平成15年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。
 まず初めに、この十月の十九日ご逝去されました故大原康男議員のご冥福を心からお祈り申し上げます。
 思えば、過去、大原議員を初めとして多くの先人が、この和歌山という地域をさまざまな苦難を乗り越えて導いてこられたのだと思います。その過去からのつながりの中で、今私たちも議員活動をさせていただいていて、その重みをしっかりと受けとめて頑張っていかなくてはならないんだと思います。
 今、過去からのつながりといった視点を見て、改めて今の時代というものを考えたときに、二つの点で大きく時代は変わっていっているんだと思います。一つは人口の問題、一つは経済・財政の条件について。これは、知事も日ごろからおっしゃられていることですし、昨日の一般質問で浦口議員の方からもその熱弁で人口問題について語られたところでありますが、今、私たちのこの国というのは、これまでに経験したことのない世界に足を踏み入れようとしている。人口がこれまではずっと右肩上がりやったと。戦争、疫病、自然災害、飢饉、そういった特別な事情のない限り減ることはなかった。それが、これから、いろんな統計資料を見ても、二〇〇七年をピークとして日本の人口というのは減り続けていく。そういうだれもが経験したことのないような時代に足を踏み入れようとしている。そんな中では、この例えば和歌山県政においても、これまでのやり方、これまでの常識といったものにとらわれずに勇気を持って行動していくことが必要とされているんだと思います。
 今、これまでのその先人の努力を無にしないためにも、これからの子供たち、未来の和歌山県民のためにも、ここが踏ん張りどころだという思いを持って、私自身、今回も三つの点について質問をさせていただきたいと思いますので、ぜひ当局の皆様におかれましては誠意あるご答弁をよろしくお願いいたします。
 まず初めに、中小事業者の抜本的な支援策として、中小企業振興公社の整備についてお尋ねいたします。
 現在の中小事業者は、大変です。規制緩和、従来からの系列商法の崩壊、消費者ニーズの変化、労働時間の短縮、国際化など、さまざまな要因により大きな影響を受けていて、事業活動の再検討を迫られています。しかしながら、中小の事業者は一般的に規模が小さく、人的余裕もなく、情報も不足している上に、目の前の仕事に追われて、じっくりと立ちどまって考える時間もない。惰性と言ってしまうと少し厳しいかもしれませんが、どうしても日々の業務に追われた流された経営になり、結果として非常に厳しい状況に追い込まれています。
 残念ながら、この和歌山県でも、倒産、夜逃げ、最悪の場合はみずからの命を絶ってしまうといった悲惨な例も身近な話となってしまっています。私自身も、実家が学習塾を経営していて、まさに中小事業を営む家庭に育ってきて、その厳しい現実は身につまされて感じているところです。
 そういった中で、市議会議員当時から、地域経済の基盤となる中小企業対策というのは重要な課題であり、どうすれば活気を取り戻すことができるのか、懸命に考えてきました。さまざまな業種ごとのアンケートの結果を調べたり、実際に仕事の現場に入り直接お話を聞かせてもらうなどしてくる中で、結果、事業者の方から出てくる声は大きく二つに集約されることに気づきました。
 それは、ここのパネルにちょっと書いてるんですけれども(パネルを示す)、まず第一番目にお金の工面、資金繰りの問題、これはもうよく言われることだと思います。この二点目が実は私自身ポイントだと思っているんですけれども、「何かええ話はないか」と。これは実はもう単純な話で、皆さんもこれは聞きなれた言葉だと思いますけれども、その中で私が特に注目するのはこの二点目の「何かええ話はないか」といった声についてです。これはある意味ではあいさつ言葉にもなっている聞きなれた言葉で、ややもすると簡単に聞き流してしまいがちです。しかし、実はこの「何かええ話はないか」といった声の中にこそ、今の日本の中小企業者が抱える大きな課題が隠されているんだと思います。
 この言葉を言いかえてみると、厳しい経営環境において新たなビジネスチャンスにつながるちょっとしたヒント、アドバイスはないか。自分の持っている技術、製品、サービスといったものを高く売っていくよい方法はないものか。他の事業者と連携・協力するよい機会はないか。つまり、自分が進める事業の経営内容について適切なコンサルティングを受けたいといった心の声が置きかえられて「何かええ話はないか」になっているんだと私は考えます。
 これまでは、日本の村社会的社会構造、系列化が進んだ経済構造などが機能して、それなりにうまくいっていました。しかし、そのシステムが崩壊し、囲い込みを解かれた中小事業者の熾烈な競争世界があらわれる中では、大きな転換点を迎えることになっています。この転機を乗り越えていくためには、行政は単なる資金需要にこたえる助成・優遇・保護政策ではなく──資金需要に対しての要望も多いですから、これにもしっかりこたえていかないかん。でも、それだけではなくて、本質的な部分として経営を強くする、その改善につなげるサポート、いわゆる経営のコンサルティングに力を入れるべきであり、今こそ個々に質の高いコンサルティングを受けられる環境整備に積極的に取り組むことが望まれます。
 そういった中、今県でこのような経営革新を進めるためのコンサルティング業務を引き受ける機関として、中小企業振興公社があります。中小企業振興公社の設置されている根拠法としては中小企業支援法、また新事業創出促進法などであり、この組織は利用者の立場に立ったワンストップ体制の確立を目指し、地域における中小事業者の総合的支援機関として位置づけられています。しかし、残念ながら、和歌山県では十分に対応し切れていないのが実情のようです。
 それぞれの都道府県で同じような組織が存在していますが、しかし、今その取り組みの中身について大きな格差が生まれようとしています。そもそも各府県で中小企業振興公社が設立されたのは昭和四十年代半ばであり、それから試行錯誤、行政のスリム化にかなった整理・統合を進めるなど、産みの苦しみを何度も経験して多くの府県では今の時代に合った新しい組織体制を再構築しています。
 例えば石川県では、石川県産業振興基金協会石川トライアルセンターと石川県中小企業情報センター、また石川県創造的企業支援財団、そしてこの平成十五年四月一日からは石川県中小企業振興協会がすべて統合され、財団法人石川県産業創出支援機構がつくられています。また三重県では、奥田碩トヨタ自動車取締役会長をトップとして財団法人三重県産業支援センターを立ち上げており、岐阜県では、岐阜県中小企業振興公社と岐阜県産業経済研究センターを統合し財団法人岐阜県産業経済振興センターが設置され、また京都では、二〇〇一年四月に京都府中小企業振興公社と京都産業情報センター、それと京都産業技術振興財団が統合して財団法人京都産業二一が誕生しています。
 これらは全国的に見て興味深い例としてご紹介させていただいたのですが、ここでお気づきかと思いますが、今挙げたものの中で組織名称が「中小企業振興公社」という名前を残すところは一つもありません。名前がすべてだとは言いませんが、やはり名は体をあらわします。この近畿圏でもここ五年ぐらいの間で関連の機関の統廃合が一気に進み、「中小企業振興公社」の名を残しているのは、もはや和歌山県だけとなっています。
 和歌山県としても、概念としては「らいぽ」などさまざまな新しい取り組みのイメージは掲げられていますが、しかし、具体的な行動、実践の部分を見る中では、残念ながら取り組みのおくれた地域と言わざるを得ません。
 そんな中、私なりに全国の資料に目を通し、どの地域の取り組みが一番すぐれているのかを比較検討してみた中で、新潟県の事例が一番参考になると感じ、何とか和歌山を元気にしたい、その思いを胸に新潟まで行ってきました。
 「にいがた産業創造機構」、通称「NICO(ニコ)」は、新潟県中小企業振興公社と新潟県生活文化創造産業振興協会が統合され、また新潟県工業技術総合研究所の事業を移管・委託し、組織体制や機能を拡充・集中させて生まれています。また、あわせて行政本体との整合としても、新潟県産業労働部で県が実施している中小企業支援事業のうち、直接に創業、経営革新にかかわる部分、またベンチャー企業に対して行う事業等はこのにいがた産業創造機構にすべて移管し、より効率的、効果的な実施を図っています。
 このように、にいがた産業創造機構は、実質的には新潟県における中小企業支援の唯一の拠点として、さまざまな分野、業種の取り組みを的確に支援していく実働機関として機能しています。実際にその現場に行ってみて、少なくとも和歌山県の実情よりは数年進んだ取り組みをしていると感じました。
 お手元に新潟のパンフレットのコピーをお配りさせていただいていますので、少し見ていただきたいと思います。組織の目的、理念などといったものについては、これはどことも同じようなものを掲げていますが、問題はその目的、理念をどのようにして実現していくか。実現に向けては特に人、人員の問題が大きいと私は考えます。
 このパンフレットの中、最後のところでどういったスタッフによってこの組織が運営されているかというのを少し紹介されていますけれども、その人の問題が大きい。これは資料からも一目瞭然だと思いますが、和歌山県の公社とは大きな差のあるものとなっています。この新潟の組織では、さまざまな分野の第一線で活躍する民間人を数多く配置し、県から出向している行政職員と一緒になって、あくまでなれ合いでなく、地域の再建に徹底して取り組み、成果を上げてきています。にいがた産業創造機構では、行政出身の田中ディレクター、民間出身の柴田マネージャーにそれぞれ直接お話を伺ってきました。
 まず田中ディレクターは、「脱行政文化を目指す組織風土をつくることに努力している」と、開口一番言われました。田中さんいわく、「今、私たちは、中小事業者の方にとって最高の相談者となるための徹底した環境整備に取り組んでいる。それは行政でありがちな机上の論理で組み立てられたものではなく、あくまで市場・マーケット優先主義を貫き、そのためにも市場へのアクセスを確保するために民間人のすぐれたノウハウがどうしても必要となり、できるだけ民間からの有能な人材の登用を試みた。第一線で活躍してきた人をいろんな人脈をたどって招聘してきて、これには苦労したが、現状ではどこの府県にも劣らないよい環境が整ったと思っている」と話してくれました。また、「この組織を使っていただく地元中小事業者の方の反応もよく、販路の拡大、経営の立て直し、事業の拡大展開など、多くの成功事例が出てきており、非常に手ごたえを感じている。私たちはあくまで民間サービスの標準以上のものを提供できる体制づくりに取り組んでいる」と、胸を張って話されていました。新潟の組織の一つの特徴として、窓口で相談に来るのを待っているのではなく、調査員みずからが歩いて地域資源の発掘に努力しているところも私自身、強く印象に残りました。
 商社マンである柴田マネージャーは、「地域にはたくさん資源が眠っている。しかし、それもここ数年ほうっておいたら、もう価値のないものになってしまうでしょう。その眠っている資源を発掘するには今しかない。今、私は新潟県の優良な資産の発掘に県内をくまなく歩いて回っています。もうすぐ成果は上がってきますよ。地方の地場産業は、見方によっては宝の山ですね」と、笑って話されていました。その話しぶりからは、田中さんと同じく大きな自信を感じ、うらやましく思いました。民間人の知的資源と人的ネットワークを最大限に活用し、地域の中小事業者を強力にサポートするこの組織は、全国的にも注目を集めるものとなっています。
 組織の内容、人員、開設時間などを見ても、和歌山県とは大きな隔たりがあります。スタッフ数で、新潟では八十名、和歌山は十七名です。事務所の開設時間としても、新潟では朝九時から午後七時まで、事前の申し込みがあれば午後七時以降もできるだけの対応を試みているということですが、和歌山の公社の場合は午前九時から午後五時四十五分まで。だれがこんな時間の設定で相談に行けるのでしょうか。これでは到底満足のいくサービスを提供することは難しく、「ワンストップサービス」などといった流行の言葉で表現しますが、中身を見てみると本当にお寒い状況だと思います。
 ただ、私自身、実際に和歌山の公社の現場にも行き、担当の方と話をさせていただく中では、これまで以上にもっと積極的にコンサルティング業務を拡張していきたいといった思いのあることは伝わってきました。しかし、現状ではその思いとそれを実行していくための体制が余りにも乖離していることが大きな問題だと思います。今こそ、他の組織との整理・統合もしっかりと進めた上で民間からの人材の確保などももっと積極的に求めて、思い切った組織の強化策を進めていかなければいけないと、強く感じます。
 そこで、知事並びに商工労働部長にお伺いいたします。
 まず知事に、現状の中小事業者を取り巻く状況と直面している問題について、また新規創業者の置かれている環境と問題点、またそこで行政が果たすべき責任と役割といったものについてどのようなご認識を持たれているのか、所見を賜りたいと思います。
 次に、私は県庁の外郭団体について、全体に網をかぶせた形で規模の縮小を図っていく取り組みには反対します。今の時代に必要のなくなった組織については当然廃止するなどの思い切った措置が必要で、例えば土地開発公社などはもう時代の要請がなくなっており、本来であれば当然廃止すべき組織になっていると私は考えます。しかし、逆に今の時代にこそ役割を増す組織も当然あるわけで、今回取り上げている中小企業振興公社などはまさにそのたぐいに入るものと思われますが、そこにはもっと積極的にお金も人も投入していくことが必要だと考えます。特に人員の問題は深刻で、これには和歌山に限ることなく広く全国から優秀な民間人の受け入れを図ることがぜひとも必要だと思うのですが、知事はどのようなご認識を持たれておりますでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
 また、先ごろ行政組織等検討懇話会から答申が出され、今まで話してきたこの和歌山県中小企業振興公社と財団法人和歌山テクノ振興財団の統合の提案がされています。その実現の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。また、その統合を図る上では組織強化の戦略も具体的に検討しておかなくてはなりませんが、あわせて知事はどのように考えておられるのでしょうか、ご所見を賜りたいと思います。
 次に、商工労働部長にお伺いいたします。
 現在の中小企業振興公社について、今の時代にこそ持たなくてはならない役割、存在の意義といったものについて、また今その公社の足りない部分についてどのように考えておられるでしょうか。また、その組織の改善についてどのような取り組みを検討されているのか、お聞かせください。
 あわせて、県内での経済活動をサポートする中核となる団体として商工会議所がありますが、この商工会議所とは事業内容など多くの点で中小企業振興公社と重なる部分があります。今後の対応としてその連携のあり方についてどのように考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 続きまして、二問目の質問として指定管理者制度の導入について。
 ことし六月の通常国会で、指定管理者制度を導入する地方自治法の一部を改正する法律が成立し、この九月二日に施行されました。これは、公の施設の管理について、これまでは地方公共団体の出資法人などに限られていたものを民間事業者にも管理をしてもらえる制度に改めたものです。これまで公の施設の委託は第三セクターなどの出資法人や土地改良区などの公共団体、あるいは農協や自治会などの公共的団体にしか委託することができず、十分に民間の力を活用できる状況とはなっていませんでした。しかし、法改正後は指定管理者の範囲については特段の制約を設けず、議会の議決を経て指定すると、広く民間事業者への委託が可能になっています。
 今回の制度では、指定管理者となった事業者は施設の使用許可を出すこともできますし、また利用料金もみずから決定することもできる。また、それをみずからの収入とすることもできることとなります。この制度の導入により、民間事業者のノウハウ、発想や経営努力を幅広く活用し、例えば、利用時間の延長、利用料金の引き下げなど、公の施設へのさまざまな県民ニーズに対してより効果的かつ効率的な対応が期待できます。あわせて、行政コストの削減、民間事業者による新たな雇用の創出など、また行財政改革の観点からは、本県の外郭団体の整理や統廃合を推進することにもつながると期待されます。
 現在、和歌山県でも県が所有する施設について、県が出資する外郭団体に管理を委託している例は幾つもあると思われます。それらについては今後、民間事業者との競争という視点で厳しい目にさらされることとなります。こういった取り組みは欧米で先行されていましたが、民間と同レベルでのサービスの競争が本格的に我が国においてもこの法改正により始まることとなります。この指定管理者制度の導入につきましては、平成十五年七月十七日付の総務省自治行政局長の通知によりますと、この法律の施行後三年以内に従来の管理委託制度を採用している施設の条例を改正する必要があり、その際、公の施設の管理状況すべてについて点検をし、この新しい指定管理者制度を積極的に活用するように指摘されています。
 そこで、お伺いいたしますが、管理委託制度から指定管理者制度への移行につきまして、今後、本県の考え方と、また条例等の改正及び施設の管理状況の点検などの予定につきまして具体的にお示しください。あわせて、現状で県有施設の管理において県が出資している外郭団体に委託している例はどれくらいあるのかもお聞かせいただきたいと思います。
 また、この新しい指定管理者制度を導入しますと、先ほども申し上げましたように、これまで管理を委託しておりました外郭団体の整理あるいは統廃合という、外郭団体のあり方の見直しにもつながると考えます。こちらについても所見をお伺いしたいと思います。
 また、知事は現在、ことしをNPO元年とすると、さまざまな場所で公言されています。今まさに、これまで行政が中心となって担ってきた公共といった概念が変化して、新しい時代の公共、公の姿というものを示していかなくてはいけない時代になっているのだと思います。知事が日ごろ言われるとおり、これからの新しい公の姿としては、民間にできるところはどんどん民間に任せて、行政でしかできないところを当然責任を持って行政が担っていく、こういった理念を明確にし、そしてその中で住民、行政、NPO、企業などといったそれぞれが役割分担をし、その役割分担の中身を明らかにしていくことが重要となります。今回の法改正、この指定管理者制度はそういった流れを加速する重要な制度だと考えます。
 そこでお聞きしますが、今後、民間でできるところは民間に任せていくといった県行政の基本的な姿勢について、どういった部分まで民間に任せていけるのか、またその中で行政はどういった仕事範囲におさまっていこうとしているのか、知事が持たれておりますこれからの時代の行政像といったものについて、ご見解を賜りたいと思います。
 最後に、IT総合センターの活用方法について。
 今回のIT総合センター事業については、現在、さまざまな取り組みが検討されています。より以上にこの施設を生かして地域を盛り上げていくよい方法はないかと考えていた中で、福岡県北九州でおもしろい取り組みがあると紹介され、早速現地へ行ってきました。お手元の資料でもご確認いただきたいのですが、十一月の十二日から十五日の日程で行われたことしで三回目となる事業で、「ベンチャーが、新しい価値を創る、インキュベーションが世界を変える!」、国際ベンチャー・インキュベーション・フェスタin北九州、この事業の主催は財団法人九州ヒューマンメディア創造センターというところで、和歌山のIT総合センターと事業内容など似た部分を多く持っている組織です。
 現地に行って感じたことは、やはり一にも二にも人の発掘。魅力ある人を世界的な視野で発掘し、キーパーソンをつくっていく、そういったことが大切だと改めて感じました。魅力ある人の交流から、さまざまな副産物が生み出されます。
 今回、北九州では事業にかかわるさまざまな人をご紹介いただいたのですが、その中でも特に印象的だったのは、そのパンフレットの中にも示されておりますが、青色発光ダイオードの発明者であり次のノーベル賞候補と言われる中村修二さん。中村さんは、第一回目から参加されていて、ことしで三度目の出演となっていました。
 それと、アメリカでは抜群の知名度を誇るスポーツ衣料メーカー、環境企業として名高いパタゴニアの米国本社日本担当のマーケティングディレクターでありパタゴニアジャパンの創立者である藤倉克巳さん。特にこの藤倉さんとは話が弾み、和歌山のことにいろいろと触れて話をしている中で、すぐれた自然環境を持つ地域として和歌山に非常に興味を持っていただき、来年には和歌山に来てくれるということを約束してくれました。藤倉さんは元ソニーの社員であり、若くしてマーケティング部門の責任者となられ、その後、ヘッドハンティングされて今の地位を得ています。現在は服飾流通業界のマーケティングディレクターとして知る人ぞ知るカリスマの人物であり、企業イメージ、ブランド化のスペシャリストで、世界じゅうに講演で飛び回っておられる人です。せっかく和歌山に来ていただけるということですので、ぜひIT総合センター事業においても、例えば講演、講習、企業へのアドバイスなど、何らかのかかわりを持っていただければと思っています。
 さて、そういった中で、この北九州で行われている事業に関連しての提案ですが、今回私が参加させてもらった福岡・北九州で取り組まれている事業は、今もお話ししましたように、多彩なゲストが集う非常におもしろい取り組みであると思います。そこで、この北九州の事業と連動させて、九州、関西といった離れた地域ではありますが、開催時期を調整して連携イベントを実現させるといったことはできないだろうかと考えるものです。例えば、海外からゲストを招聘するとして、九州で講演、企業アドバイスを行った後で和歌山に移動してもらい同じような事業を行うなど、連携の中身としてはさまざまな方法が考えられるとは思いますが、とにかく単体で事業を行うより共同で事業を実現させるメリットは大きいと考えます。特に、海外から著名なゲストを呼ぶとなるとさまざまなチャンネルが必要となり、苦労も多く、その人選、発掘も大変です。また大きなコスト負担も問題となります。そういった中で事業を連携させて一つの事業として取り組めれば、よりよい人選、コストの分散を図ることなどが可能となります。
 また、特に九州地域との連携では、関西とは経済圏も違い、同一のイベントを開催したとしてもマイナス面での干渉も少なく、また北九州はアジアビジネスの日本の拠点となっている地域でもあり、この地域との連携は和歌山県にとってアジアビジネスへの一つの大きなパイプを築くことも期待されます。この事業を計画されている小平さんというプロデューサーに連携の可能性について聞いてみたのですが、非常に興味を持っていただき、ぜひ具体的な検討を進めたいと言っていただいています。
 そこで質問ですが、まず、この九州の事業に限定したものではないとして、他の地域で行われている事業と連携して共同でイベントを行っていくといったことについてどのように考えられるのか、お伺いいたします。
 その上で、具体的に今回の福岡・北九州の事業と連携した共同事業の可能性について、当局のご見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、もう一つ、IT総合センターの持っている機能を生かした具体的な提案として、全国を対象として企業研修の拠点施設としての活用を提案させていただきたいと思います。
 今回のIT総合センター事業は、あくまでもその施設だけを近視眼的に見るのではなく、周りの環境、条件といったものをできるだけ広範にとらえて、その魅力、価値といったものをうまくつくり上げていくことが大切だと考えます。そもそも、この施設の位置づけとして、事前にいただいた資料を確認すると、IT関連産業が集積するためのきっかけとなる、きっかけをつくる施設であり、IT人材の育成・供給の中核となる全国的にも類を見ない複合型IT拠点施設として整備するとされていて、基本的にはさまざまな研修機能も備わっているようです。この研修機能にリゾート環境といった付加価値をつけて、県外の企業に対して商品として売り出すことはできないかと考えるものです。
 現在の日本の企業、中でも大手企業において、研修費用、特に新人研修などは、終身雇用が崩れ人の流動化が進む中ではコスト削減のポイントとなっている状況があります。また、研修メニューの中でも特にプログラミング研修などの基礎研修の部分については、今の時代ではシステムエンジニアなどが受ける特別なメニューではなく、営業職も含め多くの社員が受講を義務づけられるもので、これらについてはそれぞれの会社が独自で行うのではなく、幾つもの会社が合同で研修の専門会社と契約して行っている状況が生まれています。
 そこで、例えばそういった研修専門会社が行っている集中トレーニングをこのITセンターに誘致できないか。集中研修といったものはいろんな条件が必要とされますが、その重要な要素としてリゾート環境を持っていることの価値は大いにあるようです。リゾート環境における研修専門会社による集中研修といったものは日本ではまだまだこれからの取り組みですが、欧米ではこの手の集中トレーニングは日常的に行われている状況にあります。
 具体例を一つ紹介しますと、私の友人でプライスウオーターハウスクーパース(PWC)というビジネスコンサルティング会社に勤める友人がいるのですが、彼が実際に体験した研修について少し触れてみたいと思います。
 彼は、二〇〇一年九月から十二月までの三カ月間、アメリカフロリダ州タンパで研修を受けています。研修の概要としては、プログラミングの基礎を習得し、その後、主にクライアントの要求に沿える一通りの技術をマスターするといった研修を受けてきたようです。この研修のポイントとしては、まず何といっても研修施設がフロリダのタンパという気候温暖なリゾート地に立地しているということです。閑静な環境に立地する研修施設でのトレーニングで、その施設からは車でビーチまで三十分、ディズニーリゾートや各種遊園地まで一時間弱、各種レクリエーション施設、バーベキューなどができる自然公園も近くにありといったような環境だったそうです。
 彼にその研修の感想を聞いてみると、「研修では徹底して頭を使うので、講義及び作業は五時ぐらいに終了するようになっていて、その後は毎日のようにビーチに泳ぎに行ったりジムで汗を流したりして頭を切りかえて翌日に備えるといったスケジュールになっていた。研修におけるリゾート環境の意味は、あくまでおまけではなく、特にプログラミング研修などの場合はストレスがたまるものなので、一日に受けたストレスを翌日に持ち越さないためにもリゾート環境は必要不可欠な要素だったと思う」と話してくれました。また、「研修期間に何度か講師が引率してバーベキュー、ハイキングといったイベントも開催され、そこでも自然に恵まれた環境が近くにあるということは重要なポイントであり、また、都会ではなく閑静なリゾート地ということである程度閉鎖された状況であったために、研修に専念できるという点も大きかった」と話してくれました。
 和歌山のITセンターも、よく似た条件を持っています。閑静な自然に恵まれた地域に立地する研修施設でありながら、車で三十分のところに白浜という世界にも通用するリゾートビーチを持っています。また、さまざまなレクリエーションをするための自然環境も申し分なく、疲れをいやす温泉もあり、それでいて最新鋭の研修機材も整っています。このような恵まれたさまざまな条件を持った施設であるのですから、その条件を生かして、価値の高い施設としてうまく商品化して売り出していくといった視点が非常に重要だと考えます。
 そこで質問ですが、まず知事に。このIT総合センター事業は厳しい財政状況下で七十億もの巨額な投資をする事業です。正直に言って、今の時代には首をかしげる県民も少なくないのだと思います。それだけの投資をするのですから、それだけの投資をするからには、この施設が本当に有効に活用され、地域にも大きな貢献をしてもらわなくてはいけないのだと思います。私自身もそういった思いを込めて今後もこの施設の活用方法についてはさまざまな提案をしていきたいと思っていますが、そこでまず初めに、この施設にかける知事の思い、また今回の事業を通して将来にどういった夢を描かれているのか、改めてご所見を賜りたいと思います。
 次に、担当部長にお尋ねいたします。
 この施設が地域経済に及ぼす影響についてどのように考えておられますか。将来の見通しも含め、お聞かせください。
 また、特に民間企業による利用としてどういった利用状況が見込まれると考えておられるでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、このIT総合センターの活用方法の一つとして、企業の研修用施設として全国的なプロモーションをかけていくということはできないでしょうか。その可能性について、ご所見を賜りたいと思います。
 また、今の時点から社員研修の専門会社との連携を模索していくことも有効な方策であると考えます。欧米に比較して徐々にではありますが、日本でも社員研修の専門会社による取り組みも活発になってきています。例えば、日本IBM系の研修サービス会社・株式会社アイセス、日本ユニシス・ラーニング株式会社、NECの人材育成と研修コンサルティングを受け持つNECシステムテクノロジー株式会社、富士通の富士通ラーニングメディアなど数多くあり、こういった会社に対して研修用施設としての利用を持ちかけていくことについて、その可能性についてどのように考えられますでしょうか。
 また、大学及び研究機関との連携の可能性について、地域の大学である和歌山大学のほかに現状でどういった検討が加えられているのか。特に、大学との連携という点については、私自身、今回の質問では時間が足りなくて取りまとめることができませんでしたが、東京のある有名大学からサテライトキャンパスとしての活用、共同研究など、具体的な提案をいただいているところがあります。次の議会までには詳細を詰めてまた質問させていただきたいと思っていますが、現状における大学・研究機関との連携について具体的に検討されているところがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
 最後に、この施設の管理運営について、民間の企業が管理運営する可能性はあるでしょうか。さきに質問した指定管理者制度の導入などを含め、検討されているところがあればお聞かせ願いたいと思います。
 以上で、私の第一問目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 今の質問には思わず聞きほれてしまって、僕もいい勉強になりましたけども、まず第一問目の中小企業振興公社の問題です。
 今、日本の国は徐々に景気はよくなりつつあります。だけどこれは、きのうも言いましたけども、デフレ下の好景気ということで、非常に大企業でいいところと、それから地方の中小企業との格差はどんどん開いてきていて、これはもう非常に大変な状況にあるわけです。和歌山県でも、非常にいい企業もあるわけですけども、やっぱり大半のところは非常に厳しい状況にあると。
 そういうふうな中でこの和歌山県を少しでも元気づけていくためには、今あるものをブラッシュアップしていくということしか基本的にはないというふうな面がありまして、私もこの問題について、非常にいろんなことをやってきているんですけども、ただこの中小企業振興公社の問題については十分まだ手がついていないところがあったと思います。これ今統合の問題もあるんですけども、今新潟の例なんかも聞きましたけども、本当にやっぱり広く、今民間にたくさんのいい人がいる、こういうふうな人材を集めて、それからもう恥じることなくよその県でやっている先進的な事例の一番いいところを取ってきてやっていくというふうな形に私はしていきたいと思います。そしてまた、早くしないと、もう手を打つのに遅過ぎるというふうな形になってきますので──これは中小企業振興公社の方も一生懸命努力していると思うんです。ここ二、三年、いろんな改革しているんですけども、やっぱり抜本的な改革ということになると、やっぱり県が指導して早急にやっていかないといかんので、今のご質問の内容なんかを十分参考にしながら対応をしていきたいと思います。
 それから、二点目の公の施設の管理における制度改正、要するに民間にも委託ができるというふうになったということですけども、この問題は非常に古くから日本の国が引きずってきた問題をようやく今度変えたということであると思います。行政法上の講学上、公の施設というのは一つの分野を形づくっているぐらいのもので、学者の人にとっては大変大きな仕組みなんだけども、しかしながら、それが世の中の変化にもう十分対応し切れなくなってきたということで法改正が行われたんだと思います。
 これから、NPOを初めとしてありとあらゆる民間の団体なんかが、これうまく──要するに、今までは公の施設を民間に任せたらお金を取ったりする、そういうふうな権力の行使につながることがあるんでうまくないというふうな発想だったんだけど、これからはもう民間も役所も同じ対等の立場でやれることは一緒にやっていこうという時代認識ですから、和歌山県でも、どんなものが一番適切になるか、そしてまた、そういうふうな委託をすることによってどういうメリットがあるかということをよく比較考量して思い切った施策をとっていきたいと、このように思っています。
 それから、三点目のITセンターについては、これはもともとつくったときのいきさつから若干その目的がぼけてるというふうなところがあって、それが今のところに引き継いでおり、それから建設の問題で前議会でも皆さんに非常にご心配かけたわけですけども、地盤沈下の問題なんかもあって、そういうふうな方向に非常に目がいってるんですけども、実は本当に、これだけ大きなお金を使って何の役にも立ちませんでしたということでは本当にぐあいが悪いというふうなことで、今担当課の方を中心に、特に例えば放送大学校の支分所をつくるとか、それから和歌山大学のサテライトキャンパスをつくるとか、和歌山大学の大学院機能を持たせるとか、いろんなことを考えています。
 そしてまた、それはそれで非常に意味のあることだと思いますけども、ただ単にこの和歌山県内だけというふうな物の考え方では必ず先細りになってくるのは目に見えてるんで、今おっしゃってたような、企業がITの研修をするのと有機的に連携するとか、それから大学なんかでも和歌山の中の大学だけじゃなくてよその大学にも目を向けて考えるとか、本当にいろんなことをやっていけばいいんです。要するに、箱物は箱があるだけのことで、箱の中にどういうパーテーションでいろんなものを入れていくかということは本当に柔軟に考えていかないといかんし、一度もうそれをやり出したらもうこれでずっといくんだというようなことになると、特にこれ難しい分野ですから、私自身もこの運営については非常に不安も──ある意味では不安と期待、両方持っているというふうなことですので、前向きにいろんな新しい提言に対応していくというふうな形でやっていきたいと思います。これはどんどん原課の方へもサゼスチョンを与えていただいたら、できることは本当に前向きに対応していきたいと、このように思っています。
○副議長(吉井和視君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) ご質問の県中小企業振興公社の役割等についてでありますが、当公社は、設立以来、中小企業の経営基盤の安定に貢献してきましたが、新事業創出促進法に基づき中核的支援機関と位置づけられてからは、産学官三十三の関係団体と連携しながら、新事業創出の準備的構想段階から事業化までの総合的な支援の役割を担ってまいりました。
 ただ、議員ご指摘のとおり、時代の急速な変化に対処した組織の変革スピードがやや緩やかであった面もあります。このため、新しい形の組織が必要と考えておりますので、これまでの成果と反省を踏まえ、民間人の登用や行政、外郭団体等の密接な連携に努め、中小企業者のニーズに合った活気あふれた組織となるよう一層施策強化を図ってまいります。
 次に、商工会議所との連携につきましては、経営指導員等との有機的連携のもと、チャレンジ精神旺盛な事業者の発掘・育成が可能な仕組みを構築してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 公の施設の指定管理者制度について、お答えを申し上げます。
 今回の地方自治法の改正による指定管理者制度の導入につきましては、公の施設の管理において民間事業者等のノウハウの活用がこれからの行政サービスには必要不可欠であるとの考え方によるものでございます。現在本県が取り組んでおります行政改革の本旨にも沿ったものであると考えておりまして、また施設の管理をゆだねる相手方の選択肢が広がるという意味では、県民と行政の新たな協働を進める方策の一つであると認識をしております。
 現在、県が出資をする外郭団体に委託しております公の施設は、和歌山ビッグ愛や紀三井寺公園など三十五施設ございますが、県民ニーズが多様化する中、利用者ニーズに沿った適切なサービスが提供できているかどうかといった観点などからの不断の検証が必要であると考えております。
 また、外郭団体の見直しにつきましては、本年三月に策定をしました行政組織等の見直し実施プログラムに基づき、先ほどからお話がございます中小企業振興公社を初め、九団体について本年度末を目途に廃止、統合や組織をスリム化すべく進めているところですが、公の施設を管理している団体につきましては、指定管理者制度への移行もにらみつつ、県民サービスの低下を招くことのないよう十分配慮をした上、より一層の経営改善などに努めるよう関係部局とともに指導してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、旧法に基づいて現在管理を委託しております公の施設につきましては、改正地方自治法の施行日から三年以内に指定管理者制度に移行することとなっておりまして、本制度の導入につきましては、先ほど知事からもお答え申し上げたところでございますが、民間能力の活用という今回の法改正の趣旨を踏まえながら、外郭団体のあり方を含めて十分検討してまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 他の地域で行われる同種のイベントとの連携についてでございます。
 仮称ですけども、IT総合センターは田辺・白浜地域におけるIT産業集積の拠点施設であると位置づけておりまして、SOHOブースなどを通じて起業家に対する支援を実施していくこととしております。その一環として人材の交流事業などを実施したいと考えておりますので、議員ご提案のイベントを含め、他の地域で行われる事業との連携につきましても一つの方策として検討を行ってまいります。
 次に、地域経済に及ぼす影響等についてでございます。
 IT総合センターの機能といたしましては、高度なIT教育・研修機会の提供等による人材育成、IT関連の起業家やSOHOなどを主な対象とした産業支援、市町村へのノウハウの提供等による地域支援、IT体験コーナーの運営や各種イベントの開催等による普及啓発の四点を掲げておりますが、中でも特に重要と考えておりますのが人材の育成でございます。
 具体的な事業内容につきましては、現在、地元の産業界や教育関係者等のご意見を伺いながら検討を行っているところですが、地域のニーズに応じた優秀なIT人材を計画的に育成することによって、将来にわたりIT産業のみならず地域経済全体の活力向上に結びつけてまいりたいと考えております。
 次に、このセンターを民間の研修拠点にする活用策についてでございますけども、この施設は、高度な情報研修環境を備えるのみならず、白浜温泉や熊野古道など我が国を代表するリゾート環境を有する地域に立地していることから、こうした要素も十分に活用しまして、議員ご提案の企業研修につきましても利用促進の一環として検討を行ってまいります。
 次に、大学や他の研究機関などとの連携についてでございますが、この大学や民間の研究機関等との連携を図ることは、ハイレベルな研究者との交流を通じた新技術の開発や地域資源を生かした新たなビジネスの創出など、地域への波及効果も大きいものと考えますので、今後積極的に取り組んでまいります。
 次に、この施設の管理・運営につきましては、民間の知識やノウハウを導入することによりより効率的に充実した機能が提供できるよう、現在種々の検討を行っているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番山下大輔君。
○山下大輔君 もう時間もありませんので、もう要望だけ簡単に。
 まず中小企業振興公社の再整備について、知事がおっしゃっていただいたように、今大きな時代の変化があって、大企業と中小企業者において大きな格差が生まれていると。本当にそういった中で、中小企業者が頼りにする相談者というのを身近に欲しいというのは、これは切実な声だと思いますので、そこがうまく連携していけば和歌山の地場産業というのはまだまだ可能性あると。
 実は先日、ある繊維会社の経営者の方とお話ししていたときに、日本の今のサッカーの日本代表のユニフォームというのは実は和歌山の繊維が使われていると。これはもうお聞きになられた方も多いかと思いますけれども、そういった形でうまくマッチングをしていくと。持っている技術をどう売っていくかというようなところのパイプ役さえ何とかうまくだれかがそのジョイントになってあげられれば、まだまだ和歌山の地場産業も可能性としたらあると思いますので、ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 それと、指定管理者制度の導入につきましては、これもこれから本当に地域間に、それぞれの都道府県の間においても、経営資源、人・物・金というものをどういうふうに有効に使っていくかということの知恵比べ、競争の時代になると思います。和歌山県では本当に取り組みとしてもかなり積極的には取り組んでいただいていると思いますし、今後ともそういったことを考えていく中では、今回の指定事業者制度というのはうまく使えれば本当にサービスの向上につながると思いますので、ぜひ積極的なご検討というのを今後とも考えていっていただければと思います。
 最後に、IT総合センターの活用法につきまして、これも知事もおっしゃっていただきましたが、箱物が箱物のままできるだけだったらこれは意味がないと。仏つくって魂入れずじゃないですけれども、本当にこれからが実行段階やと思います。魂というのをしっかりと吹き込んでいっていただきたい。
 あの立地にできるIT総合センターというものが、うまく使えれば本当にきょう質問の中でもちょっと話させてもらいましたけれども、これも全国でもおもしろい取り組みになるでしょうし、世界にもいろんな情報を発信していける拠点になれる可能性というのは、私自身も大変あるんだと思っています。ですから、いろんな部分での提携、協力関係というのをつくっていきながら、より魅力のある施設になるよう努力というのをしっかりと続けていただきたいと思いますので、これも三点について要望として、以上、私の二問目を終わらせていただきます。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。

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