平成14年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(森 正樹議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時二分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
過日提出のあった議案第百四十号中、職員の特殊勤務手当に関する条例の改正について、及び議案第百六十三号から議案第百六十七号まで、議案第百七十号から議案第百七十二号までは職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
〔巻末の「参考資料」を参照〕
【日程第一 議案第百三十六号から議案第百七十二号まで、
並びに報第十号】
【日程第二 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、議案第百三十六号から議案第百七十二号まで、並びに知事専決処分報告報第十号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
四十三番森 正樹君。
〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 皆さん、おはようございます。
平成三年四月、数多くの県民の皆様の厚いご支援に支えていただいて初当選をさせていただき、はや十二年の歳月が流れました。初当選後、初めて開かれました平成三年六月定例会で一般質問を行って以来、今回で二十六回目の質問となります。この間、私は、関西国際空港、町並み景観整備、行財政改革、観光振興、IT先端企業誘致、県立医科大学跡地再開発、企業メセナ支援などをライフワークと決め、取り組んできたところでございます。三期十二年の節目に当たり、総決算という観点から、私自身ライフワークと決め、取り組んできたこれらの項目についてこの議会でご質問申し上げたいところでございます。しかし、時間に制約がございますので、質問通告に掲げております四点に絞り、お尋ねをいたすことにいたしました。質問に当たり、私は簡潔にして要領を得たものとなるよう心がけるつもりでございます。したがって、木村知事並びに各部長におかれましては、答弁に当たって、簡にして要を得たものとなるよう心がけていただきますよう、あらかじめお願い申し上げておきたいと思います。
それでは、通告に従い質問を申し上げます。
初めに、「行政改革と外郭団体の整理統合は時代の要請」と題してお尋ねをいたします。
「小さな行政で大きな仕事を」という副題を掲げました。その心は何ぞや。今、我が国は出口の見えない構造不況のどん底にあります。この数年、私の周囲でも、倒産、会社整理、解散、廃業のやむなきに至った企業、個人商店が十指に余りました。全くもってざんきにたえない次第であります。民間企業が、すべからく必死になって生き残りをかけて頑張っている今、行政もともにその痛みを分かち合わねばならないことは理の当然であります。まして、かつての高度経済成長時代やいわゆるバブル期のような経済成長は、この二十一世紀には望むべくもないのであります。したがって、いかに知恵を働かせ、いかに汗を流して努力するか、その仕事の中身こそが問われる時代に入ったと言わざるを得ません。そうした意味を込めて「行政改革は時代の要請」と表題に掲げた次第であります。
そこで、単刀直入にお尋ねをいたします。
一、かつて行政改革を進める当たり、職員数の削減はとの私どもの質問に対し、知事部局で百人、教育委員会で四百人削減するとの答弁がありました。また、和歌山県行政組織等検討懇話会の答申、「行政組織等の見直しに関する提言」も本年十月末に出ております。県としては、新たにどのような具体的数値目標を持って行政組織のスリム化に取り組もうとされるのか。木村知事、明確にお答えをいただきたい。
二、行政改革を進める上で避けて通れない問題として、外郭団体の整理統合にどう取り組むかという点があります。現在、本県が抱える外郭団体は、一〇〇%出資法人が九団体、五〇%以上出資法人が十一団体、二五%以上出資法人が九団体、その他二団体、合わせて三十一団体あることは、皆様よくご存じのとおりであります。現在ある三十一の県出資法人等の外郭団体に対し、設立時に計六十三億九百八十一万余円が県から出資をされております。しかし、これら三十一団体の中には、休眠法人とは言いませんが十分機能していない団体も見受けられ、廃止や統合、整理縮小が望ましいものもあると考えます。この際、思い切って整理統合を進めるべきであり、その具体策について、知事のお考えをぜひとも聞かせていただきたい。
二点目、「地域通貨の活用で地域の活性化を」と題してお尋ねをいたします。
地域通貨──正直に申し上げて、私も最近までこのことに関する知識を十分には持ち合わせておりませんでした。この議場にいらっしゃる皆さんの中にも、「地域通貨」という言葉を初めて耳にされた方もあろうかと存じます。
そこで、簡単に地域通貨のあらましを紹介しておきたいと思います。まず、円が国民通貨と言われるのに対し、地域通貨は一定の地域でのみ通用するものであるため、そう呼ばれております。昨年十二月十六日付「日本経済新聞」に「広がる地域通貨 いまなぜ?」という特集記事が掲載されておりました。現在、我が国で導入または実験中の地域は百四十カ所以上に達し、検討中も含めると三百カ所にも上ると言われております。日本での本格的な導入は一九九九年、つまり平成十一年ですから、まだ四年しかたっていないわけで、これだけ急速に広まった理由について、長年地域通貨のことを研究しておられる経済評論家の森野栄一氏が、同紙面で「原因は不況ですよ」とずばり答えておられます。森野氏によれば、「大恐慌が世界をおおった一九三〇年代初め、米国やドイツ、スイスなどで地域通貨ブームが起きました。景気回復を図る狙いでした」と述べておられます。この森野氏を講師に招いて、先月、地域づくりネットワーク和歌山県協議会が「地域通貨と地域振興」と題して研修会を開催されたと聞いております。席上、森野氏は、「もう一度繁栄する地域経済を実現していく手法として地域通貨があり、地域の温かい支え合いを取り戻し、地域社会のニーズにこたえるネットワークを構築しながら地域コミュニティーの新たな可能性を探り、地域の振興、町づくりへ展望を広げてきました。地域通貨と言っても多種の形態があり、例えば、高齢化の進む中で福祉のニーズにこたえるものから、地域経済の振興を目的にしたものまでさまざまです。このメニューの中から、自分たちが暮らす地域社会の実情に合った取り組みは何がふさわしいか、住民自身が主体的に考え、取り組んでいくことができます。地域通貨は一言で言えば、人、物、金、情報を地域内で循環させ、自立した循環型の地域経済モデルを探求する手法である」と語られていたと聞き及んでおります。
ところで、世界で最も普及しておりますのはカナダのバンクーバーで始まった「LETS」と呼ばれる制度で、「Local Exchange andTrading System」の頭文字をとった略称であります。これは、あらかじめ登録した会員同士が会員にのみ通用する地域通貨を使って会員間で提供し合える財やサービスを取引するネットワークです。このほかにも、「トロントドル」、「タイムドル」などが地域通貨としてよく知られております。我が国でも、北海道苫小牧市の「ガル」、東京渋谷区の「アール」、千葉県千葉市の「ピーナッツ」、静岡県清水市の「EGG」、兵庫県宝塚市の「ZUKA」、滋賀県草津市の「おうみ」、福岡県福岡市の「よかよか」等、枚挙にいとまがありません。
地域通貨のことをさらに詳しく知っていただくために、さわやか福祉財団のホームページからプリントアウトしたものをご紹介したいと思います。「「地域通貨」は互いに助けられ、支え合うサービスや行為を時間や点数、地域やグループ独自の紙券などに置き換え、これを「通貨」としてサービスやモノと交換し、循環させるシステムのことをいいます。「円」などの「国民通貨」とは違った「もうひとつのお金」とも言うべき働きをするもので、「地域コミュニティづくり」の役割を果たすものとして期待されています。 地域通貨に参加すると、自分の「できること」「してほしいこと」を登録しておき、何か助けが必要な人に対して、自分の「できること」でお手伝いをし、自分が助けてほしいときには、誰かに助けを求めることが出来ます。つまり、地域通貨は、一方通行的にボランティアをして助けるだけではなく、自分も誰かに助けてもらうという、お互いに「助け・助けられる」関係を生み出します。地域通貨は、助けてもらった相手に対して「ありがとう」の気持ちとして渡すもので、人々の間を循環していくことによって、地域での交流の輪が広がるきっかけとなります。 自分のできる時に、できることで気軽に参加して、地域での支え合いを生み出すしくみ」とあります。
結論を申し上げますと、地域通貨とは、個人の中に眠っている潜在的能力を引き出し、それを互いに利用し合いながら、地域やコミュニティーを経済、社会、文化などいろんな面で活性化させ、新たな地域コミュニティーを築くためのメディアたり得るものであると言えると思います。
一方、中小企業庁では、平成十三年度に実施した地域通貨を活用した商店街等の活性化に関する調査の結果を踏まえ、本年度より実践的な地域通貨の活用方策を検討するため、三県五地域をモデル地区とし、商業振興につながる地域通貨のモデルスキームの構築のための調査を行っております。また、他府県の取り組みを見てみますと、愛媛県が平成十二年に「地域支え合いのきっかけづくり─地域通貨」という百二十九ぺージに及ぶ冊子を発行し、地域住民がどのようにアプローチしていくかを、理念からメンバーづくり、運営までわかりやすく記載しており、あわせて数多くの情報提供も行っております。
翻って本県におきましては、田辺市のNPO法人県健康アシスト協会による地域通貨「きしゅう券」の来年一月からの発行を初め、先ほど申し上げた地域づくりネットワーク和歌山県協議会による研修会の開催や財団法人和歌山社会経済研究所の取り組みなど、さまざまな動きが見られるのであります。
そこで、企画部長にお尋ねをいたします。
第一点、県内団体の地域通貨に関する取り組み状況や動向に関してご報告をいただきたい。
第二点、県としては、地域の活性化のために、この地域通貨の果たす役割についてどう考えておられるか、また今後どう取り組んでいくおつもりであるのか、お答えをいただきたい。
現下のような先行き不透明な時代にありまして、地域にとって最も重要なことは、地域が互いに助け合い、支え合って成り立ってきたことであり、今助け合って生きていこうという人をいかにふやしていくかであろうと思います。それぞれの地域が、その地域社会の実情に合ったものは一体何であるかを地域住民自身が主体的に考えることであると思います。そこにこそ地域コミュニティーの構築が可能となり、地域経済の活性化にも確実につながっていくものと思います。そのきっかけとして地域通貨制度の仕組みを広く普及していく必要性と責任、役割が行政にあるというのが私の考えであることをつけ加えておきます。企画部長、前向きの答弁を望むものであります。
三点目、「県産品のさらなる販路拡大を」と題してお尋ねをいたします。
木村知事の本十二月定例会の冒頭における知事説明の中で、県政をめぐる最近の主な動きの一つの項目として、県産品の販路開拓と題して取り上げていただきました。この中で知事も触れておられるとおり、十一月に相次いで東京都内で開催されました県産品フェアは、いずれも大盛況に終わったと聞き及んでおります。
そこで、商工労働部長、農林水産部長、それぞれこの県産品フェアの成果についてご報告をいただきたい。また、同フェアについて、今後どのようなコンセプトで展開していかれるのか、今回のフェアでの反省点も踏まえ、お示しいただければ幸いであります。
三つ目の問題として知事にお尋ねをいたしたい。
さきの九月議会でも詳しく触れたところでありますが、県産品の販路拡大に取り組むに当たり、県組織の強化を図ることを確約されておりますが、その構想について具体的にお答えいただければ幸いであります。
副題で申し上げておりますように、「いいものをいかに広く知ってもらうか」が販路拡大のキーポイントであると私は考えます。今回のフェアでも、名の通った商品はやはり売れ行きが好調であったと聞いております。また一方、県内にはまだまだいいものが多く埋もれていると思います。いいもの発掘とPRのためにも組織強化は必要不可欠であると思う次第であります。
最後に、「関西国際空港を東アジアの国際ハブ(拠点)空港に」と題して質問をいたします。
九月定例会にも関西国際空港のありようについて種々申し述べたところでありますが、それから三カ月、関西国際空港をめぐって状況は大きく揺れ動き、激変の三カ月となりました。主なものを挙げてみますと、関西、成田、中部の三国際空港の上下分離案の白紙撤回、伊丹空港の発着枠の五十便削減を国土交通省が発表、伊丹空港の二種空港への格下げを国土交通省が提示、伊丹空港の騒音対策費の一部を受益者負担に、大阪府が関空会社への出向職員全員の引き揚げを表明、交通政策審議会空港整備部会の答申に関空二期の二〇〇七年開業を明記せず等々であります。
いつも私が言っていることでございますが、国土交通省航空局というところは定見というものがないとしか言いようがないのであります。財政当局からプレッシャーを受けると、そのたびにころころと猫の目のように政策を変更し、そのたびに地元や関係者は翻弄され続けてきたのであります。まさに確固としたポリシー、定見がない、長期的視点がない、アジアや世界の実情と趨勢が見えていないの三ない状況に陥っていると申し上げても過言ではないと思います。こんな状態では国際競争にも勝てないし、均衡のとれた航空行政が行われることも期待できないと私は断ずるものであります。
ところで、「日本経済新聞」紙上で、十月十八日から十一月九日にかけて八回にわたる連載記事が掲載されておりました。「瀬戸際近畿三空港」というものであります。特に後半の「関係者に聞く」というシリーズでは、関西政財界のトップ、木村知事初め六人の皆さんへのインタビュー記事で構成されておりましたが、この中で、極めて興味深く、正論とも言うべき意見が多く開陳されておりました。そのうち幾つかを紹介させていただきます。
まず、木村知事。上下分離案は関西空港救済という批判に対し、「国際三空港が成り立つように考えるのが国政。収支面のみ強調する縮み志向の発想を、公共財の分野に持ち込むことはやめた方がいい。収支だけでモノを考える財務省の発想は「角を矯めて牛を殺す」ことになりかねない。国の玄関整備には税金(一般財源)もある程度投入すべきだ」と答えておられました。同趣旨の意見は、JR西日本会長の井手正敬氏も、関西空港の経営立て直しはとの質問に対し、「韓国・仁川国際空港はジャンボ機の着陸料が三十万円とか二十五万円といわれている時に、九十万円を前提にして収支を合わせようというのはナンセンス。国策として仁川並みの着陸料を前提に、関空会社の収支をどうするかだ。 例えば一機当たりの着陸料を三十万円にし、会社全体では一%の利益を出す。逆算して不足する分を国が持ちましょうというのが筋。そのためには空港整備特別会計の枠内にこだわらず、一般財源を投入すべきだ」と述べておられるのであります。さらに、新東京国際空港公団総裁の黒野匡彦氏も、「成田は二〇〇四年度にも特殊会社化、以後三─四年で上場できる見通し。その時点で国が得るキャピタルゲインをどう使うかは国の判断。関空への補てんはあり得る。 もう一つ。関空には、特効薬として国の一般財源を思い切り入れることが必要。元々、空港整備には一般財源投入が少な過ぎる。日本の空港着陸料が高い最大の原因で、一般財源を原資に大幅に引き下げるべきだ」と強調され、くしくも三氏の意見は一致しており、私がまた長年主張してきたことでもあります。
一方で、伊丹空港の問題について井手氏は、「関空が苦しんでいる一方で年間百億円の環境対策費を伊丹で使っているという大変な矛盾がある。少なくとも環境対策費は利用者が負担せよというのは自然だと思う。 かつてパイロットの間では「伊丹空港ほど怖い空港はない」といわれていた。騒音問題もある。今になって利便性があるというのは、あまりにも身勝手ではないか」と。木村知事も同じく、「市街地にあって危険で、騒音問題もある国際空港は世界中でも伊丹と香港の旧啓徳空港だけだった。だから関空を造った。(中略)騒音問題はどうなのか、安全性はどうなのか。国はその原点に立ち返って判断をすべきだろう」と言われております。さらにJR西日本の南谷昌二郎社長も定例記者会見の席上で、関西空港をつくった経緯を考えるべきだ、騒音問題のある伊丹は段階的に縮小されるはずだった、国際線との乗り継ぎを考えても、関空に路線を集中させていくことが重要だと語っておられるのであります。これら各氏の意見は正論であり、至極当然のご意見であると思います。そしてまた、私がかねてから主張してきたことでもございます。
以上、関西国際空港をめぐって紆余曲折があり、揺れに揺れた数カ月でありました。これらの状況を踏まえつつ、以下、木村知事と企画部長にお尋ねをいたすものであります。
一、二期工事の進捗状況について。
二、二〇〇七年の二期供用開始を明記していないのはなぜか。
三、東アジアの国際ハブ空港であるために何をすべきか、何が必要か。
四、伊丹の二種空港格下げは当然と思うがどうか。
五、伊丹の騒音対策費として、受益者負担の原則に照らし、着陸料に転嫁する方針は正しいと考えるがどうか。
六、単独民営化という国の方針は前進か後退かの六点について答弁を求めるものであります。
一と二は企画部長から、三から六は知事からお答えいただければ幸いでございます。
ところで、毎回のように関西国際空港のことについて同じことを言っているという批判ともやゆともつかぬ声があることを私は存じております。しかし、国の根幹にかかわることについて、それが日の目を見るまで言い続けることこそ大事なのであります。本県の県益のために、いや我が国の国益のために、関西国際空港の全体構想は何としても具体化させなければなりません。東アジアの国際空港としての地位を確立するために、滑走路三本の完全な空港として、日本の空の表玄関として、関西の空の表玄関として、関西国際空港が世界から脚光を浴びる日が必ずやってくることを念願し、その日までこの課題と取り組み、関西国際空港のことを言い続けていくことを宣言して、質問を締めくくりたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、行政組織のスリム化についてどういうふうに考えるかということでございますが、百名を削減していくという削減目標については確実に、そしてまた速やかに達成していく所存でございます。そしてまた、そういうふうな数の削減だけではなくて、機能的な組織にしていくことを目指しておりまして、行政というのはある意味ではサービス産業でございますので、マンパワーが本当に力を発揮すれば非常に力も出ますし、力を発揮しなければうまくいきません。そのためには、適正な人事配置であるとか、人を本来生かせるような組織づくりということも削減とあわせて鋭意進めていきたいと考えております。
次に、外郭団体の問題でございます。
外郭団体については、和歌山県は他の都道府県に比べれば割と少ないということが前提としてありまして、さらにはここ数年、これを統合したりして数を減らしてきているということがあります。しかしながら、今、森議員のご指摘にもありましたように、そしたら残っている外郭団体がすべて十分に機能しているかどうかということと数の問題はまた別の問題でございます。中の組織が本当に県民のためになるようになっているのかどうかということを改めて見直していく必要があるだろうと思いますし、当然のことながらそういうふうなときには情報ということが非常に大事になってきます。そこで働いている人からの情報も大事だろうと思いますし、それからまた県議会の議員の方々から、ここはこういうところに問題があるよという情報も十分生かしながら、実質的な意味での外郭団体の削減というか合理化にも努めてまいりたいと、このように考えております。
それから県産品の販売ですけれども、このような経済情勢が非常に厳しい時代には、今、県にあるものをブラッシュアップして魅力をつけて売り出すということが、それがすべてではありませんけれども、非常に大きな戦略の一つと位置づけて、ことしも銀座の三越、イトーヨーカ堂の木場店でアンテナショップ的なものをやってきまして一定の成果をおさめました。しかしながら、こういうものは一過性で、一度だけやって終わらせてしまったら、それは和歌山のもの結構よう売れたなというだけのことで終わってしまうわけでございます。これを、今後にどのように引き継いでいくか。それからまたもう一つは、ITを利用してバーチャル和歌山でわいわい市場というものをつくっているんですけれども、こういうものとどういうふうに連携させていくか。それから、今回のことでちょっと気づいたことは、和歌山には物すごくいいものがたくさんある割には、ああいうふうなアンテナショップとかを出したときに出てくるものが限られていて、いろんな事情があるらしいですけれども、物すごくいいものだなと思うものが意外と出てこないと。こういうふうな、本当にいいものの発掘ということも進めていかなければなりません。
いずれにせよ、今は情報提供とそういう機会をつかんでいくということにたけた者が勝利をおさめるという時代になってきておりますので、今後ともこの面は最重要課題の一つとして取り組んでいきたいと思います。その場合に、組織も、例えばこれは農林水産部がやっている仕事だから農林水産部の話で自分たちだけでやりますと、こっちは商工がやっているから商工だけでやりますと、こういうふうことでは言ってみればパッチワークみたいな形になってしまって、本当の大きな施策にならないわけですので、組織のあり方なんかについても、こういうものが融合しながら、そしてまた県の研究機関なんかも一緒に入ってやれるような形の組織──固定的な組織にするのか、アドホックみたいな形のものにするのか、これはこれからいろいろ検討するところでございますけれども、いずにせよ前向きに取り組んでいきたいと思っています。
それから、関空の問題です。
まず、ハブ空港としての機能をどういうふうに充実していくかということで、私も先般、デンマークへ行って、デンマークとの間の航路をもう一回再開してもらおうということでスウェーデン国SASの本社へも行ってきたんですけれども、なかなか事情は厳しいです。厳しくなっていることの根本にあるのは、日本の経済力がここ十年で非常に落ちてきていると。そういうふうな中でスウェーデンとか北欧の国なんかも、どちらかというと、これから中国との関係を強めていこうという姿勢が出てきている中で、一度やめた日本との航路の再開というのはなかなか難しいという感触を──物すごく頑張ってきましたけれども──得たわけです。
そのときに思ったのは、例えば大分割引制度を考えたんですけれども、外国が日本へ来たら物すごくもうかると思っているときには九十万円の着陸料でも十分勝負になったと思います。けれども、今日本は、ただにしてももう一回来てもらわないかんような時代なわけです。やはり、政治というのはそういうふうなダイナミックな方針で考えていかないといかんと思います。それから、どこの国へ行っても、飛行場へ入る橋で千七百円取られるような橋はありません。泳いでいくわけにはいかないので、こういうふうなものは当然損して得とれというふうなことで考えていかないといかん。それが、政治の仕事だと思います。それからまた、先ほどお話がありましたように、和歌山県からもこういうふうな声を上げていくということは物すごく大事だと思います。県だから関係ないだろうということではなくて、県からも同じようにくどいぐらいにこういうことを言っていたら、いつかそれが大きな力になってくると思って、私もいろんなところでそういうことを言うようにしているわけです。
それから、今度はとりあえず取りやめになったみたいですけれども、伊丹を二種空港にするという問題があります。二種空港にするかどうかは別の問題として、基本的に関空をつくったときのいきさつは、都市の真ん中にあるような飛行場へおりていくときに、もう生きていくのも大変なぐらい騒音がすごいんだという話、それからもう一つはパイロットもあそこは怖いんだという話、幸いなことに事故は起こっていませんけれども、そういうふうなことがあって関空ということがあったんだから、そういう原点をもう一回冷静に考えてみるというか、頭を冷やした議論ということがこの問題については大事だと思います。
それから、着陸料の転嫁の問題にしても、今すぐに伊丹空港を利用する人に全額というのは厳しいかもしれないけれども、いずれにせよ、今度はもう少し広い範囲で転嫁していくふうになりそうな様子ですけれども、この騒音対策に非常なお金を使うということは、これは言ってみたら、今日本が危機的な状況にある中で後ろ向きのお金の使い方なわけです。こういうふうなことをするだけの余裕がこの二十一世紀のこれからの日本にあるのかどうかということもあわせて真剣に考えて、そのときにどういうふうにすればいいかということをもっと議論していく必要があると、この問題についてはそういうふうに思っております。
それから、単独民営化がいいのか、上下分離方式で成田に持ってもらうようなやり方がいいのかということですが、私はもうそれ以前の問題として、先ほどご質問の中にもありましたように、国の玄関ぐらいは税金でつくるのが当たり前だという考え方に立っております。
それからもう一つは、関空がよくなれば成田は悪くなってもいいとか、成田がよくなれば関空は悪くなってもいいとか、そんな国内だけの足のけり合いみたいな議論をしていたら、よそがどんどんよくなっているときに、外から見たら、本当に何をしているんだろうあそこの国はというふうな話になってくるんで、やはり空港整備特会とか、そういうふうな小さな枠だけのことで物事を考えていくのではなくて、国策として何を考えるかということを真剣に考える必要があります。この間の識者の意見も大体そういうふうなことに集約されていたので、私も皆考えることは一緒なんだなと意を強くしたようなことがあります。これからも、そういう方向で頑張っていきたいと思っております。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) まず、地域通貨に関するご質問の二点に対して一括してお答えをさせていただきます。
県内における地域通貨の取り組み状況と動向でございますが、現在把握している限りにおきましては地域通貨を導入している地域はまだございません。お話にありましたように、来年一月から田辺市を中心とした地域で導入の計画があると聞いてございますし、また財団法人和歌山社会経済研究所が本年度の自主研究テーマとして取り組んでございます。このほか、和歌山市域において地域通貨を運営するNPO法人の設立が進められているところであります。
次に、県の役割と取り組みについてでございますが、議員ご指摘のとおり、地域通貨は地域コミュニティーの発展や地域経済の活性化につなげていくことが重要であると考えてございまして、特に厳しい経済情勢の中、地域経済の再生を実現する有力な手法の一つとして注目してございます。具体的な取り組みとしましては、関係者に広く知っていただくということで、去る十一月十九日に地域づくり団体や市町村職員のほか、商工関係者にも広く呼びかけ、「地域通貨と地域振興」をテーマにした研修会を開催したところでありますが、今後ともNPOや市町村等関係団体と連携して地域経済の活性化のための地域通貨の活用について研究をしてまいりたいと考えております。
次に、関空の二点についてお答えを申し上げます。
まず、関西国際空港二期工事の進捗につきましては、本年五月の揚土工事開始以来順調に推移し、既に二本目の滑走路となる部分の埋め立てがほぼ終了するなど、全体計画面積五百四十二ヘクタールのうち、十一月末現在で約百六十六ヘクタールが陸化し、また施工数量をベースとした進捗率は約六〇%となってございます。なお、用地造成会社の見通しによりますと、平成十四年度末時点の進捗率は約七〇%に達する見込みとなってございます。
二点目の、今回の答申になぜ二〇〇七年二期供用が明記されていないのかというご質問でございます。
議員ご指摘のとおり、交通政策審議会航空分科会答申には、「早期の平行滑走路供用を目標として予定どおり工事を着実に推進する必要がある。今後、需要動向、関西国際空港株式会社の経営状況等について十分見極めつつ整備していく必要がある」と明記されてございます。関西国際空港に係る今後の需要予測が下方修正されたことや、昨年九月のテロ以降、成田空港の暫定滑走路供用の影響もあり、現状の航空需要の回復力が弱いことなどが大きな理由の一つではないかと考えております。このため、県といたしましては、航空需要の拡大に努めることが最も重要であるとの認識から、さきに県議会のご協力も得ながら、台湾及びデンマークへミッション派遣を行ったところでございますが、今後とも関係自治体、経済界とも連携しながら、関西国際空港の需要喚起、利用促進に取り組んでまいる決意でございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 県産品の販路拡大の中で、十一月に行われた二つの県産品フェアの成果についてでありますが、東京江東区にあるイトーヨーカ堂木場店におきまして、十一月二十七日から十二月二日の六日間、三十五の業者、団体の参加のもと、まるごと和歌山物産展を開催いたしましたが、周辺の方のみならず、本県にゆかりのある方々も数多く来店されるなど大変なにぎわいを見せ、成功裏に終了いたしました。期間中の売上額は六百万円弱と、一日平均百万円の売り上げでありましたが、商品は原則イトーヨーカ堂の買い取りであり、物産展終了後も引き続き本県の産品の販売が行われております。
今回の物産展は、単なる一過性のイベントではなく、今後に続くニューマーケティング戦略の第一歩と位置づけており、売れ筋商品はもとより、余り売れなかった商品の情報も価値ある情報であり、これらの分析を重点的に行い、品質面、表示面、販売方法等、どのような工夫をすれば首都圏で売れるようになるのか、農林水産部と連携をとりながら、イトーヨーカ堂並びに出展業者とともに十分研究をしてまいりたいと考えてございます。
次に今後の展開についてでありますが、現在、イトーヨーカ堂と今回の物産展の結果検討及び今後の進め方について協議をしているところであり、同社の首都圏の販売網を活用した和歌山発の新たな販路開拓事業の取り組みを進めております。また、商品の品ぞろえも重要であり、一月から県内くまなく調査に回り、すぐれた県産品の掘り起こしを行ってございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 十一月に行われた二つの産品フェアの成果並びに今後の展開についてございます。
二つの産品フェアのうち、物産展・紀州旬の市は、紀伊国屋文左衛門の故事を活用いたしまして、和歌山の農林水産品などのよさを全国にPRした物産展でございました。有田市での出発式、東京での荷受け式を行った後、十一月六日から六日間、三越銀座店で物産展を開催したところでございます。この間、地元メディアはもちろん、首都圏の新聞、テレビにも取り上げられまして、本県の農林水産品の大きなPRにつながったものと考えてございます。また、物産展開催期間中の来場者は約三十一万人、売上額は約二千四百万円でございまして、出展者にとりましては、首都圏における販売方法や売れ筋商品の把握がある程度できたのではないかと考えてございます。
今後は、首都圏において本県農林水産品のすばらしさをより多くの人々に知っていただくためには、商工労働部とも十分連携を図りながら、継続的な取り組みをしていく必要があるのではないかと考えてございます。このため、今回の物産展の成果を生かしながら、やる気のある生産者の育成や首都圏で売れる商品開発の支援に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、森正樹君の質問が終了いたしました。