平成14年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十八番玉置公良君。
〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 きょうはこの質問をするに当たりまして、県内・県外、いろんな方にお世話になりまして調査研究をしてまいりました。約三カ月かかりました。そして、きょうはこの議場にも傍聴の方で、お世話になった方々や、またNPO関係者の皆さん方、さらには和歌山大学生の方々がお見えでございます。どうか知事におかれましては、勇気を持ってこれから取り組んでいけるような、そういう前向きなご配慮、ご答弁もお願いをしたいと、まず最初にそのことを申し上げておきたいと思います。
通告に従って、ただいまから一般質問をしてまいります。
今世界的に話題になっています京都議定書について、昨年、質問いたしました。日本もようやく今月四日に地球環境の悪化を食いとめるための国際ルール・京都議定書の批准をし、これから具体的な対策をとろうとしています。詳しくは先ほどの新田議員の質問でもありましたから、重複は省きます。
イギリスでも既にことしの四月から、ビジネスとしてCO2排除の売買について市場が成立しています。我が国も、イギリスのように具体的な形で地球温暖化防止対策に取り組む必要があると私は思います。そこで、日本は京都議定書によって与えられたノルマCO2の六%削減の義務を果たすためにどういう取り組み方をすればいいのかということで環境省を中心にいろいろと案を練っているところですが、まだ具体的なことがほとんど決まっていない状況であります。
そこで、私は、関係者に相談をしながら、いわば和歌山方式というようなものを一つ先につくってみました。今回はもう一つの方法、つまり私が昨年質問しました森林以外の県民のライフワークだとか、企業の努力だとか、そういうことに絞って話を展開してまいります。そしてまた、地球温暖化防止に努めることで新しい雇用とビジネスが生まれ、発展をしていくことにつながるという、よいことずくめの話が中心であります。そのために私は具体的な提案をこれから申し上げますので、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
地球温暖化防止への行動は、県民全体でしなければなりません。個々の家庭と企業という、大きく分けて二種類の人たちがいるわけです。そこで、まず家庭に絞って申し上げます。
日本は、一九九〇年比で、二〇〇八年から二〇一二年の間に六%のCO2排出を削減する責任があります。すぐ目の前に来ています。そのために環境省で考えていることは、家庭は二%の削減を努力してくださいと。そういう目標が出ています。和歌山県も率先して、この趣旨に沿って実行しなければなりません。環境省が示しているこの数値を見習ってこれから和歌山県はどういう取り組みをすべきなのか、私なりに調査したことをもとに提案をしたいと思います。
まず、家庭でのライフスタイルを見直し、二酸化炭素を二%削減するためにはどうすればよいのか、環境省に問い合わせたところ、次のような答えが返ってまいりました。家庭に対する注文は非常に細かいんです。環境省が決めたので、参考までに申し上げます。
非常に小さなことなんですが、あえて申し上げたいと思います。冷房の温度を一度高く、暖房の温度を一度低く設定すると、一年間で約二千円の節約。週二回八キロの不要な車の運転を控えると、一年間で約八千円。一日五分間の車のアイドリングストップを行うと、一年間で約二千円。待機電力を九〇%削減すると、一年間で約六千円。シャワーを一日一分、家族全員で減らすと、一年間で約四千円。ふろの残り湯を洗濯に使いますと、一年間で約五千円。ジャーの保温をとめると、一年間で約二千円。家族が同じ部屋で団らんをし、暖房と照明の利用を二割減らすと、一年間で約一万一千円。テレビ番組を選び、テレビを見るのを一日一時間減らすと、一年間で約一千円の節約。買い物袋を持ち歩き省包装の実行など合計十項目あり、これらを実践すると一世帯当たり一年で約四万一千円家計にプラス、つまり節約が出てくるのであります。つまり、小さなことに気をつけながら意識の変革とライフスタイルの見直しを強調しているのです。
環境省が家庭で二%達成のための細かい指示をして、努力してくれと言ったのですが、このとおりに実行した場合に、学者や専門家の計算によりますと、実質は目標の二%を超えて二・八%まで達しています。つまり、二・八%削減という地球温暖化防止に貢献した上に一世帯当たりで約四万一千円も浮いてくるということは、サラリーマン家庭などにとってはかなりの恩恵であると。言ってみれば、収入がふえるということにもなります。しかも、地球人としての使命もそこで達成されるという崇高な目標も実現をするのであります。
和歌山県の世帯数は、平成十二年度国勢調査で三十八万六百九十八世帯であります。この世帯が地球温暖化防止に協力してくれたとして四万一千円を掛けると、試算によりますと、何と百五十六億円ものお金が家計から浮いてくるのです。和歌山県の平成十四年度一般会計当初予算が約五千七百億円。税収不足の折から、何とこの百五十六億円はばかにならない額であります。県民の福祉の向上のための大きな事業が実施できる、魅力ある財源になると思います。これは、国や県からの強制だとか指示によって動くのではなく、県民一人一人が自発的に努力した結果によるものです。ぜひ、県としてもこの取り組みを奨励してみてはどうでしょうか。私が今提起しているようなことを県民全体で取り組むところは、日本全国でまだ一つもありません。和歌山県が全国に先駆けて最初のCO2排除の実行県になってみては、知事、いかがでしょうか。
先ほど言いましたとおり、和歌山県内には世帯数が約三十八万世帯あります。上からの指示なしにすべての世帯が一斉に自発的に地球温暖化防止のために家庭で使う熱量を削減するという、県民総出の記念すべき時代に入るのであります。和歌山県の誇りとこの画期的な動きを記念して、四万一千円のうち各家庭から一〇%分の四千百円程度寄附をしてもらい、CO2排除のための基金を立ち上げたらどうでしょうか。その基金は、約三十八万世帯がありますから約十五億六千万円にもなります。基金から支出するものは、各家庭からの相談窓口の設置や啓発、あるいは節約指導や技術的なアドバイス、また高度な技術者養成のための費用等に使われるのであります。自分たちのCO2削減の技術を磨くとともに、高度になればなるほど各家庭の節約がふえるのです。その使用目的というのがはっきりし、そして必ず自分のところに戻ってくる。これならば各家庭の人たちも納得をするのではないでしょうか。
各地方自治体では新税だとか税金とか言っていますが、こういう形での税金ならば大いに県民全体の合意ができるのではないでしょうか。知事が先頭に立ってこの旗振り役をやってはいかがでしょうか。お考えをお聞きいたしたいと思います。
税金は、取られたら何に使われるのかという不満はありますが、この十五億六千万円は、皆さんのライフスタイルの変化や家計にプラスになるのであります。つまり、私流に言わせていただければ、皆さんが納得する税金だから「環境納得税」と言えるのではないでしょうか。当面はCO2の排除協力金としてスタートし、将来は県民の議論を巻き起こし、新税としての検討をしてはどうでしょうか。
そこで、家庭の省エネ支援に対して、企業の地球温暖化防止対策の幾つかを紹介します。
企業のPRになるかもしれませんが、実績を上げているので、あえて名前を出します。例えば関西電力では、企業自身のCO2の削減の努力はもちろんですが、他社のCO2削減のためのコンサルティングを始めています。そして、インターネットのホームページでCO2削減の方法をPRしています。また東京電力では、電気を使うときに地球温暖化問題を意識してもらおうと、この夏から毎月の検針表の裏に消費電力を二酸化炭素に換算する手引を載せることを決めました。全国の電力会社では初めてのことです。ニュージーランドでは電力会社が、電力使用量が前の月よりも少なくなると消費者にポイントを与え、ポイント数に応じて翌月の電気料金を減額する仕組みを取り入れています。これだと努力するほど報われますので、家庭の主婦は競って省エネを実施していると言われています。
それでは、家庭に続いて、今度は企業に絞って申し上げます。
具体的に、各家庭に示した小さな心がけに相当するものを企業にどう指導するのか、その内容を環境省に聞きましたが、その具体的な金額の試算もされていません。そこで私は、ある学者の助言によって参考になるものはないかと調べた結果、和歌山県では平成十一年の事業所統計によりますと五万六千六百四十四の事業所があって、全体のCO2を排出する主なものは、ガソリン、灯油、軽油、A重油、LPガス、都市ガス、電気、石炭の使用量であります。事業所の一つ一つについてどれくらい使ったかというデータはないのですが、個々の事業所ではCO2の排出が確実に増加しているように思います。例えば重油の使用については、大阪や兵庫に比べ和歌山は規制が緩いために使用量が増加の傾向にあるようです。
県下には、全事業所の約五分の一の数のCO2排出量の大きい産業部門があります。そこが使っていますエネルギー費用を企業は七%削減を目標にするのにのっとって計算をし、お金で換算をすると、約四十九億円の財源が生まれてくることになります。そのほかの五分の四の事業所については、それぞれの事業所の大きさや能力とか仕事の内容によってCO2排出量について違うかもしれませんが、一律に全体を七%と考えますと約二百億円、県下全体の事業所数では約二百五十億円の財源が浮いてくることになります。そして、家庭と同じようにこの財源の一〇%分を地球温暖化防止のための寄附金として協力してもらえれば、約二十五億円もの財源が捻出をされることになります。知事、いかがでしょうか。
続いて、和歌山県総ぐるみで地球温暖化防止に取り組むならば、県庁としても、今までもやってきていますが、率先して取り組まなければなりません。県庁では、平成十六年度を目標としてCO2削減六%を目指して取り組まれていますが、平成十一年度に対し平成十二年度実績で言えば、お金に換算をすると約一億一千万円節約がされています。県内の市町村においては和歌山市、田辺市、かつらぎ町、熊野川町、南部町が実施をされており、岩出町は努力目標となっている現状であり、ほとんどの市町村が取り組んでいないことには驚きました。本来、住民に率先をして指導啓発していかなければならない立場の地方自治体が少ないということは、大変残念であります。
知事、県下の自治体に対して環境立県を目指すためにも強く指導し、取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
以上、地球温暖化防止の取り組みによって捻出をされる財源を改めて申し上げますと、家庭からは約十五億六千万円、事業所からは約二十五億円、県庁からは約一億一千万円、合計四十一億七千万円の財源が生み出されます。この新しい和歌山県独自に考え出した約四十一億七千万円の財源を何のために使うのか。それが次のテーマであります。
いろいろな考え方があると思いますが、当面、和歌山県民のために有効に使うには、今深刻な雇用の促進のために使うのが一番いいのではないかと思います。そうすると県民の理解も得られるし、しかも知事も雇用問題について積極的に考えられており、タイミングとしてもよいのではないでしょうか。しかし私は、この財源は雇用だけでなく、本来は大地震やテロなど非常事態に使う財源の一つにしたらどうかという考えであることを申し述べておきたいと思います。
さて、先ほどの財源だけでは十分な雇用促進にならないので、現在国、県が行っている費用も加えることによって雇用促進を加速させたらと考えます。国、県としても雇用促進は深刻な問題として、さらに雇用促進のために国と県が車の両輪のように熱い視線を注いでいます。
国、県では、雇用促進のためにこれだけの費用が出ています。例えば緊急雇用創出特別交付金は、平成十六年度までの三カ年間で約四十二億五千万円の費用が出ています。平成十四年度は約十六億百四十万円で、緑の雇用事業では約六億四千万円です。例えば、緑の雇用事業の費用分並みに約七億円をこの雇用促進につぎ込むことは可能ですから、そうしますと合計約四十八億七千万円の財源が生み出されます。この生み出された財源から県全体で果たして何人雇用できるのか、私なりに計算をしてみました。
そこで、今ブームになり、二十一世紀の新しいビジネスの主流になろうとしている全国のNPO関係者に当たり、全国のNPOで働く平均年収を調べたところ、正確なデータは出ていないとのことでありますが、現状は百三万円未満の人から高い人で三百万円台で、今後の方針として最低年収二百四十万円を目標にしているとのことでありました。例えば、目標額より少し低目の平均年収二百万円として、集まった財源の総額で単純計算をすると、二千四百三十五人の雇用が実現をするのであります。これは、今、和歌山県が緊急雇用対策として取り組んでいる今年度の雇用目標一千四百人をはるかに上回るものです。また、和歌山県の失業者が平成十二年の国勢調査で約二万六千人ですから、その約一〇%分を解決することになります。知事、いかがでしょうか。
続きまして、経済不況の中で個人の家計にもお金が余り、企業も経費が節減をされ、自治体も節約ができ、その上浮いてきた財源の原資をどうするかということが次のテーマであります。それはもちろん、我が県が深刻な状況に置かれています雇用促進の問題です。
皆さん方のお手元に配付をしています表を見てほしいと思います。──朝の質問と少し重複するところがあるところはご了解を願います。
今、和歌山県は、高校卒業者の就職率が、前年の三位からさらに悪い、全国でワースト二位という不名誉な記録をつくりました。二〇〇一年度の県内の高卒者のうち二千六百十二人が就職を希望し、二〇〇二年三月までに就職が決まったのは二千二十一人、七七・四%、つまり五百九十一人が就職できていないという実態であります。特に県内への就職率は七三・三%で、県外への就職率の八八・五%と比較をして目立って低く、県内での厳しい就職状況が浮き彫りになっています。また、和歌山大学で卒業生の平成十一年から十三年の過去三カ年間の進路状況を聞いてみますと、全学部の卒業者数二千六百二十五人中六百四十一人もの方が、つまり天下の和歌山大学でさえ四人に一人が、いろんな理由があると思いますが、就職できていない実態であります。この表を見てもおわかりのように、待ったなしにこの就職問題を和歌山県は解決するために動くべきであります。これは、私だけでなく、関係者の皆さんが切に願っていることです。多分、知事さんでさえも願っていることと思います。
そこで、先ほど申し上げた地球温暖化防止によって生み出された財源を何が何でも雇用に投入すべきだと思います。しかも、それを重点的に、あるいは一挙に吐き出すことによって仕事の範囲と規模が広がっていくのです。普通の企業だと景気によって好不況があり不安定ですが、これは地球が存在する限り永遠に続けなければならない事業であります。なぜならば、二〇〇八年から二〇一二年に目標が達成されても終わりではなく、さらに厳しい目標が設定されるわけですから、永久的に続く仕事になるわけであります。
知事が前々から言っています緑の雇用事業でもわかるように、若者がせっかく学校を出ても就職する先がないということは、大変寂しいことであります。ふるさとの若者に誇りがなくなる、若者の夢を打ち砕いてしまうということになるのではないでしょうか。この雇用先は、従来の大企業にアプローチをするのではなくて、ちょうどCO2削減で全県民がこれにこぞって参加しているこの取り組みを支えたり指導したりする若者の二十一世紀に向けた新しい職場として開拓するための促進費用として使うべきではないでしょうか。知事及び教育長にお伺いをいたします。
京都精華大学の教授の話によると、ISO取得の取り組みにおいて、大学卒業生がNPOをつくり、地元の町工場を指導しています。ISOの取得費用は、規模によっては違いがありますが、本来五百万円程度かかるところを五十万円、つまり十分の一程度でしていると聞きます。地元の業者も感謝をし、大学も環境に貢献をしている大学ということで知名度も上がり、学生も実習ができ、専従の雇用もふえていると言われています。つまり、コストが安くなるだけでなく、そのNPOには必ずと言っていいくらい支えてくれる大学やそのスペシャリストがあるのであります。成功している条件は、NPOを支える大学教授などの専門家があることです。今回私が提案をしています家庭、企業へのCO2削減へのNPOのかかわりで言えば、県、大学、企業の専門家、学生などが考えられます。
大学の学生は、実習として、人材供給のボランティアとして参加ができ、なおかつ自主単位として取得でき、卒業したらこのNPOに就職できる。NPO側にとってもボランティアの人材として活用ができ、よいことずくめであります。知事、いかがでしょうか。お伺いをいたします。
続いて、この和歌山県全体でCO2排除の地球温暖化防止関連のビジネスに取り組むことによってどんな仕事が出てくるのか、どのぐらいの雇用の創出が期待できるかという点であります。それは、実に膨大な雇用が生まれるのであります。その根拠を今から申し上げます。
私は環境に詳しい専門家のところに行き、聞いたところ、この先生によると、県下の家庭約三十八万世帯を相談、指導、検針、認証、啓発などをすると、例えば一人百世帯を持ち、年二回から三回訪問をするとすれば、三千八百人必要になります。また、企業などの仕事については、大きさや複雑さも違うので一概には言えませんが、あえて言わせていただければ、省エネの診断指導、監視、検針、認証、相談、啓発する人など一社あたり二人から四人で、一クールで二から三週間ぐらいの延べ日数が必要だろうと言われました。例えば、一社当たり一クール四人で延べ日数三週間の仕事が必要だとしますと、一年間で十二社の仕事を受け持つことができます。和歌山県内の事業所数は五万六千六百四十四事業所であります。事業所の大きさも複雑さも違うのでありますが、大ざっぱですが単純計算をしますと四千七百二十クールが必要となり、一クール四人とすれば約一万八千人が必要となります。そうすると、これだけでも家庭と合わせて約二万一千八百人の雇用が生まれるという、すごいことになるのであります。和歌山県の失業者数が平成十二年の国勢調査で二万六千五人ですから、和歌山県のほとんどの失業者を救う雇用創出であると言えます。
先ほどの就職のできていない県内の高卒者、大学卒を合わせた一千二百三十二人は、こうした雇用が生まれれば就職できることになり、フリーターや中高年齢者でリストラに遭った失業者、定年退職者の人々にも明るい展望が開け、単なる雇用という意義だけではなく、生きがいということが生まれてくるのですが、知事、いかがでしょうか。
続いて、和歌山県内においては地球温暖化防止のためにさまざまな職場が生まれるということがわかりましたが、これを育成していく人材が育っていません。いろいろな財源調達ができるのに人材育成をしていないのはおかしいのではないでしょうか。そこで、人材育成について申し上げます。
私は、この問題についても環境省と大学の専門家の先生に聞きました。環境省は検討中だということで、全く手がつけられていませんでした。大学の先生より、今までの環境計量士は国家資格を持っていたが、今度はCO2削減のための資格を取るためには新たな資格を取らなければならないのか、今までの計量士の資格にさらに経験が必要なのかわからない、したがって和歌山県独自の資格モデルをつくってみてはどうかとの提言をいただきました。このような人材養成のための学科が和歌山大学にはない。だから、早急に新しい講座をつくって京都議定書のCO2削減のためのどういう学科が必要なのか調査をして、それにふさわしい人材を養成していく必要があると私は考えますが、いかがでしょうか。
「大学は県民のために使うべき」ということが言われています。まさに、今こそそのことを実行すべきではないでしょうか。さらに、学校という中におさまるのではなくて、公開講座のようにしてNPOを志望する人や地球温暖化防止の取り組みをする人たちにその公開講座を実施し、ホームペルパーの資格認定のような県独自の資格を与える和歌山モデルをつくり、育成する必要があると思いますが、知事、いかがでしょうか。
続いて、県民による善意の財源によって雇用できるという数字が出ました。これを有意義な面で普及しようとすると、その推進の核とするのはどこが一番いいのかという問題があります。それは、私がたびたび申し上げていますNPO非営利組織にその仕事を任すのが一番よいと思います。なぜNPOがふさわしいのかと言うと、NPOがあらゆる面でタッチすることにより、公平で利潤を追求しないという性格からコストが安くなるからであります。家庭の相談に乗るのはNPOがふさわしいし、さらにこの企業に対するCO2を削減していくための技術指導に当たったり検査をしたりするときには、企業の経営方針まで助言と支援を送るというのもぴったりなのがNPOだと思います。
なぜNPOにお金を注ぎ、こうした仕事を促進するのかと申し上げますと、今までの企業とは違ってNPOは、人間感情によって無理やり月給を上げたりノルマを課すということに耐えられない若者にとっては、人の役に立つ、それから自分が何か使命感を持ってお金よりも何か価値のあるものを求めるという若者の性格、行動にぴったりの職種だからであります。そして、この仕事は好不況に関係なくますます盛んになり、リストラもない永久に続く仕事であり、若者を中心とした人たちがこれからもどんどんふえてくるでありましょう。そこが今までの企業とは違うということを私は言いたいのです。
利潤と効率を追求する企業、やりがいや使命感を信条とするNPO、本来、二つの組織は最も遠い存在でありました。それが今、企業の社会貢献という分野で共働しつつあるのであります。その証拠に、大企業は自分の子会社の一つとしてNPOをつくっています。経済連が会員企業等を対象に行った社会貢献活動実績調査などによると、二〇〇〇年度に企業がNPOなど社会貢献の目的で支出をした金額は、一社当たり約四億一千六百万円にも上っているのであります。企業もNPOを使い出したのであります。ならば、地方自治体も率先をして支援をし、使っていくべきだと思いますが、知事、いかがでしょうか。
つまり、回り回って企業全体にプラスの還元をする。今やNPOは単なるボランティア精神から脱却をし、一つ大きな影響力を持ち、立派な市民権を持った新しい形への企業と言えます。特に、今日のような病んだ地球を見直すという大局に立った目的のためには、NPOというのは非常に大きな力を発揮します。ますますもってNPO活動が広がります。
また、我が和歌山大学の学生に聞いたところ、NPOに対する期待が大変多かったのであります。このような仕事を就職の場だと考えている学生がかなりいるということをその学生が言っていました。給料が少なくても永久に続くのなら行きたい、完全にNPOを就職の選択肢の一つに入れている、私たち若者の生き方の変化というものにつながってくる。これも新しい学生の人生の選び方の一つになるんではないかと思います。大企業志向からこういう環境ボランティアを目指す仕事へのシフトを学生たちが考えていることは、注目すべきことだと考えます。
またフリーターについては、東京の日本労働研究機構が若者のワークスタイル調査をし、その意識調査が昨年の九月に発表されています。フリーターは、管理されるよりも世の中に役立つんだというセンスを持っています。まさにその人たちこそ、NPOという新しい選択肢の場で社会に貢献をし、努めてもらいたいと思います。
こうした若者に合った仕事がNPOであり、学生や全国に何十万というフリーターの資質、職場に対する考え方の根っこの部分がよくわかって、和歌山県が率先をして新しい選択肢の仕事にしようとしているところに大きな意義があると私は思います。しかもこれは、日本全国だけでなく世界からも称賛されると思います。知事が今、緑の雇用事業を推進されていますが、まさにこの精神が生かされるのではないでしょうか。
今までも、いろいろと大きな企業誘致に地方自治体も奔走してきましたが、幾ら奔走しても経済が変わり社会も激変する中では、これはもう大変難しいと思うのであります。そうすると、新しい目的と新しい動きをするNPO、そして若者に好まれる使命感を常に持ったNPOが若者の将来に夢を与え、救済することの意味合いを持つものであります。
東京のNPO事業サポートセンターの役員さんや和歌山NPOセンターの役員さんにこのことを提言すると、これこそNPOがすべき仕事だ、いいところによく目をつけてくれたと、自分で言うのもおかしいですが、お褒めの言葉をいただいたこともつけ加えておきます。知事は、この若者論と就職論についてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
ところで、話は変わりますが、南紀白浜空港跡地の利用については二転三転として、これとした妙案は決まっていません。だれもが賛成をし、地元を初め和歌山県民全員から賛美の声が上がり、日本はもとより世界からも賛同してくれると思われるのは、この地球温暖化防止の和歌山県のセンターを基金の財源等を利用してここに建設をすることです。そこには、京都会議実行本部と事務局、技術促進のための研究所、それから温暖化防止に絡むNPOの指令本部といったものを総合的に集めてみるということです。いろいろ検討していただきたいと思います。
つまり、南紀白浜空港跡地を世界の地球温暖化防止のためのセンターとして使ってみたらどうだろうかと私は考えます。その中には、技術の習得の訓練所もあるし、各国からの依頼をこなす部門もあるのです。地球温暖化防止の活動というのは、少なくとも人類が生きていく限りは永久に続けなければいけません。そういうものを南紀白浜空港跡地につくれば、何年か先には世界遺産登録される姿とつながりがあるのではないかと思うのであります。
和歌山はすべて環境に配慮した県だということで、県内すべてのところにその特色を浮かび上がらせる必要があるのではないでしょうか。つまり、世界遺産、緑の雇用事業、地球温暖化防止、ボランティア、これらをつないでいくと、地球人という大きな括弧でくくれるような、すばらしい活動力の姿が浮かんできます。そして、世界、全国からの空港利用促進にもつながっていきます。そういう場に空港跡地を利用してみてはいかがでしょうか。知事のお考えをお伺いしたいと思います。
以上申し上げてきましたが、私は議会において、本県は幸いに世界遺産に指定されるほど豊かな自然に恵まれ、環境時代の二十一世紀にこの立地条件を最大限に生かしながら県民一人一人の知恵を出し、創意工夫をし、二十一世紀にふさわしいビジョンをつくり上げ、グランドデザインを描くことが求められています、また、この新しい試みにより我が県に地球規模の新しい文化が生まれるとともに、財政面でも企業からの寄附、参加、ボランティア活動、観光客の来県などにより思わぬ形ですばらしい財産が生まれるものと読んでいますと再三申し上げてきました。この地球温暖化防止の取り組みが和歌山県から出発をすればさらに環境王国和歌山として自他ともに認められると私は確信をいたします。
知事のご見解を求め、以上で私の質問を終わりたいと思います。ちょうど時間であります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 地球温暖化防止についての大変研究の行き届いた、熱のこもったご質問、本当に尊敬をするところでございます。
前回、玉置議員がご質問になりました地球温暖化防止についてのCO2のやりとりということのご質問に触発されまして、今回、緑の森林県連合ということを提唱したわけでございます。CO2の問題は非常に難しいんですけれども、この森林県連合を通じて全国へCO2削減の持つ重要性ということを発していきたいというふうに思っているわけです。
ただ、ここで問題は、例えば和歌山県は県土の八〇%が森林に覆われているということで、CO2を大変吸収しているというふうに考えていたんですけれども、一方で、先ほどのご質問にもありましたけれども、一人当たりの電力消費量が非常に高いというようなこととか、それからコンビナートなんかを中心に化石燃料などを使ってCO2の排出も結構多いということがその過程でわかったわけでございます。
そういうふうな中から、和歌山県が森林でCO2を吸収しているということを売り出していくとともに、あわせて議員のご質問にありましたように、県民一人一人がCO2の削減に取り組むという運動を繰り広げていくことがこれまた必要なことで、これを両輪にしていかないと、全部が森林に頼っているというわけにはいかないことは、もうご質問のとおりでございます。
その中で、ライフスタイルの見直し等、いろいろなご提言がありました。冷暖房の問題でありますとか、車のアイドリングをやめるとか、シャワーを減らすとか、いろいろありました。こういうふうな中から県民が財源を生み出してその一定割合を温暖化防止に充てていくとか、それからまた企業もそういうことに協力して生み出したお金を基金にしていくとか、こういうふうなご提言、これはもう大変先導性のあるものでございます。
ただ、正直言いまして、皆さんからこういう景気の悪いときにお金をいただくというのはなかなか難しいことでもありますので、一朝一夕に達成できないと思いますけれども、発想としては非常に画期的なものであると思いますので、私どももこれまた真剣に研究をしていきたい、このように考えているところでございます。
次に、和歌山県の高校卒の就職率が全国でびりから二番という大変な状況にあると。私も、これは大変心を痛めているわけでございます。
そして、この地球温暖化防止のビジネスということでございますけれども、まだ日本の国は地球温暖化防止のために達成しなければならないことがありまして、そのためには相当これから投資をしていかなければならないということが言われております。二十一世紀はやはり今までと違った発想の産業が出てくるということであり、今のところはまだ京都議定書は日本の国が批准したところでございますので、これから減らしていくためにどんな形の商売というか産業が出てくるかまだはっきりしておりませんけれども、いずれそういうふうな動きが出てくるということは予想されますし、そういう中で価値観をもう変えてきている若者たちの就職の場になってくるということは大いに考えられるということでございますので、和歌山県としても、この点──まあ森林県連合とか緑の雇用とかいろいろ言っているわけですけれども、アンテナを高くして、常に先端を走れるような形で問題に当たっていきたい。
そしてまた、そういうふうなことをやっていくときに、CO2の吸収とか地球温暖化防止について十分な知識を持った人の一定の層が必要だということは、おっしゃるとおりだと思います。和歌山大学とかその他を活用した公開講座でありますとか、いろんな形で和歌山県の県民が地球温暖化防止ということについて一番広く知識を持っていると言われるような形の取り組みということは大事なことだと思いますので、これについても今後鋭意検討していきたいと思います。
次に、地球温暖化防止とかいろいろなことを進めていく中心が役所がいいのかNPOがいいのかということがあると思います。私は、この二十一世紀にいろんなことを進めていく上でNPOというものが果たすべき役割というのは非常に大きいということで、NPOに今最も期待している者の一人でございます。
そういうふうな中で、和歌山県はまだまだNPOの成立というのは非常に未熟な状況にあるということでございますので、県の方では、このたびNPOセンターというのをつくることにしました。しかし、これは私が言っているんですけれども、干渉することなく支援をしようということをモットーに活動していきたいというふうに考えております。そして、このNPOが緑豊かな環境で物すごくすばらしいものがある和歌山県と結びついて、地球温暖化防止の中で大きな役割を果たすということになれば、これは本当に県の特性にも合ったことですし、そして二十一世紀の社会の進んでいく方向にも合致したものであると思いますので、私どもも干渉することなく支援をしていき、またいろいろ一緒に学んでいくという立場でこの問題について進めていきたいというふうに考えております。
そしてまた、こういうNPO──NPOというのは、今まではそこが職場になるというふうな発想は余りなかったわけですけれども、今言いましたように、いろいろな面でNPOが大きな活動をしていくことになってくると、当然のことながら、このNPOも一つの企業と同じような形で若者の就職の場の一つになってくると思います。そういうふうな場合、今まで企業へ就職するということは、一般的にはそこから報酬を得るということが大きな目的だったと思うんですけれども、NPOの場合は、より自分たちの自己実現というか自己目的を達成していくという面が中心になってくると思いますので、これもやはりこれからの二十一世紀にそれぞれの人たちが自分に合ったライフスタイルというものを確立しながら働いていくという上では非常に望ましいことです。
そしてまた、今の若者もいろいろ言われますけれども、まじめに考えているところもあるんで、こういうふうな形で一つの就業の場を提供するということは、そういう若者のメンタリティーにも一部合致している新しい職場になってくるのではないかというふうに私自身思っております。
和歌山県は、森林県連合でありますとか緑の雇用でありますとか、私もこの環境ということを中心に今、人の交流を起こして県勢を活性化するということをねらっておりますので、そういうふうな中で、例えば白浜空港の跡地にそういうことを生かしたものができるとか、そういうことが仮にうまくいくようなものがあれば非常に望ましいわけです。
いずれにせよ、こういうふうないろいろな和歌山県の特性を生かした形での環境大国和歌山というものをつくっていくことが、ひいては和歌山県からの大きな情報発信になってくると考えておりますので、答弁としては非常に漠然としたものが多いわけでございますけれども、前向きにこれから対応していきたいと、このように考えております。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高校生の就職問題につきましては、きょう午前中、佐田議員にもお答えいたしましたが、新規高校卒業者に対する県内の求人が減少する中で就職内定率が年々低下するという厳しい状況が続いております。
昨年度から就職アドバイザーを各高校に延べ二十名配置し、県内外の求人開拓を行うとともに、今年度は新たに生徒の職業意識を高め、個別の相談にこたえるための就職支援教員を三名配置し、進路指導の充実に努めているところであります。
また、高等学校就職問題検討会議を和歌山労働局と共同で開催し、就職機会の拡大などについて経済団体と協議するとともに、先般も学校関係者と事業所との就職懇談会を開き、来春卒業予定者への求人確保について協力をお願いしたところでございます。
さらに、いわゆるフリーターがふえて離職率が高いことも踏まえまして、多くの学校が取り組んでいる就業体験、インターンシップを一層拡充し、望ましい職業観や勤労観を育成するとともに、進路指導におけるガイダンス機能を充実させることが肝要であると考えております。
現在、雇用情勢が大きく変化する中で、先ほど来の議員のご指摘のように本県の特性を生かすとともに時代を先取りした新たな雇用の場が生まれてくることについて検討されますことは、高校生にとっても将来の夢を持たせるものであり、極めて魅力的なものであると考えております。従来の職種にこだわらず、幅広い業種に求職の機会を求めることが大切であることから、関係機関と連携しながら一層求人の確保に努めてまいりたいと考えております。
さらに、一言つけ加えさせていただきますと、本県高等学校にも、例えば全国唯一の環境科学科を持つ向陽高校がございます。さらに、これも極めて珍しい森林科学科を有する熊野高校もございます。こういう高等学校での学習の成果が環境や森林の問題に貢献できる人材を育成したり、さらにいろいろな意味での連携の核になっていければと考えているところでございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、玉置公良君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時五十六分散会