平成16年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後一時三分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十四番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
きょうは、福祉保健部長ただ一人に対して集中的に御質問を申し上げたいというふうに思います。
まず最初に、介護保険制度の見直しについてでございます。
介護保険制度が始まりまして五年目を迎えました。そして、来年の四月が見直しの時期となっております。政府は、今、大幅な制度の見直しを行うとして、来年の通常国会に法案を提出する予定です。そのため、今、検討が盛んと行われているところであります。将来にわたる財源確保として、保険料の徴収を現行の四十歳以上を二十歳以上に拡大すること、サービス利用負担率を現行一割を二割から三割に引き上げる、さらには要支援・要介護一の軽度の高齢者を介護保険制度から外すことの検討や、その上、特養ホーム利用に新たにホテルコストという家賃や水・光熱費を保険外負担として徴収することも検討を始めていると聞きます。こうした検討見直しは、高齢者のサービス利用制限と国民負担を一層ふやすこととなります。結果として国の介護への財政支出を抑えるための制度見直しであることが、ここでよくわかります。まさに大改悪と言わざるを得ません。
今般の介護保険見直しは、単なる介護をめぐる問題のみならず、聖域なき構造改革を進める上で高齢者の生存権をもじゅうりんする内容を含んでいると思えてなりません。今後の社会保障制度に大きく影響するだろうことを私は大変危惧するところであります。
検討中ということで詳細がよくわからない部分もある今日ですが、この五年間、介護保険制度にどのような問題点が発生しているのかを私なりに利用者を初め施設や事業所、ケアマネジャーやヘルパーの皆さんに見直しに対する御意見なども聞いてまいりましたので、それらも含めて質問にしたいというふうに思っております。日夜施設で在宅介護で御苦労されている方々の思いや悩みが見直しに反映できることと、より安心できる介護制度になることを願って質問を申し上げます。
本県の六十五歳以上の人口は二十四万五千三百二十一人です。高齢化率は、平成十五年度が二二・五%、そして十六年度が二三%と、全国水準で見ますと全国第十三番目に入ります。要介護認定者は四万五千三百五十二人です。介護認定は受けたものの介護サービスを全く利用していない高齢者もおられるわけですが、ほとんどの方が施設やあるいは在宅サービスを利用しておられます。独居老人、そして老夫婦世帯がふえていること、老老介護もいまだに多い現状に至っております。
介護保険料徴収は、御存じのように、四十歳以上のすべての人から徴収し、介護給付対象者となる六十五歳以上の年金受給者は年金から情け容赦なく自動的に差し引かれます。国民年金の最高支給額は月六万六千円です。高齢者の多くは平均月四万七千円の年金受給額であって、無年金者の数も無視することはできない状態になっています。
保険料の天引きは日常の生活に重くのしかかっているのも御存じのとおりです。加えて、介護サービスの利用料の一割負担についても、在宅利用ではデイサービスやホームヘルパーサービスを削る人や、利用したいがお金がないからと削る人がだんだんふえてきていると言います。県下の市町村では、財政困難な中でも低所得者への単独減免制度を進めて大変喜ばれていると聞きます。全国の三千二百余りの自治体でも、四分の一の自治体が減免制度を実施し、さらに広がりを見せております。
本県は、本年六月四日現在、保険料の減免で十三市町、利用料では十六市町、社会福祉法人等の利用料減免も三十五市町村が支援をいたしております。国はこれに対して、全額減免してはだめだ、資産状況を──一律に減免してはならない、一般財源の繰り入れはしてはならないと、非常に厳しい指導をいたしております。しかし自治体では、県民の利用者の苦労にこたえて減免制度を実施しているところも少なくありません。
国の減免制度はどうかといいますと、「災害・病気などの収入の激減など特別な理由に限って」と限定をしています。六十五歳以上の保険料は五段階の定額制ですから、所得の少ない人ほど負担が重い仕組みになっています。これを廃止して所得に応じた定率制に改めるべきではないのでしょうか。国の制度として低所得者への減免制度がありません。ここに、この保険の欠陥があるのではないでしょうか。減免制度の創設を重ねて求めるものですが、所見を伺いたいと思います。
次に、国は、サービス利用はかえって本人の能力実現を妨げていると言って要支援・要介護一の高齢者を保険から切り捨てようとしています。本当にそうなのでしょうか。現場の方々に聞きますと、「ちゃんと介護を受けている人の方が状態は悪化しませんよ」という返事です。デイサービスでの人との交流や入浴などによって、また施設においても同様、症状が悪くなる人は少ないと聞きます。
県下には、要支援・要介護一と認定された高齢者は二万三千百五十八人おられます。この方々が保険から外されますと、施設を退所しなければならなくなる人も出てくるんではないでしょうか。中には行く当てもない高齢者も出てくるでありましょう。そういう高齢者を路上に放置するのでしょうか。こんなことは絶対に許されないことです。介護保険制度の導入以前から入所している自立・要支援の高齢者の継続入所の廃止も、これまた大きな問題になります。こういった人たちを切り捨てるなどということは絶対に許されるべきではありません。継続が求められるところです。
保険から切り捨てて新介護予防につなげる保障が本当に確実にあるのでしょうか。これまで福祉予算であった介護予防、地域支え合い事業をそっくり介護保険に移動させる、これはまさに国の財政支出を縮小させるねらいそのものではありませんか。より安心の介護保険でサービスを保障することに力を注いでほしいと、このように思うわけです。必要とするサービス利用によって高齢者の能力は花開くと私は考えるものです。現行の継続を願うものです。いかがでしょうか。
次に、特養ホームの入所希望待機者が全国で三十二万人、本県で約一千九百人です。介護保険導入時では約七百人でしたが、この六月では三倍近くにふえている現状です。本県では特養ホームなどを設置したいという希望が多くなってまいりました。
わかやま長寿プラン二〇〇三によりますと、平成十五年度から五年間で六百四十四床整備することになっております。これでは、約九百人の待機者の大半は五年たっても入所できないことになります。国の補助金も減額されてきたところでありますけれども、積極的に国への働きかけを強め、整備においては国の財政支援をもとに戻させることも必要だと思います。何といっても特養ホームは、在宅で生活する高齢者や介護を支える家族にとってはいざというときの支えです。ショートステイの増設によって待機者や家族へのサービスを考えることも大切ではないのでしょうか。一年、二年もの待機は異常な状態です。
あわせて、特養ホーム利用者のホテルコストなどは新たな負担増となるものです。低い年金生活者にとっては入所できない施設となってしまいます。ホテルコスト導入によって、特養ホームでは月額三万円から八万円の値上げ、相部屋で八万から八万七千円、月に要るようになります。個室で十三万四千円にするという試算さえ出ているところですから、到底認めるわけにはいきません。整備計画の進捗状況と考え方についてお聞かせ願いたいと思います。
次に、その利用者一人一人に必要なケアプランをと苦労されているケアマネジャーの問題であります。
ケアマネジャーの仕事を聞いてまいりました。一人の利用者と面接するには、家を訪問して家族とも会い、生活環境、住居の状況、周辺の状況などをも調査しながら、サービスの希望を聞きながらケアプランをつくる。それを利用者と家族に説明し、合意が得られたらそれぞれサービス事業所に連絡をする。その間、事業所、行政関係、医療関係との連絡調整などなど大変な労働ですが、みんなくたくたになっても頑張って夜中まで働いているそうです。利用者からのサービスの変更、苦情、相談などにも対応しなくてはなりません。記録、書類作成など超多忙としか言いようがないと、疲れた体で私の尋ねることに答えていただきました。最近は、この労働に耐えられず、体調を崩して退職する人が後を絶たないため、技術や経験の蓄積がないと嘆いてもおられました。
国の標準を見てみますと、ケアマネジャー一人の担当件数は、標準的に五十件と言われてきています。「これはとても無理です。机上のプランなら可能でしょう。どんなに頑張っても三十人から三十五人が精いっぱいで、限界です。ぜひ専門職としての研修や研究を積み重ね、利用者の立場でつくり上げるケアプランの充実を願っているんです。労働時間問題や労働条件の改善も山ほどある」とも語っていました。所見を伺いたいと思います。
次に、今見直し検討が行われている内容は、利用者や国民や自治体に負担増を押しつけるばかりです。国は制度導入のとき、介護施策にそれまでの五〇%の国庫負担を二五%に引き下げてしまいました。ここに保険料・利用料の高い原因が発生していると思うのです。高齢者の人権尊重を重視し、安心して豊かな暮らしを保障したいと心から願うものです。
医療・福祉は金のあるなしによってその利用を左右されてはなりませんし、まさにこれは社会保障の原則だと思うのです。国庫負担を五〇%に戻すことは当然です。当面、三〇%に引き上げることが求められています。このことは、全国の市長会、町村会の繰り返しての要望でもあります。ぜひとも見直しの意見として国に積極的に働きかけていただきたい、このように思いますが、いかがでございますか。
県は、高齢者の意識調査なるものを平成十四年に実施をされています。介護保険に関する的確な調査にはなっていません。利用者、家族、事業所、施設、医療機関、市町村などの意見を改めて把握する調査を行い、国に伝えることを求めたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
以上六点について、福祉保健部長の率直な御意見、御所見をお聞かせ願いたいと思います。
二つ目の問題として、重症心身障害児者問題についてであります。
十二月三日から九日の障害者週間にちなんで、NHKの教育テレビは三日間にわたって夜八時から生放送で送る特別番組を放映しておりました。特に四日は三時間に及ぶものでもありました。スタジオに障害者と、そしてその両親を迎えて、その成長する姿や障害を持ちながらもみずから積極的に夢を実現するために努力する姿、会社人間だったお父さんがダウン症児とともに、また父親同士が交流を深めながら明るく育ち合う姿、難聴の青年たちが週末にライブを開き大人気を博してしている姿、またパラリンピックで金メダルに輝いた障害者の姿などを見ていて、心温まる思いがいたしました。障害者への理解を一層深める番組でもありました。
そして、この九日、昼休みの十二時三十分から三十分間でしたが、県庁玄関前広場ではあすなろ楽団・三川小学校ジョイント演奏会が行われて私も参加をしてまいりましたが、演奏されたのは大塔村の三川小学校の児童たちと、そして大塔村にあります知的障害者更生施設や、あるいはグループホームなどで施設を利用している皆さんの演奏でした。これは、十年間の交流からお互いの相互理解と信頼関係が生まれる中で合同練習が重ねられてきたと聞きました。障害者の明るく元気で、そして全身からあふれるほどの力で演奏された姿は私たちの心に大きくとまるものもありましたし、私もだんだんその音楽に引き込まれてリズムを踏む、こういったような状況もありました。これからも障害者とそして地域の皆さんたちが一緒に音楽や、あるいは他のいろいろな行事で楽しまれること、そしてともに生き、安心して生き続けられる状況をつくりたい、このように思ったほどです。
私は、先日、重症障害児者を介護している二人のお母さんから、「ショートステイ──いわゆる短期入所──を申し込んでも拒否されて入所できない。どうしたらよいか」という相談を直接受けてまいりました。そしてお会いしてお話を聞きましたところ、二人のうちの一人の障害者は、十九歳の女性です。病名は不明だということです。身障一級の手帳、療育手帳。二歳のころ、それまでしっかり歩いていたが、急にふらふら歩くようになり、四つんばいになって歩くようになった後、歩けなくなったそうです。びっくりして医大やあるいは京大、日赤病院というふうな形で入院をしながら検査をいたしましたが、とうとう診断ができませんでした。医師からは「銅代謝異常かな」とも言われたきりです。このときから全く寝たきりになり、人工呼吸器を装着する、そして食事は経管栄養。二十四時間全面介助が必要になりました。四肢は麻痺し、おしゃべりもできません。語りかけると、ただ目を大きく見開いて顔を向けるという状況。教育は、紀北養護学校で訪問教育を受けながら高等部を卒業しております。そして現在、通園施設あゆみの園に週三回、午前十時から午後三時までの通園をいたしております。そして、週一回は海南の通園施設のサービスを利用しておられます。訪問入浴を週二回。医療は四週間に一回、診察を受けた後、投薬を受けているところです。
七年前、介護しているお母さんが顎関節症で手術をしなければならなくなりました。ちょうど施設に体験入所ということで親子ともども入院したときでありますが、顎関節の痛みはそこまでは我慢をしていました。しかし症状がだんだんひどくなったので、子供をショートステイしてほしいということで申し込みましたが、「一人だけではだめです」と言って断られました。当時、受け入れるところは国立和歌山病院だけでしたので──現在でもそうでありますけれども──美浜町まで痛いのをこらえて自分で車を運転して送っていって、やっとの思いでショートステイができたそうです。ところが、お母さんが手術をして五日目に子供の状態が悪化いたしました。お母さんは、「仕方なく痛いのを我慢しながらでも早く退院をせざるを得なかった。本当に情けなかった」、このようにおっしゃっています。最近でも母親の都合で三日ほど短期入所を申し込みましたが、これも再び断られました。その理由は、「人工呼吸器を装着しているからだめです。夜間の看護体制がとれません。気管吸引のある人も、そして多動の人もだめです」ということでした。これでは一体どこへ行ったらいいのでしょうか。
もう一人の障害者の状態でありますが、二十二歳の男性、病名は低酸素脳症、四肢麻痺。この方は身障一級と療育手帳、障害年金を受給していますし、在宅酸素療法も行っていますし、てんかん発作が時々あるようであります。この方は、六歳のとき、えびせんをのどに詰まらせてすぐ病院に行きましたが呼吸不全となり、そのまま障害者となりました。二十四時間全面介助、食事は経管栄養。もちろん、しゃべれません。言葉をかけると声の方を見るだけです。教育は、同じく紀北養護学校の訪問教育を受けながら高等部を卒業いたしました。このお母さんは、教育というのを紀北養護学校の先生から聞いたときに、「寝たきりの子供に教育なんて」と思っていたそうです。養護学校の先生方の熱心な教育への話を聞く中でその必要性を知り、訪問教育を受けるようになったそうです。現在は二週間に一回、病院の外来に診察と薬をもらいに行っております。これは、てんかん発作予防のための薬が主だそうです。そして、訪問看護週二回、訪問介護週──これ、ちょっと済みません、聞き漏らしております。何回か受けていらっしゃいます──訪問入浴週一回。
ある日、結婚式のためにお母さんが東京まで行くことになりました。ショートステイを申し込みましたが、酸素吸入しているために断られました。仕方なく妹さんに無理して来てもらいました。朝一番の新幹線で行き、結婚式が終了すると飛んで帰るように新幹線に飛び乗りました。まさにトンボ返りという実態であります。このお母さんは、「預ける施設がないから病気にもなれない」と訴えておられました。また、預けるところがないというそのときには、「あーあ、自分がこんなにしてしまった。自分に責任があるんだ」と、自己嫌悪にいつも陥られるそうです。だから、「自分がだめになったときは最終的に助けてほしい」と、その切実さを訴えておられましたし、私はこのお母さんの声をしっかりと受けとめたいと思います。
この二人のお母さんだけの問題ではありません。在宅で二十四時間一生懸命介護を続ける家族に「施設はありますよ」と言うだけで問題解決するのでしょうか。
福祉保健部長にお尋ねいたします。
県下に重症心身障害児は何人ぐらいいらっしゃいますか。施設入所と在宅でいらっしゃる数はどれだけですか。そして、在宅者のショートステイ施設は何カ所あるのでしょうか。お聞かせください。
入所施設が整備されていることは大変うれしいことでありますが、申し上げた事象の問題をどう改善するのか。
御存じのように、短期入所は病気などで介護できないとき、リフレッシュをしたいとき、旅行やのっぴきならない葬式、またお祝いの結婚式など私的や社会的理由での利用も可能となっているのですから、施設側の受け入れるための体制づくりが急がれるべきではないのでしょうか。特に二人の事象のように、人工呼吸器や酸素吸入、吸引器使用者のための専門知識や技術の研修による人材育成がどうしても必要だと考えます。そのための財政支援を惜しむべきではないと思いますし、いかがなものでしょうか。どのような対策を考えておられるのでしょうか、お聞かせ願います。
次に、難病の患者さんでも同じだと思うんです。在宅の難病患者さんのショートステイ事業について、受け入れ施設や利用状況はどうなっていますか。
難病といっても、百二十一の病名があります。大変多い疾患数でありますが、介護保険法や身体障害者福祉法、また老人福祉法などによるショートステイ事業がありますが、これらとの関係はどうなるのでしょうか。
以上の点について、福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
これで、第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
福祉保健部長嶋田正巳君。
〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、介護保険制度の見直し問題についてお答えを申し上げます。
介護保険制度は、議員お話がございましたが、介護保険法の施行後五年を目途として、その全般に関し必要な見直しを行うこととされており、改正法案の来年の通常国会の提出に向け、国において取りまとめの議論が現在大詰めを迎えているところでございまして、その具体的内容についてはいまだ決まっていないところがございますが、そうした状況の中、できる範囲の中でお答えをさしていただきたいと思います。
まず、保険料・利用料の減免制度の創設についてでございますが、見直しが検討されている中で保険料・利用料につきましては、公的年金のみの収入であれば、年収二百六十六万円以下の市町村民税世帯非課税者である所得階層第二段階におきまして細分化し、さらにきめ細かな低所得者の負担軽減ができるとともに、高額所得者に対する段階区分でもより細かな区分設定も認めることができるよう検討がなされておるところでございます。
なお、保険料の定率制導入につきましては、国での議論の中で、景気動向による保険料収納額の変動、年度途中の徴収方法の変更などの理由によりまして導入されない方向であると聞いております。
県としましても、国に対して、低所得者が必要なサービスが受けられないことがないよう積極的に要望しているところでございます。
次に、要支援・要介護一の従来の介護給付サービスの適用継続についてでございますが、新しい予防給付の考え方は、介護サービスを受けても要介護度が重度化している傾向があることを踏まえ、軽度な方に対するサービスの中身をより本人の自立や要介護状態の改善に役立つようにしていく方向で検討されているものであり、介護予防の趣旨はサービスの切り下げではなく、サービスの質的な転換を目指すものと理解をしてございます。
新予防給付の具体的な内容につきましては、現在、国の専門家による委員会で、介護予防の観点から、既存のサービスも含め、その有効性の検証がなされているところでございます。このため、本人の残存能力を低下させるおそれのある単なる家事の代行のようなサービスについては見直されるものと思われますが、個々のケースにおける必要性にかかわりなく一律にサービスを制限するものではないと聞いております。
いずれにしましても、制度の見直しに当たっては、高齢者の自立、生活機能の向上に向けた介護サービスとすることが重要であると考えております。
次に、特別養護老人ホームの待機入所者の問題についてでございますが、県といたしましては、できる限り入所待機者の問題が解決されるよう、従来からわかやま長寿プラン二〇〇三に基づき、計画的・積極的に施設の整備を進めてきたところでございます。
特別養護老人ホームの整備計画の進捗状況につきましては、平成十七年度末までに四千四百六床が整備される見込みとなっており、整備率は九一・九%、平成十九年度までの整備残数は三百八十六床となります。
特養等の施設整備を進める際には、各老人保健福祉圏域における整備率、待機者の割合、在宅サービスも含めた給付水準等を総合的に勘案して整備を行っていく必要があると考えております。
今後は、施設と在宅のバランスのとれた総合的なサービス提供体制の整備が必要であり、例えば居宅サービスでも、デイサービスに利用者の必要に応じて泊まり機能を持った、仮称でございますが小規模多機能型居宅介護などの創設が検討されております。
次に介護施設のホテルコストにつきましては、入所者の所得に応じたきめ細かな対応が必要であり、低所得者に対する配慮がなされていると聞いております。
次にケアマネジメント担当件数につきましては、公平・公正の確保やマネジメントの強化の観点から、現在、国においてケアマネジャー一人当たり標準担当件数などの基準や報酬額について体系的に見直しの検討がなされているところでございます。
次に介護保険財源の国庫負担の引き上げについてでございますが、各保険者の財政安定化は制度運営の上で大変重要なことであり、県としても国に対し、介護給付費財政調整交付金について国庫負担金二五%とは別枠で措置するよう強く要望しているところでございます。
次に、介護保険制度に利用者等の県民の声を反映させることについてでございますが、県において平成十七年度中に見直すこととなってございます長寿プラン二〇〇六の策定作業において実施する実態調査におきまして、議員御指摘のように利用者、家族、サービス事業者などの意見ができるだけ反映されるよう創意工夫し、国に対してもその結果を伝えてまいりたいと考えてございます。
次に重症心身障害児者問題についてでございますが、重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複している重症心身障害児者は、平成十六年三月末時点で、市町村の協力を得て把握したところでは約四百七十名と推定されます。そのうち施設入所の方は約二百八十名ですので、在宅の方は約百九十名おられるものと把握してございます。
また、支援費制度に基づく指定短期入所施設いわゆるショートステイ事業所数は、身体障害者福祉法に基づくものが二十事業所、知的障害者福祉法に基づくものが二十八事業所、児童福祉法に基づくものが二十二事業所でございます。そのうち、医療機関は八施設となってございます。
議員御指摘のように、人工呼吸器等を使用されている方のショートステイ受け入れにつきましては、夜間の介護だけではなく看護も必要なことから、入院設備の整った医療機関でないと対応が難しい面がございます。
県といたしましては、できるだけ多くの医療機関に事業所指定を受けていただくために県病院協会に制度の説明を行い、協力をお願いしているところでございまして、それを契機に指定申請いただいた医療機関もございます。
今後ともショートステイの必要な方が安心して利用できるよう、受け入れ可能な施設の増加を図るとともに、指定事業者に対して支援費制度の適正運用を指導してまいりたいと考えております。
次に在宅難病患者のショートステイについてでございますが、議員御指摘の百二十一の疾患に診断された方は難病患者等ショートステイ事業が利用できることとなっております。
難病の方のうち、身体障害者手帳をお持ちの方は身体障害者福祉法、介護の認定を受けられた方は介護保険法、六十五歳以上の方は老人福祉法の制度によるショートステイを利用していただくこととなっております。
難病患者等ショートステイ事業は、各市町村が主体となり、契約した医療機関を利用する制度となってございます。昨年度は十三市町村に約百件の申し込みと把握をしております。今後は、難病患者の方がより利用しやすいよう一層周知を図ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。今一番利用者の方々が困っていらっしゃる問題というのは、やっぱり保険料が高いということと、それから利用料が払えないと。払えないために今まで受けていたそのサービスを削らざるを得ないということで非常に困っていらっしゃる声はもうあちこちで聞かれますし、ヘルパーさんたちの話を聞いても、「もうそれはええよ。もう来んといて」という声が行くたびにある人もあるそうです。そういう点で見れば、やはり利用料や保険料の負担というのがいかに高齢者の皆さん方のサービス抑制になっているかというのが理解していただけるんじゃないかと思います。
特に今、ヘルパーさんたちも本当に一生懸命頑張っていらっしゃるけれども、しかし行くたびに断られるということについては、「私たちは本当にどうしたらいいんだろう。患者負担がせめて一回、二回減った分が支援されていたならば、こんなふうにお年寄りが嘆かなくてもいいだろうにな」という声が、今本当に大きくなってきていると思いますし、またショートステイに入りたくても施設がない、満杯だというような状況があるわけですね。そういうところでもすっかり疲れ切っている家族介護者の皆さんたちが、もうこれ以上どうしようもないという疲れ切った中で、今、全国的に悲しい事件も起こっております。そういうことが幸いにして和歌山にはありませんけれども、そういった状況が今まさに起ころうとしているんではないかというふうに思います。
そういう点で、国の災害時とか緊急的な問題にしか減免制度が設けられていないというところ、それから介護保険制度が導入される以前の介護予算ですか、そういったものが大幅に五〇%から二五%に削られた、そのことが今の財政を苦しめているんだというふうに思うんです。そういう点でも、やっぱり保険料の減免制度を的確にやるということ、それは低所得者を救う最大の道ですよね。
それから利用料に対しても、やはり軽減措置を多くの自治体が全国でやっています。だけども国は、全額の免除はだめですよ、資産などについても、一律に減額しちゃいけません、その穴埋めをしたために、減免制度をつくったために一般会計からの財政繰り入れはだめですよという三原則を強硬に指導しているわけですよね。そういう中で地方自治体が財政的にも大変苦しくなっているという現状です。にもかかわらず支援策をとっているわけですから。そのためにも減免制度というのはどうしても必要だというふうに思いますので、強くこれから働きかけていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
今度の見直しは、何といっても利用者のために、今どんな問題が起こって、本当に制度としてどう改善しなければならないのかというところがかぎなのに、財政をつくるために利用者や国民に対して負担増の制度をつくり上げていくということしか考えていないというところに大きな問題があるというふうに思います。その最たるものは、要支援やそれから要介護一の皆さんたちを保険外のものにしていくとか、新たに制度をつくってそこへ負担増を強いる問題、それから特別養護老人ホームといったところにホテルコストという、名前はいいですけれども、そこへ入る人たちに対して家賃とか光熱費を新たに設定するということですから。今、一カ月五万二千円ぐらいで済んでいるところが、四人部屋になりますと、今度は八万円相当の額にはね上がると。個室の場合やったら、今五万二千円のところが、もちろん十二、三万に大きく負担がふえるというシステムが試算されているところですから、こういう点でも、本当にだれもがひとしく介護を受けられる、経済的に本当に心配なく受けられるというような仕組みをつくることが今一番求められているのに、新たな制度をつくって負担増を強いるというようなことは本当にやってはいかんことだと思います。社会保障制度そのものについての原則を外れているんじゃないかというふうに思います。
これまでも、年金問題にしても、それからお年寄りの医療費の負担増にしても、みんな言ってきたことは、サービスの過剰だとか、あるいは一固まりの人たちのために税金を使うことはよくないとか、入院している人、家にいる人、みんなどこでも御飯を食べるんだから食費ぐらいは出せよといった、そういうような負担増の制度が次々と行われてきたその一環だと思うんです。こういう点では国民を苦しめる介護保険にしかならないというふうに思いますので、しっかりと、そこで働くケアマネジャーさんの問題とか、ヘルパーさんの問題も含めて県は物を言うときにはきちんと言うていただきたい、このようにお願いをしておきます。
それから、重症心身障害者のホームヘルパーの問題ですけれども、本当にこれは切実な問題になってきているんですね。県は、重症心身障害者の人がどれだけ県下にいるかと。それは、市町村に調査を求めて聞いたところこれだけだったという数字になっているわけですけれども、その中で、私が二つの例を申し上げたような人たちが──在宅酸素をしている人たちとか、あるいは人工呼吸器を装着している人とか、それから喀たんの吸引を在宅でもしているし、ショートステイでもどうしてもしなくちゃいけないと、そういった重症心身障害者が一体何名県下にいらっしゃるのかというのはつかんでいませんよね。だから、改善するためには、施設だけを整えても、本当にどういう人たちが困っているんだということをしっかりつかまない限り、これはかなわないことになるんです。だから、人工呼吸器なんかを装着しているというのは特殊なものですから、これはやっぱり医療機関が一番好ましいとそちらでもおっしゃいますけれども、まさにそのとおりだと思うんです。ああいう老人ホームとかそれから施設、一般的な児童施設なんかでは、とてもじゃないけども職員もそういう技術やそういうものを経験したことが少ないと思うんです。だから、そういう点では病院が望ましいとおっしゃるのはそのとおりだと思います。お母さんたちも「かかっている病院で受け入れてくれたら一番うれしい。安心なんだ」と、こうおっしゃいますけれども、まさにそれを行政側が積極的に進めてもらうということだと思います。病院側の協力というのは、「急性期だけを見ますよ」とおっしゃるそうですけれども、そうではないんですね。ショートステイの意義というものも病院当局にもやっぱり理解してもらって、そして積極的に受け入れる。ましてや私は和医大──大学病院では、そういう点では積極的にベッドを確保して、そして入ってもらうという、それぐらいの積極性があってもいいと思うんですけれども。医大にも積極的に働きかけていただきたいというふうに思います。
きょうは、とにかくお母さんたちの切実な思いと、それから介護保険に対する県民の皆さん方からの改善について申し上げましたので、どうか積極的な取り組みをお願いしたいと思います。要望といたします。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。