平成16年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十六年六月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
     ─────────────────────
議事日程 第二号
 平成十六年六月十四日(月曜日)午前十時開議
  第一 議案第八十九号から議案第九十八号まで、並びに報第六号から報第十二号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第八十九号から議案第九十八号まで、並びに報第六号から報第十二号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十四人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       木   下   善   之
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       山   下   大   輔
     二十七番       前   川   勝   久
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     三十九番       阪   部   菊   雄
 〔備考〕
     二十六番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     危機管理監      白   原   勝   文
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     石   橋   秀 彦
     農林水産部長     阪   口   裕 之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳 男
     教育委員会委員長   駒   井   則 彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西 浦   昭   人
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島 光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課副主査     楠   見   直   博
     総務課長       土   井   陽   義
   調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      中   尾   祐   一
     ─────────────────────
  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第八十九号から議案第九十八号まで、並びに知事専決処分報告報第六号から報第十二号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十六番下川俊樹君。
  〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、当局の所信をお伺いしたいと思います。
 まず、木村知事におかれては、先般、第二期県政に向けて出馬、立候補を表明されておりますので、これに関連して、初めに県政への取り組みについて知事にお尋ねをしたいと思います。
 過去四年間、知事におかれては、東南海・南海地震や緑の雇用事業に対する取り組み、ドクターヘリの運行、さらにはコスモパーク加太問題等、多くの分野で評価すべき点がありました。また、ITセンターの建設、雑賀崎沖合の埋め立て計画の中止、橋本市における産業廃棄物処理、県立医科大学の跡地利用も、今から振り返ってみますと大きな決断であったと考える次第であります。こうした実績は、知事のしがらみのない政治スタンスから発想され、生み出されたものであり、高く評価できる点でもありますが、反面、その果敢な発想とスピード感あふれる行政の運営手法は時としてもろ刃の剣のごとく、シャープさなるがゆえのリアクションもあったのではないかと考える次第であります。
 私はかねてより、政治とは信頼であると確信をしてございます。和歌山発のアイデアを積極的に提供し、行動する政治スタイルに対する評価の声、あるいは批判の声など、さまざまな波紋を投げかけられたと認識しております。事は和歌山県政の根幹にかかわる重大な判断であり、軽々に個人の立ち居振る舞いや好き嫌いの感情等にこの判断をゆだねるわけにはまいりません。すなわち、和歌山県政の将来にとって知事の県政運営が県民にとって真に信頼に値するものか、その知事を推薦することは責任政党として真に和歌山県の将来に責任を果たすことができるのかという点であります。しがらみがない、しがらみを絶つということは、知事と県民、市町村、県議会、国会議員とのコミュニケーションを絶つということではありません。
 知事は、ある紙上で、知事は行政官であるといった旨の発言をされておりますが、知事には、これまで旧自治省での経験や各府県での知識や見識から培い温めてきた理想の地方行政がイメージされているものと考えます。それゆえに、市町村との一層の信頼関係を構築していくべきではないかと考えます。財政の逼迫、景気低迷、過疎・高齢化、合併問題等に悩む市町村の現状にさらに真摯に耳を傾け、その現状をしっかり認識し、足場を固めたとき、知事の豊富な行政知識と果敢な行動力が県民に対してより説得力をもって展開されるものと考える次第であります。その際、県議会との関係が最も重要であるということをこの際強く指摘をしておきたいと思います。
 今回の知事選挙に際しては、自由民主党は党を挙げて木村知事の再選を支持してまいる所存でございます。しかしながら、自由民主党県議団としましては、今後、評価すべき点は積極的に評価し、ただすべき点は積極的にこれをただしてまいる所存であります。
 知事のこれまでの評価と政治姿勢についてるる申し述べてまいりましたが、このことは同時に、現に県政が直面する喫緊の諸課題に対する今後の木村県政に対する期待と不安に直結するからであります。
 三位一体の改革と地方財政、世界遺産登録、雇用対策、市町村合併、過疎・高齢化、どれをとっても待ったなしの重要課題であり、県民生活に直結する問題点ばかりであります。私がこれまで申し上げてきたこと、県民各界各層の知事に対する批判、要望を踏まえて今後の県政運営に当たってどのような基本姿勢で臨もうとされているのか、決意と方針を伺います。
 次に、三位一体の改革についてお尋ねをいたします。
 去る六月四日、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四、いわゆる骨太の方針第四弾が閣議決定され、その中で三位一体の改革も発表されました。今回の改革では平成十七年、十八年度に行う三兆円程度の国庫補助負担金改革の工程表、税源移譲の内容及び交付税改革の方向性を一体的に盛り込み、そのため税源移譲は三兆円規模を目指す、その前提として地方公共団体に対して国庫補助金改革の具体案を取りまとめるように要請し、これを踏まえ検討するとされています。また税源移譲については、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施し、その際、住民税の税率をフラット化する方向で検討も行われることとなっております。さらに、地方団体の効率的な行政運営を促進するよう地方交付税の算定の見直しを検討し、あわせて財政力の弱い団体においては税源移譲額が国庫補助負担金の廃止・縮小に伴い、財源措置すべき額に満たない場合があることから、実態を踏まえつつ、地方交付税の算定等を通じて適切に対応されることとなっております。
 昨年の例を見ればわかりますように、三位一体の改革は地方財政に大きな影響を及ぼします。地方自治体には規模の大小、財政力の強弱等、さまざまな格差があります。財政力が脆弱で多くの依存財源に頼っている本県の議員の一人として、平成十七年、十八年の両年にわたる三位一体の改革が和歌山県の財政にどのような影響を及ぼすのか、大変危惧しているところであります。
 そこで、今回の三位一体の改革をどのように考え、評価しているのか、改めて知事の所見をお伺いしたいと思います。
 次に、世界遺産登録に関連して熊野古道の環境整備についてお尋ねいたします。
 世界遺産登録のそもそもの発端といいますか、その機運が一気に盛り上がったのが平成十年十月、当時の西口勇知事とスペイン・ガリシア州のフラガ首相との間で調印されました熊野古道とスペイン・サンティアゴへの道との姉妹道提携であったと思います。このとき、私は県議会議長としてスペインに赴き、この調印式に立ち会ってまいりました。また、昨年十一月には木村知事からの要請もあり、尾崎議長とともに再びスペイン・ガリシア州とパリのユネスコ本部を訪問し、世界遺産登録の最後の要請を行ってきたところであります。思い出深いプロジェクトであります。二度のスペイン訪問を通じて私なりに感じた点は、この古道がしっかり保存・保全され、歩く人々の立場に立ったきめ細かな支援がなされているということであります。具体的には、標識の整備であり、簡易な宿泊施設の整備などであります。
 ひるがえって、熊野古道はどうでしょう。平成十二年ごろから急速に盛り上がってまいりました世界遺産登録への機運の中で、これまでの熊野古道に対する県民の目は大きく変わってきてございます。何げなくその存在を感じていた地域の方々の熊野古道に対する評価は大きく変わり、例えば県外の方々からの熊野古道に対する質問に、知らないと恥ずかしい、もっと大切にしなければならないという意識がほうはいとして起こってまいりました。
 去る二月二十四日付の読売新聞の報道によりますと、政府も本格的に観光立国を目指して、日本を訪れる外国人旅行者を現在の約五百万人から二〇一〇年には約一千万人に倍増させると打ち出しました。特に観光資源の豊富な地方の地域振興に積極的に貢献していく、そのための推進委員会を発足させると紹介され、課題としては高い宿泊料金と言葉の壁との記事が紹介をされてございました。
 こうした大きな流れを背景に、熊野古道に関連して二点、知事のお考えをお伺いするものであります。
 まず一点は、宿泊料金に関してであります。
 サンティアゴへの道では、道中にたくさんのアルベルゲという簡易宿泊施設を見受けました。たしか一泊三百円から五百円程度の宿泊料であったと思います。ベッドやシャワー、洗濯機が使用できる簡単な施設が整備をされてございました。
 私は、熊野古道にもこうした簡易な宿泊施設の設置を提案するものであります。安い宿泊料金は当然のごとく旅行者には魅力であり、加えて旅人にとってどこまで歩かなければならないという時間的、体力的制約から解放されるという効果も期待をされるわけであります。幸い、緑の雇用事業を初めとする県産材の活用が積極的に推進をされていますので、この際、熊野古道沿いに県産材を活用して簡単な炊事もできる簡易宿泊施設を整備してはどうでしょうか。もちろん、そこで使われる夕食の材料は地域でとれた食材をパックにした地産地消であります。世界遺産登録と地域振興、こうした地道な具体的な取り組みから始めてはどうでしょうか。簡易宿泊施設の整備について、知事のお考えを伺うものであります。
 関連して、二点目は熊野古道ルートの一体的整備を提案したいと思います。
 熊野の入り口は藤白からと言われます。熊野古道は、藤白の峠を越えますと、有田─湯浅の糸我峠、そして広川から日高に至る鹿ケ瀬峠を越え、その後はおおむね平たんな町中の道が続きます。熊野に至って新宮市内でも同様の現象が見られます。峠に残る熊野古道はすばらしいものがあります。整備もされてございます。一方、町中の道の部分はと申しますと、そこは地域の生活道路であり、人が、車が行き交う道路でもあります。必然的に古道としての整備はおくれてまいります。世界遺産登録には厳しい条件があり、その範囲が限定されることは当然なことであります。やむを得ないと思いますが、本県にとって熊野古道は県内を縦断するかけがえのない観光・文化資源であると思います。
 この際、世界遺産登録とは違った視点から、県内の熊野古道についてはいつだれがどこを歩いても迷うことなく、安心して歩ける道として全県的、一体的な整備に取り組むよう提案するものであります。知事のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 次に、国道四百八十号道路改築、仮称三田一号橋設計ミスに関してお尋ねをしたいと思います。
 さきの二月議会において、国道四百八十号清水町三田バイパス橋梁設計ミスにより、この工事の完成時期がおくれているとの説明がありました。極めて遺憾であります。一日も早いバイパス道路の供用開始は多くの県民の願いでありますので、現在の状況と今後の進め方を明らかにして説明責任を果たし、県民の信頼を回復する必要があるものと考える次第であります。
 この設計ミスについては、設計請負業者の技術力不足と照査不足であり、業者側もそれを認めているとのことでございます。しかしながら、聞くところによりますと、ことし三月、契約解除通知とあわせて代金返還の請求を行ったにもかかわらず、現在まで返還されていないどころか、契約解除を不服として国土工営コンサルタンツから債務不存在確認調停が提起されているとのことであります。
 設計ミスによる設計コンサルタントのこのような対応に対し、県から契約解除に伴う代金返還請求及び損害賠償請求に関する訴訟を提起する議案が本議会に提出されておりますが、この件について県としてどのように考えているのか、知事にお尋ねをしたいと思います。
 次に、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 契約解除通知に対する国土工営コンサルタンツの対応状況と、それに対して県はどのような姿勢で臨むのか、また、供用開始のおくれが最小限になるよう取り組んでいくとのことでありますが、既に発注されている修正設計の進捗状況と今後の橋梁工事の工程についてお尋ねをいたします。
 次に、廃棄物の問題についてお尋ねいたします。
 かねてより日高郡以南の地域は大阪湾フェニックス計画の対象区域外となっており、産業界は久しく産業廃棄物の最終処分に苦しんでまいりました。人口の減少に悩む市町村にとっては地域の活性化を目指す上で企業誘致と地域産業の振興はまさに喫緊の課題であり、環境問題はもとより地域振興の観点からも、産業廃棄物の最終処分場問題は迅速に解決されなければならない問題であります。同時に、紀南地域には、東牟婁郡を中心に西牟婁郡の一部を含めて一般廃棄物の焼却灰の処理に困窮して、やむを得ず多額の経費を費やして県外の委託処理を行っている市町村が相当数あります。この点からも最終処分場問題は早急な対応が必要と考える次第でございます。
 私も本会議や予算委員会で再三にわたって紀南地域の廃棄物問題を取り上げて早期の解決を強く訴えてまいりましたが、一昨年十一月に県、市町村、産業界が連携して紀南地域廃棄物処理促進協議会が設立をされ、ようやく課題解決への第一歩が踏み出されたものと考えてございます。産業界はもとより市町村、そして紀南地域の住民は促進協議会の活動に大きな関心と期待を抱いているところであります。
 そこで、知事に、紀南地域の廃棄物問題の現状をどのように認識し、県としてどのように対処されようとしているのか、基本的な考え方についてお尋ねをいたします。
 また環境生活部長には、紀南地域廃棄物処理促進協議会での取り組みの状況並びに今後の見通しについてお尋ねをいたします。
 最後に、昨年の六月議会において約四千名の署名を添えて要望してまいりました熊野川河口大橋の建設についてお尋ねをいたします。
 私の地元である新宮市と三重県の鵜殿村、紀宝町といった地域はともに熊野川河口に位置し、属する県こそ違え、生活、経済、文化を共有する一体となった圏域であります。しかしながら、熊野川を挟んで両地域を結ぶ道路は国道四十二号の熊野川大橋ただ一本だけであります。しかもこの橋は、両地域の往来の多さから朝夕に慢性的な渋滞が発生し、圏域の住民の日常生活に大きな障害となっているだけでなく、差し迫る東南海・南海地震などの大災害は言うまでもなく、日常の交通事故でさえ交通が途絶するという非常に脆弱な状況にあります。
 私は、県議会議員に当選直後から海岸沿いの新線建設を強く訴えてまいりました。おかげで県道あけぼの広角線は着実に整備が進められてございます。この道路の持つ意味は、言うまでもなく新宮市内のバイパス機能であります。さきに申しました国道四十二号の現状と海岸沿いの県道の役割を考え合わせ、私はこの際、この県道を熊野川河口大橋として延長し、三重県と連携することがぜひとも必要であると考えてございます。
 昨年末には、新宮市長を初め市議会議長、市議会、海岸道路の建設を促進する会など地元の方々と知事に要望を申し上げた際には前向きな発言をいただき、大変意を強くしたところであり、さらには過日、知事には現地を御視察いただいてございます。その状況については十分把握されていると思います。ここで改めて熊野川河口大橋の建設に向けた取り組み姿勢について、知事にお伺いをしたいと思います。
 また、県境をまたぐ架橋でありますので、事業を推進するに当たって国土交通省や三重県との調整などが重要になると思われますが、そうした今後の進め方について県土整備部長にお尋ねをして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず初めに、私、先般、御質問にもありましたように県知事選挙に立候補を表明したところでございまして、ただいま下川議員の方からも党として応援していこうという非常にありがたいお言葉をいただいたわけでございます。
 私は、御質問の中にもありましたように政治は信頼であると、これは本当にそのとおりだというふうに思っておりまして、議会との関係も、私は今までも信頼関係を築くように努力してきたつもりではございますけども、これからは一層この県議会との信頼関係というものを大事にして和歌山県政を進めていきたいと思いますし、またその中に、やはり私は緊張関係ということも大変大事なことだというふうに思っております。相互にチェックをしながら和歌山県政が進んでいくようにしていきたいということが私の心からなる願いでございます。
 そしてまた、その際、例えば市町村の話がございました。今、市町村は、実は三位一体のかけ声、そしてまた合併、こういうことの中で大変厳しい状況の中にあえいでおります。そういうときにできるだけ県としてもその市町村の主体性を侵すことなく、しかしながら相談に来たときには本当に親身になってこたえられるというふうな情報を集め、そしてまたそういうふうな対応をとっていくことが何より大事だと思いますし、これはますます厳しくなってきますので、これまで以上にやっていかなければならないことだというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、県政は理事側と、そして県議会、これが本当に車の両輪となって進めていくべきものであると私は考えておりますので、またそのようなことでいろんな形で御指導、御鞭撻を賜ることができたら本当に幸せだというふうに思っている次第でございます。
 次に、三位一体の改革の評価でございます。
 三位一体の改革につきましては、去年、初めて一歩を踏み出したわけでございますけれども、ふたをあけてみると、確かに税源の移譲ということはあったものの非常に不満足な状況で、そしてそれは十分に補助金のカットを補うようなものではなかった。しかも、地方交付税については規模是正と。言ってみれば、地方単独事業をそんなにしてないんだから減らしても大丈夫だというふうなことの美名のもとに大幅な削減が行われた。それが和歌山県もそうですし、県下の市町村も非常に財政運営に苦労する状況になってきているというふうなことでございます。
 来年度もこれと同じような考え方で行われれば、県も県下の市町村もこれまで以上に財政運営に支障を来すことになるというふうなことを思っております。そして、私のそういうことに対しての一つの基本的な考え方は、まずこの三位一体の改革、三兆円の税源移譲ということは骨太の方針に書き込まれたわけでございます。これは堅持してもらわなければならないと。そしてそれとあわせて、地方の方から補助金の削減ということについて考え方を示せということを言われておりますので、これについてもやはり都道府県、市町村、こういうところが腹を据えて地方六団体なんかで中心になってこれに対する案を出していかないと足元を見られるというふうなことになると思います。
 一方、地方交付税に関して言えば、これを簡素合理化するという美名のもとに一方的にお金が減ってくる。これは、はっきり言って地方の自治体に対しては死ねと言っているのと同じようなことでございますので、そういうふうなことが行われないような働きかけ、これを強めていかなければならない。
 いずれにいたしましても、こういうふうな方針において、私は全国知事会、その他いろんな場でこういうふうなことについて発言をしてまいりたいと思いますので、また議会からもいろんな形で御示唆を賜れればありがたいというふうに思っております。
 次に、世界遺産の登録についてでございます。
 いよいよ来月の初めには世界遺産に高野・熊野が登録されることになりました。そして、その中で熊野古道については、私は熊野古道が曲がりなりにも世界遺産になれるということの大きな基礎は熊博というふうなものの中でいろいろな整備がなされてきたと。そしてまた、住民の運動というふうなものもそういう中で培われてきたことが僕はやっぱり大きな土台になっていると思います。
 そして、今はそういうふうなものをさらにブラッシュアップをして、先ほどおっしゃった簡易宿泊施設、私もスペインで見てまいりましたが、こういうふうなものがあれば必ず──私はあの道を歩いた人に聞いたら、何泊かは上等の旅館に泊まって、そして何泊かはああいうふうな簡易宿泊所に泊まって、疲れをとりながら回るというのが非常に一般的なんだというような話を聞きました。県産材を使ったようなものでそういうふうな施設をつくって、それで例えば運営についてはNPOに必要な金額を払ってやってもらうというふうな新しい方式で僕はぜひこれをやっていきたいなと思っております。一気にたくさんつくるというのは難しいかもしれませんけども、モデル的に一つか二つつくってみて、そしてまたそれがうまくいけばさらにふやしていくというふうな形で、やはり一味違った世界遺産にしていく努力というものをとってまいりたいと思います。
 それからもう一つは、町中の熊野古道、これを大事にしましょうということでございます。
 熊野古道は大阪の七軒家というところ──京都からですけども──からずっと続いているわけでありまして、その中には町の中もあればいろいろあるんですけども、先ほど御質問にありましたように、ずっと皆が歩くということになれば町中の道もやっぱりある程度整備しておかないと、ぶつぶつに見て、ここだけ歩けばそれでいいというふうなんじゃちょっとサンティアゴへの道には見劣りがするんじゃないかというふうに思っておりますので、この町中の道についてもあわせてどんな形で整備を進め、そしてまた旅人にわかってもらえるような形がいいか積極的に検討をしてまいりたい、このように思っております。
 次に、国道四百八十号仮称三田一号橋の設計瑕疵に伴う訴訟についてでございますが、今回の件につきましては、設計業者がみずからのミスを認め、期限までに修正を完遂する旨の申し出を行いながらその約束を履行せず、債務不存在確認調停を提起したことは極めて遺憾でございます。本議会におきまして、代金返済等の訴訟案件を御承認いただいた後、代金返還及び損害賠償の訴訟提起を行い、司法の場で解決を図っていく考えでございます。
 いずれにいたしましても、今後このようなことが起こらないよう十分な対策を図るとともに、当該工事の早期完成が図れるよう最大限努力をしてまいりたいと思っております。
 次に、紀南地域の廃棄物問題に関する基本的な考え方でございますが、紀南地域におきましては廃棄物処理施設の不足から処理を県外に頼らざるを得ない現状が大きな課題となっていることは、私自身も十分認識をしております。このため、平成十四年十一月に県も参加して産業界、市町村と紀南地域廃棄物処理促進協議会を設立し、適正な廃棄物処理のあり方について広域的な見地から検討を進めてまいりました。協議会の諮問機関である検討委員会から本年三月に出された答申では、まず発生抑制、再使用、再資源化を進め、その上で残った廃棄物については地域内に最終処分場を確保し、一般廃棄物と産業廃棄物をあわせて適正処理するという取り組むべき課題が示されております。県としても、答申の具体化に向け、ソフト・ハード両面からの具体的な取り組みを協議会に参画している皆さんとともに進めてまいります。間もなく世界遺産に登録される豊かな自然、歴史と文化を有するこの紀南地域が協議会の基本理念でもある「百年たっても美しい紀南」であるよう積極的に県としての役割を果たしてまいりたいと考えております。
 最後に、熊野川河口大橋についての御質問でございます。
 これは、先般、私も地元へ参りました。そして、多数の地元住民の人がおられる中で、ここに橋をかけたいんだというふうなお話を伺ってまいりました。そして、見た感じではそんなに不可能というふうな感じじゃなく、これはやはり進めていかなければならないと私自身も思ったところでございます。
 そして、今まで和歌山県は大阪との関係でいろんなことが進んできたというふうな面があったんですけども、ここへきて愛知県、名古屋が非常に元気が出てきている。そういうことからいえば、やはり三重を通して、新宮がまたその窓口になっていかなければならない。そういうことであれば、県境を流れているこの熊野川に一本しか橋がないというふうな状況は、これはやはり発想からしてもちょっとおかしいんじゃないかなというふうな感じを私自身も強く持ちました。この問題については三重県知事──今の知事とも非常に仲よくしておりますので、三重県知事とも十分協議し、そしてこれは国土交通省のことでございますので、国土交通省とも積極的に相談しながら前向きな対応を県としてとっていきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、国道四百八十号道路改築についてお答え申し上げます。
 本年三月十七日に設計業者である国土工営コンサルタンツに対して契約解除通知を送付し、請負代金の返還請求を行い、さらに四月二十日に督促状を送付いたしましたが、現在まで納付されておりません。一方、四月十六日付で業者側から和歌山簡易裁判所に債務不存在確認調停が提起されておりますが、本議会におきまして代金返還等の訴訟案件を御承認いただいた後、代金返還及び損害賠償の訴訟提起を行い、司法の場で解決を図っていく考えであります。
 今回の設計ミスによる工事のおくれを最小限とするため、橋梁上下部の修正設計を四月に発注しており、設計が完了次第、ことしの十月には現在工事を中断しております橋台並びに上部工工事を再開するとともに、既にできている橋脚、橋台の手直し工事に着手してまいりたいと考えております。
 なお、今回の設計ミスにより現時点で一年のおくれがあると考えており、供用開始は平成十八年度になりますが、一日でも早く供用開始ができるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、熊野川河口大橋に関する事業推進に当たっての今後の進め方についてでございますが、本年度に三重県と共同して熊野川下流域における幹線道路のあり方を検討する国の補助調査予算が認められたところでございます。この調査の中で、近畿自動車道紀勢線や国道四十二号紀宝バイパス、県道あけぼの広角線等の周辺道路網の整備の進展を踏まえ、交通現況把握等を行い、来年度もさらに調査を進められるよう三重県と連携しながら国へも強く要望してまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 紀南地域廃棄物処理促進協議会の取り組み状況及び今後の見通しについてですが、当協議会では学識委員と公募委員で構成される検討委員会から、本年三月二十二日に「紀南地域の廃棄物に係る適正処理方針」と題する答申を受けたところでございます。
 現在、答申で提言されました発生抑制や分別品目の統一など、ソフト施策と中間処理施設の活用、確保については、日高、西牟婁、東牟婁の三つのブロック単位で検討を進めているところでございます。
 また、資源化、減量化を徹底してもなおかつ発生する残渣を処分する最終処分場の確保については、候補地群の選定と事業主体の組織や事業規模などについて本年度中に結論を出す方向で本協議会において検討してまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、下川俊樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 では、早速質問に入りたいと思います。
 今、紀南は梅の最盛期です。ことしはさる年の梅ということで歴史ある梅で、市場価格も普通だと今の景気の中だったら少し価格が落ちていくんですが、昨年並みの価格を維持しながら活気を呈しております。とりわけ私は以前からも議会でも言わしてもらっていますが、梅の選果場や市場へ行きますと、それを運搬する大型車、箱詰めをする段ボール箱の会社、それから漬けだるの準備とそのたるの生産、そういったこととか、スーパーへ行きますと、青梅とその瓶、そして氷砂糖、それからホワイトリカーとか、たくさん山積みにして、夕方行くともうほとんど売れています。そういう意味で、まさにこういう状況の地域の活性化、とりわけまた非常に働くところがない中で中高年のお母さん方がたくさん梅とりに朝早くから出かけるなど、また一時期ではありますが、お弁当の仕出し屋さんもかなり活気を呈しておりますし、そういったことと相まって、仕事のない土木関係で働く人たちもその時期はある梅の生産農家と契約しながらそこに季節労働者として働くなど、非常に活気を呈しています。
 そういった中で、反面、飲食街や商店街は非常に閑散としている状況ではありますが、こういう意味では梅が事実上和歌山県の基幹産業であり、地域の活性化、そしてその梅だけの生産が全体の他の事業に波及効果を呈しながら紀南における唯一の地域の産業として地域の活性化につなげている状況を見ると非常に自信を得ますし、これからも梅産業だけでなくて和歌山県が抱える地域の地場産業が新たにこういうふうに多面的に循環的に、そういう一つのものだけでなしに他に波及する事業として私たちは努力をしていかなければならないということを痛感しております。
 では、本題に入らせていただきます。今回の私の質問は次元的には高くありませんし、私自身が経験してきた関係上の考え方、まず私の考えを県当局にぶつけまして問題提起した形で当局の見解をお聞きしたいと思っております。
 まず、市町村合併と県行政について私から幾つか問題を提起して県当局の見解をお聞きしたいわけでありますが、まず第一点は市町村合併の現状と課題についてです。
 県下五十市町村で合併が予定どおりすると二十七市町村になります。その中でとりわけ二つの枠組みが九、三つの枠組みが三で、全体の八五%を占めています。また合併協議を立ち上げていない市町村は十三あります。しかも現状は、市町村合併に対する住民の声はかなり厳しく、幾つかの町ではノーの声が起こっています。
 私は基本的には、合併か単独かは当事者である行政、議会、住民が判断することだと考えますが、少なくとも県行政として合併を支援する立場からするなら、この現状の中でどう対応していくのか、県としての合併に対する具体的指針が求められているのではないでしょうか。また、私が危惧するのは二から三の枠組みが八五%を占め、とにかく合併ありきは、近い将来、三位一体改革による地方財政でさらに悪化しないでしょうか。合併ありき以前に地域の町づくりを展望する上でどういう枠組みがベターなのか、政策議論をもっと県は支援する必要があるのではないでしょうか。
 そこで具体的に、市町村合併に関する合併三法がせんだって成立したのに伴い、県の考え方と取り組みについてお聞きしたいと思います。
 第一点は、構想策定が義務づけられました。「都道府県は、国の基本指針に基づき、市町村合併推進審議会の意見を聞いて、市町村の合併推進に関する構想を策定すること」というふうに義務づけられております。その策定の考え方と方針はどうでしょうか。とりわけ合併協議会十五の組織への対応、合併協議会を立ち上げていない十三の市町村への対応、単独を選択した市町村への対応はただ単に地方財政の厳しさだけを誇示するのではなく、町づくりの政策を柱に検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 第二点は、「県知事の合併協議会の設置を勧告する」は、現行合併法と合併新法では知事の対応はどう変わるのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
 第三点は、合併する上で市町村が抱える問題点を解決するには当事者同士では大き過ぎて県の指導と協力が求められていますが、いかがでしょうか。国の補助金とか国の事業に対してなかなかうまくいっていない事業が、解決できていない問題が山積しているところもかなりあります。そういった意味では、県の指導がなくてはなかなか当事者同士では解決しない、それが解決しないためになかなか合併にこぎつけられないという当事者の悩みが非常にあります。そういう意味では県の指導と協力が求められていますが、知事の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、私は合併だけでなくて新市田辺市を事例に──これは私はその枠中だけしかわかりませんので、他の合併協議会の中身については勉強不足なので、自分が該当している新市田辺市を事例に合併のための支援策から合併後の新しい町づくりに対する県の支援策を提起したいと思います。
 合併への道筋は、新田辺市は非常に大変なものでしたが、今度六月十九日に合併調印式をし、六月の下旬の各市町村議会で議決する方向で進められていると聞いております。私は、合併のための支援策、いわゆる合併特例債とか合併特例基金とか普通交付税支援措置とか特例交付税措置、また県の市町村補助金など財政支援策だけに目を向けるのではなく、合併後の地域の町づくりをどうするのかというテーマが重要と考えます。そこで、新市田辺市を生み出す中で当初の合併協議会の枠組みが崩れていったことは、先ほど申し上げましたように非常に当事者での問題解決が大き過ぎて現在に至ったと思いますし、それはさておき、私は、合併を考える上で新市田辺市の事例と教訓から合併によって、地域の特性を失うとか、小さい町や村は大きいところに吸収され地域の意見、声が反映されにくくなるなど出されていたと聞いております。これらの問題は、私はこれからの地方政治のあり方が問われていると考えます。
 今までの地方自治体は行政と議会という枠組みの中であり、議員にとっては地域への利益誘導、つまり地元のためにを主軸にして行政と住民が成り立っていたのかもしれません。しかし、これからの地方政治は、行政と議会、そして市民参加によって市民の声が行政に反映していくシステムをいかに構築するか、運営していくかの時代に入っているというふうに考えます。一定の地域ごとに地域協議会をつくるなど、地域住民と行政とが一体になった町づくりを目指す組織をつくり出すなら、むしろ合併によって市民の声が今まで以上に反映されるでしょうし、地方財政の厳しさをより受けとめ、行政依存の政治から行政と市民との役割分担と協力・協働の関係がつくり出されるものと考えます。
 私は、新市田辺市では、地場産業と観光から見ても、今までの点や、そして個々にあったものから線に結びつけ、さらに面として相乗効果が発揮できる。それは、住民と地域企業、行政が協働してつくり上げていける材料がそろったことになります。田辺市、龍神、中辺路、大塔、本宮が一体化した町づくりを県の支援でつくり出すなら合併がこの新たな市の発展につながると、私はそう前向きに考えています。
 今回の私の質問はそういう立場で、合併への支援だけでなく合併後の新しい地方自治体の町づくりを県は具体的にどう支援していくのかを提起したいと考えます。
 第一は、市町村合併に伴い、県の地方機関である振興局の見直しについてですが、今回新たに合併する新市田辺市と振興局を事例に、合併による県と新市との役割分担と権限移譲を初め、人的交流を含めた県と新市との効率性をどう図っていくのかお伺いしたいと思います。
 次に、新市田辺市における観光と地域産業再生──私は六次産業というふうに位置づけているんですが──その構築についてですが、私はこれまで議会において、地域振興、地域再生について問題を提起し、とりわけ梅産業を事例に、生産する一次、加工する二次、三次の販売・観光・関連産業という多面的循環産業をどう地域で構築するか、まさに六次産業と位置づけ、地域再生の機軸にすることを提起してまいりました。
 今回新市としてスタートする田辺市は、県下の観光立地の中核的存在であり、しかも高野・熊野世界遺産指定に伴い、この地域指定でも中核をなしています。新田辺市民は、合併する各市町村の町の特性を有機的に融合していくことが町づくりにとってより大きな相乗効果となり、地域活性につながっていくものと思っています。県も、合併した行政区が合併前より停滞するようでは問題が残るわけで、一時的な特例債や合併時の支援だけでなく、県として継続・発展的支援が求められています。
 そこで、高野・熊野世界遺産、エコツーリズム事業指定の中核的役割を果たす新田辺市と県の果たす役割は、とりわけ自然と文化遺産の観光立地には何が求められているのでしょうか。私は、私なりの経験を通した考え方を述べていきたいと思います。
 新田辺市の町づくりの柱は観光と地域産業再生、つまり六次産業の構築であり、そのことで相乗効果が発揮されると考えます。高野・熊野世界遺産は、自然と文化を保全するという基本を忘れてはいけません。世界遺産に指定されると、何かすべてバラ色で観光客がわんさとやってきて地域にお金を落としてくれるといった幻想や考え方をしたとしたら、またしているとしたら、そんなものでないと私は考えます。テーマパーク的発想からの脱却が求められています。私は、高野・熊野世界遺産の地域指定を前向きにとらえ、この機会にこそ観光と地域産業再生を構築することだと考えています。
 この地域においては、今までの観光の概念から転換し、森林と農村と伝統文化を継承した田舎をコンセプトに、訪れた人たちと地域の人たちの交流をテーマに地域の農業とそのブランド化、森林・林業と環境づくりと木材のブランド化、伝統文化の継承とそこから新たな創出が地域の産業を再生させるとともに、地域社会、地域住民が楽しく、お互いに責任を負いながら創出していくことが結果的には観光と結びついた成果を上げることにつながると私は考えます。高野・熊野世界遺産指定で、地域が県行政やエージェント、観光業界によって与えられ、つくられるものではないと私は考えています。
 こういう立場から、私は新市田辺市の地域の特性を正しく評価し、その地域資源を生かし、発展させるための支援、つまり一つは農業、林業の生産、加工、販売、ブランド化、二つは地域文化の継承と創出、三つ目は地域経営会社設立への支援、地域を地域の市民による自主参加で、出資金もお互いに出し合って楽しく経営する組織を確立してこそ地域再生と観光が必然的に融合し、発展すると考えます。知事の見解をお聞きしたいと思います。
 さらに私は具体的に一つは、県行政はこれらの地域の情報提供と内外の情報発信での支援をお願いしたいわけですが、いかがなものでしょうか。
 二つ目は、高野山を訪れる外国人の中で、特にフランス人が多いと聞いています。私は合気道創始者植芝盛平翁顕彰会の責任者として二十年間活動してきた中で、昭和六十三年に「植芝盛平翁と熊野」をテーマにして合気道世界大会を開催いたしました。そのときに参加国、世界から三十一カ国、参加者一千名を田辺市で開催した経験があるわけですが、今、「高野と熊野」と「植芝盛平翁と熊野」をテーマに──合気道愛好者が世界で約二百八十万人、国内が百二十万人、海外が百六十万人ございます。私は、いわゆる「高野と熊野」、「合気道開祖植芝盛平翁と熊野」をテーマに特にそれを情報発信していきたいということを思っていますが、とりわけ国内の合気道愛好者数に匹敵するフランスに対して特別な企画としてそれをアピールしていきたいということも今検討しているところでありますが、こういった点について県当局としての支援をお願いしたいわけでありますが、いかがなものでしょうか。
 三つは、新田辺市では観光ビジョンづくりを和歌山大学とともに取り組んでいるところでありますが、和歌山大学のフォーラムに私行かしていただきましたところ、学長を含めて、和歌山県における観光の重要性を強調されておりました。そういう意味では、和歌山大学に観光学部の創設を求めてはどうでしょうか。
 以上三点について、関係部長の見解をお聞きします。
 次に、新市田辺市における重要な政策の二つ目として、皆さんのお手元に配らしていただいているんですが、森林・林業政策についてお聞きしたいと思います。
 新市田辺市の森林面積は約九万二千ヘクタールあり、和歌山県全森林面積の約二五%、四分の一を占めます。現在の田辺市では森林率が五六%ですが、龍神九五%、中辺路九四%、大塔九六%、本宮九三%ということであります。合計、合わせますと今後の新市の森林面積、森林率は八九・三%と、いわゆる九割方森林面積を占めるという非常に森林面積、森林・林業に重要な役割を果たす新市が誕生するわけでありますが、そういう意味ではこれに対して私はこのことを重視していかないと新市における今後の運営が非常に大変だなというふうに感じながら、県に要望がてら問題提起していきたいというふうに思っております。──下の関係は、それだけ林業事業にかかわる関係事業とかいう問題を問題提起さしていただいております。
 これについて、しかも新市田辺市が、今言いましたように森林面積が全体の八九・三%を占め、まさに森林・林業政策を中心課題にしない限り新市全体の発展と町づくりは考えられないといっても過言ではありません。新市における森林・林業の政策の方向は森林率八九%の森林都市としてなることですから、新市では地球規模での環境問題の視点を踏まえた生活基盤維持のための地球最大の資源である森林について、その役割、整備、保全の必要性と木材利用の重要性を行政、市民が共同して将来の世代に引き継いでいく責任を負っています。
 私は、具体的に幾つか書かせていただいております私自身の新市における森林・林業政策を担当する農林水産部に提起しております。幾つか羅列をしているんですが、この際省かせていただきまして、森林・林業、そして木材利用の重要性を特に県として具体的にどう取り組んでいくのかについて問題提起したいと思います。
 そこで、新市では八九・三%を占める森林都市として組織的に森林局を設置するとしています。これに伴い、県の森林・林業施策において、私は今前段に言いました全体の森林・林業政策に対して県としてどう支援をしていくのかについての農林水産部長の見解をお聞きしたいとともに、これに関連して、県と新市が一体になった施策を進めるために、新市に設置される森林局に森林・林業の専門知識を持った人材を派遣することを要望したいというふうに考えているわけであります。
 その部分の最後になりますが、私は、緑の雇用事業の今後の展望について知事にお伺いしたいというふうに思っております。
 「都市と地方の共感を深める「緑の雇用」推進県連合」共同政策提言の役割と県独自の今後の展望について、まず基本的に知事の見解をお聞きしたいというふうに思います。
 さらに二つ目は、これらの森林整備と雇用についてを踏まえて、国に対して、地域材利用の推進と木材の生産加工、流通体制の整備による木材産業の振興をもう一つの柱として強く求めていくことが必要ではないかというふうに私は考えています。
 京都議定書による日本の温室効果ガス削減目標六%のうち、実に三・九%が国内の森林に課せられていることから見ても、緑の雇用が真に森林の整備にとどまらず、木材振興という二つの柱で運動として進めることが大事だというふうに考えているわけであります。
 歴史的に見て、ガット・ウルグアイ・ラウンドの一九六〇年以降、貿易の自由化によって海外からの安い林産物の輸入で、今ことしの二〇〇四年に至っては国内消費の八割が輸入材で占めている実情で、緑の雇用事業には限界が来るのではないかというふうに考えているわけであります。しかも、海外では日本への輸出のため乱伐採が行われ、森林が破壊され、地球的規模での問題が発生しています。日本の豊かな森林、しかももう二年以降は日本の森林、その木は消費するに十分対応できる時期を迎える中で、私は、緑の雇用事業とあわせ、森林と木材振興の国の特別な措置を求める運動をしない限り日本の国土と京都議定書の実行につながらないのではないかと考えます。知事の御見解を聞きたいと思います。
 ちなみに、環境NGOを中心とする市民エネルギー調査会の長期エネルギー需給見通し発表を見さしていただきますと、森林に課せられた三・九%の目標は二〇一〇年には実現可能としたそれは、森林においてすべての木材が国産化されること、またバイオマスは木材製品全部をバイオ燃料等に使うという一つの仮定の中でやるならば二〇一〇年に十分三・九%の国内における京都議定書が充足される、満たされるというふうに言われております。あわせて参考にしていただきながら、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 第一回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 市町村合併と県行政についての御質問でございますが、議員御指摘のとおり、本県の合併はさまざまな経緯の結果、大きな枠組みが少なくなってきておりますが、合併に伴う経費節減効果に加え、法期限内合併に対する国のさまざまな財政支援を踏まえますと、それでも十分大きな合併効果が上がり、行財政基盤の強化が図られるものと考えております。また、いわゆる二次合併を念頭にした合併新法も先日成立したところであり、今後も合併の流れは引き続き継続することから、将来的にはより合併効果がある大きな枠組みを目指す動きも出てくるだろうと考えております。そのためにも、法期限内の現段階で基礎となる合併をすることは非常に有意義であると考えております。
 合併新法においては、県の役割が強化されており、合併構想の策定、合併協議会の設置の勧告などが盛り込まれております。これらについては、国から今後示される基本指針も踏まえ、住民福祉の維持向上や地域全体の発展という合併の大局を見据え、市町村と一緒になって考えていきたいと思います。
 また、合併しないこととなった市町村についてはさまざまな地元の事情があった結果でありますが、将来的に合併は必要と考えている市町村が大半であると認識しております。県としては、新法における県の役割も踏まえ、理想的な枠組みの合併が一日も早く成就できるよう市町村と一緒になって考えていきたいと思っております。
 次に、合併する上で市町村が抱える問題については、今後とも県としてできる限りの支援や助言を行い、早期に解決されるよう努力するとともに、市町村に対しては住民の福祉と地域の発展という合併の大局を見据えた議論が行われるよう助言をしてまいりたいと思っております。
 次に、市町村合併の進展に伴い、振興局の見直しをどう考えているかという御質問でございますが、地方分権が進展する中、住民に身近な行政は住民に身近な自治体が担うという考え方のもと、住民に最も身近な市町村において地域の課題解決を自主的にかつ完結して行えるということが最も望ましいものと認識しており、今般の市町村合併によりその機能、役割を担っていくことができるような方向で市町村の行財政基盤が強化されていくものと期待をいたしております。
 今後は、市町村への権限移譲を積極的に推進するとともに、市町村合併の動向を踏まえ、県と市町村との明確な役割分担のもと、環境や基盤整備といった広域自治体としての県が担っていくべき役割に見合った組織体制を構築していく必要があると認識しております。
 このような認識のもと総合調整機能をあわせ持つ現行の振興局制度につきましては、その抜本的な見直しを行い、県民の利便性及び現場性の観点から本庁と振興局との関係を見直すとともに、それぞれの地域において真に必要な県の行政サービスに応じた簡素で効率的な組織体制に再編整備してまいりたいと考えております。
 次に、新市である田辺市における観光と地域産業再生の構築を提起されているわけでございますが、高野・熊野の世界遺産登録を契機とする地域づくりに関しては、例えばエコツーリズムなどの新しい観光産業を地域に根づかせることにより、すばらしい高野・熊野の自然、景観を損なうことなく、同時に地域が潤う、そのことにより地域の人々の世界遺産への関心が高まる、こういった世界遺産と地域住民とのかかわりの好循環をつくっていくなど、保全と活用を調和させることが肝要であると考えております。
 合併により誕生する新田辺市においては、熊野古道のメーンルートとも言える中辺路ルートが所在することになることから、それぞれの地域のすばらしい史跡、自然景観に加え、都市アメニティー、温泉、色とりどりの食材など、間違いなく活用が可能な地域資源が存在します。その意味で、よりパワーアップした新田辺市が主体となって世界遺産を核として地域資源を活用した新たな産業づくり、地域再生に向けての取り組みが望まれるところであり、県としても精いっぱい支援をしてまいりたいと考えております。
 次に緑の雇用の今後の展望についてでございますが、本県では緑の雇用の提唱以来、積極的な取り組みを始め、紀南地域を中心に県内で四百五十一名の方々が緑の雇用で就業されております。国においてもその実績を高く評価し、緑の雇用担い手育成対策事業を制度化したのを初め、本年六月四日に閣議決定された骨太の方針第四弾にも盛り込まれるなど、緑の雇用が国家的な施策としてとらえられていると受けとめているところでございます。
 本県におきましても、現在緑の雇用で就業している方が中山間地域に定着し、地域の新たな担い手になるよう、さまざまな支援を講じているところでございます。六月十日には、国に対して本県独自の提案とともに「緑の雇用」推進県連合による共同政策提言を行い、公共施設等への木材利用の推進を含む緑の雇用総合対策の推進について強く訴えてきたところでございます。
 今後、緑の雇用の一層の充実により、過疎化、高齢化する中山間地域に新たな息吹をもたらすよう努力をしてまいる所存でございます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 新田辺市における観光と地域産業再生の構築につきましては、議員御提言のとおり、従来の観光の概念にとらわれることなく地場産業の振興あるいは自然環境の保全に観光という視点を取り入れて複合的に発展させ、国内外に情報を発信していくことが重要であると考えております。
 現在取り組んでおります体験型観光は、こうした考え方のもとに、農業や林業、伝統文化、暮らしに至るまで、地域の資源を生かして地元の人々が中心となり、訪れた人々と交流することを基本とした観光地づくりを進めているところであります。
 本県が生んだ合気道の創始者植芝盛平翁を初めとする先人の大きな遺産等を有効に活用して、地元の人々の創意工夫で新しい観光の創出が図られることを県としても情報発信に努め、支援してまいりたいと考えています。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 観光学科の創設についてでございますが、和歌山大学では、このほど観光系の新学部構想の検討を始めたと聞いております。県としましても、世界遺産の登録を契機に国内外から観光客の増加が予測される中、観光の国際化、専門化に対応した人材の育成はもとより、観光資源の活用、観光産業の振興の面からも和歌山大学の観光系学部の構想に大きな期待を抱いているところであり、その実現のため協力を行ってまいります。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 新市田辺市への森林・林業の支援についてでございますが、県全体の四分の一の林野面積を持つ新市は、豊かな森林資源を生かして林業を振興する龍神村、中辺路町、大塔村、本宮町などから受け継ぐ山間地域と、多数の製材所を有する田辺市から受け継ぐ木材の生産、加工、消費地域の両面を備えてございます。こうしたことから本地域は、現在まで培ってきた知識、技術、ノウハウ等を創意工夫により結集させ、今までにない森林・林業行政施策の展開が可能となることはもちろん、本県の森林・林業、木材産業の中核的役割を担い、現在の低迷した林業状況を打ち破る新たな可能性を持った新市として期待されているところでございます。
 県としましても、広域合併後は森林・林業や山村振興部門を受け持つ新市の関係部局と十分協議し、林道整備等の基盤整備などを積極的に支援するなど、県を代表する森林・林業都市田辺市となるよう積極的に情報の提供、助言等を行ってまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 合併に関する答弁は、聞いておりますと余り具体的、積極的な答弁でなかった感じがするわけで、私の言いたいところはもっと──私自身の考え方を述べさせていただきました。合併新法ができた上で、県として具体的に市町村そのものの主体性を尊重するというのは知事がずっと言い続けていることでありますけれども、新法に伴って県として今後どの程度今までと違ってどうかかわっていくのかということを聞きたかったわけであります。しかも知事の勧告が、現在の特例法では来年の三月末で切れますが、それとあわせて新法が抱き合わせにできたということにかかわって、今後今までの特例法でもできますけれども、新法になってどう具体的にアクションを起こしていくのかと。今までどおりでは新法ができても一緒やというのか、新法できたら県として具体的にどうしていくのかということが答弁の中で何もなかったんで、そのことをもう少し具体的に教えていただけたらありがたいなと、こう思います。
 私は、合併の論議の中で、先ほども言わせてもらいましたが、合併でお互いに損とか得するとかという問題ではなくて、その地域がどうそのことをいい意味でつくり出していくかと。隣の町には自分たちの今までの町とはまた違った町のよさがあると。それを、そういうばらばらだったものをお互いによさを持ち合って、一つの合併により地域の町づくりをしていくことによって相乗効果が発揮できるんと違うかというそういう論議をもう少し合併のテーブルの上にのせて論議をしていただけるならば、もっと市民的にも高まってくると思いますし、知事がNPO元年と言われておりますが、今後地方自治体はそういう意味では行政と、もちろん議会もありますけれども、地域住民がそこにどうかかわりながら今の地方財政の厳しい中でお互いに協力、協働しながら役割分担をして町づくりをしていくかということも──いわゆる三位一体だけが表へ出て、何か厳しい、厳しいじゃなくて、現実的に私は大変厳しい状況の中でそこに住む自分たち住民が力を合わせて一つの町づくりをしていくという展望を県行政が与えていく、支援をしていくと。そういうことを力強く打ち出してほしいなという気持ちがあったのですが、そういう点も余り積極的に言われなかったかなというふうに思います。
 もう一つは、私は昭和三十九年の田辺市と牟婁合併のことについてちょっと勉強もさしていただきましたけれども、今の平成大合併──前の昭和合併もありますけど、むしろ田辺市が旧牟婁町と合併したことによって、今はむしろ地域活性化していますね。合併させられたと言うと悪いですけど、旧村・町は、むしろ今、田辺市の全体の地域の産業や活性化を支えていると。今度の新市田辺市になった場合、町中よりも、今度合併する町村の森林・林業、または観光資源が本当に有機的に生かされながら発展するというふうに私は期待して──期待というより私たちがつくり出していく素材があると、こう考えていますので、そういう意味でも積極的に支援していただけたらありがたいという考えは持っています。
 最後になりますけども、森林問題で私は要望するということを言いましたが、実際に森林・林業の分野において新しくできる分野はほとんど県の分担になっていたわけであります。事業においても、ハードにおいても、ソフトにおいても。しかし、新市になって全体が県の四分の一を占める二五%の面積を抱え、その市そのもの全体の八九%、いわゆる九〇%が森林・林業関係に携わってくるという、もちろん観光も関係してきますけど、そういう地域においては、とりわけ今は三位一体と言っていますけど、今は都道府県の中では四位一体。いわゆる人的な役割──合併する場合には、むしろ人的派遣もやっぱり目指して、森林・林業における専門分野の県の職員をそちらへ派遣していくという部分も一つは考えていくべき時期ではないかと、こう考えているわけですが、そのことについても少し意見を聞かせていただければ、知事の見解を聞かしていただけたらありがたいと思っています。
 以上であります。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、合併について新法で県がどういう立場をとるのかということなんですが、今は各市町村とも現行法の枠内で非常に苦しみながら、新たにまた合併の枠組みで頑張っているところもあります。それからまた、苦しみながらなかなかうまくいかなくなったところもあります。そういうふうな状況の中で最終的にどんな形に落ちついてくるのか。これは和歌山県だけじゃなくて、全国的な動静というふうなことも見ながら、動態的に次の新しい法律で県がどのように対応していくかということを考えていかないといけないというふうなことだと思っておりますので、これは熱意がないというようなことじゃなくて、そういうふうな状況を注視しながら、これはもう機械的にこことこことここをひっつければいいというふうな単純なものじゃないし、国の法律ができたからそれで何もかも片がつくというほどのもんでもないというふうに今までの流れを見ていると思いますので、これは改めてそういうふうな形で真剣に対応していきたいというのが私の考えでございます。
 それから、田辺市に関して言えば、今回、例えば中辺路町、本宮町、そして大塔村、それから龍神村、こういうふうな和歌山県の中で人口はそんなに多くはないけれども、それぞれが自分のところの持っている資源を活用して非常にいい行政を展開しているところだと思いますし、熊野古道ということについても非常に関係が深いところというふうなことになっております。そういうところが合併する上で、私は皆さん非常にいろんな思いがあると思うんだけども、合併した効果が、例えば観光とかそういうふうな分野、そしてまた林業の振興とか、そういうふうなことでうまく生まれてこなかったらどうして合併したんだというふうな話にもなりかねませんので、一つは観光の問題について、有機的、広域的な連携が図れるようなことを県としてもいろんな形で支援していきたいと思いますし、林業についてはもう言わずもがな、この地域は緑の雇用についても今まで非常に積極的に対応してきてくれているところでございますので、そういうことについてなお一層の支援を行っていきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十八分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 本議場に議席をいただいて、早くも一年が過ぎました。この間、県内各地を訪問させていただく機会が幾たびかありましたが、県内には豊かな自然が残されていて、農林水産業を初め、決して大きい規模ではありませんが、各地でそれぞれの地域に見合った産業が根づいております。県民のなりわいとして、また地域の雇用の場として県民の暮らしを支えております。自分たちの町に誇りを持って一生懸命頑張っている姿も見ることができました。汗を流して頑張っている県民の皆さんを応援する県政であってほしい、そういう思いを強く持つこととなった一年でもございました。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず、国民保護法制と有事関連の法案についてでございます。
 昨年の六月議会で、憲法前文に定める平和のもとで生活を送る権利、平和的生存権についての知事の所見と今後想定される国民保護法制への対応についてお尋ねをいたしました。知事は、日本の恒久平和を願う気持ちは立派なものと思う、そして国民保護法制の必要性を認める立場から戦場になった沖縄の例を引き、保護法制の中に県民が守られるような、そういう内容となるように発言をしていきたいと答弁をされました。
 保護法制の要旨が明らかになった十二月議会でも、私、この問題についてお尋ねをいたしました。その内容というのは、日本国内の戦争被害を想定した私権の制限を含む戦時体制づくりと言えるものではないか、地方自治体が県民の生命や財産を守るという使命を優先して果たすことができるのかとお尋ねをいたしました。
 イラク戦争では、御承知のように日本人も含め多くの罪のない非戦闘員が犠牲になっています。とりわけ生まれてくる場所を選べない、政治にかかわることのできない子供が犠牲になっていることは痛ましい限りでもあります。国民保護法案には、大規模なテロも武力攻撃事態同様に対処するようになっております。昨年十一月の国会では、日本が国際テロ組織の標的になる理由として、標的とされるような米軍基地などの関連施設があり、米軍の行動に対して積極的な支持を明確にしていることなど、国家公安委員長の答弁がされています。日本は米軍のイラク攻撃にいち早く支持表明を行い、武装した自衛隊が米軍の後方支援、人道支援ということでイラクに派遣されているところでもあります。
 今、国会では、国民の生命、身体、財産の保護、国民生活、国民経済への影響を最小限にする措置と、自衛隊と米軍の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置を定めようとする有事対処法案が審議をされており、新ガイドラインに基づく日米共同作戦の一層の具体化が進められようといたしております。そのこと自体がテロや非正規の武力攻撃を受ける可能性を増していくものになりはしないか、危惧されるところでもあります。日本がテロや武力攻撃を受けるようなそういう事態をみずからつくり出さない、また武力による国際紛争の解決を許さない、そういう環境づくりを国際社会で果たしていくことが憲法九条を持つ日本の役割だと信ずるところでもあります。
 そこで、いよいよ具体化されてきたこれらの法案が、自治体と県民にどのような役割を持たせようとするのか、知事のこの問題に臨む姿勢と今後の方向について、自治体が県民の安全の確保、命や財産の保護を全うしていくためにも憲法九条の立場で奮闘すべきではないか、そういう思いから知事にお尋ねをいたします。
 一つは、国民保護法制を含む今回の有事関連法案での地方自治体の役割がはっきりしてきたと思うんですが、その役割は何なのか、自衛隊や米軍とのかかわりはどうなるのか。
 二つ目に、国際紛争の武力解決を認めない憲法九条との関係は。違反することはないのか。公務員には憲法擁護の義務があるわけですが、どのように考えておられるのか。
 三つ目に、国民保護法制で住民の命と安全はどのようにして守られるのか。軍事優先になることはないのか。
 四つ目に、県が管理をする空港、港湾の非軍事平和利用についての見解はどうか。昭和六十三年五月十日、県は、白浜空港で自衛隊機がタッチ・アンド・ゴー、離着陸訓練を行っていたわけですが、この問題について今後自衛隊機の軍事訓練は認めないという運用基準をまとめた経緯がありますが、そのことは今でも変わらないのでしょうか。
 五つ目に、海外で軍事展開をする米軍と自衛隊の共同作戦体制づくりとその推進というのは、結局は国民の生命、身体、財産の保護とは両立し得ないものと思います。平和憲法のもと、日本への武力攻撃事態が起きることを前提にしてあれこれ法律をつくることではなく、そういう事態を起こさせない道を選ぶこと、そのために尽力することではないでしょうか。知事の見解はいかがでしょうか。そのためにも、和歌山県として平和行政を確立し、県施設の平和利用を強く求めるものです。
 以上五点について、知事から一括しての答弁をお願いいたします。
 次に、社会保障構造改革についてお尋ねをいたします。
 政府の経済財政諮問会議が「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」、骨太の方針第四弾を決め、閣議決定をいたしました。政府の予算編成の基本方針となるものですが、その中に、社会保障制度全般について一体的な見直しを開始をする、今年度中に中期的な観点からの社会保障給付費の目標などの課題について論点整理を行い、今年度内をめどに結論を得るとされています。社会保障給付費の抑制を掲げているわけですが、憲法二十五条で定めている国や自治体の社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上及び増進に努めるという公的責任のあり方も問われてくることになると思います。
 平成十五年度の内閣府の国民生活に関する基礎調査では、勤労者世帯の一世帯当たりの平均所得が六年連続減少し、生活が苦しいと意識している世帯が五三・九%、過去最多になったと報道されておりました。日常生活での悩みや不安を感じている世帯は六七・二%、悩みや不安の内容は、老後の生活設計、自分の健康、今後の収入が上位になっていて、いずれも率が上がってきています。勤労所得や年金などの国民所得が減少を続ける中で、医療、介護などの社会保険料や利用時の自己負担が増大し、社会保障に対する国民の負担はふえ続けています。さらに負担の増大を求めると、こういうことになってくると、県民の暮らしにどのような影響を及ぼすのでしょうか。県民の福祉や健康を保持する使命を持つ県として、どのような対応をしていくのか、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 まず、知事にお尋ねをいたします。
 政府の社会保障構造改革についての基本的な考え方、それへの対応、県民の暮らしへの影響について、どのように考えておられるのか。
 今回の年金改正についての評価についてもお尋ねをいたします。保険料引き上げと給付額の削減が今後十四年間連続して行われることとなりました。今回の改正は国民年金保険料納入率八〇%への引き上げ、出生率の引き上げも前提にしていますが、現在の保険料金額でも六〇%の納入率でしかありません。県民生活から見ても年金制度の空洞化や無年金者の解決につながるのかどうか、心配をするところです。国民皆年金制度の維持、充実へとつながるものになるのでしょうか、知事の見解をお尋ねしたいと思います。
 第三次の和歌山県障害者計画、紀の国障害者プラン二〇〇四が今年度から十年間を計画期間として策定され、前期五年間について数値目標が設定をされました。社会福祉分野においても構造改革が進められているもとで、障害者福祉についての公的責任のあり方を初め、基本的な考え方、また計画の数値目標を達成するための財源確保をどのようにして進めていくのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 障害者プランの中で、精神障害者の社会的入院の解消が言われ、数値目標を示して入院から在宅への環境づくりが提案されています。どのように進めるのか、これも福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 最近地域を訪問させていただいて、精神障害の子供を持つ御家庭の親御さんからの相談がふえております。その多くが、親が健康な間は何とか頑張れるが、親が高齢で動けない状態になったり死亡した後が大変不安だということが共通して語られます。
 せんだって、高校生のときに発症し、二十歳以前から二十数年統合失調症で通院治療を受けている人の相談がありました。両親は既に他界し、七十歳を超えたおばさんが同居して生活をともにしていました。高校を卒業しても、働きに行っても人間関係がつくれず、仕事にならない、収入もなく、今後のことが不安で夜も寝られない日があるということでした。二十歳前に治療を受けていることが確認できましたので、とりあえず障害基礎年金の請求から始めることにしました。おばさん亡き後一人で生活できなければ、施設か入院ということになってしまいます。本人は今の家で生活をしていきたいという希望を持っています。障害を持つ人が在宅で適切な治療を継続し、地域社会の中でサポートを受けながら生活できる環境づくりが必要だと思います。
 そこで、幾つか提案をしてみたいと思います。
 現在、少人数で共同生活をするグループホームへの運営補助制度が行われておりますが、このグループホームを立ち上げるときへの支援体制がないように思います。ゼロからの出発になるわけですが、立ち上げ時の応援する施策が必要ではないでしょうか。精神障害者の高齢期に対応する入所施設、入院生活ではなくて、生活施設としてのそういう施設が必要ではないか、障害者に対応できる施設づくりが必要ではないでしょうか。
 精神保健福祉法三十二条の申請をすれば通院医療費の自己負担分が医療費の五%に軽減をされています。さらに自己負担分への助成を進めれば、障害年金での生活など、所得の低い人の受診の機会を広げることや通院治療の継続を促すためにも有効な方法だと思います。既に県内の二十八市町村が単独助成に踏み切っています。福祉医療費の一環として、県で半額補助が持てないものでしょうか。
 以上の三点は福祉保健部長に見解をお尋ねいたします。
 次の二点は、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 公営住宅への入居条件の緩和をしてはどうでしょうか。現在、五十歳以上の高齢者、身体障害者手帳の一級から四級を持つ人については単身入居の申請ができるということです。同じ障害でも一人での生活が可能な軽度の知的障害、精神障害のある人でも、単身での入居申請は認められていません。見直しが必要なのではないでしょうか。公営住宅は高齢者、障害者など、住宅に困窮する社会的弱者への積極的な供給という役割も担っているはずであります。
 公営住宅のグループホーム事業への適用が公営住宅法四十五条で規定をされています。地域での生活を支援していくためにも、公営住宅がその役割を果たしていくことは意義のあることだと思います。本県でも積極的に運用してみてはどうでしょうか。
 次に、地方自治と市町村合併問題について、お尋ねをいたします。 骨太の方針第四弾では、三位一体の改革については取り組む期間とされた平成十八年度までの全体像をことしの秋に明らかにし、年内に決定をする、三兆円程度の国庫補助負担金改革の工程表、税源移譲の内容と交付税改革の方向を盛り込むとなっています。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 三位一体の改革と地方財源の確保をどうするのか、大きな山場を迎えました。国庫補助負担金の削減、地方税財源の移譲については自治体の意見を聞いてとなっているようですが、地方自治体の一般財源である地方交付税の問題については、自治体と相談しながらとはなっていないようであります。今年度、国は地方交付税を三位一体の改革と言いながら一方的に削減をいたしました。地方交付税は、地方自治体固有の財源として全国の自治体の行政サービスの水準を平準化することと、そのための税などの自主財源を補う一般財源としての財源保障機能とがあります。今年度当初予算で、交付税の振りかえ措置でもある臨時財政対策債を含め、前年度当初比二百八十六億円の減額予算を組むこととなりました。これは県単独の普通建設事業費の三百七億円、警察費の二百九十四億円にも匹敵する財源がなくなったということです。人件費や事務事業費など百六十二億円のカットを行いましたが、今年度末起債残高見込みは一般会計で六千九百二十三億円と過去最高、基金残高見込みは五百八十四億円、ここ十年間では最低の額となっており、財政は一層厳しさを増しています。
 知事は、国への提案、要望の中で、地方交付税について明確な要望をしていないように見受けられるわけです。財源調整、財源保障の両機能を堅持し、充実を図ることはもちろんですが、地方交付税の総額については平成十六年度、今年度の大幅な削減前の水準を確保するよう措置することときちんと言うべきではなかったでしょうか、知事の存念をお聞かせ願いたいと思います。
 住民自治と市町村合併についてです。
 合併特例法の一部改正が行われました。法期限の事実上の延長となり、平成十七年、来年三月末までに議会の議決を得て都道府県知事に合併を申請すれば現行法の特例を適用する、ただし平成十八年、再来年三月末に新市町村がスタートすることとなっています。同時に、市町村の合併の特例等に関する法律、新合併特例法、これがあわせて成立をいたしました。内容は、地方交付税の算定の特例期間を段階的に短縮をしていく、合併特例債は廃止をし、地方債については特別の配慮をするという規定になっています。平成二十二年三月末までの時限立法となっていますが、また県が合併推進の構想を定め、合併協議会設置の勧告や協議会調整のあっせん、調停などができるとなっています。これまでも行ってまいりましたが、改めて法定化されたものと理解をするものですが、ただ知事の権限を行使いたしますと、勧告を受けた市町村長は議会に付議をしなければなりません。そして議会が否決した場合、住民投票の仕組みや合併協議会への勧告、調停ができる規定が新たに定められたわけです。これまで市町村合併についての県の対応や市町村での協議会設置と調整事項、この協議の状況などを見聞きする中で、ここにおいて幾つか気になる問題がありますのでお尋ねをしたいと思います。
 私は、合併するしないにかかわらず、住民自治の発揮が重要な問題ではないかと思います。これまでそれぞれの地域で一村一品運動とか町づくりや町おこし運動など、その地域の歴史、伝統、文化、産業など、特色を生かした町づくりが独自に努力を重ねて進められてきたわけです。郷土への愛着も、もちろんあります。合併によってこういった努力がどうなるのか。地域産業の振興や住民福祉を向上させていきたいという住民の願い、生活要求から出発して、住民のコンセンサスがつくり上げられていくという、こういう経過をたどる、そういう合併であるということ、そういう住民自治の力が発揮されたと言える合併であることが望ましいと考えるところです。
 合併すれば財政面からの優遇制度が利用でき、財政的に有利になると言われていますが、これは未来永劫というわけではありません。かつて一般財源なしで事業費の一〇〇%まで起債が認められ、元利償還の七五%まで後年度交付税措置がされるという起債事業がありました。これに依存を強めた自治体は、今大変な財政状況の危機に陥っております。起債の優遇措置については、今現在、国の方で地方交付税総額の圧縮が進められているもとで、将来の財政見通しのもとに検討すべき問題でもあります。合併後の住民サービス、福祉水準、使用料、国保料などの直接住民生活にかかわる調整課題を住民参加で議論を尽くすことが重要ではないでしょうか。
 県の合併問題に対するスタンスは、合併重点支援地域の指定を行い、合併推進体制の強化、合併する市町村への補助制度の拡充を行い、合併促進に向けた取り組みを積極的かつ総合的に支援し、合併特例法の法期限内までの合併を目指すというものです。しかし、県が定めた合併重点支援地域の枠組みも、当初から見れば随分と崩れてきておりますし、現在市町村ではそれぞれの自治体の協議の結果を踏まえ、住民の意向を今改めて探ろうという、そういう動きもここに来て活発化してきております。
 県が進めていることは住民自治に基づく自主的合併の促進と言えるのかどうか。最終的には合併は市町村議会での議決で決まるわけですが、地域の住民の自治意識を高め、意思を問うという過程、そういうプロセスと手続は欠かすことができない課題だと考えます。合併特例法の期限内の合併が先にあって、税、国保料、使用料・手数料など五年間の経過措置があるからといって調整課題は先送りし、とにかく合併をという進め方があるとするならば、それは合併後の町づくりにとっても決してよい結果をもたらすことにはならないと思います。
 そこで、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 知事は合併特例新法、これをどのように評価をされているのか。そして新法に定められた知事権限の行使について、どう考えておられるのでしょうか。共同通信社による都道府県知事へのアンケート調査では、全国では六割に当たる二十八人がこの権限を「行使をしない」「なるべく行使をしない」と回答いたしておりますが、知事の見解はいかがなものでしょうか。
 住民自治の発揮と特例法の期限内の合併を目指すということについて、どのように考えておられるのか。知事は機会あるごとに県民自治、県民参加の県政を唱えられております。この市町村合併についても、県民自治、県民参加の発揮が必要ではないでしょうか。合併特例法の期限内にこだわる理由、これはどういう点にあるのでしょうか。以上、知事からお答えを願います。
 総務部長にお尋ねをいたします。
 市町村合併のための事業費、これは全体でどのぐらいになるかということです。合併による新たな財政需要がどのぐらい生まれると想定をされているのか。これは市町村段階での話ですが、住民基本台帳、税や財政などの新たなコンピューターシステム、こういったソフト面での整備も必要になってきますし、公共施設や道路整備などハード面を含め、県内での総事業費、どの程度と想定をされているのか、総務部長から答弁を願います。
 合併特例債の元利償還に対して、交付税措置がされます。交付税の算定がえも行われます。従来の市町村の交付税を、合併しても従来と同じ市町村の金額を合算して交付税措置する、また合併特例債は、事業に対する九五%起債が認められ、あと事業によっては五〇%、六〇%、七〇%という後年度、高い交付税措置がされるということですが、国では今、交付税総額の抑制を進めるという方向で話が進んでいます。どこまでこの合併特例債や交付税の算定がえ、当てにできるものとなるのでしょうか。交付税財源の保障を県がすることができるのでしょうか。新合併特例法は合併特例債を廃止をすると言っています。算定がえ特例の期間も短縮をすると言っています。そのことを見ても、交付税の先行き、決して楽観することはできないと思うわけですが、総務部長の答弁を求めます。
 最後に、紀の川大堰関連の事業についてお尋ねをいたします。
 紀の川大堰は、既存の新六箇井堰を改築し、治水、利水、流量の維持を目的に昭和六十二年に建設事業に着手、平成十五年三月に本体工事が完成、同年六月から暫定運用が開始をされました。関連事業として、JR阪和線紀の川橋梁かけかえ、新六箇井堰の撤去、利水容量と毎秒一万二千トンの流量確保のための河床掘削を進めていくということ。JR阪和線の紀の川橋梁は根入れが浅く、河床掘削により転倒の危険性があるため、河床掘削に先立ち橋梁のかけかえ工事をするというように聞いています。
 紀の川大堰は百五十年に一度の確率の出水に対応することとし、毎秒一万二千トンの水を安定的に流下させる可動堰として河床の掘削により毎秒〇・二九トンの新規利水容量が生まれ、既に県と大阪府との間に分水協定が交わされております。こういった関連事業が動き出そうとしているわけですが、国の直轄事業でもありますので、当然県の負担金もついてまいります。関連事業の一つとして、県と和歌山市による河川敷を公園として整備をする紀の川リバーサイドグリーンベルト計画も策定されています。
 二月議会の予算委員会の議論で、私は国の直轄事業への負担金のあり方について、国に無批判についていくのではなくて、大滝ダム事業費の変更問題にも見られるように、事業のあり方や事業費の問題、県民生活への影響など、県としても県民に説明できるような対応が必要と申し上げてきました。
 そこで、関係部長にお尋ねをいたします。
 紀の川大堰関連の今後の事業計画と事業費はどうなっているのか。また、県の負担額は。これまでの全体の事業費と県負担の総額、幾らになると見込まれているのか。
 当初、新六箇井堰撤去に伴う紀の川の河床の掘削により排出される土砂の量、約五百万立米とも言われていましたが、排出量の計画と今後の処分方法は決まっているのか。
 紀の川リバーサイドグリーンベルト計画はどうしていくのか。
 また、関連事業による地元への影響、河川の自然環境保全上の影響はどのようなものがあると考えられているのか。左岸では大堰完成による水位の上昇で既に地下水への影響が出ており、和歌山工事事務所が対策を進めているところでもあります。関連事業での影響調査と対応はどのようにされようとしているのか。県からどのような申し入れをしていくのか。
 以上四点について、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 この問題の最後に、紀の川分水の今後の見通しと県の対応について企画部長にお尋ねをし、第一問を終わります。
○議長(尾崎要二君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 国民保護法関連の五点を一括して答弁をいたします。
 まず、武力攻撃事態等における自治体の役割についてでございますが、地方公共団体は住民の生命、身体及び財産を保護する本来的責務を負っております。したがって、有事の際においても住民生活に及ぼす影響が最小となるように対処し、住民の避難、救援などの措置を円滑に実施することが地方自治体の役割となると考えております。
 なお、武力攻撃事態等に自衛隊及び米軍の行動について一定の協力が求められることも場合によっては予想されますが、県としましては、武力攻撃から住民の生命、身体及び財産を保護するという立場から、状況に応じ適切に対処することになるというふうに考えております。
 次に憲法九条とのかかわりでございますが、憲法九条は我が国が主権国家として持つ固有の自衛権までも否定する趣旨のものではなく、自衛のための必要最小限度の実力を行使することは認められているところでございます。したがいまして、我が国に対する急迫不正の侵害があった場合、排除手段として適当な方法が他にない場合は必要最小限度の実力行使はやむを得ないものと理解しております。
 次に県民の安全確保についてでございますが、国民保護法案においては、住民の生命と安全を守るため、前もって国、県、市町村及び公共機関が連携して住民の保護の施策を適切に実施するための計画を作成するとともに計画に基づく避難等の訓練を行うこととなっており、武力攻撃事態等における公共施設の利用に際しましても、住民の保護のための措置との調整が十分に尽くされるものと考えております。
 次に平常時における空港、港湾の平和的利用ですが、昭和六十三年に定めた内規により、自衛隊による防衛訓練のための利用につきましては認めてきておりませんが、災害時の人員、物資の輸送等の平和的利用につきましては従来どおり認めてまいります。
 最後に、平和行政については、昨年六月議会においても平和への取り組み姿勢ということでお答えいたしましたが、恒久平和は国民の願いであるとともに人類全体の願いでもございます。私としても、日ごろの県政を進める上において、絶えず平和で安全な暮らしができることを念頭に置いて取り組んでいるところでございますが、万一の場合に備えて国民保護法制等の法整備も重要なことであると、このように考えております。
 次に社会保障構造改革についての御質問でございますが、近年、少子・高齢化の進展、経済基調の変化、財政状況の深刻化等を背景に、国におきまして社会保障制度全体の一体的なあり方の見直しが検討されているところでございます。社会保障構造改革の方向としましては、給付と負担のバランスを図りながら安定した持続可能性のあるものにしていくこと、利用者の視点に立った効率的で安心かつ質の高い医療福祉サービスの提供を実現していくこと、さらに社会保障制度を支えていくための次世代をはぐくむ施策などが示されているところでございます。
 社会保障制度は、人の出生から死亡までの生涯にわたって発生し得る病気やけが、障害、育児、失業、所得喪失等の社会的支援が必要と考えられる危険に対するセーフティーネットでございます。県民一人一人が生きていく上で欠くことのできない重要な社会保障制度の再構築については、今後とも関心を払いながら、必要に応じ国に働きかけをしてまいりたいと思っております。
 次に、今回の年金改正についての御質問でございます。今回の制度改正については、年金の給付水準と保険料負担の見直しを行うとともに基礎年金、国庫負担割合を引き上げる内容となっておりますが、年金制度につきましても社会保障制度の中でも国民の老後生活に欠くことのできない重要な柱であると考えており、先ほども申し上げましたように給付と負担のバランスが図られ、持続性のある制度となることが必要ではないかと考えております。こうしたことから、今回の制度改正は改正として、現役世代の年金制度に対する信頼を確保する抜本的な改革が行われるよう、引き続き検討することを望んでいるところでございます。
 次に、昨年の三位一体の改革における地方交付税とその振りかえ財源である臨時財政対策債が全国ベースで対前年度比マイナス一二%とされ、地方財政に大きな影響を与えました。一方、先ごろ発表された骨太の方針にある三位一体の改革では、三兆円の税源移譲が明記される一方で、地方交付税については抑制基調とされております。
 地方交付税の重要性については私も十分理解をしており、必要な一般財源の総額を確保するため、「平成十六年度の大幅な削減以前の水準を確保する」という表現も国に対する有効なアピールでございますが、今回の「国の施策並びに予算に関する提案・要望」においては同様の意味で、地方の財政需要及び収入の見積もりに当たっては地方の実情を十分踏まえ、的確にこれを行い、それに応じた財源保障を確実に措置するという要望をいたしております。
 さらに、今後地方公共団体の毎年度の予算編成に支障が生じないよう、地方財政見通し、三位一体の改革の具体的内容など、できる限り早い段階で明らかにし、地方の意見を反映させる機会を設けることなども含め、地方財源の確保について要望を行っているところでございます。
 次に、市町村合併についてお答えをいたします。
 合併新法においては、合併推進に係る勧告を含め、県の役割が強化されております。広域行政を担う県としては、現行特例法での合併の状況を勘案した上で、住民福祉の維持向上や地域全体の発展を考えながら新たな県の役割も踏まえ、市町村と一緒に合併推進の方策について真剣に考えていかなければならないと考えております。
 次に、市町村合併は言うまでもなく住民への説明を十分に行うとともに市町村間の協議を十分尽くすことが必要であり、各市町村においてもこの点に配慮しつつ進めているものと認識をしております。その上で、実際にいつ合併するかについては国からのさまざまな支援措置がある法期限内に行うことがより大きな合併効果が上げられるためベターであると、このように考えているところでございます。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 障害者福祉についてお答えをいたします。
 まず、県の障害者福祉についての基本的考え方でございますが、障害のある人もない人も、社会の一員として互いに人権を尊重し合い、ともに和歌山に住んでよかったと実感できる共生社会を実現するため自立生活支援などに重点を置いて取り組んでまいります。このため、福祉・保健・医療はもとより、教育・労働など各分野の連携により総合的に施策を推進してまいります。
 次に、紀の国障害者プランの実現に向けた財源確保についてでございますが、その財源の確保が不可欠でございます。県といたしましても他府県とも連携し、なお一層障害者福祉の財源の安定的確保を国へ働きかけてまいるなど、財源確保に最大限努力してまいりたいと考えております。
 次に、精神障害者の社会的入院の解消についてでございます。
 症状が安定し、必ずしも入院治療の必要はないが、地域における受け皿がないなどのため入院を余儀なくされている状態、いわゆる社会的入院の解消を図るため、紀の国障害者プランに数値目標を掲げ、受け皿となる精神障害者社会復帰施設やグループホームの整備を進めることとしております。
 また、本年度から精神障害者退院促進支援事業を実施し、入院中の方に精神障害者社会復帰施設や小規模作業所等において生活訓練等を受けていただき、退院及び社会的自立を促進し、社会的入院の解消を図ることとしております。
 次に、グループホーム立ち上げを支援する施策についてでございますが、県におきましては、地域における理解の促進を含め、グループホームの立ち上げに関するさまざまな相談に応じるとともに、グループホームの運営に必要な経費の補助を行っております。
 次に高齢期の精神障害者に対応する入所施設につきましては、高齢化により介助が必要な精神障害者の方を対象とする精神障害者福祉ホームB型の整備を進めることとしております。平成十六年度から和歌山市内で一カ所を整備する予定になっております。
 通院医療費公費負担につきましては、通常の自己負担分のうち二五%を県と国で二分の一ずつ負担し、残り五%は自己負担になっております。他の医療費助成においても自己負担の制度が導入されているところであり、精神障害者の通院医療費に対する県単独の五%上乗せ補助につきましては非常に難しいと考えております。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 精神障害者の社会的入院の解消の関係でございます。
 県営住宅への入居についてでございますが、公営住宅法におきまして、県営住宅への入居者は原則として現に同居し、または同居しようとする親族がいることが必要となっているところでございますが、五十歳以上の高齢者、身体障害者等につきましては、同法施行令により単身入居できることとなってございます。精神障害者につきましては、同施行令において単身入居できる者として規定されていないところでございますが、精神障害者の自立支援の観点から、関係部局と連携しながら将来の研究課題といたしたいと考えてございます。
 また、グループホームについてでございますが、障害者の地域における自立支援の観点から、平成十四年四月に社会福祉法人等による県営住宅の使用等に関する要綱を制定したところでございます。これまでも、短期間ではございますが、社会福祉法人によるグループホームの入居の実績がございます。今後も社会福祉法人等によるグループホームの利用につきましては、県営住宅の需給状況等に応じ、可能な限り利用の促進を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、紀の川大堰関連事業についてでございます。
 まず、今後の事業計画、県の負担額についてですが、本体工事は既に完成しており、関連事業を含めた全体事業の完了予定年度は平成二十一年度となっております。今後の主な事業は、JR阪和線橋梁かけかえ、新六箇井堰撤去、河道掘削及び低水護岸整備となっております。この紀の川大堰事業の全体事業費は千百十億円であり、平成十六年度以降の残事業費は約三百五億円となっております。
 県の負担額は、平成十五年度までで約九十六億二千万円であり、平成十六年度以降の負担額は、本年度の負担率で計算いたしますと約二十七億三千万円となる見込みでございます。
 次に河床掘削による土砂量と処分方法についてですが、掘削土量は全体で約五百万立方メートルであり、現在までに約八十万立方メートルの掘削が行われていると聞いていますが、今後の予定量については、近年の状況変化等を踏まえ、現在精査中であると聞いております。掘削土は、河川砂利としてコンクリート用骨材に利用されており、今後とも骨材として有効活用できるよう措置していくと聞いております。
 次に紀の川リバーサイドグリーンベルト計画でございますが、これにつきましては、財政状況、県民のニーズを見ながらその整備のあり方について検討してまいりたいと考えてございます。
 次に地元への影響、河川敷の環境保全についてですが、国土交通省では周辺地域への影響調査及び河川環境調査を実施しながら事業を進めているところであり、議員御指摘の地下水への影響対策としては鋼矢板の打設による対策工を実施する予定であると聞いております。今後とも周辺地域への影響にも十分配慮した治水・利水、環境保全のバランスのとれた事業が進められていくものと認識しており、本県としても必要な調整を行ってまいります。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併についてお答えをいたします。
 合併に係る事業費につきましては、合併の規模や合併前後に行う事業などによりまして市町村ごとにさまざまな相違が出てまいります。合併により必ず必要となる事業としましては、電算システムの統合が挙げられます。統合経費はケース・バイ・ケースですが、目安としては旧一市町村当たり約一億円程度と承知しており、県としましては昨年度から補助金により支援をしているところでございます。また新庁舎の建設につきましては、県内の合併協議においては既存の庁舎を利用する例が多いと承知しております。その他少額ではありますが、さまざまな経費が必要となってくると思われますが、交付税措置や国の補助金等の必要な財源措置がされております。
 また、合併に伴うハード事業につきましても、事業規模や内容は市町村ごとにさまざまですが、合併特例債等の必要な財源措置がされているところでございます。
 次に、合併特例債につきましては発行期間が合併後十年間であり、償還期間が十年から二十年にわたります。したがいまして、交付税措置が必要な元利償還は平成十七年度より二十年から三十年かけて行われることとなり、交付税総額の規模を考えた場合、単年度当たりの負担はそれほど大きくはないと試算しております。また、国の方でも全国での特例債発行総額等を推計した上で制度設計を行っておりますので、財源は確実に措置されるものと考えております。
 また、合併算定がえにつきましては、現行の旧市町村単位での算定を当分継続する特例でありますため、毎年度の交付税算定において確実に措置されるものでございます。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 大阪府への分水につきましては、昭和六十二年の協定において合意されたものであり、当初毎秒約三トン予定されていたものが、その後の大阪府の水道計画の変更により、現在、毎秒一・六トンにされております。必要となる水源確保につきましては、今後、国等と話し合いを進めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 時間も追ってきましたので、知事に三点ばかり再度お尋ねをして、あと幾つか要望をしておきたいと思うんですが。
 一つは新合併特例法で、新たに県の知事の権限ということが法定化されたわけですが、それの行使についての意思について知事に問うたわけですね。知事は、新たな県の役割を踏まえ、今後市町村と真剣に相談をしていきたいという趣旨の答弁をされたと思うんですが、これは、私が聞いた新合併特例法での知事の権限を行使をするということも含めてのお考えなのか、その辺が少し明らかになりませんでしたので、その点をはっきりと聞かせていただきたいと思うんです。
 もう一つは、私は、住民自治というのが大変大事だよと。合併するしないにかかわらず、自分たちの町の将来のあり方をやはり自分たちで決めていく、そのことが後々合併した後の町づくりにも生きてくるだろうと思うんです。
 今、合併特例法の期限が迫っております。その期限内での合併と住民自治がどう発揮をされたのかというとこが私は非常に大事な問題だと思うんですね。知事は、十分な説明と十分な論議が必要と考えるという話がありまして、それで特例法期限内の合併がベターであるよというお答えだったと思うんです。確かに財源的な措置というのはそういう点があるでしょうが、しかしそれが住民合意とか、住民自治を無視をしたというんか、住民不在の形で進められていくということは、私は問題じゃないかと思うんです。その点について、知事は特例法期限内の合併を推進するという立場だと思うんですが、住民合意、住民のコンセンサスということについてどう考えておられるのかということを二点目、お尋ねしたいと思うんですね。
 三点目に、合併特例債とか交付税の算定がえ措置とか、総務部長は財源措置は確実にされると。それはしかし、交付税の算定の方法が基準財政需要額に積み足しをするということで、実際の金額として交付税総額が確実に入ってくるかどうかというのは、これはだれも言えないと思うんですよね。今、全体として国の交付税総額を圧縮をしていくと。実際に和歌山県でも市町村でも交付税額を減らされてきているわけですから、それがこれによって交付税がぼんとふえるということは一体だれが言えるのかというのはね。だからこそ交付税総額をきちんと確保してくれということを言っているわけでしょう。されるんだったら別にそれほど特段言う必要はないわけで。だから、そういう問題もあるんだということと。したがって、合併をしなく、自立を選んだ自治体でも、合併をしてやっていく自治体についてもきちんと地方税財源の確保はどうしても目配りしていかなくてはいけないと。
 今、合併を推進するために行政需要がある──いろんな特例債とか県の補助制度というのもあるわけで、じゃあ自立を選んでいった自治体に対するそういう地方税財源の拡充を進めるという、そういう援助もやはり県としては大事なスタンスではないかと思うんですが、そこのところを知事はどう考えておられるのかという、この三点お聞かせ願いたいと思うんです。
 それと、障害者福祉の問題で福祉保健部長から、私はグループホームへの立ち上げ時の補助、応援策が必要ではないかと聞いたんですが、立ち上げ時についての支援体制をどうするかということでのお話はなかったと思うんですね。現在は立ち上げてから運営する補助をやっているよということですが、立ち上げ時にどうするのよというとこでも、これもきちんと目配りをして、ぜひ今度の障害者プランの中でも何カ所にするということがあるわけですから──今、産業支援室の方でもゼロから始める事業を応援しようということで、いろんな施策をやっていると思うんですね。そういうことも含めて、これはぜひ検討していっていただきたい。
 それと、精神保健福祉法三十二条の申請で自己負担が五%になっているわけですが、非常に難しいという答弁でした。財政上難しいということだろうと思うんですが、しかし都道府県段階では、青森や熊本を初め、既に障害基礎年金の受給者を含めて九つの県が県単の助成に踏み切っているわけですね。ここは財政が豊かなのかといえば、決してそうではないと思うんです。どこも大変な思いをしながら、やはりこういう助成制度を少しでもふやしていこうという政策が必要だと。その政策をつくっていくためにその時々の何が必要なのかという、そしてその事業効果とか、政策の必要性というのは当然勘案されると思うんですが、今、障害者プランで言っている入院から在宅への移行という過程の中で、こういった外来治療費への自己負担分を助成するということも政策的には意味があることではないのかなと、そういうふうに思いますので、今、非常に困難だというお話がありましたが、そういうふうにぴしゃっと門を閉めるんではなくて、少しちょっとまあ考えてみようかなということで進めていただきたいということを切に要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、第一点目の新しい法律で知事の権限を行使するかしないかということですけれども、これは法律ができ上がって、そしてまた今後の状況を見た上でするべきかすべきでないかということを私は判断していくということで、今の段階からしませんとか、絶対しますとかいうふうな性格のものではないということを申し上げたわけです。確かに、そういうふうなことの権限を行使することが地方分権ということから好ましくないという一定の考え方もある。これにも私は十分理解を示しますけども、だけどやはり大きな世の中の流れの中で、和歌山県下の市町村がどういうふうな形でなっていくのが一番いいのかということに責任を持っていることも確かなことです。そしてまた、国の法律でそういう制度がつくられたということがあるわけなんで、その状況がはっきりしないうちから、やりませんとか、やりますとかいうふうなことを言うのは、これは必ずしも責任のある態度ではないというふうに考えているということでございます。
 それからもう一つ、合併の期限が迫っていると。お金の問題で合併云々ということを考えるべきではないというのは、もうそれはおっしゃるとおりだと思います。お金のことで考えたらこれは本末転倒になるんで、主客転倒という形になる。それはもうおっしゃるとおりであると思いますけども、しかしながら、この手のことはいつまでもだらだらといろんなことをやっていてもなかなからちがあくものでないということも、これ、一つの現実なわけです。その中で、各市町村長の人とか議会の人とか、それから住民の人たち、いろいろ苦労しながら期限ということを一つの目安にして一生懸命努力を重ねてきているので、それに対して県はいろんな形で支援をしていっているというふうなことでございます。
 それから、この三番目の財源措置の問題、これは確かに非常に難しい問題です。交付税総額は、御案内のようにことしも減ったわけです。そして、そうした合併のことについて対応できるかというと、その分については確実に対応できるということを総務部長は申し上げたわけです。トータルは減っていっても、ここで合併したところの合併特例債についてこういうふうな交付税措置をするということは、これは国が約束したことだから、その部分は当然のことながら算定の中に入ってくることは、これは間違いありません。それまでやめてしまったら、これはうそをついたことになりますから。ただ、当然のことながら、あるところが確保されればあるところ──別にさほど約束していないようなところが圧縮されて、それが全国の自治体に薄まきになって影響を及ぼすということはこれは当然のことなので、それが最近は薄まきでなく、大きく影響を及ぼすようなことになっているから、そんなことにならないように交付税総額というものをドラスチックに減少させるというふうなことはやめてほしい、地方自治体が成り立ち行かないようになるのでということを強く要望していると、こういうことでございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間六十分が過ぎておりますが、再々質問をされますか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、規制改革・民間開放推進についてお尋ねをいたします。
 本年四月、民間有識者でつくる政府の規制改革・民間開放推進会議が初会合を開き、五月には閣僚がメンバーとなる規制改革・民間開放推進本部も発足し、規制改革の新たな体制がスタートいたしました。企業や国民の活動に対する公的規制を廃止・緩和する規制改革が経済を活性化し、生活者本位の経済社会システムを実現するために効果を上げてきております。規制改革を進めるには、規制が本当に住民のために役立っているのか、規制のコストが便益を上回っていないか、従来のように安易に行政に依存し、隠れた高コストを負担し、個人の選択幅を狭めていないかなど、見定める必要があります。
 本年三月に閣議決定された規制改革・民間開放推進三カ年計画では、平成十八年度までに重点的に取り組む規制改革として、一、株式会社による医療機関、学校、農業の経営解禁の検討、二、公共施設の民間による管理運営、建設所有の推進、三、公共サービスの民間委託を可能にする制度改革などが挙げられております。国や地方自治体の施設の管理運営や行政サービスを民間に開放することで、サービスの向上や効率化を図るものであります。推進の手段として、市場化テスト、いわゆる官民競争入札制度の導入が検討されています。
 また、平成十五年九月に施行された地方自治法の改正案では、地方公共団体の出資法人等に対する管理の委託制度から施行後三年以内を期限に出資法人以外の民間事業者を含む地方公共団体が指定する者、仮称指定管理者による管理の代行制度へ転換することになります。
 本県では現在、県営施設の管理は直営と県民文化会館など文化施設は財団法人文化振興財団へ、紀三井寺公園などスポーツ施設は財団法人スポーツ振興財団へ、福祉施設は社会福祉法人福祉事業団など出資法人に委託されてきています。
 平成十五年から利用料金制の導入により料金収入等は法人の収入となり、その分、一般財源からの委託料が軽減され、経営努力が求められてきました。しかし、料金収入のうち県民文化会館駐車場やビッグ愛・ホエール駐車場は年間ほぼ一億円程度の料金収入があるため、外部委託の場合は一考を要するものと思われます。宮崎県では、公の施設の改革として、指定管理者制度が導入されたことから、公の施設等を民間へ移譲、廃止等を含めて効率的な運営管理方策を全庁的に検討しております。
 さらに、本年六月に改正されました道路交通法では、警察官や交通巡視員にかわって駐車違反の取り締まりを民間委託できる新制度が二年以内にスタートいたします。この制度は、入札で選ばれた民間会社などが違反を記録し、標章を張りつけ、違反の有無は警察が判断するとしております。
 そこで、木村知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 本県では公共施設の民間管理・運営及び公共サービスの民間委託に、指定管理者制度の実施を踏まえ、今度どう取り組まれるのか。
 二、企業局が平成十六年度末で廃止されることが検討されています。廃止に至った経緯はどうか。また、最近では広島県が既に公営電気事業を中国電力株式会社に事業譲渡していますが、本県の公営事業である電気、工業用水、駐車場、土地造成の各事業に対してどう対処されるのか。
 三、駐車違反の取り締まりを民間に委託することにどう対応されるのか。
 以上三点、お尋ねいたします。
 二点目でございますが、介護保険制度の現状と今後の見直しについてお尋ねいたします。
 平成十二年四月からスタートした介護保険制度は五年目に入り、同法附則の「発足五年後をめどに見直しをする」との時期を迎えました。制度発足より平成十五年十二月までの間に六十五歳以上の高齢者の数が約一二%増加したのに対し、要介護認定を受けた人々は約三百七十一万人と七〇%もの増加率となりました。保険料と税金と原則一割の利用料金で賄われる財政規模も平成十六年度予算案では六兆一千億円に増加し、早くもその肥満体質が指摘されています。
 要介護認定を受けた約三百七十一万人の内訳を見ますと、要支援、要介護一でほぼ百七十四万人と認定者総数の半分近くを占め、この軽度の認定者数が発足時に比べて倍増しました。さらに、軽い症状の人が悪化するケースも多く、介護サービスが結果的に高齢者の生活機能の改善に結びついていないという実態がわかってきました。このため、厚生労働省は筋力トレーニングや食生活改善の指導を新たに加え、軽度の場合は、まず予防サービスの先行利用を義務化しようとする取り組みが行われております。
 また、少子高齢化の進む中で、要介護高齢者のほぼ半数は痴呆の影響が認められる状況にあり、今後、痴呆性高齢者の増加、ひとり暮らし世帯の増加等を踏まえた新たなサービス体系の確立が急務であります。痴呆性高齢者への対応は、早期発見、相談体制の整備、介護と医療の連携の強化が必要であります。さらに、痴呆対応型共同生活介護、いわゆるグループホームやケアハウスなどの充実が求められています。また、介護サービスを総合的に提供する小規模多機能サービス拠点の普及が今後の課題であります。特別養護老人ホームが地元の公民館や民家を借りて職員が出向き、デイサービスを行うサテライト方式やユニットケア型に施設を変える取り組みも必要となっております。
 そこで、知事並びに福祉保健部長にお尋ねいたします。
 一、介護保険制度の現状をどのように考えているか。また、要介護度の悪化を防ぎ、生活機能の向上を図る介護予防や筋力トレーニングなど介護予防プログラム開発など、今後どう対策を進められるのか。
 二、痴呆性高齢者の増加に対してサービス体系の整備をどう進めていかれるのか。
 二点、お尋ねをいたします。
 次に、負担のあり方についてお尋ねいたします。
 介護保険料は、第一期が県平均月額二千九百十円でスタートいたしました。発足後三年目に保険料の改定が行われ、第二期目の保険料は県平均二一・二%増の三千五百二十七円になりました。しかし、要介護認定者の増加等の要因で介護費用は年間約一〇%程度伸びており、次期改定となる平成十八年にも保険料の増額が予想されています。今後、一号保険料については被保険者の負担能力をきめ細かく反映したものとなるよう、設定のあり方を見直す必要があります。特に、負担能力の低い人々に対する軽減措置が必要であります。
 そこで、保険料の収納状況及び赤字団体の状況はどうなっているのか、今後どう対策されるのか、お尋ねをいたします。
 次に、制度運営のあり方についてお尋ねをいたします。
 介護サービス市場は、公的財源で支えられている他の分野と比較して、多様な事業主体の参入が認められております。これは、民間の活力をより生かした形で制度の定着を図ろうとしたことが要因と考えられます。
 一方、事業者の不正行為も発生し、サービスの水増し請求、偽装請求、スタッフ不足、無資格者による従事などで、発足から三年間で全国で百二十一事業者が介護保険適用の指定を取り消されています。本県においても四事業者が指定を取り消されました。さらに、介護サービスに従事するヘルパーさんが首や腰のヘルニアになる人もあり、事業者がヘルパーの健康管理にも取り組む必要があります。また、保険者である市町村が制度の運営、財政責任を持つ観点から、給付に対する点検や事業者への立ち入り権限を与える必要があります。
 そこでお尋ねいたします。
 一、事業者の指定、指導監督について、事業者指定に更新制度の導入や介護サービスの第三者評価の実施により質の向上を図られてはどうか。
 二、保険者において国民健康保険で実施しているレセプト点検等により過度な医療費請求をチェックしていますが、介護保険の場合も介護費用の適正化への対応はどうか。
 三、中核市を初め市町村へ、事業者の指定、指導監督など、実施できるものは移譲されてはどうか。
 以上三点、お尋ねいたします。
 次に、和歌山市内の街路事業に関連してお尋ねいたします。
 昨年四月に第二阪和国道の和歌山北バイパスが開通し、紀の川を渡る紀の国大橋により市内南北の交通渋滞の改善が図られました。しかし、和歌山市東部から市内に至る道路は、交通量の増加の要因もあり、交通渋滞が激しく、県民の方々からその改善を強く求められております。特に国道二十四号線和歌山バイパスが平成十一年に永穂─小豆島間が供用開始され、紀州大橋を含む二・四キロの四車線化が急がれております。国道二十四号線と接続する都市計画道路市駅小倉線は和佐中から県道岩橋栗栖線までの一・一キロは工事中であり、県道岩橋栗栖線から国道二十四号線までの一・四キロは用地買収を進めております。
 問題は、国道二十四号線との交差部が国、県、市で協議調整を進めていますが、立体交差とのことで、地権者の方々の協力をいただくのに時間を要していることや、市施行部分が全くおくれている現状にあります。県民の方々は、国道二十四号線との交差部は平面交差にして東側を早期に暫定供用開始することを望んでいます。
 また、梅雨期を迎え、大雨による冠水で通行どめとなり、市内の交通渋滞を引き起こす宮街道の田中町アンダーの冠水対策については、県と和歌山市が協力して公共下水道事業と道路事業として実施、本年当初予算で道路環境受託工事事業として一億五千万円が計上されましたが、早期完成を願っているところであります。
 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 一、国道二十四号線和歌山バイパスの紀州大橋を含む二・四キロの四車線化工事の進捗状況と供用開始はどうか。
 二、都市計画道路市駅小倉線の第一工区、第二工区の進捗状況と供用開始はどうか。また、交差方式をどのように考えているのか。
 三、都市計画道路和歌山港鳴神山口線の田中町アンダーの冠水対策の進捗状況と供用開始はどうか。
 以上三点、お尋ねいたします。
 次に、子供の生命と安全を確保するための対策についてお尋ねいたします。
 安全な場所であるはずの学校も、最近は必ずしもそうとは言えない状況になっています。平成十三年六月の大阪教育大附属池田小学校での殺傷事件を初め、昨年十二月には京都府宇治市の小学校で傷害事件が起きるなど、学校への不審者侵入事件が相次いでいる中、本年六月一日には長崎県佐世保市の小学校の校内で六年生の女児が同級生をカッターナイフで切りつけて死亡させる痛ましい事件が起こりました。警察庁の調べによると、学校などで発生した凶悪犯は平成十五年度で九十九件に達し、この七年間で倍増し、住居侵入も二千六百六十件に急増しています。
 学校外でも、大阪府熊取町の小学女児行方不明事件、路上や公園で子供が突然殴られたり切りつけられたりするなどの被害も増加、特に凶悪犯罪の被害件数がふえており、二十歳未満の少年に対する殺人、略取誘拐、傷害などの凶悪犯罪は平成十五年度、二千二百四件に達し、この十年間でほぼ倍増いたしました。
 こうした子供への犯罪を防止するためには、学校や住宅、町並みを犯罪が起こりにくい設計に改善するとともに、不審者を常にチェックする監視の目を強化するため、学校や警察、地域住民などの連携による総合的な対策が求められております。
 文部科学省は平成十五年二月に本県の全小中高校に対して、「学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル」を配布しており、県教育委員会は各学校に防犯マニュアルの策定を指導してきました。県警察本部では、子供一一〇番の家であるきしゅう君の家を設置し、子供の安全に努めてきております。
 和歌山市では、池田小学校の事件の後、民間警備会社に委託して小学校の警備、巡視活動を実施、さらに寄贈していただいたり、PTAが費用を負担するなどの方法で小学生に防犯ブザーを配布する取り組みが十校で実施されております。また、県警北署と松江連合自治会、老人クラブが協力して、学校の帰宅時間に合わせてお帰りパトロールを実施、地域の方々から「お帰り」と声をかけられると、元気に「ありがとう」と答える姿が大きな反響を呼んでおります。
 そこで、教育長並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 一、学校における子供の安全対策として、学校ごとの防犯マニュアルの策定、学校施設の改善、防犯訓練の実施はどう推進されているのか。
 二、通学時の安全対策として、小中学生全員に防犯ブザーを公費で配布されてはどうか。また、学校、警察、地域住民の協力で巡回パトロールや登下校時の声かけ運動を県下で実施されてはどうか。
 三、防犯町づくりを推進するため、市町村ではまちづくり交付金を活用して、防犯環境設計に基づいた公園、駐車場、道路、公衆トイレなどの改善整備を推進して犯罪抑止を図られてはどうか。
 四、学校、幼稚園を初め、公園等の遊び場の安全性を確保するため、遊具の安全点検を定期的に実施するとともに遊具の不備に対する迅速な対応の推進をされているか。
 以上四点をお尋ねいたします。
 次に、子供にとって家庭が安全な場所であることは当然のことであります。野生の動物の世界にあって、弱肉強食の生存競争の中で危険と背中合わせしながら子育てに取り組む姿は感動を呼びます。しかし、現代社会では子供に満足に食事も与えず死なせるという痛ましい児童虐待事件が相次いでいます。警察庁の調べでは、昨年一年間に発生した児童虐待事件は百五十七件で、被害児童数は百六十六人といずれも前年に比べて七、八%ほど減少しているものの、死亡した子供の数は前年の三十九人から四十二人へと増加しております。
 平成十二年十一月に施行された児童虐待防止法は今国会で改正され、本年十月一日から施行されます。改正点は、一、児童虐待の定義の拡大、二、早期発見のための通告義務の強化、三、警察の関与強化などが盛り込まれています。また、児童虐待防止対策等の充実強化を図る児童福祉法の改正案が国会で審議中であります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 一、本県における児童虐待の現状と児童虐待防止対策の中心機関である児童相談所の体制強化にどう取り組まれるのか。
 二、児童虐待の予防や解決のための児童相談体制の充実、児童虐待防止、市町村ネットワークの確立、育児困難家庭に対し虐待を未然に防止するための育児支援家庭訪問事業など、児童虐待防止対策の充実にどう取り組まれるのか。
 以上二点をお尋ねいたしまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 少子・高齢化や国際化、また情報化が進む社会において、ますます多様化、複雑化する住民ニーズに行政だけで対応するには限界があるとともに、これまでの画一的、均一的な行政サービスでは住民の十分な満足を得ることが困難になってきております。
 このような状況の中で、官から民へという考え方のもと、効率的で、かつ住民ニーズにこたえたサービスの実施が図れるよう、民間事業者のノウハウを活用した行政サービスの提供が重要であると認識をいたしております。
 今後、県といたしましては、県民の権利義務に直接かかわるような業務などについては基本的に引き続き担っていくことが重要であると考えておりますけれども、公共施設の管理運営、また県民生活の向上を図る業務などについては、民間事業者の創意工夫を通じた効率的な行政サービスの実施が図れるよう、できるだけ民間にゆだねていくことが重要であると考えております。
 なお、指定管理者制度につきましては、既存施設への平成十八年四月の導入に向け、現在、基本方針や導入に当たってのスケジュール、選定基準などを盛り込んだ指定管理者制度に関する指針の策定について検討をいたしておりますが、冒頭の提案説明で申し上げましたとおり、新たに設置する県立情報交流センターにつきましては指定管理者制度を導入することといたしております。
 次に介護保険制度の現状と今後の対応についてでございますが、高齢化の進展に伴う介護費用の増嵩や痴呆性高齢者の増加等により介護サービスの質の向上、痴呆ケアの確立など、さまざまな課題が出てきているところでございます。特に、介護サービスが制度本来の目的である高齢者の自立支援に向けた仕組みとなっていないことが指摘をされており、議員御指摘のように、介護予防あるいは要介護度の悪化を防ぎ、高齢者の生活機能の向上を図っていくことが重要であると、このように考えております。
 こうしたことから、県といたしましても、今年度、県、モデル町、和歌山大学が共同して筋力向上トレーニングの考え方を取り入れたわかやま高齢者運動推進事業を実施することとしており、今後、この事業で蓄積されたノウハウを県内の市町村、介護事業者等に提供、普及することにより介護予防のさらなる推進を図ってまいりたいと、このように考えております。
○議長(尾崎要二君) 企業局長西 芳男君。
  〔西 芳男君、登壇〕
○企業局長(西 芳男君) 企業局の廃止に至る経緯と公営事業の対応についてお答えいたします。
 まず、企業局の廃止を検討するに至った経緯についてでございますけれども、企業局は昭和三十三年の発足以来、時代の要請にこたえながら県政の主要なプロジェクトに対して重要な役割を果たしてまいったところでございます。しかしながら、企業局が担ってまいりました県の重要施策である企業誘致のための土地造成事業が本年三月の日高港造成事業の完成をもって終了し、また当面、県が関与を予定している新規事業への取り組み計画もないことから、本年度限りで企業局廃止を検討しているところでございます。現在、事業の知事部局への編入について、関係部局と協議を行っております。
 次に各事業の対処についての考え方でございますけれども、まず電気事業につきましては、平成二十二年度からと予測されております電力の完全自由化に対応するための方策としまして、電気事業者への業務の委託または施設の譲渡を検討しております。
 工業用水事業につきましては、料金改定や海南、有田両市への施設の一部移管を行ってまいりましたが、今後より一層の経費削減に向け、業務委託等を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 土地造成事業につきましては、計画しておりました企業用地造成工事が終了いたしましたので、今後は完成土地の販売等を通じ雇用の創出や税収増による地域振興を進めるため、企業誘致施策等と組み合わせて一元的に対応していくことが重要であると考えますので、そうした方向で調整をしてまいりたいと考えております。
 最後に、大新公園地下駐車場事業につきましては利用者の増加を図るために去る平成十五年十一月から料金改定を行い、現在に至っておりますが、採算がとれる状況にはなってございません。今後の対応につきましては、駐車場の必要性あるいは採算性を議論する中で検討をしてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、企業局が果たしてきました役割を見直すことによりまして、よりスリムで効率的な行政システムが構築され、県勢活性化につながるように取り組んでまいりたいと考えております。よろしくお願いします。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 介護保険制度の現状と今後の見直しについてお答えをいたします。
 まず最初に痴呆性高齢者へのサービス体系の整備についてでございますが、議員御指摘のとおり、要介護高齢者のほぼ半分は何らかの介護を必要とする痴呆の高齢者と考えられており、身体ケアのみではなく、痴呆性高齢者に対応したケアを高齢者介護の標準として位置づけるべきと考えております。
 県としましては、これまでも痴呆性高齢者グループホームの整備を進めるとともに、その介護職員等に対し、痴呆介護研修を実施しているところでございます。今後は、これに加えて、県民に対する痴呆に関する正しい知識の普及や地域全体で痴呆性高齢者を支える仕組みづくりなどの取り組みが必要であると考えております。このため、本年度におきまして、痴呆性高齢者及びその家族を支援するための地域ネットワークづくりを野上町及び美里町においてモデル的に進めることとしており、今後、モデル事業の結果を踏まえ、地域の特性に応じた痴呆性高齢者の地域ケアを普及してまいります。
 次に、介護保険料の収納状況及び赤字保険者の状況と今後の対策についてでございますが、第一号被保険者の介護保険料の収納率は、平成十二年度から平成十四年度までの県下平均で九八%を超える収納率となっております。
 また、保険者である各市町村の保険財政ですが、介護給付費が当初見込みを上回ったこと等により平成十五年度で県内の六保険者が赤字となる見込みであり、今後、介護費用の増嵩により、これ以上の保険者が赤字になることが予想されます。
 県としましては、本年三月一日に和歌山県介護給付適正化対策本部を設置したところであり、各市町村に対し、給付と負担とを踏まえた総合的な地域ケア体制の確立、国民健康保険団体連合会の給付分析照合システム等を活用した介護給付適正化のための事業者指導、介護予防対策の普及などを助言することによりまして県内各市町村の介護保険財政の安定化に取り組んでまいります。
 次に事業者の指定、指導監督についてでございますが、議員御指摘の更新制については介護保険法の改正事項に係る問題ですが、不正事業者への監視監督権限の強化のため、更新制の導入等につき、介護保険法の改正に盛り込むよう政府に対し要望しているところでございます。
 また、介護サービスの第三者評価についてでございますが、第三者評価は、事業所が現に行っている事実を前提として、第三者が客観的事実に基づき確認し、その結果のすべてを定期的に開示する仕組みでございます。この評価のプロセスを通じて事業所自身によるサービスの質の改善への取り組みが促進され、ひいては介護サービス全体の質の向上も期待されるところです。
 県としましては、平成十六年度におきまして平成十七年度以降の本格実施を目指し、訪問介護や特別養護老人ホームなど七サービスを選定し、モデル的に事業を実施することといたしております。
 次に介護給付の適正化についてでございますが、本年四月から全国で介護事業所、利用者、介護給付等の各種情報を突合、分析し、不適正給付の可能性のある事業所を抽出することができる国民健康保険介護給付適正化システムが本格的に稼動されております。このシステムを活用しつつ、保険者たる市町村と事業所を指導監督する県がお互いに役割を分担し、緊密な連携を図りながらより一層の介護給付の適正化を図ってまいります。
 市町村への指定、指導監督権の移譲についてでございますが、議員御指摘のとおり、現行法上、市町村は事業者への文書の提出や質問等の権限しかなく、十分な指導監督権限を持っているとは言えない状況であります。県といたしましても、地域に密着した市町村が事業者を直接指導監督する必要があると考えており、その権限強化につきまして政府に対し要望を行っているところであり、国におきましても介護保険法の見直し議論の中で検討が行われております。
 次に、児童虐待の現状と児童相談所の体制強化についてでございますが、本県の児童相談所における虐待の相談処理件数は、平成十四年度は百八十六件に対し十五年度には二百十八件と、過去最高となっております。さらに、児童相談所の職権による一次保護など困難なケースや虐待を受けた児童の児童福祉施設への入所割合が増加するなど、児童虐待への対応は早急に取り組むべき課題でございます。このため、児童相談所では、児童福祉司の増員や担当者が困難事例に的確に対応できるよう研修を実施し、職員の専門性やカウンセリング力の向上を図るとともに、児童精神科医による子どもメンタルクリニックの開設、子どもと家庭のテレフォン一一〇番による電話相談、親権等法的な問題に対応するための専門弁護士を配置するなど、相談体制の充実に努めております。
 今後とも、児童虐待などの児童と家庭をめぐる諸問題に適切に対応できるよう、児童相談所の体制強化に取り組んでまいります。
 次に、児童虐待防止対策の充実についてでございますが、現在、国会で審議中の児童福祉法改正案では、児童虐待防止対策等の充実強化を図るため、市町村を児童に関する相談をまず受けとめる機関と位置づけるとともに、児童虐待防止関係機関の連携を強化するための要保護児童対策地域協議会、いわゆる児童虐待防止市町村ネットワークを設置できることが盛り込まれております。
 児童虐待は一つの機関だけでは解決が困難であり、市町村域における相互の緊密な連携に基づく一体的な援助が極めて重要でございます。県内においては五市町村で自主的なネットワーク協議会がつくられていますが、さらに各市町村に対し、議員御指摘の児童虐待防止ネットワーク協議会の設置を強く働きかけるとともに、児童虐待防止対応マニュアルを作成するなど、市町村での児童相談体制の確立を支援してまいります。
 また、養育困難家庭に対して保健師や保育士等が訪問して具体的な育児に関する技術支援を行う育児支援家庭訪問事業を実施し、児童虐待の未然防止に努めることとしております。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 和歌山市内の街路事業に関連して、まず和歌山バイパスの関係でございます。
 二十四号和歌山バイパスにつきましては、紀州大橋を含む残る二・四キロの四車線化に向けた事業を進めており、昨年度末に紀州大橋下り線の橋梁上部工工事に着手し、今年度も引き続き橋梁上部工工事を進め、平成十九年度に二・四キロの供用開始を行う予定と聞いております。今後とも早期供用が図られるよう、国へ働きかけてまいります。
 次に都市計画道路市駅小倉線についてですが、第一工区、松下公園前市道から県道岩橋栗栖線までの延長一・一キロにつきましては本年九月の供用を予定しております。残る第二工区、県道岩橋栗栖線から国道二十四号交差点まで延長一・四キロにつきましては、平成十五年度末時点で事業の進捗率は六四%であり、平成二十年ごろの供用を目途に事業の促進を図っております。
 また、市駅小倉線と国道二十四号との交差方式につきましては、市駅小倉線の全体四車線のうち中央直進二車線を立体にする形状にするということで、国道二十四号の管理者である国土交通省と協議中であります。関係機関との協議が調い次第、地元の皆様の御協力をいただきながら事業の円滑化を図り、一日も早い供用を目指してまいります。
 次に田中町アンダーの冠水対策でございますが、和歌山市の協力を得て事業を進めており、平成十五年度には和歌川から田中町アンダーまでの排水管布設工事のうち、両端取りつけ部を除き完成しております。残る排水管布設やポンプ設備についても逐次工事を進めており、六月中に最後の工事を発注し、できる限り早期の完成に向け取り組んでいるところでございます。
 次に、まちづくり交付金を生かした防犯町づくりの推進についてでございますが、まちづくり交付金は今年度新規創設された制度でございます。本制度は、市町村の自主性、裁量性を発揮できる制度となっており、県といたしましても個性的で魅力ある町づくりを支援する手法として認識し、積極的にその活用を市町村に働きかけているところでございます。
 子供や高齢者を含む歩行者、自転車利用者の安全確保をコンセプトとした町づくりについては、既に幾つかの市町村で取り組まれているところでございます。さらに犯罪防止の観点からも、この制度を活用した公園、道路、公衆トイレ等の改修整備に、県といたしましても市町村と連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に学校、公園等の遊具の安全対策についてでございますが、都市公園では、公園数六カ所に対して遊具数が六十八基、県営住宅団地では、公園数六十三カ所に対し、遊具数が二百五十二基設置されております。点検につきましては、都市公園では月一回、県営住宅団地では施設安全点検月間を設け、それぞれ一斉点検を実施しております。
 本年四月の遊具一斉点検では、部分的な破損等を確認した滑り台二基、シーソー一基、ロープはしご一基を即時に使用禁止し、修繕の措置を行いました。また、基礎部分にぐらつきがあったスプリング遊具三基については撤去を行ったところでございます。
 今後とも、管理下にある遊具等の安全性の確保に努めてまいります。
 以上です。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 子供の安全対策についてお答えいたします。
 学校における安全対策にかかわる防犯マニュアルの策定状況は、現在、小学校で一〇〇%、中学校で九八・六%となっております。
 学校施設の改善状況は、警報機、センサー等の設置が六四・四%であります。防犯訓練は、防災を兼ねたものも含めてほとんどすべての学校で実施しております。
 今後とも学校をめぐる最近の事件等も勘案しながら施設の改善に取り組むとともに、訓練がより実践的、効果的なものとなるよう指導してまいります。
 次に、小中学生への防犯ブザーの配布は、現在二十七市町村で取り組まれており、そのうち二十一市町村で公費負担を行っております。防犯ブザーによる犯罪抑止効果は大きいと思われますので、地域や学校の実情に応じ、より一層普及するよう各市町村教育委員会に働きかけをしてまいります。
 また、PTA、警察、地域住民等の協力を得て実施している巡回パトロールや登下校時の声かけ運動は、防犯だけでなく問題行動の防止にもつながることから、積極的に取り組みを進めるよう学校安全講習会等で指導しているところです。
 最後に、学校、幼稚園の遊具につきましては、学校保健法により定期的な安全点検及び適切な対応が義務づけられており、日ごろから取り組んでいるところであります。四月の高槻市での遊具事故を受けて、改めて各学校にその徹底を指示いたしました。
 子供たちの安全は一番重要なことであります。痛ましい事件が各地で起こっていることを受けて、このたび県教育委員会では子供の安全の問題を総括的に担当する専門職を新設することといたしました。市町村教育委員会と一体となって、危機管理体制の整備や意識の高揚を図ってまいります。
○議長(尾崎要二君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 駐車違反取り締まりの民間委託への対応についてお答えいたします。
 本県警察といたしましては、県下の違法駐車実態、取り締まりの現状、費用対効果等を検討した上、委託の要否、その範囲について判断してまいりたいと考えております。また、委託することとなった場合は適正な運用に努めてまいる所存でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、新田和弘君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして順次一般質問をさせていただきます。
 県議会初当選以来、今回で十一回目の登壇となります。この間、私は特に観光、それから福祉、人権、教育、道路等に関する問題を初め、商店街活性化対策、青少年育成問題や子供病院建設について、男女共生社会、児童虐待、コスモパーク加太問題等々、多岐にわたり県当局に対しお尋ねをし、また要望、提言を行ってまいりました。この中には、既に実現したもの、また検討中のもの、そして実現できなかったこと等さまざまでありますけれども、常に知事を初め担当部長の答弁は、その都度心あるものであったと感じております。よって今回も、一、PFI事業について、二、カゴメ株式会社を含む防災やコスモパーク加太の利活用について、三、同和行政についての三項目にわたり質問をさせていただくわけでございますけれども、今回まで同様、県当局におかれましては前向きかつ心ある御答弁をよろしくお願いをいたし、質問に入らせていただきたいと存じます。
 なお、一般質問も初日ということでございますけれども、私で五人目であります。先輩、同僚議員並びに知事、また県当局の皆さんも少々お疲れとは存じますけれども、私なりに簡潔に、またスピーディーに質問をしてまいりたいと存じますので、何とぞ御協力のほどよろしくお願いをいたします。
 まず一点目、プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、すなわちPFI事業についてお尋ねをいたします。
 既に御承知のとおり、PFIとはサッチャー政権以降のイギリスにおいて小さな政府への取り組みの中から生まれた考え方で、一九九二年に導入され、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術能力を活用して行う手法のことであります。公共サービスの提供を民間主導で行うことで、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図り、行財政改革の流れの一つとしてとらえられており、VFM(バリュー・フォー・マネー)、つまり一定の支払いに対し最も価値の高いサービスを提供する考え方が基本原則であり、いわゆる民活法の第三セクターとはまた違うものであります。低廉かつ良質な公共サービスが提供され、公共サービスの提供における行政のかかわり方の改革、すなわち契約による官民の適切な役割分担に基づく新たな官民パートナーシップが形成されていくことが期待できるものであり、民間の事業機会を創出することを通じ、経済の活性化に資する等の効果が大いに期待されるものであると考えます。
 我が国のPFI導入に関しては、平成十一年九月に民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律いわゆるPFI推進法が施行され、平成十二年三月にはPFI基本方針の公表、その後、実施プロセス、リスク分担、VFM等のガイドラインが公表されてきた経緯があります。これらのことを受け、まず一点お聞きをいたしたく存じます。
 国におけるPFI推進法施行後、今日まで本県において何か取り組みをされてこられたのかどうか。またその内容はどのようなものであったのか。企画部長にお尋ねをいたしたく存じます。
 一方、現在、我が国経済は全体としては景気は着実に回復しているものの、その回復の状況については、地域の産業構造や輸出競争力の違いを背景として地域格差が見られます。また、少子・高齢化や国際化等の構造変化も進んでおり、その地域への影響は大きなものがあります。このような変化等の結果、地域経済、地域産業の衰退、それによる雇用悪化の懸念、中心市街地の空洞化などの深刻な問題に直面しており、こうした状況を打破するためにも構造改革の必要性が高まっています。
 こうした中、政府の地域再生本部において地域経済の活性化と地域雇用の創造について議論がされ、地域がみずから考え行動することを基本といたし、地域再生推進のためのプログラムが定められたところであります。その中で、地域主導による資源の有効活用とし、民間の知恵と工夫を生かしながら公共施設の有効活用や行政サービスの民間開放等を図る、そのためPFI事業の一層の推進を図ると記述されております。本県でも、経済の活性化と地域雇用を地域の視点から積極的にかつ総合的に推進するため和歌山県地域再生推進本部を立ち上げたと聞き及んでおります。
 また、民間レベルにおきましても、PFI事業の行政や民間企業への啓蒙活動を通し、普及推進するため、全国各地においてPFI協会設立に向けた取り組みが現在進められておるところであります。
 過日、大阪府や兵庫県においてもNPO法人のPFI協会が設立されたところであります。加えて本県におきましても、県下各地域のJCのOBたちが中心となり、志を持ちながら地域経済の活性化や地域雇用の推進のため、これらと同様な協会を設立すべく、現在準備を進めておるところでございます。
 しかし一方、内閣府民間資金等活用事業推進室の調査によりますと、PFIに対する行政側の認識不足、行政内の推進体制、環境の未整備、民間事業者の認識不足等々がPFI事業の課題であると記されているように、PFI事業には幾つかの課題があることも承知をいたしておりますが、これら諸課題解決のため、これらNPO法人と時には手を携えながら本県経済の活性化と雇用の創出のためPFI事業を積極的に推進していくことが必要ではないかと私は考えます。PFI事業の積極的推進について、知事の御所見をお伺いいたしたく存じます。
 次に、二点目の質問に入ります。コスモパーク加太の利活用についてであります。
 このことに関しましては、今日まで過去多くの先輩・同僚議員から問題提起がなされ、また私自身も平成八年六月、平成十一年九月、平成十四年二月、同十二月、また昨年の九月、各定例会において質問、要望をしてまいりました。中でも昨年の九月議会において、この地の一部を心配されております東南海・南海地震に対する防災救援機能を持たせた拠点としての利活用を提言いたし、知事より、東南海・南海地震などの大規模災害時における応援要員の集結場所や救援物資の集積地等としての活用の可能性等、前向きな御答弁をいただいたところでありますが、十二月及び予算の議会でございます二月議会を挟み、今どう展開をされているのか、また東南海・南海地震対策について新たに危機管理監という職を設置されたところでありますが、現在どのような取り組みに着手されているのか、危機管理監に具体的な事例があればお話をいただきたいと存じます。
 また同様に、九月議会においてカゴメ株式会社の大規模トマト生産工場の進捗状況についてもお尋ねをいたしましたが、現在、県下各地、特に日高地方のトマト栽培農家の中にはトマト栽培について危機感を持っているなど、特に三十代から四十代、いわゆる後継者世代の皆さん方からいろんなお声があるということをお聞きいたしておりますし、また和歌山市におきましても県下四位の収穫量があるわけでございますが、これらのトマト栽培農家と県との話し合いの場はどうなっているのか、現在までの経過とこれからの対応について。加えて、市内地域住民との話し合いはどうなっているのか。ちなみに、私はこれらの方々との話し合いは大変重要なことだというふうに考えているわけでありますが、それぞれの担当部長についてお尋ねをいたします。
 次に、カゴメ株式会社の誘致により約三百名の雇用があると聞いておりますが、この点は大変重要な問題であり、今後どのような方法で確実に地元雇用をしていただけるのかどうか、企画部長にお尋ねをいたします。
 次に三点目の質問に入りたいと思いますが、質問に先立ちまして御報告をさせていただきたいことがございます。
 過日、二月の五日、和歌山県議会人権問題等対策特別委員会にてハンセン病施設、国立療養所多摩全生園を訪れる機会を得ました。そのとき、私なりに改めて人権に関していろいろなことを学び、大いに実のある視察であったと感じました。この地を正式に和歌山県議会から訪れたのは初めてとのことであり、園内和歌山県人会代表の方から後日礼状をいただいたわけでございます。
 この中で、その一部を御披露させていただきたいと存じます。「資料館での案内にもありました様に、百年余も悪法によって苦しみました。先輩病友達のみ霊は、温かい議員さん方の御訪問を受けて天国から感激いたしておることと信じております。ハンセンの施設を訪問の御計画を立てられた議員の皆さん、県知事さんに心から感謝を申し上げます」等々でありました。
 今回の視察で私が最も強く感じたこと、それは次のような言葉でありました。「訴訟は、負けるよりも勝つ方がいい。お金は、ないよりもある方がいい。されど、私たちはこれから一体どこへ行けばいいのやら」という言葉でありました。
 知事並びに県当局の皆様、また議員の皆様、これをどうお感じになられますでしょうか。私はこのことを通し、今もって県下にいろいろな差別が存在することを残念に思うと同時に、なぜこのような問題が今も存在するのか、どうすれば一日も早く問題解決が図られるのか、今も過去の経過や歴史的なものについて勉強を続けておりますが、いまだその答えには至っておりません。残念なことではありますが、人が人をうらやんだり、憎んだり、差別したりするその心がある以上、問題解決は決してしないであろうことだけは理解するものであります。
 今回、ここに同和行政に係る質問を提起いたしますが、物事には必ず原因があり、その原因を突きとめるためには調査分析は不可欠であり、そこから問題解決の糸口を見つけ、一つずつ努力していくことが何よりも大切ではないかと考えます。その考え方に沿って実態調査の必要性についてなど、これから質問をさせていただきたく存じます。
 実態調査につきましては、昭和二十九年の本格的な総合調査の実施以来、五年ごとに何らかの形で調査が実施され、その都度事業の進行管理と課題確認が行われ、具体的な形で同和行政推進に反映されてきました。ところが前回の調査以来、十年以上も調査が実施されておりません。今から五年前の状況を考えれば、この時期はちょうど法の期限切れ直前にあって同和行政の今後の方向づけについて盛んに議論された時期であり、他の府県でも実態調査を行い、現状と課題について協議され、方向が決定されてきました。しかし本県につきましては、このことを抜きに同和行政の方向が決定されてきたように感じます。このことは非常に重要な問題であり、現実に部落差別がさまざまな形で存在し、公務員によるものを初め多くの差別事件も発生している状況にあります。
 先般、和歌山県もようやく実態調査を実施する方向であると聞いているところでありますが、調査に当たりましては、こうした差別の実態、これまで実施してきた事業についての再点検をもとにこれら問題を早期に解決されるための同和行政の方向を見出せるものにしていただきたく、またこれまでのような格差是正のみにとらわれたものではなく、真に人権行政推進の最重要課題として同和行政を推進していくために調査を実施されることを強く望むものでありますが、このことに対しまして企画部長の御意見を賜りたいと思います。
 次に、地域福祉計画にかかわってであります。
 和歌山県では、地域福祉計画の策定と推進に向けて鋭意取り組みを進めているところであろうとは思いますが、市町村の策定状況は、町村合併等の状況もあって大幅におくれていると聞いております。そうした状況を踏まえ、地域福祉計画と同和問題の関係についてお伺いをいたします。
 特別措置法の三十年を超える取り組みと位置づけの中に、地域福祉の関係については含まれていませんでした。これは、法制定当時、同和地区は極めて劣悪な実態にありましたが、地域福祉の基本的性格や役割からして特別に位置づけされなくても十分フォローできると考えられていたもので、決して福祉の課題をないがしろにするというものではありませんでした。つまり、地域福祉を進める際に同和地区の実態を十分踏まえたものになることは当然のことでありました。しかし、同和地区においては早くから高齢化が進んでいると言われ、平均余命が全国に比べて県内の地区では五年も短いとされていますし、また年金や生活全般にかかわる課題も非常に多かったわけであり、さらに障害にかかわる問題についてもさまざまな課題が提起されているところであります。
 こうした状況や課題を踏まえ、地域福祉計画についてお伺いいたしますが、策定作業にかかわって地区の実態や住民の声を十分反映されてきたのかどうか。また、今後策定される支援計画についてもそうした立場で進められるのかどうか。福祉保健部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 以上、大きく三項目にわたり質問を進めてまいりました。知事初め、担当部長の前向きかつ心ある御答弁を御期待申し上げます。
 最後に、一言申し上げます。
 木村知事におかれましては、時節柄御健康には十分御留意をされまして、今後さらなる御活躍を御期待申し上げ、私の質問はこれで終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、健康に対するお言葉をいただいたこと、本当にうれしく感じております。
 PFIの積極的活用についての御質問でございますが、この問題は私が以前大阪におったころに非常に盛り上がりまして、そして実はどういうものが対象になるかということを調べていったら何もないというふうな状況があったわけでございます。ところがその後、最近になってまた全国の自治体でこのPFIを活用していろんな事業を行う例が非常にふえてきております。そしてまた、当初予定していたようなものじゃない、市町村がやるような事業でも、それから都道府県がやるような事業でも、さほど大規模でないようなものについてもこのPFIを活用している例が出てきておりますので、和歌山県でも最近のこういうふうな新しい状況──その中にはいろんなやり方があると思います。いいやり方があると思いますので、そういうものを常に念頭に置いて施設づくりとか、そういうふうなものを考えていきたいと思います。
 残念ながら、今、新しい箱物とかいうような計画は余りないわけでございますけれども、県だけでなく県下の市町村が何かをつくるときにもそういうふうなことを考えていったらどうかというふうなことを、これは指導じゃなくて示唆するというふうなことも考え、積極的に取り組んでいきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) PFIに関する本県のこれまでの取り組みについてでございますが、平成十一年に民間等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律が制定され、本県における導入可能性を全庁的に検討するため、ワーキンググループを設置いたしました。ワーキングでは、PFIに関する研究を行うとともに、公営住宅への導入可能性について調査を実施したところです。ワーキングで抽出された課題、例えば事業採算性の問題などがございますが、国の地域再生推進のためのプログラムにおいてもPFI事業の積極的な活用策が検討されているところであり、県といたしましても、今後とも国の動向や議員御指摘の他府県の動向など、情報収集に努めるとともに積極的に研究してまいります。
 次に、カゴメ株式会社の誘致に関しての地域住民との話し合いにつきましてお答えいたします。
 カゴメ株式会社におきましては、三十七ヘクタールの敷地に二十ヘクタールの温室を三工期に分けて建設することになってございますが、第一期につきましては本年十月に着工し、来年八月に創業を開始する予定となっております。
 県では、企業誘致の造成工事を行うに当たり、地域住民の御理解と御協力をお願いするため、カゴメ株式会社の進出計画、造成工事の内容などについて県土地開発公社、和歌山市とともに説明を行ってまいりました。
 議員御指摘のとおり、地域住民との話し合いにつきましては大変重要なことと認識いたしておりますので、今後とも地域住民の御理解をいただきながらコスモパーク加太の利活用を図ってまいりたいと考えてございます。
 続きまして、地元雇用についての御質問にお答えいたします。
 カゴメ株式会社の誘致により約三百人の雇用が見込まれ、大きな経済効果が得られるものと考えており、去る三月二十九日に県、和歌山市、カゴメ株式会社の三者による進出協定を締結したところでございます。県といたしましては、現下の厳しい雇用情勢の中、カゴメ株式会社の誘致により大きな雇用創出が得られることは特に重要なことから、進出協定にもカゴメ株式会社が地元地域からの雇用を図るよう盛り込んでございます。
 現在、カゴメ株式会社におきましては、従業員募集の時期や方法を初め、施設の設計について検討を行うとともに、第一期施設の建設着工を目途として現地地元法人の設立準備を進めているところでございます。
 地域住民への説明に際しましても、雇用の時期や方法につきましては大変御質問の多い点でございまして、できる限り早く詳しい情報をお知らせできるようカゴメ株式会社に強く働きかけてまいります。
 次に同和行政についてでございますが、県は人権尊重の社会づくり条例を制定し、差別や人権侵害の起こらない社会の実現のため、諸施策を実施しているところです。
 とりわけ同和問題につきましては、県、市町村、県民が一致協力した積極的な取り組みにより、多くの分野でさまざまな成果を上げてきましたが、教育や就労、産業等において依然として課題が残されており、また今なお許しがたい差別事件が発生しております。県としましては、引き続き同和問題の早期解決に向け、積極的な取り組みを実施してまいります。
 調査につきましては、条例において実態の把握に努めることと定められていることから、県としましても調査の内容や実施方法、実施すべき時期等を検討の上、必要な調査を実施したいと考えております。
 今後とも、議員の御質問にもありましたように、同和問題を初めとするさまざまな人権問題の解決についてより一層全庁的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) まず最初に東南海・南海地震についての取り組みでございますけれども、特別措置法に基づき、国の防災対策の推進に関する基本方針等を盛り込んだ基本計画が策定され、県、市町村では地震防災上緊急に整備すべき施設等に関する事項等をまとめた推進計画を、また民間事業者は津波からの円滑な避難の確保に関する事項等をまとめた対策計画を現在策定しております。
 また、県は三月に防災対策を具体的かつ計画的に実施する行動計画を策定し、これに基づき本格的な取り組みをスタートさせたところでございます。その一つとして、避難路や情報伝達設備、自主防災資機材の整備など、地域の実情に応じた課題にきめ細かく対応し、市町村防災の充実を図るための取り組みに対し総合的に補助する制度も新たに設けました。
 次にコスモパーク加太の防災用地の利活用についてでございますが、本県全体としての防災拠点のあり方とも関連いたしますので、現在、その検討基礎データとして東南海・南海地震による詳細な被害想定、県内各地域ごとに予想される人的被害や物的被害等を算出する作業を進めております。
 こうした被害想定等も踏まえながら、議員御提案の活用方法等も含め、その担うべき役割等について企画部等との連携を図りながら検討を進めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) カゴメ株式会社誘致に関するトマト栽培農家との話し合いについてでございますが、農林水産部では昨年十二月、カゴメ株式会社からトマト温室の概要について説明を受けるとともに関係団体等に働きかけ、一月には県農業者団体を中心とした会議において、さらに四月十九日には県内JA組合長・常任理事会議において直接カゴメ株式会社からトマトの生産計画について説明を受け、意見交換を行ってございます。
 また、トマト農家等で構成する県養液栽培研究会では、四月三十日に研修会を開催するなど、積極的な取り組みも見られてございます。しかしながら、トマト農家を中心に、トマトの需要見通しや価格低迷への懸念など、今後の経営に対して大きな不安を抱かれていることから、議員お話しのように、県としても今後さらにあらゆる機会をとらえトマト農家等関係者の理解を得るべく農家の意向把握等に努めるとともに、契約栽培の可能性など共存できる体制づくりにつきましても努力してまいりたいと存じます。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 地域福祉計画についてお答えを申し上げます。
 地域福祉計画は、住民、行政等が協働して、ともに生き、支え合う町づくりを実現させるための手段として市町村が住民のニーズを把握し、住民の参加を得て策定するものでございます。
 また、地域福祉を推進していく上では一人一人の人権を尊重し、ともに支え合うという視点が必要でございまして、同和問題を初め、女性、子供、高齢者、障害者など、あらゆる人権問題解決の視点に立った計画づくりが重要であると認識しております。
 県としましては、このような認識のもと、市町村に対し住民参加、基本的人権の尊重などの留意事項を示すなど、計画策定に向けた取り組みを支援しているところでございます。
 今後においても、それぞれの市町村の実情に合った形で地域住民のニーズ把握に努めるよう、市町村に働きかけてまいります。
 また、県地域福祉支援計画についても、関係機関や県民の皆様の御意見を十分いただきながら、すべての人の人権が尊重される地域づくりを進めるための計画を策定してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後三時十八分散会

このページの先頭へ