平成15年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
県議会の活動
平成十五年六月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
─────────────────────
議事日程 第五号
平成十五年六月二十五日(水曜日)午前十時開議
第一 議案第百号から議案第百十四号まで(質疑)
第二 一般質問
第三 議案の付託
第四 請願付託の件
会議に付した事件
一 議案第百号から議案第百十四号まで(質疑)
二 一般質問
三 議案の付託
四 請願付託の件
五 休会決定の件
出席議員(四十六人)
一 番 須 川 倍 行
二 番 尾 崎 太 郎
三 番 谷 洋 一
四 番 新 島 雄
五 番 小 川 武
六 番 吉 井 和 視
七 番 門 三 佐 博
八 番 町 田 亘
九 番 大 原 康 男
十 番 浅 井 修 一 郎
十一 番 山 田 正 彦
十二 番 坂 本 登
十三 番 向 井 嘉 久 藏
十四 番 大 沢 広 太 郎
十五 番 平 越 孝 哉
十六 番 下 川 俊 樹
十七 番 東 幸 司
十八 番 山 下 大 輔
十九 番 小 原 泰
二十 番 前 芝 雅 嗣
二十一番 木 下 善 之
二十二番 山 下 直 也
二十三番 井 出 益 弘
二十四番 宇 治 田 栄 蔵
二十五番 浦 口 高 典
二十六番 藤 山 将 材
二十七番 原 日 出 夫
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 野 見 山 海
三十 番 冨 安 民 浩
三十一番 尾 崎 要 二
三十二番 阪 部 菊 雄
三十三番 花 田 健 吉
三十四番 角 田 秀 樹
三十五番 前 川 勝 久
三十六番 江 上 柳 助
三十七番 森 正 樹
三十八番 長 坂 隆 司
三十九番 中 村 裕 一
四十 番 新 田 和 弘
四十一番 松 坂 英 樹
四十二番 雑 賀 光 夫
四十三番 藤 井 健 太 郎
四十四番 村 岡 キ ミ 子
四十五番 松 本 貞 次
四十六番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
理事 垣 平 高 男
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 宮 地 毅
企画部長 野 添 勝
環境生活部長 津 本 清
福祉保健部長 白 原 勝 文
商工労働部長 石 橋 秀 彦
農林水産部長 阪 口 裕 之
県土整備部長 大 山 耕 二
企業局長 西 芳 男
教育委員会委員長 赤 松 壽 男
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員 高 垣 博 明
警察本部長 高 綱 直 良
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 北 村 亮 三
職務のため出席した事務局職員
事務局長 中 原 洋 二
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 島 光 正
議事課副課長 藪 上 育 男
議事班長 鷲 山 智
議事課主任 尾 崎 善 亮
議事課主査 土 井 富 夫
総務課長 土 井 陽 義
調査課長 宗 野 幸 克
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課主査 保 田 良 春
─────────────────────
午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
【日程第一 議案第百号から議案第百十四号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第百号から議案第百十四号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
十八番山下大輔君。
〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 おはようございます。
さて、今、国も地方も大きな転換期を迎え、非常に厳しい局面にある中で、多くの県民の皆様にご期待をいただき、この歴史と伝統ある和歌山県議会に送っていただいた、その緊張感をかみしめて、今この場に立たせてもらっています。大変光栄に感じるとともに、その責任の重さに身の引き締まる思いです。今、和歌山は長い低迷期からの脱出を図らねばなりません。和歌山には、自然条件、気候風土、立地条件、また文化・歴史遺産も含めて、他地域にはない、これからの時代にこそ価値を高められる潜在的な力があるのだと思います。それらをしっかりと生かすための知恵を絞ることができれば、この二十一世紀は和歌山が主役となれる時代だと私は信じます。和歌山が新たな価値を創造し、光り輝き、そして和歌山発でこの国をも元気にしていけることを心から願い、私にとって県議会での初質問に臨みます。私自身、もちろん微力ではありますが、県勢発展のため全力を傾注して取り組む覚悟です。知事を初め和歌山県庁の職員の皆様、先輩・同僚議員におかれましては、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従って質問をさせていただきます。
最初に、知事の考える和歌山の将来ビジョンについて。
現在の和歌山県は、急速に進む高齢化社会における対応、都市基盤を整えるインフラ整備の問題、これからの未来を担う子供たちの教育制度の充実、深刻さを増している環境問題への対応、そして地域産業の再建から雇用の創出など、積み残された多くの行政課題があり、大変厳しい状況となっております。さきの選挙戦を戦ってくる中でも、たくさんの県民の皆様から、生活、仕事にかかわる切実なお話を聞かせていただいてきました。今、和歌山も地域の根幹となる部分から徹底した見直しを行い、地域を一からつくり直すという気概を持って再出発するときを迎えているのだと思います。この国の形を歴史家として温かい視点から研究されていたのは司馬遼太郎さんですが、今こそ私たちも未来に向かってこの国の形、地域のあり方について危機感を持って真剣に議論していかなくてはならないときだと強く感じます。
さて、その地域のあり方を変えていくためには、そこに住む住民みずからが誇りを持ち、地域の将来像に期待し、ある面では楽しみながら地域づくりへの参加意欲を高めることが大切です。そのためには、まず何よりも、地域がどういう方向に向かっているのか、何を目指すのか、その先にある将来ビジョンをしっかりと指し示すことが必要とされるのだと思います。将来の地域のビジョンを皆で共有し、一致協力してそれぞれの立場で努力してこそ目標とする将来像も実現していけるのではないでしょうか。
県議会議員に当選させていただいてから、県から出されているさまざまな資料に目を通し、和歌山県が向かおうとしている方向、知事がこの地域にかける夢、将来ビジョンといったものを自分なりに見きわめるべく努力してきました。現在、木村知事が打ち出されている個々の政策、施策、また具体的な事業については、全国的に見ても先進の自治体として評価される数多くの取り組みがあり、率直に誇りを感じるところです。これまでの行政運営ではなかなか手のつけられなかった部分まで踏み込み、リーダーシップを発揮されていると思います。しかし、それらを束ねる確固としたビジョン、和歌山がどこに向かっているのかといったことについては、その指し示す方向を見出すことはできませんでした。先行きの見えにくい不確かな時代であるからこそ、計画、約束そして将来ビジョンといったものがやはり大切だと感じます。
再建、再生といったことで注目を集める企業として日産自動車がありますが、日産リバイバルプランを現実のものとしたゴーン社長は、企業の立て直しの中で、特に信念を貫くビジョン、そして計画の重要性を説いています。明確な将来ビジョンと具体的な計画がない限り、改革も再建もあり得ないと指摘されています。短期、中期、長期、そしてそれぞれの計画にも時々の目標を設定して実行していく──民間の例ではありますが、参考にできる点は多いように思います。
私の高校時代の同級生で、現在、日産自動車で技術者として働いている仲のよい友人がいるのですが、彼によると、「ゴーン社長が来るまでは、仕事は毎日やっているのだけれども、どこに向かっているのかわからない。結果として、能率が上がるよい仕事ができなくなっていた。まず、ゴーンさんが来てからは、ごまかさずに、このままではだめだとはっきりと指摘された。まず初めに、あきらめではなく前向きな健全な危機感を持たされて、そして何が悪いのか、どこに問題があるのか、その対策として何が必要なのかを明確に打ち出された。そして、改善、再建に向けた綿密な計画を練り上げ、それを全社員で理解するよう徹底した意識の共有が図られた。そうする中で、計画の実現に向けて、個々の社員にも自主的な問題解決のための目的意識が芽生え、小さなところからさまざまな変化が起こった」と、話してくれました。また、改革を進める上では三つのキーワードがあったようで、ターゲット(目標)、コミットメント(目標達成の約束)、ミッション(使命・役割)という言葉が会社内でよく使われ、それぞれの立場で個々の責任についても明らかにし、改革を現実のものとしていったようです。「仕事は以前よりも物理的には負担のかかるものとなっているが、しかし何よりも先にある希望の持てるビジョンが示されることで仕事の苦労は精神的には軽減されたと思う」と、熱心に話してくれました。
これからの地方自治は、本当に生半可ではなく厳しい時代となり、住民の皆様にも大変なご苦労、我慢をお願いしなくてはならないことも数多く出てくることが予想されます。そうであればこそ、いっときの苦しみを乗り越えてもらうためにも、未来への希望をしっかりと指し示すことが大切だと考えます。ぜひ、手間はかかるし労力も必要とされますが、地域の将来ビジョン、木村良樹知事の考える理想とする将来の和歌山像を示していただきたいと思います。そして、それを私自身も真剣に勉強させていただきたいと思います。
そこでまず、私の県議会議員としての最初の質問ともなりますので、県政に臨むに当たって、基本的な部分として、和歌山県の将来ビジョン、和歌山再建の方向性、地域運営の理念といったことについて知事の考えておられるところをお示しいただきたいと思います。
また、あわせて地域の再建を図るため、どういった政策を重点的なものとして優先順位をつけて取り組んでいこうとしておられるのか、幾つかをご教示願えればと思います。
次に、地域の再建、具体的な地域の活性化策として、観光医療産業の提案、予防医療、ヘルスケアといった視点から地域の立て直しを考える。
一九九九年、二十世紀の最終章で、私たちの和歌山は熊野博という非常に興味深い博覧会を開催しました。その年には「癒し」という言葉で流行語大賞のトップテンにも選ばれるという功績の大きかった事業です。この「いやし」という言葉は、これからの時代にも多くの人の心にしっかりと響く言葉となるように思います。「広辞苑」で「いやす」という言葉を引くと、「病気や傷をなおす。飢えや心の悩みなどを解消する」とあります。この実践ができる地として、「いやし」を抽象的な精神世界の話にとどめずに、医学的な背景をしっかりと確立し、実際に心身の健康を取り戻せる、人間を健康にする地域を切り口として、その可能性を追求する中に和歌山再建の知恵が生まれるように思います。特に、高野・熊野が世界遺産として推薦され、さらに「いやしの地・和歌山」のイメージが強まることが期待される中で、「いやし」、「いやす」をキーワードとして地域再建への具体的な戦略を描けるのではないかと期待します。
和歌山は今、既存産業の地盤沈下から働き口が少なくなり、人口が流出、特に働き盛りの労働人口が減少し、高齢化率の急激な上昇とあわせて地域内の消費が低迷、それらが地域経済の衰退につながり、また働き口が減っていくという、まさに悪循環に陥ろうとしています。今、地域の基盤産業の再整備が緊急の課題となっています。
そんな中、本県の特徴ある基盤産業の一つに観光産業が挙げられますが、これも例外ではなく、厳しい状況となっています。これまで和歌山県は、観光立県、観光によって立つ地域を標榜してきました。しかし、県内の旅館、ホテルの総数は昭和五十年のピーク時で八百十一軒あったものが現在では三百五十九軒と半減し、関連のさまざまな事業、サービスも縮小・均衡の傾向にあり、現状では残念ながら苦戦を強いられている状況にあります。今、その厳しい現実を直視し、これまでの観光のあり方をもう一度基本から見直し、知恵を絞り、何らかの付加価値をつけ、新たに和歌山の観光の価値を創造していくことが望まれています。
そこで、今回の提案としては、何とかこの観光を立て直し、地域全体の未来にも光を差していきたいといったところから観光医療産業といった概念、「いやし」を切り口として、観光と医療、中でも予防医療、代替医療、ヘルスケアの分野とを結びつけ、新産業として徹底した育成を図っていくことを提案させていただき、そのことについて知事並びに当局のご見解を賜りたいと思います。
そもそも、産業としての観光、医療は、それぞれに我が国において大きな期待を受けている分野です。観光は、旅行業、宿泊業、運輸業にとどまらず、飲食、土産、アミューズメント、広告業、さらには農林水産業、製造業、建設業など、あらゆる産業に関係するすそ野の広い総合産業であり、地域の活性化にもここが動いてくると大きな影響の出る分野です。国としても、現在の小泉内閣で観光産業を二十一世紀の日本の基幹産業として位置づけ、内閣を挙げてその振興策に取り組む決意を表明しているところです。
国交省の平成十三年度時点の調査で、旅行消費額は二十・六兆円、これによる直接の雇用創出効果は百八十一万人、旅行消費がもたらす生産波及効果は国内の全産業で四十八・八兆円にも上り、これにより三百九十三万人の雇用創出効果があると推計されています。国内産業において、戦略的にも非常に重要な産業であります。また、医療、ヘルスケアも、二十一世紀の我が国の経済をリードする数少ない大きな成長分野の一つとして見られ、超高齢化社会、医療費膨張のトレンドの中で、既に三十兆円を超える市場規模を持つものとなっています。今後も年代に関係なく、若者からお年寄りまで健康志向は強まるものと見られ、その地位は揺るぎないものと考えられています。ちなみに市場規模として、先ほど言った医療産業の分野につきましては三十兆円、国内における自動車産業は四十一兆円、鉄鋼産業においては十五兆円であり、また雇用者数を見ても、医療分野では二百万人を超える就業者に対して自動車産業では百万人弱の規模であり、今、医療産業は確実に我が国の主力産業と位置づけられています。
そんな今、医療も大きな転換期を迎えるものとなっています。二十一世紀の医療は、従来の病気になって治療することを主眼とする対症療法的医療行為から、病気にならないように事前の予防を行う予防医療へと移行すると言われています。そんな中、健康の増進、発病の予防、病気の早期発見・早期治療を目的とした第一次・第二次予防医療が注目され、また療法としては、自然環境を生かして自然治癒力を増す自然療法、東洋医学の価値を見直す代替医療、先進の科学分野を取り込むナノテク、ゲノム療法などにより、医療分野の新境地が切り開かれようとしています。この医療が病気を治療することから予防することへ移り変わっていく状況において、和歌山に大きなチャンスが訪れるのだと考えます。
そもそも、予防医療、ヘルスケアというものは観光分野との組み合わせが非常によく、特に和歌山県には豊かな自然や伝統・風土にはぐくまれた予防医療、ヘルスケアに応用可能な観光資源がたくさんあります。
幾つかを具体的に見てみると、まず農産物では、健康ブームで脚光を浴びている梅や、最近がんの予防効果で注目されているミカンなど、また水産物でも新鮮な魚介類に恵まれた地であり、DHAを豊富に含むアジ類やサバ類などの漁獲量は全国でも上位に入り、ヒジキやテングサなどの海藻類の生産量も多くなっております。また、食文化としても、茶がゆ、なれずし、サンマずしを初め、多くの郷土食が健康志向の強い商品としてその価値を高められる可能性があります。温泉は、古来より湯治として利用され、現在でもリハビリテーション等の治療、予防医療においても欠かせない資源です。自然環境としても、海洋資源なども申し分ない環境を持っており、海を活用したセラピー、例えば現代人のストレスを減退させる医学的にもその効果が認められるイルカセラピー、海辺の環境を利用するタラソテラピー、これらに代替医療の東洋医学の手法を取り入れ、自然治癒力を増加させるさまざまな可能性が考えられます。こういった恵まれた観光資源をばらばらに活用するのではなく、「人間を健康にする地域」、「いやしの地・和歌山」といった統一した切り口でそれぞれを連携させたメニュー、プランづくりを進め、より価値の高いものとして商品化していく。そしてさらに、地域全体としてブランド化して売り出していく。そういった知恵が私たちにあれば、この和歌山の観光をより価値の高いものに生まれ変わらせていくことができると考えるのです。旅館、ホテルといった観光施設なども、これまでのように物見遊山に来るお客様をただ待っている単なる宿泊施設として利用するのではなく、例えば療養機関、医療施設として一部業態を変えていくことにより新たな価値を生み出せる可能性があります。和歌山は、予防医療、ヘルスケアといった視点でさまざまな資源に恵まれた地であり、従来の観光と組み合わせる観光医療産業は、和歌山の地域の特性を十分に生かした和歌山独自の新たな新産業として大きな成長が期待できるものと考えます。今の日本の幾つかの地域でも、健康、医療を切り口としてさまざまな取り組みが始められようとしています。しかし、まだまだポイントの整備にとどまっており、地域づくりのメーンテーマ、地域全体でのブランド化を目指した取り組みを進められている地域はありません。こういった取り組みは、集中、集積させることによりスケールのメリットが出てくるもので、今地域全体として「いやしの地・和歌山」、「健康になる地・和歌山」を切り口に徹底した整備が進められれば、地域発展の可能性が大きく膨らむものと考えます。
そこで質問ですが、まず基本的なところとして、本県における観光産業の位置づけと観光産業が置かれている現状に対する認識、また今後の取り組みといったことについてどのように考えておられるか、商工労働部長にそのご見解をお聞かせ願いたいと思います。
次に、医療を産業として見る視点、またそれが二十一世紀にどういった可能性を持つものとなると考えておられるか。また、その中で予防医療、ヘルスケアといったものを地域産業として和歌山に取り入れることの意義についてどのように考えておられるか。これは、企画部長にお答えいただきたいと思います。
次に、予防医療、ヘルスケア産業と観光の融合について、その可能性をどのように考えられるか。これは、知事並びに関係部長にお答えいただきたいと思います。
次に、今後の対応として、ぜひとも具体的に今回の提案に係る調査研究を進めていただきたいと思います。また、そこでは医療事情の専門家のみならず、商品開発、宣伝広告、産業コンサルタントなど民間の専門家も含め、幅広く、そして中身の濃い検討を加えていっていただきたいと思うのですが、知事のご見解を賜りたいと思います。
最後に、ヨット・セーリング競技のナショナルトレーニングセンターの和歌山への誘致について当局のお考えをお聞きしたいと思います。
ことしに入って、この四月二日、文部科学省スポーツ青少年局が設置した諮問委員会のナショナルトレーニングセンターの設置等のあり方に関する調査研究協力者会議から中間まとめが出され、国として初めてナショナルトレーニングセンターの設置について一定の方向が示されました。これまで、大規模集中型とするのか、中核拠点を設置したネットワーク型とするのか、最終まで議論が分かれている状況となっていました。和歌山県としても、ここまでは大規模集中型の施設の誘致としてコスモパーク加太への誘致など積極的な取り組みを行い、議会においても先輩議員から質問、提案が行われてきたところです。しかし今回の報告書では、今後はトレーニングセンターの整備として、昨年、東京で国立スポーツ科学センターが設置されたことを受けて、そこを中核拠点として、特にその中核拠点では対応できない冬季競技、海洋・水辺の競技及び高地トレーニングなどの強化活動を行う競技別強化拠点を全国に分散設置し、それらを統合する形のネットワーク型ナショナルトレーニングセンターとする見解がまとめられました。今後の国における検討課題としては、設置場所の指定を行うとともに、高度なトレーニング機能を持った拠点となるよう検討を加えていくとしています。この施設の誘致は、今さら言うに及びませんが、和歌山県にとって極めて大きな意義のある事業となると考えます。
その一つとして例を挙げると、海洋型ナショナルトレーニングセンターは、日本のセーリング競技の中心的な施設となり、国内におけるヨット競技の聖地、ナショナルトレーニングセンターがある地域ということで、恵まれた自然、海、ヨットハーバー、快適なリゾート地といったイメージが大量に情報として県外に発信され、第一級の海洋リゾート地として認知されるチャンスが生まれます。オリンピック候補選手の強化場所ともなる施設で、その取材などを通じて和歌山の海がマスコミで紹介される機会もふえ、出版物等による露出も含めて、その広告効果ははかり知れません。
さて、これまでの状況としては、本県の積極的な取り組みとあわせて地元和歌山市も和歌山マリーナシティへの誘致活動を積極的に行い、たびたび日本セーリング連盟、日本オリンピック委員会へ設置に向けて要望を重ねてきたところです。こういった県市の取り組みの成果として、平成十三年九月十日に日本セーリング連盟からの要請を受ける形で、日本オリンピック委員会がセーリング競技の強化拠点として和歌山マリーナシティを正式に認定するに至っております。せっかく皆の努力でここまで来たのですから、もう一押しです。今後の急がれる対応としては、日本オリンピック委員会、日本セーリング連盟が推薦する和歌山マリーナシティについて、国からも海洋競技の強化拠点、海洋型ナショナルトレーニングセンターとして正式認定を受けられるよう積極的な働きかけを行うことがまず何よりも大切なものとなります。あわせて、認定を受けるためにも、既存施設の活用と並行して、官民を挙げたトレーニング拠点の整備充実が望まれるところです。
そこで質問ですが、まずこれまでナショナルトレーニングセンター誘致の窓口となってきていただいている教育長に、これまでの取り組みに対する評価と今後の取り組みに関してのご見解をお聞かせ願いたいと思います。
次に、企画部長にも、これは和歌山県全体にとっても、地域づくり、地域のブランド化といった視点で重要な事業と考えますが、県の将来計画と重ね合わせて、その意義、また今後の誘致に取り組む姿勢をお聞かせいただきたいと思います。
また、今後は、国に対してさまざまな交渉を進めていく地域の受け皿、窓口の整備も必要となってきます。本格的な誘致活動を進めるためには、和歌山県、和歌山市、日本オリンピック委員会、日本セーリング連盟、和歌山県セーリング連盟などから成る誘致委員会の立ち上げがどうしても必要とされると考えますが、この誘致の窓口となる体制の整備について、知事の考えておられるところをお聞かせいただきたいと思います。
以上で、私の第一問の質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 大変示唆に富む質問で、私も感心をしながら聞かせていただいたわけでございます。
まず、和歌山県がこれからどこへ向かうのかというふうなことで、どんなことを考えているかということです。
ご質問にもありましたように、今、日本の国自身がどんな方向へ向かうかわからないような状況の中ではありますけれども、やはりそういうふうな国の変化、世界の変化に合わせて、和歌山県について一定のビジョンを持って仕事を進めていくということは、お説のとおり非常に大切なことだろうというふうに思っております。
幾つか私が思っていることを申し上げますと、いつも言っていることですけれども、一つは、この変化の中で和歌山県がおくれたグループに入るようなことのないようにしていこうと。これだけ世の中の変化が大きくなってくると、地方自治体のあり方なんというものもどんどん変わっていっているわけです。そういうときに、ぼさっとしていたら一番最後の方へ持っていかれてしまう。常に先頭で意見を言っていて、ようやく普通かというふうな状況だと思いますので、私はそういうことで職員ともどもアンテナを高くして、そういうことの先頭に立っていこうということにしております。
それから、外へ開かれた県政ということです。和歌山県は紀伊国屋文左衛門──この間、劇がありましたけれども、昔からどんどん外へ出ていくという進取の気性のあったところです。もう一度これを生かした県づくりをしようということで、道路で言えば、例えば京奈和自動車道、府県間道路、そして高速道路の南伸、こういうものを重点的に進めて、外と連絡をとりながら外の富を和歌山へ呼び込んでくる努力をしていこうというふうなこと、そしてまた情報も外から来る情報を一方的に受けるんじゃなくて、和歌山からいろんな情報を発信していく、そういう地域になろうという努力をしております。
それから、これは私は大事なことだと思うんですけれども、普通の人が普通に思うことをやっていこうということです。というのは、一般の人が考えることというのは意外と何かレベルが低いというふうな批判をする人がいますけれども、僕は普通の人が普通に考える、何かおかしいなと思うようなことの中にやっぱりおかしいことがあるんだろうというふうな考え方です。私自身も、知事になっていろいろ既成の権限なんかが私に集まっているわけですから、いつもそういうことを自戒しながら、自分にそういう権限があるから考え方が変わっていくというふうなことのないように、いつも普通の人が考えて、普通に思うようなことに基準を合わせて仕事をしていこうというふうに思っております。
それから、県にあるものを生かしていこうということです。ないものねだりは、これからの二十一世紀には非常に難しいわけです。和歌山県にはすばらしい自然、そして培われた第一次産業、そして地場産業、こういうふうなものがあるわけです。みんないろいろ苦戦はしています。しかし、例えば農業なんかについても、大量消費型の農業であれば、これはもうはっきり言って非常に難しい。しかしながら、高付加価値、少量生産であれば、和歌山県の農産物というのは必ずしも──米に偏っていないということが非常に有利な点になる可能性もあるわけです。そういうふうなことを思い切りやっていきたいと思いますし、地場産業なんかについても繊維とか化学とか非常に厳しいわけですが、こういうふうなものも、例えばいろんな研究機関なんかと協力しながら新しい分野を開いていく。その際、国のお金なんかも大いに導入してやっていくということの中から、僕は新生面が開けてくるのではないかというふうに思っているわけです。
それから、これからの行政というのはNPOであるとか女性、こういう方々の力をどんどん県政の中に生かしていかなければならないということで仕事を進めております。NPOも相当進んでまいりましたし、それから女性の方もたくさん県の仕事の中でも活用して頑張ってもらうような形にしていっております。
それから、そうは言っても、やはり新しい産業というようなことについても努力をしなければならないということで、ITの関係でありますとか、次にお話ししますけれども観光分野での新生面を開くと、こういうふうなことで新しい分野を見出していかなければならない。緑の雇用なんかも、実は単なる雇用の問題ではなくて、広く和歌山の森林というふうなものを生かして新しい産業をつくり出していこうということの一環であるというふうに考えております。
それからもう一つは、これからまた道州制とかそういうふうなことが非常に問題になってきております。道州制にすぐに行くかどうかは別の問題といたしまして、和歌山県のポテンシャルというものを、この近畿とか関西の地域で十分認識してもらって、そしてそれに向けて集中的にその分野で和歌山が名誉ある地位を担えるような形の協力を他府県にも求めていくというふうなことも考えております。
それから、もう一つは人づくりの問題で、県の仕事においても、職員の人たちが能力によって評価され、力を発揮することによって伸びていくというふうな組織づくり、人づくりということを進めております。
それから、子供の教育ということは非常に大事だと思います。和歌山県は、ここ三年ほどの間に相当新しいことを教育委員会を中心に行っておりますけれども、こういう面をもっともっと進めていって、そして「仏つくって魂入れず」にならないように、外形だけじゃなくて内実もある教育改革ということを進めていきたいと思います。
それからもう一つ、最後に一番大事なのは、こういうふうなことは行政が行えることではないということです。これからは、県民、住民の自主自立の気持ちということが中心になってまいります。これは、日本の国が規制型の社会から自由主義型の社会──今までも一応自由主義だったんですけれども、本当の意味の自由主義社会に変化していかざるを得ない状況にあると。そういう中では、当然、県民とか市町村の住民の意識も変わっていかなければならないし、県もそういう方向の中で対応していかなければならないというふうに思っております。もしそうならなかったら、逆にそうならないものが不幸になってくるだろうというふうな社会であろうと思います。
そして、私が今一番大きく期待しておりますのは、こういう事柄を議会と共同してやっていきたいということでございます。いろいろ新しい動きが出てくるという可能性もあると思いますけれども、私はそういうふうな気持ちで頑張っていきたい。
お答えになったかどうかわかりませんが、そして施策については、はっきり言って一発で一発当てるということではなくて、「置きざお論」ということで、たくさんの置きざおを出しておく、当たるものもあれば当たらないものもあると、そういうふうな気持ちでやっております。大分当たるものも出てきていると、こういうふうなことでございます。
次に観光医療産業の導入と。これは非常に大事な視点で、これから和歌山が生きていく道の一つの方向性を示していると思います。
それはどういうことかと言いますと、今、国を挙げて新しい雇用創出ということを考えているわけです。この観光医療産業ということが進んでくれば、例えば和歌山県は実は土木建設業が六千二百数十社ありまして、千人当たりの土木建設業の会社の数というのは日本で一番です。和歌山県の指標というのは全国で四十番目ぐらいです。それが日本で一番ということは、これは非常に厳しい状況、そして公共事業が減ってきているという中で、新しい雇用口を探していかなければならない。福祉の面もあるでしょう。いろんな面があると思うんですけれども、この観光医療産業というのは、そういう面で非常に大きな役割を果たし得るのではないかというふうに思っております。
今月、経済産業省が研究会で報告書を出しておりますけれども、そういう中でもこの医療・健康サービス産業の創出ということが大事で、例えば温泉とか森林とか海洋とか、こういうふうな地域資源を活用した健康サービス、森林浴であるとか、タラソテラピー──海洋療法、体験農業、エコツーリズム、こういうものをあわせた、公民一体となったコミュニティービジネスというものを考えていくべきだというふうに言っております。これは、僕はもうそのとおりだと思いますし、和歌山県に一番ぴったりくるものであろうというふうに思っております。早急に関連の研究組織を立ち上げたいと、このように思っております。
それから、最後に海洋型ナショナルトレーニングセンターの誘致でございます。
今度七月に世界の英雄であるラッセル・クーツが和歌山へ来て、いろいろな活動をしてくれます。和歌山は、海洋ということで非常にすばらしいものが南から北の方まであるわけです。これを生かさない手はありません。そして、もうここ数年、このナショナルトレーニングセンターの誘致については、教育委員会を中心に本当に一生懸命取り組んできています。実は、国の施設を導入するというのはなかなか難しい問題がありまして、みんな取り合いになってくるんであれなんですけれども、和歌山はこの面でも非常に比較優位性があるというふうに確信しておりますし──まあ、ラッセル・クーツが来るぐらいですから。そういうことで、一昨年、一応セーリング強化センターという地域には指定されているんですけれども、これをてこに国のナショナルトレーニングセンターを呼んでくる努力ということを、これは本当にすべての努力を傾注してもやっていきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) ご質問の健康産業の位置づけ、現状認識、今後の対応についてお答え申し上げます。
県内の観光客の入り込み総数は、ここ数年横ばいの傾向にあり、日帰り客が増加し、宿泊客が減少している状況にあります。観光は、直接的、間接的経済波及効果が大きく、経済の活性化にとって大きな役割が期待されていることから、より一層の観光産業の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
近年、観光ニーズが多様化する中、本県の持つすばらしい自然や農林水産業、地場産業と融合した「ほんまもん体験」といった新しい観光の推進に積極的に取り組んでいるところであります。観光は、議員ご提言のように、第一次産業から第三次産業のあらゆる分野に経済波及効果を及ぼすすそ野の広い産業と考えており、そういった観点から、これまでの概念にとらわれず、観光を総合産業としてとらまえ、本県の地域資源を生かしたさまざまな分野との連携や新しい視点に立った取り組みが大切であると考えております。
次に、予防医療、ヘルスケア産業と観光産業の融合についてでございますが、これからの観光地づくりを考える場合、人々の観光志向は重要なキーワードの一つであって、本県の持つすばらしい観光資源との組み合わせにより、新しい観光スタイルの創出が期待されるものと考えてございます。
旅には、ストレスの解消や免疫力の向上など、「いやし」の効果があると言われ、特に本県には温泉を利用したクアハウスや薬草ぶろ等がございます。今後は、こうした既存施設のより一層の活用を含め、森林浴、ウオーキングやイルカとの触れ合いなど、地域資源を生かした健康づくりや「いやし」をテーマとした観光振興に関係部局と連携しながら積極的な取り組みを進めてまいります。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) まず初めに医療産業の二十一世紀の可能性でございますけれども、議員ご提案の医療、健康産業は、人々の生活を豊かにするとともに、産業としてのすそ野も広く、今後和歌山のポテンシャルを生かした新たな需要喚起による地域経済の活性化に大きな役割が期待される分野であると考えてございます。
本県は、美しい海や温泉を初めとした自然や高野・熊野などの歴史・文化、安全かつ安心で新鮮な農産物などに恵まれておりまして、健康、観光及び食、さらに予防医療といった観点からのポテンシャルを有しており、これらを相互に関連させた新たなサービス産業の創造が大いに期待されるものと考えてございます。
本県では、これまでも「いやし」の地である高野・熊野の世界遺産登録の推進、都会の人々に農林水産業体験などを通じて和歌山県をふるさとと感じてもらい、ひいては都会から地方への人口の逆流動を目指す緑の雇用事業や新ふるさと創り特区の認定など新ふるさと創りの推進、本県の自然や海の楽しさなどを感じてもらう「ほんまもん体験」の推進など新たな観光戦略に積極的に取り組んでいるところでございます。
議員ご指摘の予防医療、ヘルスケア産業と観光産業の融合につきましては、本県の豊かな海洋資源、さまざまな予防医学、治療といった効能を持つ数多くの温泉、豊富で安心・安全な農産物等々を組み合わせた新たな地域産業、新たな観光産業といった視点で、早急に具体的な対応を図ってまいりたいと考えてございます。
次に海洋型ナショナルトレーニングセンターの誘致についてでございますけれども、海洋型ナショナルトレーニングセンターの誘致は、和歌山の資源である海のイメージを広く全国に発信し、ヨットのみならず、海洋レジャー全般の適地としての情報を強力に後押しし、ひいては県の活性化にもつながるものと考えてございます。
なお、七月二十一日の海の日を中心に、ラッセル・クーツ氏の来県を記念して和歌浦湾で開催されるヨットレートにつきましても、和歌山の海の魅力や和歌浦湾の有するポテンシャルを広く内外に発信し、センター誘致にも資するものであると考えております。
今後とも、教育委員会、和歌山市を初めとする関係部局等と連携しながら、誘致に向けて積極的に取り組んでまいります。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ナショナルトレーニングセンター誘致の取り組みについてお答えします。
本県では、平成九年から、当時の文部省、日本体育協会、そしてJOC(日本オリンピック委員会)の指導・助言をいただきながら、誘致に向け精力的に取り組んでまいりました。その間、和歌山マリーナシティはJOCから強化センターに認定され、ジュニアを含むトップアスリートの強化施設として活用されております。また、日本セーリング連盟からは、本県が風、波、海流等、自然条件や交通アクセスの利便性において最適であるとの評価をいただいております。このようなことから、誘致が実現できるよう引き続き関係機関に力いっぱい働きかけてまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
十八番山下大輔君。
○山下大輔君 ご答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきます。
まず、海洋型ナショナルトレーニングセンターの誘致について。
ご答弁では、知事を初め企画部長、教育長、それぞれに誘致に向けて積極的に取り組んでいく旨のお話をいただきましたので、ぜひそのお言葉どおり、前向きな取り組みを一貫して進めていただけるようお願いをしたいと思います。
そもそもこのナショナルトレーニングセンターを誘致する先となる和歌山マリーナシティは、県としてもこれまで多額の県費を既に投入して整備してきた場所であり、投資した金額に見合う、またそれ以上の効果を上げられる活用方法について真剣な検討が必要なところで、今回のトレーニングセンター構想については、これを千載一遇のチャンスとしてとらえ、その実現に向けてみんなで力を合わせ進めていければと思います。また、ご答弁でご指摘いただきましたように、各関係機関、団体と緊密な連携をとることも重要で、ぜひその体制づくり、誘致委員会などの立ち上げも早期に実現してもらえるよう、要望として重ねてお願いをしておきたいと思います。
次に、観光医療産業の育成について。
これも、知事の方から、本当に熱のこもったといいますか、ご答弁をいただけてうれしく思います。今、本当に和歌山も厳しいところにある、それを何とかして再建していきたい。これはもう、この議場におられる議員、知事を初め県職員の皆さん、すべての願いだと思います。一丸となって、これも一つの提案として真剣にその可能性を追求していければなと思います。
少しこの観光医療産業の視点について、つけ加えたい部分もありますので。
今、和歌山の社会構造として対応が急がれるものの一つとして、急速に進む高齢化、医療・福祉負担の増大があります。今回の観光医療産業の振興は、地域経済に与える影響、また県行政としても、地域が活性化されることによる財政収入面の可能性だけではなく、あわせて財政支出を抑える地域として、医療費膨張の抑制・抑止政策として取り組む意義は大きいと考えます。国保、老健、介護保険に係る県費の支出は平成十四年度で百五十億円を突破するものとなっていて、ここ数年を平均しても一六%といった高い伸び率を示し、これら医療給付、介護に係る県の支出予測として、平成三十五年の二十年後には約四倍にもなるとの試算も出ています。そういった状況において、単純に医療、介護、福祉サービスの水準を落とすのではなく、コストを抑制していく重要な政策であると考えています。
先ほど知事も少し触れられましたが、これは国策としても取り組んでいくべきものでもあると思います。予防医療による医療コストの削減効果として、アメリカ政府の試算で、病気予防に五ドルかければ医療費が三十ドル削減されるという報告があり、これは本当に国策として大きな意義のある取り組みであり、現在アメリカで強力に進められている予防施策の新戦略であるヘルシーピープル二〇〇〇や、我が国で計画が具体的に策定された、先ほども知事が触れられました健康日本21はまさにその一環となり、今回の政策の推進には社会的にも大きな追い風の吹いている状況であると考えます。現在の日本社会において、福祉、医療と言うと、ついつい受け身でとらえられがちな風潮がありますが、それを逆に和歌山再建のキーワードとして県勢発展につなげていければと考えるものです。
また、今回の提案では、将来的にはあくまで国内向けの内向きの視点だけではなく、外向きの視点もしっかりと持つことが大切だと考えます。関西国際空港のアクセスを最大限に活用し、国外特に近隣のアジア圏を視野に入れ、そこから多くの浮遊層を取り込むことも可能ではないかと考えます。人間の健康に対する欲求は飽くなきものです。日本でお金に余裕のある人が、現実にイルカセラピーを受けるためにオーストラリアのゴールドコーストまで出かけている現状を見ても、大いに可能性はあると思います。そもそも現状においても、日本の医療レベルはその平均として、アジア諸国の中では頭一つ出ている状況にあり、実際にアジア圏の多くの人が日本の医療を受けるために来日している状況があります。そんな中で、特に先進の医療分野として大きな期待のかかる予防医療の分野でこの和歌山が先進地となれれば、予防医療、ヘルスケア、プラス観光の振興によりアジアから来訪者を数多く受け入れられる拠点となる構想も、その可能性は小さくないと考えます。和歌山が人間の基本的欲求である健康にかかわる予防医療、ヘルスケア産業の集積地、拠点として高度に発達することが実現すれば、将来的にはこのアジアの中でも大きな存在価値を持つ地域となり、人の流れ、お金の流れをつくることが期待されます。
また、この観光医療産業の振興を和歌山県を挙げて積極的に取り組む中では、将来的には特区の構想も視野に入るのではないかと考えます。株式会社の参入問題、保険制度の壁など医療を取り巻く現状は大きな規制が立ちふさがるものとなっています。そういった部分に、和歌山独自の視点で風穴をあける取り組みが実現できれば、より早く民間の積極的な投資を呼び込み、予防医療、ヘルスケア関係の事業を和歌山に集積させることが期待されます。
ただ、この特区を視野に入れた他の地域との知恵比べには、特にスピードが必要とされます。とにかく、現状においては急ぎ検討を始めることが求められていると思います。さきのご答弁の中で、本当にスピードを上げて積極的に体制も整備して取り組んでいただけるというご答弁をいただきましたので、ぜひそのように取り組んでいただきたいと思います。
最後に、和歌山の将来ビジョンについてというところですが。
最初の質問の冒頭でもお話しましたが、この二十一世紀こそ和歌山の真価が問われるときで、私は和歌山の可能性を心から信じています。しかし残念ながら、和歌山の現状では、うつむいてしまっている大人がたくさんいる地域になっているように思います。子供は、大人の背中を無意識に見て育ちます。この地域に育つ子供たちが、前向きに夢を持って、将来への可能性を信じて頑張れる地域にするためにも、今こそ私たち和歌山の大人が顔を上げて、胸を張って頑張らなくてはいけないときだと思います。そのためには、まずは皆が頑張ろうと思える、希望の感じられる和歌山のビジョンを何としてもつくれないものかと思います。
ご答弁いただけた中で、行政運営の基本としては、県民参加、参画を積極的に推進していく、県民の自主自立のもとでこの和歌山を他地域におくれない先進の地域としていく、現在の社会情勢に即応するスピードを県行政の中にも持たせていき、和歌山のこの地域を誇りの持てるものにしていく、また和歌山からの情報発信、和歌山からいろんな提案を行っていく中で、地方主導といった国づくりを進めるという部分についても知事の強い思いが伝わるご答弁だったと思います。お聞きしていて率直に納得して、これらが実現していくとよい地域になると心から思います。私自身も同じ視点を数多く持って議員活動をさせていただいているつもりです。それらが一つ一つ実現していく中で和歌山が誇りの持てる地域に変わっていくのだと思いますが、しかし、なかなか簡単にはいかないのだと思います。それらを実現させていくためにも、できる限り理想を目に見える形であらわし、目標をつくりながら努力していくことが必要なのではないかと私は考えます。
今回、私自身初めて県議会の定例会を経験しているわけですが、この間、知事が答弁に立たれる中で、その中でも確固とした信念を端々に感じるものでありました。今の地域づくりに、また行政運営にたくさんの思いを持たれている知事であるのですから、そうであればこそ、知事の頭の中で描かれていることを、そこにだけとどめておかれるのではなくて、できるだけ広く外部に対しても周知し、またそこに寄せられる外部からの意見もしっかりと受けとめられて大いに議論をしていくといったことが大切だと考えます。今回の質問でご答弁いただいた内容に、その上にしっかりと肉づけをしていけば、誇りの持てるすばらしい和歌山独自のビジョンを描けるように思います。やはり、今こそ目に見える形で知事の考えておられる地域づくりの新たな構想、和歌山の将来像といったものをつくっていただきたいと思います。
そこで再質問として、従来の国の方針にのっとった行政計画的なものではなく、木村知事のもと、和歌山独自で考える地域の将来ビジョンといったものを、ぜひとも未来の和歌山のためにもつくっていただきたいと私は思うのですが、このことについて知事のご見解をお聞きしたいと思います。
以上、要望二点、質問一点として、私の質問を終わります。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 今、マニフェストというふうなものがいろんなところで言われています。もともと私と物すごく仲のいい北川知事が言い出したとき、私は何言うてはるのかなと。ただ単なる公約のことやろうというふうな感じだったんですが、その後の動きの中でこれが日本の国を規定していくような大きなものになる可能性もはらみ出しているというふうな感じがあります。
実際、地域の総合計画というふうなものは三千三百の日本の自治体すべてでつくられていて、すべてでほとんど実現されていません。こういうふうな調査研究機関に数千万円のお金を出すだけで終わってきたというのが現実だと思います。しかも、その当時に比べても、今はもっと将来の形をあらわしにくいというふうな時代だと思います。
先ほど私が申し上げましたようなこと、そのほかにもいろんなところで講演をしたりしていることの中で、大体考えはまとまってきてはいるんですが、しかし、それも日々変わっています。実は、きょうもいいことを思いついたな、あすもいいことを思いついたなというような形でやっていくんで、それを「置きざお論」というような言い方をしているんですけれども。私自身は、コンサルタントのようなところへ委託をして、分厚い、印刷したときから倉庫へ入ってしまうようなものをつくろうというふうな気持ちは基本的にはありませんけれども、ただいずれにせよ、県民の人にいろんな形で今考えていること、それからどういうふうな方向へ県が進んでいくのかということ──関心のない人に知ってもらうというのは非常に難しいし、だめだろうと思います。正直言って、いろいろマスコミ等で発表していることを、関心があれば読んでもらえると思うんです。だから、無理に物をつくって押しつけるという気持ちはありませんけれども、しかしながら、そういうことに積極的に関心を示して、和歌山の県づくりに参画していこうというふうな県民の人に考え方を示していくということは、これは知事としての責務だというふうに考えておりますので、いろんな形で和歌山県のあるべき姿というものをこれからも示していきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、山下大輔君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十四番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、早速、質問に入らせていただきます。
三点についてご質問を申し上げてまいりたいと思います。
一つは、准看護師の資格教育の問題であります。二つ目には、感染症対策についてであります。三つ目は、女性相談所のありようについての質問をさせていただきます。
まず初めに、准看護師から看護師への移行教育の問題についてであります。
既に皆さん方もご存じであろうというふうに思いますが、看護師という名は一つでありますけれども、資格制度については二通りの制度があります。一つは高校卒業以上の教育最終年をした看護師への道と、それともう一つは中学校卒業程度の学歴を有した者の准看護師制度というものがあります。多くの人たちは、現場の白衣の姿を見ると、みんな同じ教育を受けてきた看護師さんであろうというふうに思われていると思いますけれども、しかし内実はこうした二通りの資格制度がありますので、職場においても、業務の内容も一部分は違いますが、九割方は同じ業務をこなしているというのが現実です。
そこで私が問題にしているのが、この中学校を卒業してからの准看護師制度の問題であります。
長い間、この准看護師の皆さんたちは、現場の中で医療と看護の中心的な担い手として頑張ってこられました。これは、昭和二十六年に制定をされまして、あの戦後の中で看護婦が大変不足をしているという状況の中で即席的な教育制度としてつくられ、身分があいまいにされながらも制度としてはこれまで続いていますし、今後もまだ続くであろうというふうに考えております。多くの准看護師の皆さんたちは、正看への道を模索をしながらも、現場の実態から、また経済的な理由の中から進学できない人たちもたくさんいます。しかし、准看護師としても立派な技術を持ちながら、経験豊かな中で多くの患者さんたちの介護、そして地域の医療を支えてきたことには変わりありません。そうした人たちは、この間、一貫して看護師制度は一本化すべきだということで闘いを続けてまいりました。やっとの思いで、今その進学への道が一部分でありますけれども、光が当たったというところに来たというふうに思っております。
今、准看護師から正看への道はあります。それは、中学校を卒業して准看護師の養成を二年間受けまして知事の検定試験を受けて制度をとる道で、そしてその後三年間の実務経験を経なければならないという条件がつく中で進学をすることができます。それは、進学課程の二年制教育です。そこを受験をして、二年間の教育を受けまして、国家試験を受けられるという資格を取りまして、そして合格すれば正看という形になるわけです。大変長い道のりをたどらないと、これはなかなかかなうものでありませんし、全国的にも、また和歌山県下においてもこの進学課程に進む養成所が現在では一カ所しかありません。定員も四十五名になります。そういう点でも、今度の厚生労働省が決めた移行教育というものは非常に大きな意義があるというふうに思います。
厚生労働省は、本年三月二十六日、看護職員の資質の向上を図る方策の一つとして、十年以上の就業経験を有する准看護師を対象にした新たな二年課程通信制の教育制度を創設いたしました。そして、その実施を来年の四月というふうに決めて、各都道府県知事に通知をされたところであります。これは、先ほども申し上げましたように、現場で働く准看護師や医療関係者らが准看護師養成制度を廃止し、看護制度一本化を目指して、さまざまな国民的運動を進めてきたことの前進だと言えると思います。准看護師はもちろん、医療関係者に歓迎されていることは確かであります。やっと看護制度に改善の光が当たった、こう喜びながら受講への声も広がり始めてまいりました。民間医療機関では、経営者も含めてこうした准看護師の人たちの進学教育を積極的に受けとめておられます。ぜひ、この機会に受講することを勧めてまいりたいというふうにおっしゃっています。
このたびの移行教育は、既存の養成所が開設することになっております。そして、国からはこれといって指定することはありません。あくまでも、それぞれの養成所の判断にゆだねられているからです。修学年限は二年間以上としています。放送大学などで理論を学習し、その修得した単位も養成所の単位に振りかえられるということになりました。そして、臨地実習として、紙上事例演習として、文章で示された架空の患者について看護展開のレポートを提出して単位を取るということになっています。さらに、実習といえども経験を長く積んでいるわけですから、それを省いて病院の見学というふうになりました。面接授業をするということもあります。そして、全単位が六十二単位で、総時間数二千百時間を修了すると看護師の国家試験を受けることができます。これに合格すれば、看護師となることになります。
厚生労働省は来年四月開設を大体八校だろうというふうに目標を持っていますが、その申請が九月十日までとなっております。果たして、全国で幾つ申請されるであろうか、また本県に開設される養成所は本当にあるのかどうか、こういった点でも大変心配をするところであります。
開設するには、新たに二年課程通信制の専任教員七名、当分の間は五名でもよいといたしておりますし、それとペーパーが出される中での添削指導員十名、そして事務員一名の人材確保が必須条件になっております。今の県の財政状況などを考えると大変苦慮されるということも十分理解するところであります。しかし、これまで県下の医療や看護を長い間支え、さらに今後も支え続けるでありましょう四千八百三十五名の准看護師たちの看護師になりたいという願いに心を砕いていただいて、行政としてこたえていただきたいと考えるものです。
県は、これまで看護師不足を解消すべく看護師需給計画を策定してまいりました。そして、その充足のために看護師学校養成所をふやしてもきました。そして、院内保育所への県単独補助制度を進めるなどして随分努力をされてきたことは認めます。ようやく平成十二年度から看護師の就業者が准看護師の就業者を上回るほどに大きな成果を見るに至っているところです。国の移行教育は、看護分野に優秀な人材確保と医療の高度化と専門化に対応し、何よりも患者の安全確保をしながら看護業務が進められるのに必要な人員確保が必要です。そして、看護師の資質のレベルアップにつながることは間違いありません。厚生労働省の養成所設置に係る申請は、先ほども申し上げましたように九月十日が限度です。県下の看護師養成校は、現在七カ所にふえています。まず、民間に先立って県立看護学校に二年課程通信制の設置を強く求めたいと思いますが、知事、あなたは看護教育についてどのような所見をお持ちなのでしょうか、そして四月実施を強く望むものですが、いかがお考えなのでしょうか。教えていただきたいと思います。
二つ目に、感染症対策についてお尋ねを申し上げます。
きょうの新聞を見てみますと、WHOが北京で中国衛生省と共同記者会見をした。そして、新型肺炎で北京を対象にした渡航延期勧告と流行地域指定を解除したと発表いたしました。これで、新型肺炎に関するWHOの渡航延期勧告はすべて解除され、台湾とトロントに対する流行地域指定を残すのみとなったと、このように報道いたしております。SARSについての感染対策は一定度進み、そして指定地域を解除したということは非常に喜ばしいことだというふうに思うところです。また、六月二十二日でありますけれども、同じように世界保健機構は、二十日までに報告された新型肺炎の感染者は、三十二カ国地域で八千四百六十一人で、前日比一人減、新たな患者の発生は三月十七日統計を取り始めて以来、初めて報告がなかった。死亡も八百四人と前月と変わらず、感染拡大がほぼ終息したとして報道いたしております。そして十九日には、WHOが三月十二日、SARSに関する初警告を出してから百日目、SARSは明らかに制圧されつつあるとしながらも、冬季の再発も懸念されることから、少なくとも一年間は現在の警戒態勢を続ける必要があることも強調しています。そして、新型肺炎の発症地とされる中国南部広東省では、SARSと同じウイルスが発見されたハクビシンや蛇など野生動物料理が食卓から姿を消した。売買が禁じられ、有名レストランも閉店を始めている。このハクビシン飼育農家もその影響をもろに受けているとも伝えています。さらに、SARSの流行の影響で、中国から日本に輸入されていた脳梗塞の治療薬ウロキナーゼの原材料の尿成分がSARSの感染予防を理由に輸入がとまっていることも伝えております。私は、患者の治療に影響がないのかという心配もするところであります。
こうして、さまざまな分野に、また国々に思わぬ影響が発生するものだということを今度のSARSの問題で、改めてその重大性と怖さを感じているところであります。日本でも、台湾医師の宿泊ホテルなど、旅行先のところではキャンセルが相次ぐといった状態も続きました。そして、営業にも影響を及ぼしたということも大きく報道されたところであります。
一方、厚生労働省は、二十日、新型肺炎SARSを感染症法の指定感染症に指定をすることを決めたようであります。そして、指定されますと、一年間に限ってエボラ出血熱などと同じように最も危険な一類感染症に近い措置がとれるよう指定をしたところであります。まだまだ私たちは、このSARSについて、あるいは他の感染症についても安心ができないところにあるのでしょうか。日常的に感染症の予防という観点からも、うがいや手洗いの励行が肝心であるということもわかりましたし、そんな啓発教育や正しい知識の普及が必要であるかということも多くの県民の皆さん方にこれからも知らせ続けなければならない、このことも感じたところです。
また、こんな記事も載っておりました。アメリカで多数の死者を出している西ナイル熱についてでございます。ウイルスの日本国内侵入は時間の問題だと懸念されているとした上で、これから蚊の発生シーズンが始まります。それを前にして、新たな感染症対策が求められるところです。西ナイル熱は、野鳥などからヤブカ、イエカを介して感染が広がる特徴があると言われます。米国では、昨年の死者が二百八十四人、ことしはもう既に三月十二日までに二百七十七人の方が亡くなっているということも報じているところです。県は、SARS対策にいち早く今回取り組まれました。さきのO157のあの教訓が大いに生かされたのではないかと思うところです。
私も、この間、健康セミナーに参加をいたしました。そして、専門家の話や、県のSARS対策についても講演を聞き、勉強をさせていただいてまいりました。そして、このSARS対策の一つとして、患者を輸送するトランジットアイソレーターによる患者搬送、また陰圧制御装置を設置された第二種感染症指定病室も紀北分院で見せていただくこともできました。また、防護服で勤務する看護師や保健所の職員のてきぱきした行動に少し安心したところですけれども、病室の入り口のドアや窓の気密性は求められないのか、大変気になる思いが残っております。
最も県民に身近な相談窓口となりました保健所の問題でありますが、これに対しては二十四時間体制でありますから、保健所の体制も大変だったと思うわけです。人的、物的体制が十分とられたのでありましょうか。相談はたくさんあるわけですけれども、こんな問い合わせもあったそうです。中国のお土産をもらったが食べてよいのだろうか、また、ブラウスを送ってきたけれども着てもいいでしょうかなどといった相談もたくさんあったと聞きます。こうした相談の内容を見てみますと、いかに早く正しい知識を、また県民の皆さん方に情報として公開を迅速にするということが問われるというふうにも私は感じたところです。
そこで、二十四時間体制にふさわしく、保健所の人員をふやすとか、そういった条件が果たしてどのように整えられてきたのでしょうか、福祉保健部長の答弁を求めてまいりたいと思います。
私が特に気になったことをひとつここでお尋ねをしておきたいと思います。医療体制の問題であります。
感染症指定医療機関の指定について、配置基準を定めております。特に第一種感染症指定病院が和歌山県に一カ所、二床を設置しなければならないことになっております。しかし、県は大阪府の市立泉佐野病院に委託をしているという現状です。なぜなのでしょうか。和歌山県には数多くの公立病院等もありますが、なぜ市立泉佐野病院なのか、このことをお聞きしたいと思います。
そして、第二種感染症指定病院についても、二次医療圏内に人口に応じて指定をすることになっております。人口三十万人未満に対しては四床、そして人口三十万人以上、百万人未満では六床が必要と定められています。そこで、和歌山、海南二次医療圏に指定病院がないという状態であります。担当者の説明では、かつて和歌山市の隔離病舎であった城南病院を来年三月三十一日まで特別措置として指定をしております。指定はしているものの、実態は施設としては稼働をしていないし、指定病院としてのマンパワーの確保も危惧される状況にあります。良質な医療と療養環境が提供できるのかも大いに疑問視するところです。こんなことが許されるのでしょうか。直ちに基準を満たした指定病院に改めるべきだと私は思います。答弁を求めたいと思います。
三つ目の女性相談所に係る問題についてお尋ねをいたしてまいります。
ご存じのように、女性相談所は、売春防止法に基づき、日常生活上、何らかの問題を抱えている女性のために昼夜問わず相談を行うほか、必要に応じて一時保護、女性保護施設なぐさホームに入所等の支援のほか、併設されたDV法──配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律──に基づく配偶者暴力相談支援センターとしての保護、自立支援も行うところであります。
相談所の相談員は、常勤五名、非常勤十名、非常勤相談員は主に夜間休日勤務の電話相談となっています。ほかに、心理判定員一名、嘱託医師一名は必要に応じて出勤をするということになっております。夜の宿直者は現在十二名ですが、資格も何もございません。いわゆる宿直業務のみです。所長を含む常勤職員は、相談ばかりではなく、裁判所、そしてハローワーク、市役所、弁護士事務所などに付き添いとしての仕事が多岐にわたります。休む間もなく忙しく勤務している状態であります。
女性相談所の相談件数も、年ごとにふえてまいりました。平成十年度と平成十四年度を見てみますと、平成十年度の件数は二千五百十一件です。そのうちDV件数は二百九十一件。そして平成十四年度になりますと、総数三千三百四十九件、うちDVが五百六件で一五%ふえているということになります。平成十五年度からは、相談員も二名ふやして、夜間、休日の相談にも対応しておられます。その休日、夜間相談件数は二百八十三件、うち七十七件がDVの相談となっています。
次に一時保護はどうかと言いますと、平成十年度二十七件、うちDVは十二件であります。そして、平成十四年度は七十一件とふえて、そのうち三十七件がDVです。何と五二%を占めている状況にあります。では、一時保護された方々が年間どれぐらいその施設に入所したかということであります。その在日数は、平成十年度は二百二十五日でした。しかし、平成十四年度では七百五十四日、十年度の三倍以上とふえております。
そこでお世話になった方の話でありますけれども、その方は、私がお世話になったときは、たまたまだかわからないけれども、一部屋六畳に三人、四人となり、心が休まるどころか、いらいらしてどこに身を置いていいのか大変苦しかった、せめて六畳の間には二人が限界だし、子供のいる人は一部屋にしてあげないと大変だと、こう語っておられたのも印象的です。そして本県の女性相談所は、女性保護施設とDVの一時保護施設が併設しているという条件にあります。現在五室、そして一室は六畳でありますから、このふえ続ける点から見ても大きく不足しているのではないかというふうに思うわけです。心身ともにぼろぼろになり、恐怖と不安からやっと解放されたいと思う気持ちからすれば、プライバシーを守ることはできないばかりか、ゆったり静かに体をいやしたい、そしてこのことを実現するための施設であってほしいと、私は心から願うものです。私も、何回か相談所にお邪魔いたしまして、施設についても、また現状についてもお聞かせいただいてまいりました。
福祉保健部長、あなたは女性相談所の施設状況をどのように見ておられるのでしょうか、そのお考えをお聞かせいただきたい。
私は、一時保護でお世話になられた三人の方から話を聞いてほしいと呼ばれました。そして、いろいろと聞いてまいりました。そのごく一部を紹介し、一度検討をしていただきたいと思うわけです。その方たちは、こう話しておられました。自分たちは、身も心もばらばらになって、自立しなければと思いはするものの、帰る家も今はない、金もない、仕事もない、そしてなかなか見つかりそうにもない、といってどんな仕事をしたらよいのかさえ考えがつかないで大変苦しんでいる、パートに行っても、周りを気にして落ちつかない、気持ちが沈んで何もしたくない、情報提供はとてもありがたいが、自立するための職業訓練のできる施設と居住できる施設が一緒になったものをつくってもらえないだろうか、このように自分の気持ちを切々と涙ながらに訴えられました。
いかがでしょうか。女性相談所の隣に四百坪でしょうか、五百坪でしょうか、県の公有地が空き地となっています。この空き地に、この方々が訴えていらっしゃる職業訓練と居住を兼ね備えた自立支援施設建設を願うものですけれども、いかがなものでしょうか。ぜひ検討していただきたい。福祉保健部長の所見を伺いたいと思います。
女性相談所の周辺は、夜になると大変暗く、また安全とは言い切れない環境にあります。いつ入所者の夫や恋人が危険物を持ってくるかもわかりません。昼夜問わずの安全対策が望まれると考えるものです。周辺を外灯などで明るくするとか、警察のパトロールを強化してもらうとか、何とか安全対策はしていただきたいというふうに思っていますが、どのように現在取り組まれているのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
以上で、第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 看護教育の重要性ということについては、私も昔から非常に認識しているところでございまして、就任直後すぐに看護短大の四年制化に着手いたしました。来年、これが開校できるということになりました。
ただ、ご質問の中にありましたように、医療の大きな部分を担っている准看護師の人が看護師になるということに非常に隘路があるということは十分存じておりまして、今回二年制の通信制というのが導入されるというふうなことは、これは僕は非常にすばらしいことだというふうに思っております。ただ、最初は全国で七カ所か八カ所ぐらいであろうということと、それからもう一つは教員の確保と、なかなか難しい問題があるわけですけれども、県としては、この問題に関係機関と協議しながら積極的に対応したいという気持ちは持っております。
現在、和歌山県では、准看護師の人が看護師へ行くことの意向調査を実施しているところでございます。こういうふうなものを受けまして、来年の四月からということでございましたけれども、この移行教育の実現については来年度か再来年度ぐらいに考えていくようなことで検討していきたいと、このように思っているところでございます。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) まず、感染症対策の三点についてお答えいたします。
一番目の、保健所の体制強化についてでございます。
保健所は、住民の健康、保健、福祉の保持と向上を図るため各種事業を実施しております。とりわけ健康危機管理につきましては、病院、消防、市町村等の関係機関と連携体制をとり対応できるようにしております。そうした中、今回のSARSへの対策につきましては、早期に相談窓口を設置し、当番制及び他の部署の応援により二十四時間体制をとり、約二百五十件の相談を受け、県民の不安解消に努めてきたところでございます。また、関係機関との間で健康危機管理連絡会議を開催し、情報提供や対応等協議しております。
SARS等の感染症対策には、市町村の枠を超えた広域的な対応と、また専門的な対応も必要で、その中心を担う保健所の果たす役割と責任は大きいものがございます。今回は幸いにも患者の発生はなかったものの、今後不測の事態も念頭に置きながら、保健所職員のみならず、各振興局、また県職員全体による応援体制等も検討することとし、保健所における感染症対策の充実を図ってまいりたいと考えております。
次に、第一種感染症指定病院の確保についてでございます。
第一種感染症指定医療機関は、平成十一年の感染症法の改正により知事が県内に一カ所整備することとされておりますが、本県はまだ第一種感染症指定医療機関はございません。このため、市立泉佐野病院と契約し、一類感染症患者発生時に対応するため二床を確保しております。しかし、今回のSARSの発症を契機に、できるだけ早く県内での整備が図れるよう検討してまいりたいと考えております。
なお、一類感染症につきましては、感染力、罹患した場合の重篤性と危険性が極めて高い感染症で、その対応には特別な施設、設備、また医療体制を必要とします。これらを設置し維持するためには、非常に大きな負担となってまいります。そうした意味で、平成十一年に県に一カ所設置が定められたところでございますけれども、この時期、県立医大の附属病院に設置を検討したところでございますが、ちょうどあいにく新築工事が終了しておりまして設置が困難であったということで、また新たにつくるとなれば工事費が四億円かかるというような状況の中で市立泉佐野病院と契約をしているところでございます。なお、これにつきましては、年間一床七十五万円、二床で百五十万円でお願いをしているところでございます。
次に、和歌山医療圏における第二種感染症指定病院の確保についてでございます。
第二種感染症指定医療機関については、二次医療圏に一カ所整備することとされており、和歌山医療圏──これは海南も含みます──については和歌山市立城南病院を指定しております。しかし最近、医師の確保や設備等の問題が生じたことから対応が困難となっているため、赤痢やコレラなどの患者が発生したときは、一時的に他の第二種感染症指定医療機関に収容することとなっております。こうした状況のもと、和歌山医療圏での第二種感染症指定医療機関を新たに確保する必要があるため、現在他の医療機関と交渉しております。早期に整備できるよう一層の努力を図ってまいりたいと考えます。
続きまして、女性相談所に係る問題の三点についてお答えいたします。
まず、安心して過ごせる部屋の確保についてでございますが、女性相談所の一時保護所や女性保護施設の居室規模については基準を満たしております。しかし、配偶者等から暴力を受けた女性の置かれている環境や心身の状況を理解するとともに、安心して生活できる空間を確保し、プライバシーの保護にも注意を払う必要があると考えます。このため、本年四月から新たに母子生活支援施設等への一時保護委託も実施し、被害者保護の充実に努めておりますが、DVに関する相談件数や被害者が増加する中、議員ご指摘のような課題も出てきております。今後とも、入所者の心情や人権等に配慮した対応ができるよう検討してまいりたいと考えます。
次に、女性相談所の空き地の活用についてでございます。
女性相談所は、DV被害者や生活の困窮者等を一時保護し、自立を支援しております。先ほどもお答えいたしましたように、DV被害者の入所者が増加する中で、相談や保護、支援の方法を検討する必要があります。今後、隣接している母子生活支援施設県立すみれホーム等のあり方も含め、当用地の活用方法等を総合的に検討してまいりたいと考えております。
次に、安全対策についてでございます。
入所している女性の安全確保を図るため、人の気配を察知するセンサーライトを四カ所設置しているほか、警備会社と契約し四カ所に防犯カメラを設置して、速やかに警察に連絡できる通報システムを導入しております。さらに、今年度、玄関に不法侵入者立入禁止の看板を設置したほか、最寄りの警察による巡回パトロールを実施しております。今後は、警察の巡回回数をふやすなど警察と連携を深めるとともに、施設周辺等も含めた安全対策を講じてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十四番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しを得ましたので、ご質問を申し上げてまいりたいと思います。
一つは、准看護師の移行教育、来年かそれでなかったらその次の年にすると、こういうふうに決意を言っていただきましたので──予想以上にいい答弁をいただきました。本当に多くの人たちが待ち望んでいた問題ですし、大変苦労の多い移行教育の中身だと私たちは思っています。働き続けながら、この養成所に入学をし、通信課程を終えるというのが、現場の人たちはみんな至難のわざかなという思いも今あるわけです。まだ中身的なものが明らかになっておりませんから、一体どれぐらいの授業料で、一体どこに設置されるのかということも明らかになっていない状況ですので不安材料はたくさんあるわけですけれども、しかし定年を迎えている人たちも資格は取りたいと。自分の頑張ってきたあかしを何とかここに持ちたいという熱い思いがあるわけですよ。現場では、本当に准看護師という身分の中で大変な苦労をしてきている人たちですから、それだけにこの思いは強いわけですから、再来年というのをできれば消していただいて、来年の四月から思い切ってこの制度を実施するという気持ちで取り組んでいただきたいというふうにお願いをしておきたいと、大きな期待を持つところです。よろしくお願いをしておきたいというふうに思います。きょうは、いっぱい言いたいわけですけれども、とにかく時期を明確にしていただいたということで、この次にいろいろな条件等についてはお願いをすることにしたいというふうに思います。
二つ目の感染症対策の問題でありますけれども、先ほどもよその県に委託しなければならないような和歌山県の医療状況なのかと、病院の建設状況なのかということを非常に私は残念だなあというふうに思っています。現場では、皆さんそれぞれ一生懸命頑張っていただいているわけですけれども、しかしこうした大きな問題のときに、他府県に頼らなければならないような実態というのは、やはりもう終わりにしていただきたい。先ほど産業医療というふうにおっしゃっていましたけれども、大きな産業になると。私は、産業にはしたくないというふうに思っているわけですけれども。しかしこういう問題については、県民の命を本当に守るという立場なら、よそに委託するというのもいかがなものかというふうに思います。みずからが率先してやっていくということが原点だというふうに思います。
病院の受け入れのところで条件がついているのは、患者をおおむね三百人以上収容する施設を有すること、そして診療科が内科、小児科及び外科を有し、それぞれ常時勤務する医師があること、それから感染症の医療の経験を有する医師が常時勤務していること、そして重症の救急患者に対し医療を提供する体制が常に確保されていること──これは、ICUとかそういった救急を受け入れるために十分な体制が整っている病院を指定しなさいよと、こういう条件がついているわけですから、大変厳しい状況ではありますけれども、これは和歌山県下でいえば幾つかあるわけですよね。和歌山市内なら最も近代的な設備を整えた医大もありますし日赤もあるわけですから、そういう点でも、県民の命を守る、感染症からどうやって守るかという点ではそういった施設がもう十分あるわけですから、それは病院の同意がなければ指定はできないというふうになっておりますから、そういった点でも同意を取りつけるためにもさまざまな支援策も必要であろうというふうに思うわけです。そういう点でもいち早く、この一種の感染症指定病院を県下に持ってこられるように努力をお願いしたいというふうに思います。
それから第二種の感染症指定病院、特に和歌山市と海南市の二次医療圏に公表されてもないわけですね。それをいただいたんですが、ありません。他の医療圏にはそれぞれあるわけですけれども、和歌山市と海南市が公表されていないという点で見ますと、今部長がおっしゃったように、城南病院へしているから大丈夫ですよというような、それはいただけませんね。
私も、きのう城南病院を見に行ってまいりました。これは、もう言葉を言う必要はないぐらいですね。大変な事態だというふうに思います。昭和四十二年に建設をされた鉄筋コンクリートの建物でありますし、今はもうあちこちから雨漏りがするそうです。それで、現実的には診療所だけをやっていますけれども、もう入院は一切とめられておりますから、本当にここでまともな医療の受け入れと、そして患者さんが療養するよい環境が保障できるかということについては、これはもう到底無理な話です。今、交渉をしていらっしゃるということですけれども、この五年間が経過措置というふうになっておりますから、この五年間の間に一体何をしておったんだと。いざこういったSARSみたいな問題が起これば、またコレラとかそういった問題が起これば、和歌山市や海南市の住民は有田や那賀に運ばれていくんだと。これでいいんですよというような状況ではないというふうに思います。その点でも、これはもう早急にやるべきことだというふうに思います。待ったなしです。
それから女性相談所の問題ですけれども、非常に職員の方々は一生懸命頑張っておられるということは、私も実感として感じてまいりました。しかし、どんどんふえ続けることに対して、人はふえたけれども、一時保護の施設には満杯の状態が時たまあると。こういう状況のもとでは、本当に安らぎを求めてきたのに、悪夢から解放されたいと思ってきたのに、ますます意気消沈してしまうというような実態があるということと、そして着のみ着のままで飛び込んできて、施設の中で自立を目指したいという思いはいっぱいあるけれども、しかし職業訓練に行くにもそこを一たん出ていかなければならないという状況もあるわけですね。そういう点では、一定の職業がそこで学べて、そして社会に出ていけるような基礎がつくられるような施設も兼ね備えてほしいと。そうすると、自立していくのに随分大きな助けになるというふうに言ってらっしゃいましたので、あえて隣の空き地の利活用を検討していただくということになりましたので、総合的とおっしゃいますので、ぜひともそれを視野に入れながらやっていただきたい。これには、福祉保健部だけではそういかないと思います。商工労働部の援助も必要だというふうに思いますので、商工労働部長や財政担当者の皆さん方のお力添えをお願いしておきたいと思います。
これは、すべて要望といたします。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十八分休憩
─────────────────────
午後一時二分再開
○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
十三番向井嘉久藏君。
〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
私は、きょうは農業問題と福祉問題について質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに、農業問題でございます。「魅力ある農業再生について」ということで質問させていただきます。
日本の農業は今のままでよいのか、このままでは早晩崩壊するのではないかと言われて久しゅうございます。農業者の高齢化、後継者不足、残念ながら国の農政の見誤り、また安い農産物の大量輸入等、農業に対し先行き不透明なためと言われております。
今、日本の食糧自給率は四〇%で、そのほとんどが輸入でございます。とりわけ、中国への依存度が群を抜いております。しかしながら、日本の農業技術は世界のトップ水準にあります。その技術を確実に後世に伝えていく義務があると思うのでございます。そのためにも農業再興が大切であります。
工業技術も、しかりであります。映画「タイタニック」を制作・監督しましたキャメロン氏は、日本の技術を評してこのように言っております。「日本には未来の技術がある。未来を見たいときは日本に来る」、こういうふうに発言されております。日本よ、日本人よ、自信を持とうじゃないですか。農業を戦前戦後のあの輝きのあったころに戻せないまでも、創意と工夫と情熱があれば、農業も魅力ある一つの職業としての可能性を秘めていると思うのでございます。また、そうなることにより、国土の荒廃を防ぐ大きな力となると確信するものであります。
既に県は新ふるさと創り特区を創設し、農業で京阪神から人を呼ぼうとしておりますし、定住者もふやす予定になっております。私の住む橋本市でも「地域こぞって有機農法」ということで、杉尾地区で地域の皆さん方が力を合わせて有機農法で頑張っていこうということでございまして、六月二十八日には知事を迎えての話し合い、フォーラムがございます。そのように通知をいただいております。
紀北では、紀の川沿いの六市町を対象に紀の川食と緑の交流促進エリアに指定、また紀南十二町村については緑のIターン促進エリアとしております。特区認定で、和歌山加太でカゴメに土地を賃貸する予定であります。農業を取り巻く情勢の変化は、農業を大きく変貌させようとしております。県の積極的な姿勢を高く評価したいと思うのであります。
農業従事者が高齢化になっていること、しかもその後、慢性的な後継者不足でございます。このまま推移すれば、十年後には超高齢化による耕作放棄が国の大きな課題となることは必定であります。やる気のある人を広く求め、農業知識を教える、働く場所を提供する、販路を確保する等が必要であると思います。稲作一つとっても、育苗に始まり、荒起こし、代かき、田植え、除草、薬剤散布、稲刈り、脱穀、もみすり等、多くの手を経るわけでございます。農業は間口が広く、奥も深うございます。稲作、果樹、花卉、野菜、それに関する肥料、農薬などの多くの知識を必要といたします。
そこで、緑の雇用事業農業版として知事並びに農林水産部長にお伺いいたします。
まず、知事にお伺いいたします。農業の新たな担い手の育成についてをお伺いしたいと思います。
続いて農林水産部長には、新規就農の技術支援として農業大学校を活用し、または併設して、比較的高齢者でも受講できる就農技術の研修・講習ができないか、そこで農業のノウハウを教えられないかを質問したいと思います。
三番目には、農業する場の提供でございます。農業はしたいが農地もない、農機具もない、また農地を探す手だてもわからない、このような人が意外と多いはずでございます。このような人のために情報提供またはあっせんをも含めた紹介のできる窓口を設けられないか、このように思うわけでございます。
四番目には、販路の確保とインターネットをも視野に入れた販売戦略についてでございます。農産品をどのように販売するのか、販路が確保されているのか、就農者にとって一番の関心でございます。県は東京にアンテナショップを設置、またイトーヨーカ堂とタイアップして和歌山ブランドの販売に力を注ぐなど、販売システムの確立に努めていることに敬意を表したいと思います。
販売の方法といたしましては、既存の市場への依存からの脱却も図ることが必要かと思います。自分でつくった農産物は自分で値段をつけたい、価格をつけて自分で売りたい、この思いはだれでもあると思います。農産物だけが他人に価格をつけられる、こんな非合理はないと思うのです。農家が直接販売している青空市場、生産者が集まり販売するファーマーズマーケット、通販・インターネットによる販売などがございますが、最近のインターネットをも含む通販市場の売り上げはスーパーの売り上げをもしのぐ勢いで、早急にインターネット販売をするためのサポート体制の構築が求められていると思うのであります。また、これらの諸事業は農協と深くかかわるもので、真に農家のための事業としてとらまえ、実施すべきであると考えます。
農業関係の締めくくりといたしまして、これまでに気づいたこと、要望等を申し上げておきたいと思います。
一つは、農協のことであります。農協と農家との関係が、農協が設立した当初に比べて距離が遠くなってしまってはいないのかな、こういうことを最近感じております。ちょっと調べますと、農業協同組合法というのが昭和二十二年の十二月十五日に施行されました。第一条に、このように書いてございます。「この法律は、農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もつて国民経済の発展を寄与することを目的とする。」、このようにうたっております。また第八条では、「組合は、その行う事業によつてその組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行つてはならない。」、このように書いてございます。あとは、皆さんのご判断にお任せしたいと思うのでございます。
それからもう一つ、やる気のある農家を育てる。こういう意味で、若い人が中心となっております四Hクラブ──元気がなくなっている農家、しかしその中で若い人たちで構成する四Hクラブは、まだ力を残し、頑張ってくれています。これまで以上の力を県から注いでいただきたい、育成していただきたい、これをお願いしておきたいと思うのでございます。
続きまして、老人福祉について質問させていただきます。
高齢者が要介護状況に陥ったり状態が悪化することを少しでもおくらすための介護予防施策や自立した生活を確保するための生活支援施策の推進についてお伺いいたします。
地域で老人の世話をするボランティアを支援するため、行政はどのようなかかわりを持つのか。私が今回と同様の質問をするのは、平成十一年十二月定例議会での一般質問に次いで二回目でございます。そのときの質問内容を簡単にご紹介させていただきますと、橋本市内で平成九年十一月に近隣の女性数人が集まり、地域の老人に楽しい一日を過ごしてもらいたいと民家を無償で借り受け、小さなボランティアグループひだまりの家が発足いたしました。このようなボランティアグループに支援をと訴えましたが、当時の担当部長の答えはノーでございました。支援する根拠がないということでございました。
時は移り、このひだまりの家がサロンとして五周年を迎えました。今、ボランティアはたった二人になってしまいましたが、私たちがやらねばと力強く言っておりました。お世話する老人は三十人を超えるようになりました。しかし片方で、いつまで続けていけるのやらと、不安の一面をのぞかせております。一日ゆったりとお茶を飲み、お菓子を食べ、よもやま話をして過ごすことにより元気を取り戻していく老人の姿を見るとき、これこそが介護予防の原点ではないかと思うのでございます。ひだまりの家のようなサロンが特養、老健を利用しなければならなくなる老人を水際で、統計的な数値は調査されておりませんが、老人医療費・介護費の抑制に大いに寄与していることは紛れもない事実であります。
厚生労働省老健局長通知で、「介護予防・生活支援事業の実施について」ということで、平成十三年五月二十五日付で通知が出されております。遅きの感はありますが、私の平成十一年十二月十日の一般質問に対する答弁がノーであったことに、今ようやく根拠ができました。
そこで、担当部長にお伺いしたいと思うのですが、住民の自主グループ(サロン)活動育成支援についてであります。
前段で申し上げましたように、本当に無償で、というよりも自分のお金を出してでもお年寄りの面倒を見たい、このように頑張っておられる地域のグループの皆さんに国、県、また市はどのような支援をしているのか。住民自主グループ活動育成についてお伺いいたします。
続いて、「筋トレで目指せ寝たきりゼロ」という題を掲げて茨城県大洋村での取り組みが、産経新聞四月十四日付の新聞でございましたが、報道されておりました。「高齢社会の進展とともに増える寝たきりのお年寄り。上昇する一方の老人医療費が自治体財政を圧迫する中で、「寝たきりゼロ」を目指す筋力トレーニング(中略)ウエートトレーニングマシンなどを使う科学的方法で、本人の「健康維持」と、自治体の「医療費抑制」の一石二鳥」と報じてございます。
大洋村では、平成七年度に高齢化率二〇%を超え、七十歳以上の医療費は八億円に達したということでございます。筋力トレーニングを開始した結果、やらなかった人との年間医療費の差額は、九年度で一人当たり約七万円、十二年度には十二万円に拡大した。高齢化率が二五%を超えた今でも、高齢者一人当たりの年間医療費の伸びは一%を維持している。これは大学と共同研究で出した数字でございますので、そんなに間違った数字じゃないと──筑波大学というふうに紹介しておりますが、間違った数字じゃないと思うのです。
福祉施策に積極的に取り組む自治体で筋トレ普及のため、福祉自治体ユニットを組織しております。本県では湯浅町が実施しているようでございます。
県下自治体の老人医療費・介護費は年々増大して市町村の財政を圧迫している今、「筋トレで老人医療費の抑制を目指せ」というキャッチフレーズで県下に普及を図るべきだ、このように思っております。またお年寄りには、「筋トレで目指せ昔の健康」ということで一石二鳥の事業であると思うのです。
そこでお尋ねしたいのですが、高齢者筋力トレーニングについて老健局長からの通達がございますが、これについて担当部長から答弁をお願いします。また、湯浅町の取り組みについてもお答えいただきたい。
また、最後になりますが、県下五十市町村への普及、これをぜひやっていただきたい。筑波大学と共同研究の結果、平成九年度で一人当たりの年間老人医療費が七万円、十二年度で十二万円という格差が出た、こういう数字が出ております。いずれ湯浅町でも、同じ大学と共同研究しているようでございますので数値が出ると思うのですが、これだけ効果のある筋トレであれば、財政圧迫に苦しむ地方自治体には福音であります。どうか県下五十市町村への普及をお願いして、質問といたします。
○議長(尾崎要二君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌山県の農業再生についてのいろいろなご提言、本当にありがとうございました。私も、この和歌山県をこれからも発展させていくということの大きな一つには、やっぱり第一次産業、農業の振興ということがあろうと思っております。ただ、お話にもありましたように、輸入農産物との問題とかいろいろ難しい問題があって、今までのやり方ではなかなかうまくいくわけではありませんし、そしてまた収入のことだけ考えると、これもまた非常に難しいだろうというふうな感じを持っております。
そういうふうな中で、私も今一番の楽しみが農作物を自分でつくることで、一日に何回も手入れに行ったりしてしているんですけれども、やはり和歌山県の場合、専業農家より兼業農家が多くて、そしてそういうふうな中でいろんな多品種のものをつくっているという特色があるわけですから、農業をやっているということの喜びというふうなことを考えていく形の農業にしていく必要があるんじゃないかというふうに思っていることが一つございます。
そういうふうな中で、緑の雇用というのを中山間中心にやってきたわけですけれども、やはり農業の方へ広げていった方がもっともっと広がりができてくるんじゃないかと。例えばこの紀の川筋でありますと、大阪と近接しているということから打田町のめっけもん広場なんていうのは二十億円以上の売り上げで日本一のショップになっているというようなこともあるんで、こういうふうなことが一つの参考になるんじゃないかということでいろいろこれから考えていこうと思っております。
一つには、都市の人なんかを呼び込んで和歌山の農産物を体験しながら買ってもらう、そしまたそういうところへ入ってきたいような人がいたら入ってくるような仕組みをつくっていくというふうなこと。それから、杉尾地区で非常にうまくいっているわけですけれども、有機農業なんかの関係で、都市の人との交流なんかを行っている。そういう中からまた販路を開拓していっているというような問題。こういうふうなことについても参考にしながらやっていきたいと思います。
それからもう一つは、でき上がったものを売っていく方法。これはまあ、農協を通じて大きな市場から売っていくという仕組みが大どころだと思うんですけれども、そのほかにも別途売り方があるんじゃないかということで、例えば今、イトーヨーカ堂と組んで東京でソフトアンテナショップを展開しております。一億数千万売り上げたみたいですけれども──農業生産品だけじゃありませんけれども、今のところ売り上げておりますが、そういう方向。
そして私は、その中で感心しましたのは、バイヤーの人が来て和歌山のものを買ったんだけれども、その中に有機でつくった梅があったんです。梅をつくっている農家の人の。ところが、それが上等過ぎたんだろうと思うんですけれども、今度のソフトアンテナショップに合わないということで、その中で紀伊国屋という日本で一番最高級な、東京の青山のあれですけれども──どうして紀伊国屋かというと、やっぱり和歌山の出身、九度山の出身の人だったんですね。それで、そこへあっせんをしたら、その梅を紀伊国屋が買ってくれるというふうなことになったわけです。
やっぱりこういうふうな、何ていうのかな、きめ細かい努力。それから、先ほどもありましたように、私は今インターネットオークションでいろんなものを買いますけれども、そういうものの中でも魚とか農産物なんか売ったりしているんですよね。だから、そういうふうな新しい売り方。いろんな形のものを考えてやっていけば、これは僕はまだまだ農業も捨てたものじゃないし、新しい時代のスローライフということから考えれば一番最先端の生き方にもなってくるんじゃないかなというふうな気持ちを持っているわけでございます。
県として決定的なこれというふうなことはありませんけれども、ことしも初めに、木の薫る店なんていうのをつくったら、天野なんかの地区は、私も行きましたけれども、相当いろんな人が来て、そんな大きな売り上げにはならないと思うんだけれども、地域の活性化には役に立っています。
それとか、岩出の、あの大阪との境のところの店も、二回か三回、私、行ってみましたけれども、行くたびに中身が充実してきていてたくさんのお客さんが来ているというふうなことで、こういうふうな地域としての盛り上がりというものを県としてもいろんな形で応援していって、和歌山の農業が魅力のあるものに、そして自分たちも、またその後やってみようかなと思うような気力の出るような農業にしていきたい、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 魅力ある農業再生についての三点についてお答えいたします。
まず、新規就農の技術支援として農業大学校を活用または併設して比較的高齢者にも就農技術をについてでございますが、農業大学校におきまして、和歌山県内に就農を希望する方々に対し、農業の基礎的な知識や技術の習得を目的とした技術研修を昨年度から実施してございます。
本年度は講座名を「新規就農サポートスクール」として、約四十日間にわたって果樹、野菜、花卉を中心に、講義と実習による研修を行うこととしてございます。受講予定者は十六名で、二十四歳から六十五歳までの幅広い年齢構成となっております。
今後、多様な担い手の確保を図る観点から、農業大学校においては、後継者養成はもとより、定年帰農者など比較的高齢者を対象とした就農に向けての講座内容等を充実してまいりたいと考えております。
次に農業をする場の提供でございますが、現在、市町村では、農用地利用調整特別事業により農家の意向把握に努めるとともに、新規就農者を含めた意欲ある農業者に農地の利用集積を推進するなどの取り組みを行ってございます。また県におきましても、本年度、遊休農地リフレッシュ再活用促進事業を創設して、農地の貸借等により所有者にかわって遊休農地を解消し、農業生産を行う新たなつくり手を支援する取り組みを始めてございます。
こうした中、議員ご指摘の農地等の情報提供や紹介窓口の設置につきましては、重要な課題と認識しております。遊休農地を活用した農地の提供や技術の習得、地域への定着等を総合的に支援する和歌山版「農業をやってみようプログラム」の中で検討を進めているところでございます。
次に、販路の確保とインターネットをも視野に入れた販売戦略についてでございますが、多様化する流通チャンネルに対応し、中核農家を中心に、新たにインターネットを活用した販売対応への取り組みも見られつつあります。一方、県といたしましては、農家ホームページの立ち上げに加え、首都圏でのアンテナショップやふるさと和歌山わいわい市場への参加を呼びかけるとともに、生産流通販売に果たす役割の大きい農協におきましても、パソコンの使い方や携帯電話での売り立て情報の提供等、IT利用技術の活用に取り組まれてきてございます。
今後、県におきましても、売り場を持たないファーマーズマーケットとでも言うべきインターネット上の販売サイトの立ち上げ、また新たな就農者や高齢農家などを含めた農家ネットワークの連携への支援など、多様化する販売環境の変化に積極的に対応してまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 介護予防・地域支え合い事業についてお答えいたします。
住民の自主グループまたサロン活動育成支援についてでございますが、議員ご指摘のとおり、介護保険に基づく要介護老人対策とともに、残りの八割以上を占める比較的元気な高齢者ができるだけ自宅で元気に安心して暮らしていけることができるよう、介護予防、生きがいを支援するための元気老人対策が重要であると認識しております。
こうした中、県も介護予防に資する活動を行うボランティアなどの地域住民を支援する市町村に対し、介護予防・地域支え合い事業の一環として地域住民グループ支援事業への補助を行っております。こうした財政的な支援に加え、ボランティアや地域住民による取り組みをより一層推進し、活動を育成するため、先進的事例や取り組み、ノウハウ等を提供するとともに、技術的な支援にも努めてまいります。
次に高齢者の筋力向上トレーニングについてでございますが、県内では平成十四年度から湯浅町が先駆的に筋力向上トレーニングを実施しており、現在約百名の方が参加されていると聞いております。
高齢者向けのトレーニング機器を使用しての包括的な筋力向上トレーニングは、運動機能の向上を図り、介護予防や介護度の改善の効果が期待されるところであります。このため、今年度から介護予防・地域支え合い事業の中で、高齢者筋力向上トレーニング事業に対する補助制度を設けております。
今後、県が先頭に立って市町村に運動プログラムのノウハウを提供するなど、県内各市町村において普及されるよう推進してまいります。
以上です。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
十三番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 要望を申し上げておきたいと思うんです。
農業関係で、今、知事のお話の中で紀伊国屋の話が出ました。実は、私のおやじも桃を荒川でつくっていまして、その桃が紀伊国屋で売ったら何と一つが千円。「紀伊国屋」という名前がついただけで千円になる。ところが、出荷しておる方は一キロ何ぼです。そういうふうなブランドをやっぱりつくらないかん、いいものの中からまたいいものを選ぶということであろうと思うんですが、本当に千円で売れる桃というのは一農家で何個できるかなというふうな思いでございますが、和歌山ブランドを広く全国に──和歌山のもんやったら間違いないというようなことでこれからも売り出していただきたい。
また橋本市でも、現在ファーマーズマーケットを建設中でございまして、この秋にはオープンするとも聞いております。ひとつ温かいご支援、お願いしたいと思います。
福祉の関係で、ひだまりの家に関して少し質問──質問というよりも要望しておきます。
今、部長の答弁では、福祉の事業として補助して支援しておると、こういうお話でございます。実は、きのうあそこのボランティアの方の家へ行って、いろいろ聞いてきました。そしたら、三十人のお年寄りが集まってするたびに一回五千円の補助があるらしいです。一人、違いまっせ。三十人で五千円。それで、国から二分の一──二千五百円やな──それで県がその残りの二分の一の半分ということから四分の一、千二百五十円、橋本市が千二百五十円。これ、三十で割ったら四十一円や。これを支援と言えるんかどうか、私は疑問に思っております。
以上です。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
【日程第三 議案の付託】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第三、議案の付託について申し上げます。
ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
【日程第四 請願付託の件】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
お諮りいたします。六月二十六日、二十七日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、六月二十六日、二十七日は休会とすることに決定いたしました。
なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
次会は、六月三十日定刻より再開いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後一時三十八分散会