平成16年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、規制改革・民間開放推進についてお尋ねをいたします。
 本年四月、民間有識者でつくる政府の規制改革・民間開放推進会議が初会合を開き、五月には閣僚がメンバーとなる規制改革・民間開放推進本部も発足し、規制改革の新たな体制がスタートいたしました。企業や国民の活動に対する公的規制を廃止・緩和する規制改革が経済を活性化し、生活者本位の経済社会システムを実現するために効果を上げてきております。規制改革を進めるには、規制が本当に住民のために役立っているのか、規制のコストが便益を上回っていないか、従来のように安易に行政に依存し、隠れた高コストを負担し、個人の選択幅を狭めていないかなど、見定める必要があります。
 本年三月に閣議決定された規制改革・民間開放推進三カ年計画では、平成十八年度までに重点的に取り組む規制改革として、一、株式会社による医療機関、学校、農業の経営解禁の検討、二、公共施設の民間による管理運営、建設所有の推進、三、公共サービスの民間委託を可能にする制度改革などが挙げられております。国や地方自治体の施設の管理運営や行政サービスを民間に開放することで、サービスの向上や効率化を図るものであります。推進の手段として、市場化テスト、いわゆる官民競争入札制度の導入が検討されています。
 また、平成十五年九月に施行された地方自治法の改正案では、地方公共団体の出資法人等に対する管理の委託制度から施行後三年以内を期限に出資法人以外の民間事業者を含む地方公共団体が指定する者、仮称指定管理者による管理の代行制度へ転換することになります。
 本県では現在、県営施設の管理は直営と県民文化会館など文化施設は財団法人文化振興財団へ、紀三井寺公園などスポーツ施設は財団法人スポーツ振興財団へ、福祉施設は社会福祉法人福祉事業団など出資法人に委託されてきています。
 平成十五年から利用料金制の導入により料金収入等は法人の収入となり、その分、一般財源からの委託料が軽減され、経営努力が求められてきました。しかし、料金収入のうち県民文化会館駐車場やビッグ愛・ホエール駐車場は年間ほぼ一億円程度の料金収入があるため、外部委託の場合は一考を要するものと思われます。宮崎県では、公の施設の改革として、指定管理者制度が導入されたことから、公の施設等を民間へ移譲、廃止等を含めて効率的な運営管理方策を全庁的に検討しております。
 さらに、本年六月に改正されました道路交通法では、警察官や交通巡視員にかわって駐車違反の取り締まりを民間委託できる新制度が二年以内にスタートいたします。この制度は、入札で選ばれた民間会社などが違反を記録し、標章を張りつけ、違反の有無は警察が判断するとしております。
 そこで、木村知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 本県では公共施設の民間管理・運営及び公共サービスの民間委託に、指定管理者制度の実施を踏まえ、今度どう取り組まれるのか。
 二、企業局が平成十六年度末で廃止されることが検討されています。廃止に至った経緯はどうか。また、最近では広島県が既に公営電気事業を中国電力株式会社に事業譲渡していますが、本県の公営事業である電気、工業用水、駐車場、土地造成の各事業に対してどう対処されるのか。
 三、駐車違反の取り締まりを民間に委託することにどう対応されるのか。
 以上三点、お尋ねいたします。
 二点目でございますが、介護保険制度の現状と今後の見直しについてお尋ねいたします。
 平成十二年四月からスタートした介護保険制度は五年目に入り、同法附則の「発足五年後をめどに見直しをする」との時期を迎えました。制度発足より平成十五年十二月までの間に六十五歳以上の高齢者の数が約一二%増加したのに対し、要介護認定を受けた人々は約三百七十一万人と七〇%もの増加率となりました。保険料と税金と原則一割の利用料金で賄われる財政規模も平成十六年度予算案では六兆一千億円に増加し、早くもその肥満体質が指摘されています。
 要介護認定を受けた約三百七十一万人の内訳を見ますと、要支援、要介護一でほぼ百七十四万人と認定者総数の半分近くを占め、この軽度の認定者数が発足時に比べて倍増しました。さらに、軽い症状の人が悪化するケースも多く、介護サービスが結果的に高齢者の生活機能の改善に結びついていないという実態がわかってきました。このため、厚生労働省は筋力トレーニングや食生活改善の指導を新たに加え、軽度の場合は、まず予防サービスの先行利用を義務化しようとする取り組みが行われております。
 また、少子高齢化の進む中で、要介護高齢者のほぼ半数は痴呆の影響が認められる状況にあり、今後、痴呆性高齢者の増加、ひとり暮らし世帯の増加等を踏まえた新たなサービス体系の確立が急務であります。痴呆性高齢者への対応は、早期発見、相談体制の整備、介護と医療の連携の強化が必要であります。さらに、痴呆対応型共同生活介護、いわゆるグループホームやケアハウスなどの充実が求められています。また、介護サービスを総合的に提供する小規模多機能サービス拠点の普及が今後の課題であります。特別養護老人ホームが地元の公民館や民家を借りて職員が出向き、デイサービスを行うサテライト方式やユニットケア型に施設を変える取り組みも必要となっております。
 そこで、知事並びに福祉保健部長にお尋ねいたします。
 一、介護保険制度の現状をどのように考えているか。また、要介護度の悪化を防ぎ、生活機能の向上を図る介護予防や筋力トレーニングなど介護予防プログラム開発など、今後どう対策を進められるのか。
 二、痴呆性高齢者の増加に対してサービス体系の整備をどう進めていかれるのか。
 二点、お尋ねをいたします。
 次に、負担のあり方についてお尋ねいたします。
 介護保険料は、第一期が県平均月額二千九百十円でスタートいたしました。発足後三年目に保険料の改定が行われ、第二期目の保険料は県平均二一・二%増の三千五百二十七円になりました。しかし、要介護認定者の増加等の要因で介護費用は年間約一〇%程度伸びており、次期改定となる平成十八年にも保険料の増額が予想されています。今後、一号保険料については被保険者の負担能力をきめ細かく反映したものとなるよう、設定のあり方を見直す必要があります。特に、負担能力の低い人々に対する軽減措置が必要であります。
 そこで、保険料の収納状況及び赤字団体の状況はどうなっているのか、今後どう対策されるのか、お尋ねをいたします。
 次に、制度運営のあり方についてお尋ねをいたします。
 介護サービス市場は、公的財源で支えられている他の分野と比較して、多様な事業主体の参入が認められております。これは、民間の活力をより生かした形で制度の定着を図ろうとしたことが要因と考えられます。
 一方、事業者の不正行為も発生し、サービスの水増し請求、偽装請求、スタッフ不足、無資格者による従事などで、発足から三年間で全国で百二十一事業者が介護保険適用の指定を取り消されています。本県においても四事業者が指定を取り消されました。さらに、介護サービスに従事するヘルパーさんが首や腰のヘルニアになる人もあり、事業者がヘルパーの健康管理にも取り組む必要があります。また、保険者である市町村が制度の運営、財政責任を持つ観点から、給付に対する点検や事業者への立ち入り権限を与える必要があります。
 そこでお尋ねいたします。
 一、事業者の指定、指導監督について、事業者指定に更新制度の導入や介護サービスの第三者評価の実施により質の向上を図られてはどうか。
 二、保険者において国民健康保険で実施しているレセプト点検等により過度な医療費請求をチェックしていますが、介護保険の場合も介護費用の適正化への対応はどうか。
 三、中核市を初め市町村へ、事業者の指定、指導監督など、実施できるものは移譲されてはどうか。
 以上三点、お尋ねいたします。
 次に、和歌山市内の街路事業に関連してお尋ねいたします。
 昨年四月に第二阪和国道の和歌山北バイパスが開通し、紀の川を渡る紀の国大橋により市内南北の交通渋滞の改善が図られました。しかし、和歌山市東部から市内に至る道路は、交通量の増加の要因もあり、交通渋滞が激しく、県民の方々からその改善を強く求められております。特に国道二十四号線和歌山バイパスが平成十一年に永穂─小豆島間が供用開始され、紀州大橋を含む二・四キロの四車線化が急がれております。国道二十四号線と接続する都市計画道路市駅小倉線は和佐中から県道岩橋栗栖線までの一・一キロは工事中であり、県道岩橋栗栖線から国道二十四号線までの一・四キロは用地買収を進めております。
 問題は、国道二十四号線との交差部が国、県、市で協議調整を進めていますが、立体交差とのことで、地権者の方々の協力をいただくのに時間を要していることや、市施行部分が全くおくれている現状にあります。県民の方々は、国道二十四号線との交差部は平面交差にして東側を早期に暫定供用開始することを望んでいます。
 また、梅雨期を迎え、大雨による冠水で通行どめとなり、市内の交通渋滞を引き起こす宮街道の田中町アンダーの冠水対策については、県と和歌山市が協力して公共下水道事業と道路事業として実施、本年当初予算で道路環境受託工事事業として一億五千万円が計上されましたが、早期完成を願っているところであります。
 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 一、国道二十四号線和歌山バイパスの紀州大橋を含む二・四キロの四車線化工事の進捗状況と供用開始はどうか。
 二、都市計画道路市駅小倉線の第一工区、第二工区の進捗状況と供用開始はどうか。また、交差方式をどのように考えているのか。
 三、都市計画道路和歌山港鳴神山口線の田中町アンダーの冠水対策の進捗状況と供用開始はどうか。
 以上三点、お尋ねいたします。
 次に、子供の生命と安全を確保するための対策についてお尋ねいたします。
 安全な場所であるはずの学校も、最近は必ずしもそうとは言えない状況になっています。平成十三年六月の大阪教育大附属池田小学校での殺傷事件を初め、昨年十二月には京都府宇治市の小学校で傷害事件が起きるなど、学校への不審者侵入事件が相次いでいる中、本年六月一日には長崎県佐世保市の小学校の校内で六年生の女児が同級生をカッターナイフで切りつけて死亡させる痛ましい事件が起こりました。警察庁の調べによると、学校などで発生した凶悪犯は平成十五年度で九十九件に達し、この七年間で倍増し、住居侵入も二千六百六十件に急増しています。
 学校外でも、大阪府熊取町の小学女児行方不明事件、路上や公園で子供が突然殴られたり切りつけられたりするなどの被害も増加、特に凶悪犯罪の被害件数がふえており、二十歳未満の少年に対する殺人、略取誘拐、傷害などの凶悪犯罪は平成十五年度、二千二百四件に達し、この十年間でほぼ倍増いたしました。
 こうした子供への犯罪を防止するためには、学校や住宅、町並みを犯罪が起こりにくい設計に改善するとともに、不審者を常にチェックする監視の目を強化するため、学校や警察、地域住民などの連携による総合的な対策が求められております。
 文部科学省は平成十五年二月に本県の全小中高校に対して、「学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル」を配布しており、県教育委員会は各学校に防犯マニュアルの策定を指導してきました。県警察本部では、子供一一〇番の家であるきしゅう君の家を設置し、子供の安全に努めてきております。
 和歌山市では、池田小学校の事件の後、民間警備会社に委託して小学校の警備、巡視活動を実施、さらに寄贈していただいたり、PTAが費用を負担するなどの方法で小学生に防犯ブザーを配布する取り組みが十校で実施されております。また、県警北署と松江連合自治会、老人クラブが協力して、学校の帰宅時間に合わせてお帰りパトロールを実施、地域の方々から「お帰り」と声をかけられると、元気に「ありがとう」と答える姿が大きな反響を呼んでおります。
 そこで、教育長並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 一、学校における子供の安全対策として、学校ごとの防犯マニュアルの策定、学校施設の改善、防犯訓練の実施はどう推進されているのか。
 二、通学時の安全対策として、小中学生全員に防犯ブザーを公費で配布されてはどうか。また、学校、警察、地域住民の協力で巡回パトロールや登下校時の声かけ運動を県下で実施されてはどうか。
 三、防犯町づくりを推進するため、市町村ではまちづくり交付金を活用して、防犯環境設計に基づいた公園、駐車場、道路、公衆トイレなどの改善整備を推進して犯罪抑止を図られてはどうか。
 四、学校、幼稚園を初め、公園等の遊び場の安全性を確保するため、遊具の安全点検を定期的に実施するとともに遊具の不備に対する迅速な対応の推進をされているか。
 以上四点をお尋ねいたします。
 次に、子供にとって家庭が安全な場所であることは当然のことであります。野生の動物の世界にあって、弱肉強食の生存競争の中で危険と背中合わせしながら子育てに取り組む姿は感動を呼びます。しかし、現代社会では子供に満足に食事も与えず死なせるという痛ましい児童虐待事件が相次いでいます。警察庁の調べでは、昨年一年間に発生した児童虐待事件は百五十七件で、被害児童数は百六十六人といずれも前年に比べて七、八%ほど減少しているものの、死亡した子供の数は前年の三十九人から四十二人へと増加しております。
 平成十二年十一月に施行された児童虐待防止法は今国会で改正され、本年十月一日から施行されます。改正点は、一、児童虐待の定義の拡大、二、早期発見のための通告義務の強化、三、警察の関与強化などが盛り込まれています。また、児童虐待防止対策等の充実強化を図る児童福祉法の改正案が国会で審議中であります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 一、本県における児童虐待の現状と児童虐待防止対策の中心機関である児童相談所の体制強化にどう取り組まれるのか。
 二、児童虐待の予防や解決のための児童相談体制の充実、児童虐待防止、市町村ネットワークの確立、育児困難家庭に対し虐待を未然に防止するための育児支援家庭訪問事業など、児童虐待防止対策の充実にどう取り組まれるのか。
 以上二点をお尋ねいたしまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 少子・高齢化や国際化、また情報化が進む社会において、ますます多様化、複雑化する住民ニーズに行政だけで対応するには限界があるとともに、これまでの画一的、均一的な行政サービスでは住民の十分な満足を得ることが困難になってきております。
 このような状況の中で、官から民へという考え方のもと、効率的で、かつ住民ニーズにこたえたサービスの実施が図れるよう、民間事業者のノウハウを活用した行政サービスの提供が重要であると認識をいたしております。
 今後、県といたしましては、県民の権利義務に直接かかわるような業務などについては基本的に引き続き担っていくことが重要であると考えておりますけれども、公共施設の管理運営、また県民生活の向上を図る業務などについては、民間事業者の創意工夫を通じた効率的な行政サービスの実施が図れるよう、できるだけ民間にゆだねていくことが重要であると考えております。
 なお、指定管理者制度につきましては、既存施設への平成十八年四月の導入に向け、現在、基本方針や導入に当たってのスケジュール、選定基準などを盛り込んだ指定管理者制度に関する指針の策定について検討をいたしておりますが、冒頭の提案説明で申し上げましたとおり、新たに設置する県立情報交流センターにつきましては指定管理者制度を導入することといたしております。
 次に介護保険制度の現状と今後の対応についてでございますが、高齢化の進展に伴う介護費用の増嵩や痴呆性高齢者の増加等により介護サービスの質の向上、痴呆ケアの確立など、さまざまな課題が出てきているところでございます。特に、介護サービスが制度本来の目的である高齢者の自立支援に向けた仕組みとなっていないことが指摘をされており、議員御指摘のように、介護予防あるいは要介護度の悪化を防ぎ、高齢者の生活機能の向上を図っていくことが重要であると、このように考えております。
 こうしたことから、県といたしましても、今年度、県、モデル町、和歌山大学が共同して筋力向上トレーニングの考え方を取り入れたわかやま高齢者運動推進事業を実施することとしており、今後、この事業で蓄積されたノウハウを県内の市町村、介護事業者等に提供、普及することにより介護予防のさらなる推進を図ってまいりたいと、このように考えております。
○議長(尾崎要二君) 企業局長西 芳男君。
  〔西 芳男君、登壇〕
○企業局長(西 芳男君) 企業局の廃止に至る経緯と公営事業の対応についてお答えいたします。
 まず、企業局の廃止を検討するに至った経緯についてでございますけれども、企業局は昭和三十三年の発足以来、時代の要請にこたえながら県政の主要なプロジェクトに対して重要な役割を果たしてまいったところでございます。しかしながら、企業局が担ってまいりました県の重要施策である企業誘致のための土地造成事業が本年三月の日高港造成事業の完成をもって終了し、また当面、県が関与を予定している新規事業への取り組み計画もないことから、本年度限りで企業局廃止を検討しているところでございます。現在、事業の知事部局への編入について、関係部局と協議を行っております。
 次に各事業の対処についての考え方でございますけれども、まず電気事業につきましては、平成二十二年度からと予測されております電力の完全自由化に対応するための方策としまして、電気事業者への業務の委託または施設の譲渡を検討しております。
 工業用水事業につきましては、料金改定や海南、有田両市への施設の一部移管を行ってまいりましたが、今後より一層の経費削減に向け、業務委託等を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 土地造成事業につきましては、計画しておりました企業用地造成工事が終了いたしましたので、今後は完成土地の販売等を通じ雇用の創出や税収増による地域振興を進めるため、企業誘致施策等と組み合わせて一元的に対応していくことが重要であると考えますので、そうした方向で調整をしてまいりたいと考えております。
 最後に、大新公園地下駐車場事業につきましては利用者の増加を図るために去る平成十五年十一月から料金改定を行い、現在に至っておりますが、採算がとれる状況にはなってございません。今後の対応につきましては、駐車場の必要性あるいは採算性を議論する中で検討をしてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、企業局が果たしてきました役割を見直すことによりまして、よりスリムで効率的な行政システムが構築され、県勢活性化につながるように取り組んでまいりたいと考えております。よろしくお願いします。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 介護保険制度の現状と今後の見直しについてお答えをいたします。
 まず最初に痴呆性高齢者へのサービス体系の整備についてでございますが、議員御指摘のとおり、要介護高齢者のほぼ半分は何らかの介護を必要とする痴呆の高齢者と考えられており、身体ケアのみではなく、痴呆性高齢者に対応したケアを高齢者介護の標準として位置づけるべきと考えております。
 県としましては、これまでも痴呆性高齢者グループホームの整備を進めるとともに、その介護職員等に対し、痴呆介護研修を実施しているところでございます。今後は、これに加えて、県民に対する痴呆に関する正しい知識の普及や地域全体で痴呆性高齢者を支える仕組みづくりなどの取り組みが必要であると考えております。このため、本年度におきまして、痴呆性高齢者及びその家族を支援するための地域ネットワークづくりを野上町及び美里町においてモデル的に進めることとしており、今後、モデル事業の結果を踏まえ、地域の特性に応じた痴呆性高齢者の地域ケアを普及してまいります。
 次に、介護保険料の収納状況及び赤字保険者の状況と今後の対策についてでございますが、第一号被保険者の介護保険料の収納率は、平成十二年度から平成十四年度までの県下平均で九八%を超える収納率となっております。
 また、保険者である各市町村の保険財政ですが、介護給付費が当初見込みを上回ったこと等により平成十五年度で県内の六保険者が赤字となる見込みであり、今後、介護費用の増嵩により、これ以上の保険者が赤字になることが予想されます。
 県としましては、本年三月一日に和歌山県介護給付適正化対策本部を設置したところであり、各市町村に対し、給付と負担とを踏まえた総合的な地域ケア体制の確立、国民健康保険団体連合会の給付分析照合システム等を活用した介護給付適正化のための事業者指導、介護予防対策の普及などを助言することによりまして県内各市町村の介護保険財政の安定化に取り組んでまいります。
 次に事業者の指定、指導監督についてでございますが、議員御指摘の更新制については介護保険法の改正事項に係る問題ですが、不正事業者への監視監督権限の強化のため、更新制の導入等につき、介護保険法の改正に盛り込むよう政府に対し要望しているところでございます。
 また、介護サービスの第三者評価についてでございますが、第三者評価は、事業所が現に行っている事実を前提として、第三者が客観的事実に基づき確認し、その結果のすべてを定期的に開示する仕組みでございます。この評価のプロセスを通じて事業所自身によるサービスの質の改善への取り組みが促進され、ひいては介護サービス全体の質の向上も期待されるところです。
 県としましては、平成十六年度におきまして平成十七年度以降の本格実施を目指し、訪問介護や特別養護老人ホームなど七サービスを選定し、モデル的に事業を実施することといたしております。
 次に介護給付の適正化についてでございますが、本年四月から全国で介護事業所、利用者、介護給付等の各種情報を突合、分析し、不適正給付の可能性のある事業所を抽出することができる国民健康保険介護給付適正化システムが本格的に稼動されております。このシステムを活用しつつ、保険者たる市町村と事業所を指導監督する県がお互いに役割を分担し、緊密な連携を図りながらより一層の介護給付の適正化を図ってまいります。
 市町村への指定、指導監督権の移譲についてでございますが、議員御指摘のとおり、現行法上、市町村は事業者への文書の提出や質問等の権限しかなく、十分な指導監督権限を持っているとは言えない状況であります。県といたしましても、地域に密着した市町村が事業者を直接指導監督する必要があると考えており、その権限強化につきまして政府に対し要望を行っているところであり、国におきましても介護保険法の見直し議論の中で検討が行われております。
 次に、児童虐待の現状と児童相談所の体制強化についてでございますが、本県の児童相談所における虐待の相談処理件数は、平成十四年度は百八十六件に対し十五年度には二百十八件と、過去最高となっております。さらに、児童相談所の職権による一次保護など困難なケースや虐待を受けた児童の児童福祉施設への入所割合が増加するなど、児童虐待への対応は早急に取り組むべき課題でございます。このため、児童相談所では、児童福祉司の増員や担当者が困難事例に的確に対応できるよう研修を実施し、職員の専門性やカウンセリング力の向上を図るとともに、児童精神科医による子どもメンタルクリニックの開設、子どもと家庭のテレフォン一一〇番による電話相談、親権等法的な問題に対応するための専門弁護士を配置するなど、相談体制の充実に努めております。
 今後とも、児童虐待などの児童と家庭をめぐる諸問題に適切に対応できるよう、児童相談所の体制強化に取り組んでまいります。
 次に、児童虐待防止対策の充実についてでございますが、現在、国会で審議中の児童福祉法改正案では、児童虐待防止対策等の充実強化を図るため、市町村を児童に関する相談をまず受けとめる機関と位置づけるとともに、児童虐待防止関係機関の連携を強化するための要保護児童対策地域協議会、いわゆる児童虐待防止市町村ネットワークを設置できることが盛り込まれております。
 児童虐待は一つの機関だけでは解決が困難であり、市町村域における相互の緊密な連携に基づく一体的な援助が極めて重要でございます。県内においては五市町村で自主的なネットワーク協議会がつくられていますが、さらに各市町村に対し、議員御指摘の児童虐待防止ネットワーク協議会の設置を強く働きかけるとともに、児童虐待防止対応マニュアルを作成するなど、市町村での児童相談体制の確立を支援してまいります。
 また、養育困難家庭に対して保健師や保育士等が訪問して具体的な育児に関する技術支援を行う育児支援家庭訪問事業を実施し、児童虐待の未然防止に努めることとしております。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 和歌山市内の街路事業に関連して、まず和歌山バイパスの関係でございます。
 二十四号和歌山バイパスにつきましては、紀州大橋を含む残る二・四キロの四車線化に向けた事業を進めており、昨年度末に紀州大橋下り線の橋梁上部工工事に着手し、今年度も引き続き橋梁上部工工事を進め、平成十九年度に二・四キロの供用開始を行う予定と聞いております。今後とも早期供用が図られるよう、国へ働きかけてまいります。
 次に都市計画道路市駅小倉線についてですが、第一工区、松下公園前市道から県道岩橋栗栖線までの延長一・一キロにつきましては本年九月の供用を予定しております。残る第二工区、県道岩橋栗栖線から国道二十四号交差点まで延長一・四キロにつきましては、平成十五年度末時点で事業の進捗率は六四%であり、平成二十年ごろの供用を目途に事業の促進を図っております。
 また、市駅小倉線と国道二十四号との交差方式につきましては、市駅小倉線の全体四車線のうち中央直進二車線を立体にする形状にするということで、国道二十四号の管理者である国土交通省と協議中であります。関係機関との協議が調い次第、地元の皆様の御協力をいただきながら事業の円滑化を図り、一日も早い供用を目指してまいります。
 次に田中町アンダーの冠水対策でございますが、和歌山市の協力を得て事業を進めており、平成十五年度には和歌川から田中町アンダーまでの排水管布設工事のうち、両端取りつけ部を除き完成しております。残る排水管布設やポンプ設備についても逐次工事を進めており、六月中に最後の工事を発注し、できる限り早期の完成に向け取り組んでいるところでございます。
 次に、まちづくり交付金を生かした防犯町づくりの推進についてでございますが、まちづくり交付金は今年度新規創設された制度でございます。本制度は、市町村の自主性、裁量性を発揮できる制度となっており、県といたしましても個性的で魅力ある町づくりを支援する手法として認識し、積極的にその活用を市町村に働きかけているところでございます。
 子供や高齢者を含む歩行者、自転車利用者の安全確保をコンセプトとした町づくりについては、既に幾つかの市町村で取り組まれているところでございます。さらに犯罪防止の観点からも、この制度を活用した公園、道路、公衆トイレ等の改修整備に、県といたしましても市町村と連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に学校、公園等の遊具の安全対策についてでございますが、都市公園では、公園数六カ所に対して遊具数が六十八基、県営住宅団地では、公園数六十三カ所に対し、遊具数が二百五十二基設置されております。点検につきましては、都市公園では月一回、県営住宅団地では施設安全点検月間を設け、それぞれ一斉点検を実施しております。
 本年四月の遊具一斉点検では、部分的な破損等を確認した滑り台二基、シーソー一基、ロープはしご一基を即時に使用禁止し、修繕の措置を行いました。また、基礎部分にぐらつきがあったスプリング遊具三基については撤去を行ったところでございます。
 今後とも、管理下にある遊具等の安全性の確保に努めてまいります。
 以上です。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 子供の安全対策についてお答えいたします。
 学校における安全対策にかかわる防犯マニュアルの策定状況は、現在、小学校で一〇〇%、中学校で九八・六%となっております。
 学校施設の改善状況は、警報機、センサー等の設置が六四・四%であります。防犯訓練は、防災を兼ねたものも含めてほとんどすべての学校で実施しております。
 今後とも学校をめぐる最近の事件等も勘案しながら施設の改善に取り組むとともに、訓練がより実践的、効果的なものとなるよう指導してまいります。
 次に、小中学生への防犯ブザーの配布は、現在二十七市町村で取り組まれており、そのうち二十一市町村で公費負担を行っております。防犯ブザーによる犯罪抑止効果は大きいと思われますので、地域や学校の実情に応じ、より一層普及するよう各市町村教育委員会に働きかけをしてまいります。
 また、PTA、警察、地域住民等の協力を得て実施している巡回パトロールや登下校時の声かけ運動は、防犯だけでなく問題行動の防止にもつながることから、積極的に取り組みを進めるよう学校安全講習会等で指導しているところです。
 最後に、学校、幼稚園の遊具につきましては、学校保健法により定期的な安全点検及び適切な対応が義務づけられており、日ごろから取り組んでいるところであります。四月の高槻市での遊具事故を受けて、改めて各学校にその徹底を指示いたしました。
 子供たちの安全は一番重要なことであります。痛ましい事件が各地で起こっていることを受けて、このたび県教育委員会では子供の安全の問題を総括的に担当する専門職を新設することといたしました。市町村教育委員会と一体となって、危機管理体制の整備や意識の高揚を図ってまいります。
○議長(尾崎要二君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 駐車違反取り締まりの民間委託への対応についてお答えいたします。
 本県警察といたしましては、県下の違法駐車実態、取り締まりの現状、費用対効果等を検討した上、委託の要否、その範囲について判断してまいりたいと考えております。また、委託することとなった場合は適正な運用に努めてまいる所存でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、新田和弘君の質問が終了いたしました。

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