平成15年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(角田秀樹議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十四番角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 六月に引き続き登壇をさせていただきました。先輩・同僚議員におかれましては、最後までよろしくお願いを申し上げます。
さて現在、各省庁から財務省への十六年度予算概算要求が八月末で締め切られ、年末に固まる政府予算案に対して、私は公明党の一員として大変期待をしているものでございます。一方、木村知事におかれましては、将来にわたり県民一人一人が希望と安心のできる和歌山県の構築にさらなるご尽力を傾注されるよう心から願いまして、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
まず初めに、観光振興についてお尋ねいたします。
「国土交通白書」によりますと、「観光は、ゆとりと潤いのある生活にとって重要であるのみならず、国際親善や地域の振興、産業・雇用の創出等に非常に大きな役割を果たし、国際社会にとっては、国際相互理解の増進を通じて、国際親善、ひいては国際平和に貢献するものである。また、観光は、地域にとっては、交流人口を増加させ、地域の活性化に大きく寄与する」と指摘されております。特に、旅行業、宿泊業、飲食産業、アミューズメント産業、土産品産業、旅行関連産業等幅広い分野を通じ、産業や雇用の創出に大きな役割を果たしています。また、平成十三年の国民経済に対する効果については、観光に係る直接消費は二十兆六千億円、さらに波及効果を含めると四十八兆八千億円、雇用効果は三百九十三万人と推計されており、我が国のGDPや雇用に占める比率で見ると、他の基幹産業に匹敵する貢献度となっております。
このたびの国土交通省関係の予算要求に目を通せば、観光立国の実現に対し、昨年の倍額予算が要求されています。また、七月三十一日付の観光立国関係閣僚会議資料に観光立国行動計画が示され、我が国の観光の意義について、今後の施策として幅広い観点から幾つかの提案がなされております。現在、世界が大交流の時代を迎える中、日本に訪れる外国人が世界で三十五位であるなど、国際観光については日本は後進国であると言わざるを得ません。また、欧米はもとより、アジアの国々についても、観光は自国の国力を高め、文化を諸外国に発信する有効な手段ととらえております。経済に刺激を与え、教育を充実し、国民の国際性を高めると同時に、国の将来、地域の未来を切り開く有力な手段であると分析をし、観光立国の推進に当たっては、まずこうした観光の原点に立ち返り、観光概念の革新が必要であると位置づけられておりました。
以上のことから、知事にお伺いいたします。
第一点は、本県も過去から観光立県として歩んできた歴史がございます。このたびの政府において取り組もうとされる観光立国行動計画について、知事のご所見をお伺いいたします。
第二点は、明年六月に紀伊山地の霊場と参詣道がユネスコの世界の文化遺産及び自然遺産に関する条約、いわゆる世界遺産条約に基づき世界遺産登録に向け期待が高まる中、知事は今までトップセールスをなさってきておりましたが、新たなるトップセールス並びに将来に向けた本県のあるべき姿についてお伺いをいたしたいと思います。
第三点は、和歌山県には本州最南端を有する紀伊半島がございます。しかしながら、この地域は、皆様もご承知のとおり、高速道路未開通区間でございます。これに対する今後の鉄道網の整備として、三重県側に紀勢本線との早期電化運行への強い働きかけをすべきであると私自身考えますが、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
次に農政問題について、特に農作物の鳥獣被害対策についてお尋ねいたします。
先ほど同種の質問がございましたので、観点を変えて質問をさせていただきたいと思います。
先月八月二十六日の委員会視察の際、県警ヘリにて上空から県下を見させていただきました。本県は、豊かな山の緑と美しい海岸線の白い色が非常に色合いのいい景観で、眼下に広がる自然の宝庫であると実感した次第でございました。一方、自然界と共生する農政事情は、依然後を絶たない有害鳥獣の被害で大変厳しい状況でございます。
私自身、地元の方の要請で、去る六月に那智勝浦町の色川地区、また八月には広川町の津木地区を視察させていただきました。色川地区は、「弁当忘れても傘忘れるな」というぐらいの非常に雨の多いところでございますが、今現在、イノシシ、猿、シカといった動物の被害──津木地区は、主にイノシシによる被害状況を地元の方々とともに現場に赴きお話を聞き、そして同時に被害実態についても確認をした次第でございます。また、この県都和歌山市内でも、近ごろ園部地区においてイノシシが民家近くにおりてきたというお話もお聞きいたしました。
私は、平成三年に市会議員に当選をさせていただいて以来十二年間、いろんな和歌山市内を回らせていただきましたが、特に県境の滝畑地区というところにおいてのイノシシ被害の対策に大変苦労したことも事実でございます。田植えの時期になりますと田んぼの縁を掘り、そしてミミズをえさにするため、田んぼの水がなくなり、稲がだめになったこともございました。そこで急遽、農水の担当官に申し上げまして、水路にコンクリートのU字溝を設置させていただいたり、畑には波板を張ったりもいたしました。しかし、抜本的な解決策には至らなかったのが現状でございます。こういった被害は何もこの和歌山だけではないようでありまして、先日の新聞報道を見ますと、滋賀県の土山町において、農作物に被害を与える猿やシカを追い払うという対策に追い払い隊というものが昨年から結成されております。隊員たちは、住民からの通報があれば現場に駆けつけ、エアガンやロケット花火で威嚇をして追い払うという方法を現在使っております。この事業は、県の緊急雇用対策事業として実施しているとの記事でございました。
担当部局においては、今まで数々の対策を講じていただいておりますが、先ほどの答弁にあったように、依然、被害は横ばい状況であるところから、今後関係機関の方々の協力も得て、先ほど申し述べました緊急雇用対策事業の一つとして追い払い隊といった方策を講じ、対応されてはどうかと思いますが、環境生活部長にお伺いをいたします。
次に、県営住宅における高齢者や身体障害者への対策についてお伺いいたします。
先日、私のもとに五十代の母子家庭の方から、住宅施策について強い要望がございました。ご本人は、介護つきの二級障害者で、両下肢機能障害で車いすの生活でありますが、娘さんの助けもあり積極的に社会生活にチャレンジをしております。しかし、近い将来ひとり暮らしになったとき、日常の移動を初め、生活面において現在お住まいになっておられる民間の借家では到底やっていけなくなると言っておられました。
今現在、和歌山市での身体障害者向け戸数は二十三戸とお聞きしておりますが、県営住宅のバリアフリー化をより推進することで、一般向けの住宅でもスロープやエレベーター、また浴槽内の段差解消を図ることで、ある程度の身体障害者の方への対応が可能になると思われます。
以上のことから、県土整備部長にお伺いいたします。
第一点は、県下における受け入れ体制の現状と今後の対応について。
第二点は、川永団地における改善事業及び建てかえについてお伺いをいたしたいと思います。
次に、将来の国道二十六号線、紀の川大橋の渋滞緩和策についてお伺いいたします。
国交省和歌山河川国道事務所の発行した和歌山北バイパス開通約一カ月後の交通状況についての資料を参考にいたしますと、四月二日に和歌山北バイパスが開通した後、紀の川大橋を利用する交通量は二十四時間調査で三千五十七台の減少で、開通前の六万一千八百八台から五万八千七百五十一台になったとありました。今後この状態であれば、特に何も問題は生じては来ないと思われますが、今地元で問題となっているのは、近い将来、元住友金属グラウンド跡地に二十四時間営業の大型スーパーの出店計画がございます。また、電力需要の拡大に伴い関西電力のLNG火力発電所の建設が始まる。さらには、河西地域に人口増加等が予想される。こういった諸条件のことから、将来において紀の川大橋の渋滞緩和策が前もって必要であると思いますが、県土整備部長にその旨お伺いをしたいと思います。
次に、教育行政についてお伺いいたします。
まず初めに、今定例会において、知事説明要旨に教育改革の推進が挙げられております。内容は、中高一貫教育の推進について、公立高校で中高一貫教育を受けたいという県民のニーズにこたえるという観点で、平成十六年度より県立向陽高等学校に県立中学校を併設するという議案が今定例会に上程されております。
中高一貫教育制度は、現行の中学校、高等学校の制度に加えて、生徒や保護者が六年間の一貫した教育課程や学習環境のもとで学ぶ機会をも選択できるようにし、中等教育の一層の多様化を推進し、生徒一人一人の個性をより重視した教育を目指すものであります。制度施行については、平成九年に中央教育審議会の第二次答申の提言を受け、学校教育法の一部を改正する法律が平成十年六月に成立、翌平成十一年四月より中高一貫教育が導入可能となりました。今回、本県にて導入しようとされる併設型の中高一貫教育については、県立向陽高等学校に県立中学校を設置するものであります。その概要及び設立基準についてお伺いをいたします。
続いて、熊野高校への総合学科の設置についてお伺いいたします。
総合学科の設置についての実施制度は、平成三年四月、第十四期中央教育審議会において、「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」を答申し、個々の特性にきめ細かく対応する質的拡大へ、現在の普通科と職業学科とを統合するような新たな学科を設置することが適当と考えられる旨の提言がなされ、今日に至っております。
本県では、和歌山高等学校と有田中央高等学校に続き三校目であります。熊野高校は、皆様もご承知のとおり、農林業を主とした創立八十年の歴史ある高等学校であります。今後の新しく生まれ変わる総合学科においては大変期待をする一人であります。
以上のことから、熊野高校における総合学科を設置する目的等、その概要について教育長にお伺いいたします。
最後に、防犯町づくりについてお伺いをいたします。
昔と言っては誤解があるかもしれませんが、私が小中学校の時代から思えば、考えもつかない事件がここ近年、住宅、学校、公共施設等に関係する犯罪が多くなっており、二年前の小学校に乱入し、多くの小学生を殺傷し、裁判中の事件については特に社会的に問題視されているのが現状であります。こういった凶悪な社会現象の中、都市再生本部──本部長は内閣総理大臣、本部委員は国家公安委員長の──決定に基づき、具体的な施策等が取りまとめられました。日本を本当に世界一安全な国への復活を目指し、身近な犯罪の抑止を図るためには、地域住民とのかかわりや防犯意識の醸成についての取り組みを一層充実、普及させることが不可欠であるという内容であります。
「「防犯まちづくりの推進について」の概要」として一つには、「防犯まちづくりの基本的な考え方」では、「「世界一安全な国」の復活のためには、従来は接点の乏しかった防犯とまちづくりを相互に組み込んだ対応が必要」と挙げられております。二つ目には、「市街地類型ごとの進め方」で「市街地を「まちなかの商住混在地区」など五類型に分けて、死角の多さや匿名性など犯罪発生との関係から特性を整理して対応を検討」する。その他、関係省庁における具体的な施策や公共施設等の整備・管理に係る留意事項が挙げられております。また、「防犯まちづくりの基本的な考え方」では、「近年、わが国においては犯罪が急速に増加している。平成十四年の刑法犯認知件数は二百八十五万件に達し、七年連続で戦後最高を更新するに至った。特に、住宅への侵入犯罪やひったくりなど、市民が身近に脅威を感じる犯罪の増加が著しい。 こうした状況に対応し、「世界一安全な国」の復活を目指して身近な犯罪の抑止を図るためには、従来行われてきた住民、警察等様々な主体によるソフト面の防犯活動を一層充実・普及させるとともに、住宅、学校、公共施設等の構造、設備、配置等に係るハード面の取り組みを推進することが重要である」と指摘されておりました。
こういった中、既に自主的な取り組みを行っているところがございます。那賀郡貴志川町の教育委員会では、「子供たちに安心と安全を」といったスローガンに、スクールサポーター制度を立ち上げ、子供たちの登下校時や授業中の校内の巡視、清掃時、休憩中での児童生徒との触れ合いを中心に活動を実施されておられます。現在の登録者は百十九名であります。また、JA、郵便局、銀行、企業といったところにも呼びかけ、協力体制で取り組まれております。さらに、六十四台の車両には、岩出警察署、貴志川町、貴志川町教育委員会の名称を表示したステッカーを張り、緊急時に対応できるよう取り組みもされていて、今後も周辺地域の防犯にボランティア活動員を幅広く募集し、犯罪の抑止に積極的に取り組もうとされております。
以上のことから、県警本部長にお伺いいたします。
第一点は本県の刑法犯の現状について、第二点は今後の対策についてお伺いいたしまして、第一問を終わります。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの角田秀樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) このたび国が定めました観光立国行動計画についてのご質問ですが、私はこの計画に大賛成でございます。
この二十一世紀は、大変デフレで厳しい状況が続いていくと思うんですけれども、そういうときに、やはり日本の国は産業の柱の一つに観光というふうなものを据えていくべきだと思うし、今現に、日本から外国へ行く人と、外国から日本へ来る人というのを比べても全然数が違うというふうな形になっておりまして、ぜひ海外から日本へもっともっと来てもらうというふうな状況にしていかなければならないし、そしてまた日本には海外の人に対して魅力のあるものが大変あるわけです。我々は、例えば和歌山の山というのは、そこに住んでいるからそれほど大したものだとは思わないかもしれないけれども、外国の人から見ると、この和歌山の紀伊半島の山であるとか、それから海とか、温泉とか、こういうふうなものは大変に魅力のあるものであるというふうに思っております。そしてまた、国内を見ても、この和歌山県の歴史というふうなものは非常にこれからのいやしの時代には売りになるというふうな感覚でいるわけでございます。
そういうことで一方では、一昨年ですか私、韓国の方へ行って観光のプロモーションみたいなことをしましたけれども、こういうことをどんどんやっていかないといかんと思いますし、あとは台湾でありますとか、それからこのところ所得水準が非常に上がってきている中国の沿海部分、特に山東省なんかとは和歌山県はずっと姉妹県でやっておりますので、こういうところからもたくさんの観光客が来るような努力というふうなことをしていかなければならないと思っています。
それから、国内に目を転じても、昨年、東京そして名古屋で、私も出席して大規模な観光プロモーションをやりましたけれども、非常に反響がよかったというふうなことがあります。それから、熊野古道は歩いてみたい日本の道の第一番目に新聞社のアンケート調査でなっているというふうなことで、非常に恵まれたものが和歌山にはあるわけです。これをブラッシュアップして、そして来年の六月には確実になるであろう高野・熊野の世界遺産の登録とあわせて、ここで爆発的に和歌山ブーム、紀伊半島ブームというものを観光の世界で起こせるように頑張っていきたいと思います。
そしてまた、それにあわせて、本当に和歌山の観光を魅力のあるものにする努力というのをしていかないと、かけ声だけでは、はっきり言って、行ってみて大したことなかったなということになると、来てもらわないよりむしろ悪いぐらいの状況にもなりかねませんので、体験型観光とかいろんなことで和歌山の魅力を引き出す努力というものをしていきたいと、このように思っております。
それから、紀勢線の三重県部分の亀山─新宮間百八十キロの複線電化の問題でございます。
実は、複線電化の問題はもう数十年前の話で、いまだにディーゼルが走っているとは悲しいわけですけれども、ある意味ではちょっと時代に乗りおくれたというようなところもあるんですが、これについても、三重県の方もこの複線電化と、それからまたワイドビュー南紀の増便、こういうようなことに非常に努力をされているというふうなことです。そして、今言いましたように、来年の六月には世界遺産の登録ということで、この紀伊半島にまた大きな関心が寄せられると思われますので、こういうことともあわせて、和歌山県も三重県と協力してこの複線電化、なかなか難しいとは思いますけれども努力をしていきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 鳥獣被害対策としての緊急雇用対策事業の活用についてでございます。
野生鳥獣による農作物被害を防止するとともに、野生鳥獣と人間の共生、すみ分けを図るため、本年度、緊急雇用創出特別基金事業を活用して猿の追い払い事業を実施する予定であります。イノシシにつきましても、市町村と連携を図りながら、同事業を活用した効果的な追い払い方法を検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 角田議員からは、県営住宅における高齢者、身体障害者対策について二点、国道二十六号紀の川大橋について一点、お尋ねがございました。
まず県営住宅における高齢者、身体障害者対策についてお答えいたします。
県下における受け入れ体制の現状と今後の対応についてでございますが、現在、県営住宅五千三百二十九戸のうち七百九戸がバリアフリー化してございます。また、高齢者や身体障害者の方には、一般入居枠に加え、優先入居枠を設定し、入居機会の拡大を図っているところであります。施設面におきましては、高齢者や身体障害者向け住戸を初めとし、平成四年度以降の建てかえ・改善事業による住宅では、住戸内外の段差解消などバリアフリー化を実施しております。また、建てかえ・改善事業を実施していない住宅にあっては、入居者の障害の程度に応じ、段差解消など、必要な対応を図ってまいります。
次に川永団地における改善事業についてでございますが、老朽化した設備の改修、また段差の解消やエレベーターの設置など、バリアフリー化による居住性向上のための大規模な改善を行うものであります。現在、川永団地二十四棟のうち八棟について、アンケート調査などを通じ、入居者の意見を取り入れながら、来年度の事業実施を目指して設計を進めているところであります。なお、残りの十六棟の建てかえにつきましては、建物の耐用年数などを考慮しながら検討してまいります。
最後に将来の国道二十六号紀の川大橋の渋滞緩和策についてでございますが、議員ご指摘のとおり、本年四月の和歌山北バイパスの開通により渋滞はかなり緩和されたところでございます。今後、さらに来年度に予定されている和歌山市施行の都市計画道路西脇山口線の平井─栄谷間の開通や将来の大阪への第二阪和国道の整備などにより、現国道から交通が転換され、渋滞は大幅に解消されるものと考えております。このため、今後ともこれらの道路整備について国及び市と連携を図りながら対応してまいります。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) このたびの向陽高等学校への併設型中高一貫教育の導入については、これまでの同校の教育改革への取り組みや教育実績、さらに交通の利便性などを踏まえて決定をしたものでございます。来年四月のスタートに向けて、系統性のある六年一貫した教育課程を編成するとともに、中学校と高等学校が合同で行う学校行事、中高教員の相互交流による授業などを計画する等々、さまざまな検討を行っております。また、保護者等に周知するため、現在、学校説明会の開催や募集要項の作成など、具体的な準備作業を進めているところです。
次に、総合学科の設置についてであります。
熊野高校への設置は、これまで多くの面で成果を上げてきました和歌山高校、有田中央高校に次いで三校目、紀南地方では初めてとなります。同校では、農業関係学科の伝統を受け継いだ系列や、本県で二校目となる本格的な福祉系列を初めとして、六つの系列を設けるとともに、それぞれに特色ある内容を持つ多彩な科目を開設することとしております。こうしたことを通して、生徒の興味、関心、進路希望等に応じた主体的な学習を促進し、地域に信頼され、貢献できる学校づくりに一層努めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 警察本部長宮内 勝君。
〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 防犯町づくりの推進についてお答えいたします。
まず初めに本県の刑法犯の現状でありますけれども、刑法犯の認知件数は五年連続して二万件を上回っておりまして、昨年の犯罪の発生率を見ますと、全国でワースト十六位という厳しい状況にあります。本年におきましても、八月末現在で一万四千三百六十九件ということで、昨年に比べ若干減少しているものの、依然、凶悪化、粗暴化の傾向が続いております。また、少年による犯罪が依然として高水準で推移するとともに、子供が犯罪の被害者となる事案が相次ぐなど、少年に係る治安上の問題は、非行と被害の両面において深刻化しております。
こうした厳しい犯罪情勢に歯どめをかけるために、犯罪の約七〇%を占める路上強盗やひったくりなどのいわゆる街頭犯罪の抑止対策を県警察の最重要課題ととらえて、犯罪が多発している深夜帯を中心とした機動遊撃隊の効率的運用を初め、制服警察官等によるパトロール活動を強化するなどの総合対策を講じてまいりました。
その結果、八月末現在の検挙人員は、昨年同期と比較しまして三百三十八人増加する一方で、刑法犯の認知件数は三百九十件減少するなど、その効果があらわれつつあるのではないかと考えております。しかしながら、今日における治安の悪化は、規範意識の低下、不況の長期化、国際化の進展などの問題に起因する構造的なものであることから、警察の活動だけではおのずと限界があると考えております。
警察といたしましては、検挙対策と並行して、議員ご指摘の貴志川町における取り組みのような、地域住民の自主的な防犯活動を積極的に支援すると同時に、自治体、事業者等と連携した街路灯の増設、防犯カメラの設置など、犯罪に強い町づくりを促進することとしております。また、防犯町づくりを進める有効な手段として、今議会にいわゆる迷惑防止条例の一部改正をお願いしているところであります。今後とも、官民協働による防犯町づくりを進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十四番角田秀樹君。
○角田秀樹君 ただいま、知事並びに関部部局長から答弁をいただきました。
知事の、観光についての基本的な認識につきましては、私の考えていたとおりのお話だったというふうに感銘しております。
私も、実は議会人になる前、観光関係のサービス業に従事しておりました。和歌山の海岸線の羨望、他都市にはない先人が残していただいた自然のそういったものを来年の世界遺産という方向へ行く中、千載一遇のチャンスであるととらえて、これからいろんな関係機関に対しても、トータル的に、行政主導というよりも、行政の皆さんと民間関係者が同レベルに立って、異業種間のいろんな交流も含めながら、観光事業というのは本当は進めていかなければならないんじゃないかな、こういうふうに考えております。
先ほどの力強い知事のお答えがございましたので安心しておりますが、最終的に大成功裏に終わり、またこの和歌山というものを全世界、また国内外へ発信できるように一生懸命取り組んでいただきたいということを強く要望いたします。
もう一点は防犯町づくりなんですが、和歌山市も昨今高齢化がどんどん進んでいく中、いろんなところでお話しする機会がございます。よく話が出てくるのは、やはり昔で言うお巡りさんという、こういうイメージが警察の方に対する強い要望というものがあるんですね。自転車に乗って各家庭を回っていただく、そういった中で、未然に犯罪を抑止できるという、そういうものが過去にはあったんじゃなかったかなというふうに思います。ただ、いろんな犯罪件数がどんどんふえる中で、そういうところまでなかなか手が回らないということもよくわかるんですけれども、何とかそういうふうに努力をしていただいて、昔で言うお巡りさんの本来の警務であるそういうところに従事できるような、そういう体制づくりにご努力していただけるとともに、交番という一つの地域の拠点を中心とした交番制のあり方、昔は何かあれば交番へ走っていって、百円拾ったとか、どこどこ何々という、そういうコミュニケーション、いわゆる地域型の交番行政のこれからの進め方というものも非常に大事ではないかなというふうに思うところから、今後も交番制度の充実をするために強い要望をしておきまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で角田秀樹君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時三十五分散会