平成15年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)
県議会の活動
平成十五年二月 和歌山県議会定例会会議録 第六号
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議事日程 第六号
平成十五年二月二十六日(水曜日)午前十時開議
第一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五まで(質疑)
第二 一般質問
第三 議案の付託
第四 請願付託の件
会議に付した事件
一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五まで(質疑)
二 一般質問
三 議案の付託
四 請願付託の件
五 休会決定の件
出席議員(四十五人)
一 番 新 島 雄
二 番 山 田 正 彦
三 番 佐 田 頴 一
四 番 大 沢 広 太 郎
五 番 堀 本 隆 男
六 番 宇 治 田 栄 蔵
七 番 門 三 佐 博
八 番 西 本 長 弘
九 番 坂 本 登
十 番 小 原 泰
十一 番 木 下 善 之
十二 番 永 井 佑 治
十三 番 尾 崎 要 二
十四 番 小 川 武
十五 番 宗 正 彦
十六 番 橋 本 進
十七 番 生 駒 三 雄
十八 番 原 日 出 夫
十九 番 谷 洋 一
二十 番 山 下 直 也
二十一番 高 瀬 勝 助
二十二番 吉 井 和 視
二十四番 町 田 亘
二十五番 金 田 眞
二十六番 高 田 由 一
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 向 井 嘉 久 藏
三十 番 野 見 山 海
三十一番 平 越 孝 哉
三十二番 下 川 俊 樹
三十三番 中 山 豊
三十四番 浜 田 真 輔
三十五番 鶴 田 至 弘
三十六番 冨 安 民 浩
三十七番 村 岡 キ ミ 子
三十八番 中 村 裕 一
三十九番 井 出 益 弘
四十 番 阪 部 菊 雄
四十一番 江 上 柳 助
四十二番 長 坂 隆 司
四十三番 森 正 樹
四十四番 飯 田 敬 文
四十五番 新 田 和 弘
四十六番 松 本 貞 次
四十七番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
〔備考〕
二十三番欠員
二十七番欠員
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
理事 内 田 安 生
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 宮 地 毅
企画部長 垣 平 高 男
環境生活部長 秋 月 成 夫
福祉保健部長 白 原 勝 文
商工労働部長 石 橋 秀 彦
農林水産部長 辻 健
土木部長 大 山 耕 二
企業局長 阪 口 裕 之
教育委員会委員 湯 川 力
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 大 岡 淳 人
警察本部長 高 綱 直 良
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 北 村 亮 三
職務のため出席した事務局職員
事務局長 中 原 洋 二
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 北 垣 内 敬
議事課副課長 松 谷 秋 男
議事班長 鷲 山 智
議事課主査 尾 崎 善 亮
議事課主査 土 井 富 夫
総務課長 梶 本 皓 造
調査課長 宗 野 幸 克
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課副主査 保 田 良 春
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午前十時三分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
過日提出のあった議案第二十七号から議案第三十二号まで、議案第六十号、議案第六十一号、議案第六十三号及び議案第六十四号は、いずれも職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
〔巻末の「参考資料」を参照〕
【日程第一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
五番堀本隆男君。
〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 皆さん、おはようございます。
一般質問最終日のトップバッターとして登壇させていただきました。この二月県議会は、申し上げるまでもなく、平成十一年四月の選挙で県民の審判を受けて当選させていただきました私ども議員にとって、任期を終わる最後の議会であります。それだけに私は、ぜひ最終日に質問をさせてほしいという希望を持っておりました。その希望どおり、先輩・同僚の皆さん方のご配慮によりまして最後の質問の機会を与えていただきましたこと、衷心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
さて、今議会は十五名の先輩・同僚の議員が質問をされてございます。いずれも重大な問題ばかりであります。そのいずれを聞かせていただいても、すべてが和歌山県勢の発展や活性化、県民の福祉向上にかかわる重大な問題ばかりであります。今回私は、多々悩みつつ、大きく四点に絞って順次、質問をさせていただきます。当局の誠意あるご答弁をよろしくお願いいたします。
ところで、最終日の質問については、私の心に深く刻まれた名演説がございます。元県議会議長、現弁護士をされております鈴木俊男先生が最終演説に立たれ、本県の公共施設の整備のおくれを強く指摘されました。なかんずく公共下水道整備率が全国ワーストワンで、普及率が三%と当時極端に低く、欧米においては上下水道は文化のバロメーターとまで言われております。この話を聞いて鈴木先生はショックを受けました。この不名誉なランキングを解消するために県は全力を挙げて取り組んでほしいと、声を大にされております。仮谷知事もこれを受けとめ、今後はさらに市町村と協力し、関係者ともども努力を重ね、ご卓見を受けとめてまいりたいと答弁されました。平成十四年はどのような形になっておられましょうか。
都道府県のイメージについてであります。
日本経済新聞社から出ております「地域情報」ナンバー四百号に、全国都道府県のイメージを取りまとめてございます。お手元にお配りしている資料を見ていただきたいのであります。首都圏のビジネスマン管理職を対象に行ったもので、九百五十人にアンケートをし、そのうち三百四十人から回答がありました。基本的な七指標と個別の十九項目について、本県のランクを若干ご説明申し上げます。
七指標は、「認知度」三十九位、「先進的」四十位、「好感」三十六位、「居住意向」──住みたいです──二十位、「勤務意向」二十二位、「観光意向」十七位、やや高いです。「首長認知」三十三位と予想していたよりもランクが低いのであります。
私は必ずしもこの調査結果に納得してはおりませんが、外部から見た本県のイメージも時には必要があろうかと思われるのであります。「観光意向」十七位という高さはうなずけるところであります。一方、「首長認知」三十三位はもっと上位であるべきであります。参考までに、「首長認知」一位は東京都の石原さん、二位は長野県の田中さん、三位は大阪府、四位は埼玉県知事と続きます。
さて、十九項目中、第一ランキング別に紹介いたしますと、「文化・歴史がある」三十五位、「自然に恵まれている」十三位、「観光産業が盛ん」三十四位、「スポーツ・アウトドアに適している」十六位、「食べ物がおいしい」二十六位、「物価が安い」二十九位、「インフラが整っている・交通アクセスが便利」四十四位、低いのであります。「文化・スポーツ・福祉・医療施設が豊富」二十五位、「土地・住宅が確保しやすい」二十六位、「教育環境がよい」四十四位、「国際性がある」二十七位、「優良企業が多い」二十七位、「ベンチャー企業が多い」二十五位、「優秀な人材を多く輩出している」三十三位、「産業と学問の連携が盛ん」四十位と低い。「企業誘致・企業活動の理解に積極的」四十四位、大変低いのであります。「地域情報発信などに積極的」三十二位、「独自の政策を持っている」四十六位、「知事が優秀」十八位となっております。知事の十八位は、就任三年目や自己PRしない点からうなずけるところでありますが、一県民として、地域主導型構造改革派のリーダーとしてご活躍中の木村知事なのですから、もっと上位にランクされるべきではなかろうかと思われます。
ただ、気になる点は、「企業誘致に積極的」の四十四位。これは積極的でないという表であります。ある程度の交通インフラの限界性と表裏の関係にあるとは思いますが、もう一つ「独自の政策を持っている」四十六位とはいかにも低く、県のPRの不足が痛感されるわけであります。今後、本県政策の展開の一つの指針とされたいものであります。
総合平均は三十八位であります。本県のイメージとして、私はこのイメージ一覧表に目を通して感じますことは、順位が十台であれば上でき、二十台であればまずまず、三十台はもっと頑張ってほしい、四十台なら必死になって頑張れ、そういうサインと受けとめてございます。企画部長にこの指標に対する感想をお聞きいたします。
次に、構造改革特区について。
本年二月十八日、「朝日新聞」三面に見出し大きく構造改革特区攻防戦終焉の特集がありました。「引き下がってはだめだ」、二月十七日の経済財政諮問会議で小泉首相は構造改革特区の実現に強い意欲を示されました。相次ぐ政策転換で構造改革の看板がすっかり色あせる中、構造改革特区は唯一の具体策。抵抗する省庁を説き伏せ、再び改革姿勢を打ち出してほしいもの。小見出しには「クズと宝物」、片山総務相は「はしにも棒にもかからないクズのようなものも出されている」と。それに対して小泉首相は「いや、すべて宝物だ。全部やるつもりで、やってほしい」。二月十七日の経済財政諮問会議で、全国から寄せられた六百五十一の構造改革特区構想に難色を示す片山総務相を小泉首相は強い調子で突っぱねました。「鴻池大臣の考えが通じるようしっかりやってほしい」、規制改革会議と経済財政諮問会議がそれぞれ資料を提出し、規制改革会議として重点検討項目十二項目をまとめ、先般、新聞報道されたところであります。
しかし、同時に小見出しに「省庁したたか」と表現し、「構造改革特区での規制緩和が、全国的に広がるアリの一穴となることを恐れ、消極的な姿勢を崩していない」と鋭く指摘しております。鴻池大臣は、「全国から寄せられた六百五十一のアイデアは地域の創意工夫のかたまりだ。実現を目指したい」と、大変意欲的であります。
医療、学校運営、農地とハードルが高く、省庁が対応を約束したのはこの三〇%と低いのであります。この規制緩和で毎年一・五兆円規模の経済効果があると試算されておりますが、本県が今後国に提出する予定の構造改革特区計画認定申請案件として三つのタイプ、イ、緑のIターン特区、ロ、紀の川緑の交流区、ハ、食と緑の工場特区の三つの構想が用意されていると聞いてございます。この特区構想に対する県の姿勢について、知事のご所見をお伺いします。
また、特区に対する具体的な取り組みについて、一、これらの経済特区計画をいつ申請するのか、二番目、これらはいつごろ国から認定される見通しになるのか、三、認定を受けた構造改革特区の実現に向けたスケジュールは、四、国は第三次の特区募集を行うのかどうか、五、その際、高野・熊野の文化遺産特区などがプラス提案できないものか、六、特区の本県の経済、社会に与えるインパクトをどう考えておられるか、この六点について企画部長にお尋ねします。県の総力を挙げて取り組まれることが成否を分けるものと思われます。
なお、東京都、大阪府とともに和歌山県もカジノ構想の実現について中央に要望されたとのことでありますが、その結果、中央の反応はいかがでありましょうか。全国的にも関心が高く、県内のホテル関係業者から私などもよく質問を受けます。あわせて企画部長からご答弁をお願いいたします。
次に、観光大県を目指して。
世界の物づくり競争で、中国の製品は確実に世界ナンバーワンになりつつあります。物づくり日本のお株を奪う製品と価格の安さ、もはや日本産業は物づくりをあきらめざるを得ないのではないでしょうか。日本の優良企業が倒産に追い込まれ、失業者が増加の一途であることは皆さんご承知のとおりであります。不況の長期化で世相は一向に明るくならない。グローバル経済の流れの中で日本はどう生き残っていくのでしょうか。
私は、昭和六十二年に和歌山社会経済研究所主催のアメリカ経済視察当時にアメリカで受けた衝撃的な事象を思い出します。つまり、アメリカ経済は当時、日本の輸出製品の攻撃に見舞われ、全米の多くの企業が倒産し、不況にあえいでおりました。ちょうど今の日本と中国の関係と全く同じでございます。
結論的に申しますと、アメリカ経済は物づくり産業からサービス産業に転換しました。そして、物流、観光、サービス業が大きくその後伸びたのであります。その結果、アメリカ経済は再生されたのでないでしょうか。現在の日本経済が直面している課題をアメリカは既に乗り越えていたのでありました。つまり、日本経済の将来展望も、観光産業化、サービス産業化を推し進めなければならないということであります。
昭和五十三年、通商産業省主催の都道府県幹部職員で構成するリサーチコア調査団に上司から命ぜられ、ドイツ、フランス、英国のインキュベーター施設を視察してまいりました。研修は二週間にわたったのでありますが、土・日曜日は商店街がパリでは一斉に休みます。商店主に土・日曜日をどのように過ごすのかと聞きますと、「バカンスだよ。地中海にヨットを持っていって、それで楽しむんだ」という答えが返ってまいりました。急遽、私も予定を変更して、土曜日、パリ・ド・ゴール空港をフライト、一時間後にニース国際空港に到着、観光センターで日本人学生の通訳を探してもらい、一日タクシーを借り上げて地中海沿岸のコートダジュール、周辺のリゾート地、リゾート開発、バカンスの過ごし方等、いろいろと聞いてまいりましたが、ニースの中腹に開いた研究所群・ソフィア・アンティポリス開発の動機や成果などもそのときに勉強したわけであります。
特に私が感心しましたのは、フランスにはバカンス法が制定されていたことであります。一九三六年に政府と労働者代表との間で話し合いで決められており、労働者のためのバカンス取得権を制度化していることでありました。当時のフランスは、第一次大戦後の不況のあらしのど真ん中で、世相は混乱し、失業者は二〇%から三〇%という荒れ方で失業者が町にあふれ、社会不安の状況にあったと言われております。
結論的に申しますと、政府はバカンス法の制定によって大成功をいたしました。ワークシェアリングが進み、消費が拡大し、労働者たちも落ちついたそうです。その後、フランスは観光産業に非常に力を入れるようになりまして、経済の規模が拡大したと評価されている。
さて、日本についてでありますが、政府は一月二十四日に観光立国懇談会を発足させ、小泉首相は眠っている観光資源を国際交流、経済再生、地域の活性化につなげる観光立国を目指すと、意欲を見せております。施策として、ビジット・ジャパン・キャンペーンを実施中であります。
衆議院では枝野幸男氏外五名で、ゆとりのある生活の実現に資するための長期休暇制度の創設及び年次有給休暇の取得の推進に関する法律案を去る一月二十日の厚生労働委員会に提出されました。多分、日本型長期連続休暇制度になると思われております。
先日、紀南、地元のホテルの支配人から伺った話でございますが、近年、年を追って台湾、香港からのバスツアー客が多くなってまいっております。今後さらに増加の兆しにあります。理由は何かと聞きますと、自然景観が全国一美しい──台湾の人が言うんです。和歌山県は非常にきれい。そして、豊富な温泉がある。香港も台湾も温泉は大変好きらしいんですが、関空におりたらバスを借り切って、そして紀南の方へ行くわけですが、そこで施設のよさと温泉の豊富さにほれるわけでございます。宿泊施設もよく、多分これは口コミで今うわさが広がっているんだろうと。来年も、再来年も予約もあって伸びていく、そういうふうに推測しているということであります。
ここ四、五年の国外からの観光客の動向について、商工労働部長にお尋ねいたします。
台湾、香港、韓国からの観光客の増加の原因はどのようになされておりますか。二〇〇一年の本県への観光客は、台湾から二万一千五百四十四人、韓国五千二百二十七人、香港一万八千九百七十三人。米国からの六千四百十三人を考えますと、アジア地域の本県への観光ブームが起こっているというふうに考えていいようです。この現象をさらにふやす方向、つまりキャンペーンを積極的に行っているのかどうか、お尋ねしたいのであります。
ここに、辛口の提言もございます。本県紀南の観光はマンネリ化している。このままでは伸びる要素が少ない。紀南のホテル事業は現在とんとんではあるが大変苦しい状況にある。自然景観については私たちは胸を張っておりますが、もっともっと大型キャンペーンを組み、エージェントを動員して、この台湾との関係を密にしてほしい、自然を壊すというふうなことは絶対にやめてほしいと要望されました。
この原稿の作成に当たり、県観光振興課、観光交流課、そして和歌山県東京事務所のスタッフの皆さんに多くの資料と話をいただきました。その熱心な取り組みぶりを目の当たりにしまして本当に心強く、心から感謝申し上げたいと思います。いよいよ和歌山県も観光大国になるんだという覚悟を決めてほしいのであります。和歌山県観光振興計画は、若干、日切れの感じがあります。その他、政府の観光白書、観光振興に関する副大臣会議報告書、労働省の長期休暇(L休暇)の普及に向けての資料、ダイヤモンド社の「ニッポン観光革命」と、本当にいろいろ協力をしていただきました。ありがとうございました。
そこで、特に観光振興に関する副大臣会議報告、これは非常に時代の向こうを見据えた二十一世紀の観光を的確につかまえております。この大臣会議の感想を商工労働部長にお尋ねいたしたい。
最後に、知事にお尋ねいたします。
本県は、マリーナシティでのリゾート博、南紀熊野体験博の展開でバカンスとは何か、リゾートとは何かを教えられました。一県議として、アゲイン南紀熊野体験博パートツーをぜひもう一度実現していただきたい。高野・熊野世界遺産の指定をきっかけに、長期的にスケールの大きいイベントを展開してほしいのであります。また、そのような準備を進められているとのことでありますが、ご意見をお伺いいたします。
観光産業を大きく発展させるためには、入り込み客の増加を図る以外に道はございません。入り込み客がウイークデーに、土・日ではなくウイークデーに東京から三泊四日、四泊五日と車で一家がやってきて、安いところでとっぷり温泉につかって、そして帰りには「和歌山県よかった」というふうな、そういうコースをこれからもみんなでつくり上げていってほしいのであります。
長期連続休暇制度、働く側がこの制度を使える構造改革制度は絶対に必要であります。現在、中央政府において検討中の長期連続休暇取得についてご見解をお願いいたします。私は、休暇を与える方向での努力を賜りたいのであります。つまり、観光大国和歌山の実現に向けていかにしていこうかとするご所見をお伺いいたしたいのであります。
県政の中期展望についてお尋ねいたします。
かねてより私は、企画部長は理論家であり、行動力も抜群と尊敬している人物の一人であります。南紀熊野体験博を契機に、本県の観光産業は大きく前進いたしました。今や紀南は観光産業なくして生きていけないと、紀南の人々は共通して断言しております。この博覧会を成功に導いた企画部長の功績は大であります。
今回の質問に当たって県観光振興基本計画の冊子を読みましたが、大変意欲的にまとめられております。県の長計にリンクして今後改定を行っていく旨の記述もありました。しかし、現在、県の長期総合計画は運用されておりません。そして、県の中期ビジョンも立てられておりません。県民から見ますと、県政は何を重点課題として今後の県勢の発展、展望を考えていこうとしているのか、構築しようとしているのか、よくわからないのであります。現状では、思いつき、場当たり的な県政を展開していると県民に言われても仕方がないんかなというふうな話も県民の皆さん方とはしております。
木村知事は、二十一世紀のグローバル社会がどうなっていくのか、また日本経済の未来図も描けない現状、まして本県の長期計画は難しいと、高田議員の質問に対し先日答えておられます。私も、県の長期総合計画は大変難しいとは思います。しかし、国においても二十一世紀のグランドデザインはつくらなければならない。簡単な冊子でありますが、トータルに国は進めようとしている方向は示してあります。そういうふうなことを見ますとき、少なくとも県政は何を重点に、これとこれとこれとこれを重点にして事業を展開していきます、柱立てはこうでありますというふうなものを見せていただければありがたいと、このように考えているわけであります。
県民にとって県の将来図が見えにくいということは、県民個々の生活にも大きくかかわります。県民の中には「県民に対する説明責任の放棄に近い」と極言する人もおられます。県勢発展のカンフル剤はなかなか見つかりにくいと思われますが、営々と事業を重ね、そして常に県民の協力を得ながら、ともに働き、そして本県の活性化を図っていただきたいのであります。企画部長の答弁をお願いいたします。
最後になりました。「議場は議員の戦場だ」と、先輩議員から教えられてまいりました。県が進めようとしている数々の施策について、この議場で論戦を交え、攻防を繰り広げるという意味では、まさに議場は戦場であります。そして、当然のことながら、議会は議員が主役であります。この議場において、さまざまなドラマがありました。その一こま一こまが今思い出され、走馬灯のように脳裏をよぎります。私は私なりに自分を燃焼させてまいりましたが、今議会限り、この議場を去り行く身であります。四期十六年という長いようで短かった議員生活ではありましたが、先輩・同僚の皆さん、木村知事を初め執行部の皆さん、そして私の議会活動をアシストしていただいた中原事務局長を初め事務局の皆さん、本当に長い間ありがとうございました。さらに、昭和六十二年二月の選挙以来、選挙の開票をいつもはらはらしながら辛抱強く私を応援していただきました支援者の皆さんを初め県民の皆さん、本当にありがとうございました。再び戻ることのない議場から、そして壇上から、厚くお礼を申し上げる次第でございます。
今後は、木村知事が二十一世紀に向けて推進しておられます観光立県を初めビッグプロジェクトに大きな期待を寄せながら、県民の一人として静かに県勢の発展を見守ってまいります。
また、この春の戦いに挑まれる先輩・同僚の議員の皆さんには、戦いを通じて県民の生の声をぜひお聞きになられ、晴れてこの議場で再会され、県民の負託に見事にこたえられますよう心からお祈り申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 特区についてでございますが、国からモデルを示すのではなく、自治体や民間の知恵と工夫による取り組みにより制度を変えていく新たな国と地方のパートナーシップとして評価しているところでございます。
和歌山県も、ご指摘のとおり、和歌山の地域資源や特性を生かした新たなふるさとづくり型の特区の実現に向けて、関係市町村との連携をとりながら積極的に推進してまいりたいと考えております。
次に、バカンス法というものの制定についてでございますが、長期連続休暇制度いわゆるバカンス法については、滞在型観光ニーズの高まる中、従来よりご提言されており、その先見性についても敬意を表する次第でございます。観光やリゾートの振興にとって休暇制度の充実は欠かせないものと考えております。国におきましても、ハッピーマンデーや学校の完全週休二日制の実施等でその方向に向かいつつありますが、十分とは言えない状況にあります。今後、国において長期連続休暇について制度的に誘導していくことが観光大国実現への大きな一歩となるものであり、本県の観光、リゾートの振興にも大きく寄与するものと考えております。
次に、世界遺産登録後のイベント展開についてでございますが、高野・熊野は世界に誇れる本県固有の資源であると考えております。ご提言の世界遺産登録後のイベント展開も、観光客の誘致にとって有効な手法の一つでありますが、県としましては、高野・熊野世界遺産登録後に市町村、観光関係者や全国JR六社と連携し実施するデスティネーションキャンペーンにおいて県内各地でイベントを開催することとし、高野・熊野世界遺産登録を本県の観光振興の柱として和歌山イメージの確立を図ってまいります。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 三項目のご質問についてお答えを申し上げます。
まず第一点は、メディアによる都道府県のイメージ調査をどう活用するのかというご指摘でございます。
今後、真の意味での地方分権型社会を築いていく上で、地域がそれぞれの特性を遺憾なく発揮し、主体的な地域づくりを進めることが極めて大切なことであると考えてございます。そのためには、地域自身が持つみずからの資源を見直してさらに磨きをかけていくことはもちろん必要なことでございますが、その際には、地域内の価値観だけで考えるのではなくて、地域外からの開かれた視点で評価することも非常に重要なことであると考えてございます。そうした観点から、ご指摘のように、アンケート調査、特に今回の調査のように首都圏の方々が本県に対して持っているイメージ調査あるいは評価、そういったものは真摯に受けとめて今後の施策に活用していくということが大変重要であろうというふうに考えてございます。
また、全国的なマスメディアのアナウンス効果というのは大変大きなものがあると思いますので、これからもメディアから高い評価が得られるように積極的な情報発信に取り組んでまいりたいと考えてございます。
二点目は、構造改革特区についてでございます。一括してお答えを申し上げます。
構造改革特別区域計画の認定申請につきましては、平成十五年度すなわち平成十五年四月一日から第一次の申請を受け付けることとしてございまして、おおむね三カ月以内に認定の可否が決定されると聞いてございます。本県ではご指摘の三つのタイプを申請すべく、現在、市町村ですとか関係機関との協議を重ねながら準備を取り進めているところでございます。認定後のスケジュールとしましては、規制が緩和され、構想の実現に向けて、主として民間による事業が実施されていくこととなります。第三次の募集につきましては、本年六月一日から一カ月間というふうなものが予定されてございます。
次に、高野・熊野文化遺産特区といったものが考えられないかというご指摘でございますが、高野・熊野地域につきましては、世界遺産の登録に向けまして着実に作業が取り進められているところでございまして、世界遺産に登録されれば、かけがえのない歴史・自然遺産でございまして、当然のことながら、保全という観点からの規制も必要となってくると思います。その一方で、歴史的、文化的な風土と調和した景観づくりですとか、あるいは熊野古道沿線のホスピタリティーの向上といった視点からの整備も場合によっては必要となることもあるのではないか、今後、規制改革事項の研究対象として検討してまいりたいと考えてございます。
次に、構造改革特区が地域に与えるインパクトはいかがかというふうなご質問でございます。
地域の振興に当たりましては、これまでの中央依存から地方の独自性を発揮した地方主導の施策展開が求められてございまして、こうした視点から構造改革特区というのは地方の主体的な取り組みをバックアップする有力な制度であるというふうに受けとめてございます。本県にありましても、新ふるさと創りの推進や農業工場の建設誘致など独自の施策を展開しておりますが、このためには幾つかの分野での規制緩和が必要となってまいります。言いかえれば、本県としては今回の特区構想を積極的に活用した施策の具体的な展開を図って、雇用機会の増大ですとか地域の活性化に資してまいりたいと考える次第でございます。
続きまして、カジノ構想の要望に係る中央の反応ということでございます。
去る二月六日、カジノ合法化に賛同する関係五府県がそろって鴻池構造改革特区担当大臣を初め関係者に対してカジノ実現のための法整備を働きかける旨の要求を行いました。その際、大臣からは「オープンな議論を行い、前向きに検討をする」との回答を得たところでございます。
カジノをめぐりましては、昨年来、カジノ特区構想が提案されるなど、全国的な動きがあるところでございます。仮にカジノが認められますと、全国で三十兆円産業が創出をされる、あるいは三十万人の雇用が生まれるとの試算もございまして、厳しい経済情勢の中、産業の活性化、地域振興等に大きなインパクトを与えるものと期待をされてございます。
しかしながら、青少年への悪影響、治安の問題等、懸念される事柄も少なからずあると指摘されているところでございます。今後は、国レベルのオープンな議論を促しつつ、自治体によるカジノ研究会において情報の収集や我が国にふさわしいカジノ像や法制度のあり方等に関する検討を行ってまいり、全国的な動向に柔軟かつ適切に対応いたしてまいりたいと考えております。
最後に、県政の中期展望を示してはというご質問でございます。
施策の企画立案に当たりましては、社会経済情勢が日々激しく変化をし将来の見通しが不透明な時代であればこそ、地方が主体性を持って取り組まなければならないと考えてございます。具体的には、都市から地方への人口の逆流動を起こす新ふるさと創りや県境にとらわれない交流・連携を目指す開かれた和歌山の実現、地域特性を生かした産業の活性化、環境や人権を大切にする安全・安心・いやしの社会づくり、あるいは県民やNPO等との協働で進める開かれた行政の実現といった基本的な考え方に基づきまして、社会・経済の底流の変化に対して弾力的かつ迅速に対応することが最も重要であると考えてございます。こうした認識のもと、和歌山県に対して期待される役割、あるいは果たすべき役割等を明確にしながら、独自性を持った和歌山モデルというべき施策の企画立案に邁進してまいりたいと考えてございます。
今後とも、新しい時代に合った和歌山県づくりに全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 観光振興に関する副大臣会議報告についての感想と国際観光の推移についてお答え申し上げます。
昨年二月に決定されました観光振興に関する副大臣会議報告書につきましては、観光を我が国の経済活性化の重要産業として推進しようとする五つの提言で構成されておりますが、いずれの項目も本県が目指す観光振興と方向性は同じであると認識してございます。この提言を受けて関係省庁はさまざまな施策を打ち出しておりますが、地域資源を活用した体験型観光の推進などは和歌山県が先駆けて取り組んでいるところでございます。今後とも関係部局との連携を密にして、交流人口の拡大にという視点に立っての事業の展開を図ってまいりたいと考えてございます。
また、国際観光につきましても、日本への関心が高まる中、東アジアをターゲットとして現地での観光宣伝とともに旅行会社やマスコミを招致するなど積極的に誘致活動を行ってまいりました。その結果、外国人観光客の本県への入り込みは過去四年間で二倍、アジアの方に限れば四・五倍の伸びとなってございまして、議員お話しのとおり、東アジアからの観光客には特に温泉と自然景観さらに食事などに好評をいただいているところでございます。
今後は、台湾、香港、韓国に加え、新たに将来大きな市場となるであろう中国も視野に入れ、一層効果的な誘致宣伝を展開してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
五番堀本隆男君。
○堀本隆男君 誠意をもってお答えをいただき、ありがとうございました。
要望でございます。
観光立県について、東アジアのみでなく世界各国から、本県の美しさ、温泉のよさ、人々の心の温かさ、県、県民がともに取り組んで全力を挙げて今後県政の重要事項にして特色を出していただきたい。心から願うものであります。
以上、職員の皆々さんには大変でありましょうが、ひとつ大きなポイントづくりにこの観光振興、観光立国を挙げて取り組んでいただきたいと、このように思います。
要望です。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
十五番宗 正彦君。
〔宗 正彦君、登壇〕(拍手)
○宗 正彦君 ただいま議長のお許しを得ましたので、通告に従いまして、順次質問をさせていただきたいと思います。ご清聴のほど、よろしくお願いいたしたいと思います。
まず、市町村の合併問題についてお尋ね申し上げたいと思うわけでございます。
市町村の合併の問題は、過日、本議会でも論議されましたけれども、毎日の新聞、テレビなど、放送されない日はないと言ってよいような状況でございますが、和歌山県内においても、ご多分に漏れず、各所で話題となっております。合併特例法の期限である平成十七年三月末を控えて、少しずつ具体的な姿が見え始めてきたというのが現状でないかと思うのでございます。
しかしながら、現在進もうとしている合併の形を幾つか見ていると、当初の期待とは裏腹に分裂、小規模化してきている感じがあります。果たしてそれでよいのであろうか。市町村合併は地域の実情と主体性のもとに関係市町村が合併協議会をつくり進めるべしとの考えは理解できるところでありますが、現在の合併の話題を拾ってみると、中には地域住民への十分な説明もないままに特定の人々あるいは集団だけの感情的論理だけで進められようとしているところがあるような気がしてならないのであります。ここはやはり、いま一度原点に立ち返り、県が中心となって和歌山県の将来を十分見据えながら地域の将来を真剣に見詰めて、より理想的な合併のあり方を、将来に禍根を残すことのない地方自治発展がための合併のあり方を考えてはいかがかと思うのでございます。昭和の大合併が進められた昭和三十年に町議会議員となり、当時の自治体の行く末を眺めてきた一人として、特に気にかかるものがございます。
市町村合併は、国、地方を通じて、現在置かれている財政難から来る行政サービスの低下を防ぐために、同時に行政基盤の充実を目指すために有効な方策であるとするならば、一定の規模を確保してむしろ積極的に広域的な合併を論ずべきものだと思われます。
そこで、次の点についてご意見をいただきたいと思います。
県として現在の合併論議の行く末に対してどのような評価をされておりますか。
二番目に、改めて適正規模の合併推進をするために積極的にリーダーシップを発揮する考えはございませんか。
さらにまた、和歌山市は合併論議とはかけ離れているわけでありますが、周辺市町村の一部を取り込んで改めてより広域的な合併を考える方向を持ち得ないかどうか。
また、当然、適正な合併規模が話題になってくるわけでありますが、和歌山県内において各地域における適正な合併規模について、改めて県のご意向を承りたいと思うのであります。
次に、公共事業についてお尋ねいたします。
今、我が国は非常に厳しい経済環境の中にあって、ちまたに公共事業にかかわる好ましからざる話題が多くなっております。国においては公共工事の見直しが叫ばれ、巨大プロジェクトの廃止・凍結等が議論されている状態でございます。しかしながら、和歌山県のような地方の、国土軸から離れた県は、道路を初めとする社会資本の充実整備がもともとおくれてきている状態であって、やっと地方における整備事業にも手が届くかのごとき環境になってきたときに再び見直し議論の中で取り残されようとしているありさまでございます。
木村知事におかれても、このことに強く関心を持たれ、他の県の知事とともに国に対して地方の実情を訴えられ、整備を必要としている地方に関しては必要な工事すなわち社会資本の整備がおくれている地方を救済するようにと、行動を起こされてきております。今後も、木村知事を先頭にして関係者が思いを一つとなって一致団結して訴えていってほしいと、強く私は思うのでございます。
さて、県内の実情を眺めてみたいと思いますが、県内の道路網の整備については木村知事を初め関係者皆さん方の必死の努力が身を結び、確かに和歌山県は昭和の時代を通じてそれなりに道路網は整備され、高速道路も間もなく田辺まで伸びようとしています。国道、県道は紀南地区、紀北地区の差別なく整備がされてきている感がするのであります。しかしながら、和歌山県内においても谷間に挟まれて取り残されている地域もあるのでございます。それは、海草地方の道路でございます。
国道四十二号の下津町を中心とした渋滞解消の問題、国道三百七十号の拡幅整備、さらに野上電鉄廃線敷を道路に活用すべく取り組んできた県道奥佐々阪井線がまさにそれであります。地域住民の願いや期待は今、どのような状況に置かれているのでございましょうか。率直に申し上げます。裏切られているとの感が住民には充満していると思うのでございます。
野鉄の廃線敷の活用については、国道三百七十号の代替道路として住民の期待は大変なものでありました。当時を振り返ってみますると、県道奥佐々阪井線の整備は、国道としての整備ではなく半島振興道路整備事業として取り組むことが最も効率的で早期の着工と完成を期待できるとの判断から、県が取り組むこととなったと記憶しております。さて、それからはや十年が経過しようとしているわけでありますが、野上町における整備は旧野鉄の登山口から楠木公園にかけての区間が整備されているだけで、野上町民が、地域の住民が最も期待を寄せている海南市への新橋にかけての区間に至っては、最近になってやっと着工の兆しが見えてきた程度の状態であります。
さて、ここで次のことを当局にお伺いしたいと思います。
国道三百七十号の野上町から美里町にかけての事業の進捗状況と平成十五年度以降のお考えについて、お示し願いたいと思います。
さらにまた、野鉄廃線敷を含めて県道奥佐々阪井線の整備への取り組みがおくれてきたのはどのような事情によるものか、今後の整備計画と完成目標を公表していただきたいと思います。
さらにまた、国道四十二号の渋滞解消に向かっての思い切った手段、抜本的な対策、計画をお示し願いたいと思うのでございます。
先ほど申し上げましたように、長年にわたる、事あるごとに陳情、お願いをしてまいったわけでございますけれども、谷間に置かれた地域というものはかくのような状態でございます。地域住民にすればいつまで待てば国は県は整備してくれるのかと、その思いは今、絶望に変わろうとしているのでございます。このような切実な願いを、思いを推察していただいて、取り残された当地方の道路整備については県として改めて重点的に取り組む姿勢があるのかどうか、忌憚なくお考えをお示し願いたいと思います。
次に、緑の雇用事業についてお尋ね申し上げます。
木村知事が平成十三年八月に三重県知事と共同で提言されました緑の雇用事業は、その後、提言しただけでなく、さまざまな事業を通して積極的に動かれ、少しずつその成果を内外に示してこられております。緑の雇用事業は、知事も表明されているように、環境の保全を図りながら雇用の場を創出し、都市からの人の受け入れと定住の促進を図り、それによって地方の活性化を得ようとするものであり、単なる過疎対策ではないと思います。知事は、今後さらに緑の雇用担い手育成や各地域への定住を促進するための住宅整備を進めるべく関連事業を展開されるものと、大きな期待を寄せているところでございます。
しかしながら、お聞きするところによりますと、雇用対策にかかわる国の予算措置は緊急雇用創出特別基金事業からのものであり、その雇用期間に至っては六カ月、再契約をして長くて一カ年間という期間が限定された事業でありまして、不安の残るところでございます。この点については知事もご存じのところであり、国に対して政策提言を行い、平成十四年度補正予算として緑の雇用担い手育成対策が計上されるに至り、全国的に注目されているところとなってございます。つまり、今後重要な点は継続的な雇用の創出が最も大事な問題であり、そのことが定住促進にとって重要な柱であると思うのであります。
そこで、森林環境の保全と整備を通じて雇用を創出することに関して考えてみました。和歌山県の森林環境のうちで人工林の面積は二十万九千七百七十一ヘクタールで、人工林率は六〇・九%となっています。また、人工林に占める広葉樹の構成比率は〇・三九%であるが、天然林に占める広葉樹の構成比率は九三・二%と言われております。さらに、民有林における人工林の齢級構造を見ると七齢級から九齢級に相当する部分が五〇・三%近くを占めており、標準伐期齢に相当する立木が伐採されることなく育成されていることをあらわしています。これは、木材として代表的な杉、ヒノキの素材生産量の推移を見ると明らかでありますが、昭和五十五年をピークにして十二年度はピーク時の四八%近くまで減少しているとのことであります。県では平成十二年度から十六年度の五カ年計画で四万五千ヘクタールに及ぶ緊急間伐計画を作成していることから見て、人工林育成のあり方を考えなければならない重要な時期に来ていると感じさせます。
では、なぜ林野行政において継続的な雇用の創出が困難であるのかと思えば、一つは木材としての価値が杉、ヒノキ、松などの針葉樹に偏ってしまっていることが挙げられます。木材需要の好ましくない環境のもとでは、放置林の増加を促進し、林業従事者の働く場を奪っていくことは当然であります。それは、和歌山県において森林面積のうち民有林が九五%近くを占めており、売れる木しか植えない、売れなければ手入れもしないという意味からすれば、やむを得ない結果かなとも思います。これ以上、新たな人工林の形成に投資がされるような環境でないということでございます。
私は、戦後の林野行政の進め方に対して疑問を抱いておるのでございますが、ひたすら造林事業を優先させ、広葉樹の森を皆伐し、杉、ヒノキなどの針葉樹のみを植え続けた結果、山は我々国民に何をもたらしてくれたのであろうか。豊かな森の持つ水資源の涵養能力を低下させ、往々にして水不足問題を発生させ、さらには河川や海域における水産資源の枯渇さえ招いておるのであります。また、杉、ヒノキを植えられた森は風水害に対してももろく、平成十一年のあの台風のときにこれほどまでもと思わせるほどの倒木や地すべりの被害を県土にもたらしました。
緑の雇用事業において、この針葉樹に偏った植林への考え方を転換して、風水害に強い森林の育成、「そだて!漁民の森」と言われるように、広葉樹林の持つ水資源の涵養能力や水産資源の育成能力など、すばらしい力を紀州和歌山の森によみがえらせる事業を今後育てていくことができないかと考えてみたいと思うのでございます。
そこで、当然、今後の伐採後の森林形成に係り、広葉樹の構成比率を高めるための広報活動を推進して協力を求めていくとともに、県としても、県土の保全と豊かな水の確保など、目的を持って新たな人工林の一部を天然林に近づける事業を創出していってはどうでしょうか。また、国に対しては、今の人工林を伐採した跡地へ広葉樹林を植栽する場合には高率の補助金交付などの事業を展開していけば、広葉樹の苗木の育成や植えかえ作業等において新たな雇用の創出にもつなげていけるのではないでしょうか。ぜひ知事におかれても、緑の雇用事業のさらなる展開を図るために、国に対しましても地球温暖化対策として恒久的な森林整備の創出を働きかけていってほしいとお願い申し上げる次第でございます。
そこで、次のことをお伺いいたしたいと思います。
平成十五年においてどのようなお考えを持って事業を計画されているのか。さらにまた、緊急雇用創出事業としてはどの程度期待ができるのか。また、既に県も今後の重要な点であると認識されている継続的な雇用の創出に関してどのような事業計画を持ち、その成果はどの程度期待ができるのか。以上の点につきまして、でき得るならば具体的な数値を交えながらお考えをお示し願いたいと思います。
次に、学校の問題について意見を申し述べてみたいと思います。
各学校では、校長先生を初めとして教職員の皆さん方は子供たちの学力の向上と健康の保持及び安全の確保と健全な精神の高揚のために日々努力を重ねておられることと存じております。しかしながら、私のところへ寄せられる保護者の方々のお話と生徒の生活態度を伺っていると、マスコミ等の報道にもされるように、学校内において依然としていじめや喫煙に代表される非行が後を絶っていないように思われます。
さて、話を少し現実的な方向に向けたいと思いますが、去る平成十三年六月の大阪教育大附属小学校で引き起こされた事件が脳裏に浮かんでまいります。男が小学校内に侵入して凶器を振り回す、児童二十三人、教師三人の計二十六人が刺され、児童四人が死亡した事件がありました。この事件が起こったとき、日ごろ考えてもいないところ、学校内での事件ということに大きなショックを受けたものでございます。また、平成九年五月には神戸市の須磨区において小学校六年生の児童が殺害され市立中学校の校門前で頭部が発見されるなど、ホラー映画さながらの事件に私のみならずすべての人々の心中穏やかならぬものを感じられたものと思われます。
このような事件を通して考えられますことは、今まで絶対的に安全と考えられていた学校が最も弱者の集まりであること、ゆえに何らの抵抗もなくその犯罪を成就させてしまうことへの恐怖であります。私は、断じてこのような犯罪を許すべきでないし、また許す環境をつくってはならないと考えるものでございます。
子供の健康と健全な発達、学力の向上を願う親の立場に立って考えますと、何とか安全の確保を考えなければならないと強く思うのでございます。この際、学校の敷地内及び周辺の安全確保と犯罪の未然防止、あわせて学校内における非行やいじめの防止のために第三者機関による学校安全確保機構の設置を考えてみてはどうかと思うのであります。既に各方面では米国のスクールポリスなる機関を参考として必要性を訴えておるところもあろうかと聞いておりますが、和歌山県においても行政と教育委員会と警察と地域が協力し合って、子供たちの安全確保という最も大切な課題のもとに、それを達成するために新しい機構を考えてみてはどうかと提案いたしたいのでございます。全国に先駆けて和歌山県で取り組むことの期待を込めて意見を申し上げ、ご所見を伺いたいと思います。
さて、皆さん、長年にわたりましていろいろとご指導、お世話を賜りました私でございますけれども、本年四月に執行されます和歌山県議会議員選挙に立候補をしないことを決意いたしましたので、そのことをここに表明させていただきたいと思うのでございます。
時移り、香失せて、四十八年。色あせた私は、地方自治の中に入り、また地方自治法のもと責任と任務を身に受けて果たさなければならない立場に立ったのは、まさに四十八年前の昭和三十年でございました。すなわち、議会議員という職責に身を投じたのが、未曾有の大水害のあった昭和二十八年、戦争が終わってからまだ日も浅く、インフレ経済の終わりごろ、七・一八水害復旧に必死になって取り組んでいる最中でございました。「昭和の大合併」と言われる市町村合併が推進されつつあったのも、その年でございました。
青年団活動を通じて知り得た当時の世の中、戦後の苦しい生活を必死になって生き抜いていく姿を眺め見て、また私も体験して、その人たち、社会的に弱い立場の方々の味方になりたい、ならせてほしいと意を決して、故郷・野上町議会議員の選挙に立候補、当選させていただいたのが昭和三十年でございました。ちょうどその年、自由民主党が結党され、私も入党、青年部組織の結成に微力を尽くさせていただきました。そして知り得た政治家の方々は、野村吉三郎先生及び山口喜久一郎先生であり、坊秀男先生であり、平越孝一先生であり、また玉置和郎先生等でございました。なかんずく平越孝一先生は、県連幹事長でもあり常に身近でおられ、青年部長となった私をいろいろとご指導賜りました。福祉は政治の根幹である、政治とは最高の道徳である、常に社会的弱者の立場に立って社会正義に生きよ、また七転び八起きともよく言われ、自分の経験を通して政治の神髄を私に教えてくれたのも平越孝一先生でございました。自来、平越孝一先生のもとに命をかけて行動をともにさせていただいたことは何の一点の悔いもなく、よく人生勉強をさせていただいたと今もなお感激いっぱいでございます。よき政治の師でございました。
町議五回、県議七回、十二回の自分の選挙を経験する間に、また半世紀にわたる政治活動の中で、いろんな経験と勉強をさせていただきました。その中で特に心に残ることは、同和問題と野上電鉄の問題でございます。
同和問題の解決は政治、行政の原点であるという認識のもと、いわれなき差別をなくするために、野上町で同対審答申ができるや直ちに同和委員会を組織してその会長を二十年間やらしていただき、諸問題に取り組み、解消のために一歩でも前進さし得たかと思うと胸に迫るものがございます。また県議会においても、微力非才な私でございましたが、議員諸兄のご指導、ご協力のもとに、あるときは同対委員に、またあるときは同対委員長としてその職責を果たさせていただきましたことにつきまして、心から感謝申し上げる次第でございます。
野上電鉄の問題は、昭和四十六、七年ごろに野上電鉄の意向だけで突然、廃止・廃線と決定したのでございます。モータリゼーションの時代とはいえ、電車のなくなることは地域住民に与える影響、特に社会的に弱い立場の人、老人、子供、婦人、身体に障害を持つ方々に対するものが極めて大きいものがございました。早速、電鉄沿線の各団体の方々に呼びかけ、各町、市の老人会、育友会、労働組合、職員組合、教員組合、商店街等の方々の協力を得て野上電車を残す会を結成して、推されて会長に就任、その先頭に立って地域の皆さんと一緒になって住民運動を展開させていただいたことは、今もって誇りと感じると同時に、ともにとうとい経験でございました。沿線町長、県議の方々は廃止・廃線に賛成する中で、三日間で万余の電車存続の署名を集めて当時の県議会に請願運動を展開いたしましたが、野鉄沿線出身議長のもとであえなく不採択と一蹴に付されたのでございます。
しかしながら、その結果を持って上京、玉置和郎先生に直訴し、玉置先生が保革連合で、沿線住民の皆さん方と手を組んで住民運動を起こして地域の皆さん方の福祉増進のために働くその心意気に感じたと言われ、早速、当時の官房長官でございました竹下登先生と連絡をとってくだされ、有力な方々のお世話になって、今後、単年度の赤字については地方自治体すなわち県と沿線市町が半額持つならば国が半額助成すると約束していただき帰省、直ちに今は亡き元知事、故仮谷志良先生に状況をご報告、陳情を申し上げたところ、言下に補助助成をすると申されたことに対して涙の出るほどうれしく、今もなお当時を思い起こすと感激新たなるものがございます。ともに辛苦に耐えて運動を展開して勝利したときの同志との喜び合い、今なお忘れることなく、目を閉じれば皆さん方の顔、顔が浮かんでくるのでございます。
しかしながら、自来十有余年、軌道敷を直ちに道路にするとの約束の中で電車をとめ、レールを撤去して軌道敷を道路用地として県が買収、野上電鉄の会社は清算・解散をしてしまいましたが、その後十年経て、道路建設への進捗状況は先ほど申し上げたとおりで遅々として進まず、野上電車なき後のさま変わりが極端で人口が激減して寂しい限りでございます。人口の減少は、経済、生活等、いろんな面で問題を残しており、軌道敷跡地の道路の建設は学校教育の上から見ても最大の急務でございます。
思い起こせば、私の半世紀は一瞬の出来事でありました。いろんな出来事、出会いもありました。数多くの方々にご指導、お世話、ご尽力をいただきました。すべての方々のお名前、ご披露申し上げたいのでございますけれども、そのことが本意でございますが、時間が許されません。残念です。お世話になりまして、本当にありがとうございました。
なかんずく、今は亡き元知事・仮谷志良先生、志半ばにして体調を崩され退任、今なお闘病生活を強いられておる西口勇前知事さん、いろいろお世話になりましてご指導を賜りましたことにつきまして、本当にありがとうございました。
県議会の先輩・同僚の方々、今は亡き故人となられた方々、よきご指導、ご鞭撻、まことにありがとうございました。
県職関係の方々、マスコミの方々、地方選挙区県民の皆さん方、私ごとき者を人様の走り使いのできる人間によくぞ育ててくださいました。しかし、ご期待に沿えず、今、役立たずのまま去っていくことが残念であり、また申しわけなく思います。本当にありがとうございました。厚かましいことでございまするが、今後とも変わらぬご厚情のほどを心からお願い申し上げますとともに、皆様方のご健勝を神かけてお祈り申し上げる次第でございます。
和歌山県知事・木村良樹さん、あなたは和歌山県知事として就任されてからまだ日も浅い。しかしながら、常に時代を先取りして勇敢に進歩、改革を進められ、全国の知事の若きリーダーとして常に活躍されておること、そのことに対しまして、お世辞ではございません、心から敬服すると同時に誇りと感じております。最近ではカジノの問題等、立派な決断だと私は思います。景色と温泉だけでは観光事業が成り立ちません。より和歌山県の繁栄のために、健康にご留意されまして精いっぱいのご尽力のほどをどこまでもお願いしてやみません。
皆さん、和歌山県は不滅でございます。和歌山県議会、万歳。お世話になりまして、ありがとうございました。健康なりといえども、老兵は静かに去っていきます。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの宗正彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの市町村合併の問題について、お答えを申し上げます。
県内の市町村長は、総じて市町村合併について、町のこと、地域のことを考え、住民や議員の方々と一緒になって真剣に取り組んでおられるというふうに認識をしているところでございます。私といたしましても、このような取り組みに対し、支援策の充実や組織の強化を初め、一緒に汗をかき、悩み続けているところでございます。
合併の規模につきましては、ただいまのご質問の中にございましたように、広域的な合併の方が市町村の行財政基盤の強化充実をより果たすことが可能であるというふうに考えます。しかしながら、地域のいろんな実情でいろんな変化が起こっていることはご質問のとおりでございます。県といたしましては、この合併がより効率的なものになるように、いろんな形で支援していきたいというふうに考えております。
また、現在の市町村合併の組み合わせでございますけれども、市町村ごとにその地域の特性に応じて考えているところでございますけれども、平成十七年三月までにということの中で、より実現可能性の高い枠組みの議論が行われてきた結果であるというふうに思うわけでございます。
それから、和歌山市については、確かに初めからもう全然合併の話が出ていないとこで、これはちょっと私もよくわからないところがあるんですけれども、いずれにいたしましても、和歌山市と周辺市町の関係について、これはまた合併の問題も考えていく時期が来るということだろうと思います。特にその場合、周辺市町の意向というふうなものが重要であると思いますので、私もこういう点についても十分留意しながら見守っていきたいと、このように思っております。
現在進行中の合併は、ただいま申し上げましたように、平成十七年三月を見据えて進められており、県としても積極的に支援していきたいと考えておりますが、国の方ではそれ以降の市町村の権限や適正規模のあり方、新たな県の役割といったものが検討されているというところでございます。この動向に十分留意しつつ必要に応じ意見等を発信するなど、対応してまいりたいと考えております。
議員におかれては、今後ともよろしくお願いを申し上げます。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 公共事業についてのご質問にお答えいたします。
国道三百七十号の野上町から美里町間につきましては、当面、美里バイパスに重点を置いて整備を進めることとし、その中でも新白龍橋から下流側区間の工事を推進して、平成十六年供用を目指してまいります。
次に、県道奥佐々阪井線の道路整備につきましては、事業区間が延長五キロメートルと長く、また公図混乱、用地買収の難航等により事業期間が長期化しております。この道路は基本的に海南市側から整備を進めることとし、平成十五年度には野上中地区内の〇・四キロメートルの供用を行うとともに、交通のネックとなっている野上新橋のかけかえ工事に着手いたします。引き続き、野上町野上厚生総合病院にかけて整備を推進してまいります。
なお、野上中学校の通学交通に関連して東側からも事業を展開しておりまして、唐渡瀬橋から楠木公園までの〇・八キロメートルについては平成十五年度に供用を予定しております。
次に、国道四十二号の有田─下津─海南間の渋滞対策につきましては、現在、国土交通省が現道拡幅案、バイパス案について二市一町の意見を聞いているところであります。今後の見通しとしましては、当面、都市計画決定に向けて二市一町が町づくりの中に道路を位置づけし、早期のルート決定を国に働きかけることが必要と考えております。今後とも、国と二市一町の間に立って積極的に調整を図るとともに、今後の直轄事業の展開を視野に入れて国に対し早期事業化を働きかけてまいります。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 緑の雇用事業についてのご質問にお答えいたします。
まず、平成十五年の事業計画についての考え方でございますが、緑の雇用事業で実施いたします森林整備につきましては、議員お話しのとおり、林業が低迷している中で放置された伐採跡地に広葉樹を植栽したり、杉、ヒノキなどの人工林を強度に間伐することによって下層の広葉樹を育成し、針葉樹との混交林などの環境林を積極的に造成するものでございます。
次に、緊急雇用創出事業としてどの程度の整備が期待できるかでございますが、緑の雇用事業では緊急地域雇用創出特別基金事業を柱として森林整備を実施しているところでございまして、歴史・文化遺産、景観保全地周辺の森林や尾根筋などの生育不良森林への広葉樹の導入、また伐採後、植栽されずに放置されたままの林地等に広葉樹を植栽するなど、平成十五年度では約一千ヘクタールの環境林を整備することとしてございます。
次に、継続的な雇用の創出に関しての事業計画等、その期待される成果についてでございますが、森林作業において緊急雇用事業に引き続く担い手育成対策の継続や恒久対策として、地球温暖化防止対策としての森林整備などを政府に提案するなど森林整備事業の拡大を図り、継続的な雇用の場を創出してまいりたいと考えてございます。なお、平成十五年度におきましては、平成十四年度までに緊急雇用事業で雇用されました方々を担い手育成対策として約三百名、また新たに本年度の緊急雇用事業では約四百名の雇用を予定してございます。
いずれにいたしましても、緑の雇用事業におきましては、森林の持つ種々の公益的機能の発揮と、議員ご提言のとおり、生産林と環境林との調和のとれた森林整備を行ってまいる考えでございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校の安全確保についてお答えいたします。
大阪・池田小学校でのあの痛ましい事件以来、県内の各学校でも校門にインターホンや防犯カメラを取りつけたり、出入り口の限定、来訪者の確認等をするとともに、緊急時の対応マニュアルを整備し、警察の協力のもと防犯訓練を実施して児童生徒の安全確保に努めているところであります。さらに、県内一万二千余りの「きしゅう君の家」や保護者、地域の方々の協力を得て、登下校時の安全確保を図っております。
議員ご指摘のとおり、学校、地域社会、警察等、関係機関が連携して非行やいじめ等の問題行動の防止や早期解決に当たることが極めて大切でございますので、それらが共同したサポートチーム地域支援システムづくりを進めております。
なお、ご提言の第三者機関による学校安全確保機構の設置につきましては、文部科学省の指導に基づく学校保健・安全委員会の活用とその関連も含めながら今後研究してまいりたいと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、宗正彦君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十三分休憩
─────────────────────
午後一時三分再開
○議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十三番中山 豊君。
〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長が、おれの出した原稿を見て四十分で終わるかと、こういうふうに言われるから、終わるようにするけれども、せめて議長の計らいで少し延びてもやれるようにしてやってくれと言うたところやけれども、議運の決定もあるだろうから、その決定を忠実に守るとして、もしお計らいいただけるようだったら、はみ出たところは寛大なつき合いをしてください。まず、それをお願い申し上げます。
質問の前に、一言申し上げたいことがあります。
二期八年、海南市から選出され、皆さんの仲間入りを許されて以来、先輩・同僚の皆さんに殊のほか親切にお使いいただき、深い友情をお寄せいただいたことに対して、深く感謝申し上げたいと思います。また当局の皆さんには、触発もされ、啓発もされ、深いご理解をいただきながら、県勢発展、中でも地元の海南市の発展に、殊のほか県政とのかかわり合いを深く絡み合わせながらご留意いただいた点について、海南市の皆さんとともどもに壇上からお礼を申し上げたいと思います。皆さんは言います。中山が県会へ行くようになってから、海南市の様子は少しずつではあるけれども明るくなった、変わってきたではないか、こういうふうにも申されるところです。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)ありがとう。県会に出していただいてから、それぐらい冥利に尽きる話はないとして、日ごと、夜ごとに心に刻んでいるところであります。このようなことを申していると時間が足りなくなります。
それで、皆さんにお礼を申し上げながら、八年間言い続け、主張し続けてきた課題の総仕上げのつもりで物を申させていただきたいと思います。当局の皆さんのご答弁は、そういうふうな立場からご対応いただければいいと思います。端々のことについて、あれやのこれやのではなくて、和歌山県政が中山豊の提起に基づきながら、将来にわたってこのように県政を運営していきたいという深いところでお答えいただけることを、まずもってお願い申し上げたいと思います。
西口知事は、私の質問に対して、地元の問題は地元で解決するんだと、こういうふうにも申されました。まさに、その理念に基づきながら県政がずっと運営されてきたやに思われます。地元に出先がないと申したときに、いち早く総合庁舎が建つとまではいかなかったけれども、地元に県の出先を持ってきていただいて、地元の皆さんの要求にこたえていこうということで懸命にお取り組みいただいたのも、その一つのあらわれと評価をしているところであります。
さて、二期八年を経て、辞するに当たって申し上げなければならないとするならば、中山は道路問題に触れずして終わるわけにはいかないと皆さんは思ってくれているでしょう。まさにそのとおりなんです。宗さんもそのようにおっしゃっていたけれども、尾崎さんがもしここに立ったとしたら、高野山向いて野上谷の道をちゃんとせいというふうなことを言うに違いない。僕は入り口の部分、宗さんは野上の真ん中の部分、尾崎さんは一番奥の方のことを取り上げて言うに違いないであろう、こういうふうに思われます。もう、これは原稿から外れているんやで。
そこで、野上谷のあの道をちゃんとせいというこの話は、共産党であれ自民党であれ、政党が違うのにこんなに一緒になって要求されているというのは、県下どこ探してもないくらいの話やろ。こういうふうな道路行政を発展させるのに、豊かな環境が満たされているようなところはどこにもないやろう。知事、そういう環境の中で、この道をほったらかすようなことをしていたらえらい目に遭うで。ということを申し上げて、大山さん、今、一番熟しているのよ。共産党と自民党が一緒になって道をしゃんとせい、高野山までつないでやれと言うてくれているような人的環境が整っているようなところはどこにもないよ。やってください。
ずっと、申し上げたいことを飛ばします。議長のお計らいもあって、質問だけいたしましょう。
築地阪井線の工事完了、供用開始に伴って、周辺地域の急速な発展の様子は大変なものがあります。皆さんも通ってみてください。海南駅から野上向いて走る。龍部池まで行かないうちで道はちょっと狭くなっているけれども、三差路のところまでずっとよくなっている。頭脳立地の方へ行く道もつきました。あのあたりはすごくよくなった。道路がよくなると地域環境がこれほどまでに変わるものか。発展への兆しがふつふつとわいてくるような情景が目の当たりに浮かびます。こういうふうな活力を取り戻そうということの一つのきっかけをつくるとするならば、道をつかんで離さなかったという中山の政治姿勢は大いに評価されてもいいのではないかということだけではなくて、よく離さずに八年間言い続けてきたもんだなということの感慨が深いものがあります。こうふうにして考えたときに、海南市は駅前のあたりの商店街を中心にして栄えておったけれども、一つの道が整備されることによって、今申したような地域への方向に商店街の中心部が移りつつあるくらいに変化してきた。こういうふうな変貌の仕方をしているんです。道はいいですよ、道は地域の発展と皆さんの活力をつけるためには欠かすことのできない課題だとして、いま一つ申し上げておきたいと思います。
それから、龍部池までの拡幅整備を言い続けてきましたけれども、土地区画整理事業とのかかわり合いで当局の皆さんは対応してくれました。重ねて申しますが、龍部池までの道路の整備について、改めてお考えをお聞かせください。
三つ目──これからや。一番狭隘なところを通すのには大変だということで、平成二年に阪井バイパスという仮称バイパス路線の法線を引いた。地域の人たちは、現道とバイパスとの間の五十メートルも離れていないようなところにだれが道を引いたんだという批判が起こって、それから一向に進まないで今日に来ている。しかし、事態は変わってきた。お年寄りも出てきた。先行き考えたら、早いことつけてもらわなかったら、目の黒いうちに道がつかないというふうに差し迫ってきたと。こういうふうな人たちの声が反映されて、あの道を早いことつけてくれ、つけてくれなかったら、おれの人生設計が立たんというふうに変化してきた。そういうふうな変化にこたえて、当局の皆さんはあのバイパスを早いことつけてください、こういうふうに申し上げたいところです。
いろいろお聞きしてみると、国土交通省の皆さんも、一番混雑をきわめているようなところだけをして、あとはできるだけ支線を通し、つないで解消するというふうな意向もあるようだけれども、いずれにしても、ここのところを早いことやってもらうという要求を皆さんに投げかけて、それへの答弁をお願いいたしたいと思います。
木津から東部の方、宗さんや尾崎さんなどが担当してくださっている選挙区にかかわるところの高野山向いての話も、許されるとするならば構想ぐらいは述べておいてほしいと思います。
次は、県道海南金屋線。おりてきて、市民グラウンドから日方の高架までの間に、俗に言う神田という地域。これはまた狭い。今皆さんが大変な努力を重ねて、除却をしたり待避所をつくったりして、県は広めるんやで、整備するんやでという姿を地域住民の皆さんに熱心にお示しいただいていることはありがたい。これについての展望をお聞かせください。
次、環境にかかわるお話を申し上げていきたいと思います。
かねてより、環境問題について持続的、継続的にあれこれと視点を変えて申し上げてきました。総じて申せば、県当局は雑賀崎の埋立計画を断念されたこと、生石山のススキ原を復元させるためにススキを焼く話、タイワンザルの捕獲の方針を決めなさったこと、自然回復を試みる会、孟子ビオトープにNPOの認証を与えてくださったこと、和歌浦干潟の護岸工事を再検討しようと県の態度が改められたこと、これらを挙げてみたら県の環境行政には秀でたものがあると私は見ているわけです。立派だなと思っているんです。地域住民の自然環境を守ろうとする願いや要求を受け入れて行政を進めようとする柔軟な態度をおとりになっているということは、県民の是とするところだとして高く評価しているところであります。いずれの問題についても、当局の決断は住民の声が当局に反映されたものとして受けとめて、まず間違いないでしょう。
和歌浦干潟を検討し直そうという過程でペントス学会、いわゆる干潟の底生動物を研究している学会の総会の中でも、あれは見直す方がいいよとして県の方へ総会の決議をなされた。それに引き続いて、ファイアバンキアサカグチイクロダという小さなマキガイを発見した先生が海南市にいらっしゃるわけです。元県の教育長をしていた井上さんが青年時代にそれを発見なさって、その学名をつけるときに、自分の名前を使わないで自分が師事していた坂口先生の名前を使って学名をつけたという、それがファイアバンキアサカグチイクロダという名前のようです。これはちょっと聞きなれない名前で舌がもつれるんだけれども、サカグチイクロダというのは、坂口総一郎という先生の名前のようです。クロダというのは、このマキガイの国際的な権威者が京都大学にいらした。その先生たちの名前でつけられたということです。井上先生自身が発見しているのだから、イノウエイクロダとつけて当然だと思われるけれども、そこに井上先生のすばらしい人柄がうかがえるのではないでしょうか。人がしたことでもおれがしたんだというような世の常の中にあって、自分の功績を人に譲ってまでも学会名をつけさせるという、こういうすばらしい人柄、人徳に満ちた先生が海南市におると。そういうふうな先生におれたちが導かれて、薫化を受けて今日まで来ていることを、この場をかりて申し上げながら、その裏打ちをもって県の方たちが、それほどに値打ちのある干潟だとしたらこの干潟を守らなくてはならない、当初計画した工事計画を再検討しよう、こういうふうなご決断をなさったようであります。すばらしい干潟があそこにあるがために、和歌浦湾だけでなくて紀の川の川口からずっと南の方に至るまで、海浜に至る水生動物の豊かさが、あそこを根っこにして保障されているというふうなお話であります。だから、干潟をあのようにして、工事しようとして計画したけれども、あの計画はもう一遍見直すべきだという見地に立たれた県当局の見識の高さというんでしょうか──そこまで持ち上げることはないと言われるかもしれんけれども、見識の高さとすばらしい判断、こういうふうなものの裏打ちの中で環境行政がされているということは、自然環境にいささかなりとも気心のある自分にとってみたらうれしいで。何なのよ県、仕方のないようなことをしくさってというようなことを我に言わすべくもなく立派にやってくれているということに対して、喜びを与えていただく行政は、これは立派だよ。今後も、生石山のススキ原を復元させたり、山を豊かにするような仕事をしたり、こういうふうな形で行政が進められていくことを特にお願い申し上げたいと思います。
これにつけて、せんだって亡くなられた後藤伸先生のお話に少し触れなくちゃならない、そういう気持ちになります。紀伊半島の南部に広がる照葉樹林の大切さを説かれた人です。大塔山系生物研究グループの研究の先頭に立たれた方であります。営林署や営林局に対しても、大きな面積で一斉に伐採などしないでくださいということを繰り返し訴えて、紀州木の国、熊野の山を守る先頭に立たれた人であります。当時は、そのような要求はなかなか営林署や営林局などに受け入れられなかった。こういうふうな暗い大変な時代も受け続けながら、それを主張し続けた人であります。彼は、いろいろな角度から照葉樹林の大切さを説き続け、今日に来りながら、志半ばにして亡くなられたわけであります。南紀の森に昔の自然植生を取り戻そうということで、新聞にも載ったことでご記憶があろうかと思いますが、「いちいがしの会」をおつくりになって、大勢の人々と一緒に照葉樹の植栽を行ってきた功績を持たれている人です。また、いろいろな本を書かれています。「自然を捨てた日本人」「原生林紀行」「虫たちの熊野」といった多くの著書や「くまの文庫」など、和歌山県教育功労賞や田辺市文化賞などを受賞されている人でもあります。また南方熊楠記念館の活動及び熊楠研究にも深くかかわってくれていたようであります。自然環境にかかわる彼の功績を何らかの形で継承される取り組みを私は提起しておきたいわけであります。
あわせて、特に里山を豊かにする樹種の増殖に励まれるように求めておきたいわけであります。宗さんも申されました。山は海を豊かにすることは言うまでないことである。つけ加えておきたいと思います。
これからの環境行政について、さらなる発展を期待するところであるけれども、どのように発展させようとお考えいただけるのか、お考えをお述べいただければありがたいと思います。
山をつくりたいという人たちが、私の周りにたくさん集まってくるようになりました。それは、知事が緑の雇用というような事業を起こされてからでしょう。美里の方で山を掃除するということで、森林組合からハローワークを通じて求人があった。四人グループで応募する。四人が固まっていきたいんやというお話であります。一人でも欠けたらあかんのやというお話や。どこから求人があったのかなと思っていろいろ調べてみた。林業振興課かいな、県庁のそういうふうなことにかかわる部署からの紹介かいなと思って聞いたけれども、なかなかない。よう考えてみたら、県が企画して、求人などの作業はハローワークに移すんだってな。ハローワークからあったんやと言う。ハローワークの署長に聞いてみたら、実はあったんや、四人来ていると言うわけや。五人の募集に対して四人や。一人も欠けたらあかんのや。グループで行きたいんや。四人とも行けるようにご配慮願いたいと申し上げたら、ハローワークの署長は四人を美里へ派遣してくれるようなご配慮をいただいて、この間うちから行っていますわ。
その人たちが帰ってきて、僕のところへ話をしに来てくれているのや。山を汚すの見て、汚している山を見て、汚されている物を見たら、だれが汚したかということがすぐわかる、こういうふうなことから始まって、山の水はきれいや、和歌山の山はきれいやと、こう言うわけ。その中に一人、丸坊主にしてお坊さんみたいな人がおったので、あなたはどこから来たんですか、生まれたのはどこですかと聞いてみたら、大阪で生まれて、大阪で育って、沖縄へ行ってきた。沖縄からはるか祖国を眺めたときに、和歌山の山が一番立派や、和歌山の山が一番きれいや、それに引かれて和歌山へ来たんや。海南の山に住みついて、そういう作業にグループと一緒に参加するという、こういうふうな人がそこにおった。その人のいわく、私が住んでいる山の近くに大きな山桜がある、山桜に差し渡し十センチばかりのフジのつるが巻きついて、今まさにその山桜が枯死寸前に追いやられていた、私はそれを見かねてフジのつるを切った、やがてこの山桜が枯れないでよみがえってきて春になったら花が咲くであろう、それが楽しみやと言う。こういう心を持って和歌山の山を守りたい、こうおっしゃる──ちょっと、余り静かになり過ぎるなよ。
木村知事、こういうふうな人たちが今和歌山に集まってきよるんよ。あなたが提起をしている緑の雇用というふうな事業に鼓舞され激励されて、必ずやその事業が達成される道行きには和歌山は立派になる。日本全国広しといえども、和歌山ぐらい立派な山はないと、この人たちは言うているのや。和歌山に住みついて、和歌山の山に見なれている我々は、さほど和歌山の山の立派さは知らないかもわからない。それほど、ふるさと和歌山の山はいいんや。立派なんや。それを守ろう。それを根城にしてそこで生活し、和歌山県を発展させようという、この事業こそが二十一世紀の将来にわたって発展していく道であろう、私もそう思う。自然にかかわりを持って関心を示し出せば示し出すほど、そういうふうな情感が豊かになる。こういうふうにしてやりたいね。緑の雇用をもっともっと発展させていきたいと思います。そういう意味合いでやっていきたいと思います。
次の過疎対策に移ります。
二月十一日の紀元節、何のことはない、日本の国が建設された日やということで紀元節があった。昔、建国の日や。歴史的には本当かうそか私は知らんで。知らんけれども、建国の日やと言われたら、その日に建国されたんやなということにちなんで、我が祖国、我がふるさとがどういうふうになっているかということを改めてもう一遍眺めてみようやないかという気心が起こるのは、普通だったら当たり前の話やろ。
それで、黒沢山の近くや山頂に上がってみな。和泉山脈はもちろん、泉佐野の方までずっと見晴らせて見えるよ。和歌山はもちろんのこと、景色はいいわ。そやけれども、足元の田や畑は荒れてえらいことや。ミカンやカキ畑は、もう侵食植物に荒らされて入りようがないくらいにやられている。そこのお年寄りに聞いてみたら、昔は四十軒ほどあったけれども今は二十軒もないわと、こう言うわけや。しかし、そこに住んでいる人たちはどんな人かといったら、もう年寄り二人や、えごえごしておって、あと十年もしたら人がおらんような村になるでと、こういう話。地方の政治家として、政治の末席を汚している中山にとってみたら、おれは何をしたらいいのかいな、何が考えられるのかなということをひしひしと胸を打たれたよ。政治というものは、もっとこういふうなところに光を当てて当然ではないか。それに置き比べて、日本の今の政治はどういうことなのよということを考えざるを得なかった。
戦後、焦土に化した日本の国を復興させて、経済成長されてきて豊かになり、物が便利にもなった。だけれども、今どうよ。それに置き比べて考えてみたら、思い出すことがあります。中国の唐代の大詩人に杜甫という人がありました。四十六歳の春、反乱軍の占領下に置かれた長安の都をはかなみながら、山や川の自然はまともなままちゃんと残っているのを見て、「国破れて山河在り 城春にして草木深し 時に感じては花にも涙をそそぎ」、こういうふうな歌を歌われているわけです。それに置き比べて、日本はどうよ。それとまるっきり逆や。「国栄えて山河なし」や、ぼろぼろや。こんな国にだれがしたんなということをみずからに問いたかったわけよ。今、そういうふうな国から立ち上がらなかったら日本の将来はあり得ない。こういうふうなところから和歌山県が立ち上がろうやないかということを知事が提起されたことにかかわってやられているという、こういうふうなことではないかと思われる。
そのふもとの小学校は、もう閉塞状態。小さくなっている。そこの住民たちは言う。公営住宅なり県営住宅なり市営住宅なりが建ってくれたら、子供がふえて、もっと適正な規模で学校運営がされて活気が出てくるのに、それに置き比べて亀川はどうよと、こうなるわけや。皆さんのご協力を得て、亀川に県営住宅を建ててもらった。今、海南市の小学校で適正規模で経営されている学校は亀川しかないで。それに置き比べて、黒沢山のふもとの小学校は閉塞状態。こういうふうなことを置き比べてみたときに、どうしても黒沢山のふもとに県営住宅を建てたり水道を布設して、若い人たちがよそへ出ていかないようにインフラをするという、こういう取り組みをどうしても政治の仕事としてしなくちゃならんのやないかと、こういうふうに思われる。
近代文明が発達して、それにならされた青年たちが、洗濯機も使えないような家庭の生活の実態の中で、だれがおれと言える。お年寄りにしろ、親にしろ、家におって田を守れ、畑を守れというようなことは口が裂けても言えない。まさに寡黙になるというわけや。そういうふうなところに光を当てて、もっと生き生きしたというところまでは言わないにしても、普通に人間が住みつき、人間が生活の場にできるような地域にしてあげてほしいと思うわけです。戦争中どうやったんよ。町が焼かれるときに、荷物を提げて皆逃げ帰ってきたところやないの。戦争が終わったら、荷物を提げてまた都市部へ行った。一番えらいときに、一番厳しいときに、人間はああいうところへ身を隠して生き延びていったんじゃないの。そういうふうな生き延びていったところが、もう役に立たんから、今、大したことないからといって捨てんなんことはないでしょう。そういうふうなところにこそ今政治の光を当てて、もうちょっと人間らしい生活のできるような地域に変えていけるような和歌山県であってほしい。こういう地域は和歌山県に幾らもあるはずや。海南で探すことないよ。幾らもあるはずや。そういうところへこれから和歌山県政が力を尽くしていただけるよう特にお願いをして、ここの項は終わります。
次や、市町村対抗ジュニア駅伝。もうまとめて言う。
去年の不始末を反省して、ことしは立派にやってくれた。実によかった。評価しておきたい。皆さんの努力に。だけれども、一つ、二つだけ物を申しておきたい。あれだけ立派にやっておきながら、次に県民の心を鼓舞し、県民をさらに前に推し立ててやろうやないかというような気心をなぜ発揮できるような総括をしてあげんのよ。申し上げようか。
北山村、生徒が足りない。だから、中学生が走るところを小学校で受け継いで走ってもいいか、こういう話になったときに、規格からいったらそれは当てはまらんからやめてくれと、こういうふうなことを言うたら、どの市町村からもチームをつくって参加することができない。それを皆さんが受け入れて、どの市町村からもチームをつくって走ることができたという。これは立派なことですよ。こういうふうなことを過大にせよ評価をして、裏にこういうふうな論議があって、これほどに皆さんのご協力と協調ができて成功したんやでということを参加した子供たちやご父兄の皆さんにお話ししたとしたら、次もそうしなくちゃならない、次もそういうふうにしてでも参加させてもらいたいというふうにして盛り上がってくるはずなのよ。これが一つ。
二つ目、一番最後に走ってきたチームはどこだと思う。北山村と違うんや。そういうふうな支援と援助があって、北山村は最後尾でなかった。四十七番目に入ってきた。この四十七番という順位は、北山村にとってはすばらしい成績だったと僕は思っている。なぜかと言ったら、皆さんの前段でのそのような協調と支え合う力の反映として見たときに、四十七番というのはすばらしいでしょう。こういう評価をしてほしかった。北山村も喜んだであろうし、北山村を参加させることによって、それほどの成績をおさめられたということの背景に、自分たち一人一人が役に立ったんだということの認識をみんなして共通に持ったとしたら、これほど立派なジュニア駅伝というものはないやないの。これは、よそへ言ったって恥ずかしくないような仕事よ。こういう仕事を和歌山県がやっておきながら、なぜそういうふうなところへ発展的に持っていこうとする総括をしてあげないの。県の幹部は、そういう意味合いで才覚を発揮してやってほしいで、正直言ったら。もうちょっと、そういう点の勉強をしてほしい。
その次、最後尾で走ってきたのは花園村や。あのコースを走るのに、二時間足らずもかかったんや。そぼふる雨の中、応援する県民は、まんじりともしないで最後に走ってくる花園村を待ってたじゃないの。入ってきた花園村に惜しみなく激励の拍手を送ったでしょうが。ああいう姿は和歌山県民の美徳よ。いいところなのよ。そういうふうなところを強く大きくすることによって、和歌山県はもっと立派になる。仕方のないような青少年が生まれるような土壌をなくしていくようなことができる。教育の大事なのは、そういうことなのよ。やれ指導要領やの、「君が代」やのどうやのと、そんなことだけで立派な子供にはならん。具体的なそういうふうな事実と、具体的なそういうふうな成果を皆さんが評価し合うことによって子供たちが立派に育っていくのと違うのか。新しい立派な県民性が培われていくというものよ。あと五分──これ、走っているのやで。
次、ミカン──(「漆器もあるで」と呼ぶ者あり)漆器か。漆器もそうよ。
簡単に言うたら、もう漆器はあえぎあえぎや。もう、今までみたいに一般的に言うたってあかんのや。漆器をよくしようと思ったら、漆器をよくしてくださいと言って、国の認定を受けた伝統工芸士というのがあるのよ。その人を大事にして、その人を柱にして物づくりを盛り上げていくというような、そういうふうなことに成功していないのよ。漆器組合の皆さんも、漆器をつくるあの町の人たちも、海南市も、県も。伝統工芸士を軸にしながら、物づくりにいそしんで、つくったものをみんなに買ってもらう、売ってもらう、こういうところに収れんをした取り組みをしたら、必ずや──だって、去年一年経験したんや。きょうもいらしているけれども、沈金の工芸士、その人の作品展をした。その工芸士の作品展の場所で、私は、沈金の工芸士だということを皆さんに見てもらった。たくさんの人が来て、その人がつくってくれる作品を皆いただいて帰るという、こういうふうなことが起こったじゃないの。それをみんなに広め、その仕事をもっとみんなで押し上げるということにしたら、黒江の漆器産業は他に引けをとることのないように発展していくであろうと、こういうふうに思う。去年の一年間の実績からして。それをぜひ県も応援してあげてほしいと思う。
次、ミカン。
ミカンは、やはりいいものをつくれ、前にこういうふうに言うたけれども、いいものをつくってもさほどでないんやな。外国からの貿易の自由化から始まって、何かにつけて人間の、国民の嗜好状況が変わってきているということも手伝っている。これは、一つの文化やで。よそから来た文化に支配されて、日本伝来の立派な文化が侵食されてきていることに気づかないで、あれやのこれやのというような形でうろうろしていたら日本人なくなるで、正直言うたら。ミカンを大事にし、ミカンを食するというような日本人になろうと思ったら、その心を大事にしようや。そういうところに立ち返ってミカンづくりを考え、ミカンの販売消費活動を考える。戦略的にはそうすべきだと思う。東京の市場や、そういうふうなところへ行くにも、だれ和歌山のミカンや、やれ何のミカンやというようなことだけではなくて、政府にも、日本の食文化にかかわって、外国の支配に左右されて崩されていくことのないような、文化状況を創造するようなミカン政策を打ち立てることをお訴えして、二分残っているところで、うまいこと終わります。
ご清聴ありがとうございました。長いこと、八年間だったけれども、おつき合いいただいたことを、本当にお礼申し上げます。よろしく。(「核残っているで」「核燃料」と呼ぶ者あり)核燃料ある。ようけ書き過ぎたんで失念することもあるわ。
核燃料。これは、県もそんなものを許すわけはないと、そういうふうな態度をとられている。関電も、そんなものを持ってこようというふうな意思でないということも表明している。これらを合わせたら、新聞に書かれているあれやこれやする心配はないようだけれども、事態はどういうふうにして変わっていくかもわからない。そのときに、しゃんとした態度で対応してくれることを県にお願いを申し上げて、終わります。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのふるさとづくりということとか、緑の雇用、過疎問題、こういうことについてまとめてご質問いただいたわけでございますけれども、和歌山県の中山間、こういうところが滅びていくというふうな形になっては、これは和歌山県にとっても不幸ですし、そしてまた日本全国にとってもこれはゆゆしき事態だというふうな考え方の中で、私は一生懸命こういうことを進めているということでございます。
それから今の、この間新聞に報道された問題でございますけれども、これにつきましては、今中山議員のお話のあったとおりでございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 初めに、国道三百七十号の整備につきまして、順次お答えいたします。
築地阪井線につきましては、その供用により交通混雑が緩和され、安全で快適な交通環境が確保されることによって、この地域の健全な市街地の形成に寄与するものと考えております。
それに続く重根地内から龍部池までの区間につきましては、土地区画整理事業の中で平成十五年度新規に事業着手をしたいと考えております。
さらに、その東の阪井バイパスにつきましては、以前に地元提示を行ったルートを基本とし、周辺の道路網や町づくりのあり方を踏まえながら、海南市とともに、地元の理解を得て、国土交通省とも協議を進めることによって、早期の都市計画決定に向けて努力してまいります。
さらに、木津バイパス以東の構想につきましては、美里町、野上町内で行っている道路整備と整合性のとれたネットワークとして考えてまいります。
次に、県道海南金屋線神田地区につきましては、短期に事業効果を発揮できる日方川沿いの狭隘区間を優先的に整備しております。暫定的な供用形態として待避所を設置するなど、きめ細かく取り組んでまいります。
今後とも、下水道事業などとの連携を密にしまして、地元の皆様のご協力をいただきながら事業を進めてまいります。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 環境生活部長秋月成夫君。
〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 今後の環境行政の取り組みについてお答えいたします。
我が国では、昭和四十年代から社会経済活動の急激な拡大の結果として公害問題が発生し、今や環境問題は日本だけでなく地球全体にかかわる問題であり、人類の生存そのものにかかわる問題となっております。
今後においては、単に残された環境を守るだけでなく、自然再生のように失われたものを復活させる、あるいは環境林やビオトープのように生き物に優しい環境を創造していくという新しい考え方が求められております。また、本県の自然環境保全やリサイクルの推進などのテーマにおいては、環境を保護するという視点に加えて、良好な環境を生かした地域振興と循環型産業の育成という視点も加えていく必要があります。さらに、地球環境の問題においては、県民の一人一人が自分のライフスタイルを見直すということが求められております。
県といたしましては、第一には、県民、企業、地域と行政が協働するという姿勢に立って、それぞれの活動の盛り上がりを支援していくことが重要と考えております。平成十五年度予算案におきましても、NPOや地域が行うそのような活動の支援策を盛り込んだところでございます。
第二に、行政内部においても、関係部局がよく議論をして、それぞれの立場から協力して取り組んでいくことが大切と考えており、教育委員会とともに環境教育に取り組むほか、農林水産部局と環境林整備に向けた取り組みなどを進めることとしております。
本県の環境保全は、ご質問の中の後藤伸先生を初めとする各地域で地道な活動をされてきた多くの方々のご努力によりここまで進んできたという側面がございます。そして、先人から引き継いだ良好な環境は後世に確実に渡していかなければなりません。容易な道ではありませんが、多くの方々とのパートナーシップに基づいて和歌山環境立県を目指して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 伝統工芸士を柱とした漆器産業の振興についてお答え申し上げます。
海南の漆器を初め、県内の伝統工芸品産業に光を当て、積極的に活用していくことは、和歌山の活力アップや地域の活性化に重要なことであると考えてございます。
県では、伝統工芸品産業振興の新たな試みとして、伝統工芸品リバイバル支援事業を創設し、伝統工芸を継承していく後継者の確保に努めるとともに、伝統工芸品の魅力を広める体験教室の実施など、産地の積極的な取り組みを支援してまいりたいと考えてございます。今後、伝統工芸士を活用した海南の漆器産業の振興について、県も積極的に漆器組合や海南市と一緒になって考えてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) ミカン対策についてのご質問にお答えいたします。
まず、ミカンの安値対策についてでございますが、ミカンの価格は平成三年にオレンジの輸入自由化があったものの、平成六年以降は比較的高価格で推移してございました。しかし、最近の厳しい経済情勢に加えまして、消費者ニーズの多様化や流通構造の変化などにより、ここ数年は全国的に低迷してございます。
このような状況の中で、国におきましてもさまざまな対策が講じられており、これを受けまして県といたしましても、平成十三年度から表年と裏年の生産量の平準化を図る需給調整による価格安定対策と連動した生果ミカンの価格補てん対策を実施してございます。さらに、消費拡大につなげる毎日果物二百グラム運動もあわせて展開してございます。県といたしましては、優良品種の育成やマルチ栽培の推進などの高品質生産対策、省力・低コスト対策など地元対策を推進する一方、より効果的な価格安定対策や消費拡大対策の充実について、全国みかん生産府県知事会議などを通じ、国に対し強く要望するとともに、農家、関係者一体となってミカン農家の経営安定を図ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──この際、申し上げます。所定の時間は残り二十四秒でございます。再質問されますか。
〔「二十四秒などと言われたら、もう物言う気にならん。もうえ えよ」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、中山豊君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
十六番橋本 進君。
〔橋本 進君、登壇〕(拍手)
○橋本 進君 議長のお許しをいただきましたので、今期定例会のトリの質問者として質問させていただきます。中山先生に負けんようにユーモアを交えてやりたいんですが、そうもまいりませんので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
きょうは、朝から堀本先生、宗先生、中山先生、トリの橋本進でございます。こうしてここへ立たせていただきますと、これが最後かなと思います。支持者の皆さん、中山先生の後援会の人ばかりと思いましたけれども、どうやら橋本進の後援会も来てくれておるようでございます。本当に、心からお礼を申し上げます。また、殊のほか薬剤師連盟の先生方、先日亡くなられた山本先生のご遺影までお持ちいただきまして、心からお礼申し上げます。涙が出てまいります。
余談はさておきまして、今回の最終の二月定例会の一般質問のトリとして質問の機会をお与えいただきました先輩・同僚の先生方に、心から深く厚くお礼を申し上げます。これが私の最後の登壇となることから、お許しをいただき、少し過去を振り返りながら、何点か質問させていただきたいと思います。
顧みますと、昭和二十五年に県庁に採用され、その後、大橋正雄先生という偉大な師と出会うことができました。そもそも、私の最初で最大の転機でありました。大橋先生には、いろいろとお教えをいただきました。きょうこうして私がこの場にいるのも大橋先生のご指導のたまものと、深く深く感謝申し上げる次第であります。ところが、その大橋先生の突然の死であります。昭和五十年十月四日のことでありました。目の前が真っ暗になりました。しかし、ご承知のように、そうしたことになりますと五十日以内に新しい知事を決めなければならない。それこそ息つく暇もなく、仮谷志良後援会の事務局長として、仮谷元知事へのバトンタッチを果たすことができました。その後、昭和五十四年の統一地方選挙に、本当に力もないのに、背伸びをして出馬をさせていただき、以後、多くの県民の方々、支持者の方々のご支援を得て六期連続して当選させていただきました。その間、同僚の皆さん、先輩の皆さんのご指導、ご支持を得て、議長も経験させていただき、また副議長も経験させていただき、その上、地方自治への功労ということで藍綬褒章受章の栄にも浴させていただきました。改めて、先生方を初め関係各位の温かいご厚情に、大変高いこの壇上からでございますが、心から感謝を申し上げる次第でございます。
前段が少し長くなりまして申しわけございませんが、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。
まず初めに、道路交通網の整備、特に和歌山市の都市計画道路の整備促進に絞って質問をさせていただきます。
県内の道路網については、湯浅御坊道路の開通や、国道三百十一号の全線改良によって県内二時間行動圏の確立に向け一層前進するとともに、高速道路の紀南延長や京奈和自動車道、それに紀北東道路など、県当局のご努力によって主要な自動車道路の整備構想は着々と進展しているところでございます。まず、心から感謝をしなければならないのではないかと思います。
しかしながら、こうした中で難航しているのが和歌山市の都市計画道路の整備であります。申し上げるまでもなく、都市計画道路は通行空間の機能ばかりでなく、電気、ガス等のライフラインの収容空間として、また都市防災機能の確保、都市開発の促進などの機能を備えており、都市活動にとって根幹的な施設であります。
私は、平成十一年六月定例会の一般質問の中で、都市計画道路の整備促進に関連して質問をいたしました。一番ネックになっている用地取得の迅速を図る上で、その問題が大変だと思って質問をいたしました。用地取得は民間に委託をしてはどうかと伺いましたが、その際、土木部長は、補償額の公正や公平性、またプライバシー保護の問題等で民間委託は大変難しいが、今後国や他府県の動向も見ながら検討すると答えられました。確かに、民間委託には多くの問題を抱えているとは思いますが、すべてを民間委託とするのではなしに、用地交渉を担当する職員が、例えば地元のことに一番詳しい自治会の役員などの協力を得て交渉する場合に、その協力者に日当や成功報酬を支払えるような方法を、和歌山方式としてぜひ検討してみていただきたいと思います。あわせて、和歌山市の都市計画道路の現在の整備状況と今後の整備方策について、土木部長さんのご所見をお尋ねいたします。
次に、私は和歌浦で生まれて和歌浦で育って、和歌浦のことを申し上げるわけでありますが、和歌浦の活性化についてお伺いをいたします。
かつては、観光百選の海岸美第一位に選ばれ、観光客が絶えなかった新和歌浦も、今は寂れ、夏の風物詩の花火も消えて久しく、今では廃業した旅館も目立ち、まことに寂しい限りであります。これまで、県当局のご努力によりまして、片男波海水浴場の整備や和歌山マリーナシティの建設、昭和天皇ご在位六十周年記念公園や万葉館などの整備がなされてきたところでありますが、残念ながら、これらによってかつての観光客を取り戻すまでには至っておりません。また最近では、一月三十一日付の毎日新聞の記事によりますと、新和歌浦の廃業旅館へ招かざる客の侵入が問題となっており、地域の住民の方々が大変困っているということです。この招かざる客は「廃墟マニア」と呼ばれている人たちで、廃業した旅館に侵入し、花火をしたり、たばこを吸ったり、また四年前にはぼや騒ぎがありました。こうした問題に頭を痛めている地元では、環境浄化連絡会議を結成し、その対策に取り組んでいますが、限界があり、火災の心配など危機感を募らせています。こういった状況では観光客も呼べません。
平成十六年には高野・熊野が世界遺産に登録される予定ですが、この世界遺産は何も高野や熊野に限ったことではありません。世界じゅうからの観光客が和歌山市にも訪れ、宿泊するはずです。その宿泊地の和歌浦がこのような状態では話になりません。この問題は、県だけではなく、和歌山市が取り組む問題でもありますが、聞くところによりますと、現在、県と和歌山市の懸案問題について話し合う連絡協議会ができているそうです。ぜひ、この協議会に和歌浦の活性化を議題に取り上げていただき、検討していただきたいと思いますが、企画部長さん、よろしくお願いをいたします。
次に、高校卒業者の就職対策についてお尋ねいたします。
ここ十数年前から高卒者の就職内定率は年々減少の一途をたどっており、非常に深刻な問題となっております。これは、景気の低迷による求人の減少や、これまで求人側の大口であった販売業やサービス業がアルバイトに頼ったり、製造業の生産拠点を海外に移したことが原因だと言われています。目先の利益にこだわり、長期の雇用計画を立てない企業側にも問題があると思いますが、企業ばかりを責めるわけにはまいりません。
高卒者の就職内定率が極端に悪い北海道ではこの事態を深刻に受けとめ、平成十四年度から三年計画で道庁の職員の超過勤務手当を減らして、その分を使って人件費の総額をふやさないで高卒者を採用するワークシェアリングを実施していると聞いております。和歌山県の高卒者の内定率もワーストの上位にあることなどから、こういった方法も検討してみる必要があるのではないかと思います。
また、木村知事が提唱されました和歌山発の緑の雇用事業への高卒者の受け入れや技術取得という意味から、現在の県立普通高校の幾つかを技術専門の高校に変えるといった思い切った試みも必要ではないかと考えますが、教育長さん初め関係部長さんのご答弁をちょうだいいたしたいと思います。
最後に、今日まで議員生活二十四年間、私は同和問題について、同和対策特別委員会、あるいはただいまは人権問題等対策特別委員会に身を置きまして、今日まで同和対策について取り組んでまいりました。早期完全解決を私の政治活動の中心にとらえて取り組んでまいりました。
ご承知のとおり和歌山県は、同和問題の早期完全解決を目指して、全国に先駆け昭和二十年代の初めから地方改善事業を創設して取り組んできた先進県であります。昭和四十四年には、同和対策事業特別措置法が施行され、以後三十数年間にわたって同和問題の早期完全解決を県政の重点施策として位置づけ、総合施策として取り組んでまいりました。その結果、住環境を初め、産業・就労や教育の面においても大きく改善され、相当な成果が上がってきていますが、まだ依然として格差が見られ、また毎年多くの差別事件が発生し、特に最近ではインターネットによる大変悪質な差別事件も起きております。これまでの同和対策事業の成果や特別措置法の失効をもって同和行政の終了を主張する人たちがいますが、私は到底その考え方に同調できません。差別を解消させることが国民的課題であり、行政の責務であります。県が作成した「今後の同和行政に関する基本方針」や「法期限後の同和行政のあり方」において、差別が現存する限り、それぞれの施策の中で、常に同和問題解決の視点に立って全力を挙げて取り組むものとすると明記されておりますが、いま一度知事の基本姿勢をお伺いいたしたいと思います。
以上で私の議員生活最後の質問を終わりますが、四月十三日の統一地方選挙に向かいまして同僚先生方がただいまそれこそ必死になって準備をされておりますが、必勝を期してご健闘を心からお祈り申し上げたいと思います。
また、今日こうして登壇させていただきます私も、昭和五十四年の統一地方選挙に初めて立候補させていただいて当選させていただきました。私とは少し立場が違ったんですけれども、県庁職員労働組合に六回もご推薦をいただいて今日までお支えをいただいたこと、改めてお礼を申し上げなければならんと思います。あるいはまた、知事初め当局の皆様方にも陰に陽にご厄介、ご迷惑をかけたのではないかなと反省をいたしております。また、同僚・先輩の先生方には、今日まで至らぬ橋本進のためにいろいろご指導、ご鞭撻を賜りまして今日を迎えられましたこと、高いところからでございますが、お礼を申し上げます。
今後は、県庁外で何か県政にボランティアをできたらなと、こんなふうに考えております。家内とともどもに余生を楽しんでいきたいと思っておりますので、どうぞひとつ今までと変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますようにお願いをして、私の質問を終わります。
まことにありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの橋本進君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 本県の同和問題の解決に向けた取り組みについては、国に先駆け昭和二十三年から取り組んできたところであり、特に昭和三十八年に県議会において同和対策特別委員会が設置されて以来、あらゆる面で県議会のご指導、ご支援をいただきながら、県民とともに一致協力して問題解決のために取り組んできたことにより、住環境を初め、産業・就労や教育面においても大きく改善され、多くの分野でさまざまな成果を上げてきたところでございます。
その間、議員には、同和対策特別委員会委員長にたびたびご就任いただき、惜しみなくその手腕を振るわれる等、今日の成果はまさに議員のご指導、ご尽力のたまものであると、その功績を忘れることはできません。
しかしながら、現状を見たとき、従来にはないインターネットを利用した非常に陰湿にして悪質な差別事件が発生するなど、同和問題の解決に向けて取り組んでいかなければならないさまざまな課題が残っております。同和対策に関する特別措置法が失効した今日、すべての人の人権が尊重される社会をつくることにより同和問題の解決を図るという取り組みのよりどころとなる和歌山県人権尊重の社会づくり条例を県議会において制定いただいたところであり、県としてはこの条例に基づき、差別が現存する限り、その解消に向け引き続き積極的に推進していかなければならないと考えております。
議員には、今後とも引き続きご鞭撻を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 道路交通網の整備についてのご質問にお答えいたします。
まず、用地取得の民間委託についてでありますが、平成十一年六月の議員に対する答弁を踏まえまして、平成十二年度より補償額等の算定内容についての説明業務に限って民間の補償コンサルタントに委託しております。今後は、用地取得の迅速化を図るために、用地取得業務の民間委託の拡大について検討してまいります。
次に、和歌山市内の都市計画道路についてでありますが、その整備状況は、平成十三年三月末で改良率四一・七%とおくれておりまして、地形的にも紀の川や鉄道で分断されているため、市街地周辺で慢性的な渋滞が発生する状況であります。今後の整備の進め方につきましては、国・県・市で和歌山市域道路整備推進協議会を設け、お互いの役割分担を明確にするとともに、それぞれが優先順位をつけ、重点的、計画的な整備に努めてまいります。
その中で、国におきましては、国道二十六号和歌山北バイパスの紀の国大橋の新設や国道二十四号紀州大橋の四車線化など紀の川の橋梁部を整備し、市におきましては、松島本渡線や市駅小倉線など市内中心部で整備をしております。県におきましては、東西幹線道路整備に重点を置き、供用開始時期に合わせて土地収用法を活用するとともに、二車線で暫定供用するなど、きめ細かく取り組んでまいります。具体的には、西脇山口線につきましては、混雑している交差点部の優先的な改良を実施しております。また湊神前線につきましては、国体道路から新堀間をこの三月末に一方通行区間を解消するとともに、平成十五年度末には暫定二車線で供用いたします。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 和歌浦の活性化についてお答えを申し上げます。
和歌浦地域を初めとする雑賀崎、マリーナシティ、大崎といった和歌浦湾を取り巻く地域には、歴史、文化、グルメといった魅力ある多くの資源がございますが、何と申しましても、海洋の存在が共通して重要な要素をなしていると認識いたしてございます。それらを掘り起こして観光資源として活用していくことが和歌浦の振興につながる大事な視点であると考えてございます。
県といたしましては、その一環としまして、和歌山市と連携しながら、今年度七月十九日から海の日を挟む三日間、世界最高峰のヨットレースと称されるアメリカズカップの優勝艇のキャプテンであり、この分野では世界のスーパースターと言われておりますラッセル・クーツ氏を招聘し、記念ヨットレース等の海洋イベントを開催するとともに、航海誌を発行して、和歌浦湾の魅力を国内はもとより世界に発信することとしてございます。
県と和歌山市は、これまでも各種の政策課題について協議してまいったわけですが、ご指摘の和歌浦地区の活性化や高野・熊野の世界遺産の登録を契機とする和歌山市、なかんずく和歌浦地区への波及効果にどう取り組むか、一層協議を密にしてまいります。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 総務部長宮地 毅君。
〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 高卒者の就労対策についてお答えを申し上げます。
本県では、財政状況を踏まえて職員定数の削減、給料のカット、超過勤務手当の縮減など給与関係経費の削減に取り組んでいるところであります。その一方で、緑の雇用事業を初めとする緊急雇用対策等の事業や、教育関係の雇用対策事業を行うことによりまして、実質的にワークシェアリングの効果を実現できるよう努めているところでございます。今後とも、こうした取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 高校卒業者の就職対策として、緑の雇用事業での受け入れについてでございますが、県内におきましても、この事業での就業相談会や事前研修などを和歌山市、田辺市、新宮市の三カ所で実施しているところでございます。
今後とも、森林作業などにより多くの雇用機会を創出し、ハローワークや就業相談会等を通じて高校卒業生への就業の場が提供できるよう取り組んでまいります。
○議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高校卒業者の就職対策につきましては、教育委員会といたしましても大変大きな課題であるととらえております。
これまでも、就職アドバイザーや就職支援教員を配置して就業先の開拓を行ってきたところですが、依然として厳しい状況を踏まえ、新たに高校での学習内容や資格取得状況等を紹介したパンフレットを作成し、企業に理解を求めるとともに、関係部局との連携を一層深めてまいりたいと考えております。
技術系の専門学科である工業科は、県立高校七校に設置しておりまして、中学生の進路状況や地域的なバランスを考慮し、配置をいたしております。各学校では、技能検定試験等に取り組むとともに、物づくり教育に力を入れ、専門的な技術者養成に努めているところでございます。また、工業科の学科の内容については、産業界のニーズに即応した改編を行ってきているところであり、今後とも議員ご提言の趣旨を生かし、技術教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、橋本進君の質問が終了いたしました。
お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
【日程第三 議案の付託】
○議長(宇治田栄蔵君) 次に日程第三、議案の付託について申し上げます。
ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
【日程第四 請願付託の件】
○議長(宇治田栄蔵君) 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会にこれを付託いたします。
お諮りいたします。二月二十七日、二十八日、三月三日及び四日は委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) ご異議なしと認めます。よって、二月二十七日、二十八日、三月三日及び四日は休会とすることに決定いたしました。
なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
次会は、三月五日定刻より再開いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時二十二分散会