平成15年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(金田 眞議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十五番金田 眞君。
〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、一般質問を始めさせていただきます。
まず最初の、自然と健康を守る環境行政の実現です。
松山地区の住民の皆さんは、熊野の自然や生活環境が破壊されるとして、新宮市松山での建設会社松原組の資材置き場での中間処理業や自社処分を名目にした産業廃棄物の違法処理問題に住民運動を続けておられます。私も、県議会ごとにこの問題を取り上げ、昨年の十一月には県知事の改善命令が松原組に出され、改善されると思っておりました。しかし、一月十五日、和歌山県警環境機動捜査隊(エコポリス)と新宮警察署が合同で関係箇所の捜査を行い、松原組の社長・松原丈保と現場責任者・田畑稔両容疑者を廃棄物処理法違反容疑で逮捕いたしました。松原組が県知事の改善命令を受けながら、逆に改善への期待を裏切る行為を行ったことは残念です。今回の逮捕は、和歌山県警察が、和歌山の自然を守るため、ますます悪質・巧妙化する産業廃棄物の不法投棄や野焼きなど環境を破壊する環境犯罪に対処するため、粘り強い捜査を行った結果です。今回の逮捕と知事の改善命令は、地元住民の県は何もしてくれないという不信感を取り除き、環境犯罪や自然と環境に対する行政の姿勢を示したものであり、関係者の方々のご努力と奮闘に感謝するものであります。
さて、二月八日付の地方新聞には、「弊社取締役松原丈保はこの件に関して、起訴に及ばずとの決定が下されました。 然しながら弊社としてはかかる事態を招来したことについて道義的な反省をすると共に、弊社では今後、熊野環境保全を廃部し、初心に戻り建設業一筋で努力し信頼回復に努めて参ります」との広告をしております。これまでの捜査状況について、警察本部長にお尋ねをいたします。
また、松原組は土木や建築の県発注工事入札参加業者の上位三十社のうちの一社ですが、今回の逮捕に土木行政や環境行政からどう対応されたのか、部長にお尋ねをいたします。
昨年十一月に知事の改善命令が出され、履行期限は一月三十一日まででしたが、現時点でも完了しておりません。知事の改善命令とは一体何なのですか。期日までに改善されていないことを放置するのではなく、改善命令違反として告発するのが知事の責任ではありませんか。また、完全なる原状回復の見通しをお尋ねいたします。
この場所は都市計画法の第一種中高層住居専用地域であり、土木部長は以前のご答弁で、「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域」とされています。この場所での破砕機などを使用したクラッシャープラントは、この間の使用状況から都市計画法での周辺地域に悪化をもたらすおそれがある工作物として使用させるべきでなかったと思います。特に、騒音規制法などにかかわる特定施設設置届が必要ですが、無届けの操業です。
騒音レベルも、一月三十一日の騒音測定結果では、基準値の五十五デシベルに対し、等価騒音レベルは七十九、単発騒音暴露レベルは八十七で、騒音規制法第一条の目的に反し、明らかに許容範囲を超えています。県は、以前クラッシャープラントの撤去を指導したことから、今後の使用中止を指導することは都市計画法の趣旨からも必要ではありませんか。
法の不備をついて続けられた産廃の違法処理によって、熊野の自然と生活環境は破壊されました。都市計画法の「健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべき」との趣旨を県行政が最大限生かせばこの問題は起こらず、自然も環境も守れたはずです。
知事、県の指名業者の違法行為だけに、行政の指導責任も問われます。今回の事件をどのように教訓にし、今後どう生かしていくのか、お尋ねをいたします。
私は、この間、何度か世界遺産登録にふさわしい熊野川の姿について質問をいたしました。なぜなら、熊野地域における母なる川・熊野川が、ダムの濁水や砂利採取、ごみの不法投棄などの自然破壊によって死の川となっているのを清流に取り戻す時期に来ていると思うからです。それは、河川法が平成九年に従来の河川管理の目的の治水・利水から、河川環境を加えて、水質、景観、生態系などの整備と保全を推進する河川法に改正されたことでもわかります。清流に戻すとは、水質基準や見た目だけの濁水解消だけではなく、自然環境まで視野に入れた内容であり、そこに魚や動物、人間が経済活動を含めて共存することを意味し、魚もすみ、人も親しめる川にすることです。そのために、抽象的な要求や理念ではなく、要求は具体的なものが常に必要です。熊野川をもとの清流に戻せという悲願をかなえるためには、まずその歴史的役割を果たしてきた濁りのひどい十津川水系のダムの撤去を要求することが必要です。その要求の一つとして、根本的な濁水解消の第一歩となる二津野ダムの撤去や発電停止を国や電源開発に求めるべきと二〇〇一年九月議会で要望いたしました。その後県は、電源開発に「実効性のある長期化対策を求める要望書」を出し、抜本的解決にはなりませんが、電源開発から発電停止期間の延長などが提案され、前進だと思います。しかし、砂利採取などの環境問題も取り上げ、熊野川の将来の姿について質問をしてきましたが、県は今後策定する熊野川河川整備計画においてというものであり、これは国の河川整備計画待ちの消極的姿勢だと思います。そうではなく、積極的な国への働きかけと同時に、県が河川管理者として熊野川の将来の姿を県民に示し、県民の意見を聞き、それらをまとめ、方針を持つべきです。例えば、ダムの撤去もそうですが、水利権の短縮についても検討が求められているのではないでしょうか。国土交通省は「一級河川における発電水利使用の許可期限について」の通達で、河川環境との整合性を確認する必要があるものなどの期間短縮を認めています。許可期限はおおむね三十年ですが、三十年は余りにも長過ぎます。水利権の期間短縮を含め、世界遺産としての熊野川の将来の姿を描くことへの木村知事の考えをお聞かせください。
次の項目、同和貸付金の疑惑解明です。
昨年の三月末で同和の特別対策は基本的に終了いたしました。しかし、同和行政の負の遺産が残り、これを取り除くことが同和問題の真の解決には必要となっています。例えば同和中小企業高度化資金では、国の県に対する貸付金のうち全国で百七十一億円が滞納で、そのうちの三分の一、五十六億円が和歌山県の滞納分で、全国一という状況です。和歌山県では、この国の分と県の分を合わせると約百億円が焦げついています。ある組合は、二十四億円借りて二千万円しか返さずに倒産したり、一円も返さないまま倒産した組合もあるほどです。私は、十二月議会でもこの問題を取り上げ、特に新宮市の熊野食肉生産協同組合の融資はおかしいと質問をいたしました。
この熊野食肉は、二十年前の昭和五十八年につくられ、総事業費四億五千万円のうち三億六千万円を同和高度化資金として借金をしながら、一千二百五十万円、三・五%を返しただけで平成七年に倒産しております。結局、三億四千万円が返されないまま、現在裁判所の競争入札にかけられております。組合の資産は県が融資の際の借金の担保として押さえておりますが、本来四億五千万円の価値があるべき担保物件が、裁判所の評価では二千百二十一万円と二十分の一の安い評価ですから、過剰融資ではないかとの疑いが生まれます。組合の土地は、組合員の一人が組合をつくる一年前に事前に購入し、坪五十六万円で組合に売っております。しかし、裁判所の評価では坪二十三万円ですから、組合には高く売り、高い担保価値にして融資を受けたのではないかと、具体的な数字も挙げて、貸し付けの審査は不備ではないか、また過剰融資ではないかと質問をいたしました。それに対して、「事務手続上問題はなかった」「特定の組合に関するご質問については、答弁を差し控えさせていただきたく」と、県は疑惑解明にふたをしました。これでは疑いは晴れませんし、納得もできません。
今回、平成十四年度県商工労働部における貸付金の執行状況、管理状況に関する包括外部監査結果報告書では、私が指摘した内容がほかにも見られます。例えば、桃山町の協業組合プラスパーフーズ──豆腐屋さんですが、これは平成七年につくられ、二十三億九千六百六十万円を同和高度化資金として借金をし、二千百七十五万円、〇・九%を返しただけで平成十四年に自己破産しました。結局、二十三億七千万円が返されないまま裁判所の競争入札にかけられています。外部監査ではこの協業組合について、土地の取得について、標準地価格では四億九千万円なのに実際の取得価格は十二億五千万円で二・五倍で買っていること、建物の取得価格は四億六千万円が妥当なのに実際は八億六千万円と二倍で買ったこと、この土地や建物の購入先が当時の組合代表理事の子供が経営する建築会社であることを指摘しております。
また外部監査では、全体的に貸し付けの際に担保物件の鑑定評価を行っていない点や担保価値の下落に対する追加担保を設定していない異常さを指摘、さらにより細かい審査をしていれば多額の延滞は避けられたとの指摘もあるほどです。次々と実態が明らかになれば、審査の不備や過剰貸し付けの疑惑を抱くのは当然です。それでも問題はなかったと疑惑解明にふたをするのですか。部長、お答えください。
また、組合が返済をおくれた場合に年一〇・七五%の違約金を支払う契約であるにもかかわらず違約金はゼロ、ありません。その理由は、返済に十分に誠意があれば違約金の支払いを後回しにできるからと、滞納組合の違約金は計算していません。おかしな話です。違約金の充当順位は一定の条件で変更できます。しかし、免除は倒産などの特別の場合で、違約金をなしにすることはできません。違約金は債権として発生するもので、例えば熊野食肉の場合では、貸付額より多い三億九千六百万円の違約金が発生するはずです。それを違約金を計算しないでゼロ円としているだけでも問題であり、県は借金の一割も返済しない組合を返済に十分誠意があると判断したことも含め、納得することはできません。部長の納得できる説明をお願いいたします。
私が、県議会で追及していくことで借金回収など一定の前進は見られますが、県は県民の前に融資の実態を明らかにしませんし、責任もとろうとはしません。外部監査では、実質的な延滞債権三十九件について、貸付金残高百九十二億円のうち延滞は百七億円で、回収不能見積額は六十八億五千八百万円としています。しかし、回収不能額はもっと多額になると思います。なぜなら、熊野食肉の場合の担保評価は外部監査では五千八百四十八万円ですが、実際の裁判所の競売価格は二千百二十一万円と二分の一以下です。これほどの回収不能の実態が見込まれており、これはすべて国民の税金、県民のお金です。こうした事態にかかわった県職員の責任が問われるのは当たり前です。県は、既に倒産もし、競売も終わった組合名すら明らかにしないなど、融資の実態を隠し続けております。
私は、文書開示をしないことに異議申し立てをしておりますが、外部監査でも、「貸付資金の財源が県民からの税金を中心としている以上、今後債権回収の見込みのない回収困難な債権について県民の理解を求めることが必要であり、この説明責任を果たすことなく、貸付金事業を継続して実施していくことはできないと考える。したがって、徴収停止処理のみでは十分とは言えず、今後、議会承認を経て不納欠損処理を行っていくことが事業継続のためには必要である」としており、情報公開を行うべきです。責任と公開について、知事の答弁を求めます。
第三項目です。美しい佐野海岸を埋め立てる新宮港第二期整備事業、佐野湾埋め立ては、将来見通しのない自然破壊のむだな港湾事業であり、土地造成によって多額の借金を残す開発計画だと多くの人が反対し、中止を求めてまいりました。それでも、貨物量がふえるからと反対を押し切って埋め立てが行われ、平成十七年には供用が開始されます。そのため、事ここに至っては、埋め立ても進み、今さら工事を中止しても自然はもとに戻りませんから、たとえ新宮港が自然破壊のむだな公共事業でも、県民に役立つものにするために、新たな振興策や利用計画を必要として災害対策の備蓄基地も提案してまいりました。しかし、その前提には、今までを総括し、反省と見直しを行うことが不可欠であり、そのことから佐野湾埋め立てに反対し、不安を持つ地域の人々の納得と協力が得られ、新たな振興策も生まれると、昨年の九月議会で提案いたしました。その立場から、今までは新宮港第二期工事に関連する予算には反対しておりましたが、今回の補正予算には消極的ですが賛成しました。なぜ消極的かと言えば、九月議会において、計画の反省も貨物量の見直しも不十分だったのです。
この当初計画は破綻しています。なぜなら、貨物量はふえるどころか、逆に貨物量は九五年の八十七万トンをピークにして、二〇〇〇年は四十九万トンと最高時の六割にまで減少しています。それでも、計画されている貨物量は現在の三倍以上の百六十七万トンのままです。この数字がいかに現実離れしているかは、主要な取扱貨物チップを見れば明らかです。現在の取扱量は四万トンですが、計画では七十二万トンと十八倍になると見込んでおり、荷さばき地も含め、チップに頼っているのが第二期整備計画だからです。その肝心のチップは、市内にあった巴川製紙や王子製紙も今はなく、何を根拠に貨物量がふえ、生産活動による経済効果及び雇用促進の効果などが期待できるのか、具体的にお答えくださいと九月議会で質問をいたしました。それに対し、「計画貨物量の実現に向けて振興ビジョンの策定を行うとともに、企業訪問などのポートセールスを行っており、チップも含めて、新規貨物の獲得や新規企業の誘致などに精力的に取り組んでおり」との具体性のない答弁でした。
再度伺います。
計画貨物量の見通しはどこにあるのですか。現在でも新宮港を利用しない三重県の紀州製紙が新たに利用することを期待するならば、それが現実となることを説明してください。紀州製紙は、現在、隣接する三重県の地方港湾鵜殿港を利用しておりますが、平成十三年度の総貨物量七十二万トンのうちの八割六十一万トンがチップです。このチップすべてを新宮港に持ってきても足りませんし、それほど簡単にほかの港で扱っている貨物を持ってこれますか。そんなことが可能なのですか。紀州製紙との契約については、平成八年から確約をとることを新宮市議会でも求められていますが、今なお実現していません。それらも含め、供用開始を目前に控え、当初計画が破綻しそうだから新しい振興ビジョンがつくられようとしているのではありませんか。また、三重県の一企業のために莫大なお金をつぎ込むことになる港湾整備事業を進めるならば、港湾管理をする県の説明責任が一層問われます。反省と見直しについて、適切な部長の説明をお願いいたします。
四項目めの、子供たちが希望の持てる未来をつくる教育についてです。
中央教育審議会の中間報告は、初めに見直しありきのようです。そもそも今日の教育の深刻な荒廃が、教育基本法の教育の理念や原則が不十分であるとすること自体に何の根拠も道理もないのではないでしょうか。それは反対に、教育基本法の定める教育の民主主義的な理念や原則に背き、長年の教育政策のゆがみがもたらした結果ではないでしょうか。
現在の教育基本法は、教育の目的に人格の完成を据え、平和的な国家及び社会の形成者の育成を期することを掲げました。これは、公権力が教育に特定の立場や人間観を持ち込むことを戒めたものであります。ところが報告は、たくましい日本人の育成、伝統・文化の尊重、国を愛する心の醸成などを教育の理念にするとしています。これらは本来、国民一人一人の見識や社会での自主的な判断にゆだねられるべきものを法律で上から押しつけるやり方で、国策に沿った人づくりをねらった、時代錯誤も甚だしいものだと思われます。また、教育基本法は憲法と一体のものであり、基本法改正論は憲法改正がねらいではないかとさえ思われます。二十一世紀という新しい時代に入っていくとき、五十年前につくられたものはもう古い、新しい感覚で見直そうと言います。もう古くなったから新しいものが必要だという論議は、庶民感覚からすれば確かにそうじゃないのとなりがちです。しかし、新しいものが必要だと言うならば、その未来像はどのようなものなのでしょうか。今進められている憲法や教育基本法の見直しやその先取りの政策が、二十一世紀は知が支配的になる時代であり、すぐれたエリートを早く発見し、育成して大競争の時代に備える。そのためには今の学校制度は間尺に合わなくなっているという、大競争に打ち勝つというという発想では困ります。教育はすべての人間の権利である。子供の学ぶ権利を保障することが必要であり、機会均等が大事だという立場から、子供たちが希望の持てる未来をつくる教育をどうつくるかということに教育基本法の精神と力が発揮されるべきであると私は思っております。
そうしたとき赤松教育委員長は、文教委員会という公式の場で、「現在の教育基本法は非常に古いもので、戦後のアメリカ占領下の社会情勢の中でつくられ、今日的に見るといろいろ問題があると思う。社会情勢は変わってきており、今回の中間報告には愛国心、家庭教育等いろいろな面で当然やるべきであろうことが記載されており、教育委員会として全面的にこれに取り組んでまいりたい」と発言しました。個人の考えはいろいろあって当然ですが、教育委員会の委員長の立場での発言ですから、教育基本法の成立過程をゆがめるものと撤回を求めるものです。同時に、教育委員会において合意がないのに、全面的に取り組むとの発言は、教育委員会の合意制度を否定することになりませんか。答弁を求めます。
最後の項目です。佐野川、荒木川の河川改修について。
厳しい財政状況の中にあって、十四年度補正では五千万円、十五年度当初で一億円の予算計上がされました。しかし、佐野川は一九七四年から河川改修が進められていますが、改修計画約三キロに対して半分程度の進捗状況であり、同時に進められている荒木川の改修についても、九百メーターの計画に対して三分の一程度しか進んでいないという状況です。このような調子で改修工事を進めれば、あと何年かかるのかという声が聞かれます。水害をなくし、安心して生活をするために河川改修は緊急の課題で、住民の長年の願いです。今後の佐野川、荒木川の改修計画についてお答えください。
次に、新宮市の高田と蜂伏を結ぶ林道高田蜂伏線の工事に四億八千万円が投じられましたが、たび重なるのり面崩壊で、百三十メーター進んだだけで十四年度で休止されることになりました。そのため、高田の住民は生活道路としての林道への期待が裏切られ、県道高田相賀線への思いは一層強くなっています。その高田第一トンネルの工事着工が決まり、初年度として一億円が予算化されて、地元は大変喜んでおります。着工されれば後は完成を待つだけですが、今後の県道高田相賀線の延伸について県当局のお考えを聞かせてください。
次に、現在、熊野川には国道四十二号線の新宮市内の熊野大橋から国道百六十八号線の熊野川町日足の三和大橋までの約二十キロの間、橋がありません。このことは日常生活の上での不便さだけではなく、特に現在の旧熊野大橋は昭和十年にかけられた橋で老朽化しており、新熊野大橋が災害などによって使用できなくなれば、交通が遮断され、近くに迂回路すらないでは大変な事態になります。地域活性化対策や交通や震災防災対策からも新たな橋の必要性が問われており、国や県にとっても重大な課題です。新たな橋がかかれば車の流れが分散し、渋滞が緩和されるだけではなく、熊野大橋のバイパスや迂回路としての役割を果たすことができます。新しい橋の必要性やどこにかけるのが効果的かなどの調査研究や、三重県や地元自治体との協議をお願いし、知事の答弁を求めます。
紀南地域の医療体制についてですが、新宮保健医療圏域内に二十四時間体制の県立救急医療センターを早期に建設することを地元は要望しています。しかし県は、施設・設備整備や医師などの人員の問題、財政負担などの問題から、現状では県立救急医療センターの設置は困難とし、ドクターヘリによる救急医療への対応を言います。ドクターヘリは、その活躍を大いに期待し、評価するものですが、それはあくまでも救急医療の一つの手段であり、気象条件による規制もあり、夜間は搬送できません。また、県の災害拠点病院である新宮市立医療センターでは、ヘリポート施設を一たん敷地内につくりながら現在では駐車場になっており、二〇〇一年二月議会で計画のずさんさと税金のむだ遣いを指摘し、県の指導を求めてまいりました。しかし、いまだヘリポート施設はありません。ドクターヘリの夜間運航やヘリポート施設は必要であり、高次救急医療体制の整備を求めるものです。
次に、初期救急医療体制においても、以前から要望していますが、昭和四十九年から県下に休日夜間急患センターが設置されましたけれども、新宮広域にはまだ設置されておりません。県民がいつでも、どこでも、ひとしく保健医療サービスが受けられることは基本理念であり、県民一人一人の命の重さは同じであり、その命と健康に関する県の施策も公平に行われるのが当然ですが、ここまで来ると不公平感は払拭できません。
次に、新規事業のあんしん子育て救急整備事業について、県民が安心して子供を生み、育てられる目的からすれば、その整備を心から期待するものです。しかし、その整備のネックになるのが紀南地域ではないかと危惧しております。なぜなら、紀南地域では小児科医が不足しており、県は小児救急医療体制については休日夜間急患センターにおける対応を基本としており、紀南地域にはそのセンターはありません。こうした話をしていくと、本当に暗い気持ちになってしまいます。 知事、ドクターヘリ、休日夜間急患センター、小児救急、災害拠点病院新宮市立医療センターへの援助など、紀南の医療体制についての考えをお聞かせください。
これで、第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず産業廃棄物の処理についての問題でございますけれども、産業廃棄物の処理については、これはもう全国的に大きな問題になっているということで、私は法の厳正な適用なくしては地域の安全はないという信念に基づいてこの問題に対処していくということを改めて披瀝しておきたいと思います。
ただ、この移動式破砕機なんですけれども、これは建築基準法では工作物には該当しないという解釈になっておりますので、今回、法の間隙をつかれたというふうな形になっているわけでございます。これを規制できるよう、今後国に対して提言をしてまいりたい、このように考えております。
次に、熊野川の水利権の短縮の問題でございますが、この水利権の短縮については、県として熊野川を世界遺産にふさわしい姿に近づけていくため、環境面に配慮し、変化の激しい時代に沿った議論ができるよう、許可期間の短縮について許可権者である国に申し入れを行ってまいります。
次に、将来の姿につきましては、ダム管理者である電源開発では、県の申し入れを受け、濁水対策を実施しているところでございますが、しかしながら、ダムのあり方ということについてはどんどん世の中の考え方が変わってきておりますので、県としてはその対策の効果を検討しながら、今後も世界遺産にふさわしい熊野川が創出できるような方策を積極的に進めてまいりたい、このように考えております。
それから、高度化資金についてのご質問でございます。
高度化資金については多くの課題があることを認識しており、厳しく受けとめているところでございます。このため、来年度で組織体制の強化を図り、今後さらに充実に努め、より一層債権回収に最善を尽くすことが重要であると考えております。貸付原資が税金であるという認識のもと、可能な限り債権回収に努めるとともに、回収不能額が発生した場合、徴収停止を行い、最終的には議会承認を得られるよう努めてまいりたいと考えております。
また、先般の外部監査報告の中で「県民の理解を求め、説明責任を果たすことが重要」とされておりますけれども、これはそのとおりでございますので情報公開の開示部分を再検討してまいりたいと、このように考えております。
次に、熊野川に新たな橋の検討をということでございますが、国道四十二号の渋滞対策や災害時の迂回路対策としては近畿自動車道紀勢線の早期整備が重要であり、今後も三重県と協力し、引き続き国に働きかけをしてまいります。
それから、紀南地域の医療体制の充実をということですけれども、暗い話ばかりということでしたが、ドクターヘリは非常にうまくいっておりますので、まずこのことはちょっと認識していただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。今後、ドクターヘリの夜間運航の可能性についても検討してまいります。また、新宮市立医療センターのヘリポートには、早期に整備できるよう協議を進めているところでございます。
それから、休日・夜間の比較的軽症な急病患者に対応する休日夜間急患センターや小児の病院群輪番制は、各二次保健医療圏に必要と考えており、関係機関とも協議しながら、早期に体制の整備を推進してまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、株式会社松原組の代表者等が逮捕されたことについてですが、和歌山県建設工事等契約に係る指名停止等の措置要綱に基づき、株式会社松原組に対し、一月二十四日から四月二十三日までの三カ月間の指名停止措置を行っております。
次に、破砕機などのクラッシャープラントの規制についてのお尋ねですが、建築基準法では都市計画法に定めた土地利用区分に応じて築造できる工作物の種類を制限しています。当該移動式破砕機は、土地に定着しておらず、建築基準法上の工作物に該当しないため規制できないのが実情であります。このような建築基準法で規制できない移動式破砕機を使用する行為は法の間隙をついた行為であり、さきに知事から答弁があったように、それを規制できるよう国に対して提言していきたいと考えております。
次に新宮港第二期工事についてですが、新宮港では既にチップの輸入や移出の実績がありまして、一方では、背後圏の製紙会社においては輸入チップを九州等他地域から長距離二次輸送するなど、非効率な輸送形態となっております。この製紙会社に対し新宮市がトップセールスを展開しているところであります。県としても、新宮港利用の優位性をもとに、新宮市と連携してポートセールスを行い、引き続きチップ貨物の誘致に努力したいと考えております。
過疎や高齢化により就労の場の確保に悩む熊野地域において、唯一の港湾である新宮港の整備事業は、地元の強い要請を受けて取り組んでいる事業であり、地域経済の活性化を目指すものでございます。今般、新宮港の当初計画としての港湾利用の考え方に加えて、時代の変化を踏まえ、地域特性を考慮した産業の振興策や観光の振興策など、総合的な観点から取りまとめたところであります。さらに、その実現に向け、多くの地元関係者で構成される会を設け、港湾振興に対する取り組みを強化しているところであります。今後も、引き続き新宮市、地元経済界等と一丸となり、チップも含めて新規貨物の獲得や新規企業の誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
次に佐野川と荒木川の改修については、昭和五十五年に中小河川改修事業として着手してございます。新宮市からの強い要望もあり、佐野川本川については計画的に事業を進めているところでございます。
また支川荒木川については、用地難航のため休止しております。事業再開には地権者の協力が不可欠であります。
次に県道高田相賀線の延伸については、並行して林道高田蜂伏線の計画もあり、県道としての必要性や路線の位置づけ等について整理する必要がありますので、今後の検討課題にしたいと考えております。当面は、現在計画している整備区間の促進に努めてまいります。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 環境生活部長秋月成夫君。
〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 産業廃棄物関係の質問についてお答えします。
新宮市松山において無許可で木くずを焼却処分した事実により、廃棄物処理法違反で逮捕された事業者に対しましては、去る二月十七日に行政手続法による聴聞会を実施し、二月二十日付で産業廃棄物収集運搬業の許可の取り消しをいたしました。
次に、知事の改善命令と原状回復についてでございますが、平成十四年十一月一日付で新宮市松山の作業場内にある土砂に混入している産業廃棄物を、平成十五年一月三十日までに処理基準に従い適正に処理するよう改善命令を行いました。その後、命令に従い分別処理を実施していましたが、去る一月十五日に代表者及び現場責任者が逮捕されたことにより作業がおくれてございます。事業者からは、処理のおくれた理由と今後の工程を説明をした申し立て書の提出がありましたので、それらを勘案し、期限変更の改善命令を行い、早急に原状回復させる考えであります。
なお、今後とも、この事案はもとより、産業廃棄物の適正処理及び処理業者の資質向上に向け、厳正に取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 同和高度化資金の二点についてお答え申し上げます。
初めに、貸し付け審査の不備、過剰融資ではないかとのご質問でございますが、貸し付け審査の一般論として、これまでの議会でお答えしましたとおり、事務手続上問題はなかったものと考えております。
なお、完了検査の時点で、売買契約書、請求書、領収書、現金出納簿等、関係書類を確認しており、また会計検査院の検査も受けているところでございます。しかしながら、外部監査報告書の中で、「貸付審査を透明で適正なものとするために、事務手続を見直し、融資の妥当性を総合的に判断する体制を整備することが必要である」との指摘があり、県といたしましては、貸し付け審査において、専門家の助言を受けながら、より厳正な審査会を開催し、適正な審査に努めてまいりたいと考えてございます。
次に違約金についてでございますが、一般的には償還の時点で、誠意があるか、また債権管理上有利であるかを加味し、中小企業総合事業団の承認を受けて、利息、元金の順に充当しております。
なお、充当順位の変更により違約金が消滅するものではございませんので、さきの議会でもお答えいたしましたとおり、債務者に認識してもらう必要があるため、一定期間ごとに通知をしてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育基本法に関してお答えいたします。
昨年十一月、中央教育審議会から教育基本法にうたわれている人格の完成や真理と平和の希求などの理念は維持しながら、現行法では明確に規定されていない新たな理念や原則を盛り込むなどの見直しの方向を示した中間報告が出されました。このたびの中間報告を契機に、教育への関心が高まり、国民的な議論がなされているところであり、教育委員会といたしましては、今後の最終答申や国の動向を注意深く見守っていきたいと考えています。
なお、さきの文教委員会における教育委員長の発言は、学校、家庭、地域社会の連携や日本の伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心など、新しい時代を生きる日本人の育成のために何が必要かという観点からなされたものであると考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 警察本部長高綱直良君。
〔高綱直良君、登壇〕
○警察本部長(高綱直良君) ご質問の廃棄物処理法違反事件の捜査状況についてお答えをいたします。
議員ご指摘の会社につきましては、県知事の許可を受けないで、昨年十一月から十二月にかけて木くず等を焼却処分したという法違反容疑で本年一月十五日、関係箇所を捜索するとともに、同会社の社長と現場責任者の二名をそれぞれ逮捕いたしております。
また、その後の捜査によりまして、同会社が事業範囲の変更許可を受けないまま、他の業者から処分委託をされていた木くず等を同社で保管していたという事実が判明いたしましたことから、当該法違反の事実についても検察庁に送致をしたところであります。
その結果、これらの二件の事実によりまして、二月五日、法人である同会社と現場責任者がそれぞれ廃棄物処理法違反で起訴され、社長にあっては起訴猶予処分とされたところであります。
なお、詳細につきましては、現在公判中でありますので、差し控えさせていただきます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
なお、この際、ご通告申し上げます。
個人質問の完結時間は六十分を目途とするということになっておりますので、このことに留意されてご発言されることをお願い申し上げます。
二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 了解しました。
教育長の答弁については、納得はできません。しかし、特に赤松教育委員長の発言に関して、ご本人が欠席されておるということでございますので、あえて再質問はいたしませんが、発言はあくまでも撤回すべきであると、このように私は思っております。
次に、行きます。
知事は先ほどドクターヘリのことを言いましたけれども、私もドクターヘリについては、質問でも述べたとおり、活躍も期待し、評価もしているところです。また、先ほどのご答弁を聞いて、少し気持ちが晴れました。よろしくお願いしたいと思います。
同和の貸付金の問題ですが、部長の答弁をお伺いして納得できないんですね。それは、一般的にとおっしゃいますが、確かに一般的にはそうなんです。でも、一般的に行われていなかった。異常な事態が行われていたから、私はおかしいと言っているのです。これだけの滞納を生み出しながら、事務手続上問題がなかった、こういうこと自体がおかしいのではないでしょうか。それでは一体、何でこんな問題が起こったんですか。事務手続上問題がないのに。
違約金について言えば、簡単に言えば、違約金は計算して初めて存在するわけです。計算もしないでは存在はしません。存在をしない違約金の充当順位をどうして変更できるのですか。ここら辺もお答えください。また、誠意があると言うのなら、なぜこんな事態になるのか。何を基準に誠意があると判断したのか。その点をお答えいただきたいというふうに思います。これは再質問ですので、お願いいたします。
土木部長、新宮港の問題です。
新宮港、確かにチップの輸入には当局には実績があります。おっしゃられるとおりです。その実績がある。以前に巴川製紙があるときに、年間十五万トンのチップをあの港におろしておりました。その実績があるにもかかわらず、隣の紀州製紙は現在も新宮港を使っていないんですよね。実際、新宮港に入ってくるのは入ってくるんですけれども、入港手続だけして、そのままもう鵜殿港へ入ってしまうんですよ。そういう実態があるわけです。先ほども言いましたが、こうしたことがきっちりと約束とれないのに、計画貨物量の百六十七万トンのうち七十二万トンでしょう。半分近くがチップでしょう。そのチップが確実に入ってくるという保証がないのに、こんな埋め立て工事をやって大丈夫なんですか、こう言っているんです。これについては、確約をとるべきだ、平成八年から新宮市議会で早くとれ早くとれと市当局を責めているわけですよ。しかし、実現しないんです。今、そんな実態があるんです。今、そういうことについて本腰を入れて考えていかなければ大変な事態になってしまうんじゃないですか。それが、計画どおり紀州製紙さんがこの港を使ってくれるなら結構です。
私は先ほども言いましたように、むだな公共事業であっても、つくってしまった限りは、県民の皆さんのお役に立つ、そんな港にしてほしいと思うからあえて言っているのです。もっときっちりと計画は詰めるべきです。確約もとるべきです。そして、それがだめなら反省して見直しをしていく、そのことが今行政に本当に求められているのではないかというふうに思います。
再質問してもまた同じ答えが返ってくると思いますので、あえてこれは苦言を呈するわけですが、その点だけ本当に考えていただきたい。なぜ、私どもは今回予算に賛成したのか、その意味も十分に考えていただきたいということをお願いして、商工労働部の答弁を求めます。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 違約金に関してでございますが、先ほどの答弁の繰り返しにもなろうかと思いますが、償還があった時点でその都度額の決定、また誠意があるかどうかの判断をするところでございます。そういった意味で、違約金につきましては、債務者に認識をしてもらう必要があるということで、一定の期間ごとに額の通知をし、償還を促すよう改善をしてまいりたいと、このように考えてございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 もう、これは同じことの繰り返しになると思います。
そうした中で、今回知事のご答弁の中で、「来年度で組織体制の強化を図り、今後さらに充実に努め、より一層債権回収に最善を尽くす」と、このように答弁されました。また、「情報公開の開示部分を再検討してまいりたい」と、このようにも答弁されました。このことは評価したいと思うんです。
あえてこうしたことを言うのも非常にひねくれた言い方かもしれませんけれども、体制を強化する、確かに必要だと思います。こんな事態になったら。しかし、体制を強化するということは、それだけ県民の税金を使わなきゃならないということなんです。きっちりと返してもらうようなことをやっていれば、またこんな金を使うようなことはなかったはずなんです。そういう意味からも、違約金も含めてしっかりと回収していただきたいということを強く要望して、質問を終わります。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で金田眞君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時二十六分休憩
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