平成17年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(門 三佐博議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後一時二分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、諸般の報告をいたします。
過日提出のあった議案第四十四号から議案第四十八号まで、議案第五十号、議案第五十一号、議案第五十四号、議案第五十五号、議案第八十一号、議案第八十七号及び議案第八十九号は、いずれも職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
次に、報告いたします。
議案の追加提出がありました。
お諮りいたします。ただいま報告の議案第百二十八号から議案第百三十二号までを本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
議案第百二十八号から議案第百三十二号までを一括して議題といたします。
議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案について、御説明を申し上げます。
議案第百二十八号から第百三十一号は、平成十六年度予算のうち用地取得の遅延等により本年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして平成十七年度に繰り越して使用することをお願いするものでございます。
議案第百三十二号は、町村の廃置分合について議決をお願いするものでございます。
何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
○議長(小川 武君) 以上で、当局の説明が終わりました。
次に日程第二、議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百二十七号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第五号まで及び報第七号、並びに追加提出議案議案第百二十八号から議案第百三十二号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
七番門 三佐博君。
〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 皆さん、こんにちは。
このたび、平成十七年度県予算初め重要諸案件を御審議されます県議会本会議の一般質問冒頭におきまして、議長のお許しを得まして質問の機会を与えていただきました議員の皆様方に深く感謝を申し上げまして、これより通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
最初に、二期目の木村県政についてお尋ねいたします。
ことしは太平洋戦争の終戦から六十周年に当たり、人の人生に例えればちょうど還暦を迎えたことになります。日本人の一人としてこれまでの六十年間を振り返り、まことに感慨深いものがございます。
私は小学校三年生のときに終戦を迎えましたが、子供ながらに、あらゆる物資が不足し、耐乏生活を強いられていたことを覚えております。敗戦後の物心両面の欠乏感を克服すべく、日本国民は国を再建するという志を高く持ちながら一念奮起し、一人一人がそれこそ血のにじむような勤勉な努力を積み重ねてまいりました。その結果、敗戦から三十年後には、アメリカに次ぐ経済大国にまで上り詰めてきたのであります。我が国のこの勢いを称して「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とまで言われたほどでございました。
しかしながら、「おごれる者は久しからず」という言葉のとおり、その行き先がバブルの崩壊を迎え、これまで国民の勤勉・努力によって築いてまいりました富や成功への自信が文字どおり水泡に帰してしまい、言いようのない喪失感に陥ったのであります。それ以来、「失われた十年」と言われる長い長い苦しい構造改革の時期を経ながら、民間企業を中心としたリストラなど努力を続けました結果、ようやく景気の回復が堅調になってきたところであります。これまでのような問題先送りばかりしていては本当の解決にはつながらず、確実に崩壊の危機を迎えてしまいます。改革を避けて通ることはできないという危機感を持ったことが、この試練の時期を経験した大きな教訓でありました。
今、景気が少し安定している時期に、この教訓を生かし、今後起こり得る少子高齢化などによる経済規模縮小という新たな局面に対処できるように日本の社会・経済システムを改造することが必要であると思います。このような時代認識、危機意識から、国に先導して地方を起点に独自の改革に取り組む知事や市町村長が多く出てまいりました。
本県の木村知事は、このような時代の木鐸とも呼べる改革者の一人であると思います。木村知事は、これまでの緑の雇用事業、一・五車線道路など、地方の実情に合った公共事業の促進、東南海・南海地震対策など「地方から国を変える」改革を先導されてきました。今や木村知事は新聞、テレビなどのマスコミの脚光を浴び、増田岩手県知事、片山鳥取県知事などと並ぶ改革派の雄の一人として取り上げられるほどでございます。昨年の知事選挙におきましては、木村知事は一期目の実績への信頼とそれを踏まえたさらなる改革への期待を一身に集め、見事再選されましたが、このことにより改革派知事としての評価を不動のものにされたと思います。
木村知事は、昨年九月議会における知事就任直後の就任あいさつにおいて、創意と工夫を凝らし、独自の発想による改革と発展の県政、自立型経済構造への転換や新ふるさと創りの推進により自立と交流を図る県政、安全で安心な県民生活を確保する最小不安社会の実現を基軸にした県政を進めていくことを強く表明されました。また、多くの県民との対話を重ねていくことで、県政に対しさまざまな提言や要望、中には大変厳しい意見もあることを承知しながら、今後ともさまざまな機会を通じ積極的に県民の意見を聞き、県政に生かしていくと述べられておられます。そして、何よりも生活・生産活動の現場からの発想を大切にし、生活者の視点から地に足のついた着実な行政を進めていくとされておられます。
私は、このような木村知事の考え方に賛同する者の一人でございます。ぜひこの考え方を二期目県政の基本に据えていただきたいと思っております。私ども県議会議員や市町村長、市町村会議員を初め県民の県政に対する声を率直に受けとめていただき、県民の願いをかなえる県政を進めていただきたいと願っております。
以上、私なりに木村県政への思いを申し上げてまいりましたが、ここで改めて知事にお尋ねします。
二期目県政の理念、どのような県政を目指していくか、お示しいただきたいと思います。
次に、平成十七年度予算についてお尋ねします。
平成十七年度予算は、木村知事の第二期県政のスタートの予算であります。先日の冒頭説明において知事は、「これまでの取り組みをリセットし、新しい県政を開くという決意のもと、県民の皆様との対話を通じ「県民の想いをかなえる県政」を進め、自信と誇りを持つことができる和歌山の実現に取り組む」と、さらに、「いま一度和歌山から日本を変えるという改革の原点に戻って、県内各地で行われている地産地消、地域福祉、子育て、防犯、観光振興等のNPO活動を初め住民による地域活性化の取り組みに対し積極的に支援を行うなど、やる気にあふれた出るくいを伸ばし、新しい和歌山モデルの構築を目指したい」と表明されております。
また、昨年の知事選挙において木村知事は、「私の政策宣言」という表題でいわゆるマニフェストを掲げ、戦われました。その後、ことしの新春の記者会見では、知事選挙で掲げたマニフェストの実現に向けて「わかやま改革と発展の政策~一三四の重点項目~」を発表されました。そこでは、マニフェストに掲げている施策を網羅してその具体的な取り組み内容及び工程を記載しております。マニフェストに掲げられております五十九件の数値目標については最優先の数値目標としてその達成に積極的に取り組み、それぞれの重点項目については平成十七年度にほぼ着手済みとなる工程になっているとのことでございます。
そこで、お尋ねいたします。
まず、知事は今回の予算編成においてどのような基本姿勢で臨まれたのか、知事のマニフェストはどのように反映されているのか、お尋ねいたします。
次に、国の三位一体の改革についてお聞きします。
昨年の三位一体の改革では、国庫補助負担金の廃止・縮減額に比べて不十分な税源移譲と一方的かつ大幅な地方交付税等の削減が実施されたところであります。特に地方交付税と臨時財政対策債の合計は前年度に比較して二百八十六億も減額され、地方自治体は非常に苦しいやりくりを強いられたと聞いております。こうした苦しい経験から、平成十六年度は地方六団体が一丸となって地方分権を推進するための真の三位一体の改革を実施するよう国に働きかけを行ってきた結果、昨年の十一月二十六日の政府・与党が発表した三位一体の改革の全体像においては三兆円規模の税源移譲の実施が盛り込まれ、税源移譲の対象となる国庫補助負担金については、所得譲与税や税源移譲予定特例交付金による措置がなされる見込みとのことであります。また、地方交付税等につきましては、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保するという方針が示されたところです。本県のように地方交付税の依存度が高い県にとってはまことに喜ばしいことだとやや安心したものでございますが、実際のところ、平成十七年度予算における三位一体の改革の影響はどのようなものか、知事はどのように評価されているのか、お尋ねいたします。
次に、財政改革プログラム、財政の健全化についてお聞きします。
昨年十月、県は厳しい財政状況を踏まえ、持続可能な財政構造への転換を図るため、財政改革プログラムを発表されました。それによりますと、平成二十年度までに一千五十億円の財源が不足し、平成十八年度には何も努力しなければ財政再建団体に陥るという大変ショッキングな内容でありました。発表当時、知事も「財政再建に特効薬はない。必要な部分にはきちんとお金を使いながら地道なコスト削減を進めていくしかない」と決意を語っていましたが、平成十七年度予算は財政改革プログラム発表後初の予算編成でありますが、この財政改革プログラムと比較してどういう結果になり、どのように評価していくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、企業局の廃止についてお尋ねいたします。
本県企業局は、昭和三十三年から今日まで地方公営企業として数多くの事業を実施し、一定の成果を上げてきたものと思いますが、いよいよ半世紀にわたる長い歴史にその幕をおろすことになりました。振り返りますと、佐田、岩倉、美山各発電所の建設を初め、有田川、紀の川工業用水道事業、海南港、和歌山南港の造成や吉備、桃山の工業団地の造成など、本県経済の発展に少なからず貢献するとともに、南白浜、潮岬有料道路の建設や和歌山マリーナシティの建設など、本県の観光振興に大きな役割を果たしてきたところでございます。この間、私も県政にかかわってきました一人としてさまざまな思いがあるとともに、一抹の寂しさを禁じ得ないというのが現在の心境でございます。
バブル経済の崩壊以降、我が国の経済は長く厳しい時代が今日まで続き、公営企業を取り巻く環境も時代とともに大きく変化してきたことは私も承知しておりますが、今回、本県におきまして企業局を廃止するに至った最大の要因と現在実施している事業の今後の取り組みについて、企業局長の答弁を求めます。
また、これに関連いたしまして、電気事業を関西電力株式会社に売却した後も県当局におけるダム管理に当たっては引き続き万全の体制で臨んでいただかなければならないのは当然でありますが、今後の対応について県土整備部長の答弁をお願いいたします。
次に、国道四百八十号の和歌山県側、大阪府側の整備状況及び府県間トンネル建設についてお尋ねいたします。
最初に、知事に一言お礼申し上げます。花園村村民が長年にわたり願望していました花園美里トンネル二千メートルが貫通されまして、来る三月二十五日、知事を迎えて完成式が行われることと伺っております。また、近く四百八十号梨子ノ木トンネルの着工もあり、本年十月一日よりかつらぎ町と合併されます花園村の村民にとりましては、北浦村長を初め皆様、大変喜んでおる次第でございます。知事初め御尽力を賜りました皆様に、本席をかりまして厚く御礼申し上げたいと思います。
現在、紀北地方では、関西大環状道路の一部をなし、和歌山と奈良、京都を結ぶ京奈和自動車道や大阪府との連携を強化する第二阪和国道、国道三百七十一号、泉佐野岩出線及び国道四百八十号などの府県間道路を重点的に整備が進められております。ここ数年では、第二阪和国道の和歌山北バイパスや泉佐野岩出線の根来から備前間の供用、また大阪府側でも第二阪和の箱の浦ランプまでの延伸や国道三百七十一号の天見バイパスの一部が供用されるなど、着実にその整備が進められて府県間の交流・連携が強化されつつあることを感じる次第でございます。さらに、京奈和自動車道につきましては、橋本道路の早期供用に向け工事が急ピッチで進められている状況や奈良県内の整備の進捗を見ますと、地域の利便性向上のみならず、奈良、京都などとの大幅な時間短縮により世界遺産を結ぶ新たな観光ルートの設定など、観光振興や地域経済の活性化に大きな期待を抱くところでございます。
こういった状況の中、私が今回質問いたしますのは、国道四百八十号の府県境部の整備についてであります。
国道四百八十号は、大阪府泉大津からかつらぎ町、高野町を通り有田市に至る幹線道路でありますが、和泉市から那賀町の府県間の区間は特に幅員が狭小で線形も悪く、交通の難所となっております。このため、県では平成六年度からかつらぎ町四郷の平道路として整備が進められ、府県間トンネルの坑口付近までの区間についてはその姿が見えつつあります。地元の皆様方も大変整備に喜んでおります。一方、大阪府の約七キロメートル間は和泉市の父鬼バイパスとして整備が進められ、平成十五年三月に約一キロメートルが供用されましたが、残る区間が多く、大阪府の財政事情から和歌山県側に比べて進度が遅いように感じられます。
こういった中、府県境トンネル部の国直轄代行事業採択を視野に入れ、平成十五年から国が調査を進めていると伺っております。道路は、ネットワーク化されてこそその効用を最大限に発揮されます。このネットワークが完成すると、国道二十四号から大阪外環状線道路でございます国道百七十号までは約二十分程度で結べることになり、世界遺産に登録された高野山などへの参詣には最も利便な道路でございます。産業・観光の誘致や通勤圏の拡大、伊都・那賀地方の基幹産業であるカキ、桃などの出荷などに大きな力を与えてくれるものと確信しております。早期完成を図るために、今までより以上に国、大阪府、和歌山県の三者が連携し、一丸となって取り組んでいくことが重要であると考えております。
そこで、国道四百八十号の和歌山県側、大阪府側の整備及び府県間トンネル建設の状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお尋ねいたします。
次に、県立医科大学の地方独立行政法人化に伴う法人の運営・管理の考え方についてお伺いいたします。
現在、平成十八年四月の地方独立行政法人化に向けて検討が進められているとお聞きしております。この法人化により、医科大学の自主・自律性を高めることで医大を活性化し、大学の教育・研究機能の充実や県民への医療サービスの向上を目指すということで、これからの大学を取り巻く厳しい環境に適応する新たな手法として、私もこの法人化に期待し、注目しているところであります。
本県の医科大学は、大学の教育・研究のみならず、県民の医療を守る中心的な機関でもあります。そういう県民の期待にこたえるために法人運営の体制をどう確立していくかということは非常に重要ではないかと考えます。法人化すると法人の運営全体の責任は理事長が負うことになりますが、県が法人を設立するということは法人の業務の最終的な責任は県にあります。法人化により今まで以上に自己責任や効率的な運営が求められることになるなどを考えると、学長一人に大きな負担を強いるのではなく、法人全体の運営と大学の教育・研究の運営をそれぞれの適任者が役割分担し、お互いが連携をとりながら法人を運営管理していく方が設置者たる県としても県民の期待や信頼にこたえられる運営体制ではないかと考えますが、木村知事の御所見をお伺いいたします。
次に、県立医科大学附属病院紀北分院の再編整備についてお尋ねいたします。
この問題につきましては、私は去る十三年十二月定例県議会及び平成十五年二月定例県議会におきましても県立医科大学紀北分院の改築と充実について質問をさせていただきました。医科大学附属病院として、また橋本・伊都地域における保健医療の中核機関として紀北分院が果たすべき重要な役割にかんがみ、できるだけ早期に整備充実を図られたい旨の要望をし、木村知事の基本的な考え方をお伺いしてまいりました。
平成十五年二月の定例議会では、木村知事からは「私自身としても、紀北分院の重要性、和歌山県の歴史、そして今の施設の老朽化の状況は理解している。医大のあり方懇談会で紀北分院のあり方についても提言をいただくようになっており、どういう運営形態で、どういう診療科目で、どういう形で紀北分院が一番役に立つようなやり方にしていくのか真剣に検討していく」、こういう趣旨の答弁をいただきました。
その後、医大のあり方懇談会の提言を受け、昨年五月に策定された和歌山県立医科大学改革基本方針において、紀北分院については「多科にまたがる幅の広い医療に対応できる総合診療医の養成が強く求められており、紀北分院は地域に密着した病院として総合診療医を養成するフィールドとして最も適しており、大学附属病院本院の教育・研修機能を補完し、今後一層重要な役割を果たしていくため、大学附属病院として存続する必要がある」とし、紀北分院の存続を明確に表明していただきました。この木村知事の決断は、紀北分院の充実について幾度か県の方針をお伺いしてきた者といたしまして大変心強く、また大きな前進であると評価しているところでございます。
しかしながら、その施設整備については、「耐震化など抜本的な医療環境整備について財政状況も勘案しながら早急に具体的に検討する必要がある」として、「県立医科大学全体の法人化の中で検討するものとする」となっており、いつから着手するのかといった具体的な整備計画には全く触れられておりません。現在、三位一体の改革等により県財政を取り巻く環境は非常に不透明で厳しいものがあることは十分理解しているところでございますが、紀北分院の存続を決断していただいた今日、地元の強い要望もあり紀北分院の現状から考えて早期に施設の整備に着手すべきではないかと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
次に、山本博之和医大学長にお尋ねいたします。
山本学長には、公園前の前の医大から現地に統合移転されるその直前から学長として御就任され、二期八年間を無事に勤め上げ、このほど任期満了により御退任されることを伺っていますが、人の生命にかかわる医療という大変重要な職種の上に大きな組織を運営する責任者として気の休まる時間もなく献身的に御尽力されましたことに、私も公私にわたり大変お世話になっている一人といたしまして心から敬意を表し、感謝申し上げたいと思います。これからは、豊富な御経験を生かされ、本県の発展と和医大の進展のため御健康で御活躍されますことを心からお祈り申し上げます。きょうは御出席、御苦労さんでございます。
また、紀北分院の充実については、設置者である木村知事にただいまお伺いいたしましたが、現場の責任者として山本学長にもお尋ねいたしたいと思います。
検討委員会、紀北分院のあり方懇談会のたび重なる御審議の結果、広範な領域の診療ができる総合診療医の育成を初め、地域のニーズにこたえる医療機関として充実を図るべく、今年度予算の中にも調査費の計上がされております。山本学長も、いつも紀北分院の充実については深い御理解を示され、地域に密着した診療科目を充実したいと主張されておりました。このほどの御勇退に際し、後継の学長にもこの考え方を力強く引き継いでいただきたいということを要望申し上げますので、御所見をお伺いいたしたいと思います。
次に、治安維持について警察本部長にお尋ねいたします。
本県における治安情勢につきましては、当局の御努力により昨年の刑法犯認知件数が七年ぶりに二万件を下回りましたが、殺人、強盗などの重要犯罪の増加を初め、刑法犯検挙件数の約四割は次代を担う少年であるなど、決して予断を許さない状況にあると認識しているところであります。今後の治安情勢を見据え、本県の警察官の増員については、知事を初め関係当局の御尽力によりまして平成十四年度から三年間にわたり相当数を確保していただいたのを初め、空き交番の解消として交番相談員の増員により体制の強化が図られてきておると伺っております。
しかしながら、先ほど来の話のとおり、現下の治安情勢はまことに厳しく、特に県民の身近なところにおける治安回復や犯罪防止について県民が不安を感じているのではないかと危惧しているところでございます。
今後、県警察が犯罪抑止に向けて安心・安全基盤づくりを推進するためには、地域や関係機関との連携はもとより、より多くの警察官を街頭に繰り出した街頭活動の強化と事件・事故の対応で不在になりがちな交番をできるだけ少なくすることが大事だと思うのであります。このために、交番への警察官増員を初め、警察官の増員と同じ効果が期待できる交番相談員の拡充を図る必要があり、貴重な経験や知識を有する警察官OBの交番相談員等への活用が不可欠であります。街頭活動の強化と空き交番の解消という両輪がうまくかみ合って初めて県民の治安に対する不安の解消が図れるものと確信しております。
そこで、警察本部長にお尋ねいたします。
警察官の増員を含め、今後空き交番対策についてどのように取り組んでいかれるのか、御見解をお伺いいたします。
最後に、市町村合併に伴う警察署の管轄区域についてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
現在、県下の警察署の配分は、市や郡、生活エリアを軸とした市町村の範囲に、しかもそれぞれ地域の人口規模、社会的な条件を勘案され設置されているものと思います。しかし、市町村合併が進めば市町村のエリアが変わることから、警察署の管轄区域についても見直さなければならないと考えますが、このたびの市町村合併への対応について警察本部長のお考えをお伺いいたしたいと思います。
以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴、どうもありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの門三佐博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの御質問にお答えを申し上げます。
二期目の県政に当たってどういうことを考えているのかということでございます。
私は、一つには今御質問の中にもありましたように、今日本の国は本当に未曾有の変革期と。少子高齢化も大変な勢いで進んでいくわけですし、お隣の中国の大変な隆盛というふうなことも、ありとあらゆる環境の変化というふうなものが今まで考えられなかったようなスピード、規模で起こりつつあると。そういうふうな時代認識のもとに、この和歌山県がそういうふうな時代の流れの中から取り残されることのないように、時代に即応したような県政ということをまず目指していきたいというふうに思っております。
それから、第二点目には、やはりそういうときにどういう形でやっていくかということになると、この和歌山県が持っているよさというふうなものを伸ばしていくことが大事だし、またそのことによってしか県勢の進展ということはなかなか望めないのでないかと。例えば、和歌山県のすばらしい歴史であるとか自然とか、こういうふうなものを観光とかいろんな形で全国に売り出していくことも一つですし、それからすばらしい地場産業とか技術、こういうふうなものに磨きをかけて和歌山県ここにありというふうな形で示していくことの手助けというふうなことも大事です。
それから、もう一つは農林水産業。こういう第一次産業というふうなものがこれからの時代に非常にまた別の意味で重要性を増してくる。そういうふうな時代性に合わせた施策をとっていくということも大事だと、こういうふうに考えて、そういうことから県の自立性を高めていきたい、このように思っております。
それからまた、近年見られるように、非常に弱者の人に厳しい、能力主義ということは非常にそういうふうな面で厳しい時代になりつつあるというふうなことで、県政のやっぱり一つの柱として弱者の人に対する目配り、気配りということを忘れない、そういう人に優しい県政ということを実現していきたいというふうに思っておりますし、そしてまた、ともすれば今いろんなところで──具体的には申しませんけれども──自治体の行政と世間一般の常識というものの乖離というふうなものがいろんなところで指摘されるようになってきておりますので、こういうふうなことのないように、普通の人の生活者の目線と行政というふうなものが大きく食い違わない県政というものを四つ目には目指していきたい、このように考えているところでございます。
そういう中でマニフェストをつくって予算編成をしたが、それが生かされているのかという御質問でございます。
ただいまの和歌山県の財政状況は非常に厳しいわけですけども、厳しいからといって緊縮型で縮んでいては何も新しいことが出てこないということもありまして、昨年マニフェストをつくりまして県民の方にこういうふうなことをやっていきますということを数値目標を示してお約束したところでございますけれども、ある意味ではこれに基づきましての初めての予算編成ということで、一つは例えば産業の振興でありますとか雇用の促進ということについて二十四事業、六・八億円というものが予算案の中に入っておりますし、そしてまた都市との交流を進め地域の活性化を図るということで十四事業、二億円、そしてまた、県民の方の不安を最小にしていく最小不安社会の実現ということで十四事業、七・八億円というふうなものを含み、七つの分野にわたって百十事業、三十八億円というふうなものがこのマニフェストの、ある意味では初年度実現するものとして予算案の中に盛り込ませていただいたわけでございます。こういうふうなことを着実に実行していくことによって、数値目標と合わせた県政の達成度ということを住民の方によくわかっていただくような形で仕事を進めていきたいというふうに思っております。
次に、三位一体の改革の影響ということでございます。
三位一体の改革については、去年、非常に大きな騒ぎになったわけでございますけれども、そういう中で補助金、負担金の廃止・縮減が行われました。これに対する措置としては、一つは税源移譲に相当するものとして税源移譲予定特例交付金でありますとか、それから所得譲与税、こういうふうなものでこの補助金、負担金の削減額というものはおおむね補償をされたというふうな形になっておりまして、さらに足らない部分については交付税で面倒を見てもらうというふうな形になったわけなんですけども、実は一方で交付税制度の大きな見直しというふうな流れがありまして、その方の流れの中で、やはり和歌山県は来年五十二億円ほど交付税が減ってくるというふうなことがあります。そういうことを踏まえて、緊縮型の新年度の予算編成ということを行わしていただいたわけでございます。
この三位一体の改革につきましては、去年大変問題になりました義務教育費の国庫負担金の問題、これについては税源移譲ということを地方六団体は要求しているわけでございますけども、その問題も積み残しになっておりますし、それから生活保護費の負担金でありますとか、それから児童扶養手当、こういうふうな地方に全然裁量の余地がふえないというふうなものについて対処していくというようなことを言ってて、これも今後検討するというようなことになっておりますので来年度もまた予断を許さない展開になると思いますが、地方の方が不利にならないように、そして地方分権化の進展にこの三位一体の改革ということが少しでも役立つようにいろんな形で国の方に意見を言っていきたいと、このように考えております。
次に、財政改革プログラム。
去年の十月に財政改革プログラムをつくったけれども、それにのっとって財政運営ができているのかというふうな御質問かと思いますが、この財政改革プログラムに従いまして、来年度の予算でも定数の削減、そして給与のカット、退職手当の見直しなど、歳出面での大きな縮減ということを行っております。そしてまた、事務事業の見直し、県債の発行の抑制等々、財政の健全化というふうなことに対応しておりまして、将来的に非常に厳しい状況が予想される財政運営に適正に、このプログラムにのっとった形で対応をできているというふうに考えております。
しかしながら、御案内のように、近々団塊の世代の公務員の方々が一挙に退職時期を迎えるというふうなことにもなって、この退職手当の支給等、非常に大きな歳出のこぶができてくるというふうなこともございますので、引き続き──ある意味では三位一体の改革の中の十七年度、十八年度は猶予期間というふうな形にもなっておりますので、こういう機会にさらに財政の健全化に向けて努力をしてまいりたいというふうに思っております。
次に、県立医大の独立行政法人化に伴う運営のあり方ということについての御質問でございます。
この地方の独立行政法人につきましては、法律で一つは理事長と学長を兼務する形、それからもう一つはこの理事長と学長を分離する形、どちらを選ぶかということがその地方公共団体の判断にゆだねられているというふうなことになっているわけでございます。
御質問の中にもありましたように、理事長と学長がそれぞれの分野を担って、そして両者がうまく相談し合いながら大学の運営を進めていくのがいいんじゃないかというお考え、これはもう非常に傾聴に値するものだというふうに思いますが、いずれにせよ、この問題につきましては現在、大学の関係者も交えてどういうふうな形でいくかということを検討しておりまして、この検討結果を踏まえてまた議会にお諮り申し上げたいというふうに思っているところでございます。
それから、紀北分院の問題でございます。
この問題につきましては、御質問の中にもありましたように、私も非常に積極的な回答を行っているわけでございますけれども、独立行政法人化の問題が一方にあるというふうなことの中で、この紀北分院についても独立行政法人化した大学病院のあり方ということと一体的に考えていかないといかんというふうな問題があるわけでございます。一定の考えの方向は出ているわけでございますけれども、さらにこの紀北分院の果たすべき機能、それから新たに付加すべき機能というふうなものについて、十七年度の当初予算に基礎調査費を計上いたしておりますので、この調査費をさらに活用して研究を進めていきたいと思っております。
そしてまた、この紀北分院、私も何回か行ったことありますけども、施設が非常に老朽化してきているということもありまして、そういつまでも延ばしておけるような状況の問題ではないというふうな認識は現在持っているところでございますので、こういうふうな調査費を活用して今後のあり方を十分検討していきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 企業局長楠本 隆君。
〔楠本 隆君、登壇〕
○企業局長(楠本 隆君) 企業局廃止に係る二点の御質問にお答えを申し上げます。
まず、企業局を廃止するに至った要因でございますが、御質問にもございましたように、企業局は昭和三十三年の発足以来、地方公営企業の特性を生かしながら多くの事業を実施し、県政の主要なプロジェクトに対しましても重要な役割を果たしてまいりました。しかしながら、公営企業を取り巻く環境も時代とともに大きく変化する中で、一つには、企業誘致を図るべく取り組んでまいりました土地造成事業が昨年度の日高港完成によりまして終了したこと、さらには来るべき平成二十二年の電力自由化に伴いまして発電事業の採算性の急激な悪化が予測されることから、関西電力株式会社との間で発電所の売却について合意が行われたこと、これらの結果、知事部局の各部と同等に位置づけられておりました局としての組織の必要性が低下し、よりスリムで効率的な体制へ移行すべき時期が来たものと考えまして、本年度限りで廃止を行うものでございます。
次に、今後の各事業の取り組みでございますが、現在公営企業として実施しております四事業のうち、まず電気事業につきましては、電力自由化に対応するため、関西電力株式会社に企業局が所有する佐田、岩倉及び美山発電所を四十二億五千万円で売却をいたしまして、電気事業における企業債を全額償還をした上で事業を廃止することといたしております。
次に、工業用水道事業につきましては、商工振興施策の一環として重要な事業であるという認識の上に立ちまして、商工労働部において引き続き運営することといたしております。
また、土地造成事業につきましても、商工労働部において既存の企業誘致施策と一元的に組み合わせることによりまして完成土地の早期売却に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、大新公園の地下駐車場事業につきましては、企業局廃止に伴いまして、借入金を電気事業清算剰余金によりまして全額償還した上で県土整備部において引き続き運営を行っていく予定でございます。
今後は、各事業の知事部局における事業執行に支障を来すことのないよう、その引き継ぎには万全を期してまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、発電事業売却後のダム管理についてお答え申し上げます。
企業局の所有する水力発電所が関西電力に譲渡された以降においても、ダムの管理運用は河川管理者である和歌山県が行うことに変わりはなく、今後とも責任を持ってダム運用を行ってまいります。さらに、今般の企業局廃止を契機として発電事業が譲渡される三つのダムについて、より治水面に配慮したダム運用が行えるよう、現在、関西電力と水位運用等に係る協議を行っているところでございます。
特に二川ダムにつきましては、七川ダムと同様に、気象情報等に基づきより早い段階から予備放流を開始するなど、治水機能をさらに強化したダム運用を行うべく、現在ダム運用規程の策定作業を進めているところであり、本年の出水期より実施してまいります。
なお、この問題につきましては、これまでも何回か御質問いただいております。それだけに、県民の皆様の関心の大きさ、あるいはその心配の大きさ、改めて実感しているところでございます。いずれにしても、今後とも流域住民の皆様の生命と財産の保全を第一に考え、治水面を最重視したダム運用を関係職員一丸となって行ってまいります。
次に、国道四百八十号の関係でございます。
和歌山県側で事業中の平道路につきましては、難航していた用地が今年度に完了し、全区間で工事を展開しております。このうち、町道平折登堂川線から県道那賀かつらぎ線までの三・四キロ区間の橋梁及び改良工事を実施中であり、一部区間において平成十六年十一月に斜面崩壊がありましたが、平成十七年度中の供用開始を図りたいと考えております。
大阪府側の父鬼バイパスにつきましては、国道百七十号から大野町をバイパスする区間はおおむね供用済みで、父鬼町をバイパスして府県間トンネル付近までの区間は用地取得率が約三五%、工事進捗は約一二%となっており、その間にある約一・五キロの第二トンネルの早期着工に向け整備を推進していると聞いています。
府県間トンネルにつきましては、昨年度から国直轄で幹線調査が行われており、整備効果の検討、需要予測、地質調査、府県間交通流動特性の把握等について調査が進められているところでございます。引き続き府県間トンネルの調査を促進し、早期に国直轄権限代行事業に採択されるよう、大阪府とともに引き続き国に強く働きかけてまいります。
また、大阪府側の整備促進についても、阪和開発連絡協議会の場などで大阪府に対し強く働きかけてまいります。
○議長(小川 武君) 医科大学学長山本博之君。
〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) ただいまは身に余るお言葉をちょうだいし、恐縮してございます。
議員の皆様には、長年にわたり御理解、御支援を賜り、この場をおかりいたしまして心から御礼を申し上げます。
それでは、御質問の附属病院紀北分院の整備についてお答えをいたします。
本学は、昭和二十年に県立医学専門学校として開校以来、本県唯一の医科大学として、また県の保健医療の中核機関として、県民の健康の維持・増進に寄与し、県民の期待にこたえることを使命としているところでございます。本学が時代のニーズにこたえ、その使命をより一層果たすことができるための大学改革の手段の一つとして、現在、平成十八年四月からの公立大学法人化に向けての準備作業に全学を挙げて取り組んでいるところでございます。
そのような中で、紀北分院につきましては、地域に密着した医療を実践する大学附属病院として、臓器別にかかわらず幅広い診療ができる総合診療医の教育を担うことになってございます。総合診療医育成のフィールドとなる地域に密着した地域のニーズに対応した医療を展開するための紀北分院の施設などの整備につきましては、法人の中期計画の中で計画されていくものと考えてございます。これらのことは、これまでに学内に諮り、積み重ねてきたことでございますが、継続性を持たすべく引き継いでおきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 警察本部長宮内 勝君。
〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 警察官の定員増と空き交番対策についてお答えいたします。
県内の治安情勢を見ますと、昨年の刑法犯認知件数は一万八千七百四件と前年に比べまして二千五百件余り、マイナス一二%と三年連続して減少し、七年ぶりに二万件を下回ることができました。しかしながら、殺人、強盗等の重要犯罪や少年非行の増加など、なお憂慮すべき状況にあります。
議員御指摘のとおり、街頭活動の強化と空き交番の解消につきましては県警察の重要課題と認識しているところであり、このため、平成十四年度から三年間で認められた計九十五人の警察官の増員の中から交番勤務の警察官を可能な限り拡充してまいりました。また、警察OBの交番相談員につきましても、平成十六年度に十二人を増員していただき、現在まで三十六人まで拡充し、空き交番の解消に努めてきたところであります。
平成十七年度予算におきましては、警察官二十人、交番相談員十三人の増員をお願いしているところであり、今後も引き続き交番勤務の警察官、交番相談員の拡充を図り、空き交番の解消に努めてまいる所存であります。
次に、市町村合併と各警察署管轄市町村の見直しについてお答えいたします。
警察署の管轄区域の変更に当たっては、基本的には行政区域に一致させることが望ましいと考えておりますが、事件・事故への迅速な対応や各種届け出の受理など、地域住民に対する治安面のサービスに影響を及ぼすことがないように、人口、地理的条件、地域住民の利便性、事件・事故の発生状況等を総合的に勘案し、慎重に検討してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、門三佐博君の質問が終了いたしました。