平成15年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十二番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、順次質問に入らせていただきたいと思います。
 まず、質問に先立ちまして一点ご報告をさせていただきたいと存じます。
 去る七月の八日、九日と、私ども新生わかやま県議団六名は、議員の政策提案条例とそして議会改革について、また世界遺産登録事業への和歌山・奈良・三重三県の取り組みについて、次いでNPO事業への取り組みについてなどを目的といたし、三重県に視察に行ってまいりました。
 特にこの中で、議員の政策提案条例につきましては、三重県生活創造圏ビジョン推進条例や県が所管する公益法人及び公益信託に関する条例等、全部で八本出されておりまして、これは全国で宮城県に次いでの数であるとのことでありました。ちなみに、条例一本つくるのに約一年かかったそうでありまして、議決するまでの間の議会と当局との苦労やその手順などについて、熱く語られておったわけでございます。
 なお、当日、ご多忙の中、三重県議会より三名の議員さんと、そして当局から議会事務局政策法務監初め教育委員会、地域振興部、生活部NPOチーム主幹等、十二名の方々が出席をしてくださり、活発な意見交換が行われました。私どもにとりましても、また本県にとりましても得るものがたくさんあったことを、まずご報告をさせていただくものでございます。そして、県政をもっと身近に、オープンに、開かれた議会にという言葉がたびたび聞かれ、私自身もそのとおりだと感じた次第でございます。
 よって、本県におきましても、既に知事、議会、当局、それぞれが広報誌やホームページ等を使い、そのご努力をされているところは十分承知をいたしておるわけでございますけれども、今以上にもっと身近に県政を感じていただくとともに開かれた議会というものを目指す、また議会というものを県民にご理解していただくために、本日も大変ご多忙の中、多くの皆さんに傍聴においでいただいております。
 私はこれから三項目にわたり質問をさせていただきますが、まず、安心、安定、安全の三つを県民に提供すべき生活者基点の立場に立ってそれぞれ質問させていただきますので、何とぞ、知事初め県当局の方々におかれましてもその点ご理解をいただきまして、熱のある積極的なご答弁のほどをよろしくお願いを申し上げます。
 では、質問に入ります。
 まず第一点目、今議会に上程されております議案第百四十三号工事請負変更契約の締結についてといたし、仮称IT総合センター建築工事についてお尋ねをいたします。
 元契約金額二十一億一千五十万円、変更契約金額二十五億三千四百七十三万三千五十円とありますが、これは地盤沈下対策経費として約四億二千四百万円の増額補正となっております。
 そもそも、平成十四年六月より平成十六年三月を工期として、県民の大きな期待のもと、田辺市新庄町東内ノ浦の地に平成十二年十月、地元田辺市から約十億円にて造成地約四・八ヘクタールを取得、そこに鉄骨づくり平屋、一部二階建て、建築面積約八千五百平方メートル、延べ床面積約九千四百平方メートル、総工事費約四十二億五千万円にて、さまざまなIT活動の情報発信の拠点となり得る複合的機能を有する施設として、この建物が建てられるものと解釈をいたしておりました。
 しかし、本年二月中旬、基礎のアンカーボルトの位置が一部で低いことが判明いたし、この工事を一たん中断し、その原因調査と対築工法の検討をしてきたとのことでありました。その結果、現在も沈下は進行しているものの、その沈下量については七月ごろから減少傾向を示していること、及び地すべりのおそれがないこと等により工事を再開することにした旨の報告が県当局からなされました。
 先ほど、大沢議員よりこのことについて質問がなされ、知事初め担当部長より答弁がなされたわけでありますけれども、いま一度、過去の事実関係についてこの場で確認をさせていただきたく質問をさせていただきます。
 まず、地盤沈下の原因と土地造成について、県は工事写真や試験結果資料等、その検査内容の調査及び関係者より聞き取りを行ったのかどうか、またその内容はどうであったのか。次に、基礎の設計について、地盤支持力等、地質調査の結果において適切な設計をしていたのかどうか。そして、今後完成までのスケジュールについて。以上三点、県土整備部長にお伺いをいたしたく存じます。
 二点目の質問に入ります。
 私のみならず過去多くの先輩・同僚議員の皆さんが、今日までこの議場において多くの時間をコスモパーク加太問題に費やしてまいりました。テーマパーク誘致の可能性や紀淡海峡道路等に関連したインタージャンクション用地としての使用の必要性、さらにはドーム型スキー場、そしてナショナルトレーニングセンターの誘致や現在紀三井寺にありますスポーツ施設の移設等々でありました。そして、それは関西国際空港土取り跡地に二十一世紀の新しい都市を築くという構想が和歌山県の発展に大いに貢献するだろうと考えたからであります。
 それが、社会経済の激変といった事情もありますが、土取り終了後十一年以上経過した今日に至っても広大な粗造成地となったまま放置されているのを見るにつけ、この地に夢を見、経過に心を痛めた私といたしましても大変残念でなりません。正直言って、今もって土地開発公社に多くの借入金を残した土地ではありますが、しかし、和歌山県内で唯一まとまった平地であり、これからもそのやり方次第では県民の生活の向上に多くの夢を描ける土地でもあり、その利用が和歌山県発展のためには大変重要な土地であることも事実であるというふうに考えます。
 現在、県が土地開発公社から一定期間お借りをいたし、県により利用を促進するという方向で土地開発公社の債務について金融機関と和歌山地方裁判所において特定調停されているところでありますが、県当局は本県の将来を見据え、話し合いに挑まれていることと存じます。
 そこで、まず、さきの質問にもございましたが、現在の特定調停の進捗状況について企画部長よりご報告願いたく存じます。
 次に、コスモパーク加太に進出予定となっておりますカゴメ株式会社のいわゆる大規模トマト生産工場の進捗状況についてお尋ねをいたします。
 これは、四十ヘクタールの土地にコンピューター管理されたアジア最大の二十ヘクタールのトマト養液栽培施設が建設され、農薬のかわりに害虫の天敵でありますある種のハチを使用し、廃棄物はリサイクルされ、約三百人の新たな雇用が生まれるという、まさにハイテクトマト生産工場と言っても過言でないものであります。上水道等、地元和歌山市との協議もあり、インフラが未整備な土地への誘致ということでご苦労もあろうかと思いますが、厳しい社会経済状況の中で久々の明るい話題として私は大いに期待をいたしております。
 現段階でのカゴメ株式会社との協議状況について、また地元和歌山市との協議状況についてお教えいただきたく存じます。
 さて、本年四月に国の中央防災会議専門調査会から東南海・南海地震の被害想定が発表され、まさにそれは巨大地震の恐ろしさを私たちに改めて認識させられた結果でありました。人的被害は死者最大二万五百人、建物倒壊は最大十八万二千二百戸というものであり、経済的な被害は交通網の遮断に派生する間接的なものを含め約五十六兆円、一週間後の避難者は四百四十万人に上ると予想され、和歌山県に至りましては、死者最大五千百人、建物倒壊七万六千戸という想定結果でありました。これは、地震が発生する季節や時間、天候等により、また住民の防災意識の高い・低いにより幅を持った最悪の数値とのことでありましたが、いずれにいたしましても想像以上の被害をもたらすことに改めて驚いたのは私だけではなかったというふうに思います。
 先ほど知事おっしゃっておりましたが、けさの新聞の方にもこのことについて、本県のほぼ全域、四十八市町村が指定された。そのことにつきまして知事は、予想されていたこととはいえ大変なことというふうにおっしゃっておるわけでございます。私は、忘れてはならないのが、やはり阪神・淡路大震災のことであるというふうに思います。そのときに、要らなくなった自転車を神戸に運びに行ってまいりました。それから、おでんや炊き出し等にも三回ほど神戸に入りました。そのことが今、鮮明によみがえってまいります。
 地震災害の防止対策は、熱く語らなければなりませんけれども、被災を前提とした対策はその被害を冷静に受けとめる必要があるというふうに考えます。知事の率先した行動により東南海・南海地震対策推進特別措置法が公布され、この七月二十五日に施行された中、県の今日までの積極的な地震対策への取り組みを評価していた折、コスモパーク加太対策委員会で県当局から対策案の一つとして、県が加太の土地を公社から借りる旨の説明を聞き、私はある方法を思い浮かべたのであります。
 東南海・南海地震は百数十年前後の間隔で繰り返し発生すると言われており、江戸時代・安政の大地震から九十年後、一九四四年の東南海地震、その二年後の一九四六年に発生した南海地震から半世紀以上が経過をし、今ではいつ発生してもおかしくないと言われております。不幸にも被災し救助を求める人々に対してコスモパーク加太の広大な空間は、支援のための拠点基地として有効に機能すると考えたのであります。
 建物の耐震性は、テクノロジーの発達により全体として向上していくことでありましょう。それゆえに、二十二世紀に起こるであろう次の次の地震時には建物倒壊の数は飛躍的に少なくなっているはずであり、急な支援が必要な人々も同様に少なくなっていることとは思います。人類の知恵としてぜひそうあってほしいと思うものであります。
 よって、今度の地震に対してのみ被災者支援にはある程度のまとまった空間が必要になってくるのではないかと考えるのであります。もちろん、土地開発公社の土地でありますから、最終的には和歌山県発展のため企業誘致や各種施設の土地として販売する必要がありますけれども、来るべき地震に備えて上下水道等、基本的なインフラ整備の上、コスモパーク加太の一部を、ふだんは県民の憩いの場としての広場や市街地に住む人々に対して四季折々の草花を植え、自然や土地と親しむことのできる公園や、例えば貸し農園等として広く県民に開放し、事が起こった場合には即座に必要な用途に転用するといったフレキシブルな対応ができる暫定的な利用ができる部分として確保する必要があるのではないかと思うのであります。
 そういった意味からも、東南海・南海地震といった長いスパンではありますけれども、近い将来必ず発生するだろうこの巨大地震災害の被災者救援に際しましては、長い時間をかけて恒久施設を整備するのは難しいものがありますけれども、暫定的に空間を確保しておくといった対応は効果的であるというふうに考えます。
 また、現在、二期土取りの土砂を砕く施設として土地開発公社が企業に貸与している投入口は、地表部分こそほとんど見えない状況ではありますけれども、深さが約三十メートル、長さが約七十メートルもあり、擁壁も一メートルのコンクリートでつくられており、非常に頑強な施設であるというふうに聞いております。ちなみに、地下に、今の広さは経済センタービルがそっくりそのまま入るほどの約三万立米にも及ぶ空間があるというふうに聞いております。これは平成十九年三月終了予定の二期土取り後は不必要となるものと聞いておりますけれども、災害救援のための広域な地下施設、例えば食料等の備蓄倉庫や地下会議室等として改修、利用ができるものではないかと提案をいたすものでございます。この施設は、コスモパーク加太が支援中核基地となった場合、その機能を十分に発揮できる広さと空間を持ったものになるだろうと、私は大いに期待できるものと感じております。
 今回の地震の被害想定を考えますと、コスモパーク加太と同様に、紀中・紀南地方にも拠点となるところが必要と考えます。それらにつきましても、現在県が所有する未利用地となっているところを活用すれば対応していくことができるのではないかと考える次第でございます。
 以上のように、コスモパーク加太の抱える債務問題、土地利活用問題の解決の中で県が一定期間、利活用にかかわる方策の一つとしてコスモパーク加太の一部を東南海・南海地震に対する防災救援機能を持たせた、暫定的ではございますけれども、その可能性について知事のご見解をお伺いしたいと存じます。
 最後の質問に入ります。
 私は、今日まで人権について何回か、この場から質問をしてまいりました。同和対策について、男女共同参画について、高齢者問題について、また児童虐待についてなどがそうでありました。今回は、色覚特性の問題についてお伺いをいたしたく存じます。
 なお、今回この問題を提起するに当たり、一言申し添えさせていただきたいと思います。このことにつきましては、差別的表現を避けるため種々の表現がなされており、例えば本年五月に出されております文部科学省の「色覚に関する指導の資料」──これでございますけれども(現物を示す)──この中では「色覚異常」という言葉が多々使われておるところでございます。しかし、私はこの表現がどうも余り好ましくないと感じ、また日本色覚差別撤廃の会というのがございまして、こちらの資料の中には「色覚特性」というふうに書かれてあるわけでございます。私は今回、この質問に当たり、「色覚異常」ではなく「色覚特性」、つまり人間には個人差があり、色の見え方も必ずしも同じではないということであって、この言い方を使わせていただきたいと思います。その意味を十分ご理解の上、お聞きをいただきたく存じます。
 これまで本県は福祉の町づくりに関するさまざまな施策を進めていることは十分承知をしているところでありますけれども、色覚特性に配慮したバリアフリー、いわゆる色のバリアフリーについての取り組みは、残念ながら極めて不十分な状況であるというふうに感じております。
 かつては、色覚特性を有する方々は、就職や大学進学の際などに不当な取り扱い、つまりある種の差別を受けてきたという事実がありましたが、関係者の今日までの長年のご努力によって、そのような企業や学校は少なくなってきました。
 いわゆる色覚特性を有する方々は、男性で人口の約五%近く、女性で約〇・二%いると言われており、学校において言うならば、四十人のクラスに一人の生徒さんがいるということになります。
 色覚特性は、遺伝子遺伝の特徴として男性に症状があらわれる確率が高いわけでありますけれども、女性の場合も〇・二%、五百人に一人の割合とはいえ、我が国の総人口から見れば約十二万人という数に上ります。男性に至っては約三百万人という計算になり、本県におきましても男女合わせて約二万六千人もの方がおられると推計されております。
 また、女性については、この症状があらわれていなくとも保因者である場合があることから、昔よりこの問題にかかわるさまざまな差別がありました。その意味におきまして、これは女性の人権にかかわる問題であるとも言えるわけであります。さらには、色のバリアフリーは色覚特性を有する人だけでなく、今後ますます進んでいくであろう高齢化社会におきましても、白内障に代表される目の疾患等を抱える高齢者の方々にとっても大変大切な問題と言えると思います。
 昨今の情報通信技術の進展、とりわけカラー印刷の技術の向上によってフルカラーの表現、表示等が当たり前のような時代となりました。また、各種の標識、掲示、案内板等がさまざまな色によるデザインを施されて設置をされております。このこと自体は、より美しく便利になった、わかりやすくなったととらえることもできますが、その反面、色覚特性を有する人に対する配慮、いわゆる色のバリアフリーがこれまで以上に重要とされるようになってきたと言えるのではないでしょうか。それまで文字や記号で区別していたものが手軽に色を使い分けることができるようになって、色の違いだけで区別したり表現したりというようなことが目につくようになってまいりました。県庁で作成されたパンフレットや統計資料等にも、時折そのような例が見られることがあります。これらは、だれもが同じように色の違いを見分けられることを前提にしているのでしょうが、色覚特性を有する方々には見にくかったり判別できなかったりするわけであります。
 このパネルをごらんになっていただきたいと思います。(パネルを示す)これは折れ線グラフです。左側の折れ線グラフが見やすいと。現在、使われているのは大体こっち側、ペケとしておりますけれども、こういう感覚で書かれている場合が多いということですね。
 二つ目、これは地図なんかの場合に使われている例が多いと思うんですけれども、やはりこういう形が多かった。それは、こちらの方が見やすいですよという、こういう例のものでございます。
 最後なんですけれども、もうこれを見ていただいたら一番おわかりだと思いますね。
 こういうことで、私は今回パネルを今使わしていただきましたですけれども、見やすさの違いは明らかになるということがおわかりいただいたと思います。
 ちなみに、東京都におきまして交通局が作成している十三色の地下鉄路線図について以前に問題提起がなされ、加えて去る六月八日開催されました日本展示学会においても、伊藤さんという東大の助教授などが東大の研究グループのアンケート調査から、東京都のこの地下鉄の路線図の中に路線名を入れた色分けの説明や数字、アルファベットを付記すればわかりやすくなるとの報告を行っております。
 以上、述べてまいりましたが、今こそこの問題に対し、和歌山県といたしましても先陣を切って色のバリアフリーについて取り組みを行っていくべきと考えます。この取り組みにつきましては、人権のみならず、福祉、県土整備、教育等、関係部局が多岐にわたることから、各部局でノウハウを共有できるような体制づくりと色のバリアフリー推進の指針の策定などを行い、全庁的に進める必要があるというふうに考えます。加えて、県庁内だけにとどまらず、県内の企業や多くの県民が利用する公的施設、商業施設に対しましても色のバリアフリーを働きかけていくべきと考えます。
 そのため、私は一つの提案としてお聞きいただきたいわけでございますけれども、この色のバリアフリー推進のための、例えばシンボルマークのようなものを定めてはいかがでしょうか。その理由といたしまして、一つは、それぞれの部局においてこの問題に対する意識づけを行い、具体的かつわかりやすい形で取り組みを進めることができると考えるからであります。二つ目に、県のパンフレットや広報誌等の印刷物にそのマークを使用することで、県民に対する意識啓発につながるとともに、県内のみならず全国的に和歌山県の取り組みをアピールすることができると考えるからであります。
 色のバリアフリーの推進という考え方について、知事のご所見をお願いをいたします。
 色のバリアフリーは、先ほども述べましたように、多部局にまたがる問題であると同時に、その基本は人権問題であります。しかしながら、この問題は、三百数十万人という身体障害者手帳をお持ちの方々に匹敵するほどの当事者の数がありながら、これまではほとんど触れられてきませんでした。和歌山県では「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画に基づき、同和、女性、高齢者、子供、障害者等、人権の重要九課題を中心とした取り組みが進められていると認識しておりますが、この色覚問題を初め、性同一性障害など、これまで顧みることのなかった人権問題は他にも多数存在するものと思われます。
 現在、平成十四年四月一日施行されました和歌山県人権尊重の社会づくり条例で定められた人権施策基本指針の策定が進められていると伺っておりますが、この色覚問題を含め、埋もれてきた人権問題をどのように指針の中に位置づけていくのか、人権担当部長である企画部長にお伺いをいたします。
 この色覚の話をするとき、私たちの記憶に残っているのが小学校で受けた石原式と呼ばれる色覚検査であります。石原式検査表はもともと徴兵検査の一つとして用いられた非常に厳格なものであり、不十分な環境の中で異常者のレッテルを張られることで大きな心の傷を受けた子供たちが多かったということであります。
 幸いにして、本年四月一日からは学校保健法施行規則の一部改正によって小学校における色覚検査の義務づけは廃止されておりますが、その一方で、教科書や副教材、地図などのカラー化が格段に進んでいることから、学習環境の整備充実と黒板のチョークの色使いへの配慮等、色覚特性についての教員の正しい理解が浸透するよう強く望むものであります。
 教育長、いかがでしょうか、ご見解をお伺いいたしたく存じます。
 以上、少し長くなりましたが、私の一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのコスモパーク加太の土地に東南海・南海地震に対する防災救援機能を持たせて暫定利用してはどうかということのご質問でございますけれども、さきのコスモパーク加太対策検討委員会から、県が主体となり責任を持ってこの土地の利活用を図っていく必要がある旨のご報告をいただいているところでもあり、私もコスモパーク加太の今後の利用については、企業誘致に全力を傾注して取り組む一方で暫定的な土地の利活用も重要であると、このように考えているところでございます。
 そうした中で、昨日も地域の候補が出てきている、五十市町村中四十八が該当するという大変なことなわけでございますけれども、そういうふうな中で防災拠点というものを設置していかなければならないというふうに僕はなってくると思うんですけども、その有力な候補地の一つとしてなってくるだろうというふうな気持ちを私も持っているところでございます。
 それから、投入口を改造して備蓄倉庫等にしてはどうかと。これは、実は私もその現場を見たことがないので、直ちにそれがいいアイデアであるとかいう答えはできないんですけれども、本当にそんな大きな空間があって、しかもセメントで囲われてしっかりしているということであれば、確かに防災資機材とか、そういうふうな備蓄とか、そういうことの置き場とかいうようなことで可能性もあると思いますので、これはやはり検討していくというふうなことについて私はやぶさかではないというふうに思っております。
 それから、次に色覚バリアフリーの問題でございます。
 昔、小学校なんかでそういう検査があって、いろいろ確かに、ご質問の中にそういうことで心の傷を負った人がいるというお話を私今伺ったわけですが、本当に確かにそういことがあったんだろうなというふうに今思っているところでございますけども、この色覚の特性を有する方が日常生活や学校生活等において不便を受ける、社会参加を妨げる障壁となっているというふうなことは、これはご指摘のとおりだと思います。
 色のバリアフリーの推進について、色覚の特性を有する方々が社会において不利益を受けることなく安心して生活が送れるよう取り組まなければならないわけでございますし、また、それをこの和歌山が先進地となってやっていくということは非常に僕は意義のあることだろうというふうに思っております。
 ご提案のシンボルマークについても、今後どのようにあるべきか、これは積極的に検討をしてまいりたいというふうに思いますし、また、色のバリアフリーということは公共施設や商業施設といったあらゆる分野にわたる問題であるため、全庁的な取り組みというものを推進してまいりたいと、このように考えております。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 山下議員にお答え申し上げます。
 山下議員から、IT総合センター建設工事について三点お尋ねがございました。
 まず、地盤沈下の原因と土地造成のお尋ねでございます。
 原因につきましては、先ほど大沢議員にお答えを申し上げたとおりでございますが、盛り土中に含まれる岩塊がぼろぼろと細粒化するスレーキング現象による水浸沈下を起こしたことが原因であると判明いたしております。
 土地造成につきましては、工事写真や各種試験結果資料などの工事関係図書、工事竣工検査及び宅造・開発の検査内容等、現在残っている資料をすべて調査するとともに、当時工事を管理していた担当者からの聞き取り調査を行った結果、妥当な施工がされており、特に問題は見られませんでした。
 次に、基礎の設計についてのお尋ねがございました。
 これも先ほど大沢議員にお答えを申し上げたとおりでございますが、当初の地質調査においては盛り土のスレーキング現象による沈下は予測しなかったものの、建設直後一般的に生じる沈下として三・四センチメートルを予測しており、建物基礎構造について、くい基礎構造とするか連続布基礎構造とするかの二案が提案されておりました。これらの地質調査結果をもとに基礎の設計を行っておりますが、地盤条件や建物形態から検討した結果、基礎の剛性を高め不同沈下に対応した連続布基礎構造を選定しております。このような地質調査結果を踏まえれば適切な設計であったと判断しております。
 最後に、今後のスケジュールについてお尋ねがございました。
 今議会議決後、追加工事に着手いたしまして、十二月末までにはくい工事を完了いたします。来年二月末には鉄骨組み立てを完了し、八月末には建物本体工事を完成する予定でございます。また、十月末までには屋外整備工事及び植樹工事等を含め竣工する予定でございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) コスモパーク加太に係る調停の進展状況についてお答えいたします。
 県土地開発公社の金融機関からの借入金の問題につきましては、七月二十三日に県土地開発公社が金融機関を相手に特定調停の申し立てを行った後、八月五日を第一回目として九月三日までの間に合計五回の調停が行われました。県も利害関係人として調停に参加し、県の保証の考え方について、また県土地開発公社借入金の長期返済や将来金利の減免等について主張を行い、調停成立に向け全力をもって取り組んできたところでございますが、金融機関との間には主張に隔たりがあり、現在までの間においては合意に至っておりません。
 この問題につきましては、今後も調停の場で解決を図ってまいりたいと考えておりまして、コスモパーク加太対策検討委員会からのご報告も十分踏まえ、できるだけ早期に解決できるよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、カゴメ株式会社の大規模トマト生産工場の進捗状況についてでございます。
 月一回のペースで県、和歌山市、県土地開発公社、カゴメ株式会社の間で協議を重ね、コスモパーク加太への誘致に取り組んでおります。カゴメ株式会社との協議では、現在、具体的な施設配置やそれに伴うインフラ整備等について詳細の詰めを行っているところでございます。また、和歌山市におきましても地域の活性化という面から誘致の実現に取り組んでいただいておりまして、上水道、公共下水道や立地に関連する諸法令等への対応について緊密な連携を図りつつ協議を行ってございます。
 議員ご指摘のとおり、環境にも優しい企業の誘致であり、約三百人の雇用創出が見込まれる、またコスモパーク加太の土地の利活用も図れることから、誘致の実現に向け最善の努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、色覚問題を含めた埋もれてきた人権問題についてでございますけども、すべての人は平等に豊かな社会の恩恵を享受する権利を持っており、そのためすべての人の人権が尊重される社会づくりを推進しなければならないと考えております。
 議員ご指摘の色覚の特性を有する方々の人権につきましても大変重要な問題であるとの認識をしておりまして、本年六月には県内各市町村及び町内各部局に対しまして、広報誌や資料等の作成時における配慮など、色覚バリアフリーに向けた取り組みを依頼しているところでございます。さらに、色覚問題を含め埋もれてきたさまざまな人権につきましても、昨年四月に施行しました和歌山県人権尊重の社会づくり条例に基づいて現在策定中の人権施策基本方針の中で、さまざまな特性を持つ一人一人の人権が尊重されなければならないとの観点で位置づけてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校における色覚バリアフリーについてお答えします。
 教職員は、学校教育の場においても色の見分けが困難な児童生徒がいるという前提のもとで色覚特性について正しい知識を持って接するとともに、学習環境を整備し、必要な場合は保護者からの個別相談に応じ、適切な対応を心がけるべきであると考えております。
 このようなことを踏まえ、本年六月に文部科学省作成の色覚に関する指導の資料を県内すべての教員に配布するとともに、担当者の研修会においても副教材などへの配慮を行うとともに、不用意な対応等で子供を傷つけることがないよう指導しているところでございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十二番山下直也君。
○山下直也君 ただいま、知事並びにまた教育長、担当部長からそれぞれご答弁をいただきました。
 一点だけ申し上げたいと思います。
 私は、先ほどもおっしゃっておられましたが、人は生まれながらにしてひとしく持っていなければならないはずの人権を尊重されるべく社会づくりが大切であると、これはもう同じ考え方であるというふうに思います。そういう観点から今回、この色覚バリアフリーという質問をさせていただいたわけでございますけれども、恐らくこの問題が提起されましたのは県下では今回初めてではないかなというふうに思っております。まず県が率先して、言うなれば、先ほどもおっしゃっていただいたわけでございますけれども、そのとおりに全庁的な取り組みをしていただいて、和歌山県が全国に先駆けてこの問題に取り組んでいくという姿勢を見せていただきたいというふうに思います。
 エレベーターを設置したり、例えば道路の段差をなくしたり、点字ブロックを設置するといったほかのバリアフリーとは異なりまして、色覚バリアフリーは行政が行う社会基盤の整備を持っていれば進むという性質のものではないというふうに思うんですね。色を用いた毎日の生活といいますか、日々のコミュニケーション自体がバリアフリーの対象であり、この社会に生きるすべての人が当事者である、私はそのように感じます。
 この点から、色覚バリアフリーの推進における最大の障害というのは、これまで見なれたものを、やりなれた習慣、慣習というものを余り変えたくないというような素朴な感情なのかもしれません。しかし、現実に困っている人がいることを知った上でこれまでの慣例をあえて続けることは、これはちょっとやっぱり消極的な対応であるんではないかなというように私は感じました。
 私も、バリアの存在を認識しまして、それを除くような行動を自分ができることから実践していきたいというふうに考えておりますので、何とぞ、くどいようでございますけれども、県ご当局におかれましてもこの問題に対しまして積極的に取り組んでいただきますよう再度要望を申し上げさせていただきまして、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十分休憩
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