクル製品のさらなる活用に向け、今後ともさまざまな工夫をしてまいります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十六番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁いただきました。ありがとうございました。簡潔に二点だけ要望を申したいと思います。
まず、一点目の危機管理の問題。自衛官の採用に関して検討していただける、もう準備をしているということで御答弁いただけました。実はこの質問自体は私自身も昨年から準備していたもので、いろいろやりとりをやって、結果として今議会の提案になったんですけれども、これは自衛官のことだけじゃなくて、本当に専門性を持った人間を、やはり衆知を集めて防災の事前準備に当たるということが非常に大事だと思います。神戸の震災を含め、新潟の現地の方にも、両方行ってまいりました。確かに、事前の予測を超えたような状況というのはやはり起こると。それには準備にかける労力というのを、やってやり過ぎのことはないと思いますので、できる限りのことを取り組んでいただきたいと再度お願いしておきます。
最後に環境先進県に向けた取り組みの部分ですけれども、これは企画部長もお話しいただいていたように、徹底して自然環境を守って、あわせて適正な活用を考えていくと。実はこれからの地域づくりで考えると、やはり選択と集中だと。和歌山というのは、もう単に工場誘致や大企業が来てくれるということだけじゃなくて、地域の資源を徹底して生かすことにより価値を高めていくということが和歌山の生き残りの一つの選択だと思います。この環境先進県に向けた取り組みもベースになると思うんですけれども、和歌山の特徴を生かした地域づくりというのをしっかりと今後とも続けていっていただきたいと思います。
以上です。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時一分散会