平成15年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百号から議案第百十四号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第百号から議案第百十四号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十八番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、順次、一般質問をさせていただきます。
 一番目に、県・市政策連携会議についてであります。
 和歌山県と和歌山市が自治体の枠を超えてさまざまな課題解決に連携して取り組もうということで、両当局でご検討をいただいておりました和歌山県・和歌山市政策連携会議ですが、去る五月八日に初めての会合が実現されました。厳しい景気状況そして財政状況の中で、和歌山市が中核市であるとはいえ、県都である和歌山市のことを和歌山県、和歌山市で一体となってさまざまな懸案事項を解決に向けて検討していくことは、コスト削減にもつながって効率的な行政を推進していく上でも、また役割分担の明確化にもつながり、非常に意義深い重要な会議であります。
 旧丸正百貨店の利用、商店街の再生等、和歌山市中心市街地の活性化施策、県市それぞれの遊休地、未利用地の利活用について、あるいは近い将来の一般・産業廃棄物処理、それに関連するリサイクルの問題、また加太の土取り跡地の利用について、カゴメ株式会社のトマト生産工場にかかわる上下水道のインフラ整備の件、また跡地のさらなる利用、事業展開について、そして県市で推し進めている西脇山口線、湊神前線、南港山東線等、都市計画道路の整備、さらには、和歌浦、雑賀崎等、観光地の活性化策、例えば廃屋旅館の処分の問題、高齢者の中長期療養滞在型観光について、あるいは各地の交通安全、防犯対策等、懸案事項はメジロ押しであります。こんなとき、県市お互い信頼関係でもって前向きな建設的な議論を漸次展開していただきたいものであります。
 県議会や市議会で議論されたことや提案されたことも、それこそまないたの上にのせていただきたいと思います。今後どのような政策課題を取り上げ、どのように行政に反映させ、どれくらいの頻度で会議が行われるのか、お示しください。中山副知事にご答弁をお願いいたします。
 二番目、科学技術の振興による地域産業の発展についてであります。
 産学官連携による新産業づくりについて、平成十四年九月、十五年の二月、それぞれ予算委員会において質問をさせていただきましたが、このたび平成十五年度の重点施策である地域科学技術振興事業の中で、地域の科学技術資源を活用して産業の活性化を図るため、文部科学省が所管する公募型産学官共同研究事業である都市エリア産学官連携促進事業の採択を受けたとのこと、まことに喜ばしい限りであります。
 和歌山県工業技術センターを中心に、和歌山大学システム工学部等の大学と和歌山市内の有機化学企業の高度な技術を結集して、ナノテクノロジーすなわち百万分の一ミリの超微細な世界で原子や分子を操作し加工応用する技術を駆使した次世代エレクトロニクスデバイス用有機材料の開発推進を行うものであります。厳しい経済環境の中、比較的堅調に推移している、今や和歌山県の重要な基幹産業の一つ・化学工業界がさらに大きく発展することが期待されますし、ほかの産業にもよい波及効果をもたらしてくれればと願うものであります。
 我が国全体が依然厳しい経済情勢にある中、和歌山市のような地方都市の状況はなお一層厳しいと言わざるを得ません。一方、経済社会のグローバル化の進展や情報通信技術の急速な発展・普及の影響は地方にも直接及んでおり、今や地域の産業は単に国内にとどまらず、世界の中での競争にさらされていると言えます。このことは、逆に言えば、すぐれた科学技術の成果を活用することにより地域の産業が迅速かつ容易に世界市場に参入するチャンスを持っていると言えるのではないでしょうか。
 このような状況のもと、地域の企業や大学、公設試験研究機関が有する研究開発に関する資源やポテンシャルを生かした科学技術を振興することにより地域経済の活性化を図るという科学技術駆動型地域経済の発展を目指したさまざまな取り組みを行っていただきたいと思います。
 今年度の科学技術振興事業団の採択をねらうアグリバイオをテーマにした地域結集型共同研究事業とともに、和歌山県の経済活性化、そして雇用の創出に寄与してもらえるよう、事業の進展を願う次第であります。県としての科学技術の振興に関する基本的な認識と、今回採択となった都市エリア産学官連携促進事業を含めた具体的な取り組み、さらには地域産業発展のための新たな事業戦略がありましたらお聞かせください。知事にご答弁をお願いいたします。
 三番目、海洋レジャープロモーション事業についてであります。
 平成十五年度重点施策の一つに海洋レジャープロモーション事業として、世界最高峰のヨットレースと言われるアメリカズカップの三連覇をなし遂げた世界ヨットレース界の覇者ラッセル・クーツ氏を招聘して開催する「ラッセル・クーツと紀州の海」というイベントが本年七月十八日から二十一日まで四日間、実施されると伺っております。クーツ氏による紀伊水道のクルージング、その航海記の出版、来日記念のディンギーやクルーザーのヨットレースとともに、和歌浦湾において七月の二十日には午前・午後各三百名のクルーザーヨット体験イベント等が行われるということであります。ヨット界の世界的スーパースターをお呼びしての海洋県・和歌山の海に親しむ大きなイベントであります。和歌浦湾から眺めた和歌浦、雑賀崎、あるいは冷水浦、戸坂、荒崎方面の海岸美を再発見し、将来的に和歌浦湾における周遊観光、クルージング体験観光の端緒にもなるイベントではないかと思われるわけです。
 開催まであと一カ月足らず、せっかくコンセプトとして、海を初め自然のすばらしさなど和歌山の魅力を世界に情報発信し、地域振興を図るものとしてうたっているのですから、もっともっと、県内のみならず県外へもイベントをアピールしてはいかがなものでしょうか。そして、和歌山マリーナシティ内にもマリーナを利用する会員さんがたくさんいらっしゃいます。そんな皆様にもイベントへもっと参加、協力いただいて、一過性のイベントにならない盛り上げを期待するものであります。
 今回の事業のプロモーション状況、今後の和歌山県の海洋レジャープロモーションについてのお取り組みについて、企画部長、お聞かせください。
 四番目、和歌山県のスポーツ振興について、二点お尋ねいたします。
 一番目、和歌山市中之島にある和歌山県体力開発センターは、体育・スポーツの振興を図り、県民の健康と体力づくりに寄与することを目的として昭和五十年に開館以来、和歌山県南紀スポーツセンターとともに多くの県民に愛され、かつ親しまれてまいりました。体操関係、水泳関係のスポーツ教室の実施、トレーニングルームやプール等の一般開放、それにサウナ、喫茶の併設ということで、地味ながら着実に年間十一万人もの利用者を数えてきました。特にプールを利用したウオーキング等、昨今人気が高く、このプールは県内唯一の県立の室内かつ温水プールであります。会員制が多い民間施設と違って、障害者、高齢者の方々にも多く利用され、高齢者向けのシルバー体操に参加して体調がよくなった、多くの仲間ができたなど、たくさんの意見を聞かせていただいているところであります。
 しかるに、和歌山県行政組織等検討懇話会の昨年十月二十八日の行政組織等の見直しに関する提言、この中で体力開発センターについては、施設における事業内容が民間と競合する観点からはその使命は達成されたものと思慮され、廃止すべきであるとうたわれたことを踏まえて、本年三月、行政組織等の見直し実施プログラムにおいて、体力開発センター施設の廃止に向け平成十六年度より検討を実施するとされております。
 確かに、施設の老朽化は進み、関係者の方々も維持管理に腐心されていることと存じますが、和歌山県のスポーツ医科学の拠点としてぜひ存続していっていただきたいと思います。利用料金も安価で、スポーツ教室のみならず、健康講座も年に四、五回開催されるなど、各種プログラムの充実にも努めておられ、もっと広く県民にアピールして周知いただく努力もすれば、ますます存在意義も高まると思われます。廃止というより、さらなる存続のためのご検討をいただきたいと思いますが、いかがですか。
 また、高齢化社会の進展とともに老人医療費が拡大している昨今でありますが、ゲートゴルフ発祥の地・美里町を初め、スポーツに親しむ元気な高齢者がふえているところは逆に医療費が減少する傾向にあると伺っております。今後、高齢者等の健康維持をもっと図るために、生涯スポーツという切り口でさらにトレーニングプログラムの開発、実施、普及を図っていくことに意義があると思いますが、まさにこの体力開発センターで取り組んでいくのはいかがでしょうか。
 二番目、以前、私も二巡目国体の和歌山県開催についてお尋ねして、平成二十七年の開催に言及いただいたことがありました。あと十二年であります。厳しい経済環境のもと国体開催の意義すら問われる時代でありますが、そんなときこそ、スポーツの持つ一国民、一県民としての意識の高揚、青少年のみならず生涯教育の見地からも、気候に恵まれた和歌山県での国体開催に向けて、県内の総合運動公園整備について本格的に前向きに検討する時期に来ていると思われます。ナイター設備のない野球場で駐車場スペースの小さい紀三井寺公園、海からの強風が予想される加太の土取り跡地、和歌山市あるいは御坊市内等の未利用地の多い工業団地等、いずれも候補地として一長一短あると思いますが、和歌山ビッグホエールを初め既存の運動施設を有効に機能的に活用するということで具体的な取り組みに入っていただきたいと思います。
 聞くところによりますと、他府県ではシェルターや食糧備蓄倉庫を備えた防災基地機能を持ったスポーツ競技場づくりをされているところもあるということであります。タイムリミットは迫っていると思います。二巡目国体に向けた候補地選び並びに施設整備について、当局の前向きなお取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
 この二点、教育長にご答弁お願いいたします。
 以上四点、一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 科学技術の振興による地域の発展ということについてのご質問でございます。
 私は、第一次産業の進展ということも非常に大事ですけども、もう一方で、和歌山県に勢いをつけるためには地場産業の振興と、今あるものを大事にしていくということで考えているわけです。しかしながら、この厳しい経済情勢のもとですべて県の予算でやるというふうなことは非常に難しいということから、一昨年来、ありとあらゆる国等の研究費、こういうふうなものを和歌山県に導入することができないかということで鋭意努力を進めてまいりました。
 昨年は、近畿大学や農林水産総合技術センターを利用したバイオでの和歌山県の農業や水産業の振興を図るために地域結集型共同研究事業、これは相当大きな予算がつくわけですけども、これについての極めて激しい働きかけを科学技術振興事業団に行ったわけですけども、少し力及ばず、予備調査費がついているところで、ことしは何とかいけそうだというふうなことで思い切り頑張っているわけです。
 そして、それとあわせてついせんだって、文部科学省から都市エリア産官学連携促進事業というのがつきました。これは、近畿では大阪、兵庫に次いで三番目というふうなことで、三年間で三億円の研究費がつくということで大いに期待しているところでございます。県の工業技術センター、そして和歌山大学、それから県の地場産業である化学工業界が一体となって有機化学のナノテク分野での新しい発明を行っていくということで、これは和歌山県の進展ということについて非常に大事なことでございますので、今後もこういうふうな形で積極的に外部の研究費等を導入しながら、和歌山県が外に向かって発展していくように頑張っていきたいと思います。
○議長(尾崎要二君) 副知事中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○副知事(中山次郎君) 県・市政策連携会議についてお答えします。
 去る五月八日に第一回の会合、市からは植松助役以下関係部長が出席しまして開催しました。県都である和歌山市の政策課題は同時に県政にとって重要な課題であるという認識のもと、中心市街地活性化問題あるいは道路問題、さらには産業振興問題など、多岐にわたり県市が連携して解決を図るべき重要な政策課題に取り組みまして、何よりも結果を出すことが重要であるという相互の認識で一致したところでございます。
 この政策連携会議は、これまで個々の部局間だけの会議では解決できなかった課題や、また部局間にまたがる課題を中心として取り上げまして、各部局の垣根を越えた総合的な観点からの解決を目指すものでございまして、今後とも必要に応じまして開催していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 海洋レジャープロモーション事業の状況でございますが、ラッセル・クーツとは四月の十五日に正式に契約を締結しております。七月二十日に和歌山県にお迎えしまして、和歌浦をスタート地点に紀州・瀬戸の海をクルーザーで周遊していただきまして、これをテレビ、新聞、図書の出版などを通じて紀州和歌山の海など豊かな観光資源を国内外にアピールする予定でございます。
 このことを記念して開催しますヨットレースにつきましては、七月の十八日から海の日である二十一日まで行い、十五歳以下のジュニアが競うOP級のレースにイタリアチームが参加するほか、日本がアテネオリンピックを目指す四七〇級のレースでは前回のアトランタオリンピック金メダリストのウクライナチームが参加するなど、世界の有力選手を迎えまして、和歌浦を初め本県の魅力を国内外の方々に感じてもらい、世界に情報発信を行ってまいりたいと考えてございます。
 最終日の二十一日には、ラッセル・クーツ氏自身もクルーザーレースに参加する予定でございます。さらに、現在受け付け中でございますクルーザーヨット体験会につきましては既に三百人以上の申し込みをいただいておりまして、より多くの方々が和歌浦を訪れてもらえることを期待してございます。
 次年度以降につきましても、本県の大きな資源である海の魅力を工夫を凝らしながら継続して情報発信してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツ振興についてお答えいたします。
 体力開発センターは、低料金でだれもが気軽にスポーツや体力づくり活動を楽しめる施設として、独自のシルバー体操教室、幼児体操教室などを開催し、年間十一万人以上の方が利用されております。また、生涯スポーツ振興の観点から、国の委託を受けて総合型地域スポーツクラブを育成・支援する拠点としての広域スポーツセンター事業も実施しているところであります。
 今後、最終的な結論に向けての検討と並行して、現行事業の充実とともに、高齢者等の健康維持のため、医療機関等と連携しながら有酸素運動、筋力運動等を取り入れたプログラムの開発、実施、普及に努めてまいりたいと考えております。
 次に、二巡目国体についてですが、日本体育協会は国体の実施方法及びそのあり方について、全国知事会議から提案された国民体育大会に関する緊急決議を受け、本年三月に国体改革構想を策定しました。本県としましては、この構想を踏まえて既存施設の有効活用や近隣府県を含めたブロックでの共同開催等も含めて幅広く検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十八番長坂隆司君。
○長坂隆司君 ご答弁いただきました。
 まず、県市の協調については、和歌山市も中核市に移行して六年目を迎えております。福祉分野等においても一層の自主独立した行政推進も期待するところであります。しかし、コスト高につく事業や投資効果を考えると、民間で買い上げ等、対応できないものの処理、民間の所有物、所有地であっても長期間放置されて処分の見込みの立たないようなものの始末、あるいは幹線道路網の整備に当たっての用地交渉の問題等、どうしても県市が協力連携して取り組んでいかざるを得ないものが少なくないと思います。ぜひ県・市政策連携会議をできるだけ高頻度に開催していただいて、実を上げていただきたいと願います。
 ラッセル・クーツと紀州の海イベントでありますが、紀伊水道特に和歌浦湾の魅力を全国に、世界に発信できる絶好の機会なのですから、残された期間、もっと景観とマリンスポーツを意識した宣伝ポスターを各所に貼付したり、見物・来場を促すようなマスコミへの露出、こういうものを図っていただきたいと思います。
 次に、二巡目国体開催についてでありますが、高知県知事が自県開催のときに言われたように、どうしても主催地が優勝しなければならないわけではないのですから、個々の都道府県が純粋にスポーツで競い合って結果を出していく、その中でふるさと意識の高揚、個々の競技の技術、成績を高めていけばよいものと思います。そのために、財政事情を十分考慮に入れて大会規模を縮小することも、夏秋開催を一つにすることも検討すべきでしょうし、それこそスポーツの全国大会なのですから、日本選手権のような位置づけでトップアスリートにどんどん参加してもらえるよう、国民体育大会自体を国民、県民にとって魅力的なものに活性化していけば、和歌山県として開催する意義は大きなものがあると思います。
 また、総合運動施設をつくるにしても、先ほど申し述べたように、大会後に無用の長物にならないように、有効活用できるように、例えば防災基地機能を持たせたり、幅広く老若男女を問わずいろんな市民スポーツに安価に開放して使っていただけるような施設になるようにご検討をいただければ展望も開けてくると思います。
 以上三点、要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。

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