平成14年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後一時二分再開
○議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
十八番原 日出夫君。
〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 早速、質問に入らせていただきます。
日本の国はどうなっていくのか。日本経済の進路は全く見えない状況にあります。日本経済は評論家集団によってもみくちゃにされ、気づいたときは日本の自主性が失われ、他国によって経済植民地化されていたとなっても不思議ではありません。私たち国民は、小泉内閣に何を期待したのでしょうか。戦後五十数年の総決算をして、むだのない効率的なスリム化した国に、国民、地方の視点に立った民主的国家の建設を夢見ていたのです。しかし、現状は一体何なのでしょうか。地方への痛みを増加させ、日本経済を下支えしてきた中小零細企業の切り捨て、失業と医療、福祉、教育の国民負担の増加、先が見えない日本つぶしの方向しか見えない状況にあります。まだ期待するのでしょうか。県民は、今何をすべきかを、日本経済はどうなっていくのかを示されない、そういう状況の中で失望しています。木村知事においては、そのような厳しい情勢の中で、地方の声を国に対して積極的に訴え、行動されていることを評価し、県民と一体になってさらなる力強い行動を期待したいと思います。
さて、平成十五年度予算編成方針は、国の政策がダッチロールしている中で、県民に責任を負う立場での編成はより厳しいと受けとめ、その方針を一読し、知事の冒頭発言を含め、その努力と熱意を大いに評価するものです。活力あふれる和歌山づくりのための二つの観点から質問と問題提起をしたいと思います。
第一は、まず徹底した行財政改革が求められています。まず「隗より始めよ」であります。具体的に県民に示さなくてはいけません。平成十三年六月議会において、私は行革大綱に基づく県の具体的方針を示すよう提言しました。県当局はそれに即座に対応し、平成十三年九月、和歌山県行政組織等検討懇話会を設立、一年間にわたり論議を尽くし、ことし十月二十八日に懇話会からの提言を受けています。私は、一つ一つの中身に立ち入ることはしませんが、総論的に県政にとって実現への方向を具体的に示すことが大きな行革の成果を上げるし、より県民の理解と協力を得られるものと考えます。私は、グリーンピア南紀についての問題提起を初め、外郭団体の廃止、統合、縮小等の見直しを徹底することを提言し、一定の成果を上げています。
そこで、三十一ある外郭団体について、県として具体的なタイムスケジュールを立てるとともに、財政面も含めてその効果を分析し、県民の協力を求めていく必要があると考えるが、どうでしょうか。実施時期を示すなど、具体的な道筋を示す必要があるが、どうでしょうか。また、地方機関の見直しの方向として、振興局、試験研究機関の見直し等については、トップダウンでなく、職員の議論を積み上げ、保守主義でなく、より効率的、効果的な県民の立場での見直しを求めたいと思いますが、どうでしょうか。
次に補助金、負担金の見直しについてですが、私は平成十三年六月議会で補助金の見直しについて提言しました。この結果、平成十四年度当初予算における県単独補助金の見直しによって約四十四億円の削減効果があったと聞いているところであります。現下の厳しい財政状況を踏まえると、今後とも一層の見直しが必要ではないかと考えるところであり、また負担金についても、国直轄事業に係る負担金について国に見直しの要望をするなど、負担金全般について踏み込んだ見直しが必要ではないかと考えるが、知事の所見をお聞きしたいと思います。
三点目に、より効率的な経費削減につなげるため、県民と行政の役割分担を見直してはどうか。県庁のすべての部課で県民とかかわっている事業、イベント事業を見直し、県民主導の事業に位置づけるものは県民の協力で、県行政はあくまでもコーディネーターとしての役割を担う方向で見直し、もちまき行政からの脱皮を図ることを提起したいと思います。知事のお考えをお聞きします。
四点目は、政策課題に対する組織の見直しについてですが、事業課題が共通するもの、政策目標が一致するものについて、組織が分散化していることによって、非効率性と市町村、県民にとって同じ事業、政策がどうしてという疑問を感じています。これらを全面的に見直すことは、事業の効率性、経費削減への大きな効果があると考えます。例えば、地域振興と文化と観光、第二のテーマでも述べますが、農林業における地域産業複合体のシステム確立のため、農林・商工労働部協力体制化、生活排水、汚水処理の一元化、振興局経由本庁へを改めて本庁一元化と簡素化役割分担、市町村への権限移譲の明確化であります。
次に県民生活を守るための施策の展開についてですが、県民生活を守る、つまり県民のセーフティーネットを張る施策は避けて通れないと考えております。とりわけ医療、福祉、教育、環境、防災対策などの施策は、県民の福祉の向上と県民の生命と財産を守る立場から年次的な計画を立てるなど、最重点的に将来に向けて予算化を図っていく必要があると考えておりますが、県民の生活を守る施策の将来にわたる予算措置についてどうお考えか、お聞きします。
また、現下の低迷する県経済のもとでの公共事業の役割と雇用の拡大に、公共事業の持つ効果、これは景気低迷の中でこそ重視することが必要でありますが、これについてどのようにお考えでしょうか。
とりわけ、福祉事業計画の中の新長寿プラン、新障害者プランに伴う新たな施策の拡大、教育事業計画に当たっては、年内の欠損を見ましても二十五億から三十億という程度であります。少なくとも、長期的に年に一つ改築、新設をする場合には、六十億から七十億の教育のハード面の新規予算が要ると伺っておりますが、こういった問題。防災計画では、東南海地震に対する津波対策、アクションプログラムに基づくハード、ソフト面の実施計画による予算化。こういった長期、短期計画を示し、県民の協力と理解を得るとともに、財源をどうするのか。地方交付税、県税収入の減少と不安定の材料ばかりの中で何ができるのか。
私は第一に、県民生活を守るための施策は借金をしてもやるべきと考えています。もちろん国の制度を活用してではありますが、後世へのツケは許される。私たちの世代だけで返済を考えるのではなく、二世代、三世代にわたる返済を見込んだ政策を示すことも地方自治であると考えるが、どうでしょうか。県債残高が六千億円を超え、起債制限比率一二・四%、公債費比率一八・一%と財政硬直化を理解した上で、あえて今この時代だからこそ県債の発行について積極的な活用を提言しているわけですが、知事のご所見をお伺いいたします。私は、第一点で提言をしたように、行財政改革を徹底的に思い切りやることで、経費削減とそれを県民生活にかかわる事業へという課題も含めての提言であります。
もう一つは、県のミニ公募債の発行であります。私が提案するのは今回で三回目であります。既に全国的に発行が相次いでいる状況でありますが、私は厳しい財政状況の中で、県民参加の町づくりを確立するための方策の一つとしてミニ公募債を提案してまいりました。今回は具体的に、防災センター建設をミニ公募債発行のスタートにしてはどうでしょうか。東南海地震、津波に対する県民の防災意識の向上も含めた県民参加による防災センターづくりを提案したいと思います。知事のご見解をお伺いします。
次に、農林業に関して質問します。
第一点は、農業、林業を基軸とした地域産業複合体の形成と行政の果たす役割について問題提起したいと思います。
今、日本の農林業を取り巻く状況は大変厳しいものがあります。生鮮食品、加工食品、外食等の最終消費量は八十兆四千億円と言われています。そのうち日本国内で生産されるのは一三%で、八七%は輸入に依存し、全体の消費量がふえても国内生産が減少しているのが実態であります。このままでは日本の農林業は守れません。その中で各地域では、その土地の農産物や、林業産地では新たな品目産地化を目指すことや、ただ単に生産するだけでなく付加価値をつける加工、そして生産者、生産地の顔の見える販売戦略へと変革をしています。私たち和歌山の農業、林業の特徴、とりわけ紀伊山地の霊場と参詣道、高野・熊野古道の世界遺産登録という自然と文化と人、これは二十一世紀のテーマである、まさに物質と精神という新たな価値観を地方が創造していくチャンスでもあります。このような問題で──私は議長の承認を得て──(図表を示す)今後の私たちの地域づくりが、ただ生産だけではなくて地域産業複合体が、このように農林業、生産、加工、付加価値を与えての販売、そして観光、そして加工におけるリサイクル事業、バイオマス事業という形で、各地域の市町村で一つの産業だけではなくて、新たな事業の組み合わせによって発展を遂げていくというテーマを、私は今、地域で皆さんと論議をしているところです。
そこで、農・林の産地を生かした生産、加工、販売、それに加工から出る廃棄物のリサイクル、バイオマスエネルギー化、また観光立地化、このシステムを今までの個々のものを融合させ、産業の複合化を形成することは、農林業の多面的、循環的利用を展開し、幾つかの産業が有機的に結合して、多くの関連企業、事業をつくり出せますし、これらの地域の産業、技術、文化を土台にした自立的な地域づくり、県下では梅産業が一つのモデルではありますが、それが真に有機的に結合し、生産農家が再生可能なシステム、つまり生産農家はつくる人、加工する人は買う人という関係でなく、共存していくための共同体制が課題になると思います。
そこで、この地域産業複合体形成を地域と行政が協力してどう構築していくのか、県行政の果たす役割は何か。また農林業だけでなく、この複合体は農業、工業、商業が連携していくことこそ効果が発揮されます。今、県は県産品の販路開拓やわいわい市場など、部分部分で一定の成果を上げていますが、これを地域と行政が連合した方向をプロジェクトとして検討されることを期待します。知事のご見解をお聞きします。
第二点として、梅の立ち枯れへの対策について、要点のみ質問したいと思います。
梅の立ち枯れは、依然として原因がわからないままとどまることなく発生しています。西牟婁管内は十四年度一万九千二十一本、日高管内は十四年度七万八千十二本であります。西牟婁管内は、十三年度に比べますと六〇%とかなり減少しています。これは改植等の努力で減少していると思いますが、日高管内は前年比九六%となっておりますけれども、地域によっては一〇〇%を超えている地域が幾つか見られます。増加しているところであります。そこで、試験研究での成果はどうか、課題、問題点は何か、十五年度は何を重点に取り組まれるのかをお聞きしたいと思います。
第三点は、食と農の再生プランに基づく和歌山県としてどう具体的に取り組むのか。
国の食品安全委員会と県の関係、食品のリスク管理、消費・安全局と県の関係、農業と食品産業の連携と県の役割、生産段階から消費段階までの顔の見える農業と食品を県としてどう組織的に実践的に対応していくのか、十五年度その課題は何か、お考えがありましたら聞かせてください。
第四点は、果樹、野菜、花卉の農薬の適用拡大についてですが、一つは地域特産物、とりわけ果樹においては、農薬の消費量が少ないものは安全で効果のあるものであっても、農薬メーカーの採算性から失効農薬となり、結局は無登録農薬になっています。これも矛盾しています。二つは、野菜に使われていて果樹に使えない、農薬の適正で問題のないものについては、適用を拡大することによって農家への負担が軽減化されることになります。県としては、実態を踏まえて、適用拡大について国への調整を図られるよう要望したいと思いますが、農林水産部長のお考えをお聞きします。
次に、和歌山県の汚水処理の考え方についてご提言申し上げます。
和歌山県の汚水処理率全国ワーストワンの汚名を返上するために、また世界遺産登録にふさわしい環境づくりのために、第一は生活排水対策についてですが、これまで下水道を主とした考え方から、各地域の立地、環境、人口集積を尊重して地域に見合った、しかもコストを踏まえた対策を総合的に検討する時期にあると考えるものであります。下水道一〇・二%、農業集落排水事業二・三%、合併浄化処理一四・二%の実態であります。和歌山県全県域汚水適正処理構想の見直しを図る必要がないのか、お尋ねします。しかも、市町村と協力して五カ年、十カ年の実施計画を策定する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
二つ目は、和歌山県が地理的条件、都市計画区域における人口空洞化と高齢化が進む中で、集合処理が非常に困難な条件のところが多くなってきています。したがって、合併浄化槽を積極的に活用すべきではないか。その一方策として、環境省の特定地域生活排水処理事業を活用することによって、より効率的でコスト、受益者負担が軽減される制度でありますが、国の採択条件は一定の規制があることから条件拡大を国に求めるべきであると考えますが、いかがでしょうか。関係部長のご見解をお伺いいたします。
最後に、地域で支える福祉事業への支援について質問します。
来年から、わかやま長寿プランと紀の国障害者プランの見直しと障害者自身がサービスを選んで利用する新たな支援制度が始まります。サービスの供給主体となるのは自治体です。施設から地域での暮らしへ、この流れを確かなものにできるかどうかは県と市町村の熱意と取り組みにかかっています。長寿プランの見直しと新障害者プラン策定に当たり提言したいと思います。
第一は、高齢者を地域で支える事業に支援することについてでありますが、高齢者の八〇%は在宅で過ごしたいと望んでいます。しかし、家族や介護の条件からやむなく施設に入所しているというのが実態であります。施設入所を否定するのではありませんが、在宅を中心に介護できる方策にも支援する方針をいろんな角度から検討していただきたいと思います。在宅サービス、訪問看護等だけでなく、家族にとって昼間、朝から夕方までの留守の間、通所デイサービスを強く望んでいます。それが宅老所です。地域でボランティア精神で高齢者を支える活動が全国に広がり、自治体の支援も広がってきています。施設入所依存は逆に介護度を高め、介護保険料を値上げするという悪循環を繰り返しております。より寝たきりに近い状況にさせているのではありませんか。これを地域で支えることを広め、やる気のある人たちの参加を求めるには、基本となるホームの確保と介護にふさわしい施設の改修が必要です。それへの初期投資の支援をぜひ検討してください。このことは介護保険料を引き下げる役割も果たすのです。
次に、障害者を地域で支え、障害者が自立して地域社会に参加し、暮らせるための環境づくりをどう考えていくのか、新紀の国障害者プランを具体的にどう策定するのか、ホームヘルプ、ショートステイ、グループホームの実施計画は新障害者プランの中でどう生かされていくのか、しかもそのプランづくりには障害者関係者の参画をどう考えているのか、福祉保健部長にお尋ねします。
第一回の質問を終わらせていただきます。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、十五年度以降の財政運営と組織の見直しについてでございますけれども、県の組織、外郭団体、研究所、そういうもののあり方については、この十月に行政組織等検討懇話会の答申を得たところでございます。この答申は、委員の皆さんが熱心に検討された結果でございまして、私どもとしては、この内容を十分熟読玩味しながら、工程表という話がありましたけれども、計画的に計画を立てて実現に移してまいりたいと考えております。
それから、県単の補助、直轄事業負担金の見直しでございます。県単の補助につきましては、県民の皆さん、そしてまた県下の市町村から非常に喜ばれているものもたくさんあるわけでございますけれども、やはり長年続いてきたということの中で見直しが必要なものも多いだろうということで見直しに着手しているところでございます。世の中の動きは非常に急でございます。こういうふうな状況の中で、さらに必要なものに絞っていくというふうな見直しを進めていきたいと思います。それから直轄事業負担金については、これは本来だめと、要らないという考え方に立っております。現在、必要悪的に残っておりますけれども、このような直轄事業負担金がなくなるという方向に向けて活動を進めていきたいと思っております。
それから、県の事業等に関する県民の役割ということでございますけれども、これはもう日本全国的にですが、今までの行政頼みという感じから、やはりここ十年の非常に厳しいリセッションの中で、県民の方も自分たちのことは自分たちでやっていかないといかんという感じが相当広く出てきているのは、これは間違いないことだと思います。私どもとしましては、一発勝負的なイベントというふうなものじゃなくて、やはり県民の自立をしていこうという動きに、後ろから適切に効果的に下支えをしていくような施策を中心に県の仕事をしていきたいと思いますし、そういうことに合わせた県の組織というものを柔軟かつ迅速に見直しをしていきたい。午前中のご質問でも申し上げましたけれども、民間感覚を持った組織の対応ということが大事ですし、そしてまた縦割りの組織の中ではどうしても横の連携が悪くなるということがありますから、もとの組織から見直すという発想を持って今鋭意検討を進めているところでございます。
それから県民の生活を守る施策については、長期的な視野を持ってということでございますが、これはもうそのとおりでございまして、私どもも根本に類するようなことについては、単年度だけの施策という形ではなくて、長期的な視野を持って対応していきたいと思っております。
それから、公共事業の役割でございます。これは、非常に難しい問題でございまして、国、そしてどこの地方公共団体とも、もう何年も公共事業を減らしていくというふうなことの中で非常に事業量が減ってきているわけでございますけれども、一方で、県下を見ましても、雇用の大きな吸収源であるという事実もあるわけでございます。この両方をにらみながら、できるだけその公共事業というものが本当の意味の効果を発揮するような形で、そしてまた地元の企業に少しでも対応できるような形で仕事をしていくというふうなことに今進めているわけでございます。いずれにせよ、長期的にはこの構造というものを改善するというか、変化していく方向に進んでいく必要があるのではないか、また県も長い目ではそういうふうな方向でいろいろな施策を組んでいかないといかんと思っております。
それから、県債の発行でございます。県債の発行については、世代間負担の公平化ということで、県も今まで必要に応じて県債を発行してまいりましたし、これからもその方針は変わるものではございません。ただ、今、交付税制度の見直しが非常にありまして、従来は借金返済の一部分を交付税で見るというふうな借金が多かったんですけれども、これからそういうものが整理されていくという中で、やはり慎重な対応ということも必要になってまいります。既に、公債費比率とか公債費負担比率なんかがある程度上がってきておりまして硬直化が進んできているという状況もございますので、その両方をにらみながら対応していきたいと考えております。
それからミニ公募債ですが、これは非常におもしろい考え方でもう全国的に動きが出てきておりますので、県もこういうことについて積極的に検討していきたいと思います。それから地方債に関しましては今後──今までは地方公共団体が発行する起債というものは信用が皆同じと。要するに、最終的には国家の統治機構なんだからということだったんですけれども、だんだんとそういう状況でもなくなってきましたので、他県と組んで公募債を発行するとか、そういうふうな新しい資金調達の方法なんかも広く検討していっておかないと、あるとき急に和歌山県の借金は引き受けられませんというようなことになっても困りますので、そういう面もあわせて鋭意検討していきたいと思っております。
最後に、農林業基軸の地域産業複合体をと、この考え方には私は全面的に賛成でございますし、私が考えていることもほぼこういうことでございます。施策というのは、場当たり的にパッチワークのような形でやってもだめなんで、やはりトータルでどういうふうな形に地域社会を持っていくかということが必要でございます。緑の雇用事業なんかにつきましても、ただ単に中山間へ人が行く、そして当面は税金で仕事を見つけてということだけではだめなんで、長期的には自立して動いていけるような仕組みを考える。そのときには、先ほどありましたようなバイオマスでありますとか、リサイクルでありますとか、観光でありますとか、こういう面で収入を得られるような仕組みにしていかなければならないということがあると思います。これは、緑の雇用に限らず、農業についてもそうですし、地産地消も目指していかなければならない。すべてのことが大きな方向の中の一つずつの要素として入ってくるというふうな物の考え方でやっていきたいと思いますので、またいろいろご示唆いただけたらと思います。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 農林業政策についての三点のご質問にお答えいたします。
まず、梅の立ち枯れの原因究明に向けどこまで解明されているのかとのお尋ねでございますが、梅の生育不良につきましては、県ではこれまで生産者を初め関係機関と連携を図りながら、暖地園芸センターを中心に、大気環境を初め、栽培、土壌、病理など総合的な試験研究に取り組んできたところでございます。これまでの研究では生育不良の原因を完全に解明するまでには至ってございませんが、着果負担が樹体に及ぼす影響でありますとか、有機物マルチ、緑肥作物による土壌改良の効果など、栽培管理に生かしていただける研究成果も得てございます。これらにつきましては、「うめ安定生産のための栽培管理マニュアル」として取りまとめ、地元にお示しているところでございます。今後は、平成十六年度の開所に向けて整備を進めてございますうめ研究所を中心に、梅産業の持続的な発展を図る観点から、生育不良の早期解明を初め、安定生産のための技術開発や優良品種の選抜品種など、こういったことを中心に総合的な取り組みを行うこととしてございます。
次に、食と農の再生プランに基づく県の取り組みについてでございますが、国におきましては、内閣府に食品安全委員会を、農林水産省には消費・安全局が設置されると聞いてございます。県におきましては、食の安全、安心の関心の高まりに一層効果的に対応していくため、国の消費安全行政とも連携した組織づくりについて、現在検討を行っているところでございます。また、生産現場を抱えている農林水産部といたしましては、消費者に安全な食品を提供していくため、食品産業との連携は不可欠であると考えてございます。これまでも、梅におきまして、生産者と加工業者との間で安全確保について話し合いの場を設けてきたところでございますが、今後とも食品産業との連携強化を支援してまいりたいと考えてございます。
さらに、消費者に顔の見える農業をより一層図るため、本県の基幹品目でございます果樹につきまして、トレーサビリティーシステムの確立を目指し、生産者はもとより、流通関係者や消費者のご意見もお聞きしながら、最良のシステムを構築してまいりたいと考えてございます。
次に、果樹、野菜、花卉の農薬の適用拡大についてでございますが、生産量の少ない地域特産物に対する農薬の登録につきましては、農薬メーカーにとって登録コストに見合う収益が期待できない場合が多く、適用拡大が進まない状況にあることから、生産農家では防除に使用できる農薬が少なく、対応に苦慮しているところでございます。現在、国では農薬取締法の改正に伴いまして、アブラナ科作物を一まとめにするなど対象作物をグループ化する方向で検討がなされていると聞いてございますが、県といたしましても適用の拡大につきまして強く国に要望してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 和歌山県全県域汚水適正処理構想の見直しについてでございますが、平成七年三月の構想策定以降、県内各地域において過疎化や市街地のドーナツ化現象等が進展しているため、今年度関係各市町村と連携し、見直しを行っているところでございます。見直しに当たっては、人口密度の高い市街地においては公共下水道で整備し、人家のまばらな地域においては合併処理浄化槽で整備する等、地域の実情に合わせた処理方式を採用し、汚水処理施設整備率の早期向上に努めてまいります。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 環境生活部長秋月成夫君。
〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 議員ご質問の特定地域生活排水処理事業は、市町村が設置主体となって戸別に合併処理浄化槽を整備する事業として早期に効果が出てくるものであり、県としても期待をしているところです。当該事業について、国では平成十五年度概算要求の中で、採択条件の拡大を初め、特に予算額については対前年比三・六倍の要求がなされているところです。県としましては、こうした国の動きを踏まえ、市町村における事業導入等の動向を見ながら積極的に支援してまいりたいと考えております。また、必要に応じて事業採択条件の拡大等の要望も行ってまいりたいと考えてございます。
以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 地域で支える福祉事業への支援についてお答えいたします。
介護サービスの充実につきましては、わかやま長寿プラン二〇〇〇に基づき整備を促進してまいりましたが、現在、プランの見直し作業を行っております。新プランでは、住みなれた地域の皆さんが支え合う社会づくりを取り組みの一つに掲げ、特別養護老人ホーム等の入所施設の整備とあわせ、在宅サービスも重視してまいりたいと考えております。また、少人数の宅老所的な施設もバランスよく整備し、より身近なところでもサービスの利用ができるようにすることも大切でございます。そのため、グループホームや生活支援ハウスを初め、ふれあいサロン推進事業や民家改修型デイサービスの整備等を進めておりますが、今後もこれらの身近な在宅機能の向上に努めてまいります。
なお、新たに民家等を活用した小規模多機能なサービス拠点の整備等、地域ケアのネットワークづくりを支援する事業も国において検討されており、県もこうした動きにも対応してまいります。
障害者施策につきましては、圏域の中心となる施設の充実はもちろんのこと、今後、地域で生活するためのグループホームや福祉的就労の場である授産施設の整備を促進するとともに、在宅サービスの充実を図ってまいりたいと考えております。
また現在、関係者の参画を得て新しい紀の国障害者プランの策定の準備を進めておりますが、新プランではノーマライゼーションの理念を継承し、障害のある人の自立、社会参加を促進し、地域においてだれもがお互い支え合いながら、豊かに生活できる内容にしてまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 質問というより要望です。よろしくお願いします。
一点目の平成十五年度以降の財政・組織運営の問題ですけれども、知事が申されたように、非常に厳しい中でのことは十分承知の上で、あえて今の情勢の中で──将来に向かって日本の経済がどうなっていくかというのは非常に不透明なところがありますが、地方自治体として国の動きを待ってもう二年になるわけですね。どうしようもないというのが県民の意識です。だから我々和歌山県だけでも、少し借金しても、県民に直接関係あって雇用も拡大して、五年、十年後には所得拡大にもつながって、それがまた税収入につながっていくという展望もしながらやらんと、うっとうしいばかりですわ。そういうことも思い切って年次計画を立てて、今、約五千五百億の年間一般予算ですけれども、それに対して少なくともあと二百億ぐらい追加して。その二百億だったら国の関係でまたふえると。それをしていかなんだら、議員からいろんな要望をどんどん言うてますけれども、私は借金せなんだら難しいぞと思いながら聞かせていただいております。
そういう意味で、一つはそれをやる。しかし、それだけでやるというんじゃなくて──一つは、補助金カットだけでも四十四億やれたんです。あとは、先ほど知事が申されたように、県民と協力、共同で民間参画型運営を各部課でやったら、これで数十億浮いてきます。私も自分で試算してみました。すごいイベントですわ。もう各課めちゃめちゃで年一回、二回はやられています。趣旨や目的は県がコーディネートしても、それを市町村や地域住民に任せたら数億浮くと思います。
もう一つは知事、知事室に一回、年間出版されている印刷物を机の上に積んでみてください。もう、どえらい量です。私、よう読み切りませんけれども。一回ためていたんですけれども、もうため切れんぐらいです。その本も、だれのために、何のために発行しているのか一回見直してみたら、これもどえらい額が浮いてきます。それを、印刷物で見せるのか、ホームページで見せるのかを区分けして効果的な体制をとるならば、これもかなり効果的な経費削減につながり、それを投資的経費へ回せるのではないか、このように思っております。
もう一つは、最後になりますけれども福祉の関係です。
私は、このまま施設入所を、午前中の答弁にありました老健や特養をふやすなとは言っていません。今の状態ではふやさなければならないでしょう。しかし、そのことばかりに依存していると、施設入所によって──本来、老健なんかは三カ月でリハビリをやって家庭へ帰すというのが、もうそうではなくて、趨勢としたら特養も老健も既にもう寝たきりの状況になっているのが現状です。それよりも、施設へ入所させないための前段のそういう地域で福祉を支える事業には今支援も何もありません。国もありませんし、県もありませんし、市町村もありません。だから、そういう意味で、ひとつぜひともその点お願いしたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。終わります。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後一時四十一分散会