平成14年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
県議会の活動
平成十四年六月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
平成十四年六月二十一日(金曜日)午前十時開議
第一 議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに報第二号から報第七号まで(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに報第二号から報第七号まで(質疑)
二 一般質問
出席議員(四十五人)
一 番 新 島 雄
二 番 山 田 正 彦
三 番 佐 田 頴 一
四 番 大 沢 広 太 郎
五 番 堀 本 隆 男
六 番 宇 治 田 栄 蔵
七 番 門 三 佐 博
八 番 西 本 長 弘
九 番 坂 本 登
十 番 小 原 泰
十一 番 木 下 善 之
十二 番 永 井 佑 治
十三 番 尾 崎 要 二
十四 番 小 川 武
十五 番 宗 正 彦
十六 番 橋 本 進
十七 番 生 駒 三 雄
十八 番 原 日 出 夫
十九 番 谷 洋 一
二十 番 山 下 直 也
二十一番 高 瀬 勝 助
二十二番 吉 井 和 視
二十四番 町 田 亘
二十五番 金 田 眞
二十六番 高 田 由 一
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 向 井 嘉 久 藏
三十 番 野 見 山 海
三十一番 平 越 孝 哉
三十二番 下 川 俊 樹
三十三番 中 山 豊
三十四番 浜 田 真 輔
三十五番 鶴 田 至 弘
三十六番 冨 安 民 浩
三十七番 村 岡 キ ミ 子
三十八番 中 村 裕 一
三十九番 井 出 益 弘
四十 番 阪 部 菊 雄
四十一番 江 上 柳 助
四十二番 長 坂 隆 司
四十三番 森 正 樹
四十四番 飯 田 敬 文
四十五番 新 田 和 弘
四十六番 松 本 貞 次
四十七番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
〔備考〕
二十三番欠員
二十七番欠員
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
理事 内 田 安 生
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 稲 山 博 司
企画部長 垣 平 高 男
環境生活部長 秋 月 成 夫
福祉保健部長 白 原 勝 文
商工労働部長 石 橋 秀 彦
農林水産部長 辻 健
土木部長 大 山 耕 二
企業局長 阪 口 裕 之
教育委員会委員長 赤 松 壽 男
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 中 尾 公 彦
警察本部長 岩 井 良 行
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 北 村 亮 三
職務のため出席した事務局職員
事務局長 中 原 洋 二
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 北 垣 内 敬
議事課副課長 松 谷 秋 男
議事班長 鷲 山 智
議事課主査 尾 崎 善 亮
議事課主査 土 井 富 夫
総務課長 梶 本 皓 造
調査課長 宗 野 幸 克
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課副主査 保 田 良 春
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午前十時三分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
【日程第一 議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに報第二号から報第七号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに知事専決処分報告報第二号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
十七番生駒三雄君。
〔生駒三雄君、登壇〕(拍手)
○生駒三雄君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
まず最初に緑の雇用事業について質問をさせていただきますが、この質問については、今議会、一般質問のトップバッターでありました佐田先生を初めとして多くの諸先輩が質問され、重複した内容になるかと思いますが、やはり今、和歌山県政を推進するための重要施策であると考え、私なりに質問をさせていただきますので、ご容赦くださいますようにお願いいたします。
我が国は、バブル崩壊後、長引く経済不況の中、製造業は生産拠点を中国を初めとした東南アジア等への移転を図るなど、さらに各企業は研究分野までも今後海外移転を計画する動きも出てきているとのことでございます。そのために、産業の大空洞化、グローバル化が加速化されてきております。こうした中で各企業は従業員の給与の削減、厳しいリストラ等に取り組まざるを得ない状況に置かれ、そしてまた、国、地方の財政も逼迫した状態になってきているのが現状であろうかと思われます。さらには小泉内閣においても、こうした社会的背景の中、経済再生のための不良債権処理問題の解決、公共事業の縮減、見直し等々、さまざまな行財政の構造改革を行おうとしております。
一方政府は、その対策として、IT、介護などの成長分野の産業など、サービス産業を中心としてさまざまな雇用の拡大策を講じようとしております。しかし、人件費コストの高い中高年の失業者の雇用の受け皿としてこうした成長分野の産業が期待されているわけでありますが、これらの産業に失業者すべての人々が適応できるとは限っておりません。画一的な雇用対策ではなく、個人の多様性を重視したさまざまな雇用の創出が必要となってきております。
知事は、大阪府という大都市圏の副知事を経験され、そして和歌山県の知事になられたわけであります。こうした経験の中で、就任当初から都市と地方の役割分担を明確にし、相互協力、協働し、より大きな圏域としての発展を目指すという新ふるさとづくりを提言されております。
こうした考えのもと、昨年九月には過疎化、高齢化が進む地方に新たな雇用の場を生み出し、中山間地域への人材流入、定着促進に寄与することを目的とした「緑の雇用事業で地方版セーフティネットを」と題した共同緊急アピールを北川三重県知事とともに提案されました。小泉総理からも高い評価を受け、その趣旨を受けて国の平成十三年度補正において三千五百億円の緊急地域雇用創出特別交付金が予算化されました。和歌山県も国からの交付金をもとに四十二億五千万円を基金造成し、県が事業主体となって八事業、市町村を事業主体とした十二事業の緊急地域雇用創出特別基金事業を実施されました。本年度も、その基金などをもとに緑の雇用事業として約十七億円、計十八事業が実施されるようであります。
一方で、緑の雇用事業の根幹的な考え方と呼応するかのように、地球温暖化対策のため、先進各国に二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの削減を義務づけした京都議定書がこの六月四日に批准されました。今まさに、地球規模での環境保全への取り組み等が急務になってきているということであります。
そうした中で木村知事は、全国で和歌山県と同様の森林県である三重県、岩手県、岐阜県、高知県の知事とともに共同で全国に呼びかけて、二酸化炭素の削減に効果が大きい環境林をふやしていくというアピールもされております。
緑の雇用事業は、環境保全、雇用の創出、定住促進による地域の活性化と二兎も三兎も追った総合的な事業であるかと思われますが、雇用に関しては、平成十六年度までの緊急地域雇用創出特別基金制度に基づき、雇用期間は六カ月だとのことであります。
森林作業にはさまざまな技能が必要ではないかと考えます。こうした技能を習得した方々が地域に定着すれば森林組合の若返りが図れるのではないかと考えます。また、人口の増加による波及的な効果もあるのではないかと存じます。
知事には、こうしたことを踏まえ、「平成十五年度国の施策並びに予算に関する提案」の中でも提案されておりますが、今後、こうした緊急地域雇用創出特別基金制度などにより緑の雇用事業が恒久化される制度づくりが必要であると、私も考えているところであります。
少し視点が違うかもしれませんが、平成十三年六月県議会での一般質問、有田川流域の森林整備の中で、地球環境の保全に果たす森林の役割、そしてその重要性、森・川・海が一体となった生態系としてとらえる必要性等について質問をいたしました。地球規模での環境保全、出口の見えない経済不況等々、私たちを取り巻く社会的環境の中、和歌山県のような中山間部が多い地方の県においては、まさしく総合的施策として取り組んでいかなければならない事業であると私も考えているところであります。
まだ二カ月余りが過ぎたところでありますが、緑の雇用事業で現在どのような取り組みをされているのか、そしてまた今後より具体的にどのような形で、またいつごろから行っていかれるのか、ご所見をお伺いしたいと思います。
次に、若者が定住できる魅力ある農業・水産業の振興ということであります。
私の地元有田地方の基幹産業の一つに、ミカン産業があります。最近のミカン農家においては後継者がいないため、自身が仕事ができないような年齢になれば農業をやめなければならないのかなどと思い悩む農家も少なくありません。緑の雇用事業では、季節的な労働者の確保のための情報システムの整備など、グリーンサポート推進事業といったものがあるようですが、こういったものだけではなく、若者が、後継者が定着できるような、一定の所得が得られるような農業振興策が図られるようになればと期待をしているものでございます。
自分たちの子供が、地元の人々が仕事を引き継いでくれるために、例えば荒廃農地を請負耕作するような農業生産法人を育成することにより、若者が将来に夢を持って農業に従事できるのではないかと考えているところでもあります。
また、有田地方のもう一つの基幹産業に水産業があります。有田市はタチウオの漁獲高が日本一の町として名をはせているところでございます。県内でも有数の沿岸漁業の基地でもあります。しかし、漁獲高も年々減少傾向にあり、またご多分に漏れず高齢化も進みつつあります。また、労働条件も大変厳しいものがあり、若者が家業を継いで地元に定着することが難しい状況で、後継者不足が深刻な問題となってきております。若者が安心して自分の生まれ育ったふるさとに暮らせるような基盤づくりが必要になってきておると思っております。
重点施策として取り組まれようとしている新ふるさとづくりの一環として、都市との交流という観点から海遊モデル事業などを実施されようとしておりますが、こうしたものを契機に、地元の若者が定着できるように漁業経営の一つの方向性が示されるものと期待しております。このままの状態であれば、子供たちの世代になれば有田地方からミカン、タチウオがなくなってしまうおそれがあります。農業とりわけミカン農業並びに水産業において後継者不足が深刻な問題であるという現状を踏まえ、木村知事が緑の雇用事業を全国に情報発信されたように、農業・水産業においても何か新たな画期的な振興施策はないものか。このことについてどのように考えておられるのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。
次に、有田地方の道路整備の現状等につきましてお尋ねをいたします。
均衡ある地域の発展、活性化を図るためには、道路整備の社会基盤の整備は安心して暮らせる地域生活、経済・産業活動等々にとって必要不可欠なものであると、だれもが承知しているところであります。そこで、有田地方の道路整備の現状を顧みて質問をいたします。
一点目には、やはり有田地方の抱える一大懸案事項である国道四十二号の渋滞解消対策であります。
この問題につきましては、県当局におかれても重要な課題であるとの認識に基づき、道路整備の重点施策として位置づけをし、現在までさまざまな検討、対策を講じていただいております。地元有田市においても、国道四十二号・有田下津海南間整備促進協議会の構成メンバーである下津町、海南市、有田郡町村会ともども、県当局の指導もいただきながら、四車線化案またはバイパスルート案の両面から将来に向けての町づくりという総合的な視点に立ち、種々検討をし、また県初め関係先に要望もしているところであります。
国においては、平成八年から国道四十二号有田海南道路の交通現状等々の調査が進められてきておりますが、今般、平成十三年度の調査において、集約的な形でその整備効果、ルート検討などをまとめた調査報告が出されました。調査報告書では、三ルート案が提案されております。これまでの経過の中で、県は国及び地元市・町との連携を密にしながら、十分な調整を図っていただいてきたと考えております。今後は、地域住民の意見も聞きながら速やかに地元としてのルートの決定等をしていきたいと考えているところでありますが、地元での調整が完了すれば一日も早く計画の決定ができるように、より一層強力に県から国への働かけ、調整をしていただきたいと考えているところであります。
こうしたことを踏まえて、県としての調査報告をどのように認識をし、今後どのような取り組みをしていただけるのか。そしてまた、現在、国の直轄事業として国道二十六号(第二阪和国道)和歌山北バイパスが平成十五年春の供用開始に向けて鋭意事業を進められているようでありますが、県として、国道四十二号の渋滞解消は県内道路網整備の最重点課題、最優先ルートとして位置づけて、その決意を持って今後対応していただけるのかどうか、あわせて土木部長にお尋ねをいたします。
また、渋滞解消の当面的な対策として、国道四十二号有田─海南間の改良等の状況、さらに和歌山県内の中紀・南紀地方の活性化にも不可欠であるとともに国道四十二号の渋滞緩和にも多大に寄与する近畿自動車道紀勢線海南─吉備間の四車線化に向けての進捗状況についてお尋ねをいたします。
二点目として、県道有田湯浅線の今後の事業計画についてお尋ねをいたします。
当該路線は、有田地方の海岸線を縦断し、西有田県立自然公園内を通る風光明媚な有田・日高海岸線の観光道路、通称・キララときめきロードの一部であり、また国道四十二号の補完道路として大変重要な路線であります。しかし現状を顧みますと、例えば有田市内の有田市千田─高田間の現状は、十分な車幅がなく、大型車両が対向すれば車両の通行に大変な支障を来すところもしばしばであります。さらには隣接する湯浅町内の田坂トンネルは、車の対向もできない状況であります。
当地域に住む住民の一人として、先ほど申し上げたように農林水産業、観光産業等地域経済の活性化のために、快適な住民生活を営む上で、さらには通学路としても大変重要な路線であると考えております。こうしたことからも、当該路線の狭隘区間等の早期着工を強く望むものであります。つきましては、今後の事業計画について土木部長にお尋ねをいたします。
次に、二級河川有田川の治水対策についてお尋ねをいたします。
私ごとで恐縮ではございますが、私が政治の道を志した理由の一つに、子供のころから見て育ってきた父親の後ろ姿があります。父親は、昭和二十八年に有田・日高地方を中心に県内全域にわたって甚大な被害を及ぼした未曾有の大水害を目の当たりにして、有田川は自分たちで守らなければならないのだという決意を持ち、その後、ボランティア活動ではありますが、有田川の堤防強化などの治水活動に一生をささげました。
また、子供のころの有田川と言うと、川原に石ころがいっぱい転がっていて、その川原で家族、友達と弁当を広げて食べた思い出があります。また、川藻の陰に隠れている川エビや小魚をとって遊んだ思い出もあります。
しかし、現在の有田川の風景はどうかと言うと、背の高い草木がうっそうと生い茂ったところがあちらこちらに見られ、また木村知事も、昨年は落ちアユ漁に、またことしはウ飼いの川開きにと、有田川にはちょくちょくと顔を見せていただいておりますが、河原がなくなってきたがゆえに落ちアユをとる通称ハメ漁をする場所が少なくなってきているのも現実でございます。また、一概に断定をすることはできませんが、土砂の堆積、水質汚濁などが原因ではないかと考えられる事柄の一つに、有田川の冬の風物詩であった青ノリ漁が、する場所がなくなってきたのも現実でございます。そしてここ数年は、その青ノリがとれなくなってきているのも事実でございます。私も、流域住民でつくっているボランティアグループ・有田川堤防強化委員会活動で、川の清掃、欠損箇所の点検、管理等の実践活動を通じて実感しているところでございます。
このように、以前に比べて土砂の堆積、背の高い草木が生い茂っているなどといったように、河川環境が著しくさま変わりしてきていることは否めません。こうしたことによる河積の減少等は治水上好ましいことではなく、大雨が降れば浸水、護岸の欠損、伏流水の噴出なども危惧されるものであります。
ちょうど一年前に有田川は、梅雨前線による豪雨により、ふるさとの川総合公園が浸水により舗装の流出、ネットフェンスの破損等、甚大な被害を受けました。おかげさまでご当局のご尽力により速やかに復旧できましたことは、地域住民の一人として厚く感謝を申し上げるところでございます。
この有田川の治水対策については、平成十二年十二月県議会での私の一般質問時での土木部長の答弁では、河川改修は一部を除き概成し、現地調査をした上、老朽堤防を補強していくとの答弁でありました。もし災害待ちといったような消極的な対応であるならば、住民の人命・財産にかかわるような被害は起こってからは遅いのであって、地域住民にとっては大変不安なことであります。その後の調査内容及び状況、補強された時期、箇所を、また今後の実施計画について土木部長にお尋ねをいたします。
これで、第一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの生駒三雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの緑の雇用事業について、今後どのように展開させていくかというご質問でございます。
緑の雇用事業は、ご質問にもありましたように私が昨年提案いたしまして、かなり大きな動きになってまいりました。県でも、担当の部局がもう力いっぱい活動しております。そしてまた、森林組合や関係の町村の努力によって、実にこの七月から県下で四百人の人たち、そしてその中には百数十名の県外からの人たちがこの緑の雇用事業に順次従事していくというところまでまいりました。そして、この和歌山県での実績ということが国の方でも高く評価されるところとなりまして、つい先般は、世耕参議院議員なんか非常に尽力していただいたんですけれども、小泉総理の骨太の方針の第二弾の中にも緑の雇用事業ということで取り入れられたということもございまして、今後、国の補正予算があればこの中に、また来年度の当初予算の中でも必ずや恒久的な施策にしていくための方策が出てくるものだと思っておりますし、また出てくるように努力していかなければならないと思っております。
今、景気が若干上向いてきたとはいうものの、この景気の上昇というのは、リストラでありますとか、それからまた輸出業の振興というか活況によってもたらされているもので、必ずしも雇用がすぐによくなるというふうな状況ではございません。そういうふうな中で、この緑の雇用事業、私が先般提唱いたしました緑の森林県連合ということの施策とあわせまして、何とかもっともっと大きな動きにしていって、和歌山の中山間──中山間だけじゃなくて、もう広く県下全域がこのような形の中で発展していくことを心から願っているところでございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 若者が定住できる魅力あるミカン農業・水産業の振興策についてでございますが、若者が地域の担い手として定着するためには、安定した所得の確保に加えまして、夢とやりがいのある農業・水産業の確立が何よりも大切であると考えてございます。このため、ミカン農業におきましては、優良系統への転換やマルチ栽培の推進など高品質果実の生産に取り組んできたところでございまして、今後はITを活用した栽培実践や安全、安心をキャッチフレーズとした販売戦略など、新たな手法を取り入れ、若者が希望を持てる施策の展開に努めてまいります。
また、議員お話しの農業経営の法人化につきましては、産地を守る有効な方策であることから、今後ともその育成を図ってまいりたいと考えてございます。
次に水産業についてでございますが、将来にわたり水産資源を確保するため、つくり育てる漁業を推進するとともに、小型魚の再放流や網目の拡大などの資源管理対策の推進に取り組んでいるところでございます。また、多様な就労の場づくりや新たな収入源の確保のためのきっかけづくりとして、本年度から新たに漁村の地域資源を活用した海遊モデル事業を実施しているところでございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 有田地方の道路整備の現状についてのご質問のうち、まず国道四十二号有田─海南間の渋滞対策についてでございます。
国土交通省の調査によりますと、近畿自動車道紀勢線海南─吉備間を四車線化した後も、現国道には相当の交通量が残ります。その抜本的な対策として現道拡幅案、バイパス案が検討され、それぞれの利点、課題等が整理されてございます。今後は、この調査をもとに地元市及び町が町づくりの中に道路を位置づけし、早期ルート決定を国に働きかけていくことが必要であると考えてございます。
県にとりましても、国道四十二号有田─海南間の渋滞解消は最重点課題の一つであり、今後とも国と市や町の間に立って積極的に調整を図るとともに、国に対し早期実現を働きかけてまいりたいと考えてございます。
また、当面の現道対策についてでございますが、既に四カ所で実施済みであり、海南市冷水交差点を残すのみとなっております。今年度は用地買収を行う予定でございます。
近畿自動車道紀勢線海南─吉備間の四車線化につきましては、平成十三年度から地元と設計協議を進めてございます。今後、設計協議の整った地区から用地買収に努めてまいります。
次に、県道有田湯浅線の今後の事業計画についてです。
県道有田湯浅線は、国道四十二号を補完するとともに、海岸沿いの広域観光を担う重要な路線と認識しております。この路線の未整備区間は二カ所であり、そのうち田坂トンネルを含む湯浅町田から栖原間のバイパス区間においては、着手に向けて調査設計を行っております。
有田市千田から高田間につきましては、事業着手したところ地元協力が得られず、現在事業を休止しておりますが、今後、この区間については、地元のご理解を前提に、田坂トンネルの進捗をにらみ、県道全体の優先順位の中で位置づけを検討してまいります。
次に、二級河川有田川の治水対策についてでございます。
有田市域において堤防の老朽化状況を把握するため、現地踏査及び聞き取り調査を実施してまいりました。その結果、保田橋上流左岸及び有田東大橋下流左岸の二区間において補強が必要と判断し、平成十三年度より工区分けを行い、工事を実施しております。この二区間においては、今後とも工区に優先順位をつけて順次補強を実施してまいります。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
十七番生駒三雄君。
○生駒三雄君 ただいま土木部長から、国道四十二号の渋滞解消に向けての、また県道有田湯浅線の今後の取り組みについての考え方などについて答弁をいただいたわけであります。先ほどの質問の続きのようになりますが、有田地方は県内のほかの地域と比べまして現在においてもあらゆる面において厳しい状況にある中、有田市ひいては有田地方の将来展望を考えるとき、産業・経済活動を活性化して地域住民の生活基盤を確固たるものにして、また安心して住民生活を送る上でも早急に整備をしていただかなければならないことであると考えております。
釈迦に説法だとは思いますが、地域住民がおらが町に住んでいてよかったと感じてもらえるための地域整備の根幹をなすものが、道路整備など社会資本整備であろうと考えております。私はもちろん、地元としても用地問題等々協力のできること、しなければならないことは精いっぱい取り組むつもりであります。我が有田地方の、ひいては和歌山県発展のために県当局としても事業の推進に全力で取り組んでいただきたいと考えているところでございます。
きょうは、うちの松本有田市長も四十二号線の渋滞緩和のことを心配して傍聴に来ておられます。それほど我々は随分心配しております。そういった意味で、地元もしっかりこれから頑張っていきますので、ぜひとも県の方としてもご指導と国の方に対する働きかけを強く要望して、質問を終わらせていただきます。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で生駒三雄君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十一番江上柳助君。
〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。ただいま、議長のお許しをいただきました。通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。限られた時間での質問でございます。どうか、答弁は明快かつ簡潔にお願いしたいと思います。
まず最初に、六月十七日、木村知事は、県出身者が入所されております岡山県邑久町のハンセン病療養所二カ所を県知事として初めて訪問されました。思えば昨年六月定例会におきまして、ハンセン病問題につきましては、同会派の森正樹議員ともどもに私も質問をさせていただきました。そのとき知事は、「現地訪問をも含めて直接お会いする機会をつくっていきたい」と、このように答弁されました。そして、機会あるごとと申しますか知事にお会いするたびに、「行かなきゃいけませんね」、「行こうと思っているんですけれども、時間が」とかと。まあ、「とにかく行かなきゃいけませんね」ということで随分と気にとめておられました。そして、ことしの五月に入所者らが里帰りされた際に、木村知事にぜひ来てほしいとの要望があり、実現したものであります。知事、大変にご苦労さまでした。知事の真摯な療養所への訪問に心から敬意を表するものであります。どうか、入所者の皆様の切なる願いであります差別・偏見の解消、さらには里帰りの毎年実施を継続していただくことを強く要望させていただきます。
それでは、質問に入らせていただきます。
サッカーワールドカップ、デンマーク代表チームの本県キャンプについてお尋ねいたします。
日韓両国で開催されておりますサッカーワールドカップは、日本代表チームが決勝トーナメントに勝ち進み、六月十八日のトルコ戦で惜しくも敗れたものの、日本チームの活躍は日本じゅうを沸かしてくれました。また、一方の開催国、韓国代表チームの活躍には目をみはるものがあります。本県においてもデンマーク代表チームが事前キャンプのため来県し、韓国での試合で、もう一度和歌山に帰りたいとの思いで決勝トーナメントに勝ち進みました。デンマーク代表チームは六月十五日のイングランド戦で、県民の「コムサ(頑張れ)」との声援もむなしく三対〇で敗れ、六月十六日、本県に帰ってきました。残念ながらベストエイトに進めなかったものの、よく頑張ったと思います。心から健闘をたたえたいと思います。そして六月十七日に、県民約五百人に見送られ、故郷デンマークへと帰国いたしました。
私は、過去二回にわたり、ワールドカップキャンプ地招致やデンマークチームが本県でのキャンプが決定した後、招致体制、準備体制について質問をさせていただきました。知事初め関係者の並々ならぬ努力もあり、デンマーク代表チームのキャンプが決定をいたしました。そして、無事故でキャンプの運営が行われたわけであります。関係者の皆様のご尽力に心から敬意を表するものであります。
デンマークチームの本県でのキャンプは、和歌山を全国、世界に発信する絶好の機会になりました。また、オルセン監督を初め選手の皆さんは紳士的で、練習はすべて公開、気軽に県民のサインの求めにも応じてくれました。県民とりわけ少年たちへのサッカー指導は、少年たちに大きな夢と希望を与えてくれました。超一流の選手でありながらおごらない謙虚な姿勢は、何か人間としての生きる道を教わったような感がいたします。
私は、県民に大きな夢と感動を与えてくれたデンマーク代表チームのオルセン監督を初め選手の皆さんに、心から「ありがとう。お疲れさまでした」と申し上げます。今後県として、キャンプを機会にデンマークとの交流を積極的に進めたらどうかと考えます。
そこで、知事にお尋ねいたします。
デンマーク代表を本県に迎え、キャンプが無事成功裏に終えることができたご感想と今後のデンマークとの交流についてお考えをお聞かせください。
ワールドカップを機会に、本県からも世界のひのき舞台で活躍できるサッカー選手が育ってもらいたいものであります。それには、サッカー選手を育てるための振興策が必要であると思います。まずは、小中高生のサッカー人口をふやすとともに指導者を養成することであります。また、サッカーグラウンドを整備することでもあると考えます。
少年サッカーチームの子供たちは、芝のほとんどない、全くと言っていいほどない、雨が降れば水がたまり、ぬかるむようなグラウンドで県の大会などを開催いたしております。もう少しグラウンドを整備してもらいたいものであります。当局のサッカー振興への取り組みについてお聞かせください。
次に、IT化への取り組みについてお尋ねいたします。
最初に、バーチャル和歌山の現状と課題についてお尋ねいたします。
一昨年の九月議会、知事が当選されまして初めての九月定例会で、私はIT施策に関連して、「本県においてEコマース、電子商取引などを活用した産業経済の活性化、発展をどのように図るお考えか」とと質問いたしました。知事は、「インターネットでバーチャルな市場みたいなものをつくって、和歌山ブランドでそれをどこからでもアクセスできるような形で買ったり、オークションしたりして売買ができる仕組みみたいなことも考えてみたいと思います」と答弁されました。そして、関係者のご尽力もあり、海南のリサーチラボに昨年の七月十三日、県出資の第三セクターとしてバーチャル和歌山を設立されました。観光、物産チャンネルの中に、知事の言われるバーチャルな市場としてわいわい市場が、昨年十月一日、開設されました。会員数一万八千人、売上高約三千万円で、まだまだ十分とは言えませんが、着実に事業を展開されていると思います。バーチャル和歌山を、本県活性化のため、ぜひ成功させてもらいたいと思います。このバーチャル和歌山の現状と課題についてお聞かせください。
次に、電子会議室とIT広報についてお尋ねいたします。
昨年の十二月定例会で知事は、中期実施計画の策定について、「地方自治の方も、交付税の問題とか補助金の問題とか(中略)はっきりしない(中略)その中で、この道を何年までにつくりますとか、この道をどういうふうにしますということは、なかなか今までと違ってしがたい。だけど、大きな夢みたいなものをビジョンとして示していきます」という答弁をされました。私は、知事のお考えは、今の時流の激しいと申しますか社会情勢の変化の激しい中で計画を立てるということは無理があるかなというふうに思います。知事のお考えは一つの見識だと思うわけでありますけれども。
実は、埼玉県のぶぎん地域経済研究所の調査事業部主席研究員の小池清一さんは、「ある県は、基本構想、基本計画自体の策定を取りやめているところもある。時代の変化が早いので毎年施策を新たに検討するという言いわけが書かれている」と述べております。──これは、よもや和歌山県ではないと思います。まあ長期計画の基本構想がございますので──こういう意見もあるわけでありますが、一方においては、政府の経済審議会経済主体役割部会の地方分権型行政システムにおける行政サービスの新たな構築についての審議の中で、「都道府県の総合計画というのが今定められている。バラ色のことばかり書いてあるとか、総花的というふうに言われている。大事なことは、その中から地域の新しいニーズをどのような優先順位で、しかも住民の意思を反映しながら選択していくかということに尽きる」としております。いわゆる住民の意思をきちっと行政に反映できるような体制・システムが大事だと、こういうことのようでございます。
最少の経費負担で最大の効果を上げる行政の目指す観点から、また政策立案と実行に住民の意思や意見、提言を反映させるという視点から、ITによる県民との電子会議室を創設したらどうかと考えます。また、知事の定例記者会見などを、今の東京都の石原知事のようにインターネットで動画で配信したらどうかと考えます。ご見解を承りたいと思います。
次に、観光地のIT化についてお尋ねいたします。
白浜町などの観光地、温泉地に光ファイバーによる高速情報ハイウエーを導入し、観光客やビジネスマンに各旅館・ホテルでインターネットコーナー、またインターネットカフェなどを設置し、観光客招致の目玉にしたらどうかと考えます。観光客は、インターネットを活用して数々の情報を入手することが可能であります。子供たちは、インターネットを活用してゲームに興ずることもできます。またビジネスマンは、高速情報ハイウエー、光ファイバーを活用して、東京など全国ネットで会議を開くことも可能であります。また、空き保養所、空き別荘へのソフト開発企業の誘致も容易になります。光ファイバーによる高速情報ハイウエーを導入されていない状況では、なかなか白浜町の空き保養所や別荘へソフト関連企業と申しますか開発企業が来てくれない、なかなか企業誘致は困難であろうと私は考えます。幸い、お隣の田辺市の新庄にはITセンターが建設され、光ファイバー通信回線が敷かれ、超高速通信システムが導入されることになっております。ぜひとも光ファイバー通信回線を活用して、観光地白浜町などのIT化を積極的に進めるべきだと考えます。知事のご見解を承りたいと思います。
次に、光ファイバーを活用したモデル地域とIT特区構想についてお尋ねいたします。
先日、光ファイバーを活用した北海道のある農村がテレビで報道されておりました。光ファイバーによるインターネットの活用やテレビの放送でありました。酪農現場との遠隔監視、家庭と医療機関とをつないでの遠隔医療、大容量の映像情報と電波障害のない鮮明画像のテレビ放送でありました。光ファイバーによるインターネットの活用や光ファイバーテレビの同時活用は、初めての試みでありました。光ファイバーテレビは、難視聴地域解消だけではなく、映画、スポーツ、音楽等のバラエティーに富んだ専門チャンネルが見られるわけであります。また、光ファイバーによる高速インターネットの活用は、遠く離れたところからの教育や福祉、医療、また地域の触れ合い交流への応用など、多様な活用が可能となるわけであります。
本県においても、二十一世紀の情報通信基盤としての役割が大きく期待されております。光ファイバーを活用したモデル地域をIT地域として指定し、整備したらどうかと考えます。県のIT特区構想とあわせ、ご所見を承りたいと思います。
次に、IT基礎技能講習についてお尋ねいたします。
昨年四月から本年三月にかけまして、全国的にIT講習が実施されました。本県においても四万九千七百十六人が講習を受けられました。講習を受けられた多くの皆さんから、大変よかった、また実施してもらいたいとの声も聞きます。一部市町村では、継続してIT講習を実施されているところもございます。一部市町村とは他府県です。
本県ではパソコン普及率が三七%と、まだまだ低い状況でございます。仄聞するところによりますと、パソコン教室の経営者は、官でIT講習を実施すると生徒が減るので困ると言う人がおられるようであります。IT講習は、キーボードを打つとか、インターネットへの接続とか、メールの送信とか基本の基本、基礎の基礎で、そこからいよいよエクセルとかホームページ作成への高度な技術を学ぶためにパソコン教室に通うようになると、私はこう思うんですが。
本県のIT化促進のため、パソコン普及率を上げるためにも、またデジタルデバイド(情報格差)を解消するためにもIT講習を実施すべきであると、このように考えます。ご所見を承りたいと思います。
次に、マリンレジャースポーツについてお尋ねいたします。
最初に、放置艇の現状と対策についてであります。
いよいよ夏本番。ことしの夏は例年よりも暑いという報道がなされておりますけれども、いよいよマリンレジャースポーツの季節が到来いたしました。本県は長い海岸線を持つ海洋県で、海は暮らしの身近なステージとして多くの県民に親しまれております。
我が国では、近年、余暇の増大、船舶の低価格化などによりプレジャーボートの数が増加しており、本県では約六千四百五十二隻が確認されております。このうち、マリーナなどの係留・保管施設を利用しているものは、公共施設、民間施設を合わせて一千三十六隻。したがって、五千四百十六隻は放置艇となるわけであります。放置艇割合は八三・九%。近畿地区では最も高い割合を示しております。もちろん、奈良県にはプレジャーボートはほとんどありませんから、奈良県は除外されます。
こうした中、海や河川などに無秩序に係留されたプレジャーボートのため、漁船など他の利用船舶の係留・保管の阻害や港内の安全航行に支障が生じ、一部の心ない利用者によるごみの投棄や違法駐車等、地域社会でさまざまな問題を引き起こしております。また、河川などの不法係留は景観を悪くしているばかりでなく──中に、何といいますか壊れた船といいますか難破船と申しますか、大変見苦しい限りであります──しゅんせつとか、また橋をつくるときなど公共工事への大変大きな障害になっております。
地震による大きな津波──本議会、南海地震の議論がたくさんなされております。先日も行っておりましたが、津波の潮位の高さが四メーター、五メーターとなってまいりますと、一気に河口から津波が押し寄せてまいります。それも、上流に行けば行くほどその津波の勢いが増してまいります。無秩序に係留された放置艇は、一気に物すごい勢いで川の上流まで押し上げられます。そしてまた、物すごい勢いで引き下げられまして、そしてまた押し上げられるというような、もうプレジャボートの放置艇がおうちの庭先まで飛び込んでくる、家まで飛び込んでくるという事態まで考えられるわけであります。
船舶を係留することは、排他的、独占的に河川の水面を使用するものでありまして、河川法第二十四条の河川区域の占用に当たります。河川管理者の許可が必要であります。また、桟橋や係留くいの設置は、河川法第二十六条の許可を必要とするわけであります。すべてと言っていいくらい、許可は与えられていないと思います。申請が来たら、県の河川行政では許可はなされないというふうに思うんですね。したがいまして、河川法上、河川管理者の許可を得ずに河川に不法かつ無秩序に係留されている船舶、プレジャーボートと係留くいの設置については、河川法第七十五条第一項に基づき、当該船舶の所有者、施設の設置者等に対して河川管理者の県は当該船舶等の撤去を命ずる監督処分を行うことができると、このようになっております。所有者がその処分に従わない場合は、行政代執行法に基づいて河川管理者の県はみずから当該船舶を撤去することが可能になるわけであります。これも、河川法の平成九年改正でこのようになったようでございます。
このいわゆる放置艇問題は、プレジャーボートの保管施設が不足して、一定のルールのもとに水域や施設の利用が行われていないことが大きな要因であると考えます。
また一方、県内の水上オートバイも年々増加の傾向を示し、現在約千五百五十隻の保有が確認され、これも騒音等、地域社会との問題が顕在化しております。
ようやく、昨年六月に小型船舶の登録等に関する法律が成立をいたしまして、本年四月一日から施行されました。この法律によって小型船舶の登録制度が始まり、総トン数五トン未満の小型船、プレジャーボートも新たに登録が必要になりました。法治国家でありながら不法係留、放置艇が野放しになっている状態というものは、一日も早く改善しなければならないと思うわけでございます。
この課題につきましては、平成十一年の九月に、こちらにおられます井出議長、先輩議員、さらには平成十二年六月に、先輩議員であります中山議員が質問をされております。そして一方では平成七年の五月に、当時の和歌山の行政管理局から、この不法係留、放置艇を改善するようにという勧告も受けられておるわけでございます。
実は、写真を何枚か撮ってまいりましたので、ちょっとご紹介をさせていただきたいと思います。(写真を示す)幾つもあります。これ、土入川なんですけれども、何といいますか、放置艇、プレジャーボートのラッシュ。これはもう許可を得て係留しているように堂々と、みんなでやれば怖くないと、こういう世界じゃないかと思うんですね。それとか、こういう──これはちょっと少ないですけれども。きちっと係留くいを打って、パイプで桟橋をつくっているんです。さっき、私が難破船と言いましたけれども、こういうふうに非常に汚いんですね。ごみはたまるし、船が転がっているんですね。こういう状態。これなんか、もうすごいですよ。ひどいというかな。要するに、堤防に立派な船が乗り上がっているんですよ。これ、県の土地と違うんですかね。こういうこととか、まあ本当に目に余ります。まだたくさんあるんです。時間がかかりますから。知事、なかなかお忙しいでしょうから、ちょっと見てください。議長の方にもちょっとお見せします。申しわけないです。こういう形です。
放置艇問題は、本県にとって緊急の課題であると私は思います。私は、仮称「プレジャーボート・放置艇対策本部」を県に設置し、この問題の対応に当たるべきだと考えます。と申しますのは、いわゆる河川課だけの問題じゃなくて、港湾課もあるんです。そして、農林の分もあるんです。(写真を示す)実は、こんな立派な堤みたいに──これは池になっているんですよ。かつてはここに木材を置かれておりまして、港湾課の方でここに係留場所をつくろうや、公共のと申しますかマリーナをつくろうやという話があったみたいなんですよ。ところが、聞くところによりますと、木材の関係もあったんでしょう、農林部の方から反対があったと。できませんでした。これ、立派な堤──池でありますが、ここにしっかりとめていただければ見苦しいのは随分解消されると思います。
知事、申しわけありませんが、答弁いただきたいと思うんです。今まで平成十一年と十二年は、ちょうど西口知事の体調が大変すぐれない時期でございましたし、私どもはできるだけ知事の答弁を控えよというふうな時期もございまして、当時、土木部長の答弁だったんです。それをあえて知事に、この状態はまことに遺憾だ、改善していきたい、対策を講じますと、その一言だけで私は十分だと思うんですが、ひとつ明快な答弁をお願いしたいと思うんです。水上オートバイ対策とあわせてお聞かせいただきたいと思います。
一方、プレジャーボートや水上オートバイ、サーフィンなどのマリンレクリエーション振興のため、海の安全や環境の整備と保全に海洋立県として積極的に取り組むべきだと考えます。マリンレジャー特区の創設を検討されたらどうかと考えます。あわせてお答えください。
次に、マリンレジャー事故とその対策についてお尋ねいたします。
県は、放置艇問題の解決とあわせ、マリンレジャー振興のため、プレジャーボート利用におけるモラルの確立と秩序づくりを進め、マリンレジャーを県民の身近な楽しみとして育て、普及していくためにどのような施策を今日まで講じてこられたのか。甚だ寒い感じがいたします。
今日、プレジャーボートや水上オートバイなどによるマリンレジャー事故が年々多発いたしております。モーターボート、水上オートバイ、サーフィンなどのマリンレジャー事故は、過去五年間で百四十七件、平均しますと約三十件──厳密に言うと二十九ですけれども──死者がこの五年間で二十二人、負傷者が百三十七人。特に平成十二年は三十七件のマリンレジャー事故が発生しております。自動車の保有台数は、もう何十万台ですね。その数六千隻と言われるプレジャーボートや、そういう状況の中にあっても、事故の数は大変多いと私は思います。大変憂慮いたしております。この現状と今後の対策について、県警察本部長、どうぞ明快にご答弁をいただきたいと思います。
次に、プレジャーボートなどへの課税についてお尋ねいたします。
現在、県では税制度調査検討委員会で、自主課税権に基づいて環境税や水源涵養税の検討がなされておるようであります。税は自主財源の確保という視点だけではなく、一定の施策の目的を持って課税するものであるということは申すまでもありません。今日の無秩序に放置されたプレジャーボートなどの放置艇問題を解決するために、プレジャーボートの保管施設、公共マリーナ建設整備は緊急の課題であります。しかし、この公共マリーナの整備というものは、本来、受益者負担で行うべきだと思うんですね。持っていない人は関係ないわけでありますから。そうなりますと大変な利用料となります。そこで、この公共マリーナの建設とか整備、また環境の整備といった視点で、そういうのを目的として、自主課税権に基づいてプレジャボートや水上オートバイなどに法定外目的税として一定の課税をしたらどうかと考えます。
五十ccのバイクでも、千円の税金がかかるんですね。あらゆる自動車は地方税がかかっております。道路という公共施設を利用します。一方、プレジャボートや水上オートバイは、いわゆる公有水面を利用するんです。県民の、国民の財産である公有水面。水上バイクからはいろんな排気ガスが出ます。そして琵琶湖においては、もはやツーストロークのオイルとガソリンとまぜ合わせのエンジンは使用禁止となっております。そしてまた住宅地の近辺においては、滋賀県の琵琶湖では、水上オートバイが使用禁止となっているわけでございます。したがいまして、法定外目的税として一定の課税をしたらどうかと私は考えます。ご見解を承りたいと思います。
最後になりました。盲導犬などの補助犬の普及と啓発についてお尋ねいたします。
私は平成十一年九月定例会の一般質問で、障害者の自立と社会参加をテーマに、盲導犬の普及と啓発について質問いたしました。そのときは、こちらにおられます同僚・先輩議員の皆様のご協力を得まして、盲導犬ココとともにこの議場に入らせてもらいました。盲導犬を伴う障害者の宿泊施設・飲食店の利用、狂犬病などの予防接種、それから障害者と盲導犬との在宅での訓練、ハーネス(胴輪)の給付などについてお尋ねいたしました。いずれも当局のご答弁は、「検討してまいります」、「国と協議してまいります」、「宿泊施設や飲食店の十分な理解を得てまいります」という答弁でございました。
その後、県では盲導犬が利用できる施設である旨のステッカーをつくりまして、宿泊施設や飲食店に協力を呼びかけました。しかしながら、昨年でございましたか、盲導犬同伴での宿泊が拒否されたとの新聞報道も本県でございました。幸い、障害者の自立と社会参加の権利を拡大することを目的とした身体障害者補助犬法が、本年の五月二十二日、成立いたしました。盲導犬や体の不自由な人を手助けする介助犬、聴導犬を身体障害者補助犬と定め、公共施設や公共交通機関などでの受け入れを義務づける身体障害者補助犬法がことし十月から施行されることになります。さらに来年の十月からは、不特定多数の人が利用する民間施設でも、やむを得ない場合を除き、補助犬の同伴を拒否できなくなります。また、職場の事業主、賃貸住宅の家主に対し、補助犬を拒まないよう努力義務を規定しております。補助犬の使用者には補助犬の衛生状態の確保、また十分な管理に努めるよう求めております。
本県は、観光立県として多くの宿泊施設を持っております。また、飲食店も抱えております。知事は身体障害者補助犬法の成立をどのように受けとめられ、今後、公共施設や盲導犬などの補助犬を伴う障害者の宿泊施設・飲食店等の民間施設での利用についてどのように啓発に取り組まれるお考えか、お聞かせください。
また、身体障害者補助犬法には、補助犬の使用者には補助犬の衛生状態の確保、また十分な管理に努めるよう求めております。当然、補助犬などの犬には健康保険は利用できません。盲導犬などの補助犬の医療費は結構かかるそうであります。年齢を重ねてまいりますと獣医師、病院へ行く機会もふえるようであります。
そこで、獣医師会の皆さんの温かいご協力を得て一定の医療費を補助している自治体もあるわけでありますので、本県も獣医師会の皆様のご協力を得まして補助犬の医療費の補助ができないものか。
さらに、本県では、現在働いている盲導犬は九頭であります。なぜ盲導犬が普及されないのか。それは、一カ月以上かけて使用者と盲導犬が、在宅ではなく施設でトレーナーとともに訓練を受けなければならないという課題があります。鍼灸、マッサージの仕事を休んで、施設に泊り込んで訓練を受けるわけであります。仕事を休んでの訓練は、障害者にとって大きな経済的な負担になるわけであります。
そこで私は、平成十一年九月定例会の質問の中で、在宅で使用者と盲導犬が訓練を受けられないのか、質問をいたしました。いまだ結論が出ていないようであります。在宅訓練についてどのように検討されてきたのか。使用者と盲導犬が施設で訓練を受けるための補助ができないのかどうか。県当局の前向きのご答弁を強く求め、私の第一回目の質問とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まずワールドカップサッカー、デンマークチームキャンプの感想ということでございます。
デンマークという非常にいい国が和歌山でキャンプを張ってくれて、そしてまた韓国での一次リーグを勝ち抜いて、そのときにもデンマークの人たちは、和歌山へ帰りたいがために自分たちは頑張ったんだというようなことを韓国で記者会見で言うというふうな、本当にいい形のキャンプとなったと思っております。これは、デンマークの選手団がよかったということと、それから受け入れ側の和歌山県の関係者、そしてまた一般の県民の人たちの気持ちがぴったり合って、お互いどちらも相手をいいなというふうに思い合ったことから出てきたことだと思っております。
最後の日は朝の七時に和歌山を出発したようでございますけれども、そこにも数百人の人が集まるというふうに、日を追って県民との交流が高まったと。私も、新潟まで行って応援してまいりました。これはちょっと非常に残念な結果ではありましたけれども、しかしながら本当にファアなプレーを見せてもらって心温まるものがあったと考えております。
そして、せっかくこのようにデンマークと和歌山県との関係ができたわけですので、これを今回限りのものとするのじゃなくて、何とかいろんな形で今後つなげていきたいというふうに思っております。これについてはまた県議会の皆さん方の、こういうふうにしたらいいんじゃないかという考えとかいろいろお聞きしながら、いろんなやり方があると思うんですけれども考えていきたいと、このように思っております。
次に、バーチャル和歌山の現状でございます。
いろいろ頑張ってこの会社を立ち上げたわけでございます。そしてまた、その後、サイトビジネスと言うんですけれども、これは全国的にあって非常に厳しい中で、会社としてはいろいろ努力を繰り広げているというのが現状でございます。そして、その中にありますバーチャルの和歌山わいわい市場というものにつきましては、去年のお歳暮のときには大分売れて、その後もだんだんと売れてはきているのですけれども、私自身はわいわい市場置きざお論というのを提唱しておりまして、釣りでも、自分でずっとさおを持っているのは大変だけれども、置きざおだと何本も出しておいたらいつかまたぱくっと食いついてくれるというふうなこともあるわけなんで、できるだけ和歌山県内でいろいろなほんまもんのものをつくっている人たちがこのバーチャル和歌山に──出店はただですので、出店していただいて和歌山からのいろいろな物産の発信をしていただくということを願っておりますし、中だるみにならないように今後とも県としてもいろんな形で関与していきたいと、このように思っております。
次に、IT化への取り組みでございます。
ITにつきましては、ご承知のとおり技術進歩が大変目まぐるしい分野であり、県行政としても絶えずその果実を積極的に導入し、常に県民、地域の視点に立ってITを真に県民生活に根差した経済基盤として整備していくことが重要であると考えております。
例えば、県民の方々の意見を電子メールでいただく知事と親しメールがございますが、この一年間で六百件近い意見が寄せられており、施策立案にも役立たせていただいております。
電子会議室の設置につきましても、既に一部の政策テーマで実施しているところでございますが、今後、電子県庁を推進していく上でインターネットを活用したパブリックコメントや情報公開とあわせてさらに充実してまいりたいと考えております。
なお、IT広報についてでございますが、県政への取り組みに対する理解と協力を得るため、あらゆる広報媒体を通じて県民の皆さんに情報提供しているところでございますが、インターネットによる動画と音声での配信につきましては、今後関係機関と十分協議しながら検討してまいりたいと考えております。
次に、地域の社会経済基盤としてのITという観点からは、ITを活用して本県の大部分を占める過疎、山間部の再生をいかに図っていくかが最も重要な課題であり、これをルーラル型IT推進という形で進めてまいりたいと考えております。これについては、高速情報通信基盤を活用した医療、防災等の公共システムの導入を先導的、集中的に実施する地域を県のIT特区として位置づけ、総合的な支援を行っていきたいと考えております。まず、今年度中に新宮広域圏で新世代CATVを整備することとしておりますが、通信基盤としてさらに高い能力を持つ光ファイバーの活用についても検討を進めてまいります。
それから、田辺・白浜地域においてはIHS構想を進めております。これはイノベーション・ホット・スプリングスというものでございますけれども、これについて、先日、私が東京へ参りまして、総務大臣にじかに会って、来年度、全国でこのITを活用したモデル地域を指定というふうな動きがありますので、全国で二、三地域になると思いますけれども、これにぜひ田辺・白浜地域──今、ITセンターをつくったり、セキュリティーの会議が開かれたり、そして新しいオフィスを企業の保養所等を利用してつくるなどいろんな活動があるし、そして飛行場もあるので、非常にいい地域ですというふうな話を先日してまいりました。この指定について強くこれからも要望して、何とかこの田辺・白浜地域を和歌山のIHS構想の中心として進めていきたい、このように思っております。
次に、マリンレジャースポーツについてのご質問です。
海洋リゾート立県を目指す本県にとって、海洋性レクリエーションの健全な発展を図る必要があり、公共水域の秩序ある利用を実現していくことが不可欠でございます。
放置艇の現状につきましては種々問題が顕在化しており、収容施設の不足と水域利用のルールが定まっていないことに起因しているようでございますが、この対策として、民間施設の活用も含め、収容施設の整備に取り組むとともに、水域における規制措置を検討してまいりたいと考えております。
また、水上オートバイ対策については、今後、関係機関と連携してルールやマナーの啓発に努めてまいりたいと考えております。
次に、マリンレジャーの環境整備と特区構想についてでございます。
今後、和歌山の活性化に向けては体験型観光の振興が大きな柱になるものと考えており、とりわけ本県の貴重な資源である海を最大限に活用することが不可欠であるとの認識のもと、その方策の一つとして、マリンレジャー産業の振興を図るとともに快適で安全にマリンスポーツを楽しめるよう、海面、沿岸部の流木除去など、海域の景観及び水質の保全や利用者の安全確保といった環境整備に積極的に取り組む必要があるということについては同感でございます。
その取り組みの一環として、昨今、国や多くの自治体で検討され、あるいは提案されている特区制度について、本県からも去る五月に和歌山の特性を生かした特区構想として、緑の経済特区、IT企業特区とともにレジャー特区の創設を国に対し提案したところでございます。このレジャー特区構想の核心をなすのが、まさに先ほど申し上げた多様なマリンレジャー産業の集積を図ることであり、そのため、マリンレジャーの主たる場となる港湾区域における諸規制を緩和し、民間事業者による公共用地や水域等の有効活用を通して低コストで良質なサービスの提供を促進しようとするものでございます。
今後、国においては内閣官房に構造改革特区を推進するための組織を設置し、その具体化を図ることとされておりますので、こうした国の動向をいち早くとらえながら、本特区構想のさらなるブラッシュアップを図り、特区制度の活用に向けて対応してまいりたいと考えております。
次に、今国会において可決されました身体障害者補助犬法につきましては、身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化を図り、もって身体障害者の自立及び社会参加の促進に寄与することが法の目的でございます。この法律は、国会において全会一致で可決成立したことでもわかりますように、多くの人々が待望した法律であり、心の豊かさを目指す二十一世紀に生きる人間のための法律として大きな意義を持つものと認識しております。
今後、これを機会に身体障害者補助犬の普及をさらに一層図るとともに、啓発につきましては、関係機関、関係団体はもとより県民の方々に広く理解を求め、認識を深めていただくため、「県民の友」、テレビ・ラジオ、ホームページの開設などを通して周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) IT基礎技能講習についてお答えを申し上げます。
昨年度実施いたしましたIT講習会は、IT利活用のすそ野拡大を図ることを目的に開催したものでございまして、一年間の集中的な実施により、ひとまず所期の成果を上げられたものと認識してございます。
民間のパソコン教室が急速に増加しつつあることから、継続して県民全般を対象としたIT講習会を開催するということは予定してございませんが、インターネット普及率の向上に向けて、今後、市町村ともよく協議してまいりたいと存じます。
なお、本年度は、過疎地域など民間のパソコン教室での受講が困難な地域につきまして、町村と共同して高いIT技能を有するITプランナーを設置し、質の高い講習会の開催を行うこととしてございます。また、高校生を対象にIT技能の向上を目指す「IT YOUTHインキュベータ」事業を実施するほか、障害者の方々を対象とした講習会も開催していくこととしてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) プレジャーボートなどへの課税についてでございますが、ご指摘のとおり、いわゆる地方分権一括法施行後、法定外税の検討などが盛んに行われております。これらは、地方税源の充実を図ることよりも特定の政策課題を解決するための方策として検討している団体が多いことも事実でございます。そのような状況の中で、プレジャーボートへの課税について検討している団体もあるところでございます。全国的には、過去には類似の税を実際に課税した市町村もあったところでございますが、徴収上の問題なども発生したと聞いております。
プレジャーボートなどの放置艇問題は大きな問題でありますので、プレジャーボート課税について他府県の事例を研究したり、税を手段とすることがふさわしいものであるか、あるいは税以外により適切な手段がないのかといったことなども含めまして検討していきたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 盲導犬などの補助犬の普及と啓発に関する二点についてお答えいたします。
身体障害者補助犬の医療補助についてでございますが、先般、県獣医師会に、補助犬の狂犬病予防注射料の軽減を検討していただくよう要望いたしました。今後も、補助犬の医療費負担の軽減等を関係機関に働きかけてまいります。
次に、在宅訓練の課題と施設訓練への補助についてでございます。
盲導犬を取得するためには、盲導犬と障害者の方の信頼関係の確立が必要であります。このため一カ月程度の訓練が必要で、現在、大阪にある訓練指定施設の社会福祉法人日本ライトハウスで訓練を受けていただいております。
なお、在宅訓練につきましては、入所訓練同様の時間を必要といたします。また、この間の経費負担等、課題も多く、実現しておりません。
今後、補助犬を希望する人の負担をできるだけ軽減し、普及を促進するため、国の動向等を見きわめながら検討してまいります。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ワールドカップに関連して、サッカーの振興策についてお答えいたします。
このたびの本県でのキャンプを通して、デンマーク代表チームには大変多くのものを残していただいたと考えております。世界の一流選手たちのプレーを間近で見学できたことやサッカースクールを通じて指導の機会をつくってもらったことなど、サッカーを志す少年たちには一生忘れることができないほどの大きな夢と希望を与えてくれたものと思っております。
このキャンプを契機として本県のサッカーを一層振興させるために、スポーツ指導員養成講習会やスポーツ少年団指導者研修会などにより指導者の資質向上に努めるとともに、関係機関と協議し、環境の整った競技場の整備に努めてまいります。
また、県サッカー協会では、他の競技団体に先駆けてトレーニングセンター方式により優秀選手の育成に取り組んでおり、教育委員会もこれに協力して、重点種目を対象にしたジュニア一貫指導システム構築事業を活用しながら組織的な競技力の向上に努めてまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 警察本部長岩井良行君。
〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) マリンレジャー事故とその対策についてお答え申し上げます。
ご指摘ございましたように、本県の過去五年間のマリンレジャースポーツ事故は、発生件数百四十七件、死傷者百五十七人でございまして、人口比率で見ますと全国水準よりも高い水準にあるということが言えようかと思います。
事故の内容を見てみますと、サーフィンの事故が七十八件、五三%で、死傷者数は八十一人、五五%、水上オートバイの事故が二十二件、一五%で、死傷者数が二十八人、一九%と、サーフィンと水上オートバイの事故で事故の七〇%を占めておるという現状になってございます。その主な事故の原因を見てみますと、操縦ミスによるものが五十五件、三七%、悪天候無視によるものが四十件、二七%、無謀操縦によるものが十一件、七%というようなことになっておりまして、初歩的な操縦ミスやルールを無視する、あるいはマナーが欠如しているといったことに起因するものが多く見られるというのが現状でございます。
県警察といたしましては、これまで水上警察隊を中心に船舶職員法違反、マリンセーフティ条例違反の取り締まりを実施し、平成十三年中には、水上オートバイを無免許で操縦していた四人を検挙したほか、二百四十七名に対しまして警告・指導を行い、本年も既に無免許で二人を検挙し、二十二人に警告・指導を実施しております。
しかしながら、先ほど申し上げましたようにルール無視やマナーの欠如による事故も多いことから、広報啓発活動が一層重要になってきております。このため、財団法人和歌山県水上安全協会と連携してポスター、チラシ、横断幕等による広報啓発活動を行い、マナーの向上に取り組んでいるところでありまして、本年四月三十日には同協会と水上警察隊が連携して水上オートバイ使用者のマナー向上講習会を開催したところでございます。
今後、本格的なマリンレジャースポーツシーズンを迎えますことから、水上警察隊、航空隊を中心に各警察署が連携して陸・海・空からの取り締まりを強化するほか、関係機関、団体との連携を密にしてマリンレジャースポーツ愛好者に対するマナー向上研修会の開催や広報啓発活動を推進していくなど、総合的な安全対策を進めていく所存でございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、江上柳助君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十六分休憩
─────────────────────
午後一時二分再開
○副議長(堀本隆男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十七番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、早速、質問に入らせていただきます。
まず初めに、紀伊丹生川ダム問題についてお尋ねをいたします。
紀伊丹生川ダムの建設計画中止については、昨日、木下先生からご質問がございましたので、ダブるところもあろうかと思いますけれども、ご了承願いたいというふうに思います。
紀伊丹生川ダムの建設計画は、このたび国土交通省近畿地方整備局から中止の発表がありました。六月五日の紀の川流域委員会にも報告されたようであります。
知事は、今議会のあいさつで以下のように述べておられます。「当初の計画目的である治水、利水、河川環境面における紀の川流域の整備については、今後とも国において適切な対応が図られるよう強く求めてまいりたい」と申されています。
私は先日、このダム計画で水没予定地とされてきた九度山町北又地区や橋本市の宿地区に参りまして、住民の方々からご意見を伺ってまいりました。知事の発言からは、この二十数年間もの長きにわたって、ふるさとがダムの底に沈んでしまうのではないか、沈んでしまうところだからと行政の施策から放置されてきた住民の皆さんの心に思いを寄せる言葉がなかったこと、これは大変残念に思った次第です。
また、鈴木近畿地方整備局長は、「水没予定地にお住まいの方を初め、地元市町に長年にわたり大変なご心労、ご苦労をおかけいたしました。今後、誠意を持って説明させていただき、和歌山県の協力も得ながらご理解を賜りたいと思っています」とのコメントを出しています。本当に住民の方々は、大変な心労、苦労をされてきたと思うわけです。
このダム計画は、一九七四年の紀の川工事実施基本計画で治水対策として紀伊丹生川でのダムの必要性が指摘され、県が七七年から七九年にかけて和歌山県の水需要と水資源活用構想に関する調査を行い、八〇年から八三年にかけて紀の川水系水資源開発調査が行われてきました。国は、七九年から予備調査に入っております。八五年に県と国との間で国の直轄事業として実施計画調査に入ることを確認したわけです。そして、紀伊丹生川ダムからの水を大阪へ送る利水協定が大阪府との間で結ばれ、八九年から国の実施計画調査が始まっております。このように、紀伊丹生川ダムは和歌山県の計画として始められ、国の直轄事業となったものです。和歌山県としても、住民の皆さんに本当に長期間苦しい思いをさせた責任があるはずです。
ダム予定地は、橋本から高野山に通じる国道三百七十一号線が走っています。ところが、とても国道とは言えない。自動車が交互通行できない箇所が無数にある山道です。これもダムができればと引き延ばされ、あるいはダムができなければ現地の現道整備をしないとされ、放置されてきたところです。また、北又地区のあるお年寄りの方が言っておられました。「どうせ沈む家だからと改築も修理もしないでほうっておいたが、これからも住み続けることができるとなったのだから、あちこちの修理をしなければ」と、寂しくおっしゃっていました。また、昨年の六月、北又橋の流失で集落に入るまで大変遠回りをしなければならず、不便で心配な生活が続いてきたところです。宿地区では、家に車の入らない道のままになっていて、家で病気になったら下の国道までおりる道がないと話しておられたのも印象的です。
玉川峡は県の指定する数少ない名勝の地でございます。今、アユが解禁となり、釣果も多いとのことです。アユのすむ清流を守るためにダム建設に反対の決議を上げて頑張ってきた玉川漁協は、これからは釣り客の皆さんが楽しんでくれる玉川峡にしていくと話しておられました。玉川峡がダムによって汚されないで残されたことは、本当に喜ばしいことではないでしょうか。
国土交通省の職員は建設中止を発表した後、すぐに北又や宿地区に来られて住民の方に説明をしたようですが、果たして和歌山県は、これまで積極的に協力してきた、そういう点からも現地の方々への説明を行ったのでありましょうか。国道三百七十一号線の現道整備や待避所の設置など、住民の皆さんが望んでおられる問題について早急に対応していただきたいと思います。土木部長、いかがでしょうか。
また、住民の方や関係者から意見を聞く場や会議を設定する考えはございませんか。企画部長の答弁を求めるものです。
私は、何回も丹生川に行ってまいりました。山の土砂崩れが北又地区に入るところから各地で見かけることができました。山肌が大きく崩壊して大きな根っこが谷底に幾つも転がっています。水没するからと、災害復旧も十分にされないまま放置されてきたのではないかと思います。緑の雇用事業をおっしゃる和歌山県が土砂災害を放置することは許されないと思うのです。昨年六月に北又橋が流失をしたのも倒木が橋げたに当たって橋が落ちてしまったのですから、山と川を守り、住民の皆さんの安全を守るためにも、川に入り込んでいる土砂や木の根っこ、倒木を処理することがまず必要だと考えますが、土木部長、見解を求めたいと思います。
次に、教育長と商工労働部長にお尋ねをいたします。
ご存じのように、玉川峡は県内に六カ所しかない県指定の名勝の一つです。保護をするために指定をしてきたのでありますから、訪れた方々に名勝としての値打ちや保護の意義を呼びかけることが必要ではないかと思います。とりわけ、この間、紀伊丹生川ダム建設を考える会の皆さんがクマタカの営巣や四十八石というすばらしい奇石を発掘、あるいは鍾乳洞が発見されるなど、これまた保全が望まれるところです。また玉川峡には年間二十五万人の方々が訪れるということですから、貴重な自然が残された地域でもあります。自然を残したまま都会の方に来てもらえる観光策を求めたいと思います。教育長と商工労働部長の答弁をお願いするものです。
住民の方の中には、ダムの中止で公的補償を求める声もたくさんございました。国土交通省の職員は「補償はしない」とはっきりと言っているそうです。住民の皆さんを長い間苦しめておきながら、こんな言い方はないと私は思うのです。鳥取県では、一昨年、三朝町に計画していた中部ダムの建設を中止し、それに伴って五年間で百六十八億円の地域振興策が立てられたと聞いています。その中で、水没予定地だったため住宅改修も手につかなかった住民に配慮して一戸当たり三百万円を上限とした住宅改修への補助金や高齢者のバリアフリー対策のための補助金、上限が八十万円だそうです。また、二つの集落に対して県が五千万円ずつ、町が一千万円ずつ援助しているそうです。地域の公民館も今年度に完成すると聞いていますし、圃場整備を援助するなどの振興策を積極的に進めていると聞いています。
国と協力してダム建設計画を進めてきた和歌山県として、こうした鳥取県の姿勢に学んで国に公的補償や地域振興策を要望するとともに、県としても誠実に対応することが今大切ではないかと考えますが、企画部長、見解をお示しください。
二つ目の質問に入ります。
県民の健康を守り、さらに水準を向上することについて、ご質問を申し上げていきたいと思います。
だれでも、健康でありたい、心豊かに暮らしたいと願っています。高齢化が進む中にあっても、健康を守り発病を予防することが何より大切なことではないでしょうか。
国は、第三次国民健康づくり対策として「健康日本21」を定めています。目標達成期間を平成十二年度から二十二年度までの十年間とし、すべての国民が健康で明るく元気に生活できる社会の実現と、早死にの減少、痴呆や寝たきりにならない状態で生活できる期間延伸などを目的に健康づくりを総合的に進めるとしています。平成十二年からの対策でありますから、本県においても具体的な計画が策定され、そして市町村とともに進められているのでありましょう。どのような特徴ある和歌山県の計画になっているのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
ふだんから病気にならないように気をつけるとともに、病気の原因となるものを予防、改善することが大切だと思います。すなわち、日常生活を見直してみることだと思うのです。そして、定期健診などで病気を早く見つけること、病気にかかったら治療を最後まできちんと受け健康を取り戻すことが何よりです。
本県における生活習慣病による死亡率は、人口十万人に対し悪性新生物──すなわちがんですが──全国で六番目、心臓疾患で見ると全国第二位、脳血管疾患で全国二十三位です。中でも、胃がん、肺がんは全国で三位、四位、そして大腸がん八位と高い水準にあります。女性特有の子宮がんは全国第四位と高く、乳がんは第四十二位と低い位置にありますが、しかしこれもまた改善が必要だというふうに思うわけです。
四十歳以上の老人保健事業による基本健康診査を見てみますと、平成十一年度の受診率は、全国平均が四〇・四に対し和歌山県は二八・四で、全国四十三位という大変おくれた部分にあります。平成十二年度についても、少しは改善されたものの全国水準にはほど遠い位置であり、これを急いで全国水準までに引き上げるための対策が求められるのではないでしょうか。
住民健診は市町村事業でありますけれども、市町村においてもこれまで受診率を高めるための取り組みがさまざまな形で進められているようです。そこで最も大事なのは、県が市町村とご一緒につくり上げてきた県民総合健診センターが非常に大きな役割を果たさなければならない、このように思うわけです。このセンターは、県を初め、和歌山市を除く県下全市町村の出資と県医師会や病院協会、県共済連、農協連、県漁連、生命保険協会、県保連、そして対がん協会、結核予防会などの出資金によって設立され、運営されてきたところです。
仕事は、検診車による健診活動を中心に、各市町村や事業所の要望に沿って活動を実施していると聞いています。これまでの豊富な経験と高い技術を生かしたさらなるセンターとしての住民健診に努力されることが大いに期待されるところです。最近は医療機関においても健診事業を行うようになっていますから、センターから医療機関に変更する市町村もふえてきていると聞きます。これは料金問題や、あるいはなるべく近いところでいつでも健診が受けられるという利便性といった条件も考えられるところですが、どのような原因によるのでしょうか。非常に疑問に思うところです。
県は、健診事業の中核である健診センターの今後をどのように充実発展させようと考えておられるのでしょうか。関係部長の答弁をお聞かせください。
健診率を引き上げるために、私は提案をしたいと思います。これまで桃山町や貴志川町ほかの幾つかの町村で健診率を引き上げるためいろいろな工夫をされていると聞きます。こうしたすぐれた経験を他市町村にも広げることはもちろんのことでありますが、この際、県下に幾つかの自治体をモデル地域に指定し、住民参加による健康づくりを進められたらいかがなものでしょうか。この際、県は積極的な財政支援も含めた支援をすることも忘れてはなりません。関係部長の所見をお聞かせ願います。
次に、臓器移植問題についてお尋ねをしていきたいと思います。
一九九七年七月十六日、臓器移植法が制定をされ、十月十六日から施行されてきました。そして、早くも四年八カ月が経過をしているところです。これまで十九件の脳死患者から臓器提供を受けて移植が行われてきたと聞きます。今なお移植を受けるため日本臓器移植ネットワークに登録して待機している患者は、五月三十一日現在、心臓で六十名、肺で五十二名、肝臓で四十九名、腎臓では一万二千八百八十名、膵臓が五十六名に及んでいる状態にあります。
旧厚生省保険医療局は、我が国における脳死臓器移植の現状を、年間の脳死者数三千人から八千人と言っており、そして肝臓移植の必要な患者数は年間約三千人、心臓移植の必要な患者数は年間約六十人から六百六十人いるとしています。法律施行に一点の光を見た思いで私は期待をするものですが、助かる唯一の移植を待っている患者にとっては、待てる時間的余裕には限界があります。一刻も早く移植手術が可能となる環境を保障することが望まれるところです。
私自身も、人の死という生命の尊厳にかかわる重大な問題として改めて認識を深めなくてはと考えている次第です。臓器移植について国民的理解と合意を得るにはまだまだ時間がかかると思うのですが、行政や関係する医療機関などと国民が共同してさまざまな取り組みを強化することが急がれるところです。
そこで、移植法第三条に「国及び地方公共団体は、移植医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずる」ことを責務として明記しているところです。本県におけるこれまでの取り組みと今後の具体的取り組みについて、関係部長の答弁を求めるものです。
また、アメリカを初め欧米諸国では、既に一九七〇年代後半以降、法制化が進みました。脳死移植は通常の医療行為として認められ、その事例も年間三千から四千件に上ると伝えられています。昭和五十九年から平成十二年までの十七年間に、心臓移植を受けるため四十八名の患者が海外渡航しているそうです。十五歳以上を臓器提供の有効年齢と定めているために十五歳未満の子供からの臓器提供は受けられないことから、生きたい、助けたいという強い願いは海外に頼る以外ないのが現実ですし、それでなければ死を待つという耐えがたい状態を患者や家族に強いることになっています。命を救う機会が子供にだけ奪われている現状をこのまま放置していいのか、疑問でなりません。
今、国ではこうした移植法の改正が検討されていると聞いているところです。どのようなことが検討されているのでしょうか。わかる範囲で結構です。関係部長からお聞かせ願いたいと思います。
さて、既にテレビ、新聞、ビラ等でご存じのことと思いますが──こうしたビラを皆さんごらんになったことがおありと思います。(現物を示す)和歌山市在住の青陵高校一年生、竹井俊隆君の心臓移植を受けるための医療費を初めとした諸経費支援について、この場をおかりしてお願いをするものです。
竹井俊隆君は、現在大阪の国立循環器病センターで拡張型心筋症のため補助人工心臓を装着して国内での心臓移植を待って一年間が過ぎてまいりました。しかし、これ以上国内での早急な移植が望めないため、並行してアメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校UCLA附属病院での移植を受けることになっています。しかし、渡航費や手術費、そして滞在費など、約九千万円という個人では到底負担できない巨額が必要となりました。一日も早く渡航できるようにと「としたか君を守る会」が結成をされて、会は全国にインターネットやさまざまなマスコミを通して訴えています。そして、大阪府下あるいは和歌山の各駅、スーパーなど、また労働組合や各種団体、そして高校など、さまざまな方々に協力をお願いして募金活動を進めているところです。県庁においても、正面玄関や北門、あるいは県庁内でも多くの方々に協力をいただきました。六月二十日、きのう五時現在で三千十九万円余りの募金が寄せられました。これまで募金を寄せていただいた皆様に、この場から感謝のお礼を申し上げたいと思います。そして、一日も早く渡航できるように、さらなるご支援を心からお願いをしたいと思います。どうかよろしくお願いをいたします。
ここで、国内移植を受けた場合と海外での移植にかかる諸費用を調べてみました。国内では、心臓移植手術費として保険適用されないため千五百万円、患者負担です。ただし、国からの補助金として大学研究費あるいは高度先端医療として一千二百万円が支給されますので、自己負担金は三百万円です。臓器運搬のための飛行機チャーター費百万円から二百万円、移植後の負担は各種健保を使用し、二割から三割負担となります。これで国内では自己負担が五百万円から七百万円と、決して負担は軽いものではありませんが、必要であります。
一方、海外ではどうかと言いますと、すべて患者負担となるわけです。医療費として──いわゆる移植手術費ですが、これを海外の病院に前金として払わなければ医療ビザが申請できないことになっているそうです。これに五千二百万円から六千七百万円が必要とのことです。医療費予備費あるいはCCU一日数十万円から百万円、そして退院後の通院治療費一千二百万円から一千五百万円、渡航費に五百万円から一千七百万円、そして現地滞在費百七十万円から三百万円が少なくとも必要ということ。そして、それに加えて事務経費百万円から三百万円だそうです。合わせて七千万円から八千万円、国内の十倍の費用が必要になるというびっくりしたお金でございます。
治療法として移植しかない、しかも早期に移植が国内で望めない現状と海外に望みをかけざるを得ない現実に、せめて渡航費あるいは医療費負担に助成制度の創設を国に求めていただきたい、このように思うわけです。同時に、県においてもできる限りの助成をお願いしたいというのが私の願いであります。知事の心温かい答弁を期待し、この問題について質問を終わりたいと思います。
最後に、有事法制に関連して幾つかお尋ねをいたします。
去る六月十二日、全国の知事また副知事が首相官邸で、有事関連三法案をめぐって国の方からの説明と関係閣僚との間で意見交換があったと報道がありました。その後、全国知事会が国に対して武力攻撃事態対処法の法制に関する緊急提案が要望として出されたところであります。この要望書は、我が国が直接武力攻撃にさらされる事態に至ったときは国、地方が協力してその事態に対処する必要があるという前提から問題を提起したものでありますが、内容そのものは現在提出されている法案の極めて重要な部分に地方の安全と住民福祉をつかさどる行政責任者としての疑問を呈したものであり、私も大きな関心を持って読ませていただきました。
その要望の第一は、武力攻撃事態の概念を一層明確にされたいというものであります。それはまさに法案の核心部分であろうかと思います。全国の知事の皆さんからこのような質問が出されるということは、法案の核心部分の概念がいかにはっきりしていないかを物語っているのではないでしょうか。
同時に、国会の議論の中で明らかになった幾つかの点で、私は大きな懸念を抱くものであります。それは、この法案が日本が直接攻撃を受けたときへの対処というだけでなく、周辺事態法によりアメリカ軍の戦闘作戦行為に日本が後方支援する際、日本の領土外においても、相手国からの武力攻撃が予測されたり攻撃のおそれがあると判断されたとき、この有事関連法が発動されるという点であります。つまり、日本の領土への武力攻撃でなくても、あるいはまだ攻撃にさらされていなくても、先制的に戦争態勢に入るということになります。政府も再三認めるように、あるいは中谷防衛庁長官の国会答弁にもあるように、日本がどこかの国から大規模な武力攻撃を受ける現実的な可能性はこの短期間の間には考えられません。しかし、周辺事態法との関連でアメリカとの共同作戦により紛争に巻き込まれるということは、それよりはるかに現実的です。そのような際、この法案が発動されるとするならば、それは日本を武力攻撃から守るということとは全く違った内容となってまいります。明らかに憲法にも反することであると、私は思うのであります。
全国知事会が国に対して最も肝要な武力攻撃事態の概念が不明確であると疑問を呈し、慎重審議を求めたことは大変貴重なことだと評価するわけでありますが、今申し上げましたような内容がこの法案に含まれている以上、県民の安全、福祉の立場から知事としてこの法案は認められないとすべきだと私は思いますが、知事のご所見を伺いたいと思います。
次に、要望事項の二番目についてです。
それは、国と地方公共団体の責務や役割分担に関係する点です。知事も記者会見で「よく見れば都道府県の仕事もはっきりしていない点もある」と語っておられますように、全国知事会がこの点を明らかするよう求め、さらにそれを定めるに当たっては地方公共団体の意見を十分に反映することを求めたのは当然のことではないでしょうか。
ここには二つの問題があると思うのです。一つは、この法案には自治体の権限に関する点で極めて重要な問題があるにもかかわらず、法案作成に当たって地方の意見を聞き取っていないということ。初めから、地方自治、地方分権の軽視あるいは無視の姿勢がここにあります。二つ目は、そこからの当然のことでしょうが、法案そのものに地方自治、地方分権の無視または軽視が色濃く出てきているということであります。法案は、武力攻撃の事態に際して地方自治体や指定された指定公共機関が国と協力をして必要な責務を実施する義務を規定しています。この点に関してその内容が不明確であると全国知事会は指摘しているわけですが、私はさらに自治権の侵害が重大な問題だと思うのです。それは、自治体が国と意見を異にして国の指示に従わないときにはそれを国が知事にかわって地方を無視して代執行できるとしている点であります。地方自治体の命運にかかわる事柄がまともに自治体の意思を問うことなく決定をされ、自治体はそれに強制的に従うことが命ぜられる仕組みになっているのです。これは国の戦争行為に直接影響を受けるその地域住民の意思を問うことなく当該地域を戦争協力に動員するものであり、憲法が想定する地方自治の理念に反するものだと考えるのです。
そこで、鳥取県の片山知事は「手足を縛られたまま自治体が責任だけ背負わされるのは耐えがたい」と、このように述べて大きな懸念を表明しておられます。知事にあっては、この点についていかがお考えでしょうか。
三番目の問題として、全国知事会議は国に対して、国民の不安を払拭して国民的な合意が得られるよう国会での十分な議論を尽くされたいとしています。私も大変貴重な意見だと考えますが、知事に対してさらに一歩踏み込んだ姿勢をお願いしたいと思います。
今提案された有事三法案は、その内容から見て憲法を逸脱するおそれが十分に心配されるところであります。このことが各界からたくさん疑問点を投げかけられていますし、法案自体の不備が指摘をされているところであります。有事法制が必要だとされる立場からもそのような意見が多いことも、知事はご承知のことと思うわけです。ついては、国家百年の計にかかわることでもありますから、この三法案は一たん廃案にされることを求められてはいかがですか。お答えいただきたいと思います。
これで、第一回の質問は終わります。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、臓器移植問題についてお答えを申し上げます。
臓器移植については、臓器を提供していただく方の善意に支えられておりますが、現状では国内での臓器提供者が少ないため、今回のように海外に渡航をされる方や国内で臓器移植の機会を待たれている方が多いことも認識しております。
今回の件につきましては、巨額な経費も必要なことから、ご家族や多くの県民の方々が募金を初めさまざまな形での支援活動をなさっておられます。県といたしましては、このような状況を国に伝え、臓器移植医療についてのさらなる充実を要望してまいりますとともに、できる限りの努力をさせていただきたいというふうに考えております。
次に有事法制についてでございますが、一括してお答えを申し上げます。
我が国が武力攻撃事態に至った場合には、国民の理解と協力のもと、国、地方が相互に協力して対処することが肝要であると考えております。しかしながら、現在国会で審議されております法案は、武力攻撃事態の概念に不明確さが残るとともに、具体的な地方公共団体の責務や役割分担並びに権限が明確でないこと、さらには国民の生命、身体及び財産の保護を図る国民の保護のための法制が先送りになっていること等が地方公共団体はもとより国民の不安が払拭されない要因であると考えておりまして、こうした地方公共団体や住民にかかわりの深い事項を早期に明確にするとともに、地方の意見が十分反映されることが必要であると考えております。
いずれにいたしましても、国民的合意が得られるべく国会で十分な議論を尽くすことを期待するとともに、私といたしましても、こうした観点から今後とも国に対して機会あるごとに意見を申していきたいというふうに考えております。
○副議長(堀本隆男君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 紀伊丹生川ダムに関する二点のご質問にお答えいたします。
まず国道三百七十一号の現道対策につきましては、地元の意向を聞きながら必要なものから優先順位をつけて順次対策を進めてまいります。
次に、北又川の倒木や土砂の処理についてでございますが、流水に支障のある箇所は緊急に撤去したところであります。今後、必要に応じ調査を行い、その結果を踏まえ、適切な対応をしてまいります。
以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 企画部長垣平高男君。
〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 紀伊丹生川に関連します二点について、ご答弁申し上げます。
まず、紀伊丹生川ダム中止に伴って、関係する住民等から意見を聞く場を設定してはどうかという点についてでございますが、ダムの中止に伴う水没予定地域の皆さんへの対策や今後の地域振興策につきましては国土交通省が誠意を持って解決に当たるべきものであり、県としては地元の意見、要望が十分反映されることが最も重要であると考えてございますので、国土交通省に対し地元及び県も参画した形での協議調整の場を設けることを強く申し入れてまいります。
続きまして、公的補償と地域振興策に対する対応についてでございますが、議員ご紹介の鳥取県三朝町の県営中部ダムの例につきましては私どもも承知してございますが、紀伊丹生川ダムは国直轄のダム計画でございまして、その中止に係るもろもろの問題につきましては事業主体である国土交通省が責任を持って解決していくべき事柄であると考えてございまして、国の主体的な対応を求めてまいります。県としては、関係機関と連携のもと、計画的に事業が実施されるよう積極的に対応してまいります。
以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 玉川峡の観光対策についてでございますが、奇石と清流の玉川峡は葛城高野山系県立自然公園に位置し、キャンプ、水遊びなど野外レクリエーションの場としてこれまでも多くの観光客に親しまれてきたところでございます。
ご質問の観光振興策につきましては、その地理的条件や自然環境等から、今後とも自然資源の保全と共生を図りながら、これらをフルに活用した都市近郊型のアウトドアリフレッシュゾーンとして大いにPRしていけるものと考えており、現在県が推進している体験型観光等との組み合わせなどによる新たな展開の可能性も考えられるところでございます。
いずれにいたしましても、観光振興はまず地元の取り組みが重要でございますので、地域の観光関係者等の意見を承りながら地元市町村や観光協会等と連携をし、振興に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 福祉保健部長白原勝文君。
〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) まず、県民の健康を守り、さらに水準の向上についての三点についてお答えいたします。
「健康日本21」の本県の計画でございますが、平成十三年に元気わかやま行動計画提言書を策定しております。さらに本年度、県としての具体的な取り組みを示した実施計画を策定いたします。この行動計画では、平成二十二年までに達成すべき健康指標の数値目標を設定しております。重点課題として、肺がん、肝がん、心臓病など、他府県に比べて死亡率の高い疾患への積極的な対応やたばこ対策への取り組み、さらには温泉や郷土食材など、本県の豊かな自然や伝統風土に恵まれた健康づくり資源の積極的な活用をうたっております。
健康診査の受診率の向上につきましては、各保健所を通じて受診勧奨の充実や住民が受診しやすい健診体制の充実を働きかけております。さらに、本年度創設しました集合健診推進事業により市町村を支援してまいります。今後も、県民の皆様に生活習慣病の知識の普及や啓発を積極的に行ってまいります。
次に、県の健診事業の中核である財団法人和歌山県民総合健診センターについてお答えいたします。
当センターは、昭和六十年に設立以来、市町村等が実施する健診を受託し、疾病の早期発見など県民の健康づくりに貢献してまいりましたが、近年、民間検診機関の参入や医療機関への委託など、検診の多様化が進み、当センターを取り巻く環境は大きく変わってきております。しかし、どのような状況においても、過疎地域を含むすべての県民の方々に質の高いサービスを提供する必要があります。今後とも、当センターが県民の健康増進に最大限活用されるよう努めてまいります。
次に、モデル地域による健診率向上と健康づくりについてでございますが、平成十三年度から住民参加のもと健診受診率の向上を含めた市町村健康モデル事業を県内四町村で実施しております。今後これらの成果をすべての市町村に還元し、各市町村で健康づくりに効果的に取り組めるよう、モデル地域の指定を含めてその支援策を検討してまいります。
財政支援につきましては、平成十四年度から市町村が行う健康づくり事業に対し交付税措置がなされております。また、受診率の向上や健康づくりの推進に取り組むための各種補助事業がございます。これらの制度のなお一層の積極的な活用を促してまいります。
次に、臓器移植問題の二点についてお答えいたします。
県民の理解を深めるための取り組みについてでございますが、臓器を提供しようとする方は、その意思をあらかじめ臓器提供意思表示カードに表示しておくことが必要になります。県といたしましては、臓器の移植に関する法律施行後、移植医療の推進を図る立場から、臓器提供意思表示カードを各市町村初め関係機関に配布しております。それ以外に、臓器移植普及推進月間には街頭啓発や「県民の友」に掲載するなど、普及啓発に努めているところでございます。国内における臓器移植をより一層促進し、多くの人に対応できるようにするため、今後も県民の皆さんに移植医療への理解等を深めてまいりたいと考えております。
次に、国における検討状況についてお答えいたします。
臓器の移植に関する法律の附則第二条では、施行後三年を目途として検討が加えられることとなっております。臓器移植の課題となっている臓器提供施設以外での意思表示カードの取り扱いや本人の提供の意思を生かすための方策、またあっせんの確保を初め日本臓器移植ネットワークのあり方など、国の審議会で検討を進める予定であると聞いております。
また、十五歳未満の方からの臓器提供等につきましては、国会を初め国民的議論の推移を見守っているとのことでございます。
以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 名勝玉川峡は、豊かな自然環境が残されている本県の特質を示した全国的にも数少ない都市近郊の渓谷でございます。
教育委員会といたしましては、この残された貴重な清流や渓谷美を子供たちの体験学習や県内外の多くの方々の憩いの場として一層親しんでもらえるよう、名勝の管理者であります九度山町ほか関係機関と連携を図り、地域の皆様のご協力を得てその保全と活用に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 きょうは私、知事さんに竹井俊隆君──何としても一人の命を救うという立場から、あらゆる角度でご支援をお願いしたいというふうに思うわけです。
支援の仕方でも私は、今はとにかく九千万円というお金がなければ手術を受けられないという現実の前に立っていますから、どうしてもそのことを実現させたいという思いで、守る会の一員として皆さん方に訴え、さまざなところでご協力を求めているところですけれども。
いずれにしましても、法律はできたけれども、それが十分かなえられないというような、ドナーの問題もさることながら、そういう点では外国に頼らざるを得ないという実態があるわけですから、それを本当に乗り越えていくためには募金活動以外はないと思うわけですけれども、ぜひともこういう点で皆さん方のご協力を求めたいというふうに思うところです。
それで、行政機関としてもさまざまな形でできることもおありだと思いますので、ぜひとも積極的なご協力をお願いしたいと思いますと同時に、ぜひ知事さん、この会の皆さんたちが知事さんに会って今の実情をお話したいというふうに言っておられますので、ぜひ一度お会いをしていただいてお話を聞いていただければありがたいと思います。そのことだけをきょうはお願いしておきたいと思います。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
次会は六月二十四日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後一時五十二分散会