平成13年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
県議会の活動
平成十三年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
平成十三年十二月十三日(木曜日)午前十時開議
第一 議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに報第七号から報第十号まで(質疑)
第二 一般質問
第三 議案等の付託
第四 請願付託の件
会議に付した事件
一 議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに報第七号から報第十号まで(質疑)
二 一般質問
三 議案等の付託
四 請願付託の件
五 休会決定の件
出席議員(四十六人)
一 番 新 島 雄
二 番 山 田 正 彦
三 番 佐 田 頴 一
四 番 大 沢 広 太 郎
五 番 堀 本 隆 男
六 番 宇 治 田 栄 蔵
七 番 門 三 佐 博
八 番 西 本 長 弘
九 番 坂 本 登
十 番 小 原 泰
十一 番 木 下 善 之
十二 番 永 井 佑 治
十三 番 尾 崎 要 二
十四 番 小 川 武
十五 番 宗 正 彦
十六 番 橋 本 進
十七 番 生 駒 三 雄
十八 番 原 日 出 夫
十九 番 谷 洋 一
二十 番 山 下 直 也
二十一番 高 瀬 勝 助
二十二番 吉 井 和 視
二十四番 町 田 亘
二十五番 金 田 眞
二十六番 高 田 由 一
二十七番 神 出 政 巳
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 向 井 嘉 久 藏
三十 番 野 見 山 海
三十一番 平 越 孝 哉
三十二番 下 川 俊 樹
三十三番 中 山 豊
三十四番 浜 田 真 輔
三十五番 鶴 田 至 弘
三十六番 冨 安 民 浩
三十七番 村 岡 キ ミ 子
三十八番 中 村 裕 一
三十九番 井 出 益 弘
四十 番 阪 部 菊 雄
四十一番 江 上 柳 助
四十二番 長 坂 隆 司
四十三番 森 正 樹
四十四番 飯 田 敬 文
四十五番 新 田 和 弘
四十六番 松 本 貞 次
四十七番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
〔備考〕
二十三番欠員
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
理事 安 居 要
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 稲 山 博 司
企画部長 垣 平 高 男
環境生活部長 秋 月 成 夫
福祉保健部長 白 井 保 世
商工労働部長 内 田 安 生
農林水産部長 辻 健
土木部長 大 山 耕 二
企業局長 増 田 充 孝
教育委員会委員長 赤 松 壽 男
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 中 尾 公 彦
警察本部長 岩 井 良 行
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 北 村 亮 三
職務のため出席した事務局職員
事務局長 田 村 徳 美
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 北 垣 内 敬
議事課副課長 松 谷 秋 男
議事班長 露 詰 勤
議事課主査 尾 崎 善 亮
議事課主査 井 口 好 晴
総務課長 梶 本 皓 造
調査課長 宗 野 幸 克
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課副主査 保 田 良 春
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午前十時二分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
監査委員から監査の結果報告がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
【日程第一 議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに報第七号から報第十号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに知事専決処分報告報第七号から報第十号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
四十三番森 正樹君。
〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。皆さん、おはようございます。
初めに、関西国際空港に関する諸問題についてお尋ねをいたします。
質問に入ります前に、去る十一月二十一、二十二日の日程で親友・尾崎委員長を先頭にいたしまして、関西国際空港対策特別委員会の仁川国際空港視察に参加をさせていただきました。この報告を申し上げたいと存じます。
十一月二十一日、関西国際空港を午前九時五十分に飛び立った全日空一七一便で仁川国際空港に向かいました。着後すぐに入国手続を済ませ、一路ソウル市内に向けて貸し切りバスで出発。時間節約のため、バスの中で弁当で昼食を済ませました。仁川国際空港開港に合わせて供用開始されました仁川国際空港高速道路は、往復八車線(一部六車線)で、ソウル市内まで約七十分で到着をいたしました。この日は、明年、日韓共催で行われるワールドカップサッカーの開会式の会場ともなりますソウル・ワールドカップサッカー競技場や世界遺産となっていると聞いております歴史的文化施設などの視察をいたしました。
翌日、ホテルを八時過ぎに出発。直ちに、日本の国土交通省に当たる大韓民国政府・建設交通部を訪問、ヨ・トング新空港計画課長、チェー・ヨンウン新空港施設課長らと意見交換、質疑応答を小一時間にわたって行いました。終了後、直ちに仁川国際空港高速道路経由で仁川国際空港に向かいました。昼食の後、すぐに仁川国際空港公社を訪問。ブリーフィングルームで説明を受けた後、イム・トンミョン対外協力室長と意見交換を行い、その後、空港内の施設を約一時間三十分にわたって視察をさせていただきました。しばらく休憩の後、午後五時二十五分、仁川国際空港発の日本航空九六四便にて帰国の途についたのであります。
一泊二日で、実に慌ただしい視察でございましたけれども、韓国政府当局がアジアのハブ空港として仁川国際空港の建設に国運をかけて取り組んでいる強い意志を実感として肌で感じ、意味と意義のある視察であったと確信をいたします。
以下、建設交通部と仁川国際空港公社における意見交換、質疑応答、また仁川国際空港の施設の視察によって明らかとなった仁川国際空港及び関連施設の全貌と将来計画について簡略に申し上げたいと思います。
現在の仁川国際空港は、千百七十四ヘクタールの敷地に二本の滑走路を有し、年間運航回数二十四万回、旅客三千万人、二百七十万トンの貨物処理能力を持っております。ターミナルは四十九万六千平方メートル、長さ千六十六メートル、幅百四十九メートルで、四十四の旅客搭乗橋があり、IATAの規格によるカテゴリーIIIAの能力を持つということで、世界でも超一級の国際空港に位置づけられているのであります。開港後、一日平均五万六千人の旅客と四千八百トンの貨物を処理、運航回数三百十五回をこなしているということでございました。同空港には、現在四十七の航空会社が乗り入れ、世界の九十六都市と定期便で結ばれているのであります。ちなみに、我が国の空港では、関西、成田を初め全国二十一の空港と定期便が飛んでおり、便数は週二百八十八便、年間五十二週として、一便平均少なく見積もって二百人としても、年間実に二百九十九万五千二百人がこの仁川国際空港を利用していることになるのであります。なお、そのうちのかなりの数がこの仁川国際空港を経由して世界の各地へ飛んでいる、そのように思っておりますが、このことについてはさきの九月定例会予算委員会で申し上げましたので割愛をさせていただきます。
一方、将来計画についてでございますが、今後、四段階で施設の拡張を行っていくそうで、明年には第二段階の拡張工事に着手、最終的には二〇二〇年までに滑走路四本を整備予定であり、年間離着陸回数五十三万回、旅客数一億人、取扱貨物七百万トンに順調に到達する予定であると、胸を張って明言をしておりました。なお、需要の伸びを見ながら五本目の滑走路を造成する計画もあり、その用地は既に確保されているとのことでもありました。また、六千台分の駐車場、空港関係職員二万人の新都市もできておりまして、滑走路の東側地区には二十棟余りの空港支援施設ビルが立地、三つの貨物ターミナルもございます。また、同空港のもう一つの自慢は、一時間に三万二千件を処理できる手荷物処理施設が、出発時で十五分、到着時五分、乗りかえは十分以内の短時間で自動的に処理可能であるということでありました。空港へのアクセスに関しまして申し上げますと、既に高速鉄道の路盤工事は完了しておりまして、二〇〇五年に仁川国際空港─金浦空港間を、二〇〇八年には金浦空港─ソウル市庁間を──日本で言う市役所でございますが──開通させ、ソウル市内と仁川国際空港間のアクセスは飛躍的に改善されるとのことでありました。
以上、簡単でございますが、関西国際空港対策特別委員会の視察報告とさせていただきます。
ところで、この建設交通部でいただきましたパンフレットの冒頭には、こう書かれております。
「incheon international airport 」「IIA, a completely new center in the world''s aviation network, will also be one of the World''s busiest airports, as it plays its role as one of Northeast Asia''s major air transport hubs into the 21st century. 」
英語の本でございますので、残念ながら日本語はありませんから、これを私の訳じゃなくて、文化国際課の英語に堪能な職員に訳していただきました。それによりますと、「世界の航空ネットワークの完全に新しいセンターであるIIA(インチョン・インターナショナルエアポート)は、また二十一世紀の北東アジアの大きな航空輸送のハブの一つとしての役割を果たす世界で最も忙しい空港の一つとなるだろう」、このように自信を持って言っているわけであります。
これらのことを踏まえて、以下、数点にわたり当局にお尋ねをいたしたいと思います。
第一に、関西国際空港と仁川国際空港を比較して、残念ながら現時点でほとんどすべての面で仁川の側に軍配が上がると見なければなりません。ともにかの現状をつぶさに見てこられた企画部長の感想を、まずお聞きをしたいと思います。
第二に、関西国際空港をめぐってこの数カ月、さまざまな動きがございました。関西、成田、中部の三国際空港の管理運営を民間会社に分離し、滑走路などの整備を国の公的法人が進めるという、いわゆる上下分離方式を導入したいと扇国土交通大臣が発言したこと、同時多発テロの影響から米国本土への便の休止や旅客の激減により関空会社の一カ月間の減収額が約十億円に上ったこと、日本航空と日本エアシステムの経営統合の発表、二期工事の空港島護岸が完成したこと、関空会社の九月期中間決算で四十一億円の経常赤字を出したこと、国土交通省の深谷憲一航空局長が二期工事の完成、供用開始を三年程度先送りしたいと発言したこと、石原大臣の二期工事不要との発言等々であります。中でも深谷局長の発言は問題が多く、県議会といたしましても看過できないとして、尾崎要二関西国際空港特別委員長を中心に話し合いを行いまして、自民党山崎拓幹事長には尾崎委員長から、保守党二階俊博幹事長には中村裕一県議から、公明党冬柴鉄三幹事長には私からそれぞれ連絡をとりまして、与党三党幹事長で国土交通省や財務省への働きかけを行っていただくよう要請をいたしました。そしてまた、すぐに実行していただきました。また、三幹事長連名の決議文書もまとめられましたことは、既にマスコミ報道等によって皆さんご承知のとおりでございます。さらに、この問題について一昨日の十一日、関西地区選出の国会議員を中心として与党関西国際空港推進議員連盟が結成をされ、本県議会を代表して尾崎委員長が出席されたことも皆さんご案内のとおりでございます。ともあれ、関西の復権、浮上のために、とりわけ和歌山県の活性化にとって関西国際空港二期工事の二〇〇七年の供用開始は不可欠であると思いますが、木村知事はどうお考えになっておられますでしょうか。胸の内を聞かせていただきたいと思います。
第三に、上下分離方式につきまして、私は、かねがね国の基幹空港である関西国際空港の建設は国の責任において行うべきだと訴えてまいりました。したがって、上下分離方式は結構なことだと考えますが、木村知事、いかがでございましょうか。
第四に、関西国際空港の航空需要予測についてであります。マスコミ報道等ではさまざまなことが言われております。例えば、我々が長年主張し続け実現しました関西─羽田間のシャトル便が、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンとディズニーシーの二大テーマパーク人気にも後押しされまして、各社平均七〇%強の利用率を誇っているということが伝えられておりました。一方で、同時多発テロの影響から減便、減収の報道がこのところ目立つのであります。このような背景を踏まえつつ、関西国際空港の中長期の航空需要予測について確かな数値があれば、あわせてこの際、企画部長からご答弁をいただきたいと思います。
第五に、仁川国際空港の脅威を見てきた者として、関西国際空港の弱点が気にかかります。それは、着陸料の高さであります。今年夏、仁川国際空港の開港を受けて、当初の九十一万円から八十三万円に着陸料を値下げいたしました。しかし、それでも成田空港の九十四万円に次いで世界で二番目に高い着陸料だと言われております。利用しやすい空港として、航空各社の強い要望もあり、さらなる着陸料の値下げを行うべきであると私は思います。このことについて、関西空港株式会社を初め各方面に働きかけていくおつもりはありませんか、企画部長にお尋ねをいたしたいと思います。
次に、行政のスリム化と外郭団体の整理統合についてお尋ねをいたします。
第一に、行政のスリム化について不断の努力を続けてこられたことを十分認識しております。現時点でどこまでスリム化が進んでいるのか、総務部長、お示しをいただきたい。また、最終的にどこまでスリム化できるのか、そのめど等についても、あわせてお答えをいただければ幸いであります。
第二に、外郭団体の整理統合についてでありますが、いまだ端緒についたばかりだとは思いますけれども、外郭団体の整理統合のこれまでの成果について報告できるのであれば、総務部長、お答えをいただきたい。また、あわせて将来何団体にまで縮小できるのか、その方針もお聞かせいただきたい。
第三に、外郭団体の整理統合について、そのネックになるものとして各団体における給与体系が異なる点があると、平成十二年十二月定例会の一般質問で私は申し上げました。今回、この給与体系の一本化が行われることになったと聞き及んでおりますが、一歩前進と評価するものであります。これを契機に、さらに外郭団体の整理統合に拍車をかけて取り組んでいただきたい。その決意のほどを総務部長、聞かせていただきたい。
最後に、職員数の削減について、これも私はかねがね申し上げてきたことでございますが、職員定数条例の改正も含めて今後の取り組み、方針等をお示しいただきたいと思います。
最後に、高速道路の整備促進と道路特定財源の見直し問題に言及したいと思います。
「桃李もの言わず、下自ずから蹊を成す」、これは中国の古典「史記」の中の一節であります。その意味は、桃やスモモは口をきいて人を招くようなことはしませんが、美しい花や実のゆえに人が争ってやってくるので、その下には自然に小道ができる。すなわち、本当の意味は、徳のある人には自然に人が心服するということだそうであります。この時代は、木の実を摘み、花をめでるために多くの人が同じところを歩き、草を踏み、土を固めて自然に道ができました。車両もなく、この人が踏み固めた人の道で十分社会が成り立っていたのであります。
しかし、現代社会は違います。鉄道、道路等の交通網が張りめぐらされ、人、物、情報が遅滞なく行き来することが求められております。我が国にあって、戦後、東海道ベルト地帯を中心に、鉄道、道路の整備が進められてまいりました。当然のことながら、需要の多寡という点から、必然的に人口の集中する東京圏、京阪神圏を中心に社会資本の整備が進められてきたのであります。このことは高速交通体系の整備の歴史に明らかで、高速鉄道にあっては東京─新大阪間の東海道新幹線が、高速道路にあっては同じく東京─神戸間の東名高速道、名神高速道が真っ先に供用開始され、以後、網の目が広がるように全国に高速交通網が拡張されていったのであります。そして、大都市圏での交通網が完全とは言えないまでもほぼ整備が行われ、言いかえれば、これからやっと地方へ整備の順番が回りつつあるといったやさきに小泉内閣が誕生し、道路特定財源の見直し、一般財源化、公団、公社等、外郭団体の整理統合、民営化などのいわゆる小泉改革が打ち出されたのであります。無論、私は小泉改革には大賛成であります。どしどし進めていっていただきたい。戦後、経済成長に合わせ、右肩上がりに拡大、膨張を繰り返してきた我が国が、二十一世紀に入り一たん立ちどまって内容や中身の総点検をし、より質の高い社会を目指そうという流れに変わってきたことは、当然と言えば当然かもしれません。しかし──しかしであります。遠慮深い地方は、大都市圏での整備が一段落した今日、やっとこれから地方の高速交通網の整備が進められると期待を寄せていたのであります。特に和歌山県などの地方は鉄道網が未発達でありますので、道路網の整備に負うところが大であります。言いかえれば、和歌山県は車社会であり、道路整備が命であることは異論がないと確信をいたします。
今、大都市圏も地方も関係なく、一律に改革の対象として高速道路整備計画の見直しや道路整備のための道路特定財源の一般財源化が進められようとしております。鉄道、道路などの社会資本の整備に当たって、これまでオウム返しのように語られてきた言葉に「国土の均衡ある発展」という言葉があります。大都市圏も地方も、それぞれに均衡ある社会資本整備が進められていって当然ではないでしょうか。これから車社会の本県にありまして、県土の均衡ある発展のために、生命線とも言うべき近畿自動車道紀勢線などの高速道路網の整備にブレーキがかかる危機にあると私は申し上げたい。
知事、地方の実情を無視して一律に行われようとしております道路特定財源の見直しや日本道路公団等の統合廃止、民間への移管などの部分も含め、こうした小泉改革が真の改革と言えるのかどうか、存念を承りたい。
第二に、近畿自動車道紀勢線御坊─南部間の供用開始は予定どおり進められるのか。この点に関しましては、平成十二年二月定例会での同僚大沢広太郎議員の質問に対して当時の西口知事が、県の意思として「平成十五年春ごろを目標に供用開始ができるよう日本道路公団へ要望してまいります」と答弁されております。前知事の発言とはいえ、県の意思、考え方であり、今も生きていると私は思いますが、この当時も今も土木部長である大山部長からご答弁をいただきたいと思います。
第三に、同じく南部─田辺間の高速道路整備の事業推進に影響はないのかどうか、土木部長に答弁を求めまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 関空に関するただいまのご質問でございます。
仁川国際空港へは、私もことし参りまして、本当に広大なこと、これからの発展性を持っていることに驚きを感じ、それ等の関連で関空の整備を早く進めないといかんという気持ちを強くしていたところでございます。そこへもってきまして、急にここへ来て関空の整備について、テロで利用客が減っていることとか、オリンピックが来なくなったというふうな、余り関係のないようなことを理由にして三年ほど延ばすというふうな話が出てまいりまして、これは大変なことだということで、県議会とも協力し、そしてまた私自身も東京へ行って非常に強い陳情を行ったり、水面下でも大阪府等と連絡していろいろな対応をとってきたところでございますけれども、今なおなかなか厳しい状況が続いているということで、これからもその方向で、とにかく延期があるというようなことがないように力いっぱい対応していきたいと思っております。
その中でも、東京湾横断道路と本四架橋と関空の二期工事、三大要らない事業だというふうな発言をしている方もおられる。非常に認識のおかしさ──日本の国が二十一世紀に国際社会の中で十分活躍していくためには関空の整備なんというのはもう当然のことでございますので、そういうふうな発言が出てくることを非常に寂しく思いましたし、そういうふうな問題については、やはりただしていくという姿勢が必要であると思います。
和歌山にとりましても、今度ワールドカップサッカーでデンマークがキャンプ地に和歌山を指定しましたけれども、これも和歌山の風光明媚ということも大いにあるわけですが、やはり関空が近くにあるということが大きな要素をなしているわけでございまして、和歌山にとっても非常に大事な飛行場ですので力いっぱい頑張っていきたい。
そしてまた、あわせて上下分離方式でございます。本来は、国際空港というふうなものは税金でつくるべきものだと。しかしながら、当時の経済情勢の中で地元の自治体とか財界が出せばいいじゃないかということで関空がこういうふうな形になってきたわけでございます。だから、本来の原点に立ち返って考えれば、今回の成田と中部と関空を一緒にして考えていこうという上下分離方式は当然出てくる話でありますし、関西としてはこれは本当に支持していかないといかんことだと思います。また、成田とか中部国際空港がそのために何か関空の負債をしょわされるというふうな発想自体が、日本の国が一体として発展していかないといかんというときに、ちょっと変な発想じゃないかというふうな感じを持っているわけでございます。
いずれにいたしましても、この上下分離方式の問題と三年延期の問題は、まだ本日時点におきましても最終的な決着が図られていない最後まで残された問題になってきておりますので、今後も注意をしながらいろんな形で対応していきたいと、このように思っております。
それから、小泉構造改革と道路の問題についてのご質問でございます。
これだけ世の中が大きく変化してきて国、地方とも大変な負債残高を抱えている中では、大きな構造改革が必要であるということは当然のことだと思います。しかしながら、いろいろなことがあって、その後どういうふうな形に日本の国がなってくるのかということの姿が見えないということが国民の不安を増長しているところもあります。それからもう一つは、本格的な構造改革と目先の収支を合わせるということが渾然一体をなしているところに、この事柄をわからなくしているところがあると思います。高速道路に関して言えば、私は前に何かに書いておいたんですが、これは昔で言えば鉄道の本線のようなものだ、本来は税金でつくって供用していくべきものだと思うけれども、それを今、ある意味では一部道路利用料金でやれているわけですから、これほどうまい制度というものはないわけです。これは当然のことながら、そこから出てくるむだ、けさの新聞に大きなサービス会社を分離したら役員の数がふえて人件費がふえたというふうな話が載っていましたけれども、こういうふうなものは徹底的に改善していく必要があると思いますけれども、少なくとも鉄道の本線に当たるような高速道路の整備ということは、やはり国の方で責任を持って進めていくことが大切ですし、そのための財源の確保は当然のことながら何をおいても確保されなければならない。
そしてまた、和歌山県が近畿という日本の二つの大きな経済的な中心の中にあるにもかかわらず非常に経済状態が厳しいということも、高速道路がいまだに整備されていないということが大きな原因の一つであるというふうに考えておりますので、私は守旧派と言われようと何と言われようと、この高速道路の整備、そしてまた京奈和自動車道であるとか府県間道路であるとか、こういうふうな道路の整備に力いっぱい邁進していきたいと思いますし、また必要なだけ東京の方へ行っても物を申していきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) まず、仁川国際空港を視察しての感想ということでございます。
去る十一月二十一日から二十二日の二日間、県議会関西国際空港対策特別委員会に随行をお許しいただきまして仁川国際空港を視察してまいりました。
私の印象といたしましては、まず第一に、仁川国際空港が国家プロジェクトとして位置づけられまして強力に推進されているということでございます。具体的には、既に将来の需要に備えて広大な敷地を用意し、大規模なターミナルを建設しているということ、さらにはタックスフリーゾーンなどの航空需要の創出を一体的にとらえた開発を進めているということもありました。さらに、都心までの高速道路の整備や鉄道計画など、アクセスの整備までも総合的に推進されていることなどでございました。今後さらに二本の滑走路を整備することになれば、関西国際空港にとって大変なライバルになると脅威に感じたところでございまして、改めて関西国際空港を支える関西圏、なかんずく直接の臨空圏であります和歌山北部地域、大阪南部地域のいわゆる紀泉地域の経済力の拡充ですとか都市機能の強化といった問題、あるいは国内外へのトランジット機能の強化などに積極的に取り組み、もって航空需要の拡大を図っていくことが喫緊の課題であると再認識いたしたところでございます。
次に、関西国際空港の航空需要予測についてでございます。
関西国際空港は、テロが発生しました直前の本年八月までには、関係者のご協力もございまして、十九カ月連続して発着回数が増加、また初めて成田国際空港を上回るなど順調に需要を伸ばしてきたところでございます。現在、テロの影響によりまして世界的な航空需要低迷の中で関西国際空港の航空需要も影響を受けてございますが、中長期的には航空需要は拡大していくものであると考えてございます。
関空会社では、昨年十一月、二期滑走路供用開始後の経営見通しとして、仁川国際空港の開港、成田の暫定滑走路供用の影響を考慮した厳し目の将来予測におきましても、二期滑走路の供用予定時期である二〇〇七年には、現在の一本の滑走路の処理能力の限界である年間発着回数十六万回を超えるという見通しを示しているところでございまして、テロの影響の収束後、着実に航空需要は回復するものと考えてございます。
次に、関西国際空港のさらなる着陸料の値下げを行ってはどうかというご指摘でございますが、仁川国際空港のみならず、我が国周辺諸国では、国家プロジェクトとして大規模な国際ハブ空港の建設に取り組んでいるところであり、関西国際空港がそれらライバル空港に打ち勝ち、国際ハブ空港として成長していくためには、今後、着陸料等、空港使用料の引き下げを初めとする国際競争力強化のための取り組みを進めることが重要であると考えてございます。
一層の着陸料の引き下げには、国土交通省が示している上下分離案も有効な方策の一つであると考えてございまして、本県といたしましても、関西国際空港株式会社の安定的な財務、経営基盤の確立を図るとともに、柔軟で効率的な空港運営が確保され、着陸料の引き下げが実現できるよう、関係自治体とともに取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 行政のスリム化と外郭団体の整理統合につきましてのご質問に順次お答えいたします。
まず行政のスリム化についてでございますが、最少の経費で最大の効果を上げることを目標に、簡素で効率的な組織を目指して不断の努力を行ってきたところでございます。
本年四月現在で、類似する県と比べてみますと、本庁の課室の数はほぼ同数であり、地方機関数については全体的には少ない状況となっております。具体的にどこまでと申し上げることは難しいところでございますけれども、新しい行政需要には、スクラップ・アンド・ビルドで対処するなど、行政のスリム化にさらに努めてまいりたいと考えております。
次に、外郭団体に関するご質問の二点につきましてお答えいたします。
いわゆる外郭団体は、県民サービスの向上、県内産業の振興など、広範な分野におきまして行政を補完、支援する目的で設置され、一定の成果を果たしてまいりました。しかしながら、大きな変革の時代を迎えまして、外郭団体の経営環境は大変厳しいものがあり、経営の効率化はもちろん、民間事業者との競合など、さまざまな面から見直しを行う必要がございます。このような状況のもと、県の指導とも相まって、財団法人和歌山県勤労福祉協会が管理する労働者憩いの家やすらぎ荘の本年九月末の廃止など、それぞれの団体においても経営改善等に努めているところでございます。また県においては、本年八月、県内各界の有識者等から成る行政組織等検討懇話会、いわゆるスリム化会議を立ち上げまして、外郭団体それぞれのあり方や必要性など、ゼロベースから検討をお願いしているところでございます。
今後、懇話会からの提言等をもとに、統廃合を含めた外郭団体の抜本的な見直しを行ってまいりたいと考えております。
最後に職員定数の削減についてでございますが、事務事業の整理合理化などを通じまして、本年度削減した三十名を含め、平成十五年度までに約百名の定数の削減を行うこととしており、今後とも行政改革の推進に一層努めてまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 近畿自動車道紀勢線の御坊─南部間の供用につきましては、用地買収を平成十二年度末で完了することを前提といたしまして、平成十五年春供用を日本道路公団に要望してきたところでございます。
残念ながら、八カ月余り前の平成十二年度末の用地買収率は七八%でありましたが、土地収用法を活用し、町村の全面的な協力のもとに全力で取り組んだ結果、現在用地買収率が九八%となっているところでございます。本体工事は今月中にすべて発注される予定でございまして、日本道路公団に工期の短縮を強く働きかけるとともに、高速道路の整備方針が議論されている中ではありますが、供用開始につきましては平成十五年内にするよう国に強く働きかけてまいります。
次に、田辺─南部間につきましてはことしの七月に設計協議が完了してございまして、現在、一部区間において用地の単価呈示を行ったところでございます。
今、小泉内閣の構造改革のもと、高速道路の整備方針が不透明な時期ではありますが、県民の強い願いを踏まえまして、供用開始がおくれることのないよう用地買収の実績を上げるとともに、従来どおりの手法により事業を進めるよう、県の総力を挙げて政府に働きかけてまいります。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十三番森 正樹君。
○森 正樹君 この本会議の開会中にもかかわらず、議長が行けませんので、その名代として一昨日、尾崎要二関西国際空港対策特別委員長が本議会を代表して東京へ日帰りで行っていただき、大変ご苦労いただきました。私、帰ってこられるのを待ち受けておりまして、報告をお聞きしたのであります。たくさんの与党三党の国会議員が出席をされて、強く国交省や財務省に対する要望の声を挙げていただいたそうで、その後、陳情にも行っていただいたと聞いております。
ただ、気になることが一つ。その中で石原行革大臣から、「そこまで関西の皆さんがおっしゃるんだったら、なぜ大阪空港を廃止しなかったのか。この大阪空港は、欠陥空港だと言われているんでしょう。その大阪空港は、騒音問題等で地元から強い廃止の声があるから、そのために関西空港を立ち上げたんじゃないですか。皆さんそうおっしゃるんだったら、大阪空港を廃止したらどうですか」というご指摘があったそうであります。まさに同感であります。本当に関西全体の復権、東京に対して関西の地盤沈下が言われて久しいわけでありますが、本県はもちろん、この関西の活性化のために、今こそ仁川という大変脅威──北東アジアのハブ空港の立場は私たちが担いますと向こうは明言しているわけであります。それに対して、施設的な面では確かに仁川国際空港には劣りますけれども、ヒンターランドの経済圏とか、我が国の関西国際空港の方が有利な面もいっぱいあるわけでありまして、要は取り組み次第だと思います。
先ほど質問の中で申し上げた仁川国際空港は、日本の二十一の地方空港から実に週二百八十八便飛んでいると。これは前の質問のときに、当時の運輸省にこの利用客の資料を要求したら何も持っていないと。そのこと自体が問題だと思うんですけれども、そういうライバルの実態を把握していないことが問題だと思いますが、この仁川国際空港に実に二百八十八便、ざっと計算して年間三百万人が利用して行っているわけですね。前に予算委員会でも申し上げましたけれども、ほとんどが韓国のアシアナ航空と大韓航空という二社なんです。いかにポートセールスを一生懸命やっているかというあらわれであると思います。だから、施設の面では負けても、着陸料の値下げも含めまして運営とか中身の点で頑張ることで関西国際空港が北東アジアのハブ空港の地位を確立できると。
それにはもう一点、今回は申し上げませんでしたけれども、全体構想を前倒ししてでもやるぐらいの強い決意で我が国が取り組むべきだと。十年間で九千億円もの騒音対策のお金が、空港施設に反映しないお金が消えていっている大阪空港なんて廃止すべきだと思います。これからまた十年大阪空港を存続させれば、当然一兆円近いお金が要るわけでありまして、そんなお金があれば全体構想はすぐにできると私は思います。そういう強い意志で、県としても国や関係方面へ働きかけをしていただきたい。我々も同じように行動いたします。ぜひともよろしくお願いを申し上げまして、要望とします。
以上です。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十二番長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
まず初めに、県民クラブを代表して、敬宮愛子内親王様のご誕生を日本人として心からお喜び申し上げます。謹んで、内親王様の健やかなご成長をお祈り申し上げます。
それでは、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。
まず、救急医療体制についてであります。
一番目、小児医療について。
全国的な傾向にあると言われますが、少子化の進行に伴い、小児科専門医の不足や小児科の縮小・廃止などが見られ、地域において必要なときに必要な医療を受けられる総合的な小児医療体制の整備が求められております。例えば和歌山市においては、夜間休日応急診療センターにおいて小児科医の診察は夜間十二時までであり、土日・祝日を除いて、朝六時までは内科医だけで対応し、小児科の先生はいないということであります。ちなみに、平成十二年度の当センターの受診総数の六一%が小児であり、一日平均三十三・五人にも及びます。休日診療だと、小児の診療は一日平均五十二・五人ということであります。ですから、最終的にはどうしても夜間の小児の急患は医大附属病院や日赤医療センターに集中してしまいます。
和歌山県においては、医大、日赤、そして紀南には紀南綜合病院にしか小児科単独の当直体制をとっている病院がない状況です。このような病院でも、往々にしてNICU(新生児集中治療処置室)などにかかり切りになって、小児科当直医が小児急患に対応し切れないこともあるのではないでしょうか。和歌山市はともかく、南へ行くと小児救急医療問題はもっと深刻でありましょう。一次救急施設である田辺広域休日急患診療所では、受診総数の六三%が小児であり、一日平均四十一・五人もあります。高次救急病院の紀南綜合病院で同三六%、一日平均十・三人であります。日高病院では小児科医三人が三日に一回待機という形をとり、紀南綜合病院では地域のニーズから小児科医七名のうち二名が当直ということですが、勝浦や串本の小児の急患は時間をかけて紀南綜合病院へ連れていくしかないという状況であります。本当に、両病院ともご苦労さまであります。ちなみに、県下の病院小児科で小児科医が病院当直の日は小児診療に対応しているが、それ以外の日は受けない病院が十三病院もあります。
子供というのは、急に発熱したりして、親や保護者としては、特に夜間の発症となると不安が殊さら強いものがあります。共働き家庭もふえている中、どうしても子供を医者に連れていくのは夜が多くなりますが、小児科の開業医も大体診察時間が夜七時過ぎまでというところが少なくない状況であります。保育園に子供さんを通園させている方々からも、子供が風邪を引いたり、発熱したり、通院中というときに保育園では一般的に預かってくれないが、医療ケアはどうにかならないのかという質問をいただくことがあります。病児保育に対するニーズはかなり大きくなっていると思われます。
子供を対象とする医療は、一般的に診察や検査に多く時間と人手がかかり、投与する薬剤の量も大人より少ないため、現行の診療報酬制度のもとでは不採算医療とされております。厚生労働省の「健やか親子二一検討会報告書」では、小児医療の不採算性や過重労働等の問題により、小児科医を志望する医学生が減少していることが指摘されており、特に休日・夜間の救急医療の場で問題が顕在化しているのであります。今後、特に新生児医療、小児救急医療の分野や細分化された専門分野での小児科医の不足が懸念されております。小児の救急患者が特定の医療機関に集中せざるを得ない状況の中、平成十三年度に一部改正された国の医療計画指針では、都道府県の医療計画の内容として、新たに小児救急医療体制の項目が追加されたと聞きます。また、平成十一年度に開始された病院群輪番制による小児救急医療支援事業に加え、平成十四年度予算の概算要求で、新たに公的病院や大病院を拠点施設として位置づけ、県と市町村の協力体制のもと、初期及び二次の小児救急医療に集中的に対応していくための小児救急医療拠点病院方式による運営事業が打ち出されるなどの予算面での積極的な取り組みが行われていると聞きます。和歌山県においても、ぜひこの機会に前向きに検討されてはいかがでしょうか。
また、問題点として、最近、男性の小児科医が少なくなり、全国的に小児科では女医さんが多くなっているということであります。小児科医はどうしても公立の病院でしか雇ってくれないといった事情もあり、小児科医としては開業医の道を選択する人が多いようです。そんな状況を踏まえて、以下の質問を行います。
一番目、開業医も含めた輪番制による小児救急医療体制について、和歌山県の実施状況はいかがですか。
二番目、近畿各府県でも、滋賀県二カ所、京都府四カ所、大阪府十一カ所、兵庫県五カ所、計二十二カ所で病児保育が実施されております。そのうち、医療機関併設が十七カ所、保育所等児童福祉施設が五カ所となっております。そこで、保育所等の幼児保育について、和歌山県としてどのように考えておられますか。
三番目、和歌山県立医大救命救急センターにおいても、平成十二年度の受診総数の二八%が小児で、一日平均十一・四人もあると聞きます。和歌山県立医大においても、当面する小児科医の不足への対策として、小児救急医療に対応できる人材づくりが今こそ必要であると思いますが、医大学長のご意見をお伺いいたします。
四番目、和歌山県における小児救急医療体制についても、前述のとおり、北高南低の状況、小児科医のマンパワー不足が挙げられると思います。地域の小児救急医療体制を確立するためには、どうしても小児救急に当直も多くなり、他科より夜間の受診数、入院数も多くなっている中、今後どのような対策を講じていかれますか。
二番目、ドクターヘリ導入についてであります。
ドクターヘリについては、平成十三年六月議会での一般質問以降、知事におかれましても前向きに検討いただき、消防、医師会及び病院協会、警察等、関係機関の中で検討委員会を設置し鋭意協議いただいていると思いますが、来年度の導入についての見通しをお聞かせいただきたい。
三重県や奈良県との共同という話も九月議会で出ておりましたが、心臓病や脳卒中などの緊急を要する重篤救急患者が増加している昨今、防災ヘリとドクターヘリとの性格も異なるものですし、ドクターヘリについて、ぜひ早期の導入をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
三番、救急医療における地域格差についてであります。東京都においては、石原知事も二十四時間体制の都立病院づくりに熱心であると聞いております。和歌山県の救急医療体制の地域格差について以前質問させていただいたことがありましたが、医大附属病院、日赤医療センター、紀南綜合病院を除いて、ほかの公立病院ではすべて一人の医師の当直体制と聞いております。さらに、入院できる病院施設がない町村も少なくない和歌山県であります。ドクターヘリがなく、防災ヘリの随意の使用もままならない中、二次、三次救急病院へ運ぶのが間に合わなかった救急患者というのが高齢者を中心に多いのが現況です。十七時以降の勤務時間外の診察体制が過疎地で特に手薄な中、この救急医療における地域格差の解消は急務であります。和歌山県下の救急医療体制の地域格差是正について、今後の対応策を知事にお尋ねします。
二つ目に、都市計画道路南港山東線についてであります。
幼少のころ、東洋一とうたわれた遠浅の海水浴場水軒の浜へ行くのに必ず通った通称水軒の通り、すなわち和歌山港駅と水軒駅を結ぶ臨港鉄道の踏切のところを西の端として、西浜、水軒口各交差点から、塩屋、和歌川大橋、国体道路小雑賀交差点を越えて、JRの鉄道高架をくぐって和田川を渡り、三田、山東へと通す予定の南港山東線についてお尋ねしたいと思います。
南港山東線は、昭和五十九年十月二十七日に和歌山県において都市計画決定され、延長約一万四百四十メートルあり、平成十三年二月現在で改良済みが千三百四十メートルとなっております。和歌山市の東西を結ぶ重要幹線道路でありますが、現在のところ本町和歌浦線、通称塩屋バイパスより西三百五十メートルの区間が今年度事業認可を受け、和歌山市の事業として、地元自治会の協力のもと用地測量が終わって、約五十軒の方々と用地交渉に入っております。また、新和歌浦中之島紀三井寺線、通称国体道路以東については、小雑賀交差点からJR紀勢線の下をくぐって県道和歌山海南線までの延長二百七十一メートル区間が県の街路事業中であり、数年以内にJRの高架部分が完成予定と聞いております。和歌山海南線以東、和田川を越えて延長六百二十四メートル区間が県の街路事業、県道三田三葛線から竃山神社の北を通って、県道三田海南線までの延長約一千メートルが県の道路事業と聞き及んでいます。現在、用地交渉中の塩屋地区においては、小高い峠を越えるような狭い見通しのよくない道路状況で工事も難しいと聞きますが、鋭意推進をお願いいたします。また、国道四十二号線の水軒口交差点までの三百五十メートル区間についても一部反対があり、地元連合自治会からも要望していただいているところであります。
さらに、問題箇所として、水軒口交差点から県道新和歌浦梅原線、通称大浦街道と交差する西浜交差点までの延長約一千メートル区間があります。和歌山市の事業と聞いておりますが、事業着手のめどは立っていないということであります。ここは対向二車線の道路でありまして、道路に沿って商店、住宅などが建ち並び、十分な歩道幅もなく、西浜中学校、和歌山工業高校、星林高校、雑賀小学校と学校が集中しており、登下校時間には、歩行者、自転車通学者、そして通勤用の自動車、バイク、さらには貨物トラック、トレーラーでごった返す、交通渋滞はもちろんのこと、大変危険な区間であります。付近の生活道路でもあり、和歌山下津港や工業団地、それに中央市場という臨港地域とつながる産業道路でもあります。さらに、通学路でもあります。危ない、危ないと言われて、そのまま四十年も経過しております。折しも、九月議会で江上議員より指摘のありました南港山東線の臨港道路と接する部分である臨港鉄道(和歌山港駅から水軒駅)の踏切地点の交差点改良が、近隣の三自治会からも同意を受け、地元連合自治会からも要望があり、臨港鉄道の廃止について、去る十月十日、和歌山市も同意をされております。臨港鉄道の線路を利用して、地下鉄で雑賀崎、新和歌浦、和歌浦東、医大下、JR紀三井寺駅をつなぎ、さらにJR和歌山駅と南海和歌山市駅、和歌山港駅、そして水軒駅とつないだ和歌山市環状鉄道構想を提唱する私どもにとって断腸の思いではありますが、踏切部分の拡幅は交通事故、渋滞の解消のためにはどうしても必要と思いますし、和歌山市の主要な幹線道路のポイントの改良は鋭意進めていくべきだと考えます。踏切部分の拡張が完成すれば、いよいよ問題区間である西浜と水軒口間の交通量は大きくアップし、現状の交通における危険率と渋滞は倍加することが予想されます。早急に本格的な事業着手にかかるべきであります。
それでは、質問に入ります。
一番目、国体道路以東の事業、さらには塩屋から水軒口までの事業の進捗状況についてお聞かせいただきたい。
二番目、臨港道路と接する臨港鉄道の踏切部分の道路拡幅工事の予定を聞かせてください。
三番目、河北地区の西脇山口線とともに、紀の川以南での東西幹線道路である南港山東線の全線開通は、和歌山の道路行政にとって極めて大きな重点課題であります。塩屋、秋葉地区の完成を待ってからなどと言っている場合ではないと思います。ぜひ水軒口交差点から西浜交差点までの事業着手に速やかにかかっていただきたいが、どうお考えですか。
三つ目に、紅葉の山林づくりについてであります。
厳しい財政状況の折、国はもちろん、地方においても公共事業の縮減を進めざるを得ない現況のもと、特に人件費コストの高い中高年者の失業が急増しております。そんな中、個人の適性を重視して、地方の実情に即した雇用対策として、森林や河川といった自然環境の回復や再生とともに、新しい雇用を創出するため、木村知事は緑の雇用事業を提唱され、小泉首相にも理解を得られたということであります。まさに、自然環境に恵まれた和歌山県ならではの発想であり、単に環境保全だけでなく、失われつつある人間的な精神的充足を生み出し、地方におけるコミュニティーの再生につながるものとして注目しております。
そんな中、土砂を採取して地面が露出した山や樹木の無軌道な伐採により自然のバランスを失った山並みなどが県下に点在しております。最近、和歌浦の方から国道四十二号線の旭橋を渡ろうと車を走らせておりますと、目前に紀三井寺を擁する名草山の眺望が開けてまいりました。私の少年時代に火災に遭い、長い間はげ山になっていたこの山にも、今では随分と木々もよみがえり、ところどころ紅葉もあって、美しい景観を回復しつつあるなと感じました。ことしの秋は、県議会の県外視察で熊本県や山形県で山々を眺めることができ、また個人的にも奈良県、南信州、京都嵐山などを研修等でお邪魔する機会に恵まれまして、各地の紅葉を楽しませていただきました。日本人は、殊に万葉の昔から紅葉を観賞することに独特の美意識を持っております。
森林地域が大半を占める和歌山県においても、前述のように、地面が露出した、あるいは岩肌が痛々しく、また手入れがされていない雑木の山がたくさんあります。各市町村で、殊に過疎に悩むところで、もみじ、ナンテン、ナナカマド、ハゼの木などの赤系統の紅葉樹、あるいはクロモジカツラ、ブナなどの黄葉樹の苗を何層かに植林して、紅葉の山として新しい名所をつくってみてはいかがでしょうか。
広島県初め各地の森林公園などで紅葉の森づくり体験を行っていると伺っております。和歌山県出身の県外在住の方にも理解を得て帰ってきてもらって、ふるさとの仕事に従事してもらうとか、あるいは大都市からのIターンを促進できるように、中高年に限らず雇用を求める方々が木の苗を地元の林業従事者から一本幾らでできるだけ安価で購入し、それを県や市町村といった行政が受け皿をつくって紅葉の山づくりに従事してもらうといった紅葉の雇用事業によって新しい自然環境、ひいては観光名所を創出しながら雇用を生み出すことも一案かと思いますが、いかがでしょうか。
最後に、青木建設の破綻、加太第二期土取り事業に関連してであります。
去る十二月六日、株式会社青木建設が東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理されました。負債総額は三千七百二十一億円とのことであります。同社は、和歌山加太地区において関西国際空港第二期工事用の埋め立て土砂を鹿島建設との共同企業体で供給することとし、昨年十一月二十七日から搬出を開始しております。二〇〇五年十一月までの五年間に、関空二期工事に用いる埋め立て用土砂の約三分の一に当たる八千五百万立方メートルを供給する予定で、十一月末で約一千七百万立方メートル、供給予定量の二〇%を搬出していると聞いております。青木建設と鹿島建設の本事業における共同企業体の構成比は七対三で事業を推進しているわけでありますが、そもそも加太の第二期土取り事業は、民間業者を主体とするものの、その事業進行に当たっては県が指導責任を持つ立場にあることは明言されているところでありますので、今回の事態を受けて和歌山県としての姿勢、青木建設と県の立場、さらには今後の推移について、県議会に対し当局の説明があってしかるべきではないかと考えるものであります。
そこで、県のとるべき措置と対応策について、以下の点について質問いたします。
一番目、折しも一昨日、東京において与党関西国際空港推進議員連盟が結成され、総会並びに決起大会が開催されたところであります。我が県からも、十二月定例会の開催中でありますが、大平出納長、尾崎関西国際空港対策特別委員会委員長が出席され、和歌山県の立場を主張されたところであります。関空二期事業を推進する和歌山県において、青木建設の今回の問題で工事の遅延、後退は許されませんが、加太土取り事業への影響はいかがなものでしょうか、知事の見解をお伺いします。
二番目、青木建設が破綻したことで、県内の下請業者への影響と倒産、失業、雇用問題等懸念される問題について関係部長の取り組みをお伺いいたします。
以上四点、一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 救急医療における地域格差についてのご質問でございますが、県では、県民の皆様に適切な保健医療サービスを提供するため、県内を七つの二次保健医療圏に区分して、病床数を初めとする医療資源の適正配置を促進しているところでございます。救急医療体制につきましても、圏域単位で迅速かつ適切な医療を行うため、傷病の程度により初期から第三次までの体系的な整備を進めてきたところでございます。しかしながら、本県の地理的条件などから、ご指摘のように、地域においては休日・夜間の診療体制が未整備な地域もあり、その拡充を図る必要があると考えております。県といたしましては、初期から二次の救急医療体制の充実については市町村や医療機関等との連携を図りながら体制の整備を進め、また三次救急医療については日赤和歌山医療センター及び県立医科大学附属病院に救命救急センターを設置し、二十四時間体制で重篤な救急患者に対応しておりますが、さらに診療機能の充実を図ってまいりたいと考えております。
なお、本県の地理的ハンディを補うため、防災ヘリの広域救急患者搬送への利活用を推進するとともに、ドクターヘリの導入についても検討を行っているところでございます。
次に紅葉の山林づくりについてでございますが、豊かな森林づくりへの期待が高まっている中、広葉樹の植栽等による彩りある環境づくりが一層重要になってきております。私が提唱いたしました緑の雇用事業は、Iターン者等を受け入れ、広葉樹の植栽などによる森林の整備を通じて環境保全を図る総合的な活性化施策でございます。今回、緊急地域雇用創出特別基金を活用し、緑の雇用事業の一環として、イロハモミジや山桜、またケヤキやコナラなど彩りのある広葉樹の植栽等を行い、雇用の創出を図ることといたしております。今後とも、ご提言の趣旨を踏まえ、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に青木建設の破綻と加太の土取り事業への影響についてでございますが、関西国際空港は本県の至近に位置し、本県の発展に不可欠な空港であり、いわば和歌山空港と言っても過言ではないと認識をいたしております。現在、二期事業については鋭意作業が進められており、先月には護岸の概成を見たところでございますが、二〇〇七年供用開始に向けさらに積極的に取り組む必要がございます。
また、その一環をなす土砂供給事業は、いかなる事態にありましても堅持していかなければならないと考えております。当事業の事業主体たる共同企業体の構成企業である青木建設が去る十二月六日に民事再生法に基づく再生手続開始の申し立てを行い、再生手続開始の決定がなされ、同社からは今後とも責任を持って事業を継続をしていく旨の報告を受けており、現にその後も休止することなく土砂の搬出が行われているところから、事業への影響はほとんどないものと考えております。今後は、民事再生法に基づく手続の状況にも注意を払いつつ二期事業を推進してまいります。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) まず小児救急医療体制の状況でございますが、一般的な救急医療体制の中で対応を図っているところでございます。ご指摘のように、小児科医の不足などいろいろな問題点がありますが、休日の昼間の小児救急につきましては、在宅当番医制と休日急患センターにおいて開業医の医師が対応してございます。このうち、毎休日に小児科医が配置されているのは和歌山市でございます。また、一部の圏域では小児の二次救急医療を担っている公的病院など中核医療機関においては、休日や夜間に小児科医の呼び出しができるオンコール体制がとられております。小児輪番制は、二次医療圏単位で小児科を有する病院が当番制により休日・夜間の小児救急患者を受け入れる制度で、市町村が主体となって実施するものでございますが、本県におきましては現在のところ実施されていないのが現状でございます。
次に保育所等の病児保育でございますが、保育所へ通所中の児童等がおたふく風邪やはしかなどの病気回復期のため集団保育ができない期間で、保護者が勤務の都合や傷病等、社会的にやむを得ない事由により家庭で育児を行うことが困難な場合、保育所や病院等に付設された専用スペースで一時的にお預かりをする乳幼児健康支援一時預かり制度があります。県では、平成九年三月に策定いたしました喜の国エンゼルプランで、平成十三年度までに一カ所の設置を目標として実施主体である市町村に対し促進を促してまいりましたが、議員ご指摘のように現時点では実施に至っておりません。今後も、ニーズの多い市町に対し、医療機関や保育所等での設置に向けて強くお願いをしてまいりたいと思います。
次に小児救急医療の今後の対策でございますが、小児救急医療体制の整備は、その圏域の小児人口、医療資源等に制約されることから、地域の実情に応じた体制が整備できるよう市町村や医師会などの関係機関と各保健所単位で協議をしながら、小児救急医療支援事業等、国の制度活用も含めて検討を進めていくこととしてございます。少子化が一段と進む中で、県といたしましても今後の少子化対策の重要な課題であると認識しておりまして、十五年度からの次期医療計画で位置づけをしてまいりたいと考えてございます。
最後にドクターヘリ導入についてでございますが、本年度、消防機関、医師会及び病院協会等関係機関の参画を得まして、ヘリコプター救急システム推進検討委員会を設け、活用するための諸課題について検討を進めてございます。現在、消防機関が取り扱った平成十二年救急搬送事例をもとに、導入した場合の需要予測や効果予測について詳細に調査検討を行ってございます。国の試行事業でその有効性が示されており、本県におきましても有効性が期待できることから、ドクターヘリ事業の導入に向けて引き続き検討してまいりたいと考えております。
なお、三重県や奈良県との共同利用につきましても、対象となる紀伊半島南部地域は三県共通の課題を抱えておりますので、ドクターヘリを有効活用することにより医療連携を図るべく、両県と協議を行っているところでございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず都市計画道路南港山東線の進捗状況についてでございますが、この路線についても県市で分担して整備をしております。
まず国体道路から東へ県道和歌山海南線までは、鉄道交差部の通行規制の解消に向けましてJR紀勢線の下越し工事を促進し、平成十五年度中に供用開始できるよう努力してまいります。
続く、県道和歌山海南線から和田川を越えて県道三田三葛線までは昨年度事業着手しておりまして、本工事に着手できるよう計画的な用地取得に努めてまいります。さらに、県道三田三葛線から竃山神社付近までのうち約五百メートルについては測量調査を行っております。また塩屋から水軒口までは、市の事業として昨年度事業化しておりまして、そのうち特に狭隘な塩屋交差点から三百五十メートルの区間について用地買収に着手しております。
次に踏切部分の道路拡幅工事の予定についてでございますが、道路拡幅工事に伴い、臨港鉄道につきまして、県市の交通政策部門等関係機関と協議を重ねた結果、廃止することとし、平成十四年度中の着工を目途に諸手続を進める予定でございます。
次に水軒口交差点から西浜交差点までの区間につきましては、特に朝夕の通学時に交通がふくそうしていることは認識しております。当該区間の整備は市の事業として取り組むことになっておりまして、今後、和歌山市域の道路網の整備状況を見ながら着手時期について市と協議してまいります。
次に青木建設の破綻の県下下請業者への影響についてのお尋ねですが、現在、県が青木建設に発注している工事はございません。県内の公共工事では上富田町発注の下水道工事が一件ございますが、十二月十日に民事再生手続開始決定がなされたところでありまして、工事は継続施工されております。今後、下請業者や資材業者等に対する代金につきましても現金で支払うと聞いておりまして、県内下請業者等への影響は少ないと考えております。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長内田安生君。
〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 青木建設の破綻に伴う県内での取引先等の状況につきましては、現在詳細を調査中でありますが、国におきましても、連鎖倒産防止の観点から、信用保険の特例を適用するため、中小企業信用保険法の指定に向け事務手続を進めているところであります。県におきましても、必要に応じて県制度融資の活用等金融面での相談に応じるとともに、倒産等による失業者の雇用を少しでも促進するために、再就職のための職業訓練等の支援、事業主に対する各種助成金制度を活用されるよう周知に努めてまいります。
○議長(井出益弘君) 医科大学学長山本博之君。
〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 県立医科大学における小児救急医療に対応できる人材づくりについてのご質問でございます。
本県の保健医療ニーズに対応できる人材の育成は、本学の大きな使命の一つでございます。議員ご指摘のように、全国的でございますが、小児科医の増加は他の診療科医師の増加に比べますと少ない状況にございます。その分、小児科医の高齢化も進むことになりまして、今後の小児科医療が懸念されるところでもございます。本学におきましても、昨今の小児の保健医療ニーズ及び小児科医の派遣要請等からいたしますと足りないなと感じてございます。
本学では、小児科に加えまして、救急・集中治療部並びにリスクの高い妊産婦と新生児に適切な医療を提供するための周産期部に小児科医のための定員を配置して小児科の定員増を図っているところでございます。さらには、小児科担当教授には小児科を専攻する大学院生の増加に頑張っていただくなどいたしまして、小児科医の育成、確保に努めているところでございます。また、学部教育及び卒後の研修カリキュラムでは、小児科以外にも救急及び周産期部において小児医療を学ぶことになっておりまして、このことは小児医療へのやりがいと申しますか、関心を高めることになっているものと考えてございます。
今後とも、小児救急医療、新生児医療を含めた小児医療の一層の充実を図りまして、その魅力を若い人に知っていただき、人材を育成し確保して小児の保健医療ニーズにこたえられるように努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十二番長坂隆司君。
○長坂隆司君 ご答弁ありがとうございました。
和歌山県の小児救急医療体制の整備は、他府県と同様に、少子化の時代にあって、重要かつ緊急課題であります。小児科勤務医が中心の日本小児科学会和歌山地方会と開業小児科医が中心の和歌山小児科医会が、それこそ県の両腕として一致団結して、県下の小児医療、特に小児救急医療の整備充実に努めていただきたいと思います。その調整役として県行政の果たす役割は大きいと思います。どうか、よろしくお願いしておきます。
南港山東線についてでありますが、やはり課題は水軒口から西浜交差点までの水軒の通り区間であります。産業道路であり、生活道路であり、特に通学道路であるという、地域住民だけでなく県民のための重要路線区間であります。産業道路と生活道路のすみ分け、これも視野に入れながら、子供や孫の代にはだれもが安心して通行できる道路となるように、今から具体的な早期事業着手に努めていただきたいと思います。
紅葉の山づくりについては、過疎地の振興、観光振興、この二つのためにもご一考願えたらと思います。
また、青木建設の破綻にとどまらず、金融機関から債権放棄を受けている中堅ゼネコンは、同社を含めて十社に上ると言われております。今回のように銀行の支援がなくなりますと自主再建はほとんど困難になります。第二、第三の青木建設が出てこないとも言えないという昨今、県当局におかれましても、県内の建設労働者の意に反する倒産、失業対策について、さらなる県としての雇用のセーフティーネットの充実を要望いたします。
以上、要望として終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時二十六分休憩
─────────────────────
午後一時三分再開
○議長(井出益弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十六番高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 お許しを得ましたので、早速、一般質問に入ります。
まず最初に、JR西日本の合理化計画について伺います。
JR西日本和歌山支社は、この十月にローカル線経営改善施策の実施についてということで、紀勢線と和歌山線における大幅な合理化計画を労働組合に提案してきました。利用者にとっての直接的な影響はどうなるでしょうか。
まず紀勢線でいえば、第一に朝五時四十分新宮発の「くろしお」をなくし田辺発にすること。さらに、和歌山を夜の九時六分発で新宮着が夜中の十二時五分の最終の「くろしお」を田辺どまりにするとしています。これによって、県庁で朝十時に開会される会議には、新宮や東牟婁、串本、すさみ方面の人は泊まりがけでないと出られないという事態になりますし、帰りも夜の八時九分和歌山駅発の特急に間に合わないと泊まりになってしまいます。また、JR西日本バスが運行している京都を夜の十時十分発、新宮に朝着く夜行長距離バス──「ルナメール」と呼ばれています──が近く廃止される予定で、「くろしお」の早朝便と最終便が田辺どまりになることとあわせて、このまま実施されていけば、紀南地方の市町村には大変な影響が出るでしょう。
第二に、普通電車が新宮から勝浦間で九本、串本から白浜間で四本の削減であります。今でも一時間に一本も走っていない普通電車を、これ以上削減すると言うのであります。
次に、和歌山線です。
第一に、橋本から粉河間で、平日で十四本もの電車を削減することです。これは、新たに粉河どめの電車をつくるということです。通勤、通学の時間帯を除いて昼間を中心に減らすので、日中の電車が激減します。粉河から和歌山間は本数を変えずに、快速を今の一往復から二往復にふやすそうであります。
第二に、四両編成も含めて和歌山線ではすべての電車をワンマン化することであります。四両もの長い電車をワンマンにして、本当に無人駅ばかりの中、乗客の安全が守れるのかどうか、問われるところだと思います。
第三に、五条から粉河間で、六月から八月を除く毎月第二日曜日に昼間の十一時から十六時まで五時間にわたってすべての電車をとめて線路の点検を行うそうです。月に一度、昼間全く電車をとめてしまう、こんなやり方があるのかと我が耳を疑いましたが、その上、バスでの代替運行の予定は今のところありません。
そして、両方の路線に共通するのは、運転士に線路にかかわる保守業務を新たにさせるということであります。これまで線路にかかわることは保線の係の方がやっていましたが、それを簡易なものについては運転士にさせるということであります。例えば、線路に木が倒れていたり、あるいはポイントに石が挟まって動かないときなど、運転士はお客を車内に残したまま電車を離れ、木を切ったり石を取りに行ったりするというもので、安全運行上問題ないのかと疑問に思います。
そうした合理化を来年三月のダイヤ改正以降やろうという計画であります。先日の会社と労働組合の交渉で、さすがに紀勢線の「くろしお」を減らすというこの計画については批判も強く、今回は見送りとなったらしいですが、その席で会社側は、和歌山支社としては減らしたいという考えは今後とも変わりありませんとの旨、回答したそうであります。これからも、新宮発着の「くろしお」は今より減らす方向なんだと公言をしているわけです。
また、普通電車の大幅削減など、ほかの施策については何ら変更する考えはないことを回答しています。これを聞いた沿線の首長さんらは、大変怒っています。「先日、JR和歌山支社に要望に行ったときにはそんなことは一言も言ってなかったのに、一体どういうことか」、あるいは「会社も会社だが、県は一体何をやっているのか。我々と一緒に闘ってくれるつもりはあるのか」、また「きのうまで全く知らなかった。一緒に反対運動をしましょうよ」など、厳しい意見が出ています。
そもそも、JR西日本は超優良企業です。年間五百億円もの黒字を出しています。これは、聞きますと関西全体の私鉄の黒字の合計額を上回っているといいます。支社の範囲でのみ黒字や赤字を判断するべきではないと思うのです。
そこで、伺います。
県は、いつJRから今度の改善計画の説明を受けたのでしょうか。だれが対応して、どういう返事をしたのか。沿線の自治体の意見を聞いたのか。これでいいと思っているんでしょうか。企画部長の答弁を求めます。
次に、今後この問題でJRに対しどういう対応をしていくのか、知事に伺います。
ことしは、十月に県の市長会、町村長会と知事が連名でJR西日本に対し、トイレなし電車の解消、和歌山線と紀勢本線の電車の増便を訴えています。その結果が今日の事態であります。全く逆のことをやっています。私は事ここに至って、これまでと同じ対応では今後も逆さまの答えが返ってきかねないと思うのであります。
そこで、知事が地域住民の交通権を守るため、また鉄道路線の豊かな発展のため、市町村をも巻き込んだこの地域の鉄道路線を守る一大県民運動の先頭に立つことを求めたいと思います。知事、いかがでしょうか。
次に、IT総合センターについて伺います。
平成十六年春のオープンを目指しているIT総合センターですが、私は広く県民が気軽にインターネットなどITに触れ親しむ拠点として、また文化や高等教育の拠点、紀南地域の活性化の拠点として幅広い県民のニーズにこたえられる施設にしたいと願い、以下、質問いたします。
最初に、交通アクセスの問題です。現地は田辺市内中心部からかなり離れています。公共交通でのアクセスは主にバスの利用になるかと思いますが、現在は田辺方面、白浜方面から一日八往復、最寄りの新庄公園まで便がありますが、将来的にどう拡充していくのか、伺います。特に、上富田町や大塔村、中辺路町方面からは既存のバス路線ではアクセスが難しくなります。私は、今上富田町が運営しているコミュニティーバスがITセンターの近くまで巡回運行をしているので、こうしたバスに財政的な応援をした上で活用させていただくというのもいいと思うんですが、この点での企画部長の答弁をお願いいたします。
次に、県立図書館の紀南分館が同ITセンター内に移転する予定ですが、施設的には新品の充実したものになるでしょうが、果たして肝心の蔵書がどうなるか、甚だ心配であります。といいますのも、この五年間を見ますと、県立図書館の図書の購入などに充てる資料費が半減しているからであります。平成九年で六千万円以上あったものが、ことしの予算では約二千七百万円と半分以下になっています。ちなみに、知事が共同声明を出したりしている三重県では、一昨年の数字で約一億四千万円、鳥取県では約一億円で、この鳥取県では県民一人当たり百七十三円、比べて我が県はことしの数字では約二十五円であります。これで、我が県は教育立県と言えるのでしょうか。
調べてみると、図書館の資料費というのは、性質別の歳出で区分しますと、普通建設事業の県単独投資の分類に入ります。つまり、最もきつい予算シーリングがかけられる分野で、それをそのままシーリングをかけてきた結果が今の状態だと思うのです。図書館資料費への予算シーリングを撤回されるよう求めますが、知事の答弁をお願いします。
また、先日、紀南分館に行くと古い蔵書が多いのが気になりました。ITセンターに移っても中身は古い本ばかりというのでは、考えただけでも寂しい気がします。教育研修センターも兼ねてあるのであれば、せめて教育関係やIT関係、そして自然豊かな紀南に設立されるのですから、自然環境関係の蔵書などは抜本的に強化されるのが当然の方向だと思うのですが、どうでしょうか。教育長の答弁を求めます。
また、ITセンターには関連団体として和歌山サテライト大学──仮称ですが──が入って、和歌山大学による公開講座などが開かれるようですが、どのような活動をしていくのでしょうか。また、県としてどのような支援をしていくおつもりでしょうか、企画部長の答弁をお願いいたします。
最後に、現在和歌山大学の経済学部が中心となって紀南地方の自治体や民間団体と地域活性化のためさまざまな取り組みを準備しているきのくに活性化支援センター準備室が将来的にはこのサテライト大学の一翼を担うことになるらしいのですが、平成十六年のサテライト大学設立に向け、今のうちから県として積極的な支援をしていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。企画部長の答弁をお願いいたします。
次に、市町村合併について伺います。
今議会の一般質問への答弁で、ようやく正式に県としてどの市町村を対象に重点支援地域の指定を考えているのかがわかりました。聞くところによりますと、それぞれの市町村長には一カ月も前から県の振興局を通じて指定の打診があったようであります。それを受けた市町村では、町議会、市議会、村議会との協議をしてきたわけです。しかし、地元の県会議員は、横からいろいろ情報は入ってきますけれども、正式には何も知らないままであります。県としての方針を明確にし、そして地元の首長や市町村議員がわいわい議論をしているのに、地元の県会議員には正式に何も知らされない。
そこで、伺いたいと思います。なぜ県会議員には知らせないんでしょうか。今後もこういうやり方で進めていくのですか、総務部長の答弁を求めます。
次に、合併協議会について伺います。
田辺周辺十市町村の合併研究会のスケジュール案では、来年三月にも法定合併協議会を立ち上げたいとなっています。この合併協議会というのは、合併特例法第三条で市町村の合併をしようとする市町村がつくるものとなっています。しかし、住民の中ではようやく合併の説明会があちこちと開かれ始めたばかりで、もうあと三カ月後には協議会をつくるというこのスケジュールは急ぎ過ぎであります。最近よく聞かれるのは、合併協議会を立ち上げてから合併に必要な資料、つまり税金や介護保険料あるいは水道料金などのいろんな比較検討資料を突き合わせて合併するかどうか検討すればいいんじゃないかということです。私は、少なくとも合併をする意思を持っていることが合併協議会への参加の前提になると思うのですが、この合併協議会についての県の見解をお示しください。
最後に、最近の地方交付税見直し論議について知事に伺います。
十一月二日に開催された第二十五回経済財政諮問会議で総務省から出された地方交付税の見直し案では、人口が十万人より少ない市町村には大幅な交付税の削減となるような案が出されています。片山大臣は、小さな町村では一七から二〇%の削減になるんじゃないかと言われています。この時期に出してくることは、まさに私たちが指摘していたあめとむちでの合併推進になるんじゃないかと思いますが、これに対する知事の見解をお示しください。
次に、高校新卒者の就職難について伺います。
最近の不景気を反映し、ことしの高校卒業予定者の就職状況は、過去最悪と言われた昨年を上回る厳しいものになっています。十月末現在の県内の高校生の就職内定率は県平均で四八・五%と伺っていますが、先日、地元の田辺公共職業安定所に伺いますと、田辺職安管内では三五・九%と全県平均より十ポイント以上下回り、最悪であります。同管内の前年の同月比で見てもマイナス九%であります。ことしの特徴を聞くと、梅の安値を受けた形で地元の製造業からの求人がほとんどないことだと聞いております。就職できなかった青年はどうなるのか。残念ながら、今の日本のシステムでは新卒で就職ができなかった青年は雇用保険の対象外であり、そのため職業訓練など雇用保険で実施されているさまざまな事業から除かれており、大変不利な状況に置かれてしまっている現実です。そういう中で、県当局も副知事を先頭に経済団体などを回り、高卒予定者の求人枠拡大を求める異例の要請をしていただけたことは大いに評価をしたいと思います。しかし一方で、企業任せでは限界があるのも間違いのない事実であります。
そこで、伺います。県も高卒者を受け入れる中小企業に何らかの支援をするべきではないでしょうか。商工労働部長の答弁をお願いします。
特に、盲、聾、養護学校の卒業生には特別の対策が必要ではないかと思いますが、教育長の答弁をお願いします。
この問題の最後に、知事に伺います。今後の研究課題として、例えば県発注の官公需の入札では、参加業者の高卒者の新規雇用や障害者の雇用への取り組みを点数化し、ある点数以上でないと参加できない入札を設定するとか、そうした方面から雇用を応援することも検討してはどうでしょうか。今まで入札と言えば、犯罪行為や社会的道義に反するようなことをしていないかどうか、つまりマイナスがないかを問うことはあってもプラス面の評価はしてこなかったのではないか。今、企業がISOの一四〇〇一番をとるのが当然の風潮になってきているように、企業の社会的なあり方を行政のイニシアチブで問うていく、このことも大事なことではないでしょうか。このやり方のメリットは、特別の予算が必要ないことです。検討を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、輸入農産物の安全性について、これは要望しておきます。昨日の原議員と重なるところが多いので、要望にしておきます。
農林水産部は、中国などでの農薬使用状況について、その実態を把握されるよう国に要望していただきたい。また、環境生活部には、より詳しく、しかも定期的に残留農薬の検査ができるような体制と予算を確保されることを要望しておきます。
最後に、和歌山県レッドデータブックについて伺います。
先日、五年間の歳月とそれぞれの専門家や多くの協力を惜しまなかった学者や研究者のおかげで、「保全上重要なわかやまの自然」、いわゆる和歌山県版のレッドデータブックが完成をいたしました。ちょっと持ってきておりますが、大変立派なものです。多くの皆様のご苦労に敬意を表したいと思います。私は、このレッドデータブックをよりよいものにする立場で、以下、環境生活部長に質問いたします。
まず、この本の充実に向けた体制づくりであります。貴重な動植物などの知見は日進月歩であり、つい先日も、関西空港二期工事の土取りをしている加太で新種のゴミムシが二種類も発見されたことが学会誌にも紹介されていました。また、専門家といえどすべての情報を把握できているわけではなくて、例えばこの本の貴重な植物群落というところで取り上げられているのに白浜半島のミズゴケ群落というのがあるんですけれども、もう開発によって絶滅しているとなっているんですが、実はこれは私の家の小さな畑の裏山で立派に自生していたりするんです。さらに、昆虫のところでも、貴重だと言われているものの中に一般的によく見かけるものもあるそうであります。
このように、レッドデータブックというのは一たんつくったらもうそれで終わりというものではなくて、日々蓄積される新しい情報を収集して、そして見直しをしていくという作業がどうしても必要になってきます。その体制をきちんと確保し、次の見直しにつなげていくべきだと私は考えますが、いかがでしょうか。答弁をお願いいたします。
また、こうした残された貴重な自然については、人の目から遠ざけておいた方がいいものを除いてなるべく積極的に県民に紹介し、豊かな地域の自然に目を向けてもらうことが、ひいては環境の保護にもつながるし、あるときには町おこしの材料にもなっていくのではないかとも思います。観察会を開くことも含め、県民への広報を通じて積極的な保全を訴えるということも行っていくべきではないでしょうか。答弁をお願いします。
これで、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) JR西日本の合理化の問題でございます。
今度その合理化計画を打ち出したということでございますけれども、県民に不便がかかるということになると、幾らJR西日本が民間会社だとはいえ、非常にやっぱり公共的な責任の多い会社でございますので、これは十分に考えていただかなければならないということで、今までもやっているんですけれども、今後もっと緊密にJR西日本との連携というか相談を強めていく、そしてまた本社の方なんかとも話をしていかなければならないというふうに思っております。そしてまた、そのときには県だけでやるんじゃなくて関係の市町村とも連携をとりながら、十分主張すべきところは主張していくということでやっていきたいと思います。
それから、図書館の資料費の問題、そしてまた田辺の方の図書館の問題もありましたけれども、和歌山県を文化立県ということで進めていきたいというふうに私は思っております。そういうときに図書の購入費が大変少ないというようなことは、これはもう恥じるべきことでもありますので十分対応していきたい、このように思っております。
それから、交付税の見直しの問題でございます。
交付税の見直しの問題につきましては、今、総務省と財務省の間で攻防が現に行われておりまして、財務省の方は二兆円ぐらい総額を減らすとかいうふうな話、そしてまた交付税特会等の借り入れをどうしていくかというふうな話が今問題になっておりまして、いずれにせよ非常に厳しい形での決着というふうな形になってくるだろうと思います。
そういうふうな中で、当然のことながら、小さな市町村へ行っている今の交付税がある程度減ってくるという方向の改正が行われるということは間違いないわけでございますけれども、県としては県下の市町村が行政を行うのに不自由を来すことのないような形で、ちゃんとした額が確保されるように要求していかなければなりません。ただ、そうは言っても、国と地方の借金の合計が六百六十六兆円というふうな事態もあり、そういう中で趨勢的にはこの交付税の見直しということも問題になってくると。そういう中で合併ということを考えていかなければならないというふうな方向が出てきているわけでございまして、これはあめとむちというか──むちというものではない、これは別個のものだというふうに私は考えておりますけれども、いずれにせよ、そういう状況の中で市町村の合併ということも真剣に考えていく必要がある時期に来ているというふうに思っております。
それから、高校生新卒者の人の雇用誘導についてでございます。
これも、今不景気の中で高校の新卒者の人が非常に困っているということ、十分理解をしているところでございます。今回の国の補正予算の中でも、短期間のトライアル雇用というのを行った会社に対して支援するような制度がつくられました。県の方でも、先ほど提案のありましたようなことも含めて、やはり支援のいいような制度がないか真剣に検討していきたいと、このように思っております。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 四点についてお答えを申し上げます。
JR西日本が来年春に計画してございます経営改善施策につきましては、去る九月二十五日にJR西日本和歌山支社担当者より担当課に報告がございまして、課長以下、担当者が対応してございます。
JR西日本によりますと、和歌山支社管内では多額の赤字が出ているために今回の経営改善施策を実施するものでございまして、こうした努力によって今後は路線の維持に努めたいとのことでございました。JR西日本からの報告に対しましては、利用者への配慮を求めたところでございます。
さらに、十月十五日には、石田市長会会長、根来町村会会長、それから私の三者でJR西日本和歌山支社長を訪問しまして、USJ効果を県内に導入するための特急「くおしろ」の西九条駅の停車ですとか、あるいはすべての特急の新大阪への乗り入れなど、こういった要望を行う中で、田辺─新宮間の紀勢本線及び和歌山線の列車運行につきまして増便を要望し、今回の経営改善施策に対しましては遺憾の意を伝えたところでございます。
次に、IT総合センターに関連しまして、公共交通機関の確保でございます。
まずIT総合センター──まだ仮称でございますが──につきましては、さまざまな機能を有する複合的な施設でございまして、人材育成あるいは研修機能における市町村職員研修、地域支援機能における市町村のヘルプデスク、さらには普及啓発機能における体験・展示コーナーなど、地元市町村の皆様方にも大いに活用していただくべき施設でございます。そのために、できるだけ多くの駐車場を確保するとともに、公共交通アクセスを確保していくことは重要であると認識してございます。
ご指摘のコミュニティーバスも含めまして、公共交通アクセスの確保につきましては、今後センター利用に係る公共交通利用のニーズを検討、研究、勘案し、地元市町村とも協力してバス事業者等に対する協議、依頼を行ってまいる考え方でございます。
それから、和歌山サテライト大学でございますが、紀南地方の高等教育に対する県民の生涯学習ニーズですとか社会人の再教育に対するニーズにこたえていくために、和歌山大学が地域貢献策の一環としてIT総合センターを拠点に公開講座の開催や大学の授業公開などを計画しているものでございます。詳細につきましては現在和歌山大学と協議の場を設けて研究しているところでございますが、県といたしましては、和歌山サテライト大学の実現に向け、できる限りの支援をしていきたいと考えております。
また、きのくに活性化支援センターにつきましては、将来、和歌山サテライト大学の一翼を担うものと認識しており、県といたしましてもその事業内容により必要な支援をしてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併につきましての二項目のご質問に一括してお答えいたします。
まず、重点支援地域の指定に関しまして、振興局を通じた市町村への打診といったことについてでございますが、これは関係市町村の現在の状況とあわせて重点支援地域の指定に係るご意見をお聞きしていたものでございまして、現在も途中にございます重点支援地域の指定についての取り組みを行う上での参考とさせていただくために行っていたものでございますので、ご理解をいただきたいというふうに存じます。
次に、法定合併協議会の見解についてでございますが、法定合併協議会は、構成市町村間の合併を検討する場として、その中で合併の是非を含め種々の協議を行うために設置されるものと理解をいたしております。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長内田安生君。
〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 高校新卒者の就職難についてでございます。
新規学卒者に対する厳しい雇用環境の中、先ほどもお話にありましたように、県におきましては、副知事、労働局長、県教育長を先頭に経済五団体を訪問し、求人の拡大等について特段の配慮を要請したところでございます。また、高校生の円滑な就職等の促進を図るため、県内の企業見学会を三年生を対象として夏に実施したところでございますが、早い時期に就職に対する意識と意欲の向上を図るため、今回、新たに一、二年生を対象とした企業見学会を年明けにも実施することとしてございます。
先ほども知事の答弁の中にありましたが、短期間のトライアル雇用支援制度につきまして周知徹底に努めてまいりたいと考えてございます。
新規の高校卒業者の就職につきましては、非常に重要なことであると認識してございます。県といたしましては、労働局、県教育委員会と連携をとりながら、一人でも多く就職できるように努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 県のレッドデータブックの二点についてお答えいたします。
一点目の充実に向けた体制づくりについてですが、今回の和歌山県レッドデータブックは、多くの専門家、研究者の方々のご協力をいただき、五カ年をかけ、平成十二年度末に発行したところです。これは、本県の貴重な野生生物や自然景観などの現状を把握、貴重性の評価を行ったものであり、学術的、歴史的な意味を持つ重要なデータになるものと考えております。
自然環境の状況は絶えず変化していくものであり、また新たな知見も生まれてくるものと思われますので、今後も県関係機関及び県内自然保護調査団体等との連携をさらに強化し、各種情報の収集に努めたいと考えております。
次に県民への広報ですが、このデータブックにつきましては、県内の市町村、高等学校、大学、図書館、自然博物館等へ配布し、また県のホームページにもリストを掲載しているところでございます。
今後は、これまで行ってきました自然観察会などにおいて貴重な自然の紹介を積極的に行い、県民の方々に自然の大切さについて認識を深めていただくよう努めてまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 最初に、県立図書館の紀南分館についてお答えいたします。
現在、田辺市扇ケ浜近くにございます紀南分館は、田辺市新庄地区に建設予定のIT総合センター(仮称)内に移転することになっております。現在の計画では、新たに児童コーナー、郷土資料コーナー、IT関連コーナーなどを設置するとともに、バリアフリー化に努めるなど、あらゆる利用者層に対応した施設づくりを念頭に置いて平成十六年春のオープンに向け、所要の準備を進めているところでございます。
蔵書の充実につきましては、開架書庫に五万冊、閉架書庫に十五万冊、合計二十万冊を目標に計画を進めており、必要な経費の確保に努めてまいりたいと考えております。
なお、総合教育センターを併設することにかんがみ、教職員の資質向上に役立つ書籍を初め、情報や環境関連の資料を整備するとともに、幅広い県民のニーズを踏まえながら多様な蔵書の充実に鋭意努力してまいります。
次に、盲、聾、養護学校卒業生の進路の確保につきましては、その雇用を促進するため、特に障害生徒進路対策協議会を設置し、努力を傾けてまいりました。本年度は、各地域の社会福祉施設等に派遣されている生活支援コーディネーター等からさまざまな福祉制度や地域の作業所の状況、生徒個々の能力や適性に応じた社会自立の具体的な情報の提供をいただいたところであります。こうしたことを十分に生かして、各学校では産業の現場における実習の充実など、生徒一人一人を大切にした取り組みを進めております。今後とも、職業教育を充実させるとともに、ハローワークや福祉等、関係機関との連携をより密にして求人の開拓に努めてまいります。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十六番高田由一君。
○高田由一君 答弁をいただきました。
まず、本当に腹立たしいのはJRの合理化計画の問題であります。
部長、九月二十五日に今回の経営改善計画を聞かれたということなんですけれども、さっきの合併の話じゃないんですが、こういう大事な問題をどうして部内だけでしがまえて黙っているんでしょうか。沿線の市町村長を集めて、会社に考え直してもらおうという働きかけをしてもいいじゃないですか。あるときには、県会議員を使ってくださいよ。県議会にも呼びかけてください。私が知らせるまでこの計画をご存じない首長さんもいました。大変だと言っておられましたけれども、本当にこういう点で、先に情報を受けられる部長さんとこがきちっとした立場に立っていただかないと、もう本当に県民のための交通権の確保というのはできないと思います。
今後はそういう対応をしていただけますかどうか、これを再度答弁願います。
市町村合併です。
重点支援地域については、県の意思を決める段階での情報集めだから議会へのやりとりはなかったということだったと思うんですが、やっぱりでも、少なくともこの十一月の末には公文書でもってそれぞれの市町村長さんに対して文書を出して、指定どうでしょうか、こうやっているわけなんですね。そう県の意思がはっきりしたんだったら、やっぱり地元の県議にもしかるべき説明があっていいんじゃないか。今、説明責任とかアカウンタビリティーとかいろいろ言われていますけれども、私はこれは大変──地元の町議の皆さんが近所にもおられて、議論をいっぱいしているんですよ。正式には聞いてないというのは恥ずかしい思いがしたんですが、今後どうするかという点だけ、総務部長、もう一回お答えください。
それから、合併協議会の問題です。
この合併協議会というのは、あくまで合併をしようとする町村でつくるんだというのが私の認識であります。部長は答弁で、合併を検討するという立場で協議会をつくるというふうに聞いたんですけれども、私は合併特例法の第三条で言う合併をしようとする市町村が協議会をつくるということとはちょっと意味が違うんじゃないかというふうに思います。というのも、私、今心配しているのは、総務省の方でこんな「合併協議会の運営の手引」というのを出されていて──本当はもっと分厚いものなんですが──合併の是非そのものは協議のテーマになっていないんですね。合併したら町づくりはどうなるかとか、あるいは新市町村の計画をつくるとか、名前はどうするとか、いろいろ事務的な手続については事細かに書かれているんだけれども、要するにこれは合併を前提としてそれを実務的に進めていくというやり方になっていると思うんですね。
それから、あるところでは合併協議会はあくまでも中立の立場で合併について協議していくというような言い方をされる方もあって、まずいろいろ勉強してから是非について考えていったらいいんだという言い方をされる方もいるわけです。ですから、その合併協議会の性格と位置づけについて、もう一度きちんとご答弁をいただきたいというふうに思います。
それから、次は図書館の資料費の問題です。
改善の方向を出していただける答弁をいただきました。しかし私は、これまでの五年間で本当に半額になってしまうような減らし方というのは本当に異常だと思いました。この問題を県立図書館に調べに行った中で一冊の本を見つけたんです。「図書館物語」といって、「徳川頼倫と南葵文庫」というタイトルです。
明治の紀州家の侯爵の徳川頼倫さんが私費で東京麻布の邸内に、明治三十二年、二万冊の蔵書を誇る図書館をつくられ、その後、蔵書もふえて四十一年に約三十万円を投じて新館を建築されたと。当時完成した帝国図書館が四十二万円をかけてつくられたのと比べても遜色のない、本当に全国に誇る図書館となっていたそうです。建物は、新旧合わせて四百十七坪に上って、ルネサンス式で、閲覧室は八十人収容することができて、冬は暖房があって、卓上には文具一式がそろえられて、そして電気スタンドが整然と並んでいる。すべての設備が一つとして最新式でないものはないというありさまだったようであります。
その後、この徳川頼倫さんは、日本図書館協会の総裁として活躍をされ、そして関東大震災で東京帝国大学の図書館が消失して、それを見かねた頼倫がそれまで蔵書していた南葵文庫をすべて寄附したことが書かれています。今日の東京大学の図書館の基礎はまさに紀州家が築いたと言っても過言ではないと思います。この分野での偉大な先人に学んで、本当にこの和歌山県を学問の栄える県とするために、知事と教育長に頑張っていただきたいと思います。要望しておきます。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
企画部長垣平高男君。
〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 九月二十五日以降の対応について、厳しいご指摘がございました。私どもも、その後、十月十五日には、先ほども申し上げましたとおり、市長会あるいは町村会と一緒に運動してきたところでございますが、先ほど知事からの答弁もありましたように、今後はJRあるいは関係市町村との連携を強化してまいりますとともに、県議会の皆様ともよく協議し、県民の利便性確保という立場で頑張ってまいりたいと思います。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、合併に対する説明責任ということについてでございますけれども、ご指摘のように、市町村合併というのはさまざまな事柄に関連する重要な事項でございますし、さまざまな手続、過程があるところでございますので、ご指摘のことにつきましては適時適切に対処してまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
それから、法定合併協議会の性格についてでございますけれども、これはお話にもありましたように、合併特例法三条では合併に関する協議を行う機関というふうにされておるわけでございます。合併に向かって検討する場として設けられるものであると、これはまあそうだと思いますけれども、その中で、住民の意見を聞きながら、合併をするかしないか、そういった意味での合併の是非も含めて検討がなされるものでございまして、法定合併協議会に参加すること、それが即合併すること、必ずそれが前提にあると、こういった関係に立つものではないというふうに考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
二十六番高田由一君。
○高田由一君 要望だけしておきます。
JRの問題で、総合交通政策課という専門の──私は大変いい名前だと思いますが──担当課があります。地方の公共交通の問題に詳しい専門の職員を配置する必要があるんじゃないかと思っています。もちろん、今の担当の方がどうのこうのというのではないんですが、いかんせん、やっぱり異動の中で三年程度というサイクルで変わっていくので──結構、この地方交通問題というのは専門的な知識とか経験とか要ると思うんですね。そういう中で、やはりそういう専門の担当の方がいれば展望も切り開けていくと思うんです。
これは別に資格は要らないわけですから、一般の職員の中でこの問題に情熱を持って取り組んでくれる人、いらっしゃると思うんです。長いスパンで登用していただいて、その問題の核になってもらうということが私はこれ肝要じゃないかと思っています。
このことだけ要望しまして、終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高田由一君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十番阪部菊雄君。
〔阪部菊雄君、登壇〕(拍手)
○阪部菊雄君 議長のお許しを得ましたので、本年度最終の一般質問をいたします。
私は、当選以来、毎年九月定例議会で質問をいたしてまいりました。しかし、平成九年以来四カ年、この壇上には立ちませんでした。それは、副議長、議長にご選任いただいていたからであります。今回は、通算十一回目であります。
さて、二十一世紀、平成十三年は、世界にも日本にも新しい平和の道と大不況からの脱却に向かって明るい希望に満ちた世紀の幕あけであると、だれもが大いなる期待をしておりましたが、見るも聞くも無残な年となりました。今月の十一日は、アメリカ・ニューヨークの世界貿易センタービルに、突如民間飛行機がハイジャックされ、その二機が突進・爆破して無残にも三千五十二名のとうとい人命を一瞬にして消滅させ、ペンタゴンに一機が突入した日から三カ月がたちました。世界じゅうを震撼せしめたテロリスト、アフガニスタンのタリバーン勢力の最高指導者オマール師とその首謀者オサマ・ビンラディンによる恐怖のテロ集団は追撃され、近い将来、壊滅の運命をたどることでありましょう。
去る十二月の七日、産経新聞の一面に私ども日本人にとって大変耳の痛いことが記載されておりましたので、読ませていただきたいと思います。
「平和は絶対の善で、戦争は完全な悪というのが戦後の日本人の理念だった。しかし異なった風土文化の人間が、それと同じ考え方であるとは限らない。自爆テロで相手を殺し、自分もまた死ぬことを崇高な理想、無上の快楽と考える人たちもいる。 歴史的、宗教的風土が異なるイスラエルとパレスチナの間の戦火は広がるばかりである。(中略)ようするにこの地球には戦火が絶えたことはない。人間はなぜ戦争をするのだろう。十七世紀英国の政治思想家ホッブズは「戦争は人間にとって本性的なものである」(中略)誤解を恐れずいえば、それが霊長類ヒト科の生態である。平和ではなく戦争が地球の常態なのである。そう割り切って、さめた目でものを見た方がいい。ただ反戦平和を念仏のように唱え、「ここは話し合いを」などと呼びかけるのは偽善でしかない。その空論の典型が日本国憲法の前文にある「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して…」というくだりだろう。いとしい家族を、自分たちの国を、その大切な歴史を守るためには、他国民と空論に頼っているわけにはいかないのだ。」、まことに的を射た考えだと思います。
さて、本論を申し上げます。小泉内閣の聖域なき構造改革の進める中、狂牛病の発生、かつて経験したことのない大不況で大小企業の倒産続出、リストラによる失業者の増加率は戦後最悪の五・七%以上となるであろう最悪の危機に直面いたしております。しかし、明るいニュースとして、皇太子と雅子様にすばらしい愛子様がご誕生あそばされ、国民ひとしくご慶祝申し上げているところであります。私も心からお祝いを申し上げたいと存じます。
さて、木村知事、あなたは誕生以来約一年以上になりました。国・地方財政まさに大ピンチでありますが、知事が推進される改革等について私も協力を惜しまないところであります。しかし、国の構造改革の中で本県は全国的にも極めて発展がおくれておりますが、現在継続中の事業が中止または中断されることはありませんか。特に、橋本・伊都地方における土木行政について、土木部長にお伺い申し上げます。
一つ目、府県間道路国道三百七十一号の現状と今後の見通しについて。二点目、国道三百七十一号橋本市市脇─清水間架橋の現状と今後の見通しについて。三つ目、県道花園美里線地蔵トンネルの現状と今後の見通しについて。以上、所定の計画どおり進行するのでしょうか。
次に、二点ばかり要望がございます。
本県は国土軸から離れているため国土軸と直結する高規格幹線道路の整備が必要不可欠であり、県勢発展のため最重要課題であります。中でも紀北地域、和泉山脈の山すそを通過し、和歌山市、奈良、京都を結ぶ京奈和自動車道の整備は、地域の発展のみならず、国道二十四号線の渋滞緩和という観点からも地域住民が待ち望んでいるところであります。国土交通省において、国道二十四号の渋滞が特に多い区間として最初に事業化されたのは橋本道路であります。この橋本道路について、既に一部の区間において工事が着手されており、用地取得もかなり進んでいるようでありますが、当局におかれては今後も早期供用が図られるよう国土交通省に強く働きかけていただきますよう要望いたします。
また、府県間国道四百八十号平道路及び梨ノ木バイパスについては、門議員より質問がありましたので、これが強力に推進方を要望いたします。
次に、農林水産部長にお伺い申し上げます。細川内閣時代に私が強く要望し実現いたしました、現在進行中のふるさと農道緊急整備事業、上中・慈尊院地区についてであります。
この緊急整備事業は、今は故人となられた仮谷知事と当時の野見農林水産部長が、私の一般質問による提案によって平成六年度に平成七年度からの新規事業として予算計上され、見事に実現させていただいた事業であります。また、岸本光造先生が初当選のときに懸命にご努力いただいた地方単独事業であります。紀の川地区広域農道から上中・下中工区の道路の進捗状況と、大野・慈尊院工区の紀の川にかかる橋梁の完了予定についてご説明をお願いいたします。
さて、ことしも間もなく終わり、新しい年を迎えます。本県は交通違反・死亡事故は全国的にも多いと言われております。そこで、警察本部長にお伺いいたします。
先般、県警交通部の発表によりますと、飲酒運転が多いとのことであります。地域的にどの地方や町村が多いのでしょう。また、シートベルトの着用も全国的に近畿地方が悪く、特に本県は二府四県の中でもよい方ではないと指摘されております。年末、何かと酒やビールを飲む機会が多いと思います。一層の取り締まりと街頭指導をお願いする次第であります。「飲んだら乗るな、飲むなら乗るな」であります。県職員、県会議員の皆さん、この六月、道交法が改正され、罰則が強化され、続いて刑法も改正され、飲酒運転の中の酒酔い運転による死亡事故は一年以上十五年以下の懲役となり、罰則が最大三倍に引き上げられました。警察本部長より詳細なご説明をお願い申し上げます。
なお、二年前、飲酒運転で検挙された定年退職間際の地方公務員が懲戒免職となり、二千五百万円近い退職金がふいになった事例もございます。お互いに遵法精神を発揮いたすことをお誓いしようではありませんか。
それでは、喫煙対策について発言いたしたいと思います。
先進諸国の中で特に取り組みがおくれていると言われているのが、喫煙対策であります。この問題については、野見山議員も平成四年と平成十年に定例会で質問されておりますが、その後、国においては二十一世紀における国民健康づくり運動、いわゆる健康日本二十一が策定され、病気の予防という観点からたばこ対策の重要性が改めて確認されたことから、その後の取り組みについて質問をさせていただきます。
たばこの問題は、喫煙者の多い日本ではこれまでともすれば重要な問題とは考えられず、そのため、対策も全くと言っていいほどありませんでした。しかし、健康日本二十一では、たばこは肺がんを初め、喉頭がん、口腔・咽頭がん、食道がん、胃がん、膀胱がんなど多くのがんや虚血性心疾患、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、歯周疾患など、多くの疾患、低出生体重児や流産、早産など妊娠に関連した異常の危険因子であると明言されております。
また、世界保健機関の報告によれば、一九九八年の世界における死亡者の数のうち四百万人がたばこに原因があるものと推定され、その数は二〇三〇年に一千万に上ると予測されております。日本では、その数が一九九五年では九万五千人であり、全死亡者の一二%を占めているとされています。これは、実に交通事故死亡者の十倍になります。さらに、肺がんによる死亡が全国的に急増していますが、本県は男性の肺がんの死亡率が何と全国ワースト三位であることをどれだけの方がご存じでありましょうか。さらに、平均寿命も全国最低レベルであります。これらの原因のすべてがたばこであるとは申しませんが、例えば肺がんではその七割以上がたばこが原因であると言われていることからすれば、県行政としても積極的な喫煙対策が必要ではないでしょうか。
福祉保健部では、県民の健康を守る立場から未成年者の喫煙対策やたばこを吸わない人の保護、たばこをやめたい人の禁煙支援について、和歌山県たばこ対策指針を策定し、私も読ませていただきましたが、その積極的な内容は、たばこを吸う人には少々煙たい内容かもしれませんが、健康にまさるものはなく、大いに評価すべきものであり、今後の指針実現化に期待をするものであります。ただ、県行政全体にしても、県民の健康を守る立場からさらに各方面の積極的な喫煙対策を推進する必要があると考えますが、まず知事の喫煙対策に対する基本的認識をお尋ねいたします。
次に、県庁内の喫煙対策でありますが、既に幾つかの課室においては禁煙が実施されており、福祉保健部では、保健所なども含め、部内の全執務室内を禁煙にするなどの取り組みがなされておりますが、まだまだ全庁的な取り組みについては、どうも熱意が感じられません。他人の煙に悩まされ、頭痛や吐き気、職員がその能力を十分発揮できないとしたら、県勢の発展にも影響するでしょう。また、たばこを吸う本人の健康にもよくないでしょう。
総務部長、幹部職員に喫煙者が極めて多いと感じますが、そのことは庁内の喫煙対策への取り組みを阻んでいるのではありませんか。他人のたばこの煙を吸わされる、いわゆる受動喫煙については、健康日本二十一でも受動喫煙も肺がんや虚血性心疾患、呼吸器疾患、乳幼児突然死症候群などの危険因子であると明記されています。
県庁というのは県民の模範であり、県庁で喫煙対策が進まないと民間の職場でもなかなか対策が進まないと考えられます。大体、公務員たる者がこの時代に嗜好品と言われるたばこを吸いながら仕事をするなどというのは、私には性根が入ってないと思えてなりません。私ごとを言わせてもらえば、十四年前、それまで私も四十本吸っていたたばこをぴったりやめました。禁煙は、やる気があればやめられます。ニコチン中毒がきつくてやめられない人は、今、医療機関ではニコチンパッチを処方してもらう方法もあると言っております。公務員には職務専念義務というものがあることをよくお考えいただきたいと存じます。
そこで、この際、一定の準備期間を置いて、例えば来年の三月一日から県庁内は全面禁煙するというぐらいのお考えはないか、総務部長にお尋ねいたします。県民の模範たる県庁職員が模範を示すことで、ひいては県民全体の健康増進にも大いに役立ち、いつの日か平均寿命も最下位クラスからトップランナーになると私は信じますので、どうか真摯なお答えをお願いいたします。
次に、未成年者の喫煙対策についてであります。
たばこの問題で、特に今早急に取り組まなければならないのは未成年者の喫煙問題ではないでしょうか。高校三年生では、毎日喫煙する、すなわち常習化している者が男子で四人に一人以上という全国調査もございます。平成九年の「厚生白書」でも、「青少年期に喫煙を開始すると、成人後に喫煙を開始した場合に比べてがんや心臓病などの危険性がより高くなる。そのうち、肺がんでは、二十歳未満で喫煙を開始した場合の死亡率は非喫煙者と比べて五・七倍となっている」と明記されております。また、未成年者の喫煙は他の薬物の入り口でもあると言われております。
こういったことから、県教育委員会は先月二十日、来年度からすべての公立学校をノースモーキングエリアにする決定をいたしました。たばこは、大人にも健康上よくないのに、たばこ臭いにおいをさせながら生徒に禁煙指導するのでは全く説得力がないことは自明の理であります。学校の禁煙は本来当然のことだと思うのでありますが、学校単位での取り組みを除いては恐らく全国初で、和歌山県教育委員会の英断を高く評価いたしたいと思います。教育長、高く評価いたしております。
また、たばこの自動販売機もどんどんふえ、今や六十二万台を超えているそうです。平成元年度以降、管理監督できない場所には許可がおりないそうですが、ご承知のように、管理監督しているような自販機を探す方が難しいのが現実であります。制服姿の高校生が自動販売機からたばこを購入し、自転車に乗りながら堂々と吸っている姿は、もはや珍しいものではなくなりました。将来の日本を担う青少年の将来の健康が確実に脅かされているのであります。
たばこ屋さんというのは、もともと対面販売で売っておりました。昔は、電話を借りたり、今で言うコンビニであって、地域に最も親しまれた店であったように思います。いつの間にやら、たばこ屋さんとは名ばかりで、もっぱら自動販売機にたばこの販売を任せ、この国は未成年者でもたばこを自由に買える国になってしまいました。本当にこんな状況でいいのでしょうか。この危機的な状況を的確に認識し早急に効果的な未成年者の喫煙対策をとらないと、取り返しのつかないことになるでしょう。というのは、肺がんは発生するまで三十年ほどかかる、言いかえれば今早急な対策をとるかが将来の和歌山県民の健康を左右するのです。戦後、たばこの消費量が急増し、おくれて肺がん患者もそれに増して急増していることからも明らかであります。
青森県の深浦町では、たばこなど未成年者に有害なものを扱う自動販売機の屋外での設置を規制する条例ができましたが、これほど未成年者の喫煙が顕著になり、違法行為を助長するたばこの自動販売機の設置には県でも何らかの規制が必要ではないかと考えます。もしそれが無理なら、たばこの自動販売機の設置者にたばこ自動販売機設置税をかけ、取り締まりの費用に充てることも考えてみてはどうかと思いますが、当局のお考えをお聞かせいただきたい。
次いで、学校禁煙化について教育長にお尋ねいたします。
まず、新聞報道で大きく取り上げられ、学校の禁煙化についてご尽力を賜ったことは心から敬意を表したいと存じます。新聞報道では、未成年者の喫煙問題について理解の足りない教師もいるようですが、学校というところは児童生徒のためにある場所ということからすれば、その深刻な未成年者の喫煙をなくするため、できることは精いっぱいやってもらいたいと存じます。一部の愛煙家のために学校はあるのではないということを私も強調いたしたいと思います。教育長には、今後、四月一日の学校禁煙化実施に向かってのプログラムについてお伺いいたしたいと思います。
続きまして、警察本部長にお尋ねいたします。
未成年者禁煙禁止法ができて百年が過ぎます。この法律は、未成年者の喫煙を禁止するとともに、未成年者がたばこを吸うことを知りながら販売した業者や、未成年の子がたばこを吸うのをやめなかったときに親権者を罰する法律です。昨年末にこの未成年者喫煙禁止法が改正・強化されましたが、この法律による最近の検挙件数があったら教えていただきたいと思います。
また、たばこを吸う未成年者の約七割が自動販売機からたばこを買っているという調査結果もありますが、未成年者が自動販売機からたばこを買ってもそれは機械が売ったので自動販売機の設置者は罪にならないというのでは、未成年者喫煙禁止法は有名無実になってしまいます。未成年者も自由に購入できるような場所に自動販売機を設置し、監視・監督をしないで未成年者が現実にそこから買えばそれは違法であり、その設置者は処罰されるということは警察当局としても明確にするとともに厳格な運用をすべきであると考えますが、いかがお考えでしょうか。日本の未来を担う青少年のことを念頭に置き、たばこの自動販売機対策を真剣に考えた具体策を警察本部長からご答弁願います。
健康第一、健康にまさるものはないと言われ、県民は健康ということにとても関心を持っております。県民の危機的な健康状況をもっと深く認識し、たばこぐらいというのではなく、県民の健康を守るという観点からご答弁をお願いいたします。
なお、このように、たばこの質問をすると県や市町村の税収が減るのではないかと心配されるかもしれませんが、専門家の試算によると、たばこによるコストが税収や雇用の経済効果を上回る、すなわち、たばこをやめた方が経済的にもプラスであるというデータもあることをつけ加えさせていただきます。
これは、最後の要望、お願いでございます。
その一つは、議長並びに議員の皆さんに対してであります。それは、定例会会期中の各委員会におきまして、わずか二時間でございますので、禁煙にしてはいかがでしょうか。当局側は、禁煙をいたしております。今、私たちは本会議中の二時間はだれも、禁煙中であることは事実であります。万一、喫煙の必要ある議員は外の喫煙コーナーでご自由に存分に吸っていただきたいと思います。
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━第一回目の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの阪部菊雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま喫煙に対するご質問がございました。たばこにつきましては、先ほどもお話にありましたけれども、これが貴重な税源になっているということから内心じくじたる面はあるわけでございますけれども、ご質問の中にもありましたように、世界的に喫煙と健康の関係を問題にすることが多くなっておりまして、公共的な場所でも禁煙が広がっていることがございます。そしてまた、肺がんの死亡率が和歌山県は高い、そして平均寿命が──割とお年寄りの方が多いと思うんですけれども──統計的に見ると最下位クラスと、こういうふうなことを考えますと、やはりこの問題に関して私といたしましても無関心でいるわけにはまいりません。
そういうふうな中で、ことしの三月に県としてもたばこ対策指針を決めました。それを受けて新年度から、教育委員会の方で公立学校をノースモーキングエリアとすることを決めたわけでございます。これについては、これは教育委員会で決めたことでございますけれども、私の方へもインターネットのメールを通じてたくさんの投書というものが寄せられておりまして、一つはこういうことを全国に先駆けて決めた和歌山県を私は誇らしく思うというふうなもの、そしてまたよその県の人からは、和歌山県がこういうふうなことをされたことはすばらしい、和歌山県万歳というふうなメールがたくさん届いております。ただ、反対の人はなかなか言いにくいので、これがすべてというわけではございませんけれども、そういうふうな意見もたくさん来ているということで、今回の措置によって和歌山県がこのたばこの問題での先進県になってきているということはあろうかと思います。
いずれにせよ、喫煙──たばこを愛されている方にとっては非常に厳しい問題でございますので、いろんな対応をこれからも考えていかなければならないと思いますけれども、現況はまあそういうふうな状況。そしてまた、公共施設内でたばこを吸う人の──たばこを嫌いな人が一緒に吸わざるを得ないという受動喫煙というものがあるわけでございますけれども、こういうものについてはやはり、たばこを吸わない人にとっては大変耐えがたいものだと思いますので、こういうことについての対応策ということについて今後一生懸命県としても対応を考えていきたい、このように思っております。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 道路の進捗状況についてのご質問に順次お答えいたします。
まず、府県間道路国道三百七十一号についてでありますが、国道二十四号から京奈和自動車道橋本インターまでの区間につきましては、用地買収の難航している箇所に対する収用法の適用も視野に入れて、京奈和自動車道橋本インターとの同時供用を目指してまいります。また、橋本インターから府県境までの区間につきましては、用地買収が難航しておりますので、今後とも地元関係者のご協力をいただきながら地権者のご理解を得てまいります。
なお、大阪側につきましては、厳しい財政状況の中にあると聞いてございますが、事業促進を積極的に働きかけてまいります。
次に、国道三百七十一号橋本市市脇─清水間の架橋につきましては、本年度までに橋脚三基を完成してございます。今後、地元関係者のご協力をいただいて、残っている用地買収を終え、橋本インターとの同時供用を目指して努力してまいります。
次に、県道花園美里線地蔵トンネルにつきましては、本年度、花園側からのトンネル工事に着手することとしてございます。また、整備を促進するため、美里側からも早期に工事着手してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) ふるさと農道緊急整備事業について、紀の川地区広域農道からの上中・下中工区道路工の進捗状況と架橋の完了日程についてのご質問でございますが、本事業は、紀の川右岸の広域農道紀の川地区から高野口町内の町道八号線を経て京奈和自動車道高野口インターへ通じる上中・下中工区七百二十四メートルと、高野口町の町道大野向島線と九度山町の県道和歌山橋本線を結ぶ大野・慈尊院工区五百七十八メートルを実施する事業でございます。平成七年度から総事業費三十一億円、総延長千三百二メートルを地元関係者のご協力を得ながら平成十四年度完成に向けて進めてございます。平成十三年度には大野・慈尊院工区のうち紀の川にかかる橋梁二百九十一メートルが完成し、平成十四年度に舗装工事と道路工の一部を実施することにより全線完成の予定でございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、県庁内の全面禁煙についてでございますが、喫煙対策は職員の健康を守る観点からも非常に大事なことだと認識をいたしております。しかしながら、県庁内の全面禁煙につきましては、来庁者を初めとする喫煙者に対する配慮などから難しい面があると考えております。このため、全庁的な喫煙対策として庁内に喫煙場所を整備し、職員の執務室内の禁煙をする、いわゆる空間分煙を行う方向で、今後、来庁者を初めとする県民の皆様方のご理解も得ながら、その実施を具体的に検討していきたいというふうに考えております。
次に、たばこの自動販売機対策のうち、たばこ自動販売機設置税についてお答えをいたします。
未成年者の喫煙防止につきましては、県たばこ商業協同組合においても対策委員会を創設し、啓発活動や自動販売機の夜の十一時以降の販売自主規制等に取り組まれているところでございます。たばこには、既に国と地方を合わせまして、消費税も含めますと六種類もの税が課されておりますが、未成年者の喫煙取り締まりのために自動販売機設置者のみに法定外目的税を導入することにつきましては、自動販売機設置者以外のたばこ販売者との公平性の観点等から難しいものと考えております。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) たばこの自動販売機対策でございますが、旧の総務庁青少年対策本部が平成十二年にまとめました青少年とたばこ等に関する調査研究報告書によりますと、中学生、高校生のたばこの購入先は、第一位が自動販売機であります。至るところにありますたばこの自動販売機が違法である未成年者の喫煙を容易にしているということが言えると思います。自動販売機の設置許可は国の財務局の管轄でもありますが、県としてもどのようなことが可能なのか、研究をしてまいります。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 未成年者の喫煙対策に関連いたしまして、学校における禁煙化の問題についてお答えいたします。
阪部議員ご指摘のとおり、学校は喫煙防止教育を行う教育機関であり、また児童生徒や非喫煙者等のたばこによる健康被害の防止などの観点から、さらに県たばこ対策指針における重要な提言を受けまして、公立学校敷地内をノースモーキングエリアとして設定することとしたものでございます。来年四月からの実施に向けまして、市町村の教育委員会、学校並びに保護者等の理解と協力をお願いしているところでございます。
現実には、喫煙の習慣のある教職員もおりますことから、今後、たばこや喫煙防止教育に対する資料等を市町村教育委員会や県立学校に提供するとともに、各種の研修会、講習会の開催や標語の募集、さらには禁煙希望者のために専門の医療機関やインターネットを使った禁煙カウンセリングの紹介を行ってまいりたいと考えております。あわせて、未成年の喫煙防止のための学校における指導、並びに自動販売機設置者に対する協力要請も考えていかなければならないと思っております。
○議長(井出益弘君) 警察本部長岩井良行君。
〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) 最初に、交通安全対策についてお答え申し上げます。
まず、県内における交通事故の発生状況についてご説明いたします。
十一月末現在では、発生件数八千四百五十二件、死者八十五名、傷者一万四百八十八名であり、昨年の同期と比較いたしますと、死者につきましては減少しておりますものの、発生件数と傷者は平成四年から九年連続増加をしており、大変厳しい情勢になっております。
死亡事故の特徴を見ますと、飲酒運転の割合が約二〇%と高いこと、シートベルトの着用率が約一〇%と低いことなどが挙げられます。この情勢は、昨年の交通事故死者のシートベルトの着用率が全国ワースト一位であったこと、飲酒運転率は全国ワースト二位であったという不名誉な結果となった傾向とほぼ同様であり、決して本県の交通マナーがよいとは言えない状況にあると認識しております。
このため、特に交通マナーの欠如に起因していると見られる飲酒運転やシートベルト非着用の事故などについて、過去三年間に県内で発生した人身交通事故をもとにその率をランクづけした指標「市町村別交通マナーワーストランキング」を公表させていただいたところであります。
ご質問の飲酒運転についてでありますが、このランキングにおいてワースト一位から六位までを見ますと、すべて山間部の町村が占めるという特徴が見られます。しかしながら、飲酒運転事故者の絶対数で見れば、やはり和歌山市や田辺市などの都市部で多く、飲酒運転についての意識は地域を問わず、残念ながら低いと言わざるを得ない状況にあるものと考えております。
県警察といたしましては、こうした情勢を踏まえ、自治体や交通関係機関、団体等との連携を密にし、県民の交通安全意識の高揚に努めるとともに、今後、飲酒の機会がふえる年末に向けてさらに飲酒運転に対する重点的、集中的な取り締まりを実施することとしております。
次に、道路交通法の一部を改正する法律と刑法の一部を改正する法律についてご説明申し上げます。
道路交通法の改正では、ひき逃げ事故、酒酔い運転、無免許運転、暴走族の悪質・危険違反については、罰則が最大六倍に引き上げられました。例えば、酒酔い運転の罰則は、これまでであれば二年以下の懲役または十万円以下の罰金でありましたが、これが三年以下の懲役または五十万円以下の罰金に引き上げられました。酒気帯び運転では、三月以下の懲役または五万円以下の罰金でありましたが、一年以下の懲役または三十万円以下の罰金に引き上げられました。この法律は来年の六月二十日までに施行されることとなっております。
また、刑法の一部改正として、危険運転致死傷罪が創設されました。これは、四輪以上の自動車を運転して、酒酔い運転等で走行する行為、猛スピードで走行する行為、車を接近させ他人の通行を妨害する行為、ことさらに信号を無視する行為によって人を死亡させた場合には一年以上十五年以下の懲役に、人を負傷させた場合には十年以下の懲役を科すこととなっております。従来であれば業務上過失致死傷罪が適用され、その罰則は五年以下の懲役であったのに比べまして大変重い罰則が科されることとなっております。この法律は本年十二月二十五日からの施行となりますので、県警察といたしましては厳正な運用に努めてまいる所存でございます。
次に、喫煙対策についてのうち未成年者喫煙禁止法の厳格な運用についてお答え申し上げます。
議員ご指摘のとおり、昨年末に未成年者喫煙禁止法の一部が改正され、未成年者に対するたばこなどの販売禁止違反の罰則強化が図られたところであります。さらに、今臨時国会におきましてさらなる改正が加えられ、販売者に年齢の確認等の措置を講ずるような改正が昨日公布・施行されたところであります。
県警察といたしましては、未成年者の喫煙につきましては毎年数千件ずつの補導を続けてまいっておりますけれども、お尋ねの未成年者喫煙禁止法による検挙につきましては、本県では平成二年に八件、平成三年に三件検挙しておりまして、その後、検挙が途絶えているという状況でございます。全国では年間十件程度の検挙状況となっておると聞いております。
自動販売機でたばこを販売した場合の法の適用についてでありますが、個別の個々具体的なケースで販売者が未成年者がみずからの用に供するということを知りながら売るという場合のみ検挙できるという法体系になっておりますので、自動販売機でたばこを販売した、あるいは自動販売機の監視を怠ったということだけをもって直ちに法に違反するということにはならないわけでございます。これまで、本県はもちろん全国でも自動販売機でたばこを販売した事案をこの法律違反としてとらえた検挙実績は出ておりません。
しかしながら、この問題の重要性にかんがみまして、適切な対応がとられるよう、近畿財務局、JT大阪支店、和歌山たばこ商業組合、そして私ども警察などによる未成年者喫煙防止協議会を結成しておりまして、これまでに自動販売機の設置場所を店舗に併設することや、平成八年以降には午後十一時以降午前五時までの間の販売が自主的に規制されるなどの対策がとられてきております。また、あわせて、県警察といたしましては、学校と連携して開催している小中高校生等の少年を対象とした薬物乱用防止教室において喫煙の有害性について教えるなどの対策を進めております。
今後、未成年者と知りながら公然とたばこを販売する悪質な業者の取り締まりに努めるとともに、今次法改正を踏まえ、販売店に対し年齢の確認等の措置をとるよう指導を強化していくほか、広報啓発活動等の諸対策を推進してまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、阪部菊雄君の質問が終了いたしました。
お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
【日程第三 議案等の付託】
○議長(井出益弘君) 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
【日程第四 請願付託の件】
○議長(井出益弘君) 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
お諮りいたします。十二月十四日及び十七日は、常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) ご異議なしと認めます。よって、十二月十四日及び十七日は休会とすることに決定いたしました。
なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
次会は、十二月十八日、定刻より再開いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時四十分散会