平成15年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
県議会の活動
平成十五年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
平成十五年十二月九日(火曜日)午前十時開議
第一 議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに報第八号(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに報第八号(質疑)
二 一般質問
出席議員(四十四人)
一 番 須 川 倍 行
二 番 尾 崎 太 郎
三 番 新 島 雄
四 番 山 下 直 也
五 番 小 川 武
六 番 吉 井 和 視
七 番 門 三 佐 博
八 番 町 田 亘
九 番 東 幸 司
十 番 浅 井 修 一 郎
十一 番 山 田 正 彦
十二 番 坂 本 登
十三 番 向 井 嘉 久 藏
十四 番 大 沢 広 太 郎
十五 番 平 越 孝 哉
十六 番 下 川 俊 樹
十八 番 山 下 大 輔
十九 番 小 原 泰
二十 番 前 芝 雅 嗣
二十一番 木 下 善 之
二十二番 谷 洋 一
二十三番 井 出 益 弘
二十四番 宇 治 田 栄 蔵
二十五番 浦 口 高 典
二十六番 藤 山 将 材
二十七番 原 日 出 夫
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 野 見 山 海
三十 番 冨 安 民 浩
三十一番 尾 崎 要 二
三十二番 阪 部 菊 雄
三十三番 花 田 健 吉
三十四番 角 田 秀 樹
三十五番 前 川 勝 久
三十六番 江 上 柳 助
三十七番 森 正 樹
三十八番 長 坂 隆 司
三十九番 中 村 裕 一
四十 番 新 田 和 弘
四十一番 松 坂 英 樹
四十二番 雑 賀 光 夫
四十三番 藤 井 健 太 郎
四十四番 村 岡 キ ミ 子
四十五番 松 本 貞 次
欠席議員(一人)
四十六番 和 田 正 人
〔備考〕
十七 番欠員
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
理事 垣 平 高 男
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 宮 地 毅
企画部長 野 添 勝
環境生活部長 津 本 清
福祉保健部長 白 原 勝 文
商工労働部長 石 橋 秀 彦
農林水産部長 阪 口 裕 之
県土整備部長 酒 井 利 夫
企業局長 西 芳 男
教育委員会委員長 駒 井 則 彦
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 大 岡 淳 人
警察本部長 宮 内 勝
人事委員会委員長 西 浦 昭 人
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 北 村 亮 三
職務のため出席した事務局職員
事務局長 中 原 洋 二
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 島 光 正
議事課副課長 藪 上 育 男
議事班長 鷲 山 智
議事課主任 尾 崎 善 亮
議事課主査 土 井 富 夫
総務課長 土 井 陽 義
調査課長 宗 野 幸 克
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課主査 保 田 良 春
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午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
【日程第一 議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに報第八号】
【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに知事専決処分報告報第八号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
三十八番長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問に立たせていただきます。
まず冒頭に、去る十一月二十九日、イラクにおいて凶弾に倒れた奥克彦大使、井ノ上正盛一等書記官に対し、謹んで哀悼の誠をささげたいと思います。
奥克彦さんは、私の大学時代、二年間同じ語学クラスで机を並べて学んだ奥さんの妻恵美子さんとともに、親友、同級生であります。私と一緒に学ランを着て大学へ通い、一年のときはラグビーに明け暮れ、外交官志望であった彼は特に二年生より目覚ましく一生懸命勉学に取り組み、外交官試験に見事パスした、おおらかでさわやかな人柄のスポーツマンでありました。いかにもみずから体を使って現場へ赴いて、自分の目で見て行動することを是とする、日本のために真の外交官としての生きざまを貫いた男であったと思います。悲しく寂しい限りですが、このお二人の死を決してむだにせぬよう、日本政府のイラク復興支援、平和の回復に対する真摯な取り組みを要望したいと思います。
それでは、通告に従いまして順次一般質問をいたします。
まず、和歌山港みなとまちづくりについてであります。
和歌山下津港本港区は、明治時代には沿岸航路の定期船寄港地として栄え、それ以降、木材・綿織物等の取り扱いで大いに盛り上がったこともありましたが、今では埠頭用地、港湾関連用地、そして工業団地とそれぞれ遊休地が多く、非常に利用効率が悪いと言わざるを得ません。定期コンテナ船の増便もなかなか難しい、取扱量の目立った増加もすぐに見込めない状況であります。人が集まるところといえば中央卸売市場とフェリー乗り場の定期便がある時間帯ぐらいで、あとは寂しい港であります。
昨年十一月に国の交通政策審議会答申において「みなとまちづくり」が提言されております。港町というのは、そもそも海と町との接点にあります。海というものは不思議なもので、そこに働く人の活気が感じられると自分自身も元気づけられる、そんなものであります。港は、元来、地域の歴史文化、生活、そして産業が集まり散ずるにぎわいの場であるはずです。和歌山港の整備されるはずの緑地帯も、まだその名には遠く、雑賀崎の高台から見ても無彩色のコンクリートの敷地が続いているようにしか見えません。
中央市場からフェリー発着場の間は、例年七月二十日の海の日には港まつりの花火で市内外から二十数万人の人が押し寄せて夏の風物詩を楽しみますが、この地域に人が集まり、食事、買い物を楽しみ、海の風情を味わいながら散歩、休憩できるような場所につくり上げていき、市民レベルで港に親しみ、港の町づくりをしていって、子供たちにも港に来て港湾の経済活動、税関、作業現場、貨物船を初めさまざまな船や上屋・倉庫、そういうものを見学してもらって生きた体験ができるような総合学習の場にしていくようにすれば、港も一般市民に親しまれ、活気を取り戻して、ともすれば暗いイメージを払拭して港の遊休地の利活用の機運も芽生えてくるのではないかと思うのです。
これまで国は、ともすると港湾整備を中心に取り組んできており、地元レベルの利活用にまでなかなか踏み込めていなかった側面があります。港湾管理者である県とともに市町村あるいはNPOなどの市民団体、地元企業と連携しながら和歌山港を活気づけていくみなとまちづくりを行っていく、そんな活動のお手伝いをしていけたらと私は思っております。
地方各港で個性を生かしたさまざまなみなとまちづくりが既に展開されております。
例えば下関港では、オープン型の観光施設として、市場の競り終了後にオーペンスペースにいすを並べて、仲卸が売っている魚をお客さんが買ってそこで調理するといったスタイルや、隣接地の水族館海響館の周囲にオープンカフェを設置してくつろぎのスペースをつくって人気を博しております。
清水港は、富士山を借景にした三保の松原を有する自然景観のよさに恵まれた日本三大美港の一つに挙げられますが、ほかの港にもよくあるように不つり合いな煙突や倉庫によって殺伐とした港にもなっていたのを、民間の事業者、行政、学識経験者が官民一体となって平成四年度より清水港・みなと色彩計画によって、自然景観と調和した人工景観を創出しようとして色の塗りかえによってイメージアップに成功しております。
能登半島の七尾市、ここも万葉の時代から港中心に発展した能登の中核都市でありましたが、昭和六十年代に港湾産業が衰退し、能登有料道路が七尾から外れたりして地域経済の落ち込みが進行しておりました。地元が港の再活性化策として七尾マリンシティ推進協議会を立ち上げ、能登国際テント村を出店したり能登食祭市場をつくったりして、県市のみならず企業も協賛して十一年間で通算一千万人の入り込み客を数えるほどになりました。そこに能登・和倉の旅館も活況を呈することができるようになったそうであります。
港も、人流・交流の拠点として魅力あるものをつくり上げれば地方の経済の活性化に大きく貢献できる一つの実証となったわけです。
そこで質問ですが、和歌山港を一般県民・市民が日ごろの生活の中で親しんで利活用できるようなみなとまちづくりについて、知事の所見をお伺いいたしたいと思います。
次に、和歌山港に隣接する雑賀崎地区から片男波地区には美しい海岸線が続きます。ここも、漁港を含めた一種の港であります。ここには生活の息吹があり、海辺、そして公園の散歩に最適の場所であります。強いて大きなお金をかけて人工の手を加える必要はありません。
県立和歌公園は、多くの市民あるいは観光客の散策スポットとして親しまれております。和歌山市の方で整備いただいている海辺の遊歩道が海辺の道ならば、和歌公園の山合いの道は山の道であります。近自然工学で有名な山脇正俊先生、この方も環境に優しい新しい道づくりを提唱されております。常日ごろ、地元の人々を初めボランティア団体等が付近の海岸清掃等一生懸命取り組んでいただいておりますが、地域が主体的にそうした活動を行っていくことは今後とも町づくりには前提として必要な要素でありましょう。
県立和歌公園全体を見渡して、和歌の浦という歴史文化に彩られた地域の中で、公園内の海辺から、そして山合いから望み見る風光明媚な景観を持った県立公園としての存在意義をいま一度考えていただいた上で、地元中核都市和歌山市とも十分連携をとっていただいて、市民・県民に気軽に、身近に親しまれる和歌山、和歌の浦の再発見のために、高齢者や障害者にも優しい、細かいところへの平生からのさらなるご配慮を要望したいと思います。
去る十一月の暖かいべたなぎの日に、有志で雑賀崎漁港より底びき網漁船に乗せていただいて、約八時間足らずの間、水軒沖から白崎海岸手前沖まで船を動かしていただきました。網にかかってくるプラスチック容器類や大きなシャベルといった金属片等たくさんのごみの量、それにヘドロにも驚きましたが、クルマエビ、モンゴウイカ、カニ類、ウシノシタ、カレイ、巻き貝等、たくさんの獲物がとれました。子供たちに青い海といその潮風を感じながら和歌浦湾に生息する魚介類を見せてあげて、さわらせてあげて、食べてもらって和歌浦の魅力を肌で感じる一種の体験学習の機会になればと、そういう意図もありました。獲物の中に、タツノオトシゴやはさみや足をコンパクトに折り畳んだ丸い石のようなカニや、細長い木の枝のような魚や、アンコウの稚魚など珍しい生き物もいて、子供以上に私自身も楽しみ、勉強させていただきました。
以前、雑賀崎の方に双子島の大島の下にワカメなどの海藻やアワビ、イセエビがいっぱい生息していると聞いておりましたが、魚介類の産卵場所にもなる藻場の育成、それに高級魚でなくてもいいのです、和歌浦ならではの地の魚を育ててふやして、旅館で地魚料理のコースを観光客、宿泊客に食べていただけたらどんなにか満足していただけるかと思いをはせました。
加太でも尽力されている温泉を掘って高齢者、障害者の皆様にも介護保険を利用して、できるだけ経済負担をかけずに中長期の保養・療養として旅館・ホテルに宿泊いただき、海辺の遊歩道をゆっくり景観を楽しみながらリハビリを兼ねて歩いていただく、そしてリピーターの観光客を県内外でふやせるよう地元の住民、市民参画で、地域的盛り上がりで、せっかく有する天与の自然資源が活用できればと改めて考えさせられた次第です。
最近、紀南の水産試験場増養殖研究所の方のお話を聞かせていただきました。オニオコゼの種苗を生産し、中間育成しているとのこと。それなら、日ごろおなじみの根魚であるカサゴやメバル、アイナメのような魚を同じように生育しながら養殖できないものかと思いました。成魚への生育にかかる年月、コストの問題もありましょうが、和歌山市周辺の海において身近で、それでいておいしい魚の栽培漁業について、藻場の育成とあわせて現況と今後の施策を農林水産部長にお伺いいたしたいと思います。観光振興に、漁業振興に、そして漁港におけるみなとまちづくりのためにも必要だと考えるからであります。
二番目に、和歌山市内の河川のしゅんせつについてであります。
紀の川の河口は、平安期に和歌川より和歌浦、鎌倉期には水軒川の大浦、さらに近世になって現在の流路をとるようになったと考えられています。江戸時代には和歌川、水軒川の旧流路は、紀の川と連絡して水運の役割を果たすことになったようであります。
さて、和歌山港につながる水軒川ですが、黒く濁った悪臭の漂う川として、また護岸も傷んできており、地元でも何かと要望の多い川であります。紀の川河口の薬種畑地区と南港を結ぶ海水の川であり、整備すれば、それこそ港近郊でもありますし、小舟でも浮かべて気軽に遊べる川であります。
私の子供のころは既に黒ずんでおりましたが、水軒川河口でよく釣りをして、セイゴやフッコが釣れたものです。ぜひ、みなとまちづくりの一環としてもしゅんせつ工事を積極的に推進いただきたいと思いますが、いかがですか。
しゅんせつといえば、和歌山市内の内川のほとんどに言えることであります。内川とは、和歌川本川、市堀川、大門川、有本川、真田堀川を総称した呼び名ですが、特に大門川は、羽柴秀吉の紀州攻めの際の太田城水攻めで出てくる川です。近年、沿岸の染色工場の廃水もあって水質汚濁が進んでおりました。
去る十一月十六日、和歌山市の一万人大清掃の際に、大門川沿いの新在家の自治体の有志の皆様で、そろそろ水の冷たい中、川にお入りになって二時間かけてごみの引き揚げを行ったのです。わずか約十メートル──十メートルしか進まなかったんですね──その区間で、何と単車、自転車、農機具、家電品、缶、瓶、長い黒ビニール、それに一般ごみの入ったごみ袋、こんなものまで次々と引き揚げられて、川がまるで廃棄物処分場のごみだめのようになっていたのです。
当自治会では、長年にわたり清掃作業に取り組んでおられます。最近は、コンクリートブロックの堤防にしていただいたおかげで草刈り等の作業は多少は楽になったとはいえ、川の汚れは年々悪化して悪臭も漂い、心ない人たちのために、粗大ごみを初めとしてごみの投棄は後を絶ちません。不法投棄に対する行政処分はもちろんのこと、川ざらいというか、しゅんせつが急がれます。堆積土砂だけでなく、大小いろんなごみがあるので、まことに厄介であります。
江上議員、角田議員も議会で取り上げていただいておりますが、大門川を初めとする和歌山市内の内川、土入川等のしゅんせつなどについて、瀕死の状況を救っていただくために取り急ぎの施策をお願いいたしたいと思いますが、いかがですか。県土整備部長にお尋ねいたします。
これで一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌山下津港を利用したみなとまちづくりについてのご質問でした。私も、本当にご質問のとおりだと思います。今までは、どちらかというと岸壁をつくるとか、そういうふうなことに港湾整備の中心が置かれてきたわけですけども、やはりこれからの時代はソフトを中心に、人が集まりやすい地域整備という形で行っていくということは非常に大事なことだと思います。
そういう中で、私もよく和歌山下津港へは行くんですけども、本当にある意味では無味乾燥といいますか、一般の人にはあんまり関係のない場所という感じになってるんですけども、うまく掘り起こしていけば養翆園もありますし、それからこれは港湾区域ではないかもしれませんけども、番所庭園からずうっと田の浦、和歌の浦へ通じる付近のすばらしい景観というふうなものがあるので、こういうふうなものを、余り港湾だとかそれ以外の地域だとかそういうふうな感じじゃなくて、連関する、しかも身近な集まり場所として整備していくというふうなことが私は非常に大事なことであると思います。
私も、和歌山へ初めて来たときに、和歌浦の地域の景色を見たとき、こんな日本三景みたいなところがよくこんな町の中にあるなというふうに驚いたのを覚えています。今はもうなれてしまったのでそういう感覚がなくなってしまったんですけども。いずれにせよあの地域は、本当にそういうことから言えばかけがえのない地域です。ただ、今までどおりのやり方ではもうらちが明かないところまで来てるんで、見方を変えてやっていく必要があるし、そしてまたそれだけのことをやっていく値打ちのある地域だというふうに私は思います。
そして、今まではともすれば、我々もいけないんですけども、和歌浦とか、それから下津港はまあ県が管理者なんだけども、何となく和歌山市の仕事というふうな感覚が非常に強かったんですけども、これからはどこの仕事というふうなことじゃなくて、県、市、そして住民の人が、三者がスクラムを組んでよくしていくというふうな形にしないと、こういうふうな時代ですのでなかなか大きな改善ということは見られないと思いますので、また議員各位のご意見なんかも入れながら積極的に取り組んでいきたいと、このように思っています。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 和歌山市周辺の海における栽培漁業と藻場の育成についてお答えいたします。
藻場の育成についてでございますが、議員ご指摘のとおり、藻場は窒素、燐の除去や二酸化炭素の固定を行うなど漁場環境の改善機能を有するとともに、水産生物の幼稚仔の育成場、あるいはえさ場や産卵場としての重要な機能を有しております。しかしながら藻場は、近年、全国的に減少傾向にあります。その回復を目指して県内各地でその造成に取り組みを進めておるところでございます。
和歌浦湾においては、平成十五年度から試験礁の設置や水質・底質調査などの環境調査を実施中であります。その結果を踏まえて、最適な場所や工法等を決定して平成十六年度から藻場造成工事を行うこととしています。
栽培漁業につきましては、第四次栽培漁業基本計画に基づき、財団法人和歌山県栽培漁業協会においてクルマエビを放流するとともに、マダイ・ヒラメ・アワビなどの種苗を計画的に生産し、放流しています。カサゴ・メバル・アイナメについては、平成十七年度を初年度とする第五次栽培漁業基本計画の策定に向けた取り組みを始めておりますので、地元の要望、適地性、費用対効果など、さまざまな観点から栽培漁業対象魚種としての可能性を検討したいと考えております。
漁業を地域の振興策として活用し、また水産資源の維持のための取り組みなど漁業への理解を深めていただくために海遊体験事業を行っていますが、雑賀崎漁協では本年度から底びき網漁業を活用した取り組みを始めました。参加者のアンケート結果も非常によく、今後とも地域の活性化につなげていきたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 水軒川、大門川を初めとする和歌山市内の河川しゅんせつについてでございます。
良好な河川環境を保全・再生することは大変重要なことだと考えており、大門川で行われているような地元自治会等による河川の清掃や草刈りなどの河川愛護活動は、河川環境の保全に大きな役割を果たしていると認識しているところでございます。県といたしましても、和歌山市内の河川の水環境改善のため、現在、和歌川、水軒川のしゅんせつに取り組んでいるところでございますが、引き続き工事の推進に努めてまいります。
また、大門川のしゅんせつにつきましては、河川の流下能力向上とあわせて、河床掘削工事として実施することとしています。掘削を行うに当たっては、まず護岸及び橋台の補強工事が必要であり、現在、護岸の補強工事を行っております。それらの工事が終わった区間から順次掘削工事を進めることとしております。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十八番長坂隆司君。
○長坂隆司君 まず、みなとまちづくりについて知事よりご答弁いただきました。港に行ってみたくなるような、例えばライトアップされて港夜景がきれいだとか、海を眺めながらいその香を感じながら食事ができるとか、横浜の山下公園とまではいかなくても防潮堤沿いに緑の木々が美しくてベンチで休憩や談笑ができるような、そんな県民・市民の憩いの場所としての港、これを市民レベルでつくっていこうという機運を盛り上げて、まず住民が港を活用することから始めるべきではないかと思います。そのためにも、例えば港内の老朽化したような倉庫、建物を民間に貸し出していただいて、それこそ港のSOHO、そういうものにしてみてもおもしろいのではないかなと思います。
次に河川のしゅんせつの件ですが、先ほど申し上げたように、一部の市民のマナーが実によろしくないわけで、粗大ごみやごみを入れてぱんぱんになったごみ袋を川へ放り込むなんてことは、許されていいものではありません。時代的傾向としてごみの有料化が進んでまいりますと、近い将来、もっと産廃のみならず一般廃棄物の不法投棄も増加してくるものやと思います。どうか、環境生活部と県警当局におかれましても厳正な行政処分、適正な対処をご検討いただきたいとご要望申し上げまして、一般質問を終わります。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十八番玉置公良君。
〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。
きょうは世界遺産の関係で、来年の登録を間近に控えて、それに期待するそれぞれの立場から傍聴に来ていただいております。世界遺産を活用してのビジネスチャンスとしてとらえたいという民間企業の方、また地元でふるさとおこしをしたいという青年の方、さらには観光を通じて世界遺産を活用して観光の発展に寄与したいという観光関係の方、それぞれの立場できょうは傍聴に見えております。どうか、期待の持てるようなご答弁をよろしくお願いを申し上げまして、ただいまから質問に入りたいと思います。
それでは、九月議会に続いて世界遺産登録に関して、「和歌山方式で世界遺産登録と活用へ」と、こういったテーマで一般質問を行ってまいりたいと思います。
いよいよ来年、高野・熊野が世界遺産登録されようとしています。登録作業については、三県のリーダー役として知事並びに教育長が先頭になって、そして職員の皆さん方が一生懸命取り組まれて、そのことに対しまして私からも敬意を表する次第でございます。そして、どうかこの世界遺産登録がすばらしい活用ができるような形になりますようにお願いをしたいと思うのであります。
そこで、知事のさきの議会における私に対する答弁で、「世界遺産への登録は、観光立県を掲げる和歌山県にとって千載一遇のチャンス。NPO、地域住民、観光団体、地元市町村と連携をとりながら、皆さんの関心が盛り上がる仕組みを考えていきたい」と述べられました。しかし、我々の周辺を見ると、登録される地域の自治体同士の横のコミュニケーションがまだまだ少ないように感じますが、いかがでしょうか。
県行政も、企画部に窓口を置くことを決めていただき動き出しましたが、まだまだゆったりと構えているというのが正直な感想です。私も多少慌てて、関係者と会って、今何が必要なのか、そのことを九月議会終了後、再度検討してまいりました。十月には県議会の福祉環境委員会で青森県の世界遺産白神山地を訪れ、調査を行いました。十一月十一日より三日間、高野・熊野の世界遺産登録地域の十二自治体全部を回り、意向調査を行いました。
さらに二十日には、先走ったことをと言われるかもしれませんが、私どもが主催をして白浜で、世界遺産登録に関する市町村の担当者により、いわゆる市町村サミットを開催しました。そのときに出てきたのが、一番目は県に対する要望、二番目が市町村独自に考え出した企画の発表、三番目がNPOなど民間に期待する有意義な事業、この三つについてのそれぞれの注文がありました。具体的に申し上げますと、主なものは、熊野古道を保全するための基本計画を策定すること、それから旅行客に安心して目標まで歩いてもらえる外国語も入れた標識を統一すること、そして観光に関する情報を把握する窓口など総合的な施設の整備、それに日本語の語り部、外国語の語り部、私はあえて通訳と言いますがその育成、私も世界遺産の多いイタリアに行ったときトイレが少なく不便だったことが印象に残っていますが、その旅行者に対するサービスとしてぜひとも必要なトイレの整備・保全、また最寄りの駅からの交通の便や歩いた後の戻りの便など交通網の整備、官民一体となった推進体制づくり、それに自治体が出さなければならない緊急な登録までの準備にかかる財政の負担や広域連携の必要性などが問題として提起をされ、総体的に県の動きが遅いことが指摘をされました。これらの問題についてかなり深刻な自治体もあるし、問題によってはまだどうしていいのかわからない、いらいらする自治体もありました。私も、前回の質問のときも申し上げましたが、やはり県民に対するパブリシティーが残念ながらまだまだ低いということがすべての準備のおくれにつながっていると思います。また世界遺産登録された場合、ほとんどの自治体が、いろんな環境整備をするときに予算をどのようにすればよいのか、いろいろと戸惑っているところがありました。一番多かったのが、標識の問題をどうするのか、通訳をどうするのかなどであります。
九月にイタリアへ世界遺産の調査に行ったときに、イタリアの旅行好きの人たちから「日本は怖い」と言われました。なぜならば、自分たちの母国語で理解できる標識が少ないからだそうです。これは重要な指摘であります。それに対して、残念ながら何も手を打てていないのが現状ではないでしょうか。
七月には、新生わかやま県議団で三重県へ世界遺産の調査に行きました。そこで感じた三重県は、和歌山県に比べると大変進んでいます。一例を申し上げれば、登録までの準備及び登録後の活用を含めた取り組みが明示されたアクションプログラムを既につくり上げていました。これでありますけれども、この作成に当たっては、行政だけではなく、熊野古道にかかわりのあるすべての人が自発的に実行するため産学官民が一体となってまとめたと言われています。さらに、旅行者にとって欠かせない標識など、ロゴマークを三重方式でつくるというほどの凝りようです。また、すぐに必要な語り部についての情報を統一する窓口が開かれています。ガイド、パンフレットなどは外国の観光客に対応できるよう、十五年度は英語、十六年度は韓国、中国語などをつくる予定になっています。また情報センター機能として、地域センターと二十億円をかけてつくる熊野古道センター設置など、官民協働の会議を立ち上げて連絡調整機能をつくっています。
そこで、三重県と和歌山県が一番違うと思うことは、三重県では語り部、ガイドの窓口を一本化しているのに和歌山県ではてんでんばらばらになっていることです。そのことは、三重県ですと、統一された窓口に電話すれば紹介をしてくれると、そういう便利さ、道の標識と一緒で、どこどこへ行けばどうなるということが旅行者へのサービスの第一歩であると私は思います。
和歌山県が統一されていなくおくれています語り部ですが、先般、中辺路町で研修会がありました。これは、今後どのようなスケジュールが予定をされているのでしょうか。また、何人、何カ国語のしゃべれる語り部、ガイドを養成しようとしているのでしょうか。また、統一された窓口をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
もう一つお聞きしますが、実は私の地元の中学校でカナダから来ています外国人教師から、きょうもその友達も見えておりますけれども、私に対して、「来年で契約が切れるが、世界遺産登録地の熊野古道に残り、生活が保障されれば通訳のガイドの仕事をしたい」と相談が入っています。一から探すとなることを考えれば、費用もその間の準備も膨大にかかって、どこの自治体でも敬遠するでしょう。そうした意味においても、このような人たちを受け入れられる支援を県は率先して考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。商工労働部長にお伺いをしたいと思います。
それからもう一つ。現在世界で唯一の道の遺産として登録されているスペイン・ガリシア州サンティアゴへの道と本県の熊野古道とは姉妹道提携を結んでおりますが、先月も尾崎議長以下訪問していただき、ご尽力いただいたところですが、この世界遺産登録を機会にスペインとの友好交流を深め、ガリシア州との姉妹交流を有意義に活用して、スペインはもちろんのこと、ヨーロッパへ高野・熊野を中心とした和歌山県のよさをPRしていくことが必要であると考えますが、いかがでしょうか。知事公室長にお伺いをしたいと思います。
さて、話は変わりますが、登録の取り組みは三重、奈良、和歌山の三県が足並みをそろえて取り組んできましたが、世界遺産活用のための取り組みについては、なぜ三重県と和歌山県には差があるのでしょうか。三重県は、地元に行政と住民が入った東紀州地域活性化事業推進協議会というのがあり、世界遺産指定や活用に向けての取り組みがされています。これによって語り部の相談窓口や料金体系などの統一化やイベントなどが積極的に行われています。我が和歌山県にも、三重と同じような組織、南紀熊野二十一協議会ができていましたが、世界遺産登録を待たずして、今春解散をしました。どんな事情があったのか。そのいきさつを明らかにして、これを復活させることによって登録に対する県の意気込みが出てくるのではないでしょうか。企画部長にお伺いをしたいと思います。
市町村サミットでは、NPOに対する期待の事業として、古道パトロール隊やガイドなど数多くの要望が出されました。理想とするNPOとはどういうものがあったらよいのか、お考えをお聞かせください。企画部長の答弁をお願いいたします。
この十二月十三日には、NPOや民間の方々に集まっていただいて、世界遺産登録後の活用のあり方について意見交換をしようと準備を進めています。そのときに参考までに知事の考え方を披露することによってNPOの人たちのするべきことが見えてくれば、数多くのNPOの自主参加がふえてくると思います。知事、いかがでしょうか。
既に、我が国のすべての県でNPOを育成し、発展させようとすることが知事の大事な仕事になりつつあります。NPOを発展させることによって、全県民がこの世界遺産についてつながりを持った形ができると思います。県としてはどういう支援ができるのか、環境生活部長にお伺いをしたいと思います。そして、県民総出の世界遺産登録への前向きな姿勢やそのモデル県というのをこの和歌山からつくり出そうではありませんか。
さて、世界遺産に登録されるまでの事業や登録後の活用の仕方は、和歌山県が今抱えている環境問題など、深刻な状況を変えることにもつながります。その一つが、地球温暖化防止や緑の雇用事業であります。その地球温暖化防止についてでありますが、私たちのNPOの仲間が地球温暖化防止の家庭での省エネマニュアルづくりに懸命に取り組んでおります。これも、知事以下県の担当者の深い理解と協力があってこそできたものとお礼を申し上げます。来年三月には完成すると聞いておりますが、環境省のマニュアルよりもわかりやすく、我が和歌山県の実情を踏まえた、だれにでもすぐ取り組める、簡単でかつ効果のあるマニュアルです。それから見ても、県行政の姿勢一つでNPO活動の強弱に影響するのです。非常に身近で具体的な例を私は見聞しているだけに、NPOに対する理解と支援をお願いしたいのです。
話は世界遺産そのものに戻りますが、この十一月に世界遺産の合掌集落であります岐阜県の白川郷と富山県の五箇山菅沼集落の二つを調査をしてきましたが、観光客の人気が違うのであります。それについては、車が乗り入れられている白川郷より車の入らない菅沼集落の方に人気があることを肌で感じてきました。少なくとも世界遺産周辺は車の乗り入れ禁止を徹底すること等、宗教性の高い高野・熊野の世界遺産を排ガス、騒音から守り、それから先は自分の足で歩く、ゆったりとした気持ちで見てもらえる場所づくりをすること、つまり自動車社会からの決別をすることによってそれが一つのこの地域の特色となり、世界に宣伝されるということを考えたらどうでしょうか。それが一つの人気の場所になるかもしれませんし、和歌山県の顔になるだろうと思います。
現在は、便利でなく、時間をかけて回ることが売り物になる時代であることをよく考えるべきだと私は思います。そういう価値観の転換、そういうものを世界遺産の売り物にすることが旅行客をふやすことになるのではないでしょうか。またさらに、登録地域における環境政策についても、住民の意識啓発も含め、より積極的に進めるべきではないでしょうか。関係部長の答弁をお願いしたいと思います。
もう一つ、十一月に、知事の実績であります緑の雇用事業で中辺路町に都会から来ている人たちと話し合いを持ちました。この人たちは和歌山を気に入り、できれば定住したいと考えています。しかし彼らは、この緑の雇用事業の契約が切れたら仕事がないのではと、将来を大変心配しています。一方、中辺路町では、世界遺産の景観にふさわしい高原や近野集落の棚田の荒廃が大きな課題となっております。緑の雇用事業で都市から来ている人たちの中には、こうした遊休地を利用して農業をやりつつ地域に定住したいと考えている人も多いのであります。緑の雇用事業は一定の期限がありますが、世界遺産にかかわる仕事は永久に続きます。世界遺産に関してのこうした仕事雇用の実現についてぜひ支援をしていただき、彼らを優先的に働けるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。農林水産部長にお伺いをしたいと思います。
このようなことに県が積極的に支援をしていくことで、三重県のようなアクションプログラムに負けない、和歌山独自の、例えば雇用促進ということを中心に絞ったプランを考えてみたらどうでしょうか。
また、こんなことも知事、考えてみてはどうでしょうか。私は、来年の登録の日を県民全体で記憶してもらうために、世界遺産を使い、後世の県民に継承していく上で、この登録日を和歌山県の一つの環境のシンボルの日にしてみたらどうかと思います。知事も、そのあたりは同様なはずだと思います。
そこで、知事に要望があります。知事にはその姿勢を、平成十六年度の予算編成の中で強力に中身について努力をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。私がこの十二月議会で質問をするのも、今が平成十六年度当初予算編成のタイムリミットだと思い、質問をしているのであります。
そこで、私としては登録に関するさまざまな不明なところがありますので、幾つかの質問をいたします。
例えば、来年の登録記念事業として、三重、奈良、和歌山の三県の統一した事業を行うようですが、その内容はどんなものなのでしょうか。そして、その費用の分担はどうなっていますか。企画部長にお伺いします。
一説によると、その支払いの割合もさることながら、関係市町村に対してその費用を分担させるということですが、本当でしょうか。もっと相談をして県から格段の支援の努力をすること、これこそ県が支援をする対策として最高に県民から喜ばれる投資であると思いますが、いかがでしょうか。この環境関係の投資というものは、必ず元金はもとよりその利子が返ってくると思います。県が世界遺産登録元年として率先して先行投資をすることが大事だと思います。
今、私が強調したことは、次のことを聞いていただければと思います。それでは具体例を申し上げます。
十月に調査に行った白神山地の千八百人の小さな西目屋村では、登録される前は約三万人の観光客が、今では五十万人を超える観光客でにぎわっています。しかも、雪が多いため半年間だけの数字であります。そのことによって新しい産業や雇用ができ、物産販売施設や宿泊施設を経営する公社では、役場の職員数六十人を上回る百人近い雇用を実現しています。そして、その公社でつくった観光関連施設では、平成十四年度実績では年間四億三千万円の売り上げを出しています。地元の担当者も村民も、世界遺産に感謝をし、地元に誇りを持つようになったと言われておりました。
また、細かい数字をあえて申し上げますと、世界遺産の屋久島や白川郷も現地調査をしました。私なりに調べたところを申し上げますと、立地条件は違いますが、日本の白川郷は平成七年に登録されて六三%の観光客の増加となっています。屋久島では、平成五年に登録されて三六%の増加となっています。この二つの観光客の増加率は、平均すれば約四五%の増であります。少しオーバーですが、我が和歌山県全体の観光客数に当てはめると、平成十四年の実績は、日帰り客は二千四百七十万一千六人、宿泊客は五百四十七万七千三百一人、この数字に四五%を掛けると、県内に落とすお金は三千六百五十六億一千四百五十四万四千二百九十円となり、登録される前よりも千百三十五億円の増となります。そして、県税として上がる税収は約三十七億円の額になります。平成十五年度の県予算は、一般会計当初予算で五千八百二十九億円であります。三十七億円という額はばかにならないお金であると思います。
屋久島の鹿児島県では、当初、啓発事業や戦略プロジェクト事業に五億四千万円の先行投資を行いました。三重県では、登録を中心に行っています教育委員会や観光部局を除いた企画部の世界遺産関係だけで、平成十五年度は約五千五百万円、平成十六年度は約一億五千万円を予定しており、また平成十八年四月完成予定の熊野古道センターは別枠で二十億円が予定をされています。我が和歌山県は、教育委員会や観光部局を除いた事業の予算は、ここ二、三年を見ますと、ほとんどありません。登録関係の教育委員会予算を参考に申し上げますと、平成十二年から平成十五年度の合計で一億二千六百六十一万八千円です。むしろ県の方が率先をして投資をすることが大事であると思います。なぜならば、永久にお客を呼ぶための財産になると私は思います。したがって、いろんなところに先行投資をしてほしいのであります。来年度からは予算編成について世界遺産にウエートを置いてほしいのであります。それに対しては、県民はもちろんのこと、周りで反対、非難する人はいないと思います。
私たちの日本の世界遺産に登録されているのは今現在で十一カ所ありますが、この和歌山が観光立県日本の先駆けとなるよう率先して、お金の面でも、組織の面でも、人材の面でも、先頭に立ってもらいたいのであります。市町村サミットの中でも、語り部養成、非常に細かな表示、外国人でも満足するトイレなど、切実な要望が出てきました。
例えば、標識を五つの国の文字で書いたら、一基十五万円かかるそうであります。世界遺産に登録される熊野古道沿線には標識を必要とする箇所がたくさんあり、多額な費用もかかると思います。また、観光客が楽しみにしています熊野古道案内板つきスタンプ台をつくれば、一基二十万円かかると言われています。例えば中辺路町では、十二基要るので約二百四十万円必要であります。これらは登録自治体だけに負担を強いるのではなくて、県全体の観光収入に反映されることからも、県が率先をして支出をしてもいいのではないでしょうか。世界遺産を後世に引き渡すためにも環境ということに力を入れて対処することが登録に対する県の意気込みだと思いますが、いかがでしょうか。
簡易トイレについては、これは永久的に使わなくてはならないものであります。自治体では財政の厳しいところは県が予備費のところから貸し出すという英断も必要なのではないでしょうか。これらも含めて、県が先行投資をしていくことを考えていくべきだと思います。
世界遺産の市町村に対するお金はむだ金ではない、必ず県に還元されるのであります。県全体に流れる血のように動き回って、そこに利益をもたらすお金だと思います。そして、県民が生き生きと世界遺産に関心と大切にする気持ち、誇りが広がると思います。つまり、善循環というものが広がると思います。なおかつ、このことが永久に続く財源になるのであります。それが知事としての世界遺産に対するポリシーにもなります。つまり、あの県は何が売り物なのかといったときに、世界遺産だけではなくて、必要なものにはお金をつぎ込んでそれを復元するという思想がこの県にはある、これによって観光客も安心して和歌山を訪れると私は思います。こういう考え方に対していかがでしょうか。企画部長にお伺いをしたいと思います。
それからもう一つですが、三重県の場合は北川前知事がいろんなところに顔を出し、パブリシティーをされていたと聞きます。この回数が多いことによって県民は世界遺産というものが自分たちの身近になったと聞きます。それに対して和歌山県民の関心はまだまだ薄いのであります。今からでもいろんなところに顔を出してほしいのであります。これは提案ですが、知事自身も歩かれていると思いますが、世界遺産のところを全部歩いてもらいたい。そして、知事が歩くときには県の担当者も歩き、それを実行してほしいのであります。歩くことによって県民に対する大きな説得力になると私は思います。歩くことによって、世界遺産について県民の意識、登録されることによる誇りが県民の間にわいてくればしめたものであります。そして、知事ご自身の目と肌で見ていただきたいのであります。直接観光客のつもりで回ってもらいたい。どういうことをすれば外国の人たちが心地よい旅ができるのか、それなりに体験することによってどこに何をすればよいのか、市町村からの提案に即決断ができると思います。さらに、知事がこれだけ熱心だということで、県民に大変な影響力があるでしょう。あらゆる機会にパブリシティーをするということは、県民のためだけではなく、外国あるいは隣国に対する世界遺産登録の存在感になると私は思います。
小泉総理が外国客を呼ぶためにテレビCMに出ることが報道されておりました。総理でさえ観光のために出るのですから、木村知事も負けないで頑張ってほしいと思います。いかがでしょうか。
最後の一つになりましたが、来年の登録されるときの県独自のセレモニーについてであります。
一過性のセレモニーはもう必要ではないと私は思います。県民の皆さんがよく理解をし、世界遺産の意義を後世に伝えていくような行政の努力をしていただきたいと思います。例えば三重県では、熊野古道を題材にした児童劇の劇団をつくり、県内はもちろん全国の学校を回って全国発信を企画しています。予算は来年度から二カ年で実施合計二千四百万円が計上される予定で、三重県は将来を担う子供たちに焦点を当てています。
我が和歌山県でも、小学校での世界遺産教育は大変大事であり、世界遺産地域を歩いてみる授業など積極的に取り組まれたいと思いますが、いかがでしょうか。教育長にお伺いをしたいと思います。
また、県民に対してはテレビや「県民だより」の中で世界遺産シリーズを始めるべきだと思います。登録される意義や、この和歌山は世界遺産によってどう変わろうとするのか、そういったことを県民の意識を高めるためにも企画をすべきだと思いますが、知事、いかがでしょうか。
以上申し上げてきましたが、県民の士気を高めるためにも、県民に自信を持たせるためにも、世界じゅうの観光客にすばらしいと言わせるためにも、知事が率先をして努力をしてほしいと思います。富士山が日本の顔ではなく、高野・熊野の太古からある大自然が本当の日本の顔だと示すためにも知事が先頭に立って、全県民がこの世界遺産を守っていこうではありませんか。このことを申し上げ、一般質問を終わりたいと思います。
ご清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 本当に世界遺産に対するさまざまな貴重なご提言を私も自席でじっくりと聞かせていただきました。
実は世界遺産につきましては、これ登録するということは和歌山県が決めれることじゃないんで、この登録事務については、先ほどから三重県がようやっているという話が出ましたけど、三重県がということじゃないけど、和歌山が八五%ぐらいやって、あとの一五%ぐらいを三重県と奈良県がやってきたというのが本当のところなんです。教育委員会を中心にもう職員が、はっきり言ってあと一年か二年ぐらいかかる予定だったのをぐっと縮めてここまで持ってきたんで、相当無理をして来ているということなんで、我々の関心は、そういうふうな中で最後までつつがなく指定が受けれるようになるかどうかということがもう私の一番の関心事であったわけで。この間も、尾崎議長を団長とする団に、もう本当にこれは実質的に僕もすがるように頼んだんです。何とかユネスコへ行って事務総長に会って最後のだめを押してきてほしいというふうな話をして、かなりいい方向へ来たというふうにあれしてるんで喜んでるんですけど。
そういう中で、ちょっとなった場合の取り組みについて手薄だろうというご指摘があるのは、これは僕は否めないことだろうと思います。そしてまあそれでいいことだと思わないんですけども、文部科学省の方からも、あんまり早々と騒いだらあかんようになるから余り騒がないでくれというような、実はあれもあったというのも、これ本当のことなんです。
そういうふうな中でいろいろ取り組みを進めてきたわけですけども、今議員が、自分たちの力で白浜でそういうふうなサミットを開いて皆の関心を大いに盛り上げていただいたこととか、本当に僕はこれは有意義なことだと思いますし、その中で保全の基本計画をつくろうとか、それから標識を統一していこうとか、それからいろいろな案内する人を日本語のみならず外国人の方にもお願いしてやっていこうと、本当にこういうのはもう基本的なことだろうと思います。
それから、トイレです。私もよく歩くんですけども、トイレがないというふうなところが多くて──実は前に大雲取越えしたときに、これはトイレの話じゃないんですが、昔平安時代には海が見えたという名所だったところが木が茂っていて、これは困るということで早速言いましたところ、大阪の方の山持ちの人がそれに応じて木を切らせてくれて、それで今は海が見えるようになって非常にいい場所になっていると。先ほど言われた、私なんかがじかに歩いていろんな問題を見ていくのが必要だというのも、まさにそういうところに僕はあるんじゃないかというふうに思っています。
いずれにせよ、こういうふうなことについては県だけが旗振りをしてもうまくいきません。先ほど、私自身も、せっかくこういうふうな高野・熊野が世界遺産の登録になったら、四国八十八カ所みたいにみんなが集印帳みたいなのを押して回れるような仕組みをつくれば、一気に行けないから何回も行こうというふうな感じになって非常にいいと思うんですけれども、実はこの間、私が自分でちょっと歩いたときに、熊野博のときにつくったスタンプを押すところを見てみたら、大分お金をかけてつくったはずなのに今ではもう風雨にさらされて、もうだれも維持する人がなくなっていると。相当お金をかけたはずですけども、そういうふうになる。やはりこれは、地元の人たちが自分たちのものとしてそういうものを守っていくというふうな姿勢がなかったら、よくなることはまずないと思います。今度の場合、世界遺産の登録は今までのところと違って、きのうもご答弁申し上げたように、単体を指定するんじゃなくて、もう紀伊半島のほとんどの部分というか非常に大きな部分ということになってきますので、そういう意味でも住民の人の理解とNPOの方なんかの大活躍というふうなことについては非常に大事だと思います。
それから、雇用の場として緑の雇用とこの世界遺産を結びつけていくという視点も、非常に大事なことだと思います。
今のお話の中で、世界遺産に登録されたあるところが、三万人の観光客が五十万人になったという話を聞いて、ああ、これはもっとやらないかんなと、非常に勇気百倍になったというようなこともあります。ただやっぱり、魅力があるからお客さんが来るんで、指定されたから来るというわけのものでもないと思いますので、この魅力づくりについて県として思い切り取り組んでいきたいと思いますし、私の基本的な感覚は、お金を使わずにできるだけ和歌山へお客さんが来てほしいということで始めたことなんですけども、余りけちっていても、使うところはやっぱり使っていかないといかんというふうなこともありますので、そのあたりも皆さんとよく協議しながら対応していきたいと、このように思っています。私自身も、パブリシティーでいろんなところへ行きます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 世界遺産に関連しての語り部、ガイド育成、研修についてでございますが、高野・熊野世界遺産の登録は本県の観光にとっては千載一遇のチャンスととらまえておりまして、現在、大型観光キャンペーンあるいは観光基盤整備等の作業を進めているところでございます。
議員ご指摘の熊野古道、高野山町石道を案内する語り部やガイドの養成につきましては、今年度は技術向上を目的とした研修を中辺路町と海南市で開催いたしましたが、今後ますます増加が予想される語り部の需要に応じていくために、新たに育成する講座を地元と協働して開催してまいりたいと考えております。
また、外国人観光客に対応する通訳ボランティアの研修を実施するとともに、需要の動向をも見ながら外国人観光客に対する受け入れ体制の充実に向けて国や関係機関とも連携をしてまいりたいと考えております。
今後も地元と協議しながら、語り部やガイドの窓口の一本化等も含め、来訪者の視点に立った受け入れ体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 知事公室長小佐田昌計君。
〔小佐田昌計君、登壇〕
○知事公室長(小佐田昌計君) 姉妹道提携の有効活用についてでございますが、姉妹道提携しておるガリシア州とはいろんな形で交流を深めていきたいと考えております。
姉妹交流を生かしたPR活動につきましては、現在、スペインのラジオ局に働きかけ、熊野古道を中心とした高野・熊野の魅力を近々紹介していただけるよう努力しているところでありまして、また世界遺産を題材にした両県州の子供たちによる絵画展を相互に開催する予定でございます。
加えて、ヨーロッパに向けては、ことし七月にはフランスの自治体幹部を招聘し、高野・熊野地域を案内し、そのすばらしさを体験していただきました。
また、高野・熊野の多面的な魅力を内外に伝えるため、オランダ、イタリアの写真家に、この秋、和歌山県のよさを撮影していただき、その写真展を来年フランスのリール、バレンシエンヌ、イタリアのジェノバの三都市で開催することとしてございます。さらに、自治体国際化協会パリ事務所、ロンドン事務所を通じてヨーロッパ各国へPRを働きかけてまいります。
今後とも、姉妹道提携を通じた交流を一層深めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 世界遺産の活用についての三項目のご質問にお答えいたします。
初めに南紀熊野二十一協議会の解散についてでございますが、南紀熊野二十一協議会は、平成十一年に開催いたしました南紀熊野体験博の理念を継承することを目的に、当初から三年間に活動期間を限定して設置したもので、平成十四年度末をもって解散いたしました。この間の熊野古道ウオーク、ガイドボランティアの交流会や研修会の開催を初めとする協議会の活動によって熊野古道を広くアピールすることができたものと考えております。
県としましては、協議会の取り組みが地域に引き継がれていくことを期待するものでございますが、世界遺産の保全・活用に向けた取り組みを進めるに当たっても、地元市町を初め民間団体等が連携した主体的な活動が大切なことから、今後の組織づくりなどについて検討を行ってまいります。
次に世界遺産に関するNPOについてでございますが、今後、世界遺産を良好な状態で保全し、来訪者の方々に気持ちよく世界遺産を体験していただくためには、古道のパトロール、周辺環境の保全、また語り部などによる案内等についてNPOを初めとする民間団体の果たす役割は大変重要と考えておりまして、繰り返しにもなりますが、これらの方々と協働して取り組みを進めていくことが重要と考えております。
次に、世界遺産地域での環境政策の展開とそれを特色にということにつきましては、現在、高野山の交通を考える協議会を設置しまして、世界遺産の地にふさわしい交通方策の一つとして高野山への自動車の乗り入れ規制についても検討を行っております。高野山には自動車の乗り入れを規制してでも守る価値のある歴史や静寂があり、こうした取り組みが実現されれば環境に配慮した世界遺産として大きな特色になるものと考えております。
一方、自動車の乗り入れ規制の実現には、ハード整備など解決すべき課題があり、また地元住民の方々の生活や商店の営業等と密接に関連するために、地元としての考え方をまずまとめていただくことが必要と考えております。
次に、世界遺産の予算についての二項目のご質問にお答えいたします。
初めに三重県、奈良県との共同事業についてですが、国内外に紀伊山地の霊場と参詣道の魅力を発信するため、大阪で国際シンポジウム、また東京、名古屋、大阪三都市において紀伊山地の霊場と参詣道展の開催を予定しています。
登録を機に実施するこれらの催しは、関係市町にとっても、みずからが有する資産や自然、文化財をPRする絶好の機会であることから、開催に当たっての応分のご負担をお願いしているところでございます。
次に先行投資、登録自治体への支援についてでございますが、世界遺産を良好な状態で保全していくとともに来訪者がスムーズに世界遺産を体験するため、道標、案内板、トイレなど基本的なインフラの整備を進めることは大変重要なことだと認識いたしておりまして、またそのような取り組みによって来訪者も増加し、ひいては地域の振興につながっていくものと考えております。
このような考えのもとに、関係部局において、市町が行う案内板、道標などの標識や沿道のトイレ、休憩施設などの整備を支援すべく整備計画として取りまとめ、国に対しても要望を行っているところでございまして、全庁的な連携のもと支援を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 世界遺産に関してのNPOに対する支援についてでございますが、NPOの持つアイデアとノウハウを活用してさまざまな事業を展開していただく企画提案事業やNPOの立ち上がりを支援する環境活動スタートアップ支援事業、及び振興局が実施しております地域・ひと・まちづくり事業等の支援メニューがございます。これらの事業にさらに工夫を加えまして対応してまいりたいと考えております。
また、世界遺産登録を契機に、さまざまな分野で活動の盛り上がりが予想されます。さらに新しい取り組みも期待されるところであります。そうした活動に対しまして、庁内各部局の協力を得ながら支援の方策を検討してまいりたいと考えております。
次に登録自治体の環境政策についてでございますが、環境保全や環境に対する啓発につきましては、大変重要なことと認識しております。世界遺産にふさわしい環境保全が図れるよう、関係市町村とも密接に連携しながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上です。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 世界遺産に関しての雇用の促進の実現と緑の雇用事業についてでございます。
緑の雇用事業では、古道周辺での森林環境整備などの森林作業に従事しながら、また米、野菜などをつくりながら、また家畜を飼いながらといった、いわゆるながら所得での定住を進めているところでございます。
過疎山村地域、いわゆる山里においては、小規模であっても農業へのかかわりは欠かせないものと考えております。議員ご提言のとおり、世界遺産登録をビジネスチャンスととらえて棚田などの遊休農地の活用などで地域での暮らしを支援してまいるとともに、景観の保全に結びつけてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校における世界遺産についての学習についてでございます。
議員ご指摘のとおり、小学校で世界遺産を題材として授業などに取り入れることは大変大切であると考えております。
このほど、三重県、奈良県と三県の共同プロジェクトといたしまして、紀伊半島の霊場と参詣道を紹介した学習のためのCD-ROMの教材を作成したところでございます。これを積極的に活用してまいりたいと考えています。
このほか、白浜町の小学校では学校独自に、校外学習として「秋の文化遺産を訪ねる」をテーマに、牛馬童子から近露王子までの熊野古道を自分たちの足で歩くことにより和歌山の歴史について深く理解する活動などを行っております。各学校におきましても、和歌山の豊かな自然や歴史、文化など、地域から学ぶさまざまな活動を実施しているところであります。
今後、世界遺産に関する学習を初めとして、和歌山県のすばらしさを実感できるような教育活動をより一層推進するよう努めてまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 ご答弁、ありがとうございました。
まず、知事の方からもご答弁いただきましたけども、私も登録に関しては、これ、和歌山県の世界遺産登録推進室、辻林室長を初め、本当に知事以下教育長一生懸命されておると、このことについては本当に感謝をしております。
まあ誤解をされたら困りますけども、私は本当にそれは感謝しておるんです。ところが、三重県へ行っても、そしてほかのところを見ましても、やはり登録と並行しながら、その活用をどうしていくんか、その条件整備をどのようにしていくんかということを早くやっているところが、いろんな面で観光客を誘致しておるということを肌で感じてきましたし、そのことを言いたかったわけであります。
文部科学省がどんなことを言いやるか、ちょっと私もわかりませんけども、ぜひとも並行してやっぱりやっていってほしいというのが私の願いです。まあ来年秋には県の大型観光キャンペーンもありますし、そこらの受け入れ体制も世界遺産をにらんでのことだと思いますし、よろしくお願いをしたいと思うんです。
そこで、答弁を聞きながら私感じたのは、やっぱり受け入れの中で、とりわけ外国人観光客、この方々にどう安心して来てもらえるかという中で、この通訳の問題です。通訳は、先ほどちょっと抽象的な答弁いただきましたけども、高野山の方は、聞きますと、やっぱりきちっとした体制ができておると。ただ、法律上は、通訳ガイドというのは資格でありますから、資格を持ってなかったらお金をとれんと。先ほど、私、カナダ人の例を言いましたけども、あの方々が通訳をしながら、ガイドをしながら、お金がもらえて生活ができてここに住んで熊野古道を売っていきたいという願いから言えば、今の制度ではちょっと──この資格を取らなくてはならんと、こんな問題になってきます。ここらについては、小泉さんも一千万人日本へ来てもらうんだという一つのキャンペーンを張り出しましたから、国の法律改正もやっぱり早くやってほしい、規制緩和をしてほしいと思いますけども、それにも増して和歌山モデルというんですか、例えば「パトロール隊」という名称にしてそういった和歌山条例をつくって、英語でしゃべれる人、中国語をしゃべれる人がパトロール隊をしながら案内をしていくと。こういったものをNPOに委託をしていくとか、そんな何か制度が、和歌山方式ができんかひとつ研究をしていただきたいと。それを早急にお願いをしたいなと思います。
それと、いろんな姉妹都市等があります。私が調べた限りでは、県内、さらには在外和歌山県人会、さらには県内の市町村の関係で、重複せん限り、私が間違いなかったら二十五ぐらいあるんです。二十五ぐらいの国々と姉妹交流やってます。ここの国々といろいろ人事交流をしながら、そういう、通訳ガイドだけやなしに、その人たちが中心になって世界へPRしていってもらうというようなこともお願いをしたいなと思います。
さらに、聞きますと、語学指導等外国青年招致事業というのがあるんです。これ今、九十名あるらしいんですけども、先ほど申しました外国で、学校で外国語の活動の指導のできる方、これが八十五名。そして、国際交流員ということは地域で国際交流を深めていく方が五名と聞いております。県では今三名持ってると聞いております。先ほど申しましたような方々については、こういった国際交流員の枠をもうちょっと広げてもらって、その仕事の内容も広げてもらって、世界遺産に焦点をにらんだ、そういった採用等もお願いできんだろうかと要望しておきたいと思います。
もう一つ、世界遺産教育でありますけども、具体的に和歌山県が取り組まれておりますことを聞きました。できれば毎日の、十五分間でもいいです、ホームルームでもいいですし、そういった世界遺産教育を義務化というんですか、そんなものにしていったらもっと広がっていくんではないかと思っております。
私、屋久島へ行ってきましたときに一番感動したのは、屋久島の方々がこう説明してくれました。昔は集団就職で大体東京へ行っとったらしいんです。そしてそこで、東京で働いておったら「君はどっから来たんかえ」と言われたから、「屋久島」とよう言わなんだと。「鹿児島県から来ました」と。今は世界遺産になって、そしていろんなUターン、Iターン現象も起こって、胸を張って「屋久島出身です」と今言っておると。こんなことを言われましたけども、恐らくこの世界遺産がこの高野・熊野がなれば、そういった教育が進められれば、本当の学校の教科書ではなくって、もうしんからそういう誇りが持てる、感謝が持てる、そんな教育ができるんではないかと思いますんで、よろしくお願いいたします。
最後に、きょうも、先ほど冒頭で申しましたように、この世界遺産を活用して、どういったいろんな町おこし、どういった観光おこし、ふるさとづくりしていけるんかということで来てもらっております。その中に、例えば大塔村というのは世界遺産登録地域ではございませんけども、この機会に大塔村の若い衆も頑張っていかなあかんということで、今、世界遺産のプロジェクトを立ち上げておられます。そして、できれば世界遺産登録の来年の六月、七月までに世界の国々の世界遺産地域の物産を全部あそこの大塔村の河原に集めて世界遺産のフリーマーケットをやりたいと、そういう一つの名所にしていきたいという町おこしも考えておられます。そういったいろんな活動を今後とも県の方で支えていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時二十八分休憩
─────────────────────
午後一時三分再開
○副議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
十八番山下大輔君。
〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。
まず初めに、この十月の十九日ご逝去されました故大原康男議員のご冥福を心からお祈り申し上げます。
思えば、過去、大原議員を初めとして多くの先人が、この和歌山という地域をさまざまな苦難を乗り越えて導いてこられたのだと思います。その過去からのつながりの中で、今私たちも議員活動をさせていただいていて、その重みをしっかりと受けとめて頑張っていかなくてはならないんだと思います。
今、過去からのつながりといった視点を見て、改めて今の時代というものを考えたときに、二つの点で大きく時代は変わっていっているんだと思います。一つは人口の問題、一つは経済・財政の条件について。これは、知事も日ごろからおっしゃられていることですし、昨日の一般質問で浦口議員の方からもその熱弁で人口問題について語られたところでありますが、今、私たちのこの国というのは、これまでに経験したことのない世界に足を踏み入れようとしている。人口がこれまではずっと右肩上がりやったと。戦争、疫病、自然災害、飢饉、そういった特別な事情のない限り減ることはなかった。それが、これから、いろんな統計資料を見ても、二〇〇七年をピークとして日本の人口というのは減り続けていく。そういうだれもが経験したことのないような時代に足を踏み入れようとしている。そんな中では、この例えば和歌山県政においても、これまでのやり方、これまでの常識といったものにとらわれずに勇気を持って行動していくことが必要とされているんだと思います。
今、これまでのその先人の努力を無にしないためにも、これからの子供たち、未来の和歌山県民のためにも、ここが踏ん張りどころだという思いを持って、私自身、今回も三つの点について質問をさせていただきたいと思いますので、ぜひ当局の皆様におかれましては誠意あるご答弁をよろしくお願いいたします。
まず初めに、中小事業者の抜本的な支援策として、中小企業振興公社の整備についてお尋ねいたします。
現在の中小事業者は、大変です。規制緩和、従来からの系列商法の崩壊、消費者ニーズの変化、労働時間の短縮、国際化など、さまざまな要因により大きな影響を受けていて、事業活動の再検討を迫られています。しかしながら、中小の事業者は一般的に規模が小さく、人的余裕もなく、情報も不足している上に、目の前の仕事に追われて、じっくりと立ちどまって考える時間もない。惰性と言ってしまうと少し厳しいかもしれませんが、どうしても日々の業務に追われた流された経営になり、結果として非常に厳しい状況に追い込まれています。
残念ながら、この和歌山県でも、倒産、夜逃げ、最悪の場合はみずからの命を絶ってしまうといった悲惨な例も身近な話となってしまっています。私自身も、実家が学習塾を経営していて、まさに中小事業を営む家庭に育ってきて、その厳しい現実は身につまされて感じているところです。
そういった中で、市議会議員当時から、地域経済の基盤となる中小企業対策というのは重要な課題であり、どうすれば活気を取り戻すことができるのか、懸命に考えてきました。さまざまな業種ごとのアンケートの結果を調べたり、実際に仕事の現場に入り直接お話を聞かせてもらうなどしてくる中で、結果、事業者の方から出てくる声は大きく二つに集約されることに気づきました。
それは、ここのパネルにちょっと書いてるんですけれども(パネルを示す)、まず第一番目にお金の工面、資金繰りの問題、これはもうよく言われることだと思います。この二点目が実は私自身ポイントだと思っているんですけれども、「何かええ話はないか」と。これは実はもう単純な話で、皆さんもこれは聞きなれた言葉だと思いますけれども、その中で私が特に注目するのはこの二点目の「何かええ話はないか」といった声についてです。これはある意味ではあいさつ言葉にもなっている聞きなれた言葉で、ややもすると簡単に聞き流してしまいがちです。しかし、実はこの「何かええ話はないか」といった声の中にこそ、今の日本の中小企業者が抱える大きな課題が隠されているんだと思います。
この言葉を言いかえてみると、厳しい経営環境において新たなビジネスチャンスにつながるちょっとしたヒント、アドバイスはないか。自分の持っている技術、製品、サービスといったものを高く売っていくよい方法はないものか。他の事業者と連携・協力するよい機会はないか。つまり、自分が進める事業の経営内容について適切なコンサルティングを受けたいといった心の声が置きかえられて「何かええ話はないか」になっているんだと私は考えます。
これまでは、日本の村社会的社会構造、系列化が進んだ経済構造などが機能して、それなりにうまくいっていました。しかし、そのシステムが崩壊し、囲い込みを解かれた中小事業者の熾烈な競争世界があらわれる中では、大きな転換点を迎えることになっています。この転機を乗り越えていくためには、行政は単なる資金需要にこたえる助成・優遇・保護政策ではなく──資金需要に対しての要望も多いですから、これにもしっかりこたえていかないかん。でも、それだけではなくて、本質的な部分として経営を強くする、その改善につなげるサポート、いわゆる経営のコンサルティングに力を入れるべきであり、今こそ個々に質の高いコンサルティングを受けられる環境整備に積極的に取り組むことが望まれます。
そういった中、今県でこのような経営革新を進めるためのコンサルティング業務を引き受ける機関として、中小企業振興公社があります。中小企業振興公社の設置されている根拠法としては中小企業支援法、また新事業創出促進法などであり、この組織は利用者の立場に立ったワンストップ体制の確立を目指し、地域における中小事業者の総合的支援機関として位置づけられています。しかし、残念ながら、和歌山県では十分に対応し切れていないのが実情のようです。
それぞれの都道府県で同じような組織が存在していますが、しかし、今その取り組みの中身について大きな格差が生まれようとしています。そもそも各府県で中小企業振興公社が設立されたのは昭和四十年代半ばであり、それから試行錯誤、行政のスリム化にかなった整理・統合を進めるなど、産みの苦しみを何度も経験して多くの府県では今の時代に合った新しい組織体制を再構築しています。
例えば石川県では、石川県産業振興基金協会石川トライアルセンターと石川県中小企業情報センター、また石川県創造的企業支援財団、そしてこの平成十五年四月一日からは石川県中小企業振興協会がすべて統合され、財団法人石川県産業創出支援機構がつくられています。また三重県では、奥田碩トヨタ自動車取締役会長をトップとして財団法人三重県産業支援センターを立ち上げており、岐阜県では、岐阜県中小企業振興公社と岐阜県産業経済研究センターを統合し財団法人岐阜県産業経済振興センターが設置され、また京都では、二〇〇一年四月に京都府中小企業振興公社と京都産業情報センター、それと京都産業技術振興財団が統合して財団法人京都産業二一が誕生しています。
これらは全国的に見て興味深い例としてご紹介させていただいたのですが、ここでお気づきかと思いますが、今挙げたものの中で組織名称が「中小企業振興公社」という名前を残すところは一つもありません。名前がすべてだとは言いませんが、やはり名は体をあらわします。この近畿圏でもここ五年ぐらいの間で関連の機関の統廃合が一気に進み、「中小企業振興公社」の名を残しているのは、もはや和歌山県だけとなっています。
和歌山県としても、概念としては「らいぽ」などさまざまな新しい取り組みのイメージは掲げられていますが、しかし、具体的な行動、実践の部分を見る中では、残念ながら取り組みのおくれた地域と言わざるを得ません。
そんな中、私なりに全国の資料に目を通し、どの地域の取り組みが一番すぐれているのかを比較検討してみた中で、新潟県の事例が一番参考になると感じ、何とか和歌山を元気にしたい、その思いを胸に新潟まで行ってきました。
「にいがた産業創造機構」、通称「NICO(ニコ)」は、新潟県中小企業振興公社と新潟県生活文化創造産業振興協会が統合され、また新潟県工業技術総合研究所の事業を移管・委託し、組織体制や機能を拡充・集中させて生まれています。また、あわせて行政本体との整合としても、新潟県産業労働部で県が実施している中小企業支援事業のうち、直接に創業、経営革新にかかわる部分、またベンチャー企業に対して行う事業等はこのにいがた産業創造機構にすべて移管し、より効率的、効果的な実施を図っています。
このように、にいがた産業創造機構は、実質的には新潟県における中小企業支援の唯一の拠点として、さまざまな分野、業種の取り組みを的確に支援していく実働機関として機能しています。実際にその現場に行ってみて、少なくとも和歌山県の実情よりは数年進んだ取り組みをしていると感じました。
お手元に新潟のパンフレットのコピーをお配りさせていただいていますので、少し見ていただきたいと思います。組織の目的、理念などといったものについては、これはどことも同じようなものを掲げていますが、問題はその目的、理念をどのようにして実現していくか。実現に向けては特に人、人員の問題が大きいと私は考えます。
このパンフレットの中、最後のところでどういったスタッフによってこの組織が運営されているかというのを少し紹介されていますけれども、その人の問題が大きい。これは資料からも一目瞭然だと思いますが、和歌山県の公社とは大きな差のあるものとなっています。この新潟の組織では、さまざまな分野の第一線で活躍する民間人を数多く配置し、県から出向している行政職員と一緒になって、あくまでなれ合いでなく、地域の再建に徹底して取り組み、成果を上げてきています。にいがた産業創造機構では、行政出身の田中ディレクター、民間出身の柴田マネージャーにそれぞれ直接お話を伺ってきました。
まず田中ディレクターは、「脱行政文化を目指す組織風土をつくることに努力している」と、開口一番言われました。田中さんいわく、「今、私たちは、中小事業者の方にとって最高の相談者となるための徹底した環境整備に取り組んでいる。それは行政でありがちな机上の論理で組み立てられたものではなく、あくまで市場・マーケット優先主義を貫き、そのためにも市場へのアクセスを確保するために民間人のすぐれたノウハウがどうしても必要となり、できるだけ民間からの有能な人材の登用を試みた。第一線で活躍してきた人をいろんな人脈をたどって招聘してきて、これには苦労したが、現状ではどこの府県にも劣らないよい環境が整ったと思っている」と話してくれました。また、「この組織を使っていただく地元中小事業者の方の反応もよく、販路の拡大、経営の立て直し、事業の拡大展開など、多くの成功事例が出てきており、非常に手ごたえを感じている。私たちはあくまで民間サービスの標準以上のものを提供できる体制づくりに取り組んでいる」と、胸を張って話されていました。新潟の組織の一つの特徴として、窓口で相談に来るのを待っているのではなく、調査員みずからが歩いて地域資源の発掘に努力しているところも私自身、強く印象に残りました。
商社マンである柴田マネージャーは、「地域にはたくさん資源が眠っている。しかし、それもここ数年ほうっておいたら、もう価値のないものになってしまうでしょう。その眠っている資源を発掘するには今しかない。今、私は新潟県の優良な資産の発掘に県内をくまなく歩いて回っています。もうすぐ成果は上がってきますよ。地方の地場産業は、見方によっては宝の山ですね」と、笑って話されていました。その話しぶりからは、田中さんと同じく大きな自信を感じ、うらやましく思いました。民間人の知的資源と人的ネットワークを最大限に活用し、地域の中小事業者を強力にサポートするこの組織は、全国的にも注目を集めるものとなっています。
組織の内容、人員、開設時間などを見ても、和歌山県とは大きな隔たりがあります。スタッフ数で、新潟では八十名、和歌山は十七名です。事務所の開設時間としても、新潟では朝九時から午後七時まで、事前の申し込みがあれば午後七時以降もできるだけの対応を試みているということですが、和歌山の公社の場合は午前九時から午後五時四十五分まで。だれがこんな時間の設定で相談に行けるのでしょうか。これでは到底満足のいくサービスを提供することは難しく、「ワンストップサービス」などといった流行の言葉で表現しますが、中身を見てみると本当にお寒い状況だと思います。
ただ、私自身、実際に和歌山の公社の現場にも行き、担当の方と話をさせていただく中では、これまで以上にもっと積極的にコンサルティング業務を拡張していきたいといった思いのあることは伝わってきました。しかし、現状ではその思いとそれを実行していくための体制が余りにも乖離していることが大きな問題だと思います。今こそ、他の組織との整理・統合もしっかりと進めた上で民間からの人材の確保などももっと積極的に求めて、思い切った組織の強化策を進めていかなければいけないと、強く感じます。
そこで、知事並びに商工労働部長にお伺いいたします。
まず知事に、現状の中小事業者を取り巻く状況と直面している問題について、また新規創業者の置かれている環境と問題点、またそこで行政が果たすべき責任と役割といったものについてどのようなご認識を持たれているのか、所見を賜りたいと思います。
次に、私は県庁の外郭団体について、全体に網をかぶせた形で規模の縮小を図っていく取り組みには反対します。今の時代に必要のなくなった組織については当然廃止するなどの思い切った措置が必要で、例えば土地開発公社などはもう時代の要請がなくなっており、本来であれば当然廃止すべき組織になっていると私は考えます。しかし、逆に今の時代にこそ役割を増す組織も当然あるわけで、今回取り上げている中小企業振興公社などはまさにそのたぐいに入るものと思われますが、そこにはもっと積極的にお金も人も投入していくことが必要だと考えます。特に人員の問題は深刻で、これには和歌山に限ることなく広く全国から優秀な民間人の受け入れを図ることがぜひとも必要だと思うのですが、知事はどのようなご認識を持たれておりますでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
また、先ごろ行政組織等検討懇話会から答申が出され、今まで話してきたこの和歌山県中小企業振興公社と財団法人和歌山テクノ振興財団の統合の提案がされています。その実現の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。また、その統合を図る上では組織強化の戦略も具体的に検討しておかなくてはなりませんが、あわせて知事はどのように考えておられるのでしょうか、ご所見を賜りたいと思います。
次に、商工労働部長にお伺いいたします。
現在の中小企業振興公社について、今の時代にこそ持たなくてはならない役割、存在の意義といったものについて、また今その公社の足りない部分についてどのように考えておられるでしょうか。また、その組織の改善についてどのような取り組みを検討されているのか、お聞かせください。
あわせて、県内での経済活動をサポートする中核となる団体として商工会議所がありますが、この商工会議所とは事業内容など多くの点で中小企業振興公社と重なる部分があります。今後の対応としてその連携のあり方についてどのように考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
続きまして、二問目の質問として指定管理者制度の導入について。
ことし六月の通常国会で、指定管理者制度を導入する地方自治法の一部を改正する法律が成立し、この九月二日に施行されました。これは、公の施設の管理について、これまでは地方公共団体の出資法人などに限られていたものを民間事業者にも管理をしてもらえる制度に改めたものです。これまで公の施設の委託は第三セクターなどの出資法人や土地改良区などの公共団体、あるいは農協や自治会などの公共的団体にしか委託することができず、十分に民間の力を活用できる状況とはなっていませんでした。しかし、法改正後は指定管理者の範囲については特段の制約を設けず、議会の議決を経て指定すると、広く民間事業者への委託が可能になっています。
今回の制度では、指定管理者となった事業者は施設の使用許可を出すこともできますし、また利用料金もみずから決定することもできる。また、それをみずからの収入とすることもできることとなります。この制度の導入により、民間事業者のノウハウ、発想や経営努力を幅広く活用し、例えば、利用時間の延長、利用料金の引き下げなど、公の施設へのさまざまな県民ニーズに対してより効果的かつ効率的な対応が期待できます。あわせて、行政コストの削減、民間事業者による新たな雇用の創出など、また行財政改革の観点からは、本県の外郭団体の整理や統廃合を推進することにもつながると期待されます。
現在、和歌山県でも県が所有する施設について、県が出資する外郭団体に管理を委託している例は幾つもあると思われます。それらについては今後、民間事業者との競争という視点で厳しい目にさらされることとなります。こういった取り組みは欧米で先行されていましたが、民間と同レベルでのサービスの競争が本格的に我が国においてもこの法改正により始まることとなります。この指定管理者制度の導入につきましては、平成十五年七月十七日付の総務省自治行政局長の通知によりますと、この法律の施行後三年以内に従来の管理委託制度を採用している施設の条例を改正する必要があり、その際、公の施設の管理状況すべてについて点検をし、この新しい指定管理者制度を積極的に活用するように指摘されています。
そこで、お伺いいたしますが、管理委託制度から指定管理者制度への移行につきまして、今後、本県の考え方と、また条例等の改正及び施設の管理状況の点検などの予定につきまして具体的にお示しください。あわせて、現状で県有施設の管理において県が出資している外郭団体に委託している例はどれくらいあるのかもお聞かせいただきたいと思います。
また、この新しい指定管理者制度を導入しますと、先ほども申し上げましたように、これまで管理を委託しておりました外郭団体の整理あるいは統廃合という、外郭団体のあり方の見直しにもつながると考えます。こちらについても所見をお伺いしたいと思います。
また、知事は現在、ことしをNPO元年とすると、さまざまな場所で公言されています。今まさに、これまで行政が中心となって担ってきた公共といった概念が変化して、新しい時代の公共、公の姿というものを示していかなくてはいけない時代になっているのだと思います。知事が日ごろ言われるとおり、これからの新しい公の姿としては、民間にできるところはどんどん民間に任せて、行政でしかできないところを当然責任を持って行政が担っていく、こういった理念を明確にし、そしてその中で住民、行政、NPO、企業などといったそれぞれが役割分担をし、その役割分担の中身を明らかにしていくことが重要となります。今回の法改正、この指定管理者制度はそういった流れを加速する重要な制度だと考えます。
そこでお聞きしますが、今後、民間でできるところは民間に任せていくといった県行政の基本的な姿勢について、どういった部分まで民間に任せていけるのか、またその中で行政はどういった仕事範囲におさまっていこうとしているのか、知事が持たれておりますこれからの時代の行政像といったものについて、ご見解を賜りたいと思います。
最後に、IT総合センターの活用方法について。
今回のIT総合センター事業については、現在、さまざまな取り組みが検討されています。より以上にこの施設を生かして地域を盛り上げていくよい方法はないかと考えていた中で、福岡県北九州でおもしろい取り組みがあると紹介され、早速現地へ行ってきました。お手元の資料でもご確認いただきたいのですが、十一月の十二日から十五日の日程で行われたことしで三回目となる事業で、「ベンチャーが、新しい価値を創る、インキュベーションが世界を変える!」、国際ベンチャー・インキュベーション・フェスタin北九州、この事業の主催は財団法人九州ヒューマンメディア創造センターというところで、和歌山のIT総合センターと事業内容など似た部分を多く持っている組織です。
現地に行って感じたことは、やはり一にも二にも人の発掘。魅力ある人を世界的な視野で発掘し、キーパーソンをつくっていく、そういったことが大切だと改めて感じました。魅力ある人の交流から、さまざまな副産物が生み出されます。
今回、北九州では事業にかかわるさまざまな人をご紹介いただいたのですが、その中でも特に印象的だったのは、そのパンフレットの中にも示されておりますが、青色発光ダイオードの発明者であり次のノーベル賞候補と言われる中村修二さん。中村さんは、第一回目から参加されていて、ことしで三度目の出演となっていました。
それと、アメリカでは抜群の知名度を誇るスポーツ衣料メーカー、環境企業として名高いパタゴニアの米国本社日本担当のマーケティングディレクターでありパタゴニアジャパンの創立者である藤倉克巳さん。特にこの藤倉さんとは話が弾み、和歌山のことにいろいろと触れて話をしている中で、すぐれた自然環境を持つ地域として和歌山に非常に興味を持っていただき、来年には和歌山に来てくれるということを約束してくれました。藤倉さんは元ソニーの社員であり、若くしてマーケティング部門の責任者となられ、その後、ヘッドハンティングされて今の地位を得ています。現在は服飾流通業界のマーケティングディレクターとして知る人ぞ知るカリスマの人物であり、企業イメージ、ブランド化のスペシャリストで、世界じゅうに講演で飛び回っておられる人です。せっかく和歌山に来ていただけるということですので、ぜひIT総合センター事業においても、例えば講演、講習、企業へのアドバイスなど、何らかのかかわりを持っていただければと思っています。
さて、そういった中で、この北九州で行われている事業に関連しての提案ですが、今回私が参加させてもらった福岡・北九州で取り組まれている事業は、今もお話ししましたように、多彩なゲストが集う非常におもしろい取り組みであると思います。そこで、この北九州の事業と連動させて、九州、関西といった離れた地域ではありますが、開催時期を調整して連携イベントを実現させるといったことはできないだろうかと考えるものです。例えば、海外からゲストを招聘するとして、九州で講演、企業アドバイスを行った後で和歌山に移動してもらい同じような事業を行うなど、連携の中身としてはさまざまな方法が考えられるとは思いますが、とにかく単体で事業を行うより共同で事業を実現させるメリットは大きいと考えます。特に、海外から著名なゲストを呼ぶとなるとさまざまなチャンネルが必要となり、苦労も多く、その人選、発掘も大変です。また大きなコスト負担も問題となります。そういった中で事業を連携させて一つの事業として取り組めれば、よりよい人選、コストの分散を図ることなどが可能となります。
また、特に九州地域との連携では、関西とは経済圏も違い、同一のイベントを開催したとしてもマイナス面での干渉も少なく、また北九州はアジアビジネスの日本の拠点となっている地域でもあり、この地域との連携は和歌山県にとってアジアビジネスへの一つの大きなパイプを築くことも期待されます。この事業を計画されている小平さんというプロデューサーに連携の可能性について聞いてみたのですが、非常に興味を持っていただき、ぜひ具体的な検討を進めたいと言っていただいています。
そこで質問ですが、まず、この九州の事業に限定したものではないとして、他の地域で行われている事業と連携して共同でイベントを行っていくといったことについてどのように考えられるのか、お伺いいたします。
その上で、具体的に今回の福岡・北九州の事業と連携した共同事業の可能性について、当局のご見解をお聞かせ願いたいと思います。
次に、もう一つ、IT総合センターの持っている機能を生かした具体的な提案として、全国を対象として企業研修の拠点施設としての活用を提案させていただきたいと思います。
今回のIT総合センター事業は、あくまでもその施設だけを近視眼的に見るのではなく、周りの環境、条件といったものをできるだけ広範にとらえて、その魅力、価値といったものをうまくつくり上げていくことが大切だと考えます。そもそも、この施設の位置づけとして、事前にいただいた資料を確認すると、IT関連産業が集積するためのきっかけとなる、きっかけをつくる施設であり、IT人材の育成・供給の中核となる全国的にも類を見ない複合型IT拠点施設として整備するとされていて、基本的にはさまざまな研修機能も備わっているようです。この研修機能にリゾート環境といった付加価値をつけて、県外の企業に対して商品として売り出すことはできないかと考えるものです。
現在の日本の企業、中でも大手企業において、研修費用、特に新人研修などは、終身雇用が崩れ人の流動化が進む中ではコスト削減のポイントとなっている状況があります。また、研修メニューの中でも特にプログラミング研修などの基礎研修の部分については、今の時代ではシステムエンジニアなどが受ける特別なメニューではなく、営業職も含め多くの社員が受講を義務づけられるもので、これらについてはそれぞれの会社が独自で行うのではなく、幾つもの会社が合同で研修の専門会社と契約して行っている状況が生まれています。
そこで、例えばそういった研修専門会社が行っている集中トレーニングをこのITセンターに誘致できないか。集中研修といったものはいろんな条件が必要とされますが、その重要な要素としてリゾート環境を持っていることの価値は大いにあるようです。リゾート環境における研修専門会社による集中研修といったものは日本ではまだまだこれからの取り組みですが、欧米ではこの手の集中トレーニングは日常的に行われている状況にあります。
具体例を一つ紹介しますと、私の友人でプライスウオーターハウスクーパース(PWC)というビジネスコンサルティング会社に勤める友人がいるのですが、彼が実際に体験した研修について少し触れてみたいと思います。
彼は、二〇〇一年九月から十二月までの三カ月間、アメリカフロリダ州タンパで研修を受けています。研修の概要としては、プログラミングの基礎を習得し、その後、主にクライアントの要求に沿える一通りの技術をマスターするといった研修を受けてきたようです。この研修のポイントとしては、まず何といっても研修施設がフロリダのタンパという気候温暖なリゾート地に立地しているということです。閑静な環境に立地する研修施設でのトレーニングで、その施設からは車でビーチまで三十分、ディズニーリゾートや各種遊園地まで一時間弱、各種レクリエーション施設、バーベキューなどができる自然公園も近くにありといったような環境だったそうです。
彼にその研修の感想を聞いてみると、「研修では徹底して頭を使うので、講義及び作業は五時ぐらいに終了するようになっていて、その後は毎日のようにビーチに泳ぎに行ったりジムで汗を流したりして頭を切りかえて翌日に備えるといったスケジュールになっていた。研修におけるリゾート環境の意味は、あくまでおまけではなく、特にプログラミング研修などの場合はストレスがたまるものなので、一日に受けたストレスを翌日に持ち越さないためにもリゾート環境は必要不可欠な要素だったと思う」と話してくれました。また、「研修期間に何度か講師が引率してバーベキュー、ハイキングといったイベントも開催され、そこでも自然に恵まれた環境が近くにあるということは重要なポイントであり、また、都会ではなく閑静なリゾート地ということである程度閉鎖された状況であったために、研修に専念できるという点も大きかった」と話してくれました。
和歌山のITセンターも、よく似た条件を持っています。閑静な自然に恵まれた地域に立地する研修施設でありながら、車で三十分のところに白浜という世界にも通用するリゾートビーチを持っています。また、さまざまなレクリエーションをするための自然環境も申し分なく、疲れをいやす温泉もあり、それでいて最新鋭の研修機材も整っています。このような恵まれたさまざまな条件を持った施設であるのですから、その条件を生かして、価値の高い施設としてうまく商品化して売り出していくといった視点が非常に重要だと考えます。
そこで質問ですが、まず知事に。このIT総合センター事業は厳しい財政状況下で七十億もの巨額な投資をする事業です。正直に言って、今の時代には首をかしげる県民も少なくないのだと思います。それだけの投資をするのですから、それだけの投資をするからには、この施設が本当に有効に活用され、地域にも大きな貢献をしてもらわなくてはいけないのだと思います。私自身もそういった思いを込めて今後もこの施設の活用方法についてはさまざまな提案をしていきたいと思っていますが、そこでまず初めに、この施設にかける知事の思い、また今回の事業を通して将来にどういった夢を描かれているのか、改めてご所見を賜りたいと思います。
次に、担当部長にお尋ねいたします。
この施設が地域経済に及ぼす影響についてどのように考えておられますか。将来の見通しも含め、お聞かせください。
また、特に民間企業による利用としてどういった利用状況が見込まれると考えておられるでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
次に、このIT総合センターの活用方法の一つとして、企業の研修用施設として全国的なプロモーションをかけていくということはできないでしょうか。その可能性について、ご所見を賜りたいと思います。
また、今の時点から社員研修の専門会社との連携を模索していくことも有効な方策であると考えます。欧米に比較して徐々にではありますが、日本でも社員研修の専門会社による取り組みも活発になってきています。例えば、日本IBM系の研修サービス会社・株式会社アイセス、日本ユニシス・ラーニング株式会社、NECの人材育成と研修コンサルティングを受け持つNECシステムテクノロジー株式会社、富士通の富士通ラーニングメディアなど数多くあり、こういった会社に対して研修用施設としての利用を持ちかけていくことについて、その可能性についてどのように考えられますでしょうか。
また、大学及び研究機関との連携の可能性について、地域の大学である和歌山大学のほかに現状でどういった検討が加えられているのか。特に、大学との連携という点については、私自身、今回の質問では時間が足りなくて取りまとめることができませんでしたが、東京のある有名大学からサテライトキャンパスとしての活用、共同研究など、具体的な提案をいただいているところがあります。次の議会までには詳細を詰めてまた質問させていただきたいと思っていますが、現状における大学・研究機関との連携について具体的に検討されているところがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
最後に、この施設の管理運営について、民間の企業が管理運営する可能性はあるでしょうか。さきに質問した指定管理者制度の導入などを含め、検討されているところがあればお聞かせ願いたいと思います。
以上で、私の第一問目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 今の質問には思わず聞きほれてしまって、僕もいい勉強になりましたけども、まず第一問目の中小企業振興公社の問題です。
今、日本の国は徐々に景気はよくなりつつあります。だけどこれは、きのうも言いましたけども、デフレ下の好景気ということで、非常に大企業でいいところと、それから地方の中小企業との格差はどんどん開いてきていて、これはもう非常に大変な状況にあるわけです。和歌山県でも、非常にいい企業もあるわけですけども、やっぱり大半のところは非常に厳しい状況にあると。
そういうふうな中でこの和歌山県を少しでも元気づけていくためには、今あるものをブラッシュアップしていくということしか基本的にはないというふうな面がありまして、私もこの問題について、非常にいろんなことをやってきているんですけども、ただこの中小企業振興公社の問題については十分まだ手がついていないところがあったと思います。これ今統合の問題もあるんですけども、今新潟の例なんかも聞きましたけども、本当にやっぱり広く、今民間にたくさんのいい人がいる、こういうふうな人材を集めて、それからもう恥じることなくよその県でやっている先進的な事例の一番いいところを取ってきてやっていくというふうな形に私はしていきたいと思います。そしてまた、早くしないと、もう手を打つのに遅過ぎるというふうな形になってきますので──これは中小企業振興公社の方も一生懸命努力していると思うんです。ここ二、三年、いろんな改革しているんですけども、やっぱり抜本的な改革ということになると、やっぱり県が指導して早急にやっていかないといかんので、今のご質問の内容なんかを十分参考にしながら対応をしていきたいと思います。
それから、二点目の公の施設の管理における制度改正、要するに民間にも委託ができるというふうになったということですけども、この問題は非常に古くから日本の国が引きずってきた問題をようやく今度変えたということであると思います。行政法上の講学上、公の施設というのは一つの分野を形づくっているぐらいのもので、学者の人にとっては大変大きな仕組みなんだけども、しかしながら、それが世の中の変化にもう十分対応し切れなくなってきたということで法改正が行われたんだと思います。
これから、NPOを初めとしてありとあらゆる民間の団体なんかが、これうまく──要するに、今までは公の施設を民間に任せたらお金を取ったりする、そういうふうな権力の行使につながることがあるんでうまくないというふうな発想だったんだけど、これからはもう民間も役所も同じ対等の立場でやれることは一緒にやっていこうという時代認識ですから、和歌山県でも、どんなものが一番適切になるか、そしてまた、そういうふうな委託をすることによってどういうメリットがあるかということをよく比較考量して思い切った施策をとっていきたいと、このように思っています。
それから、三点目のITセンターについては、これはもともとつくったときのいきさつから若干その目的がぼけてるというふうなところがあって、それが今のところに引き継いでおり、それから建設の問題で前議会でも皆さんに非常にご心配かけたわけですけども、地盤沈下の問題なんかもあって、そういうふうな方向に非常に目がいってるんですけども、実は本当に、これだけ大きなお金を使って何の役にも立ちませんでしたということでは本当にぐあいが悪いというふうなことで、今担当課の方を中心に、特に例えば放送大学校の支分所をつくるとか、それから和歌山大学のサテライトキャンパスをつくるとか、和歌山大学の大学院機能を持たせるとか、いろんなことを考えています。
そしてまた、それはそれで非常に意味のあることだと思いますけども、ただ単にこの和歌山県内だけというふうな物の考え方では必ず先細りになってくるのは目に見えてるんで、今おっしゃってたような、企業がITの研修をするのと有機的に連携するとか、それから大学なんかでも和歌山の中の大学だけじゃなくてよその大学にも目を向けて考えるとか、本当にいろんなことをやっていけばいいんです。要するに、箱物は箱があるだけのことで、箱の中にどういうパーテーションでいろんなものを入れていくかということは本当に柔軟に考えていかないといかんし、一度もうそれをやり出したらもうこれでずっといくんだというようなことになると、特にこれ難しい分野ですから、私自身もこの運営については非常に不安も──ある意味では不安と期待、両方持っているというふうなことですので、前向きにいろんな新しい提言に対応していくというふうな形でやっていきたいと思います。これはどんどん原課の方へもサゼスチョンを与えていただいたら、できることは本当に前向きに対応していきたいと、このように思っています。
○副議長(吉井和視君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) ご質問の県中小企業振興公社の役割等についてでありますが、当公社は、設立以来、中小企業の経営基盤の安定に貢献してきましたが、新事業創出促進法に基づき中核的支援機関と位置づけられてからは、産学官三十三の関係団体と連携しながら、新事業創出の準備的構想段階から事業化までの総合的な支援の役割を担ってまいりました。
ただ、議員ご指摘のとおり、時代の急速な変化に対処した組織の変革スピードがやや緩やかであった面もあります。このため、新しい形の組織が必要と考えておりますので、これまでの成果と反省を踏まえ、民間人の登用や行政、外郭団体等の密接な連携に努め、中小企業者のニーズに合った活気あふれた組織となるよう一層施策強化を図ってまいります。
次に、商工会議所との連携につきましては、経営指導員等との有機的連携のもと、チャレンジ精神旺盛な事業者の発掘・育成が可能な仕組みを構築してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 総務部長宮地 毅君。
〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 公の施設の指定管理者制度について、お答えを申し上げます。
今回の地方自治法の改正による指定管理者制度の導入につきましては、公の施設の管理において民間事業者等のノウハウの活用がこれからの行政サービスには必要不可欠であるとの考え方によるものでございます。現在本県が取り組んでおります行政改革の本旨にも沿ったものであると考えておりまして、また施設の管理をゆだねる相手方の選択肢が広がるという意味では、県民と行政の新たな協働を進める方策の一つであると認識をしております。
現在、県が出資をする外郭団体に委託しております公の施設は、和歌山ビッグ愛や紀三井寺公園など三十五施設ございますが、県民ニーズが多様化する中、利用者ニーズに沿った適切なサービスが提供できているかどうかといった観点などからの不断の検証が必要であると考えております。
また、外郭団体の見直しにつきましては、本年三月に策定をしました行政組織等の見直し実施プログラムに基づき、先ほどからお話がございます中小企業振興公社を初め、九団体について本年度末を目途に廃止、統合や組織をスリム化すべく進めているところですが、公の施設を管理している団体につきましては、指定管理者制度への移行もにらみつつ、県民サービスの低下を招くことのないよう十分配慮をした上、より一層の経営改善などに努めるよう関係部局とともに指導してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、旧法に基づいて現在管理を委託しております公の施設につきましては、改正地方自治法の施行日から三年以内に指定管理者制度に移行することとなっておりまして、本制度の導入につきましては、先ほど知事からもお答え申し上げたところでございますが、民間能力の活用という今回の法改正の趣旨を踏まえながら、外郭団体のあり方を含めて十分検討してまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 企画部長野添 勝君。
〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 他の地域で行われる同種のイベントとの連携についてでございます。
仮称ですけども、IT総合センターは田辺・白浜地域におけるIT産業集積の拠点施設であると位置づけておりまして、SOHOブースなどを通じて起業家に対する支援を実施していくこととしております。その一環として人材の交流事業などを実施したいと考えておりますので、議員ご提案のイベントを含め、他の地域で行われる事業との連携につきましても一つの方策として検討を行ってまいります。
次に、地域経済に及ぼす影響等についてでございます。
IT総合センターの機能といたしましては、高度なIT教育・研修機会の提供等による人材育成、IT関連の起業家やSOHOなどを主な対象とした産業支援、市町村へのノウハウの提供等による地域支援、IT体験コーナーの運営や各種イベントの開催等による普及啓発の四点を掲げておりますが、中でも特に重要と考えておりますのが人材の育成でございます。
具体的な事業内容につきましては、現在、地元の産業界や教育関係者等のご意見を伺いながら検討を行っているところですが、地域のニーズに応じた優秀なIT人材を計画的に育成することによって、将来にわたりIT産業のみならず地域経済全体の活力向上に結びつけてまいりたいと考えております。
次に、このセンターを民間の研修拠点にする活用策についてでございますけども、この施設は、高度な情報研修環境を備えるのみならず、白浜温泉や熊野古道など我が国を代表するリゾート環境を有する地域に立地していることから、こうした要素も十分に活用しまして、議員ご提案の企業研修につきましても利用促進の一環として検討を行ってまいります。
次に、大学や他の研究機関などとの連携についてでございますが、この大学や民間の研究機関等との連携を図ることは、ハイレベルな研究者との交流を通じた新技術の開発や地域資源を生かした新たなビジネスの創出など、地域への波及効果も大きいものと考えますので、今後積極的に取り組んでまいります。
次に、この施設の管理・運営につきましては、民間の知識やノウハウを導入することによりより効率的に充実した機能が提供できるよう、現在種々の検討を行っているところでございます。
以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
十八番山下大輔君。
○山下大輔君 もう時間もありませんので、もう要望だけ簡単に。
まず中小企業振興公社の再整備について、知事がおっしゃっていただいたように、今大きな時代の変化があって、大企業と中小企業者において大きな格差が生まれていると。本当にそういった中で、中小企業者が頼りにする相談者というのを身近に欲しいというのは、これは切実な声だと思いますので、そこがうまく連携していけば和歌山の地場産業というのはまだまだ可能性あると。
実は先日、ある繊維会社の経営者の方とお話ししていたときに、日本の今のサッカーの日本代表のユニフォームというのは実は和歌山の繊維が使われていると。これはもうお聞きになられた方も多いかと思いますけれども、そういった形でうまくマッチングをしていくと。持っている技術をどう売っていくかというようなところのパイプ役さえ何とかうまくだれかがそのジョイントになってあげられれば、まだまだ和歌山の地場産業も可能性としたらあると思いますので、ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
それと、指定管理者制度の導入につきましては、これもこれから本当に地域間に、それぞれの都道府県の間においても、経営資源、人・物・金というものをどういうふうに有効に使っていくかということの知恵比べ、競争の時代になると思います。和歌山県では本当に取り組みとしてもかなり積極的には取り組んでいただいていると思いますし、今後ともそういったことを考えていく中では、今回の指定事業者制度というのはうまく使えれば本当にサービスの向上につながると思いますので、ぜひ積極的なご検討というのを今後とも考えていっていただければと思います。
最後に、IT総合センターの活用法につきまして、これも知事もおっしゃっていただきましたが、箱物が箱物のままできるだけだったらこれは意味がないと。仏つくって魂入れずじゃないですけれども、本当にこれからが実行段階やと思います。魂というのをしっかりと吹き込んでいっていただきたい。
あの立地にできるIT総合センターというものが、うまく使えれば本当にきょう質問の中でもちょっと話させてもらいましたけれども、これも全国でもおもしろい取り組みになるでしょうし、世界にもいろんな情報を発信していける拠点になれる可能性というのは、私自身も大変あるんだと思っています。ですから、いろんな部分での提携、協力関係というのをつくっていきながら、より魅力のある施設になるよう努力というのをしっかりと続けていただきたいと思いますので、これも三点について要望として、以上、私の二問目を終わらせていただきます。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十二番雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、通告に従って質問させていただきたいと思います。
最初に、イラクへの自衛隊派兵の問題であります。
先月末には、日本の外交官が殺害されました。テロは絶対に許されるものではありません。亡くなられたお二人に深く哀悼の意を表するものでございます。
さて、イラクの状況は日に日に泥沼化し、全土が戦争状態と言われるほど深刻な事態に至っています。米英軍五百人以外にも、イタリア、スペインなどの軍隊、国連関係者などにも犠牲者が出ています。こうした深刻な状態を生み出した原因は、イラク戦争が国際法を無視した侵略戦争であったこと、その後も米英主導の不法な軍事占領が続いていることであり、それがイラク国民の怒りと憎しみを呼び起こし、暴力とテロの土壌を広げていると言わなくてはなりません。
現在の状況を打開するために、一日も早く米英軍主導の占領支配をやめ、国連中心の枠組みによる人道支援に切りかえること、イラク国民に速やかに主権を返還し、米英軍が撤退することが必要だと考えるわけでございます。
ところで、小泉内閣は本日にも自衛隊派遣計画の閣議決定を行うと言われています。それは無法な侵略戦争と不法な占領支配に軍事力をもって加担することにほかならず、日本がテロの標的となる危険も招くことになりかねません。また自衛隊の派遣は、戦争はしない、軍隊は持たないと決めた憲法九条を踏みにじるものであり、絶対に認めることはできません。
そこで、知事にお尋ねいたします。
憲法にもかかわるこの自衛隊のイラクへの派遣についてどのような見解を持っていらっしゃいますか、ご答弁をお願いしたいと思います。
次に、教育の問題でございます。
第一は、少人数学級にかかわる問題であります。
和歌山県教職員組合が少人数学級を受け持った先生と四十人近い学級を受け持った先生から聞き取った現場の声をいただきました。「例えば工作の時間などには、三十九名の一年生を担任しているときには、「先生、ここ切り抜いて」「先生、ここくっつかないよ」など口々に言う子供たちに右往左往する場面が多々ありました。そんなときにはこちらに心の余裕もなくなり、不親切な対応しかしてやれなかったと思います。少人数になり、笑顔で接してやれる心の余裕も出てきたと思います」、子供と先生の対応が目に浮かぶような声であります。
また、少人数学級実現を求める署名は県内で十六万六千に達しており、また、文部科学省も国庫負担の加配教員を少人数学級に使ってもいいという方向を打ち出しています。このことは、学級規模を縮小することの教育的効果を文部科学省も認識するようになったものと言えます。
県教育委員会も「効果を検証して」と言っておられるわけですから、現場の声を聞いておられることと思います。少人数学級の効果をどのように認識しておられるのか、また今後どのように少人数学級の施策を拡大していくのか。学年進行で一年生が二年生に進めることはもちろん、その基準の引き下げや中学校への拡大など、見通しを教育長にお伺いいたしたいと思います。
第二番目は、学力診断テストであります。
地域ごと学校ごとにその結果を公表するとのことでありますが、学校間競争など、その弊害が心配されているところであります。十月十九日の「紀州新聞」では、県教育委員会が御坊・日高地方で開催した説明会で「異論や見直しを求める声相次ぐ」と報じられています。また、県教職員組合が実施した校長へのアンケートでは、学力診断テストそのものの是非については賛否が分かれたそうです。けれども、結果公表については反対が圧倒的だったと言われています。
この公表問題についてどういう検討をされてきたのか、教育関係者の中にこれだけ反対意見が多いのにあえて公表するのはなぜか、教育長にお伺いいたします。
第三に、新しい問題で、学校における運動部活動の問題について少し考えてみたいと思うわけであります。
私の学校現場での教員生活は八年間で終わりましたけれども、最初に赴任した学校、海南市立野上中学校で私は野球部を担当いたしました。ちなみに、オリンピックのアーチェリーで大活躍した松下和幹選手は、私が指導した野球部のキャプテンでございました。しかし、そのチームはやんちゃな生徒たちが集まって好き勝手なことをしているだけのチーム。ある日、新任の私に教頭が言いました。「雑賀君、この子らに一回だけでいいから試合に勝つ喜びを味わわせてやろうやないか。そうしたら、この子らも変わるぞ」。私は、下手なノックを一生懸命やりました。まめがつぶれて血が出た上に包帯を巻いて、一生懸命ノックを続けたのを思い出します。二年目になって、チームが強くなりました。一回勝った途端にグラウンドマナーがよくなりました。見違えるような野球部になって県大会に出場、新宮の緑丘中学校に負けて近畿大会への出場を逃したのを思い出しているわけでございます。
私は、こういう運動部活動の教育的な意義や、そして、勝ちたい、勝つことを目指して頑張ることの意味も、自分の体験も含めてよくわかっているつもりです。しかし、今日の学校の運動部活動はこれでいいのかと考えるわけであります。子供の発達段階やスポーツ医学の到達点を無視して一週間休みなしで練習や試合をしているケースもないのでしょうか。
ここに、平成九年に文部省に依頼されて中学生・高校生のスポーツ活動に関する調査研究協力者会議が行った調査報告書がございます。その中に、一週間に運動部の活動を何日やっていますかという設問がある。週六日というのが三三・三八%、一番多い。しかし、休みなしの七日というのが九・六二%、ほぼ一割あるわけでございます。一方、この同じ報告書に、スポーツドクターに中学生の発達段階でどれぐらいの練習が適当か、こういう質問をした集計がある。週に三日から五日、一日に一時間ないし二時間未満というふうに答えているスポーツドクターの方が六二・二%を占めているというふうにこの報告書には書いています。
文部科学省も教育委員会も共通して、学校の運動部は勝利至上主義になってはいけないこと、スポーツ医学の到達点を踏まえて子供の身体の発達段階に応じた科学的指導が大切なこと、学校教育生活の中でのバランスを欠いてはならないという立場に立っています。この点、私も同感であります。しかし、なかなか学校の現場ではそうなっていない場合がある。
そこで、教育長に質問いたします。
第一は、平成九年の調査と文部省の指針、「みんなでつくる運動部活動」というこういうものが出ていますが、こういうものに基づいて県教委ではその後どういう検討がなされたのか、また現在の部活動の状況調査はやられているのか、現在の部活動の状況をどうとらえておられるのか、これをお聞きしたい。
そして第二番目に、子供の発達段階からして好ましくない部活動が行われていた場合、どういう指導をなさっておられるのか。少なくとも一週間に二日ぐらいは、中学生であれば部活動のない日、日曜日を含めて二日ぐらいはない日をつくるべきであると考えますが、どうでしょうか。
運動部活動については、以上であります。
次に、深刻な雇用・労働問題について質問をいたします。
長引く不況のもとで、雇用問題は中高年、青年を問わず大変でございます。最近、県地評(和歌山県地方労働組合評議会)の労働相談所に持ち込まれた相談を幾つか拾ってみたいと思います。
子供を持っている二十三歳の女性が相談に来られました。大手新聞の販売所で折り込み機械を扱う仕事をしています。毎日勤務していますが、雇用形態はパート扱い。賃金は最低賃金に五円上乗せした六百五十円であります。仕事は午前十一時から始まります。早いときには午後五時ぐらいで終わるんですが、金曜日には折り込みが多くて午後の九時まで、連休前には夜の十一時から十二時までかかります。年末には午前一時から二時という場合もあるそうです。ここに四人の女性が働いています。その一人の女性は母子家庭、さらに一人の女性は障害を持った子供を抱えて大変であります。
この相談に来られた女性は子供を親戚の人に預かってもらいながら頑張っているんですが、この方が労働相談所にやってきたのは、深夜勤務をしているのに深夜勤務の割り増し賃金が払われないのはおかしいではないか、そのことを相談に労働相談所に来られたんだそうです。
いま一つ、簡単にもう一つの事例を報告しますと、昨年末に住宅の耐震工事をする会社で正規採用だった職員さんが解雇されました。雇用保険は出るんですが、ハローワークなどの役所が年末年始休みになってしまいますから、手続がおくれます。年末のことでした。年越しの資金が欲しい。ところが、労働者への融資は雇用保険給付を待っている労働者には閉ざされていたわけでございます。労働相談員は「どんなに苦しくてもサラ金に手を出してはいけないよとアドバイスするしかなかった」というふうに語ってくれました。こうした事例、幾らでもあるわけですが、こうした状況を踏まえながら質問をいたします。
まず第一は、労働者が自分たちの権利をきちんと知ることの問題です。労働相談所に駆け込んでくる労働者はごく一部です。紹介した二十三歳の女性は、深夜割り増し賃金という制度があるということを知っていたから相談に来たわけです。働く者の権利を高校を卒業するときにきちんと教えるということが大切ではないか。それは社会科の授業で教えているからいいんですということでなくて、卒業して社会に出るに当たって、働く者は労働組合をつくる権利があること、労働組合は法律によって保護されていること、賃金や労働時間についての労働者を守る法律があること、労働法規はパート・アルバイト労働者であっても適用されること、もちろん不十分な労働法規であっても、そういう権利というものを実際の問題に即して教えることが大変大事だと思います。その点、教育長の考えをお聞きいたします。
第二番目は、深夜勤務手当が払われないという状況をなくすために、企業主への啓発をどう進めるのかという問題であります。
労働基準監督署の仕事でもありますが、県行政としても、労働者の訴えを受けて、あるいは労働団体を通じての提起を受けて企業を指導する必要があると考えるわけであります。どういうふうに指導を強めていかれるのか、商工労働部長にお聞きいたします。
第三は、県行政としての雇用拡大であります。
雇用拡大というのは大変なことですが、例えば鳥取県という財政規模がそう大きくない県でも中小企業など雇用創出支援奨励金を出し、一万人規模の常勤雇用創出計画に取り組んでいると伝えられるわけであります。また、国が措置した緊急雇用創出特別事業についてどれだけの予算でどのように活用しておられるのか、県独自にどういう雇用拡大の施策を進めておられるのか、お伺いいたします。
第四に、失業中の生活支援であります。
先ほどの一例で、働いていない労働者への融資は閉ざされていたと申し上げましたが、離職してすぐ雇用保険の受給ができるわけではありません。受給開始までの期間が長くなる場合、また雇用保険の受給中に就職先が見つからず雇用保険の期限が切れた場合等、即生活に影響が出てきます。雇用情勢が厳しい中、県として生活支援対策を考える必要があるのではないでしょうか。福祉保健部長にお伺いしたいと思います。
次に、大きな四つ目の問題は災害問題でございます。
その第一。国道三百七十号毛原地域で大きな土砂の崩落が起こりました。この問題では、地元町長、尾崎県議会議長、藤山県議を初めとする地元関係者で知事にも陳情をさせていただきました。バスも通る迂回路も今月三日から開通いたしました。県として大変迅速な対応をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。
さて、崩落があった日、現場に駆けつけ、町長さんにもお会いいたしました。「夜中だったので人命が失われずよかった」というのが町長さんの第一声でございます。本当にそうです。後から聞くと、イノシシが押しつぶされていたそうであります。夜中の崩落でありました。昼間の崩落だったら、こんなことで済まなかったでしょう。
こうした土砂崩落は大雨の後で起こることが多いわけですが、雨が降ったわけではないのに、突然の崩落であります。地質の専門家の意見を聞きますと、この地域の岩盤は塩基性片岩でかたかった、だからこれまでなし崩しに崩れないで来た、それが時間の経過とともに劣化して支え切れなくなって崩落したのではないかというご意見もいただきました。もちろん、専門機関による本格的な調査によらなくてはなりません。今後の災害復旧の見通しと、そしてのり面対策の今までの取り組み、そして今後の取り組みについて県土整備部長にお伺いいたします。
災害問題の第二番目は、石油タンクの防災対策でございます。
海南市から下津町、有田市にかけて、海岸線に石油タンクがたくさんございます。九月末に十勝沖地震にかかわって出光興産北海道製油所での火災が起こりました。その前にも、ことしの八月からエクソンモービル名古屋油槽所、新日鉄名古屋製鉄所、ブリヂストン栃木工場での火災が起こっているわけであります。また、地震、津波では油の海洋への流出も心配されます。
私が県の当局者に問い合わせて初めて知ったのは、国の耐震基準がつくられています。しかし、その耐震基準には適用に猶予期間が置かれているということであります。特定・準特定──特定というのは一万キロリットル以上、それ以下を準特定と言うわけですが、昭和六年につくられた耐震基準に適合しないものが現在和歌山県内には百九十八基ある。けれども、一万キロリットル以上のタンクは平成二十三年まで──あと八年です──それ未満のものは平成二十七年まで──あと十二年間──耐震対策が猶予されている事実を知ったわけであります。
石油タンクの耐震対策等は市町村の消防に任されているわけですが、県としてもしっかりとした情報を握ること、そして消防と連携して関係企業への指導を強めること、そして国に対しても幾つかの府県からは適用基準、適用猶予というのを早めるような意見書も出ているようにお聞きしています。基準適用猶予というような悠長なことをしないように要望を上げていくことが必要だと考えるわけでございます。
また、石油タンク火災や災害で万一の事故があった場合の対策はどうしているのでしょうか。総務部長の答弁をいただきたいと思います。
最後に、五番目であります。商工問題、借りかえ融資の問題です。 十月から借りかえ資金八千万円がスタートいたしました。大変喜ばれています。現時点でどのぐらいの利用状況になっているのでしょうか。
さらに、この制度をもっと使いやすくするために、市町村が行っている融資や銀行の融資も含めて借りかえることができないのかという声が大変多いわけであります。京都府、京都市では信用保証協会の保証つきで銀行や信用金庫から借り入れた分も借りかえ融資の対象にしているわけですが、そういうことはできないのでしょうか。
また、このたびの借りかえ融資は来年三月末で終了となっていますが、四月からはどうなるのでしょうか。本日の私の要望なども含めて四月一日から新しい借りかえ制度をつくっていただければ大変ありがたいというふうに思っています。商工労働部長の答弁をお願いいたします。
以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
〔傍聴席で拍手する者あり〕
○副議長(吉井和視君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの自衛隊のイラクへの派遣についてのご質問でございますが、従来、私がいつも言っておりますように、本来、国は国の仕事、地方は地方の仕事ということを分離してやっぱり考えていくべきだろうというふうな考え方に立っておりますので、私自身、知事としての立場でこのことに対してコメントしようという気持ちはないんですけども、私の個人──個人の発言がこういうところで許されるのかどうかわかりませんけども、個人的な感じからすれば、今ご質問の中で侵略だというふうなお話がありましたけども、私自身一番やっぱり大事に思っているのは、人間が皆自由に思っていることを言える社会というふうなものを僕は実現することが一番大事なことだろうと思います。
いろいろ難しい話があっても、今までのイラクというふうなものがそういうものが保障された社会でなかったことは、これはほぼ間違いないことであろうと思いますし、そういうところへ行って、ほとんどの国民の人が物が言えるような社会になったということを全く否定し去ることはできないと私は思います。
それで、こういうことがあったときに、今みたいにみんなが武器を持っている時代、そして国境がなくテロリストなんかがどんどん入ってこれるような時代に、やはりこういうふうな一定の被害が出てくるということは、まあこれは予想されたことでありますけども、その状況が非常に大きいというふうな中で、今の自衛隊の派遣という問題が物すごくクローズアップされているんだろうというふうに思いますけども、いずれにせよ、今回のことについては、日本が戦後ずっと、ある意味ではアメリカの傘の下で大きな決断をしないで来たというふうな中で、本格的な判断を求められているということだろうと思います。
これについては、きょう閣議決定が、派遣計画なされるということですけども、派遣の時期については決まらないということなので、これについて、やはり今度のことは軍事活動として行くわけじゃありませんから、人道支援活動として行くわけだから、これはやはり行く自衛隊の人ができるだけ安全で活動できるようにというふうなことについて最善の努力を払うということはこれは僕は当然のことであると思いますので、それにあわせていろいろ、これは国の方として考えていくことであろうと思いますけども、私の基本的な認識はそんな──何かよくわからないような話になりましたけれども……。
○副議長(吉井和視君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 雇用・労働問題の民間企業への指導についてでありますが、県では中小企業の事業主や人事・労務担当者を対象に労務管理講習会等を開催し、啓発に努めているところであります。
今年度から、県内の中小企業を巡回し、施策・法令等の普及や啓発等を行う中小企業労働施策アドバイザー四名を配置し、労働環境の改善に取り組んでおります。また、個別の労働問題について、労働相談員による労働相談に加え、平成十三年度から話し合いによる解決を目指し、労公使によるあっせんを行っております。今後とも県として、法に基づいた権限はありませんが、国と連携して企業の啓発・指導を行ってまいります。
次に、雇用の拡大の二項目についてでありますが、平成十三年度に創設された緊急雇用創出特別基金事業につきましては、厳しい雇用・失業情勢にかんがみ、本県に対しては上積み交付を含め約五十一億五千万円が交付され、緑の雇用事業を初め環境美化、教育などのさまざまな分野で事業を実施してきたところであります。
現状につきましては、本年度末までに百事業に約三十五億六千万円を投じ、累計で三千五十六人の雇用機会が創出される見通しであります。来年度は事業の最終年に当たることから、残された財源を有効に活用し、一人でも多くの雇用の確保に努めてまいります。
次に、雇用の拡大につきましては、大きな課題の一つとして雇用のミスマッチがあります。このため、求職者のスキルアップを図る各種セミナーの開催や合同面接会の実施、さらに求人を掘り起こすための求人開拓やカウンセリング事業などに取り組んでいるところであります。しかし、何よりも雇用の受け皿づくりとして企業誘致を初め商工業の振興、産業の創出等、総合的な雇用・経済対策を結集してまいりたいと考えてございます。
次に商工問題でありますが、資金繰り円滑化特別支援資金につきましては、十月一日から受け付けを開始し、テレビ、ラジオによる広報とともに中小企業者や経済団体への説明会を開催し、その周知に努めたところであります。結果、十一月末までの二カ月間で四百四十四件、約五十九億円の融資実績がございました。借りかえすることにより返済に余裕ができ、また追加運転資金もあわせて調達できるなど、中小企業者の資金繰りに効果的であったと考えております。
本県の借りかえ資金制度は、中小企業者の負担を軽減しながら借りやすくするため、低利な貸し付け利率の設定、信用保証料の引き下げ、さらには信用保証協会への債務保証等の措置を講ずるなど、他府県の制度に比べ利用対象者や借りかえ資金の範囲を工夫しながら制度設定しているところでございます。
なお、平成十六年度におきましてもこの借りかえ資金制度は引き続き制度化してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 福祉保健部長白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 失業中の生活支援についてお答えいたします。
失業等により生計の維持が困難となった世帯等に対する生活資金の貸し付けは、県の社会福祉協議会で行っております。その一つとして、雇用保険制度枠外にある自営業者やパート労働者の失業や、雇用保険の求職者給付期間切れにより生計維持が困難となった世帯等に対し、離職者支援資金の貸し付けを行っております。
貸し付けは、月額二十万円以内で最長十二カ月、償還は貸し付け期間終了後六カ月据え置き後七年以内、貸し付け利率は年三%、連帯保証は原則一人となっております。
また、本年十一月から生活福祉資金の緊急小口資金貸付制度を創設しております。これは、低所得世帯を対象に医療費や介護費が必要となったとき、また公的年金や保険の給付開始までに生活費が必要となるなど、緊急的かつ一時的に生計の維持が困難となった場合等に貸し付けを行うものでございます。貸し付け限度額は五万円以内で、貸し付け利率は年三%、償還は二カ月据え置きの四カ月以内で、連帯保証人は不要となっております。
こうした制度の運用等により支援をしてまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 国道三百七十号の崩落問題についてでございます。
本復旧に向けまして、今月十七日から始まる国の災害査定を受検するため準備を進めておりまして、一日も早く復旧できるよう努力してまいります。
また、のり面対策のこれまでの取り組みでございますが、平成八年度に実施した道路防災総点検や平成八年二月に発生した北海道豊浜トンネル崩落事故を踏まえて実施した平成九年度の岩盤斜面調査結果等に基づき、逐次対策を実施してきたところでございます。
次に今後の取り組みでありますが、今回の崩落箇所と同様の地質や地形条件等の箇所につきまして再点検を実施したいと考えております。これらの結果を踏まえ、これからも緊急度の高い箇所から順次対策を進めてまいります。
以上です。
○副議長(吉井和視君) 総務部長宮地 毅君。
〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 石油タンクの防災問題についてお答えを申し上げます。
本県には、石油コンビナート等特別防災区域が所在しておりまして、石油タンクが多数ある状況の中で、本年全国各地で発生しました危険物施設の事故や十勝沖地震で起こった石油タンクの火災のような災害が本県でも発生することは想定されるところでございます。
こうした中で、県としても石油コンビナート等防災区域内の特定事業者に対して本年十月に防災対策の一層の徹底について依頼をしたところでございます。
議員ご質問の猶予措置適用に関しての要望につきましては、十勝沖地震の事例を踏まえて、消防庁において石油コンビナート等防災体制検討会で特定事業所における防災資機材等検討部会、屋外タンク貯蔵所における技術基準等検討部会、特定事業所における防災体制・リスク管理等検討部会の三専門部会を設置して見直しの検討を始めたと聞いております。
県といたしましては、これら専門部会の動向を注意深く見守りながら、許認可権者である消防本部とより連携を深めて石油タンクに関する情報把握に努めるなど、安全の確保を図ってまいりたいと考えております。
事故があった場合の対応でございますが、和歌山県石油コンビナート等災害対策本部が策定しております防災計画に基づいて、防災関係機関、特定事業者がそれぞれ防御措置をとることとしておりまして、これらの措置を通じて被害の拡大防止を図ることといたしております。また、県では防御活動に必要なオイルフェンスや消火薬剤等の防災資機材をコンビナート地域内に配置するとともに、毎年防災関係機関や特定事業者と合同訓練を実施するなど、万が一に備えているところでございます。
石油タンクの事故は社会的にも影響が大きいため、その予防に努めるとともに、事故があったときはその被害を最小限に食いとめるよう努力をしてまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) まず初めに、本年度から県単独で導入いたしました少人数学級の効果についてでございます。
現在まで、各学校から、行き届いた学習指導や子供たちの人間関係の育成に有効であるとの報告を受けております。
先月上旬の学校開放期間を利用いたしまして、私も、担当課長と手分けをして県内の学校を約三十校訪問いたしました。その中には当然、少人数学級を実施しておる学校も含んでおるわけでございます。私の実感としても、子供たちが非常に落ちついて学習している様子がうかがえて、当初のねらいがおおむね達成できているとの印象を持っております。
少人数学級編制の今後につきましては、引き続き各学校での教育効果についてその検証を精密に行い、そのあり方についてさらに工夫し、検討を進めていくことが必要であると考えております。
次に、学力診断テストにつきましては、さきの本会議一般質問で新島議員にお答えいたしましたとおりでございます。この結果の公表も含めて、和歌山県の小中学校における子供たちの教育の充実に必ずや有益なものとなると確信をいたしております。教育情報に関してこれをできるだけオープンにしていくことが必要であり、学力診断テストに関しても、結果を隠しておくという必要性は見当たらないと考えております。
続いて、学校における運動部活動については、学校体育関係団体等を通じて把握をしております。体力の向上や健康の増進はもとより、個性を伸長し、豊かな人間性をはぐくむ上で極めて有効な役割を果たしていると認識をしております。
ただ、教育委員会といたしましては、議員のお話にもありましたように、学校等に対して示した運動部活動指導資料の内容をもとにして、今後とも、休養日や練習時間を適切に設定するなど、子供たちにとってよりよい活動となるよう指導をしてまいります。
最後に、高校生の就職等に係る指導に当たっては、望ましい職業観、勤労観を育成し、勤労者としての権利や義務を理解させることが大切であると考えております。また、求職や就労に係る相談機関の情報など、将来の職業生活に必要な知識を身につけさせることがこれまた重要であることから、今後もこうした点に力点を置いて指導の充実を図ってまいります。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(吉井和視君) この際、傍聴の皆さん方に申し上げます。
傍聴規則により、傍聴者の拍手は禁止されておりますので、ご承知願います。
再質問を許します。
四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 ご答弁ありがとうございました。
まずイラクの問題ですが、これは大分、知事とは見解が違いますけども、しかし、最後にわけのわからない答弁でと自分で言われてしまうと余り怒る気にもならないと、まあこういうことでございますが、ただ二点だけ申し上げておきたいと思います。
一つは、国の問題と地方の問題は違うというのは知事の持論でございますけれども、しかし、この地方自治体にとっても、やはりこの平和の問題については無関心ではいられない。だから非核自治体宣言、そういうものもやるわけで、和歌山県議会でも何年か前にそういう宣言がやられているわけですから、積極的な平和への提言があったら知事、個人でなくて知事の立場からも積極的にやっていただいたらいいというふうに思うわけでございます。
二つ目の問題は、何でも物を言える国になったらいいという、このお話でございます。
確かに、私ども、イラクという国、あるいはフセインという大統領、独裁者、これは決していいというふうには思ってはいません。しかし、自分が気に入らない国であったら武力でたたいてもいいのか、こういうことになると、北朝鮮というのは異常な国だから武力でたたいてもいいという論理に即つながるわけでありまして、どういう体制であっても、その国の体制を決めるのはその国の人々であります。他の国からどういう国にするという指図することはできない。民族自決権というものがこの長い歴史の到達でありますので、その点はひとつよく考えていただきたいということだけ申し上げて、特に答弁は求めません。
二つ目に、教育の問題であります。
少人数学級の問題、これは効果について、教育長、実際行かれた感じも含めて効果があったというふうにお答えいただきましたので、今予算の編成の前でありますから、来年はどうするというふうには恐らく言われないんだろう、言うわけにいかないんだろうと思いますけども、県民の期待にこたえるように前向きに進むことを大いに期待をいたします。この点はひとつ、知事も含めてよろしくお願いしたいと思います。
二つ目の学力診断テストの問題であります。これは、ちょっと今の答弁では黙って引き下がるわけにはいかないわけであります。
私は、この問題では、これだけ教育関係者の中でいろいろな意見が出るのに、それでもあえて公表に踏み切ったのはなぜか、どういう検討をされたのかということまで踏み込んで聞いたわけです。新聞に報道されています「学校関係者に波紋」、これは「紀伊民報」ですね。それから、「序列化懸念する校長会」という見出しがあります。それから、先ほど紹介した「紀州新聞」は「異論や見直しを求める声相次ぐ」とあります。
教育委員会が主催をする説明会で校長さんたちがあえて心配だという声を上げるということは、なかなかこれは普通はできないことなんですね。なかなか勇気のあることなんです、残念ながら。そういう声が至るところで起こってくるということは、相当これは教育界には深く懸念をする声があるという認識をお持ちなんだろうか、こういう感じもしますので、この問題についてはもう一度答弁をいただきたいというふうに思います。
教育問題でもう一つ、運動部活動の問題であります。
この問題では、教育長と私も文部省も、これを含めてどうあるべきかということについての認識に違いがないわけで。よく私は、冗談で言うんです。私は和教組の委員長をしていましたから、大抵文部省がやることや教育委員会がやることについて、引き合いに出すときは批判をすることが多いんですが、事部活動に関しては賛成ですというふうによく言って回っているんであります。大変、運動部活動の指導資料もよくできたものでございます。
けれども、この問題は一片の通知ではどうにもならない。運動部活動をしている者の苦労も知らないで何を言うかと、はじき飛ばされる場合がある。実は、それほどこの運動部活動は、一面では運動部活動を熱心にやっている皆さんの献身的な努力で運動部活動が支えられていくということでもあるわけです。ですから、私はくどくどと、私の昔の思い出話みたいなことを、手のまめをつぶしてまでノックをやったという話を、下手なノックをやった恥をさらしたわけで、実は私もやってきたという上でこの問題を提起しているんだというふうに言わないと、なかなか現場で苦労している、運動部を一生懸命やって献身的に支えている皆さんには受け入れられないという問題がございます。
ですから、私は和教組としてこの問題を提起をしたときに、運動部のスポーツの専門の先生のところを訪問して対話をしました。この討議資料をつくった中心になった、そのころ保体課にいた先生のところを訪ねていきました。そのときは既に中学校の校長先生になっておられましたけども、そこへ話をしに行って、実は私たちはこんなこと考えてるんです、それにはやっぱりスポーツをやる皆さんの力をかりないとできない、一片の和教組が声明を出すとか、教育委員会が通知を出すのではうまくいかない、それで対話をしたわけですね。
ちょうどそのとき、「プロジェクトX」が伏見工業のラグビー部、全日本の山口という選手が伏見工業の監督になって、そしてこの荒れたチームをまとめたという話がちょうど「プロジェクトX」で放映されていた明くる日でして、そこでその校長先生と「きのうそれ見ましたか」「見たよ。感動したよ」という話で話が盛り上がったことを覚えているんですが、和教組の委員長であっても、こういう問題に取り組もうと思ったら、そういうふうに足を運んで汗をかくわけです。これは相当、こういう体育関係者の間でこういう問題で合意をしようと思ったら、教育委員会にも、指導資料を出しています、通知を出しましたというんではなくて、汗をかいてもらわなくてはいけないというふうに思っています。この点については、もう要望にしておきます。もし教育長、答弁に立つときに自分からも言いたいことがあったら言ってくれたら結構ですが、無理にとは申しません。
次に、雇用・労働問題でございます。
積極的な施策を来年度予算で進められることを望むわけですが、その基礎になるのは、仕事があろうがなかろうが低賃金・無権利で働いている皆さんの声がびんびんと県政に届くようにすることだと思います。
きょう、雇用保険がもらえるまでの生活支援について、ことしの十一月から新しい制度ができたということをお聞きしました。大変ありがたいと思います。この私が紹介した労働者が相談に行った去年の十二月には、その制度がなかったわけであります。雇用保険というのは、パンフレットを見ますと一週間でもらえるというふうに書いています。自己都合でない限り。けれども、年末に行ったけれども、ハローワークが休みになった。結局、十二月の二十七日に手続に行って受け取ったのは一月の二十日を過ぎたわけです。労働者の問題というのは、こういう問題あるわけですね。そこで、サラ金に手を出すなよというふうに、労働相談員はとにかくそれだけするなよというふうに言うしかなかったと。もしも五万円がそのときにできていたら、五万円であっても、その労働者にとっては大変ありがたいお金だったでしょう。今度それが前進したことは大変うれしいことなので、これからもそういう働く者たちの大変苦しい中で頑張っている皆さんを支援するために、県政はさらに手を差し伸べていただきたいと思います。
それから、災害問題でございます。
この災害問題、大変敏速な対応をしていただいて、お礼も申し上げ、その後も努力していただいているわけですが、少しこの問題にかかわって申し上げておきますと、災害復旧になると予算はつくわけですね。国の予算があって。ところが、危ないけど直したいなということになると、やはりそれぞれの工事事務所が手持ちの予算でやらなくてはいけない。それは今の県の財政が大変な中でだんだん窮屈になっていく。私は、この現場の第一線でやっておられる皆さんとお話ししてみますと、その苦労を常に聞かされます。
この災害問題というのはやはり県民の命を守る問題でありますので、災害起こってから国の予算、もちろんいただいてやるわけですが、県としても来年度予算編成ではぜひとも大事にしていただきたいと思っています。
最後に、借りかえ融資制度の問題でございます。
今の説明にもありましたが、和歌山県でも大変苦労してやっていただいているのがよくわかります。私は京都の例を出しましたけども、決して京都はよくやっているけれども和歌山はなってないと、こういうことを言うつもりはございません。京都のない点で和歌山で努力していただいている点もあることが今のお話でもよくわかりました。
ただ、大変今不況の中で、中小企業の皆さんが苦労しているわけで、借りかえ融資制度をさらに使いやすいようにしてほしいという願いがあることも事実でございます。少しでも改善ができればありがたいということを申し上げて、以上で第二回目の質問と要望を終わらせていただきます。
○副議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) お答えいたします。
第一点の学力診断テスト、ご心配の向きはわからないわけではありません。全く初めて行うわけでありますし、全県的な非常に大規模な悉皆調査でもありますから、わからないわけではありませんが、かなり誤解されている部分もあるなということを思っているわけです。
特に、結果の公表ということになりますと、一般に受け取るイメージとしては、各学校の平均点とか順番とか合計点が出るというふうにすぐ思われる。こういうものでは一切ございません。ランクのつけようがない公表の仕方をするわけです。それは再々申し上げているわけですけども、まだどこでもやっていないことなので、イメージがなかなか結びにくいということがあろうかと思います。数学なら数学、英語なら英語の問題ごとのできぐあいを詳細に明らかにするというわけです。合計もいたしません。百点満点の七十点とか六十点とか、そういうことも出さないわけです。しかし、問題ごとにできぐあいがどうかということを精密に見ていくことによって、教育上どこに課題がある、どこを伸ばさなければいけないかということがより正確に把握できるということでございまして、序列化ということの懸念は、大げさに言い立ててその率を言いふらせば別ですけども、学校関係者も保護者も十分にわかっていただけることであろうというように思っております。
ただ、説明の不十分さがあったりして一部ご紹介のあったような批判や懸念があったということは私も承知しておりますが、さまざまな機会をたび重ねてやってまいりまして、市町村の教育委員会の皆さんとか校長会とか、もろもろの会合で基本的な合意は得られたというふうに思っております。したがって、来年三月、公表のときには、ぜひともその内容なり方法なりについて改めてごらんいただきたいなと思っております。
それから、部活については、答弁は要らないというお答えでございましたけども、私も少しやっぱり言わせていただきたいのは、一片の通知で済ましていると、これは全く事実に反するわけでありまして、県の教育委員会の担当指導主事やもろもろの職員は足しげく学校へ通っております。さまざまな実態も承知しております。その中には、例えば非常に保護者が熱心で、結果として勝利至上主義のように見えるクラブもないわけではない。近畿大会なり全国大会へ出るということがいかに励みになるかと。子供たちに自信を与えるということ、そういう効果も一面ではありますのでやっているわけでありまして、その中で過熱化しないように、子供に過剰な負担がかからないように、スポーツ医学上の弊害が生じないようにということを苦労しながらやっているというのが実情でございます。
単純に言い切れない難しさがこの問題にはあって、それぞれ苦労しながら、しかし、基本的には雑賀議員と私は認識の違いはないと思っておりまして、教育委員会もその考え方のもとに指導、助言をいたしておりますので、申し添えておきます。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 学力診断テストの公表問題などでもいろいろ意見の違いもあるわけですが、教育長も心配もわからないではないというふうに、そこまで言われましたから、ここでの討論、議論はそのぐらいにしておきましょう。またこれからいろいろ起こってくる問題について、一緒に対処をしていきたい。これからひとつ、県民合意の教育改革、私は決して自分のこうあるべきだというやつを無理に教育委員会にやれと言うているのではなくて、県民合意でいきましょうと言うてるわけですから、ひとつその点をお酌み取りいただいて、これからのいろいろの施策でやっていきたいというふうに思っています。
どうもありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
この際、十分間程度休憩いたします。
午後二時五十二分休憩
─────────────────────
午後三時二分再開
○副議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
十一番山田正彦君。
〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 午後からの質問も三人目になり、緊張感も限界に来ている中、議長の適切なお取り計らいをいただきました。心から感謝を申し上げます。気分を新たにして、私なりに一般質問をさせていただきたいと思います。
その前に、今は亡き故大原議員をしのんで、私の思いの一端を申し述べさせていただきたいと思います。
本十二月議会の冒頭におきまして、無所属クラブの浅井議員から同僚議員としての心のこもったご丁重な追悼演説をいただきました。奥様を初めご家族の皆様も傍聴席から、浅井議員の一言一言に深い思いを受け取ったことでありましょう。
私も、昭和六十三年、貴志川町議会議員として彼と同時に当選させていただいて以来、同期の議員として三期十二年間、席を同じくし、また今回、県議会議員として那賀郡の代表として県政の場でともに働かせていただくべく、終生のよき友でありましたし、またライバルでもありました。ゆえに、本来、同じ会派でありますならば当然私がその役目を果たさなければならなかったことであります。改めて浅井議員に心からお礼申し上げますとともに、先ほど来もまた山下議員もお触れいただきましたが、その場をおつくりいただいた議長初め各議員に対し、心から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
それでは、本題に入らせていただきたいと思います。
三位一体改革に関してでありますが、私の思いを述べ、後ほど知事のご所見を承りたいと存じます。
近い将来の人口減少社会の到来や少子高齢化社会の急速な進展、低経済成長社会の到来といった社会環境の変化に加え、個人の価値観や住民ニーズの多様性が増す中、中央集権型行政システムの制度疲労が顕在化し、自己決定と自己責任の原則を徹底する地方分権改革が求められてまいりました。このため、国においては平成十二年度、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律──いわゆる地方分権一括推進法であります──が施行され、また本年六月には、閣議決定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三、いわゆる骨太方針において、国庫補助負担金の廃止縮減、地方交付税の見直し、国から地方への税源移譲を含む三位一体改革の行程を示し、二〇〇六年までの改革と展望の期間中に国庫補助金についてはおおむね四兆円程度を目途に廃止し縮減を行うとともに、基幹税の充実を基本に税源移譲を行うこととしております。また、経済財政諮問会議では平成十六年度は一兆円の補助金廃止縮減を目指すこととし、税源移譲も行うとの小泉首相の指示が出されたところであります。
これに対し、全国知事会を初め木村知事が参加されている改革派知事連合などが、改革を地方にとって実効のあるものとするため、さまざまな具体的な提案をしていることに対しては、大変意義のあることでありますし、大いに期待しているところであります。しかしながら、これまで提案されたものは削減規模や財源配分のあり方を中心に議論されており、一般国民、住民にはわかりにくいものになっているのではないでしょうか。特に国庫補助金の見直しについては、国と地方の財源争いではなく地域の実情に応じたきめ細かい行政サービスの提供につながるものであることを住民にわかりやすくPRしていただきたいものだと思います。
こういった観点から、今回は、三位一体改革の三つの課題のうち比較的議論が深まってきていると思われます補助金の見直しについて質問をしてまいります。
私はかねてから、補助金行政は当然のことながら全国画一の基準で実施されていることから、地域や現場の事情に合わない問題点が随所に多く生じていると思っております。例を挙げますと、これは知事も主張されていることでありますが、国の補助金を受けて道路整備を行う場合には、当然道路構造令による規格に合致させる必要があるため、比較的交通量の少ない山間部に、また集落の少ない山間部に、三メーターもの広い歩道つきの道路ができてしまうことになります。また、山間部を切り開いた歩道つきの道路の歩道には街路樹が植えられているようなことはよく目にする光景でありますが、これらのむだを省き、それらの財源でもっと延長を延ばす方が住民の要望に即した施策と言えます。
また、それぞれの補助金には使途が決められているものですから、A道路に対する補助金はB道路へ流用するにも国の承認が必要でありますし、ましてや道路費から河川への事業費流用などもってのほかであります。また福祉関連でも、保育所の標準定員は過疎地域を除くと六十人以上であり、屋外遊戯場の設置も原則義務づけられていますので、女性が働きやすい環境をつくるため、例えば会社と同じビル内やあるいは中心市街地に保育所の設置を希望しても、定員規模や設置面での規制のため、なかなか整備できません。
このように、現在の補助金制度では国民、住民の立場から見れば利便性や効率性の面でいろいろ歯がゆい問題があります。まことに失礼ながら、これまでは県においても、また県職員においても、市町村や住民からのこういった点に関する問題提起に対して、どうせ国が決めたことで地方の主張が通るはずがないと半ばあきらめて前向きに対応してこられなかったのではありませんか。県当局にあっては、今回国に向かって発しているそれらの思いを県内五十市町村の思いとして、地域の実情に合った事業実施に向けてお取り組みをいただきたいと思います。
補助金制度は、国の権限の中枢をなす問題であり、その改革は各省庁の権益が絡んで大変難しい展開が予想されるところでありますが、時代は全国画一的基準から地方の個性、地方の自主性へと移りつつあり、住民の意思の反映、効率性などの観点から改革を推進していかなければなりません。いつかはだれかがこの難局に立ち向かわなければならないこの大変厳しいときに果敢に挑戦する小泉首相を全面的に支援するものでありますし、また同時に、地方の声として率先して補助金の廃止と税源移譲を主張されている木村知事の姿勢に対して大いに期待しつつ、現在国で論議されている補助金制度改革についての知事のご所見を、また県内五十市町村に対する知事の思いをあわせてお伺いいたしたいと思います。
次に、市町村合併のことについてであります。
市町村合併の問題に関しては、この本会議場において、平成十三年九月議会以来、多数の議員がそれぞれの地域、未来のビジョンを描きながら、また和歌山県の将来を憂えることのない次の世代に託せる和歌山建設の夢を描きながら、熱い思いをこの壇上から提言、提案等をされてこられました。ここに資料、四十二件に及ぶ町村合併の問題のQアンドAがありますが、訴えてこられました。
私は、それらの各議員皆様方の発言内容なり県当局の答弁を各定例会会議録から読ませていただきました。私も市町村合併は、当然、真の地方の時代構築のためには避けて済ませる問題であるとは思っていません。私たちの生活環境も、昭和の大合併以来、大きく変化してまいりました。日常の行動範囲も、道が整備され、車社会の中、広範囲になりました。また、各町にあっては住民のニーズにこたえるため各町長らが議員さん初め懸命の努力をされておりますが、その結果、その町その町には、例えば大きな文化会館や図書館などに象徴されるような施設ができてきております。それらの施設は完成したその日から維持経費がかかり、町財政に大きく影響しております。今後ますます厳しさが増すであろう町財政、多様化する住民ニーズにこたえていくためにも、一回り大きな、しかも財政基盤のしっかりした行政を、スリム化した行政を、また足腰のしっかりした地域をつくっていかなければなりません。
合併特例法の適用期限が目前に差し迫った今のこの時点になり、私なりにその思いを述べ、知事の合併にかける熱い思いをお伺いしたいと思います。
県当局は、平成十三年十二月、まず三地区を重点支援地域として指定されました。その後、平成十五年、この十一月までに指定市町村は四十五市町村にまでなっているようであります。県が指定する場合には、それぞれの首長から意見を聞き、要請があった地域なり取り組みの熟度が高まっている地域を指定されたはずであります。また、県当局は、知事を本部長に市町村合併支援本部を設置し、合併推進のために必要な予算措置までして万全であったはずであります。
しかし、現実は必ずしも思惑どおりに事が進んでおりません。私は那賀郡出身の議員として、この際、ほかの地域の実情はよくわかりませんので、那賀郡のことに限って申し述べさせていただきたいと思います。
那賀郡六町は、現在までには国保那賀病院、消防、し尿処理等を広域組合で運営し、大変仲よく対処してきてくださいました。また、介護保険関係でも事務事業を一元化して、広域で現在もなお処理をしていただいております。そんな那賀郡民の合い言葉として「那賀郡は一つ」として定着しているほどの期待を持って見守っている中、県も早々、重点支援地域に指定されました。途中の経緯は省略させていただきますが、結果は県当局も既にご存じのとおり、ばらばら状態であります。
なお、本日の私の一般質問に対して、貴志川町長初め三役、議長、議員の皆様が傍聴にお見えになる予定でありましたが、たまたま本日は桃山町から合併しようじゃないかという申し出がありまして、それに対して貴志川町でどうするかという協議をするために皆さんがお見えになっておりません。
何のために、どんな思いを持って那賀郡を重点地域に指定されたのですか、そのときのお気持ちを再度お尋ねしたいと思います。
それから、和歌山県の発展は紀北の発展なくしてない、関空に一番近い地域、関西圏の玄関口であることを自負しているこの那賀郡を、県当局としては将来どういうビジョンを持って今後リードをしていこうと思っておられるのですか。
法期限ぎりぎりの今もなお、各町長が、郡民も、多少の困難は覚悟の上でも小異を捨てて大同につき、お互いの立場を理解、尊重しながら新しい地域づくりに取り組もうと必死の思いで悩んでおられます。当然、県当局においても合併推進室の職員の皆様方も大変頑張っていただいておりますが、知事ご自身のこの地域に対する熱い思いをお持ちいただいているのであれば、ぜひ心のこもった一声をかけていただけませんか。私自身、各町長さんとの話の中で、その苦悩、動揺している様子を手にとって感じております。知事のご所見をお伺いしたいと思います。
次に、南海貴志川線の存続問題についてであります。
南海貴志川線の沿革について、少し触れさせていただきたいと思います。
大正二年、和歌山駅──現「紀和駅」と言うんですが──と山東というところの鉄道免許がおりまして、大正三年六月、山東軽便鉄道が設立され、その後いろんな変遷を繰り返しながら、昭和六年四月、和歌山電気軌道という──通称「和鉄」と言ったんですが──会社になり、さらにはまた、昭和三十六年三月、南海電気鉄道に合併され、現在に至っているものであります。
その間、戦後のあの混乱期には、生活の生命線として大変重要な交通機関でありました。遠くは関西方面から貴志川方面への食料の買い出しに人があふれたものであります。また、高度成長期には、和歌山市の東部開発、貴志川町を含むベッドタウン開発には欠かすことのできない重要な交通機関としての役割を果たしてまいってくれました。現在は、道路整備が進み、またモータリゼーションの時代の真っただ中、少子高齢化が進む中にあってその輸送人員が減少し、この最近十年間を見ても、ピーク時の二百七十四万人からすれば昨年度十四年度では百九十九万二千人まで減少しているそうであります。
ことし十月、南海電鉄から和歌山県と和歌山市、貴志川町に対して、厳しい経営状況についての報告があったそうであります。経営改善のため、ワンマン運転や、あるいはあらゆる省力化を実施してきましたが、利用者激減のため年々巨額の欠損が生じているとのことであります。
民間企業である以上、その苦しみはよく理解できます。しかしながら、現在もなお二百万人近い利用者がいることも事実であります。沿線には、公的機関も、また学校もたくさんあります。つまり、一般客七十三万人、通勤定期客約七十万人、通学定期客五十七万人、最悪の場合、路頭に迷うことになっては大変なことになります。幾ら国の規制緩和があり企業サイドで届け出一つで処理ができるとはいえ、このまま見過ごしてしまうわけにはまいりません。
お話を承りますれば、早速、過日のこの十二月六日に関係の和歌山市と貴志川町、それに和歌山県との三者で対策協議会を立ち上げていただいたとお聞きしておりますが、そこで県当局にお尋ねをいたしたいと思います。南海貴志川線問題に対する基本的な認識と対応方法について知事に、また対策協議会の内容について企画部長にご答弁をお願い申し上げます。
最後に、紀州サンリゾートライン構想の完成に向けての取り組みについてお尋ねしたいと思います。
紀州サンリゾート構想といいますのは、和歌山県長期総合計画で一九九八年二月に発行されました「わかやま二一世紀計画」に明記されているように──皆さん方は地域のことはよくわからないとは思いますが、一般国道三百七十号線の美里町大角地区から津川地区を通り北へ、県道高野口野上線の美里町東野地区を通過して野上町国木原を通り、県道垣内貴志川線の桃山町銚子ノ口──紀の国カントリーの入り口なんですが──で交差して、さらに北へ上がって桃山町最上地区というところを通り神田地区へ、そして県道かつらぎ桃山線を経由して国道四百二十四号線へ至る大変大きな構想路線であったと伺っております。
その間、幾つもの事業区間でいろんな事業主体で精力的にお取り組みをいただいたことに対しては県当局に対しても敬意を表するものでありますが、その事業のうちふるさと農道整備事業は、平成十四年度でその目的が達成されないまま凍結されることになってしまいました。まことに痛恨のきわみであります。その結果、今年度発注予定の上ノ城トンネル工事が平成十八年度完成予定で工事が行われようとしておりますが、この工事を含め各工事の事業費は大変な巨額を投入しても、所期の目的を達成するには至らないのではないでしょうか。つまり、桃山町銚子ノ口から桃山町最上地区に至るふるさと農道整備計画そのものが凍結されてしまったからであります。
もしこのままであるとすれば、県道垣内貴志川線にはすぐ近くに対向もできないような──愛宕橋といいますが──狭隘な橋や、あるいは狭隘な箇所がたくさんあって、ちょうど蛇が真ん中でカエルをのんだごとくになった状態に終わってしまいます。県当局は今後の展望としてどう取り組もうと思っているのか、県土整備部長のご見解をお伺いして、一般質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの山田正彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま、私に対して三つのご質問がありました。
三位一体の改革に対する考え方は、山田議員と私はもうほとんど一致するというふうな中身だと思います。ただ、この三位一体の改革というのは、実は自治体の方も血を流すというふうなこともありますし、それから、今ご質問の中で非常に具体的な例を挙げてご説明いただきましたけども、そういうことについて必ずしも住民の理解が進んでいるわけではないと。そういうふうな中で、やはりこの時期やらなかったらもう分権型の社会ができないだろうというふうな、ある意味では悲壮な感覚のもとにやっているわけでございます。
ただ、この三位一体の改革が、もし国の方、財務省であるとか各種事業官庁が考えているような方向で換骨奪胎して進むようなことがあれば、和歌山県とか、そして和歌山県下の市町村のようなところは非常に財政力も弱いので大変悪い影響を受ける可能性もあるわけです。
そういうふうな中で、私は補助金はやめにして税源を地方へ、それもたばこ税じゃなくて大事な税源を地方へ移譲するということはこれは当然のことなんだけども、ただやっぱり一気にすべて税金で処理するということになると、地方の県であるとか市町村というのはこれはもうやっていけないことになるんで、そこのところの財源調整、今は地方交付税で行っているわけですけども、これについてやはり十分な配慮をしていかなければならない。
そしてまた、東京都とか、そういうところだけがもう全部総取りになるというふうな形になっては、これはやはりうまい方向へ行くわけではないので、やはり地方の方として、そういうふうな財源の調整的な機能についてもやっぱりこれから物を言っていかないと大変なことになるというふうな感じでおりますので、また議員各位とも相談しながらいろんな形で意見を言っていきたい、このように思っています。
それから、合併の問題でございます。
つい二日前……(「南部町」と呼ぶ者あり)南部町と南部川村が協定を締結いたしました。これはこれで非常にうれしいことで、これを一つの大きなきっかけとして和歌山県の市町村合併というものも私は弾みがつくことを期待しているんですけども、そういうふうな中で、実はもういろんなところで、ある意味では不協和音というふうなのが生じてきているのも、これもまた偽りのない事実でございます。
そういうふうな中で、この那賀郡についてどういうふうに考えるかということでしたけども、私はこの那賀郡というのは、今後の和歌山県を考えていく上で、唯一とは言いませんけども、唯一に近いような非常に発展性のある地域であろうと思っております。だから、そういう中では、必ずしもほかの地域のように合併しなければ生きていけないから合併するんだというふうな感じの話だけじゃなくて、この地域については合併することによってより大きな本当の意味での機能を果たすような地域になるんじゃないかというふうな期待もあって、見守っているわけです。
今のところ、必ずしも当初の希望のとおりなっているわけではないことはもう質問の中にあったとおりでございますけども、県の方としては今後とも一番いい方向を求めて、これは県が強制するような話ではございませんので、いろんな形でアドバイスをしていい方向へ持っていけるように努力をしていきたいと思います。
いずれにせよ、合併今回しなくても、また二十七次の地制調の答申にもありますように、やっぱりある程度これから合併していこうということが国の大きな方向になってきていることは間違いありませんので、そういうときにはやはりできるだけ積極的に、一番地域がよくなるような方向で自主的にやっていくということが一番僕はいいんじゃないかなという気持ちを基本的には持っていると、こういうことでございます。
それから、貴志川線の問題です。
これはもう寝耳に水のことで、私も非常な危機感を持っているわけでございます。確かに二百七十万から百九十九万まで利用者が減ったとはいえ、わずか百九十九万とは言えないわけです。二百万の人、和歌山県には百七万しか人間がいないわけですから、二百万人の人が利用しているということは、これは大変なことだろうと思います。しかも、その利用している人が、沿線の高等学校へ通っている生徒であるとか、それから電車の定時性に頼って和歌山市内であるとか大阪の方へ働きに行っている人と、こういう人が乗っているということなので、これがバスにすぐに変わるというふうなわけにもいかないというふうな大きな問題がありますので、質問の中にもありましたように、町と和歌山市と一緒になって協議会を設けて今対応策を練っているところでございますけれども、南海電車の方にも、規制緩和の中でもうやめればいいんだという手続になっているわけですから、協議会の方としてもやはり何か積極的な対応策というふうなものを打ち出していかないと、何となくわあわあ言っているというふうなことではやっぱりいけないだろうと思いますので、県としても積極的な対応を図っていきたいと、このように思っております。
○副議長(吉井和視君) 企画部長野添 勝君。
〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 南海貴志川線の存続問題についてでございますが、議員お話しのとおり、県も参画しまして南海貴志川線対策協議会をこの十二月六日に設立したところでございます。この協議会は、南海貴志川線の存続と利用促進を図ることを目的に、和歌山市長を会長に、貴志川町長を副会長に、さらに両市町の議会議長、関係自治会の長、そして県を構成団体として組織してございます。
協議会の事業としましては、利用実態等の把握と具体的な利用促進事業の展開、並行して鉄道路線の存続方策の検討などが行われることとなっておりまして、県としましてもこれらについて、本協議会の中で積極的に対応を行ってまいります。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 紀州サンリゾートライン構想の完成への取り組みについてでございます。
この構想につきましては、美里町井堰から桃山町銚子ノ口の間が農道事業によって整備済みであり、現在、美里町津川から美里町井堰間について県代行事業及び町道事業で整備を進めているところであり、美里町から桃山町にかけての必要な区間の連絡強化が図られるものと考えております。
残る桃山町銚子ノ口から北川の区間につきましては、厳しい財政状況の中、道路の新設は困難であると考えております。したがいまして、国道四百二十四号など北方向の連絡は、県道垣内貴志川線などを有効に活用することが現実的だと考えております。そのため、県道垣内貴志川線につきまして、交通需要の動向等を勘案しながら、特に交通の支障となる区間から線形改良や狭隘区間の拡幅などを進めてまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
十一番山田正彦君。
〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 知事を初め、関係部長のご答弁をいただきました。
私なりに、お答えをいただきながら再度、要望になるかもしれませんが、お話を申し上げたいと思います。
知事は、三位一体改革に対して大変、きのうも向井嘉久藏議員のお話の中にもありましたように、活躍は新聞やテレビや、あるいは各マスコミで折に触れて報道していただいています。これは、和歌山県に木村ありと、あるいはまた同時に、和歌山県という県名も大変売り込んでいただきましたので、変な話ですが、これをコマーシャル料にすると、それこそ莫大な金額になるんではないかなと思います。そういう意味で、今後ともの木村知事のご活躍をご祈念申し上げます。
そういうことで、せっかく知事が表に向かって県益のために一生懸命熱い思いを発していただいているんですから、例えば、市町村合併のことにしても、いろいろ外に対して述べる熱い思いを県内五十市町村に対してもさらに力強いご指導と適切なご助言を賜りたいと思います。
そこで、一つ知事に、改革知事として国で働いていただけないかなという問題があります。例えば、今、町村合併の話が出ました。残念ながら今、那賀郡六町は一つということにはなっておりません。岩出町が単独で十八年四月に単独市制をすると言っているし、粉河町、那賀町についても法定協議会を立ち上げられました。先ほど申し上げましたように、桃山町からの申し入れに対して、きょうは貴志川町で町長初め町議会の皆様と前向きに検討されて、法定協議会立ち上げに対しての正式な回答があると思うんです。そうしますと、残るは打田町。打田町も、漏れ承りますと、十二日に大変重要な発表があるということですから、よくわかりませんが、仮に大同合併する前段の合併であるときに、今問題になっておりますのは、人口の基準が国勢調査を基準にしなさいということになっているんですよね。
それで、今たまたま、私の資料、ここにあるんですが、貴志川町と桃山町が仮に合併するとした場合には、十七年の四月に合併するんでありますが、十二年の、つまり五年も前のデータをもとに基準を決めているわけです。五年前になります平成十二年十月の国調には、二町を合わしますと二万九千百二十人しかありません。ところが、十五年のこの十月現在で一千名ふえてます。住民基本台帳には三万百九十六名があり、つまり三年のうちに一千名がふえました。その前向きに改革しようと思うこの町村合併に対して五年も前にさかのぼった古い資料を使うとは何事なというふうに、私は強く怒りを覚えるんです。
だから、これだけ、例えば五万人の市の条件の人口が四万人になり、あるいは三万人になりということで、特例に次ぐ特例でいろんなことが変わりました。だから、裏を返せば、十七年の四月に市になっても、ひょっとしたら、前の資料では三万人達成されてても、市になった途端に人口が減っている場合、逆の場合もあり得るわけなんですよね。そういうことで、何にも元手が要りませんので、改革知事として一遍、東京の方へぜひ働きかけをいただけたらなと思います。そういうことで、ぜひ知事のご活躍を期待しておきたいと思います。
それから、南海貴志川線の問題でありますが、これは本当に大変なことでありますし、またある意味では、この南海が厳しい財政状況に見舞われている一因にも、ひょっとしたら関空へのあのラピートの引き込み線が大変大きな負担になっていると言われております。
きのうも、森議員が関空のことについてお話しになられました。当初は、あの公害・騒音対策で関空ができたら伊丹はやめると、そういうふうにして一本化するとおっしゃったはずであります。したがいまして、関空が利用客がふえるからということで、南海電鉄もあの一番値段の高いバブルの絶頂期にあの取り入れ線というんですか、あの線を買収しました。そういうことで大変大きい費用がかかっていますが、残念ながら、関空の二期工事も二〇〇七年にできるとかできないとかというような頼りない。その国策のあいまいさに翻弄された、本当にお気の毒、とばっちりを受けているのが南海電鉄そのものではないかな、そう思います。
そういう面もある中で、ぜひ問題解決のためにこの協議会の構成団体の中にも、あるいは和歌山市、貴志川町だけではありません。私も乗って実感しました。海南市の一部、あるいは野上町、桃山町、それから各学校単位のPTA、それらの多くの方々にもご参画をいただいて、その輪を広げて今後ともお取り組みをいただけたらとお願い申し上げておきます。
それから、紀州サンリゾート構想の話でありますが、残念ながら、県土整備部長は大変冷たいお話でありましたが、これもまあ厳しい財政では仕方がありませんが、その分、県道垣内貴志川線の改良を考えていくと、そういうふうにおっしゃっていただきましたが、あの紀州サンリゾートラインというすばらしい構想、全く真っすぐ北に向かって四百二十四号線に、しかも大阪に近いという理想的なあの計画をつくった理念をお忘れにならないように。地元の桃山町の皆さんやら、あるいは美里町の皆さんが大変期待しておりますので、今後とも何らかの形で実現に向けてお取り組みをいただけたらなと思います。
これは要望にしておきますが、知事、先ほどの人口の云々のことについて、もしご感想があればご見解をお伺いして、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 今の人口の話は、議員がご質問になるの、本当にいいところだと思います。二万九千人でどんどんふえていく地域においては三万人を超えて市になりたいと、市になるということによって合併していこうというふうなやっぱり機運が高まるということは僕は大いにあることだと思います。
ただ、その国調の人口と住基の人口の扱いということはなかなか難しい問題がありまして、これ今私、法制度みたいなやつを手元に持っているわけではありませんので、だけどそのおっしゃることの意味は非常によくわかるんで、よく調べて、しかるべき場所で、やっぱりこういう意見があるよと。それで、そういうことを認めなかったらまたそれが合併の阻害要因になるんだというふうなことは総務省の方にも言っていきたいと思います。
それから、合併の──今、総務部長と話してたら、期限が一年延びるんで、それとの絡みでまたその国調人口の扱いもちょっと違ってくる可能性もあるんで、いずれにせよ前向きに対応していきたい。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(吉井和視君) 以上で、山田正彦君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後三時四十七分散会