平成14年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(宇治田栄蔵議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 六番宇治田栄蔵君。
  〔宇治田栄蔵君、登壇〕(拍手)
○宇治田栄蔵君 今定例会のトリを務めさせていただきますことは大変光栄でございまして、ご配慮いただきました皆様方に厚く感謝をいたしまして、以下、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず、武道の振興について質問をいたします。
 私は幼少のころより空手道を学び、本年で四十五年になり、ライフワークにしてございます。また、剛柔流空手道の拳武館の館長として空手道の指導、普及発展に努め、青少年の健全育成に努めてまいりました。また、昨年四月には空手道の四大流派の一つ剛柔流空手道の全国組織・全日本空手道連盟剛柔会会長に就任し、昨年八月四日、五日はビッグホエールでアメリカ、ドイツ、フランス、イギリスの選手を含めて選手、役員、関係者約二千名の参加を得て剛柔会全国大会を開催させていただきました。知事、議長、同僚県議の皆様、その他多数のご来賓のご出席をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。また、知事には開催に当たり種々のご配慮をいただきましたこと、改めて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
 さて、私はこのように武道に深くかかわってまいりました。そういう関係から、武道館の整備構想については特別の関心を持ってございます。そこで、武道館整備構想についてお伺いをいたします。
 多くの武道愛好家の活動拠点となる県立武道館の整備については以前から要望しているところであり、新島議員、長坂議員も質問され、宗議員は武道振興会の会長としてその先頭に立っていただいているところでありますが、私も武道関係者として強く要望するものであります。
 県体協加盟の県内十一団体は、平成四年に日本の伝統文化である武道の修練を通じての青少年の健全育成、正しい武道の承継を目的に和歌山県武道振興会を発足し、毎年一回、すべての武道団体が参集した中で武道振興大会や普及講習会等を開催しています。今まで県立武道館や県立体育館、ビッグホエールでこの演武大会を行ってきましたが、私たちの一番の願いは新しい武道館でこの大会を開催することです。この大会もことしで第十回を数えました。ことしの大会も、各武道団体の小学生から八十歳を超える高齢者の方まで、約八百名の参加を得て盛大に開催されましたが、会場がビッグホエールであったことはまことに残念です。
 平成十年には武道愛好家約三万人の署名のもとに要望書を知事に提出し、県当局からは、スポーツ施設の効率的な活用の観点から総合体育施設としての位置づけの中で整備を図っていきたいとの提言がありました。単独の武道館の整備の希望は強く持っているものの、関係者一同、施設の整備・実現は近いと期待したものであります。しかし、その後、整備に向けての具体的な方針が示されておりません。
 ここで、今までの経緯を十分踏まえた中で県当局はどのような方針を持っておられるのか、知事の答弁を求めます。
 次に、武道館を初めとするスポーツ施設の整備と並んで、優秀な指導者や選手をいかに確保し、育成していくのかという課題があります。
 本年度、宮城県で開催された国体では、本県選手団は総合成績で十一年ぶりに二十位代に入るというすぐれた結果を残してくれました。強豪県がひしめいている近畿ブロックの予選を勝ち抜かないと本大会に出場できない、そういう厚い壁があるため、例えば昨年秋の大会の和歌山県選手団の数は全国四十六番目であります。このような少ない代表選手数にもかかわらず、秋季大会だけの成績では二十四位という健闘ぶりであり、選手、監督の皆様に敬意を表したいと存じます。今後とも引き続き国体を初め各種の全国大会で良好な成績をおさめていくためには、ぜひとも熱心な指導者と厚い選手層が求められるのであります。
 しかしながら、本県の状況は、数少ない企業の運動部が相次いで廃部、解散しています。また、学校では生徒数の減少に伴い運動部員が少なくなり、単独でチームを組めない学校も出ています。一方、これまで国体選手やオリンピック選手として活躍し、現役引退後は指導者として競技力向上に貢献してきた体育指導員の採用が本年はなかったと聞いています。県民の皆さんのスポーツに対する関心を高め、生涯スポーツの振興にもつながり、明るい活力ある和歌山づくりに大きな役割を果たしてもらうという観点から、優秀なスポーツ選手や指導者の確保、養成についてどのように考えておられるのか、教育長にお尋ねいたします。
 次に、男女共同参画推進条例について質問をいたします。
 平成十一年六月、男女共同参画社会基本法が制定され、それを受けて議案第三十六号和歌山県男女共同参画推進条例案が今定例会に上程されております。男女が互いにその人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、性別にかかわりなく個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、豊かで活力ある社会を築く上で不可欠であり、二十一世紀の本県社会を決定する重要課題の一つになっています。男女共同参画社会の実現のためには、県の施策はもとより、企業や各種団体さらには県民一人一人がこの問題をみずからの問題ととらえ、互いに連携しながらそれぞれの立場で取り組んでいくことが必要です。本条例案はこのような趣旨に基づくものでありますが、各条項について、以下、質問をしてまいります。
 男女の平等について、憲法は十四条で「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とし、また二十四条で、家族生活における個人の生活における個人の尊厳と両性の平等を保障しています。これらの規定は単に形式的な平等を保障するだけでなく実質的平等を保障したものであり、本条例は男女の平等を推進するものであります。
 しかしながら、法のもとの平等といえども絶対的なものではなく、憲法が他に保障する自由権その他の人権を侵すものであってはなりません。他の基本的人権を制限する場合であっても合理的理由が必要であり、その制限規定が漠然、不明確であって乱用されるようなものであってはならないと考えます。
 本条例十一条二項は事業者に報告義務を課し、その基準は知事が「男女共同参画の推進のために必要があると認めるとき」というのみで、例示規定すらありません。不明確、恣意的運用の危険があり、乱用のおそれのある規定であり、不適切な基準であると考えます。また、三項で公表されるおそれのある状況の報告義務がこのような不明確な基準で課されることは、事業者に過重な負担を課すものであると考えます。県当局はどのような見解か、答弁を求めます。
 次に、九条一項、審議会の構成についてお伺いいたします。
 審議会は各種事業について有識者、利害関係者、市民代表者等により構成されることが多く、より適切な見識を有する人がその委員に委嘱されるのが原則であります。女性が多い場合であっても、男性が多い場合であっても、よいと私は考えます。九条一項に「均衡を図るよう努めるものとする」と定めていますが、均衡がとれているとはどのような構成を言うのか、現状はどうか、答弁を願います。
 また、九条二項は職員の任用について規定していますが、現況をどのようにとらえているのか、殊さらこのような条文が盛られているということは不適切な部分があるのか、お尋ねをいたします。
 次に、七条についてお尋ねをいたします。七条三項は基本計画の策定に当たって「男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない」とするだけであります。他府県条例では、基本計画の策定に当たって議会の議決を必要とするものもあります。議会の意見をどのようにして反映するのか、答弁を求めます。
 次に、和歌山市内の都市計画道路について基本的な整備方針と進め方を土木部長にお伺いいたします。
 和歌山市の現状を見ると、丸正百貨店、大丸デパート、ビブレ等の大規模店が閉店し、ぶらくり丁でもシャッターを閉めている店が多く、本町通りやけやき大通りのビルのテナントも少なくなっており、灯の消えたような寂しさと言っても過言ではありません。また、ぶらくり丁のある本町地区の人口は四十年前には一万人あったのが現在では四千人と、実に半分以下になっています。また、本町小学校の児童数も千百人あったのが百七十人と、実に六分の一以下になっています。過疎化、高齢化は県都和歌山市の中心部でも大きく進んでいるのであります。産業面でも、住金の事業縮小や関電の発電所計画の先送り、さらに港湾計画の見直しなど、十年前の情勢とさま変わりの変化であります。
 和歌山市のこうした厳しい状況は、市の問題として放置せず、県としても重大な関心を持って考えなければならないと思います。大都市圏の再生が叫ばれていますが、和歌山市のような地方都市においても大きな問題が生じており、都市再生が重要課題であります。
 私は、都市再生の基本として、人が活発に行き来し、周辺の地域と密接な交流・連携が図れる都市の骨格道路づくりを進めるべきであると考えます。市内の道路整備を進める上で緊急かつ大きな課題は、随所に見られる交通渋滞をどうするかという問題であります。昭和四十年代以降、紀の川北部や東部地区へ住宅開発などが進展した結果、紀の川を渡って市内に入る車やJRを越えて中心部に入る車が大変混雑しています。また、南に向けて和歌山と海南を結ぶ道路は国道四十二号一本のみで、交通量が集中するため、紀三井寺交差点等で日常的に大きな渋滞が生じております。このため、現在紀の川の北側では西脇山口線、またJRを越える市駅小倉線、湊神前線、南港山東線などの整備が進められておりますが、一刻も早い完成が望まれます。また、都市計画道路の整備がおくれることにより民間資本の投資のめどが立たないなど、経済的な損失ははかり知れないものがあると思います。これらの点を踏まえ、今後の和歌山市内の都市計画について基本的な整備の方針と進め方をお伺いいたします。
 最後に、治安の悪化に対する対応について質問をいたします。
 最近、近所に交番が欲しい、夜外出するのが恐ろしいという県民の声が各所で聞こえるようになりました。水と安全はただ、そんな神話も今は昔、テレビや新聞からは連日痛ましいニュースが伝えられ、もはや犯罪に巻き込まれることは他人事ではなく、県民の治安の悪化に対する不安は増すばかりです。
 昨年、和歌山市の野崎地区で北署島橋駐在所の復活のための住民運動が行われました。その陳情文を紹介いたしますと、「全国的に犯罪は悪質化、凶悪化、多発化して、残虐悲惨な事件が多発しています。この地区も例外ではなく、暴走族が走り回ったり、民家に泥棒が入ったり、車上ねらいの連続発生等、事件や事故は確実にふえつつあります。このままではいつ凶悪犯罪が発生しないとも限らず、住民は毎日不安を抱えたまま生活を送っているのが現状です。どうか、地域住民の安心と安全の確保のため、地域住民三千三百三十八名署名簿を添えて、島橋交番の早急な復活を切に要望します」というものであります。住民の治安の悪化に対する不安が、このような運動にあらわれてきているのであります。
 治安が悪化してきているのは統計的にも明らかで、犯罪件数を平成八年と平成十三年で比較してみますと、全国の場合、刑法犯の認知件数は平成八年では百八十一万件、平成十三年では二百七十三万件であり、約五〇%増加しています。そのうち殺人、強盗等の重要犯罪の認知件数は平成八年では一万一千二百八十六件、平成十三年では二万一千五百三十件であり、約九〇%の増加であります。
 本県の場合で比較してみますと、刑法犯の認知件数は平成八年では一万五千八百六十件、平成十三年では二万四千二百七十三件であり、五三%の増加であります。そのうち殺人、強盗等の重要犯罪の認知件数は平成八年では七十七件、平成十三年では百七十一件であり、一二二%の増加であります。このような犯罪の増加に対して警察の現有勢力では対応し切れないためか、犯罪の検挙率は低下してきています。重要犯罪の検挙率は、全国の場合、平成八年では八七・九%、平成十三年では五三%であり、本県の場合は平成八年では九〇・九%、平成十三年では六〇・二%となっています。重要犯罪の検挙率で本県は全国平均を大幅に上回っており、本県警察の優秀さを示す数字でありますが、検挙率が低下していることは事実であります。
 このような状況の中、良好な治安確保のため警察力の強化を図ることが緊急の課題となっていますが、警察はどのような対策をとっておられるのか、お示しいただきたい。
 交番の増設について、さらに要望をいたします。
 このような治安の悪化と市民の不安に対応するため、交番を増設することを要望いたします。交番等の地域警察官は、受け持ち地区をパトロールしながら不審者に対する職務質問をするなど、犯人の検挙に努め、重要犯罪の三分の一は地域警察官が検挙しています。一方、交番に勤務する警察官は「お巡りさん」と呼ばれ、市民から愛され親しまれています。受け持ち地域の家庭、事業所等を訪問し、防犯、事故防止等について指導するとともに、住民の困り事や要望を聞き、処理しています。
 雑賀崎駐在所は、交番の統廃合で廃止されました。雑賀崎地区は漁師町でかぎなどかけなくても安全な地域でありましたが、廃止後、急にこそ泥がふえました。そして、「警察署に行くほどの問題でもないし、駐在さんがいたら相談できるのに。何とか駐在所を復活できないか」ということを何度も要望されました。
 このように、防犯の効果があり、市民に安全と安心を提供し、犯人の検挙にも重要な役割を果たしている交番、駐在所を増設することが必要であると思いますが、警察本部長の答弁を求めます。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの宇治田栄蔵君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず武道館の建設についてのご質問でございますが、スポーツの振興は県民の皆様に活力を生み出し、元気な和歌山を築いていく上で大きな役割を果たすものであると考えております。特に武道振興会の皆様には、日本の伝統文化である武道の普及発展のために毎年大会を開催するなど、ご尽力をいただいております。
 武道館の建設につきましては、これまでも多くの方々からご要望をいただいており、武道振興のための施設の整備は重要な課題であると認識しております。今後の財政状況を見きわめつつ考えてまいりたいと思います。
 次に、男女共同参画推進条例の十一条と経済活動の自由に関するご質問でございます。
 この条例案につきましては、雇用の分野には仕事と家庭の両立、方針決定過程への共同参画など、男女共同参画にとって多くの重要な課題があります。このための施策の策定、実施に当たっては実態調査などを通じての現状把握が必要ですが、第十一条はその根拠となる規定でございます。この運用に当たってはご指摘の内容についても十分な配慮が必要であると、このように考えております。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 男女共同参画推進条例案第九条に関しまして、本県における審議会等に占める女性委員の率は一六・三%となっております。
 男女の構成員数の均衡とは、議員ご指摘のとおり、個々の審議会における男女の数を同数にするということではなく、全体としてより一層女性の参画を目指すものでございます。女性の参画を得ることは重要な課題ですが、一方で各種審議会等へはそれぞれの目的にふさわしい方に就任していただく必要があります。このため、おおむね男女のバランス均衡が図れるよう将来にわたって努力していく必要があるということを表現しております。
 また、職員の任用につきましては、課長級以上の職員に占める女性職員の比率は一・六%であり、より積極的に進めていく必要があると考えております。本条文の趣旨は、男女共同参画の推進に当たり県が率先して取り組む姿勢を示し、今後ともより一層の環境づくりを進めていくためのものであります。
 次に、第七条に関しまして、基本計画の策定に当たっては審議会意見を聞くとともに県民意見を反映するための措置をとることとしております。これは、各分野の専門的見地からの検討が必要であることとともに、男女共同参画は県民生活に密着した課題であるため、県民の生の声に耳を傾ける必要があるという観点からの規定です。
 議会のご意見については、委員会での経過報告や議論及び議会の研修会等の機会を通じて積極的にちょうだいしてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 都市計画道路の整備方針と整備の進め方についてのご質問にお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、和歌山市内の道路は紀の川や鉄道で分断されているため市街地の周辺部で慢性的な渋滞が発生しておりまして、現在、国、県、市で構成する和歌山市域道路整備推進協議会において都市計画道路の整備のあり方について協議を進めております。その整備に当たっては、厳しい財政状況の中、優先順位をつけ重点的、計画的な整備に努めております。具体的には、西脇山口線、湊神前線、南港山東線など、東西幹線道路を重点的に整備しております。
 また、各路線の事業展開としては、渋滞している複数交差点の優先的改良や二車線の暫定供用など、効果が早くあらわれる供用形態で取り組み、供用開始時期を明確にした上で土地収用法を活用するなど、さらにきめ細かく取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) すぐれたスポーツ選手や指導者等の人材の確保についてでありますが、本県選手が国際大会や全国大会等で大活躍を見せることは、県民の皆さんに明るい話題を提供するとともに、スポーツを志す青少年に対して目標と意欲を与えるものであり、スポーツ振興の原動力になると考えているものであります。
 学校数、生徒数の多くない本県にあっては、インターハイや国体で好成績を上げるため、特にハイスクール強化指定校制度やジュニア一貫指導システム構築事業などを有効に活用して、重点的、計画的な強化策を展開する必要があります。また、体育教員の新規採用者や現有の全国トップレベルの若手体育指導員を、選手として活躍してもらうとともに、積極的に学校に派遣して指導者としても十分に役割を発揮させるなど、全県的な競技力の向上に努めてまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 警察本部長岩井良行君。
  〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) 治安対策についてお答え申し上げます。
 まず、一点目の治安の悪化に対する対応についてでございます。
 県下の治安情勢は、議員ご指摘のとおり極めて厳しく、治安指標と言われております刑法犯の認知件数は四年連続して二万件を超えております。また、殺人、強盗、放火などの重要犯罪は、平成五年ごろをピークとして減少傾向にあったものの平成十年を境に増加に転じ、その犯行形態も一段と悪質・凶悪化しているところであります。
 一方、犯罪の検挙率についてでありますが、重要犯罪の過去五年間の平均は七七%と高い数値になっておりますが、刑法犯総数が年々増加する中で一人でも多くの犯人を検挙することに重点を置いた捜査を推進しております結果、検挙人員についてはここ数年ほぼ横ばいもしくは増加の状況が続いておりますものの、刑法犯全体の検挙率は低くなっている現状にあります。
 検挙率低下の要因といたしましては、凶悪犯罪などの増加による初動捜査への捜査力投入の増大、検挙人員に重点を置いた捜査による検挙被疑者に対する余罪解明率の低下、犯行手段の悪質・巧妙化、スピード化による捜査の困難化とインターネット利用犯罪の発生など、犯罪の質的変化に伴う業務量の増大などが挙げられます。
 こうした中、警察の責務を果たしていくためには、限られた警察力を効率的に活用することが重要となっているところであります。このため、警察学校における専門教養の実施や充実などにより個々の警察職員の実務能力の向上を図る一方、業務の合理化などを通じて組織の抜本的な見直しを行い、捻出した人員を事件事故が多発する県北部地域に警察力をシフトさせて悪化する治安に歯どめをかけるべく努めているところであります。また、犯罪の広域化、巧妙化等に対応するため、捜査活動を支援する装備資機材の整備拡充にも積極的に取り組んでいるところであります。
 なお、このように徹底した業務の合理化を図っているところではありますが、現在の体制では急速に悪化する治安情勢に対処していくことは極めて困難であることから、財政状況が厳しい中ではありますが、なお不足する人員については、知事を初め県当局のご理解を得まして、今議会に四十人の警察官の増員をお願いしているところであります。
 また、申すまでもなく警察は良好な治安を維持する責任を負っておりますけれども、警察の努力だけではなし得ないこともございます。このため、各自治体による犯罪の起こりにくい町づくりや住民の方々による地域防犯活動など、自治体や県民による自主的な防犯活動についても私どもとして支援をさせていただいているところでございます。
 次に、交番、駐在所の増設についてお答え申し上げます。
 地域の安全、安心を確保するためには、交番、駐在所の活動すなわち地域警察官の活動が大変重要でありますことは議員ご指摘のとおりであります。これまで、和歌山市を中心に悪化する治安情勢に対応するため、特に二十四時間体制の確保を目指して交番などの統廃合に工夫を凝らしてまいりましたが、県下の治安情勢は大変厳しいものがあり、交番などへの人員の配置もなお十分でない現状にあります。
 今回お願いしております警察官の増員が実現いたしました場合には、その増員の一部を用いまして必要性の高い交番から人員の補強をしていきたいと考えておりまして、ご指摘の交番、駐在所の増設よりは現在ある交番の人員の補強を優先せざるを得ないと考えている次第でございます。
 現在、警察官の増員とともに交番相談員五名の増員もあわせてお願いしておりますけれども、これも今申し上げましたことと同様の目的からでございまして、これら現行体制の強化拡充を図ることにより住民の方々の安心と安全の確保に向けて最善の努力を続けてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 六番宇治田栄蔵君。
○宇治田栄蔵君 答弁ありがとうございます。
 武道館の建設についてでございますが、もうこの運動が十年になりました。この間に、現在の県立体育館のところとか、ビッグホエールの第二アリーナのところとか、候補地も挙がりまして、非常に関係者は、先ほど質問でも申し上げましたけれども、もう間もなくできるんじゃないかと、一時、大変期待を膨らませた時期もございました。今、大変財政が厳しいということは私どもも存じておりまして、知事の立場も理解できるんですけれども、財政が厳しい厳しいと言うだけではやはり県民の期待にこたえられないわけでございますから、厳しい中でも何とかやりくりをして一刻も早く実現するようにお願いしたいと、これは要望をさせていただきます。
 それと、先ほど申し上げました男女共同参画推進条例についてでございます。
 事業所への調査についてのことでございますが、私は、調査というこの条文から受け取る感覚は、調査が非常に大事みたいなふうに感じるわけです。僕は、こういう調査をするということよりも、こういう社会にやっぱり皆さん協力してやっていってくださいよというふうに理解を求めていくような努力、そういうことの方に重点を置く方がこの条例を生かすためにはよりいいことだというふうに感じます。私はこの十一条二項、三項を見ていて、何かこう、高圧的な押しつけというんですか、そういうふうな感じを受けて仕方がないんです。
 私は、先日、事業者の方からですが、調査についてこういう苦情を聞いたことがあります。最近、県や国からのいろんな調査がわしとこの事業所へ来るよと。そして、その調査の書類を書くために事務員を一週間ほど張りつかさなならんと。そういう詳しい調査事項もあるというふうに聞きました。それで、そのために──まあ考えてみてくれと。こんなもん、給料にしたら数万円のものになるんやと。それだけ負担せんならんし、本来の仕事はできやんし、非常に営業妨害になるようなことやから、わしはもう調査の対象にせんといてほしいんやというふうな、そういう陳情を受けたこともございます。
 ですから、そういう調査というものに──私自身がそういう陳情を受けたんですよ。ですから、そういうふうな感じで、余り調査、調査と言うと迷惑がられる場合も多々あると思うわけですよね。ですから、そういう事業者の声というものにもやはり耳を傾けていかないかん。そして、必要なもの、協力をしてもらえるものに対してきっちりと内容を把握していく、そういう姿勢が私は必要だと思うわけです。
 私はそういう立場に立ってこの条文を見ましたとき、余りそういう感じを受けないので一考を要するというふうな考えを持ってございますけれども、環境生活部長、県当局の方はどういうふうにお考えか、ご答弁をお願いしたいと思います。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 再質問にお答えいたします。
 第十一条の運用に当たっては、事業者の方々に過重な負担を課すことのないよう注意しながら実施してまいりたいと考えております。
 男女共同参画の推進は、事業者はもとより県民各層のご理解とご協力を得る中で行う必要があると認識しておりますので、その必要性などについて十分理解をいただけるよう努力するとともに、議員ご指摘の内容を踏まえ、十分配慮して行ってまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、宇治田栄蔵君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
  【日程第三 議案等の付託】
○議長(井出益弘君) 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
  【日程第四 請願付託の件】
○議長(井出益弘君) 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。三月十三日から十五日まで及び十八日は、委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) ご異議なしと認めます。よって、三月十三日から十五日まで及び十八日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、三月十九日、定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十五分散会

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