平成15年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十七番原 日出夫君。
〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 質問させていただきます。
農業・林業振興について入るんですが、和歌山県はまさに農業、林業、漁業の第一次産業を基盤にした、本当にそれを定着させながら和歌山県の経済活性化に努めている唯一の、全国的にもそういう意味での先進を切っている県だと思っております。
私はこの質問に入る前に、そういう意味で、せんだって十四日、カンクンで開きましたWTO、これに対して私、無関心でおれないなというふうに思っております。というのは、かつてWTOの前は、皆さんもご存じのように、ガット・ウルグアイ・ラウンドの関係で、いかに国際的に──アメリカを中心としたグローバリズムというんですか、グローバル的に日本の農業が貿易の自由化によってこれは大変な事態になるということの中でも、全体的な国際の流れが貿易の自由化、とりわけその中でも農産物の自由化で門戸を広げられました。それによって今現在、実際に食品関係は六割、林業関係は八割、ことしのデータを見ますと、もう八五%が外国からの輸入の林業関係、木材であります。そういう意味において、このWTOの動き、それまでのガット・ウルグアイ・ラウンドの動きが、具体的にその国際的な動きの中で私たちの和歌山県の抱える農業、林業とは無関係ではないと思いました。
ところが、やっぱり十四日ではWTO閣僚会議が分裂的に終わりまして、その中で私は、日本の進むべき道は、今まで、アメリカ、ヨーロッパの進むべき道の後ろをついていくのか、後進国、中国、インドを中心とした二十二カ国が(「後進て使ったらいかん」と呼ぶ者あり)──「途上国」と言われてますけど、そういうところの国が中心に世界の食品──WTOはいっぱいありますけど、その中の農業分野においてどうしていくのか、日本はその中で三極の一角をなす日本の農業を本当にどう守っていくのかという瀬戸際、岐路に来ているというふうに私は考えております。
そういう意味では、私自身の個人的な見解は、WTOや今度WTOに、何ていうんですかな、空洞化しながらFTAと言われる自由貿易協定に移っていくというふうに言われておりますけど、私は日本の農業を基盤として中山間の多い特殊な日本の農業をどんなにして守っていくかということがこれから求められるというふうに思いますので、そのことを冒頭感じながら本題に入っていきたいと思います。
最初に、紀州梅の産地を守り発展させるために、県当局に提案と質問をさせていただきます。
まず最初に、産地の梅の樹木の実態調査を県、農協、生産者で来年度実施することを提案します。提案理由は、今までは梅の立ち枯れのみの実態調査でしたが、それだけでなく全体の実態をつかむ必要性を感じています。計数的に園地面積と収穫量との関係、中国梅の輸入量、国内の他産地との収穫量を総合的に見て、紀州梅の収穫量は停滞している状況にあります。
皆さんのお手元にお配りさせていただいておりますが、この観点は、私がこういうのをつくらせていただいたのは、一つは、和歌山県の梅産地、紀州の産地である南部川村、南部、田辺市を中心とした全体の十五年度の面積を一番に書かせてもらっていますが、実際に和歌山県は全体として二四%であります。和歌山県以外は七五%の樹園地を占めているわけでありますから、和歌山県とりわけ紀南の栽培技術を学べば、どえらい収穫を上げていくということになります。そういう意味では、まだまだそういう技術に到達していないから、全体としての面積は二四%だけれども和歌山県の十五年度の収穫量は全体の五五%、面積は七五%県外にあっても収穫量は四五%という、こういう比較になっております。しかし、これは必ず逆転する時期が来るのではないかということを私は憂えているわけです。そのことは紀州のブランド、紀州梅をブランド商品として守っていく、産地を守っていくということについては、近い将来的には非常に不安を覚える部分はあります。
そういう意味で、ことしがその一つの例として非常に、生産量は三分の二と──二枚目の下の方に書かせてもらっておりますが──梅収穫量の推移の中で平成十五年はかなり落ち込みました。平成十四年が四万八千二百トンに対してことしは四万百トンという形で、八千百トン落ち込んだわけですけども、そういう形の中で私たちが今この紀州・和歌山県の梅の産地を守っていく上で、今もう一度、その上にあぐらをかくことなく先を見通した政策を持っていく必要があるのではないかということで、私は感じているわけです。特に今回、市場や加工業者等は紀州梅のみに着目しない状況が生まれていますし、既に他の産地へもことしの収穫量の少ない中で求めていったという状況が生まれております。
そういう意味で、紀州梅の青梅の一定の生産量確保、加工梅の確保は産地を守る上で大切な時期に来ています。梅の樹木の立ち枯れによる新しい木に植えかえる改植事業は進められていますが、立ち枯れた樹木だけではなく全体の樹木の実態調査が必要です。これは、私は田辺、南部や南部川の園地を歩いてみて、梅の木の数は多いが収穫量との関係と樹木の勢いがなく衰えている木が多く見られることから、ここ数年で生産量に影響が出てくるのではないかということを専門家と一緒に歩いて感じましたし、今こそ将来計画を立てていかないと大変だなということを痛感して帰ってまいりました。
これらの調査に基づき、全体を新しい木に変える改植計画を立て、生産量の安定を図る必要があると考えますが、どうでしょうか。それに対する支援策は、梅の立ち枯れの関係で日本一梅産地支援事業、これは十六年度で終了いたします。これを引き続き継続することを含め、検討されてはいかがでしょうか。産地は、紀州梅を毎年コンスタントにどれぐらいの生産量が必要で、さらに販路消費拡大を考慮しながら生産目標を立てる必要があると思いますが、いかがでしょうか。それに伴う園地面積の拡大についてどう考えていくのか、農林水産部長にお聞きします。
次に、梅の立ち枯れの原因分析についてであります。
私は、かつて梅問題でこの議場に送っていただいたという関係で、この梅の立ち枯れの原因究明をとことん解決するまで頑張る責務がありまして、そういう意味で、県のうめ対策研究会やJA、関電による梅生育障害対策研究会の二つの研究会が平成九年から十年に開催されて、それで平成十年の三月から四月にかけてその原因究明の発表がありました。しかし、それはあくまでも調査や試験研究の成果に基づく専門家の学問的な総括でありまして、具体的にどこに要因があったかという原因究明に至らないままの報告で終わっております。それが栽培や病理面、また大気面においても何らかの疑問や問題点を残したままその研究会は解散され、そのままの状態であります。
私たちは、これではいけないということで、こういう結果で終わったことによって、さらに一つは県の考え方や研究会の考え方と農家の意見とに大きな乖離ができ、お互いの不信感がいまだに少しは続いているような気がします。
そこで、私たちは現地で、そういうことを言っておられませんから、どうしても現地においてこの梅枯れの対策をしなきゃいけないということで、平成十二年九月から私たちは独自に栽培部会や気象・環境部会の二つの部会を設けて梅生育不良の原因究明と対策の確立に向けて各部会で積極的に取り組んでまいりましたし、関係農家は現場に行って、そして現場作業や調査などもお互いに賃金まで払って参画し、一緒に汗をかきながら今まで活動しておりますし、行政とりわけ田辺市と農協、生産農家がお互いに汗をかきながら納得して今進められていますし、実践しております。そこには、一つの疑問や対立もございません。そういう意味で一つの大きな役割を果たしながら原因究明に取り組んでいますが、県として具体的にそういった現場のたゆまぬ努力の中で県は今後どうやっていくのかということについてお聞きしたい。
一点目は梅の立ち枯れ原因の、現在までの成果と、どの程度の実証がなされているのか。
二点目は、これを踏まえて今後の研究課題は、その課題をうめ研究センターで研究できる人的、組織的、設備的に体制が整っているのか。とりわけ、大気環境と梅立ち枯れの因果関係の研究体制はどうなっているのかということについて、農林水産部長にお聞きしたいと思います。
三つ目は、私は今までこの議場でずっと、関西電力のばいじんの直接暴露に基づき県は関西電力にばいじん提供を求めるべきだということを訴え続けてまいりました。今回、私は要望にかえますが、これは歴史的に見て経過があります。私たちは、平成十二年十二月五日に田辺市長が関西電力にばいじんの提供・提出を求めてまいりました。十二月十日に関西電力から経過報告があって、暴露試験の計画の妥当性について調整・協議が必要であるのでしばらく待ってほしい。そして平成十三年六月十三日、関西電力へばいじん暴露試験計画書を提出しました。これは、県当局も私の質問に対して「科学的立証ができる研究であれば検討していきたい」ということがありましたので、私たちは関西電力へばいじん暴露試験の計画書を提出したわけであります。その結果、九月四日に関西電力から試験計画書に対する回答があり、試験計画書について科学的妥当性が必要だということで、それもしばらく待ってほしいと。そして九月二十日に私たちは知事へ、ばいじん暴露の検証を求める陳情をしてまいりました。そういう中で再度私たちは、ばいじん暴露試験計画がどのように妥当性があるかということで改めて研究し直して、十四年の七月九日に関西電力へ試験計画書を再提出させていただきました。しかし、その十四年の十二月六日に関西電力は、科学的妥当性は認められず、要請──いわゆるばいじんの提供──は認められないということのまま現在に至っておるわけであります。
暴露試験を要望しても、なかなかできない。これは私たち田辺市、紀南農協、梅農家が一体になって求め、知事にも要望してきたところであります。私はそういう意味で、今後いろんな角度で研究されていきますが、その一つの知見を広めるために、大気環境と植物の因果関係、それに伴うばいじんとの因果関係をどうしてもうめ研究センターで研究課題の一つとして取り入れない限り、原因究明への方向が見出せないのではないかということを思いますので、そのことをうめ研究センターの研究項目として入れていただくことを強く要望しておきたいと思います。
次に、二点目のバイオマス立県わかやま構想及び推進方針を産・学・官・住の共同で構築してはどうでしょうかというテーマであります。
これ、ちょっと資料を(資料を知事に手渡す)。
私は以前からバイオマスとりわけ森林・林業の立場で木質バイオマスエネルギーを提言してきました。県も一つのモデルプラントを検討中と聞いていますが、私は今回、国が示したバイオマス・ニッポン総合戦略に基づき、バイオマスが豊富でその多くは農業、林業、漁村に存在していることから、バイオマス立県わかやまとして資源の有効活用を図ることで、和歌山の立地を生かした新たな産業と雇用を創出していくものと考えております。とりわけ、和歌山県は緑の雇用事業の中での地球温暖化防止森林連合を組織し、CO2削減への役割をアピールしています。
バイオマスは、もう一つの観点から、化石燃料ではない生物由来の有機性資源を活用することでCO2の発生を抑制し、地球温暖化防止と循環型社会へのモデル事業としての役割を果たすと考えます。県下では既に産業界において石橋石油や有機堆肥工場等、個々に先進的な取り組みがなされていますし、近畿大学、和歌山大学や地域住民と一緒になった研究と実践もなされています。
今、知事のお手元に渡させていただきました菜の花エコプロジェクトといいまして、和歌山大学と石橋石油並びに地元熊野川町の住民の皆さんとで菜の花エコプロジェクトのために菜種油を車の燃料にということで、今実践をしながらそれを積極的に取り組んでいる実例があります。私もこれに少し参加したこともあるんですが、そういう意味で私は、そこで具体的に当局に提案しますが、バイオマス戦略に基づいてバイオマスを原料とする工業製品製造やガス化発電の分野、つまりハイテクバイオマス、それから食品廃棄物などを堆肥や肥料などとして利用するアグリバイオマス、それから木くずなどを堆肥や熱利用、電力等とするウッドバイオマス、先ほど紹介しました菜の花の種の油の食用油を精製してバイオディーゼル燃料化するフラワーバイオマスなど、県下の農業、林業、漁業から出る廃棄物を再利用するためのバイオマス立県わかやまの推進方針を産・学・官・住の共同で構築されることを来年度の重点施策として検討されることを提案しますが、知事の見解をお聞きしたいと思います。
次に、緑の雇用事業と地域の土木・建設業従事者との雇用連携についてお伺いします。
土木・建設業従事者の仕事の確保は今、緊急の課題です。地方では、土木・建設業は地場産業です。現状は大変厳しい中で、私は二月議会において土木・建設業の新たな産業への転換、他業種へ行くための研修等、土木・建設業への支援策を訴えました。今回私は、現場で感じ、関係者からの意見として緑の雇用事業はまさに緑の公共事業として土木建設業従事者の仕事の確保の立場から事業連携を求めていますが、知事の見解をお聞きしたいと思います。
次に、私はこのことをたびたび言わせていただいているんですが、緑の雇用事業イコール森林活性化イコール木の文化を構築するための人材養成について、お伺いしたいと思います。
新規従事者への技術指導及び必要とするライセンス習得はどうなっているのでしょうか。和歌山県の森林・林業を活性化させ、木の文化の和歌山づくりには、少なくともそれを継続発展させる人材確保とそのための人材養成をどこでどのように、どんなものを系統的に学べ、しかもライセンスも習得でき、森林・林業に従事できる人材を養成できるのかがこれから求められています。例えば、県行政機関、森林組合、民間、大学機関が連携し合って系統的な学習と実践の場を組織的につくることが必要ではないでしょうか。例えば、里山研究、森林づくり研究、地域林業研究、木造建築研究、森林と地域環境等の分野の研究とその実践ができる場と機関が今、求められております。自主的に民間では木造建築等の研究や、また里山づくりや地域おこしの中で独自に勉強も地域ではされておりますが、そういった人たちも含めて具体的にそういう人材確保、和歌山県がまさに緑の雇用事業が森林活性化につながり、木の文化の和歌山県としての町づくりに対してそういう人材確保のための展望を持った方向を打ち出してはどうかということで、知事の見解をお聞きしたいと思います。
次に、新規就農ワンストップ支援事業についてお伺いします。
これは知事からも報告されておりましたが、農業をやってみようプログラムの提案が新規就農ワンストップ支援センター設立という形になったことを受けて、暖地園芸センターの役割を示しています。本来、この考え方は都市と農山村の共生、対流ということでの施策として国も積極的に進めてきました。各市町村を初め、地域づくり団体、農家等は都市からの農業・林業体験、教育の立場からの子供たちの農業・林業体験とグリーンツーリズム等を受け入れ、地域おこしの一環として積極的に今進められています。
今回の県の農業をやってみよう、新規就農者の緑の雇用事業と並んで実施しようとしていますが、新規就農支援と県の果たす役割について若干の問題点を指摘して、県当局の考え方をお聞きしたいと思います。
家庭菜園や農業体験の発想の範囲内であれば問題はないのですが、新規就農者を受け入れることに重点を置くとすれば、県が主体になるものではないと考えます。県の果たす役割は何か。第一は受け入れ農家の組織、第二は遊休地候補の選定、それを情報化し、県は新規就農者と農家とのコーディネートつまり橋渡し役割でよいと考える。短期・長期で農家の中で生活し、技術を学び、早朝から夕暮れまで農業で生活をする厳しさを直接体験していく体制の方がよいのではないでしょうか。第三は、県はむしろ受け入れ農家や地域づくり団体への受け入れ支援制度をつくり、財政的に支援することの方がより前向きに進んでいくのではないかというふうに私は考えますが、農林水産部長の見解をお聞きします。
次に、私は昨年の十二月議会において和歌山県の汚水適正処理の見直しと、とりわけ和歌山県の地理的条件、人口減から見て、公共下水道を初め集合処理から合併浄化槽への発想の転換を提案してまいりました。今回は具体的に公共下水道と合併浄化槽のコスト比較、市町村自治体の財政負担について提起し、汚水適正処理計画を再度市町村を含め検討されることを提案したいと思います。
例えば、公共下水道と合併浄化槽のコスト比較ですが、これは神奈川県葉山町の下水道の費用対効果をめぐる住民訴訟の判決文の中から引用します。判決文の中の黒白の判決結果ではなくて、その中で裁判所が全国の資料を抽出してこの神奈川県葉山町にそれを引用したときにどういう結果になるのかということを、公共下水道といわゆる合併浄化槽との比較を数字的に具体的に示した判決であります。
その中で、処理人口一万六千二百人とした事例で──それは葉山町の処理対象人口ですけど──合併浄化槽は、一人当たり二十二万円で一万六千人として設置総費用は三十六億二千万円、維持管理費を含む汚水処理費は一立米当たり二百円。これに対して公共下水道は、設置費用二百八十四億円、処理人口一万六千人で割ると一人当たり百七十五万円となります。維持管理費は一立米当たり九百九十八円必要であるが、市民負担百八十円で差額の八百十八円は一般会計からの税負担で賄っており、合併浄化槽と公共下水道とでは八倍の差があります。しかも、葉山町の事例は他の市町村においてもほとんど変わらない状況であります。これを私は、県下の市町村の実態、今公共下水を計画しているところに当てはめても、ほとんど変わらない数字が出ております。
公共下水道の延べ金額は、この葉山町の事例ですが、建設費二百八十四億円、一部供用開始後の維持管理費が二十四億、起債償還費が五十九億円、その他経費十五億円──これは主に人件費とか諸経費であります──歳出合計三百八十三億円であり、それに対する歳入は、国庫補助金百三十億円、県費補助金四億円、町の町債が百三十億円、使用料収入は十三億円で、一般会計からの繰入金が百四十億円となっております。これは建設費に限られ、全面供用開始すればランニングコストの費用への毎年一般会計からの繰り入れは約二億近くも必要とされております。ちなみに、対象地域一万六千二百人の葉山町の一般会計予算総額は九十億円であります。そういった中で一般会計からその設備その他に対して一般会計の繰入金百四十億円、しかも町債が百三十億円、そういう形での負担が町財政の規模から見ても莫大な公共下水道の投資であります。
この事例から見ても、公共下水道の建設及び維持のための費用の大きさと、特に一般会計からの繰入金が大きいことです。全国的に見ても、人口一万から三万人の町村では、公共下水道と合併浄化槽とのコスト比較を初めランニングコストの一般会計からの繰り入れを考えたとき、今、合併浄化槽──いわゆる合併浄化槽の中には浄化槽市町村整備事業というのもありますが──への転換が図られております。
県下において、町単位の公共下水道が進められているところ、計画されているところを見ると、町村財政への負担は莫大なものであることが実証されます。知事は、公共事業を初め国の画一的な考え方から地方の事情に見合った公共事業や規格にすべきことを国に対して訴えられております。まさにこの公共下水道は大型公共事業であり、地方の事情に見合った汚水処理の考え方に私は転換すべきであると考えます。とりわけ、和歌山県は汚水処理率ワースト第二位であります。今見直すことによって地方自治体の財政負担は大きく軽減されると考えますが、この点についての知事のお考えをお聞きしたいと思います。基本的な考え方をお聞きしたい。
次に、従来の公共下水道重点から合併浄化槽への転換に対し、具体的に十四年度の汚水適正処理構想を、コスト比較、地域の実情、地方自治体の負担の状況から見て再度、市町村と一緒になって検討してはいかがでしょうか。県土整備部長にお尋ねします。
最後になりますが、IT総合センターの地盤沈下とその対策の問題点についてであります。大沢議員からあと四人か五人おるぞと言われたので、ちょっと発言をさせていただきます。
私は、県の答弁を聞きまして、くい基礎をしないで連続布基礎構造の選定は地質調査結果から見て適切な設計であったと判断したと、スレーキング現象による地盤沈下は予測できなかったと、再度のボーリングの結果判明したということであります。このことについて、技術的なことは私はわかりません。しかし、関係する、私のおつき合いさせてもらっている市町村の関係者の技術員、それから一般建設業界の技術員、そういう人の考えや意見を聞かしてもらう中で、私は県の出した見解に対して少し納得がいかない部分があるから発言させていただくわけであります。
というのは、私は図面をつくらせてもらったんですが(図表を示す)、実際に田辺市土地開発公社が提示したここに、いわゆる盛り土と切り土の間で黄色と赤に分別しているんですが、黄色が切り土で赤が盛り土なんですけど、これをきちっと示して県に対して埋めたところは三十メートル埋めてますよ、それからそういうことの状況にありますよ、もう一つは、平成十三年の八月に初のボーリング調査したときにも、そのボーリング会社や、そして開発公社に示したそのボーリング調査結果を見せていただきましたが、これに対して地盤沈下があるという前提で少なくともくい打ちを、この上に建物を立つ場合は基礎をくい打ちしなければならないということまで指摘しているわけであります。
そういう状況を見たときに、それを見て当時、教育センターを建てるということで、教育センターでこれの設計委託を受けた総和技術研究所は、そのことの指摘に基づいてレイアウトをしております。その部分はほとんど切り土で、この渡り廊下のところは盛り土にちょっとかかっていますけど、主たる建物の二つはきちっと切り土にレイアウトされている。これで、いわば三十メートルの盛り土にすると費用がかさむということもあって、実際に設計は切り土にやって、盛り土のところは駐車場と運動場という形でぴしっと示してこういう形で対応しているわけであります。
そういう状況が既に──これがよそでやったんならですけど、実際に県庁の中で、総合教育センターを建てるとき内部でやってきたことが、ITセンターになって設計会社が変わったら今度は盛り土のところへずっと来ている設計レイアウトになっている。こういう部分が少なくとも、私は技術屋ではありませんが、技術屋の人の意見も聞き、いろいろして、少なくともそういうことが素人の目にでも当たり前のことと違うんか。当たり前のことがわかっていながら、なぜそういうレイアウト──いわば金を少なくしようと思ったら、切り土のところに建物を建てるという設計の仕方をなぜしなかったのか。よしんば盛り土にするんだったら、少なくとも指摘しているように、三十メートルも埋めていますよ、必ず自然に水が入り地盤沈下するのは当たり前のことです。私たちが土地を買う場合でも、必ずそのことを事前に切り土か盛り土か調べて、それが何によって何年間転圧して締めたかということは事前に素人でも、家を建てる場合、土地を選択する場合、考えます。
そういうことがわかり切って、しかも県の技術で専門的な人たちがそういうことをわかって、私は当たり前だと思うんですが、それが今になって、わからなかったと二百八十カ所の調査をして結果はそういうことがあったと、そのことは当初わからなかったと言っているのについては納得がいかないわけであります。
私は、結論的に言えば、少なくともそこまで意地こじ張って言わんと、やっぱりこれは、する場合に見通しが甘かったとか、きちっとすべきではないでしょうか。そうすることによって県民にも信頼されるし、関係する皆さんにも信頼を受ける。いずれにしても四億幾らかけてやらんなんのですよ、結果は。やらんなんのです。やらんなんのやけども、そういう、自分たちが何もわからなかった、知らなかった、そういう問題はなかったということでいつまでもやることがお互いの不信感につながってくる。この際、やっぱりきちっと──こういう経過がなければいいですよ。教育センターのときには問題あるって知っているんですから、それがITセンターになって知らなかったで済むんだったら苦労しませんよ。だから、そのことを県土整備部長、きちっと判断をして県民に、やっぱり少なくとも四億円を超える補正予算を組んでやるんだったらそれだけのことをきちっとしない限り県民も納得しませんし、私も今の段階では納得しません。
以上で、第一回の質問を終わります。
○副議長(吉井和視君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) バイオマス立県わかやま構想と推進方針の産・学・官・住の共同取り組みについてでございますが、本県農林水産業の持続的な発展と農山漁村の活性化を図るためには、農山漁村に存在するバイオマス資源の把握とその総合的な利活用を通じた関連産業の育成等が重要であると認識しております。
県といたしましては、本年度、木質バイオマスのエネルギー利用を目的とした資源量や収集コスト等を調査するとともに、バイオマス発電や堆肥利用等、幅広い利用促進に向け全庁的に取り組みを進めているところでございます。
なお、国においても昨年十二月、バイオマス・ニッポン総合戦略が閣議決定され、地球温暖化防止、循環型社会の形成、豊富なバイオマスを活用した戦略的産業の育成と農林漁業の活性化といった中長期的な方向が示されたところでございます。これらをもとに民間企業や大学等のノウハウの活用を図るバイオマス利活用推進協議会を設置し、本県のバイオマスの総合的な利活用方針の策定を進めてまいりたいと考えております。
次に、緑の雇用事業につきましては、環境保全で雇用創出し、これを過疎化が進む地域の活性化につなげていく施策として展開をしております。環境、雇用、そして都市部との交流、都市から地方への人口流動を図ることによる地域の活性化、こうした緑の雇用事業を全国展開することにより都市と地方の均衡ある発展が期待できるものと、国に対し政策提言を行ってきたところでございます。
その結果、緊急雇用対策に続く施策として緑の雇用担い手育成対策が打ち出されたところでございます。これらを活用した緑の雇用事業で県内雇用も行っているところであり、今後とも広く情報提供を図ってまいりたいと考えております。
次に、緑の雇用事業の推進や木の文化を構築するための人材養成についてでございますが、現在、緑の雇用事業における新規就労者に対しては、関係機関がそれぞれ連携し、就業前研修を実施しております。さらに高度な技術研修を求められる方に対してはグリーンワーカー研修などを実施しているところであり、こうした技術研修をより総合的、効果的に実施するため、本年度からはわかやま林業労働力確保支援センターを充実したところでございます。
森林・林業を活性化させ、我が国が古くからはぐくんできた木の文化を基礎とした和歌山づくりを後世に伝えていくためには、人材の継続的な確保・育成は重要なことと考えております。このようなことから、提案の森林・林業・木材産業それぞれの人材を養成する場を創造していくことは、緑の雇用事業を推進する上からも大変参考となるご意見であり、今後、人材養成に向けた和歌山県独自の取り組みについて十分研究してまいりたいと考えております。
それから、従来型の公共下水道中心の考え方からの転換についてでございますが、昨年度、和歌山県内では各市町村がそれぞれの地域特性や費用対効果などを考慮しながら、公共下水道だけにとらわれず、より早く、より経済的でより効率的な手法により汚水処理施設の整備が進められるよう、その構想の見直しを実施したところでございます。
今後とも、環境保全、財政負担、個人負担等の面を考慮しつつ、地域の実情に合った最適な整備手法により取り組むべきであるというふうに考えております。
○副議長(吉井和視君) 農林水産部長阪口裕之君。
〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 農業・林業振興についての中の紀州梅の産地を守り発展させるために、まずお答えいたします。
産地の梅の樹木の実態と収穫量の現状とその展望とその対策についてでございますが、県下の梅園の実態につきましては、継続実施してございます生育不良の実態調査に加えまして、五年に一回実施してございます果樹生産流通等基本調査などにおきまして、老木園が増加傾向にあり、産地として若返り対策が必要であると承知してございます。
議員お話しの件につきましては、産地JAや市町村などと連携を図りながら引き続き実態の把握に努めてまいりたいと考えてございます。
また、平成十三年三月に策定しました県果樹農業振興計画では、産地ブランドの維持発展のために平成二十二年度を目標として栽培面積では約一五%増の五千百二十ヘクタールに、生産量では約二四%増の七万五千トンに拡大する計画としてございますので、今後より一層、計画的な改植と適地への産地拡大に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、梅の立ち枯れ原因究明分析についてでございますが、これまでの研究では生育不良の原因究明には至ってございませんが、着果負担が樹体に及ぼす影響や有機物マルチ・緑肥作物による土壌改良の効果などの研究成果も得られ、梅安定生産のための栽培管理マニュアルとして取りまとめ、地元生産者にもご活用いただけているところでございます。また、国の指定試験では梅樹の水分・生理・生態特性と生育不良に関する研究を実施しており、これまでに一定の知見を得てございますので、まとまり次第、報告会を開催する計画でございます。
今後の研究課題といたしましては、平成十六年度開所予定のうめ研究所において、梅産業の持続的な発展を図る観点から、生育不良の早期解明はもちろんのこと、梅の木の生理・生態特性解明や適正な土壌管理技術の開発、優良台木の選抜・大量増殖技術開発などに取り組むこととしてございます。さらに、今後は環境制御温室を利用した温度、光等の環境要因が梅の木に及ぼす影響等の研究と既存の機器を活用したうめ研究所でのオゾン濃度の測定に取り組み、定点観測データの利用など環境生活部とも連携を図りながら、大気環境面を含めた総合的な研究を行うこととしてございます。
なお、来年四月の開所に向け、これらの課題に対応できる体制を整えてまいりたいと考えてございます。
続きまして、新規就農ワンストップ支援事業についてでございますが、近年、他産業に従事している人や田舎暮らしを求める人など、新たに就農を希望する人が多様化してございます。こうした中、本県では農家の後継者はもちろんのこと、そのような人を対象として一元的に就農相談に応じられる新規就農ワンストップ支援センターを御坊市に設置することとしてございます。支援センターでの主な役割として、就農相談、経営や遊休農地等に関する情報の提供、資金のあっせん、農場における技術研修の実施などを予定してございます。
一方、就農意欲の高い研修希望者が農業・農村を体験する実践的な農家研修を実施するためには、受け入れる農家の協力が不可欠であると考えてございます。このため、受け入れ農家の登録制による組織化や新たな支援策を通じ、地域が連携・協力して新規就農者をサポートする体制を検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 和歌山県の汚水処理計画についてでございますが、汚水処理構想の再検討をすべきではないかということでございますが、昨年度、地域の事情に合った汚水処理構想の見直しを行ったところでございます。この構想に基づいて、汚水処理施設の早期整備に取り組んでまいりたいと存じます。
なお、今後新たな状況の変化などにより関係市町村において計画の見直しがあれば相談に応じてまいりたいと考えております。
次に、ITセンターの関係でございます。
盛り土部分に建物を建てる場合にはくい基礎を考えるのは当たり前ではないかということでございました。一般的に、基礎構造の選定に当たりましては、まずは建築構造を踏まえた上で、例えば総合教育センターの場合には三階建て・四階建てということでございましたが、今回のITセンターの場合には平家あるいは二階建てということでございます。そういうものを踏まえた上で、地盤特性を把握するための地質調査を実施し、その結果によって建物形態による加重から、いわゆるくい基礎とするか連続布基礎構造とするかなど、幾つかの基礎構造の中から構造の安全性や経済性を考えて選定するものでございます。
ITセンターの設計に当たっては、平家・一部二階建ての構造を前提としておりますが、その設計に先立って行った平成十三年八月の地質調査では、特にここが高盛り土であるということから細心の注意を払いまして、通常より多い十カ所のボーリング調査を行い、地盤の支持力を調べるために平板載荷試験等も実施いたしました。この地質調査結果といたしましては、スレーキング現象による沈下は予測しなかったものの、建物を建築した直後に一般的に生じる沈下は予測しておりまして、建物の基礎構造について、くい基礎構造にするのか連続布基礎構造にするのかの二案が提案されておりました。建物の設計においては、これらの地質調査結果をもとに地盤条件やその建物形態による加重から検討した結果、基礎の剛性を高め不同沈下に対応した連続布基礎構造を選定しており、このような地質調査結果を踏まえればその設計は適切であったと判断しております。
しかしながら、今回、盛り土材料のスレーキングが原因であったことが判明いたしましたので、これに対応すべく設計変更を行うこととし、今回追加工事費の増額をお願い申し上げているところでございます。何とぞ、ご理解を賜るようお願い申し上げます。
以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十七番原 日出夫君。
○原 日出夫君 ご答弁ありがとうございます。
紀州梅の産地を守るためのいわゆる改植計画に対する答弁の中で、面積にして五千百二十ヘクタール、一五%増、生産量では二四%増の七万五千トンと言われました。現在は県下では四万七千トンですから、かなりの生産量をしていかなきゃいかん。そのための園地を確保していかなきゃいかんという意味で、具体的にこういう数字を挙げた場合に、じゃ、どこにどれだけのものをしていくかとか、いろんな部分で計画を示していただきたいというふうに思いますので、要望しておきます。
それから、ばいじんの問題については要望しました。私たちは今、独自にこの問題に対して研究をしております。だから、大気と植物というのは今、全国的にもそういう具体的な知見は、幾つかレポートは書かれておりますが、梅と大気環境との関係の知見がまだ示されておりません。そういう意味では、幾つかの疑問とされている問題、対象とされている研究課題については避けることなくやっぱりやっていただきたいと、このことを要望しておきます。
それから、私は緑の雇用事業と県内の土木建設業について、緑の雇用事業が緊急雇用対策としてやられていることについては十分理解した上での発言であります。一側面は緑の雇用事業が緊急雇用対策として二年間、それをさらに継続させるために知事は一生懸命頑張っていただいておりますが、それをやっていく。しかし一方、今まで農家、農村地域というのは、半農半林で半分土木事業というのが生活設計だったわけですね。そういう意味では、緑の雇用事業はまさに緑の投資の公共事業として、土木建設業者が今、その地域地域、農村地域にある業者が仕事がなかなか確保できないために外で働く、その労働力をやっぱりこの緑の雇用事業に、緊急雇用対策の一面と、もう一つは地元のそういう土木建設業者に携わっている人たちの雇用の場の、その二つの側面を今後検討していただけたらありがたいと、こういう要望であります。
もう一つ、新規就農ワンストップのことですが、実際にこの間、九月十八日の農業新聞にも書かれておりましたが、やっぱり新規就農よりも離職者数がずっと多いということで、農業経営を断念した主な理由ということで、データが出されております。なかなか新規農業というのはそんなに甘いものじゃないですよということとか、生活する、いわゆる収益性が非常に低いことから長続きしないでやめていったというデータが出されているわけであります。
そういう意味では、安易なと言うたらおかしいけども、家庭菜園的な物の考え方じゃなくて、新規に就農する人たちには本来、直接農家にホームステイ的に入ってもらって、その苦労をともに体験しながら技術を体験したり、農業の厳しさを体験する場を提供していく方が私はいいと思います。この間、北海道の中では特にそれのための地域の指導農業士に対して就農トレーナー制を設けて、新規就農する人たちに対するトレーナーとして位置づけて新規就農者に対する指導をしていくという体制もとられております。そういった点も考えていただけたらありがたいと思います。
最後になりますが、今、県土整備部長からありましたが、僕は専門的なことはわかりませんが、素直なことを言ったんです。純粋に素直に考えたら、部長が自分の家を建てるのに、三十メートルも埋めたとこへ、一階であろうと二階であろうと、二年か三年ぐらいしかたっていないところに家を建てますかという話や。素直な話やで。そういうことは、一階や二階という意味ではなくて、しかも盛り土を三十メートルして、自然転圧かけたらやっぱり大分時間がかかる。そういうところに設置する場合、本来、技術屋であろうとなかろうと、素人の目から考えてもそういうことが事前に考えられることであるし、しかも教育センターを建てるときのボーリング調査した結果の中には、くい打ちをしないと大変です、くい打ちが必要ですよということもきちっと書かれているわけでありますから、その点を考慮しないで、なおかつ今また結果弁明的なことを言うことについては、なかなか私は納得できないわけです。
まあ、これ以上言いません。後で言われる人もありますし、建設委員会でも論議されると思いますが、私は今のところ疑問として持ったまま私の質問を終わりたいと思います。
終わります。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。