平成15年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
県議会の活動
平成十五年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
平成十五年十二月八日(月曜日)午前十時開議
第一 議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに報第八号(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに報第八号(質疑)
二 一般質問
出席議員(四十四人)
一 番 須 川 倍 行
二 番 尾 崎 太 郎
三 番 新 島 雄
四 番 山 下 直 也
五 番 小 川 武
六 番 吉 井 和 視
七 番 門 三 佐 博
八 番 町 田 亘
九 番 東 幸 司
十 番 浅 井 修 一 郎
十一 番 山 田 正 彦
十二 番 坂 本 登
十三 番 向 井 嘉 久 藏
十四 番 大 沢 広 太 郎
十五 番 平 越 孝 哉
十六 番 下 川 俊 樹
十八 番 山 下 大 輔
十九 番 小 原 泰
二十 番 前 芝 雅 嗣
二十一番 木 下 善 之
二十二番 谷 洋 一
二十三番 井 出 益 弘
二十四番 宇 治 田 栄 蔵
二十五番 浦 口 高 典
二十六番 藤 山 将 材
二十七番 原 日 出 夫
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 野 見 山 海
三十 番 冨 安 民 浩
三十一番 尾 崎 要 二
三十二番 阪 部 菊 雄
三十三番 花 田 健 吉
三十四番 角 田 秀 樹
三十五番 前 川 勝 久
三十六番 江 上 柳 助
三十七番 森 正 樹
三十八番 長 坂 隆 司
三十九番 中 村 裕 一
四十 番 新 田 和 弘
四十一番 松 坂 英 樹
四十二番 雑 賀 光 夫
四十三番 藤 井 健 太 郎
四十四番 村 岡 キ ミ 子
四十五番 松 本 貞 次
欠席議員(一人)
四十六番 和 田 正 人
〔備考〕
十七 番欠員
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
理事 垣 平 高 男
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 宮 地 毅
企画部長 野 添 勝
環境生活部長 津 本 清
福祉保健部長 白 原 勝 文
商工労働部長 石 橋 秀 彦
農林水産部長 阪 口 裕 之
県土整備部長 酒 井 利 夫
企業局長 西 芳 男
教育委員会委員長 駒 井 則 彦
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 大 岡 淳 人
警察本部長 宮 内 勝
人事委員会委員長 西 浦 昭 人
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 北 村 亮 三
職務のため出席した事務局職員
事務局長 中 原 洋 二
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 島 光 正
議事課副課長 藪 上 育 男
議事班長 鷲 山 智
議事課主任 尾 崎 善 亮
議事課主査 土 井 富 夫
総務課長 土 井 陽 義
調査課長 宗 野 幸 克
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課主査 保 田 良 春
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午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
【日程第一 議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに報第八号】
【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに知事専決処分報告報第八号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
三十七番森 正樹君。
〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 皆さん、おはようございます。
質問に入らせていただきます前に、先月末、イラク復興支援に奔走中の日本の外交官、奥克彦大使、井ノ上正盛一等書記官のお二人がテロの凶弾に倒れ、とうとい命を落とされました。このお二人は極めて優秀な外交官であり、我が国の国際貢献に欠くべからざる存在であり、日本及び日本人の誉れであると言っても過言ではないのであります。まさに余人をもってかえがたい人材を失ったことに痛惜の念を禁じ得ません。心からご冥福をお祈り申し上げます。とともに、断じて残虐非道なテロを許してはならないと思うものであります。
なお、十二月三日、尾崎要二議長は本県議会を代表して外務省に赴き、お二人の外交官の冥福を祈って記帳されたと伺っておりますことをあわせて申し上げておきたいと思います。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず初めに、関西国際空港に関する諸課題についてお尋ねをいたします。
去る十一月十九日から二十二日の四日間、関西国際空港エアポートプロモーション派遣団の一員として中国を訪問させていただきました。このエアポートプロモーションというのは、関西の各自治体と経済界のリーダーがみずから先頭に立ち、関西国際空港株式会社と連携して世界各国のエアライン、政府観光局等に対し直接要請を行うことで関西国際空港への新規乗り入れ、増便を働きかけ、その需要喚起、利用促進を目指そうという活動でございます。昨年から始まりましたけれども、本年は、和歌山県を初め大阪府、兵庫県、大阪市、大阪商工会議所、関西経済団体連合会などがアメリカ、フランス、イタリア、ロシア、フィンランド、タイ、ベトナム、マレーシア、中国、韓国など十二カ国、十二航空会社、政府関係機関を訪問、我々はその一環として中国政府及び山東省政府、山東航空株式会社などを訪れたものであります。中山次郎副知事を団長としまして、本県議会からは、門三佐博日中友好議連会長、和田正人同副会長、浦口高典関西国際空港対策特別副委員長、それに木下善之、前川勝久、浅井修一郎、花田健吉の諸氏と私、岸田俊規総合交通政策課長を初め当局の皆さん、それに関西国際空港株式会社の平野忠邦副社長など、十六名のメンバーでありました。関西国際空港対策特別委員長のゆえをもって、参加された先輩・同僚議員の皆さんのご了解のもと、代表してエアポートプロモーション活動の報告を申し上げるものでございます。
十一月十九日、午前八時に関西国際空港に集合した私たちは、直ちに結団出発式を行い、午前十時発、全日空一五九便で一路北京へ向かいました。午後一時過ぎ、現地時間午後零時過ぎでございますが、北京の首都国際空港に到着をいたしました。ただ、この首都国際空港から済南空港へ向かう国内線が現地時間で午後四時五十五分までありませんため、私たちは約五時間、空港内で待機することとなり、済南空港到着が午後五時四十五分、投宿先のホテル着が午後七時前ということになりました。まさにこの日は一日、移動に時間を要した結果となったのであります。それこそ、関西国際空港と済南空港の間に直行便があれば、約六時間、時間を短縮できるわけでありまして、ただでさえ今回は慌ただしい日程であり、貴重な時間を有効に利用できたのにと身をもって実感した次第であります。また、今回は済南から関西国際空港へ直行便の乗り入れ実現を働きかけるために我々はやってきたんだという決意を新たにしたところでございます。
翌日、私たちは午前八時にホテルを出発いたしまして、まず済南空港を視察いたしました。折から同空港は新ターミナルビルを建設中であり、その建設現場へも足を運びました。
続いて、午前十時には山東航空株式会社を訪問、意見交換を行うとともに、機体整備工場も見学をいたしました。
昼食の後、山東省政府を表敬訪問、直ちに省政府及び山東省外事弁公室、経済貿易委員会、旅遊局、科学技術庁の幹部、それに山東航空株式会社、済南航空株式会社のトップとの実務協議に入りました。孫守璞副省長の歓迎あいさつの後、中山副知事、門会長、私、平野副社長の順でそれぞれの立場から返礼あいさつを行った後、協議に移りました。
冒頭の歓迎あいさつの中で孫副省長は、「山東航空の航路開設の要望に来ていただいたことは両省県の発展にとってまことによいことであり、皆さんの訪問に感謝している。山東省から日本への観光ビザの発給も間もなく解禁されるので、観光・経済面での進展に大いに役立つと思う」との発言があり、また「本省と和歌山県は明年が友好提携二十周年であり、次の三つの点でさらに交流を強化していきたい」として、一、済南─関西国際空港間の直行便の開設、二、観光面での相互交流の促進、三、製造業面の交流の強化を一一〇%の力で進めていくとの並々ならぬ決意表明がありました。
また、李徳明旅遊局長は、「山東省は観光を重視している。GNPの五・七%に当たる年間六百十億元──日本円で一兆百六十六億円になりますが──の収入がある。今後、双方向で、一、山東省、日本、韓国で金の三角形──ゴールデン三角形──を形成する。二、山東省は孔子のふるさとであり、修学旅行に最適。農業資源も豊富なことから観光客の誘致に力を入れていく。三、中日間で観光交流のチームづくりを進めるの三点を重視して取り組んでいく」旨の決意が示されました。また李局長は、「山東省は九千万人の人口を抱えており、潜在能力は高い。ビザが解禁されれば、最初の訪問地は和歌山へと考えている」との話もありました。
一方、李俊海山東航空書記は、「我々は保有機材を現在の二十七機から五十機に、旅客数を現在の二百四十万人から六百万人へとふやす予定である。将来、国際線の運航が認められれば、日本、シンガポール、ロシアを予定しているが、中でも日本を一番重視しているので、一日も早い開設のために両省県の支援をぜひともいただきたい」と協調しておられました。
これに対して我々和歌山県側から、関西国際空港の利便性の高さ、新規乗り入れの際の着陸料の減免、和歌山県の観光資源が豊富であることなどをアピールした上で、山東航空の関西国際空港への新規路線開設に山東省政府を初めとする関係各方面の強力なご支援をお願いしたいと要請を行ったところであります。
約一時間三十分に及ぶ実務協議は、終始和やかなムードの中にも極めて実り多い話し合いとなり、関西国際空港への山東航空の新規乗り入れの実現に向けて双方が全力を挙げて取り組むことをかたく誓い合ったのであります。
この後、山東省のトップである張高麗山東省書記を表敬訪問の後、山東省政府主催歓迎レセプションに臨み、約三時間近くにわたって対話の花が咲きました。
三日目は、午前四時三十分ごろに起床いたしまして、慌ただしく朝食をとった後、午前六時にホテルを出発、済南空港八時発の国内便で一路北京へと向かいました。北京到着後、午前中は世界遺産である天檀公園などの史跡を見学、昼食の後、午後、中国民用航空総局を表敬訪問、直ちに日中間航空協議の中国側代表者である王栄華国際合作司長との対談に臨みました。
席上、中山副知事から「関西全体が山東航空を初め中国からの便の関西空港への乗り入れを希望している。山東省とは二十年以上のおつき合いであり、また山東省は日本への観光ビザ発給解禁の有力な省でもある。山東省とも協力して新規就航に力を入れていくので、ぜひとも認可をお願いしたい」との申し入れを行いました。
王司長は、「前回の日中航空協議で増加した便は関西国際空港に集中しており、今後とも増加していくと思う」と前置きした上で、「山東航空の指定に当たっては、和歌山県と山東省との間で長年築き上げてこられた友好関係を大いに考慮する。皆さんが来る前に山東航空の副総裁とも話をした。市場ニーズの分析が必要であるが、新規就航は交流推進に役立つと思うし、和歌山県の後押しは大きな力になる」と、心強い答弁をいただいたところであります。このほか、さまざまな点に話題が及び、約一時間の話し合いは実りのあるものとなりました。
この後、中山副知事と私は皆さんと別れて、イトーヨーカ堂の合弁企業である華堂商場を訪問いたしました。このことについては後の項目の中で申し上げたいと思います。
なお、余談ですが、北京市は現在二〇〇八年のオリンピックの開催に向けて急ピッチでインフラ整備を行っております。つい最近も環状高速道路が一つ供用開始されたにもかかわらず、爆発的なマイカーの増加で朝夕は大変な交通渋滞でありました。一行と別れて華堂商場を訪ね、一時間以上にわたって意見交換と売り場見学をした中山副知事と私たちはこのラッシュに巻き込まれてしまいまして、六時半に設定されていた夕食会場に小一時間もおくれて到着する羽目になってしまったのであります。
さて、四日間にわたる文字どおり駆け足の中国訪問でありましたが、種々ご報告申し上げましたとおり、今回のエアポートプロモーション活動は内容のある実り豊かなものとなったと実感しております。四日間、ゆっくりとお土産を吟味する時間もないほど強行軍の日程ではございましたが、和歌山県と山東省のさらなる友好提携の促進と関西国際空港への山東航空の新規乗り入れの実現という大きなお土産を持ち帰れたと確信しております。参加された皆さん、いかがでございましょうか。(拍手)──ありがとうございます。
そこで、今回、団長としてご苦労いただきました中山副知事から、山東航空の関西国際空港への新規乗り入れ実現を含め、このエアポートプロモーション派遣団の成果報告をしていただきたいと思います。
二点目、明年は皆さんご承知のとおり、和歌山県と山東省との友好提携二十周年に当たります。直行便の実現というチャンスでもあり、どのようにこの友好提携二十周年の記念事業を進めていかれるおつもりであるのか、あわせて副知事からご答弁をいただきたいと思います。
第三点、本年夏に県企画部関西国際空港対策室が行った関西国際空港利用者アンケート調査に関連してお尋ねをいたします。
この調査は、県内の関西国際空港利用者の動向と意見を把握するため、本年七月二十八日から八月三日にかけて一週間、毎日七時間、JR和歌山駅東口の空港リムジンバス乗り場で実施されました。既に本年九月定例会の初日に開かれた関西国際空港対策特別委員会の席上報告され、また一般にも既に公表されておりますのでご承知の方もあろうかと存じますが、何点かポイントとなるところを披露したいと思います。
関西空港を利用する頻度について聞いた質問では、年二、三回というのが一番多くて、あとは続いて年四回から六回、月一回となっております。また、航空機を利用する目的について、出張が五九・五%、観光が二八・八%、半分以上、約六割が仕事で使っているという結果が出ております。目的地につきましては、国内線が八八・四、海外が一〇・三。国内線を利用する人たちのうち、羽田便が七六・六%で最も多く、続いて福岡便、札幌便、那覇便となっております。すなわち、四人のうち三人が羽田便を利用しているという結果であります。
そして、この国内線を利用する際不便を感じることがあるかという質問に対しましては、不便が多い一五・八%、時々不便を感じるが三〇・四%、四六%の人が不便を感じていると答えております。約半数であります。これを羽田便を利用する人に限定しますと、不便を感じているという人が五一%に上りまして、半分以上であるということが明らかに出ております。
その不便を感じている内容については、便数が少ないであるとか、時間帯が悪いというのが多数を占めておりまして、羽田便に対する不満を感じている人が多いということがこの調査で結果としてあらわれているように思います。
そこで、私いつも申し上げているところでございますけれども、そもそも関西国際空港は、伊丹空港の深刻な騒音問題を背景として、世界の趨勢となっている二十四時間運用可能な真の意味での国際空港たるべく、さまざまな紆余曲折を経て泉州沖五キロメートルの海上に埋め立て方式で約一兆五千億円もの巨費を投じて、関西の総意として、国のまた方針として建設されたという経緯があることは皆さんご承知のとおりであります。
和歌山県としても、オール関西という観点から、関西国際空港を支援していくため約五十一億円もの出資をし、さらに現在行われております二期事業分も含めますと百五十億円になんなんとする巨費を負担することとなっているのであります。これは、国土交通省、大阪府、財務省、大阪市に次ぐ第五位の株主として資金においても大きくかかわりを持っていることになるのであります。
関西国際空港が開港したことにより、アクセスが極端に悪かった伊丹空港と比べまして、本県からのアクセスは格段によくなり、平均で一時間以上、場合によっては約二時間も短縮された形になっております。このため、国内線利用率において関西各府県の中でも圧倒的にこの和歌山県の関西国際空港利用率が高くなっておりまして、県民の海外出国率も関西国際空港の開港前と比較して大幅に増加しているのであります。まさに関西国際空港は和歌山県のための空港と言っても過言ではないわけであります。
ところが、関西国際空港を取り巻く状況は、現在決して予断を許さないものがあると言えます。国際線に関しましては、一時のSARSやイラク戦争の影響を克服して回復基調にありますが、事国内線に関しては、関西と伊丹の間で国内地方空港と結ぶ路線における格差がこの数年とみに顕著になってきているのであります。その格差の現状については本年六月定例会で申し上げたばかりでありますので、ここでは割愛をさせていただきますが、六月から半年でその格差はますます広がっていることを指摘しておきたいと思います。
また、総トータルでこの伊丹、関西から日本全国の地方空港に飛んでいる便は全部で二百十二便ありますが、そのうち関西は五十七・五便、伊丹が百五十四・五便、すなわちパーセントで言いますと関西は二七・一二%、伊丹が七二・八八%ということで、約七三%が伊丹から飛んでいるという今の現状であります。国内線、国際線の乗り継ぎ利便性において成田空港を圧倒し、二十四時間運用可能な我が国で唯一と言ってもいい国際ハブ空港というべき関西国際空港の特性が大きく損なわれるという、今憂慮すべき事態、危機にあると言わざるを得ません。
以上、るる申し上げました点を踏まえ、本来利便性の高い関西国際空港に対してほぼ半数の人が不便を感じていると答えていることについて、県としてはこの数値をどう判断し、今後どう対処していくおつもりでありますか、企画部長のご所見を承りたいと思います。
第四点目、去る九月定例会の会期中に、私ども関西国際空港対策特別委員会として関西国際空港の二期埋め立て工事の現場を視察し、あわせて村山敦社長を初め関西国際空港株式会社の幹部の皆様と意見交換をしてまいりました。
ところで、私はいつも出張のときは、また私的な旅行のときも極力航空便、それも関西空港を利用するように心がけておりますが、離着陸のときに飛行機の窓から眼下に広がります二期埋め立て工事現場を眺めていたときはそんなに大きなものとは感じておりませんでした。しかし、実際にこの足で埋め立て工事現場に立ってみますと、この埋め立て工事の現場がとてつもなく大きく広く、今さらながらこの事業がいかにスケールの大きなものであるかということを実感として肌で感じ取って帰ってまいりました。
このときは九月十一日でありましたので、既に三カ月が経過しているところでもあり、現時点での二期工事の進捗状況はいかがでありましょうか。また、一部で当初予定されていた二〇〇七年の供用開始を危ぶむ声が聞こえてまいりますが、そのおそれはありやなしや、企画部長の答弁を求めるものであります。
次に、和歌山県の優良産品(和歌山ブランド)の販路開拓についてお尋ねをいたします。
初めてこの問題を取り上げて一年有半、初めは現ブランド推進局長が商工労働部付の担当参事として主に一人で取り組んでおられました。本年度はブランド推進局という組織を立ち上げていただき、職員も十九人の体制に強化していただきました。以来八カ月、和歌山産品フェアもイトーヨーカ堂を中心に十一回、売上総額も二億五千万円を超えたと聞き及んでおります。まずは順調な滑り出しと評価して差し支えないと思います。
そこで、本年度のこれまでの成果について商工労働部長の答弁を求めるものであります。また、これまで取り組んでこられた中でさまざまな課題も浮き彫りになってきたと思いますが、この点もあわせてお答えをいただきたい。
第二に、和歌山の優良産品の海外への販路開拓についてであります。
特に東アジアの韓国、台湾、中国等が当面のターゲットとなっていくと思われます。将来の課題として、これらの国々に対してシェアを拡大していく道筋を開いていく必要があると私は思っております。
前段で申し上げましたとおり、中国へのエアポートプロモーション派遣団の訪問三日目の夕刻、忙しい合間を縫って副知事と一緒にイトーヨーカ堂の北京店・華堂商場を訪問いたしました。営業本部長の佐野正之氏、食品部長の萩原忠孝氏の二人と約一時間にわたって意見交換をし、店内も見学させていただきました。佐野本部長らの出店以来の五年間の失敗談や苦労談を聞く一方で、中国市場の特質や消費動向、中国人民の好みなど、さまざまな質問もぶつけたのであります。結果、次のような幾つかの点が明らかになりました。
まず、衣料品に関しましては、日本人とは全く色の好みが違う。派手な色は好まれないということが一つ。それから、関税によりまして日本からの輸出品は非常に価格が高くなる。中国に進出している日本企業が現地生産したものを仕入れて売っている。すなわち、結論として輸入品は全く売れないということであります。
それから、食料品に関しますと、柑橘類はミバエの問題があって輸入禁止、それからしょうゆなどは大変価格が高くて日本からの進出企業の駐在員用にしか売れない。中国産野菜は豊富で、スイカなどは日本の種を導入して品質が非常によい。ちなみに、北京で消費される野菜や果物のほとんどはこの山東省で生産されているということであります。米価でありますが、日本の約十分の一。十キロ五百円ぐらいで売られております。最高級のコシヒカリでもキロ百四十三円。
それから、化粧品に関して言いますと、資生堂製品を資生堂というブランド名で売っても売れなかったのに、中国名ブランドに変えると売れ出したと。この店の周辺に住んでいる顧客の月収は平均千二百元。約二万円でありますが、この層が手の出せる価格に設定しなければ売れない。ところが、必要とあれば結構値の張るもの、例えば月収の五分の一、二〇%ぐらいのものでもぽんと買っていくという、そういうことを言っておられました。また、考えられないほどの超高級層、高所得者層があるということも事実であります。以上のようなことが、かいつまんで申し上げるとわかりました。
巷間言われておりますごとく、中国は人治主義の国で、人が治める主義の国であり、何事も人脈でございまして、人で決まる国であります。流通業界でも人脈が殊のほか重視されていることは論をまたないのであります。意見交換の中で期せずして一致したのですが、政府等の幹部や一部の成功した人たち、それに日本を初めとする海外商社マンなどをターゲットとして高級品専門店で超一流品を扱えば商売になるということが感触として得られたように思います。
そもそも、東アジアの国々は、歴史的にも文化的にも長い交流を重ねてきた結果、共通する部分が非常に多く、食文化の面でも同じことが言えます。特に日本と韓国は、庶民の食文化という点で全く似通っていると申し上げても過言ではありません。味つけの仕方こそ少し違いますが、食材という点ではほとんど同じであると言えるのではないでしょうか。
例えば、納豆。あの糸を引く納豆でありますが、関西以西では余り食卓に頻繁に乗るというものではありませんけれども──ちなみに私は大好きですが──関東以北では毎日のように口にするもので、いわゆるポピュラーな庶民の食べ物であります。あの納豆が、非常に変わった食べ物でありますので、日本独特のものと私は長く信じ込んでおりました。ところが、韓国にもこの納豆が庶民の食べ物として存在するのであります。
もう一つ例を挙げたいと思います。皆さん、ホヤという海の食材、ご存じでしょうか。関西の人は余り知りませんが、別名、形から「海のパイナップル」と言われておりますけれども、この独特のまことに強烈な海のにおいのする食べ物。東日本、特に東北、北海道ではもうホテル、旅館なんかに泊まりますと必ずおかずの一品に出てくるぐらい普通によく食卓に上る食べ物であります。このホヤがまた、韓国では庶民の間で普通に口にされているのであります。
こういう一例を挙げましたけれども、事ほどさように、東アジアはいろんな意味で共通する部分、通じ合うところが大いにあるということであります。将来、和歌山の優良産品を売り込める土壌はあると私は思うのであります。商品の選別や販売方法、ルートなど、今後まだまだ研究の余地は残されてはおりますが、将来の課題としてぜひとも考えていっていただきたい。このことについて、木村知事のお考えを承りたいと存じます。
三点目、和歌山の優良産品の発掘と品質向上の取り組みについてであります。
本年行われました和歌山産品フェアにおいて出品された主な品目を見てまいりますと、梅干し、ミカン、カキ、干物、和歌山ラーメン、漬物、みそ、ゴマ豆腐、ジュース、菓子類などでありますが、もっと県内を歩いて発掘していけば、これ以外の商品となる優良産品はまだまだ存在すると私は思います。この点、今後どう取り組んでいくおつもりでありますのか、商工労働部長のお考えを聞かせていただきたい。
四点目に移ります。
本年度から、ブランド推進局の職員のうちから二人がイトーヨーカ堂へ研修派遣されておりますが、この二人の若者は派遣されて八カ月、ブランド推進局の幹部が久しぶりに会いますと、明らかに成長して最近目つきまでが生き生きと変わってきた、そういう印象を受けたという報告を聞きました。私は、県職員の研修に関して民間企業への派遣が一番であると、大いに民間へ行かすべきだということを申し上げてまいりました。派遣職員の目の輝きが見違えるほど変わったという報告を耳にし、私は我が意を得たりと快哉を叫んだのであります。このことも含め、和歌山の優良産品の販路開拓について今後さらにどう拡大し、どう取り組んでいくおつもりであるのか、木村知事のお考えをぜひとも聞かせていただきたいと思います。
最後に、NPOとの連携についてお尋ねをいたします。
平成十年十二月、特定非営利活動促進法が施行されて今月でちょうど五周年となりました。同法の施行によって法人格の取得は容易となり、現在全国で一万三千を超える団体がNPO法人として認証されるに至っております。
ところで、私は平成七年十二月定例会におきまして、「百八万県民総ボランティア運動の提唱と推進について」と題して一般質問をいたしました。ちょうど八年前であります。この中で私は、「今、新ゴールドプランが発表され、利用しやすい保健福祉サービスと医療との連携などを目指されているが、その成否のかぎを握っているのはマンパワー、人の問題である。ホームヘルパー、看護婦、保健婦といった人材の育成に自治体が真剣に取り組み、必要な人員の確保に努めなければならないことは言うまでもありませんが、これらのマンパワーを補完し、より重層的な福祉型社会を実現するかぎはボランティアの存在である。百八万県民すべてが自分の置かれた立場や能力に応じ全員で何らかのボランティア活動に従事する、そんな社会こそ本当の高福祉社会である。もちろん、企業、団体も企業メセナの精神にのっとり社会貢献すべきである」と提唱したところであります。当時はまだ「NPO」という言葉は広く使われておりませんでしたし、私も言ってはおりませんが、この「ボランティア」を「NPO」に置きかえても何の違いもなく、その精神は同一と考えます。
和歌山大学生涯学習教育研究センターの堀内秀雄助教授はこのことについて、このように言われております。「日本においてNPOの社会的使命が着目されだしたのは、バブル経済崩壊後の一九九〇年代の初めであろう。そして、一九九五年一月に起こった阪神・淡路大震災の悲劇に自発的意志で展開されたのは、百五十万人を超える空前規模のNPO・ボランティア活動であった。ボランティアという言葉は以前から使われていたが、当初は主として主婦たちの余暇活動の一環であり、社会的弱者支援を中心とする「無料奉仕」活動に限定されていた。七〇年代から八〇年代にかけては、自己実現・まちづくり型の活動へと広がりを見せた。やがて、九〇年代に入ると、ボランティア活動は共生型のNPO・市民活動へと大きく合流していく。その契機となる起爆剤は、何といっても前述した阪神・淡路大震災の大救援活動である。このうねりはまた、一九九八年十二月の特定非営利活動促進法(いわゆる「NPO法」)の成立となって結実する」というように言われております。
ボランティアとNPOの合流の歴史についてこのように述べておられますが、さらに今後の問題として、「NPOが行政及び企業セクターと連関していく基本コンセプトは、協働・パートナーシップという概念である。今後、三つの社会セクター、行政・企業・NPOが個別の特性を発揮しながら多彩な社会サービスを供給・創造していくためには、とりわけ市民セクターであるNPOの主体的力量の成熟が不可欠である」とも指摘しておられます。
また、NPOの社会における価値について堀内助教授は、「NPOは、単に社会を構成する第三のセクターとしての存在にとどまらない。NPOの登場は、現在の危機的な社会システムをドラスチックに改革し、新しい公共性を担う主体に発展していく可能性を秘めている。むしろ、NPOこそ二十一世紀を希望の社会につくり変えるキーワードである推進力」と言っておられます。
また、十二月三日付「読売新聞」、暮らしのページでも「法施行から五年 質問われるNPO法人」との見出しで、平成七年一月に起きた阪神・淡路大震災をきっかけとして、ここでのボランティアの目覚ましい活躍ぶりが社会の大きな力としての市民団体の役割を認識させたことを紹介しております。
以上、るる述べてまいりましたが、木村知事は「読売新聞」の「全国知事リレー講座」の中で、「和歌山はまだまだNPOの数は少なく揺籃期。来年は「NPO元年」を目指しています。活動に大いに期待し、行政もNPOとの協働に方針を変えていかなければなりません」と述べておられます。また、本年九月定例会の予算委員会において、浦口議員の質問に対する答弁の中でも同様の趣旨の発言をしておられます。明年をNPO元年にという知事の発想について、その具体的考え方をぜひとも聞かせていただきたい。
第二に、すべての部局がNPOとのかかわりを持ち、対応をしておられると思いますが、時間の制約もありますので、環境生活部、福祉保健部、教育委員会の三部局に限ってお尋ねいたします。それぞれの部局において具体的な取り組みについてご答弁をいただきたい。
なお、教育長には学校現場でのボランティア精神やNPOとのかかわり、公共心の涵養などについて、児童生徒への教育の取り組みについてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
第三に、ふるさとづくり企画に係るNPOの提案について、その成果のほどはいかがか、環境生活部長の答弁を求めるものであります。
以上で、第一質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず最初の、東アジア、中国、韓国、台湾、特に中国への和歌山産品の販売というふうなことでございます。
非常に大事な視点だと思いますし、今後、中国は世界の工場としてよそへ輸出をする立場から逆に中国自身が大きな市場として──十三億の人がいるわけですから──出てくるという形になってくるわけでございますけども、基本的には、日本の工場が行って中国内で物をつくってそれを売っているというふうな形が基本になってくると思うので、特に第一次産品などを中国へ持っていって売るというのは、そのイトーヨーカ堂で森議員が調べてこられたとおりだろうと思います。
やはり、これからこの中国を新たに和歌山の産品を輸入する市場と考えようと思えば、新しいビジネスモデルを考えないとなかなか難しいだろうと思います。そのときには、他県で成功している例の徹底的な検証、それからもう一つは、山東省と友好関係を長く続けてきており、非常に厚い人的な関係がある、このことを利用しない手はないということでございますので、これは一朝一夕にはいかないんですけども、せっかくその部分で和歌山県はよそに先んじている面があるわけですから、早くそれが活用できるような方向を見出さないといけませんし、それから、和歌山の産品として、これは工業製品とかそういうふうなものの方がいいと思うんですけども、そういうふうなもので中国へ出しても十分付加価値がついて買ってもらえるというふうなものがどんなものがあるかというふうなことについて、もっと研究を進める必要があるというふうなことだろうと思います。
それから、第二点の和歌山ブランドの売り出しということで、ことしからイトーヨーカ堂に県の職員を二人バイヤーとして派遣して、非常に活躍してくれております。イトーヨーカ堂でのソフトアンテナショップ、大成功しているということで、ことし限りに終わらずに来年にもつながっていくということで、これは本当に私も喜んでいるし、ほかからもまた同じようなことをもっとやってくれませんかというような引き合いも多数来ているということなので、どんどん広げていきたいと思います。
イトーヨーカ堂のことが、ある意味ではきっかけになって、紀ノ国屋、それから有田のミカンなんかを高野とか、こういうすばらしいフルーツショップで売るとか、いろんなことも広がってきておりますし、それから、来年の二月には和歌山県のアンテナショップを有楽町に出すと。さらには、三年目を迎えましたふるさと和歌山わいわい市場も売り上げが倍増してくるというふうに、徐々に非常に成果が上がってきている。こういうふうなことをトータルに相互に連携しながら和歌山の産品のよさというふうなものを外へ発信していくということが、この時代には非常に大事だろうと思います。つい先日も、何か和歌山のシラスがテレビに出たら、東京の方で買いたいという人が列をなしたという話も聞いております。今はそういう時代ですので、いろんな形でこの和歌山ブランドというものの育成に努めてまいりたいというふうに思っております。
それから、第三点のNPO元年ということです。
先般、浦口議員の質問に答えてNPO元年と──まあ、ある意味ではちょっとおこがましいんです。実は、和歌山県にはまだ百ほどしかNPOがなくて、よその県より進んでいるというふうな状況じゃないんですけども、今のデフレ社会──デフレ社会というのは、ある意味では弱肉強食の社会になってくる。一方で、地方公共団体の方は収入も非常に少なくなってきていて、ここに物すごいジレンマがある。やらないといかん仕事は前よりもふえてくるけど、入ってくるお金は少ない。そういうふうなときには、やはり考え方を変えて、住民の人と連携しながらいろんなことをやっていくという方向にやっぱり変わっていかないといかんだろうと思うんです。行政を公務員だけがやるんじゃなくて、アウトソーシングしてNPOの人に助けてもらうことも必要でしょう。
そして、そういうことは、常にお上と住民というふうな発想じゃなくて、本当にイコールパートナーとしてお互い切磋琢磨していくというふうな考え方が必要だということから、まずこれは公務員の方の意識改革も大事なんで、庁内に横断的な組織をつくってこのNPO対策を進めていきたいと思っておりますし、それからまた、和歌山は必ずしもこの面ではそんな先進的な県というわけじゃありません。既にもっともっと進んでいるような自治体はたくさんあるわけですから、そういうところへ積極的に出ていって、どういうことがうまくいった例かというふうなことを聴取してきて、一番いいような形に持っていくと。おくれてきた者が一番おいしいところをとるということも世の中にはあるわけですから、そんな形で積極的にやっていきたいということを「NPO元年」という言い方で言いましたので、ぜひ議員各位にもいろんな形でご支援いただけたらと思っております。
○議長(尾崎要二君) 副知事中山次郎君。
〔中山次郎君、登壇〕
○副知事(中山次郎君) 森議員にお答えします。
まず、エアポートプロモーション活動の成果報告についてでございますけど、今回の関西国際空港エアポートプロモーションに際しまして県議会からご参加いただいた議員の皆さんに対して、改めて厚くお礼申し上げたいと思います。
森議員から詳しくご報告ございましたが、中国の発展ぶりはよく言われているところでございますけど、今回訪問しました中国山東省では、自動車時代に対応した高速道路の建設、あるいは海外進出等を目指した空港建設等が急ピッチで進んでございまして、そのことを目の当たりにしたところでございまして、そのような中で済南空港の新ターミナルビルの建設現場、あるいは山東航空の視察、山東省のトップでもあり、さきに知事表敬をされた張書記、あるいは実務を担当する孫副省長との会談、また中国政府では、山東航空の関西国際空港への新規就航につきまして、日本・中国航空当局者協議の代表者でもある王栄華氏との意見交換を活発に行うなど、終始率直な話し合いができたものと思ってございます。また、山東省との交流も深めてまいりました。
山東航空が関西国際空港へ乗り入れをするためには、日本・中国航空当局者協議におきまして中国側から山東航空を指定してもらう必要があります。このたびのプロモーションにおいては、王氏より「山東航空の新規就航に際しては今回のプロモーション活動は大きな力になり、和歌山県と山東省の長い友好関係を大切にしたい」との前向きな回答がありました。二十年にわたる両省県の皆様の地道な交流を強く感じたところでございます。また、済南空港当局者の一行が早速、来週中に関西国際空港を視察に来る予定で、国際線の開設が積極的に進められております。
本県としましては、今回のプロモーションを契機として、さらに国土交通省等との連携を図りながら、中国民用航空総局へ働きかけてまいりたいと思っております。近い将来、山東航空が関西国際空港へ新規就航することを強く確信しているところでございます。
次に、和歌山県と山東省との友好提携二十周年につきましては、昭和五十九年四月十八日に友好提携して以来、経済、文化、教育、観光等、さまざまな分野で交流を重ねてまいりました。来年度は、友好提携二十周年という記念すべき年に当たります。
現在、記念行事につきましては山東省政府と調整を重ねているところでございますが、それぞれの県省の国際空港へのアクセスの有利さを生かしまして、県民参加の友好提携二十周年記念交流団を相互に派遣し、人的な交流を図ることを検討してございます。また、日本と中国の経済関係がますます緊密化する中、中国のWTOへの参加など、相互互恵によりましてこれまでの交流をより実質的なものとして成果を得られるよう、経済面での交流をより推進していきたいと考えてございます。
友好提携二十周年を迎えるに当たりまして、山東航空の関西国際空港への新規就航が実現すれば大変タイムリーなことであり、さらなる交流の促進を図れるものと考えてございます。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 関西国際空港利用者アンケート調査結果につきましては、議員ご指摘のとおり、羽田便の問題点が如実に出る結果となっております。県といたしましても、この結果を真摯に受けとめまして、先般、国土交通省、関西国際空港株式会社、日本航空、全日空に、より利便性が高いダイヤ編成を望む県民の生の声を伝えてまいりました。
また、十一月十四日の阪和開発連絡協議会におきましても、大阪府に対し、関西国際空港と伊丹空港のあり方については国が責任を持って必要な措置を講じることが必要であると提案しまして、これを踏まえ、先日、両府県が共通認識を持って国に対し要望活動を行ったところです。引き続き、関西国際空港全体構想促進協議会とも連携を図り、国に対し強く要望をしてまいります。
次に、関西国際空港二期事業の進捗状況につきましては、十一月下旬から埋め立ての最終段階である二次揚土が開始され、既に二本目の滑走路と連絡誘導路となる部分の埋め立てがほぼ終了しております。十一月末現在で全体計画面積五百四十二ヘクタールのうち四百二十二ヘクタールが陸地化し、施行数量ベースでの進捗率は約八〇%となっております。
また、二〇〇七年の平行滑走路供用開始につきましては、昨年十二月の財務・国土交通両大臣の合意により、予定どおり用地造成を進めることとなっております。ただ、供用開始に必要な施設の整備につきましては、需要動向や関西国際空港株式会社の経営状況等を踏まえ、来年末に最終判断が下されることとなっております。
県といたしましては、予定どおり平行滑走路が供用されるよう、引き続きエアポートプロモーションなどを実施し、積極的に関西国際空港の需要喚起、利用促進に取り組むとともに、国に対し強く要望をしてまいります。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 県産品の販路開拓に関しての二項目について、お答え申し上げます。
まず、本年度の成果と課題についてでございますが、イトーヨーカ堂でのソフトアンテナショップにつきましては、現在まで神奈川、千葉、東京の七店舗で開催しております。特に六月には梅を中心に、十一月にはミカン、カキを中心に約百八十店舗での全店企画を開催し、売上高の合計は約二億四千万円に上ってございます。さらに、十一月には銀座三越の「紀州味紀行フェア」や紀ノ国屋国立店での「紀の国和歌山フェア」等を開催し、合わせて約千四百五十万円の売り上げがありました。
開催に際しましては、現地の新聞やラジオ等への広報やチラシの配布、またダイレクトメール等により集客を図るとともに、催事場における観光宣伝や各種イベント等を開催し、販売促進と本県のPRに努めたところであります。来店客の反応もよく、「和歌山といえば梅とミカンしか知らなかったが、こんなにたくさんのよいものがあるんですね」という声や、「和歌山県は全くなじみがなかったが、一度行ってみたくなった」という声も多く聞きました。生産者の方々も、「直接バイヤーの意見が聞け、品質面など大変勉強になった」、また「首都圏への販路開拓の道筋ができた」などと、好評でした。総合的に当初の予想を上回る成果があったものと考えますが、今後これらの活動による詳細な結果分析と一層の消費者ニーズ、生産者ニーズの把握が販路開拓をさらに一歩進めるための課題であると認識しております。
次に、和歌山の優良産品の発掘と品質の向上につきましては、各振興局に配置した推進員や各市町村と連携を密にしながら、県内幅広く広報することにより、商品情報を収集するとともに、希望する生産者を取りまとめ、イトーヨーカ堂や紀ノ国屋との商談会等を開催し、発掘に努めているところであります。
また、品質の向上につきましては、商談会等におけるバイヤーの評価はもとより、小売現場での消費者の反応やアンケート結果などを生産者にフィードバックすることにより売れる商品づくりを支援し、県産品のブランド化に向け引き続き努力をしてまいります。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) NPOとの連携について、まず第一点目のNPOとのかかわり、対応についてでございますが、NPO推進を担当いたします環境生活部といたしましては、全庁的NPO推進の中心となって取り組んでいかなければならないと考えてございます。
まず、行政の意識改革と協働事業推進のためのさまざまな問題解決を図っていくため、副知事をトップに各部長等で構成するNPO推進庁内連絡会議を新たに設置し、協働の定義、目的、方向、具体的事例及び事務処理方法等を定めたガイドライン策定を行い、庁内各部局の協力を得ながら積極的に協働事業が推進されるよう取り組んでまいります。また、パートナーシップ協議会を早期に立ち上げ、NPOと行政の相互理解を深め、連携しやすい環境づくりを進めてまいりたいと考えてございます。
個々のNPOとの連携についても、自然環境の保全、地球温暖化対策、青少年の健全育成、食の安全及び男女共同参画社会での推進等、業務の委託を初め、実行委員会への参画、イベントの共催など、さまざまな形態でのNPOとの協働に取り組んでいるところであり、今後、所管する業務の中でNPOとの連携が可能で効果的なものについて協働事業を積極的に推進してまいりたいと考えております。
次に、二点目のNPOからのふるさとづくり企画提案事業につきましては、NPOの特徴である柔軟な発想と行動力を生かしてさまざまな行政課題を探り、その解決を図るという趣旨で、平成十四年度に初めての試みといたしまして実施いたしました。十四年度には五十五件の提案があり、六事業を採択し、県からの委託事業として実施いたしました。本年は七事業を採択し、現在、事業を実施中でございます。
平成十四年度に採択いたしました事業につきましては、自然環境の保全、不登校児童生徒への対応、子育て支援、青少年の健全育成等、多様な分野で独創的なアイデアが提案され、これまで行政の手が届かなかったきめ細かいサービスが県民に提供されました。これらの事業は、平成十五年度もそれぞれのNPO独自の事業として継続されております。提案が採択された団体につきましては、当該団体の活動が広く認知され、市町村からの事業委託がふえるなど、団体の信用力向上と活動機会の拡大に大きな効果があったものと考えられます。
また、県庁内のNPOとの連携の窓口となった課が、今年度は自主的にさまざまなNPOとの連携事業を実施しており、県庁内でのNPO推進にも大きく寄与したものと考えております。NPOに活躍のチャンスを提供し、自主的な発展を促進するとともに、行政や県民のNPOに対する理解と認識を向上させる上で当事業は効果的な事業であると評価しているところであります。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) NPOとのかかわりと対応についてお答えいたします。
現在もNPOの皆さんには高齢者や障害者、また難病患者の皆さんの在宅支援や地域生活、就労、生きがい支援を初め、地域における子育て支援など、地域福祉や健康対策等、各種施策の推進に幅広く貢献いただいております。当部の業務につきましても、介護支援専門員の資質向上のための事業を初め、エイズ予防対策のためのカウンセリング事業や子育て支援に係る情報提供体制の整備事業等を通じて、NPOとの連携による事業展開を図っております。
しかし、少子高齢化が急速に進み、ますます多様化する地域の福祉ニーズに対応するためには、NPO活動をなお一層充実し、強化いただくとともに拡大していただくことが必要と考えております。当部といたしましても、福祉、保健、医療等に関する相談業務や各種の支援事業等、NPOとの協働事業を促進し拡大するため、NPO関係者の皆さんを初め、住民や社会福祉関係事業者等との連携を強化してまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) NPOにつきましては、地域におけるさまざまな教育活動の新たな担い手として大いに期待しているところであります。既に、きのくに県民カレッジにおける講座の提供を初め、各種研究会においてNPOとの連携をテーマに取り上げるなど、協働(パートナーシップ)の可能性を探りつつ、取り組みを進めているところでございます。
また、学校教育におけるボランティア精神の育成についてでございますが、道徳や特別活動を中心としてその取り組みを進め、保護者や地域との連携をより深めながら地域に貢献する態度を育てるとともに、生徒自身の自立心、公共心等を身につけさせるためにも極めて重要であると認識しております。
こうしたことを踏まえ、各学校ではボランティア活動への積極的な参加を呼びかけており、児童生徒の老人福祉施設への訪問、自然保護活動や地域の人々と協力した環境美化活動、国際交流や災害復旧支援活動など、幅広い分野で積極的な参加が見られております。
今後、こうした活動をより一層拡充するよう努めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) この際、申し上げます。
所定の時間が過ぎておりますが、質問をされますか。
〔「なし。答弁長いから再質問できへんやないか」と呼ぶ者
あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、森正樹君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
十三番向井嘉久藏君。
〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 おはようございます。一番バッターの森議員が長打を放ちましたので、私は手がたくバントでいきたいと思います。
議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
一番目は、県の広報、マスメディアへの対応についてでございます。
マスメディアの重要性、また影響力等は論をまつまでもございません。かつて、ケネディが米国大統領選に立候補したとき、いち早くマスメディアの力を見抜き、その影響力をフルに利用し、相手候補に圧勝した逸話は余りにも有名であります。また、隣国の独裁者は、国民を教育とマスメディアを利用することにより国論をも操作しているとも言われております。我が国でも、「アナウンス効果」という言葉があるように、選挙のたびに国民の意思を操作しかねないのではないかと思われるような節もあるマスメディアもございます。このように、マスコミの力は絶大であり、その影響力は国民の生活様式をも変えてしまっております。また広報は、知ってもらいたいことを誤りのない形で周知することで、よい選択を促すことができるのであります。マスコミに正確な情報を提供するという意味では、広報は極めて大切であります。
このように、広報活動とマスコミ対応は切っても切れないものでありますし、また上手に活用させていただくことで本県にとっても大きな効用をもたらすものと考えるものであります。
十二月二日付で「産経新聞」に、全国自治体がインターネット上で先進的な施策を競い合う「第一回全国自治体・善政競争・平成の関ケ原合戦」で県の取り組みが国の施策をリードした事例として「「緑の雇用事業」の推進」が功名賞の産経新聞社賞を和歌山県が受賞いたしました。知事、おめでとうございます。和歌山県の名がインターネット上でも新聞紙上にも載った。いかにうまくマスメディアとマッチングできたかとのよい事例だと思います。
最近、ちまたでは「和歌山県がよくマスコミに取り上げられますよね」と言われているそうです。頑張ってくれてますよね、広報室さん。関係の皆さん。皆さんは、自分たちが頑張り、マスメディアに取り上げられ、テレビ、ラジオ、新聞等で報道されたことを広告料に換算すればどのくらいの金額になるかを計算したことがありますか。最近よくマスコミに取り上げられる和歌山へ観光してみようか、また、農産物を買ってみようかといったものまで換算すれば莫大な広告料になると、このように私は思います。
前段で皆さんの頑張りを「頑張ってますよね」と言いながら、あえて申し上げたいと思うのであります。
十一月二十六日、東京の都道府県会館で、午前中は和歌山、三重、徳島、高知の四県合同主催による東南海・南海地震に備える沿岸四県高速道路整備促進大会が開催されました。四県を代表して木村知事のあいさつで始まり、大会はスムーズに運営され、終了いたしました。引き続き午後からは和歌山県道路大会がありまして、県下の市町村長、議員が多数参加のもと盛大に開催され、実りある大会だと実感して帰ってまいりました。
翌日、マスコミはこのことをどのような扱いをしているのかということで、関連記事を探しました。各紙を見ましたが、見つけることはできませんでした。なぜかなと考えました。大勢の関係者が貴重な時間と金をかけてわざわざ東京まで出向き、大会を開催するのは、中央関係省庁に強くアピールするため以外の何物でもなかったと思うのであります。その催しがニュースとして取り上げられない。マスコミさんはどうしたんでしょうかと聞きたい。と同時に、重要な問題として、我々も考えてみる必要があると思うのであります。
関連記事が一つありました。二十七日付「読売新聞」が「道路族「今こそ抵抗を!」」としたものでありました。記事中、「三重県などが──これ大事なとこですが──主催して」云々とありました。前段で申し上げましたとおり、木村知事が主催四県を代表して大会冒頭にあいさつした大会でもあったにもかかわらず、和歌山県の名が出てこない。広報の足りなさを証明した例ではなかったかなと、こういうふうに思うのでございます。
総じまして、日本は昔から広報のまずさが、諸外国に比べ下手だと言われ、外交下手にもつながっていると思うのであります。県としていかにこの問題に対応していくのか、今後の重要な課題でありますので、知事公室長に和歌山県の広報、マスメディアへの対応についてをお伺いいたしたいと思います。
二番目に、高野・熊野世界遺産登録についてお伺いいたします。
高野・熊野が世界遺産に登録されれば、どのようなことが現在と変わるのか。橋本・伊都地方は、この変化にどのように対応また協力していければよいのか。高野・熊野だけが対応すればいいのか。私はそうではないと思います。高野・熊野と同様に、周辺地域の世界遺産登録に向けての思いは大変なものがあります。周辺も世界遺産にふさわしい環境整備、観光客を迎える体制を整えなければなりません。
では、周辺の自治体は、各種団体は、それぞれの立場で協力し、責任を果たす。個人も、できることをする。それでは自分は何をできるのかと考えました。有志と相談の結果、橋本市内を桜で埋め尽くそうということになりました。名称も「橋本桜一万本の会」と決まり、昨年から活動が始まりました。百本の桜が橋本市内に昨年は植えられました。また、ことしも既に二百本の桜が入荷し、植栽も始まりました。桜一万本を植栽するには息の長い事業となるため、NPO法人の認可申請も近く行うべく準備中で、本格的な事業となるものと期待しております。紀の川堤防やその支流を桜堤とし、観光客をお迎えしたいと考えているのであります。
高野・熊野が世界遺産登録される平成十六年が、いよいよ近づいてまいりました。登録に向けての期待と不安が交錯する毎日でございます。そこで、知事にお伺いしたいのでありますが、高野・熊野世界遺産の最終的なイメージはどのように描いておられますか、お伺いいたします。
最近、本当に高野・熊野は十六年度に登録されるんかなという素朴な疑問も抱くようになりました。福祉環境委員会は、県外視察は十月十五日から三日間、白神山世界遺産を青森県側からブナ林へ体験入山いたしました。その前に、白神山管理事務所で遺産登録までの悪戦苦闘の経過説明を受けました。白神山は本命ではなかったそうでございます。それを聞いて、私はびっくりいたしました。決定までにもかなり厳しい局面もあったと聞かされました。
去る十一月十八日から二十五日まで、尾崎議長を団長とする議員団がスペインを訪問し、ユネスコ本部を訪ね、事務総長と会談し、高野・熊野世界遺産登録に向けて強く要望したと伺いましたし、また大変な収穫があった訪問であったとのことでありました。高野・熊野についても厳しい時代があったとも聞かされました。詳細については、訪問団の一員でありました小川議員から後刻詳しく報告あると聞いております。したがって、ゆめゆめ油断することなく、万全の対応をお願いしたいと思うのでございます。
そこで、教育長にお伺いしますが、遺産登録に向けての今後のスケジュールについてお伺いいたします。ユネスコへの働きかけについても、あわせて答弁いただければありがたいと思います。
十一月二十三日、二十四日は、秋の行楽最後の連休となりました。高野山は、龍神スカイライン無料化による観光客や紅葉見物、遺産登録に向けての高野山見物客で終日山内は大変な混雑であったと聞きます。あの狭い山内が一万台以上の車で埋まり、飲食店には食べ物が昼過ぎにはなくなってしまった。また、土産物も、帰る途中の車が停車しているついでに買っていったということで、土産物屋の品物もなくなってしまった、こういうふうに聞いております。また、家路を急ぐ観光客の車が高野山から河内長野までつながってしまって六時間もの時間を費やした、こういうふうに聞きます。車の大渋滞で観光客がいらいらしたばかりではなく、周辺の環境に及ぼす影響は大変なものであったろう、これを無視することは私はできないと思うのでございます。すぐに抜本的な対策を立てなければ、千年の歴史のある聖地のマキ木立が枯れるといった事態にもなりかねないと思うのであります。
将来的には、山内への観光車両の乗り入れ規制も視野に入れた具体策の実施が急がれるのであります。高野山内外へのパークアイランド・駐車場の設置、また山内を迂回するバイパスの設置、山内を巡回するエコバス──最終的には電気バスの運行でありますが──それから、公共交通を利用した観光客への特別割引等々が考えられます。本来でありますと、バイパスまた駐車場の建設については県土整備部長にもお聞きしたいのでありますが、本日は企画部長に伺います。高野・熊野世界遺産登録後の高野での対策をどうなされますか、お伺いしたいと思います。
三つ目といたしまして、児童虐待についてお伺いいたします。
最近、頻繁に児童虐待が報道されますが、その実態はつかみにくいこともあり、また親からの虐待、密室での虐待、これらのために事実を把握することが難しく、児童相談所が児童を一時保護して親からの虐待から守っても再発し、最悪は暴行死にまで至ってしまうケースもあります。虐待は日常茶飯事のようなものでありまして、暴行死で初めて報道されるのであります。
このことから、本県についても、児童相談所が扱った件数はどのようになっているのか、また他府県で発生した事例として、親の虐待から児童相談所が一時保護し、施設に預けたが、その施設でも虐待が発生した、こういうことが報じられております。福祉保健部長に、本県での児童虐待の実態についてお伺いしたい。また、施設内虐待の未然防止についてお伺いしたいと思います。
四番目といたしまして、河川のしゅんせつについてであります。
河川の治水機能を確保するためには、出水時前のしゅんせつは不可欠なものであります。河川の沿線に住む住民の生命と財産を守るということからも年次的に、また現状把握の上、早急に実施することを欠かすことはできません。
しかしながら、県下の各河川の現状を見ると、不安な箇所が多いのが実情であります。私の地元橋本市の例をとってみましても、市内に二十二河川があります。特に紀の川右岸、紀の川の北側でございますが、流れの穏やかな河川が土砂の堆積で早急にしゅんせつしなければならない河川がございます。その中でも、上流で大型住宅地開発が行われている高橋川、東谷川などは、河川の改修は開発に合わせて、以前に比べて川幅また川底が低くなり流量も確保されておりますが、ところが長年しゅんせつが行われなかったために土砂の堆積で草が茂り、草のたけが河川堤防高と同じになっているところもございます。また、最近は京奈和自動車道の建設が急ピッチでありまして、土砂の流入量が多く、目の離せない状態であります。県土整備部長に、河川のしゅんせつについてお伺いいたします。
最後に、教育長に要望申し上げたいと思います。県展を県立近代美術館で開催をしてほしいということであります。
十二月三日、和歌山県美術展覧会が橋本市に会場を移して五日間の展示があり、きのう終わりました。作品を見させていただくと、その技能といい、色遣いといい、無才の私にもわかるすばらしい作品ばかりでありました。和歌山県のトップクラスの作品の展示場が県立近代美術館でなくて県民文化会館と聞いて、またまたびっくりいたしました。和歌山県の芸術レベルの一層のアップを目指すためにも、出展者の強い要望でもありますので、ぜひ県立近代美術館での県展開催を強く要望するものであります。
以上で、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、ただいまのご質問の中で、来年の六月に高野・熊野の世界遺産登録、そして今が非常に大事な時期なので、ゆめゆめ油断してはならない、本当に私はそのとおりだと思います。そういう中で、先般、尾崎議長を団長としてユネスコの事務総長に会っていただいたのは、僕は本当に時宜を得たものだと思って、ここで相当強く訴えていただいたので非常に効果があったものだろうというふうに思っています。
そして、橋本・伊都の辺のことについて言いますと、先ほど桜堤を一万本の桜できれいにすると。本当にもう僕は最高だと思います。桜というのは日本人の心に非常にぴったりくるものですし、本当に咲いたときにきれいだし、吉野の方からずっと川を来て、こちらがまた下のさらに下の千本というふうな形にでもなってきたら、これは本当に世界遺産に花を添えるものになってくると思いますし、そしてまた、この世界遺産の登録によって橋本・伊都地方が和歌山県のもう一つの玄関口であるというふうな役割を今まで以上に大きく持つようになってくると思います。
それから、世界遺産の登録後についてどのように考えていくのかということですが、これは実際問題として登録されてみないとわからない面もあるんですけれども、今回の世界遺産というのは非常に大きな面積、そして道とそれから遺跡というふうなものを面的に指定していくという非常にユニークな試みですので、今までの日本の国の世界遺産の多くのように単体的なものじゃないというところで、息の長い効果があるような形にしていかなければならないと思います。そして、そのためには、やはり受け入れ側の人の心とかもてなしとか、そういうふうないろんなことで対応していく幅の広いもてなしの心みたいなものを涵養していくことが僕は必要だろうと思います。
いずれにせよ、今はまあ六月に指定されるかどうか、非常に焦っているところなんで気持ちが落ちつかない面もありますけれども、腰を落ちつけてこの世界遺産の登録が和歌山県、そしてまた紀伊半島全体の発展に役に立つように、これもまた議員各位ともどもいろんな形で検討していきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 知事公室長小佐田昌計君。
〔小佐田昌計君、登壇〕
○知事公室長(小佐田昌計君) 県の広報、メディア対応についてでございますが、県民への情報発信につきましては、その重要性を十分に認識してございます。このため、各部局の情報を広報室で取りまとめ、その内容、重要度等を判断した上で、知事による定例記者会見や関係部局による記者発表、あるいは資料提供により報道機関へ情報を提供してございます。より多くの情報をニュースとして取り上げていただくために、毎月広報連絡会議を開催し、職員の広報意識を高めるとともに情報の共有化を図り、よりわかりやすく表現を工夫するなどして、正確かつ効果的な情報提供に取り組んでおります。
今後さらに、県民の皆様に県政についての理解と協力を得るため、メディアを通じ積極的な情報提供に取り組んでまいります。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 高野・熊野世界遺産登録後の高野での対策についてでございますが、現在、県、地元市町、近畿運輸局及び地元関係者等で構成する高野山の交通を考える協議会において、世界遺産にふさわしい高野山の交通のあり方について検討をしているところでございます。
現在、電車やバスの魅力向上といった公共交通機関の利用促進策や駐車対策等の渋滞対策の具体的な方策について、年度内の取りまとめに向けて最終的な詰めの作業を行っているところでございますが、当面の渋滞・環境対策として、高野山の場合、渋滞時期がある程度予想可能なことから、渋滞の予想情報の提供やパーク・アンド・ライド導入の検討等、創意工夫を凝らして公共交通への誘導を図り、渋滞の緩和を図ってまいりたいと考えております。
また、将来的には山内を迂回するバイパスや駐車場の建設が必要ではないかということで議論をしているところでございますが、地元住民の生活や商店の営業等にも密接に関連するため、地元としての考えをまず取りまとめていただくことが必要であると考えております。
いずれにしましても、具体的方策の策定や実施に当たっては、関係者の方々の理解と同意を得ながら進めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 児童虐待に係る問題についてお答えいたします。
まず、本県の児童虐待の実態についてでございますが、県内の児童相談所に寄せられた児童虐待に関する相談件数は、平成十二年度で百六十件、十三年度百九十六件、十四年度は百八十六件と少し減少したものの、依然高い水準で推移しております。そうした背景には、都市化や核家族化が進行し、保護者の育児力や地域における子育て機能が低下したのとあわせ、児童虐待防止法の施行などにより児童虐待に関する認識が高まり、今まで潜在化していたような事例が顕在化してきたものと考えます。また、児童虐待の加害者は八割以上が実の両親で、中でも母親が全体の五割以上を占めております。
なお、児童虐待は、経済的に困窮していたり、家庭内の人間関係に問題があったり、地域から孤立していたりと、さまざまな要因が複合して子育てに対する負担感や不安感が増加したためではないかと言われています。県といたしましては、関係機関や関係者による虐待防止ネットワークの形成等を推進するとともに、児童相談所等が中心となって、地域から孤立している家庭に対し積極的に介入できるよう専門職員の充実を図るほか、市町村に対しても子育て地域協力員の養成などを働きかけ、相談支援体制の充実に努めてまいりたいと存じます。
次に、施設内における虐待防止策についてでございます。
児童養護施設等に入所している児童は、保護者からの虐待などによって心身ともに傷ついていることが多いため、施設は児童の心身の傷をいやし、安心して生活を送れる場所でなければなりません。また、入所児童の権利を擁護することは、健やかな成長や自立を支援していく上で大変重要であると考えます。
このため、施設内では体罰や言葉による暴力等の児童虐待は決してあってはならないし、児童福祉施設基準でも施設長が懲戒に係る権限を乱用することを禁止する規定が明記されており、その徹底を図っております。さらに、施設での生活において守られるべき子供の権利を説明した「子どもの権利ノート」を作成し、養護施設の児童に配布しております。このほか、入所している児童や保護者等からの苦情や不満に対応するため、第三者委員による苦情処理機関や運営適正化委員会が施設内外に設置されております。
今後とも、入所児童に対する健全育成と権利擁護が図れるよう、施設の運営指導や施設職員に対する研修の充実に努めてまいります。
以上です。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 河川のしゅんせつについてでございますが、河川の治水機能を確保するため、適切な維持管理を行っていくことは重要であると認識しており、高橋川、東谷川などにおいては今年度内に河床掘削を行うことといたしております。
今後とも、土砂の堆積状況を見ながら掘削を行うなど、適切な維持管理に努めてまいります。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 世界遺産登録に向けての今後のスケジュールについてお答えいたします。
世界遺産リストへの推薦は国が威信をかけて行うものであり、これまで我が国から推薦された物件はすべて登録されております。国では、ユネスコ世界遺産センターに職員を派遣し、暫定リストに記載されて以来、ユネスコとの連携を密にするなど、責任を持って登録が実現するための体制がとられているところであります。
本年十月中旬に、国際記念物遺跡会議(イコモス)の専門家による現地調査においては高い評価を得ました。来年一月にはイコモスでの協議が開催されますが、この会議が登録を大きく左右するものと聞いております。このため、県では十一月中旬にイコモスの副会長である東京大学西村幸夫教授をお招きしまして、さらなる現地調査を依頼するとともに、今後の支援をお願いしたところでございます。
また、先般、尾崎議長を初め議員の皆様には、パリのユネスコ本部を訪れ、本県の世界遺産について要望活動を行っていただきました。大変ありがたいことと考えております。
来年六月下旬から七月上旬にかけて中国で開催される予定の世界遺産委員会において、最終的に登録の可否が決定されることとなります。教育委員会としましては、今後とも万全を期してまいる所存でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十七分休憩
─────────────────────
午後一時二分再開
○副議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十五番浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得まして、通告に従い一般質問をさせていただきます。新生わかやま県議団の浦口高典でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
質問に入ります前に、一言申し上げます。私は、この四月の県議会議員選挙初当選以来、今回初めてこの伝統ある和歌山県議会の壇上に立たせていただくことに大変な感動を覚えるとともに、新たな責任の重さに身が引き締まる思いでございます。と申しますのは、私の政治の師は第三次中曽根内閣で総務庁長官を務めた故玉置和郎先生でありますが、玉置先生は、昭和六十年、ふるさと和歌山の発展のためにと言っても過言ではない半島振興法という法律を国会で成立させました。その前に玉置先生は肝臓がんを患っており、一日も早く手術をしなければ命が危ないと言われながらも、この法律の成立を見るまでは断固手術を受けないと拒み続け、結果として著しく命を縮め、昭和六十二年一月二十五日に他界されました。この政治家としてのすさまじい生きざまをそばで目の当たりにしたとき、その魂の万分の一でも引き継ぎ、玉置先生のこよなく愛したこの和歌山のために仕事ができる政治家になりたいと心に期すものがございました。しかし、何の基盤も持たない一人の人間が政治の場に立つことは並大抵のことではありませんでした。過日、十年表彰を受けられた向井先生は、六年間で二回の落選を経験されたと言われておりましたが、私は今から十年前、初めて衆議院選挙に出馬以来、連続三回落選いたしました。落選のたびに何度もくじけ、その志が崩れそうになってきたとき、私を心から支えてくれたのは支持者の皆さんと家族、そして玉置先生の遺言の中にある一節であります。それは、「政治家が自分の命にかえてでもという覚悟は一朝一夕にできるものではない。人様からたたかれ、笑われ、突き放された中からこの国の一大事に対処する腹というものができるのだ」、という言葉でした。この言葉を、砂をかみ、泥をなめるようなつらい日々の中で何度も何度もかみしめながら、きょう傍聴席にもお越しでいらっしゃいますが、多くの支持者の厚いご支援をいただき、はい上がってまいりました。それだけに、知事初め県幹部の皆様には、小手先のご答弁ではなく真剣なご答弁をよろしくお願いいたします。
さて、玉置先生の言われたこの国の一大事の「この国」とは、私にとりまして、この和歌山県であり、地元和歌山市であります。私は、今この国、和歌山がまさに一大事を迎えていると思っております。それは、一言で言って人口が激減する時代に入ってきたということであります。少子高齢社会というのは、だれもがまくら言葉のように使っておりますが、他県に比べて既に高齢化率が高く、また若者が県外へどんどん流出している県では、単なる減少ではなく、激減と言ってもおかしくない状況が起こってくることは火を見るより明らかです。それが、まさに我が和歌山県であります。これから二年後、つまり平成十七年をピークに、日本全体の人口が減少傾向に転じるということは皆さんもよくご存じですが、四十七都道府県すべてで減少するわけではありません。これから、まさに地域間格差が著しくなってまいります。ちなみに和歌山県は、二年後に人口が減少に転じるどころか、既に昭和六十年の約百九万人をピークに、少しふえた時期もありましたが、全体としては二十年近く減少しております。
ここで、お手元にお配りした人口推移表をごらんいただきたいと思います。(パネルを示す)ここでは大きく引き伸ばしたパネルにいたしましたが、まず全国では、やはり平成十七年にピークになりまして、それから緩やかに人口が減っております。その下は、和歌山県と同じ近畿地区の滋賀県を比較した図であります。和歌山県は、このようにずっと緩やかなカーブを描いて今減少傾向にありますが、滋賀県はこのように人口が平成四十二年までずうっと上がっているということなんですね。これ、数字で言いますと、国勢調査によると昭和三十年、和歌山県が人口が初めて百万人台に乗ったときに、滋賀県は約八十五万人でした。それから、二十五年後の昭和五十五年では約百九万人で並び、さらに二十年後の平成十二年には、和歌山県の約百七万人に対して滋賀県は約百三十四万人と、既に二十七万人以上の差がついて完全に逆転していることがよくわかります。また、国立社会保障人口問題研究所の推計によると、平成四十二年つまり今から二十七年後には、滋賀県が百五十三万人に対して和歌山県は何と八十八万人と、九十万人をも切ってしまうとされています。これを激減と呼ばずして何と呼ぶでしょうか。しかも、このとき高齢化率は、滋賀県の二五・一%に対して和歌山県は三三・四%と、八ポイント以上高くなっております。和歌山県の人口推移を私なりに命名しますと、昭和三十年から五十年までは滋賀県と比べると緩やかですが人口の成長期であり、昭和五十年から平成十二年までは停滞期であり、平成十二年以降は衰退期で、しかも減少率がかなり激しくなってきております。
また、二番目の最多人口を一〇〇としたときのグラフを見ていただくとよくわかるとおり、滋賀県はまだ人口がふえ続けております。平成四十二年が一〇〇ですが、全国的に見ると、やはり平成十七年を一〇〇に緩やかに減少に転じ、さらに和歌山県、和歌山市の減少ぶりが一目瞭然であります。ちなみに和歌山市の推計人口は、地域づくり推進実行委員会のデータですが、これによると平成四十二年には約二十七万人と、最多人口の昭和五十七年の約四十万人のときに比べると実に約六七%、つまり三人いたのが二人になってしまうという激減ぶりであります。
ここで誤解のないようにお断りしておきますが、私は人口が減少するのと高齢化率が高くなるのが悪いと言っているのではありません。また、決して悲観的に考え、不景気をあおるわけでもありません。現実の状況と将来の推計を述べているだけです。
さて、ただここで単純な疑問があります。それは、今、多くの県民の皆さんが政治に求めている大きな役割は景気回復と地元経済の活性化でありますが、人の数が目に見えて減ってきて、高齢化率がさらに高くなる地域で、果たしてそれが可能であるのかどうかということであります。それに対して、ここで言う人口、つまり定住人口がふえないのであれば交流人口をふやすとか、人口が減ってもIT等で効率よく経済成長を考えるとかという発想はわかります。しかし、そのようなことはもう既にどこでも考えて取りかかっていることでありますし、実際に過去数年でIT等で経済が急成長し、雇用が大きく伸びたという話は聞いたこともありませんし、実感として感じられません。
小泉首相は「改革なくして成長なし」と言いますが、そもそも和歌山では成長という概念そのものを取り除いた方がいいのではないか、そのように私は感じます。もちろん、個々の企業や業界ではまだまだ伸びる余地はあると思いますが、あくまでも県全体としてということであります。
それでは、おまえはそれをどのように表現するのかと聞かれますと、小泉流に言うなら「改革なくして満足なし」という概念で今後の県政の方向づけをしていった方が望ましいのではないかと思います。人口激減でさらに高齢化率の高い社会では、経済成長期のような数字の成長を追うこと自体、無意味ではないでしょうか。それでは、私の言う満足とは何か。それは、県民一人一人が日々の生活を安全で安心して送れ、生きがい、やりがい、そしてここに暮らすことに誇りを持てることであり、その一人一人の満足の集合体が地域社会であり、大きく言うと県全体の満足につながると思います。そのために、いろんな意味で旧来のシステムを大胆に改革し、県民一人一人が満足を実感できる努力をしていかなければなりません。それにはまず第一に、政治や行政に携わる者の意識改革と発想の転換が必要であります。
今回初めての質問ということでもあり、まず自分の基本的な考え方を述べさせていただきましたが、和歌山県は人口激減で、さらに高齢化率が高い県になりつつあるという共通のご認識を持っていただき、思い切った独自性のあるご答弁をお願いいたします。また、すべてとは言いませんが、和歌山県は今元気がありませんので、どうか県民の皆さんに勇気を与え、元気になるようなご答弁をよろしくお願い申し上げます。
まず、商工労働部長にお尋ねいたします。
部長は、もちろん和歌山県内の商工業の振興と雇用の促進ということについて、だれよりも真剣に考えられて、直接事業所に出向かれ、生の声を聞かれていると思いますが、先ほど来何度も繰り返し述べるとおり、人口激減で、さらに高齢化率の高い社会で、商工業の振興と雇用の促進は果たして可能なのですか。もし可能と言うのなら、どのような形でできるのか、具体的にお答えください。
次に、企画部長にお尋ねいたします。
企画部長は、かつて東牟婁振興局長としてご活躍され、地域の実情を熟知されていると存じますが、その現場を知る者としての視点から、地域振興ということについて、だれよりもお考えになっていると思います。それでは具体的に、これから何をもって地域振興を図っていくのか、お聞かせください。また、特に和歌山県以上に和歌山市の人口の減少割合が目立っていますが、これは明らかに約二十年前から住友金属が鹿島に移転したことと、それに対する対応がなされていなかったことが今の状況をつくった大きな原因だと私は思います。当時の政治、行政、経済界のトップクラスの方たちは、このままでは人口が減少し、和歌山の経済はじり貧になっていくという危機感はなかったのでしょうか、どのように思われますか。
ここで一つ、今議会で問題になるであろうコスモパーク加太について質問をさせていただきます。
今回の調停に代わる決定では、私は過去のことを蒸し返すわけではありませんが、銀行側は、県の債務保証をとらずに、つまり県議会の承認なくして開発公社に金を貸し付けたにもかかわらず、貸し手側の責任は問われなかったと聞いております。また、県もそれを容認する姿勢のようですが、私の周りでは圧倒的にそれはおかしいという意見であります。貸し手責任もさることながら、人口が今後激減し、さらに高齢化率が高くなり、経済が縮小する和歌山において、住友金属移転の後の例を見るまでもなく、企業誘致など簡単にできないことは明らかであります。結局、県民に負担を押しつけることになるのではないでしょうか、企画部長のお考えをお聞かせください。
次に、農林水産部長へ。
南部、南部川等の梅農家は別として、農林水産業等、一次産業に携わる人口が減少し、また後継者も少なくなってきているということはだれもが知っています。しかし最近、打田町のめっけもん広場のように地産地消ということで、地元でとれた農作物を地元で消費していく動きもあり、それは地域経済の活性化にもつながり、また持続可能な循環型社会をつくるという意味からもすばらしいことと思いますが、人口が激減し、高齢化率がさらに高くなる社会で、農林水産業等、一次産業を通じての地域振興についてお聞かせください。
次に、県土整備部長へ。
私も、先月の二十六日に東京で開催された東南海・南海地震に備える沿岸四県高速道路整備促進大会と地方の実情に合った道路整備の推進と財源確保を求める決起大会に参加し、国や道路公団に対して強く要望してきた一人として、決して公共事業がすべて悪いと言っているわけではありません。しかし、人口が激減し、県の財政が縮小する時代に入ってきて、本来、産業や生活の手段である道路等のハード面の整備をこれ以上積極的に進める必要が本当にあるのかどうか、正直疑問であります。中国の漢詩の一節に「国破れて山河あり」とありますが、「道できて人はなし」ということにならないのでしょうか。
卑近な例で恐縮ですが、私の住む和歌山市今福地区では、大きな道路が少なく、迷路のような細い道ばかりですが、その方が高齢化率が既に二八%近くあるこの地区では、激しい車の往来がないことで、かえってお年寄りが安心して通行できると実感しております。ただし、今福地区に道はもう必要ではないというふうに言っているわけではございません。きょうは連合自治会長も来られておりますので、よろしくお願いいたします。県土整備部長の所感をお聞かせいただきたいと思います。
次に、環境生活部長にお尋ねします。
私は、「改革なくして満足なし」という表現でこれからの行政の目標として、県民一人一人の満足度ということを挙げました。しかし、これには幾ら行政がラッパを吹いても、本来主役である県民の皆さんがそれに呼応してくれなければ、結果として意味がありません。そこで、三重県の前北川知事の「生活者起点の県政」ではありませんが、生活者から発するニーズを第一に考える、例えば「生活者発信の県政」というような目標を掲げ、生活者つまり県民の皆さんにも責任を持っていただく県政にすることが大事だと思いますが、部長はいかがお考えでしょうか。
環境生活部長も、かつて海草振興局長としてご活躍され、とりわけ和歌山市、海南市、海草郡の事情については知事に匹敵するほど熟知されていると存じますが、その現場を知る者の視点と生活者により近い環境生活部としての姿勢をお示しください。
最後に木村知事へ。
午前中の森議員の質問にも入れていただきましたが、九月議会の予算委員会において、これからの和歌山県づくりの一つの方法としてNPOについて集中的に質問したところ、知事は最大限といっていいほどNPOについて理解を示してくださいました。いわく、「来年はNPO元年にしたい」、また「NPOで先進県と呼ばれるようにしたい」と。しかもその後知事は、京都市の立命館大学での改革派知事のシンポジウムにおいて、「NPOと連携していく」と、はっきり全国に向けて発信されました。それらの発言に、質問者である私だけではなく、自分たちの力で自立した地域社会をつくっていこうというミッション、つまり使命を持って日々活動している県内外のNPO関係者はどれほど喜び、勇気づけられたかわかりません。私は決してNPOを代表する立場の者ではございませんが、知事にこの場をおかりして厚く御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
本来ならば、今回そのNPOについて議会や行政、さらに県民の皆さんに理解を深めていただこうと、ここで詳しく説明し、具体的な県の取り組みについて質問しようと思っておりました。そのために、九月の予算委員会の翌日、NPOについて県庁内でも知事のトップダウンだけではなく担当の県民生活課からのボトムアップをお願いしようと、課長と副課長に「新しい公共をつくるための市民活動プロジェクト、通称・NPOプロジェクト」という私の案をお渡しし、検討していただくようにお願いしてまいりました。最近になって県民生活課長から、「NPO元年の重点施策体系図」というのをいただき、早速これをNPO関係者に見せたところ、「これでは前へ進まんな」と、一言でございました。しかし私は、つくっていただいただけで大変感謝いたしておりますし、評価いたしております。ただし、どこまで本気でやるかは別問題ですし、必ず検証させていただきますので、県民生活課長並びに副課長、県庁職員の皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
また私自身、九月十三日、十四日に、全国から七百名余りのNPO、行政、民間シンクタンクのメンバーが集まった「NPO全国フォーラム・イン・北海道」に和歌山から一人参加し、そこで多くのNPO関係者の方と知り合いになり、その後視察に行ったなごやNPOセンターでは、二百十八万都市名古屋市でのNPOへの委託事業についてや、愛知県高浜市では、市長が社長を務める行政の民間委託を管理運営する高浜市総合サービス株式会社の内容、また福島県生活環境部県民グループの担当者からは、福島県のNPOへの取り組み、特にNPO基金の創設とその使い方、さらに同県郡山市の公設民営NPOセンターの実情、そしてまた県内では、やはり私が現地で見聞きした橋本・伊都でのNPOの活動状況や、御坊・日高や田辺・西牟婁におけるNPOの進展ぐあい等について知事にご答弁をお願いするつもりでありました。しかし、この十二月十二日に、わかやまNPOセンターが、六月から数回にわたり開催した政策フォーラムとセンター内で議論してつくり上げた政策提言、ここでは項目だけを挙げさせていただきますが、それは、NPOの基盤整備に向けた和歌山県施策の充実・強化について、一、新しい公共への対応、二、人材活用の具体的取り組み(セクター間人事異動の実現)、三、中間支援機関の充実・強化、四、基本方針の見直しと方針実現に向けたロードマップ(工程表)の作成、五、NPO活動の情報共有と交流の五点を知事に行うとのことです。その中に私の意見もしっかり入っておりますので、今回は重複を避け、質問を控えさせていただきました。どうぞ知事、わかやまNPOセンターの政策提言に前向きのご回答をよろしくお願い申し上げます。
ここで、議会や行政、さらに県民の皆様にもご理解いただきたいのは、和歌山でも現状を憂い、嘆き、自虐的に「和歌山あかな」と言うだけで何もしないのではなく、まず自分たちで自分たちの地域社会を生き生きとさせていこうという市民が確実に育ってきているということであります。そして、その先頭に立ってNPO関係者も頑張っております。
最後に知事に、私は和歌山県の将来を見据えた上で、知事が今やろうとしている改革にかける姿勢と情熱を高く評価しております。それは、新しい時代を切り開こうと、緑の雇用事業やさきに述べたNPO、さらに県庁内の組織改革等、今までだったら恐らく手をつけられなかったことに対し真剣に知事は取り組んでおられるからです。突然ですが知事、ドイツの哲学者カール・マルクスの言葉で、このような言葉があるのはご存じでしょうか。「地獄への道は善意の敷石で敷き詰められている」という言葉です。「善意の敷石」とは、和歌山弁でわかりやすく言いますと、「ええわいしょ、ええわいしょ、みんなで連れもて行ったらええわいしょ」という雰囲気であります。決して悪気はないんですが、時代の流れを見ず、考えず、改めるべきときに改めない、つまりそのときに戦わないと、気がつけば地獄へ落ちていくということであります。どこかの県の人口推移表をご想像ください。
また最近、東南海・南海地震で注目を集めている歴史上の人物に「稲むらの火」の浜口梧陵翁がいらっしゃいますが、和歌山では、初代県会議長として、また百五十年余り前に日本一古い学校耐久舎、今の耐久高校を創設されたことはよく知られております。余談ですが、県議会ではこちらにいらっしゃいます吉井副議長、浅井議員、松坂議員、そして私の四人が耐久高校出身であります。なかなかの名門でございます。そのエピソードは、安政の大地震のとき、当時の広村の海岸の波が沖に大きく引いて、それを津波の前兆だと気づいた浜口翁は、高台にある自分の稲むらに火を放って村人の注意を集めて高台へと誘い、津波の災害から約四百名の村人を救ったということは、皆さんもよくご存じの、余りにも有名な話であります。
知事、私は、真の改革者には、先ほどのカール・マルクスの言葉の認識と浜口梧陵翁の決断力と行動力が必要であると確信しております。これからの和歌山県は、本格的に人口激減で、さらに高齢化率の高い社会が確実に来ることを考えれば、この改革のスピードとパワーをさらにアップさせなければなりません。どうか木村良樹知事、真の改革者として生き生きとした和歌山県をつくるために、全国の人たちが「和歌山革命」と評価するほどのダイナミックな木村改革をさらに強力に推し進めてください。私はそのように強く望むところでございますが、知事のご決意をお聞かせください。
これにて、第一回目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(吉井和視君) ただいまの浦口高典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 今の浦口議員のお話を聞いていて、非常に私も慄然とするものを感じました。近畿でというか、日本の中で成長している県のトップの方にある滋賀県と比べるとなかなか厳しいものがあるわけです。そしてまた、今の和歌山県の置かれている状況は、これは県民がどうとか県政がどうとかということよりも、非常に日本の国の構造的なものを一身に受けているということがあろうかと思います。ただ、そうではあっても、それを甘んじて受けて、そのままこれでいいわというふうなことをしていっていいということではありません。今の時代、はっきり言って一発逆転の大ホームランというふうなことはないと私は認識しておりまして、産業の分野、農業の分野、民生の分野、福祉の分野、いろんな分野で今までのしがらみにとらわれることなく、相当思い切った改革をしていっております。しかしながら、変えていく対象は県民の人ですので、県民の人がもう変わらなくてもいいというふうなことであれば、これはもうこちらとしてそれを独善的に進めていくわけにはいかないので、こういうふうな理解を県民に求めながら、徐々にではなくてスピーディーに、そしてダイナミックに改革を進めていこうというふうなことを考えているわけでございます。
私自身は、どちらかと言うと、真の改革者というよりは、むしろえせ改革派であるということは、これはもう外で公言しているんですけれども、そのえせ改革派というのは、これは何も悪い意味で言っているのではなくて、例えば県議会議員の考え方とか、県民の考え方とか、市町村長の考え方とか、そういうふうなものを入れていきながら、しかしながら今の状況に合わせて改革をしていく、そういうふうな意味で、私は自戒の念を持ってえせ改革派という言葉を自分に使っているということでございます。今の日本は、このごろ「ゆでガエル論」というのが言われます。おふろの中へ水からカエルをほうり込んでおいたら、いつ飛び出したらいいのかわからないでゆで上がってしまうというふうな状況だと思います。日本の国は、戦後五十八年ぐらい、ずっと右肩上がりの中で、その経済成長の恩恵を国民全員でそれに浴するというふうな社会になってきていたので、なかなかそのおふろから飛び出すことができないというふうなのが今の状況だと思います。しかしながら、ここ二、三年、もうそれではだめだということが外部からも力が働きまして、金融界なんかでは相当大きな改革が行われました。都道府県とか市町村だけが最後の護送船団になると、護送船団になることによって、それがひいては県民、市町村民に迷惑をかけるということにならないように、私一人がというよりは、むしろ県の職員全員がそういうふうな気持ちでやっていかなければなりません。
そしてまた、NPOとの協働ということについては、先ほどもお答えしたんですけれども、結局、収入もどんどん少なくなっていく、そういうふうな中で自治体がしなければならない仕事は、弱肉強食の世界が来るわけだから余計に多くなる。これをひとり公務員だけがやっていく──公務員というのは月給も高いですし、そういうふうな仕組みというのは、もう日本の国のこれからの時代には合わないということで、行政と市民団体がイコールパートナーとして住民のための仕事を担っていくような社会にしていかなければもうもたないというふうな認識でやっているわけです。
先ほどのお話では、県が一生懸命つくったやつもこんなんではあかんというふうなお話もあったようですので、またそれに合わせていろいろ勉強していきたいと思いますけれども、議員各位からも積極的な前向きな提言をいただけたら、私どもそれに合わせていろんな仕事をしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
○副議長(吉井和視君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 人口が減少し、さらに高齢化率の高くなる社会にあって、経済の活性化、産業の振興は、県の持続的な発展や雇用の維持、創出のため最も重要であり、全力で取り組まなければならないと考えております。
このため、将来の県経済をリードするオンリーワン企業を発掘・育成する事業の実施や、大学発ベンチャー事業、起業者支援事業など、県独自の施策に加え、創造法や経営革新法などを活用し、創業から成長段階まで多様な施策を講じています。また企業誘致につきましては、新たな雇用の創出と地域経済の活性化への起爆剤になることから積極的に取り組んでいるところであります。現在のように社会環境が急激な変化を遂げる中、地域産業の再生と先進的産業の育成を両輪としながら、若者が魅力を感じる就業の機会をふやすことにより、地域間競争に打ち勝ち、息吹の感じる和歌山となるよう全力を傾注してまいりたいと考えています。
以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 企画部長野添 勝君。
〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) これからの地域振興、特に和歌山市での対応等についてでございますが、最近における本県の人口動態については、平成八年以来、八年連続の減少となるほか、高齢人口比率につきましても、今年度の調査で二二・三%に及ぶなど、人口減少、高齢化傾向にあると考えております。
このような社会環境の変化の中、これまでのいわゆる右肩上がりの経済成長を前提としたシステムや手法では対応できず、従来の重厚長大産業の立地促進による地域振興施策は困難な状況と認識しております。このような状況のもとでは、本県の既存の資源、地域の特性を生かし、都市から地方への人口流動を目指す新ふるさと創りを推進するとともに、地場産業や農林水産業といった資源を見直し、科学技術導入による高付加価値化などでブラッシュアップして、和歌山の個性あふれる産業、産品を生み出していくことが重要であると考えます。また、来年、高野・熊野地域が紀伊山地の霊場と参詣道として世界遺産登録されることが見込まれ、その保全と活用を通して和歌山県の自然、歴史、文化といった財産を磨き、京阪神の都市住民はもとより、世界の人々との交流の拡大により、和歌山の魅力を高めるためのさまざまな地域づくりが和歌山県の地域活性化につながるものと考えてございます。
なお、和歌山市との振興につきましては、本年四月に和歌山県・和歌山市政策連携会議を設置し、中心市街地活性化、産業振興など、県市が相互に連携して解決を図るべき重要な施策課題について意見交換、連絡調整を図っております。今後とも、人口減少、高齢化社会といった社会環境の中、自立を目指す創意工夫ある取り組みを県民の皆様とともに進めてまいります。
次に、コスモパーク加太の特定調停についてでございます。
県土地開発公社の金融機関からの借入金問題につきましては、県も利害関係人として調停に参加する中で、コスモパーク加太対策検討委員会からのご報告を踏まえ、県の債務保証については、全額保証は考えられず、必要最小限度の範囲に限ること、公社借入金に係る将来利息については、公社の負担を軽減するため、より低くすること、公社借入金は可能な限り長期間の返済を望むことなどを強く主張してまいりましたが、金融機関もそれぞれの立場、考えに基づき主張を行い、主張の隔たりが解消できないことから当事者間における合意は困難となり、和歌山地方裁判所において調停に代わる決定がなされました。
本決定につきましては、県、公社、金融機関がそれぞれ調停委員会において主張してきた結果によるものと考えられ、妥当なものと考えおります。本決定を受けまして、コスモパーク加太の利活用は極めて重要なことであり、今後人口が減少し、高齢化がより進むといった社会環境が予想される中でありますが、検討委員会からのご報告を踏まえ、土地利活用を図ってまいりたいと考えてございます。
具体的には、喫緊の課題としての東南海・南海地震などの大規模災害時における応援要員の集結場所や救援物資の集積地、仮設住宅用地など防災対策の用地とする一方で、平常時には広場として県民の皆様に開放し利用していただけるよう整備を図ることとしておりますが、並行して特区制度等を活用し、和歌山県、和歌山市の活性化につながる企業の誘致にも全力で取り組むなど、コスモパーク加太の利活用を図り、県民の皆様にご負担をかけないよう、県議会のご協力もいただきながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 農林水産部長阪口裕之君。
〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 農業を初め一次産業を通じての地域振興についてお答えいたします。
農林水産業は、本県の基盤産業であり、農林水産業の振興はもちろんのこと、一次産業を核とした他産業との連携により地域の活性化、振興を図ってきてございます。現在、安全・安心をキーワードに、ソフトアンテナショップなどにより和歌山の農林水産品のよさを全国に情報発信するとともに、消費者との交流を図るため、直売所の設置による地産地消の推進はもとより、漁協による海遊モデル事業の実施など、観光等とのタイアップを図る施策も展開しており、今後とも取り組みを強化してまいりたいと考えてございます。
また、人口減少、高齢化の進む地域の活性化を図るため、新たな担い手としてIターン者等の定住化を進める施策である緑の雇用事業、農業をやってみようプログラムの展開や青の振興策の検討など、農・林・水産業を三位一体とした推進を行っていくとともに、橋本市杉尾地区の古代米への取り組みや古座川町平井地区のユズの加工などの地域資源を活用して地域の活性化を図ろうとする団体やNPO等に積極的に支援し、農林水産業の振興を通じて地域の振興を図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 道路等のハード面の整備の必要性についてでございます。
和歌山県では、今後、人口減少、高齢化がますます進むということですが、このような社会においては、今よりもさらにより効率的な経済活動や、より安全で安心な社会生活が求められるものと思われます。そのため、効率的な経済活動や社会活動を支える高速道路等の幹線道路の整備はもとより、生活にかかわる施設におけるバリアフリー化や高齢者ドライバーに対応した道づくりなど、新しいニーズに対応した社会資本の整備も必要だと考えております。さらに、そのやり方については、例えば町中においては、自動車優先から歩行者優先へ方向転換を図り、住民の皆様方のご協力やご参加を前提とした道の使い方の工夫などにより、既存の道路幅の中で車道を狭めて歩道を拡幅するような既存施設を最大限有効活用するというような実施面での工夫も、限られた予算の中で今後必要になると考えております。今後とも、人口減少や高齢化にも対応し、時代のニーズに合った、明るく、安全で安心な地域づくりを目指して、地方の実情に合った公共事業を戦略的、重点的に進めてまいります。
○副議長(吉井和視君) 環境生活部長津本 清君。
〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 生活者発信の県政という目標設定についてのご質問にお答えいたします。
人口減少や高齢化など社会情勢の変化に伴い、県民の生きがいや満足感も多様化しているところでございますが、環境生活部におきましては、環境の保全や食の安全、県民生活の安全確立など、生活者に近い、県民が安心して暮らせる施策を担当してございます。そして、これらの施策の推進に当たって、特に重要と考えている点が幾つかございます。
その第一点目は、徹底した情報開示のもと、住民との話し合いの中で信頼関係を築くことです。橋本市での高濃度ダイオキシン類問題におきましては、関係住民の方々が参加した協議会で、徹底的な情報開示と話し合いにより円滑な問題解決に向かっているところであります。この橋本市での教訓を施策推進の基本として進めてまいりたいと考えてございます。
二点目は、NPOとの協働でございます。NPOが公共サービスの一翼を担い、社会のさまざまな課題解決に活躍されることやNPOが行政運営に参画していただくこと、これも大事と思っております。NPOが活発に活動できるための支援と環境づくりを積極的に行ってまいりたいと考えております。同時に、県民の皆様とも行政との協働というよい関係を構築し、地域での役割を果たしていただくことも大事であると思っております。
三点目は、消費者の立場に立った食品の安全に係る総合的な対策でございます。生産から消費に至るまでの食の安全を確保するため、「和歌山県食の安全・安心・信頼確保のための基本方針」を現在策定中ですが、消費者の安心を基本とする食品安全行政に努めてまいりたいと考えてございます。
以上三点ばかりの基本姿勢を申し上げましたが、今後とも常に生活者の行政への期待、ニーズを的確に把握し、生活者の視点に立った行政運営を心がけてまいる所存でございます。
以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十五番浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 各部長へ。決して小手先ではない大変誠意あふれるご答弁をいただき、まことにありがとうございました。
人口減少で、さらに高齢化率の高い時代での行政のあり方というのは、正直本当に難しいなあというのが本音ではないかと私は思います。今後さらに思い切った施策を推進していただきたいと、そのように要望しておきます。
その一つの参考までにお話をさせていただきますが、五日の尾崎議員の質問の中で、犯罪の拡大を未然に防ぐために、アメリカの犯罪防止学の考え方としてブロークン・ウインドーズ・セオリー、日本語に訳しますと「割れ窓理論」と言って、窓ガラスが一枚割れただけでもすぐに取りかえて、それ以上連鎖的に割られるのを防ぐということでありますが、私はこれに大賛成であります。そのために、もっと警察官を増員して、地域の安全確保に力を入れることは大変大事なことだと思います。しかし、財政難の折、それが難しいのであればどうしたらいいのか。それは、問題意識のある市民に立ち上がってもらうことだと私は思っております。決して理想論で言っているのではありません。和歌山でも三年前から、ブロークン・ウインドーズ・セオリーを基本に、ディア・ツー・ケア(あえておせっかいをやく)というマインド(心)で夜のJR周辺や新内を防犯パトロールしているグループがあります。それが、ガーディアン・エンジェルスというNPOの団体であります。私もその一隊員として、こういう形でパトロールに参加をしております。(帽子をかぶって示す)ぜひまた、ごらんになりましたらお声をかけていただきたいと思います。このような市民、つまり自立しようとする市民を支援するのがこれからの行政の役割ではないかと私は思います。今まで、住民と行政の関係は「依存」と「分配」でしたが、これからは「自立」と「支援」という関係をつくり上げていかなければ、とても人口激減で高齢化率の高い社会ではやっていけないと私は確信しておりますので、参考までに申し上げます。
さて、知事へ。いよいよ来年は知事選がございます。もちろん、私にはとても恐れ多くてこの場で出馬の意向を確かめるなどということはできません。しかし、もしそのようなご意思があるのでしたら、次の四年間できちっと何をして、何をどのような順序でいつまでにするのか、つまりマニフェスト、政権公約を一日も早く県民の皆さんに示していただきたいと思います。そして、その中にきょう私が何度も繰り返し述べた人口が大きく減少しているという現実をきちっと踏まえた上での政策を正直に訴えていただければ、県民の皆さんも健全な危機感を持って知事の改革の味方になってくれると私は思っておりますし、またどのような大物政治家が対抗馬として出てこようが決して恐れることはございませんので、ぜひマニフェストの作成を強く要望して、私の要望にかえさせていただきます。
ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浦口高典君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十三番井出益弘君。
〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 久しぶりの一般質問をやらせていただきます。本日、四人目でありましてラストですので、皆さんもお疲れかと思いますけれども、しばらくご清聴をお願いします。
今回は六つの項目に分けて質問をするわけですけれども、まず一つ目に挙げております森林環境保全と整備について。
和歌山県は、自然環境としては、水や大気、そして海に、緑に恵まれた日本一の自然環境の県だと私は思い、県外の人には自慢をしています。そして、果樹等は、梅、スイカ、桃、ミカン、ユズ、カキ、ハッサク、挙げればおいしい果樹ばかり、一年じゅう県内のどこかで生産、出荷されている南国のような本州最南端に位置する和歌山県であります。
さて最近は、全世界が地球環境の保全について深刻な問題の事態になっていることに気づき始め、オゾン層の破壊、ダイオキシン問題、NOX やSOX 、CO2初め自然破壊を考えずに地球を開発して今日まで来た結果、地球の温暖化現象を初め、異常気象、世界の各地でいろいろな形で自然破壊現象があらわれ、農業、漁業、林業はもとより、生きているものすべてが呼吸器系や皮膚の病気、奇形障害、そして自覚症状が出なくとも何らかの形で被災しているものと思われます。飲料水についても、昔は飲めていた川や谷の水が飲めなくなったり、わき水もかれたり濁ったりで、水道事業にて安定適切に処理をしているのが実態であります。
そこで、和歌山県地図を広げてみますと、森林整備の中でも水源地地域に当たる地域であるのに、まだ水源涵養機能の整備ができていない山林部分が多く見受けられます。また、その多くの山林は民間所有者の持ち物であります。しかし、現在の山林所有者の経営状況は余りにも厳しい運営実態となっています。約四十年前には、五十年以上の杉やヒノキは、一町歩当たりを切り出すと一千万円以上の収益があったと聞きますが、今では八十年以上のものでないと採算が合わないそうであります。太い外材等が、希望寸法に加工されて、高級輸入材として内地材より安く大量に流通しているようです。今では、五十年物の杉やヒノキは切り出しをすると大赤字になるため、民間の山林経営者は手入ればかりで収入がない期間が五十年から八十年に、約三十年も延長をやむなくしているようであります。ところが、こんな時代でも五十年サイクルで杉やヒノキを切り出している現場が県内であると聞き、私はその現地方面に向かいました。
その山は、来年夏には待望の高野・熊野世界遺産の認定がされようとしている高野町の高野龍神スカイライン沿いにありました。道沿いに山頂まで五十年物の杉が切り取られ、小さな杉の四年物ぐらいの苗が植えられ、周りの雑草に負けそうに植林されていました。案内してくれた関係者によると、国有林や公有林はいまだに昔の周期の伐採契約のままでやっているみたいです。去年切った山はあそこで、来年切る予定の山はあそこでと教えてくれ、最後に「お上の仕事やなあ」と言い、「緑の森林整備で有名な木村知事さんが、このはげ山を赤字やのに無理に切っていると知ったら泣くんと違うか」と、暗い表情で話しました。これは、泣くんか、怒るんか、本当にびっくりするじゃないかと思います。
環境税や水源税の研究、京都議定書のきれいな空気の権利売買の話も必要な研究と思いますが、きれいな空気、きれいな水、それらを生み出すそのもととなる山林や森林は、今まさに経営難に苦しんでいる山を愛する山林所有者の財産であります。山林所有者は山を愛しています。しかし、県内でも多くの山林所有者、山林業者が倒産状態にあります。今や林業は、収益性の低下から放置森林や手入れ不足の森林が増加し、河川上流の森林も水源地として適切に整備がなされていない現状にあります。しかしながら、森林所有者の努力だけでは森林の適切な整備は困難となっています。また、森林は防災、環境、観光などの面で幅広い役割を持っているので、民間に任せるだけではなく、公がその役割を担うべきであります。国においても、平成十三年の森林・林業基本法の改正に伴い、政策の理念を木材生産主体から森林機能の保全へと大きく転換したところであります。
そこで、水源林の整備のため、保安林などの規制や造林補助事業などの行政施策に加え、所有者負担を求めず森林整備を進める施策なども必要ではないかと考えます。県では、緑の雇用事業を推進し、森林環境の保全を図っているが、より水源涵養機能に着目した水源地の森林整備について、モデル地区を設定して行ってはどうかと提案するものであります。知事、そして農林水産部長の答弁を求めます。
次に、一部重複しますが、きのうもきょうも先輩・同僚の議員が話をされましたコスモパーク加太跡地利用について。
防災危機管理訓練、研修訓練基地として整備してはどうかということであります。これは一部重複しますが、私は、消防、警察、自衛隊、海上保安庁、自治体等の合同訓練基地及び近い将来必ず発生すると言われている南海地震発生時の救援基地や仮設住居設置訓練等の場所として、今から準備、取り組みをするのに最適地であると考えるわけであります。訓練して備えておけば、実際に県民が救援、実践訓練をしたことが、本当によかったという結果になることは目に見えております。露天部分だけではなくて、こういう合同訓練基地となりますと、やはり一部は研修所のような施設も建てて、そしてまたいろいろな日程を組んで定期的にやるということをしなかったら、「備えあれば憂いなし」の言葉が実践されないと思います。ぜひそのようなことを──箱物を建てるということはお金が要ることですけれども、やはり拠点になるようなものについては、そのような箱物をつくっていただきたいというのを提案したいわけです。知事にお聞きします。
次に、コスモパーク加太の売却先や誘致企業等の条件に制約はあるのか、そのようなことを企画部長にお尋ねしたい。
三番目に、コスモパーク加太開発推進機構についてであります。
「十年一昔」と言いますが、今では五年一昔のような気がします。大昔にコスモパーク加太開発推進機構とかがあったかと思いますが、構成関連企業十四社もがたしかあったように思います。この十四社について、最近は昔とは名実ともに実態が変わってきており、今後のためには後送りせずに、一たんこの時期にコスモパーク加太開発推進機構を清算なり、何らかの整理をしておく方がよいのではないかと考えるわけであります。現状と今後の対応について企画部長にご答弁願います。
三番目の、第二阪和国道及び都市計画道路西脇山口線の早期開通について質問をいたします。
まず、第二阪和国道の全線開通について。
私は、第二阪和国道があと十キロメートル余り先まで、大阪府県間の山の向こうまで、最近は大阪の方もどんどん工事が進んできている。和歌山からは平井峠というところにトンネルを抜かなかったらだめ。それで後、開通ということになるわけですけれども。ここまで紀の国大橋がかかって、地元では大阪へ一年でも半年でも早く開通させてほしい。今、和歌山市民の道路に関しての一番高い要望と、私は市議会からも聞いております。国の方の予算の都合では、京奈和自動車道、それから府県間道路についても今三つほど要望があると聞き、なかなか財源のことを考えますと、どれも重要な道路であると思いますが、あと三十キロ、四十キロというのが着々と整備されてきているのが、それももちろん早く開通したいですけれども、やはりこのあとわずかとなった第二阪和の府県間を開通さすことによって、和歌山市、和歌山県の経済波及効果は本当に大きなものがあると。そしてまたいろいろ総合的に考えますと、やはり今一番私は和歌山県内では第二阪和国道を全力でもって開通さすことに力を傾注するのがいいんじゃないかと思うわけであります。第二阪和国道、泉南までの全線開通に向かって、県として最重点部分の取り組みをしていただきたいと考え、最優先の取り組みをしていただけるか、知事に要望しながら答弁を求めるものであります。
次に、西脇山口線についてであります。
都市計画道路西脇山口線について、県道粉河加太線の多くの箇所で朝夕の交通停滞が発生しており、JR紀伊駅周辺は常時混雑をしております。これは、やはり県民にとっての大変な損失であります。西脇山口線の早期全線開通を市民、県民は待ち望んでおります。進捗状況と着工や部分開通の時期をできるだけ努力目標としてでも、年月を示して答えていただきたい。先ほど、浦口高典君もマニフェストのことを話しておられましたけれども、やはりいろんなことについては、県の幹部の皆さんも、知事を先頭に時期というのを、努力目標としてでも結構ですから、今までのように努力目標というか数値を示さないというのはこれからの時代としては知事の考え方にも沿わないんじゃないかと思います。これは、県土整備部長に答弁をお願いします。
次に、港湾の整備と振興策について。
和歌山下津港臨港道路──これは紀の川右岸線と言うんですけれども──の整備についてであります。
十二月二日の新聞で、和歌山市が環境保全と経済活性化を両立させる事業、エコタウン事業として、経済産業省の補助を受けて廃プラスチック超臨界水ガス化リサイクル事業──これは家庭から出るチューブ容器やトレーなどの廃プラスチックに圧力をかけて高圧で溶かし、乗用車のガス燃料に転化するという内容の事業であります。これをする企業を住友金属和歌山製鉄所内に誘致することとなっていたが、誘致企業の撤退で事業を断念した、今年度中に十六億円の補助金が出ることが内定していたのに何がしという記事が載っておりました。
私は、働く場所をつくるには、県内、市内のいろいろなところに企業誘致の努力は必要と考えますが、工業的な事業なら、何といっても住金の中に誘致を考えるのが一番成功率が高いと考えます。そして、場所的にも住金構内ならどのような工場でも条件は整うと言っても過言ではないと思います。しかし、関係者からよく聞く言葉に、住金構内に工場を設けた場合、企業が来た場合、物の搬入、搬出等、運搬機能として目的地に向かって住金構内を通り抜けていかなければならないのが非常に不都合である。紀の川右岸堤防を下って、紀の川河口周辺から住金に出入りすべく和歌山下津港臨港道路、紀の川右岸線の必要性は本当に不可欠で、早期に開通しなければならないものだと私は考えます。今後の企業誘致の条件にも大きく関係があると聞いております。進捗状況と今後の取り組みについて、県土整備部長にお尋ねいたします。
次に、時代のニーズに対応した港湾整備とその利活用について。
県が四十年前に企業誘致した青岸というところ、危険物や化学物質、そのような関係の企業のために和歌山県が埋め立てをして、企業を誘致した港湾があります。この県が企業誘致した港湾は、最近のようにどんどんとタンカーが大型化している中で、岸壁が水深三メートルの四十年前のままです。それで、私この話、県会へ一期目に来たときに演説させてもらって、二期目にもやらせてもらって、議事録に残っていると思います。今、六期目です。
これは、小野真次さんの当時のパンフレットを見せてもらったんですが、県が将来、危険物の基地、化学製品の供給基地として企業に来てもらって、県民のためにこの地域で頑張ってほしいと。ある社長さんの話によると、始めはなかなか買うてくれるところがなくて、随分頼まれたので、せっかくそんなところつくってもらって、わしらそこへ行かなんだら、断ったら何か後で意地悪されたら悪いんでというぐらいの、お上に逆らったらいかん、協力せないかんということで、そこへの企業誘致に応じさせてもらった。ところが、大型タンカー化しているために、水深三メートルといいますと、三百トンタンカーであれば満潮時とか、潮を見計らってこなかったら底をする。百トンタンカーであればいける。ところが、沖へ海外から持ってくるのは千トンタンカー以上、三千トン、五千トン、そういうようなもので持ってくる。そうしますと、小さい船に小出しをして、そこの岸壁へ持ってこなあかんというようなことで、企業採算性を考えると大変困っているというような実態でありまして、それで私は十何年か前にもこのことを提案した。そのころは景気もまだよくて、私とこで金出しますから、この岸壁の水深を深くする改修、改善をやらせてくださいと言ったら、公共岸壁だからさわったらあかん、民間でさわってもらったら困ると。それで、二社以上あったら民間じゃなくて公として扱ってもらえるんですかと言うと、そういうことになるなと。それで、隣の会社といろいろ相談して、皆さんで公共岸壁として改修してほしいというようなことでお願いしたら、実態は一番前に接岸している、一番よく使っている会社が占用使用状態にあるから公共で直すわけにはいかんと。それで、私も間に入って困ったんです。占用状態にあるから、公共では直せない。ところが、それでは占用と言われるところが二社ぐらいで金出して直させてもらうと言ったら、公共やからさわったらあかんと。それで、ここでもそういう話をさせてもらったけれども、結局は何らかの対応をということで来たんですが、私も県会議員やめるか、やってくれるかどっちかと、とにかく粘っておるわけですけれども、これはやっぱりちゃんとやってもらうまではやめられやんなあと思っています。後々ちょっと話をするんですけれども、この一件についても、やはり県の企業局なりが埋めて誘致している岸壁とか港については、他府県の企業の競争に打ち勝っていけるような対応というか、改善、改修ということも、県がしてあげなかったら難しいんじゃないかと思う。県も金がないということもわかるんで、ある程度応分の負担とか、そういうようなことも考えて取り組まなかったら、そんなことばかりしておってもちょっと無責任な話じゃないかと思うわけであります。
次に、もう一つちょっと耳の痛い話を続けさせていただくんですけれども、五番目の項目でありますが公有土地等の公図訂正等について。
これも、私が県会で最初に当選させていただいたときに、関係のある町村長さんが相談にお見えになったことであります。林道として、それぞれ山主の皆さんが工事を無償提供して、県が道路をつけた。高野龍神スカイラインをつくるための建設用道路やったと聞いております。林道として初めつけた。山に道つくということで協力してくれと村長さん、町長さんに言われて、皆さんが協力がした。それが、林道から県道になって、今、国道になっている。ところが、登記簿に載ってない。公図にも載ってない。それで、山主さんが非常に困っている。売買する、あるいは何かの開発とかいろいろなことをする。そんなときの計画を出すにも、山に道が通っているがゆえに、それが登記簿、公図に載っていないために、山の谷底の二、三町のところの測量をして公図訂正をして届けたいわけですけれども、何十町という山の下の一筆の山を皆測量しなかったらそれができない。それで、私も法務局とかいろんなところへ行きますと、そうでもない。民間では全部測量してそういうことにせんと無理やけれども、代位登記という制度があって、県が責任持ってその部分、上からそこまで、あるいはそこから下までというような形で根拠になる道と残りの土地を片側だけでも測量すれば代位登記として受けますよと。これも、私は説明して、そこまで来るのに大分時間かかるのやけれども、やっと県の人がわかってくれたと。それでやってくれるのかなと思ったら、人事異動でかわっておる。本当に引き継ぎとかちゃんとやってほしいし、勉強もやってほしい。やはり、県民の世話をするというか、行政に働く職員の人は、そういうようなことをやろうと思って職員採用に応募してきたと思うんですよ。それで担当者、そして上司も勉強してくれやんとなかなか決裁をしない。相談していっても、なかなかやろうと言わない。それで人事異動。こういうことは僕は非常に残念に思う。知事も一生懸命やっておるのに、こんなこと言うて悪いんですけれども。
あと、海浜地とか瀬戸内海国立公園区域の一部というような雑賀崎、あそこでも金属団地を埋めるときに、民間と官民境界ができなかったから、海の方へわざわざダンプカーで土砂を積んで、海へずっと持っていって、海から陸の方へ向いてきた。そして、最近までずっと運河にして置いておいた。その一部がまだ運河状態というか、池のような状態というか、ごみ捨て場のような状態になっている。これも、公の方も、隣接の民間の者にそこをきれいにせえとか、ごみをほってもらって、おおきによとか、協力してよと言うているようなことだけじゃなくてね、やはり公としてももうちょっとそこをちゃんとするような、民間でちゃんとしたいし、我々もそういうようにお願いしたい、協力もすると言うてきているのやけれども、なかなか仕事がはかどらないというか、着手しないし、着手したころには人事異動。それで、またもとに戻ってしまうんです。そして、聞いてないと。勉強する気がないんかと思うけどね、本当に。やればできるのにやらない。
確実にできる話ということで、一つだけ。昭和二十八年、二八水害と言われているあの水害のときに、私が小さいころ金屋町におりました。そのころ、清水や花園、有田川の上流が大洪水で、段々畑のようになっていた田んぼが、ざあっと川底が上がりまして田んぼが皆埋まってしまって、上が広い川になって、そのうちの半分ぐらいのところを県が復旧田をつくってくれた。そして、村の人や町の人が田んぼを買った。当時、一反三十万円で、何十年かの月賦で買うた。それが、もう五十年たちました。ちょうど五十年ですから言うんですけれども。五十年たった今、領収書というか、県から亡くなった親への、先代への売り渡し証書があります。だけれども、名前はもう亡くなった人の名前。それは奥さんとか子供とか相続権者の権利があるかと思うんですけれども、地番がつかんままなんですよ。権利書もないんですよ。それで、私はこれも随分、自分の職業としても行政書士の職業もやっていますから、一生懸命何とかしたいということでお願いに行ったんですけれども、法務局の方も、これは流失とか滅失登記、登記の中にそういうような項目がありますが、そういうようなことをしなかったら、五十メートル、三十メートル下の田んぼの人に判こをもらって復旧田にしたのでもない。そういう災害として流失、消滅したから復旧田にしたわけでありまして、やはり県が復旧田をした公の立場で代位登記を法務局へ求めてくればできる。また、そういうためにそういう項目があるということを聞いておるんですけれども、これも高野山の法務局へ出してきてくださいというところまでいったのに、人事異動等でもとへ戻ってしまう。
ですから、この花園村の二八水害後の復旧水田の権利書なり地番をつけることを、ぜひ県でやってあげてもらいたい。県しかできないです。民間では。いろいろ忙しくても、これは民間の調査士会とかへの委託とかもできますから、ぜひやっていただくように県が進めてほしいと思います。
最後に六項目め。県立高校の専門学科(職業科)の募集定員についてお尋ねいたします。
近年、和歌山県の高等学校卒業生が就職難に面して、就職の世話を頼まれて苦労しているのは私だけはなく、多くの関係者が苦労されていると思います。この時期の学生、また親御さんが最もつらい思いをし、高校を卒業する時点で就職先がないので専門学校や大学へ進学した話も日常茶飯事であります。
ところが最近、私が定期的に情報交換というか勉強会というか、集まっていろいろ意見を出し合っているグループの会合で、工業高校の定員を決めるのに、和歌山県教育委員会は、就職先の企業がどうとか、世の中の現状のことがわかっていない人ばっかりかというような話が出ました。企業が求めている、また学生が働きたい、学びたい学科を開設したらなあかんのと違うかえということでありました。
例えば和歌山工業高校四百八十人の募集定員も、ことしも機械八十名、電気八十名、電子機械八十名、工業化学四十名、土木四十名、建築四十名、インテリア四十名、色染化学四十名、繊維工学四十名でありましたが、これは平成十四年度も平成十三年度も全く同じで、いつからこの定員配分なのか、卒業生をどこの府県のどのような企業へ就職を考えての配分なのか、それとも当てなどないものか。それと、自動車整備学科をつくってほしいとの話もよく聞かれます。早急に、社会のニーズや将来展望を考えた学科の編成と定員の見直しが必要と思われます。
次に、県民として自信、誇りを持って学べる教育を。
高校生と社会人に、東京等、県外にて自分の出身地、住所などを聞かれたら、「和歌山」と答えられない人が多いようであります。特に近年、その傾向がふえたと聞きます。我々も、努力をして郷土和歌山に住んでいることに誇りを持てるようにしないと、企業も進出、誘致などますます困難になるばかりだと考えます。教員が生徒に指導教育するときに、やはりプラス思考の発言、指導に取り組んでいただきたいと思うわけであります。
最後に、不適格教員の実態と対応策について。
不適格教員の話もいろいろな機会に聞かされますが、その実態の把握について、六カ月以上三年未満の俗に休職と言われる、学校に来ていない教員はどれくらいありますか。
教員採用時の問題か、採用後の研修指導等が問題なのか、またその他に原因があるのか、生徒や父兄は教育委員会に適切な対応を強く望んでおられます。
先日、大阪府では、問題教員が三百五十名から四百名ぐらいいるとの報道を新聞で見ましたが、県民からも教育委員会の指導力を問われているものであります。本県での実態と今後の方策についてお示しをいただきたいと思います。
以上で、一回目の質問を終わります。
○副議長(吉井和視君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず水源地の森林環境の問題ですけれども、和歌山県の場合、私はよくヘリコプターに乗るんですが、ヘリコプターから見てもほとんど山ばかりと、こういうふうな状況でございます。そういうふうな中で、昔は材木が物すごく値段がよかったということで山がプラスだったと。それから山が重荷になって、今ようやくまたこういうふうな環境という観点から山が値打ちが出だしている。これは経済的にではありませんけれども、社会的に値打ちが出だしているという時代が来ていると思っております。緑の雇用の人たちの仕事をつくっていくという観点からも、この水源地の森林の環境保全ということは非常に大事なことだと思っておりますので、前向きに取り組んでいきたいと、このように考えています。
それからコスモパーク加太の跡地ですが、この土地については議員諸氏のいろいろなご協力を得て検討を進めてきたわけでございますけれども、いずれにせよ借金の問題だけではなくて、これからあそこをどういうふうに活用していくかということが非常に大きな問題になってくるわけでございます。そういう中で東南海・南海地震対策ということが焦眉の急というふうになってきておりますので、ご質問の中にもありましたような、例えば地震があったときの応援要員の集結場所でありますとか、物資の集積地、仮設住宅の用地、災害の訓練、研修の場と、こういうふうなものはもう絶対に必要なものとなってきますし、それから災害が起こったときに適地を求めてもすぐにあるというわけではございませんので、そういう面での多面的な活用、あわせて施設の話も出ておりましたけれども、そういう過程の中でどういうふうなものを整備していけばいいのか、これから前向きに検討していきたいと、このように思っています。
それから、第二阪和の問題でございます。
私も、車を運転するので、よく今の阪和道路を走るんですけれども、和歌山の場合、大阪との間に和泉山脈があるので、これがほかの府県間道路もそうですけれども、目の壁になっているというふうな面があります。これが抜けていくということによって、この地域の活性化ということは大いに図られるという観点は私も持っております。いろいろお金の問題もあります。これは国の直轄事業ですので、県がどうというわけにはいかない面もあるんですけれども、積極的に働きかけていきたい。
それから、その他いろいろ具体に起こったようなことについて、職員の人事異動なんかとの絡みでお話がありました。私自身も、前からともかく後送りすることはだれでもできるんだと、今そのことを自分の任期中に解決するということの中に公務員の仕事があるんだということは、かねてから口を酸っぱくして言っているんです。そして、そのときに申し送りだけちゃんとやってもだめだという話ですけれども、さっきの話では申し送りもしていないということなんで、それ以前の話になってまいりますので、具体の話はわかりませんけれども、真剣に対応していきたいと、このように思っています。
○副議長(吉井和視君) 農林水産部長阪口裕之君。
〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 水源地の環境保全と整備についての中の二項目め、森林整備の現状と将来展望についてお答えいたします。
非常に厳しい林業情勢の中で、間伐などの森林整備がおくれ、水源涵養機能の低下した森林が増加の傾向にあり、県民生活への影響も危惧されるところです。県では、適切な森林施業を促進するため、造林補助事業や治山事業等を中心に、緊急間伐五カ年対策などの施策を講じるとともに、水源涵養などの環境機能に着目し、森林所有者と市町村とが環境保全協定を結んだ荒廃した森林については、緑の雇用事業による環境林として整備を図っているところです。特に水源地として重要な地域につきましては、水源森林総合整備事業などの治山事業による森林整備を積極的に実施し、水源涵養機能の高い森林の整備に努めてまいりたいと考えております。議員ご提案のモデル地区の設定の趣旨につきましても、今後、環境林等の整備を進める上で参考とさせていただきたいと思います。
昭和二十八年の災害における災害復旧についてお答えいたします。
昭和二十八年の七・一八水害は、農業関係においても、農地の流失、埋没など甚大な被害がございました。当時、被災地の早期の復旧を図るため、花園村においても県営災害復旧事業として区画整理を実施いたしましたが、約二十六ヘクタールのうち一部を除き換地処分が未了となっております。早急に現状を調査し、花園村と協議してまいりたいと考えてございます。
○副議長(吉井和視君) 企画部長野添 勝君。
〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) コスモパーク加太の土地の売却先や誘致企業等における条件制約についてでございますが、コスモパーク加太には当然のことではございますが、公害発生の危険性や地域社会に有害な影響を及ぼすおそれのあるような企業の誘致は想定いたしておりませんで、雇用の創出など経済波及効果が期待でき、地域と共生し、地域の活性化につながる企業の誘致を行ってまいりたいと考えてございます。
次にコスモパーク加太開発推進機構についてでございますが、平成二年十一月に民間十四社、県、和歌山市、県公社で設立しまして、土地利用計画の策定等を行い、民間活力の導入によりコスモパーク加太の開発を促進し、和歌山県の発展と地域経済の活性化を目的としたものでございます。しかしながら、バブル経済の崩壊による社会経済情勢の変化もあり、現在は推進機構としての具体的な活動をいたしてございませんが、県としましては、構成企業に対し、民間企業の移転等、企業誘致につながる情報提供をお願いし、これまでに数社から情報をいただいてございます。今後も、民間からの情報収集窓口としての活用も考えてございますが、設立当時とは社会経済状況も大きく変化していることから、議員のご意見も踏まえまして推進機構のあり方について検討を行ってまいります。
以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、西脇山口線についてでございます。
西脇山口線の整備につきましては、和歌山北バイパスの効果を最大限に発揮させるためにも重要であると認識しており、県、市で役割分担し整備を進めております。県事業としましては、西庄から磯ノ浦間の二千六百メートルのうち、本年供用開始した約千二百メートルを含む二千百メートルが供用済みであり、残る約五百メートルの区間につきましても鋭意整備を進めております。また、平井から六十谷間につきましては、特に渋滞の著しい千七百メートル間について事業を行っており、整備効果を早期に発現するため、混雑の要因となっている交差点の優先的な整備に取り組んでおります。さらに、JR阪和線紀伊駅前の渋滞対策といたしまして、紀伊駅南側の宇田森工区約千二百メートルを平成十六年度補助事業化に向け要望しているところでございます。
次に、和歌山下津港臨港道路(紀の川右岸線)の整備についてでございます。
この道路につきましては、平成十一年度に事業を開始して以来、地元説明会を開催するなど、地元のご協力を得ながら用地買収を進めておりまして、本年十一月末現在で用地買収率が九五%となっております。さらに、今年度内に一部工区区間の工事に着手したいと考えており、平成二十年ごろの供用を目指すものであります。
次に、時代のニーズに対応した港湾整備とその利活用についてでございます。
地域経済の活性化等のため、港湾に求められている役割は非常に大きいものと認識しております。このため、官民一体となったポートセールスにより港湾振興を図るとともに、船舶の大型化などにより機能が低下した施設等につきましては、利用状況などを十分に考慮した上で、官民協力して使いやすい港を目指して努力してまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校教育三点についてお答えいたします。
まず、高等学校の職業系の専門学科については、即戦力としての職業人の育成だけでなく、将来のスペシャリストとしての基礎、基本を身につけさせることを重視し、関連企業への就職を初め、大学、専門学校への進学など幅広い進路にこたえることができる教育を進めているところでございます。
議員ご指摘の和歌山工業高校の各学科においても、こうした取り組みを進め、厳しい雇用情勢の中でありますが、堅実な就職実績を上げております。今後、産業、雇用の構造的変化に対応した学科改編や募集定員の見直しが必要と認識しており、研究を重ねてまいります。
次に郷土愛の育成についてでありますが、生まれ育ったふるさとへの愛着や誇りは生涯にわたって精神的な支えとなるとともに、自己形成に大きな役割を果たすものであります。そのためには、教員自身が和歌山に愛着と誇りを持って生徒を指導することが大切であると考えております。
和歌山市内のある小学校では、「地域すてき発見」をテーマに、子供たちが地元に伝わる民話を発掘して劇をつくるなど、ふるさとの自然や文化を守り、伝承する取り組みを行っております。また和歌山東高校においては、地域の調査活動やふるさと和歌山の写真展などが実施されています。地域をより深く知るために、このような特色ある活動は県内各地でさまざまな形で展開されております。今後とも、学校が保護者や地域と一体になって、より充実した実践を幅広く進めていくよう指導してまいります。
最後に、児童生徒を適切に指導できないなど適格性に欠ける教員につきましては、有識者や教育関係者から成る指導力向上調査研究委員会の提言に基づき、研修や人事管理に係る具体的なシステムを構築しているところでございます。
なお、平成十四年度において、県内の学校で病気のため休職した者は七十一名でありますが、これらの教員に対しては、教職員特別健康管理審査会と連携し、復帰に向けた指導を行ってきたところでございます。今後とも、教職員の資質向上及び評価のあり方について検討を進めてまいります。
以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(吉井和視君) 以上で、井出益弘君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時四十八分散会