平成14年2月 和歌山県議会定例会会議録 第1号(全文)
県議会の活動
平成十四年二月 和歌山県議会定例会会議録 第一号
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議事日程 第一号
平成十四年二月二十二日(金曜日)午前十時開会・開議
第一 会議録署名議員の指名
第二 会期決定の件
第三 議案第一号から議案第七十号まで、並びに報第一号(当局説明)
会議に付した事件
一 会議録署名議員の指名
二 会期決定の件
三 議案第一号から議案第七十号まで、並びに報第一号(当局説明)
四 休会決定の件
出席議員(四十六人)
一 番 新 島 雄
二 番 山 田 正 彦
三 番 佐 田 頴 一
四 番 大 沢 広 太 郎
五 番 堀 本 隆 男
六 番 宇 治 田 栄 蔵
七 番 門 三 佐 博
八 番 西 本 長 弘
九 番 坂 本 登
十 番 小 原 泰
十一 番 木 下 善 之
十二 番 永 井 佑 治
十三 番 尾 崎 要 二
十四 番 小 川 武
十五 番 宗 正 彦
十六 番 橋 本 進
十七 番 生 駒 三 雄
十八 番 原 日 出 夫
十九 番 谷 洋 一
二十 番 山 下 直 也
二十一番 高 瀬 勝 助
二十二番 吉 井 和 視
二十四番 町 田 亘
二十五番 金 田 眞
二十六番 高 田 由 一
二十七番 神 出 政 巳
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 向 井 嘉 久 藏
三十 番 野 見 山 海
三十一番 平 越 孝 哉
三十二番 下 川 俊 樹
三十三番 中 山 豊
三十四番 浜 田 真 輔
三十五番 鶴 田 至 弘
三十六番 冨 安 民 浩
三十七番 村 岡 キ ミ 子
三十八番 中 村 裕 一
三十九番 井 出 益 弘
四十 番 阪 部 菊 雄
四十一番 江 上 柳 助
四十二番 長 坂 隆 司
四十三番 森 正 樹
四十四番 飯 田 敬 文
四十五番 新 田 和 弘
四十六番 松 本 貞 次
四十七番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
〔備考〕
二十三番欠員
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
理事 安 居 要
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 稲 山 博 司
企画部長 垣 平 高 男
環境生活部長 秋 月 成 夫
福祉保健部長 白 井 保 世
商工労働部長 内 田 安 生
農林水産部長 辻 健
土木部長 大 山 耕 二
企業局長 増 田 充 孝
教育委員会委員長 赤 松 壽 男
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 中 尾 公 彦
警察本部長 岩 井 良 行
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 北 村 亮 三
職務のため出席した事務局職員
事務局長 田 村 徳 美
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 北 垣 内 敬
議事課副課長 松 谷 秋 男
議事班長 露 詰 勤
議事課主査 尾 崎 善 亮
議事課主査 井 口 好 晴
総務課長 梶 本 皓 造
調査課長 宗 野 幸 克
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課副主査 保 田 良 春
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午前十時一分開会・開議
○議長(井出益弘君) ただいまから、平成十四年二月定例会を開会いたします。
これより本日の会議を開きます。
この際、暫時休憩いたします。
午前十時二分休憩
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午前十一時二分再開
○議長(井出益弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
【日程第一 会議録署名議員の指名】
○議長(井出益弘君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。
今期定例会の会議録署名議員は、八番西本長弘君、二十四番町田亘君、四十番阪部菊雄君の三君を指名いたします。
【日程第二 会期決定の件】
○議長(井出益弘君) 次に日程第二、会期決定の件を議題といたします。
お諮りいたします。今期定例会の会期は、本日から三月二十日までの二十七日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) ご異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は本日から三月二十日までの二十七日間と決定いたしました。
この際、諸般の報告をいたします。
知事から地方自治法第百八十条の規定による専決処分の報告及び地方自治法第二百二十一条第三項に定める法人の経営状況を説明する書類の提出が、監査委員から監査の結果報告及び現金出納検査の結果報告がありました。いずれもお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
次に、今期定例会に提出された議案等は、お手元に配付のとおり、議案第一号から議案第七十号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号の計七十一件であります。
〔巻末の「参考資料」を参照〕
【日程第三 議案第一号から議案第七十号まで、並びに報第一号】
○議長(井出益弘君) 日程第三、ただいま報告の議案第一号から議案第七十号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題といたします。
まず、当局の説明を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 平成十四年二月定例会にご参集いただき、厚く御礼を申し上げます。
まず初めに、去る一月二十三日に逝去されました岸本光造衆議院議員並びに同月二十七日に逝去されました中西啓介元衆議院議員のみたまに謹んで哀悼の意を表します。
岸本議員は、県議会議員在職中は議長、副議長などを歴任され、その後、国会議員として多方面にわたりご活躍されましたが、特に農林水産政務次官や自由民主党農林水産部会長を歴任されるなど、農林水産業の振興に熱心に取り組んでこられました。
また中西元議員は、防衛庁長官や経済企画庁政務次官などを歴任され、長年にわたり国会議員として幅広くご活躍をされました。
お二人には、和歌山県の発展に多大なるご尽力をいただきました。ここに、生前のご遺徳をしのび、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
次に、ただいま上程されました諸議案について提案理由をご説明するに先立ち、県政に臨む所信を申し述べたいと思います。
二〇〇二年は、昨年九月に起こった米国の同時多発テロが世界に及ぼした衝撃の余波が残る中での幕あけとなりましたが、同時多発テロ事件は、世界の経済にも甚大な影響を及ぼし、世界が同時不況の様相を深める中で、我が国経済も急速に混迷の度を増しております。企業倒産は過去最悪の水準を続け、失業率は過去最高を更新し、物価は長期低落を続けるなど、物価下落と景気後退の悪循環を繰り返すデフレスパイラルが懸念されるところでございます。
このような状況の中、去る一月十八日、政府において「構造改革と経済財政の中期展望」が決定され、中期的な経済財政運営について将来展望が示されました。この改革と展望では、地方の果たす役割はますます重要となり、それぞれの地域の多様な発展なくして国の発展はあり得ず、また地方の持つ多様な資源を生かし、知恵と工夫でそれぞれの地域の魅力、個性を発揮することにより、都市と農山漁村の共生と対流、観光交流が進み、豊かな生活空間が形成されると明言されております。これは、私の提唱しております緑の雇用事業や新ふるさとづくりの考え方と相通ずるものでありますが、県政のかじ取りに当たりましても、自助と自律の精神のもと、県財政の健全化や制度改革などさらなる県政の構造改革を推し進めるとともに、地方の多様な発展が国を支えるという観点から、個性ある地域の発展、知恵と工夫の競争による活性化を重視した政策を展開し、新しい個性と魅力を持った活力ある和歌山を目指したいと考えております。
具体的には、まず緑の雇用事業を中心に、都市から地方への人口の逆流動を起こすような施策を積極的に推進し、そこから新しい産業の創出による地域の活性化や、国も巻き込んだ形での新しい国土環境保全の仕組みづくりに発展させてまいりたいと考えております。
また、県内経済の自立型経済構造への転換を推進し、産業の活性化を図るため、既存産業の高度化や新産業の創出に積極的に取り組むとともに、現下の厳しい経済・雇用情勢にかんがみ、当面の景気動向にも的確に対応してまいりたいと考えております。
さらに、本県の自然、歴史、文化資源等を生かした体験型観光などに力を入れ、いわば観光元年として和歌山県を全国に情報発信するなど、県民の方々に夢や希望を与え、日本全体を覆っている閉塞感をまず和歌山から払拭していくという気構えで県政を進めてまいりたいと考えております。
私は、和歌山県が未来に向かって飛躍していくためには、時代の流れを的確に見据えた新しい発想に基づく施策を積極的に実施するとともに、懸案事項についても先送りすることなく着実に課題解決を図っていくことが重要であると考えております。このため、失敗を恐れず、向こう傷を恐れない問題解決型の県政をさらに推進するとともに、和歌山から日本を変えるという高い志を持って改革の県政を進めてまいる決意でございます。
私は、改革の県政に取り組んでいくとともに、地方分権が進展する中、地方の実情に合った独自の政策を形成して全国の先駆けとなるような事業を実施し、場合によっては国へ積極的な政策提言を行うなど、地域の個性と魅力を発揮しながら地方の自立を図っていくことが重要と考えております。
このような考え方から、現在進められている小泉構造改革には多様な雇用セーフティーネットの構築と地域の活性化への配慮が少ないことから、これらを補い、改革に厚みを持たせる緑の雇用事業を提唱したところでございます。この提言は、都会から地方への人口の逆流動を起こし、過疎地域の定住人口の増加を図るなど、地方の再生を図り、ひいては健全で均衡ある国づくりを見据えたもので、何よりも行政の最前線である地方の立場に基づいたものであったため、多くの道府県の賛同を得、昨年、国の補正予算にも提言の趣旨が取り入れられたところでございます。また、昨日、林野庁長官と対談を行い、森林整備の必要性や緑の雇用事業について話し合うとともに、本事業が恒久的な制度となるよう国の支援をお願いしたところでございます。
私は、これからの県政は、国と地方、あるいは都市と地方などのより大きな視点から新しい地方のあり方を考え、緑の雇用事業のように、地方の実情に合った本県独自の施策や提言を和歌山モデルとして全国に発信していくことが重要であると考えております。
例えば、道路整備について、全国画一的な基準を適用することにより不経済となっている点を見直し、地域の実情に即した整備を進めるため、本県独自の道路整備基準の策定や、全国で初めての試みとなります国立和歌山大学附属中学校と県立星林高等学校による連携型中高一貫教育の実施など、雇用以外の分野においても独創的な和歌山モデルの構築を目指し、改革の県政を推進してまいりたいと考えております。議員各位を初め、県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。
平成十四年度予算は、緑の雇用事業を本格的に実施するなど、新しい個性と魅力を持った活力ある和歌山の創造に向けた大変重要な予算であります。以下、その内容についてご説明を申し上げます。
平成十四年度の予算編成に当たりましては、地方交付税の削減や税収の落ち込みなどにより前年度にも増して厳しい財政運営が予想される中で、職員の斬新なアイデアによる新規施策や他部局、他府県、民間等との連携など、従来の手法にとらわれない時代潮流にマッチした二十一世紀型の施策を積極的に推進するため、県勢の活性化に資する新規事業について要求基準を設けないことといたしました。他方で、既存事業について行政の棚卸しを積極的に行い、旧来型事業や県単独補助金の徹底した見直しを進めるとともに、全職員を対象とした給料の削減など組織自体の痛みを伴った財政改革を断行し、収支不均衡の改善に努め、財政の健全化を目指しながら、新しい施策に予算配分を大胆にシフトするという思い切った予算編成を行ったところでございます。
緑の雇用事業につきましては、森林等の自然環境を回復、再生させるとともに、多様な雇用の創出を図るため、Iターンの促進を初め、定住環境の整備、林業等の技術習得、森林等の再生による雇用の創出、地域資源を生かしたニュービジネス等の創出、地域のコミュニティーづくりなどの諸施策を総合的かつ体系的に展開するとともに、本事業の推進体制の充実強化を図ってまいります。
まず、市町村と連携を図りながらIターン希望者への情報提供の一元化を図るとともに、ふるさと定住センターを設置して短期、長期の就業体験研修を実施いたします。また、県内にIターンモデル地区を設定し、県、市町村、森林組合、地域住民等が連携して住宅、就業などの定住条件の整備を行うとともに、モデル地区外においても、市町村が行う定住住宅建設等に対して支援することといたしております。
雇用の創出につきましては、緊急雇用創出特別基金の活用により、広葉樹植栽等による環境整備事業や高野町石道、熊野古道などの周辺林の修景整備事業等を実施し、新たな雇用の創出を図ってまいります。
さらに、過疎山村地域においては、全国で初めての取り組みとなりますが、Iターン者がこれまでの経験をもとに、地元産品のネット販売事業や体験型観光インストラクター事業などの地域資源を生かした起業を行う、いわば田舎型ベンチャーに対して支援することといたしております。
このように、森林の再生や地域資源を生かした新たなビジネスの創出などにより、地域住民の雇用の確保やIターン者等の定着を進め、過疎化、高齢化が進む地域の活性化を図る県独自の和歌山モデルと呼べる事業を実施してまいりたいと考えております。この和歌山モデルのさらなる充実を図るため、国の支援を求めるとともに、地方自治体、企業、労働組合の共同による雇用の新しい仕組みづくりにも取り組んでまいりたいと考えております。
本県が二十一世紀に飛躍していくためには、時代の変化に対応した競争力のある新たな産業の育成が何よりも重要でございます。このため、県経済活性化委員会の提言を生かしながら、出るくいを大きく伸ばす競争力のある産業基盤づくりに取り組んでまいります。
まず、出るくいとなる有望企業を選定するため、企業ソムリエ委員会(仮称)を新たに創設し、出るくいに対してさまざまな支援事業の活用による集中的な支援を行い、オンリーワン企業として育成するなど、厳しい競争に打ち勝つ新たなビジネスモデルを創出してまいりたいと考えております。
また、大学発事業シーズの事業化の促進を図るため、大学生だけでなく大学や研究機関の研究者に対しても開業資金の助成を行い、創業段階における支援を強化してまいります。
さらに、県外からの新たな経済活力の導入にも積極的に取り組んでまいります。特にIT関連産業については、その立地を促進するため助成制度を拡充するとともに、田辺、白浜周辺地域をIT関連産業の集積地とするIHS(イノベーション・ホット・スプリングス)──改革を行う温泉システムでございますけれども──構想を推進するため、新たな補助制度の創設を初め、IT総合センターとの連携促進など、さまざまな支援施策を実施いたします。
また、新しい試みとして、民間委託による企業誘致専門員を設置し、民間のネットワーク等を活用した効率的、効果的な誘致活動を積極的に展開してまいります。
なお、現下の厳しい経済・雇用情勢にきめ細やかな対応を図るため、緊急経済対策資金の創設など融資制度の見直しや新規融資枠の拡大を行い、県内中小企業の資金需要に的確に対応するとともに、信用保証協会の経営基盤を強化し、中小企業の金融支援の拡充に積極的に対応してまいります。
雇用対策につきましても、雇用情勢が厳しさを増す中、緊急雇用創出特別基金事業の積極的な展開を図るほか、失業者のスキルアップなど再就職に必要な能力を向上させるため、民間のノウハウを活用したきのくに就職ガイダンスを実施し、未就職者の円滑な就業を支援してまいります。
農林水産業の活性化につきましては、農業の生産基盤の整備や流通加工施設の充実等を図り、産地の体質強化に努めるとともに、本県ゆかりの著名人等を活用した都心でのイベントや物産展の開催など、本県のすぐれた農産物を全国に情報発信し、需要の拡大に取り組んでまいります。特に、紀州備長炭のさらなる需要拡大を図るため、ほんまもん紀州備長炭PR大作戦を実施いたします。
県産品のマーケティング対策についても積極的に取り組むこととし、首都圏での販路開拓を目指すため、都市との交流による首都圏マーケット拡大事業を実施してまいります。
なお、本県の貴重な資源である海洋、森林、農業などに最先端の生命工学を導入し、近畿大学のクローンや遺伝子操作技術を核として、県の試験研究機関と研究開発型企業が共同で食料と環境を中心としたバイオの研究をスタートさせるため、文部科学省所管の公募型の大型産学官共同研究事業である地域結集型共同研究事業の採択に向け、全県的に取り組んでまいります。
新しい個性と魅力を持った活力ある和歌山県を創造していくためには、本県の貴重な財産である豊かな歴史・文化、自然を活用した新たな観光戦略が必要でございます。このため、昨年の組織改革において観光局を設置したところであり、現在、平成十六年の登録を目指し鋭意努力しております高野・熊野の世界遺産登録を本県観光振興の大きなチャンスととらえ、新しい和歌山型観光の全国的展開を目指してまいります。本年を二十一世紀型の観光立県を目指した始動の年とし、世界遺産登録に向けて首都圏対策の強化など戦略的な事業を展開してまいります。
高野・熊野や温泉など本県の魅力を東京で情報発信するとともに、広域観光エリア等が主体となって各地域の個性、魅力を最大限に生かした地域キャンペーンを行うなど、県、地域それぞれが最大限の力を発揮しながら観光客の誘致に努めてまいります。また、従来からの台湾、韓国等に中国本土を加えた東アジア方面をターゲットに、国際的な観光客の誘致についても積極的に推進してまいります。
さらに、十三年度で実施したわかやま観光オプションメニュー創造会議の成果を生かして全県的に体験・交流型観光を推進し、本県を心のふるさとと感じていただけるような新ふるさと観光づくりに取り組むとともに、観光地のホスピタリティーの向上、ハード、ソフト両面のバリアフリー化の推進を図り、だれもが安心して楽しめる観光地づくりに努めてまいります。
私は、知事就任以来、本県産業の活性化や県民生活の充実を図るため、デジタルデバイドの解消などIT革命への対応に積極的に取り組んできたところでございます。ITバブルは崩壊したものの、IT革命はまだ始まったばかりであり、ITが通信インフラとして定着しつつある中、国においても今後五年以内に日本を世界最高のネット大国にするというe-Japan 構想を掲げ、高速通信を実現する光ファイバー網の整備などが進められており、ITは産業、生活の両面で今後ますます重要度を増していくものと考えております。今後とも、ITの活用による産業、地域の活性化、県民生活の充実を図るため、IT和歌山の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
まず総合的な情報化支援策として、インターネットに関する普及啓発機能や人材育成、研修機能、産業支援機能、地域支援機能など、複合的な機能を有するIT総合センターの十六年春の完成を目指し建設工事に着手いたします。
次に産業への対応につきましては、新規開業を目指す起業家を対象にインキュベーター機能と最新の情報通信環境が整ったスタートアップ・オフィスを海南市等に増設するほか、施設間をネットワークで結び入居者相互の連携、交流によるスキルアップを図るとともに、新たな試みとして、NPOの活用により各種情報提供やビジネスマッチングなど事業化段階に応じた支援事業を実施してまいります。
教育への対応として、平成十五年度から始まる新学習指導要領に的確に対応するため、県立高等学校の情報教育環境の整備充実を図ってまいります。また、人材の育成対策として、中学生、高校生等を対象にした情報収集、編集能力の向上、高度な技能取得のための研修機会(ITサマーキャンプ)の提供やIT資格取得の支援を行い、県情報化を牽引するIT資質を備えた人材の育成を図ってまいりたいと考えております。
福祉分野への対応としては、障害者を対象としたIT講習会の開催やパソコンボランティアの養成・派遣を行うことにより、障害者の情報入手やコミュニケーションを支援いたします。
行政への対応についても、県庁のIT化を推進するため、職員への一人一台パソコンの配備を完了するとともに、電子申請汎用受付システム等の基本設計を行い、電子県庁基本計画を策定いたします。
また、電子自治体の進展や、防災、遠隔医療、教育などのIT化に対応するため、広帯域ネットワーク基盤のあり方等についても調査してまいりたいと考えております。
開かれた和歌山を実現するためには、都市、地方を問わず、人と物が活発に行き交う交流ネットワークの創造が不可欠であり、特に県外からの人の流れが重要であります。
まず、開かれた和歌山の基盤づくりとして道路網の整備は欠かせないものであり、特に京奈和自動車道、近畿自動車道紀勢線、府県間道路の整備につきましては、本県の発展に不可欠なものであることから重点的な整備に努めるとともに、幹線道路や生活道路につきましても、必要性の高い路線から重点的に整備し、県内道路のネットワークの整備に努めてまいります。
また、新しいふるさとづくりを推進するため、人の流れを活発にし、都市との交流促進を図ってまいります。都市に住む児童生徒が、自然の中での体験学習や地元の子供たちとの交流を通じてふるさとを体験できる場を提供するほか、新しい試みとして、漁業権の設定されている自然海岸を開放するとともに、漁業資源を活用したオーナー制の導入により、漁村と都市との交流を促進する海遊モデル事業や、地域の特性を生かした無人駅の有効活用を図るふるさとの駅づくりモデル事業などを実施し、人的交流ネットワークの形成に努めてまいります。
本県は美しい自然に恵まれ、その風土、歴史がすぐれた人材を輩出するとともに、独自の文化をはぐくんでまいりました。こうした固有財産を積極的に活用することにより、本県文化の一層の振興を図り、心の豊かさが実感できる文化の薫り高い和歌山県を目指してまいりたいと考えております。
このため、高野・熊野を含む紀伊山地の霊場と参詣道を世界遺産として早期登録を目指すため、国、市町村及び三重県、奈良県との連携強化はもとより、積極的な広報活動を展開するほか、登録予定物件の保存・整備を図るとともに、高野山の歴史や自然に触れ合う機会を提供し、その魅力を全国に発信するミュージアムKOYASAN事業を展開することといたしております。
また、昨秋、県公館におきまして開催いたしました有吉佐和子記念展には県内外から多くの方々にご来場いただきましたが、本年度は本県出身の囲碁棋士で、本因坊戦九連覇の大記録を樹立した高川格氏の偉業を顕彰する特別展を開催するほか、熊野が生んだ偉大な文化人・西村伊作展を県立近代美術館で開催し、本県が生んだ先人の業績を県内外にアピールしてまいります。
さらに、芸術・技能の分野で活躍されている新人を対象に表彰を行い、県民の方々への発表の場を提供していきたいと考えております。
なお、近代美術館と博物館を広く子供たちに親しめる場とし、芸術・文化作品に触れる機会を与え文化意識の高揚を図るため、高校生以下の方に対し無料開放するほか、県立図書館においても蔵書の充実等に努めるとともに、世界に誇る高野山の文化財を保存するため、新たな収蔵庫の建設に対しても支援をしてまいります。
少子高齢化の進展や介護保険制度の実施など社会経済情勢が変化する中、限られた財源で増大・多様化する福祉ニーズに対応するためには、より必要性の高い福祉施策に重点化を図り、少子高齢社会に対応した福祉施策への転換を進めていかなければなりません。
そのためには、まず元気高齢者創造支援として、心身ともに元気な高齢者をふやし、生きがいのある生活の実現を目指してまいります。具体的には、紀の国長寿大学の内容を大幅に拡充し、わかやまシニアカレッジとしてお年寄りが気軽に学べる環境を県内全域で整備してまいります。
次に、介護サービスの利用が伸びていることから介護サービスの充実を図るため、介護給付費負担金の確保、特別養護老人ホーム、痴呆対応型グループホーム、介護老人保健施設などの積極的な整備拡充を図ってまいります。
また少子化対策として、乳幼児医療費助成事業の対象を、入院について三歳未満から小学校就学前まで引き上げるとともに、地域の子育て支援体制の整備、安心して子供を産み育てられる環境づくりを総合的に進めてまいります。
以上のような方向に力点を置いた施策を展開するため、高齢者に対する医療費助成については、収入や資産等を勘案し、経済的に低位な方に限定する見直しを行っております。
障害者対策としては、知的障害者更生施設・由良あかつき園の改築整備を行うほか、重症心身障害児者のための通園事業の実施、精神障害者へのホームヘルプサービスの助成など、自立・社会参加の促進に努めてまいります。
医療の充実につきましては、二十一世紀の救急医療システムとして、空飛ぶER(救命救急室)であるドクターヘリを県立医科大学に配備し、県内全域をカバーすることにより、県民がどこにいてもすぐに高度救急医療を受けられる体制を整備し、救命率の向上を図ってまいります。あわせて、新しい取り組みとして、三重県、奈良県と協力して県境を超えた紀伊半島南部の広域でのドクターヘリ三県共同利用を図り、対象地域住民の救急医療を充実するために医療連携を推進してまいります。
また、県立医科大学看護短期大学部の四年制化に向け、準備を開始いたします。
なお、人権施策といたしましては、県民交流プラザ和歌山ビッグ愛に人権啓発センターを設置するとともに市町村の取り組みに対して支援するなど、総合的な人権啓発に積極的に取り組んでまいります。
私は、知事就任以来、問題解決型の県政運営を積極的に推進するため、県政を取り巻く幾つかの諸課題について真正面から取り組み、かなりの成果を得たところでございますが、本年はその成果を踏まえ、さらなる前進を図りたいと考えております。
まず橋本市のダイオキシン対策でございますが、代執行はほぼ完了いたしました。今後は、恒久対策について国の支援をいただき、住民の皆様を初め橋本市とも十分話し合いながら、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
廃棄物対策につきましては、廃棄物処理計画の策定業務を完了するとともに、公共関与による廃棄物処理についても、事業者、市町村及び県による地域協議会を設立し、関係者が一体となって検討を進めてまいります。
梅の生育不良問題につきましては、原因究明と安定生産技術確立のため、栄養診断技術の開発や先端技術を活用した優良台木の探索・育成等に引き続き取り組むとともに、改植更新や樹勢回復対策を実施してまいります。
また、試験研究の拠点となるうめ研究機関の設置については、平成十六年オープンを目指し、基本・実施設計に着手するとともに、現地での試験研究を一層強化してまいります。
次に、南海地震等の大規模災害の発生に備え、県庁舎周辺に防災センターを整備することといたしておりますが、センターに整備する防災行政無線及び防災総合情報システムの基本構想の策定を行ってまいります。
なお、県民の安全に対するニーズの多様化に対応するため、警察官の大幅な増員等による人的基盤の強化を図り、県民が安心して暮らせる生活環境の確保に努めてまいります。
次に、教育、スポーツの振興についてでございます。
最近の厳しい社会状況の中、経済的な理由により高等学校や大学等での修学が困難な状況にある方々に対し教育の機会均等を図るため、その修学に必要な経費の一部を貸与する修学奨励事業を新たに実施いたします。特に、大学、短大につきましては、本県の地理的状況や県外大学への進学者の割合が他県に比べて高いことなどの事情を踏まえ、自宅外から通学する方々に対し、その入学時に一時金を貸与する独自の制度を設けることといたしております。
また、日韓共催で開催されます世界最大級のイベントであるワールドカップサッカー大会において、本県はデンマークチームのキャンプ地として実行委員会を設置し受け入れ準備を進めているところであり、デンマークチームと県民とが触れ合えるスポーツイベントなどを実施するとともに、同チームが上位進出を果たすよう、県を挙げて応援してまいりたいと考えております。
さらに、本年八月には、日本とアメリカを代表するホームラン王である王貞治氏とハンク・アーロン氏が設立した世界少年野球推進財団が主催する世界少年野球大会を紀南地域で開催いたします。この大会は、世界の青少年に友情と親善の輪を広げようとの趣旨で、世界の約二十に及ぶ国や地域から約二百名の少年、少女が参加し、野球教室の開催や中国、韓国と地元少年野球チームとの交流試合なども予定しており、スポーツを通じて国際交流や親善に寄与するとともに、躍進する和歌山の姿を世界に発信する絶好の機会であると考えております。
私は、改革の県政をさらにに推し進めるためには、時代潮流に即応した柔軟な対応や県政の諸課題に対して、失敗を恐れず果敢に取り組み、着実な成果を上げていくことが肝要であると考えております。
このため、現在検討を進めている平成十四年度の機構改革に当たっては、本庁において緑の雇用事業、環境政策を担当する局を設置するほか、政策立案機能の充実、市町村合併のさらなる支援強化など、今日求められる諸課題に対応できる責任体制が明確な組織の確立を図ってまいりたいと考えております。
振興局等においては、グループ制を導入し、行政課題への柔軟な対応、迅速な意思決定を行い得る組織体制を構築いたします。年功序列にとらわれることなく、やる気のある職員を積極的に登用することにより、活力ある県政を実現してまいりたいと考えております。
また、徹底した行財政改革を引き続き推進するとともに、行政と民間の役割分担の見直しを行う一方、住民活動であるNPO活動を支援するため、和歌山ビッグ愛にNPO活動支援センターを設置いたします。
男女共生社会の形成につきましては、本議会に上程しております男女共同参画推進条例に基づき、男女共同参画の推進をあらゆる行政分野の共通課題として位置づけるよう基本計画を策定するとともに、男女共生社会推進センターの相談業務を強化し、さまざまな分野で男女が積極的に参画していけるよう県民の皆さんを支援してまいります。
市町村合併につきましては、平成十七年三月末の合併特例法の法期限まで約三年となり、合併を推進する上で平成十四年度は大変重要な年と考えております。昨年十二月、合併重点支援地域に三地域を指定したところであり、他の地域についても順次指定を進め、関係市町村と一体となって考えていきたいと思っております。このため、推進体制をさらに強化するとともに、補助制度の拡充を行い、合併機運の醸成と地域の合併推進に向けた取り組みを積極的かつ総合的に支援してまいります。
私は、二十一世紀型の新しい社会システムづくりに積極的に取り組み、県民の方々が将来に夢と希望を持てる新しい和歌山の創造に努めてまいりたいと考えております。
以上が、当初予算案の主な内容でございます。
なお、国において、同時多発テロ事件後の経済環境の急激な変化を踏まえ、構造改革をより一層加速しつつ、デフレスパイラルに陥ることを回避するため第二次補正予算が編成されたところでございます。県といたしましても、現下の厳しい経済・雇用情勢にかんがみ、公共事業を初め、情報基盤や老人福祉施設の整備を中心とした補正予算を当初予算とあわせて編成することにより、十三カ月予算として事業の切れ目ない執行に配慮したところでございます。景気対策以外の補正予算につきましては、準備が整い次第、ご提案申し上げることといたしております。
続きまして、条例案件等について、その主なものをご説明申し上げます。
議案第二十三号は、事務事業の整理合理化、事務改善等により知事部局の職員定数について、議案第五十四号は、児童生徒数及び学級数の減少に伴い県立学校等職員の定数について、それぞれ削減し、定数を改めるものでございます。
議案第二十七号は、財政状況を考慮して知事等の給料を減額するものであり、議案第二十八号、第五十五号、第五十六号、第六十一号については、同じく財政状況を考慮して職員、教育職員、市町村立学校職員、警察職員の全職員について給料月額を減ずるものでございます。
議案第三十六号は、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進するため、県の基本的施策等について必要な事項を定めるものであり、議案第三十八号は、すべての人の人権が尊重される豊かな社会の実現を図るため、県及び県民の責務を明らかにするとともに、人権施策の推進に必要な事項を定めるものでございます。
議案第四十四号は県産業情報センターを、議案第四十五号は県労働者憩いの家やすらぎ荘を、議案第五十号は大新公園水泳場をそれぞれ廃止するのに伴い、規定の整備を行うものでございます。
議案第六十四号は、道路交通法等の改正に伴う手数料の新設等をお願いするものでございます。
議案第六十五号及び第六十六号は建設事業施行に伴う市町村負担金について、議案第六十七号は包括外部監査契約について、議案第六十九号は訴訟の提起について、議案第七十号は工事請負変更契約の締結について、それぞれ議決をお願いするものでございます。
次に、報第一号は、衆議院小選挙区和歌山県第二区選出議員補欠選挙の執行経費について、急を要したため、地方自治法第百七十九条第一項の規定による専決処分を行い、その承認をお願いするものでございます。
諸報第一号から第三号までは、地方自治法第百八十条第一項の規定による委任専決処分報告でございます。
このほか、法人の経営状況を説明する書類を別途提出いたしております。
何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
○議長(井出益弘君) 以上で、当局の説明が終わりました。
お諮りいたします。二月二十五日は議案調査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) ご異議なしと認めます。よって、二月二十五日は休会とすることに決定いたしました。
次会は二月二十六日定刻より再開し、補正予算及び同関連議案、議案第二十一号、議案第二十二号及び議案第六十六号を日程といたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午前十一時四十三分散会