平成14年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)
県議会の活動
平成十四年六月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
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議事日程 第二号
平成十四年六月十九日(水曜日)午前十時開議
第一 議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに報第二号から報第七号まで(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに報第二号から報第七号まで(質疑)
二 一般質問
出席議員(四十五人)
一 番 新 島 雄
二 番 山 田 正 彦
三 番 佐 田 頴 一
四 番 大 沢 広 太 郎
五 番 堀 本 隆 男
六 番 宇 治 田 栄 蔵
七 番 門 三 佐 博
八 番 西 本 長 弘
九 番 坂 本 登
十 番 小 原 泰
十一 番 木 下 善 之
十二 番 永 井 佑 治
十三 番 尾 崎 要 二
十四 番 小 川 武
十五 番 宗 正 彦
十六 番 橋 本 進
十七 番 生 駒 三 雄
十八 番 原 日 出 夫
十九 番 谷 洋 一
二十 番 山 下 直 也
二十一番 高 瀬 勝 助
二十二番 吉 井 和 視
二十四番 町 田 亘
二十五番 金 田 眞
二十六番 高 田 由 一
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 向 井 嘉 久 藏
三十 番 野 見 山 海
三十一番 平 越 孝 哉
三十二番 下 川 俊 樹
三十三番 中 山 豊
三十四番 浜 田 真 輔
三十五番 鶴 田 至 弘
三十六番 冨 安 民 浩
三十七番 村 岡 キ ミ 子
三十八番 中 村 裕 一
三十九番 井 出 益 弘
四十 番 阪 部 菊 雄
四十一番 江 上 柳 助
四十二番 長 坂 隆 司
四十三番 森 正 樹
四十四番 飯 田 敬 文
四十五番 新 田 和 弘
四十六番 松 本 貞 次
四十七番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
〔備考〕
二十三番欠員
二十七番欠員
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
理事 内 田 安 生
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 稲 山 博 司
企画部長 垣 平 高 男
環境生活部長 秋 月 成 夫
福祉保健部長 白 原 勝 文
商工労働部長 石 橋 秀 彦
農林水産部長 辻 健
土木部長 大 山 耕 二
企業局長 阪 口 裕 之
教育委員会委員長 赤 松 壽 男
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 中 尾 公 彦
警察本部長 岩 井 良 行
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 北 村 亮 三
職務のため出席した事務局職員
事務局長 中 原 洋 二
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 北 垣 内 敬
議事課副課長 松 谷 秋 男
議事班長 鷲 山 智
議事課主査 尾 崎 善 亮
議事課主査 土 井 富 夫
総務課長 梶 本 皓 造
調査課長 宗 野 幸 克
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課副主査 保 田 良 春
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午前十時三分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
過日提出のあった議案第九十五号は職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
〔巻末の「参考資料」を参照〕
【日程第一 議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに報第二号から報第七号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに知事専決処分報告報第二号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
三番佐田頴一君。
〔佐田頴一君、登壇〕(拍手)
○佐田頴一君 それでは、議長からお許しをいただきましたので、一般質問を行わせていただきます。
本日から六月定例議会の質疑及び一般質問が始まりますが、そのトップバッターとして栄誉ある役割を与えていただき、登壇できるようご配慮いただいた議員並びに関係各位に厚くお礼を申し上げたいと存じます。
まず、質問に入る前に、デンマークサッカーチームが五月二十日から二十七日までの八日間、短い期間でありましたが、和歌山マリーナシティにおいて事前キャンプを張られ、デンマークの紳士的、親しみ深い態度は、「サッカー大使」と言われるにふさわしいものであり、また受け入れの皆様の心のこもった対応と相まって、このチームを気持ちよく迎え、友好を深められたことは、まことに喜ばしい限りであります。デンマークの選手たちも和歌山に好印象を残して韓国に出発されましたが、その後、予選リーグに勝ち残り、再び和歌山に戻られ、決勝トーナメントに備えておられましたけれども、先日その戦いに敗れ、帰国したと聞いていますが、ワールドカップの決勝戦が横浜で終了した後も、本県とデンマークとの交流がこれを機会にさらに深まることを期待するところであります。キャンプを支援した人たちの役割は大変だっただろうと思いますが、本当にご苦労さまでした。
また、この夏には、日本のホームラン王であった王貞治氏とハンク・アーロン氏が中心となって提唱された世界少年野球大会が、今度は紀南地方を中心に繰り広げられることになったと聞いています。世界から二十カ国、地方の少年たちが野球王国和歌山に参集し、互いに技量を競い合うとともに世界の友好を深め合うというプロジェクトであります。このようなスポーツを通じ国際交流が今後一層推進され、世界平和、世界の国々の友好関係が築かれますよう期待したいと思っております。この大会も大きく盛り上げ、ワールドカップに負けないようなしっかりとした受け入れ体制を整備するよう希望するものであります。
それでは、一般質問に移らせていただきます。
まず、五月に行われた国に対する政策提言活動の中から、今後の県政の重要な柱になっていくであろう施策の幾つかについてお伺いいたしたいと思います。
今年度から県では、国に対して要望するというスタイルを変更し、地域の実情に根差した意見を政策として国に提言するという形態をとられました。これは、地域の抱える課題を単に訴えるだけでなく、その課題解決のために我々がどのような資源、資産を持ち、これらをどのように活用したいか地域に密着した発想で解決方法を示す、大変積極的な行動であると評価しております。木村県政も二年を過ぎようとしている現在、このように積極果敢な和歌山モデルの提唱・発信をしている姿は県民に夢と勇気を与えているものと確信しております。
そこで、まず地域の実情に沿った政策実現についての進め方について、もう少し知事の考えをお教え願いたいと思います。
次に、緑の雇用事業の推進についてであります。
環境の保全を新たな雇用機会ととらえ、中山間地域の活性化を目指す緑の雇用事業については、昨年来の政策提言活動、大阪圏、和歌山市等で説明会などを重ねることにより、全国的に注目される施策として認識されてまいりました。十三年度では緊急地域雇用創出特別基金事業の活用でありましたが、六カ月という期間が限定された施策であり、森林整備事業に係る高度な技術習得や中山間地域への定住促進を推進するには余りにも期間が短く、困難な状況にあります。
提言の中で、恒久的な施策への転換は必要不可欠であることを訴えられ、同時に定住促進のための魅力ある中山間地域の整備の必要性をうたわれましたが、緑の雇用事業推進に向けた恒久的対策として、林業就業支援プロジェクトの創設や中山間地域環境整備対策の創設、県内に制度の拠点となる緑の雇用センターの設立などにも万全の措置をとってほしいと思っています。
中山間地域や森林地域は、地球温暖化防止に貢献する森林県連合共同アピールの呼びかけ人として、都市と地方がお互いに認め合い、都市と地方の関係の構造化改革の呼びかけを行い、多大の貢献をしていることを大きな声で地方から訴え、これまで以上に全国に発信されることをお願いするとともに、これら施策を実現させていくため、今後県としてどのように対応していくのか、知事並びに農林水産部長にお伺いしたいと存じます。
次に、公共事業の地方基準導入の道筋についてであります。
知事は、常々、地方が国をリードすることが重要であると述べられております。地域が知恵を出し、真に必要な基盤をつくるため、独自の基準を定めて社会資本を整備する地方に合った公共事業を進めていく必要があることを訴えられておりますが、私も全く同感であります。山間部に行けば、地域住民の生活道路であり、また都会の人々が憩いを求めに来る森林へいざなう道でありながら、すれ違いのできない道が多く、自転車に乗った人が車が来るたびに山肌にへばりつくようにしなければならない道路もあります。地域住民の要望が強い道路整備に全国一律の基準を当てはめる努力、工夫に腐心するよりも、地域の実情を理解し、地域住民とともにつくり上げる姿こそ地方自治の本旨に沿ったものであると考えます。
例えば、山間部等の交通量の少ない道路においては車道幅員を七メートルから五メートルに、自転車、歩行者の少ない道路においては歩道幅員を三メートルから二メートルに、都市計画道路決定幅員四車線の事業認可を暫定二車線分による事業の認定など、地方の交通量等に見合った車道、歩道の基準に改められるような特例を考えられないかどうかであります。このような考え方は道路だけでなく、河川や海岸を初めとする公共事業全般でも適用できると考えます。
そこで、地方基準の公共事業についての基本的な考え方と、国へ提言された際の状況について、土木部長よりお聞かせください。
次に、公共工事等の入札及び契約手続の改善についてであります。
県が発注する建設工事等についての入札及び契約手続について、その透明性を確保し、公正な競争の促進を図り、談合等の不正行為の排除を徹底する方針を定められたが、この具体的な改善策の取り組みの中身について異議が出ています。予定価格、最低制限価格、低入札価格調査の基準価格のすべてを公表するのは全国で和歌山県が初めての試みであると言われているが、これで談合その他不正行為の排除の徹底が図られるのかどうか。また、施設、機械も持たず、ただ営業だけの人の能力審査による不適格業者の排除も含めて、土木部長より説明をお願いしたいと思います。
次に、東南海・南海地震対策の強化についてであります。
紀伊半島沖から四国沖を震源地とする南海地震に対する対策についてでありますが、今月の六月三日、東京大学地震研究所島崎邦彦先生の南海地震の予測について、自民党県議団の東京での勉強会で講演を受けましたが、昭和二十一年十二月二十一日のマグニチュード八・〇の南海地震による被害は、地震後の津波による被害を含め、死者、行方不明二百六十九名、負傷者五百六十二名、家屋全壊九百六十九戸、同流失三百二十五戸、同焼失二千三百九十九戸で、津波の速さは新幹線並み、特に海底を震源とすることが予想される南海地震にあっては、直近の予知が困難な上に、大規模な津波の発生が予想される紀伊半島沿岸部は莫大な被害をこうむることが憂慮されています。このための対策が今緊急課題となっています。
このように紀伊半島沿岸地域は、東南海・南海地震により過去幾多の大きな被害を受けてきました。また昨年、政府の地震調査委員会から公表された地震の発生確率は、今後三十年間で四〇%から五〇%と非常に高い数値が唱えられています。中央防災会議では、昨年、東南海・南海地震等に関する専門調査会を設置し、今年の秋ごろ地震発生の予測をし、被害想定が出されるとお伺いしています。同地震については、東海地震に比べ国の地震観測体制が未整備であり、地震予知に向けて早急な整備を行うなど、抜本的な対策が望まれております。
県においては、さきの政策提言活動の中で、急遽、与党幹事長に南海地震対策について、防災センターの早期整備とともに、関連地域への特別立法、仮称・南海地震対策特別措置法の制定に向けて積極的な取り組みをされ、これを受け、政府の地震調査研究推進本部も、近い将来起こると予想される東南海・南海地震に備え、観測体制を強化するような方針が決められたと報道されています。
東海地震、東南海・南海地震は、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込むことが原因と言われており、これら三つの地震の発生時期には関連があるとも言われております。実際、東海地震が発生してから、時を置かずして東南海・南海地震が発生している事例が多いのでありますから、地震に対するハード、ソフトの両面の対応は、東海地震と同様に緊急の課題として検討される必要がある事項であります。東海地震には、これまで一兆円を超える対策が国家プロジェクトとしてとられてきたと言われていることに比べると、東南海・南海地震の対策はこれからという気がしてなりません。
知事は今回、東南海・南海地震を国家プロジェクトとして対応するよう訴えたわけでありますが、本県は地震による津波に、稲むらに火をつけて住民を避難させたという誇るべき偉人、浜口梧陵氏を生んだ地域であります。近畿、ひいては日本を救う第二の浜口梧陵と呼ばれるよう奮闘をお願いするものでありますが、地震対策の強化に対する知事の決意と、総務部長より現状をもう少し詳しくお聞かせ願いたいと思います。
次に、国立のナショナルトレーニングセンターの誘致の件であります。
文部科学省は、財政上大変苦しい中でも、全国に三カ所程度のナショナルトレーニングセンターの設立を検討されていると聞いています。本県は、豊かな自然環境のもと、スポーツの振興に積極的に取り組んでおり、空からのアクセスとして関西国際空港の至近距離に位置するとともに、南紀白浜空港も有し、また京奈和自動車道、近畿自動車道等の交通基盤の整備が進んでおります。
そこで、ナショナルトレーニングセンターの整備構想の策定におきましては、このような本県のすぐれた立地条件を考慮に入れ、検討されるよう、国の方のご理解をいただくよう積極的な働きかけを知事にお願いしたいと思いますが、知事の考えをお聞かせください。
次に、市町村合併の現況についてであります。
最近、小泉首相は、市町村合併を促すため、「三千以上ある地方自治体のうち、地方交付税をもらっていない市町村は百に満たない。それでは財源の調整はできない。財源もみずから決めることができる自治体の規模がどういうものか、改めて考えてもらわなければならない」と述べ、市町村合併への考えを示しています。また、全国知事会でも、「あめとむちをどう考えて市町村合併を進めていくか考えていかなければならない」と述べ、財政支援などの優遇策だけでなく、強制的な手法を用いても合併を進めると述べています。
地方分権の時代が到来してはや二年、各自治体も厳しい財政状況にあることを考え、生活圏の拡大化、行政の広域化の中で、そのための選択肢の一つとして市町村合併がかなり急テンポで進められており、住民も真剣に考え、参加することの重要な時期になりつつあります。しかし平成の大合併は、総論で賛成しても、各論になると反対の立場をとる人が多いと聞いています。現在、県下に合併研究協議会、広域任意合併協議会という研究会は設置されているが、正式な地区合併協議会は設置されていません。このままの推進テンポで果たして合併が成立する地域があるのかどうか、大変疑問であります。合併は急がなくてもよい、どうせ期限内に合併ができない、過去の実例を見ても、その時期が来れば期限が延期されるとの声が強いが本当でしょうか。国の方針は、今回、絶対に期限を延長しないという厳しい考えであるのかどうか、まずここで確認しておきたいと思います。
平成十七年三月末までの合併特例法の法期限まで残された期間を考えると、できるだけ早い時期に正式な合併協議会を設置し、特にどの町とどの町とが合併するのか未定のままでは合併は進んでいきません。昨年の十二月末に合併重点支援地域に指定した三地域の那賀郡、有田郡市、田辺地域の枠組み、組み合わせが決定され、三地域の合併協議会の設置を確定したのでしょうか。残り三年を切った段階に達しても合併協議会を発足したという地域は聞こえてきませんが、遅くとも本年度中には合併する市町村の枠を決めなければ期限内の合併はできなくなります。県当局に、本年度中に合併協議会を発足できると予想される地域はどの地域か、まず説明を求めます。
また、合併期限内に合併できなかった市町村や合併絶対反対の市町村に対する県や国の対応についても総務部長よりお教えください。
最後に、学校教育の諸問題について質問させていただきます。
まず学校五日制実施について、若い世代の著しい学力低下は、日本人の活力が根底から問われている時期に完全週休二日制の導入がなされ三カ月が経過しましたが、読売新聞の世論調査で、完全五日制への反対意見が六割を占めて、四五%が完全五日制実施にそっぽを向いています。理由は、一年間三百六十五日、学校に来る日が二百日、休みが百六十五日と休みが多く、学力が低下し、テレビゲーム時間がふえただけと懸念を表明しています。しかし反面、生徒の学力低下を防ぐためのさまざまな対応策が今各地で検討されています。
私は、学ぶ内容が三割も削減されたゆとり教育が続いたら、公立学校の生徒の学力低下を招き、難関の有名学校への進学を進めるためには、法的に五日制に拘束されない私学が有利となり、東京のように私学志向ばかりが高まっていくのではないかと心配をしております。また、大学入試センター試験の科目数が、平成十六年の入試から国立大学の大半の学部で、現在三教科以下の試験科目数が五教科七科目となり、受験科目がふえるのに対し、逆に授業時間が減少する公立の学校は学力低下のおそれが出てくるため、公立学校では授業時間数の確保が問題となっています。
県内のある高校のPTAがこの五月初め、全生徒にアンケート調査をしたところ、土曜日に教室を開放してくれるのであれば五五%の生徒が必ず行く、できれば行きたいと答えています。また、ある県では、月二、三回の土曜日の授業、各四時間がなくなるのを補うため、一日七時間の授業を検討しているところもあります。また、県内のある高校では、教育振興会を設置し、授業時間確保計画に取り組まれています。内容は、一、授業時間数の確保(十三年度と十四年度の時間の比較)、二、夏休み等の活用(補習の充実プラス一部授業の実施)、三、土曜日の活用(自由な学習と読書、OB大学生によるボランティアの学習支援)、四、週五日制に対応した事業に対する経営(財源)等、このように通常の授業内容で対応できない独自の対策、施策が検討されており、公立学校の頑張りにも期待を寄せたいと思っています。また、少人数学級の導入も含め、休日対策のOB卒業生のボランティアの人たちの奉仕だけでは長続きはしないと思いますので、土曜日及び三割授業削減に対応する施策を講じた学校に対し、県独自の支援策を講じられないかどうかお聞きします。
高校生の雇用問題について質問いたします。
いまだ景気が低迷し厳しい時代の真っただ中にありますが、社会への門出を祝福されるはずの多くの若者、高校卒業生の就職内定率が過去最悪となり、就職を目指している十八歳の若者の苦闘が続いています。就職したくても就職できない。本年春に卒業した県内高校生の就職率は七七・四%、就職希望者二千六百十二人に対し決定した人二千二十一人で過去最低、全国的に見て沖縄の五六・八%に次ぐ低さであり、昨年まではまだ三位だったが、本年度は高知県を抜いて全国ワースト二位に低下しています。
先日、テレビを見ていますと、来年度の新卒採用計画は、大学卒でふやす会社は一〇%、減らす会社は一三%、高校卒でふやす会社は七%、減らす会社は一五%となると発表されていましたが、高校新卒への求人は大学生以上に細っており、来年はさらにきつくなってきています。一方、県内の採用する側の会社は、長引く景気の低迷で人減らしの構造計画に迫られ、雇いたくても雇えない厳しい時代が続き、就職苦闘の時代が続いています。また就職できたとしても、県内への勤め先の就職は七三・三%、県外への就職は八八・五%と、県内での就職率は目立って低く、県内の厳しい就職状況が目につきます。高校生がひとり立ちする時期に、全く希望、夢が持てないのは社会的な問題であります。
県教委も就職率向上を目指して真剣な求人開拓に取り組まれていると思うが、その実態と対策及び就職アドバイザー採用の実績とその効果を含め、今後の進め方についてお教えください。
学校の警備についてでありますが、大阪教育大附属池田小学校児童殺傷事件から一年が経過しましたが、この無差別の殺傷事件は学校の安全や危機管理を根本的に考え直す機会となりました。
この事件を受けて、幼稚園から高校まで、校門にインターホンを取りつけたり、防犯カメラ、出入り口の限定、来訪者の名簿記入、さらに警備会社を通じて警察に通報できる非常通報装置を設置された学校もあると聞いています。全く事実上無防備だった学校の安全度が飛躍的に向上していると思いますが、子供を守ってやるという配慮、子供たちが安心して学校に行けるように、緊急時の対応マニュアルの整備や安全確保の指針について実態をお教えください。
以上、教育委員会に関する質問については、教育長の方からご答弁をお願いいたします。
最後に、従来型の行政からの脱皮に向けて、新機軸の施策展開には大いに注目、期待しているところでありますので、その結果が早急に見えるよう期待し、冒頭の質問を終えたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの佐田頴一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌山モデルということについて、私がどのように考えているかというご質問でございます。
今、地方分権ということが言われておりまして、いろいろな方面でその動きが出ておりますけれども、やはり根本は地域から地域に合った施策を発信していって、それが日本全体の施策になってくるということが私は非常に大事なものであると考えております。そういうふうな中でも、ぜひ和歌山の実情というものを地方の実情として反映した施策というものが発信され、それが日本全国の施策になるというようなことになれば、一番和歌山県も元気づきますし、そして日本の国にとってもいいような形になるのではないかということを思いまして、例えば地方財政のあり方についてとか、緑の雇用事業、和歌山型の公共事業のあり方、そしてまた高速道路整備の必要性、近くは森林県連合でありますとか、東南海地震、南海地震の法制化等々について、志を同じくするような県の知事さん方を募って、いろいろな形で発信をしてきたところでございます。幾つか具体的に成果も出てきておりますし、そしてまたそれがマスコミ等で報道されることによって、和歌山県民の方も喜んでくださっておるのではないかと思います。
これからの時代、何といっても和歌山県は外との交流、そして外への発信、このことによって発展していくべきであるという信念を持っておりますので、これからもいろんな形で発信を続けていきたいと思います。そしてまた、発信するだけではいけませんので、それから具体的な成果というものを引き出すような努力をしていきたいと、このように考えております。
次に、緑の雇用でございます。
これは昨年提唱したものでございますけれども、今年度に入ってまた勢いがついてきております。当初は、今の制度は六カ月間の雇用という形しかできないということでございましたので、入ってくる人も少なかったんですけれども、関係部局、そしてまた森林組合であるとか市町村の血の出るような努力によりまして、三けたを超える人がこの和歌山県で都会から就労するような形になってまいりました。そしてまた、これを受けて林野庁、環境省等も、この和歌山県の取り組みというのは本当に地に足のついた、ただ単に浮ついたものではないということをようやくわかってくれまして、国の施策にも一番重要な施策として林野庁なんかは入れていくというふうな形になってきております。
先般発表されました小泉総理の骨太の方針第二弾にも、はっきりと「緑の雇用」という言葉で活字化されました。こういうふうな事柄をもとに、この六カ月の雇用ではなかなか安心して中山間で働いていくというわけにはいきませんので、これをもう少し長く働いて、本当の意味で地域に根差した人々になっていただいて、和歌山県の中山間が活性化するという方向を目指していきたいと思います。それは、何も森林の整備だけに限らず、観光であるとか、物産の販売であるとか、過疎化対策等いろんなこと、合併の問題なんかにもつながってくると思いますけれども、大きな意味を持ってくるのではないかと思っております。
次に、東南海・南海地震の法制化でございます。
私も、知事になる以前から南海地震、これは戦後二年目に起こったわけでございますけれども、その大変さということについては十分知識を持っていたつもりでございます。そしてまた、和歌山県では「稲むらの火」、これはラフカディオ・ハーンが小説化したわけでございますけれども、大変な美談もあるということでわかってはいたんですが、つい先般、テレビに出演することがありまして、そのときにあわせて南海地震の大変さということを改めて勉強いたしました。そしてその中で、東海地震はもう日本全国人口に膾炙するというふうな形になっているにもかかわらず、南海地震そしてまた東南海地震については、昔そういうものがあったなという古老の方の知識としてはあるんだけれども、それが本当に三十年以内には四〇%、そしてまた五〇%の確率で起こると政府で発表しているものほどには十分に認知されていないということに危機感を持ちまして、和歌山県選出の国会議員の方々と一緒に自民党、公明党、保守党の三党の幹事長の方に何とか法制化をしてもらえないかということで陳情いたしました。そして、こういう内容というのは非常に皆さん、関心を持っていただけるということもあって、実に本日、国会に上程されると。これはまだ半月ぐらいしかたっておりませんので、日本の国の記録的なものになるんではないかと思っておりますけれども。こういうふうな冠ができるということになってきましたら、これにあわせて津波対策──大変なことになってくると思いますので、和歌山県でも防災センターを整備したり、そしてまた津波などについて十分な周知を図るような仕組みを新たに考えていくなど弾みをつけてこの東南海・南海地震対策に当たっていきたいと、このように思っている次第でございます。
それから、第四点目のナショナルトレーニングセンターでございます。
これについては、非常にすばらしい環境と自然を持っている和歌山にはもってこいのものだというふうに思っておりまして、何とかこういうものを国でつくるということになれば和歌山へ誘致したいなと思って前から働きかけをしているんですけれども、このところちょっと国の方で動きがとまっているというふうなことがあるわけであります。しかしながら、こういうことについては常にアンテナを高くして、動きが出たり、そしてまた働きかけをこちらから積極的にするなどして、いいような方向が出てくれば和歌山県にぜひ誘致するような形で一生懸命努めてまいりたいと、このように思っております。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 緑の雇用事業の推進についてでございますが、現在、国の緊急地域雇用創出特別基金事業を積極的に活用いたしまして、新たな雇用の場の創出に取り組んでいるところでございます。
去る五月十九日と二十日に第一回目の就業説明会を開催いたしましたが、その際、百八十二名の応募がございまして、そのうち五十九名が内定されたところでございます。今回、就業に結びつかなかった方の主な理由といたしましては、議員お話しのように、基金事業では六カ月という短期雇用しか認められていないことによるものでございます。こうしたことから、基金事業終了後も継続的な雇用に結びつけるため、緑の雇用支援森林整備特別交付金事業やIターン者など新規就業者の定住条件を整備する緑の雇用支援定住促進特別交付金事業などの政策提言を行ってきたところでございます。また、地球温暖化防止に貢献する森林県連合共同アピールの具体的な施策につきましても早急に取りまとめることとしてございます。今後とも、恒久対策の実現に向けまして、関係部局と連携を図りながら、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、公共事業の地方基準導入の道筋についてでございますが、今議会の冒頭で知事より、地方基準の公共事業についての考え方を述べさせていただきましたとおり、公共事業の実施につきましては、地方が知恵を出し、それぞれの実情に合った独自基準を定め、それに基づき補助体系の見直しや財源移譲を進め、地方にとって真に必要な社会資本の整備を推進することが地方分権の時代にあっては重要であると考えております。
既に、平成十五年度政府要望において道路に関する県独自基準による補助事業採択を提言しており、理解を示していただいているところであります。現在、河川など公共事業全般にわたり地方基準の導入について同じ考え方を持つ他の県に呼びかけ、連携してその実現に向け努力しているところであります。その一環で、来る七月二十六日には、知事が先頭に立ち、他の県の知事とともに、東京でこの課題に関するシンポジウムを予定しているところであります。その成果を踏まえ、さらに国に強く働きかけてまいります。
次に、公共工事等の入札及び契約手続の改善についてですが、公共工事の入札及び契約に当たっては、透明性の高い手続のもとに公正な競争が行われなければならないと考えております。今回の改善策方針では、契約の上限の価格である予定価格や工事の品質及び安全を確保するため設ける最低制限価格等を事前公表することにより透明性を確保し、不正行為の排除を図り、公正な競争を促してまいります。
また談合の防止については、積算内訳書の提出、指名業者数の拡大、談合が行われた際の請負契約書への損害賠償予約条項及び契約解除条項の明記等の措置を講じてまいります。
また不良、不適格業者の排除につきましては、経営事項審査とあわせ、営業所調査、工事現場における施工体制の点検等の措置を講じておりますが、さらにその充実を図ってまいります。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、東南海・南海地震対策の強化についてでございます。
東南海・南海地震は、歴史的に見ますと、百年から百五十年間隔で繰り返し発生しておりまして、今世紀前半にも発生のおそれがあることが関係者の間で強く指摘され始めております。一たび東南海・南海地震が起きますと、その被害は広範囲に及ぶことが予想されます。特に本県沿岸部には大規模な津波が短時間に来襲いたしますことから、あらかじめ周到な防災対策が必要であると認識をいたしております。
本県では、これまでも防災監の設置、防災センター整備の推進、初動対応マニュアルの整備、各種訓練の実施、あるいは自主防災組織の育成などを通じまして防災体制の強化を図ってまいりましたが、ことし四月には県下全市町村、県、振興局を構成メンバーとする県地震対策協議会を新たに設立いたしまして、県下の沿岸市町村が一斉に行います津波避難訓練の実施でありますとか、公共施設の耐震化促進などに向けまして取り組みを強化することとしているところでございます。
今国会における東南海及び南海地震対策のための特別措置法の制定の動きは、本県の地震防災対策を進める上でも極めて時宜を得たものでございまして、その早期成立に心から期待するところでございます。今後、中央防災会議に設けられております東南海・南海地震等に関する専門調査会の動向なども踏まえながら、本県の地震防災対策のさらなる強化に努めてまいる所存でございます。
続きまして、市町村合併の状況についてお答えをいたします。
まず、平成十七年三月末の合併特例法の法期限についてでございますが、国としての方針はいろいろな場で明言されておりますけれども、去る二月二十一日に開催されました政府の市町村合併支援本部におきましても、片山総務大臣から、これは延長しない方針であるということが示され、了承されておるところでございます。県といたしましても、法期限の延長はないものとして合併を推進してまいりたいと考えております。
次に、合併重点支援地域の指定を行った地域などの状況についてでございますが、田辺地域におきましては、七月下旬に法定協議会を設置する予定と一昨日公表されたところでございます。那賀地域、有田地域につきましては、九月議会ごろを目標にいたしまして法定協議会の設置に向けた調査研究や調整が行われているところでございます。また橋本、伊都地域につきましても、住民発議による請求に基づき法定協議会の設置について審議が進んでいると理解をいたしているところでございます。
県といたしましては、本年度はこの合併にとって非常に重要な正念場の年であると考えておりまして、三月末に示されました国の指針にもあるとおり、本年度中に全県的に法定協議会が設置されるよう、さまざまな支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、合併しなかった市町村に関するご質問でございますけれども、合併をしなかった市町村につきましては、合併市町村との間に結果として将来、行財政基盤に格差が生じるものと考えておりまして、地方行財政の構造改革である市町村合併によりまして行財政基盤の充実強化に努めていくことが重要であると考えておるところでございます。
なお、国におきましては、市町村合併など社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度について議論が始まっております。その中で、小規模市町村について、県や周辺市町村への一定の事務を移譲すること、あるいはその事務配分の見直しが検討される予定となってくるなど大変厳しい状況も出始めておりますので、県といたしましては、その動向にも留意しつつ、必要に応じて施策等を提言してまいりたいと、このように考えております。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育に関する三つのご質問にお答えいたします。
まず、学校週五日制完全実施のもとでの教育活動についてでございますが、議員ご指摘のとおり、各高等学校では生徒や保護者、さらには地域のニーズにこたえるため、多様な取り組みを展開いたしております。本県におきましては、これまでも選択の幅を広げ、個性を伸ばす教育を進める観点から、総合学科や専門学科の設置、単位制の導入などさまざまな改編を進めるとともに、自校問題による入試の導入を初めとする学校裁量の拡大に努めてまいりましたが、授業時数の確保についても六十五分や七十分授業、二学期制などの導入を通じて努力いたしております。また、大学の教員や社会人講師を活用するあすなろ支援事業や和歌山大学の講座を高校生が受講できることとしたほか、学校独自の夏休み等、長期休業日の設定など、各学校が特色ある教育活動を行うことができるよう、制度の弾力化や支援施策を講じてきたところでございます。さらに本年度は、県外の進路指導の先進校五校に県内の五つの高等学校から教員を派遣し、進学指導や学校運営について三カ月間研修をさせることといたしております。こうしたさまざまな取り組みを行ってまいりました結果、近年の国公立を初めとする大学進学において、本県の公立高等学校は、進学率、実数いずれの面でも増加をいたしております。
次に高校生の就職の問題でありますが、非常に厳しい状況が続いております。各高等学校においては、県内外の求人開拓を積極的に行うことはもとより、生徒の基本的生活習慣の確立と望ましい職業観、勤労観の育成に役立つ就業体験の実施や適切な進路指導を行うガイダンス機能の充実に努めているところであり、教育委員会といたしましても、昨年度から就職アドバイザーを各地方に前期、後期合わせて延べ二十名配置しております。社会人としての経験豊かな就職アドバイザーは、求人開拓だけではなく、面接指導やマナー指導を通した職業意識の高揚の面でも大きな成果を上げております。また、今年度新たに就職支援教員を三名配置し、就職指導の一層の充実に努めているところであります。さらに、県内主要経済団体に対して、来年春の卒業予定者への求人確保について協力を依頼するとともに、和歌山労働局と共同で高等学校就職問題検討会議を開催し、就職機会拡大のため、雇用慣行の見直しなどについて協議をいたしております。
最後に、学校の安全管理につきましては、昨年の大阪での痛ましい事件の後、各学校では来訪者を確認したり、防犯ベルやスプレー等を備えたりするとともに、緊急時の避難訓練や護身術の講習を実施するなど、さまざまな取り組みを進めてきております。その結果、教職員の安全管理に対する意識の向上、緊急時の校内連絡体制の整備などが大きく改善をされました。不審者情報への対応など危機管理マニュアルについても見直し等を進めるよう指導し、小規模校を除くほとんどの学校で見直しやマニュアル作成を終えております。また、事件から一年が経過したことから、先般、市町村教育委員会並びに学校に対して、関係機関と連携し、学校の安全管理に一層努めるよう、改めて通知をしたところであります。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、佐田頴一君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十三番中山 豊君。
〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長からお許しを得ましたので、通告に従い、質問を進めてまいります。
まず第一に、セイカ商事海南工場の排出水ダイオキシン汚染についてであります。
県は、海南地区公共用水域において水質環境基準を超え、また事業所排出水が基準を超過したとして、汚染原因をセイカ商事海南工場と特定して、汚染水の排出停止、並びに原因究明及び汚染防止対策を指示し、事業所からの排出を全面停止し、外部へは排出されない対策をとったということだが、次の諸点についてご質問を申し上げます。
まず第一に、海南地域において、かなり以前から環境基準を超える汚染があり、いわば汚染されっ放しの状態にあったのではないかという心配があります。実際、判明した平成十三年初頭以前どのくらい汚染されていたのかをお聞かせください。
二番目、同事業所が排出水をとめて後も継続的に海域や河川の検査をしているけれども、その後の検査結果について依然として基準超過の結果が出ているようですが、排水を事業所外へ出さないことを条件に検証運転をしていることの関係はどうなのか。排出水を場外に出さないような策をとっているのに、その後も検出されていることのわけを聞きたい。
三番目、調査地点図を見る限り、事業所周辺の海域に限っているけれども、港外や魚は大丈夫なのでしょうか。
四番目、県がセイカ商事海南工場にとった措置の結果というか、その成果をどのように評価されているのかも含めて、ご答弁をお願いいたします。
次に、JR阪和線海南駅延伸を目指して、快速電車の海南駅までの増便をお願い申し上げることとのかかわり合いで申し述べます。
これについてJRの態度は、乗客数が増便に見合うほどないからとの態度をとり続けているようですが、この考えに立つ限り、この課題解決は百年河清を待つ形にしかならないと、こういうふうに思うわけであります。この態度を潔く改めるよう、県は地元海南及び周辺自治体や住民とともにJRに強く求めていくようにしていただきたいわけであります。増便をしてこそ乗客が漸増するとの考えに改めさせることが肝要であります。これを実現することにより、当地方は大阪方面への通勤圏内に入り、人口増が望まれるようになるわけであります。海南市を中心とする地域の発展を促す重要なかぎとなることを確信するからであります。強力に推し進めるようお願い申し上げながら、答弁をお願いするところです。
次に、国道三百七十号、仮称・阪井バイパスの問題であります。
県政とのかかわり合いで、地域の発展と活性化を求め続け、中でも課題に道路整備を中心的に取り上げてきたのが、今までの私の一貫した態度でありました。今日まで幾たびとなく取り上げてきた三百七十号の整備、中でも阪井地区のバイパス対策であります。顧みれば、地元海南市の対応にも問題はなかったとは言えませんが、いつまでも事が前に進められないでは済まされないわけであります。海南市の都市機能はこのために大きく変貌し、将来発展を望むべくもない状態に陥りつつあると言っても過言ではありません。可及的速やかにこれを前に進める施策をとられたいわけであります。市長もかわりました。これの実現に極めて積極的であります。県市協調体制は強固なものがあろうと確信します。現状と展望をお尋ね申し上げます。
続いて、四百二十四号の未整備区間の整備についても急がれたいわけであります。
知事説明要旨にもあるように、これまでのような受け身の姿勢から脱却し、国に対し積極的に施策提案を行い、国政に反映させていくという方向に意識や行動を変えていかねばならないとして、要望型のものでなく、新しい発想に立った施策を国に提案していこうという姿勢で臨んできたとして、地域の実情に合った構造基準による道路整備の推進として、山間部等の交通量の少ない道路には実情に合った極めて可能な道を探ろうとする試みを打ち出されていることは好感の持てるところであります。それに対応させて考えれば、四百二十四号初め県下の未整備部分はどう考えているのか、お聞きしたいところであります。
次に、さきに登壇した議員が申されておったこととも重複しますが、新学習指導要領、学校五日制実施に関連して質問を進めてまいります。
完全学校五日制と新学習指導要領が導入されて三カ月、これは日本の教育史上初めての経験であります。これを実施するまでの準備というか試行期間はそれなりにありましたが、十分こなし切れたとは思えないところにあったのではないでしょうか。それだけに今日、学校現場や保護者の間に大きな戸惑いがあり、混乱があって当然ではないかと見るのですが、今議会で取り上げたからといって、すべてがどうなるものではないと考えるところでありますけれども、先行き起こり得るであろう問題を考え、段階的かつ持続的に取り上げて検討を加えていく手がかりとして以下の提案をしながら、お尋ね申し上げます。
まず一番目に、保護者や学校、地域でどのような事態になっているか、把握されている点を赤裸々に申し上げてください。
二番目、ゆとりを生み出すはずのものが、子供や教職員が大変難儀を強いられている事態にはありませんか。例えば、休む子供がふえている傾向とか、あるいはまた休むまでもないけれども集中力に欠ける状態、また先生の授業時数が過密になり過ぎていないでしょうか。ある中学校の理科の先生の授業時数を見せてもらいましたけれども、ゆとりどころの騒ぎではありません。学力低下にあるのではないかという声もしきりにあります。必要な学校行事は減っていないか、これも気になるところです。
学校が地域の文化と融合し、地域の教育力を存分に受け入れ、発展させるかという相互の関係をどのように培われているのでしょうか。
次に、五日制導入が学校や家庭、地域社会に十分受け入れられ、根づくほどになっていないのではないでしょうか。未熟な状態だと言わざるを得ません。そんな状況下であればこそ、子供の実態把握は極めて重要だと考えます。既に試みられていることかもしれませんけれども、そのあたりのお考えを示されたいわけであります。ゆとりをもたらすはずの学校五日制が、子供たちや学校に過密な状態を生んでいるのではないでしょうか。重ねて申し上げますが、総合的学習の時間は、子供たちに新たな忙しさを招き、学力低下が心配され、授業時間確保のために学校からゆとりがなくなるという悪循環を起こしていやしないでしょうか。
夏休みや冬休みを短縮して授業などに充てる学校のあることは過日発表されていました。終業日をおくらせたり、始業日を早めたり、長期休暇を短縮したり、長期休業中に授業日を設けたりするなどの向きは、やはり学力低下をもろに懸念してのことではないでしょうか。教育委員会は、自己撞着を起こしかねないところにあるのではないでしょうか。地域や学校の事情に合わせた柔軟かつ自由な判断があってもよいのではないでしょうか。
むしろ、ゆとりのある時間割りに基づき、伸び伸びとした学校教育をつくり上げる取り組みの中で、今日の子供たちにかかわる諸問題の解決に当たるようにすべきではないでしょうか。五日制や総合学習などでかつて経験したことのない新しい課題を、現場や地域で腰を据えてきめ細かく取り組まねばならないときに、教育委員会は何ゆえか新しい制度というか、特徴のあるものをつくり出そうとして急ぎ過ぎやしないでしょうか。例えば、県立学校の校長や教頭を全国に公募するとか、いささか疑問を抱かざるを得ないと申し上げておきたいわけであります。
次に、とりわけミカン対策について申し上げてまいりたいと思います。
「わせものにうまいものなし」──お百姓さんの知恵だと思います。「わせものにうまいものなし」、この言葉はあるけれども、これにたがえて、極わせに対し、従来のものにかえて新種として登場させようと新わせの呼び名を与えて、熊本県は豊福早生と肥のあけぼのの二品種を極上の品質として市場に送り込んでいるとの話を読んだり聞いたりしているわけであります。そうでもしないと成り立たない苦境にミカン農家が追い込まれているというわけであります。十月上旬に出荷できる極わせの豊福早生の糖度は十一度、中下旬に出る肥のあけぼのは十二度、極わせのせいぜい九度に比べれば驚異的であります。このように、今日の厳しいミカン生産農家にとって、しのぎを削る取り組みをして生き残ろうと懸命であるわけであります。その抜け道は、「品種にまさる技術なし」の例えのように、品種改良に尽きるとして、生産地は辛酸をなめつつ奮闘しているわけであります。県も、試験場を整備拡充して成果を上げるべく取り組みを進めているけれども、県内のミカン農家にどれだけ優良品種を提供してきているのか問いたいところです。せんだって、吉備の果樹試験場を見せてもらってきました。立派ですね、知事。立派です、これは。あの立派な建物に沿うような中身を添えていただこうという願いが私のこの質問にあるわけであります。
かつて、高糖度の丹生系ミカンの改良で紀の国温州等を育成されたが、糖度が高いが実がなりにくいとの欠陥があり、県内農家には余り普及しなかったようでした。農家の皆さんに不向きで受け入れられなかったようでした。また、極わせ生産の宮本わせを育成したけれども、これは木の勢いが余り強くなく、強くするための改良に励まれたようですけれども、糖度を高める取り組みもあわせて追求せねばならず、「二兎を追う者は一兎をも得ず」の例えのように、結果として世評に伴うほど世に普及するに至らなかったとの話を聞き及んでいるところであります。
戦後半世紀にわたるミカンを取り巻く情勢を大別すれば、復興、躍進、国際化と大きく変動し、主幹作物である温州ミカンは、昭和五十年をピークに五年前に激減して、この方、上向きになっていないのであります。つくれば売れた時代は過ぎて久しいわけであります。もちろん、消費量の減少傾向にストップがかからない状態が続いているわけであります。これにあわせ、平成三年、オレンジの自由化に伴い、果樹農業は完全に国際化の時代に突入してまいりました。また、消費者の嗜好は高級化し、多品目化し、少量化し、品種に対する消費者の目も大きく変わり、その傾向の赴くままに支配されようとしているところであります。昭和三十年から量産体制から品質重視の時代へと移り変わり、その過程でニーズに対応するための栽培手法の改善研究もされてきているけれども、「品種にまさる技術なし」であらわされるところに問題解決のかぎがあると考え、果樹試験場に寄せる期待は極めて大きいものがあるわけであります。そして、果たす役割の大きさを改めて考えるのであります。
長々と述べてきましたけれども、要はミカン農家にどれだけの優良品種を育成し、提供しているかをお聞きしたいわけであります。ミカン生産県のそれなりの特徴を見るとき、和歌山県はミカン生産県としてどのような特徴を形成しようとしているのでしょうか。
ミカン生産にかかわっては余り大した知恵がなかったので、この課題を設定してから、いささかいろいろと勉強させてもらいました。それによると、それぞれのミカン生産県の特徴を出そうということで、それぞれのミカン生産県が努力をして、それなりの取り組みをしているようであります。例えば静岡県は、年を越してミカンが少なくなってくるころに市場に送り込もうとして、貯蔵かんの生産に大きく切りかえて、静岡県のミカンの生産県としての特徴を維持しようとして努力しているようであります。聞いてみれば、和歌山県や熊本県、愛媛県などと違って、少し緯度が高いところにあるからそうするのが適当だという生産者の意向のようだったというふうにもお聞きしました。熊本県は、先ほど述べましたように、豊福早生とか他の優良な糖度の高い極わせをつくって、それを市場に送り込もうとして、熊本県のミカン生産県としての特徴をつくり出しているという話も聞きました。愛媛県もミカン県の一つですが、これは伊予カンがすべて畑を支配しているところに多量につくられていったということもあったりして、その伊予カンは今市場で受け入れられない、それで壊滅的な打撃を受けて、これをいかに切りかえるかということで大変腐心をなさっているのが愛媛県だということも聞きました。
では和歌山県の特徴はと聞いたら、和歌山県は北と南に長いので特徴がないのが特徴だというような言われ方もされたりしているようであります。北と南に長いという特徴をミカン生産県としての和歌山県を形成するのにいかに有利に使っていくか、研究していくか、このあたりがこれからの課題ではないかというふうにも教えられたわけであります。そのあたりは、賢明な県の果樹試験場の皆さんのお考えの結果を待つよりほかないと思いますけれども、今、ミカン農家の皆さんはそのあたりに期待するところが極めて大きいのではないかとさえ思われるところであります。その立場からの取り組みと展望を教えていただきたいわけであります。
優良品種を育成普及する取り組みは、かなり年月が必要であります。即座に結果を求められるものではないということぐらいは承知するわけであります。地道な努力の要るものであります。その取り組みの体制はいかがなものでしょうか。関係者の要求が満たされるところにあるのでしょうか、そのあたりもお聞かせください。
最後に、ことしは裏年で不作が予想されているようであります。ことしのこの苦境を乗り切れないとするなら生産農家は大きなダメージを受けるという、こういう専らの話であります。作柄の実情がわかるころを見通して、不作、安値の打撃からの救済策を今から検討しておくべきではないでしょうかということを申し上げて、当局の答弁を賜りたいと思います。
私の一般質問の最後に、ワールドカップサッカーの問題を取り上げたいと思います。これは二月議会でもるる申し上げたことでもあるので、二番せんじにならないようなお話に気をつけて申し上げたいと思います。
五月三十一日にフランス対セネガル戦は韓国で、アイルランド対カメルーンは日本で開幕した二〇〇二年第十七回ワールドカップサッカー大会は、多くの人々の関心を集めて、それなりの盛り上がりを見せて進められ、第一次リーグを終えて決勝トーナメントの段階に入り、きのうでベストエイトが決まったというところであります。日本は残念ながら負けましたけれども、共催国である韓国はイタリアに勝ってベストエイトに入り、準々決勝にこまを進めるという成果を得ているわけであります。横浜で行われる決勝戦、韓国大邱で行われる三位決定戦ですべて終了しようとしているわけであります。
和歌山県が、デンマークチームのキャンプ地として決定され、県民の強い関心が寄せられる中で、デンマークが決勝トーナメントに進出したことをとってみても、多大の効果を得たものと考えます。二月定例議会で知事が、ワールドカップサッカーが歴史のいろんな場面で非常に大きな役割を地域や国々の間において果たしてきたことを踏まえ、その意義を県民の皆さんに広報し、和歌山の特色を出した歓迎の仕方をして盛り上げ方を考えていきたいと申されました。その成果でしょうか。デンマークチームの活躍の結果、決勝トーナメントに覇を進めて、再び和歌山に戻ってこられました。評価されるところであろうかと思います。関係者の皆さんの努力を高く評価し、よくやったと言うべきではないかと考えます。しかし、これが日本国レベルで見ると、いかにもまずいことを指摘せねばならないことが幾多感じられたわけであります。これを指摘して、政府及び日本組織委員会に反映していただきたいことを申し上げ、W杯の今後のさらなる発展のために和歌山県も一定の貢献をすべきではないかということから、以下申し上げたいわけであります。
アジアで、しかも初めて、その上に二カ国が共同開催するとの方式で十七回大会が開催されることの画期的意義、すなわち過去を本当に清算し、未来志向の新たな日韓関係に発展させ、日韓共同開催で日韓両国国民の間に急速に高まった友好と連帯の機運をより前に進めることに力を尽くさねばならないところでした。四日夜、釜山で韓国チームはポーランドに二対〇で勝ちました。その瞬間に立ち上がった韓国のサポーターたちは、これでトーナメントに進出間違いなし、そして日本も頑張って一緒に十六強に進もう、トーナメントに行こうと叫び合ったといいます。これほどに両国国民の間に友情と連帯が高められたことは、過去に日本が朝鮮を侵略し、植民地支配した時代以来あったでしょうか。さらに、取り組みの中で北朝鮮でも会場を持とうという機運さえ持ち上がったという話も聞きました。そのとき、朝鮮の南北統一を促し、日朝の友好連帯を促進する上で、極めて大きな役割をW杯が必然的に担っていたのではないかと考えるわけであります。韓国はその立場を堅持されていたと、マスコミを通じて知るところであります。さらに、日本がチュニジアに勝ち、決勝トーナメントに進出を決めた夜、韓国チームは日本に続こうと頑張って決勝トーナメントに進出を決めた翌日のある新聞の社説は、「よかった、よかった」と題して、次のように書きました。「複雑な歴史を背負った日韓両国民ではあるが(中略)互いに声援を送ってきた人々が多かったのではなかろうか。その気持ちがかなえられたことで、W杯の歴史的共催の意義がさらに膨らんだのは何よりのことである。 決勝トーナメントの初戦で、日本はトルコと、韓国はイタリアと、ベスト8をかけて戦う。 がんばれニッポン、がんばれ韓国。」と結んでおりました。友情と連帯をはばかることなくあらわに出されていた社説であります。
それに比べて、日本はこの見地にしっかりと立たれて対応したと思えない節が幾つも目につきました。極めて残念でなりません。国際感覚のずれというか、おくれを感じないではおれません。具体的なあれこれについては触れることを差し控えますが、両国共催の意義にもとる極めて無神経、非国際的な態度と受けとめられかねないところでした。折しも、インド、パキスタンの核戦争回避で国際社会が苦心しているとき、しかもW杯開催をあすに控えているそのときに、非核三原則をめぐる政府要人の話などは全くいただけない話でありました。これだけ盛り上がろうとしているワールドカップサッカーの雰囲気に水をかけるとしか思えなかったのは私一人でしょうか。国際連帯と日韓友好の機運に水を差す以外の何物でもないと私は受けとめました。両国共催とは日本国にとって何だったのかということを改めて問いたいところであります。
次に、ワールドカップサッカーのチケットをめぐる問題であります。大会場に臨んで試合を観戦したいという人々が多くあるのに、スタンドが空席のまま、しかもテレビを通して国民の前にさらされることがありました。これに対して韓国側、すなわち韓国組織委員会及び大統領の発言は、直ちにFIFA及びFIFAから委託を受けたバイロム社に抗議し、立ち上がって提訴を辞さないという強い態度を表明されたところです。これは、単に大会を取り仕切る組織委員会のみで済まされない問題であります。国際大会を受け入れた日本国の権威にもかかわる問題でありまして、これについては世論の反発と批判の高まりの中で、FIFA及びバイロム社、組織委員会の三者会議で六日以降のチケットの配券に改善を加えたようですけれども、大会場を受け持った各県にとっても大変なことでした。他県のこととは思えないはずのものでした。日本組織委員会ともども、日本国の果たさねばならない事柄が幾多あったのではと思うにつけて、穏やかならざる心情になったことを素直に申し上げておきたいわけであります。
日本国選手は、W杯初めての得点をし、勝利をするという歴史的な実績を残され、日本のサッカー活動に少なからぬ功績を残されました。その選手たちは、国及び国民の期待を受けて奮闘されたわけであります。日本を代表してグラウンドに赴いた選手たちは、彼らが代表した日本をしっかりと背負ってよく戦ってくれたと思います。戦い傷つきながらも、見事に責任を果たしてくれたと思います。私たちが、テレビを通じてあのグラウンドの上に見たものは何だったのか。今日、日本の国の人々が失いかけていたものを見ることができたとの思いでいっぱいでありました。代表選手としての責務を果たそうと、ただひたすらに無心に戦う姿にその責任の遂行の美しさととうとさを覚えたのは私一人だけはないでしょう。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)ありがとう。
最後に申し上げたいのですが、参加三十二国について国際感覚を高め、国際理解を高める上で、またとないいい機会であったはずであります。私の知る多くの人々や子供たちは、参加三十二カ国の四分の一も地図上に示されないという実態を把握しました。三十二カ国のそれぞれについてあれこれ言われて、ああ、あの国は世界地図上のどこにある、ここにあると、議場の皆さんもはっきりとことごとく指し示す状況にはないのではないかということを、はばかりながら申し上げさせてもらいたいわけであります。それだけに、何ゆえこの機会に世界地図上で参加国を示して、子供たちや県民に知らせる具体的な手だてがとられなかったのかということを悔やまれてなりません。それで、はばかりながら皆さんにこの議場で地図をお配りしようと思ったんだけれども、余りおこがましいので用意することを差し控えました。もし必要なれば事務局の方へ預けておきますから、コピーでもしていただきたいと思います。あのワールドカップがどうだったのかということで、日本で開かれた機会に把握をお互いにし合えたらなと、遅まきながら教育委員会及び県当局は、この機会に日本で開かれたワールドカップが国際理解と国際親善、特に両国共催の意味合いをさらに強め、強化していくことのために大いに活用していただければと思います。
以上でもって、私の質問を終わります。議長にお渡ししておきます。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
環境生活部長秋月成夫君。
〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) セイカ商事海南工場の排出水ダイオキシン汚染についてお答えいたします。
まず一点目の、平成十三年初頭以前の汚染についてでございますが、県では平成十二年度から県内各地点で常時監視を実施してきており、平成十二年七月から八月にかけて、海南地区公共用水域で環境基準点五地点について実施したところ、三地点で一・三から五・四ピコグラムと、環境基準の一ピコグラムを超過しておりました。このため、超過した三地点とその周辺部において、確認のための再調査を平成十二年十月と平成十三年一月の二回実施いたしましたが、いずれもすべての地点で環境基準を満足してございました。このことから、環境基準の超過状態は定常的なものではなく、一時的なものであったと考えてございます。
次に二点目の、排出水を場外へ出さない策の後も検出されていることについてでございますが、平成十四年三月の排出水全面停止から十日後の調査結果と約四十日後の調査結果を比較いたしますと、事業場近辺の海域では顕著な低減傾向が見られますが、依然、環境基準を満足するまでには至っておりません。これは、事業場近辺は閉鎖性水域となっており、海水が停滞しているため、その交換率が低いことによるものと思われます。いずれにしましても、引き続き注意深く監視を続けていく必要があると考えており、六月にも継続調査を実施したところでございます。
三点目の港外や魚についてでございますが、平成十四年三月と四月に実施したダイオキシン類環境調査では、湾口部からマリーナシティ沖の調査地点でいずれも環境基準を満足しており、特に問題となる数値ではありませんでした。また、魚につきましても、本年四月に実施した水生生物調査の結果、平成十一年度環境庁全国調査と比べても、特に問題となる数値ではありませんでした。
最後に、県のとった措置による成果の評価についてでございますが、平成十三年十二月の工場立入検査の結果が本年二月に判明し、直ちに汚染水の排出停止と原因究明、及び改善対策を指示いたしました。その直後、二回目の立入検査を行ったところ、原因施設と思われる製造プラント停止後も排水処理設備等の残留汚染の影響で汚染排水が事業場外へ出ていたことが判明し、三月二十七日に全面排出停止を指示したところであります。その後、四月十日には事業場外へ工場排水を出さないことを条件に、原因究明と改善対策のための検証運転等を指示し、去る六月十四日に終了したところであります。この結果について専門家の先生方も交え検討を行い、再発防止のための訓練等を含めた確認運転に移ったところでございます。今後、事業者に対し、ハード、ソフト両面からあらゆる再発防止策を講じるよう強く指導することにより、地域の皆様が安心していただける環境づくりを目指してまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) JR阪和線の快速列車を海南駅まで増便せよというご指摘についてお答え申し上げます。
紀勢本線と阪和線を直通する快速列車の本数は、平成十二年三月のダイヤ改正によりまして、朝の通勤時間帯は変動がないものの、昼間の時間帯を中心に減少し、和歌山駅での乗りかえとなっております。これはJR西日本によりますと、車両の運用上の問題、あるいは沿線各駅の利用状況等によるものと聞いておりますが、利用者の利便性の確保につきましては、和歌山駅でのダイヤ調整など乗りかえについて十分配慮がなされているとのことでございます。昨年のJR西日本の完全民営化や規制緩和に伴う赤字ローカル線の廃止問題など、今後は収益性がさらに優先される状況にあり、鉄道を取り巻く環境はより一層厳しいものがございます。
このような状況の中、県とJRは本年二月に、当面するさまざまな問題を協議するためにJR関連懇話会を設けたところでございまして、阪和線快速列車の海南駅延伸につきましては、このことを推進することが当地域の大阪方面への通勤圏としての位置づけを高めるという認識のもとにJRと協議してまいりたいと思います。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 国道三百七十号阪井バイパスにつきましては、平成二年に都市計画案の公告及び縦覧を行いましたが、反対意見が多数のため都市計画決定に至ってございません。現在は、以前に提示を行ったルートを基本とし、周辺道路網を勘案した計画案に基づき、海南市の協力を得て、地元同意形成のための努力を行っております。地元の皆様方のご協力を得ながら、早期の都市計画決定に向けて努力してまいります。
次に国道四百二十四号の未整備区間につきましては、海南市上谷、ひや水地区において現道対策事業を実施中でありますが、一部用地買収が難航しているため、引き続き関係者のご協力を得て整備を進めてまいります。
また、県下の未整備路線の整備の進め方につきましては、地域の生活路線であるかどうかなど、ネットワーク上の位置づけや交通量に着目して地方基準による整備対象路線を絞り込み、コストを縮減し、整備延長を延ばしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) ミカン対策についてでございますが、優良品種の育成につきましては、果樹振興の主要課題の一つと考えまして、これまで果樹試験場での育種や枝変わりによる優良系統の探索などに努めてきたところでございます。
この間、県下の篤農家が中心となって組織してございます果樹新品種研究同志会などの協力を得ながら、極わせからおくてまで十数品種を育成してございます。また、近年、糖度が高く味のよいゆら早生や田口早生といった有望品種が育成されており、今後、生産者団体と一体となって産地化に向け取り組んでまいりたいと考えてございます。
ご承知のとおり、本県は歴史のある産地として、また他産地と異なる南北に長い地理的条件を生かし、極わせから年明けの貯蔵ミカンまで長期間の出荷体制を整えており、今後もこの特性を生かした産地形成を図ってまいりたいと考えてございます。
価格の低迷が続くなど厳しい状況の中で、農家経営の安定と産地の活性化を図るため、優良品種の導入はもとより、マルチ栽培などによる高品質生産や消費拡大対策などを一層推進するとともに、価格低落時に農家に補てん金を交付する果樹経営安定対策を昨年度に引き続き実施してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校週五日制は、平成四年九月に月一回導入されて以来、十年の移行期間を経て、今年四月完全実施されたところでございます。この間の取り組みを踏まえ、土、日曜日の学校や社会教育施設等の積極的な開放、子供や保護者を対象としたスポーツ・文化教室など、さまざまな事業を行ってきました。しかしながら、テレビを見るなど家庭で過ごす子供も多い実態にあり、学校外活動の機会をさらに充実させるとともに、休日の過ごし方について指導することが今後とも大切であると考えております。
また新学習指導要領につきましては、学習内容の厳選に伴う学力面での不安が指摘されていますが、学力の実態がどのようなものであるかを的確に把握するとともに、習熟度別学習や少人数学習など指導方法の工夫改善を図ることが重要であると考えております。そのため、本年度から県内小学校十校、中学校五校において学力向上フロンティア事業を実施し、その成果を県全体に普及させることとしております。こうした取り組みを進めていく上で、学校週五日制や新学習指導要領の趣旨について家庭や地域の方々に十分理解していただくことが肝要であることから、公立学校の全保護者に向けに、既に二度リーフレットを配布し、新しい教育の啓発に努めてまいりました。さらに、地域ぐるみで教育を推進する機運を盛り上げることを目指して、六月から県内八地方において学社連携による地域教育力活性化セミナーを実施するとともに、十一月にはすべての公立学校が授業や行事等を一斉に公開する学校開放週間を設けることとしております。今後とも、家庭、地域社会と一体となって子供一人一人を大切にした教育活動を推進し、学校教育に対する信頼を強めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十三番中山 豊君。
○中山 豊君 ご答弁ありがとうございました。質問というよりも、ご要望を申し上げておきたいと思います。
セイカ商事のダイオキシンの問題で、よくわかりました。ところが、港外に流出して魚などを汚染しているという事態はないと、はっきりお答えをいただきましたので、関係住民や特に漁業者などは安心しておられるであろうと思います。今後もそのようなことにならないように、特に監視を強めて努力をしていただくようお願い申し上げておきます。
JRの快速の海南駅への増便の問題ですけれども、大阪方面への近畿圏の通勤圏内に大きく貢献するであろうという認識に立たれて、今後もその立場から懇談会ですか、関係する者たちが寄って、県及びJRとの関連懇話会なるものの中でそれを一層追求していただくというようなお話でありましたから、特に地元海南市や関連する周辺の自治体や住民の皆さんも入れて、その意向がJRに強く反映されるよう県の方でお取り計らいをお願い申し上げておきたいと思います。
三百七十号の通称・阪井バイパスの問題ですけれども、部長の答弁はもう一貫してそのようなことにしかならないという事態で推移しているんです。そこのところを、もういいかげん一歩踏み出して都市計画審議会にかけるというふうなことにでもしてもらえないかという心持ちを込めて質問したわけですが、依然としてそういうふうなところには踏み込もうという答弁ではありませんでした。それを考えるときに、やっぱり海南市にはまずいことをしたんだな、県にも大変ご迷惑をかけたんだなということ、痛いほどよくわかるんです。もう十年以上もかかっているんだから、その傷の痛みやその傷のいやしをどんなにかしてもらえないものだろうか。地元の皆さんや海南市当局が、県の皆さんの傷の痛手のいやしをどのようにさせてもらったらいいのかという、こういうふうなことで腐心するわけです。どのように表明したら、それはそうや、県が計画したものを反対してほったらかしておいて、せっかくやろうと言ったものの出ばなをくじくようなことをおまえたちがしたんだから、今度やるには相当な何かをもって対応してこなかったら、それはあかんでというふうに言われていることではないかと思います。そういうふうなことであるなれば、地元及び海南市当局が県の皆さんの傷のいやしをどのようにもって報いたらこたえてもらえるのかという、こういうふうなことにしかならないんじゃないかと思う。
そのようなことが如実に示されたとしたら、都市計画審議会に早期になどと言わないで、今年度中にでもやってみようという、こういうふうなことになるのかならないのか、こういうふうなことを一つの課題として投げかけておいて、引き続きこれについて何回でも尋ねさせてもらうという、こういうふうなことについてご要望申し上げておきたいと思います。
以上です。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十五分休憩
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午後一時二分再開
○議長(井出益弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十五番新田和弘君。
〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
まず初めに、行財政改革の問題に関連してお尋ねをいたします。
去る六月十三日、経済財政諮問会議は、経済活性化戦略と税制改革、歳出改革の主要三改革についての基本姿勢を示す経済財政運営等構造改革の基本方針の最終案、いわゆる骨太方針第二弾を決定いたしました。基本方針の概要は、経済活性化戦略として人間力、技術力など六つの戦略分野と三十のアクションプログラムを策定し、構造改革特区の導入や自由貿易協定の推進などを柱に挙げています。税制改革では、公正・活力・簡素を新たな理念に掲げ、税制をてこにした経済活性化をねらっています。所得税、住民税は、課税の負担構造の見直しで、配偶者特別控除を初め家族に対する人的控除の廃止・縮小等による課税最低限の引き下げを目指しております。法人税は、デフレ不況対策として産業界から期待されていた税率を引き下げることは見送られ、現在、約七割の法人が法人事業税を負担していない状況から、法人課税の実効税率を引き下げるため、外形標準課税の導入を図るとしております。また、研究開発投資やIT投資を税制から促進する。歳出改革では、平成十五年度国の予算編成方針で緊縮路線が強化され、予算の重点配分においても、前年の七分野から科学技術・教育・IT、都市・地域社会、高齢化・少子化対策、環境の四分野に絞り込んだ。歳出予算は、政策的経費の一般歳出だけではなく、地方交付税と国債費を含めた一般会計の歳出全体を実質的に十四年度の水準以下に抑制する目標を打ち出しました。このため、今年度より九千億円増加すると言われておる年金給付額に物価スライド制を導入することや、人事院勧告制度の見直しなど公務員給与を含む総人件費の抑制を求めております。国と地方の関係では、地方歳出に対する国の関与の廃止・縮減を行い、地方税中心の歳入体質の構築を目指し、国から地方への税源移譲を図るかわりに国庫補助負担金や地方交付税の削減を図る地方財政改革の行程表を一年以内にまとめるとしています。また、福祉、教育、社会資本など、約二十二兆円の国庫補助負担金を平成十八年までに数兆円規模削減するとしております。こうした骨太方針第二弾に基づいた国の予算編成が行われると、本県の新年度予算編成にも大きな影響を受けることとなります。
そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
一、知事は国の骨太方針第二弾をどう受けとめているか。本県の十五年度予算編成にどう取り組まれるのか。
二、国は、地方財政への関与を廃止・縮小を目指す地方財政改革の行程表を一年以内に策定する、また国庫補助金や地方交付税の縮減や公務員給与を含む総人件費の削減を求めております。本県の行革は十五年度まででありますが、この際、行革大綱を新たに策定し、行政改革を遂行されてはどうか。
三、国の骨太方針第二弾において、経済活性化戦略として構造改革特区の導入があります。知事は五月に、国に対しての政策提言で、本県にIターン特区いわゆる緑の経済特区を提案しました。多様な農業経営や田舎型ベンチャーの起業機会を提供し、都市から地方への人口移動を起こすことを目指しております。本県では、既に緑の雇用事業を進め、環境と雇用の両面を生かした都市と地方の交流による本県の活性化に取り組んでいますが、緑の経済特区を導入されることに対する知事の所見はどうか。
以上、三点をお尋ねいたします。
次に、総務部長にお尋ねをいたします。
一、国の税制改革の見通しと本県の対応、及びその影響はどうか。
二、国は公務員給与を含む総人件費の抑制を求めております。本県では既に定員数の削減や給与カットを実施してきておりますが、今後の対応はどうか。
三、地方税源の充実を目指す方策として、法定外課税については、三重県が平成十四年四月から産業廃棄物税を導入、東京都では本年十月から宿泊税を施行するとのことであります。本県での法定外課税への取り組みはどうか。
四、財政投融資制度の改革により、政府資金による地方債の引き受けが減少することが予想されます。その一方で、公募する新しいタイプの地方債を発行する動きが広まっております。本年三月に群馬県が県民を対象に売り出した県債は総額十億円でしたが、わずか十八分で完売したことで注目されております。総務省によりますと、今年十五程度の自治体が総額二百億円を発行すると見込んでおります。満期一括償還する、一般個人が投資する住民参加型の公募県債を本県でも発行されてはどうか。
以上四点、お尋ねいたします。
次に、本年四月からペイオフが解禁され、平成十五年四月からは普通預金、当座預金保護の時限措置がなくなり、ペイオフが本格的に実施されます。自治体がとり得る公金預金保護の対策として歳計現金、歳入歳出外現金は、最も確実かつ有利な方法で保管しなければなりません。運用方法は、預金とあわせてその一部を国債等の元本償還及び利息の支払いの確実な債権による運用を図る、さらに預金債権と借入金いわゆる地方債との相殺を図るとされております。ただし、この場合の地方債は証書借り入れの方式による地方債と定められているため、縁故債の発行には、証券より証書による発行をふやすことでペイオフに備える必要があります。各種基金は、歳計現金などと同じ対応が必要であります。制度融資に係る預託金については、歳計現金や各種基金と同様に対応するのに加えて、融資の方法を預託金方式から利子補給方式へ変更することで公金預金を保護する、さらに信用保証協会を経由する預託方式の場合、義務づけの制度については見直しを行って直接預託をする方式に変更するのが望ましいとされております。
そこで出納長に、平成十五年四月の本格的ペイオフの導入に向けて公金預金保護の対策をどうされるのか、お尋ねをいたします。また、制度融資に係る預託金の保護と制度融資を預託金方式から利子補給方式へ変更することに今後どう対応されるのか、商工労働部長にお尋ねをいたします。
次に、地球温暖化防止対策についてお尋ねいたします。
地球温暖化がこのまま進めば、気候の変動による気象災害や飢饉、疫病、生物層の変化、平地の水没などにより人類の生存が危うくなると世界の研究者が警鐘を鳴らしてきております。実際、二十世紀の間に地球の平均気温は〇・六度ぐらい上昇したと見られています。特に九〇年代は、千年単位で見ても最も暖かい十年であったと言われております。ヒマラヤなどの氷河が解けて海に流れ、海面を上昇させ、さらに海水が温められて膨張することで二十世紀中に海面が十センチから二十センチ上昇したと測定され、地球温暖化が大変心配されております。
平成四年の地球サミットで、日本も含めた百五十五カ国が地球温暖化問題に対処するための気候変動枠組み条約を締結いたしました。さらに、日本が議長国となった第三回締約国会議の京都会議で、地球温暖化防止のための初めての国際ルールである京都議定書が採択されました。その内容は、先進国三十八カ国全体で二〇〇八年から二〇一二年の間に温室効果ガスを九〇年の水準から五%削減することを義務づけ、具体的にはEUは八%、アメリカは七%、日本は六%など、明確な数値目標が示されました。日本では、京都会議が終わった直後に総理大臣を本部長とする地球温暖化対策推進本部が設置され、平成十年六月には推進大綱が決定し、同年十月に地球温暖化対策の推進に関する法律が成立いたしました。そして、この法律に基づいて基本方針も定められました。しかし日本では、残念ながら温室効果ガスの排出量は、平成十一年の調査では六・八%増加してしまっております。その内訳を見ますと、工場などの産業部門からの増加は〇・八%ですが、自動車などの運輸部門が二三%と大幅な増加になっており、さらに民生のうち家庭部門でも一五%伸びており、一般のオフィスビルも二〇・一%と大きな増加を示しております。
昨年十月、モロッコのマラケシュで第七回締約国会議が開催され、京都議定書の運用ルールが決められました。例えば、二酸化炭素を樹木が吸収する吸収源の割合が定められ、日本は上限値として千三百万トンまでの吸収が正式に認められました。これは、日本として必要と言われてきました三・七%の吸収量をカバーする数値であります。
去る六月四日、政府は地球温暖化の防止に関する国際ルールを定めた京都議定書の批准を決めました。また、我が国の今後の地球温暖化防止の柱となる地球温暖化対策推進法の改正案が国会で審議されております。国が本年三月にまとめました新温暖化対策推進大綱では、産業界の技術革新や国民の省エネ努力で二%の削減、森林吸収で三・九%の削減を見込んでおります。植林など人為活動としての手入れをされた森林が温室効果ガスの吸収量を削減として計算されることになっています。
今月の七日、木村知事は、岩手県、岐阜県、三重県、高知県など五県で森林県連合を発足させ、地球温暖化防止の観点から森林の整備保全を求める共同アピールを発表しました。そして、これは森林を通じて山村地域が地球温暖化防止に貢献していくことにより都市と地方の共感に満ちた新たな関係を生み出そうとするものであると説明をされております。
和歌山県の森林面積比は七七%で全国第六位で、本県の特徴として民有林が総森林面積の九五%を占め、現今の林業経営の厳しい状況から放置されたままの森林も多く、緊急な間伐などの対策が必要であります。
そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
一、「地球温暖化防止に貢献する森林県連合 共同アピール」を行い、国に対して地球温暖化防止に向けた森林再生事業の創設を提案しておりますが、今後事業化を進めていくための知事の所見はどうか、お尋ねをいたします。
次に、地球温暖化対策推進法の改正に向けて、県の取り組みについてお尋ねをいたします。
昨今の温室効果ガスの排出状況を見ても、大きく伸びているのは自動車とか運輸など、また民生のうちの家庭部門であります。これは、私たちの県民生活、ライフスタイルを大量消費、大量廃棄からより質の高い生活に一人一人の行動を変えていかなければなりません。
昨年十一月に環境省は地球温暖化防止国民生活推進室をつくり、国民生活において温暖化防止対策をどう進めていくか検討をいたしております。例えば県民のライフスタイルの一つである県民一人当たりの電灯の使用電力量が平成十四年版「一〇〇の指標からみた和歌山」によると、全国第三位であることに驚かされると同時に、省エネに対する県民意識の向上、温暖化防止への啓発の必要性を感じた次第であります。
そこで、環境生活部長にお尋ねをいたします。
一、現行法において義務化されている地域レベルでの取り組み体制、基盤整備のため、県地球温暖化防止活動推進センターについては、改正後はNPO法人が設置するセンターを指定法人とすることが可能になります。本県における推進センターの指定及び温暖化防止の意識を県民に広める温暖化防止活動推進員の委嘱をどう進めるのか。
二、改正法では、新規施策として地方公共団体、推進センター、温暖化防止活動推進員、事業者、住民等から成る地球温暖化対策地域協議会の設置が定められております。県は、各地域に協議会を設置することにどう対応していくのか。
三、本県において県民のライフスタイルの変革につながる具体的な対策の実施とその普及運動を展開するため、仮称・地球温暖化防止県民生活推進室を設置し、対策に当たられてはどうか。
以上、三点をお尋ねいたします。
次に、JR和歌山駅周辺に集まるハント族や期待族対策についてお尋ねをいたします。
週末の深夜、男女交際を目的に改造車などでJR和歌山駅周辺に集まるハント族や期待族に対して、地元住民の方々から騒音や通行阻害への苦情が高まっています。地元住民の訴えによると、ハント族や期待族は、金曜日から日曜日の週末にかけて、午後十一時ごろから朝の四時ごろまでJR和歌山駅東口から太田地区周辺を車で周回を繰り返します。車は、県内はもとより大阪府南部を中心に近畿各地から集まり、五十台から、多いときには百台近くが集まり、JR和歌山駅周辺は近畿地域のハント族の拠点の一つになっております。集まった車両は住宅の前に列をつくって駐車し、エンジンをふかし、音量いっぱいに音楽をかけながら騒いだり現場周辺を周回するため、うるさくて眠れないとの怒りや苦情の声が上がっております。
地元の方の要請で、私も六月八日の土曜日の夜十一時半ごろから一時間、現場へ行ってまいりました。当夜は和歌山東署からパトカーを三台出動していただき、警らに当たっていました。夜十二時を過ぎているにもかかわらず、現場周辺は車がエンジンをふかして周回を繰り返し、近くの太田公園では若い男女がたむろして騒いでいる状況であり、これから夏に向かってますますエスカレートするのではないかと心配した次第であります。地元住民の方々は、夏休みに向けて暴力事件など犯罪に結びつく可能性があり、何とか警察の力で安心して生活できる町にしてほしいと強く願っております。
県警は、本年四月からJR和歌山駅周辺の夜間パトロールを民間警備会社に委託して「安全・安心パトロール隊」と命名し、夜から未明にかけて六時間パトロールを行い、地域内の警戒に当たっております。
ハント族をめぐる問題は全国的に広がっており、宮崎市などでは、エリア内を深夜から早朝にかけて車両通行どめにするなどの対策をとっております。県警察本部は、JR和歌山駅周辺の騒音防止や防犯対策の立場から、週末に常態化しているハント族等に対して今後どう対策されるのか、お尋ねをいたします。
次に、新しい学習指導要領の全面実施における確かな学力の向上への具体的方策についてお尋ねいたします。
本年四月から全国の小中学校で新しい学習指導要領が全面実施されました。高校では、明年四月から実施されます。新しい学習指導要領は、基礎・基本を確実に身につけ、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する能力や豊かな人間性、健康と体力などの生きる力を育成することを基本的なねらいとしています。
そこで、新指導要領のねらいとする児童生徒の確かな学力向上のための方策について伺ってまいります。
第一点目は、きめ細かな指導で基礎・基本やみずから学び、みずから考える力を身につける方策として、第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画において、小中学校で二十人程度の少人数授業が実施できることになりました。平成十四年度に少人数学級を実施しているところは、十九道府県あります。特に山形県では、公立小学校全学年に少人数学級を二、三年かけて導入していくとのことであります。また東京都品川区では、平成十八年度から公立の小中一貫校の新設を目指しております。これからは、小学校においても中学校等の教員が得意な分野を生かした授業を行う教科担任制の導入を推進する必要があります。本県でも、十三年度の単年度ですが、和歌山市立四箇郷北小学校で、協力授業として五年、六年生が、授業で担任のほか四人の教師から学ぶ教科担任制を実施いたしました。保護者のアンケートでは、大変よい六一%、ややよいを合わせると九一%の評価を受けております。
そこで、教育長は本県における少人数学級の導入にどう取り組まれるのか、また小学校への教科担任制への導入にどう取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。
二点目には、発展的な学習で、一人一人の個性等を重んじて子供の力をより伸ばす方策として、文部科学省では、高校や中高一貫教育校で科学技術や英語教育を重点的に行うスーパーハイスクールを創設しました。科学分野ではスーパーサイエンスハイスクールとして二十六高校、英語の分野ではスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールとして十八高校が指定を受けました。その成果が期待をされております。また、高校と大学の連携として、高校生が大学で科目等履修生や聴講生として大学レベルの教育を受けることや、大学の教員が高校で講義を実施するなどの取り組みが進められております。埼玉県では、十三年度に埼玉大学の講義を県立浦和高校など四校の生徒が四十三の講義に延べ百八十一人聴講し、その成果を高校の単位として認定しています。
そこで、本県でのスーパーハイスクールの取り組みと高校と大学の連携にどう取り組んでいるのか、お尋ねいたします。
三点目に、学ぶことの楽しさを体験させ、学習意欲を高める方策として、社会人の持つ豊かな経験を積極的に学校に活用するため、学校いきいきプランなどの推進が挙げられています。
日曜日のNHKのテレビ番組「課外授業 ようこそ先輩」が教育関係者に大変好評を博しております。先輩が母校の小学校を訪れ、授業を行います。先日の六月九日は、フランス伝統料理の研究家でフランス料理のシェフである吉野建さんが鹿児島県喜界町の湾小学校を訪れ、授業では子供たちが、昭和初期に書かれた喜界島農家食事日誌から、現在はなくなっている島の祝い膳であった料理スディ豚の再現に取り組み、食文化の大切さと島の伝統の味を通して島の風土に誇りを持って生きることを学びました。
本県でも六月三日に、世界的なピアニストである杉谷昭子さんが母校の桐蔭高校を訪れ、音楽科を選択する三年生四十人に授業を行い、「トルコ行進曲」、「エリーゼのために」など五曲を披露しました。杉谷さんから授業を受けられた生徒に、高校時代に夢中になれることを見つけてほしいと呼びかけ、思い出に残る授業だったと伺っております。
学校いきいきプランは、多様な経歴を有する社会人を全国の学校に三年間で五万人を目標に導入する構想であります。
そこで、本県において、社会人の経験を積極的に学校に活用する事業にどう取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
四点目に、学びの機会を充実し、学ぶ習慣を身につける方策として、子供たちが読書に親しむ機会を充実し、読書の習慣を身につけるよう、学校図書館、図書資料の計画的な整備を図るとしております。平成九年六月に学校図書館法が改正され、平成十五年四月から十二学級以上の規模の学校に司書教諭を置くことが義務づけられました。また、平成十三年度十二月に子どもの読書活動推進法が施行され、加えて今年から第二次学校図書館整備五カ年計画として、総額で六百五十億円の学校図書整備費を地方交付税措置して四千万冊の蔵書をふやす方針であります。しかし、和歌山県立図書館協議会が調査したところ、学校図書整備費を予算化していると回答した市町村は十二市町村しかなく、県下の七六%もの市町村が予算化していない状況にあります。さらに、この図書整備費は高校が対象外のため、平成十五年から高校の新教育課程を充実させるためにも高校における学校図書の整備充実が必要であります。
そこで一、本県における司書教諭の配置をどう進めていくのか。また、市町村における学校図書整備費の予算化に対してどう対応していくのか。
二、学校における朝の読書運動実施校の普及拡大と学校図書館の充実にどう取り組まれるのか。
以上、二点お尋ねいたします。
五点目に、確かな学力の向上のために特色ある学校づくりを推進する方策として、文部科学省は平成十四年度から学力向上フロンティアスクールに全国の小中学校千校を指定し、子供たちの理解度に合わせた習熟度別授業や学力向上のための教材等の研究開発、効果的な指導方法等の実践研究を行っています。東京都荒川区では、今年四月より区立の全小中学校で習熟度別学習を実施、学級単位の授業をやめて三つの少人数の学習グループに編成して授業を行い、その成果が期待をされております。
そこで、本県における学力向上フロンティア事業の実施と習熟度別学習の実施にどう取り組まれるのかお尋ねをいたしまして、第一問の質問とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、ついせんだって発表されました骨太の改革の第二弾と来年度の和歌山県の予算、そしてまた行政改革の行く末についてのご質問でございます。
この骨太の改革の第二弾でございますけれども、前回の第一弾よりかなり踏み込んだ内容になっておりまして、特に地方財政の改革ということにつきましては、ご質問の中にもありましたように、地方交付税制度の見直し、あわせて税源の国から地方への移譲、そして国庫補助金の大幅な削減ということで相当厳しい内容になっております。これが正直に見て非常に大きな中身でございますので、すぐに来年度の予算に反映するような形になってくるかどうかはこれからの状況を見ていかなければならないと思います。
いずれにいたしましても、これがうまくトータルでいくといいということなんですが、片方で、交付税だけが減って税源の移譲で、和歌山県の場合税がそんなにないということの中で非常に苦しい状況になったり、そしてまた和歌山県の場合、国庫補助金に依存している部分も大きいわけだから、それが単にカットされて、その後の手当が十分になされないということになると財政運営がうまくいかないという問題が出てまいりますので、これについては、これからの状況によっては県としても大きな声を上げていかなければならないものだということで注視していかなければならないという決意を持っております。
ただ、いずれにいたしましても、こういうふうな厳しい状況が出てきているということは、これはもう全体的な趨勢でございますので、和歌山県の予算についても当然こういうことを一定の要件として踏まえた予算編成をしていかなければなりませんし、そしてあわせて行財政改革ということにつきましても、今、平成十五年までの計画があって、これに基づいていろいろな行財政改革に取り組んでいるわけでございますけれども、今の世の中の動きがもっともっと早いものになってきておりますし、多方面にわたってきておりますので、計画の見直しになるかどうかは別といたしまして、その時々の状況に合わせた大きな行政の変革、県行政の変革ということを行っていかなければなりません。補助金の見直しでありますとか、給与制度の見直し、そして外郭団体の見直し等々いろいろございますけれども、より一層、全般にわたって見直していく不断の姿勢というものが今まで以上に必要になってきていると考えております。
次に、緑の特区ということでございます。
これも骨太の方針の中で大きく取り上げられたわけで、去年の暮れぐらいから大都市の県ということを中心に、税制上の問題でありますとか、いろいろな規制をある地域だけ一国二制度というような形で取り払うことによって経済を活性化しようという動き──東京とか大阪とか、こういうふうなところが大きく声を上げてきたわけでございます。
私は、こういうふうな中で、大都市だけじゃ困るんで、何とか地方にも合ったような特区ということを提唱していって、警鐘を鳴らすというふうな意味もありまして、ことしの提言の中に、和歌山県の特性を生かした緑の経済特区でありますとか、IT・起業特区でありますとか、そしてまたレジャー関係でいろんな規制を緩和したレジャー特区でありますとか、こういうふうなものを提言したわけでございますけれども、今後、この緑の経済特区につきましては、緑の雇用とか森林県連合の提唱などとあわせて、かなり全国的な広がりを持ってくる可能性も出てまいります。
この特区につきましては、今後、内閣官房に構造改革特区の推進組織というものをつくって地方からいろいろなことを聞いていくという形になってきておりますし、それからこの緑の経済特区についても、実はさほど和歌山県としてたくさんの内容を考えた上で出した特区構想ではないわけですけれども、こういうふうな大きな流れになってきておりますので、より内容を詰めてこの期間に、まあルーラル型といいますか、地方型の経済特区のあり方ということを強く提案していきたいと、このように思っております。
それから最後に、森林県連合と地球温暖化防止の関係でございます。
これにつきましては、和歌山県の場合、県土の八割が森林に覆われているということで、これが光合成なんかの関係でCO2の吸収に非常に役に立っているだろうと。そういうふうな県が集まって森林の保護とかいろんなことに国の方策や方針などを向けていこう、そしてまた大都市の都府県もそういうものに協力していろんなことをやっていこうという形での提言を行ったわけでございます。
これは、今度の骨太の方針の中でも、緑と地球温暖化防止に着眼した施策を進めていこうというようなことが書かれておりますし、今後大きな動きになってくると思いますので、これについても、もう既に今、数十の県からこの連合に参加したいという申し出が来ておりますから、こういう県と協力しながら地方の方からどういうふうな形で温暖化防止と森林保護を組み合わせたような施策ができるか検討して国に対して積極的な提言を行っていきたい、このように考えております。
○議長(井出益弘君) 出納長大平勝之君。
〔大平勝之君、登壇〕
○出納長(大平勝之君) 本格的ペイオフ導入への保護対策についてでございます。
まず、歳計現金及び歳入歳出外現金の債券運用についてでございますが、ことし四月から一部債券での運用を行っております。また、各種基金につきまして、現在、国債など元本が保証されている債券での運用を検討しているところでございます。
次に、県債と預金債権の相殺についてでございます。本県では、銀行等縁故地方債の発行につきましては、これまで証券発行による借り入れを原則としてまいりましたが、平成十二年度発行分から証書借り入れへの移行を始めており、平成十二年度で九十二億円、平成十三年度で百九十一億円の証書借り入れを行っているところでございます。
来年四月のペイオフの本格実施に向けて、金融機関の経営状況の把握に十分努めるとともに、県債との相殺、債券での運用を行ってまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 行財政改革の問題に関連いたしましてのご質問に順次お答えを申し上げます。
ご指摘のように、政府の経済財政諮問会議のいわゆる骨太の方針第二弾におきまして税制改革の基本方針が示され、またその後の政府税制調査会の答申におきまして個別税目の改革方向、すなわち地方税としての個人住民税、法人事業税、地方消費税などの今後の改革の方向性が示されております。中でも、法人事業税への外形標準課税の導入につきましては、税負担の公平性の確保といった観点などから早急に導入すべきであるとされているところでございます。
この制度の導入によりまして、全国で約七割の法人が法人事業税を負担していないという現状に対しまして、その受益と負担の関係の明確化が図られるものとされているところでございまして、現在、総務省におきまして、税収としては中立という制度でございますが、その制度化が検討されております。この試算によりますと、全国での法人事業税収入としてではございますけれども、約四兆円程度が毎年安定的に確保されることになるものでございます。
本県といたしましても、従来から早期導入に向け、全国知事会等を通じて国に対して要望しているところではございますが、経済界などからの異論もございまして、今後、国における動向等を注視してまいりたいと考えております。
次に、総人件費の抑制と本県の対応についてでございます。
総人件費の抑制につきましては、本県においては、これまで職員定数の削減、給与カットの実施など、県独自の抑制策に努めてきたところでございます。しかしながら、ご質問にもございましたように、国においても総人件費抑制の議論がなされておりますように、今後を見通したとき、財政状況は国、地方ともにこれまでになく厳しい状況が予想されるところでございまして、県といたしましては、事務事業や組織の見直しによる定員の削減など、一層の人件費抑制に努めてまいりたいと考えております。
次に、法定外課税への取り組みについてでございます。
ご指摘のとおり、地方分権一括法の施行後、三重県、東京都など幾つかの地方公共団体におきまして法定外税が導入されております。ただ、ほとんどの団体におきましては、地方税源の充実を図るということよりも、特定の政策課題を解決するための方策として検討あるいは導入しているところでございます。
本県におきましても、今年度から学識経験者等を委員とする県税制調査検討委員会を設置いたしまして、幅広い視点から和歌山らしい税のあり方について研究を現在進めているところでございます。
最後に、公募県債の発行への対応についてでございます。
住民参加型ミニ市場公募債いわゆるミニ公募債につきましては、今後の地方債を取り巻く環境を見たときに資金調達多様化への一方策となるといったこととともに、主な引き受け先となる県民の方々にとっても、県政への参加意識の高揚とともにみずからのペイオフ対策としても活用可能な、こういった新しい視点に立った地方債でございます。
ただ、このミニ公募債には、一般的に申しまして、従来からの縁故債に比べて調達コストの増嵩が見込まれるほか、広く県民の方々のご協力を得られるような事業をどう選択していくかと、こういった課題もございます。
ご提言のミニ公募債の発行につきましては、他県の状況等も踏まえながら、広く検討、研究してまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長石橋秀彦君。
〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 行財政改革に関連いたしまして、九番目の預託金の保護と利子補給方式への変更についてでございます。
県制度融資に係る預託金は、金融機関との協調融資を実施するための資金として、県信用保証協会を経由し、取扱金融機関に預託しているものでございます。
ペイオフリスクを回避し、公金を保護するため、本年度は総融資枠二千八十億円に対応する約三百八十億円を予算措置し、普通預金で預託することとしてございます。しかし、平成十五年四月からの対応につきましては、現在、他府県や金融機関との意見交換、情報収集等を行いながら、金融機関に対する利子補給方式など種々検討しているところでございますが、現下の厳しい経済情勢の中で、公金の保護、中小企業者への円滑な資金供給及び効率的な行政コストを基本に据えながら、早い時期に対応策を決めていきたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 地球温暖化防止対策についての三点についてお答えします。
地球温暖化対策推進法の改正に向けた取り組みにつきましては、森林による温室効果ガスの吸収対策とともに、県民一人一人の生活習慣やライフスタイルの見直し、また経済活動など、すべての分野で削減対策を進めていく必要があると考えております。
地球温暖化防止活動推進センター、地球温暖化防止活動推進員並びに地球温暖化対策地域協議会につきましては、県内各地での自主的な活動状況や他県での実際の活動状況、指定するのにふさわしい公益法人やNPO法人の設立状況等を見きわめるとともに、市町村にも積極的に働きかけながら取り組んでまいりたいと考えております。
次に、仮称・温暖化防止県民生活推進室の設置につきましては、今後進めるべき具体的な対策を検討していく中で、温暖化対策を専門的に所管する課室の必要性についても研究してまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 豊かな学力に関連して、教育問題六点についてお答えいたします。
まず、少人数での学習につきましては、生活集団としての学級は四十人としながらも、個に応じた指導の充実のため、教科の特性に応じて二十人程度の学習集団での習熟度別、課題別等による少人数指導やチームティーチングなど、複数教員によるきめ細かな指導に取り組んでおります。
今後も指導方法の工夫改善を進め、児童生徒の基礎学力の向上を目指した教員定数の確保と適切な配置に努めてまいります。
また、小学校での教科担任制につきましては、従来の実施事例に加えて、本年四月から県内の小学校十三校において中学校教員二十二名が兼務をいたし、教科の専門性を生かした小学校児童への指導を行っております。今後もさらに、小中学校の連携のもとに指導の充実に努めてまいります。
次にスーパーハイスクールについてでありますが、本県では、このたび県立星林高校が国のスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールに指定され、来年度から実施する和歌山大学附属中学校との中高一貫教育において、国際理解教育を柱にするとともに、英語で数学などを教えたり、英語力を高めるために日本語を使わない合宿を行うなど、より専門的な英語教育についての研究開発に取り組むこととしております。
また、大学との連携につきましては、高校生が和歌山大学の公開講座を受講する取り組みを昨年十月から始めたところでありますが、本年度は田辺市を中心にした紀南地方でも集中講座が開講されることになり、大学での一般講座等と合わせて、現在百三十名余りの高校生が大学での講義を受講いたしております。
また、大学の教員が直接県立学校等へ出向いて行ういわゆる出前授業も、昨年度に引き続き、十数校で実施される予定となっております。
次に、学校での社会人の活用につきましては、県立学校におきまして、従前からあすなろ支援事業で外部講師の招聘を支援してきたところでありますが、本年度はさらにすべての県内の小中高校の公立学校において、地域の方々はもとより各界で活躍する卒業生を招き、講演や授業を行う「がんばれ母校!先輩が先生」という名前の事業を進めております。既に、例えば新宮商業高校では、地元で活躍している銀行員や調理師が教壇に立っておりますし、同じく新宮市の王子小学校ではオリンピックのメダリストを講師に招くなど、多彩な授業展開をいたしております。
次に、学校図書館の整備につきましては、先般、国の地方交付税措置がなされたのを踏まえ、市町村教育委員会に対し、改めて図書館の蔵書の充実について指導してきたところであります。
議員ご指摘の市町村における図書整備の状況は、本年五月現在の全国調査によれば、本県ではこの調査に回答した市町村の約半数で予算化されており、県立学校につきましても、従来から教材備品整備の重要項目として蔵書の整備充実に取り組んでいるところであります。
司書教諭につきましては、平成十五年度からの配置に向けて司書教諭の資格を持っている教員の確保、その推進に努めておりますが、現在、各校種ごとの配置に必要な人数の二倍から三倍程度の有資格者を確保いたしております。
今後も、子供の読書活動を推進する観点から、司書教諭の適正な配置とともに資格取得の促進に努めてまいります。
また、子供たちに読書の習慣をつけさせ、創造力を豊かにするため、多くの学校が、朝の十分間読書や本読み大会など、全校一斉の読書活動に取り組んでおります。
さらに本年度は、読書教育の充実のために、広く一般の県民から子供たちに薦める本を募り、「きのくにの子どもたちに贈る私の一冊一〇〇選」を編集するとともに、本を読んだ感動を言葉で伝えるブックトーク大会を開催するなど、五種類のプログラムから成る「きのくに学びのルネサンスプラン」を実施することといたしております。
次に学力向上フロンティア事業についてですが、本県では小中学校十五校をフロンティアスクールとして指定し、理解や習熟の程度に応じた少人数指導や小学校における教科担任制の導入などについて、三年間の実践研究を進めることといたしております。地方ごとに設けた研究協議会を通して、その研究実践の成果を幅広く普及し、生徒や保護者の期待にこたえられるよう、より確かな学力の向上に取り組んでいく考えでございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 警察本部長岩井良行君。
〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) JR和歌山駅東口周辺のいわゆるハント族、期待族の蝟集に伴う騒音対策、地域安全対策等についてお答えを申し上げます。
ご指摘のように、週末の深夜にはJR和歌山駅東口周辺、特に東口の南側に位置する太田第四公園周辺の道路に、いわゆるハント族や期待族が蝟集して車で徘回をしておりまして、地元住民から騒音や駐車の苦情が寄せられており、その数は五月末までに約五十件となっております。
警察では、迷惑行為を繰り返すハント族等の排除のための交通対策として、昨年七月、JR和歌山駅東口から東へ約五百メートルを午前零時から午前六時までの間、駐停車禁止にし、さらにこれに加えまして昨年十二月には、東口駅前広場を午前一時から午前四時までの間、路線バス、タクシーを除き、通行禁止としております。これらを根拠といたしましてこの地域における指導取り締まりを実施し、本年五月末までに駐停車違反等で約七十件を検挙するなどして蝟集徘回車両の排除に努めているところでございます。
次に地域安全対策についてでありますが、週末に重点を置いた制服警察官によるパトロールの強化を推進して住民の身近な不安の解消に努めているところであります。
なお、同地域に対しましては、ご指摘のありましたように、本年四月から緊急雇用対策事業の一環として民間警備業者による安全・安心パトロールも制服警察官によるパトロールとあわせて実施し、犯罪の抑止に努めているところであります。
また、ハント族等には少年が多く含まれていることから、これまで関係機関、団体と連携してJR和歌山駅周辺における定期的な夜間補導による少年非行防止活動や、コンビニエンスストアに対しまして少年等が蝟集した場合の通報などの協力をお願いするなど、健全育成のための方策を講じてきております。
今後、夏場に向けてさらにハント族等の蝟集とこれに伴う違法事案の発生が懸念されるところから、制服警察官の集団警らと私服員を組み合わせた街頭活動を実施するほか、要警戒箇所いわゆるホットスポットを抽出し、これらに対するパトロールを一層強化するとともに、交通対策面では、太田第四公園周辺道路についても駐停車禁止の規制を広げる方向で検討しております。
さらに、本年九月には和歌山駅前交番が移転新築され、拠点交番として積極的な補導、取り締まりの強化が可能となるとともに、本年四月に発足いたしました暴走族対策室や少年サポートセンターを核にして所要の対策を講じ、地域住民に迷惑を及ぼす蝟集徘回活動を排除していきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十五番新田和弘君。
○新田和弘君 時間も切迫しておりますので、簡潔に二点、要望させていただきます。
第一点目は、先般、地方分権改革推進会議が中間報告をまとめております。その中で、教育関係に対しまして、義務教育費の国庫負担の見直しを行って、地方がその実情に合った学級編制や教員配置ができるように見直しを行うとされております。本県において、第七次教職員の改定がございまして、少人数学級とか習熟度別学習をさらに充実をさせていくという観点から、本県が掲げている五百人の教員削減ということが挙げられておりますが、これは十一年に決められた問題であり、その後第七次改革が示されておりますので、そういった観点から、今後少人数学級等のそういった確かな学力向上を図るための教員配置等について充実をさせるため、この五百人削減というのを見直しをされたらどうかということを要望いたしたいと思います。
二点目に図書館の充実についてでございますが、最近、明治大学の斉藤孝氏の「声に出して読みたい日本語」がベストセラーになっておりますように、今、日本語教育、いわゆる国語ということについて大変関心が高まっておるところでございます。斉藤氏が、日本再生のかぎは日本語力と身体の教育にあると言われておるとおり、この斉藤助教授の言をかりますと、明治期の初等教育の日本の教育の質が非常に高かった、これは江戸時代を通じて培われた日本の読書力がそれを支えたというふうに言っておりますとおり、今、国語力を高めるという意味で、先ほどルネサンス事業等を行うという教育長の言葉でございますが、学校図書館の充実を図って子供さんの国語力を高めることがこれからすばらしい日本の人材を築くことにつながると思いますので、要望いたしておきます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。 質疑及び一般質問を続行いたします。
二十八番玉置公良君。
〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 きょうはこの質問をするに当たりまして、県内・県外、いろんな方にお世話になりまして調査研究をしてまいりました。約三カ月かかりました。そして、きょうはこの議場にも傍聴の方で、お世話になった方々や、またNPO関係者の皆さん方、さらには和歌山大学生の方々がお見えでございます。どうか知事におかれましては、勇気を持ってこれから取り組んでいけるような、そういう前向きなご配慮、ご答弁もお願いをしたいと、まず最初にそのことを申し上げておきたいと思います。
通告に従って、ただいまから一般質問をしてまいります。
今世界的に話題になっています京都議定書について、昨年、質問いたしました。日本もようやく今月四日に地球環境の悪化を食いとめるための国際ルール・京都議定書の批准をし、これから具体的な対策をとろうとしています。詳しくは先ほどの新田議員の質問でもありましたから、重複は省きます。
イギリスでも既にことしの四月から、ビジネスとしてCO2排除の売買について市場が成立しています。我が国も、イギリスのように具体的な形で地球温暖化防止対策に取り組む必要があると私は思います。そこで、日本は京都議定書によって与えられたノルマCO2の六%削減の義務を果たすためにどういう取り組み方をすればいいのかということで環境省を中心にいろいろと案を練っているところですが、まだ具体的なことがほとんど決まっていない状況であります。
そこで、私は、関係者に相談をしながら、いわば和歌山方式というようなものを一つ先につくってみました。今回はもう一つの方法、つまり私が昨年質問しました森林以外の県民のライフワークだとか、企業の努力だとか、そういうことに絞って話を展開してまいります。そしてまた、地球温暖化防止に努めることで新しい雇用とビジネスが生まれ、発展をしていくことにつながるという、よいことずくめの話が中心であります。そのために私は具体的な提案をこれから申し上げますので、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
地球温暖化防止への行動は、県民全体でしなければなりません。個々の家庭と企業という、大きく分けて二種類の人たちがいるわけです。そこで、まず家庭に絞って申し上げます。
日本は、一九九〇年比で、二〇〇八年から二〇一二年の間に六%のCO2排出を削減する責任があります。すぐ目の前に来ています。そのために環境省で考えていることは、家庭は二%の削減を努力してくださいと。そういう目標が出ています。和歌山県も率先して、この趣旨に沿って実行しなければなりません。環境省が示しているこの数値を見習ってこれから和歌山県はどういう取り組みをすべきなのか、私なりに調査したことをもとに提案をしたいと思います。
まず、家庭でのライフスタイルを見直し、二酸化炭素を二%削減するためにはどうすればよいのか、環境省に問い合わせたところ、次のような答えが返ってまいりました。家庭に対する注文は非常に細かいんです。環境省が決めたので、参考までに申し上げます。
非常に小さなことなんですが、あえて申し上げたいと思います。冷房の温度を一度高く、暖房の温度を一度低く設定すると、一年間で約二千円の節約。週二回八キロの不要な車の運転を控えると、一年間で約八千円。一日五分間の車のアイドリングストップを行うと、一年間で約二千円。待機電力を九〇%削減すると、一年間で約六千円。シャワーを一日一分、家族全員で減らすと、一年間で約四千円。ふろの残り湯を洗濯に使いますと、一年間で約五千円。ジャーの保温をとめると、一年間で約二千円。家族が同じ部屋で団らんをし、暖房と照明の利用を二割減らすと、一年間で約一万一千円。テレビ番組を選び、テレビを見るのを一日一時間減らすと、一年間で約一千円の節約。買い物袋を持ち歩き省包装の実行など合計十項目あり、これらを実践すると一世帯当たり一年で約四万一千円家計にプラス、つまり節約が出てくるのであります。つまり、小さなことに気をつけながら意識の変革とライフスタイルの見直しを強調しているのです。
環境省が家庭で二%達成のための細かい指示をして、努力してくれと言ったのですが、このとおりに実行した場合に、学者や専門家の計算によりますと、実質は目標の二%を超えて二・八%まで達しています。つまり、二・八%削減という地球温暖化防止に貢献した上に一世帯当たりで約四万一千円も浮いてくるということは、サラリーマン家庭などにとってはかなりの恩恵であると。言ってみれば、収入がふえるということにもなります。しかも、地球人としての使命もそこで達成されるという崇高な目標も実現をするのであります。
和歌山県の世帯数は、平成十二年度国勢調査で三十八万六百九十八世帯であります。この世帯が地球温暖化防止に協力してくれたとして四万一千円を掛けると、試算によりますと、何と百五十六億円ものお金が家計から浮いてくるのです。和歌山県の平成十四年度一般会計当初予算が約五千七百億円。税収不足の折から、何とこの百五十六億円はばかにならない額であります。県民の福祉の向上のための大きな事業が実施できる、魅力ある財源になると思います。これは、国や県からの強制だとか指示によって動くのではなく、県民一人一人が自発的に努力した結果によるものです。ぜひ、県としてもこの取り組みを奨励してみてはどうでしょうか。私が今提起しているようなことを県民全体で取り組むところは、日本全国でまだ一つもありません。和歌山県が全国に先駆けて最初のCO2排除の実行県になってみては、知事、いかがでしょうか。
先ほど言いましたとおり、和歌山県内には世帯数が約三十八万世帯あります。上からの指示なしにすべての世帯が一斉に自発的に地球温暖化防止のために家庭で使う熱量を削減するという、県民総出の記念すべき時代に入るのであります。和歌山県の誇りとこの画期的な動きを記念して、四万一千円のうち各家庭から一〇%分の四千百円程度寄附をしてもらい、CO2排除のための基金を立ち上げたらどうでしょうか。その基金は、約三十八万世帯がありますから約十五億六千万円にもなります。基金から支出するものは、各家庭からの相談窓口の設置や啓発、あるいは節約指導や技術的なアドバイス、また高度な技術者養成のための費用等に使われるのであります。自分たちのCO2削減の技術を磨くとともに、高度になればなるほど各家庭の節約がふえるのです。その使用目的というのがはっきりし、そして必ず自分のところに戻ってくる。これならば各家庭の人たちも納得をするのではないでしょうか。
各地方自治体では新税だとか税金とか言っていますが、こういう形での税金ならば大いに県民全体の合意ができるのではないでしょうか。知事が先頭に立ってこの旗振り役をやってはいかがでしょうか。お考えをお聞きいたしたいと思います。
税金は、取られたら何に使われるのかという不満はありますが、この十五億六千万円は、皆さんのライフスタイルの変化や家計にプラスになるのであります。つまり、私流に言わせていただければ、皆さんが納得する税金だから「環境納得税」と言えるのではないでしょうか。当面はCO2の排除協力金としてスタートし、将来は県民の議論を巻き起こし、新税としての検討をしてはどうでしょうか。
そこで、家庭の省エネ支援に対して、企業の地球温暖化防止対策の幾つかを紹介します。
企業のPRになるかもしれませんが、実績を上げているので、あえて名前を出します。例えば関西電力では、企業自身のCO2の削減の努力はもちろんですが、他社のCO2削減のためのコンサルティングを始めています。そして、インターネットのホームページでCO2削減の方法をPRしています。また東京電力では、電気を使うときに地球温暖化問題を意識してもらおうと、この夏から毎月の検針表の裏に消費電力を二酸化炭素に換算する手引を載せることを決めました。全国の電力会社では初めてのことです。ニュージーランドでは電力会社が、電力使用量が前の月よりも少なくなると消費者にポイントを与え、ポイント数に応じて翌月の電気料金を減額する仕組みを取り入れています。これだと努力するほど報われますので、家庭の主婦は競って省エネを実施していると言われています。
それでは、家庭に続いて、今度は企業に絞って申し上げます。
具体的に、各家庭に示した小さな心がけに相当するものを企業にどう指導するのか、その内容を環境省に聞きましたが、その具体的な金額の試算もされていません。そこで私は、ある学者の助言によって参考になるものはないかと調べた結果、和歌山県では平成十一年の事業所統計によりますと五万六千六百四十四の事業所があって、全体のCO2を排出する主なものは、ガソリン、灯油、軽油、A重油、LPガス、都市ガス、電気、石炭の使用量であります。事業所の一つ一つについてどれくらい使ったかというデータはないのですが、個々の事業所ではCO2の排出が確実に増加しているように思います。例えば重油の使用については、大阪や兵庫に比べ和歌山は規制が緩いために使用量が増加の傾向にあるようです。
県下には、全事業所の約五分の一の数のCO2排出量の大きい産業部門があります。そこが使っていますエネルギー費用を企業は七%削減を目標にするのにのっとって計算をし、お金で換算をすると、約四十九億円の財源が生まれてくることになります。そのほかの五分の四の事業所については、それぞれの事業所の大きさや能力とか仕事の内容によってCO2排出量について違うかもしれませんが、一律に全体を七%と考えますと約二百億円、県下全体の事業所数では約二百五十億円の財源が浮いてくることになります。そして、家庭と同じようにこの財源の一〇%分を地球温暖化防止のための寄附金として協力してもらえれば、約二十五億円もの財源が捻出をされることになります。知事、いかがでしょうか。
続いて、和歌山県総ぐるみで地球温暖化防止に取り組むならば、県庁としても、今までもやってきていますが、率先して取り組まなければなりません。県庁では、平成十六年度を目標としてCO2削減六%を目指して取り組まれていますが、平成十一年度に対し平成十二年度実績で言えば、お金に換算をすると約一億一千万円節約がされています。県内の市町村においては和歌山市、田辺市、かつらぎ町、熊野川町、南部町が実施をされており、岩出町は努力目標となっている現状であり、ほとんどの市町村が取り組んでいないことには驚きました。本来、住民に率先をして指導啓発していかなければならない立場の地方自治体が少ないということは、大変残念であります。
知事、県下の自治体に対して環境立県を目指すためにも強く指導し、取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
以上、地球温暖化防止の取り組みによって捻出をされる財源を改めて申し上げますと、家庭からは約十五億六千万円、事業所からは約二十五億円、県庁からは約一億一千万円、合計四十一億七千万円の財源が生み出されます。この新しい和歌山県独自に考え出した約四十一億七千万円の財源を何のために使うのか。それが次のテーマであります。
いろいろな考え方があると思いますが、当面、和歌山県民のために有効に使うには、今深刻な雇用の促進のために使うのが一番いいのではないかと思います。そうすると県民の理解も得られるし、しかも知事も雇用問題について積極的に考えられており、タイミングとしてもよいのではないでしょうか。しかし私は、この財源は雇用だけでなく、本来は大地震やテロなど非常事態に使う財源の一つにしたらどうかという考えであることを申し述べておきたいと思います。
さて、先ほどの財源だけでは十分な雇用促進にならないので、現在国、県が行っている費用も加えることによって雇用促進を加速させたらと考えます。国、県としても雇用促進は深刻な問題として、さらに雇用促進のために国と県が車の両輪のように熱い視線を注いでいます。
国、県では、雇用促進のためにこれだけの費用が出ています。例えば緊急雇用創出特別交付金は、平成十六年度までの三カ年間で約四十二億五千万円の費用が出ています。平成十四年度は約十六億百四十万円で、緑の雇用事業では約六億四千万円です。例えば、緑の雇用事業の費用分並みに約七億円をこの雇用促進につぎ込むことは可能ですから、そうしますと合計約四十八億七千万円の財源が生み出されます。この生み出された財源から県全体で果たして何人雇用できるのか、私なりに計算をしてみました。
そこで、今ブームになり、二十一世紀の新しいビジネスの主流になろうとしている全国のNPO関係者に当たり、全国のNPOで働く平均年収を調べたところ、正確なデータは出ていないとのことでありますが、現状は百三万円未満の人から高い人で三百万円台で、今後の方針として最低年収二百四十万円を目標にしているとのことでありました。例えば、目標額より少し低目の平均年収二百万円として、集まった財源の総額で単純計算をすると、二千四百三十五人の雇用が実現をするのであります。これは、今、和歌山県が緊急雇用対策として取り組んでいる今年度の雇用目標一千四百人をはるかに上回るものです。また、和歌山県の失業者が平成十二年の国勢調査で約二万六千人ですから、その約一〇%分を解決することになります。知事、いかがでしょうか。
続きまして、経済不況の中で個人の家計にもお金が余り、企業も経費が節減をされ、自治体も節約ができ、その上浮いてきた財源の原資をどうするかということが次のテーマであります。それはもちろん、我が県が深刻な状況に置かれています雇用促進の問題です。
皆さん方のお手元に配付をしています表を見てほしいと思います。──朝の質問と少し重複するところがあるところはご了解を願います。
今、和歌山県は、高校卒業者の就職率が、前年の三位からさらに悪い、全国でワースト二位という不名誉な記録をつくりました。二〇〇一年度の県内の高卒者のうち二千六百十二人が就職を希望し、二〇〇二年三月までに就職が決まったのは二千二十一人、七七・四%、つまり五百九十一人が就職できていないという実態であります。特に県内への就職率は七三・三%で、県外への就職率の八八・五%と比較をして目立って低く、県内での厳しい就職状況が浮き彫りになっています。また、和歌山大学で卒業生の平成十一年から十三年の過去三カ年間の進路状況を聞いてみますと、全学部の卒業者数二千六百二十五人中六百四十一人もの方が、つまり天下の和歌山大学でさえ四人に一人が、いろんな理由があると思いますが、就職できていない実態であります。この表を見てもおわかりのように、待ったなしにこの就職問題を和歌山県は解決するために動くべきであります。これは、私だけでなく、関係者の皆さんが切に願っていることです。多分、知事さんでさえも願っていることと思います。
そこで、先ほど申し上げた地球温暖化防止によって生み出された財源を何が何でも雇用に投入すべきだと思います。しかも、それを重点的に、あるいは一挙に吐き出すことによって仕事の範囲と規模が広がっていくのです。普通の企業だと景気によって好不況があり不安定ですが、これは地球が存在する限り永遠に続けなければならない事業であります。なぜならば、二〇〇八年から二〇一二年に目標が達成されても終わりではなく、さらに厳しい目標が設定されるわけですから、永久的に続く仕事になるわけであります。
知事が前々から言っています緑の雇用事業でもわかるように、若者がせっかく学校を出ても就職する先がないということは、大変寂しいことであります。ふるさとの若者に誇りがなくなる、若者の夢を打ち砕いてしまうということになるのではないでしょうか。この雇用先は、従来の大企業にアプローチをするのではなくて、ちょうどCO2削減で全県民がこれにこぞって参加しているこの取り組みを支えたり指導したりする若者の二十一世紀に向けた新しい職場として開拓するための促進費用として使うべきではないでしょうか。知事及び教育長にお伺いをいたします。
京都精華大学の教授の話によると、ISO取得の取り組みにおいて、大学卒業生がNPOをつくり、地元の町工場を指導しています。ISOの取得費用は、規模によっては違いがありますが、本来五百万円程度かかるところを五十万円、つまり十分の一程度でしていると聞きます。地元の業者も感謝をし、大学も環境に貢献をしている大学ということで知名度も上がり、学生も実習ができ、専従の雇用もふえていると言われています。つまり、コストが安くなるだけでなく、そのNPOには必ずと言っていいくらい支えてくれる大学やそのスペシャリストがあるのであります。成功している条件は、NPOを支える大学教授などの専門家があることです。今回私が提案をしています家庭、企業へのCO2削減へのNPOのかかわりで言えば、県、大学、企業の専門家、学生などが考えられます。
大学の学生は、実習として、人材供給のボランティアとして参加ができ、なおかつ自主単位として取得でき、卒業したらこのNPOに就職できる。NPO側にとってもボランティアの人材として活用ができ、よいことずくめであります。知事、いかがでしょうか。お伺いをいたします。
続いて、この和歌山県全体でCO2排除の地球温暖化防止関連のビジネスに取り組むことによってどんな仕事が出てくるのか、どのぐらいの雇用の創出が期待できるかという点であります。それは、実に膨大な雇用が生まれるのであります。その根拠を今から申し上げます。
私は環境に詳しい専門家のところに行き、聞いたところ、この先生によると、県下の家庭約三十八万世帯を相談、指導、検針、認証、啓発などをすると、例えば一人百世帯を持ち、年二回から三回訪問をするとすれば、三千八百人必要になります。また、企業などの仕事については、大きさや複雑さも違うので一概には言えませんが、あえて言わせていただければ、省エネの診断指導、監視、検針、認証、相談、啓発する人など一社あたり二人から四人で、一クールで二から三週間ぐらいの延べ日数が必要だろうと言われました。例えば、一社当たり一クール四人で延べ日数三週間の仕事が必要だとしますと、一年間で十二社の仕事を受け持つことができます。和歌山県内の事業所数は五万六千六百四十四事業所であります。事業所の大きさも複雑さも違うのでありますが、大ざっぱですが単純計算をしますと四千七百二十クールが必要となり、一クール四人とすれば約一万八千人が必要となります。そうすると、これだけでも家庭と合わせて約二万一千八百人の雇用が生まれるという、すごいことになるのであります。和歌山県の失業者数が平成十二年の国勢調査で二万六千五人ですから、和歌山県のほとんどの失業者を救う雇用創出であると言えます。
先ほどの就職のできていない県内の高卒者、大学卒を合わせた一千二百三十二人は、こうした雇用が生まれれば就職できることになり、フリーターや中高年齢者でリストラに遭った失業者、定年退職者の人々にも明るい展望が開け、単なる雇用という意義だけではなく、生きがいということが生まれてくるのですが、知事、いかがでしょうか。
続いて、和歌山県内においては地球温暖化防止のためにさまざまな職場が生まれるということがわかりましたが、これを育成していく人材が育っていません。いろいろな財源調達ができるのに人材育成をしていないのはおかしいのではないでしょうか。そこで、人材育成について申し上げます。
私は、この問題についても環境省と大学の専門家の先生に聞きました。環境省は検討中だということで、全く手がつけられていませんでした。大学の先生より、今までの環境計量士は国家資格を持っていたが、今度はCO2削減のための資格を取るためには新たな資格を取らなければならないのか、今までの計量士の資格にさらに経験が必要なのかわからない、したがって和歌山県独自の資格モデルをつくってみてはどうかとの提言をいただきました。このような人材養成のための学科が和歌山大学にはない。だから、早急に新しい講座をつくって京都議定書のCO2削減のためのどういう学科が必要なのか調査をして、それにふさわしい人材を養成していく必要があると私は考えますが、いかがでしょうか。
「大学は県民のために使うべき」ということが言われています。まさに、今こそそのことを実行すべきではないでしょうか。さらに、学校という中におさまるのではなくて、公開講座のようにしてNPOを志望する人や地球温暖化防止の取り組みをする人たちにその公開講座を実施し、ホームペルパーの資格認定のような県独自の資格を与える和歌山モデルをつくり、育成する必要があると思いますが、知事、いかがでしょうか。
続いて、県民による善意の財源によって雇用できるという数字が出ました。これを有意義な面で普及しようとすると、その推進の核とするのはどこが一番いいのかという問題があります。それは、私がたびたび申し上げていますNPO非営利組織にその仕事を任すのが一番よいと思います。なぜNPOがふさわしいのかと言うと、NPOがあらゆる面でタッチすることにより、公平で利潤を追求しないという性格からコストが安くなるからであります。家庭の相談に乗るのはNPOがふさわしいし、さらにこの企業に対するCO2を削減していくための技術指導に当たったり検査をしたりするときには、企業の経営方針まで助言と支援を送るというのもぴったりなのがNPOだと思います。
なぜNPOにお金を注ぎ、こうした仕事を促進するのかと申し上げますと、今までの企業とは違ってNPOは、人間感情によって無理やり月給を上げたりノルマを課すということに耐えられない若者にとっては、人の役に立つ、それから自分が何か使命感を持ってお金よりも何か価値のあるものを求めるという若者の性格、行動にぴったりの職種だからであります。そして、この仕事は好不況に関係なくますます盛んになり、リストラもない永久に続く仕事であり、若者を中心とした人たちがこれからもどんどんふえてくるでありましょう。そこが今までの企業とは違うということを私は言いたいのです。
利潤と効率を追求する企業、やりがいや使命感を信条とするNPO、本来、二つの組織は最も遠い存在でありました。それが今、企業の社会貢献という分野で共働しつつあるのであります。その証拠に、大企業は自分の子会社の一つとしてNPOをつくっています。経済連が会員企業等を対象に行った社会貢献活動実績調査などによると、二〇〇〇年度に企業がNPOなど社会貢献の目的で支出をした金額は、一社当たり約四億一千六百万円にも上っているのであります。企業もNPOを使い出したのであります。ならば、地方自治体も率先をして支援をし、使っていくべきだと思いますが、知事、いかがでしょうか。
つまり、回り回って企業全体にプラスの還元をする。今やNPOは単なるボランティア精神から脱却をし、一つ大きな影響力を持ち、立派な市民権を持った新しい形への企業と言えます。特に、今日のような病んだ地球を見直すという大局に立った目的のためには、NPOというのは非常に大きな力を発揮します。ますますもってNPO活動が広がります。
また、我が和歌山大学の学生に聞いたところ、NPOに対する期待が大変多かったのであります。このような仕事を就職の場だと考えている学生がかなりいるということをその学生が言っていました。給料が少なくても永久に続くのなら行きたい、完全にNPOを就職の選択肢の一つに入れている、私たち若者の生き方の変化というものにつながってくる。これも新しい学生の人生の選び方の一つになるんではないかと思います。大企業志向からこういう環境ボランティアを目指す仕事へのシフトを学生たちが考えていることは、注目すべきことだと考えます。
またフリーターについては、東京の日本労働研究機構が若者のワークスタイル調査をし、その意識調査が昨年の九月に発表されています。フリーターは、管理されるよりも世の中に役立つんだというセンスを持っています。まさにその人たちこそ、NPOという新しい選択肢の場で社会に貢献をし、努めてもらいたいと思います。
こうした若者に合った仕事がNPOであり、学生や全国に何十万というフリーターの資質、職場に対する考え方の根っこの部分がよくわかって、和歌山県が率先をして新しい選択肢の仕事にしようとしているところに大きな意義があると私は思います。しかもこれは、日本全国だけでなく世界からも称賛されると思います。知事が今、緑の雇用事業を推進されていますが、まさにこの精神が生かされるのではないでしょうか。
今までも、いろいろと大きな企業誘致に地方自治体も奔走してきましたが、幾ら奔走しても経済が変わり社会も激変する中では、これはもう大変難しいと思うのであります。そうすると、新しい目的と新しい動きをするNPO、そして若者に好まれる使命感を常に持ったNPOが若者の将来に夢を与え、救済することの意味合いを持つものであります。
東京のNPO事業サポートセンターの役員さんや和歌山NPOセンターの役員さんにこのことを提言すると、これこそNPOがすべき仕事だ、いいところによく目をつけてくれたと、自分で言うのもおかしいですが、お褒めの言葉をいただいたこともつけ加えておきます。知事は、この若者論と就職論についてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
ところで、話は変わりますが、南紀白浜空港跡地の利用については二転三転として、これとした妙案は決まっていません。だれもが賛成をし、地元を初め和歌山県民全員から賛美の声が上がり、日本はもとより世界からも賛同してくれると思われるのは、この地球温暖化防止の和歌山県のセンターを基金の財源等を利用してここに建設をすることです。そこには、京都会議実行本部と事務局、技術促進のための研究所、それから温暖化防止に絡むNPOの指令本部といったものを総合的に集めてみるということです。いろいろ検討していただきたいと思います。
つまり、南紀白浜空港跡地を世界の地球温暖化防止のためのセンターとして使ってみたらどうだろうかと私は考えます。その中には、技術の習得の訓練所もあるし、各国からの依頼をこなす部門もあるのです。地球温暖化防止の活動というのは、少なくとも人類が生きていく限りは永久に続けなければいけません。そういうものを南紀白浜空港跡地につくれば、何年か先には世界遺産登録される姿とつながりがあるのではないかと思うのであります。
和歌山はすべて環境に配慮した県だということで、県内すべてのところにその特色を浮かび上がらせる必要があるのではないでしょうか。つまり、世界遺産、緑の雇用事業、地球温暖化防止、ボランティア、これらをつないでいくと、地球人という大きな括弧でくくれるような、すばらしい活動力の姿が浮かんできます。そして、世界、全国からの空港利用促進にもつながっていきます。そういう場に空港跡地を利用してみてはいかがでしょうか。知事のお考えをお伺いしたいと思います。
以上申し上げてきましたが、私は議会において、本県は幸いに世界遺産に指定されるほど豊かな自然に恵まれ、環境時代の二十一世紀にこの立地条件を最大限に生かしながら県民一人一人の知恵を出し、創意工夫をし、二十一世紀にふさわしいビジョンをつくり上げ、グランドデザインを描くことが求められています、また、この新しい試みにより我が県に地球規模の新しい文化が生まれるとともに、財政面でも企業からの寄附、参加、ボランティア活動、観光客の来県などにより思わぬ形ですばらしい財産が生まれるものと読んでいますと再三申し上げてきました。この地球温暖化防止の取り組みが和歌山県から出発をすればさらに環境王国和歌山として自他ともに認められると私は確信をいたします。
知事のご見解を求め、以上で私の質問を終わりたいと思います。ちょうど時間であります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 地球温暖化防止についての大変研究の行き届いた、熱のこもったご質問、本当に尊敬をするところでございます。
前回、玉置議員がご質問になりました地球温暖化防止についてのCO2のやりとりということのご質問に触発されまして、今回、緑の森林県連合ということを提唱したわけでございます。CO2の問題は非常に難しいんですけれども、この森林県連合を通じて全国へCO2削減の持つ重要性ということを発していきたいというふうに思っているわけです。
ただ、ここで問題は、例えば和歌山県は県土の八〇%が森林に覆われているということで、CO2を大変吸収しているというふうに考えていたんですけれども、一方で、先ほどのご質問にもありましたけれども、一人当たりの電力消費量が非常に高いというようなこととか、それからコンビナートなんかを中心に化石燃料などを使ってCO2の排出も結構多いということがその過程でわかったわけでございます。
そういうふうな中から、和歌山県が森林でCO2を吸収しているということを売り出していくとともに、あわせて議員のご質問にありましたように、県民一人一人がCO2の削減に取り組むという運動を繰り広げていくことがこれまた必要なことで、これを両輪にしていかないと、全部が森林に頼っているというわけにはいかないことは、もうご質問のとおりでございます。
その中で、ライフスタイルの見直し等、いろいろなご提言がありました。冷暖房の問題でありますとか、車のアイドリングをやめるとか、シャワーを減らすとか、いろいろありました。こういうふうな中から県民が財源を生み出してその一定割合を温暖化防止に充てていくとか、それからまた企業もそういうことに協力して生み出したお金を基金にしていくとか、こういうふうなご提言、これはもう大変先導性のあるものでございます。
ただ、正直言いまして、皆さんからこういう景気の悪いときにお金をいただくというのはなかなか難しいことでもありますので、一朝一夕に達成できないと思いますけれども、発想としては非常に画期的なものであると思いますので、私どももこれまた真剣に研究をしていきたい、このように考えているところでございます。
次に、和歌山県の高校卒の就職率が全国でびりから二番という大変な状況にあると。私も、これは大変心を痛めているわけでございます。
そして、この地球温暖化防止のビジネスということでございますけれども、まだ日本の国は地球温暖化防止のために達成しなければならないことがありまして、そのためには相当これから投資をしていかなければならないということが言われております。二十一世紀はやはり今までと違った発想の産業が出てくるということであり、今のところはまだ京都議定書は日本の国が批准したところでございますので、これから減らしていくためにどんな形の商売というか産業が出てくるかまだはっきりしておりませんけれども、いずれそういうふうな動きが出てくるということは予想されますし、そういう中で価値観をもう変えてきている若者たちの就職の場になってくるということは大いに考えられるということでございますので、和歌山県としても、この点──まあ森林県連合とか緑の雇用とかいろいろ言っているわけですけれども、アンテナを高くして、常に先端を走れるような形で問題に当たっていきたい。
そしてまた、そういうふうなことをやっていくときに、CO2の吸収とか地球温暖化防止について十分な知識を持った人の一定の層が必要だということは、おっしゃるとおりだと思います。和歌山大学とかその他を活用した公開講座でありますとか、いろんな形で和歌山県の県民が地球温暖化防止ということについて一番広く知識を持っていると言われるような形の取り組みということは大事なことだと思いますので、これについても今後鋭意検討していきたいと思います。
次に、地球温暖化防止とかいろいろなことを進めていく中心が役所がいいのかNPOがいいのかということがあると思います。私は、この二十一世紀にいろんなことを進めていく上でNPOというものが果たすべき役割というのは非常に大きいということで、NPOに今最も期待している者の一人でございます。
そういうふうな中で、和歌山県はまだまだNPOの成立というのは非常に未熟な状況にあるということでございますので、県の方では、このたびNPOセンターというのをつくることにしました。しかし、これは私が言っているんですけれども、干渉することなく支援をしようということをモットーに活動していきたいというふうに考えております。そして、このNPOが緑豊かな環境で物すごくすばらしいものがある和歌山県と結びついて、地球温暖化防止の中で大きな役割を果たすということになれば、これは本当に県の特性にも合ったことですし、そして二十一世紀の社会の進んでいく方向にも合致したものであると思いますので、私どもも干渉することなく支援をしていき、またいろいろ一緒に学んでいくという立場でこの問題について進めていきたいというふうに考えております。
そしてまた、こういうNPO──NPOというのは、今まではそこが職場になるというふうな発想は余りなかったわけですけれども、今言いましたように、いろいろな面でNPOが大きな活動をしていくことになってくると、当然のことながら、このNPOも一つの企業と同じような形で若者の就職の場の一つになってくると思います。そういうふうな場合、今まで企業へ就職するということは、一般的にはそこから報酬を得るということが大きな目的だったと思うんですけれども、NPOの場合は、より自分たちの自己実現というか自己目的を達成していくという面が中心になってくると思いますので、これもやはりこれからの二十一世紀にそれぞれの人たちが自分に合ったライフスタイルというものを確立しながら働いていくという上では非常に望ましいことです。
そしてまた、今の若者もいろいろ言われますけれども、まじめに考えているところもあるんで、こういうふうな形で一つの就業の場を提供するということは、そういう若者のメンタリティーにも一部合致している新しい職場になってくるのではないかというふうに私自身思っております。
和歌山県は、森林県連合でありますとか緑の雇用でありますとか、私もこの環境ということを中心に今、人の交流を起こして県勢を活性化するということをねらっておりますので、そういうふうな中で、例えば白浜空港の跡地にそういうことを生かしたものができるとか、そういうことが仮にうまくいくようなものがあれば非常に望ましいわけです。
いずれにせよ、こういうふうないろいろな和歌山県の特性を生かした形での環境大国和歌山というものをつくっていくことが、ひいては和歌山県からの大きな情報発信になってくると考えておりますので、答弁としては非常に漠然としたものが多いわけでございますけれども、前向きにこれから対応していきたいと、このように考えております。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高校生の就職問題につきましては、きょう午前中、佐田議員にもお答えいたしましたが、新規高校卒業者に対する県内の求人が減少する中で就職内定率が年々低下するという厳しい状況が続いております。
昨年度から就職アドバイザーを各高校に延べ二十名配置し、県内外の求人開拓を行うとともに、今年度は新たに生徒の職業意識を高め、個別の相談にこたえるための就職支援教員を三名配置し、進路指導の充実に努めているところであります。
また、高等学校就職問題検討会議を和歌山労働局と共同で開催し、就職機会の拡大などについて経済団体と協議するとともに、先般も学校関係者と事業所との就職懇談会を開き、来春卒業予定者への求人確保について協力をお願いしたところでございます。
さらに、いわゆるフリーターがふえて離職率が高いことも踏まえまして、多くの学校が取り組んでいる就業体験、インターンシップを一層拡充し、望ましい職業観や勤労観を育成するとともに、進路指導におけるガイダンス機能を充実させることが肝要であると考えております。
現在、雇用情勢が大きく変化する中で、先ほど来の議員のご指摘のように本県の特性を生かすとともに時代を先取りした新たな雇用の場が生まれてくることについて検討されますことは、高校生にとっても将来の夢を持たせるものであり、極めて魅力的なものであると考えております。従来の職種にこだわらず、幅広い業種に求職の機会を求めることが大切であることから、関係機関と連携しながら一層求人の確保に努めてまいりたいと考えております。
さらに、一言つけ加えさせていただきますと、本県高等学校にも、例えば全国唯一の環境科学科を持つ向陽高校がございます。さらに、これも極めて珍しい森林科学科を有する熊野高校もございます。こういう高等学校での学習の成果が環境や森林の問題に貢献できる人材を育成したり、さらにいろいろな意味での連携の核になっていければと考えているところでございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、玉置公良君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時五十六分散会