平成15年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十七番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 今回、私は、質問の項目はほとんど具体的に、課題を県行政と私たち県民が力を合わせてどのように実現していったらいいかなということを主体的に発言させていただきたいと思います。
 最初に、県の基幹産業である農業、林業を発展させるため、私から提言したいと思います。
 まず最初に、一番目の農業経営を持続的に発展させるためにということでございますが、そのうちでとりわけ二点についてお聞きしたいと思います。
 一つは、農業生産資材価格の引き下げの指導についてですが、農業経営を維持していくためには生産コストを下げる以外に道はありません。デフレ経済や需給の緩和、輸入品との競合などにより農産物価格は下がる一方の中で生産者の所得を確保していくためには、生産コストの大きな役割を占める資材費の低減が不可欠であります。
 ちょっと皆さんに資料を配る時間がなかったんですが、まず知事にこの表を見ていただいて──済みません、失礼します。(資料を渡す)
 こういう表にしているんですけども(資料を示す)、上の黒いのが生産資材の価格です。赤いのが農産物価格指数ですが、これを見ていただくと、農業生産資材価格指数は低減率は非常に低くて案外横ばい状態の価格をしていると。それに比べて農業生産物価格指数は──この赤ですが──急激に農産物の価格が、先ほど言いましたように低下している、下がっているという状況を示しています。本来、この相関関係が、農業の交易条件指数としてこの青色が黒と赤の間へ入らないと平均的な価格安定ということにはならないわけですが、余りにも農産物価格が低過ぎて、そのために農産物資材が案外下がらない、それに並行して下がらないという矛盾を今抱えております。それをあらわした統計であります。
 そこで私は、日本の生産資材の小売価格、つまり農家が購入する価格でありますが、その原価構成は、肥料では製造原価が六割、残りの四割が販売手数料や物流経費──包装費とか荷づくり費を含んで──となっております。これらの資材の流通経路を見ると、供給は農協系統と商系の複数ルートで行われているものの、肥料の九割、農業薬剤の七割が農協を通じて農家に供給されているのが実情です。農家の経営を維持していく上で今メスを入れ改善すべきなのは、生産資材コストを低減させることです。
 国の指導は、平成八年に策定した農業生産資材費低減のための行動計画を今回さらに充実させるため、平成十三年六月に改定し、製造・流通の関係団体及び都道府県にも行動計画を策定することを指示し、その計画に即して毎年度、自己点検、評価を行い、その結果を農業生産資材問題検討会に報告し、計画の実施状況を検証、確認することとしています。また平成十四年七月には、全農が策定した生産資材コスト削減の取り組みについての中では、生産資材コスト最大二〇%削減を実践すると明記されています。
 しかし、肥料等の価格は、低減するどころか、上昇しているのが現状であります。県は、国から指導のあった行動計画により、農家の実態、農協系統の改革の取り組みの実態をどのように把握し、改善のための取り組みがなされているのか、農林水産部長のご見解をお尋ねします。
 次に二つ目ですが、梅の生産と園地拡大の考え方についてであります。
 ことしの梅の生産量は、ご存じのとおり、平年の六〇%の状況であります。日本一の紀州梅ブランドを守るには大変厳しい状況です。自然災害、生育不良、樹木の老木化、土壌の弱体化等の影響、しかも農家の高齢化により急傾斜の園地の課題もあって、生産量を維持することは大変厳しい状況です。市場を初め加工業者は、紀州梅は一定確保する必要があります。県内の梅の栽培面積は、平成十一年から十四年を見て約三百ヘクタール増加しているにもかかわらず、生産量は横ばいでございます。今後の梅の生産量と樹園地拡大、とりわけ良好な営農条件を備えた農地の確保について、あわせて農林水産部長の考えをお尋ねします。
 農業後継者の育成支援については、いろいろと要望したいわけですが、当局のいろんな形での努力をお願いしたい。とりわけ、新規就農者の実情、農業後継者を育てることの難しさ、子供たちが農業に親しめる状況。リタイヤ組でもまだ若い。この人たちの農業へ向かえる条件。知事が言う都市と農村、いわゆるスローライフと言っていますが、そこへの着目。しかし、いずれにしても、農業で生活をするということは大変な苦労と厳しさがあります。和歌山県の基幹産業である農業。それを支えるのは園地ではありますが、しかし、人材確保がまず優先されなければなりません。そういう意味で、農業後継者を育成するための努力を要望しておきたいと思います。
 次に、有機性資源を活用した環境保全型農業の取り組みについてお聞きします。
 農業生産活動と環境問題と、密接な関係を持っています。例えば、一つの側面から見て、農業生産での化学肥料、資材の多くの投入、大量消費化がエネルギー消費量を増加させ、農業分野からの二酸化炭素の排出量は他の分野に比べて少ないとは言えません。二つ目の側面は、食品の安全から見た農業生産のあり方の中での減農薬と有機資源を活用したエコファームが求められています。
 私は、地球環境と農業、食糧を展望したとき、農業立県和歌山として環境保全型農業の取り組みが今求められていると思います。県下の有機資源を活用した循環型農業を展開するため、エコファームモデル地区を設定してはどうでしょうか。また、有機性資源を活用した堆肥づくり等への支援とその販路についても農協とも協力して進める必要があると考えます。積極的な取り組みを求めますが、いかがでしょうか。
 私は、梅を例にとれば、剪定した枝、梅を漬けた梅酢、梅肉にして出た梅の種、加工場での調味液、加工での終末処理で発生する汚泥、これらの系統的な処理方法の開発と県下の畜産ふん尿、食品残渣並びに林業チップをうまく融合したシステムづくりを進めてはいかがでしょうか、農林水産部長にお尋ねいたします。
 次に、平成十六年度オープンが予定されるうめ研究センターについてお伺いします。
 一つは、日本一の梅の産地におけるうめ研究センターのコンセプトをお聞きします。
 二つは、研究課題は、梅の立ち枯れの原因究明の中で、日本一の梅産地でありながら梅の樹木の生理・生態の研究がなされておらず、梅について県研究機関及び大学機関は未知の状況であったことから、研究センターの研究テーマはどうなるのでしょうか。
 三つ目は、うめ研究センターの人的体制についてでありますが、うめ研究センターは研究のための研究センターではなく、地域にも開かれた研究センターであるためには、梅農家の現場における生産技術が研究に反映されるものでなければいけません。そこで、一つは、研究センターは農林水産総合技術センター、暖地園芸センターにおける梅の研究分野だけを集約するのでしょうか。南部川村うめ21研究センターの研究も集約することを考えているのでしょうか、お聞きしたいと思います。
 二つ目は、大学との提携であります。これはテーマごとに産学共同研究を行うということは今でも進められておりますが、研究センターと大学とが一体になった研究機関としてどう今後されていくのか。ぜひ私はしてほしいという要望でありますが、それについての見解をお聞きしたい。
 三つ目は、現場の声を直接反映させるために農協の技術員をスタッフとして参加させ、時には梅農家の中で技術的に高度な研究を行っている人をオブザーバーとして参加させてはいかがでしょう。農林水産部長の所見をお聞かせください。
 次に、緑の雇用事業を踏まえた林業活性化についてお聞きします。
 緑の雇用事業の果たしている役割は、森林を守る、雇用拡大を図る、地球温暖化防止に貢献する、この成果を踏まえ、また県は国に対して地球温暖化対策及び平成十六年度予算に関する政策を提案されています。私は、その中の物、木材利用と林業活性化をとらえて、県の政策実施と県民とが一体となる市民型公共事業の一つとして提言したいと思います。
 緑の雇用事業の推進とは裏腹に、現実は林業経営は大変厳しい状況にあります。国内の住宅着工戸数を初め県下の住宅着工戸数は減少しているのが実態でありますし、また住宅需要木材のうち、今までは外材七対内地材三の割合が最近は外材八対内地材二という大変厳しい状況で、内地材の杉、ヒノキは苦戦をしています。その影響で、和歌山県の製材工場は、平成十年二百四十九工場あったのが平成十四年には百九十六工場と五十三工場も減少しております。しかも、前年度の十三年と比べて見ても、一年で何と十四もの工場が減少しているのが実態であります。
 和歌山県の産業活性化として、農業はもちろん林業を大きな基幹産業として位置づけることは、県土の七七%を占める森林を生かし、緑の雇用事業と林業活性化が川上と川下の流れの一つとしてとらえれば、和歌山県の活力と雇用が生まれることと思います。
 そこで、私は、紀州・木の国を復元させるため、県下どの町に行っても木の香りとぬくもりのある建物、モニュメント、紀州材を存分に使った店に出会える「木の文化の街づくり」を県民運動として展開させてはどうかということを提言したいと思います。
 そのために、一つは、県、市町村、設計士、工務店関係者、県民有志でもっての「木の文化の街づくり協議会」を振興局単位で立ち上げることを提唱したいと思います。私は、この運動は必ず実ると思います。なぜなら、今地域でも、木のよさ、木の家づくりに、少数であっても運動を続ける人たちの活動が少しずつであっても広がり、実現しているからです。
 二つは、公共が率先するために、知事もたびたび申しているように、公共施設、公共事業に紀州材を活用することを公共工事の入札仕様書に明記し、公がその先頭に立って物を見せて県民に理解を広める活動は欠かせないでしょう。例えば、私は、県庁、県の関連施設、市町村施設の床が杉板で敷かれているとしたら、文化施設、道の駅、公衆トイレ、土産物店、駅の構内、スーパー・量販店の一部のコーナーに紀州材内装によるスペースが生まれたとしたら、県民は日常の生活の中で紀州材の木の香り、ぬくもりに直接触れ、感じることで、木への認識と愛着が生まれ、木造個人住宅への普及につながると信じます。県が主体となって進めている緑の雇用事業の一環として、私は県と県民が一体となった市民型公共事業として林業を活性化する上での提言であります。知事の所見を聞かしてください。
 次に、県の示す公共事業における県産品活用についてですが、私はこれまで議会において公共事業に県産品の活用を、とりわけ紀州材、間伐材、エコリサイクル商品を積極的に活用されるよう要望してきました。しかし現実は、公共工事における県産品の活用について、県、市町村担当者にはまだ十分なその認識が薄いこと、また公共の指名業者さんにしても、落札しても県産品活用についてほとんどその必要性の認識がないことを見たとき、県当局の示す公共事業における県産品活用の県下的な取り組みはよほどの姿勢で臨む必要があります。
 そこで私は、公共工事共通仕様書に明記することはもちろん、これら県産品、紀州材、間伐材、エコリサイクル商品活用を数値目標を示すべきだと考えますが、県土整備部長にお尋ねいたします。
 次に、東南海・南海地震対策での県民の生命を守る避難路、避難地の確保が今急がれ、既に県下の各地で地域住民が主体となって積極的に進められております。しかし、地域住民が主体となり市町村も協力して進めようとしても、そこには限界があります。市町村単独による支援策にも無理があります。県当局においては、津波対策の県民の生命を守るという最大の責任を果たすこと、これは県にとって財政的に大きな負担というものではありません。県として、市町村と協力して、地域住民の自主的、積極的取り組みへの支援のための制度をぜひつくっていただきたいと思いますが、総務部長にお伺いしたいと思います。
 最後に、外郭団体(特殊法人、財団法人)の債務と県の責任について見解をお尋ねします。
 まず、土地開発公社のコスモパーク加太事業に係る債務処理についてお伺いします。
 土地開発公社に対し金融機関は四百三十八億円を貸し付けし、今になって土地開発公社の実施した事業は県に責任があるとして、県に債務の保証を求めています。私は、金融機関が土地開発公社に貸し付けする場合、銀行のイロハである県の債務保証をとらないでどうして貸し付けたのか。全国四十七都道府県で唯一、債務負担行為をしていないのは和歌山県だけです。銀行の考えが私ども議員には知らされていません。本来なら、総務委員会なり議会が特別委員会を組織して、金融機関を参考人招致をしてその真意、経過をただすのが筋かもしれませんが、議会として金融機関の見解がいまだにただされていない状況であります。
 私は、金融機関が土地開発公社と県を一体とみなしているとしたら、一つ理解できるのは、県は公有地の拡大の推進に関する法律に基づき土地開発公社に県の政策事業を指導し、その事業の予算、決算にかかわっていることは県の外郭団体の特殊法人として当然だと思います。これを理由に金融機関は、金銭の貸し借りの保証責任、金銭貸借を保証する契約書つまり約束文書がなくともそれは県が必然的に債務保証されるものだと規定されることには、いささか商売をしている金融機関としてはいかがなものでしょうか。まさに貸し付けのイロハの手順と手法をしなかった責任を、政策事業の一体を見て債務保証が当然とする考えには、私も県民も納得するものではありません。
 金融機関は、特殊法人である土地開発公社に、必ず本来、県の債務保証を取りつけるのが当たり前のことです。債務保証を取りつけるということは、県は県当局が独断で金融機関にはいはいと印鑑を押せない。そのために、県当局は議会に債務負担行為の承認をもらって、土地開発公社の事業、予算、決算に対して公社の独善、県行政の独善を進めないための議会、つまり県民の意見、監視、監督があって民主的、公平な事業が執行できるのです。
 今回、金融機関は土地開発公社に対し、県の債務保証もとらない。土地開発公社は県に対して債務負担行為を求めなかったことは、土地開発公社のコスモパーク加太事業は、私から言わせれば、土地開発公社の独善、それを認めて貸し付けた金融機関の責任を明確にすべきであると考えます。私はこのようなことから、基本的には現段階では債務保証はすべきでないという考えであります。
 このように、いかにバブルという時代の背景、開発事業としてのコスモパーク加太事業であるとしても、議会と県民を無視した形での金融機関と土地開発公社との責任で金の貸し借りをした安易な結果を、今になって県つまり県民にその債務の保証を求めることはいかがでしょうか。
 以上の立場から次の五点について質問しますので、知事の見解をお聞きします。
 第一点は、和歌山県は、政策事業との関連があるとしても、公社は特殊法人として登記された法人、一会社ですが、土地開発公社との関係、その責任について県当局はどうとらえているのでしょうか。
 第二点、金融機関は銀行のイロハである県の債務保証をとらないでなぜ貸し付けをしたのか、そのことを県は銀行の言い分をどうとらえているのか。
 第三点は、債務保証をとらないで貸し付けた銀行の貸し手責任はないのか、県の考えをお聞きします。
 第四点は、県と金融機関との話し合いが平行線をたどれば、法的処理として第三者機関にゆだねる方が相手の考えが情報開示され公平な判断になると思うが、どうか。
 第五点は、県は土地開発公社に貸し付けしている百五億円に対してどう対応・処理されるのか。
 以上、知事のご見解をお尋ねします。
 それに関連して、財団法人グリーンピア南紀の債務処理についてもお伺いします。
 県当局は民事調停を受け入れ、債務の七〇%の一億三千六百三十六万七千二百二十一円を負担することの同意を求める議案が今議会に提出されています。私は、土地開発公社の金額が大きいから問題で、グリーンピア南紀はそれより少額だからという問題でなく、県の基本的な考えと県の債務処理方針を明確にする上での質問でございます。
 私は、基本的には財団と県とは全くの別組織であると考えます。そこで、債務におけるその責任は、県の出資範囲内の負担を超えることがよいのかどうか、疑問を感じる一人であります。破産処理から民事調停へと変わりましたが、県は民事調停をした理由として、従業員給与・退職金、地元納入業者等の支払いについて挙げられ、調停に踏み切ったとされています。
 そこで、以下の三点について知事にお尋ねいたします。
 第一点は、民事調停の理由とした従業員給与・退職金、地元納入業者等への支払いの責任は他の手法で救済する道を選択しなかったのか。
 第二点は、民事調停の結果は行政が一〇〇%負担する調停です。民事調停は、裁判所という名で公平のように聞こえますが、私は法的信頼度から言えば調停は公平かという疑問を感じ、どちらか一方が折れたからという妥協の産物であると考えております。
 第三点、民事調停の結果の中に、貸し手である銀行の貸し手責任についてはどう調停の中で論議されたのか、責任を問われなかったのか、お聞きします。
 次に、財団法人等の債務処理との関係で、私は県が今後、今言いましたように財団法人等の具体的な方針をきちっと決める必要の事例として財団法人和歌山県勤労者福祉協会のいこいの村わかやまは国の意向を受けて譲渡されることになっていますが、いこいの村わかやまの抱えている六千九百万円の債務についてどう処理をされていくのか県の方針が決まっているのか、商工労働部長にお尋ねします。
 これで、第一回目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(吉井和視君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 緑の雇用を踏まえた林業の活性化でございますが、ご質問の中にありました「木の文化の街づくり運動」というのは、非常に私はいい提言だろうというふうに思っております。これからの時代は、一部の人はファーストライフというか、速い生活をしないといけませんけど、またスローライフということも非常に重要になってくるので、そういうふうな中でいやしを与える木を使った、公共事業もそうですし、それから例えば学校の建物なども、午前中の質問の中で学校が荒れているというような質問がありましたけども、木の中で勉強するような形になればそういうのも幾分は直ってくるようなところもあるんじゃないかというようなことも思うわけでございます。
 これはいろいろ問題があるわけですけども、初めに言いましたように、緑の雇用事業もいつまでも税金だけで人を雇っていくというふうな仕組みというふうなことでは永続性がないわけで、やはり出口のところで木を使っていく、それも何か義務的に使っていくというような感じじゃなくて、その本当のよさに着目して使っていくというふうなことを、これは当然のことながら民間主導にはなってくるわけですけども、県としてもいろんな形で支援していくというふうなことを考えていきたいというふうに思っております。
 次に、外郭団体の債務と県の責任の考え方についてのご質問でございます。
 まず、ご質問にお答えする前提といたしまして、実は私も旧自治省にいたときに、この第三セクターとか土地開発公社の担当をしていたことがございまして、そのときに通達を出したことがあるんですけども、そのときに初めて第三セクターと自治体とは区分して考えないといかんというあれを出しましたら、それがもう非常に大きな影響を及ぼして大変なことになったという経験があるんです。これが大体五、六年前ぐらいだと思います。
 どんどんこの第三セクターと自治体との関係というものの考え方というのは状況が厳しくなるにつれて変わってきていて、今も動いているというのが本当のところでございます。今年の年末をめどに総務省の方で法的処理を前提とした債務の処理というふうなことを第三セクターについて考えていくようにというような通達を研究しているということが示されておりますけれども、とにかくこの問題については、今までこの日本の国の変化の中で未知のゾーンというか、新しい、判例もなければ先例もないというふうな状況の中で起こっていることであると。そしてまた、その中で県も、そして金融機関も、非常に苦しみながら対応策を模索しているというところなわけでございます。
 そういう中で、コスモパーク加太における県と土地開発公社の関係でございますが、法律上は県と土地開発公社は別の組織であることは言うまでもございませんけれども、公拡法に基づき県が一〇〇%出資している法人であり、事業計画並びに決算の状況についても議会へ報告させていただいているなど、県との関係が極めて密接な団体でございます。土地開発公社、住宅供給公社、そして道路公社の三つが法定三公社ということであるわけでございますけれども、そういうふうな状況にあると。
 次に、金融機関の言い分でございますけれども、金融機関の方からは県と公社は一体であるということで、現在、県の保証が求められているわけでございまして、当時の経済情勢にあっては、コスモパーク加太事業の借入金については県の保証なしに融資が行われたものと考えられ、またその後の借りかえに当たっても県の保証が絶対要件として求められないまま現在に至ったものであると考えているところでございます。
 次に、金融機関の問題につきましては、金融機関にも一定の責任があるものと考えられ、そういった観点のもと、県民の利益を損なわないように、金融機関と鋭意交渉を行っているところでございます。
 また、法的整理として第三者機関にゆだねるとのことでございますけども、現在あくまでも金融機関とお互いの合意のもとに借りかえをいたすべく大詰めの交渉を行っている最中であり、あくまでも交渉により決着を図りたいというふうに考えております。仮に交渉が合意に至らず、六月末の償還期限を迎えた場合には、いろいろな手法も視野に入れ、引き続き交渉を行っていかざるを得ないと考えております。
 なお、県からの貸付金につきましては、現時点では金融機関からの借入金をまず第一に協議しているところでございまして、今後、県からの貸付金については公社の再建の中で検討していきたいと、このように思っております。
 次に、グリーンピア南紀で民事調停による債務保証をしたのはなぜかということでございますけれども、これも最初に申し上げましたような背景がございまして、県の方からグリーンピア南紀へお金を貸してほしいというふうな働きかけがあったことはこれは間違いない事実でございます。そういう中で金融機関が県との関係においてお金を貸してきたというふうな事実があるわけですけども、しかしながら、こういうふうなことをただ単に相対の中で決めていくというふうなことの状況ではもうないということの判断のもとで民事調停を選択したというわけでございます。
 この民事調停は、当然のことながら裁判官を含む調停委員のもとに公平で専門的な意見を聞きながら判断されるものであるということで、これは私は具体的、客観的に妥当であると。これをだめだという話になってくると、もうこれはよりどころがだんだんなくなってきますので、このこと自身はいいと思っております。
 そして、またその中で私どもは当然のことながら、調停に入ったわけですから、県としての立場も言わないといかんということで、法人格が違うということの中で金融機関も一定の負担をすべきであるという主張は当然のことながら行いました。しかしながら、調停委員会としては、借り入れはこのグリーンピア南紀運営のためのものであることを背景に、財団の設立経緯、事業の内容等から公平な立場で今回のような客観的な判断をされたというふうに理解して、これを受けることにしたということでございます。
○副議長(吉井和視君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 農業、林業の基幹産業を発展させるためについてお答えいたします。
 まず、農業経営を持続的に発展させるための農業生産資材価格の引き下げについてでございますが、生産者の所得を確保していくためには、経費の低減、特に生産資材費の低減が不可欠であると考えてございます。このため、議員お話しのとおり、関係団体及び都道府県において農業生産資材費低減のための行動計画を策定し、本県では県農業協同組合連合会などと構成する農業生産資材費低減対策促進会議を開催し、行動計画の進捗状況や農業生産資材の効率的利用などについて検討を行ってございます。また、昨年度百五十四戸の農家を対象に農薬や肥料など経営費調査を行った結果、生産資材費は以前と比べて大きな変化がない状況でございますが、農産物価格の低迷が続いている中、業界、農業団体、行政関係者が一体となって農業生産資材費の低減に努めていきたいと考えてございます。
 なお、全国農業協同組合連合会が策定した生産資材コスト低減の取り組みについては、本県では予約大口購入の割引などに取り組んでいる農協もございます。
 次に、梅の生産と園地拡大の考え方についてでございます。
 県といたしましては、暖地園芸センターを中心とした高位安定生産技術の向上などの試験研究に一層力を注ぐとともに、老木園や生育不良園の計画的改植による若返りや急傾斜地園のフラット化による省力・低コスト化並びに栽培面積の拡大などにより生産力の維持・拡大に努め、日本一の座を守ってまいりたいと考えてございます。
 次に、有機性資源を活用した環境保全型農業の取り組みについてでございますが、農業の持続的な発展と循環型社会の実現を図るため、有機物施用による土づくりを基本とした環境保全型農業を推進することが大変重要であると認識してございます。このため、県では、地域で発生する家畜排せつ物や木くずなど、有機性資源の実態把握とその堆肥化等、循環利用システムの確立を目指した有機性資源循環利用推進マスタープランを策定するとともに、環境に優しい農業を実践するエコファーマーの認定などを推進しているところでございます。
 しかしながら、地域で発生する有機性資源は多種多様で、その堆肥化には住民の理解と協力、製造コストや品質面等、克服すべき課題も多く、また生産現場では農家の高齢化や傾斜園地での散布労力の負担などの問題から堆肥の利用が進まない状況にあります。
 県といたしましては、農林水産総合技術センターにおける散布しやすい堆肥の開発や堆肥散布請負組織の育成など、ソフト面での取り組みを推進するとともに、堆肥製造施設や堆肥散布機の導入など、ハード面での施設整備についても国の関連事業等の活用を図るなど、関係機関、生産者団体等と一体となって意欲ある農業者への支援に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、うめ研究センターについてでございますが、「地域に根差し、地域に開かれ、地域とともに歩む梅専門研究所」をコンセプトとして地域に根差した効果的な試験研究を実施してまいりたいと考えてございます。研究テーマにつきましては、梅産業の持続的な振興を図るため、生育不良の原因究明、環境制御温室等を利用した生理・生態特性の解明、適正な土壌管理技術の開発、優良台木の選抜と大量増殖技術の開発などを基本に、現場に即応した研究課題にも幅広く取り組むこととしてございます。
 なお、現在、梅の研究は暖地園芸センターのうめ部が行っておりますが、うめ研究所(仮称)の設置に伴い、うめ部をうめ研究所へ移管し、梅振興に取り組むこととしてございます。
 また、産官学が連携して取り組むことは幅広く効率的に研究を進めていく上で必要なことと考えますので、これを機会に国の研究機関並びに大学等との連携をより密にした取り組みを行ってまいりたいと考えてございます。
 さらに、農業改良普及センターを通じて梅生産農家の現地情報の収集を図るとともに、地元の自治体やJAなどの関係機関との連携をより一層深め、地域に貢献する梅の研究機関としてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○県土整備部長(大山耕二君) 公共事業における県産品活用についてのご質問にお答えいたします。
 公共事業は県経済において大きな部分を占めておりまして、公共事業において県産品を活用していくことは、県内の景気や雇用の維持方策の一つとして重要であります。そのため、多少のコスト増があっても県産品の優先利用に努めることとし、各建設部ごとに数値目標を設定してそのフォローアップを実施しているところであります。
 今年度からは、なお一層の活用を図るため、公共事業における県産品活用ステップアッププロジェクトとして共通仕様書に県産品の優先使用を明記しております。また、新製品や新工法を開発するためにパイロット工事を実施し、その成果をホームページで県内企業に広くPRすることとしております。
 今後とも、職員の一層の意識改革を進め、公共事業における県産品の活用に努めてまいります。
○副議長(吉井和視君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 東南海・南海地震対策についてでございますが、議員ご指摘のように、地震による津波等から生命を守るためには速やかな避難行動が重要でありまして、避難路、避難場所の確保が必要です。
 県では、これまでに津波避難計画策定指針を策定し、沿岸市町に対し地域ごとの津波避難計画の作成を住民参加方式で行うようにお願いしておりまして、この計画の作成過程や毎年実施する津波避難訓練を通じまして、避難路、避難場所に関する課題も抽出されるものと考えてございます。
 避難路等の整備について、最近、県内の自主防災組織が独自に取り組む例が見られるところでございまして、そのことは自助、共助の観点からも好ましいものと考えておりますが、課題解決に向けては、地域住民、市町、県、国それぞれが役割分担に応じて取り組む必要があり、沿岸市町でまず出てきた課題を早急に整理いただくようお願いしているところです。
 避難路等の整備に対する支援策につきましては、現行制度でも国、県、市町村それぞれの立場から一定の支援制度を有しておりますが、さらなる充実を目指し、先般、国に対し地方財政措置の拡充や地方の実情に応じた工夫が生かされるメニューの創設などを内容とする新たな支援制度の創設を提案したところです。
 今後とも、議員のご提案の趣旨も踏まえ、市町村と協力してさまざまな工夫を凝らしながら避難路、避難場所の確保に取り組む所存でございます。
○副議長(吉井和視君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 外郭団体の関係で、勤労福祉協会の答弁を行います。
 財団法人和歌山県勤労福祉協会は、いこいの村わかやま、プラザホープ、労働センターの三施設を管理運営し、経理についてはそれぞれ区分しておりますが、決算は協会一本で行っております。
 そのうち、議員ご指摘のいこいの村につきましては、平成十四年度の決算で約六千九百万円の累積欠損がございますが、これにつきましては財団全体の積立金等で対応できることから、勤労福祉協会の債務はございません。しかし、現在、地元すさみ町と施設の譲渡時期等について協議中ですが、譲渡時点でいこいの村の会計に欠損が発生した場合の方針は決まっておりませんが、まず財団において最大限解消するよう指導してまいります。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十七番原 日出夫君。
○原 日出夫君 久々に再質問させていただきます。
 一つ要望ですが、生産資材価格を現場で行政が第三者の協力を得ながら実態をつかみ、その改善に積極的に努力していただくことを要望します。これがただ組織的に会議を開いて終わりというのではなくて、いわゆる資材の低減をできるよう具体的な取り組みをお願いしたい。
 次に、県内の有機性資源を活用した和歌山県の環境保全型農業のモデルをぜひ構築していただきたいと願っているわけですが、バイオマス堆肥を初めリサイクル消費にするとか、エネルギーに転化することが今国ではバイオマス総合戦略として位置づけられております。そういう意味では、その中の農業分野、林業分野での果たす役割は非常に大きいと思いますので、農業立県として積極的にその取り組みをお願いしたいと思います。私自身も堆肥づくりに取り組んでいるんですが、行政と民間、農協が一体となって進める必要を痛感しております。積極的な取り組みを期待したいと思います。
 次に、うめ研究センターについて答弁ございました。私の提案は、研究センターへ各試験場の梅の研究について集約されることを提言したわけであります。特に、先ほどの答弁では暖地園芸センターのうめ部を持ってくると。でなくて、各種試験場でやっている試験をここに集約することの方が合理的であるし、非常に簡素化できるんではないかと思っているんですが、そのことをぜひやっていただきたい。
 また、農業技術員について連携してほしいと言うたのは、ただ絶えず連携しながらやっていくというのではありません。研究センターのスタッフとして、農業技術員をJAから派遣してもらったらどうなということなんですよ。そうしたら、農業技術員は、JAさんからの派遣です。だから人件費は向こうが持つと。県は持たないと。したがって、そのスタッフを入れて共同で、一番現場でよくわかっていて技術を一応つかんでいる人を派遣してもらったらどうなと。そういう意味では、スタッフの体制は充実するし、コスト的にも非常に安くつくと──安くと言うたら怒られるけど、そういうことでひとつJAのご協力をいただくと、こういうことをひとつやってほしいというのが私の要望であります。
 もう一つは、林業活性化と「木の文化の街づくり県民運動」ですけど、一つのイベントでいつも終わっているのがちょっと気になっていたものですから。やっぱり私自身も、この木の香りとかにおいというのは、本当に関心を持ち出したのは四年前ぐらいです。自分の家も改造して、もう全く杉、上下、横、天井も全部杉の木にしたんですけど、そういう形でやった中で、そのよさを痛感しております。そういう意味で、みずから率先垂範してやろうとしているんですけど、なかなか今の大手住宅メーカーに太刀打ちするにはまだ微力です。
 そういう意味では、継続して進める運動、そして組織化。そして二つは、県民が日常的にいろんな場所で、先ほど提言していましたように、紀州材のよさを知る、触れるという、このことをやっていただけたらなと。例えば、県が三分の一──そういうちょっと四畳半程度の量販店のコーナーの中に、例えばあるテナントの店が床も壁も紀州材であると。その費用については県が三分の一持ちましょう、それに関係する市町村が三分の一持ちましょう、受益者が三分の一持って、ほん小さなコーナーを協力して続けていくことの積み重ねの方が大事じゃないかなっていうのは最近感じているんですけど、このことも提言しておきたいと思います。
 次に、県と土地開発公社についての関係の債務負担の問題ですけど、県と土地開発公社は公拡法に基づき一〇〇%出資の関係であることは承知し、理解しております。私は、一つは、金融機関はお金を融資する場合、民間に対してであれ公共であれ、リスクを負うことを前提に、そのリスクを少なくするためにまず相手から利子を取り、連帯保証人をとって貸し付けするのが当たり前であります。そういった意味で、土地開発公社は、加太開発事業での借入金に対する金融機関への支払い金額が──その利子についてですが──昭和五十一年から平成十四年度の間で既に二百一億三千五百万を支払っております。完璧に銀行の商売に応じてちゃんと払っております。そういう意味であります。
 二つ目は、リスクの保証としての連帯保証人、つまり県の債務保証ですけども、そのリスクは金融機関が負うのが当然だと思いますが、それをしないで貸し続けてきたと。貸し続けてきたというのは後でまた述べますが、このことの責任は知事どうでしょうか。やっぱりそこをきちっとしておかないと、僕はこの問題解決につながっていかないと。知事答弁ありましたように、一〇〇%出資の土地公社とは密接な関係であると言っていますが、私は金銭の貸借関係まで密接な責任を負う関係はないと考えるわけであります。なぜなら、知事、何のために債務負担行為の制度があるんでしょうか。特殊法人と県との関係は、一〇〇%出資であれ、県の幹部が特殊法人の理事役員であっても、金銭については関係ないからこそ、必要な金銭の貸借については債務負担行為ということで縛りをつけられているのであります。そういう意味で、これをしなかった銀行の責任、開発公社の責任は問われると思うんですが、いかがなものでしょう。
 ところが、金融機関は当初から、先ほど述べましたように、バブルがはじけてからも現在に至っても債務保証を求めないでいるのは、県の債務保証を必要としないということだと私は理解していいと思いますが、知事、どうでしょうか。その事例は──私は当局から資料をもらったんですが、加太開発事業における六の各金融関係の年度別貸付額とレートをもらっているんですけど、K銀行は平成七年、八年、九年と三億四千百万円を土地開発公社に貸し付けていましたが、債務保証を求めたが得られず、返済を求め、それが平成十年に返済されてあると、こういう形でなっております。こういうことが、裏づければ、逆の発想ですけど、実際に一銀行、K銀行がそういうことできしっとしてきたと。そうしたら県は債務保証しないでもう返しますよと返した。三億四千百万円。
 ところが、他の五つの金融機関はこのことをしないで、バブルがはじけていてもなおかつ、経営が非常に厳しい中でも貸し続けてきたというその責任は通らないのでしょうか。私はこのことは納得できません。だから、このことから見ても、県が金融機関に債務保証をすることの理由は何一つ見当たらないわけであります。見当たるのはただ一つ、温情的な道義以外にありません。県民が一人当たり五万円も負担し、県が貸し付けた額を入れたら五百億を超える額が、少なくとも温情的、道義的責任で返済をする、債務保証をしていくということになったら、県民は納得しないでしょうし、私も納得しません。そういう意味で、再度、知事のご見解をお聞きしたいと思います。
 それから、グリーンピア南紀の関係ですが、簡単に言えば、民事調停は事由にかない、事情に即した解決であった、したがって同意したと、具体的、客観的、妥当であるとしたと、こういうふうに言っておられます。ただ、私は、具体的、客観的に妥当と言えるのですかという問題でありますが、民事調停の結果は一〇〇%行政負担ということで、県が折れたということでの調停妥結であります。民事調停というのは、そういうこともありましょう。二を半分ずつ分け合おうかとか、三対七にしましょう、八対二にしましょうとか、民事調停はそれはあります。しかし、今回の場合は一〇〇%行政責任における民事調停であります。これは民事調停と言えるんでしょうか。結果は民事調停でありますが、一方的に県が一〇〇%負担における折れ合いです。痛みを感じたのは行政だけであります。県と町との割合での負担で調停が終わったと。こういうふうに民事調停が一方的に行政の痛み分けに合意したことは、私は納得できるものではありません。
 県は、答弁でも言っているように、県と財団法人では法人格も違うことから金融機関に対しても一定の理解を求めたとしていますが、その姿勢を一貫して貫かないで、民事調停における結果がなっていないんではないかというふうに思うわけであります。本来──私は幾つかの民事調停にもかかわってきたことがありますが、こういうふうに一方が一〇〇%折れて調停をしたというのはほん数例、判例を見ても数例であります。そういう意味でも、非常にこの部分では疑問を持ちながらおるわけですが、これはまあ私からの疑問符として問題提起しておきます。
 済みません。終わります。
○副議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの土地開発公社の問題についての再質問ですけども、これは非常に難しい問題です。実態として、金融機関がどうしてまたずっとバブルがはじけた後も貸し続けてきたかとおっしゃいますけれども、返してくれと言われたら今度は県の方が──県の方がというか、土地開発公社の方が困ったわけです。それで、土地開発公社には公拡法という法律があるわけですけども、その法律では土地開発公社が破産するとか法的処理をするとかいうようなことは法律に書いてないわけです。書いてないというのは、一方ではそういうこともあり得るという解釈もできるんだけども、もともとが土地開発公社というのは公有地の先行取得をすると、そしてプロパー事業として若干の住宅用地の開発みたいなのをするということで、完全に自治体が後ろ盾になっているものだから、なくなることはないという前提で法律はつくられたわけです。そして、その後、今のような、まあはっきり言ったら、バブル後の日本の経済なんていうのはだれも想像したわけではありませんし、それから護送船団方式でずっと来た金融機関が今のような状況になるということは、これは大蔵省も全然想定してこなかったこと。
 そういうふうな中で、借りたお金をどうするか、保証してきたものをどうするか、そしてその中で責任はどういうふうな案分で考えていくかという未知のゾーンに入ってきているので、これはもう片方が十正しくて片方がゼロ、逆にその逆というふうなことは、これは僕はあり得ない問題だと思っております。
 ただ、そういうふうな中で県民が不当に損害をこうむるというふうなことがないような、なくするような中で、我々としても、ただ単に地域における金融機関との関係であるとか、そういうことに流されるのではなくて、東京や大阪の法律関係者とも何度も何度も検討を重ね、そしてまたこの法律を所管している総務省の当局とも連絡をとり合いながら、どういうふうなやり方が今一番適切であるかということを考え、そういうふうな中で、そういうことについても県議会の委員会の皆さんにもお示ししながら検討を進めてきたと。そういう中でまだ今のところ最終的な結論が出ていないということでございますので、これはやはり、我々としてはもう本当に情報公開を一〇〇%する中で一番県民にとって正しい道を本当に苦しみながら模索しているというふうなのが状況でございますから、本当にこれ、片方が百正しくて片方がゼロというふうなものでないということだけはご理解いただきたいと思います。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十七番原 日出夫君。
○原 日出夫君 知事の今の答弁で、まあよくわかったわけですが、ただ六月末ということをある程度、私たち聞いていますが、拙速な結論を急ぐことがかえってお互い問題を起こすんでないかということで、ひとつじっくりと──じっくりというても期限ありますけど、その点はもうどうってことないですが、六月末という拙速な結論を急ぐ余り、我々県民に信頼されない結論を出すことを私自身も恐れていますので、ご理解いただきたいと思います。
 それから、もう一つは、私たち、先ほども第一回の質問のときに言いましたけども、金融機関から、じゃその今までの経過ですね、昭和五十一年からのずっと経過の中で今、金融機関としての言い分もあると思うし、我々は言い分も聞きたいということで、全員に聞けるかどうかとしても、その機会が一回もありません。当局におかれても、また議長におかれても、そういう意味ではそういう機会をぜひ銀行側の意見を──相互の意見を聞かんと意味が判断できませんからね、何でも。だから、あくまでも金融機関の参考人招致というのは、いずれの場でもそういう機会を与えていただいて、我々は金融機関の考えもぜひ理解していきたい、考えを聞きたいと、こう思っておりますので、その点、要望して終わります。
 ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十三分散会

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