平成14年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(金田 眞議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 議長のお許しを得ましたので、一般質問をさせていただきます。
 最初の項目、納得できない同和対策についてです。
 不透明な同和向け中小企業高度化資金の解明は、同和問題の真の解決と県政の民主化を進め、県民の信頼を高めるとの立場から質問をいたします。
 同和向け中小企業総合事業団の都道府県別延滞状況を見れば、総延滞額百七十二億円のうち、和歌山県の延滞額は五十六億円で三二%を占め、全国一位です。
 さて私は、昭和五十八年当時、新宮市議会の経済建設常任委員でした。その委員会で、中小企業高度化制度に関する新宮市同和地区中小企業構造の高度化事業利子負担軽減補助要綱を審議し、反対しました。その審議の過程で、今回の質問対象となった熊野食肉生産協同組合の設立を知り、最近法務局で登記状況を調べ、今回裁判所の競売で破産の事実を確認しました。この調査から、正常な貸し付け融資ではないとの思いがします。中小企業高度化資金は、幾つかの中小企業が共同して一つの組合をつくり、経営改善を図る事業に国と県が資金面からも支援する制度です。その目的に沿って審査が適切に行われ、運用されていたか疑問であり、県の実施した施策について具体的に質問いたします。
 この熊野食肉生産協同組合は、昭和五十八年四月、五人の組合員で設立され、三億五千七百万円を同和向け高度化資金として融資を受けました。昭和六十一年から返済を始めましたが、滞納を繰り返し、平成四年までに一千二百五十万円を返しただけで平成七年に倒産しました。結局、償還率は三・五%で、三億四千五百万円が残ったままです。県は、平成七年十一月に繰り上げ償還命令を出しましたが、その後一円の返済もないまま、本日十二月十一日に裁判所の競売入札が行われる予定です。土地や建物は県が抵当権を設定しています。土地は、昭和五十七年に組合員のA氏が事前に購入し、五十八年にA氏が組合に売っています。この土地は、平米単価十六万八千七百円で一億二千二百万円です。しかし、競売での標準価格は平米七万九百円とされ、一千七百九十一万円と安い競売評価額でした。一億二千二百万円が千八百万円です。一億一千八百万円の建物の競売価格は六百五十九万円でした。二億二千万円の機械設備は、経済的価値がないとゼロ円です。四億五千万円の担保物件が競売の最低入札価格二千百二十一万円と、二〇分の一以下の安い担保として評価されております。県は、事業団による審査も受け、承認を得た上で貸し付け決定を行っており、事務手続上問題はなかったとします。しかし、土地だけ見ても、余りにも実情に合わない高い値段で売買されていました。ちなみに県は、融資の際の資産の評価について、固定資産税の評価額を参考とするとしていますが、平成十三年度のこの土地の固定資産評価は三千二百六十八万五千二百四円で、平米単価四万五千二百八円です。確かに、現在地価は下がっていますが、地価が高騰する以前の昭和五十八年当時と現在を比べても、新宮ではそれほど大差はありません。これでも過剰融資でないとする、納得できる根拠を示してください。
 県は、返済について、組合が倒産したため、責任者との連絡がとれなくなり、その当時会うことができなかった。放置していたのではないとします。しかし、実際は放置していました。今回の競売以外に給料や財産の差し押さえなどの法的措置をなぜとらなかったのか、お答えください。
 抵当権設定・金銭消費賃貸契約では、組合が返済をおくれた場合は年一〇・七五%の違約金が発生します。しかし、なぜか違約金はありません。そのことへの質問に県は、違約金は全額徴求することが基本です、弁済金の充当は、すなわち借金を返す順番は原則として違約金、利子、元金の順で充当する、充当順序の変更は違約金を後で回収することの方が貸し付け先の償還意欲を促し、徴収上有利と認められる場合などがあるとします。しかし、この充当の順番の変更は、債務者が償還に対して十分に誠意があると認められる場合に限るのであって、返済が一割もされていないのに、十分に誠意があると判断するのは誤りではありませんか。ほかにも疑問点はありますが、このように審査の不備や不適切な運営であったと思われますが、知事の見解と部長の説明をお願いします。
 次に、一九七三年につくられた県同和教育基本方針は、同和対策が大きく前進した現状においては、この基本方針の幾つかの規定は現実にそぐわないものになっており、逆に人権教育、人権擁護運動に混乱を持ち込むことになるのではありませんか。例えば、この基本方針の性格を規定する「はじめに」の項は、「今なお部落差別が人びとの考え方や同和地区の生活実態のなかに生きています」とあります。しかし、この規定は、過去はともかく今の現実を正しく反映しているとは思えません。また、「はじめに」の部分に「「同和対策審議会答申」の精神及び「同和対策事業特別措置法」の趣旨にのっとり、教育行政機関の責務を自覚し、この基本方針を作成」とあります。「別記」にも「「同和対策審議会答申」と「同和対策事業特別措置法」に基づいた長期計画による年次計画をたて」とあります。しかし、その根拠の特別措置法がなくなった現状からすれば、それに基づいた基本方針を廃止するのが道理ある姿ではありませんか。さらに、ことし四月からは人権尊重の社会づくり条例が制定されましたが、この県条例との関連からも解消させるべきではありませんか。
 さて、以前から私どもは、旧身分を特定する「校区に同和地区を含む学校の状況調査」をこれ以上続けることの法的根拠と科学的裏づけがないとして、この調査の中止を求めてきました。しかし県教委は、これまで基本的な調査、必要な調査、格差があるから必要としていましたが、地域や人を特定する特別措置法がなくなる中、本会議や予算委員会で、多くの方々のご意見をいただきながら検討していくのは必要であろうとされ、十四年度はこの状況調査は実施されませんでした。そして、新たに人権教育の推進に関する調査が行われました。この人権調査については意見はありますが、少なくとも、今後「校区に同和地区を含む学校の状況調査」は中止するのか、この点を明らかにしてください。
 次に補充書ですが、これは決算委員会で村岡議員の質問で明らかになりましたが、高校入試に際して中学校から高校に提出されるものです。県教委の「平成十四年度和歌山県立高等学校入学者選抜の判定に係る口頭説明事項」という文書では、「同和地区生徒など、教育的環境にめぐまれない生徒や身体に障害のある生徒で、本人のもつ能力が十分発揮されていないと考えられる相当の根拠がある者」としています。そして「補充書作成上の留意点」として、「本人のもつ能力が十分発揮されていないと考えられる理由と、指導経過及び現在の状況等について記入する」ことを挙げています。この補充書の実際の提出は、県教委の資料では、平成十年度が延べで五百一人、十一年度が五百二十六人、十二年度が三百八十七人、十三年度が四百十五人、十四年度が三百八十二人です。これを受け付けした高校は、全日制では十年度から十四年度までで三十二校から三十六校です。この補充書の身体の障害や農業後継者を希望する特別の事情については一定理解はできますが、教育的環境に恵まれない生徒の例として同和地区生徒などと例示するのは、旧同和地区を依然として環境の劣悪な地域として考えているとすれば大変な問題があると考えます。
 また、この補充書の提出については、中学校長は本人の同意を得て提出するようにはなっていません。本人の同意なしにこうした文書を出すことは、個人のプライバシーを侵害することにはなりませんか。人や地域を特定した同和対策をやめているとき、こうした制度を残すことは和歌山県の子供の将来にとって好ましいとは思われません。入試判定に当たって、同和地区の出身だということを合否の判定材料にすることは直ちに中止することが適切な対応だと考えます。
 以上、教育長の答弁をお願いいたします。
 二項目めの、熊野の自然と健康を守る環境行政の実現についてです。
 毎議会取り上げています、新宮市松山での環境破壊のおそれのある産業廃棄物の建設業者の自社処理について、さきの九月議会で環境生活部長は、「八月八日に新宮保健所と合同で廃棄物対策課が立入調査を実施いたしましたところ、燃え殻の保管や廃棄物まじりの土砂等に不適正な処理が見受けられましたので、期限を付して適正に処理するよう指導しているところであります。 なお、(中略)事業者からいまだ改善計画書が提出されておりませんが、指導期限が経過しても処理がなされていない場合、また改善が十分でない場合には、廃棄物処理法に基づき改善を命ずる考えでございます」とご答弁がなされましたが、その後の住民の皆さんへの対応も含め、経過をお知らせください。
 また県は、焼却灰の長期保管は廃棄物の適正処理の観点から望ましくないとの立場から、一度も処理されずに長年置いている焼却殻や灰を適正処分することを、十月三十一日までと改善期限を切って指導しています。改善はされましたか。その結果をお知らせください。
 私は、九九年の九月議会からこの問題を取り上げ、今回で十三回目です。やっと「燃え殻の保管や廃棄物まじりの土砂等に不適正な処理が見受けられました」と、不法な処理の実態がこの議場で明らかになりました。住民の訴えに、新宮保健所や環境生活部、土木部、和歌山県警、そして知事が、それぞれの立場で努力してくれている結果だと思います。しかし、問題はまだ解決していません。私が質問を始めた三年の間にも自然や生活環境の破壊は進み、現在も進んでいます。この問題の完全な解決と、今後はもっと素早く対応でき、違法な処理を許さない方策を、国の動きも見ながら検討されることを強く要望するものであります。
 次に、世界遺産にふさわしい熊野川についてです。
 河川審議会は、人と川とのかかわりは古来より人の生活そのものともいえ、河川は畏怖すべき自然であると同時に、清らかな水が流れ、豊かな生物がはぐくまれる地域の共有財産であり、流れる水は日本の風土と文化の源泉でもあったとしています。昨年の九月議会で、熊野川に清流を取り戻すために、初めて二津野ダムの発電停止と撤去問題を取り上げました。その後、県は、昨年十一月、電源開発に濁水の軽減対策は十分なものでないとして、実効性のある長期化対策を求める要望書を出し、抜本的解決ではありませんが、電源開発から発電停止の延長などが示され、前進していると思います。
 さて今回は、熊野川の環境問題の一つとして砂利採取についてお尋ねします。
 ご承知のように、平成九年に河川の持つ多様な自然環境や水辺空間に対する国民の関心の高まりにこたえることや、地域の実情に即した河川整備の必要性から、従来の河川管理の目的の治水・利水だけでなく、河川環境を加えて、水質、景観、生態系などの整備と保全を推進する河川法に改正されました。
 平成十一年三月の河川審議会答申では、新たな水循環、国土管理に関する課題として、一つ、廃棄物投棄による水質汚染、環境ホルモンなどの新たな汚染物質の顕在化、生態系の変化、水文化の喪失等、水循環に関するさまざまな弊害を挙げ、二つ、川と人間とのかかわりの希薄化、三つ、川と川沿いの地域との関係の希薄化、四つ、立ちおくれている危機管理対策を指摘しています。そして五つ目として、土砂・砂利に関する問題の多様化、複雑化を挙げ、ダム等の築造に伴う下流河川への土砂供給の低減、過度の砂利採取などにより河床低下、海岸侵食等の安全、利用上の問題に加えて、砂浜の喪失等の環境上の問題も顕在化し、多様化かつ複雑化しているとしております。まさに、熊野川の姿です。
 特に砂利問題は、本宮町では砂利が上流に堆積し、河床を上げ、浸水の原因となる。一方で、海岸部では海岸侵食が進んでいます。本宮町が浸水被害を軽減する河床整備の方法として、昭和六十二年から砂利採取を実施した結果、以前は洪水時三千トンの出水で浸水していたのが、現在では四千トンの出水にも大丈夫だそうです。また、地元建設用骨材の確保から、紀南砂利生産協同組合が昭和五十二年から砂利採取を行っています。平成十三年度の熊野川での和歌山県の砂利採取量十五万二千立米の内訳は、本宮町十一万六千立米、紀南砂利三万六千立米であり、手数料として一立米当たり二百二十円が県の財産収入となっています。熊野川という一つの母なる川の恵みを受けている対岸同士の和歌山と三重ですが、三重県は昭和五十五年から熊野川での砂利採取は行っておらず、同一流域としての整合性を求める声があります。例えば、和歌山県の本宮町では、砂利採取の収益が上がり、三重県の御浜町では、井田海岸の海岸侵食対策の費用がかかっており、熊野川の恵みと環境面からも、同一流域市町村との整合や協力が必要ではないでしょうか。砂利採取で上がる収益は、流域地域の目に見える形での県独自対策での活用や、また両県の連携した活用も検討が必要だと思いますが、県の考えをお聞かせください。
 また、本宮町は、平成十九年三月末で砂利採取を中止するそうですが、その中止計画とその後の堤防補強などの河川整備について、県の考えをお聞かせください。
 さて、紀伊山地の霊場と参詣道を世界遺産に推薦することが十二月六日、文化審議会文化財分科会で承認されました。平成十六年の第二十八回世界遺産委員会での登録を願うものです。しかし、世界遺産登録とは、文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界遺産として損傷、破壊などの脅威から保護し、保存するためのものですから、その責任は重大です。熊野川も川の参詣道として登録されますから、熊野川の自然と環境を守っていくことが必要となり、自然本来の熊野川のあり方や姿を考えるとき、当然、濁水問題、廃棄物の不法投棄、砂利採取についてその対応が迫られると思います。
 熊野川の砂利採取は、昭和四十年ごろから河川管理上支障を与えない範囲内で許可をしてきました。しかし、国立公園でもあり、二十一世紀の河川環境や世界遺産登録を考えるとき、砂利採取をどうとらえるのか、また本宮町が中止の方向であるだけに、雇用の場合でもある民間の砂利採取を今後どうしていくのか、砂利採取の許可権者としての県の考えを聞かせてください。
 国の河川整備計画待ちという消極的姿勢ではなく、和歌山県が河川管理者として熊野川のあり方を国に提案する基本の一つの柱として、知事と部長の答弁をお願いいたします。
 世界遺産登録にも関連する熊野川沿いの不法投棄ですが、特に白見の滝付近の埋め立てや投棄は二〇〇〇年二月議会からの宿題ですが、一向に解決されません。この件は、昭和六十三年からの口頭指導から始まっており、平成十二年九月七日に違法行為者に対して「不法埋立に関する報告書の提出について」の文書を出し、一、埋め立てを処理し始めた時期及び期間、廃棄物の処理、埋め立てた量と面積、廃棄物等の種類と量及びそれらを図示したもの、二、処理し始めた経緯及び現在までの経過、三、今後の対応について、平成十二年九月二十一日までに提出することを指示しました。しかし実行されず、その後十月四日に口頭で、さらに十月三十日に文書通知で督促しましたが未提出で、十二月二十二日に平成十三年一月十日までに当局あてに報告書の提出なき場合は、刑事告発もしくは廃棄物の撤去に向け行政代執行の措置をとり得る場合もあると督促しましたが、いまだに実行されておりません。また、土木部長は「和歌山地方法務局など関係機関との協議の結果、河川区域を特定するための図面を作成中です。その作業終了後、除去に向け監督処分などの法的措置を実施」としていますが、一向に改善された様子はありません。世界遺産登録が間近に迫っているとき、河川管理者の県が、この議会で違法行為とした不法投棄、埋め立ての案件をいつまでも解決できないでは、これから熊野川を世界遺産として保護、保存していけるのか不安です。県は、熊野川の河川管理と環境についてどのように考えておられるのか、またこの一件の早期解決に向けての特別対策や見通しについて、部長、お答えください。
 最後の項目、グリーンピア南紀についてお尋ねします。
 十一月十五日、財団法人グリーンピア南紀の理事会は、和歌山県からの運営委託を辞退する決議を行い、県と年金資金運用基金が協議した結果、紀南大規模年金保養基地グリーンピア南紀が平成十五年三月いっぱいで運営停止することを決定しました。小泉内閣の経済効率を第一に弱者に負担を押しつける構造改革は、国の特殊法人の整理合理化計画で、グリーンピア事業を財政基盤の弱い地方への譲渡や民間企業へ売却する無責任きわまりない方針を打ち出し、廃止か民営化かと迫ったわけです。
 グリーンピア南紀は、那智勝浦町、太地町にまたがる三百六十四ヘクタールの敷地を持ち、ホテルやコテージのほか多様な施設を持つ国民の総合保養施設として昭和六十一年に開設されました。運営は年金資金運用基金が県に委託し、さらに県と那智勝浦町、太地町が出捐した同財団に運営を再委託し、観光でも雇用の面でも地域に貢献してきました。しかし、景気の低迷もあり、平成九年度から単年度収支が赤字となり、昨年十一月には公益法人には珍しいリストラ策として希望退職の募集を行うなどの一定の経営改善計画を策定し、努力がなされていたやさきだけに、運営停止に地元は驚きました。十月二十八日に行政組織等の見直しに関する提言が提出され、熟読する間もなく、早々と見切りをつけるようなやり方は、そこで働く人の意欲をそぎ、地域にも大きな影響を与えることを考えないものです。それだけではありません。宿泊や施設利用の予約は六カ月前から受け付けていましたが、団体客を含めた予約を断る事態をつくり出し、利用客に迷惑をかけ、信頼を失墜させる乱暴で無計画なやり方は経営責任が問われます。ですから、経営改善や存続について十分に論議された結論だとは思われません。現場の意見も含めて十分に論議し、検討された上で決断したのですか。存続の可能性について、知事、お答えください。
 理事長でもある木村知事の本会議での知事説明要旨には、「今後、この施設が地域振興につながるよう、地元町や施設の所有者である年金資金運用基金と運営停止後の利活用について、さらに協議を重ねてまいりたいと考えております」とあります。しかし、そこには、働く人たちのことは残念ながら一言も触れられておりません。不況の中、年末年始に向け、忙しい現場では不安の声が上がっております。理事長として木村知事は、そこで働く人の生活と雇用に重大な責任を負うことは当然です。グリーンピア南紀の今後について、知事の決意をお聞かせください。
 昨年十一月に希望退職者を二十名募集したところ、何と三十五名が手を挙げました。その理由は、将来不安と経営のやり方に反発が多かったようです。しかし、三十五人も一度に退職されたら日常業務が成り立たないと、三月までの慰留を行ったそうです。これも、経営体質の改善と計画の甘さを感じさせる出来事でした。希望退職に応じなかった人たちは、これまでも人件費や経費の削減に努力し、お粗末な経営改善計画にも協力して、財団を信頼して、職場を守るため一生懸命頑張り、グリーンピア南紀を支えてきました。そんな人たちを切り捨てるようなことはあってはならないと思います。今働いている人たちの生活と雇用を保障することに対する部長の決意をお聞かせください。
 最後に、グリーンピア南紀の運営停止を知って、今までどおりのリゾート施設として存続を求める声は多いですが、老人施設とか障害者施設への転用を望む声もあります。さきの提言でも、「地域の振興策に十分配慮しつつ、施設の今後のあり方については関係自治体と早急に協議を行うことが必要である」としており、この施設の今後について部長の答弁をお願いいたします。
 これで、私の第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 高度化資金の三点につきましてお答えを申し上げます。
 貸し付けの審査については、その時々の状況の中で判断がなされ、今日に至っております。今は債権回収に最善を尽くすため、本年度から組織体制の強化を図り取り組んでいるところであり、処理に当たっては、ガラス張りの中で、すべて法律に基づき公正に処理を行ってまいります。
 次に熊野川の砂利採取のあり方については、治水・利水、そして世界遺産登録の問題もあり環境、この総合的な観点に立って、今後策定する熊野川河川整備計画において検討する予定でございます。
 次に、グリーンピア南紀の存続の可能性についてお答えいたします。
 グリーンピア南紀については、県といたしましては、地域振興、雇用等の観点からできるだけ長く運営を継続する方向で経営改善への支援や民間事業者への働きかけなどを行ってきましたが、最終的に効果を見るには至らず、非常に苦しい選択ではありましたが、これ以上の支援は困難であるとの判断を行ったところでございます。
 施設の今後につきましては、地域振興に役立つようなものになるよう引き続き地元自治体と協議を続けるとともに、雇用の確保についても努力をしてまいりたいと、このように考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 同和高度化資金の実態の中で、審査が適正か、過剰融資ではないかのご質問でありますが、この件につきましては、既にさきの議会でも答弁したとおりでございますので、ご了解をお願いいたします。
 また特定の組合に関するご質問については、答弁を差し控えさせていただきたく、ご理解を賜ります。
 次に返済について、競売以外の法的措置を講じたのかにつきましては、一般的には競売申し立てと並行して、可能な範囲で財産等の調査を行っております。その後、競売の進捗状況を踏まえ、連帯保証人の財産も含め差し押さえを実施することとなります。いずれにいたしましても、法律に従って処理をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、違約金を取らない理由と今後の対応についてでございますが、一般的には充当する時点で違約金を後順位にするのは十分に誠意があると認められる場合で、中小企業総合事業団で承認されるものでございます。
 また、今後の対応といたしましては、一層慎重な取り扱いをするとともに、違約金が幾らあるか認識してもらうため、一定の期間ごとに債務者に通知する必要があろうかと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 産業廃棄物関係の質問についてお答えします。
 去る十月十八日に、新宮保健所立ち会いのもと、事業者が現地を掘削したところ、廃棄物の混入が認められましたので、十一月一日付で廃棄物処理法の処理基準に従い、平成十五年一月三十一日までに適正に処理するよう知事名で改善命令を行ってございます。また、十二月五日には新宮保健所と合同で現地調査を行い、改善作業に着手していることを確認するとともに、地元住民の方々には作業場における不適正な廃棄物の処理への県の対応状況を説明してございます。
 次に焼却殻についてでございますが、去る十二月五日調査したところ、灰状の燃え殻はふたつきのドラム缶により、スラグ状の燃え殻はコンテナに防水シートで覆うことにより保管しております。しかし、ドラム缶による保管が長年にわたれば腐食の心配もございますので、できるだけ速やかに適正処理するよう引き続き指導してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず熊野川の砂利採取のあり方についてですが、砂利採取収益の活用につきましては、県、町で一般財源に充当しており、結果的に河川などの公共事業に還元しております。なお、熊野川の河床変動と井田海岸の侵食との因果関係は明白ではございません。
 砂利採取も含めた熊野川の整備のあり方につきましては、流域委員会の設置を国に働きかけているところであり、その中で順次策定する熊野川河川整備計画において検討する予定であります。
 次に白見の滝付近での不法投棄につきましては、監督処分をすべく、不法投棄前の航空写真をもとに、流水の状況、水生植物の状況、石、砂の状況等により、河川区域の図面を五月に策定したところであります。その後、和歌山地方法務局、さらには大阪法務局と協議した結果、当該地域は公図混乱地域であり、監督処分を行う場合についても地番を特定した方がよいとの指導を受け、現在、地番を特定するために公図を整理しております。地番の特定ができ次第、監督処分を実施してまいります。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) グリーンピア南紀についてでございます。
 まず、働く人の生活と権利の保障についてお答えいたします。
 グリーンピア南紀は、これまで雇用面でも多大の貢献をしてまいりました。このため、民間事業者による経営継続の道も探りましたが、長期展望が不明なことなどから民間事業者の参画は得られず、断念いたしました。従業員の雇用の確保については非常に重要な問題であり、ハローワークなどの協力を得て、財団、県、地元二町が連携をしながら企業訪問等を行い、再就職支援のために最大限の努力をしてまいります。
 次に、施設の今後のあり方と関係自治体との協議についてでございますが、土地の所有者である年金資金運用基金では、施設について、まず公共団体で有効利用を図ってほしいとの意向があり、地元の那智勝浦町と太地町に対し、跡地の譲り受け、有効利用を図る方向での検討をお願いしているところであります。県としても、地域経済の活性化や雇用の場の確保という観点から、引き続き施設の跡地の利活用について、地元自治体や年金資金運用基金と積極的に協議をしてまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 人権教育に関連したご質問にお答えします。
 人権に関する国際的な機運の高まりや、教育及び啓発に関する法律の制定など、今日的な状況を踏まえながら、さまざまな人権問題の解決に向けて教育の充実に努めているところでございます。
 同和教育上の課題に対しましては、和歌山県同和教育基本方針の理念に基づき必要な取り組みを行っているところでございます。また、人権教育の推進状況を幅広い観点から把握するため、本年度から各学校における同和問題を初めとしたさまざまな人権にかかわる課題や、その解決に向けた取り組み等について調査を実施することといたしました。
 次に補充書につきましては、高等学校入学者選抜において、教育的環境や身体の障害などにより能力が十分発揮されていない生徒、農業後継者等を希望している生徒などの特別な事情について、調査書や副申書の記載を補充するために行ってきたものでございます。現在、中学校と高等学校との連携を密にする観点から、その実施方法等について検討を行っているところでございます。今後とも、これまでの取り組みの成果を踏まえ、人権が尊重される豊かな社会づくりに向けた教育の一層の充実に努めてまいります。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 土木部長に、再度質問いたします。
 熊野川の砂利の問題と井田海岸の問題なんですけれども、私は別に海岸侵食の因果関係、そんなことをお尋ねしたわけではありません。私がお尋ねしたのは、読み上げますけれども、「砂利採取で上がる収益は、流域地域の目に見える形での県独自対策での活用や、また両県の連携した活用も検討が必要だ」と、こういうことを言ったわけであります。こういうご答弁をいただくと、何か、因果関係がないから三重県とも仲よくしないよと誤解されるような気がして心配なんです。私は、そういうことを聞いたわけではありません。三重県とも一緒になって、流域の市町村とも一緒になって考えていったらどうですかということを提案したのであって、こういうご答弁は真意ではありませんので、再度お尋ねします。
 もう一つ、この砂利採取の今後のあり方で、いろんな皆さんのご意見を聞く、また国の動向を見る、このことは大事だと思います。しかし、今回あえて私は河川審議会の答申を引用させていただいて、平成十一年の時点で河川審議会はこういうふうに現状認識をしています、だから和歌山県も熊野川についてどういう認識を持っておられて、どういう方針で取り組んでいこうとしているのですかと、そのことをお聞きしているのです。そうした方針がない、まだつくられていないんだったら、まだつくられていないと、その点をはっきりしてください。
 その二点を再質問させていただきます。
 グリーンピア南紀の問題について、運営停止までの営業に最大限の努力を払ってください。そして、那智勝浦町、太地町とも一緒になって運営停止後の職員の雇用対策に全力の努力を払ってください。さらに、両町と協議してグリーンピア南紀の施設の有効活用に向けて、地元のいろんな方の意見を聞いて、ぜひ有効活用できるようご努力されることを、本当に心から要望いたします。
 次に、同和の高度化資金の問題です。
 非常に残念な答弁でありました。議員が、行政が行った施策が正しく行われているのが疑問だと思い、それを質問することは当然のことであり、改善を求めるのも当たり前のことだと思います。なぜなら、議会はチェック機関だと思うからであります。しかし今回、お金が百億円以上返されていない状態。ある組合は一円のお金も返さないで倒産している。また、一割も返さないような返済ができていない、そんな組合がたくさんある。だれでもおかしいなと思うのは当然であり、行政は何をしていたのだと思うのは当たり前のことではないでしょうか。そんな疑問を解決するために、そうなった原因を調べるためにいろんな資料の提出を議員として求めましたが、知りたいことは教えてくれません。だから、今、文書の開示請求を行っているところですが、それを待つわけにいきませんから独自調査をして、なぜこうした滞納などの事態を生み出してきたのか、その疑問点を探して議会で質問する。すると今回は答弁を差し控えさせていただきますと、答弁をしない。具体的な根拠となる数字を示しても、これも答えない。一円の返済もない非常に返済率の悪い組合に対して、借金返済に対して十分誠意があると開き直るような答弁、おかしいと思います。これでは、一生懸命調査して、準備して真剣に質問しても、まともな答弁、あるいは答弁そのものが期待できないわけであります。あえて、こういう状態になったら言わせていただきます。行政が行った過去の誤りを隠し、身内をかばっているのではないか、そんな不信感さえ抱いてしまいます。私も考えます。どうか、知事を初め職員の皆さんも、本当に考えてください。百億もの借金が返されないというこの責任、そのことを本当に考えていただきたいと思います。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 砂利採取収益の活用につきましては県、町で一般財源に充当しており、両県の連帯した活用は考えておりません。
 熊野川における砂利採取のあり方につきましては、流域委員会の設置を国に働きかけているところであり、その中で順次策定する熊野川河川整備計画において検討する予定であります。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 知事及び部長にお願いします。
 昔、新宮の河原で泳げたんです。今、泳げないんです。本当に子供たちが、子供だけでなく市民があの河原で泳げる、そんな熊野川であってほしい、こう思っておるんです。そんな川が本当に世界遺産にふさわしい川である、このように思います。そのためにも、濁水問題の解決、あるいは不法投棄の問題の解決、そして砂利問題の対応、ぜひ一生懸命頑張っていただきますことを心から要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十五分休憩
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