平成15年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十八番玉置公良君。
〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。
きょうは、白浜の中央公民館の婦人学級の皆さん方が議会傍聴に来ておられます。まあ、元気に頑張って一般質問をしたいと思います。
まず、私たち、今議会で新しく新生わかやま県議団を結成させていただきました。私たちは幾つかの目標を掲げていますが、まず第一に、政策を中心に取り組んでまいりたいと考えております。特に議員の政策提案条例が今まで和歌山県議会では事例がないため、その実現を目指すことを一つの共通の目標として県政に尽くそうと決意をしています。
ところで、本題に入る前に、ちょっと皆様に報告をさせていただき、お礼を申し上げたいと思います。
それは、昨年の十二月議会において、私の地元の椿地区の県立軽費老人ホーム無憂園舎の取り壊し猶予とその有効利用について、地元の女性が中心となって立ち上がり、訴えましたところ、知事のご理解を得て、現在、地元の関係者間で歴史のある椿温泉を使っての湯治の復活と予防医学を使っての青写真ができつつあります。今後、県議会、県ともいろいろご支援をいただくことがあると思いますが、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。
さて本題に入りますが、きょう取り上げる環境問題は、既に昨年六月議会で一度取り上げたのですが、例の地球温暖化防止の取り組みのことであります。
まず、私の話の流れを、皆さんにお配りをしています資料をパネルにしましたので、それをもとに簡単に説明をしたいと思います。
ご存じのように、地球温暖化というのが、今大きく叫ばれております。これを、このままほうっておきますと地球がつぶれてしまう。また、人類の生存ができない。こういった状況の中で世界が立ち上がりました。そして、京都議定書という中で、この地球温暖化の元凶であります二酸化炭素、これを中心に減らすために、日本は昨年六月に日本全体で六%減らしていこう、そして家庭では二%減らしていこう、こうしたことを批准いたしました。
そこで、きょうの申したいことであります。
二〇〇八年でありますけれども、和歌山はもっともっとその前倒しをして、まず家庭から一軒一軒、そういった省エネをやっていく必要があるということをきょうは述べたいと思います。そして、そのことをすることによって、実は数限りない思いがけない恩恵と報酬が得られるんだということを提起したいと思っております。それとともに、これは地球がある限り続くんだということであります。その思いがけない恩恵と報酬でありますけれども、大きく言って二つございます。一つは、家庭みずからが省エネをやることによって家計が助かって、さらに新しい財源が生まれてくる、そしてその一部を、これまた後ほど説明いたしますけれども、財源として出していただければ、こういった環境の省エネの雇用が生まれてくるということを後ほど申し上げたいと思います。
それともう一つ、家庭とさらに和歌山県内の企業もございます。家庭や企業がこういった省エネをすることによって、もう一方で莫大な財源が県にも国にも入る。こういう仕組みが、実は今、京都議定書の中で検討されております。CO2排出権取引と言いますけれども、簡単に言いますと六%、和歌山の家庭とか企業で省エネを一生懸命やってもらって、そしてそれが目的が達成されて、それ以上に余裕分があれば、つまりその余裕分を外国に売れるということであります。外国からお金が入ってくる。二重の喜びがここに出てくるわけであります。この特定財源、入ってくる特別な財源を使って雇用とか環境銀行とか、これから来年六月に向かって世界遺産登録に取り組んでまいりますが、こういったきれいな和歌山県をつくっていく、こういったことにつながってくるんだということを知事にこれから申し上げてまいりたいと思います。
それでは、早速説明に入りたいと思います。和歌山県が全国に先駆けて地球温暖化防止の取り組みをすること、そしてそのためには京都議定書による二〇〇八年からの実施時期を前倒しにして取り組むことが大変重要であります。それは、日ごとに病んでいく地球を救うために、一日も早く救済に取り組むことの提案であります。地球が病むということは、そこで生きている人間を筆頭に、あらゆる生き物がここでの生存を許されないということを意味しています。いろいろな学者の意見がありますが、このまま地球をほうっておくと、二一〇〇年には地球の温度が約五・八度C上昇すると言われています。そして、南氷洋の氷山が崩れて海面の水位が一メートルから二メートル上昇し、それによって五分の一の陸地が水没してしまうと言われています。恐ろしい推測として、日本の海岸線の九〇%が沈んでしまうという専門家もいます。人類やすべての生物にとって、かけがえのない地球を温暖化から守るのであります。守らなければ、我々生き物は死滅をしてしまいます。早急に地球温暖化防止対策の実施に踏み切ることにより、数限りない、思いがけない恩恵と報酬が得られるのです。それを知事に提案したいのであります。
その一つ目は、ご存じのように原子力発電にまつわる不祥事があり、国民への信頼を急速に失わさせています。そのため、夏の電力使用のピーク時には、日本では経験もしなかった停電という事態が起きるかもしれないのです。そういう事態にならないために、省エネによって県民のライフスタイルを変えるという習慣を今のうちに身につける必要があります。地球温暖化防止の対策として、二〇〇八年から世界各国で一斉にスタートします。それに先立って、我が和歌山県では少なくとも各家庭が先陣を担ったらどうでしょうか。なぜならば、家庭の省エネは既にテスト済みです。そのマニュアルも来年できる見通しがついてきました。
和歌山県は、緑の雇用事業を初めとする環境の先進県であり、来年、世界遺産登録が実現をする県でもあります。電気事業連合会の調べによると、二〇〇一年度の和歌山県の電灯使用電力量は、人口一人当たり二千二百二十七キロワットアワーで、残念ながら福井県に次いで全国第二位であります。こうした事実にかんがみると、本県の地球温暖化防止対策として最も効果的なのは家庭における省エネルギーであると推測されます。だから、反省する意味においても、どこの県よりも先に各家庭が地球温暖化防止に取り組むべきではないでしょうか。私が調べたところ、全国的に見ても、まだ各家庭が一斉にこれを実行するということがなされていません。
続いて第二番目は、各家庭が省エネをすることによって、家計がかなり助かるという数字が浮かび上がってきました。前回は、環境省の出した家庭の温暖化防止対策の十の取り組み事例で、CO2を二・八%削減すると年間四万一千円浮いてくることを申しましたが、この一年、県内でのテストによってその環境省の見通しが私たちの仲間によって確かに実証をされています。その結果が行く行くは和歌山県が直面をしています雇用問題の、特に知事が唱えています緑の雇用促進の道へのきっかけになるのかもと私は胸を膨らませています。と申しますのは、二〇〇八年から二〇一二年にかけて、日本はCO2六%削減の割り当てが来ていますが、そのうち家庭が二%となっています。企業は、それぞれの方式と独特の機械を使って努力をするので達成をできるという前提に立ち、ここでは家庭の省エネ対策に絞って私の考え方を申し上げたいと思います。
ところで、家庭の省エネと言っても、電気、ガス、水道、石油等いろいろとエネルギーはありますが、その熱量の計算方式は複雑で難しいため、ここでは電気だけに絞ってみました。家庭の削減は二%を目標、これを乗り越えるのは易しい壁ではありませんが、私たちのNPOの仲間たちと昨年の十一月からことしの二月にかけて五つの家庭でテストをした結果、「案ずるより産むがやすし」という言葉のとおり、その目標は難なく達成されました。その結果を申し上げます。
家庭の電気の一部の省エネとともに、昼間の電力をできる限り夜間にシフトすることによって、Aさんの家庭では、三人家族で月三千三百六十三円の節約の効果が出ました。商売をしているBさんの家庭では、月三千八百二十四円の節約ができました。年間に直せば、Aさんの家庭では電気だけで年間四万三百六十円、Bさんの家庭では年間四万五千八百九十六円も節約ができたのであります。これからいけば、環境省が示している金額は、電気だけではなく、ガス、水道、石油等も含んで年四万一千円ですので、これ以上の節約の効果があることは私は間違いないと考えます。だからこそ、決して難しい目標ではないのであります。各家庭が努力すれば実現できることがわかりました。「とらぬタヌキの皮算用」ですが、国が言っています年間四万一千円以上浮くことになり、和歌山県全体では約三十八万世帯ですから、四万一千円掛ける三十八万世帯で最低でも百五十六億円以上になるのであります。知事、いかがでしょうか。
第三番目は、この百五十六億円のお金を約三十八万世帯の和歌山県民すべてに有益に使ってみてはどうかという考えであります。私の記憶ですが、和歌山県民すべてが一つの目標に向かってこの省エネのように努力すると、その恩恵が地球全体につながるという経験をするのは初めてではないでしょうか。だからこそ、この百五十六億円を形にして残したいのであります。その具体的な提案を申し上げます。浮いた四万一千円のうち、千円あるいは二千円をこの地球温暖化防止に関する環境財源として集めてはいかがでしょうか。三十八万世帯ですから、千円で三億八千万円、二千円では七億六千万円であります。これは、まさに環境の時代に到来をしたすばらしい財源だと思います。なぜなら、高知県の新税の場合は、初めから五百円というものを納める新税であります。しかしこの和歌山方式は、省エネをして、財布の中がお金で膨らむ、その膨らんだ財布の中から千円あるいは二千円出してもらうということだから納得して出していただけるのではないでしょうか。つまり、県民から敬遠されやすい新税ではなく、私の和歌山方式では、これこそ県民が納得して協力してくれるお金だと思います。今までの税とは一味違う性格のお金です。この税は、悪税ではなく善税だと呼びたいと思います。これだけ指導していただき、節約ができ、子孫のため、さらに地球のためになるのなら、年間千円や二千円ぐらいだったら寄附してもいいと、そうはっきり主婦の方々は言ってくれているのであります。その上、子々孫々世界の人々に対し、千円あるいは二千円の浄財でも地球に貢献できるという誇らしさがわいてきます。本年二月の予算委員会で私は、これを善税だと言って和歌山方式の方がよいのではないかと質問いたしましたが、そのときは知事も急なことだったので控え目な答弁をされたようですけれども、私は心底からこの案を和歌山県にとって、二十一世紀の財源不足から見るとふさわしい財源の切り札と思っています。実は税の専門家にも、これを知事の権限でできるようにするにはこの取り扱いの名目をどのようにしたらベストなのか、そういったことを相談いたしました。その方は、「確かに今までの新税とは違い、より県民が納得のいく財源である。善税とも言えるだろう。法は、税以外の負担はいけないことになっている。それ以外は、分担金、負担金、使用料のように特定サービスの利益を得る場合のことに限られている。本人の自発性の問題もあるので、県民にPRをし、堂々と税として徴収したらどうか」、そういったヒントをもらいました。
知事、あなたに先頭に立っていただき、まず県民にPRをし、それが浸透した段階で条例化を実現したらどうでしょうか。これは、極端に言いますと、地球がある限り持続して財源が確保され、県民の努力次第でさらに増大をしていく、安定したこの財源は新しい事業を起こす根幹になるという性質のものだと私は思っています。知事、いかがでしょうか。
次は、知事が常に唱えています緑の雇用事業等、一人でも多くの人が職につけるよう提案をしたいと思います。
今、県下の職を求めている人は、先日、ハローワークへ行って調べてみますと、ことしの四月現在で二万二千二百四十一人いるのであります。知事には、緑の雇用事業を重点に積極的に失業者のことを考えていただいていますが、我々は若い人たちのことも考えています。県内の高校卒業者の就職率がことしの三月末現在、全国でもワースト五位に入り、八〇・八%で四百六十五人が就職できない。また、大学卒業生も就職浪人がたくさんいます。この財源でもって彼らを就職させるという構想を描いてみました。なぜならば、若い優秀な労働力は、大阪や東京に流出をしています。彼らを県内にとどめておくためにも、二十一世紀の環境の時代にふさわしい財源確保と雇用の場を創設すべきであると私は思います。
実は、この六月に私どもが地球温暖化防止の仕事で、ハローワークを通じて五人の募集をしました。二日間で問い合わせを含めて四十数件がありました。反響の大きいのにびっくりしたところであります。県民も、こういった環境の仕事を待っていることを実感いたしました。
そこで、私たちが今取り組んでいます家庭の省エネマニュアルづくりの実践から、どれだけの雇用が生まれるのか試算をしてみました。県下で約三十八万世帯ありますから、一人で一日四から五軒、一カ月に百軒、月一回同じところを巡回指導する計画ですので約三千八百人が必要となってきます。二割近い人たちが職に恵まれるのであります。私たちがこれから取り組む家庭の省エネマニュアルづくりの場合を例にとりますと、一日日当七千円を出していますから、年間報酬約百八十万円としますと、一家庭千円負担として三億八千万円で割りますと二百十一人、あるいは二千円の場合、七億八千万円で割りますと四百二十二人が実際働けるようになります。これはばかにならない数字であります。
今、知事が取り組んでおられます緑の雇用事業は、国の雇用対策事業として用意されたお金ですが、しかしそれは雇用期間が一年間に限られており、また予算が終わればそれまでというたぐいのものであります。ですが、この地球温暖化防止にかかわることは、財源の面でも永久に確保ができ、それによって雇用も永続的に確保されると私は思います。もう一度申しますが、県内での雇用促進と地球温暖化とをリンクさせて、省エネをすればするほど財源がたまり、そして雇用促進がされる、さらに地球温暖化防止につながってくるのであります。つまり、一石三鳥ではないかと思います。そしてまた、知事が推奨されている緑の雇用事業の有効な財源になると思います。知事、いかがでしょうか。
それからもう一つ、これが本命なのであります。この地球温暖化防止の成果が実は莫大な財源として県にも国にも恩恵として入ってくるのであります。と申しますのは、CO2の削減目標が達成をされた場合、達成分を引いたその残りを余裕分として売ることができる。つまり、私たちが一番期待していますCO2の取引、商談についての提案に移っていきたいと思います。
京都議定書では二〇〇八年から国と国との間でCO2売買の取引が始まることになっており、今の段階では表向きどの国と国との間に取引が成立をしているということははっきりしていません。しかし専門家の話によると、裏ではかなりの動きが始まっているようです。環境省はかなり悲観的に見ているのか、今のところ初めから日本が目標の六%を達成できないという前提に立って、その一・六%不足分を京都メカニズムという名称で海外に投資をして、それを補おうとしているようであります。私も、電話をして担当者に聞きました。その一・六%分をCO2のトン数にすると二千万トンになるそうであります。そこで、CO2一トン当たりの値段は幾らぐらいの金額になるだろうかと関係者に当たってみましたところ、イギリスでは市場価格はCO2一トン当たり約千円という話が出てきました。もう一つ参考にできるのは、環境省が新しく気候ポイントという名目で、具体的にCO2削減を行った地域に助成金を出そうと提案をしようとしたときに、結局は財政難を理由に実行できませんでしたけれども、そのときの試算を参考にしますと、それはCO2一キログラムを五十円で買い上げるということですので、つまり一トン五万円の計算になります。我が国が不足分としていますCO2一・六%、量にして二千万トンは、イギリスの場合の取引価格を採用しますと、一トン千円という安い値段でも総額二百億円になります。また、環境省の試算を参考にしますと、一トン五万円ですから、二千万トンでは一兆円にも膨らむ金額であります。つまり、CO2の容量の売買は、売り手側からすれば途方もない財源が確保されるということになるのであります。県や国は、地方自治体の各家庭や企業のCO2削減努力によって、この巨額の財源を棚からぼたもち式に入ってくる仕組みになっています。
次に、海外に売って稼いだこの巨額のお金はどうなるのか、環境省の方に問い合わせをして、その話によりますと、その配分については検討中ということですが、国よりも県の方が明らかに努力の度合いが大きいことから見て、県の方に国よりもかなり多くの配分がされると思われます。努力した県は、努力した分だけ当然報酬が入ってきます。今からやるということはそのためなんです。環境省では、このCO2削減の容量をめぐる取引について、至って弱腰です。日本では目標達成が難しいというので、いわゆる買い手組に入っているだろうと見通しています。それというのは、今日のような世界的な不況と経済大国のアメリカが参加しない、そういう状況では市場原理で安い取引ができる、買い手市場でおさまるからです。しかし、私はそうとは考えません。また、考えたくありません。日本は、過去十年間、経済の不況に泣き、公害問題で四苦八苦してきました。この経験が必ずやCO2削減の容量取引にプラス材料として生かされるはずだと私は思います。今の状況で、外国にこのCO2削減の件で一兆円を出すことに国民は許してくれるでしょうか。それと同時に、環境問題にも日本は背を向けることになります。その上、この百年間に今の人口の六十億人が九十億人に増大するという見通しでもあります。人間の爆発的増加こそが地球温暖化の元凶であり、この元凶を維持するために、さらに経済的活動を活発にせざるを得ません。地球はこの二つの元凶によってさらに温暖化されるでしょう。アメリカは、こうした状況でもひとり我が道を行くのでしょうか。つまり、今は買い手市場でも、時代の趨勢からすると、売り手市場に変化する可能性の日は近いと思われます。このCO2削減をめぐる取引は、地球が存在する限り永久に続く財源になるのです。しかも、知事を通じて県民の努力が報われる形でお金が入ってくるのであります。県としては、損をするものはないのであります。しかも、省エネに貢献する和歌山県の地球への貢献として大いに宣伝できるのであります。知事は、このことに対して時代の趨勢をどのように見ているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
調子に乗るようですが、私は欲が深いので、私の夢のもう一つを追加させていただきます。
県内のすべての家庭の努力によって膨大なお金が生まれてくる仕組みをこれまで説明いたしました。そのお金にプラスすること、それは無論、企業などの努力によってもたらされる報酬を加えることは言うまでもありません。さらに、本命のCO2の削減容量、つまり目標の数値を超えた部分を外国に売ることにより外貨を稼ぐその金額は途方もない額になるはずです。このお金を和歌山の新しい県づくりに積極的に生かす方法を考えてみるのはいかがでしょうか。このお金を取り扱う機関を仮に「地球温暖化防止和歌山環境銀行」という名称で呼び、その株主はすべてこの温暖化防止に協力した県民に入ってもらうのです。無論、この資金の使用優先順位はトップが雇用促進、それに環境整備のための費用にします。そして、この銀行の特色は、県民すべてがそれぞれの家庭でCO2削減のために努力をすることによって、環境銀行の利益がおのずと上がってくることにあります。そして、その努力の容量が大きければ大きいほどもう一つの成果が県以外の他県、及び国から報酬として入ってくる、二重の恩恵がもたらされるのであります。しかも、県はそのことによって財源に新しい道が開かれる。つまり、和歌山県だけでも財政的な独立ができるのであります。環境に対するアプローチの仕方いかんによっては、これほどまでに何から何までプラスになるものはありません。ひいては、地球に生存することの環境はさらに豊かになると私は思います。つまり、今の世の中は物とか土地は金融の融資の対象になっていましたけれども、これからは我々が気のつかなかった無尽にある自然価値を、今まではつけられなかった空気とか水、これが新たな価値をもって膨大な付加価値を生み出す時代であると思います。それは、銀行の今までのあり方に対する大きな、また猛省を促す意味があると私は思います。知事、この環境銀行の構想についてはいかがでしょうか。
以上述べてまいりましたが、ことし六月中旬までの私たちの調査では、ほかの県や市町村ではまだ住民がこぞってこうした省エネに取り組んでいるのは見当たりません。ならば、その模範を示すためにも、環境立県和歌山として先頭を切るべきではないでしょうか。そのマニュアルは既に我々の仲間がつくっていて、今それに肉づけをするために県と連携をして取り組んでいます。来年からスタートできる環境の整ったグループもあります。全世界のスタートは二〇〇八年ですが、それを待つ必要はないのであります。しかも、これは永久に続き、また続けなければならない、私たち人類の宿命であると思います。県民が県を助けるということでこぞって立ち上がり、県の財政を豊かにするということは、和歌山県の歴史の中には余り聞いたことがありません。まさに、自分たちの手で自分たちの県をよくしていこうとする地方自治の精神にぴったりのテーマではないでしょうか。そのために県としては、そういう県民の善意と努力を後押しするための体制として、早急に県庁挙げての地球温暖化防止対策に係る組織を立ち上げていただきたいのであります。例えば、省エネ一一〇番をつくり県民からの相談に乗る等、そうした行政の立ち上がりが早急に必要ではないでしょうか。また、こうした動きは来年の六月、世界遺産登録されることにも大きな意義とつながりがあります。地球温暖化防止に取り組むことは、そこの地域の空気がきれいになるということです。地球温暖化をそのままにしておいて、お客様を歓待するわけにはいかないと思います。そのために、お客様をもてなすためのきっかけになるものではないでしょうか。つまり、この取り組みは来年の登録のタイミングに合わせて、二重三重のものを生むのではないかと私は思います。
最後に、この取り組みは、大げさに言えば日本の国策を変えるという意味も含んでいます。地方自治というものを、県民の約三十八万世帯が変えていくということ。地球人の宿命である最初の作業を始めたのが和歌山県民であるということであります。これは、日本の顔になるのであります。日本の顔が変わるのです。各国もこの形を一つのサンプルとして考える。日本の他県も同じまねをするでしょう。日本や世界のマニュアルになる。世界の環境をリードすることは、和歌山から出てくるのであります。これは、一つの新しい国策を提案することにつながるのだと私は思います。これは、二十一世紀の人間の生き方ではないでしょうか。地球温暖化防止対策を通じて大きな人間生活の変革をもたらすことにもつながるのだと思います。
また、国と国とのCO2排出権取引の実現によって世界の先進国と発展途上国は、政府開発援助によっていつの間にか従属関係ができていたのを、これによって対等の関係に戻せるという価値判断が動き始めると思っています。なぜならば、先進国が地球温暖化防止に関してむちゃな環境活動を行っているその罪滅ぼしに、先進国は政府開発援助という名のもとにお金や商品を配るという、これが今までは発展途上国の国づくりに対する先進国の援助という美名の行為とみなされてきたのではないでしょうか。しかし、これからは今までの慣例が変わってくるはずです。CO2削減の容量を売れる国は、これが立派な商品として胸を張って売れる時代が来ます。それによって、国同士の従属、非従属というものがなくなり、国と国とが対等、平等になるというわけであります。そういう価値判断が、私は動き始めると思います。経済のグローバルは、勝ち組が一つで負け組がほとんどであります。しかし、環境のグローバルは、すべての国が対等な関係になり得るのです。つまり、地球の資源を使い果たした、あるいは使っている国というのは、それだけ大きな罰則を支払わなければなりません。二十一世紀の潮流である、自然に逆らわず、自然の流れに順応していく生き方こそが本来の恩恵を受ける資格があるのではないでしょうか。二十一世紀は地方の時代と言われてきました。それなのに、国は県への財源移譲に必ずしも積極的ではありません。いわゆる三位一体論でもめて、地方にのみにくい条件を出してきています。こういう状況のもとで、CO2削減対策は地方独自の財源を生み出す千載一遇のチャンスと見ていますが、知事いかがでしょうか。
以上申し上げましたが、知事のご見解を賜りたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 大変実証的かつ高邁なご質問、提言に対して、非常に敬意を表する次第でございます。私が感心いたしましたのは、各家庭が温暖化に取り組むことからいろいろな価値が出てくるという発想でございます。
実は、緑の雇用を提唱いたしましたのも、和歌山県はこれだけ森林がある、京都議定書を批准した上はこのことが大きな価値を持ち得るだろうということで緑の雇用というものを提唱したわけでございます。ただ、これは笑い話にもならないんですけれども、そのときに、岐阜の知事さんから森林県連合をつくろうと。要するに、吸収して都会に恩恵を与えている県の連合をつくって、当然見返りをちゃんと取るようにしようという話がありまして、それはいいことだと賛同いたしまして、実は和歌山が事務局になって一応連合をつくったんです。ただ、そのときに和歌山県が排出過多県になっているか、吸収過多県になっているかということを調べましたら、岐阜県なんかはもちろん山が多くて吸収過多県なんですが、和歌山県は排出過多県になっている。これだけ山がたくさんあるのにどうして排出過多県になっているかというと、先ほどの質問にもありましたように、電力の消費量が一人当たり全国二位と。これだけ暖かいところだからそんなにあれだけれども、クーラーなんかをたくさん使うのかなというふうに思ったり、いろんな事情があったんですけれども、なかなか事は思ったほど簡単じゃないということがそのとき明らかになったわけです。そういうふうな中から、一方では緑の雇用というような和歌山県にある森林なんかを利用してCO2を吸収して、和歌山にいろんなお金を持ってくるということをやっているんだけれども、もう一方では逆に排出し過ぎている方を削減していくということ。これは両々相まって和歌山が本当の環境県になれるということだと思いますので、そのことに大いに注目していきたいということです。去年議員の方からご質問がありましたことを参考にしながら、ことしから和歌山県では家庭の省エネのモデル実践活動というふうなものを行っておりまして、これをもとにマニュアルをつくって、それで非常にうまくいくと──これはNPOでやられて非常に成果を上げられたということでございますけれども、県がやっている方でもはっきりしてくれば、これをできるだけ全県下に広げていくと。そういう中で、和歌山県がCO2の排出でも吸収でも先進県であるというふうなイメージをつくっていきたいというふうに考えているわけでございます。
そういうふうな中でいろいろご質問があったわけですけれども、一家庭当たり相当なもうけというか節約になるんで、その中から税金としてお金を出してもらったらどうかと。これは、僕は非常に卓見だと思うんだけれども、頑張ったらお金を取られたということがなかなか理解されるのが難しい面もあります。環境関係の課税につきましては、今地方公共団体でいろんな動きが出てきておりますので、これは議会とも協力しながら、今の考え方も含めて和歌山県は積極的に考えていくべきことだと考えているわけでございます。
それからまた、モデル事業を行っていることを全県的に広げていくというふうな過程で、それを教えて回るような人をつくったら、そのことから雇用がふえるんじゃないかという話がありました。これも、すぐにいくかどうかわかりませんけれども、一つの大きな卓見だとは思います。和歌山県の高校卒業生の就職率がワースト五位ということだったんですけれども、実はこれは県の方が引っ込み思案になっていてはいけないと、いい就職口があれば積極的にいこうということを去年ガイダンスでやることにしまして、ことしも実は新しい施策でやっているんですが、それをやった結果、近畿二府四県が皆より悪化している中で和歌山県だけは二・何%かプラスに転じたということで、私はこれは努力の成果だと思っているんですけれども、ただそういうふうなガイダンスだけじゃなくて、和歌山の中でこういうふうな環境というようなことを視点にした働き口ができるということになれば、これは一つ新しい方向として希望が持てるというふうに考えるわけでございます。
それから、CO2の吸収源の国と国との取引の中から和歌山県、そして日本がもうかっていくんじゃないか、当面、環境省は、日本はどちらかと言うと輸入県というか、お金を出す側に回るだろうけどというようなお話でございます。今の京都議定書についてはアメリカが批准しておりませんので非常にバランスを欠いた状況になっているわけですが、ロシアが何か批准を検討しているということで、いずれそういうふうな世界が批准していくのが大きな方向になってくると思います。ただ、そういうふうな中でも日本がCO2の吸収のあれを外国へ売るというところまではなかなかいかないだろうと。日本は工業国ですのでいかないと思うんですが、ただ、よその国にお金を出して買うぐらいだったら、日本の国でいろいろ森林整備をしたり、いろんなことをしたりして、その出すお金を減らそうということにお金を回すということは僕は非常に有意義なことだろうと思うし、このことについては具体的にいずれ動きが出てくると思います。そういう中で、和歌山県が今からそういうふうな家庭の排出制限ということに取り組んでいろんな知見を蓄えていったら、これはそのときに一番にスタートできるというふうなこともありますので、これは僕は非常に大事なことだと思いますし、それに合わせたような組織というふうなものも考えていかないといかんというふうに思っているわけでございます。
環境銀行というところまではなかなかいかないだろうと思うんですけれども、いずれにせよ、そういう高邁な理想を持って事に当たっていくということは、これからの地方行政にとって非常に大事なことだろうと思っておりますし、世界遺産の登録でありますとか、緑の雇用でありますとか、そういうことで和歌山は環境を大事にする県であるということが大分全国的にも広まってきた今でありますので、そういうことに真摯に取り組んでいきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁ありがとうございました。
確かに、高校の就職率については、本当に県の教育委員会が、前年度ワーストツーであったのが、今度改善をされて五番になった、これは本当に評価をしたいと思います。さらに、こういう環境の仕事に若者がつきたいということもありますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
それと、知事も今申されました。やはり、森林の吸収源だけではなくて、家庭の排出源、これを車の両輪として取り組んでいくという決意表明をしていただきました。ぜひとも、この二〇〇八年ではなしに、今もう既にそういったモデル事業が展開されておりますけれども、和歌山県が全国で一番、そういった取り組みを進めるように要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十二分休憩
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