平成16年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(浦口高典議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得まして、通告に従い、質問をさせていただきます。
 新生わかやま県議団の浦口高典でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 その前に、早いもので、昨年四月の初当選以来、一年がたちました。私自身、この一年間を振り返ってみますと、それまで十年に及ぶ浪人生活から一転、県議会の一員としてさまざまな経験をさせていただき、多くの知識も得て、ふるさと和歌山県の発展に微力ながら全力で取り組める喜びでいっぱいでございます。それも、支持者の皆様の御支援はもちろんのこと、尾崎議長初め会派を問わず先輩・同僚の皆様の御指導・御教授のたまものと、ただただ感謝の気持ちでいっぱいでございます。ありがとうございます。また、県当局の皆様におかれましても、木村知事初め県職員の方々の誠意ある態度・対応に接したとき、何分浪人生活が長かったために、初めは戸惑いを覚えながらも、心にしみ入るものがございます。これからもその誠意ある態度・対応を、私一人にではなく、県民の皆様にもひとしく向けていただくことを切にお願いを申し上げる次第でございます。
 また、昨年四月三十日に突如としてあらわれました私ども新会派新生わかやま県議団につきましては、当初、違う方向を向いた議員の寄り集まりだとか変わり者集団だとかやゆされながらも、何とか一年やってまいりました。その間、幹事長を務められました山下直也議員の脱会という我々にとって大変ショッキングな出来事がございましたが、その後、私が図らずも幹事長をさしていただくことになりまして、山下先生の当時の苦悩の一端をうかがい知ることができました。まことに御心中お察し申し上げる次第でございます。今では、会期末の定番ともなりましたが、国の政策やイデオロギーが絡んでくる採決の場合、会派内の意見が二分するどころか、賛成・反対・退席の三つに分かれるという、まさに一風変わった会派でもあります。しかし、その設立趣意書の中に、意思決定については「会派での議論は十分に行うが、一人一人の議員の考えを尊重し、意見書や採決については決定をもって議員の拘束はしない」とうたっております。ただし、ふるさと和歌山県のことにつきましては、常に県民の皆様の立場に立ち、真剣に議論し、でき得る限り意思統一を図っておりますので、これも新しい時代の議会人と会派のあり方を日々実践学習しているものと御認識をいただき、今後とも御理解のほどよろしくお願いを申し上げます。
 さて、私は昨年十二月議会の一般質問において、人口減少社会における和歌山県政のあり方について、知事初め五人の担当部長に質問をさしていただきました。今では経済が右肩上がりの時代ではないというのは常識的に言われておりますが、もともと経済の右肩上がりは、基本のところに人口の増加ということがありました。
 先日、本年四月一日現在の和歌山県の人口が百五万二千百三十人と発表され、昨年より五千三百三十三人も減少しているということですが、平成十六年三月時点における個人消費は、試算しますと年九十九万三千三百六十三円で、これにその人数を掛けると約五十三億円で、この人口減少によってこれだけ経済が縮小したことになります。いずれにしろ、いよいよ人口の激減が本格的に始まったなというのが実感でございます。
 我が県では、少しふえた時期もあったとはいえ、今から二十二年前の昭和五十七年の百九万四百二十四人をピークに人口が減少し続けており、さらに国立人口問題研究所の試算によると、二十六年後には約八十八万人まで減少するということであります。しかも、そのときの高齢化率は三三・一%と今より九ポイント近く高くなり、どのように考えても右肩上がりの経済成長は望むことができません。だから、小泉首相の「改革なくして成長なし」ではなしに、県民一人一人の満足度アップを目指した「改革なくして満足なし」の方向で改革を進めるべきだと述べさしていただきました。そして、その一般質問では詳しくは述べませんでしたが、その前の九月議会の予算委員会で、私が考える少子高齢・人口激減・マイナス経済成長時代の県民の満足を高める方法としてNPO、つまり市民の自発的な活動の重要性を集中的に質問したところ、知事は、来年、つまり平成十六年度はNPO元年にしたいと明言されました。実際に、本年度のNPO関連予算は昨年度の約七千万円から約一億一千万円と一・五倍の増額になり、またそれまで県民生活課の中にあったNPO推進室をNPO協働推進課に昇格させ、職員も四名から九名に増員し、公言されたことを着実に実行されましたことはまさに決断力と行動力のある木村知事のNPOに対する意欲のあらわれであり、高く評価すると同時に、質問者である私といたしましては大変うれしゅうございます。まことにありがとうございます。
 私は、なぜNPOにこだわるか。それは、特に和歌山県の将来を考えたときに、今までと同じように国に頼って何とか地域の活性化を図ろうとしてもなかなかできない状況にあるという認識からであります。この点は、知事もその最前線に立っていらっしゃるだけに一番よく感じられていると思います。
 後ほど三位一体の改革のところで述べさしていただきますが、平成十六年度で補助金・地方交付税が約三百億円減額されている中で、今までどおりのおねだり型の民主主義では、県民の皆さんが夢や希望を持ち、安心・安全で活力ある地域社会というのはとてもつくっていくことはできません。
 NPOについては議員初め当局の皆さんも十分御認識をお持ちと思いますので、ここでは説明を省かしていただきますが、私は、行政、企業に次ぐ三番目のセクターとしてこれからの時代を大きく切り開いていくものであると期待をしております。それだけに、決してNPOの利益のためになどという矮小化した議論を私はするつもりは毛頭ありませんし、県当局においてもいわゆる下請業者のような扱いで見られないようにお願いをいたします。
 さて、その九月議会の予算委員会翌日の九月二十四日に知事のNPO元年発言を受けて県民生活課長のところに行き、私が作成をいたしました「「新しい公共」をつくる市民活動プロジェクト」(通称NPOプロジェクト)というものについては、副知事を責任者として設立したNPO推進庁内連絡協議会がこの五月二十八日に各課副課長クラスを中心とした推進委員約百二十名に対して学習会を開催し、県職員の認識の共有化を進めてくれていると聞いております。しかし私は、これも十二月議会で申し上げましたが、県職員だけで話し合っていても本当にNPOとイコールパートナーになれるかどうか、甚だ疑問であります。そこで、これからのこの庁内連絡協議会をどのような方向に持っていくのであるか、環境生活部長、お答えください。
 また今後、県内のNPO、特にNPOの中間支援組織と接点を持つ意思はおありなのでしょうか。さらに言えば、私が先ほど申しましたNPOを本当に三番目のセクターとして支援・育成する気があるのかどうか、お聞かせください。
 さて次に、三位一体の改革に伴う補助金の削減ということについてであります。
 正確には地方交付税と補助金ですが、ここでは便宜上補助金と言わせていただきます。知事もこの改革について、全国知事会や改革派知事らと一緒になって地方の立場から意見をまとめ、国に強く働きかけられていることはよく存じ上げております。具体的には、当初小泉内閣で、方針としては平成十六年度国全体で一兆円の補助金の削減、さらに平成十七年度、十八年度で三兆円の削減ということでしたが、参議院選の影響もあり、来年以降どのような形になるか、まだはっきりしていないところもあります。
 いずれにしろ、本年はその一兆円の中で和歌山県は、地方交付税二百八十六億円、補助金四十四億円の合計三百三十億円、そのうち三十九億円の財源移譲があったとはいえ、三百億円近いお金が削減されました。これは、和歌山県全体の警察予算に匹敵するほどの大変な額ですが、この削減された分は特にどの分野に影響があったのか、総務部長、お答えください。
 私は、機会を見つけてはいろいろな職業の方と和歌山県の将来についてお話をするのですが、その中で「県も財政、本当に厳しいですよ」と言いますと、多くの方は「県にお金ないんやったら、国に頼って何とかお金出してもうたらどうよ」と言われます。それに対して、この約三百億円削減、さらには来年、再来年もことし以上に厳しくなるかもしれないというお話をしますと、「ますます和歌山県、あかんようになるなあ」と、急に不安そうな顔を皆さんされます。そこで感じたのは、県としてこの補助金削減で財政が本格的に厳しくなるという情報を県民の皆さんと果たして共有していると言えるのかどうかということであります。
 和歌山県の情報公開については、木村知事になってから非常に情報公開を徹底させ、市民オンブズマン会議によると、平成十五年度は百点満点中八十七点で、全国三位という透明度の高い県であることは多くの方もご存じでしょうが、意外とこの情報が県民の皆さんに伝わっていないのです。この件一つとってみてもわかるとおり、いわば情報公開度は高いのですが、情報共有度は低いと言えます。ここが大きな問題点であります。
 今、知事が進めなければならない改革は生活者である県民の皆さんをも巻き込んだものにしていかなければ、単に言葉だけに終わってしまう可能性があります。三重県では、北川前知事時代、情報公開は当たり前、情報を県民と共有してその情報で県民と共鳴、つまりともに鳴くことをしなければ改革はできないということを徹底させ、その結果、三重県民が納得の上で県から最高で九十億円という補助金まで出して三重県亀山市にシャープの液晶テレビの工場を誘致することに成功し、現在、この地域は大変な好景気であるということは皆さんもよくご存じのとおりであります。
 今後、この補助金三百億円削減という情報を共有するために県は何をするのですか、お答えください。情報を公開しているから知らない方が悪いなんていう、木で鼻をくくったような言い方はやめてください。
 話は全く変わりますが、七月二十五日に第一回紀州よさこい祭りが高松サンピア、片男波海水浴場、市役所前けやき大通りの三カ所で行われます。詳細につきましては、過日議会、当局幹部の皆さんに御案内をさしていただきました。この祭りは、四年半前に内田嘉高君(二十九歳)と上森成人君(三十四歳)という二人の若者の祭りを通じて和歌山を元気にしたいという強い思いから発しております。私は彼らと縁がありまして当初からこの祭りにかかわってまいりましたが、特に一年前に議員になってから、同じ会派の玉置議員が寝ても覚めても「高野・熊野世界遺産、高野・熊野世界遺産」と何かに取りつかれたように高野・熊野に取り組んでいる姿を見て、和歌山市選出の県会議員として大変な刺激を受けると同時に、危機感を持つようになりました。というのは、今から十年余り前、関西新国際空港が開港するときに「和歌山県は扇風機の裏側になる」という話がありましたが、事実、それに近いものがあると私は思っております。今度高野・熊野が世界遺産に登録されることによって和歌山県には多くの観光客が訪れることが予想され、大変喜ばしいことなのですが、しかし和歌山市がこのままだと素通りされてしまうのではないか、関空流に言うならば和歌山市は扇風機の風の外側になるという危機感であります。もちろん、他の和歌山市選出の議員の方々も同じような気持ちでそれぞれのことに取り組まれていると思います。私は、この祭りを核にして扇風機の風を少しでも和歌山市にという思いもあり、サポーターの一人として真剣に取り組んでまいりました。
 この間の経緯を説明さしていただきますと、もともとよさこい祭りは五十一年前に高知で始まったものでありますが、今では老若男女がオリジナルな曲と踊りで参加し、踊り手も見る方も心から楽しめる祭りであります。そのような踊りの文化のなかった和歌山にまず踊りのグループをつくろうということで三年半前から毎週定期的に練習をし、一人一人を募って和歌山MOVEというグループを立ち上げ、休みのたびに至るところで自分たちの踊りを披露し、仲間や支援者をふやしてまいりました。一昨年九月には試験的に自分たちで祭りを企画し、和歌山市の中心部にある今福墓地公園で手づくりのいこら祭りという祭りを開催したところ、遠くは大阪府岸和田市や有田市からも踊りの仲間が駆けつけてくれ、大変な盛り上がりを見せ、わずか数時間の祭りでありましたが確かな手ごたえを感じました。そして、その勢いをもって昨年八月の本場高知のよさこい祭りに約五十名で初参加し、大変な感動を味わってまいりました。その後、いよいよ和歌山でもこのよさこい型の祭りをやろうということで九月に紀州お祭りプロジェクト実行委員会を立ち上げ、現在では実行委員約三十名が仕事の合間を縫って月五、六回会合を重ね、平日でも深夜までこの準備に取り組んでおります。
 ちなみに、私も昨年八月に高知に行き、よさこい祭りの現場の熱気を肌で感じるとともに、高知県の観光振興課長と高知市のよさこい龍馬事業推進室長にお会いし、約二時間レクチャーを受けたのですが、四日間で観光動員数は百二十万人、経済効果も百億円以上とお聞きしました。また、この六月十二、十三日には札幌市のYOSAKOIソーラン祭りを現地視察に行き、十数年前に当時北海道大学の学生であってこの祭りをつくったYOSAKOIソーラン祭り組織委員会専務理事の長谷川岳氏にお会いして詳しく内容を聞いてまいりました。北海道では、昨年は五日間で二百二万人の観光動員数と経済効果で二百億円以上とのことで、高知・札幌とも一大イベントとして地域社会に及ぼす社会的・経済的効果も多大なものがあるということがわかりました。
 紀州よさこい祭りに係る費用につきましては、予算額約一千万円を県や市を頼らずに自分たちで集めようと、ありとあらゆるつてを頼りに集金しております。もちろん、和歌山市には過去三十数回実績があるぶんだら踊りというものがあり、一緒になってやった方が行政の支援も受けることができ、準備や費用の点でもずっと楽だし、お客さんもある程度確保できるという意見もありました。しかし彼ら若者は、あくまでも自分たちの力でということで、あと四十日ほどに迫りましたが、みんな自分の仕事を持ちながら和歌山の元気づくりのために懸命に頑張っております。
 そこで、過日、ふと気がついたことがあります。それは、彼らは決して自分たちの利益や自己満足のためにこの祭りの準備をしているのではなく、少なくともこの和歌山というところを自分たちの手で活性化しようというミッション、つまり社会的使命を持って取り組んでいるということであります。それはまさに、NPOで今議論されている新しい公共という概念そのものでございます。
 このような思いでやろうという市民発の祭りを県はどのように見ておられるのでしょうか。これも彼らの努力で、文化庁から関西元気文化圏参加事業に、また県からは高野・熊野世界遺産登録記念事業に指定を受けておりますが、県も思い切ってこれを利用して高野・熊野をこの機会にアピールしてはいかがでしょうか。そして、財政が厳しい県には、お金をくれとは言いませんが、彼らが今一番苦労しているボランティアへの参加と呼びかけに県が一役も二役も買ってはいかがでしょうか。
 今、県ではNPOとの協働ということを盛んに言っており、過日、NPO推進庁内連絡協議会でもそのことをかなり詳しく勉強されたようでありますが、実際はNPOとの協働といっても行政からNPOへの委託であり、見方を変えれば、安い労働力でNPOを適当に使うという、いわば下請であります。これではとてもパートナーシップでもって一緒に新しい公共を構築していくということはできませんし、どこまで行っても本当の意味で協働はできません。結果として、公共のことは結局行政にだけということになり、県民の皆さんの公共へのかかわりは行政任せという今までの構図どおりであり、一人一人の満足度がいつまでたっても上がらぬままで終わってしまうのではないでしょうか。
 私は、この一年間余り県職員の皆さんといろんな機会に語り、議論をさしていただきましたが、これはお世辞抜きに、皆さん、優秀な方ばかりであります。また、木村知事の方針であるスピーディーな対応も皆さんしてくれ、私としては大変感心しているのですが、しかし残念ながらダイナミック・大胆な、そしてフレキシブル・柔軟な対応に欠けると思います。もちろん、それは行政という法律・条例、そして前例に縛られる職分・職制の中ではいたし方ないかと思いますが、時代の要請は、企業であろうが行政であろうが、まさにダイナミックでフレキシブルな対応なくして生きていけない時代に入ってきております。初めに法律・条例ありきでは、とてもNPOとの協働はできません。
 そこで、どうでしょう。県職員の皆さんもこの市民発の紀州よさこい祭りに積極的にかかわってみてはいかがでしょうか。それが自然体での協働だと思います。初めに法律・条例・前例ありきではなく、モチベーション・やる気とミッション・社会的使命ありきであります。NPOには公務員が参加してはいけないという規定はありませんし、地方公務員法にも公務員のNPO参加を禁止する条文もありません。役所の仕事にNPOが参加するというイメージで協働ということを考えるのではなく、NPOに県の職員一人一人が気軽に、失敗を恐れず参加することによって、共通の体験をすることにより新しい公共の基礎が構築できると確信をいたしております。
 NPOは、理屈よりも実践であります。時代の要請もまさに理屈よりも実践であると思います。そして、今の和歌山に本当に必要なのは、失敗を恐れず実践を繰り返し繰り返し行うパワーではないでしょうか。夢を語り、知恵を出すのもいいのですが、もし和歌山県が人口激減に向かいつつあるという現実を本当に危機としてとらえるならば、夢や知恵ばかりを語り合っていても何も始まりません。私は、夢一分、知恵一分、実践八分でないとこの状況は好転しないと、この和歌山に生きる者としてこの浦口高典は実感をいたしております。県職員のNPOの参加について、はっきりと環境生活部長の御意見をお聞かせください。
 最後に、さていよいよ八月に知事選が行われます。四月二十日の時点でどの政党からも推薦をいただく約束がなかったにもかかわらず、木村知事はひとり出馬表明をされました。これは知事の英断であり、不退転の決意のあらわれであると私は思います。そして、知事の出馬がはっきりした今、十二月議会で要望いたしましたマニフェストについてお聞きしたいと思います。
 マニフェストとは、政策の数値目標を掲げ、それに至る期限、財源、プロセスを明確にし、有権者と何をどのような形で実行していくのか約束することであり、時には財源の確保のために利害関係のある有権者に厳しいことも言わねばなりません。昨年の衆議院議員の選挙のときに各政党が国民に提示したことは、既にご存じのとおりであります。これは政党のマニフェスト、つまりパーティーマニフェストというものでありますが、今度は知事選ですので、地方の首長を選ぶ選挙であり、これはローカルマニフェストというものであります。対抗される共産党の推薦の候補者の方も出してこられるでしょうから──村岡先生初め共産党の先生方にもお願いを申し上げておきますが──和歌山で初めてのマニフェスト対決ということになり、もし知事が政策本位の選挙と位置づけるなら、大変有権者の興味が向けられると私は期待をしております。
 昨年四月の統一地方選挙において、木村知事の同志である岩手県の増田知事は、次の任期の四年間で岩手県を環境・教育・情報などの先進県にするために約二百億円を投資し、その財源は公共事業や人件費等を削減することによって賄うという日本初のローカルマニフェストを訴えておりますが、知事はいかがですか。これからの県政の方向として何を掲げ、その数値目標、期限、財源、プロセスはどうであるのか、木村知事のマニフェストをお示しください。
 そして二点目は、個々の政策についてであります。知事がNPO元年と力説しているNPOについてですが、本年度は、先ほども申しましたように、予算額約七千万円から約一億一千万円に増額されました。この四年間で、つまり平成二十年度までにこの額を幾らにすることも含めて、数値目標、期限、財源、プロセス、つまりNPO政策全体のマニフェストをお示しください。
 そして三点目は、特にNPO政策の中で、昨年十二月にわかやまNPOセンターの理事が約十名、知事に面会し、そのとき六つの政策を提言をいたしました。その三番目にある中間支援機関の充実強化ということでありますが、本年三月五日付の知事の回答の中で、中間支援組織の果たす役割は極めて大きいと明言されております。同NPOセンターでは、振興局単位で活動の拠点の提供と一定の期間の活動資金の援助ということをはっきりと申し上げておりますが、具体的なNPO中間支援組織マニフェストについてお示しください。
 少々難しい質問かもしれませんが、岩手県の増田知事が約二百億円の財源を確保し、岩手県の方向性を明確にしたことに比べれば、ずっと容易であろうかと思います。みずからの選挙の年を和歌山の再生を願いNPO元年と明言した木村県政の看板となるNPOマニフェストでありますので、きちっとお答えをいただきたいと存じます。
 以上をもって第一回目の質問とさせていただきますが、特に木村知事におかれましては、行政のトップとしてだけではなく、政治家木村良樹としての思い切った御答弁を切にお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございます。
○議長(尾崎要二君) ただいまの浦口高典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 知事選挙におけるマニフェストの作成についての御質問でございます。
 御案内のように、マニフェストというのは昔はだれも聞いたことのない、聞きなれない話だったんですけれども、この間の衆議院議員選挙から非常に人口に膾炙して、また前回の選挙ではそれが争点になったということは非常に記憶に新しいところでございます。
 地方公共団体でも、若干性格は異なるものの、やはり政策について数値目標、そしてまた期限、そういうふうなものを示して選挙をしていくというふうなことが、やはりこれはある意味では一つのトレンドであろうというふうに思っておりますし、私自身もそのことが必要だと考えておりますので、現在マニフェストを作成中ということでございます。その中には、例えば雇用の確保でありますとか、そしてまた観光振興、そして福祉、治安、教育等々について、示せるものは数値目標を示しながらやっていくというふうなことにしているところでございます。
 そしてNPOについてですが、御案内のように三位一体の改革もありますし、非常にこれから先の見えにくい状況ではあるんですけども、そういうときだからこそNPOとの協働ということが私は非常に大事なことだと思っておりますし、NPO元年、元年と言っても、実は和歌山県のNPOの状況はそんなに活性化しているというふうな現状ではないというふうなこともございます。
 まずは、まだ中身は決めておりませんけれども、この認証NPO法人の数を今より非常に大きくしていくというふうなことについての努力、そういうふうなものをまたマニフェストの中身にしていきたいと思いますし、またそういう中で先般私も中間支援団体の方々とお話をしましたけども、非常に熱意にあふれてその果たすべき役割は大きいということを肌身に感じましたので、そういうことにも触れたマニフェストの中身にしていきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) NPO推進庁内連絡協議会についての数点の御質問にお答えいたします。
 NPOと行政の連携を積極的に推進するため、昨年度、NPO推進庁内連絡協議会を発足させ、全庁的なNPO推進体制を整えたところであります。
 まず、今後の方向につきましては、本年九月にはNPOとの協働を円滑かつ積極的に推進するための基本的な考え方や取り組みを明確にしたガイドラインを策定する予定でございます。また、NPO推進員を中心に各部署におけるNPOに対する理解を進めるとともに、ガイドラインの策定過程の中で各部局において所管業務の点検を行い、協働の可能性を検討してまいります。
 県内NPO、特にNPOの中間支援組織との接点につきましては、本年四月にNPO関係者や学識経験者、行政職員をメンバーに設けましたパートナーシップ協議会において行政とNPOとの相互理解や協働に当たっての課題を検討しており、ガイドラインの中に反映していきたいと考えております。
 次にNPOに対する支援・育成についてでございますが、NPOは公共サービスを提供する重要なセクターとして今後ますます重要になってくると認識しております。県民のNPO活動への参加意欲を引き出すための理解促進に努めますとともに、NPOサポートセンターを中心に、法人化に向けた取り組み支援、各種情報提供や相談、講座等を実施するなど、活動環境の整備と人材育成を図ってまいります。
 次に紀州よさこい祭りについて、この祭りをどのように見ているのか等、数点の質問にお答えいたします。
 紀州よさこい祭りは、お年寄りから子供まで多くの人が楽しめる踊りを通じて和歌山を元気づけたいという実行委員会の方々の熱い思いが実を結んだものであり、まさしく民間の力が結集した催しであります。また、若者のエネルギーを発散できる場、仲間づくりの場として青少年の健全育成にも大いに貢献するものと考えております。
 紀州よさこい祭りへの県職員のボランティア参加につきましては、現在、全職員に庁内メールで呼びかけているところです。県職員がこのような活動にボランティアとして参加することは、地域の活性化への取り組みをみずから体験することになり、大変有意義であると考えます。
 また、紀州よさこい祭りは県民の方々の地道な努力と汗が結晶したものであり、県も関係機関との調整やボランティア募集などで協力させていただいておりますが、今後ともこのような県民の自主的な活動が定着していくよう協働・協力してまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 三位一体の改革による補助金・地方交付税の削減についてでありますが、平成十六年度の当初予算におきましては、急激な財源の減少に対してあらゆる歳入の確保や徹底した歳出削減努力を行いながら、一方では世界遺産、防災、雇用対策といった県政における重点施策の事業費を確保しております。
 歳出削減の中身といたしましては、人件費を前年比でマイナス四十五億円、投資関係経費をマイナス四十二億円としたほか、あらゆる経費について見直しを実施したところでございます。
 県民への広報につきましては、内容が地方財政制度に係るものでありまして、一般的にはなじみの薄いものであるという難しい側面もありますが、時宜を得た報道等への資料提供、ホームページへの掲載等、理解を求めるべく努めているところでございます。
 現在、一定の仮定のもと、今後の三位一体の改革が本県に与える影響についての試算を行っているところでもございますが、三位一体の改革は県民生活に大きな影響を与える可能性のあるものであるため、広報の重要性は認識しておりまして、こうした試算も活用しながら、県政おはなし講座など、さまざまな機会をとらえて県民への広報に努めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 紀州よさこい祭りで高野・熊野をアピールしてはどうだということについてお答えをいたします。
 高野・熊野の世界遺産登録は、来月の初めにも登録が決定される見込みでございまして、七月二十五日に開催される紀州よさこい祭りは、議員御提言のとおり、県民の方々に世界遺産登録を知っていただくよい機会と考えてございます。ついては、祭り当日にどのような方法でPRすればよいか早急に検討し、御努力いただいている関係の皆様と御相談させていただき、本県にとっての世界遺産の意義、また保全や活用等についてアピールしてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番浦口高典君。
○浦口高典君 御答弁、ありがとうございます。
 マニフェストに絞って再質問をさせていただきたいと思いますが。
 知事、現在作成中ということでありますけれども、知事選が七月の二十二日に告示ですね、そして八月の八日が投票日ということになっておりますけれども、もちろんそれまでつくっていただけるということですね。
 繰り返しになりますけれども、マニフェストというのは、具体的な数値目標、財源、期限、そのプロセス等を県民の皆さんの前にはっきりと提示することによって選挙時の大きな選択の材料になりますし、また我々議会にとっても、これをもとに木村県政の四年間をきちっとチェックできる、県民の皆さんの前で筋の通った議論をできるんではないか。そういう意味で、私はぜひとも知事に、もちろんのことですが、選挙までにマニフェストを出していただくことを──これは質問しようと思ったんですが、もうくどくなりますので要望いたしておきます。
 知事が言われますように、県当局つまり理事者側と県議会は信頼と緊張の関係である、車の両輪であるということでありますから、私は決して木村知事はえせ改革派知事なんていうことは思っておりませんので、ぜひとも真の改革派としての姿を見せていただきたいと、そのように思っております。
 最後になりますが、「キンキのおまけ」という歌が十数年前に出たん、ご存じですか。これをつくられたのが和歌山県高野口町在住の平阪佳久さんという方でありまして、この方が最近、「和歌山LOVE SONG21」という曲をつくられました。この場ですので歌は割愛させていただきますが、歌詞だけ、ちょっと言わせていただきます。これは和歌山県のことなんです。「いつでも大阪の日影になって 時には岡山と間違えられて そやけどこれだけは分かってほしい 大阪のとなりにあるんやで」ということと同時に、歌詞だけじゃなしにせりふもあるんですが、ちょっとせりふも抜粋して読ましていただきます。「大阪はん 東京はん わいかてひとつの都道府県や(中略)今はあんたらみたいに目立てへんし 高いビルも無いけどよ(中略)今に 今に見とれよ いつかは出世して 立派な立派な日本一の都道府県になって 見せちゃるでぇ~」という、まあ和歌山県に対する応援歌だと私は思うんですが。その平阪さんが決して和歌山をおちょくって、言ってみればやゆして歌っているわけではなしに、非常に和歌山県に対する思いというのが熱い思いがあるんです。
 私、この間、電話で三十分ほど話さしていただいたんですが、もうまくし立てるように、和歌山こうしたい、こうしたいということを言っておられました。その平阪さんが、今度紀州よさこい祭りのときの総踊り曲で「YAPPA紀州」という、こういう曲を今度出されました。これは、先ほど言いましたようにこの祭りを最初から仕掛けました内田君というのが何度も何度もこの平阪さんとこに足を運んでつくってくれた曲でして、最後に、この七月の二十五日の総踊りのときに、恐らく九時以降になると思うんですが、これをかけて踊るということでありました。実は、この議場でこの曲をぜひ聞いていただきたかったんですが、前例がないということで断られましたんで。またの機会にぜひとも聞いていただきたいと思いますが。
 これちょっと、言葉は言ってみればこんなさらっとした言葉なんですがね、「お国自慢はありすぎて 輝く山川 きらめく海 いくつも湧き出る温泉は 名湯日本一 唄えよ踊れよ思いのまま 熱くもえたぎれ(中略)ここがみんなの帰る場所 ひとつになれる街 YAPPA紀州 YAPPA紀州」──やっぱり紀州ということなんですね。まさにこの曲に代表されているような、この今、和歌山県の閉塞状況をこの紀州よさこい祭りが、私はすべてを変えるということは無理かもしれませんが一つの切り口として風穴をあけるんじゃないかと、そのように思っておりますんで、どうか知事も、七月二十五日は選挙期間中でありまして大変だと思いますが、もしお時間がございましたら市役所前のとこに来ていただきまして、県民・市民の方と一緒に踊っていただくことを要望いたしまして、私の要望とさしていただきます。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浦口高典君の質問が終了いたしました。

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