平成14年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十五番鶴田至弘君。
〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いましして一般質問をさせていただきます。
今議会冒頭の知事説明要旨において知事は、地方の税財政制度が大きな変革期を迎えようとしているとして、それにたえ得る予算の編成を考えていくことを表明しておられます。
ところで、最近の地方税財政制度に関する国の動向は、必ずしも地方自治の強化とか地方分権を促す方向には進んでいないように思われます。地方交付税制度一つとってみても削減の方向がしきりに提起され、全国の均衡ある発展を支える交付税の役割を軽視し、その根幹を揺るがすような動きさえ見せています。補助金制度でも、教育関係予算の教職員費の一般財源化などに見られるように、地方にとってはゆゆしき問題も出てきております。総じて、地方分権の名のもとに国としての最低限の義務でさえも地方に肩がわりさせ、財源措置が十分講じられないままに地方負担を強化する傾向が強まっております。道州制が提唱されたり、市町村合併も市町村の自主性をうたいながら、結局、結論的には強制の形で進められています。
このような傾向の中にあって唯々諾々と国のなし崩し的な地方税財政改革に呼応していくことは、本来の地方自治、地方分権の道にもとることになると危惧するところであります。知事の所見を伺います。
二番目に、来年度の予算編成に当たっての幾つかの課題を要望しながら知事の考え方をお聞きしたいと思います。
予算編成に当たっては、県の将来を見据えながら、同時に焦眉の問題の解決という両面を考慮されなければならないと思いますが、これだけの厳しい経済情勢にあっては県民生活の安定こそ最も重視しなければならないことではないかと考えるところです。そういう視点から幾つか質問をいたします。
まず、県経済の活性化の視点からも、県民生活の安定を図る視点からも、中小零細企業に仕事を多くつくり出せるような予算編成を望みたいと思います。公共事業で仕事をつくり出すということは、地方自治体のできる経済対策として数少ない仕事の一つです。中小企業が参画できるような生活に関連した道路、河川改修、身近な防災、バリアフリー対策、震災対策等々、必要にして欠くべからざる身近な事業でかつ緊急性の高い事業を興していくこと、公共事業はまずその視点を重視していただきたいと思います。それは同時に、県民生活に利便性と安全性を生み出すものであります。将来を展望する事業も当然必要ではありますが、経済情勢が厳しいだけに、このような対策が強められなければならないと思います。
次に、福祉施策を一層強化していただきたいことです。本年度は高齢者の福祉医療制度が大きく後退させられました。医療保険制度が改悪され高齢者の医療負担が大きくなっているとき、この後退は高齢者を悲しませました。高齢者が集まると、必ずこの話が出てまいります。
ついては、この制度の所得制限を緩和することを考えられてはいかがでしょうか。同時に、その他の福祉医療制度については住民負担が強化されることのないよう努力を願いたいと思います。
児童扶養手当の制度も改悪されようとしており、母子家庭に大きな不安を与えています。そのような事態が到来しないよう努力されるとともに、それをフォローする施策なども考えておいていただきたいと思います。
また、高齢者福祉については、現在千三百九十九人の特別養護老人ホーム待機者がおられます。本人にとっても介護する家族にとっても極めて深刻な問題です。介護のため家族が就労できずに家計に大きな問題を生じている家庭もあります。この方々の一日も早い入所を可能にするため、ホームの建設計画を前倒しで進めていただきたいと思います。この事業はまた新しい雇用を創出することは、既に幾度も議論されてきたところであります。私どもの試算によりますと、五十人定員ホームで対応するときはあと二十五カ所、百人定員で対処するときには十三カ所以上のホームが建設されなければなりません。そこで働く人員は五百人から六百人と見込まれます。それだけの雇用が創出されるわけですから、来年度に一挙にとは言いませんが、大きく前倒しすることによって福祉の拡大と雇用を前進させる工夫を望みたいと思います。
さらに、介護ヘルパーについて言えば、平成十六年度末の数値目標二千四百五十三人に対し六百人以上が不足している。こういう福祉関係事業所をふやすことによって、福祉サービスを受ける方も仕事を求める方も潤うことになります。その他老健施設等、こういう考えのもと福祉施設の拡充を大きく前進させていくことを考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
三番目に、三十人学級、少人数学級の施策を推進できる予算を考えていただきたいと思います。
この問題については幾度かこの場でも申し上げました。既に二十を超える県がそこに踏み出しております。子供たちの現在と未来のために、財政のこともありますが、一気にとは言いませんが、来年度が着実にその一歩を踏み出した年度だと言えるような予算にしていただきたいことを切に願うものであります。少人数授業などを工夫されること、結構なことです。しかし、少人数学級が基礎ですから、そこに大胆に踏み切っていただきたいと思うところです。いかがでしょうか。
一方、厳しい財源の問題もございます。当局の皆さんもさまざまなご苦労をされていることを察します。それぞれの事業の中にたとえ小さくてもむだがあれば省いていくことは当然でしょうが、同時に、費用対効果に大きな疑問が出されている大規模事業や、現在は小さな支出でも将来には過大な負担が迫られる可能性のあるものや、あえて和歌山県が負担する道理がないもの等を含めて見直す必要があろうと思います。
例えば、関空二期事業は極めて複雑な議論が繰り返されておりますが、つまるところ将来にわたっての採算のめどが立たないというところから来ております。現在の空港で間に合っている現実や巨大な滑走路の費用対効果を率直に見直して、中止を求めるべきではないでしょうか。
紀淡海峡道路は、大分トーンが落ちてまいりました。今年度組まれた予算は会議費に類する程度の金額であったように思いますが、この種の将来性のないものには、金額がわずかであっても予算計上は考え直すべきです。
和歌山下津港の北港沖南防波堤は、関電埋立地を保護することを主要な目的とするものです。和歌山県がその四分の一、約七十五億円を負担しなければならないものではないと思います。県が埠頭を建設するということが根拠になっておりますが、あえてそこに埠頭が必要だとも思われません。このようなところも見直すところがあると思いますが、いかがでしょうか。
続いて、大きな三番目としての不況対策についてお尋ねをいたします。
深刻な不況が県民生活に暗い影を投げかけております。三万五千人以上の人が職を失っていると言われておりますが、実態はもっと大きなものだとも推定されます。昨年は百五十件の産業が倒産し、ことし十月でも既に百五件が倒産しました。撤退する大型小売店も続出し、県下事業所の趨勢は平成八年から平成十三年の間に事業所数の減少は四千二百三十一件に上り、それに伴う就業者数の減少は二万五千四百八十八人と、実に憂うべき状態になっております。
県下の深刻な経済状況を当局はどのようにとらえ、どう対処しようとしていますか。庁内組織として不況対策会議などが組織され、対応しようということが昨年来言われてまいりましたが、その存在感も余り見えてまいりません。どのような活動をされ、どのような対策がされようとしていますか、お示しいただきたいと思います。
次に、金融対策についてお尋ねをいたします。
中小企業が塗炭の苦しみにあえいでおります。不良債権早期処理を迫られる銀行が、中小零細企業を相手に貸し渋りだけでなく貸しはがしというような異常な行為に走り、不況の苦しみを拡大しています。小泉政権の不良債権早期処理という施策の当然の帰結でしょうが、それでよしとできないのが末端の中小零細業者です。当局にあっては数年来横行した貸し渋りに対しては直接銀行に対してもいろいろと要望活動を行ってきたところでありますが、このような金融業界の行為に対しても中小企業の存立を守るという立場から十分に自重することを求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
次に、融資制度の拡大についてお尋ねをいたします。
もう金を借りる馬力もないという状況の企業も決して少なくはありませんが、制度融資は何といっても中小企業にとっては命の綱であります。制度融資の利用状況を見てもそれがよくわかります。本年導入された緊急経済対策資金制度が長期分だけでも十月末一挙に二千二百五十件を超えていることは、待ちに待たれていたということだと思います。適切な融資制度を設けられたこと、大いに評価したいと思います。
しかし、返済に苦慮する業者もまたおられます。そういう方のために、現在の何件かの借入金を一本にまとめ返済期間を長期化できる借りかえのための制度をつくれないものでしょうか。現在利用している制度が県や市にまたがりいろいろ工夫しなければならない条件もあるでしょうが、京都府は京都市と提携してそのような制度をつくって府民に喜ばれているというところです。和歌山県も考えてみてはいかがでしょうか。
また、制度の運用にはそれこそ貸し渋りなどのないよう柔軟に対応していただきたいと望むところですが、緊急性を要する連鎖倒産防止資金などに担保や保証人を一律に求めるなどして制度を設けた本来の趣旨が生かされないとか希望がかなえられないということのないようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、緊急雇用創出についてお尋ねをいたします。
ハローワークに行ってもなかなか適職が見つからない、それでも何とか働かなければならないというとき、とりあえず緊急雇用創出事業で本来の就職までつなぐということで、その制度で就職できた人はひとまず喜んでおられます。しかし、それは長くてたった六カ月でしかありません。仕事の内容では二、三カ月というのも普通です。これでは余りにも短過ぎます。県下の失業者は三万五千人をはるかに超えます。緊急雇用創出事業は、そういう短期就労をする人が三年間に四千人ということです。一年では千人余りという、ないよりはうんといいことですけれども、就職を求める人数との関係では差があり過ぎます。国へその枠の拡大と期間の延長を求めるとともに、県独自でもその努力ができないものでしょうか。昨年も同じことを求め、かなえられなかったところですが、今回いま一度求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
住友金属が去る十一月、新日鉄、神戸製鋼と資本提携を基本とする中期経営計画を発表しました。今回の計画では直ちに労働者の削減はうたわれていませんが、自然減百五十人の雇用の場が減少するとされております。また、関連企業で百余名の余剰人員が出るとされていますが、それは関連事業者の自助努力で解決すべしとしているようであります。また、関連中小企業などには製造・輸送業務などでさまざまな否定的な影響が出ることが予想されます。商工会議所なども住金関連企業の経営安定と雇用確保について最善の対策を講じてほしいと申し入れたとの報道もありましたが、県としても知事が善処方を要望したとも聞いております。しかし、過去、住金合理化の前には県の要望も十分にはかなえられないまま住金の企業目標が着々と進められ、最近でも三千名の労働者が出向・離籍となり、運輸関係業者には過酷な運賃切り下げが行われたところでした。
ついては、今回、企業に対して県が何を要望したか、住友金属はどうこたえたのかを明らかにしていただきたい。そして、その要望がどのようにこたえられるのか、しっかりと確認していくことが必要だと思いますが、そのような意思はありますか、お伺いをいたします。
次に、不況対策というよりも一般的・恒常的施策ということになりますが、郷土産品の販路拡大についてお尋ねをいたします。
この課題については常々努力されているところだとは思いますが、海外へのアプローチをもっと積極化してはいかがでしょう。こんな話があります。海南市の漆器関係の業者にイタリアから話が来たそうですが、来年四月、イタリアで家具の展示会がある、費用は一千万円のうち日本から出展するのであればイタリアの地元自治体で七百万円出しましょうという話があった。そこで、残りの三百万円、主に運送費や派遣する人の人件費に当たるそうですが、県にそんな補助制度がないかと聞いたところ、外国での展示にはどうも消極的で、ことしは予算がないという話だったそうであります。そんな話を聞きながら、県産品の販路拡大には中国への接近をしばしば聞くところですが、そこにとどまらず、ヨーロッパを含め大きく視野を広げた構えと対策が必要ではないかと思った次第であります。地場産業発展のためにもぜひ一考いただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
さて、不況対策といえば多岐にわたります。自治体にはおのずから限界があります。国に対してその責任をしっかり果たすよう求めなければなりません。先ほどからいろいろ申し上げておりますが、そのほか緊急の課題として、一つは社会保障での三兆円の国民負担が介護保険・雇用保険・年金保険・医療保険制度の改正の中で進められています。年金切り下げは前代未聞のことでもありますが、県下には年金収入を主な収入とする所帯が二五・八五%もいるわけですから、庶民生活にとってはまことに大変なことであります。これら一連の負担増を中止することを求めていただきたいと思います。あの橋本内閣時代の失政と同じ轍を踏みつつあるように思いますから。
二番目は、大企業の退職強要やサービス残業などがまかり通っている問題です。
有無を言わさぬ首切りとただ働きが、労働者の生活を圧迫しております。和歌山県下でも、昨年来の住友の大合理化やNTTの合理化はすさまじいものでした。このような労働者の権利無視を法的にも許さないような措置を国に対して求めていただきたい。そして、不幸にして失業された方々の雇用保険の受給期間を延長することを求めていただきたいと思います。失業して新しい職場を確保することがどんなに困難か、もうご承知のとおりです。せめて給付期間を一年にしてほしい。多くの方々の切実な求めです。国民の貧困化が不況を深刻化させ、悪循環を呼びます。県民の生活を守るという課題とともに、デフレスパイラルから脱出するためにもぜひとも必要な措置だと思います。国に対して強く要望していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、外形標準課税と消費税改正についてお聞きをいたします。
まず外形標準課税ですが、これについては昨年もお尋ねしたところですが、いよいよ本格化してまいりましたし、商工会議所やあちこちの商工団体にも外形標準課税反対の旗が立ってきております。いま一度、知事の見解を聞きたいと思います。
この税については、地方財源を安定させるものとして全国知事会や和歌山県の国に対する予算要望の中にも掲げられてきたところです。地方自治確立協議会という県も参加している団体が、きれいなパンフレットをつくってこの税の導入を呼びかけています。それを読むと、全体としては増税にはならない、努力したところは報われるとか、小規模企業やベンチャーにとっても負担にはならないとか、所得にかかわる負担は大幅に軽減されるとか、その他その他、うれしいことがいっぱい書いてあります。それなのに、なぜ全国の多くの中小企業団体が反対ののろしを上げているのか。なぜ彼らを説得できないのか。答えは簡単です。中小零細企業が確実に負担を強いられるからです。和歌山県の中小企業で、この税の創設で喜んでもらえるところがどれだけあるでしょうか。あるかもしれませんが、しかしそれは指折り数えられるほどでしょう。中小零細企業の大方は赤字経営です。そこにも遠慮なく課税されるのがこの税です。資本金一千万以下の企業では簡易外形税額を選択すれば四万八千円で済むからいいではないかという考え方は、今の不況の現実を知らない方の言うことではないかと思います。
しかし一方、大手企業はこの税の導入によって法人税の莫大な減税を得ることができます。例えば、一つの試算によりますと、トヨタ自動車では三百二十億円、武田薬品では百十億円、アコムで七十億円等々と、その減税額が試算されています。零細企業への厳しい課税は、一方では甘い減税にもなっているのです。先ほど紹介した知事会などによって作成されたパンフレットには、「外形標準課税については、今後、各方面の意見を聞きながら検討を深め、具体案を得たうえで、景気の状況も勘案しつつ、その導入を図る」という閣議決定が傍線入りで紹介をされておりますが、この決定の前提は平成十四年以降の二・五%の経済成長を見込んでおりますが、果たしてそれがそういうふうになるのか、ほとんど見通しがありません。また、それ以前に、各界の「意見を聞き」という条件が満たされていません。商工会議所などが絶対反対を唱えていることが何よりのあかしであります。
消費税について言えば、免税点を三千万円から一千万円に引き下げるという方向での議論が進められています。全国で新たに百五十万人の零細業者が課税事業者になります。全国商工団体連合会の調査によると、中小業者の六六・七%の事業者が消費税を消費者から完全には徴収できないという現実があります。日本商工会議所会頭も、「売り上げ三千万の業者の所得は三百万程度。消費税は転嫁できない」と述べています。とりわけ小零細企業は、大手大量販店との競争や下請単価切り下げの競争の中で、生死をかけた日々を送っています。そこにこのような税がかかることがどういう事態を招くか。さらに、簡易課税制度をなくすことによって中小業者に膨大な事務負担が新たに追加されるということにもなります。一方、トヨタや日産などの大企業には輸出戻し税で輸出売り上げの五%が還元されます。昨年度の数字で年間約二兆円、輸出上位十社の還元税額が六千億円、トヨタ一社で千五百五十一億円が還付されているという実態もあります。余りにも大きな矛盾ではありませんか。私たちの目の前の県下の事業者が年間平均八百件を前後して姿を消しているとき、このような税の導入や改正で県経済がまた新たな困難に見舞われることになりかねません。
外形標準課税の導入が知事会等の要望から出ているということや、和歌山県経済が圧倒的に小零細企業から成り立っていることを考えるとき、このような税制の変更は知事において国に対して再検討を求めるべきでないかと思いますが、いかがでしょうか。
次に、国立大学の独立行政法人化と県立医科大学についてお聞きをいたします。
国立大学が独立行政法人にしていこうということで盛んに議論されているところですが、その意図するところは大学を民間経営の手法で運営する国立大学法人にするということです。法人化はこれまでの大学制度を解体し、大学の独立性、自主性を根底からなくすことになります。国立大学の教育研究の目標は各大学がみずから決めるものですが、大学法人は文科省が各大学の中期目標を設定し、これを大学が達成できなければ予算が削られることになります。教授会を基礎にした大学運営は、トップダウンの仕組みに変わることになります。教職員を非公務員化するとともに、大学の執行部に企業からの学外者が参加して大学の意思決定を握り、競争原理や効率的運営を追求するということにもなりかねません。それは、効率を追求するという側面のメリットがあることにはなりますが、本来の大学の任務が果たせなくなる危険性が内蔵されております。大学関係者からは、当然のこと、さまざまな異論が出されているところでもあります。たくさんの意見がありますが、二、三、紹介をいたします。
藤原正彦お茶の水大教授は、「これはかなり危険をはらんでいる。ノーベル物理学賞の小柴氏が成功させた巨大実験を果たして法人にできるだろうか」と危惧を示し、池内了名古屋大学教授は「産業界と結びつかない基礎的な分野、文化にのみ寄与するような「役に立たない」分野は立ち枯れていくのではないか。ノーベル賞は夢のまた夢となりかねない」という批判的見解を述べています。片山善博鳥取県知事はことしの六月議会で、鳥取県西部地震のときに鳥取大学が地道な研究の成果を生かして余震の正確な予測を行い、的確なアドバイスをもらったことを例に挙げ、「政府の大学改革によって、本当に必要な研究、地道で息の長い研究、効率性や採算性の尺度から合わない研究がなくなってしまうのではないか」と、批判的見解を述べています。
医科大学長にあっては、政府の進める大学の法人化をどのようにお考えになっておられますか。
和歌山県立医科大学のあり方懇談会という組織が県立医大のあり方についていろいろと議論を始めているところですが、ただあるべき姿を検討するということではなく、国立大学の法人化を視野に入れ、医大のあり方を考えるというところから出発されています。懇談会でも法人化の意見が出てきているようで、医科大学長の意見を幾つかお聞きしておきたいと思います。
医科大学が制度疲労を起こしていると第二回の会合は総括しているようですが、解決しなければならない問題があるということと制度疲労を起こしているということはイコールではありません。大学長として、何をもって現在の医大が制度疲労を起こしていると考えておられますか。それは現制度の中で解決できない問題なのでしょうか。効率重点主義に陥る危険性を持った法人化という制度に目を向ける前に、現在抱えている問題を現制度の中でどう解決するか、大学内で十分検討する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
大学にはまた、いろんな組織があります。教授会、職員組合、学生組織、病院等々、それぞれが違った角度からの問題意識を持っています。大学法人化についても、その効率主義を危惧する強い意見も存在しています。学長としてはそれらを十分くみ上げ、あり方懇談会に対してもそれぞれの意見表明の場を保証すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
次に、カジノに関連して知事にお尋ねをいたします。
過日、東京都庁で模擬カジノが催されたとの報道がありました。カジノによって観光客を呼び込もうということだそうですが、大阪の太田知事も大いに乗り気だったとの報道もありました。その報道の一角に木村知事の談として「有効な観光資源で経済波及効果や雇用が期待でき賛同」という見解も載せられていましたので、それに関してお尋ねをいたします。
賭博行為は、もともと刑法二十三条で禁止されております。法務省も、カジノにかかわる行為は刑法第二十三条に規定する罪の構成要件に該当し得る行為であるとして、現行法では禁止されているとの見解を表明しています。禁止されているには、それなりの理由があってのことだと思います。射幸心の刺激、勤労意欲の低下、犯罪の温床化、暴力団の資金源化、青少年に対する否定的影響等々が挙げられるのではないかと思います。知事にとっては、この禁止されておられる理由について、どのように考えておられますか。
また、カジノ誘致を歓迎とのことですが、法改正までしてカジノを誘致することが和歌山県を総合的に発展させるという立場から見て本当に好ましいことと考えられるでしょうか。財源のためには何でもありというのは、余りにも品位がなさ過ぎます。それが特区という形で設定されるとすれば、「賭博のできる和歌山」というありがたくもない地位に置かれることにはなりはしないでしょうか。兵庫県知事が「そこまで落ちぶれたくはない」と談話していましたが、私もそういうふうに思います。所信を聞かせてください。
和歌山県では、ここ数年来に場外馬券場売り場やボートピア誘致の話が五件ほどありました。その都度、県民から大きな反対運動が起こり、ことごとく断念に追い込まれております。県民の中に賭博行為やそれに類する行為に大きな拒否感があることを物語っています。かつて馬券売り場誘致が問題になったときも、時の教育長は「一般的に言って賭博行為は青少年の健全育成の障害になる」というような意味の意見を表明されましたが、知事はこのような態度をどういうふうにお考えですか。願わくは、和歌山県へのカジノ誘致はないということを明らかにし、県民に安心を与えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
以上で、第一回目の質問を終わります。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、地方財政の今の非常に厳しい状況についてどういうふうに考え、また国の方へどういうふうに対応していくかというご質問でございますけれども、先ほども申し上げましたが、先般、地方分権推進委員会が諮問されていた三位一体の改革ということについて、税源移譲ということには余り触れずに答申を出したと。そして、財政制度審議会も交付税制度を将来なくすんだ──なくすのはまあいいんだけど、それにかわる、地方公共団体がちゃんとやっていけるような仕組みということへの言及なしにこういうふうなことを言っている。私は、こういうふうなことを考えて、今非常に厳しい状況だと思います。
そしてまた、それについて先ほど「唯々諾々と」ということがありましたけれども、何も反論することなくいると、これはそのまま流されてしまうというふうな可能性もありますので、私どもとしましては積極的に「こういうふうにあるべきだ」というふうなことについてこれからも提言を行っていきたいと思うし、それについて地方公共団体の側でも自主的な実践というふうなことも伴った対応をしていきたい、このように考えております。
それから、中小企業対策についてのご質問でございますけれども、めり張りをつけた公共事業ということは私も大賛成でございまして、これからの時代、公共事業は投資した額以上の効果を県民に対して与えるような公共事業を選んでやっていくということなくしては財源的にも厳しい、そしてまた情報公開の面から県民の見る目も厳しい中で対応できないというふうに考えております。
来年度の予算編成に当たりましてもこのような観点を重視し、さらには、県で使うお金はできるだけ県内の事業者の収入になって、それが県の経済の活性化につながるというふうな観点にも十分配慮しながら、そして先ほど言いました透明性ということを考慮しながら対応していきたい、このように考えております。
次に、福祉の拡大と雇用創出を結合してということについてのご質問でございますが、福祉施策の一層の強化についてですけれども、国において医療、介護、年金等の社会保障制度に係る財源問題について、予想以上に進む少子高齢化問題を主因とした負担と給付の見直しが行われ、また検討されているところでございます。県といたしましては、これらの動向を注視する一方、厳しい財政状況の中ではありますが、福祉・医療制度は県民の安心を支える基盤であるという認識のもと、事業内容を精査する中ででき得る限りの対応を講じていきたいと思っています。
なお、ことしの八月から現行制度がスタートしている高齢者の福祉医療制度につきましては、高齢者を取り巻く状況が大きく変わったこと、県の財政状況は極めて厳しいこと等を背景とし、限られた財源の中で増大、多様化する福祉ニーズに対応するため、福祉施策全体を再検討する中で見直しを行ったものでございます。見直しに当たっては、市町村とも協議検討した結果、既に受給されている方及び経済的に低位にある方に限り存続することとしました。スタートから四カ月しかたっていない状況で現行制度の見直しは厳しい状況にありますが、今後、市町村の実施状況や住民の意見等の把握に努めてまいりたいと考えております。
また、特別養護老人ホーム等の介護保険施設については、わかやま長寿プランに基づき積極的かつ計画的に整備を進めてきましたが、今年度中に、待機者数等も勘案事項の一つとしながら、平成十九年度を目標年次とした新たな介護保険施設の整備目標を策定する予定でございます。施設整備の前倒しについても、昨年度は国の緊急経済対策を活用し実施するなど、計画の早期実現を図ってまいります。今後とも福祉事業は多くの雇用を生み出すという視点も加味しながら、福祉施設の整備充実を図るとともに、従事者の資質向上や人材の育成を図っていきたいと考えております。
次に、少人数学級についてでございます。
教育問題は、非常に国の根幹、県の根幹をなすものであるというふうな観点を持ちまして、そしてまたこれは地方主権の立場から自由度を増して地域に合ったような形の対応をしていく必要があるというのが私の信念でございます。
そういうふうな中で、少人数学級でございますけれども、これはこういうふうな信念と、それからもう一方は、先ほどご質問の中にもありましたが、財政問題ということもありますので、ただいまは二十人程度の少人数学習であるとかチームティーチングというようなことを進めておりますが、これをさらに一歩進めていくというふうなことについても多面的に検討して対応していきたいと、このように思っております。
それから、不要の事業についての見直しをということでございますけれども、これはもうおっしゃるとおり、当然のことでございます。ただ、ご質問の中にありました関空の二期工事につきましては、私自身はこの日本の国に世界への窓口というふうなものが三つぐらいあるのはこれは当然のことだと思っておりますし、そしてまた本来は税金で行うべきものだというふうな感覚を持っております。やはり、この国際化時代に、ただ単に借入金の収支というふうなことだけで物事を考えていると、何十年かたった先に唖然としないといかんというふうな状況も想定されますので、私自身、この関空の二期工事については積極的に、そしてまた早期に進んで、さらには、例えば渡る橋のお金がただになるような方向とか、そういうふうなやっぱりダイナミックな改革をして、この関空というものが本当にもっと役に立つような形にしていくのが本来の姿ではないかというふうに考えております。
それから、次に北港沖の南防波堤につきましては、これはコンテナ等を扱うターミナルとして現在整備を進めているということでございます。これの行き方等については私も真剣に考えていきたいというふうに考えておりますし、それから紀淡海峡については非常に厳しいというふうな認識を持っているということを申し上げておきたいと思います。
それから、国への緊急要望ということでございますけれども、医療保険や介護保険等の社会保障の問題は、現在直面している少子高齢化社会にとって極めて大きな課題となっており、国において真剣な議論、審議等がなされ、医療保険制度の体系のあり方など抜本改革に向け検討されているところです。県としては給付と負担の公平を図り、安心できる保険制度の一日も早い実現を国に対し要望してまいります。
次に、労働者の雇用環境と雇用保険関係についてですが、労働条件の基準を定めた労働基準法を初めとする関係法規を遵守することは当然のことでありますし、現在、国の労働政策審議会においても解雇ルールの法制化等、労働基準法などの改正が検討されております。また、雇用保険についても、受給期間等、給付のあり方など、現在の雇用・失業情勢に応じた制度にするよう労働政策審議会において検討が重ねられております。これらの問題についてはさまざまな意見があり、十分な議論が尽くされると思いますので、こうした議論を注視してまいりたいと考えております。本県としましても、雇用を確保し生活の安定を図るため、積極的に努めてまいりたい、このように考えております。
次に、外形標準課税の問題についてでございます。
この問題は、ご質問にもありましたように非常に悩ましい問題というふうに私は思っております。本来、こういうのは景気のいいときにやっておくべき問題でございまして、今こういう時期にこの問題が議論されているということは非常に、ある意味では大変な状況だというふうな認識を持っているわけでございますけれども、ご質問の中にもありましたように、小規模の会社だと簡易制度で年間四万八千円の負担という方法とか、それから赤字法人では六カ月を最大限とした徴収猶予の制度でありますとか、それから中小は大規模の大きな会社から二年おくれで行われるということとか、それから本格的に実施されるのが七年目以降というふうな、まあ初めにこの外形標準課税制度を考えたときから考えると、もうありとあらゆる延期措置といいますか、緩和措置ということを講ぜられた上での実施ということが今検討されているわけでございまして、そしてまた、この制度が導入されると確かに地方財政に関して安定的な税収の確保ということになることはこれはもう間違いないことでございますので、私ども、この問題について今、何とか今回の税調の中で前向きな議論が出てくるように期待しているというところでございます。
それから、消費税制の問題につきましては、これはやはり国、地方、そしてまた地方主権ということの中でどういうふうな財源をこれから考えていくのかということの大きな流れの中にありますので、そういうふうな状況を見きわめながら注視して対応していきたいと、このように考えております。
最後に、カジノの問題でございます。
この問題につきましては、東京都知事が言い出して、私も実は大阪で副知事をしているときに前横山ノック知事が非常にこれ熱心で、そのときに私もいろいろこれを研究したという経緯があるわけでございます。
確かに、ご心配のようにいろいろ怪しげなことが起こると、そしてまた青少年の問題等を考えないといかんということはもう本当にお説のとおりだと思いますけれども、やはり今、日本の国はいろんな面で沈滞しているわけでございまして、こういうときにやっぱりある程度コペルニクス的な発想の転換ということが必要な面もあります。何でもだめな方から考えるのではなくて、よりよく運営していくためにはどういうふうにすればいいかというふうなことを考えていくことも非常に必要なことだろうと思っております。
これはまあ、すぐにあしたからカジノができるというふうな話でもございません。和歌山県でも、例えば白浜であるとか、勝浦であるとか、こういうふうな全国的に有名な観光地を持っているわけでございまして、こういうところに何らかの付加価値がつくと、そしてまた風紀が乱れたりそういうふうなこともないというふうなことが担保されれば、私はやっぱり積極的に検討していくべきものではないかと思って、ああいうふうな回答をしたということでございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 県下の不況の現状認識についてでありますが、長引く不況の影響により、本県中小企業も非常に厳しい環境下に置かれております。このため、まず中小企業の経営の安定化を図ることが喫緊の課題であり、緊急経済対策資金の創設など金融支援の強化を図っています。また、同時に技術開発支援や販路開拓支援を行うなど、本県の地域資源を生かした中小企業の活性化に取り組んでおり、雇用の場の確保につなげていきたいと考えております。
一方、全国的にも事業所数が減少する中、新たな企業をつくり出すことも大きな課題であります。このため、新事業創出対策や企業誘致対策を積極的に実施しているところであります。また、失業者の方につきましては、まず再就職を促進することが重要であり、県下各地で就職ガイダンスを開催するほか、緊急雇用創出特別基金を活用し、県や市町村など公的部門における雇用の創出に努めております。
景気雇用対策本部につきましては、長引く景気低迷の中、昨年来、緊急雇用創出特別基金による雇用創出、就職対策と失業の生活安定、金融支援や新産業の創出を初めとする緊急経済対策を三つの柱として掲げ、各部局一体となって取り組みを進めております。また、土木部、農林水産部と合同で新たに県産品活用部会を設置し、公共事業における県産品の積極的な活用の取り組みも始めております。本年十月には景気・雇用対策本部幹事会を開催し、特に雇用対策に寄与する事業の予算化を協議するなど、現下の厳しい景気・雇用情勢を踏まえ、さらなる全庁的な取り組みを進めていきたいと考えてございます。
次に、金融対策の中小企業への貸し渋り、貸しはがしについてですが、県としましては、これまでも金融相談などを通じて対処してきたところです。また、十月には金融機関及び県信用保証協会に対し現下の厳しい経済情勢を踏まえて個別企業の実情に応じた配慮を要請したところでございますが、今後、和歌山財務事務所等との連携を図りながら対応を強化してまいりたいと考えてございます。
また、ご提案のありました借りかえ融資制度の創設につきましては、県内中小企業の状況を踏まえながら、他府県の制度や金融機関、信用保証協会、関係市町村との連携のあり方など、今後研究してまいりたいと考えてございます。
県としましては、景気動向を注視しながら、県信用保証協会など関係機関との連携を密にし、連鎖倒産防止資金を初め県制度融資の適切かつ迅速な対応を図り、中小企業金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
次に、緊急雇用創出事業の期間延長と採用枠の拡大についてでありますが、緊急地域雇用創出特別交付金事業は、議員のお話のように、雇用期間が原則六カ月以内と定められておりまして、本県としましては国に対し期間の延長等を要望しているところでございますが、現在編成中の国の補正予算において交付金事業の拡充が厚生労働省から要求されていると伺っております。また、先ごろ発表された経済財政諮問会議の改革加速のための総合対応策において当交付金事業の運用の改善や緑の雇用事業の活用が盛り込まれたところであり、本県の要望活動が実ったものと判断しておりまして、交付金事業の拡充が行われればさらに新たな雇用を生み出せるものと期待をしております。今後も、県単独事業を含め、いろいろな事業を有効に活用して雇用の拡大を図ってまいりたいと考えております。
次に、住金中期経営計画への対応についてでございますが、去る十一月十四日に住友金属工業株式会社が中期経営計画を発表いたしました。この計画では、和歌山製鉄所は今後、上工程及びシームレスパイプのフル生産、並びに薄板高級品の生産となり、懸案だった和歌山製鉄所の構造改革が完了し、安定的な経営が確保される見通しとなっております。
ただ、平成十七年四月から薄板生産の鹿島製鉄所への集中に伴い一部生産工程が休止されますので、下請事業者等の経営安定や雇用の維持などへの影響が懸念されるところであります。このため、十一月十九日、同社の下妻社長に対し知事から、計画実施までの二年余りの期間を活用し地域経済に与える影響を極力軽減するよう、また和歌山への関連企業の進出など本県経済の活性化につながる努力を強く要請したところであります。また、十二月二日には特定企業対策連絡会議を開催し、同計画について和歌山製鉄所から詳細な内容を聴取するとともに、雇用対策、下請対策などについて意見交換をいたしてございます。今後とも、状況把握に努めながら適切に対処してまいる所存でございます。
次に販路の拡大でありますが、昨今の厳しい経済情勢の中、海外での販路拡大も重要な課題の一つととらまえ、本年十月には本県の技術を生かした高付加価値商品の販路拡大を目的に繊維業界の関係者とともに上海市において市場参入可能性調査をモデル事業として実施したところであります。今後、地方分権研究会の実行プログラムとして五県共同による上海での活動拠点設置への取り組みを進めるとともに、海外市場への進出に前向きな民間団体との連携を強化しながら海外での販路拡大へとつながる取り組みを進めてまいりたいと考えております。
また、ヨーロッパなど他の地域につきましても、販路拡大に向けた調査研究に取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 医科大学学長山本博之君。
〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 大学の法人化問題でございますが、議員ご指摘のとおり、我が国の高等教育、学術研究の将来を左右する重大な問題でございまして、公立大学の全国組織でございます公立大学協会におきましても法人化問題特別委員会を設け、さまざまな角度から研究しているところでございます。
私といたしましては、この検討も踏まえ、本学の目的を達成するために、また納税者の理解が得られるような大学づくりのためにどのような運営形態が最適なのかについて、設置者とも十分に話し合い、検討を行ってまいりたいと考えてございます。
次に、本学における現状の取り組みについてでございますが、学内に自己点検評価委員会を設置し、本学の使命、役割がより果たせるように点検評価し、また将来のあり方を検討し、それに基づいてできるところから改善を行っているところでございます。
次に、法人化に対する大学構成員の意見についてでございますが、本年七月に学内に法人化問題の調査研究を行うための法人化問題委員会を設けまして、研究検討を進めているところでございます。広く学内の意見を聞いてまいりたいと考えてございます。そして、この委員会での意見などを踏まえ、県立医科大学のあり方懇談会に反映させてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十五番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、要望を含めて再質問をさせていただきます。
地方税財政制度の問題について、本当に憂うべき状態が今進行しているんではないかというふうに思います。地方分権という言葉が本当に華々しく近年論議されてきたところですが、中身がずっと伴っていないという面がだんだん露骨に出てきたんじゃないかというふうに思うわけです。そういう点では、やはり一県の長として、本当に地方自治が今後発展していけるようなそういう立場でしっかりと発言をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
次に予算編成について、これも重ねての要望にいたしますが、私はとにかく、めり張りのある予算というふうに知事はおっしゃいましたが、そういう立場からやはり、来年度の予算が具体的に県下の人々の仕事づくりということに、今年度の予算より以上に効果を発揮するというようなものにぜひともしてあげていただきたいというふうに思うんですね。さらに、それが福祉と結びつければよりよい成果が上がってくるということも、これは大方の人が最近ずっとこの議場でも議論してきたところですので、ぜひそういう立場からの取り組みを予算編成について考えていただきたい。これをお願いをいたしておきたいと思います。
また、教育関係については、これからまた少人数学級について検討・研究していきたいというお話がございました。一遍にいくとは私も思いません。金の要ることですから。しかし、やはり着実に一歩を切り開いていくということが大事じゃないかと思うんですね。いつまでも金がない金がないということで、その一歩も切れなかったらずるずると他府県にもおくれをとってしまうということになりかねません。小さな一歩でも来年度に踏み出せるように、少人数学級の一歩が踏み出せた年度にぜひともしていただきたいというふうに思います。
それから、次は質問です。外形標準課税の問題について。
現実問題として、知事もいろいろと苦慮されておられるだろうというふうには思います。事態が事態ですからね。これだけの不況のもとで新たな負担をかけるということがどういうことかというふうな思いはあろうかと思いますけれども、実際問題として、四万八千円だという考え方は改めていただきたいと私は思うんですよ。そういう金額が今の中小零細企業にとってどれだけしんどいものであるかということ。やっぱりあれだけの廃業が出てきておるわけですから、これは大変な事態だと思うんですよ。そこへそういう課税をかけていくということ。地方財源として何とか欲しいというのは当然わかりますけれども、一方で同じ法人税のあの改正によって莫大な金額が、先ほど例示いたしましたけれども、大きな企業のところへは減税になっているんですよね。だから、そういう庶民と大企業とのアンバランス、ここらあたりはどうしても考えてもらわなければならないことだし、そういうものを前提に含んだ課税というのは明らかに間違っていると思いますので、そこらあたり知事がどういうふうに考えておられるのか。ぜひとも、国に対してそういう税はつくるべきでないということも申し上げていただきたいというふうに思いますので、その点ひとつ、お聞きしたいと思います。
それから、カジノです。
毒を抜いていけばいいんじゃないかというお話だったと思います。しかし、もともと刑法で禁止されてきた賭博行為というのは、その賭博行為の原理自体が否定的な内容を持っているんですね。だからこう禁止されてきた。それが、地方財政の理由によって、競輪ができるように、競馬ができるように、モーターボートがというような格好でだんだんと拡大をされてきて、その否定面はそのまま残っているんですよね。それに対して私たち自身が不感症になっているんではないかというふうに思うんです。そういう点では、やはりきちっと「だめなものはだめだ」という認識が前提になければ大変なことになるんじゃないか。特に青少年の教育問題については考え直さなければならないんではないかと思いますので、そういう点で品格のある和歌山県というようなことも考えていただきたい、今のカジノも場合によってはいいのではないかということについては考え直していただきたいというふうに思います。これは質問です。
医科大学長にお尋ねをいたします。
私は三つお尋ねしたんですね。一つは、大学の法人化という問題が今国レベルでもいろんな格好で国立大学で議論されておると。それの法人化ということがどんな問題点を持っているかというのを私は私なりの見解を表明いたしました。学長としてはそういう点ではどういうふうにお考えになっているのかというのが一つの質問だったんです。
それからもう一つは、大学が医科大学も含めて制度疲労を起こしているというふうなこの間からの懇談会の中での話がありましたが、そういうように医科大学は制度疲労を起こしている、何をもってそういうふうにおっしゃられているのか。法人化を前提にしてそういうふうな話をしていくと、必然的に法人化という話に行きます。現在の問題が今の体制で解決できない問題なのかどうか、そこのところをはっきりしてくださいと、そういうふうな質問をしたところです。そういう点ではどういうふうにお考えになっておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
それから、医科大学の中には非常にたくさんのいろんな組織もあります。そういう点が懇談会の中でどのように反映されておられるのか、そういう方々が直接意見反映をできるようにすべきではないかというふうに思いますが、この点についてはもう一度お答えをいただきたい。
以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
なお、時間も迫っておりますので、答弁は簡潔にお願いをしたいと存じます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、外形標準の問題でございます。
私自身は、これはまあ非常厳しい問題だと思っておりますけれども、現在、党税調でいろんなことを勘案しながら、もう議論の最終段階を迎えているということでございますので、この状況を注視していきたいというふうに考えているところでございます。
それから、カジノにつきましては、収入という観点もあるんですけれども、和歌山県の場合、やはり二十一世紀のリーディング産業として観光というふうなものを挙げている中で、そこに一定の魅力をつけ加えていくという面ではやはり真剣に検討しないと、ほかのところがカジノができて栄えて和歌山県の観光地だけが枯渇するというふうなことになるのはやはり好ましいことではないというふうな観点から、慎重に検討していきたいと、このように思っております。
○議長(宇治田栄蔵君) 医科大学学長山本博之君。
〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 再度お答えいたします。
法人化問題につきましては、国立大学が十六年四月から法人化と。しかし、中身がいま一つ見えません。要するに、大学における教育、学術研究の本質が生かされるような運営の方法が非常に重要になってくると考えてございます。
それから、制度疲労でございますが、私、あり方懇談会で医科大学が制度疲労をと申し上げたつもりはございません。どうぞ誤解のないようにお願いいたします。なぜ国立大学が法人化されるのかという論議の中に制度疲労というご意見を申し上げる方があったと。医科大学が制度疲労をしておるというふうなことを申し上げたつもりはございません。
それから第三点でございますが、あり方懇談会における大学の各層の意見を直接言えと、そういう機会をということでございますが、私も一委員でございます。現在、大学からオブザーバー参加を許可していただいておりまして、そしてあの会議は公開でございます。そういうふうなことは大学内で意見集約をいたしまして、あり方懇談会に反映させてまいりたいというふうにお答えしたつもりでございます。
以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間六十分が過ぎておりますが、再々質問をされますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
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