平成15年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
県議会の活動
平成十五年二月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
平成十五年二月二十五日(火曜日)午前十時開議
第一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五号まで(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五号まで(質疑)
二 一般質問
出席議員(四十五人)
一 番 新 島 雄
二 番 山 田 正 彦
三 番 佐 田 頴 一
四 番 大 沢 広 太 郎
五 番 堀 本 隆 男
六 番 宇 治 田 栄 蔵
七 番 門 三 佐 博
八 番 西 本 長 弘
九 番 坂 本 登
十 番 小 原 泰
十一 番 木 下 善 之
十二 番 永 井 佑 治
十三 番 尾 崎 要 二
十四 番 小 川 武
十五 番 宗 正 彦
十六 番 橋 本 進
十七 番 生 駒 三 雄
十八 番 原 日 出 夫
十九 番 谷 洋 一
二十 番 山 下 直 也
二十一番 高 瀬 勝 助
二十二番 吉 井 和 視
二十四番 町 田 亘
二十五番 金 田 眞
二十六番 高 田 由 一
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 向 井 嘉 久 藏
三十 番 野 見 山 海
三十一番 平 越 孝 哉
三十二番 下 川 俊 樹
三十三番 中 山 豊
三十四番 浜 田 真 輔
三十五番 鶴 田 至 弘
三十六番 冨 安 民 浩
三十七番 村 岡 キ ミ 子
三十八番 中 村 裕 一
三十九番 井 出 益 弘
四十 番 阪 部 菊 雄
四十一番 江 上 柳 助
四十二番 長 坂 隆 司
四十三番 森 正 樹
四十四番 飯 田 敬 文
四十五番 新 田 和 弘
四十六番 松 本 貞 次
四十七番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
〔備考〕
二十三番欠員
二十七番欠員
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
理事 内 田 安 生
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 宮 地 毅
企画部長 垣 平 高 男
環境生活部長 秋 月 成 夫
福祉保健部長 白 原 勝 文
商工労働部長 石 橋 秀 彦
農林水産部長 辻 健
土木部長 大 山 耕 二
企業局長 阪 口 裕 之
教育委員会委員長職務代行者
駒 井 則 彦
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 大 岡 淳 人
警察本部長 高 綱 直 良
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長職務代理者
中 村 利 男
職務のため出席した事務局職員
事務局長 中 原 洋 二
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 北 垣 内 敬
議事課副課長 松 谷 秋 男
議事班長 鷲 山 智
議事課主査 尾 崎 善 亮
議事課主査 土 井 富 夫
総務課長 梶 本 皓 造
調査課長 宗 野 幸 克
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課副主査 保 田 良 春
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午前十時三分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
【日程第一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
三十四番浜田真輔君。
〔浜田真輔君、登壇〕(拍手)
○浜田真輔君 皆さん、おはようございます。
議長に質問の機会をお与えいただきましたので、通告に従い、順次、質問を行いたいと思います。
まず初めに、カジノ実現のための法整備に関する要求活動について質問を行います。
二月六日、大阪府、東京都、宮崎県、静岡県、そして和歌山県の五都府県で、鴻池構造改革特区担当大臣に対してカジノ実現のための法整備に関する要求を行ったように聞いております。この要求書の内容は、各地方公共団体は地域経済の活性化に困っているので、経済波及効果や雇用創出効果が期待できるカジノが有効な手段となり得る、国際的にも認知されているカジノの実現のための法整備を行ってほしいとのことであります。この要求書に対して鴻池構造改革特区担当大臣は、「観光立県の視点から推進するお手伝いをしたい」との話があり、また森山法務大臣は、「刑法の改正をして、例外をつくるのは難しいが、所管官庁が特別法をつくって実施する方法ならば、法務省としては協議に応じる」とのコメントを出しています。これらのコメントを聞けば、この日本国内においてもカジノ実現の可能性は高まったように思いますが、ここで知事に質問をいたします。
昨年の十二月議会で、鶴田議員のカジノについての質問に知事は、カジノに係る問題を慎重に検討し、これらが解決できるならば取り組んでもいいのではないかの趣旨の答弁をなさいました。その当時和歌山県は、カジノ実現に対して具体的に行動を起こしていたわけではなかったのですが、今回カジノ実現の要求活動に加わったということは、前回よりも一歩前進といった感は否めません。ここで改めて、カジノ実現のための法整備の要求活動に加わった知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
そして、要求を行った五都府県でカジノ研究会なるものを立ち上げましたが、和歌山県として今後の取り組みについても企画部長にお伺いをしたいと思います。
続いて、県立医科大学跡地利用計画について質問をいたします。
二月七日に和歌山県は、この跡地利用の事業主体となるダイワロイヤル株式会社と基本協定を結びましたが、この事業に対して今後懸念される点を幾つか指摘した上で、質問に移りたいと思います。
この医大跡地利用計画については、この議場で再三質問や提言が行われました。私たち和歌山市民のみならず、県民にとっても大きな期待の寄せられる事業であると同時に、この土地は和歌山市の中心市街地としてかけがえのない貴重な場所でもあります。この土地を活用して、和歌山の経済浮揚はもちろんのこと、県民にとって期待の持てる施設をつくってほしいとの願いは、だれしもが否定するものではありません。私とて、その願いには変わりはありません。しかし、現在聞き及ぶ限りでは、今の計画はその期待にこたえるものとなっているとは決して言えないのではないでしょうか。
まず初めに、賃貸価格について企画部長にお伺いをします。
この施設の工事期間中について、土地を無償で貸与することが今議会に議案として上げられていますが、その後の賃貸価格について、和歌山県はダイワロイヤルにA敷地平米年間三千九百六十三円、B敷地平米年間三千八百八円で貸すとのことであります。A敷地八千八百八十七平米、B敷地三千二百五十七平米と合計一万二千百四十四平米になりますが、年間の賃貸価格はこの合計で四千七百六十二万三千四百四十九円となります。まず、この土地には県有地でありますから固定資産税という名前での税金はかかっておりません。仮に民有地や私有地だとしたら、これは数字ははっきり計算できないんですが、固定資産税額は年間四千万円前後になると思われます。また、通常、民間が借地をする目安は路線価の三、四%というのがある意味でこの業界の常識だと言われていますが、これからすれば、A敷地の南側での路線価は平成十四年度で平米三十一万円です。仮にこれを三%で借り上げるとしたら、九千三百円が年間の賃貸価格と言えます。この計算から、県ではダイワロイヤル株式会社に月額に直しますと賃料一坪当たり約千七十八円で貸すわけですが、仮にこの土地が民間所有地であるとしたら、その所有者が貸し出すとしたら二千八百円から最低でも千五百円で貸すというのが目安になるというふうに聞いております。固定資産税額や民間ベースの賃貸価格設定から考えれば、一般的な感覚からすると、今回県が設定した賃貸価格は妥当だと言えますかということを企画部長にお伺いをしたいと思います。
初めに申し上げたように、この場所に対して県民の期待は大きいものがあります。その期待にこたえて余りある施設ができるとしたら、私は賃貸価格の金額だけを問題にする気は毛頭ありません。なぜならば、長期的に考えれば、それ以上の県民の利益が得られるものだと信じるからであります。しかし、その点について、この施設の内容が県民の期待にこたえて余りある施設だと断定するには、現計画に対して私は懸念をいたしております。そのことから、施設内容について企画部長にお伺いをしたいと思います。
まず、商業施設については、和歌山県立医科大学跡地利用事業計画提案競技審査報告書の中には、シネマコンプレックスや物販等のテナントは、既にダイワロイヤルが他府県において誘致実績があり、加えて親会社である大和ハウス工業のバックアップを得られることから、都市圏域や郊外の大型店に対抗できる中心市街地に、これまでにない新しい形の魅力ある商業施設の整備が可能と見込まれ、既存の商業集積等のハード、ソフト面の連携を図ることにより、周辺地域を含めた商業の活性化が期待できると考えられるとあります。しかし、集客施設の核となるシネマコンプレックスがなくなった今、ここに書かれた大型店や他の商業施設に対抗できる新しい形の施設整備の可能性は具体的にあるのでしょうか。企画部長にお答えを願いたいと思います。
続いて、宿泊施設についても企画部長にお伺いをします。
近年、和歌山市における宿泊客数は、NHKで「吉宗」が放映された時期と世界リゾート博が開催された時期を除いては、毎年大幅減少の傾向にあります。またこの間には、ご承知のとおり、この和歌山市内で三井アーバンホテルと東映インの二つのホテルが撤退をした事実もあります。その中にあって、あえて医大跡地利用検討委員会がホテル誘致を打ち出したのは、和歌山市に今までなかったグレードの高い都市型ホテルを誘致して、新しい客層や新規の市場を掘り起こしたかったからだと私は今日まで受けとめてまいりました。しかし、今回のこの計画は、和歌山県立医科大学跡地利用事業計画提案競技審査報告書の中にもあるとおり、シングルルームを中心とした客室構成やホテルロビーの質感に不満が残るとの指摘のとおり、和歌山市内の宿泊客数が減り続ける今日の状況で、果たしてこの宿泊施設が和歌山県の経済にとって必ずプラスに作用するのでしょうか。
今回計画されているホテルは、和歌山県内の串本町や南部町にあるダイワロイヤルホテルの形態ではなくて、チェックイン、チェックアウトを自動精算機で行い、シングル料金は八千円前後と言われる完全なビジネスホテルであります。ダイワロイヤルの子会社になるのでしょうが、この形態をロイネットホテルという名前でビジネスホテルをしているわけですけれども、実はこの料金体系のホテルは和歌山市内には数多くあり、このロイネットホテル完成後は、和歌山市内において宿泊者の急激な増加が見込めない限り、この市内ではホテル間での競争が激化されると予想されます。
私は、これが民間の土地に建設され、民間の手によって完成するビジネスホテルであれば、この自由競争社会下において何も申し上げることはございません。しかし、県有地であり、なおかつ県民の期待を集めている施設としては、今回計画されているこのホテルのグレードや質感といったものは県民の期待にこたえたものでしょうか。そして、このまま和歌山市内の宿泊者が今日までのように減少傾向が続くとすれば、最悪撤退を余儀なくされるホテルが出てくると、これも当然予想されます。また、この新しいビジネスホテル・ロイネットができることで、確かに新しい雇用が生まれるメリットや期待は認めますが、一方でその影響を受けて撤退するホテルが出れば、その雇用創出のメリットや期待は相殺されるどころかマイナスに転じる可能性が十分にあります。この懸念は、新たに失業者を生む可能性を含んだ問題でもあります。その点についていかがお考えでしょうか、お答えをいただければと思います。
この項目の最後に申し上げますが、純粋に民有地による民間の建物であれば、私は何も申しません。しかし、これはあくまで県主導による中心市街地活性化策の一環であります。これらの私の指摘がただの心配で終わり、結果、中心市街地活性化策の名にふさわしく、県民の期待を満たし、県民の満足を得られる施設内容になることを心より願います。
続いて、三番目の質問に移ります。
平成十五年度予算の新規事業のイングリッシュ・パワーアップ・プログラムについて、教育長にお伺いをいたします。
私は、今日まで日本の英語教育は入試のためにだけ役立つ英語だとの指摘を続けてまいりました。中学、高校と多くの学習時間を英語に割きながら、生徒の多くは英語力を身につけることなく、その後を当たり前のように過ごしております。実は、私もその例外ではありません。国際化された近年、外国語を身につけることは大変大事なことだとだれしもが認めながら、義務教育の現場には全くと言っていいほど反映されなかったと言ってもいいのではないでしょうか。英語が話せたらどんなに便利かなどと思った経験は、だれしもが一度や二度はあるはずだと思います。たしか、平成十年に教育審議会は、各小学校の裁量によって英語教育を認める答申を出しているのですが、それらを受けて本県でも今回のイングリッシュ・パワーアップ・プログラムが実施されるものだと思いますが、教育長に以下の点についてお伺いをしたいと思います。
まず、教育現場では、これ以上科目数をふやすことに抵抗があるとお聞きしますが、このことと今回のイングリッシュ・パワーアップ・プログラムとの整合性はいかにするのですか。
次に、母国語すなわち日本語も十分理解できていない小学校期に外国語教育はいかがなものかという指摘が学識経験者から出されていますが、このことについて教育長はいかにお考えでしょうか。
以上、お答えを願いたいと思います。
今回のイングリッシュ・パワーアップ・プログラムが始まることに大きな期待をし、あわせてこの試みが今後県内の多くの小中学校に実施されることを強く望み、第一回の私の質問を終わりたいと思います。大変慌ただしい折、ご清聴をいただきありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの浜田真輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのカジノについてのご質問でございます。
実は先般、東京都の知事の方から呼びかけがありまして、和歌山県も部長が東京へ上京して、この問題について陳情をしたということは事実でございます。
この問題に対する私の考え方は、やはりカジノというのは治安の上でも、それから青少年の教育というふうな問題、環境問題、いろんなところで今のままでは非常に問題があると、私も研究した結果では思っております。ただ、和歌山県は観光立県ということで、今、手を挙げているほかの県も、例えば静岡県、これは熱海を抱えておりまして、熱海も今非常な不況に悩んでおります。それから、宮崎も観光立県ということでやっているんですが、やはり客の減少で困っていると。和歌山県にもそういうふうな地域があるということでございまして、まずこういうふうな研究の場に手を挙げておくということが、一つ和歌山県の席をつくっておくというふうなことで意義があるんじゃないかということで、これに参加しているわけでございます。当然のことながら、仮に法整備がなされるということになってくれば、青少年問題であるとか治安の問題も解決しなければなりませんし、それからもし和歌山県のどこかの観光地にということになったら、当然そこの住民の人の気持ち、そういうふうなものももう一度諮り直さなければならないと思うんですが、とりあえずやはり和歌山県は観光立県で頑張る県なんだということを対外的に示すという意味でこの特区制度に手を挙げて積極的に関与しているということでございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) まず、カジノ研究会についてご答弁申し上げます。
本研究会は、地方自治体の実務担当レベルでカジノのあり方、意義、制度、課題等について具体的な研究を行い、その成果を踏まえて国に提言を行うことを目的に発足したものでございます。本県の場合、全国的に動きが生じている中、今後の動向に柔軟かつ適正に対応していけるよう、ただ動静を見守るだけではなくて、情報の収集ですとか、日本でのカジノのあり方に関する研究を蓄積していく必要があると考えて参加することといたしました。
本研究会の活動といたしましては、まずは五都府県でスタートいたしましたが、今後カジノに関心のある自治体の参加のもと、オープンな議論を進めていくこととしてございます。
次に、県立医科大学跡地利用計画に係る三点について答弁申し上げます。
まず第一点は、賃貸価格についてでございます。
今回の賃料設定に当たりましては、不動産鑑定士の鑑定評価に基づき決定したものでございます。賃料につきましては、不動産取引の一般的な算定方法に基づき算定されてございまして、取引事例の比較等をもとに算定した更地価格から、旧病院施設の基礎等の地下埋設物の撤去費用を控除して基礎価格を決定し、この基礎価格に期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費を加算して求められたものでございます。医大跡地周辺における地価動向を見ますと、地価公示地点や地価調査基準地では、年間に一〇%を超えるような大幅な下落が続いている状況にございまして、こうした地価の動向と過去に実施した医大跡地の鑑定結果を総合的に判断いたしましても、今回の賃料は妥当なものであると考えている次第でございます。
次に、商業施設の集積についてでございます。
県立医科大学の跡地利用につきましては、旧医大病院が地域に果たしてきた役割を踏まえるとともに、近年における大型店舗の相次ぐ撤退や破綻が中心市街地の活力低下に与えた影響を考慮し、中心市街地の活性化を図るために、商業、宿泊、交通支援機能の強化を目指した総合的な都市再生プロジェクトとして計画をし推進しているものでございます。すなわち、消費者を呼び戻すための集客力のある商業施設、会議、飲食、宴会などの、多くの人々が楽しく利用できる快適な交流空間としての宿泊施設、さらには交通利便性の向上を図るための大型の駐車場施設の整備を進めるとともに、医大跡地の一部につきましては済生会病院として再利用を図ることとしたものでございます。
議員ご指摘の商業施設の整備につきましては、こうした考え方のもとに、にぎわいの創出に向けて多くの買い物客や観光客が訪れるように、魅力あふれるテナントの誘致を事業者に働きかけているところでございます。
三点目の、宿泊施設についてでございます。
医大跡地の利用方策につきましては、地元の関係者、県議会議員等を構成員とする医大跡地利用懇話会から、宿泊施設の収容力が限られているため大規模な会議や集会を開催することができない、あるいは適当な会場がないとの点から、宿泊施設の導入の提言がなされました。県としましては、その提言を受けて、ホテルと県内最大規模の会議室や集客力のある商業施設を組み合わせた複合施設として整備をし、中心市街地において和歌山の新たな魅力創出を目指したものでございます。本施設は、近年における大型店舗の相次ぐ撤退が中心市街地の活力低下を招いている中、中心市街地活性化の起爆剤として計画されたものであり、その着実な事業推進を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) イングリッシュ・パワーアップ・プログラムについてお答えいたします。
本年度から全面実施となりました新しい学習指導要領では、小学校で英語に親しむ学習を行うことができるようになり、広く関心を呼んでおります。本県では、進んで英語を話せる子供の育成を目指し、新規事業として、小中学校が連携し、系統的に英会話学習を行うイングリッシュ・パワーアップ・プログラムを実施することとしております。
小学校にあっては、近い将来、英語が独立した教科になることも視野に入れながら、当面は総合的な学習の時間を活用して、三年生から六年生まで週に二時間、楽しみながら無理なく学習する形をとる予定でおります。一方、基礎的な国語力を培うことの重要性に目を向け、教育活動全体を通して、聞いたり話したりする伝え合う力の育成に努めているところであります。言葉の習得が活発な小学生の時期から外国語である英語になれ親しみ、会話力の向上につなげることにより、日本語を基礎としたコミュニケーション能力を高めることにつながるものと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十四番浜田真輔君。
○浜田真輔君 それでは、再質問をお願いしたいと思います。
まずカジノについてでありますけれども、まだ海のものとも山のものともわからないものをどう評価するかというのは大変難しいことだと思いますが、今回カジノ実現の要求活動に加わった中で、和歌山県知事がある意味でイメージするというものをもう少しお聞かせいただけたらなあというふうに思います。
続いて二点目になりますが、この医大跡地の利用計画でありますけれども、初めに再認識をお互いにしておきたいと思います。私も、別に建物を建てたらいけないなんということは言っているつもりは毛頭ありません。これは、この議場にいらっしゃる皆さんも私も含めて、いいものがとにかくできればいいというのが共通した願いだというふうに思っております。和歌山県の一等地といいますか、大変いい場所にシンボルタワーの名にふさわしいものをぜひつくってほしい。その中で、商業施設であるとか、また宿泊施設のグレードアップを図っていただいて、でき上がった後に和歌山県民の皆さんから、本当にいいものができたな、これは今まで和歌山になかったなという感想をぜひ私も聞きたいというふうに思っております。再度その辺について、知事にお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まずカジノについてのご質問でございますけれども、先ほども申しましたように、今観光地が不景気もあって非常に寂れてきているということがあるわけです。この観光地というものを活性化させるために、例えば体験型観光であるとかいろんなことをやっているんですけれども、ひょっとしたらそういうことの一つにこのカジノというものもなるかもしれない。これは先ほど言いましたように環境の問題とか青少年問題とかいろいろあるんで、ならないかもしれませんけれども。もしそういうふうな制度が整備されたときに、和歌山県の場合、特に紀南の方にたくさんの大きな観光地を抱えているということもありまして、早いうちに手を挙げておけば、そういうところのある意味では陣取りができる。ただ、これはやはり地元の人の考え方ということが一番なんで、当然そのときにもう一回議論を起こせばいいと思っているんですけれども、まずはちょっとつばをつけておく──という言葉がいいのかどうかわからないんだけれども、やはりそういう積極性が必要だと思うんです。何でも一番後ろについていって、いざやりたいというときにおいしいものだけ食べようというのはなかなか無理な話なんで、やはりそういう立場を和歌山県として確保しておきたい、こういうふうな考え方でございます。
それから、医大跡地の問題につきましては、浜田議員のご質問とか心配とかいうのは、私は非常にもっともなことだと思っております。
やはり、今までと違うものができなかったら、何のためにお城の端の一等地に、これだけ何年何年も県議会も一緒になって苦労して進めてきたのかということになるわけですので、この間、基本協定ということの調印が終わったわけですけれども、とにかくグレードの高いものにして、みんなができてよかったなと思うような形のものにしていく努力というのはこれからも続けていかなければなりませんし、これについては県議会の議員の方々のご協力も今後ますます必要になってくると思いますので、よろしくお願いいたします。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、浜田真輔君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十五番金田 眞君。
〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、一般質問を始めさせていただきます。
まず最初の、自然と健康を守る環境行政の実現です。
松山地区の住民の皆さんは、熊野の自然や生活環境が破壊されるとして、新宮市松山での建設会社松原組の資材置き場での中間処理業や自社処分を名目にした産業廃棄物の違法処理問題に住民運動を続けておられます。私も、県議会ごとにこの問題を取り上げ、昨年の十一月には県知事の改善命令が松原組に出され、改善されると思っておりました。しかし、一月十五日、和歌山県警環境機動捜査隊(エコポリス)と新宮警察署が合同で関係箇所の捜査を行い、松原組の社長・松原丈保と現場責任者・田畑稔両容疑者を廃棄物処理法違反容疑で逮捕いたしました。松原組が県知事の改善命令を受けながら、逆に改善への期待を裏切る行為を行ったことは残念です。今回の逮捕は、和歌山県警察が、和歌山の自然を守るため、ますます悪質・巧妙化する産業廃棄物の不法投棄や野焼きなど環境を破壊する環境犯罪に対処するため、粘り強い捜査を行った結果です。今回の逮捕と知事の改善命令は、地元住民の県は何もしてくれないという不信感を取り除き、環境犯罪や自然と環境に対する行政の姿勢を示したものであり、関係者の方々のご努力と奮闘に感謝するものであります。
さて、二月八日付の地方新聞には、「弊社取締役松原丈保はこの件に関して、起訴に及ばずとの決定が下されました。 然しながら弊社としてはかかる事態を招来したことについて道義的な反省をすると共に、弊社では今後、熊野環境保全を廃部し、初心に戻り建設業一筋で努力し信頼回復に努めて参ります」との広告をしております。これまでの捜査状況について、警察本部長にお尋ねをいたします。
また、松原組は土木や建築の県発注工事入札参加業者の上位三十社のうちの一社ですが、今回の逮捕に土木行政や環境行政からどう対応されたのか、部長にお尋ねをいたします。
昨年十一月に知事の改善命令が出され、履行期限は一月三十一日まででしたが、現時点でも完了しておりません。知事の改善命令とは一体何なのですか。期日までに改善されていないことを放置するのではなく、改善命令違反として告発するのが知事の責任ではありませんか。また、完全なる原状回復の見通しをお尋ねいたします。
この場所は都市計画法の第一種中高層住居専用地域であり、土木部長は以前のご答弁で、「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域」とされています。この場所での破砕機などを使用したクラッシャープラントは、この間の使用状況から都市計画法での周辺地域に悪化をもたらすおそれがある工作物として使用させるべきでなかったと思います。特に、騒音規制法などにかかわる特定施設設置届が必要ですが、無届けの操業です。
騒音レベルも、一月三十一日の騒音測定結果では、基準値の五十五デシベルに対し、等価騒音レベルは七十九、単発騒音暴露レベルは八十七で、騒音規制法第一条の目的に反し、明らかに許容範囲を超えています。県は、以前クラッシャープラントの撤去を指導したことから、今後の使用中止を指導することは都市計画法の趣旨からも必要ではありませんか。
法の不備をついて続けられた産廃の違法処理によって、熊野の自然と生活環境は破壊されました。都市計画法の「健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべき」との趣旨を県行政が最大限生かせばこの問題は起こらず、自然も環境も守れたはずです。
知事、県の指名業者の違法行為だけに、行政の指導責任も問われます。今回の事件をどのように教訓にし、今後どう生かしていくのか、お尋ねをいたします。
私は、この間、何度か世界遺産登録にふさわしい熊野川の姿について質問をいたしました。なぜなら、熊野地域における母なる川・熊野川が、ダムの濁水や砂利採取、ごみの不法投棄などの自然破壊によって死の川となっているのを清流に取り戻す時期に来ていると思うからです。それは、河川法が平成九年に従来の河川管理の目的の治水・利水から、河川環境を加えて、水質、景観、生態系などの整備と保全を推進する河川法に改正されたことでもわかります。清流に戻すとは、水質基準や見た目だけの濁水解消だけではなく、自然環境まで視野に入れた内容であり、そこに魚や動物、人間が経済活動を含めて共存することを意味し、魚もすみ、人も親しめる川にすることです。そのために、抽象的な要求や理念ではなく、要求は具体的なものが常に必要です。熊野川をもとの清流に戻せという悲願をかなえるためには、まずその歴史的役割を果たしてきた濁りのひどい十津川水系のダムの撤去を要求することが必要です。その要求の一つとして、根本的な濁水解消の第一歩となる二津野ダムの撤去や発電停止を国や電源開発に求めるべきと二〇〇一年九月議会で要望いたしました。その後県は、電源開発に「実効性のある長期化対策を求める要望書」を出し、抜本的解決にはなりませんが、電源開発から発電停止期間の延長などが提案され、前進だと思います。しかし、砂利採取などの環境問題も取り上げ、熊野川の将来の姿について質問をしてきましたが、県は今後策定する熊野川河川整備計画においてというものであり、これは国の河川整備計画待ちの消極的姿勢だと思います。そうではなく、積極的な国への働きかけと同時に、県が河川管理者として熊野川の将来の姿を県民に示し、県民の意見を聞き、それらをまとめ、方針を持つべきです。例えば、ダムの撤去もそうですが、水利権の短縮についても検討が求められているのではないでしょうか。国土交通省は「一級河川における発電水利使用の許可期限について」の通達で、河川環境との整合性を確認する必要があるものなどの期間短縮を認めています。許可期限はおおむね三十年ですが、三十年は余りにも長過ぎます。水利権の期間短縮を含め、世界遺産としての熊野川の将来の姿を描くことへの木村知事の考えをお聞かせください。
次の項目、同和貸付金の疑惑解明です。
昨年の三月末で同和の特別対策は基本的に終了いたしました。しかし、同和行政の負の遺産が残り、これを取り除くことが同和問題の真の解決には必要となっています。例えば同和中小企業高度化資金では、国の県に対する貸付金のうち全国で百七十一億円が滞納で、そのうちの三分の一、五十六億円が和歌山県の滞納分で、全国一という状況です。和歌山県では、この国の分と県の分を合わせると約百億円が焦げついています。ある組合は、二十四億円借りて二千万円しか返さずに倒産したり、一円も返さないまま倒産した組合もあるほどです。私は、十二月議会でもこの問題を取り上げ、特に新宮市の熊野食肉生産協同組合の融資はおかしいと質問をいたしました。
この熊野食肉は、二十年前の昭和五十八年につくられ、総事業費四億五千万円のうち三億六千万円を同和高度化資金として借金をしながら、一千二百五十万円、三・五%を返しただけで平成七年に倒産しております。結局、三億四千万円が返されないまま、現在裁判所の競争入札にかけられております。組合の資産は県が融資の際の借金の担保として押さえておりますが、本来四億五千万円の価値があるべき担保物件が、裁判所の評価では二千百二十一万円と二十分の一の安い評価ですから、過剰融資ではないかとの疑いが生まれます。組合の土地は、組合員の一人が組合をつくる一年前に事前に購入し、坪五十六万円で組合に売っております。しかし、裁判所の評価では坪二十三万円ですから、組合には高く売り、高い担保価値にして融資を受けたのではないかと、具体的な数字も挙げて、貸し付けの審査は不備ではないか、また過剰融資ではないかと質問をいたしました。それに対して、「事務手続上問題はなかった」「特定の組合に関するご質問については、答弁を差し控えさせていただきたく」と、県は疑惑解明にふたをしました。これでは疑いは晴れませんし、納得もできません。
今回、平成十四年度県商工労働部における貸付金の執行状況、管理状況に関する包括外部監査結果報告書では、私が指摘した内容がほかにも見られます。例えば、桃山町の協業組合プラスパーフーズ──豆腐屋さんですが、これは平成七年につくられ、二十三億九千六百六十万円を同和高度化資金として借金をし、二千百七十五万円、〇・九%を返しただけで平成十四年に自己破産しました。結局、二十三億七千万円が返されないまま裁判所の競争入札にかけられています。外部監査ではこの協業組合について、土地の取得について、標準地価格では四億九千万円なのに実際の取得価格は十二億五千万円で二・五倍で買っていること、建物の取得価格は四億六千万円が妥当なのに実際は八億六千万円と二倍で買ったこと、この土地や建物の購入先が当時の組合代表理事の子供が経営する建築会社であることを指摘しております。
また外部監査では、全体的に貸し付けの際に担保物件の鑑定評価を行っていない点や担保価値の下落に対する追加担保を設定していない異常さを指摘、さらにより細かい審査をしていれば多額の延滞は避けられたとの指摘もあるほどです。次々と実態が明らかになれば、審査の不備や過剰貸し付けの疑惑を抱くのは当然です。それでも問題はなかったと疑惑解明にふたをするのですか。部長、お答えください。
また、組合が返済をおくれた場合に年一〇・七五%の違約金を支払う契約であるにもかかわらず違約金はゼロ、ありません。その理由は、返済に十分に誠意があれば違約金の支払いを後回しにできるからと、滞納組合の違約金は計算していません。おかしな話です。違約金の充当順位は一定の条件で変更できます。しかし、免除は倒産などの特別の場合で、違約金をなしにすることはできません。違約金は債権として発生するもので、例えば熊野食肉の場合では、貸付額より多い三億九千六百万円の違約金が発生するはずです。それを違約金を計算しないでゼロ円としているだけでも問題であり、県は借金の一割も返済しない組合を返済に十分誠意があると判断したことも含め、納得することはできません。部長の納得できる説明をお願いいたします。
私が、県議会で追及していくことで借金回収など一定の前進は見られますが、県は県民の前に融資の実態を明らかにしませんし、責任もとろうとはしません。外部監査では、実質的な延滞債権三十九件について、貸付金残高百九十二億円のうち延滞は百七億円で、回収不能見積額は六十八億五千八百万円としています。しかし、回収不能額はもっと多額になると思います。なぜなら、熊野食肉の場合の担保評価は外部監査では五千八百四十八万円ですが、実際の裁判所の競売価格は二千百二十一万円と二分の一以下です。これほどの回収不能の実態が見込まれており、これはすべて国民の税金、県民のお金です。こうした事態にかかわった県職員の責任が問われるのは当たり前です。県は、既に倒産もし、競売も終わった組合名すら明らかにしないなど、融資の実態を隠し続けております。
私は、文書開示をしないことに異議申し立てをしておりますが、外部監査でも、「貸付資金の財源が県民からの税金を中心としている以上、今後債権回収の見込みのない回収困難な債権について県民の理解を求めることが必要であり、この説明責任を果たすことなく、貸付金事業を継続して実施していくことはできないと考える。したがって、徴収停止処理のみでは十分とは言えず、今後、議会承認を経て不納欠損処理を行っていくことが事業継続のためには必要である」としており、情報公開を行うべきです。責任と公開について、知事の答弁を求めます。
第三項目です。美しい佐野海岸を埋め立てる新宮港第二期整備事業、佐野湾埋め立ては、将来見通しのない自然破壊のむだな港湾事業であり、土地造成によって多額の借金を残す開発計画だと多くの人が反対し、中止を求めてまいりました。それでも、貨物量がふえるからと反対を押し切って埋め立てが行われ、平成十七年には供用が開始されます。そのため、事ここに至っては、埋め立ても進み、今さら工事を中止しても自然はもとに戻りませんから、たとえ新宮港が自然破壊のむだな公共事業でも、県民に役立つものにするために、新たな振興策や利用計画を必要として災害対策の備蓄基地も提案してまいりました。しかし、その前提には、今までを総括し、反省と見直しを行うことが不可欠であり、そのことから佐野湾埋め立てに反対し、不安を持つ地域の人々の納得と協力が得られ、新たな振興策も生まれると、昨年の九月議会で提案いたしました。その立場から、今までは新宮港第二期工事に関連する予算には反対しておりましたが、今回の補正予算には消極的ですが賛成しました。なぜ消極的かと言えば、九月議会において、計画の反省も貨物量の見直しも不十分だったのです。
この当初計画は破綻しています。なぜなら、貨物量はふえるどころか、逆に貨物量は九五年の八十七万トンをピークにして、二〇〇〇年は四十九万トンと最高時の六割にまで減少しています。それでも、計画されている貨物量は現在の三倍以上の百六十七万トンのままです。この数字がいかに現実離れしているかは、主要な取扱貨物チップを見れば明らかです。現在の取扱量は四万トンですが、計画では七十二万トンと十八倍になると見込んでおり、荷さばき地も含め、チップに頼っているのが第二期整備計画だからです。その肝心のチップは、市内にあった巴川製紙や王子製紙も今はなく、何を根拠に貨物量がふえ、生産活動による経済効果及び雇用促進の効果などが期待できるのか、具体的にお答えくださいと九月議会で質問をいたしました。それに対し、「計画貨物量の実現に向けて振興ビジョンの策定を行うとともに、企業訪問などのポートセールスを行っており、チップも含めて、新規貨物の獲得や新規企業の誘致などに精力的に取り組んでおり」との具体性のない答弁でした。
再度伺います。
計画貨物量の見通しはどこにあるのですか。現在でも新宮港を利用しない三重県の紀州製紙が新たに利用することを期待するならば、それが現実となることを説明してください。紀州製紙は、現在、隣接する三重県の地方港湾鵜殿港を利用しておりますが、平成十三年度の総貨物量七十二万トンのうちの八割六十一万トンがチップです。このチップすべてを新宮港に持ってきても足りませんし、それほど簡単にほかの港で扱っている貨物を持ってこれますか。そんなことが可能なのですか。紀州製紙との契約については、平成八年から確約をとることを新宮市議会でも求められていますが、今なお実現していません。それらも含め、供用開始を目前に控え、当初計画が破綻しそうだから新しい振興ビジョンがつくられようとしているのではありませんか。また、三重県の一企業のために莫大なお金をつぎ込むことになる港湾整備事業を進めるならば、港湾管理をする県の説明責任が一層問われます。反省と見直しについて、適切な部長の説明をお願いいたします。
四項目めの、子供たちが希望の持てる未来をつくる教育についてです。
中央教育審議会の中間報告は、初めに見直しありきのようです。そもそも今日の教育の深刻な荒廃が、教育基本法の教育の理念や原則が不十分であるとすること自体に何の根拠も道理もないのではないでしょうか。それは反対に、教育基本法の定める教育の民主主義的な理念や原則に背き、長年の教育政策のゆがみがもたらした結果ではないでしょうか。
現在の教育基本法は、教育の目的に人格の完成を据え、平和的な国家及び社会の形成者の育成を期することを掲げました。これは、公権力が教育に特定の立場や人間観を持ち込むことを戒めたものであります。ところが報告は、たくましい日本人の育成、伝統・文化の尊重、国を愛する心の醸成などを教育の理念にするとしています。これらは本来、国民一人一人の見識や社会での自主的な判断にゆだねられるべきものを法律で上から押しつけるやり方で、国策に沿った人づくりをねらった、時代錯誤も甚だしいものだと思われます。また、教育基本法は憲法と一体のものであり、基本法改正論は憲法改正がねらいではないかとさえ思われます。二十一世紀という新しい時代に入っていくとき、五十年前につくられたものはもう古い、新しい感覚で見直そうと言います。もう古くなったから新しいものが必要だという論議は、庶民感覚からすれば確かにそうじゃないのとなりがちです。しかし、新しいものが必要だと言うならば、その未来像はどのようなものなのでしょうか。今進められている憲法や教育基本法の見直しやその先取りの政策が、二十一世紀は知が支配的になる時代であり、すぐれたエリートを早く発見し、育成して大競争の時代に備える。そのためには今の学校制度は間尺に合わなくなっているという、大競争に打ち勝つというという発想では困ります。教育はすべての人間の権利である。子供の学ぶ権利を保障することが必要であり、機会均等が大事だという立場から、子供たちが希望の持てる未来をつくる教育をどうつくるかということに教育基本法の精神と力が発揮されるべきであると私は思っております。
そうしたとき赤松教育委員長は、文教委員会という公式の場で、「現在の教育基本法は非常に古いもので、戦後のアメリカ占領下の社会情勢の中でつくられ、今日的に見るといろいろ問題があると思う。社会情勢は変わってきており、今回の中間報告には愛国心、家庭教育等いろいろな面で当然やるべきであろうことが記載されており、教育委員会として全面的にこれに取り組んでまいりたい」と発言しました。個人の考えはいろいろあって当然ですが、教育委員会の委員長の立場での発言ですから、教育基本法の成立過程をゆがめるものと撤回を求めるものです。同時に、教育委員会において合意がないのに、全面的に取り組むとの発言は、教育委員会の合意制度を否定することになりませんか。答弁を求めます。
最後の項目です。佐野川、荒木川の河川改修について。
厳しい財政状況の中にあって、十四年度補正では五千万円、十五年度当初で一億円の予算計上がされました。しかし、佐野川は一九七四年から河川改修が進められていますが、改修計画約三キロに対して半分程度の進捗状況であり、同時に進められている荒木川の改修についても、九百メーターの計画に対して三分の一程度しか進んでいないという状況です。このような調子で改修工事を進めれば、あと何年かかるのかという声が聞かれます。水害をなくし、安心して生活をするために河川改修は緊急の課題で、住民の長年の願いです。今後の佐野川、荒木川の改修計画についてお答えください。
次に、新宮市の高田と蜂伏を結ぶ林道高田蜂伏線の工事に四億八千万円が投じられましたが、たび重なるのり面崩壊で、百三十メーター進んだだけで十四年度で休止されることになりました。そのため、高田の住民は生活道路としての林道への期待が裏切られ、県道高田相賀線への思いは一層強くなっています。その高田第一トンネルの工事着工が決まり、初年度として一億円が予算化されて、地元は大変喜んでおります。着工されれば後は完成を待つだけですが、今後の県道高田相賀線の延伸について県当局のお考えを聞かせてください。
次に、現在、熊野川には国道四十二号線の新宮市内の熊野大橋から国道百六十八号線の熊野川町日足の三和大橋までの約二十キロの間、橋がありません。このことは日常生活の上での不便さだけではなく、特に現在の旧熊野大橋は昭和十年にかけられた橋で老朽化しており、新熊野大橋が災害などによって使用できなくなれば、交通が遮断され、近くに迂回路すらないでは大変な事態になります。地域活性化対策や交通や震災防災対策からも新たな橋の必要性が問われており、国や県にとっても重大な課題です。新たな橋がかかれば車の流れが分散し、渋滞が緩和されるだけではなく、熊野大橋のバイパスや迂回路としての役割を果たすことができます。新しい橋の必要性やどこにかけるのが効果的かなどの調査研究や、三重県や地元自治体との協議をお願いし、知事の答弁を求めます。
紀南地域の医療体制についてですが、新宮保健医療圏域内に二十四時間体制の県立救急医療センターを早期に建設することを地元は要望しています。しかし県は、施設・設備整備や医師などの人員の問題、財政負担などの問題から、現状では県立救急医療センターの設置は困難とし、ドクターヘリによる救急医療への対応を言います。ドクターヘリは、その活躍を大いに期待し、評価するものですが、それはあくまでも救急医療の一つの手段であり、気象条件による規制もあり、夜間は搬送できません。また、県の災害拠点病院である新宮市立医療センターでは、ヘリポート施設を一たん敷地内につくりながら現在では駐車場になっており、二〇〇一年二月議会で計画のずさんさと税金のむだ遣いを指摘し、県の指導を求めてまいりました。しかし、いまだヘリポート施設はありません。ドクターヘリの夜間運航やヘリポート施設は必要であり、高次救急医療体制の整備を求めるものです。
次に、初期救急医療体制においても、以前から要望していますが、昭和四十九年から県下に休日夜間急患センターが設置されましたけれども、新宮広域にはまだ設置されておりません。県民がいつでも、どこでも、ひとしく保健医療サービスが受けられることは基本理念であり、県民一人一人の命の重さは同じであり、その命と健康に関する県の施策も公平に行われるのが当然ですが、ここまで来ると不公平感は払拭できません。
次に、新規事業のあんしん子育て救急整備事業について、県民が安心して子供を生み、育てられる目的からすれば、その整備を心から期待するものです。しかし、その整備のネックになるのが紀南地域ではないかと危惧しております。なぜなら、紀南地域では小児科医が不足しており、県は小児救急医療体制については休日夜間急患センターにおける対応を基本としており、紀南地域にはそのセンターはありません。こうした話をしていくと、本当に暗い気持ちになってしまいます。 知事、ドクターヘリ、休日夜間急患センター、小児救急、災害拠点病院新宮市立医療センターへの援助など、紀南の医療体制についての考えをお聞かせください。
これで、第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず産業廃棄物の処理についての問題でございますけれども、産業廃棄物の処理については、これはもう全国的に大きな問題になっているということで、私は法の厳正な適用なくしては地域の安全はないという信念に基づいてこの問題に対処していくということを改めて披瀝しておきたいと思います。
ただ、この移動式破砕機なんですけれども、これは建築基準法では工作物には該当しないという解釈になっておりますので、今回、法の間隙をつかれたというふうな形になっているわけでございます。これを規制できるよう、今後国に対して提言をしてまいりたい、このように考えております。
次に、熊野川の水利権の短縮の問題でございますが、この水利権の短縮については、県として熊野川を世界遺産にふさわしい姿に近づけていくため、環境面に配慮し、変化の激しい時代に沿った議論ができるよう、許可期間の短縮について許可権者である国に申し入れを行ってまいります。
次に、将来の姿につきましては、ダム管理者である電源開発では、県の申し入れを受け、濁水対策を実施しているところでございますが、しかしながら、ダムのあり方ということについてはどんどん世の中の考え方が変わってきておりますので、県としてはその対策の効果を検討しながら、今後も世界遺産にふさわしい熊野川が創出できるような方策を積極的に進めてまいりたい、このように考えております。
それから、高度化資金についてのご質問でございます。
高度化資金については多くの課題があることを認識しており、厳しく受けとめているところでございます。このため、来年度で組織体制の強化を図り、今後さらに充実に努め、より一層債権回収に最善を尽くすことが重要であると考えております。貸付原資が税金であるという認識のもと、可能な限り債権回収に努めるとともに、回収不能額が発生した場合、徴収停止を行い、最終的には議会承認を得られるよう努めてまいりたいと考えております。
また、先般の外部監査報告の中で「県民の理解を求め、説明責任を果たすことが重要」とされておりますけれども、これはそのとおりでございますので情報公開の開示部分を再検討してまいりたいと、このように考えております。
次に、熊野川に新たな橋の検討をということでございますが、国道四十二号の渋滞対策や災害時の迂回路対策としては近畿自動車道紀勢線の早期整備が重要であり、今後も三重県と協力し、引き続き国に働きかけをしてまいります。
それから、紀南地域の医療体制の充実をということですけれども、暗い話ばかりということでしたが、ドクターヘリは非常にうまくいっておりますので、まずこのことはちょっと認識していただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。今後、ドクターヘリの夜間運航の可能性についても検討してまいります。また、新宮市立医療センターのヘリポートには、早期に整備できるよう協議を進めているところでございます。
それから、休日・夜間の比較的軽症な急病患者に対応する休日夜間急患センターや小児の病院群輪番制は、各二次保健医療圏に必要と考えており、関係機関とも協議しながら、早期に体制の整備を推進してまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、株式会社松原組の代表者等が逮捕されたことについてですが、和歌山県建設工事等契約に係る指名停止等の措置要綱に基づき、株式会社松原組に対し、一月二十四日から四月二十三日までの三カ月間の指名停止措置を行っております。
次に、破砕機などのクラッシャープラントの規制についてのお尋ねですが、建築基準法では都市計画法に定めた土地利用区分に応じて築造できる工作物の種類を制限しています。当該移動式破砕機は、土地に定着しておらず、建築基準法上の工作物に該当しないため規制できないのが実情であります。このような建築基準法で規制できない移動式破砕機を使用する行為は法の間隙をついた行為であり、さきに知事から答弁があったように、それを規制できるよう国に対して提言していきたいと考えております。
次に新宮港第二期工事についてですが、新宮港では既にチップの輸入や移出の実績がありまして、一方では、背後圏の製紙会社においては輸入チップを九州等他地域から長距離二次輸送するなど、非効率な輸送形態となっております。この製紙会社に対し新宮市がトップセールスを展開しているところであります。県としても、新宮港利用の優位性をもとに、新宮市と連携してポートセールスを行い、引き続きチップ貨物の誘致に努力したいと考えております。
過疎や高齢化により就労の場の確保に悩む熊野地域において、唯一の港湾である新宮港の整備事業は、地元の強い要請を受けて取り組んでいる事業であり、地域経済の活性化を目指すものでございます。今般、新宮港の当初計画としての港湾利用の考え方に加えて、時代の変化を踏まえ、地域特性を考慮した産業の振興策や観光の振興策など、総合的な観点から取りまとめたところであります。さらに、その実現に向け、多くの地元関係者で構成される会を設け、港湾振興に対する取り組みを強化しているところであります。今後も、引き続き新宮市、地元経済界等と一丸となり、チップも含めて新規貨物の獲得や新規企業の誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
次に佐野川と荒木川の改修については、昭和五十五年に中小河川改修事業として着手してございます。新宮市からの強い要望もあり、佐野川本川については計画的に事業を進めているところでございます。
また支川荒木川については、用地難航のため休止しております。事業再開には地権者の協力が不可欠であります。
次に県道高田相賀線の延伸については、並行して林道高田蜂伏線の計画もあり、県道としての必要性や路線の位置づけ等について整理する必要がありますので、今後の検討課題にしたいと考えております。当面は、現在計画している整備区間の促進に努めてまいります。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 環境生活部長秋月成夫君。
〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 産業廃棄物関係の質問についてお答えします。
新宮市松山において無許可で木くずを焼却処分した事実により、廃棄物処理法違反で逮捕された事業者に対しましては、去る二月十七日に行政手続法による聴聞会を実施し、二月二十日付で産業廃棄物収集運搬業の許可の取り消しをいたしました。
次に、知事の改善命令と原状回復についてでございますが、平成十四年十一月一日付で新宮市松山の作業場内にある土砂に混入している産業廃棄物を、平成十五年一月三十日までに処理基準に従い適正に処理するよう改善命令を行いました。その後、命令に従い分別処理を実施していましたが、去る一月十五日に代表者及び現場責任者が逮捕されたことにより作業がおくれてございます。事業者からは、処理のおくれた理由と今後の工程を説明をした申し立て書の提出がありましたので、それらを勘案し、期限変更の改善命令を行い、早急に原状回復させる考えであります。
なお、今後とも、この事案はもとより、産業廃棄物の適正処理及び処理業者の資質向上に向け、厳正に取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 同和高度化資金の二点についてお答え申し上げます。
初めに、貸し付け審査の不備、過剰融資ではないかとのご質問でございますが、貸し付け審査の一般論として、これまでの議会でお答えしましたとおり、事務手続上問題はなかったものと考えております。
なお、完了検査の時点で、売買契約書、請求書、領収書、現金出納簿等、関係書類を確認しており、また会計検査院の検査も受けているところでございます。しかしながら、外部監査報告書の中で、「貸付審査を透明で適正なものとするために、事務手続を見直し、融資の妥当性を総合的に判断する体制を整備することが必要である」との指摘があり、県といたしましては、貸し付け審査において、専門家の助言を受けながら、より厳正な審査会を開催し、適正な審査に努めてまいりたいと考えてございます。
次に違約金についてでございますが、一般的には償還の時点で、誠意があるか、また債権管理上有利であるかを加味し、中小企業総合事業団の承認を受けて、利息、元金の順に充当しております。
なお、充当順位の変更により違約金が消滅するものではございませんので、さきの議会でもお答えいたしましたとおり、債務者に認識してもらう必要があるため、一定期間ごとに通知をしてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育基本法に関してお答えいたします。
昨年十一月、中央教育審議会から教育基本法にうたわれている人格の完成や真理と平和の希求などの理念は維持しながら、現行法では明確に規定されていない新たな理念や原則を盛り込むなどの見直しの方向を示した中間報告が出されました。このたびの中間報告を契機に、教育への関心が高まり、国民的な議論がなされているところであり、教育委員会といたしましては、今後の最終答申や国の動向を注意深く見守っていきたいと考えています。
なお、さきの文教委員会における教育委員長の発言は、学校、家庭、地域社会の連携や日本の伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心など、新しい時代を生きる日本人の育成のために何が必要かという観点からなされたものであると考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 警察本部長高綱直良君。
〔高綱直良君、登壇〕
○警察本部長(高綱直良君) ご質問の廃棄物処理法違反事件の捜査状況についてお答えをいたします。
議員ご指摘の会社につきましては、県知事の許可を受けないで、昨年十一月から十二月にかけて木くず等を焼却処分したという法違反容疑で本年一月十五日、関係箇所を捜索するとともに、同会社の社長と現場責任者の二名をそれぞれ逮捕いたしております。
また、その後の捜査によりまして、同会社が事業範囲の変更許可を受けないまま、他の業者から処分委託をされていた木くず等を同社で保管していたという事実が判明いたしましたことから、当該法違反の事実についても検察庁に送致をしたところであります。
その結果、これらの二件の事実によりまして、二月五日、法人である同会社と現場責任者がそれぞれ廃棄物処理法違反で起訴され、社長にあっては起訴猶予処分とされたところであります。
なお、詳細につきましては、現在公判中でありますので、差し控えさせていただきます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
なお、この際、ご通告申し上げます。
個人質問の完結時間は六十分を目途とするということになっておりますので、このことに留意されてご発言されることをお願い申し上げます。
二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 了解しました。
教育長の答弁については、納得はできません。しかし、特に赤松教育委員長の発言に関して、ご本人が欠席されておるということでございますので、あえて再質問はいたしませんが、発言はあくまでも撤回すべきであると、このように私は思っております。
次に、行きます。
知事は先ほどドクターヘリのことを言いましたけれども、私もドクターヘリについては、質問でも述べたとおり、活躍も期待し、評価もしているところです。また、先ほどのご答弁を聞いて、少し気持ちが晴れました。よろしくお願いしたいと思います。
同和の貸付金の問題ですが、部長の答弁をお伺いして納得できないんですね。それは、一般的にとおっしゃいますが、確かに一般的にはそうなんです。でも、一般的に行われていなかった。異常な事態が行われていたから、私はおかしいと言っているのです。これだけの滞納を生み出しながら、事務手続上問題がなかった、こういうこと自体がおかしいのではないでしょうか。それでは一体、何でこんな問題が起こったんですか。事務手続上問題がないのに。
違約金について言えば、簡単に言えば、違約金は計算して初めて存在するわけです。計算もしないでは存在はしません。存在をしない違約金の充当順位をどうして変更できるのですか。ここら辺もお答えください。また、誠意があると言うのなら、なぜこんな事態になるのか。何を基準に誠意があると判断したのか。その点をお答えいただきたいというふうに思います。これは再質問ですので、お願いいたします。
土木部長、新宮港の問題です。
新宮港、確かにチップの輸入には当局には実績があります。おっしゃられるとおりです。その実績がある。以前に巴川製紙があるときに、年間十五万トンのチップをあの港におろしておりました。その実績があるにもかかわらず、隣の紀州製紙は現在も新宮港を使っていないんですよね。実際、新宮港に入ってくるのは入ってくるんですけれども、入港手続だけして、そのままもう鵜殿港へ入ってしまうんですよ。そういう実態があるわけです。先ほども言いましたが、こうしたことがきっちりと約束とれないのに、計画貨物量の百六十七万トンのうち七十二万トンでしょう。半分近くがチップでしょう。そのチップが確実に入ってくるという保証がないのに、こんな埋め立て工事をやって大丈夫なんですか、こう言っているんです。これについては、確約をとるべきだ、平成八年から新宮市議会で早くとれ早くとれと市当局を責めているわけですよ。しかし、実現しないんです。今、そんな実態があるんです。今、そういうことについて本腰を入れて考えていかなければ大変な事態になってしまうんじゃないですか。それが、計画どおり紀州製紙さんがこの港を使ってくれるなら結構です。
私は先ほども言いましたように、むだな公共事業であっても、つくってしまった限りは、県民の皆さんのお役に立つ、そんな港にしてほしいと思うからあえて言っているのです。もっときっちりと計画は詰めるべきです。確約もとるべきです。そして、それがだめなら反省して見直しをしていく、そのことが今行政に本当に求められているのではないかというふうに思います。
再質問してもまた同じ答えが返ってくると思いますので、あえてこれは苦言を呈するわけですが、その点だけ本当に考えていただきたい。なぜ、私どもは今回予算に賛成したのか、その意味も十分に考えていただきたいということをお願いして、商工労働部の答弁を求めます。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 違約金に関してでございますが、先ほどの答弁の繰り返しにもなろうかと思いますが、償還があった時点でその都度額の決定、また誠意があるかどうかの判断をするところでございます。そういった意味で、違約金につきましては、債務者に認識をしてもらう必要があるということで、一定の期間ごとに額の通知をし、償還を促すよう改善をしてまいりたいと、このように考えてございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 もう、これは同じことの繰り返しになると思います。
そうした中で、今回知事のご答弁の中で、「来年度で組織体制の強化を図り、今後さらに充実に努め、より一層債権回収に最善を尽くす」と、このように答弁されました。また、「情報公開の開示部分を再検討してまいりたい」と、このようにも答弁されました。このことは評価したいと思うんです。
あえてこうしたことを言うのも非常にひねくれた言い方かもしれませんけれども、体制を強化する、確かに必要だと思います。こんな事態になったら。しかし、体制を強化するということは、それだけ県民の税金を使わなきゃならないということなんです。きっちりと返してもらうようなことをやっていれば、またこんな金を使うようなことはなかったはずなんです。そういう意味からも、違約金も含めてしっかりと回収していただきたいということを強く要望して、質問を終わります。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で金田眞君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時二十六分休憩
─────────────────────
午後一時三分再開
○副議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十番野見山 海君。
〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
最初に発言をさせていただきたいと思います。
今期で勇退されます先輩・同僚議員の皆さん方には、何かと温かいご指導とおつき合いをいただけましたこと、心から厚く御礼を申し上げます。今後は、お体をご慈愛の上、県勢発展のためにご尽力をいただきますよう、心からお願い申し上げる次第であります。
それでは、「地方からの改革、知事の処方せんは」について質問させていただきます。
今、我が国を覆う経済の長期低迷という暗雲は、人々に自信喪失と失望感を与えております。この雲の合間から人々の心に希望という灯をともす暖かい日差しが再び差す日が一日も早く来ることを心から願う一人であります。知事も述べられましたが、本年は日本経済がこのまま衰退に向かうのか、あるいは経済の長期停滞状況を脱することができるのか、歴史的な分岐点の一年になると見る経営者や経済評論家も多いところであります。このような厳しい経済情勢を踏まえ、国は構造改革に取り組んでおりますが、一向に成果が見えてこないのが現実ではないでしょうか。
小泉改革は市場原理主義を重視する余り、倒産による失業など社会の不安定化を招き、今、国民の多くは、改革の推移を見守りながら一家の大黒柱のリストラによる生活破壊の不安から、消費を控え、わずかでも貯蓄をふやし、自己防衛を図ることで精いっぱいな状況でないかと思います。
そこで、知事は、我が国の行く末を見据えた新しい発想による地方からの処方せんをどのようにかかれておるのか、ご認識とご見解をお伺いしたいと思います。
次に、平成十五年度当初予算案に関してお伺いいたします。
昨年の十月初旬に、例年のように来年度の予算編成要領が公表されました。この中に、活力あふれる二十一世紀の和歌山づくりを推進するという基本方針を実現するための取り組みとして、通年予算主義に対する取り組み、施策への重点的な取り組み、要求基準の撤廃、財政健全化に対する取り組みが掲げられており、私は、この中でも特に通年予算主義に対する取り組みが従来の年間総合予算主義に基づいて編成されてきたこれまでの予算に比べ、どのように工夫された形で予算に反映されているのか、そのような期待を抱きつつ拝見してきたところであります。
さて、提案されている当初予算を見てみますと、歳出削減につきましては、昨年に引き続いて人件費の抑制という行政みずから身を削る努力を継続的にするとともに、ガイドライン方式を基本とし、事務事業の見直しによる既存経費の圧縮に汗をかかれています。一方で、このようにして捻出されました貴重な財源を、現下の厳しい経済状況にかんがみ、単に安易に収支差の改善のために充当するのではなく、そのように収支不均衡の改善にも十分に配慮しつつ、それよりはむしろ二十一世紀の活力ある和歌山づくりのために基金の効果的な活用とあわせ、例えば百二事業の重点新規事業や県単独投資事業などに意欲的かつ積極的に充当され、結果として政策的経費のシェアの拡大が図られております。
このようなさまざまな工夫・努力の結果、予算規模は四年ぶりに前年度比でプラスとなっており、閉塞感に覆われた現在の県内の経済状況を踏まえるとき、その姿勢は大いに評価されるべきと考えます。ただ同時に、県債の大きな伸びに対し、現在の国の財政状況と本県の将来における償還をあわせ勘案するとき、今後の財政運営に対して危惧するところであります。
そこで、知事は、平成十五年度当初予算案において、財政健全化への取り組みと活力あふれる二十一世紀の和歌山づくりの推進という両方の取り組みが十分な成果を上げることができ、合格点をつけられるものとなっているのか、知事のご見解をお伺いいたします。
次に、主要新規事業の進行管理です。
近年、事務事業評価などの新しい手法が導入される中、「成果主義」という言葉をよく聞くようになりました。これは、予算をつけるためには一生懸命汗をかき、予算がついた後はその予算を淡々と事務的に執行消化することで終わることなく、その予算がその執行によって所期の目的をどれだけ達成し、その結果、県民に対する行政サービスがどれほど向上したか等を確認した上でその事業の有効性、効率性などを分析して次の予算にその結果を反映させていくことと認識しており、まことに当を得たものと考えます。
ところで、平成十四年度も残すところ一カ月余りとなりましたが、平成十四年度当初予算には、県勢活性化のための新規事業として件数で百件、金額で約二十八億円が予算化されております。このようなその年の重点施策を推進するための新規事業につきましては、例年、当初予算案を発表するときに華々しくアピールされるわけですが、今では、どうもその結果がどうなったのかが余り判然としないところがあります。
そこで私は、平成十二年度から事務事業評価システムが導入されているのを承知の上であえて申し上げるのですが、このように主要な施策を推進する新規事業については、成果主義の観点から言っても普通の事業とは別に一括して進行管理を実施し、その結果を適切な時期に県民にわかりやすい形で公表していくシステムを検討されてはいかがでしょうか。知事のお考えをお伺いいたします。
三つ目に、雇用対策についてお伺いいたします。
長期に停滞する厳しい経済環境のもとにあって、雇用問題は極めて深刻な様相を呈しております。総務省が一月三十一日に発表した労働力調査結果によりますと、昨年一年間の全国の平均した完全失業率は五・四%で、過去最悪であります。また、それに対応する本県の完全失業率は六・一%で全国平均を上回っており、憂慮すべき状況にあると思います。
また、二月十五日付の新聞に掲載された文部科学省の調査結果によりますと、今春卒業する高校生のうち就職を希望する生徒の内定率は、昨年十二月末現在で全国平均が六六・三%で、昨年同期を一・五ポイント下回り、同時点の過去最低を更新し、また本県は五五・八%で、前年同期を二・四ポイント下回っています。私も地元を回っていろいろな話を聞くわけでございますが、皆さん異口同音に不況による日々の厳しさを漏らされております。
このような状況にあるとき、知事が提唱された緑の雇用事業が今般の国の補正において緑の担い手育成対策事業として前倒し予算措置がなされるとともに、本県にあっては平成十五年度当初予算案において緑の雇用事業に関して昨年度を上回る予算措置がなされ、さらに緊急雇用創出特別基金の積極的な活用により雇用のセーフティーネットの充実が図られているところであります。こうした取り組みに対しましては十分に評価するところでありますが、厳しい雇用環境下にあって本県の雇用対策をより効果的で力強いものにしていくためには、通年予算の考え方を活用して和歌山方式による独自施策を今後推進していくことが必要かと思いますが、知事のお考えをお聞きしたいと思います。
次に、防災・災害復旧拠点の整備についてお伺いいたします。
昨年十二月、政府の中央防災会議の専門調査会は、近い将来発生が予想される東南海地震と南海地震の被害予測を初めて発表しました。それによると、駿河湾沖を震源とする東南海地震、和歌山県沖を震源とする南海地震が同時に起きた場合、静岡から和歌山、四国にかけて震度五以上の強い揺れと最大十二メートル以上の津波が発生する可能性があると言われております。さらに、これらの地震の三十年以内の発生確率が四〇%というのですから、県としても津波や火災による被害想定のもとに本腰を入れて防災対策を進める必要があろうと私は思います。
さて、和歌山県は人口の多い地域が海岸線に集中し、県の動脈である国道四十二号も、それらの地域をつなぐため海岸線を走っています。したがって、地震発生時には都市部の機能と国道四十二号の寸断により交通アクセスが同時に失われる可能性があり、代替道路の整備とともに、都市部に隣接した津波の及ばない地域に内陸部の道路によるアクセスが可能で、かつヘリコプター等を使った防災・災害復旧の作業が可能な基地の整備が必要かと思います。しかし、大規模地震の発生が予想されるとはいえ、時期は特定できません。恐らく相当広い面積が必要と思われる防災・災害復旧基地を長期間そのまま遊ばせておくことは、必ずしも合理的とは思いません。
そこで、適切な面積の土地を、日ごろは防災・災害復旧訓練またはスポーツ関係の大会や駐車場、催し物の会場等に利用できる多目的広場として整備し、その一角に資材や食料の備蓄倉庫を建設するなどして日常の有効活用を図りながら災害に備えるということを検討してはいかがでしょうか。
例えば、津波の被害が懸念される田辺市、南部町という人口密集地域の近くに南紀スポーツセンターがあります。昨年八月に知事も視察いただいて、本当にありがとうございました。よくご存じだと思いますが、ここは津波の及ばない高台にあり、さらに新しい国道バイパスや高速道路につながり、内陸部の町村とのアクセスも便利であります。
そこで、このスポーツセンター周辺を整備し、センターも含めた防災・災害復旧拠点として整備してはいかがでしょうか。知事の考えをお聞きします。
次に、たばこ問題対策についてお伺いいたします。
平成十三年三月に作成された「和歌山県たばこ対策指針」を受け、四月から県内の公立学校はノースモーキングエリアとなりました。また、学校のみならず県立医科大学や労災病院の全館禁煙、各種公共施設や民間団体の事務所などでの積極的なたばこ対策が始まり、同医療保健関係者の努力で医師、歯科医師の方々による禁煙外来の開設が進み、薬剤師の方々にも禁煙支援薬局の開設の準備が行われるなど、今や和歌山県はたばこ対策では全国一進んだ県として全国のモデルになろうとしております。
こうした状況を見たとき、本県もそう遠くない時期に肺がん日本一というまことに嘆かわしい称号を返上し、豊かな自然に恵まれた健康県として生まれ変わるのではないかと大いに期待しているところであります。
さて、本年五月には健康増進法が施行され、受動喫煙の防止が施設の設置者の義務とされることになっております。この法律には、受動喫煙を防止するために必要な措置は施設を管理する者が行わなければならない旨が明記されているところであります。したがって、本県としての今後の課題は、この法律の趣旨をいかに徹底させるかということだと私は思います。
そこで、まず受動喫煙防止を推進するためには住民に身近な市町村施設での完全な受動喫煙防止対策が必要と考えますが、先日の新聞に掲載された県の調査では、多くの住民が出入りするロビー等で半数に当たる二十五市町村では分煙が全く行われていないなど、分煙対策がおくれている状況であります。
また、中高生の喫煙がまさに憂慮される状況であることから敷地内禁煙に続く喫煙防止教育の徹底をどう進めていくのか、次のことをお伺いいたします。
一つには、「和歌山県たばこ対策指針」のこれまでの成果についてどう把握されているのか。
二つ目には、今後、市町村施設における完全な受動喫煙防止対策の実施をどのように指導されていくのか。
三つ目には、公立学校敷地内禁煙の成果と、まだ実施できていない少数の学校に対する指導をどのように取り組んでいくのか。
四つ目には、中高生徒に対する今後の喫煙防止指導をどのように進めていくのか。
五つ目には、たばこ問題に関する教職員の研修をどのように実施していくのか。
以上の点についてお伺いいたします。
第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。
○副議長(小川 武君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 地方からの改革ということをどうするかというご質問でございますけれども、今、小泉構造改革が進んでいるわけですが、国民の中に、閉塞感があるというふうな状況の中で、なかなか国の方がすぐには変われないということがあるわけです。ところが地方公共団体の場合は、割と県の理事者側と議会との合意によって新しいことを進めていけるという環境にあるというふうな中で、私としては和歌山県からいろいろなことを考えて地域に合ったことを発信していく、そしてそのことで国の方を動かしていって、それが国の閉塞感の解消に少しでも役立つという形になることが地方からの改革につながるのではないかというふうに思っております。
緑の雇用事業につきましても、和歌山県から発信したものが全国的な施策になってきているわけですし、そしてまたこれがもっと大きな施策になってくると全体としてのセーフティーネット、また日本の国のあり方も変わってくるというふうな形で、こういうことを地道に続けていく必要があると思いますし、公共事業についても、やはり日本全国一律でいろんなことをやってきたということが国民の間に不満というふうなものが積み重なってきているということにもなると思いますので、県に本当に合ったものをやっていくというふうな形で発信していくと。いろんなことを発信していくことの積み重ねがまた日本の国の形も変え、そして地方分権をますます進めるという形になるという考え方で改革を進めていきたいというふうに思っているわけでございます。
次に当初予算をどう考えるかということでございますけれども、当初予算は、確かにずっと長い歴史を経てきて、それの継続線上にあるということは間違いないわけでございますけれども、来年度の予算につきましては、先ほどもご質問の中にありましたように、片方では積極型の予算ということで、こういうふうな何となくデフレということで非常に厳しい中で和歌山県が元気づくような形にしようということから、全国でも非常に高い伸び率を確保いたしました。一方で、財政の健全化ということが非常に大事なわけで、人件費の抑制でありますとか、公債費の削減ということで健全化も図れたということで、ある意味では二兎を追って二兎を辛うじて獲たというふうな形だろうと思っています。
しかしながら、ご質問にもありましたように、公債費──借金の残高についてはふえているわけです。これはどうしてふえているかと言いますと、今の交付税制度のもとで交付税特別会計が借金していた分を地方の赤字地方債に振りかえるという国の制度改正が行われたんで、これはもう後年度、全部元利償還金で交付税で見られるということなんですけれども、しかしながらやはり日本全体の自治体として借金がふえていることには変わりありませんので、そういうふうなことも含めて真剣に対応していかなければなりませんし、それから先般申し上げましたように退職金の問題でありますとか、いろんなことでこれからどんどんふえてくるものもあるということでございますので、こういうことを見きわめた上でいろいろな予算編成、財政運営をしていきたいというふうに思っております。
それから主要事業の進行管理でございますが、これは、ご質問のとおりでございます。そして私、今質問を聞きながら考えたんですけれども、私も去年もいろんな事業を出した出したと言って、そしてその結果がどうなったのかわからんままに次のものが出てきたんで、担当課の方に全部去年上げた事業のチェックをさせたんです。そして私のところには、一応結果というのが、二重丸がついているのが多いんですけれども、届いているんですが、これを早い段階で議員の方々にも皆お示しして、そしてまた必要であればインターネット等を通じて県民の方にも知っていただくというふうな形にしていくということが、これは予算の継続性ということについても非常に大事なことだと思いますし、効果のあることだと思いますので、これはすぐにやらせていただきたいというふうに思います。
いずれにせよ、来年度の新しい事業についてもそういうふうな形で、住民の参加ということを求めていくためにはできるだけ情報を公開していく、そしてまたその結果を知らせていくということが一番大事なことだと思いますので、そのように進めていきたいと思っております。
それから雇用対策につきましては、これはきのうもお答えいたしたんでございますけれども、例えば緊急雇用の特別基金でありますとか、それから緑の雇用についても──これは都市からの流入ということに非常に重点を置いたような形になっておりますけれども、県内の人もたくさんこの緑の雇用で雇われるというふうな形になっておりまして、いずれにせよ、こういうふうな新しい形のセーフティーネットということも考えていき、現にやっているわけですが、今の厳しい雇用情勢ということを考えれば、先ほどご質問にもありましたように、通年予算主義の中からその時々の情勢に合わせて、もっとこういうことをした方が雇用の確保に効果的だということがあれば、それに適宜対応していきたいというふうに考えております。
それから、防災拠点のお話でございます。防災拠点につきましては、当面、防災センターは早く整備をしないといかんということで、これは通信施設も含めて相当お金もかかりますので苦慮しているところですが、まずこれをやらないといかんと。そしてその次の段階として、先ほどお話にありましたような、紀南のどこかに例えば防災資機材置き場とか防災センターをつくるというふうなことも考えていく必要もあると思いますし、そしてまたそのときには南紀スポーツセンター周辺地域なんかも非常に有力な場所になってくるだろうというふうに思っております。
いずれにせよ、防災問題はもう命にかかわることですので真剣に対応していきたいと、このように思っております。
○副議長(小川 武君) 福祉保健部長白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) たばこ問題対策についてお答えいたします。
まず、「和歌山県たばこ対策指針」のこれまでの成果についてでございます。
全国に先駆けた学校敷地内禁煙により、本県のたばこ対策の先進性が全国に発信できたものと考えております。指針では、分煙対策も大きな柱となっておりますが、県立医科大学附属病院や和歌山労災病院を初めとする医療機関での禁煙化、公共施設に範を示す意味から実施した県庁舎や県警本部での完全分煙、県医師会や薬剤師会館などの全面禁煙等の成果があらわれております。
禁煙支援では、県内に四十八カ所の禁煙指導が受けられる医療機関が整い、この情報を県のホームページで提供しております。また、医療、教育、市町村、民間団体などで、多くの方々にご参加いただき、和歌山県たばこ対策メーリングリストを運用しており、情報交換や政策提言が行われております。さらに、紀南地域では住民主導でたばこ対策を推進する協議会が設置されたり、県薬剤師会の発案により薬局が禁煙支援に加わるなど、県民各層の幅広い理解と協力が得られつつあるものと思っております。
次に、市町村施設における受動喫煙防止対策の実施指導についてでございます。
市町村の庁舎や保健センター等の公共施設は、多くの住民が利用することや民間事業所などに模範を示す意味からも、受動喫煙防止対策を率先して進めていただきたいと考えています。そのため、市町村長に対し、受動喫煙防止対策を徹底するよう各振興局から直接働きかけを行うとともに効果的な分煙対策等について支援を行ってまいります。さらに、市町村保健センターなど、住民の健康づくりを推進する施設については、全館禁煙化が実現できるよう積極的な取り組みを促してまいります。
以上です。
○副議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) たばこ問題についてお答えいたします。
県内の学校でのノースモーキングエリアの実施がスタートしてから一年近くが経過いたしました。昨日の阪部議員のご質問にもお答えいたしましたように、現在、当初のねらいどおり、おおむね順調に進んでいると考えております。各学校からは、生徒たちの喫煙問題に対する意識が高まってきた、たばこで指導措置を受ける生徒の数が減り始めた、この機会に禁煙に踏み切った教職員が全体の学校の半数以上に存在しているといった報告が届いておりまして、まだ完全に十分とは言えないまでも、着実に成果があらわれてきていると判断して差し支えないと思っております。
中高校生の喫煙は生徒指導及び健康教育上の重要な課題であり、授業や特別活動の中で低年齢のうちからたばこの害を知るとともに、健康を大切にする態度を身につけさせることが何よりも求められます。こうした観点から、各学校でのたばこを含む薬物乱用防止教室の開催に力を入れていく考えであります。
また、教職員の指導力を一層高めるため、本年度から初めて採用された教員に対する研修や学校保健担当者の講習会などにおいて、新たに喫煙問題をテーマに加えて実施いたしております。
今後とも、保護者や地域の方々との連携を重視するとともに、さまざまな機会を通じてノースモーキングエリアの趣旨を徹底し、より完全なものとするよう努力してまいります。
○副議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十番野見山 海君。
○野見山 海君 知事を初め部長の答弁、教育長の答弁、ありがとうございました。
二点だけ、ひとつ要望をしておきたいと思います。
失業対策の件についてですが、今まあこういう時期で、各地域をそれぞれ議員さんが回っておられると思うんですが、やっぱりよく言われるのは、雇用を何とかならんのだろうかという話です。だれもが想像しなかった阪和銀行、県信が倒産いたしました。その職員の皆さんといいますか、その方々はいまだに就職についていない状況もあります。奥さんがパートで働きながら生計を立てておるという話もある。そういった状況の中で、ぜひとも国、県、市──「天下り」という言葉は失礼かもしれませんが、例えば十万円でもええさかいに何とか雇用してほしいという願いが正直あります。僕はもう正直、年金をもらっている人は年金をもらっていない失業者の方々に就労の機会を与えるべきではないだろうかといつも思っております。そういった意見が多いんですから、ぜひとも県においてもそういった改革を少しでもしていただければありがたいと思います。
それからもう一つは防災・災害復旧拠点についてでありますが、知事からも前向きに田辺のスポーツセンター周辺を考えていこうというお話をいただいて、ありがたく思っております。この周辺におきましては、南紀スポーツセンターの所有地が十万四千平米、あるいは田辺市所有地が五万三千平米、この三四六の焼却場が平成二十三年で寿命切れになるそうです。まあ、そんな状況であります。また、民有地が七万五千平米、全体で二十三万二千平米あります。この民有地の用地につきましては仮谷さんの身内の方がお持ちでありまして、過去、ぜひとも協力するよという話をいただいております。公共の土地には積極的に協力しましょうという話をいただいておりますんで、ぜひとも田辺市にも早くそういった取り組みを示していただくことを心から要望して、終わります。──名前を出して悪いな。
○副議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
八番西本長弘君。
〔西本長弘君、登壇〕(拍手)
○西本長弘君 明治、大正、昭和の三代にわたり常に自由主義者として閥族的専制政治に反対し続けた政治家尾崎行雄翁は、明治二十三年以来、衆議院議員に当選すること連続二十五回、実に六十三年に及ぶ議員生活を送り、今後も破れそうもない世界記録をつくられ、東京市長、文相などをも歴任、人、称して「憲政の神様」とあがめられ、我が国政治の発展に多大の貢献をされました。特に驚くのは、六十三年に及ぶ二十五回の選挙に一度も選挙区に帰ることがなかっただけでなく、選挙区の方々は金を持ち寄り、手弁当で翁の勝利のために一生懸命働き、頑張ったと言われています。まさに政治の神様であると同時に選挙の神様だったと強く思いますし、私が最も尊敬申し上げている政治家でありますが、尾崎行雄翁の爪のあかがあればせんじて飲んでみたいものであります。
尾崎行雄翁のことはこれまでにして、去る二月一日のある新聞によると、全国都道府県で最多の十四選を果たし、九十二歳の最高齢県議、滋賀県の北川弥助県議は、「この年齢になったら後進に道を譲るのが大事」と、この四月の統一選挙に出馬せず、政界を引退することを表明されたのであります。明治四十四年生まれ、昭和二十五年の二月の補選で初当選以来、平成十一年まで十四回当選し、実に五十三年間、つまり半世紀以上県議を務められた北川弥助県議は、県議会議長を三回、自民党県連会長にも三回就任されたと言います。北川弥助県議も、尾崎行雄翁同様、選挙の神様だと思います。北川県議が在任中特に力を入れられたのは琵琶湖総合開発であったと言われています。この報道を見るにつけ、私など当選七回だから、北川弥助県議の半分、まだ子供だと思っております。尾崎行雄翁はもちろん、北川弥助県議のこれまでの数々のご功績とご労苦に対し、衷心よりねぎらいと尊敬の念をささげる次第であります。そして、この和歌山の地からますますのご長寿を祈るものであります。
おかげさまで、私も胃がんの手術から十一年二カ月が経過し、ますます元気であります。今、NHKの大河ドラマ「武蔵」が好評であります。宮本武蔵と佐々木小次郎のあの巌流島の決闘は歴史に残る名勝負でありましたが、時は慶長十七年の四月十三日でありました。その日は私の初当選の記念日であり、くしくも今回の投票日も四月十三日であります。毎回でありますが、有田郡選挙区は大変厳しい選挙区でありますけれども、私は、常勝、一度も負けたことのない武蔵と尾崎行雄翁、北川弥助翁にあやかって間近に迫った統一地方選挙に死力を尽くし、私も絶対に勝ち抜く。八選勝利の暁には知事初め県当局の方々と力を合わせて、より一層紀伊半島の振興、本県の発展、母なる有田の発展に貢献してまいる決意であります。
前置きは終わりにして、質問に入る前に知事に感謝申し上げたいのは、去る平成十三年六月の本会議においてことしで五十年を迎える二八水害の映画作成を要請いたしましたが、来月二十日ごろ完成、三月末までにテレビ和歌山で放映されます。また、平成十四年九月議会の予算委員会において提案いたしました有田鉄道跡地の有効利用についても、知事は申すに及ばず、土木部幹部のご尽力を賜り、自転車道・歩道建設等に向けて進めていただいております。地元地域の方々はもちろん、県立高校、町立中学校の関係者も大変喜んでくれております。これひとえに知事のおかげであると、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。
それでは、高野山の世界遺産と国道四百八十号の整備について質問をいたしたいと思いましたが、昨日、門議員から世界遺産の登録について質問がありましたので、私はこの部分を削除いたします。
弘法大師のご加護で必ず世界遺産への登録がなされると、私は強く信じるものであります。高野山が世界遺産に登録されますと、国内外からの観光客が必ずふえて景気がよくなると思います。
今般、知事の英断で高野龍神スカイラインの通行料金が十月から無料化されることはまことに結構でございますが、元県道の有田高野線、現在の国道四百八十号は、一言で言えば大変悪い道であります。全線的に一車線及びカーブが多く、大型観光バスが走れない。特に清水町内のその道はダム建設の関連でつくったものでありますから、今後は全線を調査され、トンネル化あるいはバイパスをつくるなどして、みんなが安全で快適に走れる道に早急に整備してもらいたいと思います。
なお、答弁は要りませんが、この機会に金屋町の岩野河バイパス、国道四百二十四号海南─金屋間、さらに仮称鏡石トンネルの早期着工を強く訴えておきます。
それでは、知事並びに土木部長の熱意あるご答弁を願いたい。
次に、木材粉の自動車燃料化についてであります。
ことしの一月三日の読売新聞の報道によりますと、「木材の粉などのバイオマスを「超臨海水」と呼ばれる高温高圧の水で分解することで、自動車の燃料や、石油化学製品の原料を作る実験に坂志朗・京都大エネルギー科学研究科教授らのグループが成功した。水と木を使って「再生可能な燃料」を作り出す新技術になると期待される」とあります。我がふるさと清水町などは林業の不振で過疎化が進み、大変でありますが、紀州木の国にとってこの京大グループの成功は林業に光が当たるのではないかと私は大きな期待を寄せております。今後どのような進展があるのか、農林水産部長、林業の方々に喜んでいただくご答弁を願いたい。
次に、ミカンは有田の命──その振興について知事並びに農林水産部長に質問をいたします。
有田の命・有田ミカンは、遠く天正の時代、今から約四百三十年前、当時の糸我庄中番村(現在の有田市糸我)に住む富裕な伊藤孫右衛門様が八代(今の熊本県)から小さな苗木を持ち帰ったときから始まります。そして、我々の先祖が裸一貫、粗食と貧しさに耐え、急斜面の山をとんが一本で黙々と開墾し、有田川から重い石を肩で担ってこつこつ積み上げ、立派なミカン畑をつくったのであります。つまり、先人の血と汗と涙の集積が日本一の有田ミカンに育てたのであります。その先人は有田に住む我々にとって大恩人であり、貧しい農家に生を受けて六十三年、物事がついたときからそのご努力と受けた恩恵をひとときたりとも忘れたことがありません。
今思い起こせば、私が初当選したときの全国ミカン生産量が、驚くなかれ三百六十四万トンもありました。鉛筆ほどの幼木から営々と大きく育てたミカンの木を私は全国各県一律三〇%カットせよとこの議場で提案したのが、忘れもしない初当選後約一年の昭和五十一年三月十一日でありました。ミカン農家の未来を思って提案したのでありますが、そのときから昭和五十四年の二回目の県議選まで、私はミカン関係者に金づちで頭を殴られるか、また選挙で落とされるのではないかと戦々恐々のときもありました。
この原稿を書く前に私は、有田公園の伊藤孫右衛門様の顕彰碑の前で最敬礼して感謝とご冥福をお祈りし、これからの有田ミカンのますますの発展あらんことをご加護くださるよう合掌してまいりました。
そこで、ミカンは有田の命、ミカンは有田地方のあらゆる人々の生活の基と申し上げても過言ではありません。
過日、知事や農林水産部幹部のミカンへの認識、理解度に疑問を持ちました私は、もとがん患者である私でありますけれども、秘書課の前の非常に寒い廊下に座り込みました。心ある県職の多くの方々が、「西本さん、選挙前の大事な体です。気持ちはわかるが、もうやめてください」と何度も言われました。不肖西本長弘、男でござる、ミカンのために死ねば本望と座り続けました。その中で、松本貞次議員、吉井和視議員、生駒三雄議員、またJAありだの幹部の方々のミカンを思う友情に私は深く感謝感激いたしました。
私の手元に「死に方の極意」という本があります。その中に、「ブッダは修行の末、三十五歳でブッダガヤの菩提樹の下で沈思瞑想の後、悟りを開いた。そして彼のもとに集まった弟子たちを指導しつつ、中インドの各地を遍歴すること四十五年、八十歳でクシナガラで没したとされる。 ブッダの説いた教えは、この世はすべて「諸行無常」なるものであり、「諸法無我」の真実を悟るべきで、種々の煩悩からの束縛を断ち切り、「涅槃寂静」の境地に達することを目的としている。 そのためには「諸々の悪を為さず、善を行ない、自分の心を浄める」ことが大切である、と説く。 初期の経「法句経」の中に、「怨みは怨みによって静まらず、怨みは怨みなきによって静まる」という言葉がある。 それで思い出す言葉に、老子の「怨みに報いるに徳をもってす」がある。 ブッダも老子も、今から二千五百年も前の人、幾千里も離れていながら、聖人は同じように澄んだ心を持っていたと言わざるを得ない」とあります。
私の内ポケットに、「ミカンで生活できないので、ある免許を取って和歌山市の企業へ転職しました。西本さん、みんなのためにミカンと選挙に頑張ってください」──町内のある一青年から、ミカンを思い、私を思ってくださる温かい手紙をいただきました。その日からその手紙を私は肌身離さず、いつも持っております。またある方は、「西本さん、マルチもやらないかんが、やっぱり土づくり。昔は魚粉、つまり有機肥料で特別うまいミカンをつくった。昔へ戻らなあかんよ」と言われておりました。申すまでもなく、ミカン農家の方々の創意工夫、努力も必要であります。
仏陀と老子の教えのように、私は知事への恨みは何もありません。何もない。いい知事だと思っております。私も、より徳をもって県政に取り組みたいと思いますが、知事はもっともっとミカン農家の苦しみを人身で知るべきだと思います。そして、何としても有田のミカン、和歌山のミカンを守り、さらなる発展に努力を重ねてほしいと強く訴えるものであります。安定したミカン経営への知事の心の底からのご答弁をお願いいたしたい。
次に、県庁及び警察本部庁舎の耐震化について質問をいたします。
平成十三年の九月二十七日、政府の地震調査委員会により発表された東南海・南海地震に関する長期評価では、今世紀前半に東南海・南海地震が発生する可能性が極めて高いとされ、県民に大きなショックを与えました。さらに本年二月十二日には地震調査委員会から、紀の川の北を走る中央構造線断層帯の長期評価の発表がなされましたが、その発生確率は、これまでに長期評価が行われた我が国の活断層の中でも高いグループに属するとされています。また地震学者から、阪神・淡路大震災の発生以降、西日本は地震の活動期に入り、東南海・南海地震の発生と相前後して幾つかの活断層型の地震が発生する可能性があるとの指摘もされています。去る平成十四年七月二十六日には、知事の尽力もあって、東南海・南海地震に関する地震防災対策の推進に係る特別措置法が公布されることとなりましたが、県は今後その法律に基づき、これまでにも増して積極的な地震対策を行ってもらいたいと考えています。
ところが、これらの地震が発生したときの対応策でありますが、それを考えますと、その最も基本的かつ重要な問題にぶち当たらざるを得ません。それは、県民を守り、今のところ災害対策の拠点となるべき県庁舎及び警察本部庁舎の耐震性に疑問があるとされている点であります。特に警察本部庁舎については、阪神・淡路大震災の際にガラスが割れるなど、耐震性能は極めて脆弱だと言われています。
県は、災害対策の司令塔となるべき県庁及び警察本部庁舎の耐震化、つまり耐震補強に積極的に取り組むべきだと強く思うのであります。いずれ近い将来新築あるいは移転新築を今から考えるべきであると思いますが、知事並びに警察本部長は県民の安全への備えについてどう考えているのか、答弁をいただきたいと思います。
最後に、過日、隣の韓国で地下鉄の大きな火災がありました。犠牲になられた多くの方々に心から哀悼の誠をささげ、お見舞いを申し上げる次第であります。まさに、地震・雷・火事・交通事故であります。世界の願い交通安全、家族の願い交通安全──交通事故を少しでも減らすことは我々県民の悲願であり、だれもが安全で安心のできる交通環境が実現できることを望んでいます。
昨年は、警察や関係機関、団体等の努力により、交通事故件数が平成十二年以来二年ぶりに九千件を下回り、交通事故死者も昭和五十八年以来二十年間で最も少ない九十人となり、また負傷者も昨年より五百七十九人少なくなったと聞いております。昨年六月には飲酒運転の罰則強化の法改正もあり、交通事故抑止に効果があったと聞いておりますが、それでも飲酒運転事故による死者は、本県が沖縄に次いでワーストツーであります。交通事故を抑止するためには、安全教育あるいは安全施設の整備等は欠かせないものと思っております。
ここで歩行者の死傷事故を調べてみますと、平成十四年は六百六十四件のうち横断歩行中が実に百三十八件、交通事故死者は二十五人のうち横断歩行中が八人、負傷者は六百三十一人のうち横断歩行中が百三十二人であります。中でも、交通規制は道路標識や道路標示により行うものでありますが、ドライバーにこれを守らせるためには、より見やすく、よりわかりやすくしなければなりません。警察で行っている交通規制の道路標識や道路標示については、法律に定める基準に基づき行っていることは理解いたしておりますが、ドライバーはもとより歩行者の方々からもより見やすく、よりわかりやすいものとするためには、例えば道路標識の高さや位置、または道路標示の色などを研究・工夫することが必要であります。
現在の横断歩道の色は白、とまれも白、徐行せよも白、スピード落とせも白、追突注意も白であります。私は、現行の交通規制の道路標示等は、その白からドライバー、歩行者が目につきやすい黄色あるいはオレンジ色に絶対すべきと強く訴えるものであります。
私のこの提案をよく研究・検討されて、警察本部長は全国警察本部長会議、交通部長は全国交通部長会議等で時期を見て提案すべきと、私は強く思います。警察本部長の交通事故を減らす勇気のあるご答弁を願いたい。
終わります。
○副議長(小川 武君) ただいまの西本長弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 高野山の世界遺産登録と国道四百八十号の整備についてお答えを申し上げます。
世界遺産登録はこれからの和歌山県の発展にとって大変重要な取り組みであり、これを契機に高野・熊野を初めとする和歌山県の魅力を国内外に情報発信しながら地域の活性化につなげてまいりたいというふうに思っております。このため、関連する骨格道路の整備が重要と考えておりまして、財政状況は非常に厳しいものがありますが、これらの整備を着実に進めてまいりたいと、このように考えております。
次に有田ミカンの振興についてでございますが、有田地方の急斜面に広がる石垣を積んだ階段畑を見たとき、有田ミカンを育てた先人のたゆまぬ努力に思いをはせるとともに、四百年の歴史の重みに敬意を払い、この日本一の産地を維持発展させることが現在の我々の使命であると、改めて実感しているところでございます。しかしながら、長引く経済不況の中で農産物の消費が停滞し、ミカンの価格も低調に推移しており、ミカン農家の経営が厳しい状況に直面していることに、私も心を痛めているところでございます。
ミカンは和歌山を代表する果樹であり、その中心の有田ミカンの発展こそが本県果樹農業の発展につながるものと考えており、今後とも関係者一体となり、先人の努力を受け継ぎ、有田ミカンの発展に努力を重ねてまいりたいと考えております。
なお、具体策につきましては担当の部長の方からお答えを申し上げます。
次に県庁舎等の新築につきましては、現在の厳しい財政状況の中で県民の皆様の理解が十分得られるかということもあり、慎重に対応すべき問題であると考えております。一方、災害対策の司令塔という面から、庁舎の安全性の確保は重要な問題であると考えております。県庁舎の耐震化につきましては、平成八年度の調査において耐震改修の必要性を指摘されているところであり、早急な対応が必要であることから、平成十五年度には本館の耐震診断調査を実施するとともに、平成八年度に実施した庁舎の調査結果を踏まえて耐震改修の工法のあり方を検討するため二千万円余りの予算を計上し、補強計画を策定してまいります。
今後は、これを踏まえ、県議会ともご相談しながら庁舎の耐震補強改修を計画的に実施してまいりたいと、このように考えております。
○副議長(小川 武君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 国道四百八十号の整備についてお答えいたします。
国道四百八十号は、有田地域から高野山へ通じる道路でもあるとともに、有田地域内の各市町をつなぐ県内幹線道路として重要であると認識しております。その整備につきましては、有田市と吉備町を結ぶ須谷バイパス、金屋町内の長谷川拡幅や清水町内の三田バイパスを早期に完成させるとともに、未改良区間につきましては、ネットワーク上の位置づけや交通量に着目しまして優先順位を決めて計画的に進めていきたいと、このように考えております。
以上でございます。
○副議長(小川 武君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) まず、木材粉の自動車燃料化についてでございますが、バイオマスのエネルギー利用につきましては、化石燃料の代替として地球温暖化防止に貢献できることなどから広く研究開発に取り組まれてございます。
議員お話しの木材粉の自動車燃料化につきましては、技術革新が進む中で世界のエネルギー事情をも変革する可能性を持った新技術であり、今後、実用化に向けての研究の推移を注視してまいりたいと考えてございます。
本県におきましても、緑の雇用事業などで生産される間伐材などの有効利用に向けまして、クリーンなエネルギーとしてのバイオマス利用のあり方を専門家も交えて調査研究してまいりたいと考えてございます。
いずれにいたしましても、木質バイオマス利用は木材の新しい用途として大きく期待されており、新技術の導入も視野に入れながら、紀州材の総合的な活用による森林・林業・木材産業の活性化と地域振興に取り組んでまいります。
次に有田ミカンの振興についてでございますが、ミカン産業を取り巻く環境は、厳しい経済事情が続く中で若年層の果実離れや食生活の変化などにより消費は停滞基調にあることから、平成十四年産ミカンにつきましても生産農家の努力と期待に反して低価格で推移してございます。
そのような中で、近年、各産地では高品質ミカンの生産販売に対応した光センサー選果機の導入やマルチ栽培の普及が急速に進んでおり、本県としても時代に対応した産地体制への早急な改善が必要と考えてございます。
県といたしましては、これまでも生産流通基盤の整備や都市でのPR、学校給食の利用促進など、さまざまな対策を講じてきたところであり、平成十三年度からは新たに生果ミカンの安値補てん対策に取り組んでございます。また平成十五年度からは、マルチ栽培の推進による高品質ミカンの生産拡大対策や安心・安全を確保するトレーサビリティーシステムの導入促進、さらには大手量販店でのアンテナショップの開設など、産地の活性化を図る新たな取り組みにも着手することにしてございます。
今後とも、農家の意識改革を進めながら本県ミカンの振興に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(小川 武君) 警察本部長高綱直良君。
〔高綱直良君、登壇〕
○警察本部長(高綱直良君) 最初に、警察本部庁舎の耐震補強についてお答え申し上げます。
現在の警察本部庁舎は建設後三十五年が経過をしておりまして、老朽化、狭隘化が著しい現状にあります。その新築等につきましては、将来に向けて検討しなければならない課題であると認識をいたしております。
現在、ただいまの県知事のご答弁にもありましたように、県当局におきまして、厳しい財政状況のもと、警察本部庁舎を含めた県庁舎全体の将来のあり方について県民皆様の理解を含めた総合的な見地から検討がなされているものと承知をしておりますので、県警察といたしましても、県当局とともに鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
一方、議員のご指摘にありましたように、そもそも警察本部庁舎は震災等大規模災害が発生した場合には災害警備活動、そして治安対策の中枢拠点となることから、その安全性の確保、安全への備えの対応を急ぐべき喫緊の課題であるというふうに考えております。
現在の警察本部庁舎の耐震性につきましては、平成八年の調査におきまして、ご指摘いただきましたように耐震性は極めて低いということが判明しておるところであります。そのため、平成十五年度予算案に耐震補強工法調査及び地質ボーリング調査に係る予算を計上させていただいておるところであります。県警察といたしましては、この調査結果を踏まえて必要な耐震補強に努めてまいりたいというふうに考えております。
次に、より見やすく、よりわかりやすい道路標示等についてお答えを申し上げます。
悲惨な交通事故を一件でも少なくして安全で安心のできる社会を実現することが警察の責務であり、県民の皆様方の願いでもあります。そのため、関係機関、団体のご協力をいただきながら交通安全教育や交通安全施設の充実に努めておるところであります。
そうした中で、議員ご指摘のとおり、交通事故の抑止を図っていくためには、ドライバーや歩行者の方々に道路標識や道路標示を守っていただくということが大切であります。そしてそのためには、それら標識、標示がより見やすく、よりわかりやすくなっていくことが極めて重要であるというふうに考えております。このため、道路標識等につきましても日々改良を加えているところでありまして、本県におきましても、最近では例えば太陽電池を電源とする発光ダイオードを使用した自発光式道路標識でありますとか、ガラスビーズを混入した塗料により光をよく反射して見やすい道路標示といったものの導入を進めておるところであります。
今後とも、ドライバーや歩行者の方々からより見やすく、よりわかりやすい道路標識や道路標示としていくよう、標識の高さや位置、あるいは標示の色などにつきましても、議員のご提言を十分踏まえてさらに研究・工夫を重ねてまいりたいというふうに考えております。
以上であります。
○副議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
八番西本長弘君。
○西本長弘君 知事に申し上げたいのは、行政も個人も借金というのはない方がいいが、私の考えでは、借金は悪いことではありません。敬称略でありますが、西郷隆盛は「児孫に美田を買わず」──つまり子孫に美田を残すなと、朴訥でありますが名言を残しておられます。私は多くの宅地農地を売って、まだ多額の借金がありますが、借金ができたので県議選へ出られた。貧しい農家であったんで、金がなかった。農協や銀行で金を借りたんで、選挙に出られた。七回も当選させていただいた西本は、借金のおかげ。行政も借金してでも、景気がよくなったら税収が上がって借金が返せる。借金を恐れる者には大発展がないと私は思っております。
「人の道は心にあり。心は行いにあり」──本部長。行政にも、やっぱり勇断と迅速というものが求められるのであります。警察本部長の隣にお座りの大岡公安委員長のご尊父は、オカジ紙業株式会社の創立者でありますが、紙にかかわったときから、たとえ小さな紙切れでも粗末にせずに大切にされたと言われています。だからこそオカジ紙業株式会社は大発展を遂げたものと思いますし、ご尊父様は立志伝中の立派な人であります。(「委員長も立派やで」と呼ぶ者あり)委員長は、もう申し上げるまでもなく立派な方であります。高綱本部長も田舎の県会議員の提案を軽く見ないで、大岡翁のような敬けんな精神で県民のとうとい生命を守り、悲惨な交通事故をなくすために早目によく検討して、しかるべき会議に和歌山県の西本提案を自信を持って提案してほしいと思います。そしたら、間違いなく、必ず交通事故が減ります。私の言うことを聞いたら。いや、本当ですよ。
あと九分ありますから──不肖西本が提案した半島振興法は、当時の仮谷知事の全国知事会での提案があったればこそ、全国の半島地域の方々や当時の玉置和郎先生、当時の稲村佐近四郎国土庁長官、さらには二階堂進自民党副総裁などの先生方の半島出身の実力ある先生方の大変なご尽力で同法が成立したのであります。
私が何を言いたいかと言うと、国会議員ではありませんので、知事が全国知事会で、仮谷志良先生のように勇気ある提案をやってください。本部長も、井原交通部長も、必ずこの提案をしてくれよ。これを白から黄に変えたら、オレンジに変えたら犠牲者が減るんですよ、絶対。うそは申しません。
終わり。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で西本長弘君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時二十四分散会