平成14年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十四年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
平成十四年十二月十日(火曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三十六号から議案第百七十二号まで、並びに報第十号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百三十六号から議案第百七十二号まで、並びに報第十号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十三番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         内   田   安   生
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       阪   口   裕   之
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      高   綱   直   良
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百三十六号から議案第百七十二号まで、並びに報第十号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、議案第百三十六号から議案第百七十二号まで、並びに知事専決処分報告報第十号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十六番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 おはようございます。お許しをいただきましたので、早速一般質問をさせていただきます。
 最初に、障害者の支援費制度について伺います。
 まず、制度の周知徹底についてです。
 九月県議会でも福祉保健部長は、制度の周知徹底が極めて重要と答弁をされました。その後の状況はどうなっているでしょうか。例えば田辺市では、制度変更に伴い、二名の臨時職員を採用しました。施設入所者には保護者会で説明、在宅の方には訪問して新しい制度を説明するなど、きめ細やかな対応をするようであります。しかし、ほかの市町村の状況を見ますと、パンフレットを郵送しておいて、在宅の方については支援費の申請があった人のみ訪問をして調査するというのが一般的なやり方のようです。これで本当に理解が得られるのか、制度が変わる四月一日に間に合うのか、大変心配であります。
 そこで、伺います。現在、施設利用者や在宅の方への説明会は県下で何%ぐらいの人を対象に開催されていますでしょうか。また、県の職員は直接そうした説明会へも参加しているのでしょうか。答弁をお願いいたします。
 今、市町村職員も大変です。制度の周知徹底のための膨大な事務に追われ、しかも障害者は個々さまざまに状況が違いますから通り一遍の説明では済まないため、問い合わせなどに対応しなくてはなりません。その上、申請が上がってくれば聞き取り調査を行うなど、介護保険のケアマネジャーがやっているような仕事をしなくてはなりません。
 そこで、伺います。県として、市町村の担当職員にどのような援助を行っているでしょうか。また、ケアマネジメントの研修状況などはどうなっていますか。答弁をお願いいたします。さらに、根本的には来年へ向けて専門職員の配置ができる財政的な支援が私は不可欠だと思いますが、いかがでしょうか。答弁をお願いいたします。
 次に、利用者の負担増について伺います。
 これまで厚生労働省のパンフレットなどでも、制度が変更になっても利用者の負担が著しく増加しないようにすることになっていました。ところが、最近示された利用者負担案によりますと、そうなっていない部分があります。例えば、現在ホームヘルプサービスを受けている障害者の自己負担は、所得税が非課税の世帯なら無料で受けられていました。しかし、支援費制度に変わると、所得税は非課税でも、市町村民税が課税されていれば利用者負担が必要になります。また、デイサービスやショートステイでは、これまで食費のみの負担だったものが、これも自己負担が必要になります。
 さらに、知的障害者の入所施設では、制度変更のため、大きな負担増になります。一級の障害基礎年金のみを受給されている方なら、現在、施設に対し三万四千百円の自己負担を払っているんですが、それが一万七千七百円増加して五万一千八百円に、二級の年金の方なら、一万九千百円の負担が二万二千七百円も増加し、四万一千八百円になります。これについては国にも言い分があるらしいですが、しかし、少なくとも実際の負担額がこんなにもふえてはたまりません。国に対して再検討を求められたいと思いますが、部長の答弁をお願いいたします。
 また、施設については、制度が変わることによって大幅に収入が減るところがあります。これについては、田辺に本部があるふたば福祉会が試算をしております。知的障害者通所授産施設のふたば作業所では年間約四百万円の減収と試算され、上富田町のあすか作業所では約二百万円の減収が予想されています。もしこれがこのまま現実になれば施設の職員をパートばかりに切りかえなければならないなど、大変な事態になります。このことについても国に率直に見直しを求めるべきだと思いますが、答弁をお願いいたします。また、制度が始まって実際大幅な減収となった施設が出てきた場合、私はやはり県も責任を持って支援をするべきではないか、このように考えますが、いかがでしょうか。答弁をお願いいたします。
 次に、温泉及び公衆浴場におけるレジオネラ菌の感染対策について伺います。
 宮崎県で七月に起こったレジオネラ症では、約三百名の患者と、そのうち死者七名を出す大惨事になりました。この施設は七月にオープンしたばかりで、わずか二十日程度の営業でこのような重大事態になったようです。また、八月には鹿児島県の温泉で一名が亡くなっています。レジオネラ症とは、レジオネラという細菌が原因で起こる感染症です。その細菌が手入れの行き届いていない循環式のおふろの中などで増殖をして、この病気を引き起こすと言われています。仮に汚染されたおふろでも、普通のおふろであればこの病気にはなかなかかかりにくいそうです。しかし、汚染されたおふろで、今はやりのジェットバスのように泡が出て細かい水滴が発生して、それを肺に吸い込むとこの病気になるそうです。
 今は温泉地でも、温泉のかけ流しではなく、循環式で運用しているところも多数あります。例えば私の地元白浜町でも、約一五%の施設がこの循環式になっています。もしこの病気が発生すれば温泉地が大打撃を受けることになるので、今から十分な対策が必要であります。
 そこで、環境生活部長に何点か質問いたします。
 まず、維持管理に十分な注意が必要な循環式のろ過装置を使った県下の施設は幾つあるでしょうか。また、そのうち昨年度検査済みのところは何カ所でしょうか。答弁をお願いします。
 次に、レジオネラ症はここ数年継続して発生し、死者も出てきました。にもかかわらず、ことしも宮崎や鹿児島のような事件がなぜ発生するのでしょうか。これまで業界や県の対応はどうなっていたのか、どこに問題があったのか、答弁を求めたいと思います。
 この問題の最後に、県下で国の基準より厳しい基準を定め、それをクリアしている温泉地については安全宣言できるようなシステムをつくってはどうかと思います。例えば佐賀県の武雄温泉では、旅館組合が主体となってこの十月に安全宣言を出したそうであります。今、だれもがこのレジオネラ症を大変心配していると思うのです。いち早く安全宣言を出すことで温泉地を訪れるお客さんに大きな安心を与えることになると思いますが、いかがでしょうか。答弁をお願いします。
 次に、すべての県民に交通権の保障をしていくために質問をいたします。
 交通権とは聞きなれない言葉だと思いますが、具体的に言えば、だれでも、いつでも、どこへでも安全で快適に移動できる権利と言われています。この権利に照らして、今、県内の交通機関の状況はどうなのか問題提起するとともに、幾つかの提案も行いたいと思います。
 まず最初に、田辺から新宮間を走るJRのトイレなし電車の問題について伺います。
 この問題は、先日の南部町議会でも取り上げられました。取り上げたのは平松議員さんという方です。きょうは傍聴にお見えいただいております。ご自身が普通電車で新宮へ行く途中、古座の駅でどうしても我慢できなくなって運転手に言ってとめてもらったそうです。ここまではいいのですが、ホームの端っこで用を足そうとすると、「あかん。駅まで行ってこい」と言われ、線路二本分またいで駅のトイレに行ったそうです。この平松さんは、病気をして以来足に不自由が残っていて、なかなかさっさと歩けないという状況があります。運転手は、「はよ来んか。はよ来い」と言ってせかしたそうであります。ようやく電車に戻ったら、ちょうど茨城県の方が観光に見えられていて、「和歌山へ来たら手洗いのない電車があるんですね」と言ってびっくりされたそうです。大変悔しく、そして情けない思いをしたのではないでしょうか。
 前に取り上げたときにも問題になりました。この電車は、沿線住民が医者に通うのによく使っているんです。医者で利尿作用のある薬をもらったり、そもそも排せつのコントロールができない人が多く乗っています。我慢し切れなくて漏らした方も、何人もいらっしゃいます。そのときJRは、トイレに行きたくなったらどこの駅でもとめて終わるまで待ちます、このように約束していたではありませんか。約束が守られていないではありませんか。こんなことが広まったら和歌山県にとって大きな損失になります。県からも厳しく指導されますよう求めますが、企画部長の答弁をお願いいたします。
 この問題では、そもそも田辺─新宮間で三時間かかる普通電車にトイレ設備そのものがないことが何よりの問題です。
 ところで、全国的に見ますと、JR各社の対応にはかなりの違いがあります。私も全部つかんでいるわけではありませんが、とりあえずJR四国や東日本の各社で、この間、住民要望に対してどのような改善がなされてきたのか、また肝心の西日本の対応はどうなってきたのか、お答えください。またJR東海では、そもそもトイレのない普通電車は原則としてないと聞いておりますが、実際どうでしょうか。答弁をお願いいたします。
 この問題の最後に、県はこれまでJR西日本とどんな交渉をして、どのような対応策が検討されたのでしょうか。そして、今後どのような取り組みをしようとしているのでしょうか。明らかにしていただきたいと思います。
 次に、県民の交通権を確保するための二つの提案をしたいと思います。
 最近、福祉分野の移送については、社会福祉協議会などが力を入れ始めました。例えば介護保険制度では、派遣されたホームヘルパーさんは、介護者を自分が乗っていった自家用車で病院や施設に運んだりすることはできません。これは、お金を取って自家用で人を輸送することはいわゆる白タク行為に当たり、道路運送法違反になるという見解を国土交通省がしているためです。
 こういう不便さを解消するため、例えば西牟婁郡では幾つかの社会福祉協議会が運転ボランティアさんたちに協力いただいて、障害者や寝たきりのお年寄りについては、ガソリン代程度の実費負担で通院などに利用できる移送サービスを行っています。このサービス自体、今や地域の福祉ではなくてはならないものになっています。しかし反面、福祉的な移送サービスというのは利用希望者をある基準をもって選別しなくてはなりません。現実には、ある程度以上の障害を持つことが福祉的な移送サービスを利用できる条件になっているんです。公共交通が貧弱な紀南地方などにおいて、お金はなくても元気で長生き、しかし自動車の運転はできませんという人は、見えないバリアに囲まれた狭い地域内で暮らすことしかできないのではないでしょうか。元気なときこそ友達と交流し、趣味に出かける、そうした人生を求めることはぜいたくなことでしょうか。
 私は、紀南地方の公共交通の現状を見るにつけ、車のある人とない人がこれほどの生活格差があっていいのか、こうした状況こそ過疎を深刻にしていると、本当に情けない気持ちでいっぱいになります。私は、まずしっかりした公共交通の土台をつくり、その上で必要な福祉的移送サービスが組み合わされてこそ、高齢化社会の中でも過疎地域で生き生きと暮らせる前提ができると考えます。その考えに基づき、以下、私の提案を述べたいと思います。
 まず第一に、公共交通の充実に向けて市町村が自主的に運行しているコミュニティーバスへの支援を求めたいと思います。
 現在、県下の約三割の市町村でコミュニティーバスが運行されています。それぞれに工夫を凝らし、苦労しながら運営しています。
 先日、太地町でのバスが大変いい取り組みをしている、このように聞き、視察をしてきました。もともと奈良交通が運行していた乗り合いバスが経営合理化で撤退したためにコミュニティーバスを走らせたのですが、便利なルート設定になり、本数も増加し、さらに安い運賃──かつて太地駅から梶取崎の岬まで三百六十円かかっていた運賃が、今どこまで乗っても百円という大変使いやすい料金になっています。好評で、乗客も大変ふえています。町民なら、回数券を買えばだれでも一回百円なんです。経営状況もコミュニティーバスの中では健闘していて、年間の経費が約千三百万円ほどかかるのですが、収入が六百万円あります。
 このように、工夫次第ではこれまでの路線バスより大いに人気のあるバスが実現できるのですが、いかんせん、車両の購入にも運行経費にも補助金がないのが悩みの種です。そんな中、既に十三の府県で独自のコミュニティーバスへの助成を行っているようです。今後ますます経営合理化で路線バスの撤退が予想され、コミュニティーバスの運行がふえていくと思われます。県の財政的支援についてお答えを願います。
 また、コミュニティーバスへの支援では、ソフト面での支援も重要です。ここに和歌山大学の学生が書いた交通問題のレポートがございますが、この中で、県が交通政策についての総括的なビジョンを持てていないとして、県の政策能力の向上を求めておられます。やはり専門的に担当する職員が必要です。もちろん、今の担当課も頑張ってくれております。しかし、いかんせん、人手不足という感が否めません。県が市町村へのソフト面、政策面での支援、提言ができるようにしていただきたいと思いますが、部長の答弁をお願いします。
 二つ目の提案は、今、国会でも法案が審議されている構造改革特区の利用であります。
 その趣旨は、福祉的な移送サービスに限定して、あるいは紀南の山間地のような交通機関の利用が困難な地域に限定して、道路運送法第八十条の規制を外し、自家用車つまり白ナンバーでも一定の有償運送を認めようじゃないかという提案です。
 福祉的な移送サービスについて言えば、先ほど述べたような社会福祉協議会の制度があります。しかし、実際は運転ボランティアさんが足りなかったり、土日や夜間は移送できなかったり、事前に予約が必要であったりして、急な用事には対応できにくくなっています。救急車を呼ぶほどじゃないが医者に診てもらいたい、こういうときはだれでもあります。こうしたときの移送ができるように、市町村も一定責任を持つ形で、例えばその地域に住んでいる元運転手をしていた人とかに事前に頼んで自家用車での運送をお願いしておく、こういうことです。幾ら田舎の近所同士でも、休日や夜中に車で病院へ送ってよとはなかなか言えません。事前にこうしたシステムをつくっておくことで、だれもが気兼ねなく移送サービスが受けられるようになるのではないでしょうか。もちろん、一定の料金は取る必要があります。これまでだと、それが白タク行為として道路運送法違反になったわけですが、それを福祉的な移送サービスや交通機関がない地域での日常の移送サービスについては例外的に認めようということです。
 私は、本来、こういうことは構造改革特区というような形ではなくて、日本全国当たり前に認められるべきものだと思います。しかし、その試験的な実施が特区として認められるのであれば、県として今から準備して、試験的な実施を和歌山でやりましょうと真っ先に手を上げていただきたい、このように思います。部長のお考えをお示しください。
 次に、南海地震対策について伺います。今回は、主に地震が起こった直後から問題になる避難生活について伺いたいと思います。
 前にも強調いたしましたが、今度起こるであろう南海地震は、東海、東南海、南海の三つの巨大地震が同時に襲う可能性も指摘されています。同時発生すればマグニチュード八・六であり、一七〇七年に甚大な被害を及ぼした宝永地震に相当する大きな揺れと津波が襲うと言われています。その結果はどうなるでしょうか。──茨城県と新潟県を結ぶ線から西の都府県全体に大きな被害が予想されると言います。津波は地震が起きてすぐに発生しますが、それが半日以上は継続して起こり、鉄道や道路の寸断を考えれば、関東から西の、特に太平洋沿岸の多くが陸の孤島化すると言われています。
 また、本県では道路が寸断されれば山間部でも陸の孤島となる地域が多いのが特徴です。局所的な災害なら他の地域や県からの応援も期待できますが、西日本全体に被害が発生しているとき、少なくとも一週間や二週間程度は応援がもらえない事態も発生してくるだろうというのが私の考えです。そのとき、孤立した集落内でいかに命を長らえるか、その対策と準備が必要です。その際、物資の備蓄と燃料、通信、電気、さらには最低限の医療資源の確保などが重要です。もちろん、そうした対策は一足飛びには準備できません。今から目標年度を定め、それに向けて逆算式で計画を立て、実行に移していくことが大切であります。
 そこで、以下、幾つか質問と提案をいたします。
 まず、災害用物資の備蓄状況は、調べたところによりましても、各市町村ごとにかなりばらつきがあります。法律や条例では、あるべき備蓄の状況を定めた基準というのがありませんが、和歌山県では半島という地域特性を考慮した和歌山県版の備蓄の基準づくりが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。総務部長の見解をお示しください。
 また、大規模地震災害のときに陸の孤島化しやすい集落についてはあらかじめピックアップしておき、地域での災害用物資の備蓄計画を県の主導のもと定めていく必要があるのではないでしょうか。答弁をお願いいたします。
 次に、防災計画でも余り考慮されていないのが通信と電気の確保だと思います。来るべき南海地震のようなスーパー広域災害では、送電線が切れることはもちろん、発電所そのものの損害のため、電力供給が広域でストップする可能性が言われています。避難所には、通常、ろうそくや懐中電灯などありますが、あくまで照明用であります。例えば孤立した集落をどうやって支援するのか決める際にも、まずは情報収集です。そのための通信機器あるいはインターネット網は何で動くか。電気であります。
 そこで提案ですが、孤立化が予想される集落の避難所には、例えば衛星系の携帯電話など通信の機材とともに小型の自家発電機を整備していく必要があるのではないでしょうか。総務部長の答弁をお願いいたします。
 次に、県民がみずからの命や身近な人の命を守る力をレベルアップする取り組みについて伺います。
 大規模災害時には医薬品はある程度確保できても、医者や看護婦の確保は現実的に困難です。住民自身が応急処置を含めて命を守る力をつけていくことが大切です。定期的な防災訓練を含めて、より高度な内容を身につけてもらうことが大切だと思いますが、今後の取り組みについての考えを聞かせてください。
 最後に、具体的な防災対策としてブロック塀対策について伺います。
 阪神・淡路大震災でもご承知のように、塀の倒壊によって多数の死者が出ました。特に倒壊しやすいブロック塀は、人命を奪う凶器となるばかりか、避難路をふさぐ障害物にもなります。既に静岡県などでは、道路に面したブロック塀を撤去する事業に一メーター当たり八千九百円、避難路沿いのブロック塀を安全なものに改修する事業にはメーター当たり三万八千四百円を上限として補助する制度があります。県内でもこうした制度をつくっていく必要があるのではないでしょうか。答弁をお願いいたします。
 また、提案ですが、どうせやるなら和歌山型の改修事業にしようということであります。工業技術センターや林業試験場などの力もかりて、間伐材をたくさん使った、デザイン的にも周囲の景観とマッチする新しいタイプの和歌山型の塀といいますか、それを開発してそれに切りかえていく、こういう事業はいかがでしょうか。木製の塀だと、草花との相性も大変よいものがあります。改修を機会にしゃれたデザインの塀にフラワーポットがたくさんハンギングされ、あるいはつる性の植物で覆われているような花いっぱいの路地づくり、町づくりを進めることは一石二鳥だと思います。花いっぱいの県土づくりという提案でもありますので、ここはひとつ知事に見解を伺いたいと思います。
 これで、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの、大規模地震に備えてブロック塀の倒壊が人命に対して非常に心配である、そういうときに間伐材を利用した塀をつくってはどうか、そしてそういうような方向を県の施策として進めていってはどうかと。
 非常に示唆に富むご意見だと思います。今、緑の雇用というのを進めておりますけれども、最終的にいつまでも税金で給料を支払うというふうな仕組みはなかなか難しいものであると考えておりますので、間伐材というものが活用され、それが防災と結びつく、そして景観と結びつくということは非常にいいことだと思いますので、これについては真剣にちょっと検討してみたいと、このように思っております。
○議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 障害者の支援費制度の四点についてお答えいたします。
 まず、制度の周知徹底についてでございますが、支援費制度は、福祉サービスの利用について、障害者みずからが決定し、選択を行うものであります。
 障害者が安心して利用できる制度にするためには情報の提供が極めて重要であり、各市町村はパンフレット配布や広報紙掲載等、各種の広報・啓発に努めておりますが、現在の利用者への説明の状況はおおむね二〇%程度で必ずしも十分でないことから、先般、各市町村に対し、さらに制度の周知等を行ってもらうよう文書で要請を行いました。県といたしましても、関係団体等の説明会には数多く参加しておりますが、今後も制度の周知徹底に努めてまいります。
 次に市町村への支援についてでございますが、知的障害者福祉に関する事務が県から町村へ移譲することに伴う負担増等への対応については、交付税で措置されることになっております。
 なお、市町村が一層きめ細かな利用支援を行えるよう、十月に近畿府県合同で国に要望を行いました。
 また、市町村職員に対しては、支給量や障害程度区分の判定方法等、説明会や研修会を実施しておりますが、今後も各振興局単位での調整会議や検討会も開催するよう指導してまいります。
 障害者ケアマネジメント研修につきましては、平成十二年度から実施しておりますが、今後も引き続き実施し、職員の資質向上を図ってまいります。
 次に、利用者の負担増についてでございます。基本的には現行の施設での費用徴収制度を踏まえ、全体として整合性を持ったものとなるように設定されておりますが、負担能力に応じて一定額の負担が必要となっております。
 なお、著しく負担が増加するものについては激変緩和等を国に要望いたしました。
 最後に事業者への収入減への対応でございますが、大幅な減収になる事業者がないよう、現在、国において支援費基準の再調整が行われております。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) レジオネラ症対策についてのご質問にお答えします。
 まず、対象施設の状況につきましては、循環ろ過装置を使用している施設は二百九十六施設で、うち六十八施設がレジオネラ属菌の検査を行っております。
 次に業界及び県の対応についてでございますが、業界につきましては、旅館組合が平成十三年七月に那智勝浦町において研修会を実施しております。県では、本年三月に旅館及び公衆浴場の百二十四施設について立入調査を行い、また十一月には国立感染症研究所から講師を招き、白浜町において浴場等の管理者に対し、レジオネラ症発生防止のための講演会を開催したところでございます。
 なお、ことしに至り他県で発生しておりますが、原因は施設管理者の衛生管理に関する認識不足などによるものと考えられます。県といたしましては、来年二月に管内の循環ろ過装置を設置している全施設二百四十七について立入調査を実施し、自主検査を強く推進してまいりたいと考えております。
 最後に安全宣言についてでございますが、県といたしましては、国の防止対策マニュアルに沿って施設の衛生管理を行うことによってレジオネラ症の発生を防げるものと考えております。今後は組合等において安全宣言ができるよう、より一層、営業者に対して衛生管理指導の徹底を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) まず、JRのトイレなし列車関連の三点についてお答えを申し上げます。
 ご指摘のJR運転手の対応につきましては、県としましても、連絡を受け、JRに対し善処するよう申し入れを行いました。JRでは、運転手に対し、適切な対応への再徹底を図ったところでございます。
 次にトイレなし列車改善に対するJR各社の取り組みについてでございますが、JR東日本にありましては、仙台と石巻を結ぶ仙石線において、十年にわたる利用者の要望を受け、本年十一月より順次改善が図られるとのことでございます。また、JR四国にありましては、平成十二年、十三年、各二両ずつ改善されたと聞いております。JR東海にありましても、静岡県の富士市と山梨県の甲府市を結ぶ身延線で一部トイレなし区間を残すものの、ほぼ設置をされたと聞いております。JR西日本の取り組みにつきましては、現在、JR西日本管内にはトイレなし列車の路線が八路線ございますが、この二年間、新車導入時や大幅な車両改造の際を除いて既存車両の改善は行っていないということでございます。
 JRとの交渉経過と今後の取り組みにつきましては、これまでも県議会におきましてご質問や要望などをいただき、県としましてもJRに対し強く申し入れを行い、また協議も行ってまいりました。しかしながら、JRにおきましては、完全民営化に伴い、経営改善策がさらに加速される状況にございまして、いわゆる不採算路線での新たな投資は極めて困難とのことでございます。このため、本年度に入って改造経費等を負担することを検討事項として沿線自治体との協議を進めているところでございますが、沿線十市町のうち多数の自治体が難色を示してございます。
 今後さらに議論を深めてまいりますとともに、JRに対しましては早期の車両更新や更新時のトイレつき車両の導入など、粘り強く協議を続けてまいりたいと考えております。
 次に、コミュニティーバスへの支援についてでございます。
 本県では、地方バス路線の維持のため、国庫補助制度及び県単独補助制度をあわせ、平成十四年度におきまして五億五千百十万円の予算額を計上しているところでございます。さらに、市町村が実施しているコミュニティーバスなどの運行維持に要する経費につきましては、特別交付税でその八割が措置されているところでございます。したがいまして、財政状況が厳しい中でもあり、新たな補助制度を創設することは困難であると考えてございます。
 コミュニティーバスの運行を初め、地域における生活交通のあり方など、ソフト面での市町村からの協力要請に対しましては、これまでと同様、市町村と十分協議し、支援をしてまいりたいと考えております。
 三点目は、生活交通の確保に関する構造改革特区制度への準備についてでございます。
 本県といたしましても、生活交通の確保は重要な課題であるとの認識から、国の構造改革特区の推進に当たり、公共交通機関の少ない地域における生活交通の確保について規制改革の提案を行ってきたところでございます。
 現在、国土交通省では、本県などの要望もくみ上げながら、公共交通機関の少ない地域における生活交通確保の実証実験として、愛知県豊根村において本年十月より三カ月の期間でボランティアによる有償運行の実証実験が行われてございます。この実験結果をもとに道路運送法の弾力的な運用を検討するものと思われますので、本県といたしましても国土交通省の対応を注視しながら情報収集に努め、県内における導入の可能性について、各市町村とともに研究し、時期を失することなく対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 南海地震対策についてお答えをいたします。
 まず備蓄についてですが、災害に備え、各市町村におきましては種々の物資の備蓄を行っているところでございますが、県でもこれを保管するものとして、現物備蓄及び流通備蓄により物資の確保を図っているところでございます。
 備蓄につきましては、まず住民自身が災害時に必要な最小限の確保をしていただくことを前提に、自主防災組織などの地域コミュニティー、市町村、そして県が連携した形で進めていくべきであると考えているところでありまして、今後、地震防災対策のアクションプログラムを検討していく中で備蓄計画の策定を進めてまいりたいと考えております。
 次に避難所での電気や通信の確保についてですが、地域コミュニティー単位での防災資機材の確保を進めるため、自主防災組織が防災資機材を整備するために要する経費の補助を行っておりまして、この制度を自家発電装置、通信機材などの整備にも活用していただきたいと考えております。
 次に緊急時の応急医療についてでございますが、住民自身が命を守る力をつけていくことは大変重要でありまして、県消防学校におきましては、応急手当の指導者を養成するため、毎年、消防職員を対象に応急手当指導員養成講習を実施しているところです。
 また、住民への応急処置の普及につきましては、現在、各消防本部や医療機関などで訓練や講習会として継続的に実施されておりますが、内容の充実や実施回数の増加などについて働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) ブロック塀の地震時倒壊防止対策は、人的被害の防止及び避難路の確保の観点から重要であると考えております。
 ブロック塀を含め建築物の適正な維持保全は、本来、所有者みずからで対応するのが基本であると考えておりまして、県のホームページの防災情報の中などでブロック塀の倒壊対策の必要性について啓発してまいります。
 なお、ブロック塀の改修への補助につきましては、先進県の事例も踏まえ、震災対策の全体的な計画の中でその必要性、可能性について検討してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 答弁をいただきました。
 まず要望ですが、レジオネラ症の対策でございます。
 答弁にもありましたが、施設管理者の認識不足が原因になっていたということでございましたけれども、その認識不足で命を落とすようなことがあってはならないと思うんです。今、国の方でも、法律や、あるいは地方自治体の条例を厳しくしてという方向で、この対策に法的な背景も含めて取り組むということになるようですが、ぜひそういうシステムができるまでの間、厳しい検査を求め、また行政指導をしてこの対策に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 それからあと、コミュニティーバスの問題については補助ができないということなんですが、私はもう、ますますこれからコミュニティーバスはふえてくると思うんです。その中で十三の府県でやっておられるということですから、これはぜひ、そういうかたくなな態度で補助はできないということじゃなしに検討していっていただきたいなと思います。
 トイレなし電車については、少しお話ししたいと思います。
 JRのほかの各社の状況も少し答えていただきました。東日本、四国、それぞれでも住民の要望を聞いて改善をやっているというお答えでしたし、JR東海は、もうあるのが原則ということでございます。東日本の場合は、例えばここに記事がありますが、九九年に行政監察局がJRに対して、トイレのある電車にしなさいという要請を出したわけですね。そして三年たって、この十一月にようやく実現をされたわけです。こうした改善がなぜ実現したのかという点について、「河北新報」という新聞記事、十一月五日付は、こんなに述べています。ある大学教授のコメントですが、「「JR東日本のサービスが、ここ数年で急速にいい方向に向かっている点も作用している」と指摘する。「以前は、首都圏以外でのサービスの程度は下げてもいいという施策があったが、最近は会社ぐるみで乗客を大事する姿勢に変わった」」。この教授は、このようにコメントされています。随分違いがあります。
 四国の例はどうでしょうか。JR四国は、昨年、一昨年、二両ずつ改造して車いす対応のいいトイレをつけております。大体、JR四国の利益とJR西日本の利益は比べものにならないほどの違いがあります。二〇〇一年の資料ですと、JR西日本の経常利益が四百三十四億円、それに対してJR四国は八億円。利益率でも四国の方がずっと少ないわけです。その四国が毎年二両ずつをやれて、なぜ西日本の莫大な利益をもってできないのかと、私は言いたいと思います。
 徳島の県議会では、これは自民党の樫本さんという県会議員が繰り返しこの問題を取り上げ、一定改善を図られてきました。──和歌山では共産党が取り上げるからできないのでしょうか。そういうことはないと思うんですが。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)玉置議員も取り上げました。もっと県当局も全国的な状況もつかみながらJRと交渉していただきたい。
 大辺路を世界遺産にしようというのが平成十六年でしょう。そのときにどの電車に乗ってあそこへ行くんですか。ぜひ、こういう全国的な状況をつかんで、しっかりJRと交渉していただきたいと思います。これは部長、再度決意を述べてください。
 もう一つ、聞きます。部長は答弁の中で、改造経費を沿線自治体で負担することを検討されていると言われました。沿線自治体のうち多数が難色を示していると言われたんですが、私、各自治体いろいろ回ってみましても、担当課や町長さんらが、そんな案が出ていることを知らないというところもあったんです。私が調べたところによりますと、田辺から新宮の普通電車は六編成あります。そして、その一つの編成にトイレをつけるのに大体一千万円くらいかかる。六つの編成をつけたら六千万円。これくらいの経費が必要だということです。
 今、地元沿線自治体の負担というお話が出ましたが、じゃ肝心の県がどういう方向でやるのかというお話が出てきていないように思います。県はどうするんでしょうか。沿線自治体がまとまってやってほしいとなったら、県もきちんと対応してくれるのか。この点、もう一度はっきり答弁をお願いします。
 以上、二点についてお願いします。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) トイレなし列車の問題につきましては、ご指摘のように、やはり全国的な取り組みというのはよく調べてみませんとということもございますので、よく調査をしてまいりまして、さらに沿線自治体との議論も深めていかざるを得ないと思っております。
 JRにつきましては、今、各社の動きもご紹介申し上げましたが、我々としましても、やはり早期の導入ということでJRに対しましては積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 それから沿線自治体との関係でございますが、私ども、そういう非常に不採算路線でございますので、沿線自治体として一緒にカバーできないかというふうなことを申し上げてまいりましたが、まだ自治体の方の意向が──ちょっと先生とは認識が違うかもしれませんが、私どもが行政レベルで聞いておりますのは、なかなか消極的というふうに受けとめてございますので、そこの辺はまだこれから話し合いを続けていかなきゃいかんというふうに思っております。
 県といたしましては、やはり沿線自治体のご意向というふうなものを踏まえて対応してまいりたいと。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 きょうは要望しておきます。
 県や自治体の負担も導入する中でトイレをつけるというのは、これは本当にもう最後の最後だと思うんですね。四国と比べて本当に莫大な西日本の利益をもってすれば十分可能だというふうに私は思います。やはり、まずJRに対して強力に要請をさらにしていっていただきたいと思います。
 九八年に、田辺から天王寺の間でトイレのない電車が走るというのが問題になったときにも、近畿の行政監察局がJRに言って、あのときは改善をされたんですね。トイレがついたんですね。そのときにJRは何て言ったかというと、阪和線は朝のラッシュの混雑が非常に高いのでやむを得ず通勤時間帯には輸送力の大きなトイレのない車両を使うんだ、それ以外の時間帯にはお客さんの乗車時間が長くなるから極力トイレつきの近郊型車両を使用するんだと言っているんです。JRの言い分からしても、紀南地方にこういう条件はないわけですから、そのときの言い分に照らしても、私はトイレがないというのは非常におかしな問題だと思います。これは、体験された方ならではの、本当に悔しい思いをされています。この状況を一刻も早く改善し、和歌山県が世界遺産登録の名にふさわしい、そういう交通機関を持てるよう要望して、質問を終わります。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高田由一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 議長のお許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。
 通年予算主義ということについて、平成十五年度当初予算編成に関連してお伺いいたします。
 知事は、十月に発表された平成十五年度当初予算編成方針において、活力あふれる二十一世紀の和歌山づくりを実現するための取り組みの一つとして、「通年予算主義」という余り聞きなれない、耳なれない新しい考え方を示されました。実質重視の予算編成と成果追求型の予算運営を目指すということとなっております。私なりにこの通年予算主義を解釈させていただきますと、これはまさしく民間企業の発想そのものではないかな、そう思います。
 まあ民間企業と地方公共団体とでは、その目指すところはおのずから異なるものがありますが、その目的達成のため与えられた資源をいかに効率的、効果的に使うかということでは何ら違いはないのではないかと考えます。これを県に当てはめれば、県民からの血税をいかに有効に活用していくかということ、いかに県勢浮揚のため、県勢活性化、住民福祉の向上に役立つ施策を実施していくかということにおいては、常に神経を払うということになると考えるわけであります。
 右肩上がりの経済成長時代のいわゆる年間総合予算主義からの決別、そのような意味において私はこの通年予算主義の考え方には大いに賛同しますし、期待するものでありますが、今後実際の予算編成や運営に当たりその対応を具体的にどのようにされるつもりなのか、知事にお尋ね申し上げます。
 次に、和歌山型公共事業のあり方ということについて申し上げたいと思います。
 今、この私たちを取り巻く社会情勢は未曾有の不況のどん底にあります。特に和歌山県にとっても、大半の業種がデフレ経済の下で生死をさまようほどの大不況の真っただ中であえいでいます。立ちおくれた社会基盤整備の一翼を担う建設業界も、公共事業の抑制とも重なり、特筆すべき瀕死の状態にあると思います。しかし、そんな中にあっても、地域の基盤整備のための公共工事、あるいは県勢浮揚のための公共工事も当然必要であります。それらの公共事業をすることによって、結果として地域経済に与える波及効果も大きく期待されるわけであります。
 厳しさを増す財政事情の中、また年々公共工事の予算が縮小されているとはいえ、平成十三年度において土木部発注工事実績では五百二十一億三千万円余り、あるいは農林水産部工事実績でも百二十四億円余りの発注があったと聞いております。にもかかわらず、建設業界は日ごとにその苦しさを増しています。決して、地域経済にも好結果をもたらしているとは言えません。業界従事者もどんどん失業しています。なぜこんなことになるんだろうと思います。
 そこで、私なりに和歌山型の公共工事のあり方を考えてみました。ご提言を申し上げますので、土木部長のご見解をお伺いしたいと思います。
 申し上げるまでもなく、特に公共工事においては経済効率をよく考え、コスト縮減に努めるのは当然のこと、工期短縮とか工事の精度を高くするのは当たり前のことであります。が、それは右肩上がりの経済状況の中でのこととして、この現下の厳しい社会情勢を考慮した取り組みを今すべきと考えます。
 私の手元には、和歌山県生コンクリート工業組合の平成十一年度から十三年度までの出荷数量表があります。これはまあ組合加入率九〇%ということでありますが、この出荷表を見ましても、年々五万立米ぐらいずつ生コンの出荷量が減っています。これは、公共事業あるいは民間事業の減少が大きな要因の一つであろうと思いますが、また他方ではコンクリート製品を多用したというんですか現場打ちの作業がなくなった、こういうことが大きな原因の一つではないかなと思います。
 蛇足でありますが、生コンを使うということは、そこには鉄筋工が鉄筋を編み、仮枠大工が型枠をし、コンクリートを打つ土工さんがいて、それを左官屋さんがその仕上げをするということになります。地元ではまた、生コンプラントが稼働し、バラスや砂やセメント等が運搬され、その運転手さんが働きます。
 平成八年から平成十一年までの少し古い資料でありますが、建設業に携わられる職種別の従業者数の調査表があります。各業種、職種とも大幅に減少している事実があります。少なくともこの平成十三年度は、もっとひどい、厳しい結果が出ているものと思われます。
 そこでご提案申し上げるのですが、今このときだからこそしばらく時計をとめて、いや十年前の施工法に戻してでも雇用を重点的に置いた和歌山型の公共事業として取り組むべきだと思います。
 くどいようですが、すべての工事──緊急を要する工事とか、いろんなものがありますからすべての工事とは申し上げませんが、ケース・バイ・ケースで見直す必要があるんではないかな、こう思います。また、デフレ経済の中、実勢価格で予算を組めばコストアップにつながるとは思いません。ある意味では、これは政策的、政治的判断が必要かもしれませんが、そのご見解をお伺いしたいと思います。
 次に、公共工事発注に際しての地元業者への配慮についてであります。
 これはまことに恐縮でありますが、私の選挙区である那賀郡を例に挙げて少し申し上げさせていただきたいと思います。
 今、那賀郡は、紀の川中流域下水道事業として、県工事で大変な大工事がされています。処理場を入れまして約六百二十億円という巨大な予算を見込んでおりますし、また那賀郡六町の面整備に関しては七百億円というような見込みのある大工事がありますし、また泉佐野岩出線が岩出町を通っておりますが、そこの風吹峠のトンネルも平成十五年秋ぐらいから六百メートルのトンネルを二本掘ると、そう聞いています。その事業費も約三十六億円と聞いておりますので、大型工事が目の前にあるわけですね。土木業者はもとよりですが、地域住民の経済活性化の大きな起爆剤として期待はしているのですが、これらの工事のロットというのが大変大きくて、地元建設業者が現状の入札参加資格の要件では参加できません。当然、困難な、あるいは難易度の高い工事でありますから大手スーパーゼネコンを中心とするのは、これはやむを得ないことかもしれませんが、第一番目には大手スーパー、第二番手としては県内の大手業者、三番目にはせめて地元業者というような共同企業体方式がとれないものか。そうでなければ、地元業者も参加できない、地元経済にも何ら反映されない公共事業では、余りにも残念でなりません。ただただ手をこまねいて見ているだけのことになります。
 地元業者が参画できれば地元商業にも直接影響を与えますし、地元労働者の雇用にもつながり、地元の活性化に寄与するのは当然のことであります。経営審査事項の点数による、それだけの入札参加基準をいま一度ここで見直して真心ある対応をしてはどうかと思いますが、ご見解をお伺いしたいと思います。
 最後に、国営大和紀伊平野土地改良事業の中の山田ダムの関係施設改修工事への取り組みについてであります。
 山田ダムは、貯水量三百三十七万トンの農業用水を有する受益面積四百八十四ヘクタールという、畑地を潤す、水を供給するダムとして昭和三十九年から用水開始して以来現在まで利用されてきましたが、老朽化が進み、このダムの管理運営を受け持つ山田ダム土地改良区の長年の要望がかないまして関係施設改修工事が一部着工されているようにお伺いしていますが、その今後の見通しについてお尋ねをいたします。
 また、改修工事についてはすべて国営で管理されるようでありますが、ダム本体のゲート、その他の改修というのは大変特殊性もありますのでこれは別といたしまして、水路の十四キロメートル、約三十億円にも上る予算が必要とされる水路改修につきましては、前にも述べましたように、ぜひ県内業者、地元業者に受注の機会を与えてあげられるよう国に強く働きかけていただきたいと思いますが、いかがですか。
 以上で、私の質問を終わります。誠意あるご回答を期待して、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの山田正彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの通年予算主義についてのご質問でございます。
 予算というのは議会の同意のもとに成立したものでございまして、非常に重要なものという認識を私はまず基本に持っております。しかしながら、今、例えば民間会社が年度最初に計画を立てて、それが世の中の実情に合わなくなったときに最後までそれでいって倒産するというようなばかなことがあるかということを考えたとき、やはり予算というものも機動的に運用していく必要があるということを考えたのが一つでございます。それからもう一つは、予算をつくるときに鳴り物入りで発表したりいろいろしたものが、最後、終わってみたらどうなっていたのか、私自身もよくわからないというふうなものが往々にしてあると。しかしながら、金銭的にはちゃんと使い切られていたとか、それからいつの間にか不用額になっていたと、こういうふうな形になっているものもあります。こういう厳しい財政状況の時代にはこういうふうなことはやはり許されることではないという考え方でございますので、例えば補正予算であるとか、そしてまた予備費の活用であるとか予算の流用、それからあとは専決処分、こういうふうなものをいろいろ──制度上は自治法上、財政法上、用意されているわけですけれども、こういうものをうまく組み合わせて機動的な予算執行、そしてまたそのことについて適宜適切に議会のご了解を得ながら進めるような活力ある予算運営ということが必要だろうというふうに考えて申し上げたわけでございます。
 事業につきましては、当然のことながら、年度が終わった後の事後評価ということも非常に大事なんですけれども、こういう時代でございますので、終わる前でも要らなくなったようなものについては変化させていくということが大事だと思います。
 まだ、今のところ理念どまりで、すぐそれで動いていくというわけではございません。今後十分研究して、これもひとつ和歌山からの発信になるようなよい形をつくっていきたいと思いますので、ご協力方お願いいたします。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 和歌山型公共事業のあり方について、まず雇用を考えた工法選択も必要ではとのお尋ねですが、厳しい経済状況の中、公共事業を進める上で県内雇用の確保が従来に増して重要な観点であると認識しております。このため、景気・雇用対策本部において、公共事業における県産品の優先使用に取り組んでおります。今年度は数値目標を定め、利用拡大に努めております。
 今後とも、県内雇用を確保するため、多少コスト増があっても公共事業において県産品の優先使用を進めてまいります。
 次に工事発注に際しての地元業者への配慮についてですが、デフレ経済のもとでは、公共事業の地域経済に占める役割が一層高まっていると認識しております。予算編成に当たっては用地補償費を抑制して工事費をより多く確保し、発注に当たっては、技術的難易度の高い工事以外は分離・分割発注に努めるなど地域性に配慮し、県内業者の受注機会の確保に努めております。また、県外業者への発注については、公募型指名競争入札において、県内業者が特定建設工事共同企業体の構成員として参加しやすい要件を設定しております。
 今後ともなお一層地域性に配慮し、県内業者の受注機会の確保に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 国営大和紀伊平野土地改良事業の中の山田ダム関係施設の改修工事の取り組みについてでございますが、山田ダムの改修につきましては、山田ダム施設改修を含めた事業が国営農業用水再編対策事業大和紀伊平野地区として実施されているところでございます。
 事業の実施につきましては、国の予算の関係上、分割採択となってございまして、山田ダム本体ゲートなどの改修を含む一期分が平成十三年度から着手されており、現在、測量設計が実施されてございます。工事内容の詳細が決まり次第、国土交通省との河川法に基づく協議を行った上で工事着手することとなってございます。
 また、山田ダム関係水路の更新整備を含む二期分につきましては、平成十五年度で新規採択の要望を行っているところでございまして、工事の実施時期につきましては、事業が採択された後、関係機関や土地改良区との協議により決定されることになります。
 また、工事発注の形態につきましては、農林水産省の直轄で行われることになっておりますけれども、お話がありましたように、地域経済活性化の観点から地元業者の受注機会の拡大に格段の配慮がなされるよう、国に強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二番山田正彦君。
○山田正彦君 通年予算主義に対する知事の取り組みについては、先ほど申し上げましたように大変いいことだと思うんですが、県民なりにとっては、どうしてもまだ行政依存型というんですか、そういう体質が抜け切れていないという感は否めないと思うんです。どうしてもやっぱり、私たちのために県なり町が何をしてくれるんだというような考えがまだ根強く残っている中で、私も、手前事ですが集会なんかでも、これからは地域住民として地域のために、町のために、県のために何ができるかという意識改革をお願いしたいというふうに絶えず申し上げています。そういう意味で、今後この意識改革が重要ではないかなと。啓発の方にご尽力いただきたいと思います。
 それと、公共工事発注云々のことについては、行政としてのおっしゃりたいというんですか言える範囲というのは私もおのずとわかるつもりでありますが、私が一貫して申し上げたいのは、公共工事というのは地域経済に与える影響が即効的にある、そんな中で、やっぱり地元に根づいた中小零細建設業者の育成というのをぜひ最優先にやっていただきたい。
 例えば、お答えは要りませんが、各振興局に多分市町村の細かい、工事から修繕、補修、改良、河川改修などのいろんな要望がたくさん来ていて、予算がないからということで積み残しにしているような状況が多々あるんではないかなと。そういう中で、多少新設工事の着工を抑制してでも即効性のある、そういう身の回りの公共事業を重点的にやってあげるだけでも大きい効果があるんではないかなと思いますので。
 とにかく中小零細地元企業の、忘れてはないと思いますが、大きいロットでその地域の上空をジェット機で飛んでしまうような公共事業のあり方であってはいかんと思いますので、十分ご留意をいただいて、これは要望にしておきますが、よろしくお願いしておきます。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山田正彦君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時十六分休憩
     ─────────────────────
  午後一時一分再開
○副議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十七番生駒三雄君。
  〔生駒三雄君、登壇〕(拍手)
○生駒三雄君 議長のお許しをいただきましたので、通告順に従いまして一般質問をいたします。
 まず最初に、私の地元・有田地方の基幹産業の一つであるミカンの振興についてでありますが、本年度産の温州ミカンは、裏年にもかかわらず一昨年に比べ生産量が六%増加することが予想されると、先日、近畿農政局和歌山統計情報事務所から発表されました。このことにつきましては、昨年、生産者はもとより、県当局を初め関係機関一体となり取り組まれた特別摘果による成果であると認識するところでございます。
 ところで、私は去る十月六日から八日にかけて、県議会農林水産委員会の県外調査として中華人民共和国福建省のミカン栽培の状況を調査してまいりました。今回視察した農場は中国国内では技術的に高度な栽培を行っているということでありましたが、栽培環境、技術、品質面から勘案して、日本への輸出は当面無理であろうかと感じたところであります。しかしながら、高品質、安定生産を追求する姿勢には目をみはるものがあり、ミカンの先進国、先進県和歌山としても油断はできない状況であるとも感じました。
 さて、昨今の消費者ニーズである食に対する安全、安心を根底から裏切るような、いわゆる無登録農薬の使用が全国的にも問題となりました。残念ながら、本県におきましても無登録農薬の不適切な使用が認められたところであります。今後こういうことが再発すれば、消費者の信頼が失墜し、四百年の歴史を誇る有田地方のミカン産地の崩壊につながりかねません。幸い、その後の県の残留農薬分析の結果、無登録農薬は検出されず、先日開催されました農薬適正使用緊急対策本部の会議により事実上の安全宣言がなされたものと認識しております。こういった不適切な使用が二度と起こらないようにするため、生産者、農薬販売業者に対する指導の徹底が必要であると考えますが、どのような対策を講じられるのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 続きまして、温州ミカンの種苗対策についてでありますが、現在、有田地方で栽培されている品種のほとんどは他産地で育成された品種であります。今後、伝統ある有田ミカンの産地を守っていくためには、地元で育成された品種が必要ではないかと考えます。それには、新しく整備された果樹試験場の研究体制の強化等、試験場機能のさらなる充実、また、民間の関係機関とも連携を図りながら地元有田に適した品種を育成する必要があるのではないかと考えますが、この温州ミカンの種苗育成についてどのような対策を講じられるのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 次に、地球温暖化対策についてお尋ねをいたします。
 地球温暖化問題は、我々の日常生活や事業所活動に伴って発生する二酸化炭素などの温室効果ガスが増加することにより地球全体として地表及び大気の温度が上昇し、自然の生態系及び人類に悪影響を及ぼすものであります。本県にとりましても、海面上昇による海岸の減少、生態系の変化による農産物等への悪影響なども懸念され、県民の生活、産業活動にもかかわってくる重大な問題に間違いありません。
 この地球温暖化対策における国際社会の動きといたしましては、本年八月二十六日から九月四日までの間、ヨハネスブルクにおいて持続可能な開発に関する世界首脳会議、いわゆるヨハネスブルクサミットが開催されたところです。このサミットは、今から十年前の一九九二年にリオデジャネイロで開催された地球サミットの成果を確認し、二十一世紀の持続可能な開発のための国際的な取り組みを議論するためのもので、サミットの成果である宣言では、NPOを初め各種団体等、多様な主体の参画と相互のパートナーシップの重要性が明確にうたわれていました。
 我が国を代表して参加した小泉総理大臣も、環境のための人づくりを強く訴えるとともに、パートナーシップ精神に基づく取り組みにより地球環境問題の解決を目指すことを提唱いたしました。この問題の解決に向け国内外での動きが広がりを見せているところですが、この地球温暖化というとてつもない遠大なテーマも、実は家庭での省エネ、ごみ減量など、私たちのふだんの暮らしの延長線上にある実に身近な課題であることは改めて申し上げるまでもありません。
 私は、地球環境問題解決のためには、県民、事業者、行政が協力し、地域から築き支えていく必要があると考えます。一人一人の県民や事業者などがそれぞれの立場で自発的に環境保全に取り組んでいこうとすることが、地域として環境問題をみずから解決し、よくしていこうというエネルギーをつくり出すことになります。
 県内でも、リサイクル運動を初め、森林や河川を守るためのボランティア活動、子供たちの自然体験等、既に地道な活動が始まっています。こうした活動を推し進めることによってふるさと和歌山を愛する心が育ち、環境を守るためには何をしなければならないかといった意識がおのずと芽生えてくるのではないでしょうか。また、こうした活動自体が県民の生きがいや地域主導の元気な地域づくりに広がり、和歌山県の活性化にも資するものと考えます。
 そこで、環境生活部長にお尋ねいたします。地域を巻き込んだ環境問題解決のための人づくり、地域づくりについての今後の施策方針について見解をお伺いいたします。
 続いて、行き届いた学校教育をということについてでありますが、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律いわゆる標準法によれば、公立の小学校の一学級の児童数の標準は四十人とされ、複式の学級では十六人、小学一年生を含む複式学級は八人となっています。
 各都道府県の教育委員会はこの標準法に従い一学級の児童数の基準を定めるとのことでありますが、平成十三年の制度改正により、児童の実態を考慮して特に必要があると認められる場合、国の標準の数を下回る数を一学級の児童数の基準として定めることが可能となりました。この制度改正により、学級編制の弾力化を既に実施している府県も多数あります。特に、小学低学年における学級編制において少人数学級制を採用しているところが多いと聞いております。
 少し私ごとを申し上げ恐縮とは存じますが、最近、年を重ねるに従い昔の記憶はだんだん薄れ、思い出すために苦労することがあります。しかし、小学校へ入学したときの緊張や不安、幼いながらに持ったこれからの学校生活に対する期待などは今でもしっかりと心に残っております。当時、担任していただいた先生のお名前もはっきり覚えているほどであります。
 新入児童は、幼いながらも新しい生活への期待に胸を膨らます一方で、初めての就学に対する緊張感や新しい友達との関係への不安など、さまざまな感情を抱いて入学してきています。このような中、すぐに学校生活に溶け込む児童もいれば、学校生活や授業になかなかなれることができず不安定な状態が続く児童もいるようです。一方、こうしたことにより児童に落ちつきがなく一年生の授業がうまく進められないという教員の声もあります。結果として児童が学校生活の第一歩につまずき、後々まで影響を及ぼすことも危惧されます。言いかえれば、この時期こそ児童一人一人に対するきめ細かな指導を行うことが重要であり、そのための環境を整える必要があるのではないかと考えるのであります。
 何事も最初が肝心であります。就学当初につまずくことなくうまくスタートができれば、学校生活への適応や後々の学習意欲の向上へも一定の効果があるのではないか。また、不登校やいじめ問題などの解決策の一つにもなるのではないかと考えるところであります。
 この少人数学級問題については、今までの県議会一般質問において何度か質問されておりますので、私はあえて答弁は求めませんが、私の政治活動におけるキャッチフレーズは「次世代へ」であります。次世代を担うのは子供たちであります。その子供たちがまず最初に集団生活を体験するところが学校であります。スムーズな社会生活の第一歩のスタートができるように、きめ細かな行き届いた学校教育の実現のため、今後とも学校現場の実態を十分把握してこの少人数学級問題をぜひとも前向きにかつ早急に検討していただきたいと強く要望しておきます。
 次に、同じ学級編制及び教職員定数という視点から、小・中学校における特殊学級についてお尋ねをいたします。
 特殊学級は、知的障害、情緒障害、肢体不自由などの障害種類に応じて学級編制されており、現在、県内の小・中学校では平成十四年五月一日現在での児童生徒数は八百九十四名、学級数は小学校で二百八十学級、中学校では百二十一学級の合計四百一学級であります。特殊学級については標準法において一学級の児童または生徒数は原則八名以内となっておりますが、一人一人の児童生徒の障害はそれぞれ全部違い、より実態に即した教育指導体制が必要でないかと考えています。
 ここで、私の知る事例を少し紹介させていただきますと、小学校の特殊学級に子供を通わせている知人がおり、彼は障害を持つ我が子の成長ぶりを本当に気にかけております。最近では、自分でスリッパがはけるようになった、コップの水をこぼさず飲めるようになったなど、私の子育ての経験とは違った、子供の成長を願う親の気持ちが痛いほどひしひしと伝わってくるのです。また、常日ごろから担任の先生には大変お世話になっているということもよく聞きます。これは彼の特殊学級に対する感謝の気持ちであり、また非常に大きな期待のあらわれであろうとも感じております。
 繰り返しになりますが、特殊学級はそれぞれの学級の実態に即した教育・指導体制が必要です。児童や生徒の可能性を最大限に伸ばし、自立し社会参加するための基盤となる生きる力を養うため、障害の種類や程度に応じた適切な教育が行われていると存じますが、さらにきめ細かい指導体制や担当教員の指導力向上のためのより充実した専門的知識取得などが重要であると考えます。
 これらのことを踏まえ、特殊学級の設置についての考え方と担当教員の指導力の向上について教育長にお尋ねをいたします。
 最後に、県道有田湯浅線の事業推進についてでありますが、このことについては本年六月県議会で質問させていただき、大山土木部長から事業の進捗状況について答弁をいただきました。また、過日、松本有田市長と私が木村知事を訪ね、当該路線のさらなる事業の促進をお願いしたところであります。
 現在、田坂トンネルを含む有田郡湯浅町田─栖原間のバイパス区間では、田坂トンネルの調査を含め、一部の箇所で工事も完成し、事業計画が順調に進んでいるようであります。知事初め担当部局も従来から国道四十二号線の補完道路、さらには地域の生活、産業の幹線道路として当該路線の重要性を認識する中、県内の道路整備における重点整備区間として位置づけをされております。地元選出議員としても大変感謝しているところであります。
 当該路線のもう一つの未整備区間である有田市千田─高田間の狭隘区間についてもさらなる事業促進に向け事業の早期着手等、前向きな検討を強く要望いたします。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(小川 武君) ただいまの生駒三雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) ミカン産地の振興についてのご質問のうち、まず無登録農薬についてでございますが、これまで、国からの情報提供に基づき立入調査を行うとともに、啓発パンフレットを県内全農家に配布して農薬の適正使用の啓発に努めたほか、すべての農薬販売業者を対象とする無登録農薬の販売状況調査を実施するなど、積極的に取り組んできたところでございます。また、去る十二月四日に農薬取締法が改正されましたので、今後新たに使用者責任の明確化や罰則の強化など改正内容の周知徹底を図るとともに、生産農家における使用農薬の記帳推進などを行い、指導の徹底を図ってまいりたいと考えてございます。さらに、農薬販売業者に対しましては、ブロック別の研修会の開催や取り締まり員の増員による指導監督の強化など、農薬の流通の適正化に努めてまいります。
 次に、温州ミカンの種苗対策についてでございますが、優良品種の育成は果樹振興の主要課題の一つと考えてございまして、これまで果樹試験場での育種や枝変わりによる優良系統の探索に努め、今日まで極わせからおくてまで、十数品種を育成してございます。その中で、「田口早生」や「由良早生」などといった糖度が高く味のよい品種が育成されてございまして、現在、有望品種として育苗組合や生産者団体と一体となり産地化に向け取り組んでいるところでございます。今後とも、果樹試験場を核に育種研究を行うとともに、地元農家並びに果樹新品種研究同志会など関係団体のご協力を得ながら、地域に適した品種の探索や育成に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 地域における地球温暖化対策についてお答えします。
 現代においては、大量生産、大量消費、大量廃棄の経済構造が地球温暖化を初めとする環境問題を引き起こしてきました。このため、循環型社会の構築に向けてライフスタイルの変革が強く求められています。このような中で、環境保全の輪を大きくして取り組みのすそ野を広げるため、議員ご指摘のように、環境に視点を置いた人づくりや地域づくりが極めて重要であると考えております。
 そこで、まず将来を担う子供たちがさまざまな体験を通じて段階的に環境保全の意識を深めるとともに、その学んだことを地域や家庭に広めてもらうため、学校教育の場における環境教育の実践など、学校側と連絡を密にして取り組んでまいります。また、地域活動を促進するため、家庭での取り組みマニュアルを示すことやNPO、企業等が自主的に活動しやすい仕組みづくりに取り組んでまいります。さらに、二酸化炭素吸収の向上につながる環境林整備を効果的に進めるため、緑の雇用事業との整合を図りつつ大学等と県との共同研究体制づくりを推進するなど、幅広いパートナーシップの構築を目指し、これまで以上に環境保全活動の活性化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 心身の障害が比較的軽度の子供たちの学ぶ場として小・中学校に置いております特殊学級につきましては、児童生徒の障害の状況や学校の指導体制、さらに就学指導の経過などについて市町村教育委員会から十分その事情を聴取した上で、子供たち一人一人に応じた行き届いた教育ができるようにとの観点から学級の設置を行っております。さらに、きめ細かな指導を一層支援するという立場から、本年度から小学校十一校に特殊学級の補助教員を配置したところでございます。
 子供たちの障害が年々重度重複化する傾向にある中で、担当教員の指導力を向上させることが極めて大切であると考えております。このため、和歌山大学などの特殊教育専攻課程のある大学へ教員を研修に派遣するとともに、県教育研修センター等においても各種の専門講座を開催するなど、研修機会の充実に努めているところでございます。
○副議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(小川 武君) 以上で、生駒三雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時二十七分散会

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