平成17年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十七年二月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十七年三月七日(月曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百三十二号まで、並びに報第三号から報第五号まで及び報第七号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百三十二号まで、並びに報第三号から報第五号まで及び報第七号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       前   川   勝   久
     二十六番       山   下   大   輔
     二十七番       木   下   善   之
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水谷 聡明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      白   原   勝   文
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       高嶋 洋子
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       楠本 隆
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣平 高男
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課副主査     楠   見   直   博
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百三十二号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第五号まで及び報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十三番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 おはようございます。
 質問に入らせていただく前に、私ごとで大変恐縮でございますが、きょう三月七日は実は私の五十回目の誕生日でございまして、半世紀生きてきたというこの記念の日に、伝統ある和歌山県議会の一員として、私をお支えいただいている県民の皆さんの生の声を木村知事初め県の幹部の皆さんにお訴えできることの喜びを今ひしひしと感じるとともに、その責任の重さを十分感じております。
 それでは、これより議長のお許しを得まして、通告に従い、質問させていただきます。
 先輩・同僚の議員の皆さんもそうだと思いますが、私も年始のあいさつに支持者や関係者の皆さんのところへごあいさつにお伺いいたしました。特に私のように選挙において一つの推薦団体も組織も持たない者にとりましては、お一人お一人が私を支えていただいているすべてでもあります。それだけに、数百軒のお宅を一人でお伺いし、ごあいさつとともに現在皆さん方がどのような状況にあるかということをじっくりお聞きし、そのことをできるだけこの一般質問や議会活動に生かすべく真剣に回ってまいりました。
 そこで感じたことは、特に和歌山の人を相手にしている個人事業主や中小企業の方々には先の見えない不安感が非常に強く、決して景気が上向いてきたなどという楽観的な見方はできないということでありました。お会いする方の十人中八、九人までは「全く先が見えなくて不安や」とか「まだまだ悪うなるん違うやろうか」というような言葉が返ってきたり、中には「もう死にかけてるで」と冗談とも本気ともつかぬ言葉が返ってくるありさまでした。また、あとの一人、二人は「まあぼちぼちやな。これからもこんなもん違うやろか」と、どちらかというとあきらめに近い言葉が返ってまいりました。以前だと、景気が少々悪くとも「あと一、二年待てば何とかなるやろう」という楽観論もよく聞かれたのでありますが、ここ数年よくなるという経験をしていないために、何をやってもあかんというようなモチベーション、やる気そのものが低下していることが私の肌で感じることができました。
 そしてまた、ことしに入って寒くなったせいでもあるでしょうが、頻繁に葬式の連絡が入るようになりました。先ほど申しましたように、私のように支援組織を持たない者でも既に十件以上の葬式の案内がございました。しかし、結婚式や出産の知らせは一つもございません。これは、ひょっとして死ぬ人の方が生まれてくる子の数より大分多いのではないかと思い、市役所の市民課に問い合わせたところ、この一月の和歌山市での出生者数は男女合わせて二百八十名に対し死亡者数は同じく四百十六名で、死亡者数が出生者数の約一・五倍であります。
 そして、人口を聞いて驚いたのですが、この二月一日に和歌山市ではついに三十八万人を切り、三十七万人台になったということであります。また、同じく県の統計課で和歌山県の人口を調べたところ、ことしの一月一日現在で百五万人を切り、百四万九千四百五十七人に減少しておりました。これはまさに一昨年の十二月議会において私が和歌山県・市の人口推計図をグラフで提示し御説明しましたように、本格的な人口減少社会へこれから入っていくということであります。これは、和歌山では少子高齢社会というよりも少産多死、つまり生まれてくる人が少なく死ぬ人が多い社会であり、そして特に本県の場合、高校卒業後、約九割が他府県に進学するという多出社会でもあります。これでは、和歌山での経済的な営みを含め、あらゆる面で先行き不安なのは無理もございません。
 そして、先輩・同僚の議員の皆さんも恐らく共通の悩みとしてお持ちだと思うのですが、就職の問題であります。特にここでは新卒者の就職ということについてでありますが、「息子が(あるいは娘が)東京や大阪の大学に行っているんだけれども、和歌山でどこか就職するとこないやろか」という相談をよく受けます。「企業というても、なかなか本人の能力を生かすところが和歌山にないみたいやし」とか「できたら県庁へ入ってもらえれば、親としてはこれほどうれしいことないんやけども、県庁て今難しいて言わして」というようなことで、結局多くの若者が東京や大阪など他府県で就職し、和歌山へ帰ってくることが少ない現状があります。これでは、少産多死、多出社会が言ってみれば当たり前になってしまって、人口の減少にますます拍車がかかることは間違いありません。それを私は、決して極論ではなく、和歌山はこのままでは人口激減社会に入ると警鐘を鳴らさせていただいた次第であります。
 このように何軒も回ってじっくりと皆さんのお話を聞くのは非常に大事なことだと思うのですが、ただ聞いているだけでは、私も新年早々、少々暗い気持ちになってしまいました。そこで、私の方からこの胸のバッジを見せて──これ議員バッジじゃないです。こっち側のバッジですね──「しかし、和歌山、何やってもあかんということはないですよ。去年の夏、紀州よさこい祭りやったでしょう。一日のことでしたけど、和歌山、熱く燃えましたよね」と話を切りかえると、大抵の方は「そうよ、あれよかったわ。物すごく人集まったし、あんなに和歌山にも若い人おったんやね」とか、実際に見に行っていない人でも「よかったらしいの。後でテレビで見たけど、私も行きたかったよ」と言ってくれます。
 これは、決して町中の声だけではありません。和歌山市に「紀州ジャーナル」という旬刊紙がありますが、昨年十一月二十五日号で、帝国データバンクの田中雄造和歌山支店長のインタビュー記事にこんなのが載っていました。「紀州よさこいは盛り上がった。和歌山にこんな若者がいたのかと思ったぐらいです。紀州よさこい祭りもコーディネートする人がいたからいい結果につながった。それに祭りを成功させようとみんな本気でしたね。本気が大切」と評価してくれていたので、この二月十六日に田中支店長を訪ね、約一時間ほど話をしてまいりました。その中でも、やはり田中氏は「紀州よさこいは、かかわってきた人たちの本気さが伝わってきて、見ている人たちの表情にも心から楽しんでいるのが感じることができましたね。私は東京の人間で、和歌山に来て六年になるけれども、こんなのは初めてでしたよ」と言ってくださいました。
 紀州よさこいについては後ほどゆっくり説明させていただきますが、そのほか回っておりますと、訪問先では木村知事についてよく質問を受けました。「木村さんどうよ」「最近ちょっとおとなしなったん違うか」「前は改革派知事でようテレビに出てたけどな」というような質問であります。それに対して、私は「木村知事は和歌山県のために頑張っていますよ」と断言しております。さらに「知事は昨年夏の選挙でマニフェスト(政権公約)を掲げ、今それの実現に向けて一生懸命やっていますよ」と私が言いますと、「そのマニフェストって何よ」という質問が返ってきます。
 マニフェストについては、私はやはり一昨年の十二月議会と昨年の六月議会の一般質問で木村知事に知事選に臨むに当たってぜひマニフェストを掲げてくださいと要望したことに対し、誠意を持っておこたえいただけたと私も大変喜んでおりますが、今回、年始の訪問を通じて私は、本格的な人口減少が進む和歌山において新たな発展を考えたときに大きなポイントは二つあるのではないかと私なりに考えました。それは、紀州よさこいに象徴される県民自身の地域における盛り上げ、つまりボトムアップと政権公約、マニフェストを掲げ当選した知事の強力なリーダーシップで断固として新しい和歌山をつくるという姿勢であります。いわばこの二つは車の両輪であり、これがうまく回れば、和歌山に決して未来はないどころか明るい展望が開けてくる、いわば希望の光だと私は確信をしております。
 そして、その紀州よさこい祭りについてでありますが、昨年九月議会でも報告いたしましたように、七月二十五日に初めて開催したにもかかわらず、参加チーム三十チーム、約一千六百人が踊り、観客動員数約七万五千人でした。しかもこれにかかった費用、一千五百六十万のうち、一部県からの地域・ひと・まちづくり補助金百万円以外すべて自分たちで集め、この祭りを大成功させました。
 この祭りを主催しておりますのは紀州お祭りプロジェクト実行委員会で、若者を中心に約四十名が、踊りをベースにした祭りで和歌山を元気にしようとボランティアで頑張ってくれております。私は単なるサポーターズクラブ、応援団の一人でありますが、そんな彼らがことしも成功させるために仕事や学業の合間に企画を立て、いろんな実行をしております。
 その一端を説明させていただきますと、祭りが終わって約四カ月後の十一月十三日から十二月三日にかけて、第一回紀州よさこい祭り写真展を、カメラの西本高松店とオークワパームシティで開催し、感動を再び呼び起こしました。また、昨年は大変自然災害の多い年であり、祭り開催後に若者を中心に新しく結成されたよさこいチームの中から、自分たちで被災地の方々に何かできることはないだろうかという声が上がり、実行委員会が中心となって、十一月二十一日に北ぶらくり丁・キッズフリーマーケットと、十一月二十八日に「踊りで元気を!おどるんや!紀州よさこいinパームシティ」のチャリティー企画を行い、約三千人の観客を集め、義援金二十六万四千三百六十五円をいただき、日本赤十字社を通じて新潟中越地震災害並びに台風二十三号の兵庫県、京都府の被災地の方々に送らせていただきました。
 ただ、これだけですと一回の成功の余韻に浸りながら思ったことだけをやっているように見えますが、決してそのようなことではなく、ことしの祭りをさらにパワーアップさせるために、踊りや化粧、メイク等、祭りに関係するスキルアップや各チームのオリジナリティーづくりを目指し、ことしの一月二十三日より、やはり実行委員会が主催して「どうせならいっぱい踊ったろうワークショップ」という講座を設け、ヨガ、ジャズダンス、モダンバレエ、太極拳、メイクアップ等いろんなジャンルの指導者を招き、各チーム数名ずつ、約五十名の参加者に指導してきました。実は、私も一月二十五日に日本拳法の部門を担当し、二時間びっちり、突き、けり、呼吸法、構え、中心軸のつくり方等を指導してきました。この模様は後日ケーブルテレビのJ:COMで放映されましたが、受講者は講座全体で五千五百円の受講料を支払ってまで参加し、また各チームのメンバーに伝えるために大変熱心に受講し、私のときも、なれない突きやけりわざを一生懸命やっている姿が印象的でした。
 また、この二月五日には、紀州よさこい祭りと和歌山県を県外にPRしようと各チームから集まったメンバーでオフィシャルチーム「紀風」を発足させ、和歌山を最大限アピールできる新曲とともに振りつけも猛練習中で、この四月二日のダイワロイネットホテル和歌山のオープニングイベントでのデビューを目指し頑張っております。私も何度かこの練習風景を見に行きましたが、県外へアピールする目的だけではなく、和歌山を内から元気にするという大変いいチームだと感じております。ぜひ皆様も御期待いただければと存じます。
 さて、このように積極的に祭りを通して和歌山を元気にしようというミッションで、かかわる者すべてがその立場で労力を惜しまず活動していることは、先ほどの帝国データバンクの田中支店長の話だけではなく、他の方面でも高く評価され、例えば和歌山市で約十六万部発行されている「ニュース和歌山」の二〇〇四年和歌山重大ニュースに高野・熊野世界遺産登録とともに選ばれ、さらに昨年十二月十七日には、法務省和歌山保護観察所長から社会を明るくする運動に貢献したということで表彰を受けました。
 また、町や人の反応としては、和歌山オリジナルの祭りづくりに向けて地元和歌山の楽曲家や振りつけ師が制作に参加するようになったり、踊り子の衣装づくりを応援する専門家たちが職種を超えて集まり、よさこい応援団Kea企画が企画されました。そして、障害者の就労支援を目的に、和歌山県社会就労支援センター協議会(二十九認可作業所)と協力して作業所での紀州材を使った鳴子──これですね。踊るときに手に持つこれです(現物を示す)──づくりに挑戦中ということであります。
 それに、おとなしいと言われております和歌山大学の学生も徐々に立ち上がり始め、昨年秋の和歌山大学祭では、学祭の実行委員会もよさこいイベントを実施いたしました。また、IBW美容専門学校の学生や和大祭の実行委員、同じく同大のシステム工学部デザイン部BOXが準備のスタッフに参加し活動しており、実行委員が和歌山での学生の起業を支援する動きも出てきております。さらに、今回は和歌山市中央商店街連合会が取り組みを決め、本町通りが地域会場に決定し、少しでも中心市街地活性化の呼び水になることを期待しております。
 ことしは、前回の成功を機に「和歌山で一番の市民発観光事業の目玉に」を合い言葉に、七月二十三日、二十四日の二日間にわたり、昨年の二倍の三木町─西汀丁間の約五百メートルのパレードを中心に、さきに述べたぶらくり丁、本町通り、高松車庫前、片男波海水浴場、そしてメーン会場の西の丸・砂の丸広場と五会場で開催予定で、参加チーム四十五チーム、二千五百人の踊り子──これは会場の都合で最大だそうですが──観客動員数十五万人を目指し、各地域がともに元気になる祭りに向けて日夜準備に取り組んでおります。この場をおかりして、先輩・同僚の議員、県幹部の皆様方の御支援・御協力を心よりお願い申し上げる次第でございます。
 祭りの話はこれぐらいにさせていただきまして、私が和歌山にとってもう一方の希望の光だと申し上げましたが、木村マニフェストについてこれから質問をさせていただきます。
 マニフェストは、一昨年の一月に北川前三重県知事が提唱し、同年四月の地方の首長選において増田岩手県知事初め何人かの候補者がローカルマニフェストを掲げて選挙を行いました。また、同年十月の衆議院選において、政党が掲げたパーティーマニフェストにより政策を中心とした選挙が行われたことは御存じのとおりであります。詳しくは、配付させていただいた資料をごらんいただければと思います。
 昨年九月八日にはマニフェストを掲げて当選した五県の知事の、また十一月二十七日には五市区長のローカルマニフェスト検証大会が早稲田大学であり、両大会とも約八百名の聴衆が集まり、特に十一月の大会には、私たち新生わかやま県議団が会派研修として出席をしてまいりました。また、お手元の、二月四日に東京の日本プレスセンターで行われましたローカルマニフェスト連盟結成大会には、北川正恭氏よりお声がかかり、私一人出席をさせていただきました。いずれの大会も、マニフェストを訴え住民から直接選ばれた首長の、地方からこの国の形を変えていくという強い意思が伝わってきて、大変勉強になりました。ローカルマニフェスト推進首長連盟には、和歌山県では木村知事と中津村の笹村長が入会されているということでしたが、木村知事の改革にかける思いを感じることができて、私は大変うれしく思っておる次第でございます。
 先ほど申し上げましたが、和歌山では残念ながら、昨年八月の知事選で当時木村知事候補がマニフェストを掲げていること自体知らなかった有権者が多かったと思います。また、公職選挙法の関係もあり選挙期間中はマニフェストを書いた文書を配布できないということもありましたが、木村知事がはっきりとした政策を中心に県民の皆さんにお訴えし当選してきたことの意義は、大変意義深いことだと私は思っております。なぜなら、このマニフェストをベースに今後の行政運営ができるからであり、県民にとっても大変わかりやすいシステムであるからであります。
 事実、ことし一月には、このマニフェストをベースに、県として「わかやま改革と発展の政策~一三四の重点項目~」が発表されました。各数値目標、期限、財源、工程表等を実に細かいところまで考えられ、すばらしいものだと思いますが、両方じっくり読んで一つどうしても見えてこないのは、木村知事はこのマニフェストにより和歌山県をどのような県にしようとしているのか、そのビジョンについてであります。そして、そのためには、七つの重点施策のうち何に一番力を入れ、木村知事が描く和歌山の姿に近づけようとしているのかということであります。ビジョンとプライオリティー(優先順位)についてはっきりとお答えを下さい。
 次に財源についてでありますが、重点施策を実現するために平成十七年度三十八億円を計上されていますが、この四年間で合計どれだけのお金を使い、その捻出方法について御答弁をよろしくお願いいたします。
 参考までに、ここに岩手県の増田知事が一昨年春に日本で初めてつくったローカルマニフェストがあります。これにおいては、公共事業を三〇%カットして四年間で二百億円マニフェストのために確保すると明言されています。また、ビジョンにおいては、生活者主権、地域主権の確立ということを明確に訴え、プライオリティー(優先順位)の高いものとして前期二年間で最優先に取り組むとして、一、産業廃棄物不法投棄事業への取り組みと循環型社会の形成、二、雇用対策という二点をはっきりと掲げておりますが、木村知事はいかがでしょうか。
 特に私は、現在の和歌山は産業に発展性が乏しいから雇用を生み出すことができず、結果として人口が加速度的に減少傾向にあると思っておりますが、木村知事の重点施策の中で、産業の振興によって果たしてどれだけの新規産業が起こり、そのことによって税収の増額が見込めるのでしょうか。これは商工労働部長、お答えください。
 また、産業の振興と並んで、雇用の確保の推進により一万五千人の雇用をということで、昨年十一月のジョブ・クリエイションの中でどの分野で具体的に何人ずつ雇用を生み出すとまで明記されていますが、その中で、Iターン、Uターンを含め、先ほど私が問題といたしました他府県へ進学している大学生、専門学校生の割合がどれだけふえるのか、明確にお答えを、やはり商工労働部長、よろしくお願いいたします。
 重点施策二番目に、都市との交流による地域活性化の推進の中で緑の雇用事業をさらに推進し、Iターン、Uターンによる定住者三百五十五名(平成十五年度末)を四年間で五百名にふやすと言われておりますが、人数の多少はありますが、私はこの点を高く評価いたしております。国の補助事業とはいえ、新たな視点に立ち、今まで定住できなかったところにここ四年、五年で三百五十五名の人たちを定住させ、それをさらに五百名までふやしていこうという試みはすばらしいことだと私は思います。
 今も申しましたとおり、他府県の大学や専門学校に行っている息子や娘を持つ親としては、自分の子供たちが地元に就職し、生活してくれることは切実な願いであります。新卒者の若者が一人でも多くその中に入っていれば少しでも人口減少に歯どめがかかるものと思いますし、県民の皆さんのニーズに合っているのではないかと私は思います。産業の振興と雇用の確保の推進により、果たして人口減少に歯どめをかけることができるのでしょうか。知事、御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 ここに、地域づくり推進委員会というところが平成十四年(二〇〇二年)三月につくった和歌山県内市町村の将来推計人口というもののコピーがあります。これは、一九九五年と二〇〇〇年の国勢調査の人口推移をベースに、本年二〇〇五年から二〇一〇年、二〇一五年、さらに二〇三〇年、つまり平成四十二年までの国勢調査時の人口推計を出したものでありますが、国勢調査は御存じのとおり十月一日ですからまだことしは七カ月先の話ですが、既に二〇〇五年一月一日の時点で我が和歌山県は百四万九千四百五十七人と、ここに書いてある推計人口をさらに三百五十七人既に下回っております。
 もちろん、人口が多ければそれですべてよしという価値観で私はこのことを言っているのではありません。しかし、冒頭で申し上げました和歌山の人を相手にしている個人事業主や中小企業の立場で考えてみれば答えは簡単ではないでしょうか。つまり、顧客である人口が目に見えて減ってくれば、先行き不安なのは当たり前であります。また、若者にとって、幾らふるさとが和歌山であるといっても、夢も希望も自分を生かせる仕事もなければ、果たしてこの和歌山県に定住するでしょうか。どうかこの点を十分お考えをいただき、はっきりとした真剣なお答えを切にお願いをいたしまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの浦口高典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) マニフェストについて、マニフェストで和歌山県をどうするのかというふうな御質問でございます。
 昨年の選挙でマニフェストをつくって、そしてたくさんの数値目標を挙げて選挙をしたわけですけれども、御質問にもありましたように、ほとんど全くと言っていいほど関心を呼びませんでした。これは私は非常に残念なことだと思っているんですけども、しかし、そういうふうな状況であるということを踏まえた上で、そのことに屈せずに継続的にこの努力をしていかなければならないということで、新年度の予算にも、これは財政当局も、そして各部局も挙げて、このマニフェストというものを基本にして予算編成を行うような形になりました。
 その結果として、百十事業、三十八億円というふうな額、非常に厳しい財政状況の中では思い切った対応をとれているというふうな感じがあるんですけども、そしてまたこの数値の目標を挙げて県民の人にいろんなことを約束していくということは非常に僕は大事なことだとは思っていますが、ただ一方、このマニフェストというものにも一定の限界というか、使いようによっては毒になる部分が非常にあるわけです。というのは、普通にやっていても一応達成できるような数値目標を数値目標として挙げて、逆に言えば割と安易なところについて達成感を持つというふうな傾向がなきにしもあらずというふうなことがありますし、それからまた、時代がどんどん変わっている中で、一回決めた数値目標をすべていいものとして、もうこれで決めてあるんだからこれだけでやっていればいいんだということで、ある意味では思考停止状態になるというふうなことが考えられるわけです。
 今の時代に一番大切なのは、県の職員一人一人が創造的に自分の能力をすべて使って、和歌山県がどういうふうにすればいいことになっていくかというふうなことを考えていくということがエネルギーを生み出していく原点であるというふうに考えておりますので、私はこのマニフェストというもののあり方についても、今は非常にブーム的な状況の中で進んできているけども、一定やっぱりこの進行管理については僕は考えていかなければならないというふうな面もあろうかと思っています。しかしながら、プラスの面が非常に大きいことは間違いないというふうなことです。
 そして、その中でどういうふうなところに力を入れていくのかということですが、はっきり言って、ありとあらゆることに力を入れないともう元気が出てこないというふうな状況なんですけども、一つは和歌山をできるだけ自立できるような形にしていかなければならない。御質問の中にもありましたように、非常に厳しい状況です。地理的な条件、そしてまた人口的な問題、高齢化の問題、すべての状況が、もうなかなか簡単に対応できるというふうな限界を超えているという面があるわけですが、だからといって、それであきらめてしまったらもうずるずると泥沼へはまってしまうんで、地道に一つずつ、例えば地場産業の振興でありますとか、観光産業の振興でありますとか、そして、自然を生かすということの中で人を呼び込んでいくというふうな方策とか、こういうふうなことをやはり地道に行っていくことが一つ大事だと思っています。
 それからもう一つは、その次の財源をどういうふうにして生み出すのかという問題とも大きく関連してくるわけでございますけども、今世の中を挙げて、行政のむだ、特に地方行政のむだというふうな方向に、日本全体がこれを見直すという形の方向へかじを切りつつあります。これは大きな国家運動に今なりつつあるということで、これは一定の──別の意図もあるのかもしれませんけども、しかしながら、これをやっぱり一つのきっかけとして地方の方もむだを見直していかないといかんということは大いにあることだと思うんで、私自身はこれをマイナスというふうにとらえるんじゃなくて、やはり責任のある自治体になっていくという方向の一つのきっかけとしてとらえて、和歌山県の中でもまだ──毎年いろんなことを見直してはきていますけども、さらに観点を変えて見直さなければならないところが私はあると思っておりますので、そういうふうなところからやっぱり財源を生み出していって、それを新しいマニフェストを実行していくようなことに充てていきたいというふうに思っております。
 そして、また防災問題、それから最初の答弁でも申し上げましたけども、こういうふうな能力主義の時代というのは、ともすれば非常にぎすぎすした、そしてまた弱者に厳しい時代に今なりつつあるということ、これはもういろんなところで言われていることですけども、そういうふうなことに対して手を差し伸べるのが、また行政の一番大きな役割だろうというふうに思っておりますので、そういうふうな点もこのマニフェストを基本にしながらやっていきたいというふうに思っております。
 それから、四年間でどれだけこのマニフェストにというふうなことなんですけども、実はこの三十八億円という額も、これはもう当然、別にマニフェストがなくてもやっていたような事柄も大いに含まれておりますので、金額が幾らというふうなことを言うこと自体は僕は余り意味のないことだと思っておりますけども、そういうふうな本来的な行政改革の中で財源を生み出して、そして少しでも新しい施策、政策、元気が出ていくような政策に回していくという不断の努力というものが大事だろうというふうに思っております。
 それから、人口が減少していると、これに対してどういうふうな政策をとるのかということでございます。
 人口の減少は、これはもう和歌山県だけじゃなく──和歌山県はよそを先取りして起こっておりますけども──もう日本全国が大変なスピードで人口が減少していくのは、これはもう人口の構成上もはっきりしていることなんです。そういう中で、特に高齢化が進んでいる和歌山県の場合、亡くなる方の方が出生者よりも多くなって非常に加速度的に人口が減っていくというのは、これはもう統計的にもはっきりしていることなんですが、だからといって、これも同じく、そしたらもうふやすというふうなことをしないと、どんどん人口が減って地域の活力が減っていくというふうなことがあるわけです。
 そういう中で、例えば緑の雇用でありますとか、農業をやってみようプログラムでありますとか、それから漁業への他者の進出みたいなことを進めていく事業でありますとか、こういうふうなこと、実は幾ら努力しても、でき上がってくる数というのは非常に少ないんですけども、しかし、こういうふうな小さなことの積み重ねからやはりやっていかないと、もうびっくりするような大きな自動車会社が和歌山へ進出して何万人もの人を雇って東京からも社員が来るというふうな形になればそれは一番望ましいんだけど、なかなかそういうふうなことは正直難しいんで、やはりこの和歌山のよさというものを生かしながら少しでも交流人口をふやして、そしてその中から幾らかの人でも定着していくようにしていく。
 それから、もう一つは地場産業の振興。今いろいろ和歌山にある新しい技術等に支援を行うような事業を新年度でも行っておりますけども、こういうところで少しでも起業が行われて、そこへ和歌山の若者の人が、例えば学校は東京とか大阪とか外へ出ていても、また帰って頑張ってみようというふうな形になるような努力、これも一気にいくというふうなことにはなりませんけども、一つずつ地道に積み重ねていきたいというふうに思っております。
 いずれにせよ、和歌山の振興、これからはやはり自分のところにあるいいものを伸ばしていくと。そして伸びようとする人を引っ張るんじゃなくて、伸びようとする人をみんなで守り立てていくというふうな形にしていかないといけないと思います。
 私も、このごろはちょっとおとなしくなったと。いろんな新しいことをやれば「はね返っている」と、やらなくなれば「おとなしくなった」と、どうすればいいのかというような気持ちもないではありませんけれども、いずれにせよ、新しいことに向けて県が元気になるように頑張っていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) マニフェストに関しての二点についてお答えいたします。
 まず、マニフェストの産業の振興分野につきましては、経営革新や技術革新による新事業の創出を図る元気な企業を起爆剤として県経済の牽引役を数多く生み出すことを目指して、県内産業のイノベーションを推進するなど、ともに本県の特色である農林水産業や食品、化学産業等の産業資源を生かした新産業の創出、さらには県産品のブランド化や県内企業の国際化による販路拡大、また戦略的な企業誘致等に取り組んでいるところでございます。
 商工労働部では、これらの施策による全体的な税収の増額を算出することは困難ではありますが、施策の展開により税収の増加が図られるとともに、安定した自主財源の確保が促され、自立した県経済の構築と発展が確立されていくものと考えているところでございます。
 次に、若者をターゲットにした定住策につきましては、県内出身の大学生等を対象に実施しております就職意識調査の結果を見ましても約五割の学生が県内での就職を希望しており、若者のふるさと志向も高く、議員御提言のように、Uターン等の促進は重要な課題であると認識してございます。
 このため、本県への円滑な人材の流入、還流を目的に、包括的な若年者雇用対策を推進することとしてございます。具体的には、県内での就職を希望する県外進学者等を対象にしたきのくにUターンフェアの開催や誘致企業、県内企業における合同就職面接会等の実施、若者の就職支援を一体的、効率的に展開するジョブカフェ・わかやまの充実等により、さまざまな角度からIターン、Uターン等への推進に取り組んできたところでございます。県としましては、こうした施策の推進によって、四年間で約二千人の就職支援を目指しているところであります。今後は一層、若年者の県内定住と県外からの就職促進を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番浦口高典君。
○浦口高典君 御答弁、まことにありがとうございました。
 ちょっと前後いたしますが、最初に石橋商工労働部長に要望いたしておきます。
 一万五千人のうちに具体的に本当にどれだけ新卒者を少しでも多く入れていただくか。その数字はなかなか挙げにくいと思うんですが、何度も言います。くどいようですけども、やはり若者がこれ以上どんどん県外へ流出してしまいますと、つまり多出社会が進みますと、和歌山県の勢いがますます弱くなってくる可能性があります。それだけに、この雇用問題というのは、商工労働部だけの問題ではないと思うんですが、他の県幹部の皆様にもぜひ新卒者を和歌山にという視点を持っていただくことを切に強く要望いたしておきます。
 次に、木村知事に。私はマニフェストを最近勉強しておりまして、よくわかってきたんですが、マニフェストには狭義の概念と広義の概念というのがあるんですね。狭義、つまり狭い意味では、よく言われているように数値目標、期限、財源、工程表等を示して、それを達成するということなんですね。それはマニフェストの定義なんです。しかし、広義、つまり広い意味では、トップリーダーがやはり時代の流れを的確につかみ、このような和歌山県をつくるんだという明確なビジョンと方向性、そしてその実行力を県民に訴えて、それを政治生命をかけてでも実現するんだという指導力だというふうに、私、最近解釈をするようになりました。
 しかし、これはやはり数値目標を達成するだけでは、そういったビジョンを実現化することはできないと思います。そのことはよく知事も御理解されていると思うんですが、それだけに、今後知事の方からインパクトのある熱きメッセージをコンパクトにまとめていただいて、県民の皆さんのモチベーション、やる気を喚起していただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浦口高典君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速、質問に入らせていただきます。
 まず、お礼を申し上げたいと思います。それは、新年度の予算案に海南市の二つの水門の遠隔操作ができるように一億円の予算が計上されている点です。大変うれしいことです。本県の沿岸部は昭和二十一年の南海地震津波で被害をこうむった箇所が多く発生しましたが、とりわけ海南市では大きな津波被害を経験しております。このたび、「県民の友」三月号に海南市の津波シミュレーションが掲載されました。そこには広範囲な浸水領域が示されており、海南市は津波の被害を警戒すべき地域として県当局も認識いただいているものと考えます。
 地震・津波防災につきましては、まだまだ課題がたくさん山積しております。本日は、お礼と引き続く対策を要望するにとどめておきたいと思います。
 さて、質問の最初は教育問題であります。
 九月の県議会で大成高校募集停止を含めた高校再編計画について多くの皆さんから批判が出され、その後、県教育委員会は募集停止を撤回いたしました。しかし、再編計画そのものは撤回でないとして地域でその理解を求めると説明していますが、到底県民の理解が得られるものではありません。
 一月十七日、大成高校を存続させる会が、大成高校育友会初め、保護者、教職員、地元の皆さんによって結成されました。地元の尾崎要二議員、宗正彦前県議が顧問に就任されました。藤山県議と私も参加したところであります。参加者の思いは、大成高校の募集停止を先に延ばすだけでなく、あくまでも大成高校を存続させたいということであります。それは決して無理なことではありません。
 第一に、海南・海草では生徒数が減少すると言いますが、中学卒業生は今後十年間はほぼ横ばいです。第二に、海南・海草地方では、地元高校への進学は普通科では四三%にすぎない。高校普通科の定数は少ないわけです。第三に、小規模だから高校としてやっていけないということはない。県教育委員会が主導したきのくに教育協議会の報告でも小規模学校についても否定していませんし、文教委員会でお聞きしたところ、文部科学省でもそういう規制や指導はしていないということです。一方、全国では、三十人学級の導入なども含めて小規模校を存続する努力がなされています。
 大成高校を存続させる会には、富山県の高校の教員の方がおいでになって、富山県の経験を話してくれました。その内容は、生徒数減少という条件を生かして少人数学級を導入していること、小規模高校の四校を学校群として連携させ、特色を持たせ、生徒の多様なニーズにこたえるということなど工夫をしているということでした。こうした経験も調査されてしかるべきだろうと思います。
 県教育委員会は、自分の立てた計画を何とか押し通そうという立場に立つのではなく、県民の声にこたえる道を探っていただきたい。そのために全国の経験についてどのような調査をなされたのか、そして高校再編計画をどう見直すつもりなのか、教育長にお伺いいたします。
 第二番目は、学力問題であります。
 今、学力低下が大きくマスコミでも取り上げられ、ゆとりの教育、総合的な学習の時間などの見直しを文部科学省も検討を始めたと伝えられています。学力が低下したといえば、ゆとりと言うから悪いんだ、韓国や中国の子供たちは長時間勉強しているではないかという論調もございます。しかし、もっと問題を多面的に見なくてはならないと思います。
 昨年末に発表されたOECDの国際的な学習到達度調査で、日本のランクが科学的リテラシーでは第二位を保ったものの、数学的リテラシーでは一位から六位に、読解力リテラシーでは八位から十四位に低下して、学力低下が言われる一つのデータになっているわけです。この調査では、日本の子供の学力水準もさることながら、日本の子供の学力格差が広がっていること、日本の子供が勉強嫌いになっていることも指摘されています。興味深いのは、この調査でフィンランドがトップの成績を上げたと注目されていることです。問題は順位ではなく、その教育の内容です。二月二十日の朝日新聞が「比較・競争とは無縁」という見出しで、このことを報道しました。競争やコース分けの教育ではないことが注目されているわけです。それに対して、ドイツやスイスなどのコース別エリート教育を進めてきた国々の学力が低下しているのが先進国の特徴です。
 日本教育学会会長である東京大学の佐藤学教授は、中国や韓国の高校生が朝早くから夜遅くまで勉強することを紹介しながら、それを追いつき型近代化の東南アジア型の教育と特徴づけ、それが一定の発展段階では破綻するということを指摘しています。こうした指摘も傾聴に値します。
 さて、日本の教育ですが、学校教育の時間数や教育内容を文部科学省が定めた文書である学習指導要領は、ほぼ十年に一度改訂されます。あるときは「新幹線授業」と言われるような詰め込みの教育を引き起こして、落ちこぼれが社会問題になったこともありました。あるときは、英語の授業は週三時間でいいんだと言って現場を戸惑わせたこともありました。いろいろなことがあったわけですが、一九八八年の学習指導要領、これは小学校低学年から大変教える内容が多くて、子供も先生も悲鳴を上げました。全国の一千近く、和歌山県内でも三十七の地方議会から白紙撤回、あるいは見直してもらいたい、こういう決議が上げられたわけです。そして、その後に登場したのが今日のゆとりの教育と言われる新しい学習指導要領であります。
 この時期、文部省は一九九〇年代に新しい学力観ということを言い出します。それは、子供が読み、書き、算数などの学力をどれだけ身につけたかということ、鉄棒で逆上がりができるようになったかということを問題にするのでなく、子供の関心、意欲、態度を問題にするというものでした。子供が関心と意欲を持ってマットで遊ぶという態度を評価する。前回りがちゃんとできるかどうかが問題ではないというのでしょうか。実際、体育の授業で、一つの同じクラスで、ある子供はボール投げをしている、ある子供は幅跳びをしている、ある子供はマットをやっているというようなそういう授業、それが新しい学力観の立場に立った授業だと言われるようなことになりました。こんな指導のもとで、いわゆるゆとりの教育が導入されたのです。
 基礎・基本を厳選するという言葉はいいのですが、例えば、自然科学というものは、それを貫く法則を理解してこそ個々の法則や現象を理解できます。しかし、ばらばらの知識を与えて終わりになってしまうと、現場の先生は悩んでいます。学校現場では、「総合的な学習の時間」という名前はもちろん使いますけれども、その中でも、算数や国語、理科、社会など、これまで教科で指導してきた内容をきちんと踏まえた内容にするなど、子供の学力を低下させないようにいろいろな工夫もされていることと思います。私は、学習指導要領を改めることもさることながら、学校現場が文部科学省の思いつきのような教育政策に振り回されるようなことのないようにしてほしいと思います。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 第一に、今日の学習指導要領のもとで、ゆとりの教育と学力をめぐって心配の声が上がっている、いろいろな意見がある、私は新学力観というものに大きな問題があったということも申し上げたわけですが、教育長は今この学習指導要領にどういう問題があるというふうにお考えなんでしょうか。
 第二に、学力問題では注目されるフィンランドの教育、そして佐藤学教授の指摘などにかかわって、教育長はどういうふうに考えておられるでしょうか。
 第三番目に、学校現場が学習指導要領によって振り回されることのないように学校現場の自主性を尊重すべきではないか、それこそが特色ある学校づくりではないかと私は考えるわけですが、教育長、いかがでしょうか。
 次に、道路交通問題に入りたいと思います。
 十二月の県議会で、私は海南市の都市計画道路・日方大野中藤白線の日方川に沿った部分を例にとって、住民が求める道路を早くつくるということが求められているという問題提起を行いました。私は、この質問をきっかけにして都市計画道路のあり方を考えるようになってまいりました。
 さて、海南市でいいますと、都市計画道路の大部分が決定された都市計画審議会は一九八一年に開かれています。和歌山市の都市計画道路などは、さらに前に決定されたものが多いようであります。都市計画道路の中には、工事が進んで喜ばれているものがたくさんあるでしょう。進捗率は海南市でいうと四〇%ぐらいだとお聞きしました。都市計画道路の線引きが行われると、建物の建設に規制がかけられます。それで計画どおりに道路建設が進み、喜ばれるところはそれでいいんですが、その後の社会の情勢の変化もあって、再検討した方がいいのではないかと思われるものもあります。都市計画というものが道路政策の足かせになっている場合があるのではないでしょうか。このことは、道路行政に携わっている多くの皆さんが既に感じておられることだと思います。しかし、都市計画を撤回するとすれば、これまで規制をかけてきたことについての責任はどうなるのかという問題もあります。県がこの問題についてイニシアチブをとってほしいという声が市町村の道路関係者の中にもあります。
 二十年、三十年前につくられて時代の変化の中で実情に合わなくなっている都市計画道路を見直すという問題について、知事はどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
 第二は、合併する新海南市の道路問題です。
 海南市と下津町が四月から合併し、新海南市が誕生いたします。合併まではいろいろ議論もしてきましたけれども、合併が決まった以上、前向きの新しい町づくりをどう進めるかということが問題であります。海南市・下津町の合併で、この二つの町の間の国道四十二号の渋滞が大きな問題です。
 その解決策の一つは、バイパスの建設です。海南市、下津町、有田市、有田郡を含め、関係自治体、県会議員の皆さんと超党派で陳情もしてきました。しかし、海南市から有田市までのバイパスを通すことはそう簡単なことではありません。一定の時間がかかるでしょう。一方、海南湯浅道路の料金値下げという社会実験が、国と県の財政負担、道路公団の協力で昨年の五月に行われました。六月県議会で、藤山将材議員の質問に対して県土整備部長は、国、道路公団に早期の低料金化を強く働きかけるという趣旨のお答えをされています。海南市・下津町の合併が決まった今、この問題は早急に実現しなくてはならないと思います。私は、社会実験を行った国、県、道路公団の協力による海南湯浅道路の料金引き下げに加えて、新海南市、そして県も後押しをして、一定の負担をしてでも海南─下津間のさらに上乗せした料金の引き下げ、できれば時間的な無料化があってもいいとさえ考えています。
 知事にお伺いいたします。
 合併した海南市への支援策という観点も含めて、国道四十二号バイパスが実現するまでの間の臨時的措置としてでもいい、海南湯浅道路を国道渋滞解消に活用するという措置に海南市と協議しながら踏み込んでいろいろ考えていただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
 また、県土整備部長にお伺いいたします。
 第一は、海南─有田間の国道四十二号バイパスは何年ぐらいで実現できると考えておられるのか。一定の幅を持ってでもいいですから、見通しの年限をお答えください。
 第二番目に、海南湯浅道路の料金引き下げの問題。社会実験を現実のものにするために国及び道路公団との協議はなされているのか。なされていると言うのならどこまで話が進んできているのか。これも県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、話は変わりまして、JICAと国際貢献という問題です。
 JICA(国際協力機構)というのは、緒方貞子さんを代表とし、発展途上国への経済・技術援助を行っている組織であります。私も最近まで遠くのものだと思っておりました。それを私が身近に感じられましたのは、JICAからシリアに派遣をされて帰ってこられた海南市の技術者の方にお会いしてからです。溶接の仕事をなさってこられた茶山さんという方が、六十歳を過ぎてからシリアに技術指導に行かれました。普通は二年間が任期なのだそうですが、現地からの希望もあって一年間任期を延長し、昨年末お帰りになりました。
 今、日本の国際貢献はどうあるべきかということが議論されているとき、こうした国際貢献は大変貴重であると思います。しかし、和歌山からの参加者は決して多い方ではありません。茶山さんは言われます。「ODAで日本はいろいろな援助をしているけれども、ミスマッチもあると思います。いろいろな人が来ているけれども、現場の経験を持った技術者が必要だと思います。それで私も任期を延ばしてお手伝いしてきたんです。私が指導した若い人たちを、できたら日本に呼んで、さらに技術を磨かせたいと思うんです。受け入れる企業でも重荷にならないだけの技術を持った若者たちがいます」、こういうことを言われていたんですが、現地に行って何年も経験を積まれた方の意見というのは貴重であります。
 知事公室長にお伺いいたします。
 JICAによる国際貢献への参加を和歌山県としてどのように呼びかけ、支援されているのでしょうか。
 さらに、JICAの事業にボランティアで参加された皆さんの御意見を今後の施策に生かすようにじっくりとお聞きされたらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。既に帰国報告をお聞きでしたら、その報告をどのようにお受け取りになり、どういう課題を受けとめられているのか、お聞かせください。
 また、茶山さんが現地の若い技術者を日本に呼びたいとおっしゃった関係で思うんですが、和歌山の県内の企業にも呼びかけ、そういうことがあった場合に受け入れのネットワークのようなものをつくっておいたらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
 最後に、「和歌山の部落史」についてであります。
 昨年六月の県議会で、「和歌山の部落史」というものが企画されているが、昨年の県予算書にも全く出てこない、これは議会無視ではないかという苦情を申し上げました。当時の企画部長が、調査費だからという苦しい答弁をなさいました。私は六月県議会で、この企画を持ち込んできた運動団体にかかわる研究所での趣意書のようなものを分析し、「大阪の部落史」が参考になると言うが、それは極めて偏ったものだということを申し上げ、偏った部落史になりかねないものに県民の税金を出すことでいいのかと申し上げた。知事の答弁は、同和対策というより学術研究であり、高野山などにある貴重な史料を保存するという意味もあるという説明をなさいました。
 さて、今議会前に記者発表資料をお送りいただいてチェックしたのですが、今度も「和歌山の部落史」は出てまいりません。財政課の予算の概要の中でやっと見つけ出した次第であります。
 ところで、その中身を見ると、昨年度の二百万円から七百五十五万円に膨れ上がっているわけです。担当課から説明を聞いてみると、十年間で本文編三巻、史料編四巻、計七巻のものを計画している、計画では、田辺市の同和史編さんの経験を持った方を年間九百十万円で十年間和歌山へ来てもらう、その人件費を県と市町村で半々に負担をする、それとは別に、史料収集、編さん、発行に十年間で一億二千百五十万円をかけるという計画になっているという説明を聞きました。しかし、お聞きしてみると、田辺の同和史というのは、通史編一巻、分野編一巻、史料編一巻の計三巻、それに年表がついています。かかった経費は人件費を除いて一億六千万円とお聞きしました。このたび「和歌山の部落史」は計七巻になっています。それで編集発行予算に一億二千万円余り、果たして予算内でできるのでしょうか。
 「県同和運動史」というものが出されています。それは二冊のもので、同和運動ですから恐らく近現代史にかかわるものですが、それでも編集には一九九〇年から九七年まで八年間かかっているそうです。今度の場合は古代から現代まで、しかも計七巻でしょう。県史の編さんに携わられた方にこの計画をお見せすると、二十年ぐらいかかるんではないかという感想を漏らされました。専門家の中でも、部落史という特別の歴史を描き出す必要はないという意見もあります。私は、高野山にある貴重な資料を保存するということであれば、県立図書館なり資料館なりの事業として関係寺院の協力をいただいてマイクロフィルム化して、研究者がだれでも閲覧するようにすれば十分だと考えます。何も部落、差別とこだわって史料を選び出す必要もないのではないでしょうか。
 こうした問題も含めて、「和歌山の部落史」は本当に必要なのでしょうか。まして将来予算が膨れ上がるなどということはとんでもないことです。本当に予算内でできるのですか。また、市町村にも協力を求めるということですが、苦慮している市町村もあるようです。協力の押しつけはやめていただきたい。以上は企画部長の答弁を求めます。
 以上で、私の第一回目の質問を終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 都市計画決定された道路の見直しということでございます。
 私も、御質問にありましたように今世の中がどんどん変わっているというふうな中で、都市計画決定ということを考えたときに、計画的に地域づくりを進めていくということでは非常に重要な意義を有すると一方では考えながら、社会の情勢、人口とか地域の動向とか、そういうものが大きく変化するときに二十年も三十年も前のものがそのままでいいというふうなこと、ある意味ではこういういろんな面での硬直性というふうなものがこれからの日本を滅ぼしていくんじゃないかというふうな危機感を持っているようなところもございます。
 都市計画決定の道路等については、昔、計画決定された後にいろいろな権利関係が乗っかっていって、急にそれを変えるというふうなことでは大変な利害関係者の不利益ということを招来する可能性もあるわけですけども、やはりこの時代は本当に変えないといかんものについては勇気を持ってその地域の人にも理解を求めていくというふうなことをしていかなければならない時代だと思っておりますので、県の当局としても、これについては口だけじゃなくて、積極的に真剣にできるものについては取り組んでいこうというふうな気持ちを持って既に進めているところでございます。
 次に、海南湯浅道路を四十二号のバイパスにと。これはそういってもなかなかできないだろうから、これに代替的な機能を持たせるような努力というふうなことでございますけども、これについては、我々も今、この海南湯浅道路は高速道路の中で別料金体系になっていて非常に値段が高いというふうなことがありますので、国への要望なんかでも第一のプライオリティーを置いてこの料金引き下げということを要望しているということでございます。
 それからもう一つは、料金が下がっても、あそこはいつも観光時期なんかでは渋滞しているということがございますので、早急に車線をふやすという工事が進むような要請というのもあわせて行っていきたいと、このように考えております。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 四十二号のバイパスの見通しと、海南湯浅道路の料金引き下げの見通しについてお答え申し上げます。
 まず、海南─有田間の国道四十二号バイパスにつきましては、国交省により二市一町の意見を聞きながら、特に今年度はJR及び海岸近接部の構造検討やアクセス道路などの調査が進められているところでございます。したがいまして、現時点では事業着手時期が未定であり具体的な年限は申し上げられる段階ではございませんが、今後とも国に対し調査を促進し、早期事業化をするよう強く働きかけてまいります。
 次に、海南湯浅道路の料金引き下げの関係でございます。
 昨年五月の料金引き下げ割引実験で、海南湯浅道路の通行料金の低減により国道四十二号の渋滞緩和に一定の効果があることが確認されました。この実験を行う中で、国及び道路公団と密接な協議を行い、その効果等について互いに確認したところでございます。こうした実験の効果なども踏まえ、国及び道路公団に対し、恒久的な料金値下げを強く申し入れているところでございます。
 以上です。
○議長(小川 武君) 知事公室長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○知事公室長(野添 勝君) JICAと民間の国際貢献についてお答えいたします。
 国際協力機構(JICA)は、ODAの一環として、開発途上地域等の経済及び社会の発展に寄与し、国際協力の促進に資することを目的として設立された独立行政法人であり、開発途上国の国づくりを担う人材の育成を中心にさまざまな協力活動を実施されております。
 県といたしましては、こういった市民レベルでの国際協力は非常に有意義なことと考えてございまして、JICAが実施する青年海外協力隊、シニア海外ボランティア等の年二回の春・秋の募集説明会や帰国隊員の報告会について、「県民の友」への掲載やテレビ、ラジオなどの広報番組を通じて広く県民に周知するなど、積極的な協力を行ってございます。さらに、和歌山県国際交流協会にはJICAの国際協力推進員が常駐し、県民に対し海外派遣に関する相談や各種情報の提供を行うなどの活動を行ってございます。
 議員御指摘のJICA事業へ参加された皆さんからの帰国報告につきましては、ぜひお話をお聞きし、今後の参考にさせていただきたいと考えてございます。
 現在、本県出身者で派遣中の方は十四カ国十六名となっており、帰国者も含めてこれまで百五十八名が派遣されております。また、県の国際交流センターにおいては、帰国隊員の実体験の報告会や派遣希望者への個別相談会の実施などを行っております。
 今後、JICAの研修受け入れについても、帰国者の皆様や和歌山県国際交流協会と連携を密にして取り組んでまいります。
○議長(小川 武君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 「和歌山の部落史」についてでございますが、部落史は、和歌山の各地域における部落差別が、いつから、なぜ発生し、どのような歴史的経過を経て、どうして現在まで残されているか──私は今まだ部落差別はあると認識しておりますが──そういうふうなことにつきまして学術的に研究、解明を行うことにより部落差別の本質を明らかにし、よって効果的な人権教育、人権啓発に結びつけるとともに、差別とこれを解決するための取り組みの歴史を教訓として後世に残そうとするものであり、必要と考えております。
 部落史編さんに関する予算につきましては、毎年度十分に精査し、必要・適切な範囲で予算計上し、執行してまいります。また、編さん費の三分の一は、社団法人和歌山人権研究所が負担することとしております。
 部落史の史料は各市町村、各地域に散在しておりまして、市町村との連携が必要であります。そのため、市町村の理解をちょうだいしながら、民間とも協働して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題二点についてお答えします。
 まず、県立高等学校再編整備計画案については、実施期間を延長して行ったパブリックコメントの実施後、十一月までに合計十四回にわたって各地方別に説明会を開き、今後の生徒数の減少の見通しや本計画案の趣旨について説明を行ってまいりました。さらにその後、十二月から二月にかけては地域学校協議会を開催して、これまで延べ十三回の協議を重ねてきたところです。今後とも、地元、学校、関係機関と十分に意見交換を行うとともに、他府県でさまざま取り組んでいる状況等も参考にしながら、さらに最終案の作成に向けて慎重に検討してまいります。
 次に、学力問題についてであります。
 昨年度から実施しております学力診断テストの結果から見て、児童生徒の基礎的、基本的な内容の定着はおおむね達成されておりますが、読解力、表現力や考察力などに課題が見られます。これは、昨年末に公表された国際的な学力調査の結果とほぼ同様な傾向を示しており、この中で成績上位となりましたフィンランドにおいては、児童生徒の間に読書の習慣が極めて浸透しているということが挙げられる、さらに、教職員の資質の点では十数年前から教員資格としては大学院修士課程を卒業することが要件になっているというふうなことも背景として考えられると見られております。
 こうしたことから、知識、理解はもとより思考力、表現力、さらには学ぶ意欲など、実生活で生かしていくために必要な幅広い学力の育成を重視する現行の学習指導要領の理念や目標を踏まえながら、今後とも各学校に対して子供たちが十分な学力と深い教養を身につけられるよう指導を徹底するとともに、学校の裁量にゆだねられるところが大きい総合的な学習の時間等の工夫・改善を含めて、自主性のある特色に満ちた学校づくりの推進に努めてまいります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 御答弁ありがとうございました。再質問と要望を申し上げたいと思います。
 先に再質問の項目の方から入った方がいいでしょう。
 一つは、企画部長に、「和歌山の部落史」に係る問題での質問ですが、この県の予算書というものを見ると、正式の予算書で出てくるのは、ことしの予算について七百五十五万円というものだけが出てくるわけですね。そして、担当者に問いただしてみると、この七百五十五万円というものは、実は十年間で七巻の部落史をつくるという予定なんだということがはっきりすると。だから、単年度、単年度で精査をしてというふうに答弁をされても、その七百五十五万円というものが、十年間の一億幾らということを積算した上でこの議会に提案されるわけでしょう。私どもはこの提案されたものを、そういう裏づけをもって提案されたものとして、賛成か反対かということを判断するわけでしょう。
 ですから、私は「和歌山の部落史」が必要かどうかという議論は別にして、もしもこれを続けるとして、こういう計画でいうと本当に十年でできるのか。あるいは、田辺の部落史は三巻プラス年表だけれども、もちろん今度のページ数は少しそれより少ないということはありますけれども、しかし、よく皆さん集まって本をつくるとなると予定より厚くなることが多いわけですし、原稿を書く学者の先生が原稿がおくれることがあるわけですし、あるいは史料を集めると大変な作業ですし、経験のある人から言うと、あの計画を見ると二十年かかるんじゃないかという、こういう心配もある。
 そういうことを踏まえて質問をするんですが、県としては、特に今度は──今まで県史の場合は県がつくっているんです。「和歌山県議会史」の場合は和歌山県議会でつくっているんです。「和歌山県の教育史」の場合は和歌山県の教育委員会がつくっているんです。ところが、今度は県とは別に、県の担当部局がつくるんではなくて、別の機関に出してつくらせるわけです。そういうことでいうと、県の手を離れたところで編集作業が進んでいくとしたら一体この予算が膨れ上がる心配がないのかということを一つの心配として私は申し上げたわけで、そういうことはない、ならないということを、それ以上金を出すつもりはないということをはっきりここで言っていただきたいというふうに思います。あるいは、それが延びた場合はどこに責任があるのかということもお伺いしたいと思います。これが「和歌山の部落史」についての質問であります。
 続いて教育の問題では、特に学力問題での教育長からの答弁があったわけですが、今全国的に行われているこの学力の問題というのは、どういう角度から見るかという違いはあっても、文部科学大臣は、テレビなんかで出てくるのを見ますと、「朝令暮改と言われるかもしれませんが」というようなことを前置きしながら、今の学習指導要領、総合的な学習の時間や、いわゆるゆとりの教育の見直しを言い始めているわけですね。私は角度が違います。角度は違って、例えばこの新学力観の問題であるとか、そういう名前で知識や技能を習得することの軽視があったんではないかとか、あるいは画一的な学習指導要領の押しつけが問題なんではないかという角度から、今の学習指導要領についての疑問を呈しているわけです。
 教育長の御答弁では、学習指導要領そのものは問題なかったんだというふうにお考えで、まあそれはそれでいいんですが、しかし、例えば文部科学省がまた学習指導要領を変えた場合に「いや、今度の学習指導要領は一番いいんだ」というふうに言い出すのではちょっと困るなというふうに思っているわけでして、その辺の意見を申し上げておきたいと思います。もし考えがあったらお聞かせください。
 また、フィンランドの教育や佐藤学教授の意見を紹介いたしました。この問題では、例えばフィンランドでは読書の問題を大事にしている、あるいは教員に高い資格を持たせる。これも一つの側面でしょう。けれども、全体としてよく言われるのは、コース分けエリート教育ということをやってきたスイスやドイツなどが破綻をして、そしてこのフィンランドの教育というのは、今、朝日新聞の見出しで言いましたら、競争の教育でないということが言われている、これが一つの大きな側面だというふうに報じられている。私は、教育の問題というのはさまざまな意見があってもいいと思うんです。だから、この意見が絶対正しいとは言わないということをこの議会に来てからずっと言うていますね。だから、違った意見であっても一たんは受け入れると。
 しかし、こういうフィンランドの教育というのはそういうところに教訓があるんだというふうに多くの方が言っておられる。それならそれで、教育委員会もそういう側面からフィンランドの教育というものを考えることも必要なんではないか。今すぐにフィンランドがいいんだと、どうのこうのと言うてくれというふうには言っていません。そうではなくて、そういう側面から言われているんだから、ひとつそういう問題も考えてみる必要があるんではないか。そのことは、やはり今進めている競争率十倍になる中高一貫の教育の複線化というものが本当にいいのかどうかということの検討にもなるわけで、私もここで、フィンランドの教育がいいと、それは間違いでございますということを言うてくれとはいっこも言うてないんです。けれども、そういう問題が提起されたときに、真剣にそういう問題も検討するという柔軟な頭を、教育長は本来持っておられると思っているんですが、やはり持っていただきたいというふうに思います。
 この画一的なという問題で言うと、総合的な学習の時間は創意を生かしてもらえるんだというふうに言われますけど、それだけになっている。例えば、今度文部科学省がやろうとしている中学生の職場体験という事業があるんですよ。これは全国的にトライアルウイークという言葉で兵庫が始めたんで注目されている、中学生が職場を体験するという活動で、決して悪いことではないんですけどね。しかし、そういうものが教育委員会の手にかかると、県内すべての中学校に五日間以上実施するという要綱が出されるということになるんですね。
 けども、働く意欲、働く労働体験を持たせる教育なんていうのはいろんな形があってもいいでしょう。例えば、ミカンが盛んなところで、ミカンの取り入れの時期に一遍学校を一日休みにして、ミカンとりを手伝うてこいと、自分とこでミカンつくってないところは全部近所のとこへ行ってミカンとりやってみろとやる、例えばそういう教育があってもいいでしょう。それを事業所へ五日間というふうな、そういうことを画一的にやるというのは、やはり私は余りよくないというふうに思います。
 フィンランドの教育をめぐっての教育論議を多面的に深めていってはどうか、あるいはこの学校現場の自由な教育活動を保障するという問題で、もう一度教育長のお考えをお聞きしたいと思います。
 あと、以下は要望であります。
 まず、大成高校と高校再編の問題では、教育委員会もいろいろ今検討していただいているようで、十分地元の意見を聞いてもらいたい。特にことしのような宙ぶらりんのままでは、やはり大成高校としても生徒募集に大変苦労するわけです。まだ二次試験でどれだけの募集があるかわかりませんけども、宙ぶらりんというこの不安定な中でよくあそこまで生徒が集まってくれたなという思いがあるんですが、やはり残せる方向で努力をしてもらいたい。古座高校についても、また他の分校などについても要望、意見が上がってくるようですが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それから、都市計画道路の問題ですが、これまあ知事からは、私の提言を受け入れていただいてありがとうございました。これはもともと、知事が受け入れたというより、私がこの前の議会のときに、木村知事が一・五車線道路ということを提唱したと、それは非常にいいことだと、この考え方を都市計画道路まで広げたらこういうことになるんではないかというふうに申し上げたことを知事も受け入れていただいたわけで、何も私が初めて言い出した話ではないんですけども。しかし、これは和歌山県の都市計画道路政策の上で非常に大きな転機になる答弁だと思っています。ひとつ地元の皆さんと一緒に、どんな道路が必要なのかということを私ども議論したいというふうに思っています。
 四十二号の渋滞解消への海南湯浅道路は、これからいろいろやっていく問題ですが、ひとつよろしくお願いしたい。
 あとは、JICAの問題では、公室長からは参加者の意見も聞いてみたいというお話もありましたので、私もこれからしっかりそういう意見も聞きながら、そういう皆さんの支援も一緒にしていきたいと思っています。
 以上で、私の第二回目の質問を終わります。
○議長(小川 武君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 議員の再質問にお答えを申し上げます。
 まず部落史の事業の概要でございますが、作業予定がありまして、作業予定が、十七年度は史料の収集をしましょう、十八年度から二十年度にかけましては史料の収集及び編さん作業をしていく、あるいは二十一年度から二十二年度は史料の収集と編さん作業及び発刊についての準備をしていくというふうなことで、二十六年度には発刊するというふうな作業手順がございまして、それに基づきまして毎年十分に精査をしまして、適切な範囲で予算を計上して執行してまいるというふうなことでございます。
 それから、本事業は、民間の研究者とか、あるいは学者の方々の部落史の研究解明を支援するものでありまして、和歌山の部落史研究促進協議会というものを──県と市町村で構成する協議会でございますが、そういうものを設立しまして、そこに人権局が事務局を持ちましてそこでやっていくというふうなことでございます。それから、人権研究所につきましても三分の一を負担するということがございます。ですから、ここで断言と言えるかどうかわかりませんが、十年以内で必ずやりたいというふうには思っております。
 以上です。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 再質問、二点あったかと思います。
 まず最初の学習指導要領についての考え方といいますか、これはやはり固定的に画一的に考えるべきものではないということがあろうかと思います。私もかつて文部科学省で前の学習指導要領作成に携わった経験を持っておるわけで、それを作成した後で、教育委員会の立場で教育の第一線でそれをどう実施するかという両方の経験をした中で感じますのは、やはり学習指導要領というのは一つの書かれた文書というか文言であって、それを肉づけし、さまざまに膨らませて各地方の特色に合ったように展開していくのは、やはり地方であり学校であり地域住民の皆様方の協力という側面を抜きにしてはあり得ないわけでございます。その点からすれば、国は国の立場でいろいろな状況判断の中で見直しもなさっていくだろうとは思っておりますけども、その中で内容面でいかにそれを地方に合ったようにより効果的にしていくかというのが我々教育関係者の役割であり、知恵を発揮する場面ではないかというふうには思っているところでございます。
 それから、フィンランドに関連して、もっと情報収集なり分析・検討せよという御意見だと思いますが、ごもっともであるわけで、ただ、フィンランドの皆さんからすると、あの結果が出てから日本の各方面からの問い合わせとか来訪者が急にふえて面食らっているというふうな話もあるぐらいで、やっぱり国情の違いというものが背景にあるという中で一概に比較できないところがある中で、日本の反応が少し過剰ではないかというふうな受けとめ方もあるやには聞いております。
 ただ、その中で、今回のテストで我が国がいろんな分野で下がっていった大きな要因に、学力や意欲、生活態度の面での二極分化の兆しが見えてきていると。中位から下位層がずっと重くなってきているという、そのことが全体の平均を下げたという指摘があるわけで、特に義務教育ではそういうことは非常に注意しなければいけないことでありますから、その点については和歌山県の教育行政並びに学校の教育活動の中で十分心していかなければいけないということと、国が決めた、右向け右という時代では私はないと思っております。いろいろな大きな枠は示してもらって結構ですけども、具体的なやり方においては県独自の方法なり考え方を生かしていける教育分野の内容面における地方分権というのは、もう流れとしてとまらないというふうに考えておりますので、その趣旨に沿って、和歌山県の子供たちの学力や生活が十分に県民の皆さんに満足してもらえるようなものになっていけるよう、さまざまな今年度、十七年度の新規事業にも幾つか盛り込んでおりますし、具体的に議論から実行の段階に来ているというふうに考えているところでございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 教育の問題は、議論をすれば尽きないわけで、いろんな意見でまたこれからも議論していきたいと思っています。
 教育長が教育の問題で、国が言うたら右向け右でないというこの言葉、大変私は気に入りました。同時に、教育長が言うたら右向け右ではないので、ひとつ学校現場でも自由な教育活動ができるように、そういうことをしていきたいというふうに思っています。
 いろいろ意見もありますが、時間も時間ですから、私の質問はこれで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十五分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 質問に先立ちまして、三点ばかり御報告をさせていただきたく存じます。
 去る二月七日、八日、九日と、門団長を先頭といたし、自民党県議団におきまして、東京都立川市並びに静岡県に防災の勉強に行ってまいりました。立川市におきましては立川防災館、それから東京消防庁でございます。ハイパーレスキューという、非常に有名でございますけれども、例の新潟のときには大変活躍されたこの消防救助機動部隊、通称ハイパーレスキューというものを見学に行ってまいりました。大変得るものが大であったということを御報告させていただきたいと存じます。
 また、昨日午前十時より、和歌山市の新消防局・中消防署総合防災室合同庁舎が落成をいたし、その式典に、小川議長初め、私も先輩・同僚議員とともに出席をさせていただきました。県からは、白原危機管理監が出席をされておりました。新庁舎には消防局防災学習センターも併設をされておりまして、大変立派な建物でございました。県も現在防災センター建設に向け着々とその完成に向けて御尽力をされておられることは十分理解をしておるわけでございますけれども、県民の安全、そして安心確立のためにも、一日も早い完成を改めてここにお願いをいたすものであります。
 また、この式典の後、私は第二十八回障害児者家族のつながりを広める文化祭に出席をさせていただきました。手をつなぎ心をつないで友達の輪を広げようというテーマのもとに、県教育委員会、市教育委員会、県市各社会福祉協議会、朝日、読売、産経、毎日の各新聞社やテレビ和歌山等報道関係、加えて、社団法人県理学療法士協会、作業療法士協会等の多くの御後援のもと、バザーや模擬店、作品展示や相談コーナー等さまざまな催しが用意をされておりまして、障害児者とその御家族、それから学校、作業所、施設等の関係者、そして一般の方々等、交流の場として大いに盛り上がった文化祭でありました。
 防災も障害児者の問題も、そして今回は質問いたしませんけれども、人権に関する問題も、ともに人の命に直結している問題であり、人が安心して生きていけることの大切さというものを私なりに改めて感じる一日でありました。
 知事並びに各部長の皆さん方、何とぞ、私の意のあるところをお酌み取りいただきまして、今回の五項目にわたる質問に対し、心ある誠意ある御答弁をお願いいたし、前段少々話が長くなりましたが、これから通告に従いまして順次質問に入らせていただきたいと思います。
 去る二月二十三日、県議会開会時、木村知事より平成十七年二月定例会における説明がなされ、予算案件三十八件、条例案件八十九件、計百二十七件が上程され、これに伴い一般会計五千二百五十八億円の新年度予算案が示されました。地方分権時代にふさわしく、自立的な施策を中長期的に展開するため、税収が伸び悩む中、非常に厳しい財政環境のもと、財政改革プログラムに沿った財政健全化の取り組みに努める一方、知事の政策宣言、いわゆるマニフェストを県政の基本方針にいたし、安心で活力あふれる和歌山の実現に向け取り組むべく新規百十事業、三十八億円を計上、地震防災対策を初め、世界遺産の保全と活用、また、特色を生かした産業振興等、雇用対策などに重点配分をいたし、経費最少、民益最大の県政を、また、やる気にあふれた出るくいを伸ばし、新しい和歌山モデルの構築を目指していくと述べられました。
 私なりに、知事を先頭といたし、それぞれの部局における予算編成は、いわば産みの苦しみとでも言うべきでしょうか、大変な御努力と御苦労があったものと認識をいたしておりますし、理解をするものでありますが、当初予算でもあり、また、光熱費だけでも約九千万円の節約をするとのこと、加えて新規事業も含め幾つか気になるところもございますので、よって、ここに私なりの質問をいたすものであります。
 まず初めに、県政における住民参加型施策の推進について質問をさせていただきたく存じます。
 知事は、日ごろから「県民の想いをかなえる県民主役の県政の実現」を政策の基本理念の一つとして掲げられ、県民自治に向けた施策に積極的に取り組まれているところであります。私も、地方分権の進展とともに本県が名実ともに自主・自立していくためには、県民と行政における強固な信頼関係や揺るぎなきパートナーシップの構築が重要であると強く認識をしており、知事の意には大いに賛同するものであります。今さら申し上げるまでもありませんが、モータリゼーションの進展、商業・流通形態の多様化、ITを駆使した通信・情報手段の高度化等により、住民はどこに住んでいても豊かさを享受できる時代となりました。
 しかしながら一方で、皮肉にもこのことが住民の地域への帰属意識を希薄にさせ、ふるさと和歌山へのこだわりを失わせる要因にもつながっているのではないでしょうか。また、自治体の財政状況が厳しさを増す中にあって、県当局もあらゆる行財政改革に取り組んでおられるところでありますが、県民もその痛みを分かち合い、真に必要な施策の選択と集中に行政とともに手を携えて協働していくことが強く望まれる時代が到来しつつあるのだと感じます。県民が郷土への愛着を取り戻し、地域課題に関心を持ち、行政に積極的に参画していく、そのような中からすばらしい和歌山のあすが生まれてくるのではないでしょうか。
 平成十七年度当初予算の主要事業において、県民が積極的に行政に参画できる、そういうすばらしい事業が各部局に見受けられますが、このような住民参加型施策をどのように推進されていくのか、知事の御所見をお伺いいたしたく存じます。
 一方、今、県が直面している当面の課題というものを考えたとき、これまた私なりに不安を感じざるを得ない部分もあることも事実であります。そういう意味においては、今回ここに歳入アップという観点からも二点にわたり質問をさせていただきたく存じます。
 一つ目は、全国三十四位と著しく低い県税収入率を引き上げるための施策を実施するとのことであり、現在も土日を返上、また管理職の方も一緒になっての未納金徴収の努力をしていただいている今日、一体どういう形でさらにこのことに当たられるのか、またその見通しについてもお聞かせをいただきたく存じます。ちなみに、ローソン等コンビニを活用しての納付形態をとっている他都市の例もあり、今後県もこのやり方を含め検討してはどうかと考えますが、これについていかがお考えでしょうか、お示しをいただきたく存じます。
 二つ目は、歳入確保のために県有財産の売却等、有効活用の積極的な取り組みが必要と考えますが、このことについて現状はどうなのか、また今後どのように取り組まれていくのか。以上二点を総務部長にお答えをいただきたく存じます。
 加えて、過日報道によりますと、今年度末に廃止をされます県企業局の今年度の企業用土地売却収益が当初の目標の一割程度にとどまっておるとのことであり、この事業は新年度から商工労働部が引き継ぐこととなると思いますが、土地の需要の低迷などで、値下げして売却を考えない限りかなり厳しい状態になると感じます。ここで、この土地の売却についてどうお考えなのか、できましたら一つでも具体的な例をお示しいただき、企業局長にお答えいただきたく存じます。
 次に、二項目めといたし、空港問題についてお伺いをいたしたく存じます。
 過去、議場において幾多となく、関西国際空港をめぐる諸問題につきましては、先輩議員であります公明党県議団・森正樹議員より質問があったところであります。今回私は、中部国際空港の開港にかんがみ、私なりに質問をさせていただきたく存じます。
 さて、皆様御承知のとおり、本年二月十七日、愛知県常滑市沖に二十四時間運用可能のいわゆる眠らない空港として中部国際空港が開港いたしました。国際線と国内線の乗り継ぎの便利さが売り物ということであり、開港当初は国際線が北米、ヨーロッパ、アジアの海外二十五都市に週二百七十一便が就航、また国内線が二十四都市に一日九十四便が就航するなど、年間千二百万人の利用を見込んでいるとのことであります。また、貨物専用便も週二十七便と名古屋空港時代の五倍以上になり、貨物の取り扱い能力が大幅に向上することになります。ちなみに、三月に開幕する愛・地球博(愛知万博)の空の玄関となることは事実であると思います。
 先ほども述べましたが、中部国際空港の特徴は国際線と国内線が同じターミナルビルにあるということで、乗り継ぎ利便性が最大のセールスポイントとなっております。一方、関西国際空港でも、開港当初、国内外の乗り継ぎ、その利便性がセールスポイントでありましたが、国内線が伊丹空港に移り、乗り継ぎ利便性が低下していることは皆様方よく御承知のとおりであります。さらに、関西国際空港とは百五十キロしか離れておらないことから、西日本から貨物や旅客が中部国際空港に直接流れることが予想されております。
 これらのことから、先日私は、関西国際空港株式会社航空営業部に中部国際空港が開港したことによる関西国際空港への影響についてお聞きをいたしました。それによりますと、旅客便四便、貨物便六便の計十便がシフトしたにとどまっており、中部国際空港の就航状況は、国内線が充実している反面、本来の国際空港としての役割を果たす国際線につきましては関西国際空港の半分以下であり、競争力に乏しいとのことでありました。さらに、関西国際空港では、四月一日からのカタール航空の新規就航を初め、そのほかにも増便が予定されており、ことしの夏ダイヤでは週七百便を超え過去最大を更新する状況にあり、国内線についても、伊丹空港の発着制限によりことしの四月から一日当たり十便がシフトし、三月十一日からのスカイマークエアラインズの新規就航と合わせて国内線ネットワークが充実し、利便性が向上するとのことでありました。貨物便についても、貨物流出が最小限におさまるよう、貨物施設の増強や通関時間の短縮など利便性が図られるよう対抗策を打ち出しているとのことでありました。中部国際空港の開港が関西国際空港に及ぼす影響は限定的なものであるということであり、その点におきましては私も一安心したところであります。
 そこで、改めてこの問題に対する県の御見解を企画部長にお伺いをいたします。
 また、ここで中部国際空港の開港を好機としてとらまえ、和歌山県として観光面における施策を考えてはどうかと提案をいたします。
 平成十六年の観光客数は、世界遺産登録や大型観光キャンペーンの効果もあり、三千九十万人と過去最高を記録されたとのことですが、今後この流れを継続していくためにも、例えば高野・熊野の世界遺産をこの機にうまく活用して、観光客に関西国際空港から高野・熊野へ入っていただいて愛知万博を見学してから中部国際空港から帰っていただく、もしくはその逆のコースを想定してもいいと思うわけでございますが、このような中部国際空港の開港及び愛知万博をとらえた国内外からの本県への観光客誘致についてどのようにお考えなのか、商工労働部長にお伺いをいたします。
 次に、三項目めといたし、レモン産地育成についてお伺いをいたします。
 知事は、日ごろより、常にアンテナを高く掲げ、最小限度の費用で最大の効果を上げる、そんな考え方を推し進められているように述べられておりますが、私は平成十七年度新規事業を拝見しているうち、ふとコラボレーション・レモン産地育成事業という項目にくぎづけになりました。わずか三百四十二万円の予算で和歌山県を日本一のレモン産地にしていくという発想が大変すばらしい事業であり、これこそまさに知事が述べられていることだと感じました。和歌山といえば、ミカン、カキ、梅、ハッサクなど日本一の品目に加え、桃やキウイフルーツなど数多くの果樹が紀北から紀南まで地域特性を生かしながら生産され、自他ともに認める果樹王国だと考えております。
 しかしながら、近年の果樹生産は、果実の消費量の低下や輸入果実との競争の中で、国内産シェアは低下し、価格も不安定になっていると聞いているところであります。本県果樹についても、主力のミカンが平成十六年産は比較的高価格で推移し、三年連続の低迷から脱し、農家もほっと一息をついているところだと聞いておりますが、まだまだ十分な価格とは言えないし、平成十七年度はいわゆる表年ということで、ことしの価格が維持できるかどうかわからない状況にあるとのことであります。加えて、近年の消費者の安心・安全への希求は根強く、産地としては農薬の安全指標やトレーサビリティーシステムの整備など、農家経営に係る負担は年々増加している現状にあると思います。農家は、何かもうかる作物がないか一生懸命探していますが、なかなか見つからないのが現状でしょう。果樹王国という知名度と基盤を生かし、オリジナル性を発揮した新産物の育成を打ち出し、今以上に効果的な支援策を実施する必要があるのではと私は考えていたところであります。
 そのような中で、今回、マニフェスト関連の新規事業として日本一のレモン産地育成が打ち出されているわけでありますが、今日まで県内に大きなレモン産地があるという話は聞いたことはございませんし、ましてやレモンの産地化という話は初耳でありました。スーパーなどでは輸入されている外国産レモンが幅をきかせており、国内産はほとんど目にすることはなく、欲しいと思ってもなかなか買えない現状にあります。民間企業と連携して産地づくりを進めるということでありますが、県はどのような成算があってレモンの産地化を推し進めるのか、日本一の産地育成は可能なのか、レモン生産の現状と今後の進め方について農林水産部長にお伺いをいたします。
 最後になります。理学・作業療法士に関する質問であります。
 私は、このことについて平成九年十二月議会において初めて質問をいたしました。和歌山県主催、和歌山県福祉のまちづくり推進協議会協賛による福祉のまちづくりシンポジウムが開催され、私自身も参加させていただき、元ニュースキャスターでございました小林完吾氏の講演を拝聴いたし、「いのちはいのち、みんな同じ─共に生きる─」と題した講演は、当時の私の心を強く打ったものでありました。感動のうちに終了したその講演の中で、脳内出血にて倒れ、入院・闘病生活を送り、左足が不自由になった小林氏御自身の体験を通して、リハビリテーションの大切さとその意義、理学・作業療法士をこれから何よりも優先させてふやすべきと話されていたことを今も覚えております。
 また、ちょうどそのころ、県理学療法士協会と県作業療法士会が当時の西口知事に対し養成校設置を求める要望書を提出しており、このことから、本県における理学・作業療法士の数の不足について──ちなみに、当時特に作業療法士の数は本県は全国で最下位となっておりましたが、その人材養成と確保は急務であり、そのための地元養成機関設立の必要性は高いものがあったと認識をいたしております。そのときの県の答弁は次のとおりでありました。「要介護高齢者、障害者等の自立を促進するためには、理学療法士あるいは作業療法士といったリハビリ関連職種等のマンパワーの確保が欠かせないところだと考える。県内の養成機関等の設置については、リハビリ関連職種の必要性がますます高まるものと認識をしており、これからの大きな課題と受けとめている。国の需給計画見直しの動向も見ながら今後十分研究を重ねていきたいと考えている」とのことでありました。
 次いで、私はこのことについて二回目の質問を平成十三年二月議会にていたしました。県は、平成五年に理学・作業療法士の数について需要調査を実施され、それから既に七年が経過、その後さらなる調査実施をされたのかどうか、また結果はどうであったのか、さらに、県内における養成機関設置等についても、神戸大学医学部健康学科等の例を示し、「例えば、県立医科大学と協議をしながら知恵を出し合い、このことの解決に向けて努力をしていけないものか。ちなみに、全国で理学・作業療法士とも養成機関がないのは本県のみと聞いている。人数の問題、質の問題、施設面等も含め、現状とこの問題に対する今後の県の取り組みについてお示しをいただきたい」との質問をさせていただいたわけでございます。
 そして、そのときの答弁の趣旨は、次のようなものでありました。「理学・作業療法士の需給調査については、平成十二年八月に実施した結果、今後八年間に延べ二百七十人の新規需要が見込まれている。また、養成機関の設置等については、幾つかの民間団体からの構想の話はあるが、将来的に不透明な部分が多いこと等の理由により具体的な計画には至っていない。今後の需給見込みとしては、県内での新規免許取得者は平成七年の二十人から平成十二年の四十四人と大きく増加しており、近い将来、県全体として医療機関、介護保険施設等で必要とされる就業者の数は確保できるものと考えている。また、地域差が認められるものの、平成十六年以降、二年から三年以内に需要と供給が均衡に達し、その後、理学・作業療法士が多くなることが予想されている。しかしながら、本県の将来を考えた場合、これらリハビリテーション医療に携わる職種の重要性はますます高まるものと考えられ、資質の向上や生涯教育の促進とともに、養成機関の設置についても研究を重ねてまいりたい」との答弁でありました。
 私は、正直申しまして大変残念に思います。今回この質問を三度も取り上げたのは、それなりの理由があってのことであります。県民の生命にかかわる医療政策の中身をもっと論じ合う必要があるものであり、過去二度にわたる質問の答弁も余り変わっておらず、その後の調査から既に五年が経過しており、今もって何もされていない現状を思うとき、ひょっとしたら、県は理学・作業療法士等に関する問題はもう事が足りているとの認識に立っているのではと私は心配でなりません。事実、ここに県内でお仕事をされておられますある医師が述べられた資料がありますが、「現状は打破されておらず、和歌山県は今もって全国で唯一、理学・作業療法士及び言語聴覚士養成校を持たない県である。言いかえれば、専門職としての教員及び指導者が一人もいない地域である」と述べられ、また「このままではリハサービスを受ける県民が多大なる不利益をこうむる」等と述べられております。
 つまり、この医師と私は今もって同意見であります。医療の現場からの生の声であります。とてもこのままの状態でいいとは思えないのであります。今回、県立医科大学において大学院修士課程が設立されることになりましたが、このことと私の三度にわたる質問の事柄とは、言うなれば車の両輪の関係と言えます。いま一度、福祉保健部長にこれらのことについて御所見を賜りたく、ここにお伺いいたします。数が足りているとか足りていないとの議論ではなく、医療政策の一端、また県民の健康に対することからとも言えると思いますが、真摯な御答弁を御期待申し上げ、私の質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 住民参加型の施策をどんどん進めましょうという御質問でございます。
 御質問の趣旨に私も全く賛成でございまして、今の時代、行政が自分たちの頭で考えただけでいろいろなことを進めようとしても、なかなか所期の効果を得ることはできません。やはり住民の方々がこういうことをしたい、こういうふうにやっていこうというふうな自発的な気持ちに行政がいろんな形で支援していくということが一番効果が上がる方法だというふうに考えておりますし、これからの行政というのはやはりそうでなければならないと思っておりまして、そういう観点から、地産地消でありますとか、地域福祉でありますとか、子育て、防犯、観光振興、さまざまな面でこういうふうな施策を県の施策の一つの柱にしていっているところでございます。
 近年、見たところでも、例えば道成寺に鐘の里帰りということが去年行われましたけども、これも大きな盛り上がりを見せましたが、これも地域へ帰ってきたUターンの方が中心になってきたのに県が協力してやったというふうなことがありますし、その他いろいろ福祉の面でも大きな活躍をなさっているのは、やはりNPOなどを中心にした活動というものが非常に大きくなってきておりますので、これからも県としてはこういうふうな施策を応援し、さらにはまた県の方でも、こういうふうなことをしたらいいんじゃないかというようなアドバイスというようなことは、これは前向きにどんどんやっていきたいと思います。
 観光面でいいましても、来年度、熊野川に川舟の復活ということがありますが、これもやっぱり地域からの盛り上がりを県が協力して推進するというふうなことで、大きな期待をしているところでございまして、いろんな面でこれからそういうふうな施策を推進していきたいと、このように考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 財政問題についてお答えを申し上げます。
 まず、県税収入率を引き上げるための対策についてでございますが、一昨年の八月に、県税徴収対策本部を設置いたしまして滞納処分を強化するとともに、各振興局で休日・夜間納税窓口を一斉に開設するなどの取り組みを進めてまいりました。また、本年度におきましては、徴収体制の強化を図るため、本庁の税務課に県税特別徴収対策チームを設置するとともに、国税庁退職職員を徴収専門指導員に任用して徴収困難事案の整理を進めているところでございます。さらに来年度は、徴収職員の技術向上のための研修を充実するとともに、個人県民税の収入確保につきましては、市町村の徴税努力に負うところが大きいことから、市町村との連携を一層強化して滞納整理に係る共同事業の実施などに取り組むこととしているところでございます。
 今後とも、県税収入率を平成二十年度までに全国二十位以内にとの目標を達成するため、必要な取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。
 また、議員御提言のいわゆる税のコンビニ収納についてでございますが、個人情報の保護の問題や公金保全など幾つかの問題を整理する必要があると考えておりますが、納税者の利便性の向上や県税収入の確保に寄与するものと考えておりますので、十分に研究をしてまいりたいと考えております。
 次に、県有財産の有効活用の現状と今後の取り組みについてお答えいたします。
 未利用で今後とも利用計画のない県有財産につきましては、一般競争入札などによる売却や市町村などに貸し付けを行い、有効活用を図っているところでございます。今後の取り組みにつきましては、現在、利用調査など詳細な資産の洗い出しを行っているところでございまして、庁内全体で検討を進めて、関係市町村とも協議をしながら計画的な処分を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 企業局長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○企業局長(楠本 隆君) 企業用地の売却に関する御質問にお答えを申し上げます。
 企業局では、現在、和歌山市西浜、雑賀崎を含めまして四カ所の企業用地約四十五ヘクタールを所有し、販売促進を行っているところでございます。土地造成事業の平成十六年度売却実績につきましては、企業用地を取り巻く厳しい環境の中で二件、八千四百平方メートル、金額にいたしまして二億五千万円の売却を行ったところでございます。平成十七年度からは商工労働部に引き継ぎまして、既存の企業誘致制度に加えまして新たに企業情報の収集力を強化するための企業誘致パワーアップ事業に取り組むなど、これらの制度と組み合わせながら、より効率的な販売活動ができるよう窓口の一本化を図ってまいりたいと考えております。
 企業用地の販売につきましては、今後も極めて厳しい状況が続くものと思われますが、議員御指摘の販売価格の見直しにつきましても早急に検討を行い、引き続き積極的な販売促進に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 中部国際空港の開港に伴う関西国際空港に及ぼす影響の御質問でございます。それについてお答えいたします。
 中部国際空港は、二十四時間運用の国内線と国際線の乗り継ぎ利便性にすぐれた空港でありまして、関西国際空港にとってライバル空港になるというふうに考えております。このことから、関西国際空港におきましては、着陸料の割引、連絡橋通行料の値下げ、あるいは貨物部施設の増強などの施策を行っているところであります。また、県議会の皆様方の御支援、御協力によりまして、二〇〇七年の平行滑走路供用開始が確実なものになりました。ピーク時間帯の発着枠の拡充が図られるというふうなことになっております。こういう意味から、中部国際空港に対しまして、より優位性が増すものと考えております。
 本県といたしましては、従来から実施しておりますエアポートプロモーションに加えまして、関係自治体、経済界はもとより、より一層の集客、利用促進に取り組み、関西国際空港のさらなる発展に寄与したいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 中部国際空港を利用した観光客の誘致につきましては、既に空港内に大型広告塔を設置し、本県の魅力をアピールしているところであります。また二月末には、名古屋市におきまして、マスコミや旅行代理店のトップを招き、観光プロモーションを実施いたしました。間もなく開催されます愛知万博でも「和歌山の日」を設け、積極的に本県の魅力を訴えてまいります。今後とも、万博来訪者や中部圏の誘客を図るため、関係機関と連携した取り組みを進めてまいります。
 一方、海外からの誘客につきましては、関西国際空港と中部国際空港の両空港に乗り入れている東アジア及び欧米の旅行会社に愛知万博と組み合わせたモデルコースを提案するとともに、旅行会社を招請し、ルートの視察や商談会を実施したところでございます。今後は、関西圏のみならず、愛知県、三重県との連携による海外メディア誘致事業等を実施してまいります。
 また、議員御提案のとおり、中部国際空港と関西国際空港を相互に利用することが重要であると考え、国内外からの誘客に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) レモンの産地育成についてお答えいたします。
 まず、レモン生産の現状でございますが、国内産レモンの生産面積は全国で約二百五十ヘクタール、出荷量は約三千五百トンでありますが、平成十五年の生鮮レモンの輸入量は約八万八千トンであり、国内産のシェアは三・八%程度でございます。本県では、那賀・有田地方を中心に約七ヘクタールが栽培されており、産地直売所や京阪神地方へ出荷されてございます。
 近年、国産レモンにつきましては、食品の偽装表示や農薬問題などから、消費者の安全・安心で顔の見える農産物への要望の強まりや健康志向の高まりなどから増加傾向にあります。
 今後の推進方策でございますが、従来のように市場出荷に頼るのではなく、安定した価格と販売先を確保するために、販売ルートを持っている民間企業と連携をして産地を育成する和歌山モデルを構築していきたいと考えており、昨年度より関係農協などと検討を重ねてございます。県といたしましては、不適地ミカンの改植やハッサクへの高接ぎなどで産地形成を進める農家への助成やモデル園の設置、栽培マニュアルの作成など技術面でのサポートを実施して、日本一の産地育成に努力してまいりたいと考えてございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 理学療法士、作業療法士につきまして、お答えを申し上げます。
 高齢化が進展する中で、県民の生活機能の低下を予防し、障害を持った方の機能回復を図るリハビリテーションの一層の充実が求められております。これまで議員から御指摘をいただいてきたとおり、その中核を担う理学療法士、作業療法士等が果たす役割はますます重要になってきておると認識しております。
 現在までのところ、県内には理学療法士、作業療法士等の養成施設は設置されておりませんが、平成十七年度から県立医科大学に看護師、理学療法士などの医療従事者を対象とした大学院修士課程が新たに設置されることにより、高度な技術を有する質の高い理学療法士等の養成に資するものと期待をしているところでございます。
 また、県民が住みなれた地域において必要なリハビリテーションが提供される体制づくりや、予防から治療、社会復帰まで切れ目なくかつ計画的に実施できるシステムなど、県民が安心して社会生活を送れるためのリハビリテーションシステムの構築が求められてございます。そのため、県としましては、平成十七年度に医師会、看護協会、理学療法士会などの関係者による地域リハビリテーション協議会を設置することにしてございます。この協議会におきまして、地域リハビリテーションシステムの構築や、進歩するリハビリ技術に対応できる人材育成を初め、理学療法士等の需給状況の把握、人材の確保対策等につきまして協議、検討を進めていく予定でございます。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四番山下直也君。
○山下直也君 ただいま、知事並びにそれぞれ担当部長さんから御答弁をいただきました。ありがとうございます。二点ばかり要望させていただきたいと思います。
 まず一つ、レモンのことであります。農林水産部長にぜひもう頑張ってくださいというエールを送りたい気持ちでいっぱいでございます。和歌山といえばレモン、レモンといえば和歌山というふうな戦略で、これからも最少の予算で最大の効果を上げていただくようにお願いしたいと思います。
 私は、実は知事が日ごろ言われておりますこの緑という和歌山のイメージの色があるわけですけれども、これを知事につくっていただいた。そして、もっとほかの予算を見てみますと、例えば漁業関係でも今度は青という言葉が出ています。私は、観光も含めて大きな海というイメージで、今度は緑と青だと。そして、できればその後オレンジ──黄色でもいいわけですけども、そのような戦略をもって和歌山を全国に売り出していただければ、これはもうすばらしいことではないかなというふうに思うわけでございます。そういう点でひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 それから、最後の要望でございます。理学・作業療法士についてでございます。
 嶋田部長さん、大変御努力いただいて、十七年度から協議会を設置していただけると。本当に一つ進ませていただいたのではないかなというふうに、これは本当にありがたく思います。
 でも、私はこの際、ちょっと一つ申し上げたいことがあるんですが。これは僕だけじゃなくて、毎回質問に立たれる議員さんみんなに関係があることだと僕は思うんですけれども、この一般質問の場というのは、私たち議員にとっては物すごく大切な場であるというふうに思います。質問ばかりでなく、時には提言とか、それから要望、また具体的な例をもってのいろんな意見が真剣勝負の形でこの議場の場で議論が闘わされるわけでございます。いわばこれは、僕はキャッチボールと同じであって、投げたやつをやっぱり返していただきたいという思いがいつもするわけなんですね。ひょっとして返してもらっていないのは僕だけかもわからないんですが、でも、できれば本当に一つ問題が出たときには、やっぱり我々議会側と、そして皆さん方、県御当局と一緒になって一つのものをつくっていく、問題解決に当たっていく、それがある意味では本当の姿ではないかなと、私はそのように考えるわけでございます。ぜひそういうことをこれからも考えていただいて、いい意味でのキャッチボールをしながら和歌山県政づくりに取り組んでいただきたい。要望でございます。よろしくお願いいたします。
 以上です。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十五分散会

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