平成16年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(浦口高典議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十三番浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しをいただき質問さしていただきます、新生わかやま県議団の浦口高典でございます。
私の前に山田議員の大変日常生活にかかわる貴志川線の問題でありましたので、私の質問は非日常であります紀州よさこい祭りについて質問さしていただきますので、どうぞ皆さん気を楽にされて、肩の力を抜いて聞いていただきたいと存じますが、真剣に私も質問をさしていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まずは木村知事、おくればせながら、このたびは御当選、まことにおめでとうございます。この四年間、一期目にもかかわらず日本を代表する改革派知事の一人として精力的に活躍され、我が和歌山県の名前を全国に知らしめた功績は大変大きいものがあると私は認識をしておりますが、三七・二九%という史上最低の投票率であったということを顧みますと、知事におかれましては複雑な思いと、あるいは多少の御不満があるかもしれません。しかし、知事が取り組んでいらっしゃる改革は決して間違っていないと私は確信をいたしております。ただ、県民の皆さんへの浸透の度合いがまだまだ低いということかもしれません。それだけに、この二期目は、その県民の皆さんをも巻き込んでの大胆かつ積極的な改革を心から望むものであります。そうすれば四年後は、強力な対抗馬があらわれるかもしれませんが、知事の熱狂的な支持者がさらに多くなることは間違いないと私は思いますし、後世の歴史家は、和歌山県政史上、「木村の前に木村なし、木村の後に木村なし」と評価されるでしょう。知事のさらなる御奮闘を心より御期待申し上げます。
それでは通告に従い質問をさしていただきますが、私は、本来、六月議会の一般質問でも要望し、知事が誠意を持ってつくってくださいました知事選に臨む「私の政策宣言」、つまりマニフェストについて今回質問さしていただく予定でした。しかし、去る七月二十五日に和歌山市で開催された第一回紀州よさこい祭りに県民の皆さんから予想以上の反響があり、今後の期待が大きく膨らんでいるだけに、この祭りの御報告とそれに対して知事初め県当局の皆さんの御意見をお伺いいたします。マニフェストにつきましては、これから四年間あることでございますので、今後じっくりと検証をさしていただきます。
紀州よさこい祭りにつきましては同じく六月議会でも一般質問をいたしましたが、この祭りは、今までの祭りやイベントとの大きな違いは、官、つまり行政主導でなく、民、つまり民間主導による祭りであり、企画、集金、運営、実行等、すべてにおいて市民の力でつくった祭りであります。いわばNPOによる市民事業であります。
そもそもこの祭りは、三年六カ月前に、元気のない和歌山を元気にしたい、そのために町を舞台にして踊りをベースにした祭りをつくり、自分たちが暮らすこの和歌山を活性化するんだという二人の若者の強い思いから始まりました。その若者とは、内田嘉高君(二十九歳)、上森成人君(三十四歳)であります。実は、本日、傍聴席にその二人が来ておりますので、御紹介をさしていただきます。──向かって右側が内田君であり、左側が上森君であります。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━どうもありがとうございます。
彼らは、六月議会に来られた二人のオリンピック選手のような華やかさも格好よさもございませんが、この三年六カ月にわたり和歌山の地に足をつけ、柔軟な発想のもとにさまざまな企画を練り、幾つもの困難を乗り越え実行・実現してきた、本当にたくましい若者であります。
まず初めに彼らが取り組んだことは、この祭りのベースになった和歌山MOVEという踊りのグループを立ち上げ、その踊りをいろんなところで披露しつつ、多くの共感を得て仲間をふやしてきました。
ちなみに、一つのエピソードとして今も語り継がれているのですが、二年前のサッカーワールドカップのときにデンマークチームが和歌山のマリーナシティのロイヤルパインズホテルに宿泊したことは皆さんもご存じのとおりであります。そのとき、彼ら和歌山MOVEは呼ばれもしないのにそのホテルまで押しかけていって、支配人に直接頼み込んで、練習後の夕食時に選手の前で「皆さんを歓迎します」とばかりに自分たちの踊りを披露して大変喜んでもらったと自己満足しておりますが、この辺が彼らの乗りのよさをあらわす出来事であります。
これから、この第一回紀州よさこい祭りを市民事業NPOという観点から、誕生からその成り立ちを順を追って説明さしていただきますが、今も申しましたとおり、とにかくよさこい型の踊りの文化のなかった和歌山市でまず核づくりからということで和歌山MOVEをつくり、週一回の定期的な練習から始めました。実は、私も彼らと最初から六カ月ほど一緒に踊り、数回ステージにも立ちました。自分でもなんですが、リズム感はありませんが、気合いは一番入っておったつもりであります。もちろん、このグループ自体素人の集まりですから決してうまくはなかったのですが、どこでも呼んでくれるところに出向き、年数十回のステージをこなし、共感してくれる仲間を一年間で五十名ほどにふやしてまいりました。
そこで、一昨年の夏に、一度実験的に小さくとも自分たちの力で祭りをやってみようということになり、私の地元であります今福の墓地公園でいこら祭りという手づくりの祭りを企画・開催したところ、わずか三時間ほどの祭りに約五百名の観客が集まり、大成功をおさめました。
その勢いで昨年八月、本場高知よさこい祭りにバスをチャーターして約六十名で和歌山県から初めて参加し、炎天下の中、何時間も踊ってまいりました。私は、彼らとは別に前日高知に行き、県の観光課長と市のよさこい龍馬事業推進室長に時間をとっていただき、二時間ほど高知よさこい祭りについてレクチャーを受けました。これは一昨年のデータですが、和歌山市より小さい人口三十二万の高知市でこの祭りの観光動員数は百二十四万人、経済効果が百八億一千万円ということを知り、これは単なる地元の祭りではなく、大きな観光事業であると同時に地域活性化の柱であるということがわかりました。もちろん、県や市もいろんな形でこの祭りをバックアップしているということでありました。
また、ことしの六月十二、十三日には北海道のYOSAKOIソーランを和歌山の実行委員会のメンバーと視察に行き、この祭りを実質的に立ち上げた組織委員会専務理事の長谷川岳氏──まだ長谷川氏は三十二歳なんですが──と約一時間懇談したときにさらに驚いたことは、十三年の歴史しかない北海道の新しい祭りでありながら参加は三百三十三チームであり、踊る人数は四万三千人で踊り、観客動員数は二百八万人、経済効果が二百二十億四百五十万円であるということを知りました。また、祭りの予算が二億三千万という莫大なものであるにもかかわらず北海道からの補助金はゼロで、札幌市からわずか三百万の補助を受けているだけであり、残りは組織委員会ですべて賄っているということでありました。
高知県も北海道も、ご存じのように和歌山県に劣らぬほど経済が厳しいところでありますが、町の雰囲気はそんなことを全く感じさせないほど活気のあるものがありました。
話をもとに戻しますが、参加した高知よさこい祭りの体験を胸に、この感動を和歌山の人たちと共有したいという思いが強くなり、昨年九月二十二日に、踊りのグループとは別にNPOつまり民間非営利活動組織の紀州お祭りプロジェクト実行委員会を立ち上げ、当初わずか五、六名の実行委員でしたが、最終的にはこの実行委員会が四十九名にまでなりました。その中には、県や市の職員も自主的に入ってくれております。とにかく平成十六年夏に和歌山市でよさこい型の祭りを行うということがその場で決議され、そのため定期的に実行委員会を開催することになりました。
十月には、和歌山市のぶんだら祭りと共同開催するか、あるいは独自開催でいくか検討し、独自開催路線を打ち出し、自己資金による開催、民主導による民官協働型の新しい祭りづくりを目指すこととなりました。
十一月には事業計画の素案を検討し、会則を策定いたしました。また、祭り会場には、町のど真ん中からメッセージの発信と中心市街地活性化の観点からメーン会場をけやき大通りと西の丸広場に、そして地域会場として高松サンピアと片男波海水浴場を決定いたしました。といいましても、この時点では道路使用許可のめどは全く立っておりませんでした。しかし、伝統ある和歌祭りとぶんだら祭りをつなぐかけ橋としてこの祭りをデザインしていこうという強い思いがあり、まず自分たちでこのことを決めました。
十二月には、実行委員会の会長に和歌山青年会議所前理事長の西平都紀子さんを迎え、副会長には内田嘉高君、事務局長には上森成人君を選任し、その実行委員会を応援する立場からサポーターズクラブも同時に立ち上げ、不肖私がリーダーに選ばれ、「五年後の和歌山は必ず変わる」を合い言葉に組織の充実を図りました。また、祭りの名称を正式に「紀州よさこい祭り」とし、来年七月二十五日に開催することも決定いたしました。その他、開催趣意書、事業計画書を策定し、高野・熊野世界遺産登録記念事業に位置づけることを確認いたしました。また、市民団体、和歌山西署、県警生活安全部等とも懇談を重ねつつ、木村知事にも面会を求め、その趣旨を説明いたしました。知事からは、「大阪府副知事時代に大阪のよさこい型の祭りこいや祭りにかかわった経験から、できる限り協力するので頑張ってください」と温かい励ましの言葉をいただき、実行委員会一同、大いに勇気づけられました。特にこの祭りは、急速に進む少子高齢化、若者の県外流出という本県の持つ特性から、逆に若者にスポットを当て、若者の居場所づくりといった大きな社会的課題を正面からとらえ、青少年の健全育成を祭りの大きなテーマの一つとして掲げて、県・市の青少年課、教育委員会にも協力を強く求めつつ、いよいよけやき大通りの使用許可に向けて実行委員会が一丸となって関係各所に交渉に当たりました。
年が明けてことし一月から資金集めを開始。目標額を一千万円とし、広告・協賛金として「みんなでつくる祭り」をテーマに地元企業から小口協賛を多く集める方針を打ち出しました。また、県民参加による基金として一口千円のサポーターも募集を開始いたしました。しかし、いざ予算額一千万円を自分たちだけで集めるとなると、本当に大丈夫かなと実行委員一人一人が不安になったことも事実であります。さらに、県内各地と大阪のよさこい型の実行委員会にも出向き、協力を求めるために説明に回りました。また、地元和歌山市で新しいチームづくりを行うためにリーダーを対象にチームリーダー養成講習、県民カレッジ登録講座をあわせて実施。小中学校の総合学習に取り組む教員、子どもセンターの運営に取り組むPTA関係者、各種団体の責任者等に広く参加を呼びかけました。
そして二月、三月には、新聞への記事の掲載やラジオ等マスコミへの実行委員の出演が相次ぎ、世論の高まり、つまり公共性が大きく強調されたおかげでけやき大通りの使用許可が実現し、開催準備が大きく前進をいたしました。実行委員会にも警備、音響・照明、設営、ホテル業、旅行会社、NPOなどの関係者も入り、実行委員が大幅にふえると同時に組織、渉外、集金等専門八部会に分かれ、それぞれが目標達成のために何度も会合を重ねました。また、地域会場の予定の高松地区では地域実行委員会高松勝手連が結成され、地域でのよさこい祭りの浸透も進みました。ちなみに、祭り当日、この高松勝手連の一員として踊られました長坂議員の踊りっぷりは大変見事なものでありまして、ひときわ目を引いたことを御報告いたしておきます。
また、一月から始めたチームリーダー養成講習には、結局十二団体、十一学校、延べ三百二名が参加。新チームをつくるため、コーディネートも実行委員会の担当部会で行いました。そして、県内・泉南地域のよさこい型祭りの振興を目的とした連絡組織紀州よさこい踊り連絡会が結成され、県内外の取り組みがネットワークで結ばれることになりました。それにあわせて参加希望の問い合わせが相次ぎ、三十団体を超え、道路使用許可の制限時間との関係で、四月に予定しておりました正式募集を待たずにエントリーを断るという予想以上の反響が既にこの時点からございました。また、踊りチームだけではなく、少しでも多くの観光客を呼び込もうと旅行会社と相談し、高野・熊野世界遺産と結んだ旅行商品づくりの企画も準備をいたしました。
以上のように、二月、三月には、企業、行政、学校、NPO、よさこい関係などの領域でネットワークや協力体制が大きく広がりました。
四月には、和歌山大学教育学部学生自治会や同大学の足立ゼミ生が中心に開局をしておりますUWU──インターネットラジオ──が参加するなど、地域との連携を進める和歌山大学や美容学校など専門学校との協力も進みました。同時にホームページ開設、祭りのプロモーションチームの結成など、広報も積極的に行いました。それからこの時期、私が六月議会で紹介をいたしました高野口在住の歌手、ウインズの平阪氏作曲の紀州よさこい祭り総踊り曲「YAPPA紀州」が完成をし、お祭りムードが一気に盛り上がりました。
五月には、その総踊りの振りつけと各踊りチームを先導する地方車のデザインとロゴが完成をし、そして初めての祭りだけに、その認知度を高めていただくためにビラ二万枚、ポスター一千枚を配布し、記者会見も同時に実施するなど、広報活動をさらに強化してまいりました。また、百人を目標に学校、企業、行政、諸団体に協力を呼びかけ、ボランティアも募集を始めました。それから、県内外からの参加が確定した三十チームの代表をこの和歌山市に集合してもらい、チーム説明会も行いました。
六月にはまた、全参加チームに呼びかけ、総踊りの全体練習を開催いたしました。それに、いろんなNPOなどの協力を得て、地方車の試作車が完成をしました。高知市観光課からはゲストチーム「十人十彩」という大変有名なグループを派遣してもらえることになり、祭りに大きな弾みがつきました。また、和歌山市国際交流課が窓口になり、国際イベント・タイ王国フードフェスティバルの同時開催が決定をいたしました。
いよいよ祭りの開催の月、この七月に入りボランティア説明会を開催したところ、当初予定していた百人の倍の二百人を超えるボランティアが登録をされました。結果として、当日二百五十人のボランティアが祭りの裏方として汗を流してくださいました。結局、昨年の九月の二十二日から祭り直前のことし七月二十三日まで実行委員会の開催は二十三回に及び、また八部会の会合を合わせると百回近くこの祭りのために会合を開催してまいりました。
祭りの当日のことにつきましてはお手元にお配りいたしました資料をごらんいただければと存じますが、簡単に概略を説明いたしますと、観客動員数は約七万五千人、参加チームは三十チームで千五百二十六人、その中には名古屋や京都からのチームもあり、それに、この一週間前の大雨の影響で残念ながら参加することができませんでしたが、遠くは新潟からも参加予定でありました。また、県内からは地元和歌山市のチームだけではなく、岩出町のいわで夏まつりチーム、橋本市・伊都郡の紀の国やっちょんチーム、田辺市の弁慶まつりのチーム、また新宮市の熊野ハレヤ祭りのチームも参加してくれ、全員でこの祭りを盛り上げてくれました。結局、祭りにかかった費用は一千五百四十四万円、それを二百八十六団体・企業の広告・協賛金と個人サポーター二百三十二人の寄附、それに踊りチームからも参加費をいただきました。それと一部県の地域・ひと・まちづくり事業補助金百万円を受けられることになり、それらですべてを賄いました。参考までに、ことしの和歌山市のぶんだら祭りは総額一千八百九十七万円で、そのうち和歌山市からの交付金は一千七百四十万円でありました。そのかわり、私や実行委員会のメンバーは、前日の舞台づくりから祭りの翌日の朝六時からのごみの分別まで、ほとんど全員が参加をして行いました。
私は、祭り当日、この祭りを思いっ切り実感しようと心に決めて、スタッフの一員でありながらオープニングの高松サンピア、第二会場の片男波海水浴場、そしてけやき大通りと西の丸本会場をくまなく回り、踊り子、スタッフ、ボランティア、観客の皆さんの様子をじっくりと拝見いたしましたが、一言で言って、皆さん、本当にいい表情をされていました。和歌山の人たちが一つのことでこんなに多く集まり、踊る人も見る人も、また踊りにかかわる人も感動を共有している姿に私はただただ感激をし、何度も熱いものが込み上げてまいりました。最後に総踊りYAPPA紀州を踊り子全員で舞台に上がり三回連続で踊ったのですが、その間、観客の皆さんはほとんど帰らず、最後にもう一回アンコールをして、何人もの人たちがあちらこちらで見よう見まねで踊り出したのが大変印象的でありました。そのことが、この祭りがいかに盛り上がったかということの証明であると私は思います。そして、この祭りを通して私が正直感じたことは、和歌山も捨てたもんじゃないなというような気持ちであります。
なぜ私はこのように紀州よさこい祭りにこだわるかと言いますと、恐らくこれだけ大がかりに民しかもボランティアで市民が立ち上がり、企画から運営、資金集め、実行まで徹底して行ったことは和歌山ではかつてなかったのではないかと思うからであります。まさに市民の市民による市民のための祭りであり、和歌山を元気にしようというミッション、つまり社会的使命の持ったNPOによる市民事業であります。
時代は、中央集権から地方分権へ、また官から民へ、しかも財政の厳しい中、官も民も意識改革をして新しい地域づくりにみずからが主体的に取り組んでいかなければならないことは、はっきりとしております。しかし、どちらかといいますと、我が和歌山県は官に対する依存傾向が強く、まず民が主体となって動こうとしないとよく耳にいたします。しかし、その頼りにする官そのものが三位一体の改革で財政難に一層の拍車がかかり、このままでいくとあと二年後に県そのものが赤字再建団体に陥るという危機の中で、今こそ民にも官にも本当のやる気を求められている時代ではないでしょうか。
私は、昨年十二月の議会で和歌山県の人口の激減推計をグラフで説明いたしましたが、それとは別に総務省統計局が出しました平成十四年十月から十五年九月までの人口の減少割合を見ますと、我が和歌山県は全国で秋田県に次いで二番目にその割合が大きく、ここ数年、年を追うごとに割合がだんだんだんだん大きくなってきております。つまり、人口の右肩下がりが急カーブを描き出したということであります。そのような中で通常の地域経済がこれから本格的に縮小していく可能性があり、このままでは地域社会がますます元気がなくなってくるということは明らかであります。
木村知事は、さきのマニフェストの中で、十四ページの中に何と十七回も「NPO」という言葉を使われて大きな期待をされておりますが、NPO自体、正直言ってまだまだよちよち歩きである現状の中で、このような若者たちが自分たちの手で祭りを通してまさに新しい公共をつくり、ふるさと和歌山を大胆に元気にしていこうという芽が出てきたということを、この事実を私は県議会、県当局、そして県民の皆さんにもぜひとも御認識をいただきたく、述べた次第であります。
そこで、この紀州よさこい祭りは単なる通り子と観客が楽しむ一過性のイベントとしてではなく、一、NPOが主導の民官協働事業、二、青少年の健全育成、三、商店街、地域社会の活性化、四、新たなる観光、地場産業の育成、五、コミュニティービジネスの創出、六、伝統的文化の掘り起こしなど、多彩な可能性を含んでおります。県当局におかれましても、町づくり・人づくり・仕事づくり等の事業として認識を持っていただき、今後積極的な御協力と御活用をお願いいたしたいところであります。
財政が厳しい時代だからこそ、既にある県や地域のあらゆるものの運用、また人材を活用していくことは大変大事なことであるということは言うまでもありません。これらのことについて関係部長の御所見をお聞かせください。
当日、県議会議長賞のプレゼンターとして出席されました小川議長初め、新田議員、山下大輔議員や多くの県幹部の方々にも見学に来ていただき、この祭りに最初からかかわった者といたしまして大変感謝の気持ちでいっぱいでありますが、特に知事の代理として舞台に当日上がっていただいた中山副知事と津本環境生活部長には、この祭りについての率直な御感想をお聞かせください。
また、当日木村知事にお越しいただくことを実行委員会のメンバーは強く望んでいたのですが、何分知事選の最中でありまして、田辺に御滞在中ということであり、残念ながらことしは御参加をいただくことはできませんでした。しかし来年は現職知事としてこの祭りにぜひ参加していただき、みんなと一緒に汗だくになって踊っていただければ知事の人気もウナギ登りになるのではないかと、そのように思っておりますので、知事、いかがでしょうか。踊り参加の決意も含めてこの祭りに対する知事の御感想と県政のトップとしての今後の取り組みをお聞かせください。
以上をもちまして私の報告と一回目の質問を終わらせていただきますが、既にこの九月十三日に来年夏の第二回紀州よさこい祭りの実行委員会がスタートをいたしました。どうぞ、この実行委員初め関係者、県民の皆さんに勇気と元気を与える御答弁をお願い申し上げます。
以上でございます。
○議長(小川 武君) ただいまの浦口高典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 紀州よさこい祭り第一回がこの七月に開催されたわけですけども、大変たくさんの人の参加と、そしてまた七万五千人という観客、この人たちの参加ということは僕は大変な成功だったというふうに思っております。やはり県民の人、市民の人から盛り上がる形で起こってきた祭りというふうなものは非常に値打ちがある、こういうふうに感じております。ぜひ来年もさらに規模を大きくして、そしてまた、これは高知県とか北海道で非常に盛んですのでこういうふうな県とも連携をとりながら大きな形になっていく、そしてまた和歌山を代表する祭りになっていくことを望んでおります。
私自身は地味な性格ですので、なかなか祭りに入って踊るというのができるかどうかわかりませんけども、だけどまた、そういうふうなことができるように頑張っていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 副知事中山次郎君。
〔中山次郎君、登壇〕
○副知事(中山次郎君) 第一回紀州よさこい祭りについての感想でございますけど、七月二十五日、和歌山城西の丸広場は大変な熱気にあふれてございました。ここ何年来の猛暑ということもございましたですけど、祭りに参加しました皆さんの熱気がこうさせたんだと思ってございます。そして何よりも感じましたのは、二百五十名に上るスタッフとしてのボランティアの皆さんの生き生きとした顔でございました。こういった取り組みが元気のある町づくりや、あるいは新しい文化の創造にもつながっていくと思ってございます。NPO活動の一つの方向ではないかというふうにも考えてございます。
また、県内各地やあるいは他府県、さらには海外からの参加もございましたけど、さらにこれらの輪を広げることによりまして大きな盛り上がりになるんではないかなというふうに考えてございます。これからの持続的な発展を大いに期待してございます。
○議長(小川 武君) 環境生活部長津本 清君。
〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 紀州よさこい祭りについて感想とNPO主導の民官協働事業及び青少年健全育成についてでございますが、まずこの祭りをじかに見させていただきまして、躍動感あふれる踊りに圧倒されました。踊りの技術もさることながら、解放感に満ちた動き、踊りを見ている人の楽しそうな表情や踊る人と見る人の一体感など、この祭りのすばらしさが伝わってまいりました。
また、小さな子供から高校生世代を初め年配の方々も多数参加されておりまして、世代を超えて仲間と一つの目的に向かって取り組む姿勢、実行委員会の運営に携わる人やボランティアとしてサポートする人たちの行為は、自己実現や社会貢献、仲間との連帯など、まさに青少年の健全育成の場でありまして、青少年にとっては貴重な体験になったのではないかと思っております。
また、NPO主導で取り組まれ、みんなでつくり上げた文字どおり手づくりのよさがあらわれたイベントで、このエネルギーが町づくりや地域連帯の原動力になると感じた次第でございます。
紀州よさこい祭りは、青少年の健全育成を初め、町づくり、人づくりなど多彩な可能性を持っており、この祭りが和歌山に定着し発展することを願うとともに、県といたしましても関係機関との調整やボランティア募集などで協力させてもらいましたが、今後も県が果たせる役割を十分考え、協働・協力してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 紀州よさこい祭りにかかわっての三点についてお答え申し上げます。
まず商店街の活性化ですが、商店街の振興には、施設整備を初め、販売促進活動による商店街全体の集客や構成する個々の店舗の魅力アップが必要なことは言うまでもありませんが、それとともに紀州よさこい祭りのようなイベント等により地域の魅力を高めていくことも非常に大切なことと言えます。これらのことは、商店街がみずからの意思と行動によりNPOと連携し、取り組んでいくことが重要であると考えておりますが、県といたしましても、商店街がNPOと連携し、活動しやすい環境づくりについて研究してまいりたいと考えております。
次に新たな観光、地場産業の育成につきましては、議員お話しのとおり、札幌のYOSAKOIソーラン祭りのような地域の住民が始めたイベントや祭りが全国規模になり、その地域の季節の風物詩として地域の大きな観光資源に育っている例もあります。紀州よさこい祭りも今後ますます発展し、和歌山を代表する一大イベントと言われるようになっていただきたいと思っておりますし、そのため県といたしましても、職員が実施する誘客キャラバンを初め、各種マスメディアや情報誌等を積極的に活用し、県内外へのPRに努めてまいりたいと考えてございます。
また、地場産業の育成につきましては、あらゆる機会をとらまえ販路開拓に生かしていくことが重要であり、議員御指摘のとおり、多数の参加者、観客を集める紀州よさこい祭りのようなビッグイベントを新しい発想、技術による新製品の販路開拓や評価を得る場として、あるいは参加者に地場産品を活用してもらえるような取り組みが大切であると考えております。
今後とも、このような機会において和歌山の地場産業を発信していけるよう努めてまいります。
次にコミュニティービジネスの創出につきましては、御指摘のとおり、祭りを開催することにより地域に活力とチャレンジ精神が呼び起こされ、そこから地域への経済効果や新たなビジネスチャンスの広がりが進むものと認識しております。
コミュニティービジネスは、地域の資源を活用し、地域にあるさまざまな課題を解決し、地域社会への貢献を目的とするビジネスであり、祭りを通じた新たなニーズのキャッチから創出されるコミュニティービジネスへの支援について、今後関係部局と連携しながら研究してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(小川 武君) 企画部長野添 勝君。
〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 地域社会の活性化の観点から今後どのようにかかわっていくかについてお答えいたします。
第一回紀州よさこい祭りでは、私どもも高野・熊野の世界遺産PRブースを出させていただき、その盛り上がりと開催に向けてのスタッフの皆様の熱意を実感いたしました。
NPOと地域の方々が主体となって自前でこういったイベントを開催していただいたことは本県の活性化に大きい一石を投じていただいたもので、大変意義があったものと考えております。
紀州よさこい祭りも次年度の開催に向けての検討が始まっていると聞いており、より盛大で多くの人々が参加するイベントとして定着していくように、また他の地域においてもこのようなNPOや地域の方々が中心となって新たな取り組みが進められるよう、県としましても可能な支援を行ってまいります。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 伝統的文化の掘り起こしについてお答えいたします。
本県は無形民俗文化財の国指定と県指定を合わせて七十四件を保有し、全国で第四位という多くの民俗芸能や祭礼などの伝統行事が残されている県であります。このため、昭和五十年に和歌山県民俗芸能保存協会を設立して保存団体の育成に取り組んでいるほか、近畿・東海・北陸ブロック民俗芸能大会や紀伊半島民俗芸能祭に代表が参加するなど、その普及と振興に努めているところです。
民俗芸能などの多くは地域に密着し、宗教的背景をもって歴史の中ではぐくまれてきたものであり、それぞれの保存団体が独自性や主体性を持って活動しております。
このたび実施された紀州よさこい祭りが今後定着していく中で、伝統的な団体と新しい文化を創造する団体との相互理解や連携の輪が広まることを期待しているところです。教育委員会としましても、どのような役割を果たすことができるか検討してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十三番浦口高典君。
○浦口高典君 知事初め関係部長の皆さん、副知事、大変前向きな御答弁をいただきまして本当にありがとうございます。
これは要望でございますが、特に木村知事に申し上げたいんですが、来年の紀州よさこい祭りへの踊り参加ということも含めまして、知事みずから先頭に立っていただいて、知事の著書ではありませんが、「鄙の底力」をぜひとも県民の皆さんに、また全国の皆さんにお示しいただくことを要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浦口高典君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時二十四分休憩
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