平成15年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 ただいま議長のお許しを得ましたので、質問をさせていただきたいと思います。初めての質問でございます。どうぞ皆さん、よろしくお願い申し上げます。
 さて、最初は教育の問題でございます。
 今、不登校の問題、学力の問題、教育をめぐる問題は大変深刻でございます。学校はますます忙しくなって、子供たちが追われるようになって、そして子供たちがあえいでいる。精神疾患に追い込まれる教職員もふえております。また、熱心な先生がバーンアウトするという、そういう問題もよくございます。私は、先日、不登校の子供たちを持っているお母さんたちとの懇談をさせていただく機会がありました。お母さんたちの声を聞きますと、学校に対する厳しい注文が聞かれます。例えば不登校の問題では、これまでは登校刺激といって──早く学校に来なさいということを登校刺激というんですが、そういう登校刺激を避けて、子供が力をつけてくるまでじっくり待つということが言われてきた、そのことを理由に余り先生が家庭訪問もしてくれない、こういう声もお聞きしました。一方では今度、文部科学省が、登校刺激をやや重視し始めたことを受けて、以前のように無理に学校に来なさいという、そういう指導が復活しやしないか、こんなことが心配なんです、こう言うお母さんもいらっしゃいました。今学校は、そして教育関係者はこうした保護者の声にしっかり耳を傾けて、教育現場に保護者の声が届くようにしなければならないというふうに思っています。
 ところで今、文部科学省も、そして県の教育委員会も、口を開けば「教育改革」でございます。ここに、きれいなパンフレットがございます。文部科学省がつくったものですが、この表紙に、大きな字を書いている。読んでみますと、こう書いています。「変わらない 変わります 変わる 変われば 変わろう」。昔、国語で習った五段階活用というんでしょうか。私は、これを見ながら、何か魔法遣いの呪文のように聞こえる。こんなことをあちこちで申し上げたことがあるわけでございます。変わろう、変わろう、変わる、変わらない、変わろう、変わろう、何か変わることが目的みたいでございます。
 さて、私は長い間、教職員組合の役員をしておりました。最後は委員長をさせていただいたんですが、そのまだ副委員長をしていたころに、県内の市町村を回って、市町村長さんや、市町村の教育長さんとの懇談をしに回ったことがございます。二十数市町村まで回りました。こんなことを申し上げたんです。いつも組合が来させていただくときは何か要求を持ってお願いに来ることが多いんです、しかし、きょうは違うんです、教育問題が大変深刻になっている中で、教育問題とそして私たち教職員組合について町長さん、教育長さんのご意見をいただきたい、そして私たちが考えていることも申し上げて、教育を守るために力を合わせていきたいと思うんです、こういうことを申し上げて懇談に入ったわけであります。そうすると、ある町長さん、おっしゃいました。教職員組合の本部の方が懇談に来るなんということは前例がありません、大体、教育のことを一番よく知っているあなた方が私たちのような教育の問題に素人である町長に意見を聞きたいとは一体どういうことですか、こんなふうにおっしゃった町長さんがいらっしゃいました。私は申し上げました。教育のことは学校が一番よく知っているなどというふうに思ったらだめだと思っているんです、皆さんのご意見もお聞きするし力もおかりしたい、そして教職員組合に対する耳の痛い話だって、きょうは聞くつもりで来ました、こういうふうに申し上げますと、話が弾んだわけであります。それはそうです。子供たちというのは、町長さんにとっては宝物でございます。町の宝物である子供と教育に対する町長さんたちの思いはいっぱいです。たくさん話が弾んだわけでございます。
 なぜ私が質問の前段でこういうことを申し上げるのかと言いますと、教育の問題というのは、子供を真ん中に置いて、保護者、教職員、そして教育行政がじっくりと話し合えば必ず一致点をつくり出せるし、たとえ回り道のように見えても、そのことが何よりも重要だと私は考えるからであります。その際に、保護者の方も、そして教職員も、それは教職員組合も同じですが、そして教育行政も、自分だけが一番正しい、自分の言うことは絶対だと、こういうふうに思うことはよくありません。たとえ違った意見であっても、あるいは相手の意見が多少間違っていると思っても、一たんその声を聞いて、そしてその声の後ろにどんな子供に対する願いがあるのか、そういうものをよく受けとめる、こういう態度が大変大事だと思って、私は教職員組合の委員長をしてまいりました。そういうスタンスで教育行政の皆さんのところも回ったし、そしてPTAの役員の皆さんとも合意を図る努力をしてきたわけでございます。こうした私たちのスタンスから言って、県の教育委員会が進められている施策は、多少気になるわけでございます。
 高校学区撤廃が行われました。中高一貫教育のための県立中学校も検討されています。そして、ことしの秋には学力診断テストを実施して、その結果を学校ごとに公表することも含めて検討されているように聞いています。そのことが、本当に教育関係者の合意を得てやられているのか。
 学力診断テストについて少しお話ししてみたいんですが、今、教科書が大変薄くなって、今の学校で子供の基礎学力がつけられているのかどうか心配だ、こういう声がたくさんあることは事実でございます。その対応の一つとして、子供たちの学力の実態を把握することも、これも大事なことでございます。しかし、この学力テストというものについては、歴史を振り返ってみると二つの経験がございます。大変害を起こした経験と大変よかったと思う経験と二つお話ししてみたいんですが。
 第一は、一九六〇年代、文部省が全国的に実施した全国一斉学力テストでありました。香川、愛媛などの県で、例えばある学校の学年で社会科の平均点が九十七点だという学校があった。異常に高い点数です。しかし、その裏でどうも教育がゆがんでいるらしい、こういう話になって、東京大学に宗像誠也という有名な教育学者がおられましたけれども、その方を含めた学術調査団が香川、愛媛に入ったわけであります。そこで明らかになったのは、テスト準備の教育が過熱していること、テスト当日、成績の悪い子供を休ませるなどというひどい実態が明らかになったわけであります。ここに一冊、岩波新書の本がございますが、こう書いています。「毎日新聞の連載「教育の森」などで明らかにされたが、連日の補習授業、学力調査に合わせたカリキュラム編成、さらにはテスト中に教師が正解を教えてまわったり、学力の低い子どもをテスト当日欠席させて平均点を上げるといった不正まで行なわれた」。そのもとにある「教育の森」、毎日新聞に連載され、今「新・教育の森」という連載になっていますが、この「教育の森」が一冊の本になったものです。何冊もありますが、そのうち、この学力テストのことについて触れたこの巻です。大変詳しく、そういう実態が書かれています。「愛媛残酷物語」とまで言われて、こういうことが全国に知れ渡り、とうとう数年後には学力テストが中止になったわけでございます。これがマイナスの方の経験でございます。
 もう一つの経験は、和歌山県の話ですが、一九七八年に実施された同和教育学力調査であります。この学力調査をめぐって、教育委員会と教職員組合の間で何度も話し合いが行われました。話し合いの中で中心になった問題の一つは、香川、愛媛のような学校間、学級間の提げ比べ、過熱した成績競争になってはいけないという問題でございました。こうした話し合いによって合意が広がった結果、学力調査を実施してみると、県の教育委員会は、同和教育学力調査ですから同和地区を含む学校だけを対象にしてテスト問題を配ったわけです。ところが、そういう地区を含まない学校でも、うちもやってみようと、同じ問題をコピーして、そして自分の学校で独自に学力調査を実施した。そして、県の教育委員会が集約された全県的な集約と比較をして、うちの子供の学力はどうなのかという自主的な学校での討論が始まりました。この県の教育委員会が実施をした学力調査結果は、この立派な報告書の中に含まれています。同じ学力テストでも、合意を広げた上での学力調査と一方的な押しつけによる学力調査ではこんなに大きな違いがあるわけであります。
 私は、教育改革の取り組みでは、教育関係者の合意を大事にすることが何より大事だと考えます。また、学力診断テスト、今度やられる診断テストについては、かつての文部省学力テストの反省を十分踏まえるべきだと考えますが、教育長のお考えをお聞きしたいわけでございます。
 次に、教育問題で何よりも保護者の皆さんが願っているのは、一クラスの生徒数を少なくして、先生がじっくりと子供の声に耳を傾けられるようにする問題です。イーデス・ハンソンさん、元県教育長の井上光雄さん、元県PTA会長の高木歓恒さん、さまざまな皆さんによる三十人学級を求めるアピールというものが出されまして、それを支持する署名は十五万筆に上っております。県下三十二の市町村でも、それを求める決議が上げられているわけであります。このたび、和歌山県でも小学校一年生で少人数学級への第一歩が踏み出されました。三十八人、三十九人の二学級になるところを三つに分けて、二十六人、二十六人、二十五人という三学級の少人数学級にしてもらった。大変うれしいという声をたくさんお聞きしております。当然、この措置は学年進行──学年進行というのは、今一年生ですが二年生になってもそのまま三学級で行くという学年進行で広げられるものと思っておりましたが、まだそこまではきちんと約束されていないということでございます。もしも二年生でこの措置が引き継がれないとすれば、二十五人の学級で勉強した子供が、二年生になると突然四十人近い学級で勉強することになるわけであります。
 かつて、ある地方でこんな経験がございます。三つの小さい中学校が合併をした。そして、大変立派な校舎を建てていただきました。大変、教育委員会頑張ってくれたな、こう思いました。しかし、その新しい、すばらしい校舎に生徒が集まってスタートした学年が荒れているという報告が来たわけです。なぜなんだろうか。これまで十二人、十五人という小さい学級で勉強した子供たちが、突然四十人のクラスに入るわけです。それまで注がれていた先生のまなざしが、三分の一になるわけです。僕の声を聞いてくれないと思う生徒が出てきたわけでございましょう。もちろん、そういうことにならないように、教員の側でもそういうことを十分配慮して指導することは大事なんですが、私はそういうことも考えるときに、せっかく踏み出した第一歩でございます、学年進行で進めること、この少人数学級をさらに進めることについて教育長の決意をお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
 第二番目の問題に入ります。道路問題であります。
 私の前任者の中山豊議員は、「道路の中山」というふうに言われていたそうであります。私もそれを受け継いで、道路問題を大事にしていきたいと思います。それは、私の地域海南市を考える場合に、道路の問題は避けて通れない大変たくさんの問題を抱えているからでございます。和歌山から下津、有田につなぐ国道四十二号、海南市の動脈でもある国道三百七十号、海南金屋線、黒沢を通る国道四百二十四号など懸案がございます。さらに、工事が進んでいる海南市内の岡田の道路、くも池付近の道路の拡張も急がれるところでございます。たくさんの問題がございますが、きょうはその中でも国道四十二号、そのバイパスの問題でございます。
 海南、下津、有田の関係自治体でつくっている国道四十二号・有田下津海南間整備促進協議会で要望がまとまりました。トンネルの多いルートで大変な予算もかかりますけれども、必要な生活道路でございます。海南市の冷水という地域に住んでいる方が、目の前に家があるのに、渋滞でなかなか目の前の家までたどり着けない、こういうふうに言われたこともあります。国道四十二号の渋滞を解消するために、ぜひとも早期の実現をお願いしたいわけでございます。
 道路問題でもう一つの大きな問題、それは国道三百七十号の海南の動脈である、そして高野山に向かう道路であります、世界遺産登録を前にして大きなイベントが行われる、これからも大変大事な、大阪方面から高野山へ、近畿自動車道を通っての大事なコースでございます。懸案の阪井バイパス実現へ、ぜひとも力を入れていただきたい。この二つの問題について、県土整備部長のお考えをお聞かせいただきたいわけでございます。
 それとともに、美里のかじか荘、または赤木というあたりに道の駅をつくってほしいという声もございます。県下各地に道の駅がございますが、この国道三百七十号、一つも道の駅がないわけでございます。きれいなトイレをつくり、土産物や地元の農産物も置いて地域の活性化にも役立てる。地元から具体的な要求が上がった折には、ぜひともご支援いただけますようお願い申し上げます。
 第三の問題に入ります。第三は、災害問題でございます。
 先日、七・一八水害を振り返る河川課で作成されたビデオも見せていただきました。また、開会日の木村知事のお話にあった防災センターの計画にしても、防災問題への知事さんの並々ならぬ決意が感じられるわけでございます。
 ところで、防災センターを置いて、コンピューターで情報を管理・発信するということはもちろん大事なことなのですが、同時に防災センターでは行政の末端まで県民の命にかかわる問題はほうっておかないという血の通った行政姿勢が大切だと考えるわけです。よく新聞で土砂災害の記事がある。その後ろに、大抵コメントがつきます。「これは人災ではなかろうか」というふうに新聞記者のコメントがつく場合がございます。そういうことになってはいけない。例えば、海南市の南野上で山からの鉄砲水が人家を直撃するという訴えがございます。いつ土砂崩れが起こるかもしれないと訴えられるわけです。決して、担当者はほうっているわけではございません。しかし、いろいろネックがある。急渓流対策をやりたいんだが、なかなか山の持ち主の協力が得られない場合もありますし、壁が一つあると、そこで計画がとんざしてしまう。しかし、災害にかかわる問題、人命にかかわる問題であるならば、山全体の水の流れを工夫することも含めて、さまざまな方面から解決をしてほしい。こういうことで、行政の担当の皆さんと、私どもも今お話をしているところです。
 教育の場の問題で、一つ例を挙げてみたいと思います。
 和歌山市に、虎伏学園という福祉施設がございます。家庭崩壊で病弱な子供たちがお世話になっている大事な施設です。その建物の二階に、虎伏分校という小中学校の分校の教室が乗っているわけです。びっくりするようなこともございます。その教室に行ってみると──教室というのは、廊下に向かって出口が二つあるのが普通の教室です。ところが、この教室は出口が一つしかない。出口が一つしかないのはまだわかります。出口を出ると廊下に出るのではなくて、次の教室に入る。教室に出るというのか、教室に入るというのかわかりませんが、その教室を通ってしか廊下の方へ行けないという、穴蔵のような教室で体の弱い子供たちが勉強しているわけでございます。もしも災害が起こったらどうなるのか。毎年、和歌山市の教職員組合は教室改築をと要求しているのに、なかなか改善されない。これは、教育行政と福祉行政の谷間にあるという、谷間の問題であります。行政担当者としても非常に難しいことはよくわかるんです。しかし、子供の命にかかわる問題であるならば、その谷間を乗り越えて改善するような教育の指導性が発揮されるべきであります。このことについて、教育長のお考えをお聞きしたいと思います。
 そして、今申し上げましたような問題が至るところにあると思います。県民の命にかかわる問題を、行政の谷間、ネックがあるということで放置をしないという血の通った防災行政ということをお願いしたいわけでございます。この点について、総務部長さんのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 第四は、広域のごみ処理計画にかかわっての問題でございます。
 こういう計画書がつくられて、広域のごみ処理計画が各地で進められてまいりました。このたび、海南、海草、那賀、一市九町でつくっていた海南・海草・那賀広域ごみ処理施設建設協議会が解散をいたしました。もともと、広域ごみ処理計画については批判もありまして、大量消費、大量廃棄の社会経済活動を転換させることが基礎に置かれていないところに問題がある、こういう趣旨のことを二〇〇二年二月に県議会で中山県会議員も指摘をしました。そして海南市では、既にごみ処理施設を改善していたのに二重投資だという批判があったところであります。しかし、この計画は県の積極的な指導のもとに進められてきたと思うわけでございます。
 このたび、五月十二日に出された貴志川町のごみ処理問題検討委員会最終報告書というものを見ますと、海南・海草・那賀広域ごみ処理施設建設協議会が解散になった経過として、貴志川町水源としての地域特殊性、大型集中化と環境問題リスク、大量生産、大量投棄という問題に何の根本的解決策のないままでの受け入れることについての危惧を挙げ、そのことを町長に理解していただいたと書いています。これを見ても、一市九町での超広域ごみ処理という考え方そのものにかなり無理があったのではないかと考えるものでございます。同時に、新たなごみ処理場を必要としている町村もあるわけでございます。適切なごみ処理施設を建設して、市町村が自主的に考えたものを支援するようにしていただきたいと考えます。海南・海草・那賀広域ごみ処理施設建設協議会の解散を県としてどう受けとめておられるのか、またごみ処理施設を必要とする市町村への対応をどのように考えておられるのか、環境生活部長さんの見解をお伺いいたします。
 以上で、私の第一回の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 県土整備部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○県土整備部長(大山耕二君) 道路問題についてのご質問にお答えいたします。
 まず国道四十二号海南─下津─有田間についてでございますが、現在、国土交通省が二市一町の意見を聞きながらルート検討を進めているところであります。今後の見通しとしましては、当面、都市計画決定に向けて二市一町が町づくりの中に道路を位置づけ、ルート決定を国に働きかけることが必要と考えております。県としましても、今後の直轄事業の展開を視野に入れ、国に対し事業化を働きかけてまいります。
 次に、国道三百七十号阪井バイパスにつきましては、周辺の道路網や町づくりを踏まえ、以前に地元提示を行ったルートを基本に、国土交通省と協議中であります。今後とも、海南市とともに地元の理解を得ながら、早期の都市計画決定に向けて努力してまいります。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 災害問題についてお答えを申し上げます。
 災害対策は県民の命にかかわる最も重要な課題でありますが、とりわけその突発性、被害の甚大性等にかんがみれば、東南海・南海地震対策などは、まさに究極の災害対策であると考えております。
 県といたしましては、想定されますこの大災害から一人でも多くの県民の命を守るため、県政の最重要課題の一つとしてその取り組みを進めているところでございます。
 こうした大災害に確実に備えるためには、国、県、市町村、そして県民が一体となって取り組んでいく必要がありますし、行政には縦割りを排した横断的、総合的な取り組みが不可欠であります。災害対策の一体性を確保するため、風水害及び地震対策については地域防災計画を作成しますとともに、地震対策については地震防災対策特別措置法に基づく地震防災緊急事業五カ年計画を策定し、各事業を推進しているところでございますが、本年度には、県の全部局が一体となって地震防災対策を推進するため、地震防災対策アクションプログラムを作成することとしておりまして、知事以下各部長で構成する和歌山県防災対策推進会議を設置し、その検討を行っているところでございます。そうした取り組みの中で、職員の一人一人が災害対策の重要性を認識し、それぞれの所掌事務の中で課題に対応できるよう意識を高めるとともに、部局間の連携を一層強めてまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 広域ごみ処理計画について、海南・海草・那賀広域ごみ処理施設建設協議会解散をどう受けとめているのかということでございます。
 ごみ処理広域化計画は、国が示したガイドラインに従って、市町村と協議の上策定したものでございますが、海南・海草・那賀広域ブロックにつきましては、広域処理施設の建設候補地におきまして、地元の理解が得られなかったために、現在計画されている広域ブロックの事業の継続が困難になったものと受けとめてございます。
 ごみ処理の広域化につきましては、施設の高度化、スケールメリットによるダイオキシン類の発生抑制、余熱利用、リサイクルの推進など、効率的、経済的な廃棄物処理が期待できることから、循環型社会を形成していく上で重要な施策と考えておりますので、今後改めて関係市町と話し合い、当地域の課題、問題点を検討しつつ協議してまいる所存でございます。
○副議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 本年十一月に実施する学力診断テストは、学校週五日制のもと、新しい学習指導要領が実施される中で、児童生徒にどの程度学力が定着しているかを把握するため、県内すべての小中学校を対象に行うものでございます。その結果の分析をもとにして、学力の向上を目指した行政施策を総合的に行ってまいります。実施に当たっては、教育関係者や保護者の代表から成る学力診断テスト実行委員会を設置し、広く意見を聞くとともに、市町村教育委員会教育長や小中学校長からの理解と協力を得ているところです。
 次に少人数学級につきましては、本年度実施している小学校でどのような教育効果が得られるかを十分検証してまいります。
 次に社会福祉法人虎伏学園にある特殊学級の防災対策につきましては、設置者である和歌山市教育委員会を初め、関係機関の連携した対応が必要であると認識しております。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 まず、教育問題でございます。
 突っ込んだ議論はまた文教委員会でもやらせていただくとして、感想、意見だけを述べておきたいと思います。
 私は、教育にかかわる問題は、まどろっこしくても、子供を真ん中にして、保護者、教職員、教育行政の合意が大事だということを、くどいほどいろいろな話で申し上げたわけでございます。そのことについて教育長は何を回答したのかと言えば、学力診断テストをするための実行委員会をつくっている、実行委員会に各界の方が入っている、市町村教育委員会教育長や小中学校長からの理解と協力を得ている、こういうことを言われて、合意は大事にしているというふうにおっしゃったおつもりなんでしょう。ところがその実行委員会というのは、構成メンバーも議論の内容も明らかにされてはおりません。これが、もしも学力診断テスト問題作成委員会であれば、問題が漏れたらいけないからメンバーを明らかにできないなんてこともあるでしょう。しかし実行委員会であれば、その構成や論議の内容が公表されてしかるべきだと思います。少なくとも、教職員組合の代表はここには入っていないようであります。
 ILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」というものがございます。一九六六年に出されたものですが、その第三項「指導的諸原則」の九として、「教職員団体は、教育の進歩に大いに寄与できるものであり、したがって教育政策の決定に関与すべき勢力として認められなくてはならない」とされているわけであります。これが国際的常識でございます。これまで教育委員会は、このことを無視していたわけではない。この精神を大事にしてこられたというふうに私は思っています。
 その一例として、一九七八年に行われた学力調査、これは六〇年代の香川、愛媛の学力調査とは全く違ったということを申し上げたわけでございます。また、かつての高校教育協議会にしても、最近のきのくに教育協議会にしても、教育行政関係者、PTA代表、学校長、一般県民有識者とともに、教職員組合の代表、あるいはそこが推薦する現場の教職員が含まれ、その論議は公開されておりました。私は、学力診断テストについては、文部省学力テストという弊害の多かった経験、そして和歌山県の学習状況調査という経験を申し上げて、県民の皆さんの前に問題を提起したわけでございますから、その実行委員会というところでも、ひとつ私の提起を議論していただいて、またどういうメンバーで、どういう論議をしたのかも堂々とお示しいただきたいと思うわけでございます。検討の時間を与えるという意味で、要望意見にきょうはとどめておきたいと思います。
 次に、少人数学級の問題であります。
 教育長の言葉では、教育効果を十分検証ということになるわけですが、私もその教育効果についていろいろ聞いてまいりました。何人かの先生からお聞きしたんですが、一人の方は、昨年は二年生で三十八人のクラスを持っていました。もう一人の方は、三十八人のクラスを一年生のときに持ちました。低学年担任のベテランでございます。そして、ことし二十五人の一年生を持った。どうですかと聞きますと、授業中に教えた内容を子供がどこまで理解できたのかを確認し、その場で指導することもできます、子供一人一人への配慮をし、体調に合わせて指導できる、給食指導一つとってみても、食べるのが遅い子、好き嫌いのある子への励ましをすることもできる、子供のけんかへも丁重に対応することができる、こういうふうに言っておられました。こうした教育効果を十分つかんだ上で、来年度予算要求に生かしていただきたい。そして、その要求を受けとめる木村知事の教育への熱意に期待申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
 第二番目に、防災問題でございます。
 私は、「行政の谷間」という言葉を使ったわけです。この行政の谷間というものは、行政に携わる皆さんにとっては大変怖いものでございます。なぜかと言うと、県民の皆さんが苦しんでいても、困っていても、自分の担当でないですから、行政担当者として責任や痛みを感じないで済ましてしまう場合があるという怖さであります。
 教育長は、虎伏分校の教室について、「関係機関の連携した対応が必要」とお答えいただいたんで、それでいいんですが、だれが担当であろうとも、そういう家庭崩壊で病弱という二重のハンディキャップを持った子供、その子供には一番教育の行政の光を当てなくてはならない、その子供たちが今、私が申し上げたようなそういう想像のつかないような教室で、そういう環境の中で勉強しているという事実、このことについては教育を担当する者としては許せない、ほうっておけないという気持ちを、連携の前にまず持っていただきたいわけでございます。総務部長なり、教育長なり、上の立場に立つ方が、そういう行政の谷間をつくらないという立場で対処していただけることが大変大事だと思っています。
 道路の問題は、これは大きな問題で、これから着手する問題でございます。よろしくお願いします。
 そして、広域ごみ処理施設については、一言申し上げておきますと、やはり県として大きなものはというそういう政策的指導があったように思います。これからは、地域の問題は地域が決める、地域の要望をよく聞いて、地域の要望に合ったものについて支援するようにお願いしたいということを申し上げまして、私の要望を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時十二分散会

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