平成15年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

平成十五年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第六号
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議事日程 第六号
 平成十五年十二月十日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに報第八号(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案等の付託
会議に付した事件
   一 議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに報第八号(質疑)
   二 一般質問
   三 議案等の付託
   四 休会決定の件
出席議員(四十四人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十八 番       山   下   大   輔
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       木   下   善   之
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       浦   口   高   典
     二十六番       藤   山   将   材
     二十七番       原       日 出 夫
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       野 見 山       海
     三十 番       冨   安   民   浩
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       阪   部   菊   雄
     三十三番       花   田   健   吉
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       前   川   勝   久
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       中   村   裕   一
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
欠席議員(一人)
     四十六番       和   田   正   人
 〔備考〕
     十七 番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         垣   平   高   男
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員    湯   川       力
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに報第八号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに知事専決処分報告報第八号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十三番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 ただいま議長よりお許しを賜りましたので、九月議会に引き続き一般質問を行わせていただきますが、その前に、私たち平成十五年に初当選を果たした有志議員で「一期一会」を大切にしようという合い言葉で「いちご会」を発足いたしました。そして、その会の代表に今は亡き故大原康男議員を、その卓越したリーダーシップと豊かな経験に裏づけられた識見、温厚な人柄をもって全員一致で会長にご就任いただきました。しかし、そのとき既に病魔に侵されていたことを思うとき、改めて大原さんの責任感の強さに敬意を表しますとともに、まことに惜しい人材を失ったことを痛感いたします。大原康男議員に対し心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、残されたご遺族の皆様に衷心よりお悔やみを申し上げます。
 それでは、早速、一般質問に移らせていただきます。
 このたび、我が県待望の高野・熊野地域が来年六月に世界遺産登録されるという見通しがついたことは大変喜ばしい限りであります。そこで、それに伴い県民の環境美化意識について当局のご見解をお尋ねいたします。
 我が県では、和歌山市を初め五市十一町三村において環境美化に関する条例が制定されております。それぞれの町に合った条例を制定されておられますが、和歌山市のように、通称・排水の色抜き条例や空き缶のポイ捨て条例などは当時全国的に有名になりました。また、白浜町や龍神村のような観光客のたくさんお越しいただくところは観光に関する多様な内容の条例が制定されておりますし、湯浅町のように放置自転車の防止条例、また御坊市や美浜町のように公害対策条例、清流に沿った町村は川の環境を保全するためにと創意工夫がなされております。その他の市町村も含めて、環境美化については、明確に条例を制定していなくても、これまた市町村民のご協力を賜りながら、海岸や河川の清掃作業を定期的に行うなど、また学校教育の一環として環境美化を取り入れるなど、地域一丸となって環境美化意識の向上に努めていただいているところでありますが、このたびの高野・熊野世界遺産登録は県民全般にわたり、また他府県はもとより、外国からのお客様に対しても環境美化意識の向上に対し、さらなる関心を高めていただく絶好の機会だと考えます。
 ある大阪からお越しの私の知人は、「大阪市内に比べると和歌山市は空き缶やごみ袋等、道端に落ちていない。とてもきれいな町ですね」と感心していらっしゃいました。私たちは、ふだん何げなく暮らしていますが、他府県からお越しになった方からそんなにおっしゃっていただくと大変うれしく思いますし、市内在住の皆様のたゆまぬご尽力に改めて敬意を表する次第であります。空き缶やごみのポイ捨ては、一つでも道端に転がっていると連鎖的に放置する心理が働くのではないでしょうか。
 我が県においては、ごみのポイ捨てゼロ運動を展開推進し、世界遺産登録地域を擁する観光立県和歌山の名にふさわしい清潔感あふれるきれいな町づくりを実現したいと考えます。他府県はもとより、世界のいろいろの地域や国から世界遺産を見学にお越しいただくお客様に対し、私たちにできる最高のおもてなしは、きれいで清潔感あふれる町並みでお迎えすることだと思います。私たちもときどき他国に参りますが、その地域のすばらしい景観に圧倒され、また再び訪れたいと思うことがしばしばあります。しかし、その地域の美化意識が低く、町のあちらこちらにごみが散乱している状況をかいま見ることもありますが、まことに残念でなりません。和歌山県をお訪ねいただいた方には、青い海や緑深い山に抱かれた豊かな大自然と、その自然と融合するようにたたずむ歴史的に裏づけられたたくさんの文化財を見学していただくと同時に、おおらかで人情あふれる県民性に触れていただき、心がいやされることは当然ですが、さらに清潔できれいな環境や町並みは、旅行く人々の心に深く刻まれるものであり、その訪れた方は、きっとお帰りの際、友人、知人との土産話に花を咲かせていただけることと確信する次第であります。環境の保全や美しい自然は、今を生きる私たちが後世に残さなくてはならない最も大切な遺産であると考えます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 高野・熊野地域が世界遺産に登録されるという大イベントが行われる来年六月に向かって、県民はもとより、日本さらには他国の皆さんにも、我が和歌山県の環境保全並びに美化意識の向上に対し深くご理解を得る絶好の機会と考えますが、環境・美化意識の浸透を図るため、県民挙げて取り組んではと思いますが、いかがでしょうか。
 また、環境生活部長にお伺いいたします。
 現在、環境美化について、当局はどのような施策を具体的に実施されているのでしょうか。例えば、これから世界遺産のポスターやチラシ等を制作することがあると思いますし、さらにまた日常的に県が発行する刊行物にも環境美化に関する標語等を広く県民に募集して、その作品を盛り込むなどの工夫をしてはいかがでしょうか。
 私たちの誇れるふるさと和歌山が、どの地域にも増して美しい景観を保ち、うらやまれるためには、ふだんから県民一人一人が意識を高く持ち続けることに尽きると思います。県当局の一層のご尽力を期待いたします。
 次に、障害のある方に対する県当局の施策についてお伺いいたします。
 我が県は、全国的に見ても障害のある方に対する施策が格段に劣るというわけではありません。しかし、まだまだ万全というわけではないと考え、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 その前に、私たちは、障害の有無にかかわらず、ともに生活できる社会づくりが大前提と考えます。昨今、バリアフリーという言葉が世間に広く行き渡り、公共施設や駅、または宿泊施設など、さらには公共交通機関やその周辺を取り巻く道路等にも、ハード面では段差を解消し、車いすのスロープの併設や、エレベーターもかなり普及し、また手すりの設置、目に障害のある方に対する配慮も官民問わず格段に進歩し、認識も深まったと大変うれしく思うものでありますし、心から感謝を申し上げたいと思います。と申しますのも、私自身も幼少のころより左足に障害があり、その障害のため階段の上りおりには、時にはため息をつくこともあります。しかし、私の障害などはまだ軽微なもので、もっと重い障害のある方のご不便を思うとき、さらなるバリアフリーにご理解、ご認識を賜りますよう、重ねてお願い申し上げる次第であります。また、バリアフリーと申しましても、心のバリアフリーに対しても、より一層の推進を図っていただくこともあわせてお願いし、本題の質問に入らせていただきたいと思います。
 今回は、動作法というまだ一般的には知られていない臨床法について県当局のご見解をお尋ねいたします。
 臨床動作法とは、九州大学の成瀬名誉教授が、動作を通したコミュニケーションをもとに、適切な体の動きを学習していく過程で、自己の活動が主体的、能動的となり、生き生きとした心と体の調和的体験ができていくことをねらいとした援助法を提唱、体系化し、脳性麻痺の児童の動作改善や肢体不自由児のための訓練法として開発されました。さらに、その後の研究と実践により、自閉・多動児、知的障害児、ダウン症児、重度重複障害児、緘黙児、知覚・聴覚障害児、学習障害児、不登校児等、適用範囲が拡大され、現在では障害児教育全般における発達援助法としてさまざまな教育現場に導入、適用されているとお聞きいたしました。近年では、福祉分野からのニーズが高くなってきており、ホームヘルパー一、二級テキストの心理学的援助法の中にも紹介されており、高齢者の健康増進法やスポーツ選手への援助技法として、それぞれ顕著な効果が報告されているそうであります。
 動作法は、動作や姿勢の歪みや不適切なパターンの改善を主目的にし、場面や状況に応じた情緒や行動をコントロールする力の促進を図り、障害のある児童にかなり効果があると報告されております。また、もう一つの目的として、児童が課題とする動作に取り組む中で行われる努力の仕方を望ましい努力の仕方に変えていくことを目指しており、身体の動きと心の活動の両面の自己コントロールする力を高めることにあるとあります。全国的にも、心理リハビリテイションの会の全国大会も既に二十九回の回を重ね、ことしは滋賀県と京都府の共催で行われ、来年は奈良県で開催される予定だということであります。既に、兵庫県、大阪府では開催済みであります。現在、和歌山県には、和歌山動作法研究会ときのくに親の会が動作法に対して大変な期待を寄せ活動をしております。ここに、動作法を始めてからの子供たちの変化の様子を保護者の方から寄せられておりますので、ご紹介させていただきたいと思います。原文をそのまま引用させていただきます。
 あるお母さんからは、「未熟児で生まれたため、脳性麻痺の娘は、小さいころより病院の理学療法でお世話になっていましたが、なかなか歩こうとしませんでした。ところが、動作法を知って一カ月後の三歳八カ月のとき、大阪の一泊二日のキャンプに参加させていただき、生まれて初めて歩き、しかも十一歩も歩きました。動作法を知って五カ月後の大阪の一週間キャンプでは、地面から自分で立ち上がれるようにしていただきました。 またその後、和歌山での訓練会や大阪、九州でのキャンプ訓練会では、後ろに歩いたり、片ひざ立ちができたり、ジャンプをできるように教えていただいたのも動作法訓練会においてです。 理学療法は一回に約四十分ほどで、特に体の姿勢や動きにくいところを整えてはいただきますが、自分で意識して自分の体を動かすという点では動作法はよかったと思います。」。──お嬢さんが初めて第一歩を歩まれたときのお母さんの感動が手にとるように伝わってきます。
 また別のお母さんは、「動作法を始める前は、体を動かそうにも緊張の余りむだな動き、ぎこちない動きで自分の思うように体が動きませんでした。いすに腰かけさせても、ひざ、関節が曲げられず、生活に不自由がありました。が、動作法のおかげで、子供自身が体のむだな「力」を抜くこと、動かしたい部分に「注目」できるようになりました。小学校入学時は四つんばいすら満足にできなかった息子が、今では手をつないで歩行するまでに成長しています。精神面でも喜怒哀楽の表現が豊かになり、こちらの「指示」に注目できるようにもなってきています。」と、子供さんが変わっていくさまに一喜一憂されているお母さんの姿がうかがえます。
 もう一例、「動作法は、子供の身体だけでなく、心にも働きかけながら、親と子が一緒に一つの目的に向かって行うリハビリ法です。子供の意思に関係なく親だけが一方的に働きかけていたころに比べ、子供の表情が豊かになり、また身体面では介助しながらではありますが、子供の意思でしっかり足を踏み締めながら歩行できるようになっています。子供の目を見ながら、声かけをしながら、親と子が気持ちを一つにして日々の訓練をしてきたことにより、あうんの呼吸というものが二人の間に生まれたのだと思います。最近では、親以外の人の介助にも子供自身がリズムをつかもうと注目する場面も見られるようになっています。」と、母と子が一体となり動作法に取り組む様子がうかがえます。また、「以前はよく興奮状態(パニック)になり、三十分から一時間手をつけられない状態だったけど、興奮状態になりかけたとき動作法をすると、興奮状態が抑えられ、子供が楽になった。親は、動作法を覚えたことにより、子供の興奮状態になりかけがわかるようになり、ひどいパニックを防げるようになった。他の家族も、月例会の後は落ちつきがあるので、月例会に行くように応援してくれる。」──月例会に参加し、動作法を受けることにことにより、お母さんの気持ちや家族の心までも和ませています。
 最後に、「肢体不自由児(者)、知的障害児の親、関係の仕事につかれる方々に、理学療法の方法であるボイター、ボバースの訓練以外に動作法という訓練もあるということを知ってもらい、子供の成長につなげていってほしいと願っています。子供たちが、いつまでも地域で生活でき、動作法を通してもっと楽に生きられる方法を身につけることを教えてあげたいと思います。」。
 以上、お母さんの大切な我が子に対する愛情あふれる心の声に当局も耳を傾けていただきたいと思うものであります。まだまだたくさん紹介したいのですが、後ほど担当部局に参考にしていただくため提出させていただきますけれども、このアンケートには当局に対しての要望も添えられておりますので、ご紹介させていただきます。
 一番の要望は、トレーナーの育成についてであります。これも、原文をそのまま使わせていただきます。
 「和歌山県では、認知度の低い動作法は、当然他県に比べトレーナーも少なく、今後この会を存続させる上ではトレーナーの育成が最重要課題となります。トレーナーには資格が必要で、キャンプに多数回参加し、技術を習得、動作法を理解していかねばなりません。健常者のサマーキャンプとは異なり、場所にはまずバリアフリーであることと大勢の人員が収容できる訓練室が必要となります。障害を持つ子供一人につき、最低でも保護者一人、トレーナー一人がつきます。その上、指導者であるスーパーバイザーが数人、家庭の事情で子供の兄弟や講習会を行えば見学者も参加し、大規模な会になります。キャンプ参加には、保護者及びトレーナーの費用の負担が重くのしかかっており、またキャンプ場所も今後会が充実していけば手狭になることから、県の強力なサポートを望んでいます。」とあり、長期合宿時の費用の補助やキャンプ施設のバリアフリー化に対しても訴えております。また、このキャンプには、指導員として大阪府教育センターの指導員の方を初め、他府県から五名、和歌山県からは、トレーナー、サブトレーナーとして、みはま養護学校から二名、はまゆう養護学校から三名、南紀養護学校から四名、由良あかつき園から二名、たちばな養護学校、きのかわ養護学校、松原小学校から各一名、その他四名の計十八名の方が研修を兼ね、ご協力をいただいております。しかし、まことに残念なことに、この動作法はまだ一般的に認知されておらず、我が県においても認識不足の感は否めません。
 そこで知事に、ただいまご紹介した動作法という臨床法についてのご見解をお聞かせ願いたいと思います。
 また、子供たちが成長していく過程でのお母様方の生の声をお聞きになりどう思いますか、ご感想をお聞かせください。
 次に、福祉保健部長にお伺いします。
 今回、質問に先立ち、動作法についていろいろお調べいただき、認識が深まったと存じますが、今後の対応についてお伺いいたします。
 先ほども保護者の方からのご要望にもあったとおり、人材の育成について、またキャンプ(合宿)の際、施設の利用に当たっては、官民問わず条件に合った施設の紹介やそれに伴う助成制度の確立、さらに動作法に対する認識を深めていただくため、将来、全国大会の誘致等が挙げられますが、いかがお考えでしょうか。
 最後に、障害のある方の症状は個人によって異なり、一概にこの方法が有効であるかないかを論じることは難しいと思います。大切なことは、いろんな治療法を受ける機会と適切な指導ができる体制の確立を早急に整備することが最も重要なことだと思います。このたびの動作法においても、まだまだ広く関係者に認知されておりませんが、障害のある児童の保護者にとっては、そういう治療法もぜひ試してみたいと考えるのは至極当然ですし、合う、合わないは個人によって選択することが望ましいと思います。障害児にとっては、なるべく幼少期にいろいろな治療法に接し、あらゆる可能性に挑戦させたいと思うのは親心として当然のことであります。あのとき、もっと早く知って体験させていればと後悔することのつらさははかり知れません。将来、生まれてくるかもしれない障害児のために、今後も県当局が積極的にお取り組みいただくことを切にお願い申し上げ、次の質問に移らせていただきます。
 東南海・南海地震について、津波対策及び家屋の倒壊対策についてお尋ねいたします。
 この問題については、去る九月議会の一般質問にも取り上げましたが、そのときは台風十号が到来した直後であり、美浜町煙樹ケ浜に面する浜の瀬、本ノ脇地区に高潮が押し寄せ、被害をこうむった直後だったので、高潮対策の一環として取り上げました。
 ご承知のとおり、東南海・南海地震は海溝型の地震であり、東海地震と比較として震源域が海域にある割合も多く、広域に巨大な津波が押し寄せ、海岸地域に甚大な被害が発生することが予想されております。また、戦後襲来した津波とは異なり、強い揺れにより建物が倒壊したところへ津波が押し寄せることが予想され、複合災害による人的被害が増大されるのではないかと大変心配されております。もちろん、大きな地震が起こった場合、揺れたら状況を把握し、素早く避難することが大前提でありますが、私たちは必ず訪れる来るべき大地震に、でき得る限りの対策を講じていかねばなりません。それは、日ごろから避難路の整備や周知徹底、避難場所の確保、時間帯によっては火の後始末や家族との連絡方法及び家庭にあっては非常食の準備等、市町村や個々の家庭で心がけておかなければならないことは言うまでもありません。地震が起こったとき、県民の津波に対する意識が低い場合は、昼間と夜間とでは差がありますが、最大で八千六百人の死者が想定されております。私たちは絶えず警笛を鳴らし続けなくてはなりませんが、県当局も県民の生命と財産を守るための対策を怠ってはなりません。
 次に津波に関しての対策について、県土整備部長にお尋ねいたします。
 和歌山県は、六百五十キロに及ぶ海岸線を有しておりますが、そのうち海岸保全区域でも二百十キロに及んでおります。これらのすべての地域を防波堤や防潮堤で防護することは大変な費用と時間を要するものと考えます。しかし、津波災害については、堤防や水門が正常に機能するかどうかによって建物全壊棟数に約二倍の差が想定されるとあり、私たちは一歩一歩着実に計画を立案し、「備えあれば憂いなし」のことわざどおり、それらを実行していかねばなりませんが、県当局においても危険な地域の優先順位や対策等、調査・点検をしていただいていると思います。
 そこで、県内の海岸保全区域の状況を、現在把握している範囲で結構ですので、お伺いいたします。
 続いて、地震の揺れによる家屋の倒壊についてお尋ねいたします。
 東南海・南海地震が発生した際、建物の耐震については、昭和五十六年以降に建築された建物が、仮にそれ以前の耐震基準で建築されていたとすると、全壊棟数は現時点で約十六万六千五百棟が想定されているものが、約二十一万三千百棟と大きく増加するとあります。逆に今後、昭和五十六年以前の耐震基準で建築された建物を耐震強化し、昭和五十七年以降の建物と同様の耐震性を持たせることにより、死者の数は現時点で六千五百人と想定されるものが、約千三百人と五分の一程度に大きく減少すると推算されております。我が県においても、地震の揺れによる家屋の倒壊は約二万二千三百棟から、場合によっては約二万五千四百棟になると推計されております。また、地震が実際起こった時点で、家の中にいる人の数は全体の約六割とも統計上示されていますが、県民の生命と財産を守ることが政治と行政の責任だとすれば、東南海・南海地震による家屋倒壊への備えについて、知事の所見をお聞かせください。
 さらに、知事が緑の雇用事業を全国に先駆け提唱され、山間部の雇用による人の定住と、森林保全に随分ご理解が深いわけでありますが、先ほど来の提言にもあるとおり、家屋の耐震強化が有効かつ急務であるとするならば、昭和五十六年以前に建てられた家屋の補強材に紀州材が活用できないか、また間伐材が耐震強化の材料に使えないかどうかも、あわせて調査研究の価値があると思いますので、関係部局においては、あらゆる面から前向きにお取り組みいただきたいと思いますが、いかがですか。
 多分、地震の揺れに弱いのは、かなり建築年数の低下した家屋と考えられます。日本家屋に鉄骨で補強するというのは余りにも居住性の面からも、また見た目にも適切ではないように思いますので、この際ぜひ調査研究をしていただき、コスト面や強度面、さらには内装面においても耐え得るすばらしいものを開発していただくことを期待しております。
 次に、企業団地の現況と企業誘致についてお尋ねいたします。
 企業の誘致は、我が県にとって最も重要でかつ迅速に対応しなくてはならない課題の一つであります。企業の誘致は、その地域にとって活力の源であり、固定資産税等の税収は言うに及ばず、その地域の雇用問題の解決や購買力の増加による地元商店街に及ぼす影響、また若者の定住による人口の増加に伴い、少子高齢化の問題解決、特に子供が増加すれば学校も生き生きとなり、祭りも若者でにぎわい、私たちの社会にとって数え上げれば切りがないほど多岐の分野にわたり影響を及ぼすものであります。逆に言うと、企業の少ない地域はすべての分野において大変厳しい状況に置かれているわけであります。現在、我が国が抱えている最大の課題は過疎と過密の問題であると言っても過言ではありません。日本全体の人口はバランスが崩れ、都市には地方から人が押し寄せ、山村には年老いた父母が生活しているという現実を目の当たりするとき、この国は一体どうなってしまうのかと危惧するのは私一人ではないと思います。都会は人口が過密になり、お隣に住んでいる人も面識がないほど地域社会のつながりが希薄になり、あふれる若者は無軌道でせつな的になり、近ごろでは私たちの想像を超える事件が多発し、内容は複雑化、国際化、さらに低年齢化しています。また、住環境問題やごみ処理の問題等さまざまな問題も抱えています。また一方地方では、人口の減少によって産業が落ち込み、若者の雇用が減り、基幹産業の農林水産業の後継者も減少し、高齢化率が上がり、老人のひとり住まいがふえ、いわんや子供の数は年々減少の一途をたどり、過疎の学校は統廃合され、人口が少ないため必要な社会資本の整備もおくれ、下水整備一つとっても、昔子供たちが泳いだり魚釣りができた小川は生活排水によって汚れ、海岸もいそがれし、環境汚染においては都会よりも深刻ではないかと思うほどであります。人口が少ないから、費用対効果が合わないからと切り捨てられ、ますます人口が減少していくという悪循環を繰り返し、我がふるさと、特に中山間部は本当にどうなってしまうのかと考えさせられるときがあります。しかし、嘆いてばかりいても始まりませんし、これらの諸問題に立ち向かい、解決していくのが伝統ある和歌山県政に身を置く者の宿命と考え、懸命の努力を重ねてまいりたいと改めて心に期すところであります。
 さて、本題から少しそれてしまいましたが、それほど熱望している企業誘致について、現状を商工労働部長並びに企業局長にお尋ねいたします。
 現在、県下の企業団地の状況はどうなっているのでしょうか。企業団地への進出状況と利活用されていない未利用地の現状をお聞かせください。また、私の住む御坊・日高には第一、第二工業団地と、間もなく完成する日高港湾埋立地と大変広くてすばらしい土地が企業誘致のために整備されております。とてもありがたいことと感謝をしておりますが、第二工業団地は売り出してはや七年目になりますが、当初進出していただいた金門製作所の和歌山工場である和歌山精機のみであります。第二工業団地の今までの経過と進出がおくれているのはどこに問題点があるのか、主な理由があればお聞かせ願いたいと思います。
 また、あわせて日高港湾の現況と今後の見通しについてお答えいただきたいと思います。もし、進出企業にとって他府県より条件が悪いというのであれば改善の余地はないのか、他府県の取り組みも参考にしてお考えをお伺いしたいと思います。
 十二月三日の日経新聞の朝刊に紹介されておりますが、大阪府は、今年度十一月までの主要八団地の新契約面積は前年度の二・五倍になった、兵庫県、京都府、滋賀県でも前年度より軒並み進出がふえた、賃料引き下げなど誘致対策強化が奏功したと掲載されております。御坊、日高地方は、ハローワークの統計でも、県下で有効求人倍率が最も低い地域であります。近隣の町村も企業団地を造成し、企業の誘致に懸命に努力をしております。また地元御坊市では、企業誘致促進策として、土地購入企業だけではなく、土地の賃貸企業にも賃貸料の五%を最大に五百万円まで五年間、市が助成し、さらに工場などを建設した場合の固定資産税も優遇すると、十二月市議会に条例改正案を上程するとのことです。さらに御坊商工会議所は、御坊市民の情報提供で企業誘致が実現した場合に、一件百万円の成功報酬を支払う誘致促進活動を始めました。私たちも、みずからが企業誘致の先頭に立ち、努力していく覚悟でありますが、お互いに力を合わせて頑張っていこうではありませんか。県知事初め県当局のさらなるご尽力を心からお願い申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの花田健吉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず県の美化意識の向上についてのご質問でございますけれども、これからの時代、和歌山県はやはり環境とか自然とか、そういうふうなこの県が持っているよさというものを最大限に活用していく必要があると思います。そのときに、そういうものを求めて和歌山県へ来たけれども、意外と汚いな、ごみは落ちているしというような話だと、これは思ったような形にはならない。きのうのご質問の中にもありましたけれども、内川の中をさらってみたら、ごみの袋がどんどん落ちていたとか、こういうふうな意識ではなかなかよくならないと思います。それから看板なんかも、これはごみではありませんけれども、不統一にけばけばしいものがあるというふうな状況、こういうふうなものも改めていく必要が僕はあると思っています。
 そういうふうな中で、こういうこともなかなかきっかけがないと大きな運動にならないというふうなことがある中で、世界遺産の登録というのは、今回の場合、ほとんど和歌山県がみんな入るような世界遺産になってきますので、このきっかけとしては非常に私はいいものだと思っておりますので、この高野・熊野の世界遺産登録に挙げてのいろんな運動、きのうのご質問の中でも答えましたけれども、そういうふうな中に県土の美化ということを一つ大きな要素として入れてやっていきたいと思いますし、そしてそれには県下の市町村とかNPOというふうな団体、例えば新宮では、ウミガメの海岸をみんなで、そして京阪神からも人が来て清掃しているというような動きもあるらしいし、全くやっていないというふうなことではないんですけれども、もっともっとこういうものを支援してやっていくような方向にしていきたい、このように思っています。
 それから臨床動作法というのは、私も専門ではありませんので、正直言ってこのご質問があるまで全然知らなかったわけです。だけれども、今、父兄の方なんかが物すごく効果があるんだ、そして子供にそういうことをさせなかったがために、将来立ち上がれなかったというふうなことになったときの悔いといいますか、そういうふうなものがあるんだというようなお話を聞いて非常に感銘を受けました。和歌山県にも専門家の人がいると思いますので、こういう人が積極的に臨床動作法を勉強し、そしてまたそれが和歌山県の障害を持っている人の機能回復ということに役に立つように取り組んでいきたいと思います。
 それから、東南海・南海地震についての家屋倒壊の話でございます。
 地震については、今、地震が起こってつぶれた家を建て直すときのお金を直接、保険制度みたいに出そうというような動きはあるんですけれども、やはり何といっても大事なのはつぶれる前に手当てをするというふうなことだろうと思います。特に木造家屋を中心に非常に老朽化の進んでいる家が多いので、こういう家については早急に対策が求められることから、今、国に対してもそういうふうなことの制度化を要求しているんですけれども、ただもう既によその自治体では県独自でもそういうことを始めているところがたくさんあります。そういうふうな中で、和歌山県も東南海・南海地震ではある意味ではメッカになっているわけですから、おくれてしまってはいけませんので、単独でもいろんな施策を考えていきたいというふうに思っています。
 その中で、ご示唆にありました、まあ緑の雇用を進めているんだけれども、なかなか県産材のはけ口がない、そういうものも活用した耐震補強はどうかと。私は、これはもう大賛成です。木の強度ということについてはいろいろ問題があるので、これですべてが解決するとは思いませんけれども、十分筋交い等に間伐材や県産材は使えると思います。そういうことについて早急に検討を始めたいと思いますし、そしてまたそれは美化というか景観という意味からも、まあ命と景観を一緒にするとおかしなことになるんですけれども、景観という面からも非常に僕は大事だと思います。白川郷とか、こういうふうなところが皆からもてはやされるのも、いろんなものを直すときも木でやってきているということがあるんで、和歌山の町も村も、もしアルミサッシの窓枠のかわりに木の窓枠みたいなものを使っていたらどれだけすばらしい景観だったかなと思うところがたくさんあるわけです。
 これからは、そういうふうなことを売りにしていかないといかん時代ですので、地震と売りとを一緒にするというのはちょっと不謹慎かもしれませんけれども、いろんな施策を一つのことを目的に行うんではなくて、複合的な効果を上げていくようにするということは非常に大事なことですから、そんな観点から県産材を使った耐震措置ということについては、本当にこれは僕は大いに前向きに考えていきたいと、このように思っています。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 環境美化施策についてのご質問でございますが、自然環境や地域の美化に対する意識、関心を高めていくためには、県民一人一人が理解と認識を深め、地域、職場、家庭、学校など多様な場所においてさまざまな自発的活動を総合的に実施していく必要があるものと考えております。このため、模範的な取り組みに対して、わかやま環境大賞での表彰を初め、NPO等民間団体への支援を行うとともに、環境保全に取り組む方々と共同でフォーラムを開催するなど、活動の輪を広げるための取り組みを行っております。また、去る十一月二十九日には、県民の方々にごみ問題の理解を深めていただくため、紀南地域廃棄物シンポジウムを開催させていただきました。このシンポジウムでは、「百年たっても美しい紀南」というテーマが参加者の共通の認識となったところでございます。世界遺産に対しましても、こうした共通のテーマや認識を持つことも大事なことであると考えてございまして、世界遺産登録推進三県協議会において、例えば植物を折らない、ごみは捨てずに持ち帰るなど、参詣道を守っていくため、公募による共通のルールの策定を行っております。今後、これをポスターやパンフレットに掲載するなど、世界遺産のみならず環境への認識、心がけとしてその普及啓発に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 動作法の今後の対応についてお答えいたします。
 動作法についての効果、また保護者の皆さんの大きな期待について、改めて今回認識したところでございます。
 さて、本県の臨床動作法への取り組みでございますが、現在、子ども・障害者相談センターの相談業務や児童福祉の関係者を対象とした動作とイメージを用いたストレスマネジメント講座に取り入れているほか、知的障害者更生施設の由良あかつき園で、対象となる児童と保護者の皆さんを対象に動作法の指導を毎月一回実施しております。その際、養護学校や障害者施設の職員に対する研修も実施しておりますが、今後も関係者の認識を深めるとともに、普及し、すそ野を広めるため、動作法に関する情報提供や人材の育成など研究してまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 東南海・南海地震の津波対策の関係でございます。
 まず県内の海岸保全区域の関係でございますが、県内では百七十七カ所の海岸保全区域が指定されておりまして、その堤防や水門などにつきましては主に高潮対策として整備しておりますが、既存の施設を正常に機能させることにより、津波に対しても一定の効果があるものと思われます。このため、施設の点検と補修が現時点では重要であると考えております。また、その施設管理につきましては、本年九月二十八日に行われました沿岸二十一市町の津波避難訓練において、一部の市町で実施されました水門等の閉鎖訓練、その結果を参考に、よりよい施設管理の方策を検討しているところでございます。
 今後の対策でございますが、現在県全体で行っております津波被害想定の結果をもとに、市町村との連携を図り、ソフト対策及びハード対策の総合的な組み合わせにより安全性の向上が図られるよう検討するとともに、国に対しても津波対策が円滑に進捗するよう財政的支援を働きかけてまいります。
 次に家屋の耐震強化推進と紀州材、間伐材の活用でございますが、木造住宅に対する耐震補強は、筋交いや金物での補強が一般的に行われております。議員ご指摘の紀州材、間伐材が簡便で安価な耐震補強材として活用できるかどうか、材料や工法などについて関係部局と連携しながら、具体的に調査研究を進めてまいります。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) ご質問の企業誘致の現状と県下の企業団地の状況等の二点につきまして、一括して答弁させていただきます。
 初めに企業団地の状況についてですが、誘致を目的としている企業団地は十五団地、約百四十七ヘクタールとなってございます。このうち、分譲済み面積は約六十五ヘクタール、四四・三%となってございます。
 次に企業誘致の現状につきましては、昨今の経済状況から、各企業は組織のスリム化や生産拠点の海外移転などを図っており、加えて地域間競争等により誘致活動は大変厳しい状況となってございます。こうした中、本県では、最近の企業進出の動向や他府県の取り組みなどを踏まえ、思い切った優遇制度の改正を図るとともに、企業の情報収集や企業訪問を強力に行うなど、さまざまな角度から強力に取り組んでございます。その結果、本年度、製造業では三社が相次いで操業を開始し、情報通信産業関連でも四社の進出決定を見るなど、相当の成果を上げてまいりました。今後とも、地域経済の活性化や雇用の確保を図るため、地元市町村を初め関係機関との連携を一層密にしながら誘致活動に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 企業局長西 芳男君。
  〔西 芳男君、登壇〕
○企業局長(西 芳男君) 企業団地の現況と企業誘致についてのご質問のうち、二点についてお答えいたします。
 まず御坊第二工業用地についてでございますが、平成七年度に三区画、約二十七ヘクタールを売り出し、一区画約八ヘクタールを売却、残り約十九ヘクタールが未売却用地となってございます。残り二区画については数社からの問い合わせがございましたが、希望面積の不一致あるいは用水の供給量の不足、また分譲価格の問題などにより売却に至らなかったところでございます。
 また日高港企業用地につきましては、来年春の供用開始を予定してございますけれども、本年八月から十八区画、約九ヘクタールを売り出したところ、五区画、約一・五ヘクタールの分譲・賃貸の申し込みがあったところでございます。
 企業局では、売り出し価格を見直すとともに、進出企業の初期投資の軽減を図るための賃貸制度や進出企業を紹介していただくことによる成功報酬制度を創設して売却の促進に努めてございます。企業誘致につきましては、今後も厳しい状況が続くものと思われます。企業局といたしましては、関係部局はもとより、御坊市を初め地元関係機関との連携を図りながら、地域の振興、活性化に資するよう積極的に取り組んでまいります。
 また、先ほど花田議員から力を合わせて頑張っていこうという力強いお言葉を賜りました。本当にありがとうございます。今後とも、議員の皆様方の積極的なより一層のご支援をお願いいたします。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番花田健吉君。
○花田健吉君 もう、質問ではありません。要望だけです。
 県土整備部長に、先ほど水門の話が出ていましたけれども、まだ水門のない河川もあると思います。私の住んでいる印南川というのはまだ水門がありません。ただ、ここは祭りのお渡りという儀式がありまして、水門がその地域に合うかどうか、それはちょっと別問題ですが、二十一年の津波災害のときは、印南町の役場のところまで漁船が津波によって送られたというか乗ってきたということも過去にはありますので、地域住民の祭事のことにもかかわりますから、水門をつけてくれという話ではないんですけれども、現時点でも水門のある川とない河川もありますので、その辺調査していただいて、地域住民の皆さんのご意見も賜りながら、水門については効果はあるという調査ですので、漸次調査していただいて、もし希望があれば、厳しい予算の中ではありますが、そういう地域住民の期待にもおこたえいただきたいというふうに思います。
 動作法に関して、知事のご答弁をいただいて本当にありがとうございます。私自身も知事同様、動作法についてそんなに造詣が深いわけではありません。ただ、先ほどの知事の答弁でもいただいたように、こういう動作法を受けるということよりも──私もお母さん方とお話しさせていただいたんですが、今回この問題を取り上げるというのは、今現在、あなた方が受けておられる方のためにするというのはもちろんですけれども、それよりもまだこれから生まれてくるであろう、この動作法によって、ひょっとしたら機能回復がされて社会復帰ができるであろうという未来の子供たちのために啓発と、それをまた支える体制をぜひこの際ご認識いただいて整備していただきたいというのが今回の質問の趣旨でございます。それにのっとった知事のご答弁をいただきましたので大変安心しているわけですが、再度、要望させていただいて、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で花田健吉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十六番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。
 ただいま、議長のお許しをいただきました。通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
 最初に、コスモパーク加太用地の利活用についてお尋ねいたします。
 コスモパーク加太にかかわる県土地開発公社の金融機関からの借り入れ問題について、十一月二十五日、和歌山地方裁判所から調停に代わる決定が出されました。これを受けて県当局は、検討の結果、妥当なものと考え、本定例会に二百六十五億円の債務保証や公社保有地の借り上げなどの関連する議案を提案されております。議案には、防災用地やカゴメの工場用地に使うためのコスモパーク加太の土地整備費も含まれております。この議案が成立いたしますと、コスモパーク加太用地の利活用が現実のものとなるわけであります。
 県議会のコスモパーク加太対策検討委員会の報告では、「県は、現下の厳しい経済情勢を踏まえ、長期的視点に立って、コスモパーク加太を構造改革特別区域計画に基づく安全・安心な食の起業拠点及び緑地等の都市との交流拠点など、秩序ある整備を行うべきである。 整備にあたっては、コスモパーク加太の未利用の現状に鑑み、相当思い切ったインセンティブを導入するとともに、県主導のもと公民連携して、今後の事業を推進すべきであると考える」とし、具体策として、「公社保有土地を貸し付ける場合、県が関与することにより、民間企業ヘは無償も視野に入れて貸付け」としております。
 コスモパーク加太は、約二百六十ヘクタールという広大な土地であります。コスモパーク加太用地については、今のところ防災用地とトマト工場用地になる予定であります。そこで、コスモパーク加太の土地利用計画を見直すとともに、今後とも用地の利活用を積極的に進めていかなければならないと考えます。
 一方、本県地域経済の安定、発展につながる企業誘致については、一定期間、用地の無償提供も視野に入れた取り組みを行う必要があると考えます。知事のご見解を承りたいと思います。
 次に、本年二月二十一日、木村知事、大橋和歌山市長あてに、雇用の確保と地域振興のため、カゴメが計画しておりますトマト生産工場の誘致を求める一万一千百十一名の署名を提出し、陳情させていただきました。コスモパーク加太にカゴメが進出を予定しておりますトマト生産工場については、新ふるさと創り特区として国の認定を受けております。地元地域住民からは、雇用の確保や地域の活性化のため、ぜひカゴメのトマト生産工場を誘致していただきたい、進捗状況はどのようになっているのかとの問い合わせが私のところに多く寄せられております。
 そこで、カゴメのトマト工場進出協定締結の時期と内容についてお尋ねいたします。
 あわせて、カゴメのトマト工場進出は、県内トマト生産農家を圧迫するのではないかとの一部の声がありますが、本県トマト生産農家との共生をどのように図るお考えか、お聞かせください。
 次に、本定例会の提出議案にはカゴメの工場用地に使うためのコスモパーク加太の土地整備費が含まれております。また、上下水道などのインフラ整備も進めていかなければなりません。これらの費用対効果を考えるとき、その効果として雇用の確保を初めとする地域の振興や県経済の発展につながるものでなければならないと思うわけであります。コスモパーク加太へのカゴメのトマト工場進出は、雇用の確保を初めとする地域振興、県経済の発展にどのように寄与するのか、ご所見をお伺いいたします。
 次に、緑の雇用事業と遊休農地の活用についてお尋ねいたします。
 まず、緑の雇用事業の全国展開への取り組みについてお尋ねいたします。
 県では、知事が提唱されました緑の雇用事業を積極的に推進しておられます。十一月二十日、デンマークから環境保護親善大使が木村知事を訪問し、和歌山で進めている緑の雇用事業の取り組みが日本全国でも進むよう頑張ってほしいと要請されたそうであります。これからの緑の雇用事業の本格的な全国での取り組みに大きな期待が寄せられているところでございます。
 十一月九日、第四十三回衆議院議員選挙が行われました。今回の選挙は、政権を争う選挙でもございました。選挙の結果、私ども公明党は、政治の安定と改革を進めるため、引き続き自民党とともに政権の一翼を担うことになりました。また、今回の選挙はマニフェスト選挙とも言われ、年金改革や経済対策などが各政党のマニフェストに盛り込まれておりました。私ども公明党のマニフェストの中で、都市と農山村漁村の交流という項目で、「整備の遅れている森林の解消を早急に進めるとともに、複層林化、針・広混林化等を推進します。また、緑の雇用を四年間で三万人増員します」と、具体的に数値目標を明示いたしました。知事は、この点、高く評価をしていただいております。県では、平成十六年度予算で緑の雇用担い手育成対策の創設を国へ要望されております。
 そこで、緑の雇用事業の現状と全国展開へ向けての今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 次に、遊休農地の活用についてお尋ねいたします。
 県では、遊休農地を解消し、再生産を始めた者に奨励金を交付する遊休農地リフレッシュ再活用促進事業を平成十五年度から始めております。
 遊休農地とは、農用地の所有者が耕作する意思がなく、事業実施から過去一年以上、農作物が栽培されておらず、雑草木の繁茂や障害物等のため、周辺農地の生産活動に著しく支障を及ぼすおそれのある状態の農地に、一反当たり一年目十万円、二年目五万円、三年目二万円の補助金を交付するものであります。大変好評でございまして、農業振興地域農用地、区域内農用地と限定されているわけですけれども、実は新宮の方から、この農振地域の枠を外してもらえないだろうかという相談もいただいております。
 今、緑の雇用事業というものは、知事の提唱と関係者のご尽力によりまして国家的なプロジェクトになりつつあります。緑の雇用でIターン者の定住を考えたとき、遊休農地をより活用しやすい方策を検討すべきであると考えます。ご所見を伺いたいと思います。
 次に、県職員のノーマイカーデー運動と南海貴志川線問題についてお尋ねいたします。
 本日、十二月十日水曜日はノーマイカーデーでありました。私も、南海加太線で東松江駅から和歌山市駅まで電車で、市駅から歩いて県庁まで出てまいりました。所要時間は約四十五分でありました。日ごろ車に頼りがちの生活から、歩いて公共交通機関を利用することは、健康的で爽快でありました。
 県では、将来にわたって公共交通機関を維持し、道路における渋滞の緩和及び地球規模での温暖化防止を図るため、県職員が率先して自動車等による通勤を見直し、ノーマイカーデー運動に取り組むことにしております。そして、効果の検証を行い、自動車から公共交通機関への利用転換に資する方策を探るとともに、教育委員会や警察及び民間企業等への参加を呼びかけることになっております。
 本日実施されました県職員のノーマイカーデーの実施結果と今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 あわせて、ノーマイカーデーを比較的交通が緩和されている水曜日ではなく──きょうも大変車はすいておりました。水曜日というのは、どちらかというと車がすいている曜日でもございます。交通が渋滞する日と申しますと、月曜日とか五日、十日、いわゆる五・十日と言われるところでありますけれども、そういった日にノーマイカーデーを実施されますと大変喜ばれるのではないかと思うんですけれども、いかがでございましょう。
 次に、低公害車の導入についてお尋ねいたします。
 このテーマについては、九月定例会の予算委員会でも質問いたしました。少し角度を変えてお尋ねいたします。
 京都議定書の発効を控えて、温暖化ガスの削減が各方面で進んでおります。全体の二〇%を超える交通の分野では、燃費効率の改善やハイブリッド車の普及など、車の排ガスを減らす努力は目覚ましいものがあります。本県においても、「環境にやさしい自動車」導入要綱を策定し、平成十三年四月一日から施行されております。さらに、平成十五年度和歌山県グリーン購入推進方針を策定して、ハイブリッド自動車、電気自動車、天然ガス自動車及びメタノール車などの低公害車の購入を推進しているわけであります。
 和歌山市では、公用車約六百台のうち、百一台が天然ガス車、四台がハイブリッド車となっております。この天然ガス車の導入台数は、近畿の自治体では、大阪市が三百七十八台、大阪府が百十七台、次いで和歌山市は百一台の第三位であります。本県は、観光県でもあります。観光客を招致するためには、環境に配慮した県土づくりを施策の柱に据えなければならないと思うわけであります。本県における低公害車の導入実績と民間への啓発も含めた今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 あわせて、公共交通機関の衰退により、高齢者や子供の移動手段が失われつつある現状にかんがみ、将来にわたって公共交通機関を維持していく必要があります。一方で、排気ガスによる大気汚染、地球温暖化防止にも努めていかなければならないと思うわけであります。
 そこで、公共交通機関であります路線バスに低公害車の天然ガス車(CNG)、これは都市ガスを燃料にするわけでありますけれども、現在和歌山市内に一カ所給油所がありますが、間もなく太田の方にも一カ所、二カ所になる予定になっておりますけれども、この天然ガスバスの導入を推進したらどうかと考えます。ご所見を承りたいと思います。
 ちなみに、大阪市交通局の公共交通機関の路線バスに天然ガス車が百三十五台導入されております。それで、平成十五年度からはこういった天然ガスのバスに対しまして補助金を交付することになってございます。具体的には、普通のディーゼルバスを一〇〇〇といたしますと、天然ガスのバスは改造費に八〇〇かかりますので、一八〇〇になります。この改造費用の八〇〇の半分、四〇〇を国土交通省からの補助で、残りの半分四〇〇を県、市町村、バス協会などで補助することになりまして、バス事業者の負担なしでディーゼル車バスと同じ一〇〇〇で購入できることになるわけであります。
 次に、南海貴志川線問題についてお尋ねいたします。
 この問題につきましては、きのうも山田議員の方からも質問がございましたが、少し角度を変えてお尋ねしたいと思います。
 南海電気鉄道株式会社から、南海貴志川線及び南海和歌山港線の経営について、近年利用者の減少が続き非常に厳しい状況にあるとの報告を受けまして、地元自治体として具体的対応策を検討、実施する南海貴志川線対策協議会を和歌山市、貴志川町、和歌山県で十二月六日に設立されました。
 私は十一月二十九日土曜日、ちょうど三十六年ぶりに貴志川線に乗ってみました。片道三百六十円の切符を買いまして、午後三時四十五分和歌山発の貴志行きの貴志川線に乗って運行状況を見てまいりました。貴志川までの所要時間は約三十分であります。途中、日前宮、伊太祁曽駅で列車がすれ違いました。乗客は、和歌山駅から約四十名、途中、一人、二人、三人、四人、五人とおりていかれました。乗ってくる客はほとんどございませんでした。若い女性二人の会話が聞こえてまいりまして、「貴志川線が廃線になったらどうしようかしら」というようなことで、「私、お父さんに送ってもらう」というような声が聞こえてきまして、送ってもらえる人はいいけれども、送ってもらえない人は大変だなあと思ったんですが。乗務員は一人のワンマンカー。運賃箱が二両編成の最前列に置かれております。駅はほとんどが無人駅。従業員は、ほとんど契約社員と言われております。経営の合理化も進められております。それにもかかわらず、近年、十億、八億、七億、六億と毎年度赤字が累積しておりまして、この十年間で累積赤字が七十億円となっております。昨年度が五億円というふうに出されております。終着駅の貴志駅には三十分後の午後四時十五分に着いたわけでありますが、おりる人は私を含めて十四名。貴志駅で一日の乗降客数を駅員さんに聞いたんですが、一日二千人ということでした。往復になりますと千人の方が利用しているということになると思うんですが。今度は、貴志駅から和歌山駅へ向かってまいりました。何と、貴志駅での乗客は私一人でございました。途中の各駅で一人、二人、三人、四人、五人と乗客が乗ってまいりまして、おりる客はほとんどないんです。和歌山駅に着いたのが三十分後の四時五十分でありましたが、二十八名の乗客がおりました。私は、そこでまた駅員から説明をお聞きしたんですが、和歌山駅での乗降客は一日平均五千七百六十一人、五千七百人の方が和歌山駅で利用されている、車両は二両編成で六台あるとのことでありました。駅員からも、貴志川線が廃線になったら大変だから、ならないようにしてほしいというような要望を受けたわけでございます。南海電鉄は、貴志川線について廃線も含めて検討しているそうであります。
 貴志川線は、老若男女、学生・生徒を問わず利用されており、生活に大変密着した、住民にとって重要な公共交通機関であります。廃線となれば、交通弱者と言われる高齢者や子供の交通手段が奪われるだけではなくて、通勤や通学に大きな影響を及ぼします。存続させていくためには、県で実施されておりますノーマイカーデーを民間にも積極的に推進するとともに、和歌山市、貴志川町の地元として貴志川線の利用促進を図るべきであると考えます。特に、民間に利用を呼びかける以上、県・市・町職員、教職員が率先して貴志川線を利用すべきであると考えます。ご見解を承りたいと思います。
 もし廃線になった場合、通学者への影響は甚大であります。通勤者や通学者の利用状況はどのように把握されておられるのか、貴志川線を存続させるために、県教育委員会としてどのように対応していくお考えか、教育長にお尋ねいたします。
 次に、東南海・南海地震対策についてお尋ねいたします。
 最初に、地震、津波対策についてお尋ねいたします。
 政府の地震調査委員会は、平成十三年九月、今後三十年以内の発生確率は、東南海地震が五〇%、南海地震が四〇%との予測を発表いたしました。本県においては、マグニチュード八の南海道地震から五十七年目を迎えようとしております。前回の南海道地震は、昭和二十一年十二月二十一日に発生し、マグニチュード八の規模で西日本各地に津波の被害をもたらし、千三百三十名のとうとい命が奪われました。本県での死者、行方不明者は二百六十九名でございました。東大地震研究所の島崎邦彦教授は、一九四六年の南海地震は規模が小さかったため、次は二〇一〇年から二〇二〇年ごろと早く、大規模と予測しております。また紀の川沿いには、世界的にも大規模な活断層、中央構造線が走っております。いつ起こるかわからない地震や災害、これらの対策を初めとする危機管理に終わりはなく、さらなる対策の充実強化に努めていかなければなりません。地震や災害の危機管理については、計画をつくり、体制を整備して何回も何回も訓練してなれ親しんでおくことが重要であることは申すまでもありません。
 ことし七月、東南海・南海地震対策特別措置法が施行されました。これを受け、政府の中央防災会議の専門調査会は、九月十七日、東海以西の太平洋沖を震源とする東南海・南海地震への備えを重点的に進めるべき防災対策推進地域として、二十一都府県の四百九十七市町村を指定する案を発表いたしました。今月中にも対象となります東南海・南海地震対策推進地域が決定され、避難地、避難路等の整備や津波にかかわる防災対策が実施されることになっております。
 本県においては、五十市町村のうち四十八市町村を指定する案が発表されました。なぜ、高野町、花園村が防災対策推進地域の指定の案から外されているのか、追加指定についてどのような意見を述べ、要望されているのか、お尋ねいたします。
 政府の地震調査委員会が平成十三年九月に発表した、国土交通省は海岸のある全国の自治体に津波避難実施訓練の状況を聞いたところ、二六%の自治体しか避難訓練を実施していないことがわかりました。本県においては実施率一〇〇%、昨年十一月、県の呼びかけで沿岸二十一市町が津波訓練を実施いたしております。東南海・南海地震では、津波被害が広範囲にわたると予想されております。そこで、いつ起きるかわからない地震・津波に備えて、夜間訓練も含む避難訓練を何回も何回も行うべきだと考えます。
 また、今年の十一月二十六日、東京で行われた東南海・南海地震に備える沿岸四県高速道路整備促進大会で、田辺市新庄公民館長の柏木多美男さんは、昭和二十一年に起きた南海地震でのみずからの体験を通して意見発表されました。その中で、避難するときには夜道は光だけが頼りだった、避難路に太陽光発電のソーラー式街路灯の必要性を訴えておられました。私もそうだなあと思ったわけでございますが、ぜひ避難路にソーラー式街路灯の設置を図るべきだと考えます。ご所見を承りたいと思います。
 次に、小・中・高等学校、幼稚園などの耐震診断の実施状況についてお尋ねいたします。
 文部科学省が定めた学校施設耐震化推進指針の学校施設の耐震化の必要性によりますと、学校施設は多くの児童生徒等が一日の大半を過ごす学習、生活等の場であることから、もし地震災害が起きたときには一日も早く教育活動を開始しなければいけない、一方では、地域住民の避難場所、最も身近な公共施設であるということでございます。そういった意味で、学校施設の整備というか、耐震性を持たすということは大変重要であると考えるものでございます。
 学校施設耐震化推進指針の、既存学校施設の耐震化推進にかかわる基本方針では、地方公共団体の設置者は、昭和五十六年以前に建築された学校施設について、耐震化優先度調査、耐震診断、改築、耐震補強、その他の耐震化にかかわる施策を順次推進していく必要がある、このためには、耐震化に関する個別事業の緊急度や年次計画等を内容とした耐震化推進計画を早急に策定するなど、計画的に学校施設の耐震化を推進していくことが重要であるとしております。おおむね、この三年間で耐震診断を終了することとしております。本県における小・中・高等学校、幼稚園における耐震診断の実施状況と今後の取り組みはどのようになるのか、また全国的に見てどうか、お尋ねをいたします。
 次に、学校施設の耐震化推進計画を策定するための検討委員会の設置についてお尋ねいたします。
 本県では、和歌山県地震防災対策アクションプログラムに基づきまして、消防防災課、都市政策課、管財課、公共建築課、教育委員会によるワーキンググループを編成し、耐震化への検討を行い、耐震化計画策定の準備を進められております。私は、学校施設の耐震化の重要性にかんがみ、県は、市町村において学校施設の耐震化推進計画を策定するための学校施設の耐震化について、幅広く各部局が審議をして、推進していくための検討委員会の設置を各市町村に指導すべきであると考えるわけでございます。ご見解を承りたいと思います。
 最後でございますが、捜索救助犬の訓練施設について要望させていただきます。
 先月、朝日新聞に、「わかやま探検隊 災害時の活躍に期待 捜索救助犬」の記事がありました。捜索救助犬とは、大地震や災害などで生き埋めになったり、山で遭難したりする人を捜し出す警察犬の一種であります。八年前の阪神・淡路大震災では、この捜索救助犬が被災者の救助に活躍をいたしました。本県で認定されております捜索救助犬は、現在三頭であります。県警の初代の捜索救助犬を育てた人は、和歌山西署に勤務されております宮本行夫鑑識係長であります。捜索救助犬は、ボランティアの指導手らが訓練した嘱託犬で、災害時に県警の依頼を受けまして現場に派遣されることになっております。
 現在、警視庁と北海道警察本部、こちらは直轄で捜索救助犬を訓練、育成しております。そして、富山県と和歌山県が嘱託犬ということになっております。そういうわけで、捜索救助犬の訓練には広大な土地、また大規模な施設が必要であるようでございます。倒壊現場というものを想定した古家とかコンクリートブロックとか、そういうのも必要だというふうにお聞きしております。大地震や大規模災害に備えて、捜索救助犬の訓練施設を確保するとともに、コスモパーク加太の防災用地の一部を捜索救助犬の訓練施設として整備し、ここで近畿一円──近畿で和歌山だけですから、また全国の捜索救助犬を初めとする犯人捜査のための警察犬の訓練拠点として活用したらどうかと私は考えるものでございます。この点は要望とさせていただきまして、私の第一回目の質問とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず最初、コスモパーク加太の土地利用計画の見直しについてのご質問でございますけれども、私は、今のような経済情勢、これからも続いていくと思いますけれども、その中では、用地の利用ということも損して得とれというふうな感覚が必要だと思います。昔この土地は幾らしたから、その値段で売らなかったらと言ったら絶対買い手がないので、そういう意味では、値段とか賃借とかいろんな形でやっていく方法もありますし、それからまたその土地利用の計画についても柔軟に、その時々の一番の需要に合わせて見直していくということが必要だろうと思います。
 そういう中でカゴメのものにつきましては、江上議員の方からも一万人を超える方々からの要望書というものを出していただいて、今鋭意対応しているわけでございますけれども、それだけでなくて、いろんな形で前向きに考えていきたいと思います。
 今、最後に要望にありました捜索救助犬なんかについても、こういうふうな公的な犬もありますし、それから私的な犬を遊ばせたりするところが日本じゅうなくて、ホテルつきでやったらお金持ちが幾らでも来るだろうというようなお話も実はあるんです。だから、いろんなことに柔軟にアンテナを高くして対応していけば、こういう土地の活用ということも図られると思いますので、またいろいろいいご意見があったらお寄せいただきたいと、このように思っております。
 次に、緑の雇用の全国展開についてのご質問でございます。
 おかげさまで、議員各位の大変なご理解があってこの施策、いつの間にか全国的な施策になりまして、ある出版社の本では、「日本の論点」という一つの項目にまで取り上げられるところに来ております。きのうも、国会の方でも、国会議員の会で決議をして、来年度の当初予算でも大きな額を確保できるようにという活動をしていただいているわけですし、何よりも先般の総選挙で公明党のマニフェスト、この中に「緑の雇用」というはっきりした言葉で三万人を確保するということで入れていただいているというふうなこともありまして、こういうふうなことが全国展開にとって大変大きな力になっていると私は思っております。
 ただ、この緑の雇用も、ただ単に都市でリストラされた人なんかを中心に中山間へ入ってもらうというだけではなくて、もっと幅広く、山だけじゃなくて、農業もそうです、それから海もそうです。こういうものすべてにこういうふうなことを広げていくという発想、それからまた雇用ということだけでなくて環境保全とか大きな面で、例えば企業の森なんていうのもやっておりますけれども、こういうふうな形で広がりの大きいものにしていけば一つの大きな国民運動にもなってくるものだと思っておりますので、皆さん方のご理解とご協力をいただけらありがたいと思っております。
 それから三番目に、東南海・南海地震の対策推進地域に五十のうち、高野町と花園村だけが落ちているというふうな案が来まして、今、私どももこの二つとも入れてくれということで申し入れを行っているところでございます。これは、震度六弱以上が予想されるということで、高野町と花園村については震度五だったというようなことで機械的に入っていないということのようでございますけれども、当然のことながら、防災対策というのは一体的にやっていくわけです。今後の推移はわかりませんけれども、今、市町村合併なんかでもいろいろ一緒に活動しようというふうな機運も出てきているわけでございますし、いろんなことを考えて、ここの二つだけが抜けているというのは適切ではない。特にまた高野山なんていったら、国宝とかいろんなものがあるわけですから、より以上に大事にしていかないといかんという面もありますので、この点については、今申し入れているわけですけれども、強く働きかけていきたいと、このように思っています。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 初めに、トマト生産工場進出協定締結の時期と内容についてでございます。
 現在、県、和歌山市、カゴメ株式会社の間で立地に伴う具体的な詰めの協議を行っているところでございまして、今後、地元雇用、建設計画等々を盛り込んだ進出協定が年度内に締結できるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、トマト生産農家との共生についてでございます。
 先日も、カゴメ株式会社との間で、農林水産部等を交え、コスモパーク加太へのトマト生産工場の進出とトマト生産農家との連携に向けた話し合いの場を持ち、他県でのカゴメ株式会社とトマト生産農家及び生産者団体等との連携実績、需要拡大への取り組み、流通方法等々について意見交換を行ったところでございまして、カゴメ株式会社自身も本県トマト生産農家との連携を希望していることから、引き続き生産者団体等関係者と連携方策についての協議を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、トマト工場進出と地域振興についてでございます。
 カゴメ株式会社の進出は、コスモパーク加太の利活用に大きな弾みとなるとともに、大変厳しい雇用情勢の中にあって約三百人の雇用が予定され、施設の建設、企業運営に伴う地元の資材調達などの製造関係費等で約二十年間で約五百八十三億円に上る経済波及効果が見込まれますので、地域の振興や経済の発展に大きく寄与するものと考えてございます。
 次に、ノーマイカーデーの実施結果と今後の取り組みでございます。
 本日のノーマイカーデー運動の実施結果についてでございますが、九時三十分時点での集計で、通常、自動車や単車で通勤する職員のうち、約六五%が電車やバス等で通勤したとの結果が出ております。前回の参加率と全く同じ結果となっております。
 また、今後の取り組みにつきましては、一人でも多くの方に自動車等から公共交通機関へ利用転換してもらえるよう、民間企業等へも運動の場を広げていきたいと考えております。
 なお、実施日につきましては、今回のノーマイカーデー運動は、まず県職員からやってみようということで、職員が最も参加しやすいノー残業デーとあわせて実施することにより、運動の効果を高めることをねらったものでございます。今後、運動の輪を広げるに当たっては、本運動に参加しやすくするとともに、自動車通勤を分散することによる渋滞解消の効果を上げるために、各団体が実施日を自由に設定できるようにするなど、さまざまな知恵を出して取り組んでいきたいと考えております。
 次に、低公害車の導入と今後の取り組みについてでございます。
 路線バスへの天然ガス車の導入でございますが、現在、バス事業者が新規にバスを購入する際には、交通バリアフリー法により低床バス等のいわゆる人に優しいバスの導入が義務づけられておりますが、本県におきましても、国とともに事業者に対して支援を行い、順次、車両のバリアフリー化が進んでおります。
 一方、環境に優しいバスとしての天然ガス車等の低公害バスの導入につきましては、自動車NOX ・PM法の対策地域である三大都市圏を中心に進められておりますが、本県におきましては導入に至っておりません。議員ご指摘のとおり、今年度から路線バス事業者等の低公害車導入に係る国庫補助制度の適用地域が全国に展開されておりますが、利用者の落ち込みにより厳しい経営状況にある県内のバス事業者にあっては、低公害車としての維持経費、天然ガスの供給体制など、導入に向けて解決すべき多くの課題がございます。しかしながら、低公害バスは、環境問題の先導的な取り組みの中でも極めて効果的な対策と考えておりまして、バス事業者を初め庁内関係部局と連携しながら、導入について検討してまいりたいと考えております。
 次に、南海貴志川線の利用促進についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、同線を維持するためには、年々減少する貴志川線利用者に歯どめをかけ、増客を図ることが第一の方策と考えてございます。
 先日設置されました南海貴志川線対策協議会におきましても、同線の利用促進が大きな柱になってございますが、具体的には、貴志川線沿線住民の通勤手段や、沿線に点在する高校等への通学手段を鉄道利用に転換するための方策やノーマイカーデー等の実施、貴志川線とバス路線との連携、さらには沿線以外からの同線利用者確保のため、集客イベント等の各種事業の実施が考えられるところです。
 なお、議員のご質問にもありましたように、県職員等のノーマイカーデーの取り組みを民間事業所に拡大することも一つの方策と考えますし、この中で同線の沿線に居住する県・市・町・教職員等が地域の住民の一人として積極的に同線を利用すべく取り組むことは大変重要だと考えます。今後、地域住民を中心とした熱意と行動が貴志川線を維持するための大きな力になるものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 遊休農地の活用についてお答えいたします。
 現在県では、遊休状態を解消し、農地の再活用を図るため、遊休農地リフレッシュ再活用促進事業を実施しております。この事業では、事業効果を確実なものとする観点から、奨励金交付が終了した後も、再び遊休化させず、営農を継続していただくために、県や市町村の補助金を受けた農地が宅地等への転用によって安易に農地性を失うことのない地域として、農業振興地域内の農用地区域に限定して実施してございます。
 なお、現在は事業対象となっていない農地についても、市町村との協議を経て農用地区域に編入すれば事業実施は可能でございますので、地域の実情に応じた事業運用を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に緑の雇用等のIターン者に対する遊休農地の活用状況でございますが、本年度の遊休農地リフレッシュ再活用促進事業では、奨励金の交付対象者三十七名のうち四名のIターン者の方にご活用いただいております。また、本事業は県単独事業として実施しており、国の支援を要請しているところでございますが、今後とも各種関連事業を効率的に活用し、Iターン者などの意向を踏まえつつ、より一層遊休農地の活用が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 低公害車の導入と今後の取り組みについてでございますが、県のグリーン購入推進方針により、できるだけ環境に負荷の少ない公用車の購入に努めているところでございます。
 平成十四年度実績につきましては、公用車七十七台を購入しましたが、うち二台がハイブリッド自動車、六十九台が低燃費かつ低排出ガス認定車で、導入率九二%となっております。また、すべての公用車千七百十五台中、低公害車はハイブリッド自動車十台を含めて合計百九十一台となっております。
 県といたしましては、低公害車の導入は、地球温暖化防止、大気汚染防止の観点から大変重要な施策と考えており、今後ともハイブリッド車、天然ガス車等、より効率のよい低公害車の導入の拡大に向け取り組んでまいります。
 なお、天然ガス車につきましては、本年度中の導入に向け、鋭意努力しているところでございます。また、民間事業者や県民への啓発につきましても、県が実施する環境に関するフォーラムやシンポジウムなど、あらゆる機会を通じ広く働きかけるとともに、「県民の友」を初めマスメディアを活用して積極的に進めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 地震防災対策についてお答えを申し上げます。
 まず津波避難訓練につきましては、県の呼びかけによりまして、昨年の十一月から県下沿岸二十一市町で一斉に行われております。ことしも、九月二十八日の和歌山県防災総合訓練と同日に実施しておりまして、県下で一万人を超える参加者を数え、各市町独自の訓練メニューによりまして積極的な取り組みが図られているところでございます。
 訓練は、議員のご指摘のように何度も繰り返すことが必要でありまして、またあらゆる事態に対応できるよう、さまざまな状況設定のもと行っていく必要があると考えております。このため、来年度以降実施する津波避難訓練につきまして、議員ご提案の夜間訓練も有力な実施メニューの一つと考えられますので、今後関係市町との訓練準備会議などを通じて導入を呼びかけてまいりたいと考えております。
 次に避難路へのソーラー式街路灯設置の件でございますが、ことしの一月に県が作成し関係市町に示した津波避難計画策定指針におきましても、避難路への夜間照明設置についてその設置が望ましい旨を記載しております。照明設置につきましては、基本的には関係市町の役割でございまして、今後地域ごとの津波避難計画策定を推進していく中で、ソーラー式も含め照明装置の設置についてその必要性を周知してまいりたいと考えております。
 次に本県の私立の小・中・高等学校及び幼稚園における耐震診断の実施状況についてでございますが、昭和五十六年以前に建築された対象となる校舎など、六十棟中六棟が耐震診断を実施しておりまして、実施率は現在一〇%でございます。昨年十二月の調査における八・三%に比べ、徐々にではありますが耐震診断が進んでおりますが、昨年の全国の実施率二一・七%を下回っております。
 なお、昭和五十七年以降に建築された校舎等はすべて耐震性があるものとした推定耐震化率におきましては、全棟数百十五棟中七十七棟が耐震性があると推計されまして、耐震化率は六七・〇%となりまして、昨年の全国の六七・八%と同程度となっております。
 県といたしましては、児童生徒等の安全確保の観点から、私立学校の設置者である学校法人に対して、積極的に耐震診断及び必要な措置を講じるよう引き続き要請してまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) まず、南海貴志川線問題についてお答えいたします。
 現在、沿線及び和歌山市内の学校等への通学に利用している学生・生徒は、一日当たり約八百人と推定されます。これが廃線ということになりますと、通学はもちろんのこと、幅広い学校選択や特色ある学校づくりの推進などに大きな影響が生じるものと危惧しております。こうしたことから、関係の深い学校に対して、十二月八日付で、教職員やPTAが率先して利用するとともに、存続に向け地域等と連携して取り組むよう呼びかけを行ったところでございます。今後、教育委員会として、関係部局や南海貴志川線対策協議会と協力しながら、積極的な働きかけを行ってまいります。
 次に学校施設の耐震診断の実施状況についてでありますが、県立学校の実施率は現在八〇・六%となっており、近畿では最も高く、全国的にも十位前後の上位を占めております。一方、最新のデータによる公立小中学校は二二・九%、公立幼稚園は一二・一%の実施率となっており、全国平均よりは下回っている状況にございます。
 今後の取り組みといたしましては、県立学校については、早期に耐震診断を完了するとともに、耐震補強工事を着実に進めてまいります。小中学校については、市町村において平成十五年度から三カ年でほぼすべての学校施設の耐震診断を実施する計画を策定し、現在取り組んでいる最中でございます。こうした中で、例えば串本町、すさみ町、和歌山市など全部で十五の市町村が計画を上回る進捗状況を示しております。また、本年七月に文部科学省が策定した学校施設耐震化推進指針を各市町村に対して周知し、耐震化事業の円滑な実施をお願いしたところでございます。今後、この指針の趣旨を踏まえ、市町村に対して実施計画の着実な推進や検討組織の設置等について指導するとともに、公立幼稚園の耐震診断についても働きかけを行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十二分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
 まず、私はきょうは四つの項目についてお尋ねをしてまいりたいと思います。どうか、心ある答弁をお願いしたいというふうに思います。
 それではまず最初に、県営住宅ニューかわなが団地問題についてでございます。
 ニューかわなが団地は、川永団地の建てかえによって、新たにニューかわなが団地として平成六年から入居が始まりました。一号棟から五号棟が建設をされているところです。しかし、三号棟だけは特定優良賃貸住宅でありまして、月収十七万八千一円以上六十万一千円までの世帯の方が入居できる住宅になっております。エレベーターは全号棟にあります。部屋の段差解消や手すりなどのバリアフリー化が施されています。そして、今度はふろがまも設置されておるところですが、給湯器だけは入居者が設置することになっています。建物の色が茶褐色のせいか、大変落ちついた温かみを感じさせる、そしてちょっとした高級感も感じさせる住宅でもございます。一方、隣に並ぶ古い川永団地との格差も、いや応なしに感じるものであります。大切なことは、何よりも安心して住み続けられることが肝要だと思います。
 十一月の中ごろでした。入居者の方から、とにかく一度部屋を見に来てほしいよと連絡がありましたので、早速訪ねてみました。説明を聞きながら、こんなことあるんやろかと各部屋を見て回りました。この方は三DKに一人で住む身体障害者でありまして、入居してから七年になるそうです。こんなこととは、どういったことなんでしょうか。その一つには、和室を除くすべての部屋の床のフローリングが浮いて波打っています。部分的には一度修繕をされたと聞いておりますが、しかしこのとき、床にボールを置きましたところ、とまりませんでした。それだけに波打っているということであります。二つ目には、和室の押し入れのかもいが垂れて、天袋と押し入れが開閉できなくなりました。三つ目、畳と敷居の間に六ミリから十一ミリぐらいの段差がありました。四つ目には、四号棟の駐車場に階段がありまして、車いすの方が駐車場に直接行けない、随分と遠回りしなければならないという実態でもありましたし、一号棟の駐車場に行くスロープも、これまたあるものの傾斜がきつくて使用しにくいということでありました。もう一つは、ふろ場のドアのねじがもともとからなかったという問題で、大変安定をしないというような訴えがございました。このような問題をこの入居者の方から指摘をされて修繕を求められたところであります。
 私は、かもいが垂れるとか床のフローリングが浮いているという問題は、かつて三号棟でも入居者から訴えられて、これを県当局にもお願いをしたところでありますが、通常では考えられないことではないのかというふうに私は思うんです。資材の一括発注による低コスト化や、また工事工法には問題はなかったのか。たとえささいなことでも、足の不自由な方や高齢者、車いす利用者などにとっては大変なことです。急いで調査の上、修繕をお願いしたいと思います。
 なぜこんな問題が発生するのでしょうか、不思議でなりません。安心、安全、快適、良質な公営住宅を提供するために、今後の住宅対策についても県土整備部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、このニューかわながの三号棟の空き家対策について伺いたいと思います。
 先ほども申し上げましたが、三号棟の十九戸は収入の比較的高い方が入居する住宅でもあります。わずかに築九年です。賃貸料は、最も安いところで、三LDK、一カ月七万四千三百円、四LDKで八万八千百円、最高は、三LDKで、部屋の面積にもよりますけれども八万二千円、そして八万五千円、八万八千円、四LDKで九万七千円です。これに加えて共益費や合併浄化槽の保守点検費、くみ取り料金等で、私は決して安いとは思いません。
 この三号棟の入居戸数、現在は六戸です。平成八年から平成十一年三月までは、多いときは十七戸、入居がありました。その後減り続けて平成十四年、昨年の十一月には七戸に減っています。そして今や六戸の、これは全体の三分の一、三一%の入居率になっています。賃貸料も平成十三年四月から一〇%引き下げたものの、空き家は埋まっておりません。国の補助金を受けて約三億三千万円余で建設した住宅でもあります。家賃収入が修繕や設備費に運用されることを考えますと、いつまでもこの状態を続けるなら大変な事態になるんではないでしょうか。
 県土整備部長にお尋ねをいたします。
 公募するように条例でなっております。どのような方法で行われてきたのでしょうか。
 三号棟の前には、ちっちゃな看板が立っております。これは目立ちません。PR不足で、もっと積極的な募集があってもいいのではないかというふうに思います。利用されない住宅建設は、むだな公共事業と言わざるを得ません。これまで県営住宅に入りたいと四回も五回も申し込んでも入居できない方々がたくさんいらっしゃいます。このことを思えば、どうだったのでしょうか。今後の方策についてもお聞かせ願いたいと思います。
 次に、新宮白見の滝近くの不法投棄についてお尋ねをいたします。
 高野・熊野の世界遺産登録認証の日が近づいてまいりました。今議会においても、数人の皆さん方から討論がされたところでございます。
 十一月三十日から一週間にわたってNHKで、「世界遺産の旅 スペイン」という番組がハイビジョンで生中継されました。私は毎日見ることはできませんでしたが、大きな感動を覚えたものです。二千年の歴史と伝統に刻まれ、見事なまでに築き上げられたイスラム・キリスト教を象徴する大聖堂や、そして城、生活を支え住民の命を守るために建設された巨大な水道橋や城壁、中世期そのままの町並み、独創的なすぐれた建築家たちの建造物、レオンという町の大聖堂のステンドグラスは圧巻させられました。千年以上も続く巡礼の道サンティアゴ、職人わざの粋を集めた建物にスペインの歴史を見ることができた思いでしたし、機会あるなら訪れてみたいと思っています。
 さて皆さん、本論に入ってまいります。
 白見の滝近くの不法投棄の問題でありますが、これは、これまで我が党の議員でありました金田眞氏が毎議会、世界遺産登録を控え、熊野川の清流を取り戻したい思いから、ダムによる濁水対策や熊野川河川敷の不法投棄対策の解決を求めて質問と要望を繰り返してきた経過があります。不法投棄した行為者も判明している中にあって、この間、県も積極的にその解決のために努力を続けていただいているところですが、いまだに解決には至っていない状況にあります。
 この不法投棄は、昭和六十三年四月から始まっています。早くも十五年が経過していることになります。この不法投棄は、自然公園法、廃掃法、河川法に違反している行為に対して種々指導を重ねながらも自主的原状回復を求めて解決を目指した、ところが状況が全く改善されないためにこの三月二十八日、改めて河川法違反に対し原状回復範囲を平面図に指示し、平成十五年七月二十五日の期限を定めて最後の監督処分をいたしましたが、その期日まで完全な原状回復には達していないという状況にあります。その後も、今後の作業の見通しについて県は報告を求めるとともに除去実施計画書の提出に対しても、この原因者は一貫してこたえていません。指導にも命令にも従わない。これは一体どういうことでしょうか。法を犯していることに何の反省もない、極めて悪質業者と言わざるを得ません。到底現状を追認することもできないのは当然です。こうした業者の姿勢に行政の毅然とした姿勢が問われることも当然です。
 私も、一日も早く解決を願うものです。そして、世界遺産にふさわしい姿で世界遺産の登録の日を迎えたいと思い、私も現地に行ってまいりました。私の見たままをお話ししたいと思います。
 十五年も経過していますから、かなり表面はかたく締まっております。コンクリートの構造物の破砕物やビニール、鉄パイプ、ブリキ缶、タイヤ、ワイヤロープ、針金など、そして何カ所かコンクリートをそのまま流した形跡も見られました。埋め立てられた山は、目視で、延長にして五十メートルから六十メートル、高さは水面から十三メートルから十五メートルはあるのではないかと思いました。そして、あちこちに雑草が生い茂っている、そういう状況もありました。搬出用の大型のショベルカーが一台隅っこに置いてあり、しかし稼働しているようには見えませんでした。一緒に見ていた私の友人は、「有害物質が含まれていないやろか。心配だ」と言います。友人は、十年以上生コンの職場で働いてきた経験から感じ取ったようです。
 県は、平成十二年九月七日に業者に対し、廃棄物の種類、量、面積などの報告を求めましたが、今日に至るもその報告がありません。県土整備部長、いかがでしょう。有害物質などの有無を含めたボーリング調査、そして埋立地を掘り返して何が放棄されているのかを調査していただきたいと思うものですが、いかがでしょう。そして、今後の対策にもこれは生かせるのではないのでしょうか。これまでもさまざまな方法で解決策を進めてこられたところですが、今後どのようなことが考えられるのでしょうか。あわせてお考えをお聞かせください。
 次に、熊野川の問題に関して、ダムによる濁水対策についてでございます。
 北山川と熊野川の合流地点から下流に向かって、濁水のひどさは一目瞭然です。昨年八月だったと思いますが、総務委員会の県内調査で防災ヘリに乗せていただき、上空からその実態を見ることができました。これはひどいと実感をしましたし、金田眞氏の質問に大いに納得をしたものですし、このまま世界遺産登録があるのだろうかと、そのときは本当に心配になりました。
 ことし二月議会において金田議員は、ダムの撤去以外清流は取り戻せないと主張し、現行をおおむね三十年とした水利権の短縮の検討を提案したところです。そのときの知事の答弁は、「水利権の短縮については、県として熊野川を世界遺産にふさわしい姿に近づけていくため、環境面に配慮し、変化の激しい時代に沿った議論ができるよう、許可期間の短縮について許可権者である国に申し入れを行ってまいります」とお答えになりました。いつ、どのような形で申し入れをされてきたのでしょうか。そして、国の考えは。これは、実務を担当される県土整備部長の答弁をお願いしたいと思います。
 三つ目の質問に入ります。国立病院の賃金職員の雇いどめ問題についてであります。
 来年四月から、全国百五十四ある国立病院が独立行政法人に移行をいたします。したがって、南和歌山病院と療養所、和歌山病院も移行することになります。全国の百五十四病院には、国家公務員の定員を定めた総定員法の枠内では患者さんや国民の医療要求にこたえることができないため、定員外の職員が勤務をしています。これが賃金職員と言われる方々です。看護師を初め調理師や種々の職種の方が全国で六千五百五十五名ほど、和歌山の両病院には五十名の方がフルタイムで、残業や夜勤も正職員と同じように働いておられます。
 去る十一月二十一日、厚生労働省は、すべての賃金職員を来年三月末で雇いどめにする、夜勤のできる看護師以外は週三十時間以内の非常勤職員か、業務を委託するところに行くか、こういう一方的な発表を行いました。両病院の保育所はビジョンという企業に業務委託をする、看護助手、調理師など十五名の賃金職員の新たな雇用契約は一年以内、更新は長くて三回まで。十二名の保育士は、業務委託の採用を受けるか退職するかの選択を迫られることになっています。私は、国の総定員法と職場の人手が足りない矛盾の中でつくり出された賃金職員という身分の労働者に厚生労働省がその雇用の責任を果たすことは、ごく自然の姿だと考えます。移行しても病院が今まで以上に地域に貢献することが運営上も求められると思うのです。
 賃金職員が退職に追い込まれることがあれば、たちまち医療の継続に支障を来すことになるのは明白です。また院内保育所は、看護師や病院で働く職員が働き続ける保障としてなくてはならないばかりか、地域住民の保育所としても重要な役割を担ってまいりました。厚生労働省が営利本位の民間にこの保育所を譲り渡せば、保育料の負担や保育内容の問題など、利用者の意見が届かなくなることもあります。保育士の配置なども不十分なものになる心配もあります。
 あらゆる面でサービス低下につながりかねません。県にとっても、新たな失業者を国みずから創出することを、雇用関係がないからとただ黙って見過ごすことはできないと私は考えるものです。そして、地域住民との関係も信頼性を高めながら、その病院の専門的医療を、あるいは小児救急や巡回診療にこれからもその役割をより一層果たしてもらう必要があると考えるものです。それには、今でも賃金職員含めて患者の治療、サービスがぎりぎり維持されていると聞きますが、賃金職員の雇用継続は最小必要条件ではないでしょうか。
 県がこれまで策定した地域保健医療計画の中には、災害、小児救急、そして救急病院としても重要な位置づけがしてあります。両病院の比重は大きいと思うわけです。全国衛生部長会においても、国立病院の再編に関し、本年五月、十四項目の要望が提出されています。中でも、関係地方自治体とも協議することを求めています。地元である美浜町などには、何の説明もいまだにありません。住民の要請にも何らこたえようとしない姿勢をとり続けています。田辺市議会や美浜町議会で地域医療を守る立場から請願が採択されております。それが意見書として国へも届けられているところです。病院の説明がない中、地域では、病院が一体どうなるのか、保育所がどうなるのか、不安が広がっているようです。説明する責任があるはずです。
 国民、県民、地域住民の医療と雇用を守る立場から、また地域住民の健康と命を守る立場からも、ぜひ国と病院に賃金職員の雇用を継続されるよう、知事の言葉で要請をしていただきたいと願うものです。いかがでしょうか。意のあるところをお聞かせ願います。
 かつて、国立白浜病院と国立田辺病院の統廃合問題のとき、当時の知事が国や病院に対し、地域医療の充実を求めて要請や陳情をしていただきました。そして、大きく盛り上がった地域住民の運動とも相まって、統廃合されたものの診療科も大幅にふえてまいりましたし、救急や巡回診療への参加という住民サービスが大きく前進していることを申し添えたいと思います。
 最後に、年金問題についてお尋ねをいたします。
 今、年金問題は、国民の将来不安の大きな原因になっているところです。来年度からの年金改革を前にして、知事には県民の利益を守る立場で国へ年金改革への意見を上げていく姿勢を求めたいという立場で質問を申し上げたいと思います。
 年金は本来、すべての国民が健康で文化的な生活をしていくための保障となるべきものです。国民年金法第一条には、制度の目的として「日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」、このように定めているところです。しかし今、その目的、理念に逆行する事態が進行しています。政府が進める年金改革では、この方向がますますひどくなることに私は大きな危惧を持っています。
 お年寄りは三年前から、わずかな年金の中から介護保険料を支払わなければならないようになりました。ことしからは、物価の下落に伴って〇・九%の給付カットが強行されたところです。こうした中で、国民年金にしか頼れない方々は本当に暮らしを切り詰めています。和歌山県内の二〇〇一年度の老齢基礎年金の平均年金額は六十四万一千円にすぎないのです。
 私の知り合いのあるご夫妻、高齢者ですが、二人で一カ月七万円足らずの年金を受けていらっしゃいます。二間の部屋でおふろのないアパート、家賃は一万七千円だそうです。買い物はできるだけ安売りの時間に行くとか、銭湯に行こうにも料金が高いし遠くまで歩いていかなければならず、とても毎日というわけにもいかない、こういう心の痛むお話であります。
 年金改革については、受給している人だけでなく、今保険料を納めている人たちにも視点を当てなければなりません。全国の国民年金保険料の納付率を年齢別に見てみますと、若い人ほど低い実態があります。二〇〇一年度の納付率は、五十五歳から五十九歳までの人は八五・五%でありますが、年齢が低くなるにつれて下がり、二十歳から二十四歳まででは五四%にすぎません。若年層が、就職できない、アルバイトで暮らしていかなければならず、払いたくても払えないという実態があります。同時に、所得の多い少ないの問題だけでなく、将来老後に不安のない年金を受け取ることができるのかという、制度への信頼性の薄さを納付率はあらわしているんではないでしょうか。
 当面の焦点としては、基礎年金の国庫負担を法律どおり二分の一、いつ引き上げるのか、そしてその財源はどうするのかという問題があります。日本共産党は、むだな公共事業や軍事費の削減などで対応すべきだと考えています。消費税を充てるべきだという声が出ていることは重大です。社会保障の財源確保のため庶民に増税を強いるというのは本末転倒で、やってはならないことだと私は考えます。歳出の改革と同時に、巨額の積立金を活用することや、大企業や高額所得者に応分の負担を求めることなど、歳入の改革も行い、年金の最低保障制度を創設していくことが必要だと考えます。
 以上、年金受給者の暮らしの問題や年金改革の方向についての考え方を述べてまいりましたが、こうした問題に対する知事のご所見をお伺いしたいと思います。
 一つは、国民年金受給者の暮らしの実態をどのように知事は認識していらっしゃるのでしょうか。二つ目は、消費税の増税をしないで年金財政の確立を図っていく、こういう方向の改革を目指すことを知事からもぜひ国へ意見として上げていただきたいと思いますが、いかがなものでしょうか。知事のご答弁をお願いいたします。
 以上で、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 国立病院の賃金職員の雇いどめ問題についてでございますが、来年四月から実施されます国立病院の独立行政法人化においては、賃金職員の対応や保育所のあり方も検討されております。賃金職員の雇用問題については、これまでの労使関係や地元雇用の確保と配慮をされることを望むとともに、保育所についても質の高い医療の提供に配慮されるものと期待をいたしております。
 いずれにいたしましても、この二病院は地域医療に重要な位置を占めていることから、国立病院の独立行政法人化に当たっては地域の医療水準の向上に十分配慮いただくよう従来からも要望してきたところですが、今後とも引き続き要望等行ってまいりたいと考えております。
 次に、年金問題についてのご質問でございます。
 公的年金制度は、国民の老後生活に欠くことのできない重要な柱でございます。しかし、これから高齢者になる人や働き盛りを迎える人など、将来の年金に対する不安と不信感を持っている人も多く、また供給と負担の関係で制度の持続の可能性も問題となってきているところでございます。このため、国において、基礎年金の国庫負担のあり方等をまとめるための検討が現在なされているところでございます。
 私は、年金制度の改革に当たっては、年金の枠だけで行うのではなく、税や財政とあわせ、介護や医療などの社会保障、雇用制度等と一体的に考えるべきで、恒久的に持続可能な制度にするためには安定財源の確保や負担に対する合理性も必要であると考えております。
 議員ご指摘のとおり、年金は生活と密接につながっていることは認識しているところであり、制度改正に当たっては、勤労者、企業の活力低下や新規雇用への影響のみならず、低所得の高齢者等への配慮もなされ、給付水準についても高齢期の生活の基本的な部分を支えるものとする必要があると考えております。
 また、消費税の増税をしないで年金財政の確立を図っていくべき方向の改革を目指すよう国へ意見を上げていってはどうかとのご質問でございますが、先ほども申し上げましたように、今はまさにこの問題については国において議論がなされておりますが、私としては少子高齢化の進行等にも対応でき、現役世代の年金制度に対する不安感、不信感が解消され、だれもが将来を安心できる制度の構築となるよう議論の内容を注視するとともに、その実現を期待するものでございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、ニューかわなが団地問題についてでございます。
 初めに的確な施設修繕をについてでございますが、ニューかわなが団地は、平成六年から平成九年にかけて合計百七十八戸を建設したものであります。これまでの間、入居者の方から修繕の申し出があったものにつきましては、現場の状況を確認の上、必要な修繕を行っております。
 議員ご指摘の住戸につきましては、過日、現場の確認を行い、入居者の方と協議中であり、その原因に応じた適切な対応を行ってまいります。またバリアフリー化については、入居者の障害の程度に応じた段差解消などの必要な対策を行ってまいります。
 次に今後の住宅対策についてでございますが、今後とも生活者の視点に立って、だれもが安心して暮らすことのできる良好な住環境の整備や居住水準の向上に取り組んでまいります。
 次に特定優良賃貸住宅三号棟の空き家対策についてですが、この三号棟は、中堅所得者等を対象に特定優良賃貸住宅として平成七年九月に十九戸が完成し、入居戸数については、平成九年をピークに現在は六戸となっております。この原因としては、厳しい経済情勢の長期化で所得が伸び悩む中、一定期間、毎年家賃が上昇していくというこの特定優良賃貸住宅特有の家賃制度であること、それから平成十三年四月に家賃を約一〇%引き下げたものの民間住宅と競合していることなどによるものと考えられます。
 また、これまでの公募の方法としては、県広報紙への掲載や県営住宅への入居を希望されている方で所得が基準を超過している方に対して募集案内などを行ってきたところであります。今後は、さまざまな手段を用いて入居者募集のPR強化を図る一方、民間住宅の需給状況などの住宅ニーズを把握するとともに、現行制度の問題点を洗い出し、市場性、公平性を踏まえ、住宅ニーズに沿った対応をして検討してまいります。
 次に新宮市白見の滝近くの不法投棄対策問題ですが、熊野川を適正に管理し、環境保全を図ることは、紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録を推進する上でも大変重要であると認識しております。
 熊野川沿いの白見の滝付近での不法投棄につきましては、本年三月二十八日に原因者に対し、河川区域へ投棄した土石等を除去し原状に回復するよう、河川法第七十五条の規定により監督処分を命じたところであります。これを受け、現在、原因者による原状回復作業が行われているところであり、早急に完了するようさらに厳しく指導してまいります。
 また、当該区域における不法投棄物の内容調査につきましては、原因者による原状回復の作業途中に土石以外のものも確認されたことから、河川への影響等を検討するため投棄物の調査を実施することとしており、その結果を踏まえ、さらなる対応強化の必要性について検討してまいります。
 ダムの濁水対策に水利権短縮の件でございますが、熊野川における発電、水利権の短縮につきましては、近隣府県における状況調査を行うとともに、国、県の水利権担当者の参画した会議の場で議論を重ねるなど、申し入れに向けた検討を進めてきたところですが、引き続き議論を深めてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 ご答弁いただきましたので、再質問をしたいというふうに思います。
 知事、国立南和歌山病院と和歌山病院の位置づけというのは、和歌山県の中では、田辺とそれから御坊地域においては中核病院であるというのをこれできちんと位置づけていますよね。そういうことの中で、やはり県も今まででも、医療水準を引き下げないように、医療内容を充実してほしいという、そういう申し入れとかそういうのはされてきたというふうに思うんですけれども、事ここ、独立医療法人になるということがもう目の前に迫ってきているわけですけれども、これまで法律ができて方向が決まった以後、病院と厚生労働省というのは、労働者の皆さんや地域の皆さんたちと一体どうなるのかという点についてもほとんど話し合いを持たないという姿勢ですね。そこに今、大きな混乱が起こっているんだというふうに思うんです。
 それで、住民の皆さんたちは再三病院にも要請行動をされたり、そして地域の皆さんに呼びかけて、一緒に、病院の存続の中で労働者が解雇されないという──雇いどめというのは結局は解雇ということになってしまうわけですから、失業者をまたふやすということになると思うんです。和歌山県下において五十名もの人たちが採用されないままいくというような状況が起こったならば、やっぱり地域の医療に対してサービスが十分行われないということになりかねないと思うんですね。それで、美浜町の町議会とか田辺市の市議会も、存続と同時に、職員をちゃんと雇用してくださいということで採択をされているんですね。これも厚生労働省にも届いていますし、病院長の方にもそれは届いているというような状況なんですが、しかしいまだに話し合いが、説明がないというような状況が続いているんです。
 それで、十一月の二十一日になって突如として、雇いどめの方向と同時に夜勤のできる看護師さん以外は──これはもういわゆる非常勤職員ですね。賃金職員の場合には、フルタイムで職員の人たちと一緒に働いてその役割を果たしてきたんですけれども、しかし今度は非常勤職員ということになりますと、週三十時間以内の労働になるんですね。そうすると、今までフルタイムで働いていましたから、賃金もそれなりに一定の保障がありました。しかし今度は、週三十時間という労働時間から見れば、これはもう賃金が半減するというのははっきりするわけですね。そういう点で見ても、必要な人たちだと私は思うんですよね。幾ら総定員法で枠外ということであったとしても、必要だからこれだけの人たちを雇わないと病院運営ができない、地域の患者さんたちに医療をまともに提供できないという、そういう中でつくられた賃金職員だと思うんですよ。そういう点から見たら、今度は独立法人になるから、そして経費を削減せなあかんというようなことが優先されて、それで今の事態に至っているわけですから、これはもう必要な人員としてぜひとも採用してもらえるというような状況を今つくるために多くの人たちが協力をしていただいているというような状況だそうです。
 それで、ぜひその地域の──大きな病院というのはもう知れていますよね。御坊なんかだったら病院と言えるのは四つしかないわけですよね、国立病院含めて。救急とかそういったものにもう全部つながって貢献をされているわけですよね。そういう立場からもぜひとも必要な人員ということで賃金職員を新たに職員として雇うてもらえるような、そういう条件をぜひ県としても──ここに書いてあるものを達成しようと思えば、それはどうしても必要だと私は思うんです。ぜひ知事、再考をお願いして、そして病院当局と厚生労働省の方に声を上げていただきたいというふうに思うんです。そういう点で、きょうは病院の職員の看護師さんたちも見えていらっしゃいますので、知事、もう一度心あるものをぜひともご答弁いただけたらありがたいというふうに思います。
 それから年金問題については、消費税というのは所得の低い人ほど負担が重いというのはもうだれでもわかっていることですので、そういう基礎年金の部分でそこに財源を充てるというような話が出てきているわけですけれども、これはやっぱり低所得者の皆さんたちにとっては耐えられない問題だというふうに思うんです。
 知事も言われたように、年金制度の枠の中で論じると、保険料を上げるか給付を下げるかということになると思うんですよね。そうではなくて、もっと広い範囲の問題で論議をしていくということと、雇用の創出の問題も含めて、これはしっかりと検討していただくと。
 だから、今言わなければ、知事、言えないんですよね。国会で論議をしている最中ですから、その推移を見守りたいという気持ちはわかりますけれども、でも実際には、今言わなければ、時期を逃したら伝わらないということになると思うんです。そういう点でも、これは答弁を求めませんけれども、ぜひそういう立場を考えていただきたいというふうに思います。
 それからニューかわなが団地の問題ですが、これはやっぱり普通じゃないと私は思ったんです。というのは、多分この三号棟が建設された直後だったと思うんですけれども、入居者の方からやっぱり同じような問題が訴えられたんですね。だから、これがどういう原因でこういう事態が起こっているのかというのをそのときにきっちりとやれば、今の事態は解決されていたと思うんですよね。やっても完全に直らないわけでしょう、今の事態でもね。だから、そういう点で見れば、同じ問題が起こったということは、最初に起こった時点で原因を究明するという立場をちゃんととらなかったんじゃないかというふうに私は疑問を持つんです。
 こういうことがあって、恐らく今訴えられた方だけではないと思うんです。まだ恐らく、ニューかわながの住宅、五つの棟ですけれども、同じようなことが起こっているんではないかというふうに思いますので、ぜひこの際、全体的に調査をしていただけないだろうかと。そして、こういう不安な気持ちで住み続けるというのはもってのほかだと思いますので、県土整備部長、もう一回、ちょっとそこらを答弁してください。
 それから白見の滝ですけれども、これは捨てた人は本当に姿勢が悪いというふうに私は思うんですね。行政も一生懸命どうしたらいいだろうかといっぱい苦労しながら、時間かけてやっと対応しているにもかかわらず、それにこたえないという。だから私は、ボーリング調査とかそういったものというのはもっと早くやるべきだったんだろうと思うんですわ。今はもう遅きに失したというような感じがしてるわけですけどね。もっともっとこういう点では早い対応が必要だと思うんです。川が汚されてしまうような状況もあったならば大変な問題だと思いますし、ああいうところに変なものを捨てるというのは、これは許せないことだと思いますからね。そういう点では、苦労しているけれども、きっちりと来年の七月ぐらいまでは、本当にやろうと思えばできる問題だと思うんです。業者への厳しい指導とあわせて県の厳しい姿勢というものをさらに強めていただきたいというふうに思います。これは、答弁は求めません。
 以上です。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 国立病院の賃金職員の方の問題、本当に私は大変な問題だというふうに思っておりますけれども、一方で、この国立病院の運営とそれから独立行政法人化の問題についてはもうずっと長く検討されてきたことで、その中で国立病院がもう今のままでは成り立ち行かないということの中から、もう全国的に、これは和歌山だけの問題じゃなくて検討されてきた問題であるわけです。私といたしましては、その過程で今一定の方向が出てきて、その方向に向かって病院の方は努力してるんだろうというふうに思っておりますけれども、ただその中で、過度に独立行政法人化を図る中で地域の医療が損なわれるというふうなことになると、これは健康と安全を守るということから大いに問題でございますので、そのことについてそういうことにならないように物を申していくという必要はもちろんあります。
 それからもう一つは、賃金職員の方の雇用。これは形態を変えてということを今言っているわけでございまして、ある程度はそういうふうないろんなことを変えていかないといかんという面はありますけれども、そのことが地域の雇用に大きに悪影響を及ぼすということになれば、これもあわせてその観点からそういうことにならないようにということの申し入れを行う必要が私はあるというふうに思っております。
 いずれにせよ、これはまあはっきり言って非常に難しい問題ですし、簡単に解決する話では実はないということも私はもう、こういう担当の課長もしてたことがありますのでよく知っているんですけども、実情を調べて対応したいというふうに思います。
 それからもう一つ、年金の問題につきましては、これはもう大変難しい問題です。そして、先ほどご質問の中にありましたように大変苦しいお年寄りがおられるのも、これは僕は事実だろうと思いますけども、一方では、地方の方へ行くと、年金の収入がたくさん入っていて、入ってるお金のうちの一割程度しかお年寄りが使われてないというふうな実態もあるということも聞いているわけです。やっぱりこういうふうなことについてはきめ細かに対応していかないと、オール・オア・ナッシングで今の状況を全部守っていくとかというふうな形のことはなかなか難しいんじゃないかと。そういう過程の中で、今、本当にみんなが知恵を絞って将来設計を考えているということなんで、そういうことでこの行く末を見ていきたいというふうなことを言っておりますので。必ずしも関心がなくて見てないということじゃなくて、いろんなことを考えていく上で、大変な状況の中で見守っているということですので、ご理解いただきたいと思います。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 過去の問題につきましても、少し調べてみた上で対応を考えてみたいと思います。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 知事から少し積極的なご意見をいただきましたので。本当に国立病院の問題というのは大変な問題だというふうに思いますと同時に、職員の皆さんたちがこれまで働いてきた、そこにやっぱりこたえてほしいということなんですよね。必要な人だからこそ採用されてきたと。それをむざむざと三月末で、もうよろしいと、週三十時間ということであればよろしいよというような、そんな冷たいことってないと思うんですよ。厚生労働省みずからが、よそには雇用拡大て言いながら自分ところの職員についてはいとも簡単に首を切ると、こういうことがあってはならんというふうに思います。知事、ぜひご意見を十分検討していただいて、職場の人たちを励ます意味からも、地域の人たちを励ます意味からも、安心を与える上からも、ぜひお力をかしていただきたいというふうに思います。
 県土整備部長、しっかりやってください。
 以上。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 五番小川 武君。
  〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○小川 武君 十二月議会の一般質問も最終日を迎えることになりました。四番目の質問として議長のお許しをいただきました。最後までよろしくお願いいたしたいと思います。
 まず、先般、イラクで優秀な外務省職員が二人テロ攻撃に遭い、イラク復興の志半ばにして殉職したことはまことに残念であり、哀悼の意を表したいと思います。
 ひつぎで帰ってきた二人を見て胸が痛くなりましたが、日本として、こうした事件を乗り越え、イラク復興支援のため、またテロ攻撃に屈しない姿勢を見せるためにも、自衛隊の派遣は昨日閣議決定した基本計画に基づき粛々と実施していただきたいと思います。
 ことし最後の質問ということで、先ほどから振り返って思い出しておりました。私にとっては、何か早い一年だったというふうに思います。イラク戦争や北朝鮮の拉致問題、SARSなどが十大ニュースになってくると思いますが、国際的な事件の対応のため、日本の外交が近年にも増して注目された年になったと思います。
 さて、和歌山県議会では、熊野古道と姉妹道提携をしているスペイン・ガリシア州フラガ首相から招請があり、またユネスコ本部への世界遺産登録の協力依頼もあり、尾崎要二議長を団長に、下川俊樹、宇治田栄蔵、松本貞次、中村裕一、冨安民浩、坂本登、小原泰各議員と私小川武と事務局職員の訪問団を結成し、十一月十八日から二十五日にかけてヨーロッパの現地調査に行ってまいりました。訪問団を代表して私の方からこの調査について報告をさせていただくとともに、高野・熊野の世界遺産登録に関して若干の質問をしてまいりたいと思います。
 十一月十八日、お昼から出発いたしました。同日夕方、イギリスのヒースロー空港に着いたのですが、時差が九時間もありまして、この日は一日が三十三時間という長い一日になりました。空港は、ブッシュ大統領とブレア首相の米英首脳会談を明後日に控え、空港には自動小銃を手にした軍人の警備態勢が厳重でありまして、世界的な緊張関係を肌で感じたわけであります。後日、イスタンブールのイギリス総領事館が爆発テロに見舞われたことを聞き、やり場のない憤りを覚えたわけであります。
 十一月十九日、世界遺産にも登録されているウエストミンスター寺院を訪ね、保存工事が実施されておりましたので、保存管理方法をお聞きいたしました。歴代国王の戴冠式が行われるとのことや、歴代国王から無名戦士の墓まで祭られていることから、国営並みの管理がとられているとのことでありました。
 続いて自治体国際化協会ロンドン事務所に向かったのでありますが、周辺道路は警備の関係で大渋滞でありました。自治体国際化協会とは、日本の自治体が国際化施策の調査研究や人材育成、また世界の自治体との交流促進のため設立された団体でありますが、安藤所長からヨーロッパの自治体の状況や英国の世界遺産の保全状況について聞き取りを行いました。
 その後、イギリスを立って、スペイン北部の都市サンティアゴ・デ・コンポステラへ到着いたしました。以下、この都市の名前を省略して「サンティアゴ」と呼ばせていただきます。空港では、ドピコ・ガリシア州古道振興局長にお迎えしていただきました。空港の会議室でサンティアゴの町の状況や古道の概要を聞きました。
 ガリシア州のサンティアゴへの道と和歌山県の熊野古道は、一九九八年に、今回の訪問団の一員でもある下川俊樹議員も当時議長としてガリシア州に行き、知事とともに姉妹道提携を締結したところであります。ことしで五周年になり、ガリシア州フラガ首相も記念して招待状を送ってくれたものと思います。
 世界遺産ではガリシア州が先輩であり、一九八五年にはサンティアゴの旧市街地が世界遺産に登録され、一九九三年にはサンティアゴの巡礼道が登録されております。ちなみに、フランス側のサンティアゴの巡礼道が一九九八年に登録をされているところであります。本県の紀伊山地の霊場と参詣道が登録されれば、サンティアゴの巡礼道に続き、世界で二番目の道の登録になるとのことであります。
 サンティアゴ・デ・コンポステラとは、「聖ヤコブのいる星降る原野」という意味だそうであります。九世紀初頭、キリスト十二使徒の一人聖ヤコブの墓が見つかり、それ以来聖地としてあがめられ、ヨーロッパ各地から人々が巡礼に訪れるようになったということであります。今でも、エルサレム、バチカンに次ぐキリスト教の三大巡礼地となっております。交通機関が発達した現在でも、徒歩で、あるいは自転車に乗り、約千キロメートルにも及ぶ巡礼道をたどる多くの巡礼者の姿が見受けられます。
 十一月二十日は、サンティアゴの旧市街地をドピコ古道振興局長の案内で視察いたしました。町中に敷かれている石畳の下は砂地であります。不安定で、十年ごとに石畳を敷き直し、道路としての機能を維持・保全しているとのことであります。安価なアスファルトで舗装してしまうということは、この地域では法律で禁止されているとのことであります。
 ロマネスク様式の大聖堂が市内の中心地にあり、広場から見る大聖堂は大きくそびえ立っております。大聖堂の中に入ると聖ヤコブ像が中央の柱に刻まれており、祈りをささげるため、来訪者がひざまずき、柱に手を添え、お祈りをする行列ができておりました。長い歴史を語るように、その大理石の柱には巡礼者の指跡のくぼみがくっきりと残っておりました。
 NHKでは、地上波デジタル放送を記念して、去る十一月三十日から十二月七日まで世界遺産の番組を特集しておりました。この大聖堂については、最終日の十二月七日の日曜日に放映されました。ごらんになった方も多いと思います。スペインは世界遺産の宝庫で、国内に三十八カ所登録されていると聞きました。
 巡礼者は、聖ヤコブのシンボルであるホタテガイを身につけているそうであります。高野・熊野古道の巡礼にも、このような何か衣装やシンボルで変身し、別世界へさまよい出るような仕掛けがあるとおもしろいなあと思います。
 また、大聖堂ではミサが行われ、私たち視察団のために、ミサの最後に、天井からつり下げられた巨大な銀製の香炉を数人の修道士が天井に届きそうなくらい左右に大きく揺り動かすボタフメイロと呼ばれる儀式を披露していただきました。
 その後、フラガ・ガリシア州首相を州自治政府に訪問いたしました。尾崎議長から招待のお礼を申し上げ、木村知事の親書を手渡すとともに、フラガ首相を和歌山にお招きしたいという要請を行いました。フラガ首相からは、本県への声明文が出されました。以下、ちょっとご紹介したいと思います。「世界の中でも、和歌山県とガリシア州は離れたところに位置していますが、千年を超える伝統文化が私たちの社会・文化の礎をなしています。「巡礼」が私たちを結びつけ、そのことは世界的に見ても寛容・交流・創造性の普遍的な事例となっています。私たちの道は世界に対して、文化としての芸術的・社会的・教育的価値を表しています。 和歌山県とガリシア州はともに古道を大切に守ってきました。これは、古道のことを和歌山・ガリシア双方が基礎として考えてきたからです。ガリシアを理解するためには、サンティアゴへの道が必要不可欠ですし、和歌山のことを理解するためには、熊野古道が必要不可欠なのです。これまで同様、ガリシア州政府は、熊野古道のユネスコの世界遺産への登録を応援します。そしてまた、熊野古道が世界遺産に登録された暁には、和歌山県は歴史的な場所として正式に承認され、もっと名声を得ることになるでしょう。 しかし、それは日本だけでのことではなく世界の国々も、そのことによって、文化的歴史的記憶を取り戻すことになります。これは世界文化遺産の本に金文字で書いておくべきことです」とのことでありました。
 十一月二十一日は、ガリシア州議事堂にホセ・マリア・ガルシア・レイア議長を訪ねました。議員定数七十五名中、三分の一が女性議員であり、副議長は二人とも女性であるとのことでありました。また、ガリシア州にはリアスという地域があり、日本でも使われる「リアス式海岸」の語源となっているそうであります。
 その後またサンティアゴへの道の現場に戻り、サンティアゴの手前五キロメートルにある歓喜の丘を訪れました。歓喜の丘は、巡礼者たちがこの地にやっとたどり着き、市街地にある、先ほど申し上げた大聖堂を眺め、歓喜の声を上げたところから名づけられたそうで、この地で体を清め、町中へ入っていったと言われております。周辺には、巡礼者のための安価な宿舎やカフェテリア、キャンプ場等が整備されておりました。高野・熊野にもこういった利用しやすい施設が欲しいなあと思います。
 昨年の木村知事の訪問で、フラガ首相初めガリシア州政府から非常な歓待をしていただきました。中でも古道振興局長のドピコ女史には、出迎えから見送り、市街地への同行、それから説明と非常に親切にしていただき、感謝申し上げた次第であります。
 十一月二十二日は、パリのユネスコ本部を訪問いたしました。ユネスコとは、国際連合、教育、科学、文化、機関の英語の頭文字をとってユネスコと言うそうであります。国際的な文化交流や教育の普及発展とともに世界の文化遺産の保存活動なども行っており、世界遺産の登録もユネスコの仕事になっております。
 松浦事務局長や佐藤ユネスコ日本代表部特命全権大使、ヤン・ミンジャ前ユネスコ担当部長、村井ユネスコ対外関係局アジア・太平洋州課担当者と会談をすることができました。事務局の話では、高野・熊野の世界遺産登録はやっとここまで来ることができた、一時期非常に厳しいときもあった、最終的に提出された計画書がすばらしいものと判断された、高野・熊野にはユネスコ側も高い関心を持っているとのことであり、平成十六年六月の世界遺産登録の感触を強くし、安心して日本に帰ることができるなあと、そのとき思いました。これは、昨日の玉置議員の質問に対して知事が答弁の中で高く評価してくれたとおり、今回の訪問は本当に有意義であったと思います。
 またパリでは、自治体国際化協会のパリ事務所も訪問いたしました。元の本県副知事の山下さんが、現在所長をしておりました。山下さんと旧交を温め、日本とフランスの自治体や社会経済状況について問答を交わしました。山下所長から、パリの建築物には高さが三十四メートルと条例で制限を受けること、十年に一度の建物の掃除には補助金が出ること、十世紀以降下水道が供用され、完備されて観光にも使われていること、また景観には厳しく、建物の色は制約を受ける、広告に関しては指定された場所以外には掲示できないこと等、町づくりについて説明がありました。
 その後、サンティアゴの巡礼道の起点となるパリ・セーヌ川右岸のサンジャック塔に行きました。かつては大きな聖堂があったそうであります。今は五十二メートルの塔だけになっており、敷地にはナンテンの赤い実が色鮮やかに実っていたのが非常に印象的でありました。現在修復を行っているとのことで、四方を工事用の鉄さくで覆われておりました。
 それから、フランスの自治体議員で構成する海岸部自治体協議会を訪問いたしました。事務総長のベルナール・リベール氏から、フランスは観光省をつくり国を挙げて観光に力を入れており、現在、サンティアゴへの道など古道が根強いブームとなっていることから案内所、ホテル、サービス施設を整備していると聞きました。
 十一月二十四日、パリのシャルル・ド・ゴール空港から帰路に着き、十一月二十五日に帰ってきた次第であります。
 今回の視察は、ヨーロッパの世界遺産、とりわけ姉妹道提携をしているサンティアゴへの道を案内していただいて、それを生で見られたこと、またガリシア州フラガ首相やレイア議長らの歓待を受けて友好を深めることができました。また、ユネスコ側からも期待できる感触が得られたので、大変実り多いものになったと思っております。
 こうしたヨーロッパの世界遺産を参考にすることはもちろんでありますが、日本には日本の、また高野・熊野には高野・熊野の歴史や精神性が秘められております。言うまでもなく、世界遺産は人類共通の歴史・文化遺産であり、登録を契機に有効な保存管理の道筋を見つけていかなければならないと思います。
 ヨーロッパでは、世界遺産にとどまらず、すべからく昔のものが大事にされており、サンティアゴへの道については、保存を図りながら新市街地を形成していったと聞きます。起点となるパリ・セーヌ川右岸サンジャック塔も修復しているとのことでありました。日本においてもこうした思想を導入し、温故知新を図っていく必要があると思います。
 文化的、歴史的景観を残す高野・熊野の全体的な保存について知事のお考えをお聞きしたいと思います。
 平成十六年には、高野・熊野が世界遺産に登録されることとなります。世界遺産登録をインパクトにした県全体の観光振興や交流の活発化といった地域活性化の戦略的な構想を打ち立てることが重要であると考えます。世界遺産登録は、ユネスコという国際的な機関によって高野・熊野が認定されるわけでありますから、他の観光地との特色分化やブランド化が図られることになります。また、世界遺産登録を情報発信するだけでかなりのPR効果があると思いますが、一般の旅行好きな人に数ある観光地から選んでもらおうとするのは、やはり世界遺産登録だけでは心もとないものがあると思います。
 世界遺産の趣旨に見合う施設や周辺環境の整備、案内の仕組みづくりが必要となりますが、観光志向が「見る観光」から積極的な「する観光」へ移ってきている中、ターゲットを絞った誘致活動や多様な体験のメニューづくりなどが必要になってくると思います。
 先般、NHKの人気番組「プロジェクトX」で湯布院の町づくりが放映されておりました。地域づくりは人づくりの典型となる町おこしで、地域と町が一丸となっての取り組みが効果を上げていると思います。湯布院の町おこしの基本となるのは地域資源の活用であり、由布岳を見て町並みを散策し、温泉に入り、地域のおいしいものを味わってもらうことを基本にして、静かな町づくりを目指してきたものと思います。番組では、地震被害を受けた後、町中の移動に馬車を走らせたりイベントを開催していったことが話題になり、客足が伸びたそうであります。その後も、リゾートマンションには目もくれず、美術、音楽、映画など文化的なものや景観の保存などでリピーターをふやしていったものと思われます。
 湯布院にも負けない歴史文化が高野・熊野にはあると思います。和歌山もこうした地域資源を大切にし、さらに体験観光のメニューの充実や地域交流に工夫を加え実践する中で高野・熊野の地域イメージをつくることが大事になろうかと思います。
 今後、全体として国民の所得の伸びが見込めない中、従来の観光業の収益を上げていくことは非常に難しいと思います。余り収益は見込めないが、地域住民の満足度を押し上げることを考えたらと思います。地域住民が主体となって高野・熊野の歴史、文化、体験等を組み合わせ、また一ひねりして、訪れたお客さんとともに楽しめる集客交流の事業づくりを起こしてみてはと思います。
 高齢化と不景気で余りお金はないが時間がある人はふえていると思います。地方では気づかない何げないことにも興味を持って訪れ、参加してくれると思います。さまざまな事業の積み重ねにより地域が刺激を受け、新しい文化や産業のヒントが生まれると思います。こうした集客交流の事業展開について、知事のご所見をお伺いしたいと思います。
 以上で、世界遺産登録に関する調査の報告と質問を終わりますが、この際、コスモパーク加太の問題について一言申し上げておきたいと思います。
 コスモパーク加太に係る県土地開発公社の金融機関からの借入金問題については、和歌山地方裁判所における調停に代わる決定を受け、今十二月定例会に関連する議案が提出され、多くの議員から質問があったところであります。
 本問題は、一年以上の長きにわたり県当局及び県議会が一丸となって取り組んできた課題であり、とりわけさきのコスモパーク加太検討委員会におきましては、県議会各会派から参加のもと、県議会を挙げて取り組み、集中して議論を行い、検討委員会としての報告を出したところであります。私個人も検討委員会に参加させていただくとともに、その後も今日に至るまで解決策を模索してまいりました。裁判所の特定調停では県、公社、金融機関それぞれの立場で主張し、とりわけ県は検討委員会の報告のもとで主張した結果として裁判所から調停に代わる決定がなされたものであり、私もやむを得ないと考え、賛同するものであります。
 しかしながら、県当局におかれましては、本問題の今日に至るまでの経緯を直視し、この問題を教訓として今後かかることのないようにしていただきたい。また、コスモパーク加太の土地の利活用は今後の和歌山県にとって最も重要なものであると考えられ、県当局にあっては我々県議会と連絡を密にして利活用方策を講じていかれたいと強く要望いたします。
 先のことは確かに予測しにくい時代であります。そんな中、我々は冷静に現状を分析して、未来に向かって対策を講じていく必要があると思います。どうか、平成十六年が和歌山県と県民にとってよいお年となるよう祈念いたしまして、私の質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの小川武君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 世界遺産登録を契機とした県勢発展に係るいろんな面からの有益なご質問に対し、心から感謝を申し上げます。
 私も、質問を聞いていて、だんだん元気が出てまいりました。というのは、先般来の質問の中でもお答えしたんですけども、大分スピードを上げて世界遺産登録の事務をやったもんですから、本当に来年の六月に世界遺産の登録になるのかどうかということが本当のところ私自身もちょっと心もとないところがあって、それで、まあ言ってみれば最後のだめ押しというふうな感じで先般フランスそしてスペインへ県議団が行っていただき、しかも松浦局長に最後の話をしてきていただいたということ、そしてそのときの感触が、一時期はちょっと危ない時期もあったけどもまあまあいけるやろうというふうな話を聞いてきていただいたという話、今ご披露いただきまして、本当に僕は心から、ああこれはいけそうだ、いけそうだからますますそれをてこにして地域振興に当たらないといかんなという気持ちがいたしました。
 つい先般も、ご質問の中にもありましたように、NHKのテレビでサンティアゴ・デ・コンポステラをやっていました。私も、手を突っ込んで、よくあんな大理石みたいな石がへこむところまでいったなと思いますけども、また改めて、去年だったかな行ったのを思い出しながらその番組を見せてもらったんですけども、そのとき思ったのは、世界遺産というのはなかなか大したもんやなと、これに和歌山県の高野・熊野がなればやはりいろんな形でのインパクトがあると、これを生かさない手はないし、だが逆に、なったもののあんまりよくなかった、それからいろんな集客的なことが何もなされてないということになると、これは本当に逆に恥になるなというふうな感じがしたわけでございます。
 あのサンティアゴ・デ・コンポステラでも、お金持ちの人からそうでない若い人なんかまでぞろぞろと、最後は歓喜の丘から見るんでしょうけども、非常に苦しい道をフランスから歩いてくるという。これはまあ確かにあそこが聖地であるというふうなこともあるんですけども、日本の場合も、例えば四国八十八カ所というの──この間も言いましたけど、集印帳なんか、これもう一度集め出すと最後まで集めないと気が済まないというのが日本人の通性としてありまして、場合によってはバスでぐるぐるっと回ってきて集めてるというふうなこともあるわけです。何とか道が初めて、初めてというかサンティアゴ・デ・コンポステラに次いで和歌山の道というふうなものが指定されるということの中で、何とか、巡礼とまではいかなくても、昔は「アリの熊野もうで」というふうに言われたんで、高齢化が進んできて大分時間のある──先ほどは時間があってお金がないというお話がありましたけど、時間があってお金もある人が多いんです、高齢者の方には。だから、そういう方に来てもらって、それで集印帳みたいな形で、全部行かなかったら何となく本当に高野・熊野、まあ吉野も含めてですけども、行ったことにならないというふうな形の仕組みづくりというものを考えたいような気が物すごくいたします。
 それからもう一つは若い人、バックパッカーと言っていろんな人が世界を回ってるんですけども、こういう人たちに紀州材でつくったような簡易な、自分たちで維持管理するような宿泊施設みたいなものをつくって、それでそういう人たちが時間をかけてこの地域を回れるような仕組みとか、いろんなことを考えていけば、もう本当に指定される地域が広い分だけ逆に楽しみが出てくるというふうな面も私はあると思います。
 どうしても指定に物すごく時間をはしょってやったもんですから、これからそういうふうな方のアイデアというものが──まだ、案内板を統一するとかその程度のことしか余り出てないような面があるんですけども、もっと大きく、ダイナミックにこれを生かしていくような方法を考えていきたいなというふうな感じがします。
 世界遺産の関係の条例みたいなのをつくるのも一つであろうし、それから住民の方の参加を制度的につくっていくような仕組みも大事だろうと思いますし、それからこれはまあ三県に──サンティアゴ・デ・コンポステラの道はフランスとスペイン、二国にまたがっているわけですけども、この和歌山県のあれも三県にまたがっているわけですから、こういうふうなところの特性というふうなものも生かしていくとか、それからそれへと夢は広がりますし、またちょっとした体験型観光ということを行っても世界遺産で指定されている高野・熊野での体験ということになれば、これは一味違ったものになってくると思いますので、まあいろんなこと、それからそれへと夢が広がるわけでございます。
 そしてまた、そういうふうなときには、先ほど湯布院の話もありましたように、これもうはっきり言って、県庁とか市町村役場とか、そういうところだけが中心になってやっていくというふうなやり方では、正直言って盛り上がりません。観光地で今勢いを取り戻しているようなところは全部町づくりのリーダーみたいな人がいて、そういう人が中心になって、それに行政がいろんな形で手助けしていったということがやっぱり起爆剤になってるということなんで、そういうふうな大きな地域リーダーみたいなものも和歌山県にどんどん育てていきたいなというふうに思っているわけでございます。
 最後に、この世界遺産登録についていろいろ貴重なご提言いただいたわけですけども、これからですので、ぜひこれからもまた県議会と一緒になってこの世界遺産登録、もしうまくいけば県発展の起爆剤にしていきたいと思いますのでよろしくお願いいたしまして、私の答弁とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、小川武君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
  【日程第三 議案等の付託】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 お諮りいたします。十二月十一日及び十二日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、十二月十一日及び十二日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、十二月十五日、定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十二分散会

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