平成15年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
県議会の活動
平成十五年六月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
平成十五年六月二十四日(火曜日)午前十時開議
第一 議案第百号から議案第百十四号まで(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第百号から議案第百十四号まで(質疑)
二 一般質問
出席議員(四十六人)
一 番 須 川 倍 行
二 番 尾 崎 太 郎
三 番 谷 洋 一
四 番 新 島 雄
五 番 小 川 武
六 番 吉 井 和 視
七 番 門 三 佐 博
八 番 町 田 亘
九 番 大 原 康 男
十 番 浅 井 修 一 郎
十一 番 山 田 正 彦
十二 番 坂 本 登
十三 番 向 井 嘉 久 藏
十四 番 大 沢 広 太 郎
十五 番 平 越 孝 哉
十六 番 下 川 俊 樹
十七 番 東 幸 司
十八 番 山 下 大 輔
十九 番 小 原 泰
二十 番 前 芝 雅 嗣
二十一番 木 下 善 之
二十二番 山 下 直 也
二十三番 井 出 益 弘
二十四番 宇 治 田 栄 蔵
二十五番 浦 口 高 典
二十六番 藤 山 将 材
二十七番 原 日 出 夫
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 野 見 山 海
三十 番 冨 安 民 浩
三十一番 尾 崎 要 二
三十二番 阪 部 菊 雄
三十三番 花 田 健 吉
三十四番 角 田 秀 樹
三十五番 前 川 勝 久
三十六番 江 上 柳 助
三十七番 森 正 樹
三十八番 長 坂 隆 司
三十九番 中 村 裕 一
四十 番 新 田 和 弘
四十一番 松 坂 英 樹
四十二番 雑 賀 光 夫
四十三番 藤 井 健 太 郎
四十四番 村 岡 キ ミ 子
四十五番 松 本 貞 次
四十六番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
理事 垣 平 高 男
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 宮 地 毅
企画部長 野 添 勝
環境生活部長 津 本 清
福祉保健部長 白 原 勝 文
商工労働部長 石 橋 秀 彦
農林水産部長 阪 口 裕 之
県土整備部長 大 山 耕 二
企業局長 西 芳 男
教育委員会委員長 赤 松 壽 男
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員 島 正 博
警察本部長 高 綱 直 良
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 北 村 亮 三
職務のため出席した事務局職員
事務局長 中 原 洋 二
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 島 光 正
議事課副課長 藪 上 育 男
議事班長 鷲 山 智
議事課主任 尾 崎 善 亮
議事課主査 土 井 富 夫
総務課長 土 井 陽 義
調査課長 宗 野 幸 克
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課主査 保 田 良 春
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午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
【日程第一 議案第百号から議案第百十四号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第百号から議案第百十四号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
三十七番森 正樹君。
〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 皆さん、おはようございます。ただいま尾崎議長からお許しを賜りましたので、一般質問をさせていただきます。
私、今回の統一地方選挙県議選におきまして大変厳しい選挙戦を勝ち抜き、四期連続の当選をさせていただきました。これもひとえに私を変わらず支えていただきました支持者の皆様のたまものであると、感謝の気持ちでいっぱいでございます。支持者の皆様のご期待にこたえるために、選挙期間中公約として掲げましたこと、また政策をお訴え申し上げましたが、その実現のために取り組むことがその道であると思っております。四年間、一議会人として懸命に取り組む覚悟でございますので、先輩・同僚議員の皆様、県職員の皆様、また県民の皆様、ご理解とご支援をよろしくお願い申し上げたいと思います。
さて、私、和歌山市議二期八年、県議三期十二年、合わせて二十年、政治の世界に携わってまいりました。この間、私はライフワークとして、一貫して関西国際空港の問題に取り組んでまいりました。それも、関西国際空港の全体構想の実現こそが和歌山県益の向上にとって最重要課題であり、ひいては国益にもかなうと確信をするからでございます。
ライフワークでありますので、関西国際空港の問題から質問に入らせていただきます。
中国に端を発しまして世界じゅうを不安と混乱に陥れたSARS(新型肺炎)も、ここに来て、ようやく鎮静化に向かう兆しが見えてきたように私には思われます。二〇〇一年九月十一日、世界を震撼させた同時多発テロ、本年に入ってのイラク戦争、そしてSARS問題と、この数年、世界の人々の交流、行き来に水を差し、足をとめる重大問題・事件が多発をいたしました。その結果として、国際間の交流、イベント、旅行等の中止あるいは延期が相次ぎ、その影響はまことに深刻で、航空会社、旅行会社等関連産業の倒産が続出するなどの二次的被害を出すに至っているのであります。
関西国際空港としてもその影響は少なからず、国際線、国内線を合わせた旅客数は、本年四月、前年同月比三五・三%減の八十九万七千六百人となり、平成六年の開港以来最低となってしまいました。予測によれば、五月の実績も引き続いて低水準で推移する模様でございまして、深刻な事態と言えるのであります。聞くところによりますと、四月二十八日の関空発北京便の搭乗客はたった二人だったそうでありまして、ジャンボ機でありますから、搭乗率〇・九%というありさまと聞いております。関西国際空港は、成田に比べてアジア各国との間を結ぶ路線が主であるために、今回のSARS問題の直撃を受けた形となってしまったのであります。
二〇〇七年の供用開始を目指して現在二期工事が急ピッチで進められておりますが、関西国際空港をめぐるマスコミの報道は暗いニュースばかりでございます。関西国際空港が東アジアの国際ハブ空港の地位を確立するために、また我が国の空の玄関として十分な機能を果たすためにも、予定どおりの二期工事の完成と一日も早い全体構想の実現が不可欠であり、望まれているのであります。
以上の認識に立ちまして、以下数点にわたりお尋ねをいたすものであります。
まず第一点、関西国際空港の経営健全化のために高コスト構造の改善をという問題であります。
そもそも関西国際空港は、かつて関西の空の玄関でありました大阪空港が都市部にあって騒音問題等、周辺住民の怨嗟の的となっており、発着便数の制限、ジェット機の離着陸の制限、夜間の離着陸の禁止という国際空港としては致命的な欠陥を抱えていたこと──これは今でもそうでありますが──さらに伸び続ける国際航空需要に対応するための二本目の滑走路の拡張が不可能なこと、加えて騒音問題を理由に騒音問題訴訟団や十一市協から大阪空港廃止を要求する大合唱が起こっていたこと等々から、他の候補地で新しい空港を建設する必要に迫られていたのであります。その結果、我が国の国策として、さまざまな紆余曲折を経て伊丹空港を廃止し、騒音問題のない、二十四時間運用可能な、しかも将来の航空需要に十二分に対応できる複数の滑走路を有する国際空港をということで関西国際空港を泉州沖に建設することになった経緯は、もう皆さんよくご承知のとおりであります。
このようなことから、関西国際空港は騒音問題を完璧にクリアし、二十四時間運用可能な空港とするために陸地部から十分な距離をとった泉州沖五キロメートルの海上に埋め立て方式をもって建設することとなり、その結果、一兆五千億円もの巨費を投ぜざるを得ない事業となりました。当然のことながら、関西国際空港の建設はコスト高となってしまったのであります。
繰り返しますが、関西国際空港の建設をコスト高にしたのは、一つ、騒音問題をクリアするものであること、二つ、二十四時間運用空港とすること、三つ、横風をも含め、将来三本の滑走路を有する国際ハブ空港とすること等々の国策のゆえであります。
コスト高についた関西国際空港は、開港当初から、その経営を圧迫するさまざまな要因をはらんでおりました。幾つか挙げてみますと、まずは一点、累積赤字が一兆円を超えているということ。二つ目に、高コストを理由として高い固定資産税を課されていること。これは最近の新聞報道でございますけれども、関西国際空港の経営を非常に圧迫している問題の一つということで取り上げられております。固定資産税が、成田は土地一ヘクタール当たり二百八十八万円、羽田は固定資産税はなくて、固定資産税に相当する市町村交付金という形ですが、同じく一ヘクタール当たり百五十五万円に対しまして、関西国際空港は実に一ヘクタール当たり七百万円についているのであります。すなわち、成田の二・四倍、羽田の四・五倍という高いものになってしまっております。三点目、廃止されることになっておりました伊丹空港が、案に相違して存続と決まったことにより、国内便の半数以上を伊丹にとられてしまったこと。四点目、国策のために建設された空港でありますのに国は責任を放棄して関西国際空港株式会社という特殊法人をつくり、その経営を地元に押しつけた結果、関空会社は高コストの償還のために着陸料、駐機料、空港施設利用料、連絡橋通行料などを高額に設定せざるを得ず、利用者である航空会社などの関空離れにつながっているというさまざまな結果を招いてしまっているのであります。
国策として関西国際空港の建設を決定しておきながら後の責任を放棄するという運輸省──今の国土交通省でありますが──の失政が現在の結果を生んだと私は断言しても差し支えないと思います。言いかえれば、最初にボタンをかけ違えたわけでありますから、この先、どこまで行ってもボタンが正しくかけられるはずはないのであります。
以上、種々持論を申し上げましたが、これら関西国際空港の高コスト構造の抜本的な改善のために今一体何をすべきか、また和歌山県として何ができるのか、木村知事のご所見、ご存念を聞かせていただきたいと思います。
第二点目、皆さんもうご承知のことと存じますが、本年四月、突然関西─羽田のシャトル便が減便となりました。この結果、午前七時五十分から午後三時までの実に七時間十分もの間、一便もシャトル便が飛ばない空白が生じる結果となってしまったのであります。このシャトル便は、私ども和歌山県議会や和歌山県を初め関西各方面の強い要望が実り、実現を見たものであります。
そもそもシャトル便というのは、定時に等間隔で頻繁に発着するからこそシャトルと名づけられているのでありまして、昼間に七時間以上もの空白が生じては、もはやシャトル便とは言えないのであります。
私も、東京で午後行われる会議、会合や政府要望、陳情等に参加する場合、よくこの午前十時発羽田便を利用しました。常に満席か、もしくはそれに近い状態だったと記憶をしております。いつもがらがらで空席が目立つ便ならいざ知らず、なぜ午前十時の便が休止になったのか、今もって理解に苦しむわけであります。
私も、早速県関西国際空港対策室の皆さんと連絡をとり──実は選挙運動の真っ最中でございまして自分自身が動けませんので、対策室の皆さんにお願いをして航空各社等への働きかけをしていただきました。この結果、皆さんもう既にご承知のとおり、若干の改善が先ごろなされたところであります。
そこで企画部長、この経緯と取り組みについて、また今後の見通しについてご答弁をいただきたいと思います。
第三点目、歯どめのかからない航空各社の関西国際空港離れの原因は一体那辺にあるのか。同じく企画部長にお尋ねをいたしたいと思います。
第四点目、とかく航空各社等の評判が芳しくない着陸料、駐機料、給油施設使用料の値下げを実現するためにどうすればいいのか、また本県として何ができるのか。これも企画部長にお尋ねをいたしたいと思います。
もう一点、第五点目として、同じく空港利用者から不評を買っている空港施設利用料、連絡橋通行料などについても値下げをするべきであると考えますが、企画部長、いかがお考えでありましょうか。ご答弁をいただきたい。
この項の最後、第六点目、国内地方空港と関西国際空港、伊丹空港間の便のアンバランスについて申し上げます。
議場の皆様のお手元に、手書きで申しわけございませんが、資料を配付させていただきました。開港当初は、伊丹、関西空港ともに国内各地方空港への便は同等もしくは関西空港の方が多いという状況だったんですけれども、本年六月ダイヤは、ごらんのとおりでございます。関空が伊丹より上回るというのはたった二路線、沖縄、女満別の二つであります。ほぼ拮抗しているのが三空港ございますけれども、一番上にありますとおり、羽田は十四対二十七、高知が二対五、松山二対八、大分一対四、熊本一対八、長崎一対六、宮崎二対六、鹿児島二対十一、これが現実でございます。また、かつては関西空港から飛んでおりましたのに今は伊丹便のみというのが、下にございますように十五路線もございます。仙台などは、十二便すべてが伊丹空港からしか飛んでいないのであります。関西便だけが飛んでいるというのは、たった六路線。これが今の関西国際空港の国内線の状況でございます。
このますますアンバランスがひどくなる現状は、ひいては関西国際空港のハブ機能の麻痺につながり、ますます関空離れの要因となることが懸念されますけれども、知事、このアンバランスの是正のために県として何ができるのか、また何をすべきなのか、ぜひとも決意のほどをお示しいただきたいと思います。
次に、和歌山ブランドのさらなる売り込みについてお尋ねをいたします。
このことについて、本六月定例会本会議冒頭の知事説明要旨の中で、知事は「県産品の販路開拓」という項目を立てて、県の重要施策の柱の一つとして取り組む決意のほどを吐露されております。そこで、もう少し詳しく商工労働部長から本年度のこれまでの事業の経過と今後の取り組みについてお示しをいただきたい。
二つ目に、我が国における販売量の分野で、小売店やスーパーマーケット、コンビニなどの物販よりもテレビショッピングやインターネットショッピング、カタログショッピングなどの通信販売、いわゆる通販が上回ったという話を小耳に挟みました。確認をとったわけではございませんが、少なくとも最近、女性を中心に通信販売が急速に売り上げを伸ばしていることは紛れもない事実であります。このような時代背景を見据えて、和歌山ブランドの全国展開を目指して通信販売による売り込みを図るべく、さまざまな方法で販売システムの構築を目指すべきであると考えますが、いかがでございましょうか。商工労働部長のお考えを聞かせていただきたい。
この項の最後に、将来の課題として、和歌山ブランドの販路開拓を日本国内にとどまらず海外へも矛先を向けるべきであると私は思います。
我が国の近隣には、中国、韓国、台湾といった東アジアの諸国が控えておりまして、その人口は三カ国合わせますと十三億三千四百九十五万人という巨大市場であります。県産品のすべてがこれら東アジア諸国で売れるとは思えませんけれども、本県のすぐれて豊かな県産品のうち、かなりのものが必ず喜ばれると私は確信をします。これらの国々への販路開拓に取り組むべきであると思いますが、またそのためにこれらの国々へ特派員の派遣を将来の問題として考えるべきであると私は提言申し上げますが、知事、いかがでございましょうか。
三点目に、ITビジネスモデルについてであります。
このことにつきましても、知事説明の中で項目を立てて申されていたごとく、去る四月四日、総務省のITビジネスモデル地区──全国で八カ所でありますが──のうちの一つとして本県の田辺・白浜地域が指定されました。私が提言させていただきましたIHS構想やIT総合センターなど、ともすれば地盤沈下の兆しが影を落としておりました同地区南紀白浜の周辺の活性化の起爆剤として期待されているのであります。
そこで、四点にわたり質問、要望を申し上げます。
まず第一に、IHS構想の進捗状況について商工労働部長からお答えをいただきたい。
第二にIT総合センターの建設工事についてでありますが、本年二月から地盤沈下が発生し、工事がストップしておりますけれども、その状況と原因等について、また明年春に予定しておりましたオープンにこの現状で間に合うのか、県土整備部長の答弁を求めます。
第三に、このITビジネスモデル事業について、知事はさまざまな分野で国の優先的な支援が得られるとおっしゃっておりますが、具体的にどのような国の支援が期待できるのか、企画部長からお答えいただきたい。
この項の最後に、長谷川章さんのことであります。長谷川章氏の経歴や人物像については昨年九月定例会本会議における一般質問の中で詳しく申し上げましたので、ここでは省略をいたしますが、アートクリエーションの世界の巨人と申し上げておきたいと思います。
超多忙な長谷川章さんと一度面識を得たいと念願しておりましたところ、この六月八日、九日の両日、やっと実現をいたしました。八日、共通の友人のS氏とともに、電車を乗り継いで夕方の四時半に石川県小松市の郊外にございます長谷川章さんのスタジオを訪問いたしました。眼前に木場潟を望み、その向こうに北陸の雄峰白山を遠望するスタジオであります。その夜、長谷川章さんとS氏と私の三人で、小松市からさらに奥に分け入った渓流沿いにぽつんと建つ一軒宿で、約五時間にわたり食事をしながら話をしました。部屋にはテレビもなく、聞こえるのは宿の外を流れる渓流のせせらぎの音だけという、まさに大自然の中で談論風発、貴重な、そして意義深い一夜を過ごすことができたのであります。
また、翌九日朝、あの電通や博報堂でさえ持っていないというデジタル映像編集コンピューターシステムを初め、スタジオの隅から隅まで見せていただきました。このスタジオで、NHK「サンデースポーツ」のカバータイトル、同じく「サタデースポーツ」のカバータイトル、NHK大河ドラマ「琉球の風」のカバー映像、日本テレビ「特命リサーチ二〇〇X」のオープニングカバーイメージビデオ、中国中央電視台CCTVのニュースカバータイトルなどなど、四千本に上ると言われる映像作品がここから生み出されたのであります。
私は、長谷川章さんのスタジオに行って初めて、この地にスタジオを構えた意味が理解できたような気がいたしました。ビルが林立する東京ではだめなことがよくわかりました。しかし、小松市よりも南紀の大自然に囲まれた地であれば、さらに豊かな、そして大きなアイデアがわくと私は思います。長谷川さん本人にも、和歌山でスタジオを構えて仕事をしませんかと何度も申し上げ、今回も拉致しに来ましたとご本人に申し上げましたが、決して拒否はされておりませんし、脈はあったように私は思います。将来の夢として、ぜひとも和歌山に長谷川さんを呼びたい、和歌山にスタジオをつくってもらいたいということを申し上げ、この点は要望といたします。
最後に、教育に係る諸問題についてお尋ねをいたします。
一六一五年の元和偃武以来二百六十年続いた徳川幕府が、一八五三年、ペリー提督率いる四隻の黒船の来航を契機に幕末の動乱へと突入し、明治維新で終えんいたします。日本の歴史上、最も長く続いた徳川幕府の強固な体制を突き崩したのは、勤王の志士たちでありました。その中心をなしたのが、長州の片田舎、萩城下松本村にあった私塾・松下村塾であることは余りにも有名であります。小さな私塾の一握りの塾生たちが時の政体徳川幕府を転覆し、明治維新という革命をなし遂げたのであります。言いかえれば、二十八歳で獄死した吉田松陰という若者が幽閉中の私室で始めた私塾での教育が、そして人材育成が一国の歴史を変えてしまったのであります。教育の重要性、そしてその反面としての恐ろしさ、言いかえれば一人の教育者がいかに人を変えてしまうか、影響を与えるか、教育の意味、重みを私は松下村塾に見るのであります。
さて、本題に入ります。
最近、教育現場、学校が荒廃していると思えてなりません。
まず第一点、本年三月十九日、和歌山北高校剣道部顧問のU教諭が部員である男子生徒四人に対し竹刀やバット、木刀で殴打し続け、そのうち一名の男子生徒が入院の上、皮膚の移植手術を受けなければならないという大けがを負わせる事件が発生いたしました。この男子生徒が受けた心と体の傷は大きく、先ごろ、他の高校へ転校するということになったと聞いております。
私は、U教諭の度の過ぎた体罰について過去に二度にわたって県教委に対して注意を喚起していただけに、まことに残念でなりません。この事件に関する処分は、U教諭が停職四カ月、校長、教頭二名、そして四名の同僚教諭、合わせて七名が厳重注意ということになりました。私の注意喚起にもかかわらず未然にこの事件の発生を防げなかったのか、県教委の責任はと、私は申し上げたいのであります。
また、昨年末十二月七日、和歌山北高校のT教諭が、同月十四日には橋本市立紀見東中学校のT教諭が、いずれも酒気帯び運転で刑事処分となり、それぞれ三カ月ないし四カ月の停職処分を受けました。さらに、海南高校定時制のS教諭はインターネットを使用した脅迫事件で略式起訴され、停職二カ月の処分を受けているのであります。
一方、知識の切り売り教育に終始する教員が多く、生徒たちの信頼も信望も全くないという報告が種々私のところにも参っております。
さらに、ここに一覧表がございますが、小・中・高合わせて現在百二十二名の教職員が病休もしくは休職扱いとなっております。この中にいわゆる登校拒否教諭が相当数含まれていると私は思いますが、県教委はその実態を把握しているのでありましょうか。
以上三点、学校荒廃とも言うべきこれらの事実について教育長はどう思われるのか、率直な見解をお示しいただきたい。
次に、児童生徒の最近の学校内外での生活態度の憂うべき実態について申し上げます。
学校内外でのたばこの喫煙。昼間、堂々と自動販売機で学生服姿のままたばこを買う高校生を見たこともあります。二点目、深夜の徘回。夜中の二時、三時にコンビニでたむろする姿を見かけることが最近多くなりました。三つ目に、道いっぱいに広がって自転車で我が物顔で走り回り、平気で信号無視をする姿を見ます。また四点目に、所構わず空き缶・空き瓶、ごみを捨てる生徒を見ることがあります。五点目、乱暴な言葉遣い。一つ例を申し上げますと、去る五月十一日、紀三井寺競技場で行われました同志社大学と慶応義塾大学のラグビー対抗戦の観戦にやってきたある高校生が、自転車で来たわけですが、場内整理を担当していた和歌山ラグビー協会の役員に対して、「チャリ、どこに置くんな」と言ったのであります。こんなに言われたラグビー協会のその方、大人でありますけれども、全く切歯扼腕をされておりました。このようなマナー、社会常識に欠ける高校生がいかに多いことか、数え上げれば切りがないのであります。一体、学校においてこれらのマナーや社会常識についてどのような教育をしておられるのか、教育長からお答えをいただきたい。
三点目に、教師の指導力不足についてお尋ねをいたします。
本来、教職に携わる者は、児童生徒の未来を預かる、無限の可能性を開くという極めて重い責任、使命を帯びた職業であると私は考えます。それだけに、より高い人格、より強い使命感、倫理観、そしてより幅広い教養が求められていると言っても過言ではありません。それを可能にする道は二つあると思います。一つは教職員に対する研修の充実、もう一つは適性、能力に欠ける教職員の排除をするシステムを構築することではないでしょうか。この二点について、教育長の所見をお伺いいたします。
この項の最後に、全人教育の必要性について申し上げたいと思います。
私は、教職員は児童生徒の一生を左右するほどの強い影響力を持つ職業でありますだけに、他の職業以上に、より高いレベルの能力が要求されていると思います。教職員こそ全人であるべきだし、全人に近づく努力を日々すべきであると申し上げたい。
小学館の「日本国語大辞典」によりますと、全人とは「知識・感情・意志の調和した円満な人。完全な人格を備えた人。」となっております。また全人教育については、同辞典によれば、「知識だけにかたよった教育ではなく、性格教育、情操教育なども重視する教育。」とあります。これこそ、教育のあり方を、簡潔ではありますが適切に表現したものと言っていいと私は思います。私の考えは間違っているでありましょうか。教育長の率直な見解をぜひとも聞かせていただきたい。
以上で質問を終わりますが、答弁に立たれる当局の皆様に申し上げます。なるべく簡潔にして要を得た答弁にしていただきますようにお願いを申し上げまして、答弁次第では再質問もあることを申し上げて質問を終わらせていただきます。
ご清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 関空についてのご質問でございます。
経営の健全化ということでございますけれども、ご質問にもありましたように、イラクの戦争、そしてSARSということもありまして、このところの関空の状況は非常に寂しい状況になっております。そういうふうな中で、これも構造的にハンディキャップを負っている飛行場だと思いますけれども、何とかしていかないといかんということで、三月に経営改善計画が出て、思い切った人員削減、それから運営経費の三十億円ほどの削減と、こういうふうなことを中心に打ち出し、さらには国もおくればせながら今年度から九十億円毎年お金を入れていくということになったようでございます。
しかしながら、これだけではなかなかぐあいが悪いと思っておりましたところ、先般、関空会社では初めて民間人の人が社長になりました。この間、和歌山県へも来られて、私も三十分ほどお話ししたんですけれども、かなりやる気のあるような感じでございました。そしてまた、今までは中央官庁が握っていたような人事権限をその方が行使するというふうな形になってきているということで、結果が出るのはこれからだと思いますけれども、いずれにせよ、そういうことを見きわめていきたいと思います。さらには、国に対してもっともっと大きな支援──最初の熱気がもううせてしまったような感じになっているというふうな関空に対して、本当に国際空港であるということの支援を要請していきたい、このように思っております。
それから、関空と国内各空港の便の減少については、ただいまの資料、配付されていたものを私も見せていただきましたけれども、実は愕然といたしました。減っているなとは思っていたけれども、こんなに減っているとは思っておりませんでした。これは何か、関空が国際空港だから国内便はあんまり力を入れなくてもいいというような誤った感覚があるんじゃないかというのが私の正直な感覚でございます。国内あっての国際、国際あっての国内、これ両々相またないとこの飛行場の重要性ということの機能を果たせないというふうに思っているわけでございます。
シャトル便の問題につきましても、シャトルというのは一時間ごとぐらいに出て初めてシャトルなんで、大変な状況になったのを若干押し戻していささか改善されましたけれども、しかしながら航空会社の経営状況が悪いということで、もとに復したわけではございません。今後とも、こういうふうなことの問題点をいろんな方面に力強く訴えていきたいと、このように思っております。
それから最後に、和歌山ブランドの海外への売り込みということでございます。
今、中国脅威論ということで、ありとあらゆるところで本になり、また問題にされておりますけれども、十三億の人がいるところを脅威脅威というふうに言っているばかりではやはりぐあいが悪いので、この和歌山県の産品を中国、韓国、そしてまた台湾、こういうふうな有望な東アジア各国に対して市場として売っていくというふうな努力が非常に大事だろうと思っております。
そういうこともありまして、一つは中国へ進出している国内の大手の量販店というものがどんな形で和歌山のものを売れるかということの調査を行うことにいたしております。さらには、もう来月か再来月にできると思うんですけれども、福岡県、それから宮城県、岩手県と一緒になって上海に拠点を設けることにいたしました。ここには中国ビジネスに詳しいコンサルタントを置いて、和歌山県内の企業が中国へ進出するときにいろいろいい情報を得たり、対応できるようにしていきたいと思っております。
特派員についても──だれが特派員になってすぐに役に立つかどうか、なかなか難しい問題がありますけれども、しかしながらこの問題については真剣に考えていかないといかん問題だというふうに思っております。
以上です。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 関西国際空港に関する諸問題につきまして。
まず、関空発羽田行きのシャトル便につきましては、一便の減便とともに、ダイヤの偏りにより大きな空白時間帯が生じておりましたが、県議会初め関係者の方々の力強いご支援をいただきまして国、航空会社へ働きかけていたところ、五月十九日から三十一日まで九時五十分発が臨時便として運航され、六月から八月ダイヤにおいては九時五十五分発が運航されることになりました。これにより、十時台から十四時台まで、最大五時間十五分に空白時間帯が縮減したところであります。九月ダイヤにおいては、さらに空白時間帯が最大三時間三十分に縮減されると聞いているところでございます。
県といたしましては、今後も空白時間帯の縮減とともに便数の復活により利便性が確保されるよう、引き続き国、航空会社等に働きかけてまいります。
次に航空会社の関空離れの原因についてでございますが、平成十二年の航空分野の規制緩和により路線の設定が航空会社の判断で自由にできることになったことと、また昨年十月の日本航空と日本エアシステムとの統合による路線の再編を契機として、運航コストや搭乗率を考慮した上でより収益性の高い伊丹空港に集中したものと考えております。
次に、着陸料、駐機料、給油施設使用料に対する取り組みでございますが、米国同時多発テロ、イラク戦争及びSARSの流行などにより航空需要が低迷している中で国際競争力を高めるためには、航空会社の就航が容易となる条件整備が重要と考えております。
関空会社では、国際線の着陸料の引き下げ及び新規就航等に対する着陸料営業割引を行い、平成十五年度においても継続することとなっていますが、世界的にはなお高い水準にあることから、経営改善計画の中で着陸料等の引き下げが検討されることとなっております。しかしながら、その実現のためには国のより一層の支援が必要であり、県といたしましても強く国に求めてまいります。
次に、空港利用料、連絡橋通行料についてでございます。
関空会社では、関空連絡橋通行料の時間帯割引や連絡橋・駐車場セット割引クーポンの発売など、関空利用者へのサービス向上のために連絡橋通行料、駐車料金の一部引き下げが行われておりますが、にぎわう空港の実現や非航空系収入の拡大のためには、さらに抜本的な見直しが必要であると考えております。着陸料等の問題と同様の考え方で、この件につきましても国に強く要望してまいります。
次に、ITビジネスモデルの国の具体的な支援策についてでございます。
ITビジネスモデル地区は、国の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」においてその推進が閣議決定されたもので、ハード・ソフトの施策の集中展開を通じ、魅力的なITビジネス環境の先行的実現によりIT産業集積を通じた地域経済活性化を推進し、地域産業の振興を図ることを目的としたものでございます。
このたび、全国八カ所のモデル地区に白浜・田辺地区が指定されたことは、和歌山の地域・文化資源を生かしたリゾート型のビジネスモデルを開発していこうとする本県の姿勢が高く評価されたものであると考えております。
今回の指定にかかわる国の支援策といたしましては、ベンチャー企業が行う先進的な研究開発に対する助成制度の優先採択、第三セクターが行う高度なIT技術者の育成などに対する助成制度の優先採択及び助成限度額の増額、自治体が行う地域イントラネット整備事業に対する助成制度の優先採択及び整備要件の拡大などでございます。
なお、本事業の推進に当たりましては、先般、県、関係市町、民間団体及び有識者から成る白浜・田辺ITビジネスモデル地区構想推進協議会を設置いたしておりますので、こうした体制のもとに地域全体で取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) ご質問の三点についてお答え申し上げます。
まず、和歌山ブランド売り込みのための本年度の推進局の取り組みにつきましては、昨年来、優良な県産品を県が直接首都圏の大手量販店への売り込みを支援してきたところでありますが、本年度は新たにブランド推進局を設置し、本格的に実施することといたしました。
まず、イトーヨーカ堂とタイアップ事業である移動型、複数型のソフトアンテナショップの第一弾として、六月四日から九日まで、横浜市の上永谷店を中心に和歌山まるごとフェアや全店規模での梅まつりを開催し、期間中の総売り上げは約一億四千万円に上りました。第二弾として六月十八日から二十三日まで、同じく横浜市の鶴見店で和歌山まるごとフェアを開催したところでございます。
今後の店舗展開は現在調整中ですが、東京都内を初め千葉県など、首都圏の各地で開催していく予定となってございます。
一方、イトーヨーカ堂以外にも、生産者のニーズや商品の性格等を勘案しながら、他の量販店や百貨店等へも幅広く取り組みを進めているところでございます。
次に通信販売による売り出しシステムの構築につきましては、PR効果はもとより、商品が大量に出荷できることから生産者の売り上げ向上に大きく寄与するものであり、販路拡大の有効な手段であると考えております。
本県では、平成十三年度からインターネットによる販売サイトふるさと和歌山わいわい市場を立ち上げており、その規模は、業者数で約三百七十、取扱品目は約二千八百でございます。
現在、売り上げ向上のため、特に首都圏を対象とした新聞広告の掲載やイトーヨーカ堂でのPR活動の実施など、いろいろな機会をとらえ認知度アップを図るとともに、特典つきのキャンペーンの実施など、時節に応じた取り組みを進めているところでございます。
今後、新たな通信販売による販路開拓につきましては、議員ご提言のようにさまざまな方法がありますので、販売者サイド及び生産者サイドのニーズを十分に把握し、適切な商品提案ができるよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次にIHS構想の進捗につきましては、昨年三月に株式会社エスアールアイが白浜町に技術開発センターを設置し、本年四月には株式会社アスクソフトクリエイトが同町で開発センターの操業を開始しており、二社合わせて新規の地元雇用者が三十七名になるなど、順調に推移をしております。さらに、IHS構想地域への進出意向を表明した株式会社ギガプライズが田辺市内に進出準備室を開設し、本年秋ごろの操業開始を目指して採用募集を開始しております。
今後は、進出が決定した三社以外に、現在数社と接触中でありますが、企業誘致の地域間競争が激化する中、企業が進出しやすい、一層魅力的な立地環境の整備が不可欠であると考えております。
本年四月には白浜・田辺地域が総務省のITビジネスモデル地区の一つに指定され、このことを弾みに当モデル地区構想の重点施策に位置づけております、数社が賃貸で入居できるIHSリーディングオフィスの整備を支援する等、今後とも地元市町との連携を一層強め、企業誘致を推進してまいります。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○県土整備部長(大山耕二君) IT総合センター建設工事における地盤沈下の状況とその原因についてのご質問でございますが、昨年八月に着工し、鉄骨工事が四分の一程度進捗した本年二月中旬、基礎のアンカーボルトの位置が一部で低いことが判明いたしましたので、工事を中断して調査を実施し、原因の分析などを行っております。
二百十三カ所の沈下量調査では、ばらつきがありますが、最大十七センチの沈下箇所もあり、現在も沈下が進行しております。原因につきましては分析検討中であり、結論に至っておりませんが、少なくとも傾斜観測からは盛り土地盤の地すべりの現象は見られません。
一方、土質調査では、かたい岩塊が乾燥と湿潤を繰り返すことにより、ぼろぼろと細粒化するスレーキング現象が見受けられるところもあります。引き続き、鋭意調査分析を行うとともに対策工法を検討してまいります。
次に、来春オープンの予定に間に合うかとのご質問ですが、速やかに対策工法を決定し、できるだけ早く工事を再開したいと考えておりますが、上屋にかかる工期から判断して、現時点では来年春のオープンには厳しいものがあると考えております。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育に係る諸問題についてお答えいたします。
まず、森議員ご指摘の体罰や飲酒にかかわる事故など、教員の資質をめぐる課題につきましては、教育委員会といたしましても極めて重く受けとめております。こうした事態を考えながら、本県においては一昨年から有識者や教育関係者から成る指導力向上調査研究委員会を設けて、本年一月に指導力不足教員の研修や人事管理のあり方について提言をまとめていただいたところです。
今後は、こうした提言を踏まえ、その具体的な対応について鋭意検討してまいりたいと考えております。
次に、最近の児童生徒のさまざまな問題のある言動については、各学校においてホームルーム活動の時間等を活用し、規範意識やマナーの向上のための指導の徹底に努めるとともに、関係機関との合同補導や通学路の街頭補導などを行っているところです。
今後とも、公共心や社会常識を身につけさせるよう、より一層家庭、地域と一体となって重点的な取り組みを進めてまいります。
次に教員の指導力の向上については、従前から行っておりました初任者研修や民間企業での長期社会体験研修を初め、さまざまなプログラムの実施をしておりますが、本年から十年の教職経験を持つ教員に対する研修を新たに義務づけることといたしました。この中では、個々の教員の能力、適性等について評価を行い、一人一人のプログラムに反映させていく点がこれまでの研修と違う特色となっております。このような取り組みを通して教員の資質を一層向上させ、その後の教育指導に生かしていくための実践的な力を高めてまいりたいと考えております。
教育は、児童生徒の知・徳・体、バランスのとれた全人的発達を促し、自立した社会人に必要な能力や態度、主体的に行動する力などをはぐくんでいく総合的な営みであると考えております。したがいまして、教員には、教育に携わる者としての強い情熱や使命感とともに、倫理観や幅広い視野に立った適切な判断が求められます。また、みずからの専門性や指導力を高めるため、日々研さんに努める姿勢を持つことが重要であります。こうした基本認識に立ったさまざまな施策を展開することによって県民の期待と信頼にこたえる教育を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十七番森 正樹君。
○森 正樹君 二、三、要望を申し上げて質問にかえたいと思います。
まず関西国際空港の問題でありますが、今回、知事おっしゃいましたとおり、初の民間人を社長に起用したと。松下電器の村山敦氏ですか、私もこの人の手腕に大いに期待をしたいと思います。松下電器で労務、総務等をずっと担当してこられた方だと聞いておりますし、今までの社長とは違って大変な経営手腕を発揮していただけるものと期待をしているのであります。
しかも、人事権限まで付与されるとお聞きしておりますので、いろんな意味で大なたを振るって取り組まないと、今の関西国際空港株式会社は大変な状況にあるというふうに思いますので、ぜひともまた知事から社長に対して、その点、強く働きかけをしていただきたい、そのように思います。
それからこの国内便、伊丹伊丹へとシフトしておるわけでありまして、今この流れに歯どめをかけないと、いよいよ関西国際空港のハブ空港としての機能を完全に麻痺さしてしまうことにつながりかねません。そのことが一番心配であります。
本来廃止されるべきであった伊丹空港が地元のエゴによって存続と一転決まったことによりましてこんなことになっているんですが、航空会社は民間ですからやっぱり経営ということを考えるんで、収益性の高いところへ便を持っていくというのは当然の結果だろうと。だからこそ、それに対抗して関西国際空港の方も、着陸料や駐機料や給油施設使用料等々、航空会社に対するサービスはやっぱりもっと厚くしていかないと離れていくのは目に見えているんであります。
さらに固定資産税の問題も、そうであります。実に一ヘクタール七百万──成田の二・四倍、羽田の約五倍ですか、これなんかも、本来大阪空港を廃止して、二十四時間運用で公害のない、しかも将来の航空需要に対応できる複数滑走路を持った空港ということであそこにつくった経緯があります。しかも最初、神戸沖ということが地元の反対で泉州沖に行ったわけで、その泉州沖に行くときに地元への対策ということで、それを受け入れてくれた泉州の各市町村に対する対策ということでこういう高い設定になったという、非常に無責任と思いますけれども、ある運輸省の元幹部の発言もありました。まあ運輸省の幹部が認めておるわけですよね、そういうことを。これも、発言としては問題なんですが、まあそこまでしないとこの関西空港の誕生には非常に産みの苦しみがあったということであろうと思います。
国策で、そういう形で関西国際空港をつくったんですから。そうですよね、前企画部長垣平さん。国策でありますから、国が責任を持ってこの関西国際空港の経営に当たるべきなんですよ。当面の東アジアのライバル空港である韓国の仁川国際空港は、韓国政府が航空局法という法律を改正強化して、国の全責任においてこの空港をつくるんだ、そしてしかもアジアのハブ空港の地位をとるんだという、そういう決意のあらわれとしてこの空港をつくったわけであります。それに対して我が国は、国策であるのに、当時の時代の流れだったのかもしれませんが、地元へ負担を押しつけたと。地元も応分の負担協力するというのは当たり前ですけれども、経営までも特殊会社に任せて国の責任を放棄したというところに、僕はボタンのかけ違い、最初の間違いがあると。それが今ずうっと現在も尾を引いてきているということを強く指摘をしておきたいと思います。
今回、実は尾崎議長が関西国際空港対策特別委員会の委員長をなさっていたんで、その後を受けまして、私、委員長をさしていただくことになりました。関西国際空港の将来のために、微力でございますが、全力で取り組むことをここで決意として申し上げておきたいと思います。
それから、県産品の販路開拓について。
将来東アジアのこの巨大市場をターゲットに──十三億を超える人口であります。ぜひとも前向きに取り組みをしていただきたい。
そして、特派員の派遣をと申し上げましたが、県職員の中にこの役に非常にぴったりの男がおります。今は申し上げませんが、将来、この巨大市場をほっておく手はないんでありまして、ぜひとも和歌山のいいものをアジアに売り込んでいただきたい。そのように申し上げておきたいと思います。
それから、教育に関して。
マナー教育をホームルームの時間にやっていると、今、教育長、お答えになりましたけれども、もう僕は今そんな対応ではだめだと思います。ちゃんとした正式な科目として、例えば一週間に一回であるとか隔週であるとか、そのようなサイクルでマナー教育をぜひともすべきだと。もうする時期に来ていると僕は思います。ぜひとも近い将来の課題として取り組みをしていただきたいと思います。
まだまだ言いたきこと多々ございますが、そろそろ時間でございますので、これで終わらせていただきます。すべて要望であります。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
十九番小原 泰君。
〔小原 泰君、登壇〕(拍手)
○小原 泰君 おはようございます。議長のお許しをいただきまして、一般質問をさせていただきます。
先日来の長雨で、紀南においては何カ所かの道路災害が発生いたしました。県土整備部では、部長初め道路局の幹部の方々が現場で直接対応に当たっていただいたとお聞きしてございます。また、現地の建設部でも昼夜を問わず作業に当たったということに感謝いたしたいと思います。生活面におきましても、観光面におきましても、非常に重要なルートでございます。一日も早く完全復旧できるよう工事を進めていただきますことをお願い申し上げまして、質問に入ります。
神々が宿る紀州木の国の森林整備についてお伺いいたします。
幾重にも重なる紀州木の国の山々は、太古の昔から、山や岩、森や樹林、川や滝などをご神体とする自然信仰の精神をはぐくんできた地であります。奥深い常緑樹林や岩塊に覆われた山、また山肌に露出する特定の巨岩や水量豊かな滝など、自然物または自然の地域に神が宿るとされ、その神秘的な姿から、古来より「神々が宿る森」として崇拝の対象とされてきました。熊野信仰の中心地である熊野三山や真言密教の根本道場である高野山など、紀伊山地の各地の霊場とともに人々の心をいやす場としてのみならず、我々日本人の精神文化の形成に対しても大きく寄与してまいりました。
このような自然環境に根差してはぐくまれた多様な信仰の形態を背景として、紀州木の国の森と一体となって形づくられている紀伊山地の霊場と参詣道が、平成十六年の世界遺産登録に向け、既に国から世界遺産センターに推薦書が提出され、本年一月には正式に受理されたと伺っております。一日も早く世界遺産登録されることを多くの県民の方々とともに心から期待するものであります。
このような世界に誇り得る森林文化とそれをはぐくんできた豊かな森林を持つ和歌山県ではありますが、まことに残念なことに、最近、これらの森林にも、手入れ不足のまま放置されている森林や、杉やヒノキが伐採された後、植林されずにそのまま置かれているものなどがあちらこちらに散見されるようになってきております。特に日本有数の多雨地帯であり、台風の常襲地帯でもある和歌山県では、このような放置林をそのままにしておくのは山の災害防止の観点からも好ましくない状態であると考えております。
このような現状に至った大きな要因の一つは、外材の輸入増加や個人住宅の建築様式の変化などによる木材の需要形態の変化、木材使用量の減少に伴う林業の採算性の悪化、不振にあることは容易に推測することができます。
一例として、過去二十年余りの杉の木材価格の推移を取り上げてみましても、昭和五十五年には一立方メートル当たり四万四千円であったものが、その年をピークに下降を続け、二十一年後の平成十三年時点では一万八千五百円と、ピーク時の四一%の水準にまで下落しております。そして、それと連動するかのように木材生産量も、昭和五十五年の四十六万立方メートルから平成十三年の二十万五千立方メートルへと大幅に減少しております。このような状況のもとでは、林業家の方々がいかに森林整備の必要性と重要性を認識しても、これ以上山に資金を投入することは極めて難しい状況にあると考えざるを得ません。すなわち、森林の整備を林業という産業に任せておくだけでは、森林を健康に保ち、環境保全という観点からの森林の公益性を十分確保して発揮していくことが困難になっているということであります。
しかしながら一方において、「二十一世紀は環境の世紀」と言われる中で、水資源の涵養や自然環境の保全、さまざまな生物の生息環境、二酸化炭素の吸収・固定を通じて地球温暖化の防止に果たす森林の役割など、森林の持つ公共的な役割がこれまで以上に大きく評価され、かつ期待される時代となってきております。このことは、環境保全の観点からも、森林整備に対するより積極的な公的関与の必要性が高まっているということにほかなりません。
このような状況の中で、全国の自治体においてもさまざまな取り組みが始まっております。
高知県では、「環境」と「地方分権」という二つのキーワードに沿って、高知県みずからがどのように取り組むことができるのかということを念頭に置いて、「森はみんなの公共財」という考えのもと、森林の荒廃問題を検討した結果、本年四月から個人・法人県民税に年額五百円を上乗せする超過課税方式による森林環境税を導入し、これを財源として、放置され手入れ不足になっている森林に対する間伐材等の森林整備や県民参加の森づくりの場として活用するモデル林の整備などに活用する取り組みを始めております。
また県内では、那智勝浦町が平成十一年三月に、豊かでおいしく安全な水を将来にわたって確保することを目的に、森林の購入や水源地への植樹、育成管理などの費用とするため、那智勝浦町豊かな水資源保全基金を設置し森林整備を実施しているほか、十三年三月には、那智勝浦町の大きな財産であり町民の誇りでもある那智の滝を守るため、その源流域の森林を整備し維持管理していくため、ふるさと創生資金として配布された一億円を基金に繰り入れ、那智の滝源流水資源保全事業基金を設置し、日本の名瀑那智の滝を次代に伝える取り組みを行っております。その後十三年十二月には、両基金を合わせた形で那智勝浦町水源涵養林整備計画が策定され、購入すべき地域、整備すべき地域、維持すべき地域を選定し、地域ごとの整備方針を定め、森林の整備を行っております。
また、今から十二年前には、林業の不振や地域の過疎・高齢化などから森林整備のおくれに危機感を抱いていた中山喜弘前本宮町長は、高い公共性を持っている森林の整備に必要な費用については山村地域だけで負担するのではなく、その恩恵を享受する都市住民等からもひとしく負担を求めるべきであるとの考え方に立って森林交付税構想を提唱し、全国に働きかけを行ってまいりました。その結果、多くの市町村の賛同を得る中で森林交付税創設促進連盟が結成され、今日では一千に近い市町村が加入する団体に成長しております。これらの活動が消極的だった国を動かし、風穴をあけ、国土保全ソフト事業として森林管理対策の充実や後継者対策などに活用されていることは十三年議会の中でも私の方から申し上げましたが、平成十五年度からは、市町村などが森林保全協定により一定の期間以上公的に管理する民有林を対象として実施する間伐材等の森林整備に要する経費についても新たに特別交付税措置二十億円が創設されるなど、目に見える成果となってあらわれてきております。
知事は、一昨年、緑の雇用事業を提唱され、環境の保全を通じて雇用を創出し、中山間地域を活性化させるという一石三鳥の非常に斬新な事業を全国をリードする形で展開されております。そして先月二十九日には、緑の雇用事業を幅広く全国展開させるため、志を同じくする岩手県や宮城県など八県とともに都市と地方の共感を深める「緑の雇用」推進県連合を結成し、共同アピールを発表するとともに、さらに厚みのあるものとするため、関係省庁に対し総合的な施策提言を行われました。それと時を同じくして自由民主党においても、衆参両院議員五十二名が参加して、緑の雇用事業の積極的な推進を図ることを目的に「緑の雇用」議員の会が発足いたしました。「緑の雇用」推進県連合が行った共同アピール文にも記載されておりますように、私も、緑の雇用事業の中心は森林の環境保全対策であると考えております。そして、公的な関与による森林整備と森林整備を通して地域の活性化という面においては森林交付税の考え方とも共通するものであり、緑の雇用事業は、森林交付税の理念を交付税とは違った形で知事の発案により具体的に事業化したものであると考えます。
そこで、知事にお尋ねいたします。
冒頭にも述べましたように、本県の森林は、地域産業のみならず、生活、文化とも密接にかかわっていると思います。このような神々が宿る紀州木の国の森林整備、森林環境整備についてどのようなお考えを持っておられるか、ご所見をお聞かせください。
次に、地球温暖化防止に係るCO2吸収源としての森林整備についてであります。
地球温暖化対策については、既に我が国においても地球温暖化防止条約京都議定書が批准され、先進国の温室効果ガスの削減に法的拘束力を持つ京都議定書により六%の削減を約束しており、そのうち三・九%を森林の吸収量により確保することが十四年三月十九日の地球温暖化対策推進本部が決定した地球温暖化対策推進大綱にうたわれております。これに基づいて同年十二月二十六日には農林水産省が地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策を取りまとめ、二〇〇三年から二〇一二年の十カ年にわたって三・九%の削減を実現するため、多様な森林の整備や地域材利用の推進など、さまざまな対策を講じるとしています。また知事は、CO2吸収源としての森林整備の重要性を踏まえ、森林の整備、保全に積極的に取り組み、地球温暖化防止に貢献するため、十四年六月七日、岩手県や岐阜県など五県とともに地球温暖化防止に貢献する森林県連合を結成し、共同アピールを発表するとともに、その後、四十二都府県の賛同を得、同年七月には六つの大きな項目から成る緊急政策提案を行ったところであります。豊かな森林資源を持つ本県としては、国や市町村、森林組合、森林所有者、企業、NPO等、多くの人々と連携し、これに積極的に取り組む必要があると考えます。
今後、緑の雇用事業を活用して国民的課題である地球温暖化防止の森林吸収源対策に県として具体的にどう取り組んでいくのか、農林水産部長にお伺いいたします。
三点目は、現在世界遺産登録に向け申請中の紀伊山地の霊場と参詣道の森林景観保全についてであります。
世界遺産登録推進三県協議会が発行するパンフレット等にも、今回の世界遺産登録へのキーワードとして「文化的景観」が掲げられております。そして、「「紀伊山地の霊場と参詣道」は、三重・奈良・和歌山の三県にまたがる「紀伊山地の自然」がなければ成立しなかった「山岳霊場」と「参詣道」、および周囲を取り巻く「文化的景観」が主役であり、日本で唯一、また世界でも類例のない資産として価値の高いもの」として紹介されており、「これらの「文化的景観」を守っていくには、単に神社や仏閣など文化財として指定されているものを保存すればよいというのではなく、基盤となっている自然もまた良好な状態で維持する必要があります」と記述されています。
今後、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産に登録された後、これら地域の文化的景観としての森林景観をどのようにして良好な状態で維持・保全していくのか、農林水産部長にお伺いいたします。
四点目は、緑の雇用事業で森林作業に従事する人々を活用した環境林整備についてであります。
本県は全国有数の森林・林業県であり、人工林率も全国の四一%を大きく上回り、六一%に達しております。しかし、それらの人工林が林業の不採算性などにより手入れ不足に陥ったため、県では十二年を期首とする緊急間伐五カ年計画を策定し、積極的に間伐を推進する等さまざまな施策を実施し、森林整備を行っていると伺っております。
一方、緑の雇用事業は、森林の環境保全のために間伐などの森林整備を行い、環境林をつくることを目的とされておりますが、従来から実施している森林整備と緑の雇用事業による環境林整備をどのように区別して実施していくのか。また今後、緑の雇用事業をきっかけに新たに森林作業に従事した人たち、また従事しようとする人たちをどのように活用して森林整備を行っていくのか。農林水産部長にお伺いいたします。
次に、JR紀勢線の利便性の向上についてお伺いいたします。
JR西日本は、紀勢線の紀伊田辺─新宮間の特急料金を一律五百円とすることを決めたということでありますが、このワンコイン割引は最大で千三百六十円から五百円に八百六十円も安くなり、最大六三%の割引率は国内でもほとんど例がないということであります。この割引は早ければ秋からも実施されるということでありますが、紀南へ観光に訪れる行楽客はもちろんのこと、私たち紀南地方に住む住民にとっても、観光交流や地域間交流がより一層図られるなど、大きく歓迎されるものであります。今回の決定は、世界遺産登録に向けての熊野古道を初めとする紀南の観光振興に取り組んでいる県や市町村へのてこ入れとなるものであります。
また、熊野古道への交通手段を整備しようとしている地元やバス会社と協力して、紀伊田辺と本宮や新宮間でシャトルバスを運行し、現行の路線バスでは行けない箇所をめぐってもらおうと、電車とバスのフリー乗車制度も検討しているということも聞いております。
これらの取り組みは、デフレ不況のさなか、この区間の平均乗車率が三〇%前後と低迷していることもあって、JR西日本が観光振興とともに乗車率のアップを図ろうというものでもあります。
紀伊田辺─新宮間での乗車数は年々減少してきております。各駅とも、一日平均乗車数は半減もしくはそれをやや上回っているといった深刻な数字となっており、観光立県を推進する和歌山県にとっても大きな問題であります。
また、列車の運転本数の推移を見てみますと、平成五年三月には紀伊田辺─新宮間では二十本から三十二本の特急が運行されていたほか、普通列車も二十本から三十六本運行されていました。これに対し、ことし三月時点では、特急列車の運行本数については十年前と同じではありますが、普通列車は最も運行本数の少ない串本─すさみ間で十六本となり、十年前に比べ四本も減少、最も運行本数の多い新宮─紀伊勝浦間では二十三本となり、十年前に比べて十三本も減少しております。
この普通列車は、公共交通機関の少ない紀南地方の住民にとっては貴重な移動手段であります。列車を使って通学する高校生や自動車の運転免許を有しないお年寄りにとっては大きなウエートを占めています。授業やクラブ活動の影響や病院での診察・治療がちょっと長引いただけで列車を一本乗りおくれると駅の待合で一時間余り待つといったケースも、数多く生じているからであります。
このように、列車を利用する子供や列車を使って通院するお年寄りたちにとっては、列車の減便は深刻な問題であります。特急料金が五百円になると物すごく利用しやすくなり、ありがたいことではありますが、この値下げとは逆に、JRは普通列車を減らすのではないかと危惧しているところでもあります。
さらに、紀伊田辺─新宮間においては平成十二年三月から、御坊─紀伊田辺間においては十四年十一月から、車掌のいない普通列車のワンマン化が実施されています。また紀伊田辺─新宮間にあっては、十一年十月にはほとんどの普通列車についてトイレ設備のない車両での運行になるなど、利用者にとっては大変不便なものとなっております。
このほか、同区間にある全二十九駅の駅舎のうち、二十を超える駅がJRの職員のいない無人駅となるなど、JRの経営改善が進められているところであります。
JR西日本は民営化された一企業であり、採算性を重視するのは当然の仕組みではありますが、公共性を有する企業として、このお年寄りたちの不安を解消させることも大事なことでないかと考えます。
県とJR和歌山支社では定期的な協議の場を設けていると聞いてございますが、年々減り続けている普通列車の運行本数や利便性等、紀伊田辺─新宮間の問題についてどのような方針で取り組んでいるのか企画部長にお伺いし、質問を終わります。
ご清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの小原泰君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌山の森林整備の基本的な考え方についてのご質問でございます。
ご質問の中にありましたように、現在、木の値段というものは低迷しておりまして、経済林的な発想でいくと、この豊かな和歌山の自然、森林というふうなものを保護することはなかなか難しい状況になっておりますし、一部の山持ちの人にすべての責任を負わせるということは基本的には難しいという状況にあるということは、私も同感でございます。
そういうふうな中で「環境」、これがまた二十一世紀に大きなキーワードになってきている。そしてまた、「都市との交流」。こういうことをキーワードにいたしまして、環境林・交流林というふうな形で和歌山の森林を別の方から光を当てて活性化していくということを考えました。新ふるさと創りという理念もそうでございますし、それから緑の雇用事業というのもそういうことでございます。
緑の雇用事業も、ともすれば何か山仕事に人を入れるというふうなことだけに矮小化されがちでございますけれども、そうじゃなくて大きく、山ばっかりの和歌山県のいいところを伸ばしていくトータルな施策として私は考えているつもりでございます。
そういうことでございますので、税金だけを使って雇用をしていくということではやはり十分ではないというふうな考え方もございますので、一方には世界遺産の登録なんかとあわせて、観光というふうな面で大きくこの和歌山の神秘の森林というものに光を当てていくということを考えておりますし、それからエネルギー対策でバイオマス発電というようなことが物すごく注目されてきておりますので、そういうふうなことにも打って出たいと思っております。
それから、もっと大きなことは、例えば公共事業にどんどん県産材を使っていく。今までは腐らないセメント──セメントでつくる、鉄骨でつくるものが一番いいというふうな発想でしたけれども、やはり環境に優しいということから言えば、腐ってくる木の方がいいと。江戸時代は、橋でも何でも皆木でつくっていたわけで、今すべてがそれでいけるというわけにはいかないと思いますけれども、そういうふうな発想の転換が必要だと思いますので、和歌山県の公共事業ではこういうものを優先して使っていくというふうなことも考えているわけでございます。
こういうふうなことがだんだんと広がってまいりまして、先週も内閣総理大臣が委員会で、和歌山の緑の雇用事業というのが物すごくいいんだということを言っていただきました。それから、きのうかおとついもまた委員会で、これは大阪の議員の質問に対して総理大臣がそういう趣旨のお答えをされました。これは、県が始めた緑の雇用事業というものが総理大臣の頭の中にも十分インプットされて全国的に広がっていくというふうなことで、私はうれしいことだと思っているわけでございます。しかしながら、さらに和歌山の森林というふうなものをもっともっと売り出して、ここから和歌山の富を引き出していくためには、これからより一層県議会等と協力しながら新しい施策というものも生み出していく必要があるのではないかと思いますので、またいろんな形でのご示唆をお願いしたい、このように思っているところでございます。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 紀州木の国の森林整備についての三項目についてお答えいたします。
まず、地球温暖化防止に係るCO2吸収源としての森林整備についてでございますが、国の地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策に沿い、健全な森林の育成に向けた間伐等の推進を初めとして、保安林の保全対策や路網整備の充実、また緑の雇用担い手育成対策による森林整備の担い手の育成・確保、さらには森林吸収源対策に関する幅広い国民の理解と参画に向けた森林環境教育等の推進などを一層推進してまいりたいと考えてございます。
特に本県では、現在、緑の雇用事業により、杉・ヒノキ林の間伐を強度に実施することによる広葉樹との混交林化の促進や適地に適正な森林更新を進める観点から常緑広葉樹の植栽を進めるなどの森林の活力を高める環境林整備を推進しているところでございまして、今後ともこうした取り組みなども含めて総合的な森林整備を進め、森林吸収源対策に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
次に、熊野古道等世界遺産登録後の森林環境保全についてでございますが、県では平成十三年度から緑の雇用事業を活用し、熊野古道や高野山町石道の周辺森林において、手入れ不足のために見晴らしが悪くなっている箇所につきましては枝払いや抜き切りを行い、古道からのすばらしい眺めを取り戻せるよう努めているところでございます。また、植栽後間伐されずに荒廃した森林、あるいは風倒木により美観を損ねている森林につきましても、同様の作業により風景の美化に努めているところでございます。このほか、伐採後植栽されずに放置されたままの箇所につきましても、広葉樹の植栽などにより、自然環境豊かな森林づくりに努めているところでございます。
世界遺産登録後におきましても、地域の関係者から成る熊野古道周辺森林整備検討会や高野山町石道周辺森林整備検討会などと連携しながら、緑の雇用事業の活用により、多様で美しい森林づくりを進めてまいりたいと考えてございます。
次に、緑の雇用で森林作業に従事する人たちを活用した環境林整備についてでございますが、林業経営を目的としている森林については各種補助事業により森林の整備を進めてございます。
一方、採算がとれず、林業経営が放棄された人工林や周辺環境との調和の面から広葉樹林に誘導する必要がある人工林など、従来からの補助事業だけでは整備が進まない森林がふえてございます。緑の雇用事業では、これらの森林を森林所有者と市町村とが環境保全協定を結び、強度な間伐により針葉樹と広葉樹が入りまじった混交林とするほか、放置された伐採跡地については広葉樹を植栽するなど、環境に配慮した多様で豊かな森づくりを行うこととしてございます。
今後、緑の雇用事業を第一ステップとして、さらにこの事業に従事している方々に環境林の整備に携わっていただくため、緑の雇用推進県連合の八県が共同で地球温暖化防止に向けた新たな環境林整備事業の創設を国に対して強く働きかけているところであり、その実現に向け、一層努力してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) JR紀勢本線の紀伊田辺─新宮間の普通列車の利便性向上についてでございますが、議員ご指摘のとおり、利用客の減少に歯どめがかからない状態でございます。またJRは、完全民営化に伴い、減便、ワンマン化などの経営改善策を進めてきたところでございます。
現在のところ、普通列車のさらなる減便の予定はないとのことでございますが、県といたしましては、沿線市町村とともに利用客を一人でもふやすことや駅でのにぎわいをつくっていくことが最も効果的な対策であるとの認識のもと、地元の広報誌等を利用した住民への啓発や、カヌーレンタル等の観光拠点としての古座駅、また介護拠点としての紀伊富田駅などといった駅舎の有効活用を進めてきたところでございまして、今後も利用促進の啓発や無人駅舎等の活用をさらに進め、トイレなし列車対策等についても鋭意協議をしてまいります。
来年度の世界遺産登録を控えて沿線への注目度も高まる中、路線の活性化と利便性の確保について、より積極的に取り組んでまいります。
以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、小原泰君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十二分休憩
─────────────────────
午後一時三分再開
○副議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十三番藤井健太郎君。
〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
県議会初質問でございまして、意の尽くせぬところも多々あろうかと思いますが、その点はご了承よろしくお願いいたします。
まず、平和行政についてお尋ねをいたします。
ご承知のように、我が国の憲法前文には「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とあります。いわゆる平和的生存権と言われるものですが、憲法はひとり我が国の国民だけではなく世界じゅうのすべての人々が平和のもとで生活を送ることができる権利を認めています。また、その九十九条では「公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とあります。したがって、行政は住民が平和のもとで暮らしていけるように努めていかねばならないということです。忘れがちでありますが、平和を維持する不断の努力の上に立ってこそ、さまざまな行政課題の追求もできると思います。
平和に相対するのが戦争です。「和歌山市戦災復興誌」によりますと、昭和二十年七月九日、和歌山市への大空襲で死傷者約六千人、焼失家屋約三万三千戸、罹災者十一万人、市内中心部六百三十三ヘクタールが焦土となったとあります。今なお、戦争の傷跡や後遺症で苦しんでおられる市民の方が少なからずいらっしゃいます。戦争ではなく平和を、私は平和を維持するための努力は何物にもかえがたいと思うわけですが、この際、知事の存念を聞かせていただきたいと思います。そして、平和という問題についてどのように取り組もうとされているのか、あわせてお伺いをいたします。
いま一つは、今国会で有事法制が成立をいたしました。今後その具体化としての国民保護法、米軍支援法などの立法化が進められるということです。このほど成立しましたいわゆる武力攻撃事態法、これは我が国の定義がなく、自衛隊の海外における武力行使をも可能にする、そういう法律であろうかと思いますが、地方自治体の責務が定められております。自治体行政や住民生活への影響はどのようになるのでしょうか。
私は、施政権の及ぶ我が国領域への直接攻撃を受けたときの備えとしてならまだいざ知らず、海外での軍事力の行使のために、またその反撃を想定しての戦時体制づくりに住民や住民の財産が動員されることはあってはならないと思うわけです。また、そういう事態をつくってはならないと願うものです。軍事力によらない平和の維持の追求を地方自治体としても努力をしていただきたいと願うものですが、政府の考える有事法制に対して、知事の所見と今後想定される地方自治体に関連する立法についてどのように対応されようとしているのかをお伺いいたします。
次に、和歌山市の和歌浦干潟の保全についてお尋ねをいたします。
和歌山市の中心部を流れる和歌川は、その河口部に干潮時になると巨大な干潟をあらわします。その面積は約三十五ヘクタールで、近畿最大規模と言われています。生息する生物は約三百種類と推定され、貴重種も多く、生物の宝庫とも言われております。瀬戸内海国立公園の区域にも近く、和歌浦周辺一帯の海岸線の保全が望まれているところでもあります。
この干潟は、一時はヘドロの堆積が進んでいましたが、漁業権を持つ漁協の再生への努力や公共下水道の普及とも相まって、以前に比べるとアサリの稚貝が育っているなど、再生しつつあるのではないかとの関係者の期待が持たれています。片男波砂州から和歌浦干潟、そして名草山を展望する景観は、万葉時代をほうふつとさせる和歌山北部を代表する景観の一つでもあり、県の施設である万葉館が片男波砂州の上に開設をされています。片男波公園は県民の憩いの場でもあり、和歌浦一帯は歴史的景観を持つ観光スポットとしても注目をされています。
今日、地球規模での環境問題が論じられている中、和歌山の自然環境を保全し、将来に継承していくことは、私たちの世代がしておかねばならない仕事だと思うところです。県の和歌浦干潟についての基本的な考え方、対応についてお聞きをし、保全のための努力を求めたいと思います。
そこで、環境生活部長にお尋ねをいたします。
一つ、和歌浦干潟についての基本的な認識をどのように持っておられるのか。
二つ目に、県が策定した環境基本計画での和歌浦干潟の位置づけはどのようになっているのか。
三つ目に、改正河川法では従来のコンクリートで固めた護岸改修ではなく、住民の意見を反映させることや自然再生型河川整備が言われています。また和歌山型の公共事業のあり方ということも言われているわけですが、和歌浦干潟をめぐる公共事業のあり方を考えていくためにも、和歌浦干潟そのものの保全と再生を環境政策に位置づけ、そのための組織と事業計画の策定が必要ではないかと思われますが、いかがでしょうか。
次に、農作物の鳥獣被害とその対策についてお尋ねをいたします。
本県の近畿二府四県の中で占める農業の位置を見てみますと、一九九九年の数字ではありますが、全人口に占める農業就業者の割合はトップ、一人当たり農業粗生産額もトップ、とりわけ果実の生産額が十倍近くあり、青森、長野、山梨と肩を並べての果樹王国であることもわかります。野菜の生産額も兵庫、京都に次いでおり、耕作地面積の比較から見ると高い生産性を上げていると思われます。生産者を初め関係者の努力のたまものと思うわけですが、近年、農業生産をめぐる環境が厳しさを増してきているだけに、農業を本県の基幹産業と位置づけて振興策の拡充を図る必要があると思われます。
本県の地理的条件でもありますが、中山間地域で農業経営されている方が頭を痛めている問題として、農作物の鳥獣被害の問題があります。朝収穫に行くとイノシシもしくはイノブタにすべて掘り起こされていた、このミカンの木は猿のために植えているようなものという話を聞きます。県は農作物被害に対して被害防除と駆除の両面から対策をとられていますが、被害の実態から見て果たして十分な対応と言えるのかどうか、今後の対応をどのように考えておられるのか。鳥獣の生息状況や生態の調査を初め、被害防止のための本腰を入れた取り組みが求められていると思われますが、関係部長に何点かお尋ねをいたします。
一つ、鳥獣被害の現状をどのように把握をされ、認識をされておられるのか。また、現状の対策と今後の方向をお示しください。
二つ目に、和歌山県北部において移入種であるタイワンザルについて特定鳥獣保護管理計画を策定し、捕獲事業を行っていますが、その進捗状況と今後の見通しについてお答えください。
三点目に、今回の構造改革特区、和歌山も認定をされておりますが、その中の新ふるさと創り特区の内容の一つとして有害鳥獣捕獲における狩猟免許を有しない従事者を容認すると、こういう内容がございます。この特区で何が期待でき、どのような効果があるのか、お尋ねいたします。
次に、介護保険事業についてお尋ねをいたします。
今年度、介護保険の事業計画の見直しにより新たな保険料体系が設定をされました。六十五歳以上の一号被保険者の保険料の全国平均は、改定前の二千九百十一円に比べ一三・一%アップの三千二百九十三円となっています。年金が引き下げられたもとでの保険料引き上げが高齢者の生活を脅かし、必要な介護サービスの抑制につながりはしないか、懸念がされます。今回の事業見直しによって県内の保険料の標準負担額の地域間格差が改定前の一・五倍から二倍へと広がりました。
また、保険料の所得区分によって保険料が定額で五段階もしくは六段階に区分をされておりますが、この中の矛盾も広がっています。第一段階は、生活保護世帯もしくは老齢福祉年金受給者で非課税世帯となっております。第一段階より高い保険料が設定されている第二段階は、世帯員が非課税であるというくくりだけで、収入ゼロから年金収入年額二百六十数万円までの非常に幅の広い所得区分となっていますが、今回の保険料改定によって収入に対する保険料負担率の開きが一層拡大をしております。保険料が負担できなければ介護サービスが受けられない事態ともなります。保険料のきめ細かな低所得者への配慮が求められていると思います。
また、最近、通院や施設などへの移送サービスについての苦情がふえ、改善してほしいという訴えをよく耳にします。今年度は介護報酬の変更もあって、通院に利用されていた介護タクシーについてタクシー運賃の新たな負担が生じることになったり、予約でいっぱいで数カ月後でないと新規に利用できない、こういう問題、また市町村が行っている高齢者生活支援事業の一つとしての移送サービス、これを実施をしていない自治体があることなど、県民の要望にこたえ切れていないのではないかと、このようにも思います。
県は、これまでホームヘルパーやボランティアが自家用車を利用しての有償での移送は認めない方針を示してきました。ところが、今般の構造改革特区において福祉分野の特区として社会福祉法人やNPOが行う自家用車を利用しての有償移送サービスも認められるようになって、他府県では採用する自治体も出てきております。利用者の通院や移送についての選択肢を広げ、必要とする移送サービスが受けられるように改善を進めることが求められていると思います。
そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
一つ、今回の介護保険事業の見直しについて、とりわけ保険料の地域間格差についての認識をどのように持っているのか、また県としての緩和策があるのかどうか。
二つ目に、保険料の第二段階に区分されている人で第一段階より低い収入の人もあります。また、第二段階の所得区分は非課税というくくりだけになっていて、非課税世帯の中でもより所得の低い人への配慮が必要なのではないでしょうか。県当局の見解と今後の対応についてどのように考えているのか、お尋ねいたします。
三つ目に、移送サービスについて現状はどのようになっているのか。供給側が利用者の要望に追いついていない自治体も多いのではないでしょうか。今後どのような方針を持って進めようとされているのか。
四つ目に、NPOやボランティアが移送サービスに取り組める条件整備を今後どのように進めていくのか。また、移送車への補助制度など検討できないものかどうかをお尋ねをいたします。
最後に、健康対策についてお尋ねをいたします。
わかやま21世紀健康づくり推進会議から、県民みんなの健康づくり運動「元気わかやま行動計画」が提言をされております。早朝の和歌山城公園を初め各地域の公園や広場では、中高年の皆さんがウオーキングを初め体操など、それぞれの運動をしている姿をよく見かけます。また、肥満や糖尿病、高血圧の予防、病後のリハビリとして和歌山市にある県の体力開発センターのプールを利用している人も多くあります。
しかし、一方では、総務省統計局の社会生活基本調査を見てみますと、県民が生活時間の配分及び自由時間に余暇活動としてどの程度スポーツに時間を割いているかという設問では、本県は全国平均値の七二・三よりも低く六七・六という指数で、近畿では実に最低となっております。スポーツを楽しんでいる人口や時間が短いということを一方ではあらわしております。
元気わかやま行動計画の中の推進体制の整備として、県民の健康づくりを実践するためには地域活動の活性化が重要として、自主的グループの育成・支援を行うとあります。そのためには、指導者と身近に利用できる施設がどうしても必要であります。行動計画には健康運動指導士などの専門資格職の養成確保が必要ということ、また健康づくりの中核となるセンターの設置等、健康づくりの基盤整備を行うとも書かれてあります。指導者と施設の確保など、県としての受け皿づくりをどのように進めていくのか、関係部長にお尋ねをいたします。
一つ、健康対策とスポーツ振興についての基本的な考え方をお聞かせください。
二つ目、県民みんなの健康づくり運動を進めていく上で、指導員や専門資格職の養成など、体制づくりはどのようになっているのか。
三つ目に、屋内スポーツ施設の耐震診断、耐震補強や整備がどの程度進められているのか。建てかえが必要な施設が放置をされているということはないのか。
四つ目に、市民が気軽に利用し、専門家の指導が受けられる県の施設として体力開発センターがあります。先日もこの会議で議論されたところでありますが、和歌山市内のセンターは年間十一万人を超す利用者があるということです。この施設の利用者はここ数年増加傾向にあり、特に一年じゅう利用できるプールの利用者がふえてきています。この施設の存続、充実を私は望むものでありますが、今存廃問題が議論をされているということでもあります。県民の健康増進、健康日本21和歌山県での実践を進めていくためにも、また県民の生涯スポーツ振興の拠点の一つとして、より充実を目指して整備を進めていくべきではないのかと思うところですが、いかがでしょうか。
以上、お尋ねをいたしまして、私の第一問といたします。
○副議長(吉井和視君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 平和についてのご質問でございます。
恒久平和というものは人類永遠の願いであり、我が国もこれを国是としているところでございます。ただ、二十一世紀、東西冷戦構造が終わったら平和な世界が来るかと思っていたわけですけども、大変いろんな地域で紛争が起こっております。毎日のように、自爆テロで若い人が死んだり、そしてまたそれを受けた側もたくさん死んでいるというようなことがテレビで報道されたりして、本当に心を痛めているところでございます。
ただ、こういうふうな状況であればあるほど、この平和を愛するということの重要性は輝きを増してくるというふうに思うところで、私はこの日本の国の恒久平和を願う気持ちというのは非常に立派なものであるというふうに思っているところでございます。
こういうふうな中で、今般、有事法制に関する法律が成立いたしました。今も申し上げましたように、日本の国も戦後五十数年、非常に平和な中に世の中が進んできたわけでございますけども、最近の世界の情勢を見ると、日本だけがこういうふうな状況のらち外にあるというふうなことは難しい状況になってきているのではないかというふうに思っているわけでございます。
そういうふうな中で、やはり日本に──まあこれはないことだと思いますけども──他国が攻め込んで来るというふうなときにどういうふうに対応するかという手続を定めてないというのは、これはやはり今の時代状況からは適切でないというのもまた私の基本的な考え方でございます。
ただ、その中で、国民を守る国民保護法制が一緒にできれば非常によかったんですけども、これがこの有事法制施行後一年以内に検討するというふうなことになっているわけでございます。現在、私は最後の沖縄県知事・島田知事──官選の知事の方ですけども、もう沖縄が戦場になるということを覚悟の上で沖縄へ行って、そして県民を守って自分も亡くなられたという方の本を今読んでいるところでございますけれども、しかしながら、日本で唯一戦場になったその沖縄で、必ずしも沖縄県民の権利が守られなかったというふうなことが、そういう島田知事のような立派な人がいても──これはまあ戦争中だから仕方がないということはありますけども──そういう事実があったこともまた疑いもない事実でございますので、そういうことから考えてもこの国民保護法制ということは非常に重要なことだと思いますし、この保護法制の中に和歌山県民が守られるような形の内容になっていくように、私もいろいろな機会を見て発言をしていきたいと、このように思っております。
○副議長(吉井和視君) 環境生活部長津本 清君。
〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 和歌浦干潟の保全についてのご質問にお答えいたします。
まず基本的な認識についてでございますが、和歌浦干潟は本県最大の干潟であり、平成十三年の調査では三十七種の貴重種を含む二百八十九種の生物が生息し、豊かな生態系を有しており、環境省の重要湿地五百にも指定されております。現在の干潟の状況は比較的良好に保たれておりますが、和歌浦干潟は県民の貴重な財産でもありますので、干潟環境を損なわないよう配慮していかなければならないと考えております。
次に、環境基本計画での位置づけについてでございますが、干潟はカニ、貝などの小動物のすみかであるとともに、それらをえさとする鳥類も多数集まる場所であり、環境基本計画の中では「わんど、干潟、藻場、砂場など多様な生物の生息基盤となる自然環境を保全します」と位置づけております。
三点目のご質問の干潟保全のための組織と事業計画についてでございますが、現在の和歌浦干潟の状況は比較的良好と思われますが、干潟の保全について課題が予測される時点において、関係者と相談しながら干潟保全に向けた必要な取り組みや対策、並びにこれらを協議する組織を含めて検討してまいります。
続きまして、農作物の鳥獣被害対策について、一点目のご質問の鳥獣被害対策と今後の方向についてでございますが、農作物に大きな被害を及ぼす有害鳥獣捕獲を促進するため、本年四月十六日から第九次鳥獣保護事業計画を改定し、捕獲方法、捕獲時期等の許可基準を大幅に緩和したところでございます。また、市町村が行う有害鳥獣捕獲に対する助成を、従来から実施している猿に加え、平成十三年度からイノシシ、平成十五年度からアライグマを対象に実施しております。今後とも、有害鳥獣捕獲がより促進されるよう努めてまいります。
次に、二点目のご質問のタイワンザルの捕獲事業の進捗と今後の見通しについてでございますが、平成十三年九月のサル保護管理計画の決定を受け、えづけを行いながら二カ所の大型捕獲おりを建設してまいりましたが、本年三月、おりが完成し、直後の三月二十八日、二十九日の両日、計十八頭捕獲いたしました。今後は、電波発信器による群れ位置確認やえづけ方法を工夫しながら、特に山にえさが少ない時期を重点に捕獲するなど、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
三点目のご質問の新ふるさと創り特区と有害鳥獣捕獲についてでございますが、中山間地域を中心に野生鳥獣による農作物被害が増加するとともに、狩猟者の減少、高齢化により有害鳥獣捕獲に従事する者を確保することが困難な状況にあることから、安全性等が確保される場合、網・わな狩猟免許所持者の監督のもと、免許を所持していない者が有害鳥獣捕獲に従事できることといたしてございます。このことにより、有害鳥獣捕獲のより円滑な実施が図られることと考えております。なお、対象地域は十二町村となってございます。
以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 農林水産部長阪口裕之君。
〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 鳥獣被害の現状と対策等についてでございますが、平成十四年度の農作物被害金額は約三億二千万円で、イノシシが最も多く約一億一千八百万円、次いでカラスが約七千万円、次いで猿が約五千三百万円など、県内で大きな被害が出ており、生産者が苦慮していることは十分認識してございます。
県といたしましては、従来の国庫補助事業の活用に加えて、平成十三年度に県単独の農作物鳥獣害防止対策事業を創設しまして、市町村との連携を図りながら地域の実態に即した防護さくや電気さくの設置に努めているところでございます。
今後とも被害防止に向けてのハード事業を進めるとともに、専門家を招いての研修会の開催や本年度設置されました有害鳥獣対策連絡会での協議など、関係部局と一体となって取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(吉井和視君) 福祉保健部長白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) まず、介護保険についてお答えいたします。
介護保険料についてでございますが、平成十五年度からの本県全体の介護保険料につきましては、平均保険料は三千五百二十七円で、平成十四年度までの保険料二千九百十円に比べ六百十七円、二一・二%の上昇となっております。これは、介護保険制度の普及に伴い施設・居宅の各種介護サービス利用量が増加したことによるものでございます。
ご指摘のとおり、各市町村により保険料の格差が見られますが、これは介護サービス利用量の相違等によるものであると考えられます。こうした保険料の設定につきましては基本的には保険者である市町村の問題であり、各市町村においても独自の保険料減免措置が講じられております。
次に、保険料の低所得者への配慮についてでございます。
県といたしましては、保険料算定のための所得段階区分については、低所得者層、特に二段階区分層への賦課基準の見直しを行うなど、生活困窮者に対する減免要件を法令上位置づけるよう国に要望しているところでございます。
次に移送サービスの現状についてでございますが、現在、移送サービスについては、公共交通機関や介護タクシーのほか、市町村においても移送車両により居宅と福祉施設や病院などとを送迎する外出支援事業等が行われております。県はこの事業を実施している市町村に対し補助を行っており、今年度は前年度比約一・五倍の九千九百万円を予定しております。
なお、介護タクシーについてでございますが、移送は介護保険給付対象外でありますが、介護報酬適正化の観点から今回、乗車・降車の介助に対する介護報酬が設定されたところでございます。今後の移送サービスについては、この介護タクシーや公共交通機関あるいは市町村による外出支援事業などを組み合わせて行うことが適当であると考えます。
次に、NPOやボランティアの移送サービスの整備につきましては、今後、地域の実情に応じた対応等について検討してまいりたいと考えております。
なお、移送車購入への補助につきましては、外出支援事業の中で行っております。
次に、健康対策のうち健康づくりと指導員養成についてお答えいたします。
健康日本21を推進するため、本県は元気わかやま行動計画を策定いたしております。この計画では、日常生活における身体活動の重要性をうたうとともに、生活の質の改善や生活習慣病の予防等のための具体的な目標値を設定しております。この計画を推進するため、健康運動指導士養成講習会に参加するなど指導員の養成にも努めております。健康日本21が県民の健康づくり運動として広く浸透するためには市町村の計画策定が必要で、策定に当たっては県も保健所等を通じ支援を行っております。
今後、この運動を実行性のあるものにするためには、関係機関等との連携を図るとともに、学校や企業の運動施設の開放や公共スポーツ施設の利用時間の拡大等を推進するほか、健康運動指導士等による啓発や実践活動等を積極的に推進してまいりたいと考えております。
以上です。
○副議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツの振興、とりわけ生涯スポーツについてお答えします。
すべての人々がそれぞれのライフステージや特性などに応じ主体的、継続的に日常生活の中でスポーツに親しめるよう、県民の健康・体力づくりの充実、各種スポーツの普及などを推進するため、さまざまな施策を展開しております。
次に、県立体育館などのスポーツ施設の耐震診断については、現段階では実施しておりませんが、今後、耐震改修も含め、最も経済的で合理的な対応策を検討してまいりたいと考えております。
最後に、体力開発センターは体操教室、水泳教室、健康講座を開催するとともに、プールを利用してリハビリに活用されるなど、多くの県民に親しまれております。今後も高齢者等の健康維持を初め、さまざまな教室の内容を充実させて実施してまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十三番藤井健太郎君。
〔藤井健太郎君、登壇〕
○藤井健太郎君 再質問を行わせていただきますが、初めての登壇でもございますので、要望ということになろうかと思いますが、ぜひ聞いていただきたいと思います。
初めて県の皆さんから、知事からも答弁をいただいたわけでありますが、全体としてもう一歩前に出た施策展開を進めてもらいたいという印象が残りました。
平和の問題で知事は、今日、地域的な紛争、民族紛争というのが絶えない状況にあって、さきのイラク戦争でもそうですが、平和という問題、恒久平和を願う気持ちというのは大切にしなくてはいけないという答弁をしていただきました。日常的にはこの平和という問題を意識しながら生活するというのはほとんどないんじゃないかと思うんですが、今日よく生活の中でそれを感じるようになってきたわけです。
そういう中で、恒久平和を願うという答弁でもありましたので、ぜひ、思いだけではなくて目に見える形での施策展開をしていただきたいと思うんです。例えば、五月三日の憲法記念日であるとか、七月九日の和歌山市での大空襲を受けた日、八月六日、九日、広島、長崎に原爆を投下された日、八月十五日の終戦記念日、平和を顧みる機会というのは多々あるわけでございまして、そういうときにひとつ県が主催をして講演会やシンポジウムを行うということで、被爆の実相や戦争体験を語り継ぐ。私どもはもう戦後の時代ですから、そういう思いというのが実感としてございません。しかし、やはり語り継いでいくということは大事なことだと思うわけです。平和を意識するそういう取り組みというのもぜひ検討していただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
また、今、政府の方ですが、周辺事態法を初め今回の有事法制、受けとめ方はそれぞれいろいろあろうかと思うんですが、しかし、大事なことは、このような有事法制が発動されないにこしたことはないと思うんです。そういう意味での国際環境づくり、憲法の要請でもありますが、そういう呼びかけをひとつ和歌山から発信していってはどうかと。平和行政を推進していくという一つの中身にもなりますので、ぜひその具体的な取り組みを期待をして、今後推移を見ていきたいと思います。
和歌浦干潟の保全と再生の問題ですが、干潟そのものに着目した事業やそれを推進する体制というのは今のところないと思うんですね。部長からは干潟環境を損なわないよう配慮しなければならないと考えているという答弁がありましたが、考えているだけではだめだと思うんです。環境基本計画の位置づけを聞きましたが、それには干潟の保全が位置づけられているという答弁でもございましたので、ぜひ事業化を進めていただきたいと思います。
現在の状況は比較的良好だと、このように言われておりましたが、自動的にそうなったのではありません。一問でも申し上げましたけど、関係者の並々ならぬ努力、住民の和歌浦干潟を注視する、そういう中でこの干潟が保全をされ再生されつつあるということで期待が高まっているわけですから、そういうこともぜひ理解をしていただいて。現在、この片男波公園の護岸の工事についてどうするかということが検討されております。知事の立場も既に表明をされておりますが、これを機会に干潟そのものの保全と再生を進めるという、干潟そのものに着目をした取り組みというものをぜひ進めていただきたいと、これも要望しておきたいと思います。
鳥獣被害の問題ですが、地元は大変苦慮をし、頭を痛めております。十分認識しているという部長の答弁がありましたけども、まずそのことをよく理解をしていただきたいと思うんです。これは和歌山の特性であるとも思うんですが、中山間地域での農業経営をされている方というのがたくさんいらっしゃいます。そこでは、高齢化も進み、後継者もないということで、耕作放棄される田畑というのも多くありまして、人手が入らないことによってそれが動物たちの一つのすみかにもなってくるということもあるという話を聞きます。中山間地域での農業振興をどのように進めていくのかということもしっかりと位置づけをして、鳥獣被害対策だけではなくて、そういう農業振興の中にも位置づけをしていただきたい。この問題については、地元関係者とよく協議をして積極的に対応をしていただきたいということを要望しておきます。
介護保険の問題ですが、新しい事業計画の見直しで事業量が、確かにふえた自治体とかそういった自治体間の格差はありますが、保険料の格差も随分と開いてまいりました。県においては低所得者対策を国に要望しているということですが、それはそれで国の方で実現するまでぜひやり続けていっていただきたいと思うんです。しかし、ここで、国待ちではなく、昨今、地方分権、地方主権といいますか、地方が主体となってこういった介護問題や福祉問題に対応していくということが言われておりますので、ここはひとつ和歌山方式というものをつくり出していただいて、すべての県民が必要とする介護サービスを受けることができると。これは介護保険からの給付もあるでしょうけども、高齢者福祉の施策としてもぜひそのように位置づけて和歌山方式というものをつくり出していけたらなと、そういうふうに思うわけです。
部長の答弁では、高齢者生活の支援事業、採用する自治体についてはそれが採用されているわけですが、県下全域ではありませんね。これは、地域の特性もさまざまあろうかと思うんですが、非常に財政的な問題で苦慮している自治体もたくさんあると思うんです。その地域に応じたそういった高齢者福祉施策のあり方というのもあろうかと思うんですが、ぜひその点も十分に配慮をいただいて、現在では十分ではないと思いますので、県民が必要な介護が受けられないというような事態にならないように努力をしていただきたいと思うんです。
今、NPOやボランティアというのが注目をされておりますが、県民の自主的な地域福祉の向上のための取り組みを支援するということも県の大事な施策でもあります。そういう点で、今回、市町村での介護保険事業計画や保健福祉計画の見直しが行われたところでもありますので、一度県内自治体の状況把握を行って、県として適切な支援策が講じられるようにひとつ努力をしていただきたいと思います。
最後に、健康対策と指導員の確保、施設の整備の問題でありますが、私、常々思うんです。和歌山というのは非常に自然環境に恵まれている。気候も温暖で、日照時間も長い。そういう中で、心臓病やがん、また生活習慣病というのが多いという、心臓病やがんでの死亡率も高いという県になっているのが不思議だなと思うわけですが、このあたりの研究と対策も必要だと思うわけです。
一方では、県民がどのぐらい健康増進として運動を取り入れているか、スポーツを取り入れているかということを見ますと、全国的に見ても非常に低いという中で、力を入れていく必要があろうかと思うんですが、部長のお話ですと、運動を実行性あるものにするためには関係機関との連携なくしては進まないと、こういう答弁でした。福祉保健部や教育委員会に限らず、関係部局が連携をとりながら効果的に進めていただきたいと思うんです。答弁では一般的な方針しか示されておりませんでして、こういうことも、ああいうこともやっているよという話でしたが、それが具体的にどのような内容になっていて健康対策、健康増進につながっているのかというのがよくわかりませんでした。また機会があるときにお尋ねをしたいと思うんですが。
それと、屋内施設の耐震診断がまだできていないというお話でした。和歌山市中之島には県立体育館があるわけですが、ここは県民の災害時における避難場所にも実は指定をされております。千九百人の収容予定ということで、炊き出し施設もある、鉄筋づくりだということで、多くの県民は大丈夫だと思っているんじゃないかと思うんですが、耐震診断もされていないということで、施設整備がその点でも大丈夫なのかという問題もわかりました。
体力開発センターの問題については、内容を充実させていきたいというお話でありました。県民のニーズに合った施設の一つとして維持をし、存続をさせ、充実させていく方向をぜひ打ち出していただきたいと思います。
財政上のさまざまな問題もあろうかと思うんです。最も経済的な──何とおっしゃったんですかね──方法というんですか、早急に検討していくというようなお話もありましたが、県民の健康増進を通じて、やはり医療費や介護費用のコストダウンを図っていくという観点もぜひ視野に入れて取り組んでいただきたいと思うんです。
幾つか申し上げましたが、こうした県民生活に密着した事業を進めていくというためには、やはり予算と体制が必要だろうと、そういうふうに思うんですね。和歌山県も非常に厳しい財政状況の中で苦慮をしているように見受けられるわけですが、限られた財源の中で、庁内での行政の事務のあり方、絶えず見直しを進められて、県民サービスと福祉の向上に予算と人員を振り向けるように努力をしていただきたいということを申し上げたいと思います。
きょうは、初めての登壇ということでもございました。また、幾つかのご要望も申し上げました。また機会を見て、要望申し上げたことについてまた質問をする機会もあろうかと思いますので、当局の皆さんにはぜひ私の意を酌んでいただきまして努力をしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十七番原 日出夫君。
〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 今回、私は、質問の項目はほとんど具体的に、課題を県行政と私たち県民が力を合わせてどのように実現していったらいいかなということを主体的に発言させていただきたいと思います。
最初に、県の基幹産業である農業、林業を発展させるため、私から提言したいと思います。
まず最初に、一番目の農業経営を持続的に発展させるためにということでございますが、そのうちでとりわけ二点についてお聞きしたいと思います。
一つは、農業生産資材価格の引き下げの指導についてですが、農業経営を維持していくためには生産コストを下げる以外に道はありません。デフレ経済や需給の緩和、輸入品との競合などにより農産物価格は下がる一方の中で生産者の所得を確保していくためには、生産コストの大きな役割を占める資材費の低減が不可欠であります。
ちょっと皆さんに資料を配る時間がなかったんですが、まず知事にこの表を見ていただいて──済みません、失礼します。(資料を渡す)
こういう表にしているんですけども(資料を示す)、上の黒いのが生産資材の価格です。赤いのが農産物価格指数ですが、これを見ていただくと、農業生産資材価格指数は低減率は非常に低くて案外横ばい状態の価格をしていると。それに比べて農業生産物価格指数は──この赤ですが──急激に農産物の価格が、先ほど言いましたように低下している、下がっているという状況を示しています。本来、この相関関係が、農業の交易条件指数としてこの青色が黒と赤の間へ入らないと平均的な価格安定ということにはならないわけですが、余りにも農産物価格が低過ぎて、そのために農産物資材が案外下がらない、それに並行して下がらないという矛盾を今抱えております。それをあらわした統計であります。
そこで私は、日本の生産資材の小売価格、つまり農家が購入する価格でありますが、その原価構成は、肥料では製造原価が六割、残りの四割が販売手数料や物流経費──包装費とか荷づくり費を含んで──となっております。これらの資材の流通経路を見ると、供給は農協系統と商系の複数ルートで行われているものの、肥料の九割、農業薬剤の七割が農協を通じて農家に供給されているのが実情です。農家の経営を維持していく上で今メスを入れ改善すべきなのは、生産資材コストを低減させることです。
国の指導は、平成八年に策定した農業生産資材費低減のための行動計画を今回さらに充実させるため、平成十三年六月に改定し、製造・流通の関係団体及び都道府県にも行動計画を策定することを指示し、その計画に即して毎年度、自己点検、評価を行い、その結果を農業生産資材問題検討会に報告し、計画の実施状況を検証、確認することとしています。また平成十四年七月には、全農が策定した生産資材コスト削減の取り組みについての中では、生産資材コスト最大二〇%削減を実践すると明記されています。
しかし、肥料等の価格は、低減するどころか、上昇しているのが現状であります。県は、国から指導のあった行動計画により、農家の実態、農協系統の改革の取り組みの実態をどのように把握し、改善のための取り組みがなされているのか、農林水産部長のご見解をお尋ねします。
次に二つ目ですが、梅の生産と園地拡大の考え方についてであります。
ことしの梅の生産量は、ご存じのとおり、平年の六〇%の状況であります。日本一の紀州梅ブランドを守るには大変厳しい状況です。自然災害、生育不良、樹木の老木化、土壌の弱体化等の影響、しかも農家の高齢化により急傾斜の園地の課題もあって、生産量を維持することは大変厳しい状況です。市場を初め加工業者は、紀州梅は一定確保する必要があります。県内の梅の栽培面積は、平成十一年から十四年を見て約三百ヘクタール増加しているにもかかわらず、生産量は横ばいでございます。今後の梅の生産量と樹園地拡大、とりわけ良好な営農条件を備えた農地の確保について、あわせて農林水産部長の考えをお尋ねします。
農業後継者の育成支援については、いろいろと要望したいわけですが、当局のいろんな形での努力をお願いしたい。とりわけ、新規就農者の実情、農業後継者を育てることの難しさ、子供たちが農業に親しめる状況。リタイヤ組でもまだ若い。この人たちの農業へ向かえる条件。知事が言う都市と農村、いわゆるスローライフと言っていますが、そこへの着目。しかし、いずれにしても、農業で生活をするということは大変な苦労と厳しさがあります。和歌山県の基幹産業である農業。それを支えるのは園地ではありますが、しかし、人材確保がまず優先されなければなりません。そういう意味で、農業後継者を育成するための努力を要望しておきたいと思います。
次に、有機性資源を活用した環境保全型農業の取り組みについてお聞きします。
農業生産活動と環境問題と、密接な関係を持っています。例えば、一つの側面から見て、農業生産での化学肥料、資材の多くの投入、大量消費化がエネルギー消費量を増加させ、農業分野からの二酸化炭素の排出量は他の分野に比べて少ないとは言えません。二つ目の側面は、食品の安全から見た農業生産のあり方の中での減農薬と有機資源を活用したエコファームが求められています。
私は、地球環境と農業、食糧を展望したとき、農業立県和歌山として環境保全型農業の取り組みが今求められていると思います。県下の有機資源を活用した循環型農業を展開するため、エコファームモデル地区を設定してはどうでしょうか。また、有機性資源を活用した堆肥づくり等への支援とその販路についても農協とも協力して進める必要があると考えます。積極的な取り組みを求めますが、いかがでしょうか。
私は、梅を例にとれば、剪定した枝、梅を漬けた梅酢、梅肉にして出た梅の種、加工場での調味液、加工での終末処理で発生する汚泥、これらの系統的な処理方法の開発と県下の畜産ふん尿、食品残渣並びに林業チップをうまく融合したシステムづくりを進めてはいかがでしょうか、農林水産部長にお尋ねいたします。
次に、平成十六年度オープンが予定されるうめ研究センターについてお伺いします。
一つは、日本一の梅の産地におけるうめ研究センターのコンセプトをお聞きします。
二つは、研究課題は、梅の立ち枯れの原因究明の中で、日本一の梅産地でありながら梅の樹木の生理・生態の研究がなされておらず、梅について県研究機関及び大学機関は未知の状況であったことから、研究センターの研究テーマはどうなるのでしょうか。
三つ目は、うめ研究センターの人的体制についてでありますが、うめ研究センターは研究のための研究センターではなく、地域にも開かれた研究センターであるためには、梅農家の現場における生産技術が研究に反映されるものでなければいけません。そこで、一つは、研究センターは農林水産総合技術センター、暖地園芸センターにおける梅の研究分野だけを集約するのでしょうか。南部川村うめ21研究センターの研究も集約することを考えているのでしょうか、お聞きしたいと思います。
二つ目は、大学との提携であります。これはテーマごとに産学共同研究を行うということは今でも進められておりますが、研究センターと大学とが一体になった研究機関としてどう今後されていくのか。ぜひ私はしてほしいという要望でありますが、それについての見解をお聞きしたい。
三つ目は、現場の声を直接反映させるために農協の技術員をスタッフとして参加させ、時には梅農家の中で技術的に高度な研究を行っている人をオブザーバーとして参加させてはいかがでしょう。農林水産部長の所見をお聞かせください。
次に、緑の雇用事業を踏まえた林業活性化についてお聞きします。
緑の雇用事業の果たしている役割は、森林を守る、雇用拡大を図る、地球温暖化防止に貢献する、この成果を踏まえ、また県は国に対して地球温暖化対策及び平成十六年度予算に関する政策を提案されています。私は、その中の物、木材利用と林業活性化をとらえて、県の政策実施と県民とが一体となる市民型公共事業の一つとして提言したいと思います。
緑の雇用事業の推進とは裏腹に、現実は林業経営は大変厳しい状況にあります。国内の住宅着工戸数を初め県下の住宅着工戸数は減少しているのが実態でありますし、また住宅需要木材のうち、今までは外材七対内地材三の割合が最近は外材八対内地材二という大変厳しい状況で、内地材の杉、ヒノキは苦戦をしています。その影響で、和歌山県の製材工場は、平成十年二百四十九工場あったのが平成十四年には百九十六工場と五十三工場も減少しております。しかも、前年度の十三年と比べて見ても、一年で何と十四もの工場が減少しているのが実態であります。
和歌山県の産業活性化として、農業はもちろん林業を大きな基幹産業として位置づけることは、県土の七七%を占める森林を生かし、緑の雇用事業と林業活性化が川上と川下の流れの一つとしてとらえれば、和歌山県の活力と雇用が生まれることと思います。
そこで、私は、紀州・木の国を復元させるため、県下どの町に行っても木の香りとぬくもりのある建物、モニュメント、紀州材を存分に使った店に出会える「木の文化の街づくり」を県民運動として展開させてはどうかということを提言したいと思います。
そのために、一つは、県、市町村、設計士、工務店関係者、県民有志でもっての「木の文化の街づくり協議会」を振興局単位で立ち上げることを提唱したいと思います。私は、この運動は必ず実ると思います。なぜなら、今地域でも、木のよさ、木の家づくりに、少数であっても運動を続ける人たちの活動が少しずつであっても広がり、実現しているからです。
二つは、公共が率先するために、知事もたびたび申しているように、公共施設、公共事業に紀州材を活用することを公共工事の入札仕様書に明記し、公がその先頭に立って物を見せて県民に理解を広める活動は欠かせないでしょう。例えば、私は、県庁、県の関連施設、市町村施設の床が杉板で敷かれているとしたら、文化施設、道の駅、公衆トイレ、土産物店、駅の構内、スーパー・量販店の一部のコーナーに紀州材内装によるスペースが生まれたとしたら、県民は日常の生活の中で紀州材の木の香り、ぬくもりに直接触れ、感じることで、木への認識と愛着が生まれ、木造個人住宅への普及につながると信じます。県が主体となって進めている緑の雇用事業の一環として、私は県と県民が一体となった市民型公共事業として林業を活性化する上での提言であります。知事の所見を聞かしてください。
次に、県の示す公共事業における県産品活用についてですが、私はこれまで議会において公共事業に県産品の活用を、とりわけ紀州材、間伐材、エコリサイクル商品を積極的に活用されるよう要望してきました。しかし現実は、公共工事における県産品の活用について、県、市町村担当者にはまだ十分なその認識が薄いこと、また公共の指名業者さんにしても、落札しても県産品活用についてほとんどその必要性の認識がないことを見たとき、県当局の示す公共事業における県産品活用の県下的な取り組みはよほどの姿勢で臨む必要があります。
そこで私は、公共工事共通仕様書に明記することはもちろん、これら県産品、紀州材、間伐材、エコリサイクル商品活用を数値目標を示すべきだと考えますが、県土整備部長にお尋ねいたします。
次に、東南海・南海地震対策での県民の生命を守る避難路、避難地の確保が今急がれ、既に県下の各地で地域住民が主体となって積極的に進められております。しかし、地域住民が主体となり市町村も協力して進めようとしても、そこには限界があります。市町村単独による支援策にも無理があります。県当局においては、津波対策の県民の生命を守るという最大の責任を果たすこと、これは県にとって財政的に大きな負担というものではありません。県として、市町村と協力して、地域住民の自主的、積極的取り組みへの支援のための制度をぜひつくっていただきたいと思いますが、総務部長にお伺いしたいと思います。
最後に、外郭団体(特殊法人、財団法人)の債務と県の責任について見解をお尋ねします。
まず、土地開発公社のコスモパーク加太事業に係る債務処理についてお伺いします。
土地開発公社に対し金融機関は四百三十八億円を貸し付けし、今になって土地開発公社の実施した事業は県に責任があるとして、県に債務の保証を求めています。私は、金融機関が土地開発公社に貸し付けする場合、銀行のイロハである県の債務保証をとらないでどうして貸し付けたのか。全国四十七都道府県で唯一、債務負担行為をしていないのは和歌山県だけです。銀行の考えが私ども議員には知らされていません。本来なら、総務委員会なり議会が特別委員会を組織して、金融機関を参考人招致をしてその真意、経過をただすのが筋かもしれませんが、議会として金融機関の見解がいまだにただされていない状況であります。
私は、金融機関が土地開発公社と県を一体とみなしているとしたら、一つ理解できるのは、県は公有地の拡大の推進に関する法律に基づき土地開発公社に県の政策事業を指導し、その事業の予算、決算にかかわっていることは県の外郭団体の特殊法人として当然だと思います。これを理由に金融機関は、金銭の貸し借りの保証責任、金銭貸借を保証する契約書つまり約束文書がなくともそれは県が必然的に債務保証されるものだと規定されることには、いささか商売をしている金融機関としてはいかがなものでしょうか。まさに貸し付けのイロハの手順と手法をしなかった責任を、政策事業の一体を見て債務保証が当然とする考えには、私も県民も納得するものではありません。
金融機関は、特殊法人である土地開発公社に、必ず本来、県の債務保証を取りつけるのが当たり前のことです。債務保証を取りつけるということは、県は県当局が独断で金融機関にはいはいと印鑑を押せない。そのために、県当局は議会に債務負担行為の承認をもらって、土地開発公社の事業、予算、決算に対して公社の独善、県行政の独善を進めないための議会、つまり県民の意見、監視、監督があって民主的、公平な事業が執行できるのです。
今回、金融機関は土地開発公社に対し、県の債務保証もとらない。土地開発公社は県に対して債務負担行為を求めなかったことは、土地開発公社のコスモパーク加太事業は、私から言わせれば、土地開発公社の独善、それを認めて貸し付けた金融機関の責任を明確にすべきであると考えます。私はこのようなことから、基本的には現段階では債務保証はすべきでないという考えであります。
このように、いかにバブルという時代の背景、開発事業としてのコスモパーク加太事業であるとしても、議会と県民を無視した形での金融機関と土地開発公社との責任で金の貸し借りをした安易な結果を、今になって県つまり県民にその債務の保証を求めることはいかがでしょうか。
以上の立場から次の五点について質問しますので、知事の見解をお聞きします。
第一点は、和歌山県は、政策事業との関連があるとしても、公社は特殊法人として登記された法人、一会社ですが、土地開発公社との関係、その責任について県当局はどうとらえているのでしょうか。
第二点、金融機関は銀行のイロハである県の債務保証をとらないでなぜ貸し付けをしたのか、そのことを県は銀行の言い分をどうとらえているのか。
第三点は、債務保証をとらないで貸し付けた銀行の貸し手責任はないのか、県の考えをお聞きします。
第四点は、県と金融機関との話し合いが平行線をたどれば、法的処理として第三者機関にゆだねる方が相手の考えが情報開示され公平な判断になると思うが、どうか。
第五点は、県は土地開発公社に貸し付けしている百五億円に対してどう対応・処理されるのか。
以上、知事のご見解をお尋ねします。
それに関連して、財団法人グリーンピア南紀の債務処理についてもお伺いします。
県当局は民事調停を受け入れ、債務の七〇%の一億三千六百三十六万七千二百二十一円を負担することの同意を求める議案が今議会に提出されています。私は、土地開発公社の金額が大きいから問題で、グリーンピア南紀はそれより少額だからという問題でなく、県の基本的な考えと県の債務処理方針を明確にする上での質問でございます。
私は、基本的には財団と県とは全くの別組織であると考えます。そこで、債務におけるその責任は、県の出資範囲内の負担を超えることがよいのかどうか、疑問を感じる一人であります。破産処理から民事調停へと変わりましたが、県は民事調停をした理由として、従業員給与・退職金、地元納入業者等の支払いについて挙げられ、調停に踏み切ったとされています。
そこで、以下の三点について知事にお尋ねいたします。
第一点は、民事調停の理由とした従業員給与・退職金、地元納入業者等への支払いの責任は他の手法で救済する道を選択しなかったのか。
第二点は、民事調停の結果は行政が一〇〇%負担する調停です。民事調停は、裁判所という名で公平のように聞こえますが、私は法的信頼度から言えば調停は公平かという疑問を感じ、どちらか一方が折れたからという妥協の産物であると考えております。
第三点、民事調停の結果の中に、貸し手である銀行の貸し手責任についてはどう調停の中で論議されたのか、責任を問われなかったのか、お聞きします。
次に、財団法人等の債務処理との関係で、私は県が今後、今言いましたように財団法人等の具体的な方針をきちっと決める必要の事例として財団法人和歌山県勤労者福祉協会のいこいの村わかやまは国の意向を受けて譲渡されることになっていますが、いこいの村わかやまの抱えている六千九百万円の債務についてどう処理をされていくのか県の方針が決まっているのか、商工労働部長にお尋ねします。
これで、第一回目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(吉井和視君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 緑の雇用を踏まえた林業の活性化でございますが、ご質問の中にありました「木の文化の街づくり運動」というのは、非常に私はいい提言だろうというふうに思っております。これからの時代は、一部の人はファーストライフというか、速い生活をしないといけませんけど、またスローライフということも非常に重要になってくるので、そういうふうな中でいやしを与える木を使った、公共事業もそうですし、それから例えば学校の建物なども、午前中の質問の中で学校が荒れているというような質問がありましたけども、木の中で勉強するような形になればそういうのも幾分は直ってくるようなところもあるんじゃないかというようなことも思うわけでございます。
これはいろいろ問題があるわけですけども、初めに言いましたように、緑の雇用事業もいつまでも税金だけで人を雇っていくというふうな仕組みというふうなことでは永続性がないわけで、やはり出口のところで木を使っていく、それも何か義務的に使っていくというような感じじゃなくて、その本当のよさに着目して使っていくというふうなことを、これは当然のことながら民間主導にはなってくるわけですけども、県としてもいろんな形で支援していくというふうなことを考えていきたいというふうに思っております。
次に、外郭団体の債務と県の責任の考え方についてのご質問でございます。
まず、ご質問にお答えする前提といたしまして、実は私も旧自治省にいたときに、この第三セクターとか土地開発公社の担当をしていたことがございまして、そのときに通達を出したことがあるんですけども、そのときに初めて第三セクターと自治体とは区分して考えないといかんというあれを出しましたら、それがもう非常に大きな影響を及ぼして大変なことになったという経験があるんです。これが大体五、六年前ぐらいだと思います。
どんどんこの第三セクターと自治体との関係というものの考え方というのは状況が厳しくなるにつれて変わってきていて、今も動いているというのが本当のところでございます。今年の年末をめどに総務省の方で法的処理を前提とした債務の処理というふうなことを第三セクターについて考えていくようにというような通達を研究しているということが示されておりますけれども、とにかくこの問題については、今までこの日本の国の変化の中で未知のゾーンというか、新しい、判例もなければ先例もないというふうな状況の中で起こっていることであると。そしてまた、その中で県も、そして金融機関も、非常に苦しみながら対応策を模索しているというところなわけでございます。
そういう中で、コスモパーク加太における県と土地開発公社の関係でございますが、法律上は県と土地開発公社は別の組織であることは言うまでもございませんけれども、公拡法に基づき県が一〇〇%出資している法人であり、事業計画並びに決算の状況についても議会へ報告させていただいているなど、県との関係が極めて密接な団体でございます。土地開発公社、住宅供給公社、そして道路公社の三つが法定三公社ということであるわけでございますけれども、そういうふうな状況にあると。
次に、金融機関の言い分でございますけれども、金融機関の方からは県と公社は一体であるということで、現在、県の保証が求められているわけでございまして、当時の経済情勢にあっては、コスモパーク加太事業の借入金については県の保証なしに融資が行われたものと考えられ、またその後の借りかえに当たっても県の保証が絶対要件として求められないまま現在に至ったものであると考えているところでございます。
次に、金融機関の問題につきましては、金融機関にも一定の責任があるものと考えられ、そういった観点のもと、県民の利益を損なわないように、金融機関と鋭意交渉を行っているところでございます。
また、法的整理として第三者機関にゆだねるとのことでございますけども、現在あくまでも金融機関とお互いの合意のもとに借りかえをいたすべく大詰めの交渉を行っている最中であり、あくまでも交渉により決着を図りたいというふうに考えております。仮に交渉が合意に至らず、六月末の償還期限を迎えた場合には、いろいろな手法も視野に入れ、引き続き交渉を行っていかざるを得ないと考えております。
なお、県からの貸付金につきましては、現時点では金融機関からの借入金をまず第一に協議しているところでございまして、今後、県からの貸付金については公社の再建の中で検討していきたいと、このように思っております。
次に、グリーンピア南紀で民事調停による債務保証をしたのはなぜかということでございますけれども、これも最初に申し上げましたような背景がございまして、県の方からグリーンピア南紀へお金を貸してほしいというふうな働きかけがあったことはこれは間違いない事実でございます。そういう中で金融機関が県との関係においてお金を貸してきたというふうな事実があるわけですけども、しかしながら、こういうふうなことをただ単に相対の中で決めていくというふうなことの状況ではもうないということの判断のもとで民事調停を選択したというわけでございます。
この民事調停は、当然のことながら裁判官を含む調停委員のもとに公平で専門的な意見を聞きながら判断されるものであるということで、これは私は具体的、客観的に妥当であると。これをだめだという話になってくると、もうこれはよりどころがだんだんなくなってきますので、このこと自身はいいと思っております。
そして、またその中で私どもは当然のことながら、調停に入ったわけですから、県としての立場も言わないといかんということで、法人格が違うということの中で金融機関も一定の負担をすべきであるという主張は当然のことながら行いました。しかしながら、調停委員会としては、借り入れはこのグリーンピア南紀運営のためのものであることを背景に、財団の設立経緯、事業の内容等から公平な立場で今回のような客観的な判断をされたというふうに理解して、これを受けることにしたということでございます。
○副議長(吉井和視君) 農林水産部長阪口裕之君。
〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 農業、林業の基幹産業を発展させるためについてお答えいたします。
まず、農業経営を持続的に発展させるための農業生産資材価格の引き下げについてでございますが、生産者の所得を確保していくためには、経費の低減、特に生産資材費の低減が不可欠であると考えてございます。このため、議員お話しのとおり、関係団体及び都道府県において農業生産資材費低減のための行動計画を策定し、本県では県農業協同組合連合会などと構成する農業生産資材費低減対策促進会議を開催し、行動計画の進捗状況や農業生産資材の効率的利用などについて検討を行ってございます。また、昨年度百五十四戸の農家を対象に農薬や肥料など経営費調査を行った結果、生産資材費は以前と比べて大きな変化がない状況でございますが、農産物価格の低迷が続いている中、業界、農業団体、行政関係者が一体となって農業生産資材費の低減に努めていきたいと考えてございます。
なお、全国農業協同組合連合会が策定した生産資材コスト低減の取り組みについては、本県では予約大口購入の割引などに取り組んでいる農協もございます。
次に、梅の生産と園地拡大の考え方についてでございます。
県といたしましては、暖地園芸センターを中心とした高位安定生産技術の向上などの試験研究に一層力を注ぐとともに、老木園や生育不良園の計画的改植による若返りや急傾斜地園のフラット化による省力・低コスト化並びに栽培面積の拡大などにより生産力の維持・拡大に努め、日本一の座を守ってまいりたいと考えてございます。
次に、有機性資源を活用した環境保全型農業の取り組みについてでございますが、農業の持続的な発展と循環型社会の実現を図るため、有機物施用による土づくりを基本とした環境保全型農業を推進することが大変重要であると認識してございます。このため、県では、地域で発生する家畜排せつ物や木くずなど、有機性資源の実態把握とその堆肥化等、循環利用システムの確立を目指した有機性資源循環利用推進マスタープランを策定するとともに、環境に優しい農業を実践するエコファーマーの認定などを推進しているところでございます。
しかしながら、地域で発生する有機性資源は多種多様で、その堆肥化には住民の理解と協力、製造コストや品質面等、克服すべき課題も多く、また生産現場では農家の高齢化や傾斜園地での散布労力の負担などの問題から堆肥の利用が進まない状況にあります。
県といたしましては、農林水産総合技術センターにおける散布しやすい堆肥の開発や堆肥散布請負組織の育成など、ソフト面での取り組みを推進するとともに、堆肥製造施設や堆肥散布機の導入など、ハード面での施設整備についても国の関連事業等の活用を図るなど、関係機関、生産者団体等と一体となって意欲ある農業者への支援に取り組んでまいりたいと考えてございます。
次に、うめ研究センターについてでございますが、「地域に根差し、地域に開かれ、地域とともに歩む梅専門研究所」をコンセプトとして地域に根差した効果的な試験研究を実施してまいりたいと考えてございます。研究テーマにつきましては、梅産業の持続的な振興を図るため、生育不良の原因究明、環境制御温室等を利用した生理・生態特性の解明、適正な土壌管理技術の開発、優良台木の選抜と大量増殖技術の開発などを基本に、現場に即応した研究課題にも幅広く取り組むこととしてございます。
なお、現在、梅の研究は暖地園芸センターのうめ部が行っておりますが、うめ研究所(仮称)の設置に伴い、うめ部をうめ研究所へ移管し、梅振興に取り組むこととしてございます。
また、産官学が連携して取り組むことは幅広く効率的に研究を進めていく上で必要なことと考えますので、これを機会に国の研究機関並びに大学等との連携をより密にした取り組みを行ってまいりたいと考えてございます。
さらに、農業改良普及センターを通じて梅生産農家の現地情報の収集を図るとともに、地元の自治体やJAなどの関係機関との連携をより一層深め、地域に貢献する梅の研究機関としてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○県土整備部長(大山耕二君) 公共事業における県産品活用についてのご質問にお答えいたします。
公共事業は県経済において大きな部分を占めておりまして、公共事業において県産品を活用していくことは、県内の景気や雇用の維持方策の一つとして重要であります。そのため、多少のコスト増があっても県産品の優先利用に努めることとし、各建設部ごとに数値目標を設定してそのフォローアップを実施しているところであります。
今年度からは、なお一層の活用を図るため、公共事業における県産品活用ステップアッププロジェクトとして共通仕様書に県産品の優先使用を明記しております。また、新製品や新工法を開発するためにパイロット工事を実施し、その成果をホームページで県内企業に広くPRすることとしております。
今後とも、職員の一層の意識改革を進め、公共事業における県産品の活用に努めてまいります。
○副議長(吉井和視君) 総務部長宮地 毅君。
〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 東南海・南海地震対策についてでございますが、議員ご指摘のように、地震による津波等から生命を守るためには速やかな避難行動が重要でありまして、避難路、避難場所の確保が必要です。
県では、これまでに津波避難計画策定指針を策定し、沿岸市町に対し地域ごとの津波避難計画の作成を住民参加方式で行うようにお願いしておりまして、この計画の作成過程や毎年実施する津波避難訓練を通じまして、避難路、避難場所に関する課題も抽出されるものと考えてございます。
避難路等の整備について、最近、県内の自主防災組織が独自に取り組む例が見られるところでございまして、そのことは自助、共助の観点からも好ましいものと考えておりますが、課題解決に向けては、地域住民、市町、県、国それぞれが役割分担に応じて取り組む必要があり、沿岸市町でまず出てきた課題を早急に整理いただくようお願いしているところです。
避難路等の整備に対する支援策につきましては、現行制度でも国、県、市町村それぞれの立場から一定の支援制度を有しておりますが、さらなる充実を目指し、先般、国に対し地方財政措置の拡充や地方の実情に応じた工夫が生かされるメニューの創設などを内容とする新たな支援制度の創設を提案したところです。
今後とも、議員のご提案の趣旨も踏まえ、市町村と協力してさまざまな工夫を凝らしながら避難路、避難場所の確保に取り組む所存でございます。
○副議長(吉井和視君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 外郭団体の関係で、勤労福祉協会の答弁を行います。
財団法人和歌山県勤労福祉協会は、いこいの村わかやま、プラザホープ、労働センターの三施設を管理運営し、経理についてはそれぞれ区分しておりますが、決算は協会一本で行っております。
そのうち、議員ご指摘のいこいの村につきましては、平成十四年度の決算で約六千九百万円の累積欠損がございますが、これにつきましては財団全体の積立金等で対応できることから、勤労福祉協会の債務はございません。しかし、現在、地元すさみ町と施設の譲渡時期等について協議中ですが、譲渡時点でいこいの村の会計に欠損が発生した場合の方針は決まっておりませんが、まず財団において最大限解消するよう指導してまいります。
以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十七番原 日出夫君。
○原 日出夫君 久々に再質問させていただきます。
一つ要望ですが、生産資材価格を現場で行政が第三者の協力を得ながら実態をつかみ、その改善に積極的に努力していただくことを要望します。これがただ組織的に会議を開いて終わりというのではなくて、いわゆる資材の低減をできるよう具体的な取り組みをお願いしたい。
次に、県内の有機性資源を活用した和歌山県の環境保全型農業のモデルをぜひ構築していただきたいと願っているわけですが、バイオマス堆肥を初めリサイクル消費にするとか、エネルギーに転化することが今国ではバイオマス総合戦略として位置づけられております。そういう意味では、その中の農業分野、林業分野での果たす役割は非常に大きいと思いますので、農業立県として積極的にその取り組みをお願いしたいと思います。私自身も堆肥づくりに取り組んでいるんですが、行政と民間、農協が一体となって進める必要を痛感しております。積極的な取り組みを期待したいと思います。
次に、うめ研究センターについて答弁ございました。私の提案は、研究センターへ各試験場の梅の研究について集約されることを提言したわけであります。特に、先ほどの答弁では暖地園芸センターのうめ部を持ってくると。でなくて、各種試験場でやっている試験をここに集約することの方が合理的であるし、非常に簡素化できるんではないかと思っているんですが、そのことをぜひやっていただきたい。
また、農業技術員について連携してほしいと言うたのは、ただ絶えず連携しながらやっていくというのではありません。研究センターのスタッフとして、農業技術員をJAから派遣してもらったらどうなということなんですよ。そうしたら、農業技術員は、JAさんからの派遣です。だから人件費は向こうが持つと。県は持たないと。したがって、そのスタッフを入れて共同で、一番現場でよくわかっていて技術を一応つかんでいる人を派遣してもらったらどうなと。そういう意味では、スタッフの体制は充実するし、コスト的にも非常に安くつくと──安くと言うたら怒られるけど、そういうことでひとつJAのご協力をいただくと、こういうことをひとつやってほしいというのが私の要望であります。
もう一つは、林業活性化と「木の文化の街づくり県民運動」ですけど、一つのイベントでいつも終わっているのがちょっと気になっていたものですから。やっぱり私自身も、この木の香りとかにおいというのは、本当に関心を持ち出したのは四年前ぐらいです。自分の家も改造して、もう全く杉、上下、横、天井も全部杉の木にしたんですけど、そういう形でやった中で、そのよさを痛感しております。そういう意味で、みずから率先垂範してやろうとしているんですけど、なかなか今の大手住宅メーカーに太刀打ちするにはまだ微力です。
そういう意味では、継続して進める運動、そして組織化。そして二つは、県民が日常的にいろんな場所で、先ほど提言していましたように、紀州材のよさを知る、触れるという、このことをやっていただけたらなと。例えば、県が三分の一──そういうちょっと四畳半程度の量販店のコーナーの中に、例えばあるテナントの店が床も壁も紀州材であると。その費用については県が三分の一持ちましょう、それに関係する市町村が三分の一持ちましょう、受益者が三分の一持って、ほん小さなコーナーを協力して続けていくことの積み重ねの方が大事じゃないかなっていうのは最近感じているんですけど、このことも提言しておきたいと思います。
次に、県と土地開発公社についての関係の債務負担の問題ですけど、県と土地開発公社は公拡法に基づき一〇〇%出資の関係であることは承知し、理解しております。私は、一つは、金融機関はお金を融資する場合、民間に対してであれ公共であれ、リスクを負うことを前提に、そのリスクを少なくするためにまず相手から利子を取り、連帯保証人をとって貸し付けするのが当たり前であります。そういった意味で、土地開発公社は、加太開発事業での借入金に対する金融機関への支払い金額が──その利子についてですが──昭和五十一年から平成十四年度の間で既に二百一億三千五百万を支払っております。完璧に銀行の商売に応じてちゃんと払っております。そういう意味であります。
二つ目は、リスクの保証としての連帯保証人、つまり県の債務保証ですけども、そのリスクは金融機関が負うのが当然だと思いますが、それをしないで貸し続けてきたと。貸し続けてきたというのは後でまた述べますが、このことの責任は知事どうでしょうか。やっぱりそこをきちっとしておかないと、僕はこの問題解決につながっていかないと。知事答弁ありましたように、一〇〇%出資の土地公社とは密接な関係であると言っていますが、私は金銭の貸借関係まで密接な責任を負う関係はないと考えるわけであります。なぜなら、知事、何のために債務負担行為の制度があるんでしょうか。特殊法人と県との関係は、一〇〇%出資であれ、県の幹部が特殊法人の理事役員であっても、金銭については関係ないからこそ、必要な金銭の貸借については債務負担行為ということで縛りをつけられているのであります。そういう意味で、これをしなかった銀行の責任、開発公社の責任は問われると思うんですが、いかがなものでしょう。
ところが、金融機関は当初から、先ほど述べましたように、バブルがはじけてからも現在に至っても債務保証を求めないでいるのは、県の債務保証を必要としないということだと私は理解していいと思いますが、知事、どうでしょうか。その事例は──私は当局から資料をもらったんですが、加太開発事業における六の各金融関係の年度別貸付額とレートをもらっているんですけど、K銀行は平成七年、八年、九年と三億四千百万円を土地開発公社に貸し付けていましたが、債務保証を求めたが得られず、返済を求め、それが平成十年に返済されてあると、こういう形でなっております。こういうことが、裏づければ、逆の発想ですけど、実際に一銀行、K銀行がそういうことできしっとしてきたと。そうしたら県は債務保証しないでもう返しますよと返した。三億四千百万円。
ところが、他の五つの金融機関はこのことをしないで、バブルがはじけていてもなおかつ、経営が非常に厳しい中でも貸し続けてきたというその責任は通らないのでしょうか。私はこのことは納得できません。だから、このことから見ても、県が金融機関に債務保証をすることの理由は何一つ見当たらないわけであります。見当たるのはただ一つ、温情的な道義以外にありません。県民が一人当たり五万円も負担し、県が貸し付けた額を入れたら五百億を超える額が、少なくとも温情的、道義的責任で返済をする、債務保証をしていくということになったら、県民は納得しないでしょうし、私も納得しません。そういう意味で、再度、知事のご見解をお聞きしたいと思います。
それから、グリーンピア南紀の関係ですが、簡単に言えば、民事調停は事由にかない、事情に即した解決であった、したがって同意したと、具体的、客観的、妥当であるとしたと、こういうふうに言っておられます。ただ、私は、具体的、客観的に妥当と言えるのですかという問題でありますが、民事調停の結果は一〇〇%行政負担ということで、県が折れたということでの調停妥結であります。民事調停というのは、そういうこともありましょう。二を半分ずつ分け合おうかとか、三対七にしましょう、八対二にしましょうとか、民事調停はそれはあります。しかし、今回の場合は一〇〇%行政責任における民事調停であります。これは民事調停と言えるんでしょうか。結果は民事調停でありますが、一方的に県が一〇〇%負担における折れ合いです。痛みを感じたのは行政だけであります。県と町との割合での負担で調停が終わったと。こういうふうに民事調停が一方的に行政の痛み分けに合意したことは、私は納得できるものではありません。
県は、答弁でも言っているように、県と財団法人では法人格も違うことから金融機関に対しても一定の理解を求めたとしていますが、その姿勢を一貫して貫かないで、民事調停における結果がなっていないんではないかというふうに思うわけであります。本来──私は幾つかの民事調停にもかかわってきたことがありますが、こういうふうに一方が一〇〇%折れて調停をしたというのはほん数例、判例を見ても数例であります。そういう意味でも、非常にこの部分では疑問を持ちながらおるわけですが、これはまあ私からの疑問符として問題提起しておきます。
済みません。終わります。
○副議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの土地開発公社の問題についての再質問ですけども、これは非常に難しい問題です。実態として、金融機関がどうしてまたずっとバブルがはじけた後も貸し続けてきたかとおっしゃいますけれども、返してくれと言われたら今度は県の方が──県の方がというか、土地開発公社の方が困ったわけです。それで、土地開発公社には公拡法という法律があるわけですけども、その法律では土地開発公社が破産するとか法的処理をするとかいうようなことは法律に書いてないわけです。書いてないというのは、一方ではそういうこともあり得るという解釈もできるんだけども、もともとが土地開発公社というのは公有地の先行取得をすると、そしてプロパー事業として若干の住宅用地の開発みたいなのをするということで、完全に自治体が後ろ盾になっているものだから、なくなることはないという前提で法律はつくられたわけです。そして、その後、今のような、まあはっきり言ったら、バブル後の日本の経済なんていうのはだれも想像したわけではありませんし、それから護送船団方式でずっと来た金融機関が今のような状況になるということは、これは大蔵省も全然想定してこなかったこと。
そういうふうな中で、借りたお金をどうするか、保証してきたものをどうするか、そしてその中で責任はどういうふうな案分で考えていくかという未知のゾーンに入ってきているので、これはもう片方が十正しくて片方がゼロ、逆にその逆というふうなことは、これは僕はあり得ない問題だと思っております。
ただ、そういうふうな中で県民が不当に損害をこうむるというふうなことがないような、なくするような中で、我々としても、ただ単に地域における金融機関との関係であるとか、そういうことに流されるのではなくて、東京や大阪の法律関係者とも何度も何度も検討を重ね、そしてまたこの法律を所管している総務省の当局とも連絡をとり合いながら、どういうふうなやり方が今一番適切であるかということを考え、そういうふうな中で、そういうことについても県議会の委員会の皆さんにもお示ししながら検討を進めてきたと。そういう中でまだ今のところ最終的な結論が出ていないということでございますので、これはやはり、我々としてはもう本当に情報公開を一〇〇%する中で一番県民にとって正しい道を本当に苦しみながら模索しているというふうなのが状況でございますから、本当にこれ、片方が百正しくて片方がゼロというふうなものでないということだけはご理解いただきたいと思います。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
二十七番原 日出夫君。
○原 日出夫君 知事の今の答弁で、まあよくわかったわけですが、ただ六月末ということをある程度、私たち聞いていますが、拙速な結論を急ぐことがかえってお互い問題を起こすんでないかということで、ひとつじっくりと──じっくりというても期限ありますけど、その点はもうどうってことないですが、六月末という拙速な結論を急ぐ余り、我々県民に信頼されない結論を出すことを私自身も恐れていますので、ご理解いただきたいと思います。
それから、もう一つは、私たち、先ほども第一回の質問のときに言いましたけども、金融機関から、じゃその今までの経過ですね、昭和五十一年からのずっと経過の中で今、金融機関としての言い分もあると思うし、我々は言い分も聞きたいということで、全員に聞けるかどうかとしても、その機会が一回もありません。当局におかれても、また議長におかれても、そういう意味ではそういう機会をぜひ銀行側の意見を──相互の意見を聞かんと意味が判断できませんからね、何でも。だから、あくまでも金融機関の参考人招致というのは、いずれの場でもそういう機会を与えていただいて、我々は金融機関の考えもぜひ理解していきたい、考えを聞きたいと、こう思っておりますので、その点、要望して終わります。
ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時四十三分散会