平成14年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず初めに、国保問題についてであります。
 今の国保は、憲法の理念に基づいて一九五九年四月から施行されてまいりました。憲法第二十五条の精神を受け、国保法第一条の「目的」には、「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与すること」としております。医療保険制度の中で唯一社会保障としての位置づけが明記され、医療を国民のすべてに公的に保障する制度として国保が誕生し、国民皆保険制度が確立をされました。発足当初からその加入者には低所得者や生活困窮者が多く、十分な国庫負担なしには維持できない制度でしたから、国が責任を持つ社会保障の制度として出発をいたしたわけです。低所得者の保険料負担の救済措置として法的減免制度などが設けられております。いわば国保制度は、国民だれもが保険証一枚でお金の心配なく医療を安心して受けることができる国民皆保険の基幹的制度として充実が図られてきたところであります。しかし、最近の国保をめぐる特徴は、長引く不況などによるリストラと失業や、企業倒産、高齢化の進行などによって国保加入世帯が急増して、国保の果たす役割はますます大きくなると思っているところです。
 一九八四年、臨調行革の名のもとに、生活保護、老人福祉、国保に対する国庫負担金が大幅に減額されました。国保では、医療費の国庫負担を四五%から三八・五%に引き下げ、そのときから国保料の引き上げが毎年のように行われてきたところです。その結果、各地で国保料が高過ぎて払いたくても払えないという声が高まる中で、年々滞納者がふえ続けているという今の状態です。中には、生命保険を解約したり、サラ金やカードローンで保険料を払っている人が少なくない実態もよく聞かされるところでございます。
 和歌山市の国保の場合、標準四人家族で年収六百万円で、年間五十三万円の最高限度額の保険料であります。加えて、介護保険料年間七万円です。今や、国保料の滞納世帯は国保加入者の二〇%、五世帯に一世帯が滞納している異常な事態になっていると聞きます。そして国は、一九八四年と二〇〇〇年に、滞納世帯に対し保険証の取り上げと資格証明書発行を自治体に義務づけるという改悪まで行いました。保険証取り上げによって、治療したくても、保険証がないため、また全額自己負担となることから手おくれになったり、重症化したり、死亡するなどの深刻な事態も各地で数多く、最近テレビや新聞等で報告されているところですが、そのたびに私は心を痛めています。まさに、「金の切れ目が命の切れ目」そのものであります。
 本県の状況を見てみましょう。滞納世帯数は二〇〇二年六月で二万九千八百二十一世帯、資格証明書四千五百十四件、短期保険証八千十八世帯に及んでいます。各地で起こっている事態がいつ起きてもおかしくない状態にあるのではないかと心配いたします。一人の犠牲者も出してはなりません。滞納世帯から命綱である保険証の取り上げについて、厚生労働省は、支払い能力があるにもかかわらず滞納し、相談にも応じない悪質滞納者が対象で、滞納者だからと一律に取り上げるものではないと答えています。また、災害その他の政令で定める特別の事情があると認められる場合には取り上げてはならないとしています。先ほど申し述べた資格証明書発行の四千五百十四件の方々は、全世帯とは申しませんけれども、悪質滞納者と決めつけているように私には受けとめられます。国会答弁や国保法施行令の制裁措置の適用除外の規定にも違反しているのではないかと思えてなりません。大量の資格証や短期保険証の発行で保険料の収納率アップを目的とした制裁措置ならば国保法の目的とは相入れないものです。
 医療の基本は、病気の早期発見、早期治療です。これは、国民の願いでもあります。ところが、生命を守る国保が生命を削り、生命を奪うものになっている。心からの怒りを禁じ得ません。払いたくても払えない人の事情をきっちり把握してください。資格証を発行された人の受診率や健康状態にどんな影響を与えているのか、県行政として各市町村と協力をして調査していただきたいと願うものですが、いかがなものでしょうか。
 保険料の負担が重いという住民の声をしっかり受けとめ、法定減免制度の改善、国の負担金をもとの四五%に計画的に戻すことなどを含めて国への働きかけを強めていただきたい。そして、各自治体の国保基金を運用して保険料の負担軽減を進める必要があると考えるものですが、知事のご所見を伺いたいと思います。
 また、事業主体は各市町村でありますが、県政としての支援策も含めてお聞かせ願いたいと思うところです。
 次に、医療保険問題についてお尋ねを申し上げます。
 医療改悪については、日本医師会を初め医療関係団体、患者団体など国民三千万人に及ぶ署名が出されました。この三千万人署名に示された反対署名を無視して強行されました。坂口厚生労働大臣は国会答弁の中で、「ちょっとのどが痛いとか熱がある人は受診を控えるかもしれないが、大勢に影響はない」と言われました。そして、成立させました。症状がありながら受診を控えることで、不安は大きくなるばかりです。病気の早期発見、早期治療という基本を無視した厚生労働大臣は、またお医者さんでもあると聞きます。そういう点からも許されない発言だと思います。本当に国民の医療に影響はないのでしょうか。
 四月から実施された診療報酬の改定は二・七%の引き下げです。病院などでは収入減となり、悪影響を与えていることは明らかです。日本医師会の調査でも、昨年の四月から六月に比べると医療費が三・六%減少し、患者数が二・三%、患者の受診回数が三・八%も減少していると言います。本格的な患者負担が始まる前に受診抑制が進んでいることが、ここではっきりとわかります。深刻な人手不足の解消ができないこと、医療の安全、サービスの向上、患者の保険外負担がふえることが非常に懸念されるところです。また、六カ月を超える入院患者に対する入院基本料の保険外し、大病院の再診や予約診療にも差額料をとり、差額ベッドの割合を全ベッドの五割から七割へと拡大しました。そして、透析患者の治療食が保険給付から外され、有料化や廃止が行われています。あきれるほど患者への負担増が広がっているのではないでしょうか。
 十月からの高齢者の負担増の改悪は、限りない不安を押しつけるものとなっていると言えます。とりわけ七十歳以上の医療費の自己負担については、すべてのお年寄りから一割負担を徹底し、窓口で一たん全額を支払い、限度額を超えた分については申請して返金してもらう立てかえ払い、いわゆる償還払いを導入いたしました。しかし、窓口で幾らかかるかわからない不安から、一層受診を控えることになるのではないかと危惧をいたすものです。六十九歳以下の場合でも、自己負担限度額が設けられているものの、重症になるほど負担はふえる仕組みになっていますし、高齢者については、夫婦二人の年収六百三十万円以上に二割負担とする新たなランクを設定し、負担増を強いています。
 こうした改悪の実施前と実施後に北海道の社会保障推進協議会は、千人の高齢患者に対して道内の病院、薬局、診療所などで聞き取り調査を実施されています。九月時点、いわゆる改悪が十月一日から始まる一カ月前ですが、医療費が高くなったらどうしますかという問いに、大変なことになる四〇%、食費や生活費を削る二〇%、通院回数を減らす一七%、ほかにも検査や薬を減らす、入院したら死ぬしかないなどという声も広がっています。実施一カ月後の調査を見てみますと、診療費がふえた四一・九%、支払いが大変五一%、生活・食費を削る、五千円以上の負担になった、一万円以上の負担になったなどという声が大きく聞かれました。これからどうしたらよいのかなど不安いっぱいの声が多く出されたようです。
 これまでの医療改悪で負担増となってまいりましたし、受診抑制が進み、ぎりぎりのところで暮らしているお年寄りたちです。今の政治は、お年寄りには地獄です。これ以上の負担には耐えられません。死んだ方がましかもと嘆くお年寄りの声が耳を離れません。この改悪は撤回を国に求めていただきたいと思います。入院については委任払いが実施されておりますが、外来についても上限額を超えた分は窓口で払わなくていいようにしていただきたい。また、負担が十倍以上にもなる人があることからも、負担の上限額を引き下げることを求めたいと思いますが、関係部長の答弁をお願いいたします。
 次に、老人保健対象の呼吸器機能障害者三級の方についての問題です。
 在宅酸素療法を受けながら、月二回から三回通院治療を続けているひとり暮らしの女性がいらっしゃいます。十月からの医療費が、これまでの月三千二百円から一万二千円と四倍に上がりました。驚きです。在宅酸素療法の酸素濃縮器の電気代が月五千円かかるそうです。主治医に酸素療法をとめるわけにはいかないのでしょうかと相談はしたものの、すぐ呼吸が苦しくなって、また続けざるを得なくなりました。この酸素療法は死ぬまでつき合わなければならないし、遺族年金の十万円で生活をしていますが、お金が続くかどうかも心配です。また賃貸住宅で、病院へ行くのにいつもタクシーを使用しているそうです。何とか県の重度心身障害者医療費助成を、入院の場合と同じように三級の外来についても対象にしてもらえないかとの願いですが、いかがなものでしょうか、関係部長の答弁をお願いします。
 次に、C型肝炎対策についてお尋ねをいたします。
 急増する肝臓がんが今、第二の国民病と言われ、問題となっています。肝臓がんの原因としても、患者の八〇%がC型肝炎ウイルスの感染者であると日本肝臓学会理事長の谷川久一氏も新聞紙上で述べられています。感染経路は血液を介して感染し、輸血によることが多いこと、感染力は弱く、日常生活でうつることはないこともはっきりしてまいりました。また、日本赤十字社の献血の検査でC型肝炎ウイルスの抗体陽性者が昨年までの十年間で四十五万人を超えていることも発表されました。この数字から、国内には少なくとも二百万人を超える感染者がいると推計されたところです。感染しても発病するには五年から三十年かかると言われ、現在、輸血血液のウイルスの有無をチェックすることで輸血後の感染はほとんどなくなったそうです。医療現場では使い捨ての注射針や注射筒を用いることも常識となって、新規感染はなくなっていると言われています。止血剤として使われた血液製剤・フィブリノーゲンなどを投与され、C型肝炎ウイルスに感染させられたとして、薬害肝炎で国と製薬会社とを相手に集団訴訟も発生しております。特にC型肝炎は発症すると慢性肝炎になり、肝硬変、そして最後には肝臓がんに進行すると言われております。それだけに、国の対策が急がれなければなりません。
 最近、私の知人も職場の検診でC型肝炎が指摘され、インターフェロン投与と一月保険適用となった内服の併用治療が続けられていますが、その患者負担は高額であります。患者負担は健保本人二割で、インターフェロン投与は六カ月間に限定されております。内服剤と合わせて約三十万円から三十五万円の負担が必要だと言われています。三割負担ともなれば、さらに負担は大きくなります。検査については、老人保健事業の項目に加えられたことで、早期発見、早期治療への一歩前進と言えますが、これはまだまだ研究が必要です。しかし、完治するとも言われております。一方、C型肝炎であることを職場、家族に話しても理解してもらえず、退職に追い込まれた労働者もあります。正しい知識の広報や普及活動、専門医師、病院などの確保が急がれなければならない、このように思うわけです。同時に、高負担の治療費に対する支援を国に求めるとともに、財政の苦しいときでありますが、県としても支援を検討していただきたいと願うものですが、いかがなものでしょうか。関係部長の答弁を求めます。
 最後に、公共工事についてお尋ねをしてまいります。県工事の入札について幾つかの質問をさせていただきます。
 国の公共工事の入札および契約の適正化に関する法律が制定され、本県でもこの六月以降、順次幾つかの改善が行われているところです。予定価格の事前公表や最低制限価格及び低入札価格調査の基準価格の事前公表、積算内訳書の提出などです。今後もさらに改善を進め、公正な入札及び高値談合防止による余分な財政負担の軽減、そして適正な価格を保証することで下請や孫請業者の保護、建設現場で実際に働く人々に適正な賃金を保障し、退職金制度が正しく適用されるなど労働条件を向上させていくことが必要だと考えます。
 十三年度の入札状況を見まして、幾つか気になる点があります。一千万円以上の工事契約が千三百八十七件あり、その設計総額(消費税込み)は六百六億二千八百三十八万円ですが、契約金額は五百七十八億三千三百八十四万円ということです。落札率としては九五・四%ということになります。設計金額の少し下に予定価格が設定されるケースが多いのですから、予定価格と落札価格との割合はこの九五・四%よりさらに高いことになります。
 これを部局別に見てみますと、最も低いのは教育委員会が行った七件の工事の平均落札率で七九・一%でした。設計金額に対して最も高い金額で契約しているのは企業局の九六・二%、次いで高いのは九五・六%の土木部、農林水産部の九五・三%でした。金額的には土木部が四百四十三億円で全体の七七%、農林水産部が百二十四億円で全体の二一%を占め、この土木、農林水産の二部だけで九八%にも達しております。県工事の落札率が教育委員会並みの七九・一%となった場合、県の財政負担は九十八億円軽減される計算になります。間違いないでしょうか。また、この計算は一千万円以上の工事入札についてのもので、一千万円以下の工事や工事ではない設計などの契約については資料がありませんが、教育委員会並みの落札率となれば工事量や仕事量は減らすことなく百億円以上県の財政支出を減らすことができます。もちろん、国庫補助事業がありますから、県の一般財源がそれだけ減ることにはなりませんが、県工事の市町村負担金も同時に減るのですから、ここに思い切ってメスを入れることが、県だけでなく市町村の財政運営上も重要な問題だと考えます。知事の所見をお聞かせください。
 次に土木部入札の実態を紹介し、土木部長の見解を求めたいと思います。
 決算委員会でも若干の意見を申し上げたところですが、改めて質問を申し上げたいと思います。土木部の入札を一千万円未満、一千万円以上五千万円未満、五千万円以上一億円未満、そして一億円以上のランク別に落札率を調べてもらいました。工事額が高いほど落札率が九五%以上という工事がふえていることです。一千万円未満では九五%以上の落札率の工事は全体の七五%ですが、一千万円以上五千万円未満では八三%にふえ、五千万円から一億円未満では九〇%、一億円以上では九一%でした。このことは、工事金額が高くなるほど設計金額と落札額が接近していることをあらわしていると思うんです。一億円以上の工事は、昨年四十六件ありました。そのうち落札率九八%以上が十一件、九七%以上が二十二件、四十六件中三十三件が九七%以上の落札率ですから、異常に高い落札率です。九九・五%の落札率の道路改良工事には十六社が入札に参加し、落札予定価格は九千九百七十万円でした。落札したのは九千九百二十万円の金額を書いた建設業者でしたが、差額はわずかに五十万円でした。この五十万円の中に残りの十五社が入っているわけです。入札額は九千九百二十五万円、九千九百三十一万円、九千九百三十二万円、九千九百三十五万円、そして五つの会社が九千九百四十万円で並び、さらに九千九百四十二万円、九千九百四十五万円、九千九百四十八万円、二社が九千九百五十万円、最高額が九千九百五十三万円でした。落札業者と最高額を入れた業者との差はわずかに三十三万円でした。わずか〇・三%の金額の間に十五社がひしめき合うような入札が自然な入札で可能だと考えますか。土木部長、いかがでしょう。
 こうした事例は、ことしの入札でもあります。ことしに入って行われた一億円以上の入札執行調書によりますと、IT総合センターの建設工事では、九社が入札に参加し、落札したゼネコンを含むJVの入札金額は二十億一千万円、最高額を入れたJVが二十億五千八百万円、その差額は四千八百万円です。消費税を除いた設計金額が二十億六千七百五十万円で、この金額は公表されていますから、その二・三%前後の中に九社が入ったことになります。反対に、九月十一日に入札された和歌山下津港の建築工事ですが、落札予定価格が一億七千二百三十万円で、低入札の調査基準価格が一億四千六百四十五万五千円、落札された金額は調査基準価格を三千万円以上も低い一億一千百八十八万円で、最高額は一億五千五百万円でした。この差額、四千三百十二万円は予定価格の二五%に当たります。このように、県の入札は高い落札率に集中するものと、そこから離れた入札という二極分化の構造をはっきり見ることができます。このような実態を土木部長はどうお考えになりますか、お答えください。
 次に、県として談合に対する認識が甘いのではないかと考えるものですが、お尋ねをいたします。
 十一月七日に行われた紀の川中流流域下水道幹線推進工事とシールド工事の談合情報に関連して質問を申し上げたいと思います。
 県担当課から、この説明をいただいたところです。七日午前十時に予定していたこの二つの工事入札について六件の談合情報があり、工事名、落札予定者名、落札予定金額、談合に関与した業者名が情報として提供されたとのことです。県は、談合情報には該当しないとして入札を行ったところ、二つの工事とも情報どおりの特定建設工事共同企業体が最低価格を入札したとのことです。事情聴取の結果、推進工事の工事費の内訳が県の積算額と大きく違ったところがありながら、その差額は共同企業体のそれぞれが数万円にすぎなかったということです。県の資料提供では、工事費内訳書については疑わしい点があるが、談合の事実は確認できなかったとしています。
 そこで、お尋ねをいたします。
 県として談合の事実を確認するということは、何をもって確認するというのでしょうか。「談合情報対応マニュアル」によれば、談合がなされたことを示す具体的証拠がなくても、情報提供者の氏名及び連絡先が明らかであり、具体的な対象工事名、落札予定者及び金額があるとき、また匿名の場合でも工事名や落札予定者及び落札予定金額があり、談合に関与した業者名が明らかになるといったケースです。今回の場合でも、二件の工事のうち一方では六社、他方は十二社で合計十八社の共同企業体が入札に参加し、その二つとも情報にあった落札予定者と実際の落札予定社が合致していたのですから、でたらめに落札予定者を当てる確率は七十二分の一しかないのです。情報の正確性は高く、しかも工事費内訳書には不自然な点があるというのですから、談合が行われた疑いは限りなく濃いということが言えるのではないでしょうか。しかし、県の資料によりますと、十一月七日の入札に係る情報は談合情報には当たらないということです。明らかに談合情報ではないでしょうか。また、事前に落札業者を知ることは一般には不可能なことです。今回の場合、談合が行われた疑いが濃厚なのではないか。だから、県も公正取引委員会に通報したのではありませんか。これらの入札に参加した企業を再度入札に参加させることには問題があるのではないでしょうか。また、これまで県として警察に談合罪の容疑があるとして通報した事例がありませんか。あれば具体的に明らかにしていただきたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、資格証明書の発行に当たっての滞納原因の精査についてお答えを申し上げます。
 国民健康保険は被保険者全体の相互扶助で成り立っている社会保障制度であり、その財源となる保険料の収納確保は制度を維持していく上で重要な課題であると考えております。資格証明書は、特別の事情がないのに保険料を長期間滞納した被保険者に交付されるものでございます。県といたしましては、資格証明書を安易に発行するのではなく、被保険者と十分話し合いの場を持ち、滞納者の実態の把握を十分に行いながら納付相談を行うよう市町村に指導を行ってまいりたいと考えております。
 次に、国保の保険料に係る住民の負担軽減についてでございます。
 基金の取り崩しにつきましては、厚生労働省の通知において、将来の明確な財政見通しがないまま保険料を引き下げるために基金の取り崩しを行うことは国保財政運営上適切ではないとされています。県は、今後も各市町村がこのような点に十分留意しながら、適切な国保財政の運営がなされることが望ましいと考えております。
 県の支援につきましては、現在、国民健康保険財政の健全化を図るため、地方単独福祉医療の実施に伴う医療費の波及増に対する緩和のための助成を初め、保険基盤安定繰入金への四分の一の負担や国保連合会が実施する高額医療費共同事業に対する助成等を行っております。国民健康保険制度は、基本的には国の責任において推進されるべきものと考えておりますので、国庫負担の充実等についても引き続き要望してまいりたいと考えております。
 次に、公共事業についてのご質問でございます。
 落札価格は、個々の企業が仕様書に基づいてみずから積算し、競争を行った結果であると認識をしております。公正な競争が促進されるように取り組むことによって、県民に対してよりよい社会資本をより安く提供していくことが公共事業の発注者としての責務であると考えております。また、この過程を通じて建設業の健全な発展を目指していくべきであるとも考えております。
 なお、公共事業の入札契約手続の透明性を確保するとともに、公正な競争の促進を図るため、弁護士等で構成する入札監視委員会を設置したところでございます。その中で、入札契約手続の運用状況についての審議や入札契約制度の改善に対して提言をいただくこととしております。今後とも、入札契約制度の適正化に努めてまいりたいと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 医療保険問題の四点についてお答えいたします。
 まず、償還払いを委任払い制度にについてでございますが、高齢者の方々の高額医療費の支給については、老人保健法では医療に支払われた一部負担金の額について行うこととされており、委任払いの扱いはできないこととなっております。
 次に、自己負担額の上限額の引き下げについてでございますが、今回の医療保険改正は、国民皆保険制度を維持し、将来にわたり持続可能で安定的なものにするための改正でございます。改正に当たっては、国に対し低所得者への配慮が十分なされるよう再三にわたり要望を行ってまいったところ、低所得者の入院時限度額の据え置き等、一定の配慮がなされたものと考えております。
 なお現在、国において医療保険の体系のあり方や新しい高齢者医療制度等についての検討がなされておりますので、いつでも安心して適切な医療を受けることができるよう、医療保険制度の抜本改革の早期実現を要望してまいります。
 次に、呼吸器機能障害者三級の外来医療費助成の拡充についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、自己負担がふえ、厳しい状況下に置かれている方がいることは承知しております。しかしながら、本県の厳しい財政状況から、現状では制度拡大につきましては非常に厳しい状況にあります。
 次に、C型肝炎対策についてでございます。
 本年度から市町村が実施している検診にC型肝炎の検査項目が追加されました。また、啓発冊子を作成するなど、正しい知識の普及や啓発を行っているのを初め、医師、保健師等に対する研修会等を開催し、早期発見、早期治療の体制整備に努めております。
 医療費助成についてでございますが、長期に療養を要し、高額の医療費がかかる疾患は、C型肝炎に限らずさまざまありますので、C型肝炎のみ医療費助成を行うことは他疾患との公平性や財政的な問題等により難しいと考えます。国に対しては、いつでも安心して適切な医療が受けることができるよう要望してまいります。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、公共工事の落札率に関するご質問でございますが、落札価格は、個々の企業が仕様書に基づき、みずから積算し、競争を行った結果であり、地域や業種により競争の結果として落札率に高い低いが生じるものと認識しております。民間企業の競争そのものをコントロールするわけにはいかない部分もあり、難しい問題でありますが、県民の利益を考えるとき、高い落札率は好ましい状態ではありませんが、一方で、建設業の持続的な経営による健全な発展を考えるとき、低過ぎる落札率も決して望ましい状態ではないと考えております。県といたしましては、本年五月に策定した「公共工事等の入札及び契約手続改善策方針」に基づき、より公正な競争が促進されるよう取り組んでまいります。
 次に、紀の川中流流域下水道幹線工事に関連して、談合は何をもって確認するのかとのお尋ねですが、入札参加業者が談合の事実を認めた場合と談合の事実が認められる証拠を得た場合に、談合があったと確認しております。今回の場合、事情聴取の結果、一件の工事について工事費内訳書に疑わしい点があり、談合についての情報も二件一括で寄せられているものもあることなどから、公正を期すため二件の入札を無効といたしました。しかしながら、談合の事実は確認できなかったので、今回の入札参加業者も参加可能として再度、公募型指名競争入札を行うこととしたところです。再入札で応募者数が少ないときは、競争性を高めるため追加募集を行うこととしております。さらに、後日、今回の件で公正取引委員会が談合を認定した場合で、その談合に加わったとされる業者が再入札の落札JVに加わっている場合に対する措置として、損害賠償の請求や契約を解除することができる条項をあらかじめ契約書に明記することとしております。
 なお、公正取引委員会への報告についてですが、談合の事実の有無にかかわらず、事情聴取を行った場合は、その結果や寄せられた情報内容、入札経過などを公正取引委員会へ報告しております。
 また、独禁法は企業と個人の行為を対象としておりますが、刑法の談合罪は個人の行為を対象としておりまして、県としましては、個人の行為が刑法の談合罪に当たる疑いがあるとの事実を認めたことがなかったため、談合罪の容疑で警察へ通報した事例はございません。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 国民健康保険の問題ですけれども、資格証明書が滞納者に対して数として随分出ているということを私は申し上げました。これが本当に悪質滞納者なのかどうかというところが大きな問題だと思っているんです。いろんな形でお話を聞くこともありますけれども、払いたくても払えないし、その前にお金がないからどうしようもないんだという方々が圧倒的なんです。ところが、保険証をとられてしまって病院へ行くにも行けないと。行った場合には、この資格証明書を病院の受付に出すことをためらうんですね。だから、実際には医療関係の受付には資格証明書というのは余りないんですね。症状が悪くなって行くときには、前にかかっていた病院には行かなくてよその病院に行ってしまうわけです。よその病院へ行って、保険証はありませんと言うわけです。そうすると、なければ病院はそれ以上聞きませんから、自費で払っていただくということになって、保険証があったら後日持ってきてくださいよと、そういうことまでが精いっぱいなんですね。そして、その次にまた救急車で来ると。救急車で行ったら、今度は前の病院へ行くわけです。そうすると、その前の病院で保険証があったはずやけどどうしたのと聞いたら、なかなかおっしゃらないわけです。市役所へ問い合わせてみたら、その方は資格証明書を発行していますということで、やっとわかるというのが資格証明書発行の実態なんです。
 だから、そういう点で見れば、本当にその人が悪質滞納者かというのは、厚生労働大臣も、滞納しているから悪質滞納者だというふうにとってはいけませんと、事情をちゃんと聞いて、そして払えるのに払わないという人に限りますよとおっしゃっているわけです。特別な事情というのもちゃんと明記されていますので、そういう点で見れば、和歌山県の四千五百十四世帯という──世帯ですから、そこの家族はみんな保険証がないということになってしまうわけですから、家族全体が病院にかかれないという実態になってしまうんです。ですから、これは国保財政を安定するためにこういうことをやるんだというふうに言っていらっしゃいますけれども、現実的には収納率を高めないと、九〇%以下の収納率になると国の調整交付金が減額されるんですね。だから、県下でもそれはまずいということで職員を採用したりして一生懸命収納を高める努力はされているわけですけれども、それでも払いたくても払えないという実態が今、この景気状況の中でいっぱい出てきています。実際には社会保険に入らなければいけない事業者の方々も、負担できないから国保へ入ってくれというふうに健康保険から国保へ変えていくという実態もいっぱいあるんです。
 そういうような状況のもとですから、とったはいいけれども、後はほうっておくというようなことではなくて、その人たちが保険証がなくなった後どんな実態になっているのか、どういう生活の中で暮らしているのかということも含めて、病状がどんなに変わっていっているのかということなんかも追跡調査をしないと、とりっ放しの状態だと国民全体が健康を悪化させるということ、重症になってかえって医療費がふえるということ、国保会計が今まで以上に大変なことになるというのはもう目に見えていると思うんです。
 そういう点で、県は何をするのやと言うたら、「指導してまいります」と言うだけの話でしょう。これでは無責任きわまりない。もっと、市町村が苦労しているところ、それから県民の大変な事態を自分たちもつかんでみるという、そういうところからできることは援助してあげるという対策が今必要だと思うんですが、ここのところを県がどんな決意をお持ちなのか、もう一回お答えください。
 それから、医療費の治療委任払い制度の問題です。
 これは、一たん全額を窓口で払って後で申請して返してもらわなあかんという、だけどお年寄りだから手続上の問題でも細かい手だてをしなさいよということで厚生労働省は指示をしているわけですけれども、まだ県下でも二十二の自治体がその都度申請をしてもらいますというような態度になっていますから、そこはもうちょっとご指導をお願いしたいと思うんです。
 委任払いができないときっぱりとおっしゃるんですけれども、そうやろうかということなんですよ。北海道なんかでは、今、入院の部分ではずっと治療委任払い制度が続いているわけですから、外来の分でもできるような方法をやってもいい、それは違反ではないよと厚生労働大臣が答えているわけです。だから、余りはっきり言い切るべきではないと思うんです。できるだけお年寄りの人たちが自治体の窓口へ行かんでもいいように、八千円とか一万二千円で限度額を払いさえすれば、もう行かなくても、わざわざ手続してやらんでもいい、窓口ではそれだけ払えばいいというような手だてを北海道では現実にやり始めました。
 ややこしいんですよ。三つも四つも病院へ行って、それをどこで一括するかという問題とか。薬局もありますし、診療所もあります。大きい病院もありますから。そういう点では、市町村と病院や医師会の協力がどうしても必要だと思うんです。そういう点で、委任払いについて知恵を働かせていただけたらやれると思いますので、できないと冷たくあしらわんといてほしいんです。
 それから土木問題ですが、これは非常にいい答弁だとは思いながらも疑問を持つんですね。
 談合問題ですので、できるだけそういう情報が入らんように、スムーズなガラス張りのものができれば一番いいと思ってたくさん改善はされてきたんですが、しかしこの紀の川中流流域の問題については、六件の人から情報が入っていたけれども、やめたというわけでしょう。入札については無効だと。疑わしいわけですよね。そして、それに対してもう一回やるのに、疑わしかった業者についても、確認できなかったからまた参加してもらうと。これは、だれが考えても納得できない問題だと思うんです。これについては、きちっとすべきだと思います。その点をもう一回答弁してもらえませんか。できなければ検討してください。させるべきではないと思います。答えられるなら、答えてください。
 談合の罪ということで、警察に通報した事例はありませんということですが、行政は調査権とかというものは余りないわけですね。だから、任意に出てきてもらって業者だけをやるということになるわけですけれども、ありませんかと聞いて、ありませんと答えたら終わりですよね。警察は司法権を持っているわけですから、疑わしい場合には協力をしてもらうというぐらいの姿勢があってもいいじゃないかと思うんですが、いかがなものでしょうか、ご答弁ください。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの資格証明書の発行の問題についての再質問にお答えを申し上げます。
 今、未曾有の不況の中で、和歌山県内でも四千五百世帯を超える人たちが資格証明書という制度に乗っていると。これは新たな大きな変化だろうと思います。ただ一方で、この国保会計を維持していかなければ日本の国でみんなが保険で医療を受けられるというすばらしい制度の維持が難しいということも事実でございまして、そういうことの兼ね合いの中からこの資格証明書制度というものが出てきていると思います。
 繰り返しになりますけれども、県下の市町村は非常に厳しい国保会計の中で頑張っているわけですが、お金のことばかりというわけにはいきませんので、県の方でも改めてこの資格証明書を出すときには滞納者との面会による実態把握であるとか、十分な納付相談とかについて、本当に言葉だけじゃなくて、それが実のあるものになるように、もう一度県下の市町村に対して十分話をしていきたいと、このように思います。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、談合についての再質問ですけれども、疑わしい点があるということで、従来は疑わしい点があるという場合においても契約ということはしていた部分があるわけですが、今回においては、より公正を期するということで再入札をし、その再入札に当たっても非常に厳しい条件で臨むという形で行っているところですので、ご理解をいただきたいと思います。
 また、談合罪に関しての再質問でございますけれども、個人の行為に基づく罪というものにかかわる部分でございますので、この点については慎重に取り扱うべきものと、このように考えております。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「あります」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 委任払い制度についてでございますけれども、現行の法のもとで、今、議員がご指摘されたような点について、非常に難しい問題があると思いますが、今後研究してまいります。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 残り時間、あと一分ですので、留意の上、ご発言をお願いいたします。
 三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 C型肝炎ですけれども、この問題については国の方も随分とおくれていると思うんです。アメリカなんかは随分進んでいますし、研究費等についても国は随分おくれていると思いますので、積極的に国へ働きかけていただきたいということを重ねてお願いをしておきたいと思います。
 以上。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ