平成15年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十七番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、早速質問をさせていただきます。三点について質問を申し上げてまいります。
まず初めに、医療費問題についてでございます。
私は、十二月議会の一般質問で、国保料・税滞納者に対する資格証明書を安易に発行しないよう改善を求めてきたところです。知事は早速市町村に対し通知による指導をなされたと聞きます。滞納者との面談、そして実態把握と十分な納付相談を心を込めて行うということを強調した内容となっています。その効果を私は期待したいと思います。
老人医療費改正が実施されて五カ月が経過した今、お年寄りの生活にどのような影響を与えているのか、私の知る範囲で実態を申し上げ、知事はどのような認識をお持ちか、お尋ねしてみたいと思います。
定額一回八百五十円が定率一割負担になってまいりました。負担が重いという中で、受診抑制や診療中断は一層強まっている状況です。特に高血圧、糖尿病など慢性疾患の人は、受診回数を減らし、在宅診療、看護でも回数が減少していると言われています。
日本医師会の調査では、昨年十月から三カ月間の高齢者の受診回数は、外来・在宅が前年比で約六%減少、入院が〇・二%減少しています。外来の受診抑制が進んでいると報告をしておられます。
私の周りでも、ひとり住まいのお年寄りが糖尿病と高血圧で治療を続けていましたが、医療費が幾らかかるか不安だからと、九月以降受診をしていませんでした。ところが両足にしびれ、痛みの症状が強くなるものの、受診もしません。両足の歩行障害が進み、足を切断するという痛ましい事例も発生いたしました。
二月二十日、朝日新聞紙上にも、負担の重さから、在宅酸素療法が必要であるにもかかわらず死を覚悟の上で中断するという事例が報道されています。
七十五歳の男性、妻と二人暮らし。慢性肺気腫で七年間在宅酸素を続けてきました。肺機能は健常者の半分以下、衣服の着脱も酸素吸入なしでは息苦しい。それでも酸素吸入を中断しました。九月までの医療費は、月二回の在宅診療と持病の薬で千七百円で済みました。十月からこの治療を続けようとすれば月一万一千三百十円と、大きく負担が上がりました。在宅酸素療法だけで、負担は一割で八千円です。八千円以上は限度額を超えているから申請すれば二カ月後に返ってくるという状況でありますが、それでも七倍の負担増であります。この老人は、妻と二人暮らしで、年金月十二万円の収入です。必要な医療を安心して受けられない実態であります。この男性は、「二人でろくなもん食べられんで餓死するより窒息死した方がよか」と言われたそうです。こんな言葉が今の時代にあっていいものでしょうか。病状が悪くなり、死ということをみずから選ばなければならない。この思いをどう受けとめればいいのでしょうか。在宅酸素療法は、重い呼吸器障害のある人が自宅で酸素吸入することで生活の質を向上させ、寿命を延ばす大きな役割を果たしてきました。負担増で確実に寿命を縮めている人がいるのです。
今、全国で年間十一万人が在宅酸素療法の治療を受けておられるそうです。一〇%の人が医療費負担増のため中断していると聞きます。こうした実態について、国会の予算委員会等で我が党の志位委員長が、「在宅酸素療法の中断で亡くなった人もいます。これを痛みの一言で片づけていいものか」と質問をいたしました。こうした事態に小泉首相は、「酸素をとられたら命がなくなっちゃう。まさか、そんなばかなことをするわけがない」と答弁しましたし、また「必要な医療は抑制しない」とも答弁しています。国民の苦痛に耳を傾けようとしないばかりか、実態を無視する姿勢に私は大きな怒りを覚えるばかりです。
こうした実態は全国にあります。広がっていると考えます。私は、心から訴えたいと思います。必要な医療がいつでもどこでも安心して受けられる医療制度に改善すること、そして老人医療費については緊急課題として軽減を図るべきだと思います。知事、あなたは負担増によってお年寄りたちにどのような影響を与えていると認識をしておられますか。所見をお聞かせください。
国の制度改革によって、県下のお年寄りはもちろん、県民の負担増への不安は高まるばかりです。こんな時代だからこそ、地方自治体がお年寄りの命を守る力を発揮してほしいと願うものです。
昨年、六十七歳から六十九歳までの老人医療費補助制度の所得制限を大幅に引き下げました。補助対象となる年収がお年寄り一人の方で百万円、ご夫婦二人で百四十万円というのでは、生活保護以下での基準であります。お年寄りの生活実態調査などを行い、補助対象拡大を改めて求めるものです。いかがですか。知事の勇気ある答弁をいただきたいと思います。
次に、健保本人三割負担が四月から実施されようとしています。この五年間で労働者の賃金も六十七万円減り、厚生年金加入者も三年間に約百二十八万人減少しました。大不況の深刻な状況の中にあって、リストラ、企業倒産、失業・雇用問題に至っては不安が募るばかりであります。こうした社会情勢下であるにもかかわらず、国は医療、年金、介護、雇用等の社会保障の全面改悪計画を強行しようとしています。
皆さんに配付している資料を見ていただきたいと思います。これらの計画がすべて実施された場合、国民負担増は年間四兆円に達すると言われています。とりわけ、命と健康にかかわる健保本人三割負担が実施されたなら、はかり知れない問題が発生するのではと不安を感じるところです。
かつて、健保本人負担が一割から二割負担に引き上げられたとき、病状がありながらもぎりぎりまで我慢する人がふえ、重症化する事態がありました。本当に必要な医療がここでも安心して受けられないという証明ではないでしょうか。
国は、国保が既に三割負担だと言って、健保についても三割負担が当然という姿勢です。三割負担の重さの中、国保では、病気が重症化した割合を見ますと健保本人の五倍に、また中小業者の団体である全国民主商工会連合会の国保加入者を対象にした調査では、病気で亡くなった百七十三人のうち四人に一人が初診から一カ月以内に死亡しています。さらに、二十四時間以内に死亡した人は一二%であり、重症化と、既に手おくれにあることが急増していると言えます。したがって、健保本人三割負担増においても同様のことが起こり得ることはもう明白です。
国は、健保財政の悪化を主張し、国保との公平負担を強調していますが、一九九三年、健保に対する国の負担率を黒字だからといって一六・四%から一三%に引き下げ、二〇〇二年度までの十年間に一兆六千億円も削減しています。国は、健保財政が赤字になったらもとの一六・四%に戻すことを約束していましたが、財政悪化と言いながら、いまだにもとに戻していません。もとに戻すべきです。
二〇〇三年度予算では、年金、介護、雇用、医療など、いずれも国民に二兆七千億円もの負担を押しつけようとしています。相次ぐ国民負担増に国民は怒っています。医療に関しては、四月実施予定の健保本人三割負担について、国民の健康に対する責任を放棄し国民皆保険制度を根底から崩壊させるものである、凍結せよと、日本医師会、日本歯科医師会、薬剤師会、看護協会の四師会を初め医療関係者、労働組合、社会保障推進協議会など、かつてない運動が広がっている現実です。我が党は、緊急要求としても多くの皆さんと共同して運動に参加をしているところです。
国会では、ご存じのように、民主党、自由党、社民党、そして共産党が共同してこの四月実施の凍結法案を提案し、その成立を目指しているところであります。北海道議会では、全会一致で三割負担延期を求める意見書を決議するなど、各地で議会請願が広がっています。世論は凍結を求めていると私は思います。県民の苦痛に耳を傾ける知事として国に凍結を求められたいのでありますが、いかがですか。知事の答弁を求めたいと思います。
二つ目の質問として、踏切内の安全対策についてであります。
去る一月十七日、東大阪市の近鉄大阪線俊徳道三十号踏切で、車いすで通行中の女性がくぼみに落ち、転倒して特急電車にはねられて死亡するという痛ましい事故がありました。ちょうど私たちも紀ノ川駅を中心とした住民アンケートに取り組んでいたときであり、アンケートの中にも踏切内のくぼみが大変危ないので何とかしてほしいという声が寄せられていたやさきの事故でしたから、強い関心を持って見守ってきたところです。
この踏切は紀ノ川駅につながり、県道紀の川停車場線上に位置する南海電鉄本線と加太線の分岐点でもある孝子第十七号踏切であります。道路幅七・五メートルに四本の線路が走る、警報機や遮断機のついた比較的広い踏切でもありますが、踏切内は両側に歩行者や車の通行帯を示す黄色い線が引かれ、八十センチ幅の歩行帯が白線で引かれています。そして、四本の線路を支える部分は特殊ブロックなどで固定されていますが、両側に九カ所の台形の段差と表現するのか、くぼみがあり、そのくぼみは深さ十四センチから二十二センチ、幅約二メートル、長さ約一・四メートルから一・八メートルのものになっています。
この踏切の交通量を見てみますと、一日十二時間測定で一万五百五十九台、ピーク時は一時間に九百九十五台。学校の通学路でもあります。自転車、単車と歩行者の混雑もあり、お年寄りや子供には大変危険な踏切でもあります。問題は、九カ所の段差、くぼみに単車、自転車などが落ち込むこと、歩行者がくぼみを歩いて渡らなければならないこと。事故が起こらないのが不思議なくらいだと、近所の方々はいつも話しておられます。幸いにしてこの三年間は大きな事故がなかったようですが、しかし単車、自転車などの転倒事故はたびたびであると聞きます。事故防止の対策が急がれる踏切と言えます。
私たちは、一月二十一日、南海本社に要望書を提出し、話し合いもしてまいりましたが、ぜひ県としても事故防止対策の問題として段差、くぼみの改善を南海電鉄に働きかけていただきたいと考えるものですが、土木部長の考えをお聞かせ願います。
既に近鉄では改善が行われました。さらに、車いす利用の多い踏切点検調査を進め、再発防止に努力されていると聞きます。県下にはJR、南海等の踏切が数多く存在するでしょうが、特に交通量の多い踏切に限定した安全対策の観点から、JR、南海との共同で点検調査に取り組まれたらいかがでしょうか。企画部長の考えをお聞きしたいと思います。──知事にお見せします。(写真を渡す)
三つ目の問題に入ります。企業誘致に係る補助金について。県土地開発公社が工業用地造成を行い、昨年十二月十三日に東急車輛との間で土地売買契約が成立した件に関連して幾つか質問を申し上げたいと思います。
今議会には、工場等用地特別対策事業補助金の一部として、五億千五百万円が県土地開発公社への補助金として計上されているところです。私は、この工業用地の問題について、去る平成十年二月議会におきまして取り上げたことがございます。そのときは、問題の土地が農業地域であり、農業を続けたいと願う農家の意思を尊重されるよう求め、また企業の都合によって虫食い地などになった場合や企業進出ができなくなった場合のおそれなどについて質問をいたしました。昨年の契約成立によって企業の進出が本決まりになったことは、雇用の拡大、地域の活性化につながる可能性があることとして、当局の皆さんには大変ご苦労されたことに敬意をあらわしたいと思います。今回は、そうした期待のある企業誘致のためとはいえ、余りにも県民の税金が野方図に使われていやしないかと私は考えるものですから、その点から質問を申し上げたいと思います。
経過を簡単に述べますと、堺市にある東急車輛製造大阪工場が移転の必要に迫られ、県に対して企業進出の打診があり、打田町北勢田にある県土地開発公社の企業団地の面積では狭いということから今回造成された用地が選ばれたものです。県と打田町、県土地開発公社の三者で、平成八年十月一日付で工業用地取得造成事業に関する開発基本協定書が締結され、打田町が用地取得を担当し、県土地開発公社がこれに協力する、用地造成は公社が行い、資金は公社が調達することなどが決められております。当初の事業費総額は九十億円を超す膨大なものでした。平成十二年十一月三十日には、県、打田、公社、東急車輛の四者で、八項目から成る打田町への工場進出に関する協定書が締結されております。同時に公社と東急車輛との間で土地売買予約契約書が結ばれ、その中では売買代金を四十五億一千五十五万二千円とすること、予約金としてその一〇%の金額を平成十二年十二月二十八日までに支払うこと、残額は平成十五年九月三十日までに一括で支払うこと、納付期日までに完納しないときは遅延利息として年一四・六%の割合で算定した金額を支払うことなどがうたわれております。この四十五億円については、公社が土地価格の鑑定を依頼した不動産鑑定書が一平方メートル当たり約四万六千八百円とした意見を出したのを参考に決められたと聞いております。一つの土地鑑定書だけを参考にしたことが適切だったかという問題はありますが、この鑑定書によれば、近くに公社が所有する工業用地が一平方メートル五万五千円として参考価格とされました。東急車輛用地が大規模であることから、それよりも一五%安い値段がつけられたとなっています。土地の値段は流動的であり、個別の事情も当然勘案されるものですが、今回の工業用地は東急車輛からの依頼に基づいて用地買収、土地造成が行われたものであり、一般的に工業用地を造成したところへ企業が進出してきたケースではありません。当然、その原価も価格設定には考慮される必要があると考えます。公社がこの工業用地を造成するためにかけた資金は、用地費及び補償費が四十七億八千四百万円、工事費が約十億円、利息を含めた事務費が七億五千七百万円、合わせて六十五億四千百万円だということです。東急への売買代金四十五億円余りとの差額は実に二十億三千万円であり、その差額を県と打田町が負担することになります。
商工労働部長にお聞きいたします。
私は、県が今回の企業用地の売却に当たって、用地購入、造成などにかかった原価を無視した価格を設定したことに納得がいきません。打田町が負担するという五億円余を除いた県負担額は十五億一千五百万円にもなります。県の企業立地促進対策要綱によりますと、「工場用地特別対策事業補助金の交付要件は、用地の取得造成に要した価格を割り引いて新規立地する企業に譲渡する場合、三万平方メートル以上の工場敷地がある場合には、新規地元雇用者が三十人以上ある場合か、工場における新規地元雇用者の予定者が五人以上であって従業員数が五十人以上見込める」ことが条件となっております。しかるに、ここで言う新規地元雇用者とは、「新規立地する企業に新たに採用された常用雇用者であって、当該工場において勤務を開始するまで三カ年以上継続して県内に住所を有していた者、または県外の企業に勤務し、もしくは県外の学校に就学するまで三カ年以上継続して県内に住所を有していた者」となっております。今回の補助金はこの条件に該当するのでしょうから、新規地元雇用者等を何人と見込んでいるのか、お示しいただきたいと思います。
また、交付対象額は次のように規定をされています。「県との協議により、市町村等がその用地の取得造成に要した価格を割り引いて新規立地する企業に譲渡するのに要した額に二分の一を乗じた額」とされています。割り引いた額とは幾らかわかりませんが、原価とされている六十五億四千百万円と譲渡価格との差額をその額としますと、十億円余がその限度額となるのではありませんか。しかし実際には、県はこの件で十五億一千五百万円を公社に補助することになります。当局は盛んに、電源立地交付金からの十億円の原資は国からのものだから差額には含まれないと言いますが、この十億円も県から公社への補助であることに変わりありません。補助の上限と考えられる十億一千五百万円を超えた補助を行うことについて、納得のいく説明を求めたいと思います。
次に、打田町に五億一千五百万円を負担させる根拠についてお尋ねをいたします。
打田町が入った開発基本協定書には、そうしたことが何も書かれておりません。五億一千五百万円と言えば、打田町にとっては膨大な金額です。同町では、介護保険の保険料の大幅な引き上げが予定されています。年間約四千九百万円の町民負担増が予定されているとのことです。五億円と言えば、その十年間分に相当する金額でもあります。固定資産税が入ることはありますが、それが全額町財政に寄与するものでありません。打田町が膨大な財政負担を強いられることになった根拠を明らかにしていただきたい。県と打田町との間でそうした約束があるのでしたら、お示しいただきたいと思います。
最後に、地元雇用の問題であります。平成十二年十一月三十日の協定書の第五項は、「工場従業員については、地元住民の雇用に特に配慮するものとする」と書かれております。さきにも地元雇用についての見込みをお聞きしましたが、協定書の契約当事者として県はこの点についてどう進めようとしておられるのでしょうか。お答え願いたいと思います。
これで、第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 老人医療費負担増の質問にお答えします。
今回の改正により、平成十四年十月の高齢者の医療費が対前年同月比で減少したことなど、議員ご指摘のような影響があることは承知をしております。しかしながらこの制度改正は、高齢化の進展等により医療費が増大し、医療保険財政が厳しい中でこれからも国民皆保険制度を維持するため、また現役世代の負担との均衡を図るために高齢者の方にも応分の負担をお願いすることとなったものでございますので、ご理解をお願いいたします。
なお、新しい高齢者制度の創設など医療保険制度の抜本改革の早期実現を国に対し要望してまいります。
次に県単独の老人医療費助成制度につきましては、昨年度の二月議会においてもお答えいたしましたように、制度が創設された当時に比べ、高齢者の方々を取り巻く社会経済状況は大きく変わってまいりました。また、県財政を取り巻く環境も厳しさを増している中で、来年度の介護給付費県負担額も六十六億円から七十一億円へと五億円増加するものと予想されるなど、増大、多様化する福祉ニーズに対応していかなければなりません。
議員ご指摘のとおり、高齢者の方々を取り巻く生活環境は大変厳しいものであることは十分認識しておりますが、現状では老人医療補助対象を拡大することは難しい状況でございます。今後は、必要性の高い福祉施策を重点化し、各種施策を推進してまいりたいと考えております。
健保本人の三割負担の問題についてでございます。
医療保険制度の中で安定的運営を確保するとともに、将来の保険制度の一元化に向けて各制度を通じて給付率の統一を図るとの観点から決定されたものでございます。
三割負担の導入は不況下の消費縮小化傾向に拍車をかけるなどとして凍結を求める声があることは、十分承知をいたしております。しかしながら、急速な少子・高齢化が進む中で国民皆保険制度を守っていくためには、患者、加入者、医療機関等関係者間で負担を分かち合っていかなければならないと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 孝子第十七号踏切につきましては、二車線あり、歩行者等が通行できる路肩もあることから、一定の安全性が確保されていると考えてございます。しかしながら通学路であり、自転車、歩行者が多いため、段差解消について南海電鉄と協議してまいります。
以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 県内の踏切の安全点検調査についてお答えを申し上げます。
本年一月十七日の近畿日本鉄道大阪線での踏切事故を受けまして国土交通省鉄道局では、同種事故の再発防止について鉄道事業者を指導しますとともに、道路管理者に対しましても周知しているとのことでございます。この指導を受けまして、県内の鉄道事業者におきましては現状を調査するとともに今後の対策について検討中でございます。
また、国におきましても事故防止策について同様に検討が進められてございまして、その結果によりしかるべき対応がなされるものと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 企業誘致に係る補助金についての三点についてお答え申し上げます。
まず、二十億円余の補助金は適切かについてでございますが、打田東部地区の工業用地造成事業の事業費総額は約六十五億円であります。しかしながら、用地買収当時に比べ、土地価格の下落、景気の悪化等により企業への売却価格が低下したため、事業費の抑制を図るべく、国からの電源立地特別交付金を平成十年度及び十一年度に各五億円、合計十億円を充当したところでございます。また県では、和歌山県企業立地促進対策要綱に基づき、県土地開発公社の財政力等を勘案して約五億円を補助することとしております。
次に打田町の負担につきましては、平成八年十月に締結した工業用地取得造成事業に関する開発基本協定書に基づき、地域開発と経済の活性化を図るという趣旨から打田町が判断されるものと理解しております。
次に、進出に当たっては、平成十二年十一月に締結した協定書に基づき、企業側から、従業者数は約百五十名、うち地元雇用は約十名を確保するとの計画がなされてございます。
なお、雇用計画の実効性を図るべく、協定書の遵守について強く働きかけてまいります。
いずれにいたしましても、厳しい経済状況の中でこの東急車輛の進出は、これからの打田町のみならず県の雇用と活性化に大きく寄与するものと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただいたところです。
最初に、踏切の段差解消。これはもうぜひ積極的に鉄道関係者に働きかけて安全策をとっていただくようにご努力をお願いしたいというふうに思います。
それから医療費の問題ですけれども、知事の言うことはよくわかるんです。でも、これは今の段階で本当にお年寄りの皆さんたちが大変な状況になっているということをまず第一点として申し上げておかなければなりませんし、とりわけ慢性疾患の患者さんたちというのは、生涯お薬、それに医者に通わなければならないという状態が続くわけですから、経済的な問題がどうしてもそれに先行するわけです。介護保険料も引き上げられるようになりますし、また年金も〇・九%──わずかな年金も引き下げられるという状況になるわけですから、こうした状況のもとで今こそお年寄りの皆さんたちの医療について支援することが地方自治体の役割ではないのかなというふうに私は強く思っているところです。
昨年の八月に大幅に削減をされたということがありますから、こういう点でも──まあ、去年したばっかりやからようせんよという気持ちもおありかと思うんですけれども、しかし死に至るような状況が生まれてきているという実態については率直に受けとめられて、それをどのように改善していくのか、経済的負担のためならば県がどうするのかというところあたりを段階的な解消として検討をいただけたらありがたいなと思っています。
そういう点でも実態調査──これは担当課に聞くと、していますよと言うんですけれども、私たちの前に出てこない。どのような状態ですかと聞いても、それは出てこないわけですから、実態という点から見れば、もっともっと深刻な状況がたくさん出ていると思います。そういう点でも、実態調査をきちんとまずやった上でそれを改善する、支援策をとるということをぜひとも進めていただきたいというふうに思います。お年寄りの皆さん方への支援策を今後の課題として検討していただきたいと思っております。
それから、三割負担の四月実施の問題ですけれども、知事、ご存じですか。一九八四年、健康保険の十割給付が一割負担に、また二割負担ということが一挙に出されましたけれども、これを多くの皆さんたちが、問題がある、負担が多過ぎるではないかということで経過措置として一割ということが一定決まりましたね。それが過ぎて今、二割負担という現状まで来ているわけですけれども、国はその審議のときに、国保の給付割合を八割にして患者負担を二割に引き下げることを国民に約束をしているんですよね。そして、そのときの厚生大臣が渡辺恒三さんですが、この方が一九八四年七月五日、国会答弁の中で、将来目標として昭和六十年代後半のできるだけ早い時期に七割給付を八割に引き上げたいと、こういうことの答弁をされて、そしてその後、橋本龍太郎さんも、八割にするよう必要な措置を講じるというふうに修正案などを出されて、健康保険法の附則にこのことが盛り込まれているんですよね。ところが、約三十年たった今でも、これが行われていないという現実があるわけです。そういう点で、昨年の医療法の十月の改正のときにこの文書が削られるというような事態が起こっているわけですけれども、このときに多くの国民の皆さんたちから、約束を守れという大きな運動がありました。しかし、いまだにこの約束が守られていないという現実の中でさらに三割に引き上げるというのは、私たちとしては非常に納得いかない。国の問題でありますけれども、しかしこういった問題を歴史的につかむことが必要だと私たちは思っています。そういう中での県民への負担増があるわけですから、そういう点でも私は、国が国会で答弁した公約をやっぱり守っていくということが今何よりも求められていると思うんですが、こうした経過について知事はご存じでしょうか。お答え願いたいと思います。
そういう点で、私はどうしてもこの三割負担というのは──きょうの私どもの「赤旗新聞」では、四十三府県議会で意見書が求められていると述べられております。お医者さんたちの経営も含めて今大変な問題だと思いますし、患者さんたちの声も日に日に大きくなっていますし、運動の広がりもあります。今、この国民世論を知事がどう反映させていくのかということが地元からの声としてあり、ぜひとも国への働きかけを積極的にやっていただきたいと思うわけですが、する必要はないというふうにお感じになっていらっしゃるんでしょうか。お答え願いたいと思います。
それから、東急車輛の問題について一言申し上げておきたいというふうに思うわけですけれども。
この打田町への企業誘致の問題、電源立地交付金が県からの補助金には含まれないということだと思うんですけれども、開発公社の決算文書を見てみましても、電源交付金の十億円について「県補助金」と記入をされているところです。これ、二十億円という用地造成の原価と東急車輛への売却価格との差は、余りにも大きな金額です。緊急避難的といいますか、そういう対応をとったのだと思わざるを得ないと思うんです。しかし、売却価格が造成前の農地の買収総額よりも安い値段を設定したところに無理があったんではないかというふうに私は考えるものです。
最初の質問でも申し上げましたけれども、公社は県から依頼を受けてあの土地を買収し、造成したわけですから、その原価が売却価格に反映しないようなやり方は今後に禍根を残すのではないかというふうに思うわけです。公社が売り残して持っている土地ではありませんわね。今後の土地売却に当たっては、一つの土地鑑定書だけにとらわれずに、県下や複数の鑑定書に基づいて売却価格を設定してもらいたいと考えるんです。どうでしょうか。ご答弁をお願いします。
そして、打田町への五億円の負担ですけれども、私が見せてもらっている覚書によりますと、平成八年に西口前知事と梅田公社理事長、根来打田町長の三者の署名のあるものですけれども、これには、売却で差額が出たときには県と打田町とで協議し、解決すると書いてあるんですね。この覚書について県の担当者は、覚書がないというふうにおっしゃっています。今探しているというようなことをおっしゃっているわけですけれども、これはつづりとして、記録としてきちんとあるはずだと思うんですが、こうした覚書があること、これはお認めになりますか。お答えいただきたいと思います。
以上、第二質問を終わります。
○議長(宇治田栄蔵君) この際、申し上げます。
一般質問項目表の村岡キミ子君の質問のところでございますけれども、「医療問題について」の三について、「健保本人三割負担贈」とあるこの「贈」の字でございますが、かいへんとなっております。これがつちへんでありますので、この訂正をお願い申し上げたいと存じます。
それでは、引き続きまして村岡キミ子君の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 老人医療の問題については先ほどご答弁したとおりでございますけれども、しかしながら、命にかかわることで、本当に困っている方の状況というものは、これは真摯に把握していかなければならないというふうに思っております。
それから、健保本人の三割負担。これは、一割から二割というときにいろんないきさつがあったということは、私も、ずっと知っていたわけではありませんけれども、勉強をいたしました。しかしながら、この三割負担の問題については、実はもうつい最近決まったことなんで、僕は、日本の国がこれからあんまりころころと決まったことを変えていくと、国民は何を信頼したらいいのかということになるんじゃないかというふうな感じを実は持っているんです。それで、今、三割負担の問題についてはいろんな議論があるということは僕は承知をしておりますし、それから国の方でもいろんな動き、そして各地方議会でもいろんな働きかけとかいろんなものがあるということは承知しておりますけれども、しかしながら、やはり国というのは一度決めたことは守っていこうというふうな姿勢も大事なのではないかと、こんな感じを私自身としては持っているところでございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) まず電源立地交付金についてでありますけれども、これにつきましては、国に対しまして打田東部工業団地造成ということで申請をして交付を受けてございますので、私どもとしては特定財源として処理をしているところでございます。
次に打田町との覚書の件でございますが、これにつきましては、打田町と県、それから開発公社の三者で覚書を交わしてございまして、これについては私どもにもございますので、ご報告いたします。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 議長、ご配慮ありがとうございました。
知事さん、もう決まったことをあれやこれやと言って変えるということはいかがなものかと、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども、しかし現実に介護保険だって、本当に問題が多いということで四月実施を十月に延ばすとか、あるいはこの健保の二割負担の分については経過措置として一割負担にするという、そういう実際があるわけですから。これだけ国民がこの問題について関心を高め、そして本当に改めてほしい、今は本当にやってほしくないという切実な世論、それからこの医療費三割負担については、三千万人を超す人たちが反対署名をして国会へ請願しているわけですよね。そういうときに、国会では十分な討論をしないまま途中で討論を打ち切るというようなことがやられているという現実の中で、本当にこの問題がこのまま通っていいのかというのは国民の大きな疑問になっているわけです。負担増をすることによって国民の命と健康というのはだんだん後ろへ追いやられていくということと、それから重症化して医療財政がますます苦しくなる。そうすると、家計や経済そのものにも大きな影響を及ぼしていくということでは大変だということで、医療財政が緊迫する中でまた引き上げなければならないというような問題が起こるわけですよね。悪循環を繰り返しているのは現実です。ですから、そういう点を今きちんと反省をするというところに立たなければいけないというふうに思うんです。
どうしても知事さんは、国がやっているから、もうそれはそのままやったらええんやというような姿勢に変わりがないようでありますけれども、私は非常に問題だと思いますし、そういう点では県民の声に耳をかす、国民世論に対しても真摯に受けとめるということが重要だというふうに思いますので、この点を指摘したいと思います。
それから東急の問題ですけれども、これはやっぱり平行線をたどるでしょう、問題については。しかし、企業誘致によって雇用を拡大していくというのは大変いいことだと思いますし、私たちもその企業が来て発展していくと同時に和歌山県の経済効果を大きくもたらす、そして地域の住民の皆さん方に信頼をされていわゆる雇用がきちんと守られると、そういう点で申し上げているわけですけれども、県民の税金そのものについては、やっぱりもっときちんと使っていただきたいというふうに思います。そういう点を指摘しておきたいと思います。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時二十七分休憩
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