平成16年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十六番山下大輔君。
〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 それでは、議長のお許しをいただきましたので、早速、通告に従って質問をさせていただきます。
今議会では四つのテーマ、中国との経済交流、地域産業の再生、危機管理への取り組み、そしてスポーツの振興について議論を深める質問をさせていただきたいと思います。さきに先輩・同僚議員から質問された内容と一部重複するところもあるかと思いますが、できるだけ視点を変えて質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、ことし、中国では新しい法律が公布され、そこでは特にサービス、卸、小売分野での規制が大幅に緩和されて新たなビジネスチャンスが生まれようとしています。日本人でも少ない資金で現地にお店を出し、社長にもなれる。ことしの六月に施行された外商投資商業領域管理弁法は、新法になるんですが、一〇〇%の外資の出資で外国人の直接的な経営もこの十二月十一日、あしたからですが、認められるものとなっています。また、お店を開店させるのにも、最低の資本金が日本円で、これまで──お手元の資料に少し書かせてもらっていますけれども──卸業、サービス業の分野で、卸業の場合、最低の資本金が十二億と設定されていたものが八百万に、小売業で七千五百万だったのが四百五十万と、大幅に引き下げられています。しかも、これは経済特区といったエリアを限定した法律ではなく、中国全土で適用されます。WTO加盟以降、次々に開放政策を実現させてきた中国ですが、ついにサービス分野でも大胆な市場開放に踏み切ることになりました。これで、日本の中小事業者の商売のチャンス、商機が大幅に広がるものとなります。
先月、十一月八日から十一日の日程で、中国の北京、済南、上海へ関空プロモーションに行かせていただきました。今回は、小佐田副知事を団長として、県議会では和田先輩、森先輩が副団長となられ、先輩・同僚議員、そして関空株式会社の幹部の方と一緒に関西国際空港の売り込みに行ったのですが、そこでは多くのことを感じ、また考えさせられるものとなりました。実際に現地に立って感じた中国の熱気はマスコミなどで報道される以上のもので、日本とは一けた違う多くの人間が熱気をつくり、経済成長を加速させています。
今後は、そう簡単にはいかない、いろいろ難しいところも多いとは思いますが、しかし、中国を含めてアジア諸国全体とどういった関係を築いていくのかといったことは私たち自身の未来にかかわる重要な問題であり、真剣な議論を積み重ねていくことが必要とされます。そこでは、あくまで国といった単位でのとらえ方、見方だけでなく、和歌山県、和歌山市、また山東省、済南、青島といった地域単位での取り組みが今後は重要になります。和歌山県として何ができるのか、できる限り努力をし、知恵を絞り、多くの県内企業の皆さんが安心して中国、アジアで仕事をしてもらえる、チャレンジできる環境を整えていくことが急がれます。これまでは単に友好親善の交流が中心でしたが、今後はそれだけでなく、経済的な交流を通じて多くの人、物、金、情報の行き来を実現する中で、友好関係から本格的な信頼関係へと発展させていかなくてはなりません。
そこで、まず知事に中国との経済交流についての御所見を賜りたいと思います。
また、私は、今後中国との経済分野での交流の一層の進展を期待する中で、例えば、毎年業種を超えて経済使節団を組織し、中国に派遣するといった取り組みを提案したいと思います。とにかく経営者に現地に行ってもらうことが大切で、中国の今を自分の目で見て、中国人の実際の生活を観察し、中国社会というものを肌で感じてもらう、そして仕事のチャンスをかぎ取ってもらうことが大切だと思います。
これは、先日お話しした監査法人トーマツの経営執行社員で中国戦略の統括責任者でもある前仲さんとも大いに意見の合ったところですが、それは、何もかも行政がおぜん立てするものではなく、何を商売にできるのか、どういったサービスが受け入れられるのか、それは優秀な商売人、経営者は仕事のチャンスを自身でかぎ分ける嗅覚を持っています。しかし、それはあくまで直接現地に立たないと感じられないものです。この中国への経済使節団を和歌山でしっかりとコーディネートし、チャンネルをつくり、毎年送っていくことで県内企業、特に若い経営者の人たちに将来の大きなビジネスチャンスをつかんでもらいたいと期待しますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
続きまして、具体的な和歌山の活性化策、起業家・中小事業者の支援と地域産業の再生に向けた取り組みについて。
今回の質問では、企業の新陳代謝から地域経済の活性化へといったことを提案させていただきたいと思います。人間の成長でも、新しい細胞が生まれ、細胞内の老廃物を出して新たな栄養分を摂取する作用、いわゆる代謝が行われて元気な体をつくります。これがうまくいかないと病気にかかり、ほうっておくと死に至ります。これは経済活動でも同じことで、健全かつ活発な代謝が行われてこそ元気な経済環境が生まれます。そこでは、一つには意欲ある起業家の新規参入を促し、そしてもう一つは競争力のなくなった事業者の新たな業態がえ、いわば第二創業をうまく進めていかなくてはなりません。特に新規参入に関しては、国も急ピッチで環境整備を進めています。
国の最低資本金規制特例制度、これは一円起業で有名になった制度ですが、この導入で昨年からこの十一月末までに全国で一万八千五百十四社が新たに設立されました。近畿では株式会社と有限会社を合わせて三千五十二社が設立され、和歌山県でも七十五社が生まれています。また、この中で一時期話題になったその一円起業というのも全国で八百四十九社、近畿で百五十五社、和歌山では六社となっています。しかし、全国に比べ、比率からしても和歌山の場合はまだまだ新規参入者が少ない状況です。県として、創業支援、新たに起業していこうとする者への一層の取り組みが求められます。
また、第二創業、既存事業者についても、私自身、実際に地域を歩いてその実情を見てくる中では、事業の立て直しに大変苦労されている現実があります。そこでは、競争力が落ちている会社が手持ちの資産をすべてなくしてしまう前に新たな市場にチャレンジすることが大切で、そのための支援策、アドバイス、相談業務が非常に大切になってきます。
そんな中、私も昨年から提案させていただいていたわかやま産業振興財団が今春、地域経済の立て直しという大きな期待を背負って設立されました。この財団では、民間から豊富な経験を持った優秀なスタッフが集められ、わかやま産業イノベーション構想など、地域経済の抜本的なてこ入れが積極的に進められようとしています。
そこで、まず、この組織が設置され数カ月がたつわけですが、新規創業、企業再生、第二創業を支援している状況について、ここまでの取り組みの内容と、あわせて今後の見通しなどについて、知事の御所見を賜りたいと思います。
また、この財団のスタッフから直接話を伺う中では、かなりの仕事上での手ごたえをつかまれていると。しかし、今後山積みされたたくさんの課題を克服していくためには、現状の人員、お金では到底足りないといった話を耳にします。現在、わかやま産業イノベーション構想などは県の看板となる産業政策であり、先日発表されているジョブ・クリエイション構想などの雇用創出にも大きな期待のかかる産業振興財団の取り組みですから、ここは県としても重点化して人もお金も思い切ってつけていく判断が必要だと私は考えますが、これも知事の所見をお聞かせ願いたいと思います。
さて、中小企業の再生支援については、平成十四年十月に国がデフレ総合対策を発表して以来、不良再建処理が加速されるなど企業の経営環境が一層厳しくなる中、中央ではダイエーの再建などで有名な産業再生機構による企業再生の取り組みが進められています。一方、各都道府県においては、地域性の強い中小企業の特性を踏まえてきめ細やかに中小企業の再生を支援するため、都道府県ごとに中小企業再生支援協議会が設置されています。経済産業省の発表によると、昨年二月以降この十一月までの段階で、四千七百九十三社の企業からの相談に応じ、うち二百三十四社の再生計画策定が完了し、二百九十八社は計画策定の支援中となっているということです。その結果、一万七千八百七名の雇用が確保されるなど、着実に成果は上がっているということです。
そこでお聞きしますが、和歌山では中小企業再生支援協議会は商工会議所内に設置されています。その活動実績について県はどのように把握されていますか。また、この協議会で再生に取り組む企業について県としてどのような支援を行われているでしょうか。あわせて、その事業内容、組織目的が似通っている産業振興財団との関係について、ある面ではお互いに補い合う、補完し合う関係でもあると思いますが、その連携の実態はどのようになっているのか、担当部長から御答弁をお願いしたいと思います。
さて、これからの時代に地域経済の将来を展望する中では、地域独自の努力が必要とされます。東京、大阪などの大企業が集積する地域とは違い、地方にある和歌山などでは、国がアナウンスする経済見通しをそのまま受けて経済のマクロ環境がよくなるのを単に待っているといった受け身の姿勢ではいけないのだと思います。護送船団では行かない現状において、地域独自でみずからの経済状況、その動向を把握し、そこにある課題を洗い出し、克服するための適時適切な政策対応が求められるものとなります。
そんな中、今、将来の和歌山県経済を大局的な視点から見て、少し気になるところがあります。和歌山県の産業構造を見た場合、これまでは一般的には他の地方都市と同じく工業県という側面があります。県内総生産の二九%、約三割は製造業によるものとなっています。この製造業は、数字で見ても回復基調にあり、例えば設備投資の実績というものを日本政策投資銀行の調査から──お手元にお配りしている資料で御確認いただきたいんですが───二〇〇三年度の前年比の実績値が出されています。これは設備投資の状況なんですけれども、二〇〇三年度に、製造業の場合は前年比プラス七・四%、全国平均のプラス〇・六%を上回っている値が出ています。これに対して非製造業は、残念ながら前年比マイナス二五%と、全国平均のマイナス五・一%を大きく下回っています。実はこれは二〇〇三年度だけじゃなくて、二〇〇二年度の設備投資実績も二二、三%マイナスということに、和歌山の場合は非製造業がそういう状況になっています。
近畿圏では、ほかでも数字を確認してみますと、大阪は〇%とプラス・マイナスなし、そのほかもマイナス、プラスは拮抗していて、二けたのマイナスというのは一つもないと。それが、和歌山だけがマイナス二五%と突出した状況になってしまっています。ここは非常に注意して見ておかなければいけないのだと思います。
この非製造業が県経済に占める割合、その非製造業の中の中心、サービス、卸、小売といったもので県内総生産の約二七%、特に就業者数に至っては実に五二%を占めるものです。先ほどから、雇用の創出であったりとか、いろいろプログラムも書かれていますけれども、本当にそういうサービス、卸、小売というところが少し設備投資なんかも減速している状況というのは、やはりこれは本当に注意して見なきゃいけないんだと思います。
このように、数字的に見てもこの非製造業分野、特にサービス、卸、小売分野が低迷する状況は雇用などの面で地域に大きな影響を与えるものであり、結局、このサービス、卸、小売の分野が持ち直せないと、雇用環境を含め、地域の経済環境、特に実感ベースでの景況感としてもどうしても厳しい状態を抜け出せません。
日本の産業社会の大きな流れでは、過去の重厚長大産業に頼る時代から高付加価値、サービス優位の社会が訪れることは紛れもない事実であり、第三次産業とりわけサービス関連部門の占める比重が今後ますます大きくなります。そんな中、現状の和歌山県の実態を見てみると、いわゆる経済のサービス化の流れに必ずしも的確に対応し切れていないのではないかと思うのです。このようなサービス経済化への対応、需要創造型のサービス、小売業への支援という視点は、今後の県の産業政策、中小企業政策においても非常に重要なものであり、中国特需なども要因の一つとする現在の国の経済成長、経済の危機が一息ついているといった国のアナウンスに気を緩めることなく、県独自の産業基盤の整備、産業の構造転換への取り組みに今後ともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
今後は、特に雇用などでも特別に大きな意味を持つ情報、サービス、卸、小売分野への具体的かつ積極的な取り組みが必要で、それらに対応する施策の実行が急がれますが、この点について県当局の御認識と今後の取り組みの基本的な考え方などを担当部長からお聞かせ願いたいと思います。
次に、和歌山県の課題となっている新規開業、ベンチャー企業を支援する具体的取り組みについて。
先ごろ県から発表された雇用創出プログラム・わかやまジョブ・クリエイションでも、新規開業、新たな事業の創造については強く期待されるものとなっています。そんな中、県が進めているSOHO事業はその中核をなす施策で、私もこのSOHO事業がより充実し、成果を上げていってもらいたいと願う中で質問、提案をさせていただきます。
まず、現状、全国のSOHO事業への国の取り組み姿勢として、先日、経済産業省で地域振興に取り組まれている、現在近畿経済産業局総務企画部の由良総務課長に話を伺ってきました。由良さんの話では、今は日本経済も落ちつきを取り戻している状況、そこでは、これまでに危機的状況下で行ってきたさまざまな緊急的施策を整理するタイミングに来ているといった見方を示されていました。国としても、既存予算の整理・重点化を図るといった観点から法制度の整理統合を進めようとしています。来年一月の次期通常国会では、これまでの中小事業者を支援する新事業創出促進法、中小創造法、経営革新法という三つの法律を新たに新法として一元化するという方針も決まっているようです。
ここまで、国も起業家を支援して新規開業者をふやす取り組みを積極的に進めてきていて、その結果、全国で四百三十カ所以上ものSOHOオフィスができています。しかし、その中身は単なる箱物を賃貸しているだけという、本来の事業目的からは大きく外れたものとなっているものも少なくありません。そこで、今、ハード整備が一段落ついたこのタイミングで、それらの中身を充実させ支援機能を強化する取り組みが始まろうとしています。
そんな中、和歌山県でもSOHO事業の取り組みも三年目を迎え、来年は初めて卒業者も出すことになるのですが、ここでもう一度これまでの取り組みを見直し、新たにSOHO事業を充実強化していくことが望まれると思い、質問をさせていただきます。
そこで、まず知事に御所見を賜りたいのですが、この三年間のSOHO事業、スタートアップ・オフィスの取り組みについて、どのような評価、総括をされているでしょうか。また、今後改善しようとするところなども含め、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
さて、今後、県のSOHO事業はどのような改善を進めるべきなのか。私なりに考えを整理するため、先日、東京港区にある日本のSOHO事業の成功モデルとして取り上げられるMINATOインキュベーションセンター(MIC)という施設に実際に足を運び、話を伺ってきました。そこでは、MICの生みの親であり、日本の新しい事業者の育成、そのインキュベーション事業の発案者の一人である芝浦工業大学教授の星野敏さんから貴重なアドバイスをいただいてきたのですが、星野先生から指摘されたポイントとしては、まず一点目に、インキュベーション事業の基本はあくまで投資事業であり、投下される税金に対して生み出される成果、富や税金をしっかりと追求しなくてはいけない、そのような事業評価を行っている施設はほとんどない。二点目として、今多くの地域でも同様の事業が進められているが、単なる箱物事業に終わっているものも少なくない。事業者を育てる具体的なプランが抜け落ちていてはインキュベーションの意味がない。新規開業をバックアップする環境、特に相談業務の充実が急がれる。三点目として、現状では施設を設置すること自体が目的化し、単に入居率を上げるのに必死になるなど、本末転倒の取り組みも目立つ。あくまで入居の条件は厳しく審査し、あわせて入居後についても、事業への取り組みが消極的な事業者については期間に関係なく退去させるべきだ。また、逆に大きな成長が見込める事業者で経営指導が引き続き必要なものについては、二年、三年で無理やり退去時期を設定せずに大きく育てることを主眼とするべきである。入居期間の設定は柔軟に対応するべきだという、三つのことを強く指摘されていました。
そこで、この星野先生からの指摘も含め、私なりに県のSOHO事業をより充実させる具体的な提案と、あわせて幾つかの質問をさせていただきます。
まず、現状、事業者の育成といった視点では、経営をサポートする体制が非常に弱いと感じています。現在はNPOとして青年会議所、和歌山大学などの協力を得てWBSCといったサポート組織を設置し、入居者を支援する環境をつくっているようですが、しかし、これはフルタイムのサポートではなく、実際に入居されている人から話を聞いてもほとんど機能していないのが実態のようです。そこではやはり専従の人を置くことが必要で、事業を起こす初期の段階での的確なアドバイスを行える人材が不可欠です。これは、国でインキュベーション・マネジャー(IM)制度というものをつくり、専門知識、経験、能力を有する人材を認定する取り組みを今進めています。このインキュベーション・マネジャーには経済産業省も力を入れていて、この人材を全国でネットワーク化して、それぞれの地域の成功事例をつなげてより成果を上げていこうという取り組みを始めようとしています。和歌山でもこのインキュベーション・マネジャーを専従の相談役としてSOHOに配置することを提案しますが、このことについて担当部長から御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
次に、管理・運営面での見直しとして、まず基本として、例えば半年、極端に言えば三カ月でも、やる気のない事業者は退去させることが必要です。これまではスタートアップ・オフィスが物置がわりに使われていたといったケースもあるようですが、あくまで日常的にそれぞれの事業者の取り組み姿勢を見きわめていくことが必要です。また、逆に、現在の入居期限は基本的には三年ということですが、成果を上げさらに伸びようとしている企業については、事情を勘案して引き続いて入居延長を認めるということも検討すべきだと考えます。入居期間の柔軟な対応、入居年数の新たな設定について、これも担当部長に御見解をお聞かせ願いたいと思います。
次に、SOHO入居者の県発注事業への参画として。
現在、市町村合併などから情報技術関連の仕事が県並びに各市町村で数多く発注されている状況があります。それらの受注内容を見てみると、NEC、富士通、日立など大手のメーカーが独占的に仕事をとっている状況があります。現状では県外事業者が大手元請となり事業を独占し、その下請には仙台、北海道など和歌山には関係のない地域の中小事業者に仕事が割り振られている実態があります。
しかし、和歌山にも情報通信分野で下請のできる事業者は中小合わせてたくさんいるわけで、そういった和歌山のベンチャー企業と大手メーカーをうまく結びつけて仕事の一部でも地元に還元されるような仕組みがつくれないものかと考えます。例えば、土木建設業で使われる手法のように、地元企業を入れる条件をつけたジョイントベンチャー方式なども、簡単にはいかないかもしれませんが、検討する余地はあるのだと思います。これが実現すれば、収益面だけの問題ではなく、大手と仕事をする機会を得ることができ、新たな経験、実績がつくことになり、将来的にも大きなメリットが期待されます。
また、あわせてジョイントベンチャーの基礎ともなることですが、大手企業との交流会の実施を数多く行ってあげてもらいたいと思います。SOHO事業者同士の交流会はこれまでも行われてきていますが、大企業との交流会はまだまだのようです。具体的な事業の相談会といったものではなく、人脈づくりのイメージでよいかと思います。そういった地道な環境づくりで大手企業とのパイプをつくることで、思わぬ仕事がSOHO事業者に与えられることもあります。自然な形でたくさんの人脈を大手企業との間でつくってもらう、このコーディネートは県であればこそできるものだと私は思います。ぜひ実現をさせてもらいたいと思いますが、これも担当部長から御答弁をお願いいたします。
SOHO事業に関しての最後の質問として、シニア世代の参加について。
今のSOHO事業ではあくまで創業者を比較的若い年齢でイメージしていますが、これを全く違った発想で、会社をリタイアした、事業の一線を退いたシニア世代を対象とした取り組みを提案します。現状で、三鷹市などではシニアSOHO、シニアベンチャー事業といったものが進められています。資料を取り寄せて確認してみたのですが、シニアのためのシニアによるパソコン教室からコミュニティービジネスまで、非常におもしろい取り組みがあります。シニアの知識、経験をうまく利用して新たなビジネス分野を開拓する。例えばシニアによるシニアのパソコン教室、講師の派遣などは独特のもので、教わる年配者も、若い人が先生だと気おくれする、それを同年代のシニアからゆっくり教えてもらうことにより成果が上がるといったこともあるようです。また、シニア層をSOHOに取り込むことで、その方たちが持っている人脈、知恵、経験といったものも有効に活用できると期待します。単に経験のない若い人間だけのSOHOではなく、知恵、経験のあるシニアSOHO事業といったものをあわせて併設していくと思わぬ成果も上がる可能性があると思います。SOHO事業へのシニア層の取り組みの提案について、担当部長から御答弁をお願いします。
続きまして、危機管理の取り組みについて。
ことしは台風、地震で大きな不安に襲われた一年でした。まず、一連の自然災害で被害を受けられた皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに、またお亡くなりになられた方々には衷心より哀悼の意を表します。
今、地域住民の皆さんも生活の安心・安全が脅かされる状況に数多く直面する中で、防災対策への期待が大きくなっています。もうすぐ阪神・淡路大震災の節目となる十年を迎えようとするこの時期、改めてもう一度これまでの防災対策について点検し直すことが必要だと強く感じます。
ことしは、気象庁のアメダスの記録更新が相次ぐものとなりました。また、地震についても、十月二十三日の新潟県中越地震の震度七の恐怖、それがいえる間もなく、つい先日も北海道釧路沖で震度五強の地震が発生しました。また、和歌山でもことし九月五日夜、大きな地震を二度も経験するものとなり、それぞれ地震の規模は、初回がマグニチュード六・九、二回目が七・四で、和歌山を初め三重や奈良県内では震度五弱の揺れを観測しています。この地震では、串本で八十六センチの津波も観測されました。十府県で四十人以上の重軽傷者が出て、和歌山と三重、愛知の沿岸部では津波に対する避難勧告が出され、夜中に五千人以上が避難する騒ぎとなりました。
今回の地震で、その対応には反省すべき点が多かったと指摘されています。一つは、地震の規模や津波の有無に関する発表がおくれたことです。津波注意報が出される前に第一波が押し寄せた地域もありました。生死を左右する情報だけに、一刻を争います。また、気象庁の津波情報配信システムや各地域の震度伝達システムがうまく機能しなかったという情報伝達の問題も指摘されていました。また、自治体の対応にも問題があったと言われています。津波警報が出れば直ちに避難勧告を出さなければいけないところを、実行できた自治体は対象地域で三割以下だったということです。また、職員の集まりが悪かったところもあると指摘されています。
ただ、これは行政だけの努力に期待をするものではなく、地域の住民にも、いざ有事となるとどういった対応をとるべきか、ふだんからのルールづくりを徹底させなくてはいけないんだと思います。今の日本の状況について、日本列島は地震の活動期に入っていると言う専門家がいます。現在の地震予知の能力では地震がいつどこで起こるかはわからないというのが実際であり、巨大地震の同時発生という事態も見据え、あくまでも日ごろからの防災の意識を高めることが大切です。
こういった状況を踏まえて、今私たちに何ができるのかといったことで幾つかの提案並びに質問をさせていただきたいと思います。
まず、ことし私たちも経験した九月五日の地震について、今回の対応の問題点を和歌山県としてどのように認識されていますか。改善すべき点を含め、どういった問題意識を持たれているのか、御答弁をいただきたいと思います。
また、今回の地震だけに限らず、自然災害への対応として、情報の伝達、地域住民にどのようにして正確な情報を伝えるかといったことが非常に重要だと思います。先日、新島委員長のもと、防災等対策特別委員会で神戸の震災を契機に建てられた防災未来館へ調査に行かせていただきました。この館では、その運営、館内の案内などを震災に遭った人みずからがボランティアで引き受けられていて、実際に被災した人から貴重なお話を聞くことができました。そこでは、住民の方自身が、行政に頼るのではなく、自分たちの身は自分たちで守る、その心構えが重要だといったことを話されていて、みずからが被災されていた人たちの話だけに非常に説得力がありました。
これは、よく言われるように、一対二対七の原則、いわゆる行政が手助けできる公助の割合は一だ、近所で助け合える部分の割合というのは二割やと。結局、自分自身で自分の身、家族の身を守るのが七割やというようなことが言われていました。あくまで自分たちで自分たち自身の身を守っていくのが基本となります。
しかし、そのためにも正確な情報の確保が不可欠なものとなります。被災された神戸の皆さんも話されていましたが、正確な情報がない中で自己責任を住民に問うのは難しいのです。どのようにしてそれぞれの住民の皆さんに正確な情報を迅速かつ的確に伝えていくことができるのか、これは行政が事前の取り組みとして努力しなければいけないものだと思います。現状では防災無線などが有効な手段として期待されていますが、既に県内で全戸整備の完了している自治体もあり、那賀町、貴志川町、清水町、中津村、龍神村、みなべ町、中辺路町、大塔村、日置川町、古座町、古座川町、熊野川町、北山村などは一〇〇%の整備率、各戸に対して防災無線が入るような状況になっています。ただし、和歌山市などは二百三十一世帯、約〇・一三%にしか整備されておらず、県内トータルの整備率も八・九%の整備率にとどまっています。
この状況を、すぐには無理としても、何年かの計画で努力目標値なども掲げ、整備率を上げていってもらいたいと思います。これは当然、地震災害に限ったものではなく、水害、土砂崩れなど心配のある場合、特に御高齢の方が独居老人でたくさんいらっしゃる、和歌山でもそういう地域があります。そういうところには、各家庭に正確な情報をしっかりと届けていくことを行政として考えていくこと、これが大切な取り組みになるんじゃないかなというふうに考えます。防災対策の重要施策として防災行政無線の個別受信の推進を提案しますが、担当部長から御所見を賜りたいと思います。
また、あわせて県下での消火器の設置普及を提案します。神戸の震災では、多くの人が圧死もしくは焼死、焼け死んだと言われています。そういった悲劇的な状況がありました。まずは小さな火種をみずから消す消火器が有効だったと言われています。
現在、和歌山市では補助金を個別世帯に出して消火器の設置を推進しています。これは非常によい試みだと思います。ぜひとも県下全域でも推進できるよう県としての取り組みを検討していただきたいと思います。県として消火器の設置の必要性をどのように認識しておられるか、またその推進のための取り組みについて具体的なお考えをお聞かせください。
次に、県行政の組織としての取り組みとして、災害時、先頭に立ち活動してもらう県職員の皆さんの日ごろからの意識づけも非常に重要なものだと思います。職員には現状で「防災ハンドブック」の配付がされているようですが、日ごろのちょっとした心がけも大切なものとなってくると考えます。せっかく作成したハンドブックも、机の中にしまい込んでいたのでは、いざというときに全く役に立ちません。ハンドブックの概要を常に目にとまるところに掲示するなど、職員に対する意識づけも、その手法も御検討いただきたいと思います。
また、人材の育成として、防災未来館では研修の取り組みが進められています。この研修事業、今回訪れた防災未来館での人材育成講習制度は非常に感心するものでした。ここでは、自治体のトップ、防災を担当する職員などを対象に災害対策専門研修というものを実施されていて、新潟県が職員研修として毎年何名かをその講義に受講させていたと。今回の新潟地震において、その講習を受けた職員と防災未来館との連携が非常にスムーズにいって的確な対処が行えたと言われています。新潟での災害対応では非常に手際よく知事が判断し指示命令が出せたと評価が高かったのも、防災未来館との連携があったためと言われています。ぜひこの防災未来館での研修に計画的に職員を派遣し、防災の専門知識をきちっと持った人材を育てていくといったことを提案しますが、これも危機管理監に御答弁をお願いしたいと思います。
また、地域との連携として、これは施錠管理なんですけれども、この間、私自身が先々週の日曜日、避難訓練に実際に参加して感じたところで、今回私が避難したのは紀三井寺公園だったのですが、県内でも学校など多くの公共施設が避難場所に指定されています。避難所指定は市町村とその施設の管理者との契約らしいのですが、どの施設が指定されているかなど、十分に県民に周知されていない状況があります。また、夜間、休日などに災害が発生した場合、この施設をあける作業は職員だと思いますが、それでは迅速な対応はできません。いざ災害のとき、遠くの職員が施錠を管理していたのでは、避難所の機能を果たさなくなります。そこで、施錠管理を地元との協働で進めるといったことと、かぎをあける県下統一的基準を作成して徹底させるといったことについて県の強いリーダーシップをお願いしたいと思います。これも、あわせて危機管理監から御所見を賜りたいと思います。
最後の質問で、スポーツの振興策についてお尋ねいたします。
十一月二十二日、毎日新聞の地方版、「支局長からの手紙」というコーナーで、ことしの埼玉での国体の結果が取り上げられていました。「四十七位」という表題で、ごらんになられた方も多いと思いますが、お手元にそのコピーを配付させていただいております。私自身は二十二日の時点でこの記事を読み落としていまして、実はその何日か後に何人もの県民の方から指摘を受けて私自身はこの記事を読むことになったのですが、かなり反響の大きな記事でした。ただ、ここで指摘されているのは、決して現状のスポーツ行政に批判だけを加えているものではありません。鈴木毎日新聞支局長とも直接お会いし、お話を伺ってきましたが、ある面では心配をし、またある面では期待をしてこの記事を書かれたということです。
これまで私自身も何度か指摘していますが、今回支局長もおっしゃられることは、この財政の厳しい時期に何でもお金をかけてどんどん振興しろというのでは決してありません。知恵を絞り、住民の協力も得ながらスポーツ振興策は進められるもので、そういった進め方が大切だと思います。
そこで、一つの提案ですが、現状で国の施策として総合型地域スポーツクラブの推進といったことが進められています。この近畿では兵庫県などが特に先進的な取り組みを進め、成果も上がっているようですが、これは行政としてどんどん施設をつくったり選手強化を行政持ちで進めなさいといったものでなく、行政はあくまで地域のスポーツ振興のまとめ役でありコーディネート役を果たせればよいといったものです。あくまで民間主体、住民主体でスポーツのできる環境を充実させましょうというもので、この総合型地域スポーツクラブといったものをしっかりと推進させる中で和歌山のスポーツ力アップを図っていっていただきたいと思います。
そこで質問ですが、まず教育長に。
国としてはスポーツ振興に係る予算の増額が期待されそうな状況もあるようですが、現状の見通しをお聞かせください。
あわせまして、この地域スポーツクラブ育成への取り組みとして、二〇一〇年まで助成していくといった方針もあるように聞いています。県としてこの間どういった取り組みを進められるのか、年次ごとに目標値を設定して取り組んでいくことなど提案しますが、教育長の御所見を賜りたいと思います。
続いて、今回の国体の結果については、これはトップアスリートだけの問題ではなく、地域住民全体、子供たちから大人までの問題だと思います。生涯スポーツといった分野にこれは入ると思いますが、生涯スポーツの振興についてどのように考えられているか、お聞かせいただきたいと思います。
あわせて、この地域総合型スポーツクラブというのは、学校教育、学校体育との連携というのがうまくできればすごく成果の上がるものだと思っています。その学校教育、学校スポーツの連携についてどのように考えられているか、お聞かせいただきたいと思います。
質問の最後に、現在は市町村合併など合併協議が急速に進んでいる状況にあります。そこでは今回の地域スポーツクラブの扱いについて、少し待ってから、合併が済んでからといった対応をされている自治体も多いように聞いています。しかし、国の方針を確認してみると、一地域に最低一つは認定していくという考えを示しているようです。そうであれば逆に急いで、それぞれの地域でできるだけ住民に近いところでこのクラブをつくることを検討すべきだと考えますが、これも教育長から御答弁をお願いいたします。
以上で、私の第一問目を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず中国との関係ですけれども、配られた資料、八百万円とか四百五十万円で中国で商売ができるならちょっとやってみようかなと、まあ冗談やけども思いましたけども、こういうふうなこともかなり大きな影響がこれから出てくるものだろうと思います。
私も三度ほど中国へ行きましたが、行くたびに変化していて、正直言ってちょっと気分が悪くなるというふうな状況ですけども、まあこれ、気分が悪くなると言っても仕方がないんで、こういうふうな状況を日本、そしてまた和歌山県の発展ということにつなげていこうということで、これまでもいろいろな展示会とか、それからアンテナショップをつくる人なんかに対する支援なども行っておりますし、それからよその県と共同で上海に事務所を持つとか、いろんなことをやってるんですけども、とにかく変化が激しいものですから、現在は県庁内に中国経済交流推進会議というのを、民間の物すごくこういうことに詳しい人も入れて設けておりまして、例えば輸出支援策であるとか、対中ビジネスの支援であるとか、対中関係の人材の育成であるとか、こういうふうなことにどんなことをやっていけばいいかということを今、鋭意検討を進めているところです。
そういうような中で、質問の中にもあった使節団の派遣というふうなことも考えられると思うんですが、ただ、行って見てきて驚いてきたというだけじゃこれ仕方がないんで、本当にそういうことが県の発展に役に立つような形のものを検討していく必要があろうというふうに思っております。
次に、産業振興財団の活動状況ですけれども、これにつきましては、類似の機関を統合し、そしてその事務局に民間の物すごくやる気のある人に入ってもらうというようなことで、こういう人を中心に今物すごいいろいろな活動を行っておりまして、販路開拓や、それから経営課題の解決等に一定の成果を上げていると私は理解しております。
また、そういうふうな中で、例えば商工会議所であるとか商工会とか、こういうふうなところにもやっぱり今までのままではいけないというふうな機運が芽生えつつあるというふうに聞いておりまして、こういうものを大いにこれから振興していくということが大事だろうというふうに思っております。
それから、スタートアップ・オフィスの活用です。
私が知事になってすぐに、やっぱりこういうふうなSOHOをつくらないかんということで、割ときれいなスタートアップ・オフィスをつくったわけです。そのときには、箱をつくってただ貸すだけだとそれこそ本当の成果が上がらないというふうなことで、厳しく対応するようにということでやってきたんですが、この三年間で入居者の売り上げは六〇%増、それから雇用される人の数は三〇%増、それから入った会社の中で法人化を達成したものが五社、それからうまく成長してこのスタートアップ・オフィスから出ていったものが三社というふうになっております。それからまた、入ったものの余りそういうことの趣旨にのっとってないものについては、審査委員会を設けて厳しく対応をしている結果、三〇%が入れかわるというふうなことで、私はこの三年間でそれなりに成果を上げてきたと思いますけども、社会の変化というのはもっともっと速いもんですから、常に最新の一番うまくいっているようなところの状況を取り入れながら新しい課題に対応していきたいと、このように思っています。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 中小企業再生支援協議会に関しての二項目についてお答えを申し上げます。
まず、中小企業の再生を支援する公的機関として、和歌山県中小企業再生支援協議会が昨年六月に和歌山商工会議所内に設置されています。本年九月二十四日現在の活動実績は、相談取り扱い案件が四十一件、このうち再生計画策定支援案件が七件、完了案件が四件と、その成果が上がってございます。
県としましては、県経済の活力維持、雇用の確保のためには中小企業の再生への取り組みを支援していくことは極めて重要であると考えております。このため、平成十六年度県制度融資に再生支援資金を創設し、金融機関、信用保証協会と連携しながら、協議会が支援決定した中小企業に対し必要な資金供給が可能となっているところでございます。
なお、協議会では、常駐の専門家が再生に向けた相談・助言や再生計画策定の支援、金融機関との調整等を行ってございます。企業の状況によって総合的な支援が必要な場合には、わかやま産業振興財団、商工会、商工会議所などの関係支援機関と機能を分担しながら対応しているところであり、県としましては今後とも再生支援協議会と緊密に連携を図りながら県産業の再生に取り組んでまいりたいと考えてございます。
次に、和歌山県経済の将来展望でありますが、議員御指摘のとおり、県経済の中でサービス、卸、小売分野の占める割合が大きいことから、サービス経済化等への対応という点につきましては、県民生活の質の向上や雇用の確保といった面からも地域のサービス業を再評価していく必要があると考えてございます。このため、本県の産業構造の中でサービス業がどのような位置を占め、どのような発展の可能性を持つものであるか等を検証していくとともに、地域経済を活性化させるための多様なサービス産業が促される施策について研究をしてまいります。
次に、スタートアップ・オフィスの関係の四項目についてお答え申し上げます。
県が設置いたしましたスタートアップ・オフィスにつきましては、雇用創出等に成果を得ているものの、県経済活性化へ一層貢献していただくため、議員御提案の趣旨をも踏まえながら改善してまいりたいと考えております。
まず一点目の専属のインキュベーション・マネジャーの配置についてですが、入居の育成支援に当たりましてはNPO団体に支援事業を委託するとともに、財団法人わかやま産業振興財団と県とで総合的な相談を行ってまいったところですが、議員御提案のとおり、育成に関する専門的な知識を有する人材を配置することでより効果的な育成が可能と考えられますので、今後とも人材の有機的な活用についても検討してまいりたいと考えてございます。
二点目の入居期間の見直しについてですが、三年を経過する卒業予定者のうち、後輩に当たる入居者へのアドバイスが可能であったり業務の受注機会の拡大が可能な事業者にあっては、期間延長につながる新たな入居形態について現在検討しているところでございます。
三点目のSOHO事業者への発注等についてですが、個々のSOHO事業者が単独で受注する機会は、実績や総合力の面で厳しい状況にあることは認識をしております。できる限り発注に関する情報の提供に努めるとともに、SOHO事業者の交流会やビジネスマッチングを行うなどネットワーク化を促進しており、今後、関係部局と連携強化を図るなど、受注機会の拡大が図れるよう努めてまいります。
四点目のシニア世代の活用等についてですが、いわゆる団塊の世代が今後リタイヤされ、これまで培った経験を経済活動としてどのように生かしていくかが大きな課題となってきておりますが、これまでもSOHO事業への参画を得てきており、今後も入居と支援の両面から積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 防災問題の四点についてお答えいたします。
まず、紀伊半島沖地震の教訓と今後の取り組みでございますが、この地震につきましては、市町村の初動体制や津波警報発令に伴う避難勧告等にばらつきがあり、また住民の自主避難等でも地域差が出ました。県も、職員の出動基準等が徹底できていなかったなどの課題が出ました。このため、市町村に対しては、今回を教訓に防災対策を早急に点検・見直しを行い、適切に対処するよう依頼しております。県の各部局においても、課題、問題点を検証するとともに、災害発生時における職員対応等について周知徹底を図っております。また、地域住民に対しては防災意識の啓発や自主防災組織の充実強化等を推進してまいりたいと考えております。
次に、情報の伝達についてでございますが、災害発生時における住民への情報伝達手段として防災行政無線は非常に大きな役割を果たすものであるため、市町村と連携を図るとともに、ハード・ソフト両面で点検し、充実させてまいりたいと考えております。議員御指摘のように、個別受信機が未整備の市町村も多数ございますので、整備が進むよう県としても努力してまいります。
なお、また災害時の住民に対する情報提供や被害状況の把握をより早く正確に収集し提供するため、防災センターの整備とあわせ、新たに防災情報システムの整備を行ってまいります。
消火器についてでございますが、災害における火災の被害を防止するためには消火器は重要な役割を担っております。設置の促進や使用方法等については今後とも各消防本部や婦人防火クラブ等、関係団体と連携を深め、啓発に努めるとともに、各市町村に対しても設置促進を指導してまいりたいと考えております。
次に、県職員の防災や災害発生時の対応についてでございますが、日ごろから研修等により防災意識の向上を図るとともに、災害発生時における各自の役割分担や責任を明確化し、効率的に機能する体制が必要と考えております。今後、大規模災害に効率的に対応できる体制のあり方等についても検討してまいりたいと考えております。
なお、職員の「防災ハンドブック」につきましては、よりわかりやすく使いやすくするため、本年度中に改訂する予定でございます。
次に、防災に取り組む人材の育成についてでございますが、防災に対する専門的な知識を持ち、適切に指導、対応できる人材の育成が非常に重要と認識しております。今後、市町村とも連携し、こうした研修制度を積極的に活用し、人材の育成を図るとともに、人的なネットワークの形成や連携を推進してまいりたいと考えております。
次に、避難所のあり方についてでございますが、それぞれの地域の状況の違いもあるため、市町村を中心に地域住民が連携し、避難所やそれに至る避難路を明確化していただくとともに、避難所としての効果的な使用方法等をあわせて検討いただきたいと考えております。
県も現在、庁内にワーキンググループをつくり避難所のあり方等の検討を進めておりますが、この検討結果から、市町村等に対し一定の指針の提示等も検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 総合型地域スポーツクラブの設置の推進についてお答えします。
まず、国のスポーツ振興に係る来年度予算の状況についてでございます。
生涯スポーツの最重点施策である総合型地域スポーツクラブ育成推進事業の大幅な増額要求を行い、現在折衝中であると聞いております。なお一層、情報収集に努めたいと思っております。
本県の生涯スポーツの振興策につきましては、県民がいつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができ、健康の保持増進や子供の居場所づくり、地域のコミュニティーづくりなどにつながるこの総合型地域スポーツクラブを中心に据えて、地域で活躍できる人材の養成や各種スポーツ大会の開催などの施策を推進しているところです。
現在、田辺市と野上町で子供から高齢者まで二百名以上の会員を有するクラブがそれぞれ活動中であり、また、そのほか八つの地域で設立に向けて具体的な準備がなされております。確かに、現在市町村合併が進んでいる状況であり地域の変貌が考えられますが、今後ともできる限り早い時期に多くの地域にこのクラブを立ち上げることができるよう、機会あるごとに市町村教育委員会やスポーツ関係団体などにより一層強く働きかけてまいります。
最後に、総合型地域スポーツクラブと学校体育との連携については、議員御指摘のように、さまざまな効果があり、世代間の交流による青少年の健全育成も期待できますので、年明け早々に教育委員会各課によるワーキンググループを設けて具体的な研究に入りたいと思っております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──この際、申し上げます。所定の時間まで残り三十秒であります。再質問をされますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、山下大輔君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
次会は十二月十三日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時四十八分散会