平成15年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十五年二月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
     ─────────────────────
議事日程 第四号
 平成十五年二月二十四日(月曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十三番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         内   田   安   生
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       阪   口   裕   之
     教育委員会委員長職務代行者
                駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    高   垣   博   明
     警察本部長      高   綱   直   良
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
     ─────────────────────
  午前十時二分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十三番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 皆さん、おはようございます。ただいま議長のお許しを賜りましたので、通告に従いまして一般質問を行わさせていただきます。
 昨年十二月定例会における一般質問以来本日まで七十五日、この間、休刊日を除いて毎日発行されますマスコミ各紙に関西国際空港に関する記事が掲載されない日はないと言ってもいいほど、連日のように関西国際空港をめぐる話題が紙面をにぎわしてまいりました。ここにこの切り抜きをまとめたものがございますが、実に五十七回、このように掲載をされているわけでございます。しかも、その記事のほとんどは、有利子負債が一兆円を超え、一年間の支払い利息は三百六十三億円に上るとか、関空民営化なお多難とか、二期滑走路延期もとか、低収益の地方五路線休止などなど、暗い話題が極めて多かったのであります。
 今回、私は実のところ一般質問を行う予定ではございませんでしたが、和歌山県にとって県益向上に欠くべからざる問題として関西国際空港の二期、平行滑走路の二〇〇七年供用開始とその後に続く全体構想の実現という、国益、県益にかなう重大事であることにかんがみ、急遽質問をいたすことと相なったのであります。
 以下五点にわたり、関西国際空港を取り巻く諸懸案について、木村知事並びに垣平企画部長のご所見をお伺いいたします。
 第一に、伊丹空港に関する問題についてであります。
 昨年末、国土交通大臣の諮問機関である交通政策審議会航空分科会の答申の中で、伊丹空港の騒音対策費について負担の適正化が必要として、受益者負担に変更することを打ち出したと報じられておりました。本来、伊丹空港は欠陥空港でありますし、そのために時間をかけて議論を尽くして調査を重ねた結果、泉州沖に伊丹にかわる新空港を建設することとなり、地元や周辺の多大の犠牲の上に関西国際空港が建設され、その完成と同時に廃止されることになっていたのであります。それが、関西国際空港の完成が近づくにつれ、十一市協を初めとする伊丹空港の地元のエゴにより、一転して存続することとなってしまった経緯は皆さんよくご存じのとおりであります。廃止されることになっていたそんな欠陥空港に毎年約百億円、これまでに一兆円になんなんとする巨費が国費で投入され続けてきたという事実は、どう理解すればいいのか。しかも、この巨額な金は何の事業効果も生まない非投資的経費であるという点をすべての関係者は直視しなければならないと思います。しかも一兆円という巨費、関西国際空港が抱える有利子負債とほぼ匹敵するとは何たる皮肉でありましょうか。さっさと伊丹空港を廃止しておけば関西国際空港の負債がこれほど巨額に膨らむこともなかったし、二期工事ももっと早く完成できたかもしれません。さらには、着陸料や駐機料、空港利用料などももっと下げることも可能であっただろうし、アジアのハブ空港をめぐるライバル空港との競争にも悠々と勝つことができたと私は断言したいのであります。
 まだまだ申し上げたき点が多々ございますが、この問題につきましてはさきの十二月議会においても質問しておりますし、その際、木村知事からも答弁をいただいておりますので、この点に関しては今回は要望ということにしておきたいと存じます。
 第二に、関西─羽田間のシャトル便が近く減便され、しかも時間帯に大きな偏りが出ることが明確になりました。
 二月一日の航空各社の発表によりますと、本年四月から関西発羽田行きのシャトル便、午前十時発JAS便、同十一時四十分JAL便、午後一時四十分発ANA便の三便がなくなり、関西発羽田行きの便は午前七時五十分から午後三時の間、約七時間以上にわたって空白が生じることになってしまうのであります。
 午前十時発のJAS便などは、私も何度も利用させていただきましたし、まことに利便性が高く、常に満席に近い状態であったことを記憶しております。また、シャトル便というのは、等間隔で定期的に飛ぶからこそ「シャトル」と言うのであって、七時間以上も空白があるようでは、もはやシャトル便とは言いがたいのであります。このままでは利便性の低下は避けられませんが、一体何ゆえにこういう変更が起こるのか。また、もとに戻させるべく関係各方面への働きかけが必要と考えるが、いかがでありましょうか。知事のご所見をお尋ねいたすところであります。
 第三に、関西国際空港をめぐって常に航空各社から苦情が絶えない着陸料や駐機料の問題であります。
 例えば、国内線のジャンボ機・ボーイング747─400D型の着陸料は、関西国際空港が五十一万八千七百円であるのに対し、カナダバンクーバー空港は九万三千八百八十三円、韓国金浦空港が四万八千九百七十円であり、関西国際空港は金浦空港に比べて実に四十六万九千七百三十円も高いことになります。というよりも、もっとわかりやすく言えば、関西国際空港は金浦空港の十倍以上も高い着陸料ということになるのであります。これでは航空各社から不平不満が出るのは当たり前ではないでしょうか。
 一方、国際線のジャンボ機・ボーイング747─400型の着陸料は、関西国際空港が八十二万五千五百五十円であるのに対し、シンガポールチャンギ空港が二十四万六千三百九十七円、韓国仁川国際空港が三十一万九千四百四十円となっているのであります。関西と仁川の差は、実に五十万六千百十円。もし一年間毎日定期便を飛ばし、着陸料を払い続けるとすると、年間で実に一億八千四百七十三万百五十円もの巨額の差が生まれることになるのであります。当然、航空会社の中にアジアの到着地を高い関西国際空港を避けて仁川にしようというところがあらわれたとしても何の不思議でもありませんし、現にそういう動きがあります。国際競争力に打ち勝つために速やかに着陸料や駐機料の値下げを行うよう関係各方面への働きかけを強めるべきであると思いますが、企画部長、いかがでございましょうか。
 第四に、同じ論点で、空港利用者の不満が強い空港利用料や駐車料金、通行料などの値下げについて、企画部長にお尋ねをいたします。
 第五に、平成六年九月四日の開港以来ほぼ順調に業績を伸ばし続けてきました関西国際空港でしたが、平成十四年、初めて大きく前年実績を割り込みました。発着回数で見てみますと、国内線で過去最高だった平成十三年の五万三千八百六十五回に対して四万七千八百五十一回、対前年比八八・八%と落ち込み、国際線で過去最高だった平成十二年の六万九千七百三十七回に対し六万三千三百四十五回と、九〇・八%に下落してしまったのであります。このような業績悪化は一体何に起因するのか、またその業績回復の手だてはあるのか、あるとすればそれは何か、企画部長にお聞きをいたしたい。
 この項の最後に、関西国際空港株式会社の経営姿勢、体質について言及したいと思います。
 同社の経営陣、代表取締役社長から常務取締役までの八人のうち、実に七人が運輸省、自治省、国土庁、国税庁などの高級官僚で占められ、また同社職員四百七十人中、新聞報道によりますと六〇%が国や地方公共団体からの出向者で占められているのであります。全資本金の六六・七%を国が出資しているから当然と言ってしまえばそれまででありますが、これで現下の厳しい社会経済情勢の中で経営手腕を発揮できるのか、甚だ疑問であります。もちろん、高級官僚だからと言って経営手腕がないとは私は申しません。しかし、いずれにしても、これだけの状況の中でこんなに官僚が多過ぎるというのも、やはり問題だろうと、そのように思います。
 情報筋の話によれば、多額の負債を抱えているといった危機意識はゼロに近いとのことであります。そういう表現でありました。もっと大胆に、有能で経営手腕にすぐれた民間人の参画を進めるべきではないのか。企画部長に所見をお伺いしたいと思います。
 次に、県立医大跡地利用問題に入ります。
 平成七年の一般質問で、私は県議会で初めてこの問題を取り上げ、将来医大が移転した跡には和歌山市のランドマークとなるようなシティーホテルと国際会議場等の設置が望ましいと提言をさせていただきました。また後に、知事の諮問機関である和歌山県立医科大学跡地利用懇話会にも、和歌山市選出県議会議員の世話人というゆえをもって委員として参加させていただき、毎回の会議で積極的に発言をさせていただきました。
 この場所は中心市街地として最後のまとまった土地であり、大きな駐車スペースを有し、和歌山市のシンボルとなりランドマークとなる一流のシティーホテルと国際会議場、商業施設等がふさわしいと再三申し上げました。さまざまな議論の末に答申の内容は、皆さんご承知のとおり、都市型ホテル、国際会議場、商業施設、文化スタジオ、駐車場の五つの機能が望ましいということと民間活力を最大限に尊重することという答申が駒井会長から知事に手渡されたのであります。
 なぜ私が強くこれらの機能の立地を申し上げたかと言うと、当時既にぶらくり丁を初めとする商店街の地盤沈下の兆しがあり、その活性化の必要があったこと、和歌山市内には都市型ホテルは皆無に近かったこと、JC全国大会が開かれ、全国から八千人もの青年実業家が集まったのに九割の人たちが白浜や大阪市内などに宿泊したと聞いておりますし、和歌山市の経済波及効果につながらなかったこと、大阪市内中心部で同様のケースがあったこと等々が理由であります。
 大阪市内中心部で同様のケースと言いますのは、当時大阪の人の流れというのは、御堂筋を挟んで東側の心斎橋筋商店街、そして戎橋筋商店街にしか人は行きませんでした。御堂筋線の地下鉄をおりた人はみんな東側へ流れたのであります。当時、美人座というキャバレーが西側にございましたが、そこに行く人だけが西側へ行くと言われるぐらい西側には人が行かなかった。ところがこの西側に、ご承知のとおり日航ホテルがオープンをいたしました。これによって大きく人の流れが変わったのであります。そして、やがてその後背地の部分にアメリカ村が出現をいたしました。今や、若い人を中心に、東側ではなく西側に人がすべて行ってしまう。それほど、一つの建物が核になって人の流れは変わるのであります。
 今、ぶらくり丁等の商店街の地盤沈下はますます激しくなり、大丸の撤退や丸正の倒産など、空洞化が進行しております。この流れに歯どめをかけ、中心市街地の活性化の起爆剤として一日も早い実現が待ち望まれているのであります。
 ダイワロイヤルホテルの完成までのタイムスケジュールについて、企画部長からご報告をいただきたい。
 あわせて、以下三点にわたりまして幾つかの問題点を申し上げたいと思います。
 一つは、跡地利用懇話会答申から跡地利用基本計画に至る過程で国際会議場と文化スタジオが抜け落ちたのは一体なぜなのか。
 二つ目に、B用地に隣接する神人医院等の民間施設とD用地の等価交換によって長方形の良好な土地となり、開発が容易となりますが、何ゆえ今に至るも等価交換が行われないのか、その理由を示していただきたい。
 三つ目に、西側に伏虎中学校がありますが、これの統合移転を進め、医大跡地と連動して市街地再開発を進めるべきであると思うが、いかがか。
 以上、企画部長から答弁をお願いいたします。
 三点目、県勢活性化の柱として観光立県という観点から、「観光振興に全力を」と題してお尋ねをいたします。
 まず一つ目、今議会冒頭の知事説明の中で観光振興について、「新しい観光戦略の展開」と題してるる述べておられますが、ここで知事、再度そのコンセプトについてぜひとも聞かせていただきたい。
 二点目、本県は温泉や豊かな山の幸、海の幸、圧倒的な自然、他に類を見ない歴史文化遺産等々、実に豊かな観光資源に恵まれております。しかし問題は、そのすぐれて豊富な観光資源を全国に、そして世界にどう発信、PRしていくかであります。当初予算の中で、観光キャンペーンやミニアンテナショップについて盛り込まれておりますが、内外へのPR、宣伝、情報発信について、またどのような考え方に基づいて実施されるのか、石橋商工労働部長にお尋ねをいたします。
 三点目、私は平成十年二月定例会でエコツーリズム、グリーンツーリズムに触れ、その必要性を訴えたところでございますが、今回、エコツーリズムの実施を決めていただきました。そこで、具体的にどのような考え方に基づいてどのように進めていくおつもりか、商工労働部長のご所見をお伺いします。
 四点目、諸外国からの観光客を受け入れるに当たりまして、観光パンフレットや観光案内板などについて各国語での対応が必要となってくるほか、観光従事者の簡単な日常会話等について、英語以外に例えば中国語、韓国語による語学講座を実施する必要があると考えますが、いかがでありましょうか。商工労働部長にお尋ねをいたします。
 観光振興という観点で考えます場合、初めて和歌山県へお見えになった人々に二度、三度とリピーターとして来ていただけるかどうかが極めて重要な点となります。そのためには、いかに本県に対しいい印象を持ってもらうかが大切であります。
 そこで五点目として、観光客へのもてなし、ホスピタリティーの向上について、あわせて六点目として観光地や道の駅などの公衆トイレの改善と増設について、それぞれ関係部長からご答弁を賜りたいと思います。
 最後に、海洋レジャー・プロモーション事業についてお尋ねをいたします。
 私はかねてから、スポーツのメッカづくりという観点から二十年来主張し続けてまいりました。特に本県が置かれております地理的位置からしてマリンスポーツのメッカづくりを進めるよう申し上げてきたところであり、その候補種目としてヨットやトライアスロンなどが最適であることも訴えてまいりました。今回新たな試みとして、アメリカズカップで有名なラッセル・クーツ氏を招いてヨットレースやヨットクルーズが行われると聞いておりますが、具体的な計画について、あわせてこうしたイベントは一過性のものとして終わらせることなく、毎年恒例の行事として継続して開催していくことが重要だと考えますが、企画部長から答弁をいただきたい。
 以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) シャトル便の関係のご質問でございます。
 このところ寝耳に水のことが少し多くて、私もはっきり言ってもうびっくりしているんですけれども、実はこのシャトル便の開設に関しては、私が大阪府で副知事をしているときに何とかしようという話が東京の方からありまして、それで関与した経緯がありまして、非常に思い入れも深いものがございます。
 そしてまた、私自身は、この関西の三空港のいろんな見直しの過程の中で、むしろシャトル便というのが本当の意味のシャトル便になるような形で、便数がふえるんじゃないかというふうに期待をしていたところ、突然、朝の十時台から夕方ぐらいまでなくなってしまうと。これはもうシャトルじゃなくて昔に逆戻りということで、これは大変というふうに思いましてすぐに関係方面へ、もうとにかく和歌山県だけでも構わないから文句を言いに行くというか、話をしに行くべきだということで、実は既に行動を起こしております。国の方でも関係議員の連盟が会議を開くような形で事が進んでおりますし、いろいろ言っているんですけれども、やはりこの問題に対する基本的な問題意識というものは、和歌山県は非常に強いんですけれども、よそがさほどでもないということがあるわけです。しかしこれが、本当の意味でこういうふうな協力のなさということがこの関空の足を引っ張っているというふうに思っておりますので、私はこの問題は大変大事な問題だと。四、五月、そしてこれが次から六月以降も同じようなことが続くことになりますと、和歌山県にとってもゆゆしきことだというふうに思っております。これは、一和歌山県のことじゃなくて、関西全体にとって関空をどうするのかということの問題においても非常に重大な問題というふうな認識を持っておりますので、県としても精いっぱい、復活し、さらにはふえるような形へ努力をしていきたい、このように思っております。
 それから、観光についての基本的な考え方ということですけれども、私は、一つは世界遺産の指定のめどが大体立ってきたということから、これに合わせて、和歌山県のすばらしい歴史とか自然というものを体験型観光というようなことを売っていきたいというふうに思っております。
 この体験型観光を二年ほど進めてきましたら、実は先日、日置川に住んでいる、そういうことをやっている人から話を聞いたんですけれども、日置川へ日本三景のところの協議会からどんなことをやっているのかと見に来たというふうなことで、やはり徐々にこういうふうな和歌山のよさということが全国的にも認識されるようになってきているということで非常に喜んだわけですけれども、こういうことがもっともっと広がっていくように努力をしていきたい。
 それからもう一つは、和歌山県には、和歌山市から橋本に至る紀の川の流域というのが割と手近な形での観光資源として僕はあると思います。すごい歴史があります。そしてまた、農林水産物を中心として非常にいい産品が出ると。こういうふうなものを活用して、都会から泊まりがけでないような形での観光というものを呼び込みたいというふうに思っております。
 昨日も打田町の紀伊国分寺跡というところへ行ってきたんですけれども、これなんかも余り人が来ていないけど非常にすばらしいもので、こういうものを連係させていくといい観光地になるんじゃないかというふうに思っております。
 そしてまた、最後の全国への発信ということですけれども、来年度、東京に観光と物産のセンターを開設すると。そしてまたデスティネーションキャンペーンということで、これは全国のJRと組んで大々的に世界遺産と合わせて和歌山県を売り出していくと。いろんな形で和歌山県の主要産業である観光というものを売り出していきたい。このように思っております。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) まず、関西国際空港に関する諸問題四点についてお答えを申し上げます。
 関空会社では、ご指摘のような背景を踏まえまして、可能な範囲ではございますが、国際線の着陸料の引き下げ及び新規就航等に対する着陸料営業割引を行い、平成十五年度においても継続することとなってございます。
 県といたしましては、関西国際空港の国際競争力を強化し、利用者にとって真に利便性の高い空港にすることこそが重要でございまして、本年度末までに策定される経営改善計画に沿って抜本的に経営改善を進め、さらに着陸料等の引き下げが行われるよう関空会社に対し働きかけを行ってまいります。
 次に、空港利用料、駐車料金、通行料などの値下げについてでございます。
 関空会社では、関空連絡橋通行料の時間帯割引や連絡橋・駐車場セット割引クーポンの発売など、関空利用者へのサービス向上のため、連絡橋の通行料、駐車料金の一部引き下げが行われております。これらの料金につきましても、着陸料等と同様の趣旨で関空会社に対し働きかけを行ってまいります。
 次に、関西国際空港の平成十四年の発着回数が過去最低になっている、この原因はというご質問でございます。
 平成十四年の年間総発着回数は平成八年以降最も少なく、そのうち国際線では平成九年以降、国内線では開港以来、最も少なくなってございます。一昨年九月の米国テロ事件の影響や日本経済の回復のおくれなどの要因が重なり、それまで順調であった航空需要が低迷する事態になり、さらに昨年四月に成田空港の暫定滑走路が供用開始されたことなどがその大きな原因であると考えてございます。
 関空会社におきましては、トップセールスや国際線着陸料の引き下げ及び着陸料営業割引の継続などにより需要喚起に取り組んでございます。県といたしましても、昨年に引き続き、関係自治体及び経済界とともにエアポートプロモーション活動を実施するなど、積極的な支援活動を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、関西国際空港株式会社の経営に民間人の参画をというご指摘でございます。
 関西国際空港株式会社の経営形態につきましては、昨年十二月十七日の閣議決定では、現在の特殊会社の経営形態を維持しつつ、将来の完全民営化に向けて安定的な経営基盤を確立するため経営改善を進め、有利子債務の確実な償還を期すとともに、当面の資金調達の円滑化を図ることとするとされてございます。将来の完全民営化に向け、さらに厳しい経営が求められることから、当然のことながら民間の経営感覚を取り入れた空港運営を行っていくことが最も重要であると考えてございます。
 次に、県立医科大学跡地問題に関する四点でございます。
 ダイワホテルの供用開始のめどというご指摘でございます。
 県立医科大学の跡地につきましては、平成十年に、その利用方策を検討するために議員にもご参加をいただいて県立医科大学跡地利用懇話会を設置して以来、多くの方々からご意見を賜り、また多大なるご協力をいただきながら検討を進めてまいったところでございます。去る二月七日に事業者と協定を締結したところでございます。
 議員ご指摘のとおり、近年における大型店舗の相次ぐ撤退が中心市街地の活力低下を招いており、県立医科大学跡地利用事業は中心市街地の活性化を図る上で重要な役割を担うものと考えてございます。
 今後、来年度早々にも着工をし、平成十七年秋にオープンの予定となってございますが、本事業の目的であります、多くの人々が訪れ、中心市街地がにぎわいのある町になるように着実に事業を推進してまいりたいと考えてございます。
 医大跡地の二点目でございます。懇話会の答申にありました国際会議場、文化スタジオがなぜ抜けているのかということでございます。
 医大跡地利用事業につきましては、地元和歌山市、関係団体等との協議を行い、中心市街地の活性化を図るためには消費者を呼び戻すための集客力のある商業施設、多くの人々の交流空間としての宿泊施設、交通の利便性の向上のための駐車場の三施設に集約した都市型複合施設が必要であるという考え方のもと、平成十二年二月に基本方針を策定したところでございます。
 なお、跡地利用懇話会から提言のありました国際会議機能につきましては、県内最大規模の会議場を設置することにより対処するとともに、同時通訳等の附帯設備につきましては、具体的な会議室運営の中で取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、文化支援活動施設につきましては、和歌山市内の同種施設等と緊密な連携が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
 医科大学の三点、四点目でございます。いわゆるB用地の民間施設とD用地の等価交換を行ってはということと、さらに伏虎中学校の移転とその跡地利用を図ってはどうかということのご指摘でございます。
 医大跡地B用地の民間施設とD用地の等価交換及び伏虎中学校の移転とその跡地利用についてでございますが、最近における和歌山市の中心市街地を取り巻く経済状況は、大型店舗の相次ぐ撤退や破綻など非常に厳しく、医大跡地をできる限り早期に整備・推進する必要があると考えてございます。このため、現行の敷地の範囲内で整備を進めることにしたところでございまして、ご理解を賜りたいと思います。
 最後に海洋レジャー・プロモーション事業につきまして、このイベントを一過性ではなくて恒例の行事にしてはどうだというご指摘でございます。
 本事業は、本県の海を中心とした自然のすばらしさを国内はもとより世界に情報発信し、もって観光や地域振興を図ることを目的に、ヨットレース等、さまざまな海洋イベントを展開するものでございます。
 ラッセル・クーツ氏はヨットのアメリカズカップ連続優勝キャプテンであるとともに、現在行われておりますアメリカズカップにおきましても順調に勝利を重ねておりまして、まさにヨット界を代表する選手でございます。こうした世界的に有名なラッセル・クーツ氏を招聘し、記念ヨットレースや将来を担う子供たちのヨット、ゴムボートなどの体験乗船会などを開催することは、和歌山を海洋スポーツのメッカとすることに大きく貢献するものと考えてございます。
 次年度以降につきましても、ラッセル・クーツ氏の写真入り航海記を発行するとともに、今回協力をいただく和歌山県セーリング連盟、協賛企業等との連帯感を生かしながら、海に関連したイベントを継続して実施してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 観光振興の五点についてお答え申し上げます。
 まず、本県の観光資源をいかに発信、PRするかがかぎと思うがにつきましては、地域資源を活用したほんまもん体験や新規に取り組むエコツアーなど新たな観光展開とともに、本県の観光振興にとって大きなインパクトのある高野・熊野の世界遺産登録を柱に、個性的な切り口で国内外に向け発信、PRを行ってまいりたいと考えております。
 観光キャンペーンにつきましては、平成十六年の世界遺産登録を見据え、十五年度も首都圏を初めとした全国主要都市において祈りの道キャンペーンを実施し、段階的にイメージを浸透させることとしてございます。
 また、ミニアンテナショップでございますが、首都圏での情報発信拠点である東京観光センターの移設に伴い機能強化を図るものでございまして、県内に埋もれた和歌山らしい物産を展示販売することにより、その販売効果とともに和歌山のイメージアップの一助にしたいと考えてございます。
 海外への宣伝、情報発信につきましては、東アジアを重点地域として、マスコミや旅行会社の招致、現地での観光展や商談会等に工夫を凝らしながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次にエコツーリズムにつきましては、平成十年二月議会においても議員にご提案いただいたところでございますが、本県の豊かな地域資源を守りつつ生かすという理念のもとに、旅行者が自然に触れ、歴史や暮らしにも理解を深める自然体験ツアーを推進してまいります。
 具体的な取り組みといたしましては、現在進めています体験観光のメニューを活用した自然体験プログラムづくり、インストラクター用マニュアルの作成、観光客のマナーの向上も取り入れたルートマップの作成等を予定しています。その推進においては関係部局とも連携し、地元関係者の参画を得ながら取り組んでまいります。
 次に、観光パンフレットや案内板等の各国語対応についてでございますが、ご提言のとおり、国際観光推進においては必要不可欠なものであると考えております。県では、英語、韓国語、中国語のパンフレットやホームページの作成、また宿泊施設等に外国人接客基本マニュアルを送付するなど、充実に努めているところです。今後さらに市町村と協議をしながら観光従事者の語学力向上の方法についても検討し、海外観光客への対応を一層促進してまいりたいと考えてございます。
 次に、観光客へのもてなし、ホスピタリティーの向上についてでございますが、観光振興を図る上で、ご指摘のように観光客へのもてなし、ホスピタリティーの向上は重要な課題であると認識してございます。このため、これまでも観光業務に携わる方々を対象に毎年研修会等を通じて啓発に努めてきたところでございます。今後も、世界遺産登録に合わせて実施する大規模キャンペーンに向け、市町村、観光関係者等との連携を図り、ホスピタリティー向上のための観光セミナーを開催するなど、おもてなしの心の向上に積極的に取り組んでまいります。
 次に観光地における公衆トイレにつきましては、和歌山県に訪れたお客様に気持ちよく使っていただくため、清潔感のある美しい公衆トイレは大変重要であると考え、整備を進めているところでございます。また、平成十四年度から新たに高齢者や障害のある方々が安全で安心して旅行ができる環境を整えるため、公衆トイレのバリアフリー化を図っているところでございます。
 今後とも関係部局と連携の上、より一層整備を図り、適正な配置に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 観光振興の観点から公衆トイレの改善と増設についてのお尋ねですが、道路行政の面からお答え申し上げます。
 観光客を温かく迎え、観光振興を図る観点からも、国、市町村、さらには三重県、奈良県と連携し、紀伊半島全体での道の駅の整備を進め、公衆トイレの充実に努めてまいります。また、その管理におきましては、清潔で心のこもったトイレとなるよう管理者に要請してまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、森正樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、早速質問をさせていただきます。三点について質問を申し上げてまいります。
 まず初めに、医療費問題についてでございます。
 私は、十二月議会の一般質問で、国保料・税滞納者に対する資格証明書を安易に発行しないよう改善を求めてきたところです。知事は早速市町村に対し通知による指導をなされたと聞きます。滞納者との面談、そして実態把握と十分な納付相談を心を込めて行うということを強調した内容となっています。その効果を私は期待したいと思います。
 老人医療費改正が実施されて五カ月が経過した今、お年寄りの生活にどのような影響を与えているのか、私の知る範囲で実態を申し上げ、知事はどのような認識をお持ちか、お尋ねしてみたいと思います。
 定額一回八百五十円が定率一割負担になってまいりました。負担が重いという中で、受診抑制や診療中断は一層強まっている状況です。特に高血圧、糖尿病など慢性疾患の人は、受診回数を減らし、在宅診療、看護でも回数が減少していると言われています。
 日本医師会の調査では、昨年十月から三カ月間の高齢者の受診回数は、外来・在宅が前年比で約六%減少、入院が〇・二%減少しています。外来の受診抑制が進んでいると報告をしておられます。
 私の周りでも、ひとり住まいのお年寄りが糖尿病と高血圧で治療を続けていましたが、医療費が幾らかかるか不安だからと、九月以降受診をしていませんでした。ところが両足にしびれ、痛みの症状が強くなるものの、受診もしません。両足の歩行障害が進み、足を切断するという痛ましい事例も発生いたしました。
 二月二十日、朝日新聞紙上にも、負担の重さから、在宅酸素療法が必要であるにもかかわらず死を覚悟の上で中断するという事例が報道されています。
 七十五歳の男性、妻と二人暮らし。慢性肺気腫で七年間在宅酸素を続けてきました。肺機能は健常者の半分以下、衣服の着脱も酸素吸入なしでは息苦しい。それでも酸素吸入を中断しました。九月までの医療費は、月二回の在宅診療と持病の薬で千七百円で済みました。十月からこの治療を続けようとすれば月一万一千三百十円と、大きく負担が上がりました。在宅酸素療法だけで、負担は一割で八千円です。八千円以上は限度額を超えているから申請すれば二カ月後に返ってくるという状況でありますが、それでも七倍の負担増であります。この老人は、妻と二人暮らしで、年金月十二万円の収入です。必要な医療を安心して受けられない実態であります。この男性は、「二人でろくなもん食べられんで餓死するより窒息死した方がよか」と言われたそうです。こんな言葉が今の時代にあっていいものでしょうか。病状が悪くなり、死ということをみずから選ばなければならない。この思いをどう受けとめればいいのでしょうか。在宅酸素療法は、重い呼吸器障害のある人が自宅で酸素吸入することで生活の質を向上させ、寿命を延ばす大きな役割を果たしてきました。負担増で確実に寿命を縮めている人がいるのです。
 今、全国で年間十一万人が在宅酸素療法の治療を受けておられるそうです。一〇%の人が医療費負担増のため中断していると聞きます。こうした実態について、国会の予算委員会等で我が党の志位委員長が、「在宅酸素療法の中断で亡くなった人もいます。これを痛みの一言で片づけていいものか」と質問をいたしました。こうした事態に小泉首相は、「酸素をとられたら命がなくなっちゃう。まさか、そんなばかなことをするわけがない」と答弁しましたし、また「必要な医療は抑制しない」とも答弁しています。国民の苦痛に耳を傾けようとしないばかりか、実態を無視する姿勢に私は大きな怒りを覚えるばかりです。
 こうした実態は全国にあります。広がっていると考えます。私は、心から訴えたいと思います。必要な医療がいつでもどこでも安心して受けられる医療制度に改善すること、そして老人医療費については緊急課題として軽減を図るべきだと思います。知事、あなたは負担増によってお年寄りたちにどのような影響を与えていると認識をしておられますか。所見をお聞かせください。
 国の制度改革によって、県下のお年寄りはもちろん、県民の負担増への不安は高まるばかりです。こんな時代だからこそ、地方自治体がお年寄りの命を守る力を発揮してほしいと願うものです。
 昨年、六十七歳から六十九歳までの老人医療費補助制度の所得制限を大幅に引き下げました。補助対象となる年収がお年寄り一人の方で百万円、ご夫婦二人で百四十万円というのでは、生活保護以下での基準であります。お年寄りの生活実態調査などを行い、補助対象拡大を改めて求めるものです。いかがですか。知事の勇気ある答弁をいただきたいと思います。
 次に、健保本人三割負担が四月から実施されようとしています。この五年間で労働者の賃金も六十七万円減り、厚生年金加入者も三年間に約百二十八万人減少しました。大不況の深刻な状況の中にあって、リストラ、企業倒産、失業・雇用問題に至っては不安が募るばかりであります。こうした社会情勢下であるにもかかわらず、国は医療、年金、介護、雇用等の社会保障の全面改悪計画を強行しようとしています。
 皆さんに配付している資料を見ていただきたいと思います。これらの計画がすべて実施された場合、国民負担増は年間四兆円に達すると言われています。とりわけ、命と健康にかかわる健保本人三割負担が実施されたなら、はかり知れない問題が発生するのではと不安を感じるところです。
 かつて、健保本人負担が一割から二割負担に引き上げられたとき、病状がありながらもぎりぎりまで我慢する人がふえ、重症化する事態がありました。本当に必要な医療がここでも安心して受けられないという証明ではないでしょうか。
 国は、国保が既に三割負担だと言って、健保についても三割負担が当然という姿勢です。三割負担の重さの中、国保では、病気が重症化した割合を見ますと健保本人の五倍に、また中小業者の団体である全国民主商工会連合会の国保加入者を対象にした調査では、病気で亡くなった百七十三人のうち四人に一人が初診から一カ月以内に死亡しています。さらに、二十四時間以内に死亡した人は一二%であり、重症化と、既に手おくれにあることが急増していると言えます。したがって、健保本人三割負担増においても同様のことが起こり得ることはもう明白です。
 国は、健保財政の悪化を主張し、国保との公平負担を強調していますが、一九九三年、健保に対する国の負担率を黒字だからといって一六・四%から一三%に引き下げ、二〇〇二年度までの十年間に一兆六千億円も削減しています。国は、健保財政が赤字になったらもとの一六・四%に戻すことを約束していましたが、財政悪化と言いながら、いまだにもとに戻していません。もとに戻すべきです。
 二〇〇三年度予算では、年金、介護、雇用、医療など、いずれも国民に二兆七千億円もの負担を押しつけようとしています。相次ぐ国民負担増に国民は怒っています。医療に関しては、四月実施予定の健保本人三割負担について、国民の健康に対する責任を放棄し国民皆保険制度を根底から崩壊させるものである、凍結せよと、日本医師会、日本歯科医師会、薬剤師会、看護協会の四師会を初め医療関係者、労働組合、社会保障推進協議会など、かつてない運動が広がっている現実です。我が党は、緊急要求としても多くの皆さんと共同して運動に参加をしているところです。
 国会では、ご存じのように、民主党、自由党、社民党、そして共産党が共同してこの四月実施の凍結法案を提案し、その成立を目指しているところであります。北海道議会では、全会一致で三割負担延期を求める意見書を決議するなど、各地で議会請願が広がっています。世論は凍結を求めていると私は思います。県民の苦痛に耳を傾ける知事として国に凍結を求められたいのでありますが、いかがですか。知事の答弁を求めたいと思います。
 二つ目の質問として、踏切内の安全対策についてであります。
 去る一月十七日、東大阪市の近鉄大阪線俊徳道三十号踏切で、車いすで通行中の女性がくぼみに落ち、転倒して特急電車にはねられて死亡するという痛ましい事故がありました。ちょうど私たちも紀ノ川駅を中心とした住民アンケートに取り組んでいたときであり、アンケートの中にも踏切内のくぼみが大変危ないので何とかしてほしいという声が寄せられていたやさきの事故でしたから、強い関心を持って見守ってきたところです。
 この踏切は紀ノ川駅につながり、県道紀の川停車場線上に位置する南海電鉄本線と加太線の分岐点でもある孝子第十七号踏切であります。道路幅七・五メートルに四本の線路が走る、警報機や遮断機のついた比較的広い踏切でもありますが、踏切内は両側に歩行者や車の通行帯を示す黄色い線が引かれ、八十センチ幅の歩行帯が白線で引かれています。そして、四本の線路を支える部分は特殊ブロックなどで固定されていますが、両側に九カ所の台形の段差と表現するのか、くぼみがあり、そのくぼみは深さ十四センチから二十二センチ、幅約二メートル、長さ約一・四メートルから一・八メートルのものになっています。
 この踏切の交通量を見てみますと、一日十二時間測定で一万五百五十九台、ピーク時は一時間に九百九十五台。学校の通学路でもあります。自転車、単車と歩行者の混雑もあり、お年寄りや子供には大変危険な踏切でもあります。問題は、九カ所の段差、くぼみに単車、自転車などが落ち込むこと、歩行者がくぼみを歩いて渡らなければならないこと。事故が起こらないのが不思議なくらいだと、近所の方々はいつも話しておられます。幸いにしてこの三年間は大きな事故がなかったようですが、しかし単車、自転車などの転倒事故はたびたびであると聞きます。事故防止の対策が急がれる踏切と言えます。
 私たちは、一月二十一日、南海本社に要望書を提出し、話し合いもしてまいりましたが、ぜひ県としても事故防止対策の問題として段差、くぼみの改善を南海電鉄に働きかけていただきたいと考えるものですが、土木部長の考えをお聞かせ願います。
 既に近鉄では改善が行われました。さらに、車いす利用の多い踏切点検調査を進め、再発防止に努力されていると聞きます。県下にはJR、南海等の踏切が数多く存在するでしょうが、特に交通量の多い踏切に限定した安全対策の観点から、JR、南海との共同で点検調査に取り組まれたらいかがでしょうか。企画部長の考えをお聞きしたいと思います。──知事にお見せします。(写真を渡す)
 三つ目の問題に入ります。企業誘致に係る補助金について。県土地開発公社が工業用地造成を行い、昨年十二月十三日に東急車輛との間で土地売買契約が成立した件に関連して幾つか質問を申し上げたいと思います。
 今議会には、工場等用地特別対策事業補助金の一部として、五億千五百万円が県土地開発公社への補助金として計上されているところです。私は、この工業用地の問題について、去る平成十年二月議会におきまして取り上げたことがございます。そのときは、問題の土地が農業地域であり、農業を続けたいと願う農家の意思を尊重されるよう求め、また企業の都合によって虫食い地などになった場合や企業進出ができなくなった場合のおそれなどについて質問をいたしました。昨年の契約成立によって企業の進出が本決まりになったことは、雇用の拡大、地域の活性化につながる可能性があることとして、当局の皆さんには大変ご苦労されたことに敬意をあらわしたいと思います。今回は、そうした期待のある企業誘致のためとはいえ、余りにも県民の税金が野方図に使われていやしないかと私は考えるものですから、その点から質問を申し上げたいと思います。
 経過を簡単に述べますと、堺市にある東急車輛製造大阪工場が移転の必要に迫られ、県に対して企業進出の打診があり、打田町北勢田にある県土地開発公社の企業団地の面積では狭いということから今回造成された用地が選ばれたものです。県と打田町、県土地開発公社の三者で、平成八年十月一日付で工業用地取得造成事業に関する開発基本協定書が締結され、打田町が用地取得を担当し、県土地開発公社がこれに協力する、用地造成は公社が行い、資金は公社が調達することなどが決められております。当初の事業費総額は九十億円を超す膨大なものでした。平成十二年十一月三十日には、県、打田、公社、東急車輛の四者で、八項目から成る打田町への工場進出に関する協定書が締結されております。同時に公社と東急車輛との間で土地売買予約契約書が結ばれ、その中では売買代金を四十五億一千五十五万二千円とすること、予約金としてその一〇%の金額を平成十二年十二月二十八日までに支払うこと、残額は平成十五年九月三十日までに一括で支払うこと、納付期日までに完納しないときは遅延利息として年一四・六%の割合で算定した金額を支払うことなどがうたわれております。この四十五億円については、公社が土地価格の鑑定を依頼した不動産鑑定書が一平方メートル当たり約四万六千八百円とした意見を出したのを参考に決められたと聞いております。一つの土地鑑定書だけを参考にしたことが適切だったかという問題はありますが、この鑑定書によれば、近くに公社が所有する工業用地が一平方メートル五万五千円として参考価格とされました。東急車輛用地が大規模であることから、それよりも一五%安い値段がつけられたとなっています。土地の値段は流動的であり、個別の事情も当然勘案されるものですが、今回の工業用地は東急車輛からの依頼に基づいて用地買収、土地造成が行われたものであり、一般的に工業用地を造成したところへ企業が進出してきたケースではありません。当然、その原価も価格設定には考慮される必要があると考えます。公社がこの工業用地を造成するためにかけた資金は、用地費及び補償費が四十七億八千四百万円、工事費が約十億円、利息を含めた事務費が七億五千七百万円、合わせて六十五億四千百万円だということです。東急への売買代金四十五億円余りとの差額は実に二十億三千万円であり、その差額を県と打田町が負担することになります。
 商工労働部長にお聞きいたします。
 私は、県が今回の企業用地の売却に当たって、用地購入、造成などにかかった原価を無視した価格を設定したことに納得がいきません。打田町が負担するという五億円余を除いた県負担額は十五億一千五百万円にもなります。県の企業立地促進対策要綱によりますと、「工場用地特別対策事業補助金の交付要件は、用地の取得造成に要した価格を割り引いて新規立地する企業に譲渡する場合、三万平方メートル以上の工場敷地がある場合には、新規地元雇用者が三十人以上ある場合か、工場における新規地元雇用者の予定者が五人以上であって従業員数が五十人以上見込める」ことが条件となっております。しかるに、ここで言う新規地元雇用者とは、「新規立地する企業に新たに採用された常用雇用者であって、当該工場において勤務を開始するまで三カ年以上継続して県内に住所を有していた者、または県外の企業に勤務し、もしくは県外の学校に就学するまで三カ年以上継続して県内に住所を有していた者」となっております。今回の補助金はこの条件に該当するのでしょうから、新規地元雇用者等を何人と見込んでいるのか、お示しいただきたいと思います。
 また、交付対象額は次のように規定をされています。「県との協議により、市町村等がその用地の取得造成に要した価格を割り引いて新規立地する企業に譲渡するのに要した額に二分の一を乗じた額」とされています。割り引いた額とは幾らかわかりませんが、原価とされている六十五億四千百万円と譲渡価格との差額をその額としますと、十億円余がその限度額となるのではありませんか。しかし実際には、県はこの件で十五億一千五百万円を公社に補助することになります。当局は盛んに、電源立地交付金からの十億円の原資は国からのものだから差額には含まれないと言いますが、この十億円も県から公社への補助であることに変わりありません。補助の上限と考えられる十億一千五百万円を超えた補助を行うことについて、納得のいく説明を求めたいと思います。
 次に、打田町に五億一千五百万円を負担させる根拠についてお尋ねをいたします。
 打田町が入った開発基本協定書には、そうしたことが何も書かれておりません。五億一千五百万円と言えば、打田町にとっては膨大な金額です。同町では、介護保険の保険料の大幅な引き上げが予定されています。年間約四千九百万円の町民負担増が予定されているとのことです。五億円と言えば、その十年間分に相当する金額でもあります。固定資産税が入ることはありますが、それが全額町財政に寄与するものでありません。打田町が膨大な財政負担を強いられることになった根拠を明らかにしていただきたい。県と打田町との間でそうした約束があるのでしたら、お示しいただきたいと思います。
 最後に、地元雇用の問題であります。平成十二年十一月三十日の協定書の第五項は、「工場従業員については、地元住民の雇用に特に配慮するものとする」と書かれております。さきにも地元雇用についての見込みをお聞きしましたが、協定書の契約当事者として県はこの点についてどう進めようとしておられるのでしょうか。お答え願いたいと思います。
 これで、第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 老人医療費負担増の質問にお答えします。
 今回の改正により、平成十四年十月の高齢者の医療費が対前年同月比で減少したことなど、議員ご指摘のような影響があることは承知をしております。しかしながらこの制度改正は、高齢化の進展等により医療費が増大し、医療保険財政が厳しい中でこれからも国民皆保険制度を維持するため、また現役世代の負担との均衡を図るために高齢者の方にも応分の負担をお願いすることとなったものでございますので、ご理解をお願いいたします。
 なお、新しい高齢者制度の創設など医療保険制度の抜本改革の早期実現を国に対し要望してまいります。
 次に県単独の老人医療費助成制度につきましては、昨年度の二月議会においてもお答えいたしましたように、制度が創設された当時に比べ、高齢者の方々を取り巻く社会経済状況は大きく変わってまいりました。また、県財政を取り巻く環境も厳しさを増している中で、来年度の介護給付費県負担額も六十六億円から七十一億円へと五億円増加するものと予想されるなど、増大、多様化する福祉ニーズに対応していかなければなりません。
 議員ご指摘のとおり、高齢者の方々を取り巻く生活環境は大変厳しいものであることは十分認識しておりますが、現状では老人医療補助対象を拡大することは難しい状況でございます。今後は、必要性の高い福祉施策を重点化し、各種施策を推進してまいりたいと考えております。
 健保本人の三割負担の問題についてでございます。
 医療保険制度の中で安定的運営を確保するとともに、将来の保険制度の一元化に向けて各制度を通じて給付率の統一を図るとの観点から決定されたものでございます。
 三割負担の導入は不況下の消費縮小化傾向に拍車をかけるなどとして凍結を求める声があることは、十分承知をいたしております。しかしながら、急速な少子・高齢化が進む中で国民皆保険制度を守っていくためには、患者、加入者、医療機関等関係者間で負担を分かち合っていかなければならないと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 孝子第十七号踏切につきましては、二車線あり、歩行者等が通行できる路肩もあることから、一定の安全性が確保されていると考えてございます。しかしながら通学路であり、自転車、歩行者が多いため、段差解消について南海電鉄と協議してまいります。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 県内の踏切の安全点検調査についてお答えを申し上げます。
 本年一月十七日の近畿日本鉄道大阪線での踏切事故を受けまして国土交通省鉄道局では、同種事故の再発防止について鉄道事業者を指導しますとともに、道路管理者に対しましても周知しているとのことでございます。この指導を受けまして、県内の鉄道事業者におきましては現状を調査するとともに今後の対策について検討中でございます。
 また、国におきましても事故防止策について同様に検討が進められてございまして、その結果によりしかるべき対応がなされるものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 企業誘致に係る補助金についての三点についてお答え申し上げます。
 まず、二十億円余の補助金は適切かについてでございますが、打田東部地区の工業用地造成事業の事業費総額は約六十五億円であります。しかしながら、用地買収当時に比べ、土地価格の下落、景気の悪化等により企業への売却価格が低下したため、事業費の抑制を図るべく、国からの電源立地特別交付金を平成十年度及び十一年度に各五億円、合計十億円を充当したところでございます。また県では、和歌山県企業立地促進対策要綱に基づき、県土地開発公社の財政力等を勘案して約五億円を補助することとしております。
 次に打田町の負担につきましては、平成八年十月に締結した工業用地取得造成事業に関する開発基本協定書に基づき、地域開発と経済の活性化を図るという趣旨から打田町が判断されるものと理解しております。
 次に、進出に当たっては、平成十二年十一月に締結した協定書に基づき、企業側から、従業者数は約百五十名、うち地元雇用は約十名を確保するとの計画がなされてございます。
 なお、雇用計画の実効性を図るべく、協定書の遵守について強く働きかけてまいります。
 いずれにいたしましても、厳しい経済状況の中でこの東急車輛の進出は、これからの打田町のみならず県の雇用と活性化に大きく寄与するものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただいたところです。
 最初に、踏切の段差解消。これはもうぜひ積極的に鉄道関係者に働きかけて安全策をとっていただくようにご努力をお願いしたいというふうに思います。
 それから医療費の問題ですけれども、知事の言うことはよくわかるんです。でも、これは今の段階で本当にお年寄りの皆さんたちが大変な状況になっているということをまず第一点として申し上げておかなければなりませんし、とりわけ慢性疾患の患者さんたちというのは、生涯お薬、それに医者に通わなければならないという状態が続くわけですから、経済的な問題がどうしてもそれに先行するわけです。介護保険料も引き上げられるようになりますし、また年金も〇・九%──わずかな年金も引き下げられるという状況になるわけですから、こうした状況のもとで今こそお年寄りの皆さんたちの医療について支援することが地方自治体の役割ではないのかなというふうに私は強く思っているところです。
 昨年の八月に大幅に削減をされたということがありますから、こういう点でも──まあ、去年したばっかりやからようせんよという気持ちもおありかと思うんですけれども、しかし死に至るような状況が生まれてきているという実態については率直に受けとめられて、それをどのように改善していくのか、経済的負担のためならば県がどうするのかというところあたりを段階的な解消として検討をいただけたらありがたいなと思っています。
 そういう点でも実態調査──これは担当課に聞くと、していますよと言うんですけれども、私たちの前に出てこない。どのような状態ですかと聞いても、それは出てこないわけですから、実態という点から見れば、もっともっと深刻な状況がたくさん出ていると思います。そういう点でも、実態調査をきちんとまずやった上でそれを改善する、支援策をとるということをぜひとも進めていただきたいというふうに思います。お年寄りの皆さん方への支援策を今後の課題として検討していただきたいと思っております。
 それから、三割負担の四月実施の問題ですけれども、知事、ご存じですか。一九八四年、健康保険の十割給付が一割負担に、また二割負担ということが一挙に出されましたけれども、これを多くの皆さんたちが、問題がある、負担が多過ぎるではないかということで経過措置として一割ということが一定決まりましたね。それが過ぎて今、二割負担という現状まで来ているわけですけれども、国はその審議のときに、国保の給付割合を八割にして患者負担を二割に引き下げることを国民に約束をしているんですよね。そして、そのときの厚生大臣が渡辺恒三さんですが、この方が一九八四年七月五日、国会答弁の中で、将来目標として昭和六十年代後半のできるだけ早い時期に七割給付を八割に引き上げたいと、こういうことの答弁をされて、そしてその後、橋本龍太郎さんも、八割にするよう必要な措置を講じるというふうに修正案などを出されて、健康保険法の附則にこのことが盛り込まれているんですよね。ところが、約三十年たった今でも、これが行われていないという現実があるわけです。そういう点で、昨年の医療法の十月の改正のときにこの文書が削られるというような事態が起こっているわけですけれども、このときに多くの国民の皆さんたちから、約束を守れという大きな運動がありました。しかし、いまだにこの約束が守られていないという現実の中でさらに三割に引き上げるというのは、私たちとしては非常に納得いかない。国の問題でありますけれども、しかしこういった問題を歴史的につかむことが必要だと私たちは思っています。そういう中での県民への負担増があるわけですから、そういう点でも私は、国が国会で答弁した公約をやっぱり守っていくということが今何よりも求められていると思うんですが、こうした経過について知事はご存じでしょうか。お答え願いたいと思います。
 そういう点で、私はどうしてもこの三割負担というのは──きょうの私どもの「赤旗新聞」では、四十三府県議会で意見書が求められていると述べられております。お医者さんたちの経営も含めて今大変な問題だと思いますし、患者さんたちの声も日に日に大きくなっていますし、運動の広がりもあります。今、この国民世論を知事がどう反映させていくのかということが地元からの声としてあり、ぜひとも国への働きかけを積極的にやっていただきたいと思うわけですが、する必要はないというふうにお感じになっていらっしゃるんでしょうか。お答え願いたいと思います。
 それから、東急車輛の問題について一言申し上げておきたいというふうに思うわけですけれども。
 この打田町への企業誘致の問題、電源立地交付金が県からの補助金には含まれないということだと思うんですけれども、開発公社の決算文書を見てみましても、電源交付金の十億円について「県補助金」と記入をされているところです。これ、二十億円という用地造成の原価と東急車輛への売却価格との差は、余りにも大きな金額です。緊急避難的といいますか、そういう対応をとったのだと思わざるを得ないと思うんです。しかし、売却価格が造成前の農地の買収総額よりも安い値段を設定したところに無理があったんではないかというふうに私は考えるものです。
 最初の質問でも申し上げましたけれども、公社は県から依頼を受けてあの土地を買収し、造成したわけですから、その原価が売却価格に反映しないようなやり方は今後に禍根を残すのではないかというふうに思うわけです。公社が売り残して持っている土地ではありませんわね。今後の土地売却に当たっては、一つの土地鑑定書だけにとらわれずに、県下や複数の鑑定書に基づいて売却価格を設定してもらいたいと考えるんです。どうでしょうか。ご答弁をお願いします。
 そして、打田町への五億円の負担ですけれども、私が見せてもらっている覚書によりますと、平成八年に西口前知事と梅田公社理事長、根来打田町長の三者の署名のあるものですけれども、これには、売却で差額が出たときには県と打田町とで協議し、解決すると書いてあるんですね。この覚書について県の担当者は、覚書がないというふうにおっしゃっています。今探しているというようなことをおっしゃっているわけですけれども、これはつづりとして、記録としてきちんとあるはずだと思うんですが、こうした覚書があること、これはお認めになりますか。お答えいただきたいと思います。
 以上、第二質問を終わります。
○議長(宇治田栄蔵君) この際、申し上げます。
 一般質問項目表の村岡キミ子君の質問のところでございますけれども、「医療問題について」の三について、「健保本人三割負担贈」とあるこの「贈」の字でございますが、かいへんとなっております。これがつちへんでありますので、この訂正をお願い申し上げたいと存じます。
 それでは、引き続きまして村岡キミ子君の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 老人医療の問題については先ほどご答弁したとおりでございますけれども、しかしながら、命にかかわることで、本当に困っている方の状況というものは、これは真摯に把握していかなければならないというふうに思っております。
 それから、健保本人の三割負担。これは、一割から二割というときにいろんないきさつがあったということは、私も、ずっと知っていたわけではありませんけれども、勉強をいたしました。しかしながら、この三割負担の問題については、実はもうつい最近決まったことなんで、僕は、日本の国がこれからあんまりころころと決まったことを変えていくと、国民は何を信頼したらいいのかということになるんじゃないかというふうな感じを実は持っているんです。それで、今、三割負担の問題についてはいろんな議論があるということは僕は承知をしておりますし、それから国の方でもいろんな動き、そして各地方議会でもいろんな働きかけとかいろんなものがあるということは承知しておりますけれども、しかしながら、やはり国というのは一度決めたことは守っていこうというふうな姿勢も大事なのではないかと、こんな感じを私自身としては持っているところでございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) まず電源立地交付金についてでありますけれども、これにつきましては、国に対しまして打田東部工業団地造成ということで申請をして交付を受けてございますので、私どもとしては特定財源として処理をしているところでございます。
 次に打田町との覚書の件でございますが、これにつきましては、打田町と県、それから開発公社の三者で覚書を交わしてございまして、これについては私どもにもございますので、ご報告いたします。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 議長、ご配慮ありがとうございました。
 知事さん、もう決まったことをあれやこれやと言って変えるということはいかがなものかと、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども、しかし現実に介護保険だって、本当に問題が多いということで四月実施を十月に延ばすとか、あるいはこの健保の二割負担の分については経過措置として一割負担にするという、そういう実際があるわけですから。これだけ国民がこの問題について関心を高め、そして本当に改めてほしい、今は本当にやってほしくないという切実な世論、それからこの医療費三割負担については、三千万人を超す人たちが反対署名をして国会へ請願しているわけですよね。そういうときに、国会では十分な討論をしないまま途中で討論を打ち切るというようなことがやられているという現実の中で、本当にこの問題がこのまま通っていいのかというのは国民の大きな疑問になっているわけです。負担増をすることによって国民の命と健康というのはだんだん後ろへ追いやられていくということと、それから重症化して医療財政がますます苦しくなる。そうすると、家計や経済そのものにも大きな影響を及ぼしていくということでは大変だということで、医療財政が緊迫する中でまた引き上げなければならないというような問題が起こるわけですよね。悪循環を繰り返しているのは現実です。ですから、そういう点を今きちんと反省をするというところに立たなければいけないというふうに思うんです。
 どうしても知事さんは、国がやっているから、もうそれはそのままやったらええんやというような姿勢に変わりがないようでありますけれども、私は非常に問題だと思いますし、そういう点では県民の声に耳をかす、国民世論に対しても真摯に受けとめるということが重要だというふうに思いますので、この点を指摘したいと思います。
 それから東急の問題ですけれども、これはやっぱり平行線をたどるでしょう、問題については。しかし、企業誘致によって雇用を拡大していくというのは大変いいことだと思いますし、私たちもその企業が来て発展していくと同時に和歌山県の経済効果を大きくもたらす、そして地域の住民の皆さん方に信頼をされていわゆる雇用がきちんと守られると、そういう点で申し上げているわけですけれども、県民の税金そのものについては、やっぱりもっときちんと使っていただきたいというふうに思います。そういう点を指摘しておきたいと思います。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十七分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 七番門 三佐博君。
  〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 皆さん、こんにちは。
 ただいま議長のお許しを得まして一般質問の発言の機会をお与えいただきましたこと、心からお礼申し上げます。
 今期定例議会は、議員任期の四カ年の任期満了直前に開かれたものでありまして、平成十五年度予算審議等を行う大変重要な会議でございます。私どもにとりまして、四カ年の議会活動を通じ県内各地域で生活されている県民の皆さんの要望を県政に率直に反映すべく全力で取り組んでまいりましたその集大成を発露する機会でもあります。私も、四カ年の反省と地域住民の声を代弁する形で、通告順に従い知事並びに関係部長にご質問いたしますので、適切なご答弁をお願いいたします。
 第一問目といたしまして、道路の整備充実についてお尋ねいたします。
 その道路のうちの一番といたしまして、国道四百八十号平道路、仮称・鍋谷トンネル及び梨子ノ木バイパスの建設促進についてお尋ねいたします。
 木村知事は道路の整備と充実を県政の大きな柱の一つに取り上げられ、県民のニーズにマッチした道路整備の提案をするなど、いつも積極的に活躍されていますことに敬意を表します。また、紀北地方の発展は府県間道路の整備充実が急務であるということをいつも主張されておられますが、私も全く同感でございます。
 紀の川筋と大阪府を結ぶ府県間道路といたしましては、主として第一に第二阪和国道、第二に一般国道三百七十一号、第三に一般国道四百八十号、第四に主要地方道泉佐野岩出線、第五として主要地方道泉佐野打田線が挙げられます。それぞれ大阪府のご協力も得ながら改良が進められておるところでございます。今回私が質問いたしますのは、紀の川筋の中央地域を経まして大阪府と高野山を最短距離で直結する国道四百八十号の改良促進と、かつらぎの仮称・鍋谷トンネルのことであります。
 けさほどもテレビ和歌山の報道番組で南衛かつらぎ町長も出演し、この鍋谷トンネルの必要性を強く訴えられておりましたが、そのうちでも平道路につきましては地元の協力や県ご当局のご尽力により着々と進捗が図られ、平成十五年度当初予算案においても十六億五千万という多額の予算が計上されていますが、既に貫通しております滝第一トンネル、第二トンネルを利用して供用開始を一日も早くしていただきたいのでありますが、その進捗状況と今後の見通しについて大山土木部長にお伺いいたします。
 また、本県と大阪府を直結する仮称・鍋谷トンネルについても、延長三千七百メーターという長大トンネルということで、国土交通省の直轄事業として取り上げていただく陳情を繰り返しています。今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、国道四百八十号の梨子ノ木バイパスの建設については、着々と取り組んでいることを伺っていますが、この路線は高野山に通ずる最短コースでもあり、最近は大型バスやダンプカーなどの通行も多く、地元の方々に多大な迷惑をかけております。今後のかつらぎ町志賀地区の整備とトンネル建設計画についてお伺いし、早期完成をお願いするものでございます。
 道路の第二項目といたしまして、京奈和自動車道の進捗状況と一部供用開始についてお尋ねいたします。
 京奈和自動車道の建設の状況と今後の取り組みについてでございますが、橋本道路の用地買収、また建設工事はほぼ順調に進んでいるようでございますが、この橋本道路の供用開始の見通しについてお伺いいたします。また、紀北東道路、紀北西道路につきましても、測量設計並びに用地買収等について現況をお尋ねいたしたいと思います。
 道路の第三点といたしまして、紀の川左岸農道の建設促進と一部供用開始について、辻農林水産部長にお伺いします。
 紀の川左岸農道については、地元の農家の期待も大きく早期完成を望んでいますが、大事業であるため、用地買収の難航等の影響もあり、事業は計画どおりに進んでおりません。相当おくれているように伺っておりますが、既に工事の完成を見ているところもあるように思いますので、区間を決め部分供用を開始し、利便を図っていただきたいと思いますので、ご説明をいただきたいと思います。あわせて、今後の取り組みについてもお伺いいたします。
 項目の第二といたしまして、県立医科大学附属病院紀北分院の改築と充実についてお尋ねいたします。
 私は去る十三年十二月定例議会におきましても県立医科大学紀北分院の改築と充実について質問をさせていただきましたところ、木村知事からは「私も紀北分院の重要性については十分認識しているところでございまして、平成十二年度から県の方でも検討委員会を設けて、診療体制でありますとか経営のあり方について鋭意検討を進めているところでございます。 近年、医療制度全体の見直しの問題が一つあるのと、それから国立大学の医学部について独立行政法人化の問題が出てきておりまして、これは公立医科大学についても同じような形ということになってくると思います。 そういうふうな中で、この紀北分院があるべき姿としてどんな形がいいのか──やはり建物も老朽化してきているので早急に考えていかないといかんということを思っておりますし、それからこの病院ができたいきさつを今お伺いしたわけでございますけれども、そういう中から地元の自治体との間の協力関係というふうなものをどんな形で構築していき、そして地域の方々に一番喜ばれるような診療を行う体制はどういうのがいいのかということについて、やはり真剣に鋭意検討していきたいと、このように思っております」、こういうふうなご答弁をいただきました。
 また、山本医科大学学長からは「紀北分院につきましては、大学内の紀北分院整備検討委員会におきましてその存在意義を含めて真摯に点検いたしまして、今後のあり方について検討しているところでございます。 紀北分院には、社会の要請に対応した医師の育成のためにも、また大学附属病院としての機能を全うするためにも担うべき役割がございます。さらに橋本・伊都地域の保健医療におきましても、紀北分院には果たすべき重要な役割があると考えてございます。 議員ご指摘のとおり、近年の高度化、多様化する医療ニーズ、近隣の医療機関の整備状況等から見まして、紀北分院がその使命を果たすためには分院の施設、設備は十分とは言いがたい状況がございまして、整備が必要であると認識してございます。 大学といたしましては、これからの保健医療のあり方や那賀保健医療圏を含めた橋本保健医療圏における医療ニーズ、この地域における医療機関の機能分担等を勘案いたしまして、紀北分院を特色ある、地域貢献度の高い診療機能を持つものに整備充実し、大学全体として総合的なパワーアップにつなげてまいりたいと考えてございます。 しかしながら、ご承知のとおり、昨今の病院の運営・経営環境には厳しいものがございまして、国においては大学は独立法人化の方向にございますし、本学でも、本院、分院をあわせて健全な経営を視野に入れて考える必要がございます。 分院の整備につきましては、現在、このようなことを踏まえて具体的、計画的な整備充実策の検討を進めているところでございます」。
 このように、設置者としての木村知事は最高責任者であります。また、山本学長は大学運営責任者としてのトップの位置にあるお二人でございます。ご両人がお認めのとおり、紀北分院は地域住民にとりまして健康管理の上でも安全で安心な医療機関として伊都地域においては最も信頼される病院であります。しかし、建物が築後四十年以上も経過し、大変老朽化しています。県財政が大変厳しい折でございますが、深いご理解をいただき、早期に改築していただき、地域住民の要望にこたえていただきたいものでございます。
 県においては、私がこの十三年に質問いたしましたその直後の平成十四年七月十二日に県立医科大学のあり方懇談会を設置し、井端泰彦京都府立医科大学学長など十名の委員を選任されたのでございます。その後、北野栄三県経済同友会代表幹事を座長に互選され、既に四回の会議が開催されていると聞き及んでおります。その諮問テーマは、一、大学法人化への対応、二、紀北分院の今後のあり方、三、その他必要と認める事項となっております。
 私はこれから質問いたしますのは、一に、知事が私にご答弁いただきました県の検討委員会の結論とこのあり方懇談会の整合性をどのように図っていかれるのか、お尋ねいたします。
 二といたしまして、あり方懇談会で紀北分院のことが既にご協議されているのか、またあり方懇談会の答申はいつごろ予定されるのか、知事のご答弁をお願いいたします。
 第三点といたしまして、木村知事は設置者として紀北分院の今後のあり方について基本的にどのようなお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、質問の第三項目といたしまして、世界遺産登録とイベント開催についてお尋ねいたします。
 北紀高野マンダラ博(仮称)の開催は考えておらないか。北紀高野マンダラ博というのは、伊都地方の経済団体が二、三年前にこうした動きをされまして、南紀熊野博に対しまして北紀高野マンダラ博と、こういうような名前をされておりますので、私も、仮称でございますが、北紀高野マンダラ博と提案させていただきたいと思います。
 長年にわたり県、県教育委員会が取り組んでこられました紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産推薦が政府で決定され、外務省から世界遺産センターに提出された旨の報道が正月早々あり、来年六月開催される世界遺産委員会で決定されることがほぼ確定的になってまいりました。本県にとりましては、世界遺産として認められることになっております熊野三山、高野山等の霊場を有し、久々の朗報であり、うれしい限りでございます。これまでに資料の収集や関係地域の整備、文化庁との折衝など詳細にわたり熱心に取り組んでこられた方々や、奈良、三重両県に連なる霊場、参詣道であるため各県間の調整にリーダーシップを発揮していただきましてこの案をまとめてくださいました木村知事に深く敬意を表する次第です。
 平成十一年四月二十九日から九月十九日までの百四十四日間にわたり紀南地方において南紀熊野体験博が開催され、内外より三百十万人という多数の参加者を迎え、紀南、紀伊半島を主舞台とした関係市町村では数多くのイベントも催され、大成功裏に幕を閉じたことは私どもの記憶に新しいところでございます。世界遺産登録の絶好の機会に本県でイベントを開催してはどうか、提案いたしたいと思います。
 高野山は、世界的な宝物の宝庫です。歴史と伝統に根差した仏像、仏画、建造物、人材、自然環境に恵まれた最適地でございます。昨年夏、木村知事が主催された近畿知事会も高野山で開かれ、参加された知事からは、自然環境に恵まれ落ちついたたたずまい、歴史と伝統に根差した数々の文化財に囲まれた雰囲気に包まれ、大変好評を得たことを後ほど聞かされました。私は名づけてこのイベントを、仮称・北紀高野マンダラ博として内外の参加者を高野山を中心にした本県へお誘いしてはどうかと思います。和歌山県の活性化の導火線の一つになるものと信じます。木村知事のご見解をお伺いいたします。
 第四項目といたしまして、携帯電話の通話不能地域の解消についてでございます。
 木村知事は、今期定例議会の冒頭の知事説明の中で、本県をIT先進県と位置づけるためにIT総合センターの建設促進やマルチメディア祭の本県開催等、情報化時代に備えた対応について精力的な取り組みを表明されました。近年、携帯電話の普及は著しいものを感じ、私どもの日常生活にはなくてはならない生活必需品となりつつあり、私自身も手放すことはできないのが現実であります。しかし、いまだに通話が全くできなくて困っている地域があることをご存じでしょうか。
 私の住む伊都郡におきましても、かつらぎ町四郷地区や志賀、新城地区など、国道が通過している地域でも通話不能地区があります。高野山が世界遺産として登録されようとしているこのとき、参詣者が急増されることが見込まれますが、内外から来られた方々にも迷惑が及ぶことと思われます。県土の均衡ある発展と生活環境の確保は行政の責務であると確信いたします。
 そこで、垣平企画部長にお伺いいたします。
 一、通話不能地域の把握をされているのか、実態をお聞かせください。二、通話不能地域の解消計画と今後の対策についてお伺いいたします。三、現有アンテナ施設の出力のパワーアップを図って通話範囲の拡大ができないのか。以上、垣平企画部長のご答弁をお願いいたします。
 第五点、介護保険制度についてお尋ねいたします。
 第一といたしまして、特養待機者数の把握についてお尋ねいたします。
 高齢者社会を迎え、二十一世紀の半ばに三人に一人が高齢者となる時代を間もなく迎えようとしております。「介護を必要とする高齢者が増えており、一方で、介護する人も高齢になり、また、介護の期間も長くなっているため、介護する人の負担も重くなっています。さらに、働きに出る女性も増えてきており家族だけで介護することは難しくなっています。 いま、介護は誰もが直面する問題になっています。介護保険制度は介護を国民みんなで支える仕組みです」、この言葉は、県長寿社会推進課から出されております介護保険PR誌の初めの文章でございます。
 去る二月五日付「朝日新聞」朝刊の第一面の記事によりますと、特別養護老人ホームに入所を希望しながら待機されている高齢者が全国で少なくとも二十三万に上ることが朝日新聞社の調査で判明された旨、報道されました。私もこの数の余りにも多いことに感じ入った一人でございます。本県では待機者数の把握をされておられるのか、実態についてお伺いいたします。
 第二点といたしまして、入所基準と入所決定について行政指導の必要があるのではないか。
 介護保険制度は平成十二年四月より実施され、制度実施以来、介護サービスの量がふえるなど、より効果があらわれているということも聞いております。介護保険では、これまでの行政から与えられるサービスではなく、それぞれの被保険者が保険料を支払う者の権利としてみずから選んでサービスを利用できるという要介護者に利点が多いことも評価されております。反面、果たして入所の必要性の高い人を優先的に入所させているかどうか、疑問も多いことが指摘されております。
 従前は、県、市町村の措置制度により地域の民生委員を通じ入所希望者の実態を詳しく把握された上、入所に適正化を図られていたように記憶しております。入所決定について県の行政指導の必要性がないのかどうか、お伺いいたします。
 当初予算案の中に新規といたしましてケアマネジャー・サポートセンター事業を計上され、介護対象者と直接対応されるケアマネジャーの資質向上を推進するための研修や活動支援体制の充実を図られるという予算が計上されておりますが、まことによい事業であると思いまして高く評価いたしたいと思います。
 第三点といたしまして、特養、老健施設などの充実についてお尋ねいたします。
 現状では、特養、老健施設など入所施設が不足しているように思います。今次定例議会におきましても新設、増設の予算が計上されておりますが、今後、増設等充実していく計画があるのかどうか、白原福祉保健部長にお伺いいたします。
 大きな第六項目といたしまして、教育の問題についてお尋ねいたします。
 第一、小学校への外国語教育について、英語や中国語を取り入れてはどうか、これを質問いたしたいと思います。
 知事説明の中で、現在、英語教育のあり方が課題になっていることから、小学校から話せる英語教育を取り入れ、外国人講師を導入した小・中一貫の英会話学習を行い、進んで英語が使える子供を育ててまいりたいと表明されましたが、私も先見性のある考えと賛同いたしたいと思います。
 子供のころから外国語に親しむということは、将来大変役立つものであり、当初は数少ない学校から始められることでしょうが、規模を年々拡大していただきたいものでございます。
 また、日本の一番近くの隣国でございます中国のことにつきましても、中国語の教育についてもご一考いただきたいと思いますが、今後の取り組みなどにつきまして小関教育長にお伺いいたしたいと思います。
 第二項目といたしまして、学校へ喫煙場所の設置をしてはどうか、これにつきましてお尋ねいたします。
 学校へ喫煙場所を設置されてはどうかと提案させていただきたいと思いますが、せっかく昨年の四月より県下全学校施設内において禁煙制度を全国に先駆けて実施されてその実を上げているという県教育委員会に対しまして、私は何も水を差したり意地悪を言う気持ちはございません。かくいう私は全くたばこの味を知らない禁煙派でございまして、自分自身にはそういうことを思っておらない、喫煙場所が要るとは考えておらないわけでございますが、しかし、私の仲間の中にも相当たばこを吸う方がおりまして、たばこを吸う方にも愛煙家の論理があり、余り肩身を狭くする必要がないのではないかと思います。
 そこで、たばこ税について調べてみました。たばこ一箱当たり二百五十円としましたら、そのうちの国税は五十四・三二円、県税十七・三六円、市町村税は五十三・三六円であり、合計、二百五十円のたばこのうち税金は百五十三・三四円となり、約六〇%が税金でございます。県には年間二十三億円、市町村には七十二億円程度のたばこ税が入っております。使途については、特定財源ではなく全く自由に使える税金で、地方自治体にとりましては貴重な財源と言われており、これは学校施設や運営にも使われていることは確かでございます。
 私は、この提案をする前提になりましたことは、昨年十一月十九日に打田町保健福祉センターにおいて開かれました青少年育成強調月間県民大会において、紀の国きらきら子どもフォーラムが開かれました。県下から選ばれました子供と大人の提案発表者がありまして、そのテーマは、好きな大人、嫌いな大人と和歌山県の町づくり、こういうテーマでございました。木村知事もその発言者の一人としてご参加いただき、会を一層盛り上げてくれました。
 その席上、一人の子供発言者の方から、学校敷地内は全面禁煙ということですが、ある先生が敷地外に出て隠れてたばこを吸っている姿を見て、余りにもみっともない上に生徒への影響が大きいことを指摘されたんです。広い学校敷地内には、喫煙室をつくるスペースがきっとあると思います。学校開放を強く叫ばれている今日、教職員や外来者が遠慮なくたばこを吸いながらストレスを解消できる空間づくりが学校教育進展の一助になるものと私は信じております。教育長のご見解と今後の学校内でのたばこに関する影響についてお伺いいたします。
 第七項目といたしまして、警察の問題についてお尋ねいたします。
 まず第一に、治安悪化に伴う警察力の強化についてお尋ねいたします。
 昨今の内外の治安情勢を見ますと、刑法犯罪の発生件数は五年連続して二万件を超え、また殺人、強盗など凶悪事件が年々増加傾向を示していると聞いております。一方、検挙率の方を見ますと、凶悪犯罪では約八割近い数字を維持していただいておりますが、刑法犯罪全体では約二割と年々低下してきており、昨今の治安情勢の厳しさに県民が非常に不安を感じているのではないかと危惧しているところでございます。
 そこで、警察本部長に次の二点についてお尋ねいたします。
 まず第一点は、治安維持の根幹である警察施設の充実についてどのような方針で臨まれるのか、お聞きいたします。
 老朽化した警察署等の施設はどのように建設を進めていく予定なのか、県民の一人として非常に心配しているところであります。特に私の地元である妙寺警察署についても老朽化が甚だしく、平成十三年十二月議会で質問した折にも「できるだけ早くやる」という答弁をいただいておりますが、その後、建てかえ計画はどうなったのか、この点も含めてご答弁をお願いいたします。
 また、昨年の六月議会でも問題提起されましたが、警察の留置場が満杯になっていると聞きます。犯罪の検挙者数は年々増加しているといったこの厳しい情勢に対応していくための新たな留置場施設はどう確保していくおつもりなのか、その点もご答弁いただきたいと思います。
 第二点目は、人的な整備についてどうお考えなのか、お伺いいたします。
 本県の警察官の増員については、知事を初め関係当局のご苦労によりまして平成十四年度及び十五年度で相当数を確保していただいたことを大変評価しており、深く感謝申し上げる次第でございます。しかしながら、先ほど来の話のとおり、現下の治安情勢はまことに厳しく、今後ますます厳しくなっていく情勢の中で、今の体制では治安維持をしっかりとできるか、やっていけるのかと、かなり不安があります。
 そこで、私が考えるのは、知識、経験とも豊富であるOB警察官を有効に活用していく方策が大切なのではないかということであります。特に交番相談員などは、知事のご理解により増員されていると聞いておりますが、交番の不在といった県民の不安感を解消する上で大変よい施策であると評価しているのであります。
 そこで、本部長にお尋ねいたします。
 今後の治安情勢に対応していくためにOB警察官の活用を含めた人的整備をどう進めていくお考えなのか、ご答弁をお願いします。
 また、最近、交番、駐在所においても不在が目立つと住民の方からよく聞くことがあり、住民の不安も大きいのではと考えております。夫婦住み込みの駐在所がもっとふえていくことが重要なのではないかと考えますので、この点も含めて高綱警察本部長のご見解をお伺いいたしたいと思います。
 以上で、質問を終わらせていただきます。適切なご答弁をお願いいたします。皆様、ご静聴ありがとうございました。
○副議長(小川 武君) ただいまの門三佐博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの紀北分院の整備のご質問でございますけれども、議員の質問の中にいろいろ答えがもう全部出ているような形で、非常に答弁が心苦しい面もあるんですけども、私自身といたしましても、この紀北分院の重要性、そして和歌山県における歴史、それからまた今の施設の老朽化の状況、十分頭に入っているわけで、何とかしていこうというふうな気持ちを強く持っているわけでございます。
 そういう中で、去年の七月にこの医大のあり方懇談会、これいい方に委員になっていただいて研究を進めているわけですが、まず前段として、この医大をどうしていく、どうなっていくかということに今までの検討の回が費やされているということで、この紀北分院のあり方につきましては年内をめどに提言をいただくというふうなことになっております。そしてその際、学内で既に検討報告が出ておりますので、これも参考にしながら県としてこの紀北分院、どういう運営形態で、どういう診療科目で、どういう形で地域に一番役に立つようなやり方にしていくかということを真剣に研究していきたいというふうに思っております。
 それから、高野熊野の世界遺産の登録と大きなイベントをということのご質問でございます。
 高野熊野については、来年の六月に世界遺産になる可能性が非常に高くなってきているわけでございまして、ことしの十月にはこれに合わせて高野龍神スカイラインを無料化したり、いろんなことでこの地域の盛り上げを図っていきたいというふうに思っております。先般開催されました近畿の知事会におきましても、全国で十二、世界遺産があるんですけれども、その中の五つが近畿にあるということから、こういうふうなものを連携しながら外国からお客さんを呼ぶというふうな政策を提言いたしまして、これも行っていかれるようになっているわけでございます。
 ただ、世界遺産ともなりますと、やはりこれは登録後になると思いますけども、何かやっぱり華のあるようなことが必要だと思いますので、マンダラ博になるかどうかはちょっとわかりませんけれども、いずれにせよ、いろんな形でこの高野山、これは本当に僕は和歌山県が世界に誇るものだし本当に大切にしていきたいというふうに思っておりますので、いろんなことを考えていきたいと、このように思っております。
○副議長(小川 武君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 道路整備充実についてのご質問にお答えいたします。
 まず国道四百八十号についてですが、そのうち平道路につきましては、四郷の第一トンネル、第二トンネルが概成しております。今後、二本のトンネルを含む四郷地区の早期供用を目指し、用地買収及び改良工事を進めてまいります。
 府県境部の仮称・鍋谷トンネルにつきましては、長大であり高度な技術を要するために、今後とも直轄代行事業の採択を国に強く要望してまいります。
 梨子ノ木バイパスの志賀地区につきましては、部分供用により整備効果を発現したいと考えております。また、梨子ノ木トンネルにつきましては調査設計を進めているところであり、地元の皆様にご協力をいただきながら坑口までの用地買収及び工事を推進し、早期着手を目指してまいります。
 次に京奈和自動車道につきましては、国に強く働きかけた結果、平成十四年度予算におきましては百億円の事業費が確保されました。十五年度は、三大都市圏環状道路として引き続き増額を働きかけているところでございます。
 議員ご質問の橋本道路の供用につきましては、現在、用地取得率が九三%となって工事も実施されておりますが、今後は土地収用法を活用することにより早期に用地取得を完了し、平成十七年度に供用するよう国土交通省に働きかけているところであります。
 紀北東道路につきましては、地元との設計協議が進められており、設計協議の整ったかつらぎ町妙寺地区で用地買収に着手しております。
 紀北西道路につきましては、早急に現地の測量調査に着手し、西からも事業を展開するよう国に働きかけているところであります。
 今後とも、より効果的、効率的に整備が図られるよう国に強く働きかけてまいります。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 道路整備充実についてのご質問のうち、紀の川左岸農道の建設促進と一部供用開始についてでございますが、平成十二年度に農道事業の見直しを行いまして、計画路線を四期に分割し、一期、二期分の一万一千六十二メートルにつきましては集中的に事業を実施し、平成二十二年度完成に向けまして事業を進めてございます。なお、一部供用開始につきましては、本年の七月に九度山町入郷農免からかつらぎ町道山崎高野線間の二千四百五十メートルを供用開始する予定としてございます。
 今後とも、地元調整を図りながら、部分供用ができる区間を重点的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 携帯電話の通話不能地域の解消についての三点について、一括お答えを申し上げます。
 携帯電話につきましては、ご指摘のとおり、今日では日常生活に欠かすことのできない極めて公共性の高い通信手段でございまして、緊急時における情報伝達手段としても有益でございますので、通話不能地域の解消は重要な課題であると認識してございます。
 通話不能地域につきましては、本県では山間部が多いなどの地理的要因から、おおむね大字単位で見ますと三十七市町村、百四十地区がございます。そのうち特に市町村が国の補助事業である移動通信用鉄塔施設整備事業を活用してでも整備することを強く希望している地区が十六市町村、三十八地区となってございます。補助事業の推進に当たりましては、希望地区の中から世帯数や人口、観光入り込み客数、交通量、公共施設の整備状況等を勘案して順次整備に取り組んでいるところでございます。
 しかしながら、希望地の多くは山間部でございまして、事業採算性が難しい上に後年度の維持管理経費が通信事業者の負担となっていることから、通信事業者の進出は多くを望めない状況にございます。このため県では、通信事業者が進出しやすいよう、この負担軽減を国に強く働きかけているところでございます。
 また、現有アンテナ設備の出力アップによる利用可能エリアの拡大につきましては、その実現について通信事業者に強く働きかけを行っているところでございますが、本県におきましては山間部が多いなどの地理的要因や鉄塔施設間の電波干渉等の発生のおそれがあることなどから、現状では困難であると聞いてございます。
 携帯電話の通話不能地域の解消は厳しい状況にございますが、その重要性にかんがみまして、今後とも地元や通信事業者との協議を進めながら利用可能エリアの拡大に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 介護保険制度の三点についてお答えいたします。
 まず最初に、県内における特別養護老人ホーム──通称「特養」でございます──における待機者でございます。
 各施設で調査した結果、平成十四年三月末現在で千三百九十九名となっております。なお、入所時期の意向も調査しておりますが、約半数の方がとりあえず申し込んでいるという結果になっております。
 次に特養の入所についてでございますが、現在は入所希望者がみずから直接施設に申し込むことができるため、入所の必要性の低い方も早期に申し込むといった傾向にあり、また複数の施設に申し込む方もおられるため、待機者が増加しているものと考えます。
 こうした状況を踏まえ、現在、県、市町村及び関係団体等で和歌山県指定介護老人福祉施設──特養でございます──の入所指針を策定中であり、近く公表することとしております。これをもとに各施設、市町村の協力を得て入所者の選定方法を見直し、入所決定の透明性、公平性を確保しながら、必要性の高い方から優先的に入所できるように努めてまいります。
 次に、特養と介護老人保健施設──通称「老健」でございます──これらの施設整備についてでございます。
 現在、目標年度を平成十九年度とした新長寿プランの策定作業を行っております。この中で各市町村が施設サービスの利用者見込み数等を推計しており、これをもとに県内七ブロックに分けて整備計画を策定中であります。なお、特養につきましては、整備中のものも含め現在ベッド数は四千五十床ありますが、新プランではさらに七百四十二床を、老健につきましては現在の三千九十二床に加え四百六十五床を新たに整備する計画となっております。
 今後も、こうした介護保険施設の整備につきましては、新プランに基づき、関係市町村と十分協議しながら積極的かつ計画的に整備してまいります。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 国際化が進展する中、子供たちが日本人としての自覚を持つとともに外国語能力の基礎を身につけることがますます重要となっております。そのため、本年度から全面実施となった総合的な学習の時間では、国際理解教育の一環として小学校でも英語等を学ぶことができるようになりました。
 こうしたことを踏まえ、来年度からイングリッシュ・パワーアップ・プログラムをモデル事業として実施することとしております。この事業は、小・中学校が連携しながら小学校三年から中学校三年までの七年間を見通した英会話の学習を行うものであり、外国人講師を活用して体験的な活動からより質の高い内容へと系統的に進めてまいります。この事業を通して児童生徒が外国の生活や文化に親しみ、英語を使ったコミュニケーション能力を培うことで、中国語など他の外国語にも関心を持たせる動機づけになると考えているところでございます。
 次に、学校内への喫煙場所の設置についてお答えいたします。
 学校敷地内禁煙の方針は、学校が児童生徒に対して禁煙、喫煙防止教育を行う場であることや、受動喫煙による健康への影響などを憂慮して決定したものであります。これを推進していくためには、教職員がノースモーキングエリアを厳格に守ることによって児童生徒や保護者からの信頼を得ることこそが何にも増して重要であります。したがいまして、校内に喫煙場所を設置するという方法よりも、今後、保護者や学校開放等で施設を利用する外来者に対しても理解と協力を得ることとあわせて、ノースモーキングエリアの趣旨をさらに徹底する方策を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○副議長(小川 武君) 警察本部長高綱直良君。
  〔高綱直良君、登壇〕
○警察本部長(高綱直良君) 治安悪化に伴う警察力の強化についてのご質問にお答えを申し上げます。
 まず一点目の警察施設の充実についてでございます。
 警察署の建てかえ整備につきましては、厳しい財政状況の中、県議会、県当局のご理解をいただきながら、平成十二年には海南警察署を、昨年平成十四年には湯浅警察署をそれぞれ新築するなど、順次その整備を計画的に進めてまいったところでございます。
 特に、昭和四十一年以前に建築をされました串本、妙寺、白浜、この三つの警察署はいずれも老朽化、狭隘化が著しく、来庁される方の駐車スペースにもご不便をおかけするというような現状にございます。そのため、串本警察署につきましては平成十五年度と十六年度の二カ年で建てかえるべく所要の予算を今議会にお願いを申し上げておるところであります。また、議員ご指摘の妙寺警察署につきましては、県当局と協議の上、平成十八年度と十九年度の二カ年での建てかえ計画を予定させていただいているところであります。
 次に留置場施設の整備についてでありますが、これにつきましては平成十六年度と十七年度の二カ年の計画で、和歌山東警察署別館という形で建設計画を進めておるところであります。
 次に、人的体制の整備についてでございます。
 当県警察官の増員の状況でありますが、昨年、一昨年と、県知事みずから上京をいただき警察庁長官に直接警察官の増員についての要望を行っていただくなど、多くの方々のご支援をいただき、大変厳しい財政事情の中ではありますが、平成十四年度には四十名の増員が認められ、平成十五年度につきましても既に増員の内示を受け、今議会に三十名の増員をお願い申し上げておるところであります。
 しかしながら、多発をしております街頭犯罪など、当県の治安情勢は依然として大変厳しいものがありますことから、警察といたしましては徹底した業務の合理化を図ってまいる一方で、引き続き国に対して警察官の増員を強く要望してまいりたいと考えておるところであります。
 また、ご指摘の交番相談員につきましては、現在十九名を事件事故が多発する交番に順次配置をしております。平成十五年度も、県知事を初め県当局のご理解をいただき、今議会にさらに五名の増員をお願い申し上げているところでございます。
 議員ご指摘のとおり、知識、経験ともに豊富なOBの警察官を各種の治安対策に活用してまいることは大変重要であるというふうに考えておるところでありまして、引き続きその方策について検討をしてまいりたいと考えております。
 また、交番、駐在所の不在の解消を図るために、先ほど申し上げた交番相談員の充実活用ということを図っておりますほか、パトカーや隣接交番員の立ち寄りを強化して住民の皆様の不安解消に努めておるところであります。
 なお、夫婦住み込みとなっている駐在所の割合は、現時点で全体の約四二%となっております。今後とも、地域に密着した駐在所活動の推進を一層進める見地から、夫婦住み込みの駐在所というものをさらにふやしてまいるべく人事上の配慮を進めてまいりたいと考えております。
 今後も良好な治安を維持し、県民が安全、安心に暮らせる生活環境を守ってまいるために、県議会を初め知事、関係当局のご理解を賜りながら、警察施設及び人的基盤の整備充実に努めてまいる所存でございます。
○副議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(小川 武君) 以上で、門三佐博君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十番阪部菊雄君。
  〔阪部菊雄君、登壇〕(拍手)
○阪部菊雄君 一般質問をさせていただく前に、我が伊都郡内から先輩議員二名の方がさまざまな角度から質問をされており、ご答弁をいただいておりますので、三番目になりますと大変やりにくうございまするが、あえて触れてみたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 ただいま、議長のお許しをいただきましたので、質問をいたします。
 今や世界の情勢は極めて騒然として、まさに戦争前夜のような緊迫した危機感が漂うております。また、国内にありては深刻な不況に直面しております。県下のすべての産業にかつてない企業倒産や失業者が増大し、あるいは本年度高校卒業生の就職難等々、枚挙にいとまのない暗いニュースが充満いたしております。こうした極めて深刻な状況の中で、通告に従いまして質問いたすわけでございます。
 昨年の十一月三十日、ふるさと農道整備事業の上中・慈尊院工区の紀の川架橋・高野参詣大橋の完成祝賀式が九度山町のふるさとセンターにおいて挙行されました。本件につきましては十三年十二月の一般質問で申し上げましたが、実際、立派な架橋を目の当たりにして、当時、細川政権時代でありますが、何らかのかかわりを持ってまいりました私にとってはまことに感慨深いものがあります。この高野参詣大橋の開通によりまして、高野口町はもちろんのこと、河南地区の九度山町入郷・慈尊院地区、かつらぎ町三谷、山崎、教良寺、寺尾、渋田等々から天野地区全体に、あるいはまた那賀町、粉河町にわたる広域地域の利便性は飛躍的に改善されるものと大いに自負いたしておるところでございます。まことにありがとうございました。
 そこで、これに関連する問題に対しまして、農林水産部長にお伺い申し上げます。
 この路線の上中・慈尊院区の延長線北、紀の川右岸広域農道に接続する上中・下中工区の完成のめどについて、いつごろになるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
 次に、土木部長にお尋ね申し上げます。
 伊都・橋本地域の道路関係についてでありますが、先ほど申し上げましたように、先輩議員の質問がありましたので、重なる点はありまするが、お許しいただきまして質問いたします。簡単にご答弁していただきたいと思います。
 この橋本インターより京奈和自動車道と平行する南側の側道の用地買収の状況について、現在どのように進捗しているのでしょうか。この側道は、ご承知のとおり、高野口町応其地区より国道二十四号線伏原地区との間の道路に直結する重要な側道であります。本件について詳細にお答えいただきたいと思います。
 また、府県間国道四百八十号線平道路に係る四郷地区トンネル工事の進捗状況や、花園村民の待望久しかった県道花園美里線梁瀬─長谷宮間の地蔵トンネルの工事についても、あわせて簡単にご説明をお願い申し上げます。
 次に、県立医科大学病院紀北分院についてであります。
 本件については、平成十三年十二月の定例会、また今回も門議員より質問されておりますが、紀北分院は紀北地方における最高の医療機関として地域住民の生命と医療全般にわたる大切な役割を果たしておりますが、既に施設も風雪四十有余年以上も経過しており、近年、ますます老朽化が甚だしくなっております。
 知事さんのお話では、いろいろとご心配いただいて、今答申を受けるような立場にあるようでございまするが、よろしくお願いいたします。当地区内の自治体の住民もすべて、本院に次ぐ医療機関として一日も早く新しく改築していただけるよう特段のご配慮をお願い申し上げる次第でございます。
 次に、商工労働部に対して、今年度重点施策としての繊維産業中国市場進出支援に関して、現在国内市場が低迷している中、中国経済の発展に伴う地域間競争も、本県を代表する地場産業である高野口のパイル織物も大変厳しい状況下にあり、特に中国沿岸部を中心とした経済成長による市場の拡大は、WTO加盟に伴う自由化の中、県内事業者の関心も相当高まってきております。これらの販路開拓を進める県の支援、特に繊維産業中国市場進出に向けた取り組みについてお尋ねをいたしたいのであります。
 さらに、県産品の販路開拓を県が直接に大手スーパー・イトーヨーカ堂に売り込みを支援いたしておりますが、その活動の状況についてもご説明を賜りたいのであります。
 次に喫煙対策について、今後の基本的な考えを質問させていただきます。
 先刻、門議員からの質問もございましたけれども、私は平成十三年十二月の議会でも喫煙対策について質問をさせていただきました。今回は、健康増進法が今年の五月から施行されることを受け、その対策をお尋ねいたします。
 喫煙は健康への重大なリスクとなることは、世界保健機構・WHOが何度も警鐘を鳴らし、先進諸国ではいわば常識となっております。また、先日の「読売新聞」の記事でもご承知のとおり、現在ジュネーブでたばこの地球的広がりを各国が協調して抑え込もうというたばこ枠組み条約の最終の多国間交渉が大詰めを迎えておりますが、日本は世界有数のたばこ生産国であることから消極的であるとの批判を受けていることは事実であります。
 しかしながら、我が和歌山県では、全国に先駆けてたばこ対策指針を策定し、実際に平成十四年五月には県庁内の執務室内は禁煙とし、年間、日本人だけで千人から二千人が受動喫煙の犠牲で亡くなっているというデータもある中、たばこを吸わない多くの職員の健康を守る大きな一歩が始まったということはまことにすばらしい決断であったと言えるでしょう。そして、知事さん、この庁内の喫煙対策は、職員が上司や同僚のたばこにストレスを感じることなく職務に専念できる環境がやっと整ったという点でも大きな成果があったのではないでしょうか。
 また、県立医科大学では建物内を全面禁煙とし、たばこの自動販売機も撤去いたしました。これは、医科大学の病院長を初め関係の皆さんが、さまざまな病気の大きな原因の一つである喫煙習慣に対し、県を代表する医療機関として認めないという姿勢を強く打ち出したもので、大病院としては大変早い取り組みで全国的にも高い評価を受けております。
 さらに、とりわけ若年層の喫煙はその細胞が未発達のゆえをもって何としてでも防がなければならないわけでありますが、和歌山県教育委員会はそのために全国に先駆けて実施したすべての公立高校での学校敷地内禁煙、いわゆるノースモーキングエリアは教育界や医療関係者に高く評価され、新聞やテレビでもしばしば取り上げられるなど、和歌山県のイメージアップにも大いに貢献されました。
 このような中、五月から健康増進法が施行されるわけですが、その第二十五条には「多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない」とされております。和歌山県は、残念ながら、これまで平均寿命や肺がん、心臓病のデータは全国最下位レベルにあることから、知事は県民の健康を守るため喫煙対策の重要性を強く認識し、今ではこのように全国一という高い政策評価を専門家の方々から受け、まさに和歌山モデルとなっているわけですが、健康増進法の施行を前にまだ不十分な点もあることから、今後の喫煙対策の基本的なお答えを知事にいただきたいのでございます。
 また、健康増進法では官公庁も対象とされておりますが、前回、庁内の喫煙対策をとっていただいたのに、なぜか受動喫煙防止が図られているとは言えない部分がまだ残されております。例えば、本館にはみんなの通るところには厚生労働省の研究でも効果が不十分と指摘されている空気清浄機が設置されております。また、北館の一階の横の出入口の喫煙コーナー、食堂なども受動喫煙対策がとられているとは言いがたい状況です。この辺の対策はどうされるのですか。
 また、振興局や出先機関の喫煙対策はどうなっているのでしょうか。また、多数の方が利用するさまざまな県立の施設がありますが、この受動喫煙防止対策がきちんととられておるのでしょうか。一例を挙げると、県民の皆さんが利用するビッグ愛、確かに会議室や各部屋は禁煙になっておりますが、一階のロビーはひどいものでございます。あれは健康増進法違反となるわけでありますが、その辺の対策について総務部長にお尋ねいたします。
 健康増進法は他の自治体や民間施設にも受動喫煙防止を求めることになっておるわけでありますが、先日の「産経新聞」によりますと、県の調査では県内の役場の完全分煙は日置川町のみとの報道がありましたが、こういう状況を改善するためにも、県立医科大学が他の病院に範を垂れたように、県はまずもって模範となる必要があるのではないかとお尋ね申し上げるわけでございます。
 なお、私は別にお金をかけて喫煙室をつくったり設備を設けよと言っているわけではありません。これだけたばこが健康上、本人にも周りの人にも有害と言われているのだから、福祉保健部が策定した和歌山県たばこ対策指針で示されているように、官公庁の建物は全館禁煙とすべきではないでしょうか。少なくとも一階や二階にわざわざ喫煙室などを税金でつくらずとも、建物外で人の通らない場所で喫煙コーナーをすれば十分であると申し上げるのであります。その点、誤解のないようにお願いいたします。
 そこで、健康増進法が実施されると、受動喫煙対策のとられていない民間の事務所や飲食店なども多数あると思われますが、これに対して具体的な取り組みをどういうふうに進めていくのか、福祉保健部長からお答えを願いたいと思います。
 最後に、教育長にお尋ねいたします。
 昨年の四月から実施された県内の公立学校敷地内禁煙ノースモーキングエリアについては、全国的に和歌山を見習うべきだとの声を聞きますが、他府県における状況やこれまでの県内での成果についてお教えいただきたいと思います。和歌山県の喫煙対策への前向きな取り組みは今や全国に発信され、マスコミや多くの専門家の方々から注目されております。さらに全国へのモデルとなるべき積極的なご回答を期待申し上げます。
 最後に、私から要望いたしたいと思います。
 年間一兆円もの利益を計上するトヨタ自動車を筆頭に、この大不況下にも相当な収益を上げているさまざまな企業も、賃上げやボーナス等の制限等、将来の国際市場の競争に対応する防衛策が進んでおります。私が冒頭に申し上げましたとおり、ちまたは暗いニュースばかりでございます。この際、私たちの議員報酬につきましても大幅に減額して県民におこたえしてはいかがでしょうか。現在、各派において検討されていると聞いておりますが、今会期中に前向きな対応をお願いいたしまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○副議長(小川 武君) ただいまの阪部菊雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 紀北分院についてのご質問でございます。
 紀北分院につきましては、先ほど門議員にお答えを申し上げましたように、外部の有識者による県立医科大学のあり方懇談会で今後のあり方を検討していただくこととなっております。
 紀北分院は地域の医療機関として重要な役割を担っており、懇談会から年内をめどにご意見、ご提言をいただき、それらも参考にしながら設置者として真剣に検討してまいりたいと、このように考えております。
 次に、県の喫煙対策の今後の基本的な考え方でございますが、たばこ対策については、全国に先駆けて和歌山県たばこ対策指針を策定して積極的に取り組んできたところでございます。今後とも、喫煙は重大な健康問題であるという視点に立ち、喫煙が健康に及ぼす悪影響についての正確な知識の普及、たばこをやめたい方への禁煙支援等に取り組むとともに、未成年者の喫煙率ゼロに向け、教育機関、保護者、保健医療機関、たばこ販売者等が一丸となった対策を推進してまいります。
 さらに、健康増進法に盛り込まれた受動喫煙防止対策につきましては、民間に範を示すため、県や市町村等の公共施設での禁煙や分煙を強力に推進してまいります。
○副議長(小川 武君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) ふるさと農道緊急整備事業について、紀の川右岸広域農道に接続する上中・下中工区の完成時期についてでございますが、現在、本工区七百二十四メートルにつきましては、完成に向けまして鋭意事業を進めているところでございます。今後、盛り土の安定を待って舗装工を実施し、本年十月末に完成する予定でございます。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 伊都・橋本地域の道路整備についてのご質問にお答えいたします。
 まず京奈和自動車道の側道についてですが、橋本道路のうち橋本インターから高野口インター間の用地取得率が約八七%であり、その南側側道につきましても本線と同様に用地取得を行っているところであります。引き続き、早期供用に向けて用地取得に努めてまいります。
 次に国道四百八十号平道路につきましては、概成しております二本のトンネルを含む四郷地区の早期供用を目指し、用地買収及び改良工事を進めてまいります。
 次に、県道花園美里線の花園村梁瀬から美里町長谷宮の区間の地蔵トンネルにつきましては、工事を進めておりまして、平成十六年度の完成を目指してまいります。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 繊維産業等の振興策の二点についてお答え申し上げます。
 中国市場進出支援について、特に高野口パイル織物支援策でありますが、県内繊維産業では輸出振興への関心も高まり、中国市場進出に向けた動きが進んでいます。県では、昨年十月に県内繊維関係の代表者六名を調査員として中国に派遣し、進出可能性を調査しました。十五年度、新たに上海に本県を含む五県共同で活動拠点をつくり、プロデューサーを配置し、県内企業の中国市場への進出を支援してまいります。また、繊維産業中国市場進出サポート事業を新たに創設し、海外市場の需要調査や海外展示会への出展など、高野口のパイル織物を初めとした繊維産地の積極的な取り組みを支援し、繊維産業の活力アップを図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、イトーヨーカ堂に対する県産品販路拡大につきましては、昨年七月にイトーヨーカ堂のバイヤーを招き、本県のニット、パイル事業者など六社が参加した商談会を開催したほか、昨年十一月二十七日から十二月二日にかけて東京のイトーヨーカ堂木場店において「まるごと和歌山物産展」を開催し、一部商品についてはその後引き合いがあるなど、成果をおさめました。
 このような取り組みを踏まえ、平成十五年度は本格的に事業拡充を行い、県産品ニューマーケティング事業を実施いたします。具体的には、イトーヨーカ堂の首都圏の店舗網を活用したソフトアンテナショップを展開し、本県産品の販売、消費者ニーズの把握により売れ筋商品の定番化を図ってまいりたいと考えております。
 このため、既に各市町村を訪問し、産品の掘り起こし、リストアップ等を行っているところであります。本事業の実施により即効性のある販路開拓を行い、県内生産者の所得向上や技術力のアップを図るとともに、県内産品や産地のブランド化を推進していく所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 県関係の施設での喫煙対策についてお答えを申し上げます。
 この点につきましては、受動喫煙防止の観点から、建物内の禁煙あるいは禁煙場所以外での喫煙を行わない空間分煙を実施することとしております。
 本庁での喫煙対策につきましては、昨年の五月から空間分煙という形で実施しておりまして、喫煙場所につきましても可能な範囲内で施設整備をいたしております。また、振興局等の地方機関につきましては、既に実施済みのところもございますが、未実施のところにつきましても平成十五年度で施設整備を含めて実施することとしております。今後とも、受動喫煙防止の観点からできる限りのことを行っていきたいと考えております。
 なお、地方機関以外の県有施設につきましても、実施済みのところもございますが、その他のところもできるだけ早い時期に実施できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(小川 武君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 健康増進法と県民の健康について、とりわけ民間での受動喫煙対策についてでございますが、近く国から示される予定である施行通知等を踏まえ、関係団体などと連携して受動喫煙防止措置の推進を図ってまいります。特に、職場は毎日長時間過ごす場所であり、そこでの対策が重要でございます。これまでも産業医の研修会や企業対象のセミナーなどでその必要性を訴えてまいりました。今後は、健康増進法の施行を追い風として、和歌山労働局などの関係機関と連携して一層の推進を図ってまいります。
 さらに、煙のないレストラン、温泉など受動喫煙防止に積極的な施設を県のホームページで紹介するなど、新しい方策も検討してまいります。
○副議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校敷地内禁煙についてお答えいたします。
 全国の状況について必ずしも正確には把握できておりませんが、市町村単位や学校ごとに実施しているところがふえてきております。さらに、仙台市や宇都宮市では平成十五年度から市内全校の敷地内禁煙を決定しております。また都道府県段階では、現在十三の府県が実施に向けて検討をしており、今後、本県の取り組みがさらに広がっていくものと思われます。
 なお、本県でのノースモーキングエリアについては、約一年が経過し、当初のねらいどおり、おおむね順調に推移している状況にあります。その結果、児童生徒の喫煙問題に対する意識が高まった、たばこで指導される生徒の人数が減少した、この機会に半数余りの学校で禁煙した教職員がいる等の報告があり、効果があらわれてきつつあります。
 今後とも、保護者や外来者等の理解と協力も得て、より一層徹底をしてまいります。
○副議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十番阪部菊雄君。
○阪部菊雄君 先ほど、知事さん初め、ご答弁ちょうだいいたしましたが、非常に積極的なご答弁がございましたので大変うれしく思っておるところであります。
 建物内の禁煙について、さらに重ねて質問いたしたいと思うわけであります。
 きのうの「産経新聞」でしたか、見ますると、おくればせながら甲子園球場もスタンドが全部禁煙になると書いてございました。あそこは、ご存じのとおり、吹き抜けみたいになって上向いて上がっていくと思うようなところでもやられるわけでございますので、念のため申し上げておきたいと思います。
 私の言いたいのは、ただ一点、庁内の喫煙対策を昨年度実施されたことはよく承知いたしておりますが、私が今回指摘した不十分な箇所、例えば本館の一階、北館の一階あるいは食堂の現状を、総務部長さんはまだ和歌山県に来て間がないので余りご存じないのではないかなと、こう思うわけでございますので、あのままでは健康増進法違反になり他の市町村の見本にはならないので、改善するか撤去するかどちらかにされたらどうかとお尋ねいたしたわけでございます。
 答弁の全体の趣旨からすれば当然お考えいただけるものと存じますので、あえて今、答弁は求めません。健康増進法が施行されたときに他からご指摘を受けないよう善処されることを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○副議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で阪部菊雄君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 当局の皆さん、大変お疲れのところ申しわけないですが、答弁、正確にお願いします。(「当局だけと違う」と呼ぶ者あり)いや、皆さんは適当に便所へ行っていますので。当局は席を立てないので非常に厳しいと思います。
 寝耳に水どころか、県民に激震が走った昨日でした。私は、関西電力が和歌山県御坊沖で造成中の御坊第二火力発電所の予定地に核燃料中間貯蔵施設の建設という見出しを見て驚いた県民の一人であります。
 次に、本題に入ります。
 十五年度予算に関連して、私は以下の六点について当局の考えをお尋ねします。
 日本経済の動向、指針が明確でなく、私たち国民は指をくわえてはおれません。全く中途半端やなの国の政策に黙っているわけにはいきません。知事の言う地方からの改革を、地方から国民に責任ある施策と実践を進める以外ありません。
 県民は今、仕事がない、働くところがない、お客が来ない、物が売れない、一方で自己破産の増加、生活保護家庭の増加等、大変な事態になっています。地方財政は今財政的にも厳しい中で、県民は、政治が悪い、県は何をしているのかではなくて、県行政も、県民に与える、してやるではなく、地方行政は行政と県民が協働、協力、役割分担をして地域をつくり出していくことを実践の中で、県職員の皆さんや私たちもまずその考えに立ち、県民と対峙していくことが今大切な時期だと私は考えております。
 十五年度予算が義務的経費等削減して政策経費へ、そして税収入減の中でも予算総額を四年ぶりに上回る、それでいて県債発行を抑制した、その努力を大いに評価したいと思いますし、今後の地方行財政のあり方に一石を投じたのではないかと思います。しかも、県のこの姿勢が市町村の行財政へも大きいインパクトを与えたのではないかというふうに私は思っております。
 次に具体的に、私は十五年度予算の中で五点ばかり挙げております。
 一つは、失業率が問題でありますが、十五年度重点予算と雇用創出についてですが、失業率が全国平均五・四%、和歌山がそれを上回る六・一、高卒者が六四・六の就職率、これは数字であるわけですが、事実上、就職がないから短期大学へ行かせるという父兄の方もたくさんおられます。そういう意味では非常に厳しい状況でもあります。
 私は、この十五年度予算と雇用創出という問題でテーマにしたのは、県でも景気・雇用対策本部を設置して努力されていますが、私の考え方は、予算と事業施策と雇用創出を一体化した政策として進めることが大切ではないか。そのことが、各セクションの施策の中身にもっと味のある濃いものになるのではないかというふうに考えたからであります。とりわけ、それぞれの施策によってどれだけの雇用を生み出すのか、また地域の活性化の役割はどうか、施策実施前の評価も必要ではないかと思いますが、知事のご見解をお聞きしたいと思います。
 第二点は、県内の中小企業、とりわけ中小零細企業はもう瀕死の状況です。それを助けるための国、県の施策である緊急経済対策資金、経営安定資金、新規開業支援資金等は現実的に機能、運用されているのでしょうか。現状は、銀行の貸し渋りで中小零細企業への金が回っていないのではないでしょうか。この制度活用は力のある人には優遇ですが、厳しい経営をしている人にこそ適用されるべきであるのにそうはいかない、銀行と保証協会の綱引きで結局借れない状況を生み出しているのではないかという危惧をしている一人でありますが、いかがでしょうか。どういう手を打っていくのでしょうか、県当局のお考えをお聞かせください。
 次に第三点目でありますが、建設・土木業者、知事もお答えになられておりましたが、県内六千五百業者の新分野への展開施策についてですが、公共事業中心の建設産業は今、公共事業が減少をしているため大変な状況にあり、さりとて民間の建設事業も減少している状況で、今建設産業は縮小、統合を初め新たな分野への転換を考えなくてはいけない状況にあります。県行政とどうしていくのかという問題であります。
 各都道府県でもこれを積極的に推進していくところもありますが、国が「地域経済レポート二〇〇一」という問題で、「公共投資依存からの脱却と雇用の創出」という内閣府政策統括官の平成十三年十一月のレポートがありますが、この中には、ほとんどこのときにバブルが弾けた以降、一番恐れをなすのは地域経済。地域経済があくまでも公共事業に依存して、そこに働く労働者が、二割を超えるぐらいの建設労働者がおるんではないかという分析をしながら、こういった人たち、とりわけその中でも中高年労働者が地方には多いと。これをどう転換をして、そういう中高年労働者の雇用を確保していくのか。新たな事業展開をどうしていくのか。もう一つは、そのほとんどの人たちの建設労働者は雇用保険が適用されない、そういう人たちが大幅だということも指摘されております。
 そういう意味では、この公共投資依存からの脱却と雇用の創出という意味では、とりわけ一番打撃を受けているのが建設産業ではないかということを考え、県が改めて建設産業が新たな分野への事業展開をしていく上での、県行政としてどう支援していくのかということについて県当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 第四点目は、高齢者、障害者を地域で支えるための県の取り組みについてお尋ねします。
 知事は議会の冒頭、「高齢者や障害者の自立と社会参加を促進し、地域で生き生きとした生活を送れるようにするためには、地域住民の福祉意識を醸成し、住民参加による支え合い、助け合いのふるさとづくりを進めていかなければなりません。このため、地域福祉支援計画の策定を進め」と、県政に臨む所信を表明されました。このことを大いに評価しながら、この立場を踏まえて高齢者、障害者を地域で支える地域福祉の充実をどうしていくのか。国の施策に準じたものだけをやるという考え方ではなく、和歌山の中で働く環境づくりをどう県として支援していくのか、政策方針を確立することが大切ではないでしょうか。国の施策が県民にとって実態にそぐわなかったり不十分な点を、県としてそれを補いながら国に対して改善を求めていく姿勢が必要ではないでしょうか。
 例えば、高齢者の地域を支える福祉の一つとして、県民の参画でつくり出すNPO等の宅老所、小規模ケア施設の初期投資に長野県では二億円を超える額の施策を実施し──これは長野県だけではありません。他の都道県でも積極的に今されています。その要因は、介護保険を毎年上げざるを得ない。施設中心の福祉政策ではもたない。こういう中で、地域で支えながら介護保険をどう引き下げていくのか。そのために民間の力で運営していく路線をとっていることは理にかなった動きとして私は参考になると思いますが、いかがなもんでしょうか。
 次に、障害者の措置費から支援費への移行に伴う知的障害者地域生活援助事業の対応では、国の支援制度では対応していけるのか、県として支援していく必要があるのではないでしょうか。例えば、非常に財政が厳しい大阪府でさえ、この支援制度を府の独自の府単独事業として新たな障害者グループホームの設置促進事業にかかわってグループホームステップアップ事業、それから世話人養成研修事業など、新たにその地域が求めている本当に地域福祉支援をしていくための障害者のための支援が県、国にない分を、府でもやっていこうということで、新たな支援制度も確立されています。和歌山県としていかがなもんでしょうか。障害者の生活支援と就労支援についても県として具体的にどう対応していくのかを、あわせてご質問申し上げたいと思います。
 以上の事例を含め、県が主体的に高齢者、障害者に対する福祉政策と計画を明確にしていくことが今必要ではないでしょうか。私はこれをくどく言っているのは、県として県民の高齢者・障害者福祉政策を確立することがまず先決だ。どういう状況にあって、どういう政策が和歌山県としての主体性でどういうものが必要なのかという施策を、きちっと関係者の意見をまとめ上げながらつくり出していくその姿勢が今問われているのではないかということであります。
 次に第五点に、県立の学校五十五校の教室、管理棟、体育館の施設の整備についてであります。
 県教育委員会ではなく知事部局の総務部長に見解をお聞きします。私の持論ですが、教育施設の整備計画と予算の裏づけを総務当局は明確にする必要があるのではないでしょうか。
 第一点目は、整備計画は大規模改造整備、教育内容の改定に伴う新築・改造整備、維持管理上必要な部分整備、それから耐用年数五十年から六十年を周期とすれば毎年一校分の規模の建てかえ等、以上四項目の整備事業が必要であります。これに必要な予算は概算で年間七十四億円を必要とされています。
 しかし、実態はどうでしょう。平成元年度から平成十五年を時系列で見ると、平成十年の四十六億九千万円をピークに、平成十四年二十四億五千万円、新年度・平成十五年は二十二億七千万円と減少している中で、総務部としてその考え方をお聞かせ願いたいわけであります。この整備は、教育内容の充実はもちろん、この投資は地域の活性化にもつながるという意味での積極的な投資が今望まれているのではないでしょうか。総務部長の見解をお尋ねいたします。
 次に、東南海・南海地震対策についてであります。これは先日も質問されましたので、私の方からは簡単に質問をしたいと思います。
 一つは、県アクションプログラムの策定の考え方と中身であります。今、いつ起こるかわからない、三十年後は四〇%と言われておりますが、県民の意識は、選挙区じゅういろいろ歩いてみますと、かなりな地震、津波に対する危機感を県民は感じています。そういう意味では非常にいい意味で、自主的に市民一人一人が自分の生命財産を守るために何をするかということが今スタートしておりますから、そういう意味では非常に大きな意義があるというふうに思います。しかし、行政は少なくとも行政として何をしていくのかという部分のアクションプログラムはことし策定していくということになっておりますが、私はそのアクションプログラムの中身、考え方をまずお聞きしたいと思います。私の政策としては、市民と行政の共同で、市民参加でアクションプログラムをつくろうではないかという考え方であります。そういう意味で、県当局のお考えをお聞きしたいと思います。
 次に、県アクションプログラムの策定と予算計画についてであります。
 私はこれについて少なくとも二十カ年計画から二十五カ年計画が必要ではないかというふうな考え方をしているわけですが、まず行政としてアクションプログラムを策定した場合に、それに対して予算計画をどうしていくのか。それはもちろん、地震防災対策特別措置法に基づく事業計画は踏まえた中ではありますが、県のアクションプログラムとその裏づけとしての予算計画を一定示す必要があるのではないでしょうか。これについてお聞きしたいと思います。東南海・南海地震特別措置法がその関係でどう運用されていくのかについても、お尋ねしたいと思います。
 次に、アクションプログラムの中での緊急にして必要な施策への積極的な支援策についてであります。
 県は、地震・津波対策に対するいわば避難地、避難路のマニュアルをつくっていろいろやられていることについては評価しますが、現実的に各市町村では今、民間自主防災組織をつくり、具体的にみずからの命をどう守るかということで最初に出てくるのが避難地、避難路であります。これを今、各地域で計画しておりますし、私たちも自分とこはどこへ逃げるかということで住民の皆さんとお話をして、このコースが必要だと決めても、非常にそれに対する財政的措置、民間の土地であった場合は民間の個人所有者に対するアクションを起こさなければならない。その非常に難しい部分があります。そういった点で、避難地、避難路を住民でつくり上げた場合、県行政としてどうかかわりながらそれをつくり上げていくかについてのお考えを聞きたい。
 そして、自主防災組織については今つくっても、実際に最低限の資材はどれだけ行政が支援してくれるんだろうか、私たちの持ち出しはどれだけすればいいんだろうかということで具体的に悩んでいる自主防災組織の方もおられます。そういう意味では、行政はこういう形で最低限これだけは責任を負うと、あとは住民の皆さん、これだけは持ってくださいという形での明確な方向を示すことの方が住民が納得していくのではないかというふうに思いますが、いかがなものでしょうか。
 耐震調査については、先日述べられました。私からは要望にかえますが、自己管理はもちろんです。皆さんは自分の家は自分で守っていくということではもちろんですが、具体的に耐震調査に対して不安を持っている市民の方にどこまで行政が支援してくれるんだろうかという、この疑問も持っております。もう全然できないのか、いや、こういう方向でなら、こういうところであればどれだけ支援できるということを、やっぱり県民に明確に今示しておく方がいいんではないか、このように考えているわけであります。
 最後になりますが、津波対策についての考え方であります。
 これについては以前も私は本会議で質問させていただきましたが、防潮堤や河川の問題、水門の問題、その老朽化、それから防潮堤のかさ上げについてどうして補強していくのか、もうそのままなのか、そういった点も質問させていただきました。今、地域で具体的に、とりわけ私たち田辺市の問題は、海に囲まれた田辺市であります。したがって、防潮堤や、そういったところへのかさ上げをするのか、そして津波対策についてはどの程度のハード面のアクションを起こしていくのかということについて、県行政の先が見えない。まず逃げたらええんやということにとどまっていないかという疑問を持った市民の方がたくさんおられます。そういう意味では、県行政としてアクションを起こすハード面の最低限はこれしかできないとか、この程度だったら長期的にやっていくという方向を今示していかないと、全体の自主防災組織の考え方とがマッチしていかないという非常に不安な中での現状であります。そういう意味では、津波対策への今後、具体的なハード面での取り組みの県の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、農業問題であります。梅の立ち枯れの平成十三年、十四年の比較から見た農林水産部長のご感想を聞かせていただきたいということであります。
 私は今、地域でこの実態を皆さんにご披露申し上げながら、あとの考え方は個人にお任せしているわけですけれども、十三年と十四年の梅生育不良の発生本数という状況と御坊の火力発電所の稼働率との関係を数字で示させていただきながら説明しているわけですが、我々西牟婁の田辺市を中心とする産地では、十三年に比べてこの十四年は枯れた本数の確率が六〇%、四〇%減っております。ところが、日高ではむしろ一〇〇%を超えたところが三カ所、より一〇〇%に近いところが四カ所というふうに若干ふえている地域があるという現象が起こっております。
 これは、稼働率から見ますと、平成十三年、十四年では七月、八月、九月と一月、二月以外はすべて稼働率はゼロであります。平均では十三年度では一三・六%と、一、二、三号基のトータルは一番高いところで八月ですが、ことし十四年度はその一番高い八月でも三・五%と、非常に稼働率は下がっております。そういう中で、以前からの時系列の立ち枯れの状況が実際に田辺周辺、西牟婁郡では立ち枯れが六〇%、むしろ煙突に近いところの立ち枯れの方がかなり一〇〇を超えているという、こういう実際の現象面での評価として出ていることについて、私はおのずからその問題の基本にあるのは何かということが、科学的に今証明されないけれども、現実的に火電の稼働率と立ち枯れの相関関係、火電の稼働状況と立ち枯れのエリア、その範囲の問題、その中での現象面として具体的に数字が示してきていることについて、今まで私が議会で質問してきたこととの間で結論がここに示されているんではないかということを感じましたので、農林水産部長の感想をお聞かせいただきたいと思います。
 第二は、梅、ミカンの現状認識と対策についてであります。
 まず私は、昨年末からことしにかけてミカンの値動きを見て大変な状況にあることを、数字だけでなく、農家の皆さんの声や実情を知ると、農家を守り農業で生活をすることの厳しさを痛感しているところであります。
 十四年度のミカンの価格を見ますと、ことしは裏作で量が少なく値段もある程度の高値で動くと予想されていたのが、実際はそうではなくて、例えば平成十年と十一年を比較してみますと、実際に十年が非常に裏作で量が少なかった。値段が二百四十三円。それから平成十一年は量が多くて百十五万キロ、七千五百、七億──済みません。本来は、裏作で量がないときには値段がよかった。二百四十三円。量が多いときには百五十七円と下がった。ところが、平成十三年は量がよくとれて百六十九円だったんですが、平成十四年度、ことしは百五十三円というふうに、量が下がったのに値段も下がったという現象を言いたかったわけです。だから、今までは量が多いときには値が下がって、裏作で量が少ないときにはある程度、値動きは高くで動いたんだが、この十三年、十四年を比較して見ると、量に関係なく、ことしはどんと裏作で高値を信じていたんだけど百五十三円という値段しかつかなかったと、こういう状況が今起こっているわけであります。
 こういう状況の中でミカン農家はどうしたらいいのかという中で、JA紀南の管内では、ミカンづくりはあかんということで、梅への転換を図る農家がふえております。私の知っている人でも、五反、一町とミカンを切って梅に変えるんやということで、ことしずっと作業をしている人たちもあります。国がしますミカン、リンゴの新たな果樹政策の支援というのがありますが、これもことしの単価を百五十四円として、県の基準単価百八十五円はさらに下がって大きな力にならないと私は考えております。こんな実態で、国はいつもそういう状況の中ではミカンの生産調整に入って、十三年は百二十五万トンに減らし、十四年は百十五万トンという量に減らして帳じりを合わそうとしています。この方針は正しいのでしょうか。生産量を減らしてもミカンの価格は下落する一方で、結果は効果が出ていません。私たちは、ミカン農家の経営をどう守り続けていくかについて重点を置いた施策を今考えていく必要があります。生産調整をして生産量を減らすことは、商社の思うつぼであります。これは私の個人の考えです。外国農産物の輸入の拡大につながることは目に見えています。そのような状況は既に生まれているわけであります。
 じゃ、どうすればいいのか。第一は、消費者が求めるミカンづくりを目指すこと。それに対する栽培方法とその支援であります。二つ目は、消費拡大を目指すための施策であります。三つ目は、地産地消の運動は、思いつきではなく、地に足のついた継続する運動を行政と民間の力で徹底する必要があります。私は、一つ一つの町や村がその積み重ねで全国に波及し、日本国民の意識として国内農産物の流通と消費を生み出すことにつながるんではないか。そうしなければ日本の農業は守れないし、日本の独立国としての主権が侵されることになりかねない。ミカンと梅の文化を県民の中に根づかせるための活動をどうするのか。四季を通じて生産されるミカンがどこに行っても盛られていて、味を見ることができる。学校給食にも、どんなイベントにも。そんなミカンと梅の文化をつくり出す仕掛けは行政の力をかりないと難しいし、県民思想として根づかせることは何も難しいことではなくやる気の問題だと私は考えるが、いかがでしょう。そうすれば、生産調整せず積極的に生産する、やる気の農家への大きな力、後押しになると信じております。
 梅についても同じであります。昨年からことしにかけて梅の価格破壊は大変なものです。昨年末の売り上げは二〇%落ち込みました。バイヤーは、利益率を上げるため低価格の仕入れに躍起になっている現状であります。梅も大変厳しい状況にあります。紀州梅ブランドが消費者に信頼される商品づくり、生産・加工の顔の見える商品化、梅の消費拡大への新商品開発、国内から国外へ売り出すための研究等、一つの枠内からの脱皮も今求められています。こういった厳しい現状の中で、県行政の果たす役割は何かを行政サイドだけで考えるのではなく、広く関係者と知恵を出し合い、果樹王国日本一・和歌山を守るための施策を確立してください。どうでしょうか。
 厳しい農家の経営を支えるために、私はもう一つ、生産農家の立場から、このデフレ不況の中で農業生産を維持していくために一番やらなくてはいけないのは、生産コストを下げるために生産資材や農薬等の価格を見直し、まず県行政はその実態調査をすることを要望したいと思います。農林水産省もようやくこのことを問題にして、全農への改善を求めています。県当局の積極的な対応をお願いしたいと思います。
 次に、食品安全推進委員会の役割と考え方についてでありますが、もう時間がございませんが、今国会、食品安全委員会の設置の八法案が提出されております。県はそれに基づいて、消費者優先の立場という立場で食品安全委員会はつくられますが、結論から言えば、私は生産者代表もぜひその委員会並びに関係するところへ入れてほしい。消費者と生産者が交流し合いながら真に理解を求めていく生産に立ち行かないと大変矛盾が起こってくるという意味では、この委員会並びに関係する機関に生産者代表をぜひとも入れてほしいということを要望したいと思いますが、当局の見解をお聞きしたい。
 この問題の最後ですが、地球温暖化と農産物の産地化研究についてですが、簡単に言えば、昨年からミカンがポンカンの煮え腐りがあったり、それからイチゴの栽培も紀南では非常に大きな打撃を受けたり、そういった意味で年々、青梅の生産出荷も半月から一カ月昨年は早かったし、ことしも早くなるのではないかということで、非常に気候変動と、いわゆる地球温暖化と農作物は無関係ではないなということで今研究されております。
 そういう意味では、今後、温暖化によって植生気候帯が大幅に北上してきているという農産物の産地の変化、それから既存作物への影響、こういった面でぜひとも検討していかなければならない。これは、二十一世紀中期から後半にかけて温度は摂氏二・五度上昇するという警告が予測されております。そういう意味では、県下のこういう地球温暖化の現象が気候変化と作物の状況を真剣に考える、各試験場ではそういう植生気候と温度資源、それから日射資源、水資源の豊かさでこう評価されます。植生気候の中では、とりわけ、温度資源の変化に着目した研究テーマをこの各試験場で研究テーマとしてぜひ取り上げてほしいというのが私の要望であります。これが農業の問題です。
 あと、最後になりますが、南紀熊野体験博の二十一協議会、そして高野・熊野世界遺産についてであります。
 これは簡単に申し上げますと、南紀熊野体験博とその後、南紀熊野二十一協議会の中で、南紀熊野二十一協議会は、いわゆるコンセプトとして南紀熊野地域に残る歴史と文化、それをはぐくみ続けた豊かな自然環境を守り、南紀熊野体験博を通じて生まれた地域を愛する人々の活動を支援、組織化し、自分たちが住む地域を誇りを持って情報発信を行うことを行動の基本方針とするということで、南紀熊野の新時代を築くんだということでやっておりました。これ、三年間続けてまいりまして、この十四年末で終わるわけでありますが、これを私は、この意味でソフト面では語り部の組織化やネットワークづくりへ一歩前進していること、三重県の東紀州活性化推進協議会との連携など、紀州は一つのネットワークへも進んでいますし、また熊野古道の大辺路街道の発掘と再発見も大きな成果を上げておりました。熊博の取り組みの三年間、二十一協議会の三年間の実績と成果をどこでどう継承し、発展させていくのでしょうか。
 各関係する十六市町村では、独自と相互のネットワークで官民が協力して取り組む体制づくりも今積極的に進んでいます。県として今後どのような形でコーディネートしていくのか、お尋ねしたいと思いますし、そのことが高野・熊野世界遺産登録を受けての受け皿としてどう取り組んでいくのかについて、あわせてご質問したいと思います。
 第一回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(小川 武君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 雇用創出についてのご質問でございます。
 デフレ不況の中で各社が固定費の節減を図るというふうな中で、セーフティーネットというふうな問題が非常に大きな問題になってきているわけでございます。こういう中で、ご質問の中にありましたように、雇用対策というのをすべての施策を考える上での一つの主視座に据えるというふうなご質問の考え方、私も大賛成でございます。
 そういうふうな中で、和歌山県といたしましては、例えば、基金事業といたしまして、福祉とか環境とか治安とか教育等々の部門で千五百五十人の雇用の創出、さらには福祉施設の整備、これはまあじかには雇用の創出ということではないわけですけれども、雇用効果が大きいものといたしまして三百人弱、さらには緑の雇用事業等で千五十人ぐらいというふうに、いろんな事業で雇用の創出が図られるようなことを考えております。
 さらには、そのほかにも、例えばアグリビジネスの支援でありますとか、県産品のニューマーケティングシステムでありますとか、県産材の活用でありますとか、いろんな事業の中で新たに産業を興して、そしてそこへいろんな人が雇用されるというふうなことを図っていきたいというふうに思っておりますし、こういうふうな仕事を進めていく上では、県が独善的に物事を行っていくんじゃなくて、NPOとか民間団体との協力・協働関係というのが今まで以上に大事な時代になっている、このように考えております。
○副議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 県内中小企業、零細企業への金融支援についてでございますが、県下の中小企業を取り巻く金融情勢は大変厳しいものがあると認識しております。また、金融機関による貸し渋りについては、金融相談や経済団体等との地域融資動向に関する情報交換会を通じて状況の把握に努めているところです。
 これまでも制度融資においては中小企業が借りやすく返済しやすくするために種々工夫するとともに、金融機関、信用保証協会等に対しさまざまな機会をとらまえて可能な限り弾力的な対応をお願いしてきたところでございます。
 これらにより平成十五年一月末における新規融資の実績は六千三百六十八件、約五百九十一億円となっており、昨年同期に比べ約三割の増加となってございます。また、平成十五年度制度融資においては緊急経済対策資金を初めとする需要の高い資金の融資枠を拡大するとともに、小規模な企業の金融情勢は一段と厳しくなることが懸念されることから新たに一般貸付資金に小企業枠を設定し、より低利な貸付利率を適用するなど、中小零細企業に対する金融支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、建設業者の新分野進出に関するご質問についてでございますが、公共、民間ともに建設投資額が減少している中、県内建設業許可業者数はそれほど減少しておらず、県内業者の受注機会の確保にきめ細かく努めておりますが、需要と供給のバランスがとれてない状況にあります。そのため、建設業の需給ギャップにより生ずる失業に対する施策が必要であり、県といたしましては雇用のセーフティーネットとして展開している緑の雇用事業への参入を業界団体に要請しているところであります。
 また、国の補正予算において建設業の新分野進出活動を支援する建設業セーフティーネット構築緊急事業が新設されたところであり、今後早急にこの制度の有効性について検討してまいりたいと考えております。
 次に、津波対策への県の考え方についてお答えいたします。
 津波のハード対策につきましては、湯浅広港において津波防波堤の整備を行っています。その他、防潮堤や水門は高潮対策として整備していますが、津波に対しても一定の効果があるものと思われますので、その老朽化対策や津波に対応した管理体制の強化を検討してまいります。
 いずれにしても、ハード対策を進めるには多くの時間と費用を要するため、ソフト対策として避難対策を充実させていくことが重要と考えております。県といたしましては、今後、市町村と連携を図り、ソフト対策及びハード対策の総合的な組み合わせにより県全体の津波に対する防護水準の引き上げを図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 高齢者や障害者を地域で支えていくための県の取り組みについてお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、高齢者や障害者の自立と社会参加を促進し、地域で生き生きとした生活を送れるようにするためには、国の施策を活用するとともに、地域の実情に応じた独自の施策を展開していくことが必要であります。
 そのため、県においては高齢者が在宅で安心して暮らしていくことができるよう、市町村と連携を図りながら、地域で高齢者を見守り安否を確認する事業を初め、地域支え合い事業の拠点を整備するゆうゆうコミュニティ事業など、県単独事業として実施しております。
 また、障害のある人が地域において自立し安心して生活できるよう、グループホームについては国の補助事業の対象とならない部分を県単独で補完するとともに、障害児の夏休みの社会的活動の場の提供と介護者の負担を軽減するための活動を支援する事業や授産施設等の経営改善、製品開発、販路拡大等について検討し具体化する事業等を新しく行うこととしております。
 なお、来年度におきましては、福祉全般において地域で支え合う体制づくりを支援するため、地域福祉支援計画の策定を進めるとともに、わかやま長寿プランや紀の国障害者プラン等をもとに本県の実情に応じた福祉施策を計画的に進めてまいります。
○副議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) まず、教育環境の整備についてお答えを申し上げます。
 将来の和歌山県を担う世代の教育のために施設環境を整えるということも重要なことでありまして、平成十五年度の予算の編成につきましてもこのような認識に立って臨んだところでございます。
 ただ、本県の財政環境には厳しいものがございまして、財源確保に当たり全庁的に義務的経費の削減努力や徹底した事業見直しなど、できる限りの努力を重ねてきておりますものの、一方で、国全体の動向もありまして、県全体の投資事業縮減の中で教育施設整備経費が減少してきたことも事実でございますが、教育施設環境につきましては、今後とも教育委員会とも十分協議しながら着実な整備を図っていけるよう対応してまいりたいと考えております。
 次に、東南海・南海地震対策についてお答えを申し上げます。
 アクションプログラムの策定につきましては、まず県民の命を守ること、県民の生活を守ること、復旧・復興を進めることを理念といたしました基本方針を策定した上で全庁的なワーキンググループを立ち上げ、防災対策の各部門ごとに基本方針に沿ったプログラム素案を作成してまいりたいと考えております。この素案には、市町村や防災関係機関などの意見も反映させていきたいと考えております。
 また、プログラムの素案を作成した段階で、東南海・南海地震等の学習会も兼ねた説明会を開催して、参加された県民の皆さんの声をお聞きするとともに、インターネットを活用して広く意見を求めることとしたいと考えております。
 そして、アクションプログラムの策定に当たりましては、施策の体系化を図り、施策の事業主体、優先順位、整備目標等を明確にし、策定後も施策の進捗状況、効果などをにらみながら毎年進行管理を行って見直しを行ってまいりたいと考えております。
 次に、アクションプログラムと予算計画の関係でございますが、アクションプログラムでは公共施設等の耐震化や津波対策などに重点を置きながら施策の優先順位や整備目標などを設定する予定でありまして、これを踏まえて毎年、適切な予算措置を行ってまいりたいと考えております。
 なお、地震防災対策の事業につきましては、地震防災対策特別措置法に基づいて事業を進めているところでございますが、東南海・南海地震対策特別措置法の施行もにらみながら、今後もこの制度の十分な活用を図りますとともに、さらなる支援を国にも要望してまいりたいと考えております。
 次に、緊急にして必要な施策への支援策についてでございますが、地震防災対策の中でも住民の命を守る対策が最も重要であると考えておりまして、県は市町村などが行います自主防災組織への資機材供給に要する経費やハザードマップ作成に要する経費の補助、あるいは自主防災組織を対象とした図上訓練や県下一斉の津波避難訓練の実施など、種々の対策を行ってきております。
 また、津波避難計画策定モデル事業によりまして既に三つのモデル町で津波避難計画が作成されたところでございまして、残る沿岸市町でも速やかに津波避難計画を作成していただくよう県としても働きかけを行ったところでございます。今後、沿岸各市町で津波避難計画が作成され、これを津波避難訓練等で検証していくことによりまして、各市町村において住民の意向も踏まえて避難地や避難路なども含めまして早急に講ずべき具体的な課題が浮かび上がってくるものと考えております。
 こうした課題につきましては、それぞれの市や町が住民とともにみずから取り組むべき課題として市や町へ十分な対応をお願いいたしますとともに、県といたしましても、市町村の意向なども踏まえながら、市町村や自主防災組織への支援策の拡充なども検討してまいりたいと考えております。
 また、この点につきましても、特別措置法の施行もにらみながら国への支援も要望してまいりたいと考えているところでございます。
○副議長(小川 武君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 農業問題についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、梅の立ち枯れの平成十三年、十四年の比較から見た感想についてでございますが、生育不良の発生状況につきましては、ここ数年、全般的に新規発生は少なくなっており、樹勢は良好でありますが、地域的にはばらつきがございます。このことは、冬季温暖であったことや適度な降雨に恵まれたこともございますが、生産者の地道な努力により土づくりや整枝・剪定、かん水方法など、これまでの試験研究や現地実証で得られた対策技術の成果があらわれてきたためではないかと考えてございます。なお、その一方で御坊発電所の稼働率とのかかわりを疑念する地元の方々のご意見もあることも承知してございます。今後とも、試験研究成果を十分生かしながら、安定生産対策に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、梅、ミカンの現状認識と対策についてでございますが、梅、ミカンを初めとする農産物につきましては、最近の厳しい経済情勢に加え、消費者ニーズの多様化や流通構造の変化などにより農産物の需要は停滞しており、これに伴いまして市場価格も低調に推移しているところでございます。
 そのような中で十四年産ミカンが低価格に推移したことにつきましては、これらの要因に加えまして、従来のような需要と供給のバランスによる価格形成が維持できなくなったためではないかと考えてございます。
 一方、このような状況の中でも安全で高品質な農産物に対する消費者ニーズは高い現状から、県では本年三月、果樹農業振興アクションプログラムを策定し、品種の見直しやマルチ栽培の拡大といった高品質果実の生産対策やトレーサビリティーシステムの導入による安全で安心できる農産物を消費者に届ける施策を推進することとしてございます。
 また、消費拡大対策としましては、毎日くだもの二百グラム運動を推進するとともに、量販店への産直などによる安全でこだわりのある農産物の販売に努めるほか、地元での消費拡大を目指し地産地消運動を広く展開することとしてございます。
 また、議員お話しのミカンや梅の文化を県民の食生活の中に定着させていくことも非常に重要なことだと思ってございます。今後とも、生産者を初め、消費者、流通業者などさまざまな関係者のご意見を広くお聞きしながら本県果樹農業の振興に努めてまいりたいと考えてございます。
 最後に、地球温暖化と農産物の産地化研究についてでございますが、地球温暖化に伴う作物への影響につきましては、栽培地域が北上しているなどの情報もある中で、環境の変化は非常に長期的で、その影響についても正確な予測は困難な問題であると考えてございます。一方、国におきましては、平成十四年度から地球温暖化による主要作物へのストレスや土壌微生物の変化など、農林水産業に与える影響について研究が着手されたと聞いてございます。
 県といたしましては、現時点では基幹作物を中心に地域に密着した試験研究を推進しておりますが、温暖化の影響などにつきましても、こうした国の動向を見ながら検討してまいります。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 食の安全推進委員会についてお答えします。
 県では、新年度から食の安全を確保するため、部局横断的な組織として和歌山県食品安全推進委員会を設置することとしてございます。この委員会では、食品の安全確保基本方針を策定し、安全な食品の生産段階での指導、流通食品の監視指導の充実などを図るとともに、消費者及び生産者等から食品安全行政に対する提言をいただく組織を設け、食に関する情報を一元化し消費者への情報提供を行うなど、消費者の立場に立った食品安全行政の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(小川 武君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 南紀熊野二十一協議会に関するご質問についてお答えを申し上げます。
 ご指摘のように、南紀熊野二十一協議会は平成十一年に開催されました南紀熊野体験博を機に県と西牟婁・東牟婁地域の十六市町村で設立されまして、南紀熊野の豊かな自然、歴史、文化の情報発信など、地域の活性化を目的にさまざまな事業を展開してまいりました。特に、三年間で十六市町村をめぐる南紀スタンプラリーでは延べ三千名の参加を、また大辺路を含めた熊野古道ウオークでは延べ五千名の参加を得て、世界遺産登録に向け熊野古道を県内外に広くアピールすることができました。このほか、ガイドボランティアの交流会や研修会、間伐体験や水源の森の観察会、講演会等の環境保全の取り組みなどの事業を実施してきたところでございます。
 南紀熊野二十一協議会の組織は三年間の活動を終えて本年度末で解散されますが、この間、二十一協議会の活動の中で培ってまいりました人的ネットワークや地域おこしのノウハウなどは、県や市町村がそれぞれ引き継ぐこととなります。
 また、世界遺産の登録は、熊野・高野の魅力を国内外に向けて情報発信をし、県の活性化につなげていく絶好の機会でもございますので、今後とも市町村や関係部局と連携を図り、総合的な施策展開を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 三点ばかり要望します。
 一点は、教育施設について質問しましたが、現状、私、何カ所か見て回ったんですが、ある体育館なんかは築後もう四十一年、そして田辺市内にある小学校の体育館よりもお粗末。クラブは国体選手また国際大会へ派遣する選手を生み出しながらも、時間差練習。夜十時、十一時までやると、そういう時間差練習もしなければならないし、田辺市内の市の施設や中学校、小学校の施設をどんどん借りながらジプシー生活をしているクラブと、そういう実態も見受けられます。
 そういう意味では、県としてやっぱり、そういう教育施設、本当に生徒がクラブに打ち込める、また教育に打ち込める施設の対応が今早急に望まれていると思いますので、知事におかれてもぜひ実態を見て、子供たちの教育内容を充実させていくという意味では、予算が当初必要な七十億から二十数億という程度の三分の一足らずではどうしてもおくれがちになっていくんではないかということで、教育予算に対する、もう少し評価をしながら予算を考えていく時期に来ているんではないかということを第一点、要望しておきます。
 二つ目は、建設産業の新たな産業への展開ですけれども、これは土木部だけではなかなかうまくこれに対応していかない。国が建設業セーフティーネットの構築緊急事業というのがありますが、これはまあ言えば全く無責任なことでありまして、財団法人の建設業振興基金をゆだねてそこでやりなさいという形であります。むしろ私たち県は、具体的に知事も申されている六千五百の事業者というのはなかなかこれからの公共事業でとか、地方の民間の事業では飯を食っていけないという事態はもうはっきりしているわけですから、こういった状況を正しく踏まえながら、どのようにして県行政が手を加えて支援をしていくのかというのを、むしろ土木部、商工労働部、農林水産部が横断的に論議をしながら、建設業者に新たにしていける、まじめに今度もう一度こういう事業で生きていこうという人たちに支援する制度をぜひ設けていく、まず相談窓口ぐらいつくっていく、そういうものをぜひつくっていただけたらありがたいなと、こう思っております。
 三点目には、高野・熊野世界遺産との関係と二十一協議会の果たしてきた役割なんですが、実際、私は大辺路をずっと歩き、それから熊博をずっと体験しながらやってきた一人として、この後どうしていくのか。実際に、市町村の民間の皆さんは非常に、知事も地域活性化、体験イベント、いろいろ地域体験学習を各地方でしていることについては評価されているわけですが、事実上、二十一協議会が解散した後、じゃ具体的に培ってきた成果をどこで継承しながらやっていくのかという部分で、一つはこの紀南の地域十六市町村の地域振興、世界遺産の登録がされるという前提での地域振興をどう考えていくのか。それから交通のアクセスをどうしていくのか。まだまだ不十分でありますし、それから自然との対応。森林保全をしながら自然と林業政策はどうあるべきか。それから住民活動、民間の活動をどう支援していくのか。また、観光行政として観光政策をどうしていくのかという、こういう観点が今望まれているわけでありますが、それは各セクションでやりなさいと。この経験をして、ばっとばらまいて各セクションで責任を持っていきなさいということにはなりにくいんではないかと。これもむしろ横断的な発想で、世界遺産の専任部署が、教育委員会という中ではなくて、全体に成果を上げたことをどう、いわばコーディネートしていくか。県行政がすべてやるんではなくても、各十六市町村の官民が一体になってやっていくことに対してどうコーディネートしていくかという部分の専任機関が必要ではないかというふうに私は考えているわけで、それを要望したいと思います。
 たくさんあるわけですけれども、そういう意味で、実際に世界遺産が来て受け入れする、せっかく熊博をやり二十一協議会をやってきたことに対しても、まだまだしかし登録された段階での対応が不十分なところがあります。私は実際歩いて、先ほど言いました熊野古道の交通アクセスは非常にまだ改善されておりません。そういう問題とか、三重県では語り部の組織が一本化されているんですけれども、和歌山ではまだまだ一体にして──先ほど言いましたように、せっかくつくってきたんだけど、ネットワークとして事務局を持ってこの語り部を養成しながら全体を三重県とも連携しながらやっていく組織がまだ生まれ切れていないという問題。
 それから、大辺路の整備については、歩いてもトイレがない。標識も非常に不十分だと、こういう部分もあります。そういう意味で、ぜひとも一度点検をされて、世界遺産登録に向けての官民一体となった受け皿をつくりながら地域振興に役立てていただきたいと思います。
 それを要望して、終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後三時十七分散会

このページの先頭へ