平成13年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(江上柳助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時三分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並
        びに報第七号から報第十号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに知事専決処分報告報第七号から報第十号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十一番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 最初に、十二月一日、国民待望の中、皇太子ご夫妻のお子様がめでたくご誕生になられましたことは、まことに喜ばしく、慶賀にたえません。天皇・皇后両陛下並びに皇太子・同妃両殿下に対しまして、謹んでお祝いを申し上げます。十二月七日の命名の儀において、お子様の名前は「愛子」、称号が「敬宮」と決まりました。敬宮愛子様の健やかなご成長と皇室のますますのご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
 それでは、最初に景気対策についてお尋ねいたします。
 十月の完全失業率は前月より〇・一ポイント高い五・四%で、二カ月連続で過去最悪の記録を更新し、雇用情勢は緊急事態を迎えております。近畿二府五県の十月の完全失業率は、前月より〇・一ポイント減となったものの六・五%で、全国を一・一%上回っております。一方、有効求人倍率は〇・五五倍でありますが、和歌山県は前月の〇・四五倍より〇・〇二ポイント低い〇・四三倍となっております。また、平成十四年三月高等学校卒業者の就職内定状況は本年十月末で四五・七%と、卒業者の半分も就職が決まっておりません。ちなみに、昨年は五〇・三%でありました。本県の景気・雇用情勢は一段と厳しさを増してきております。
 このような状況の中、和歌山県中小企業家同友会は、今、県下の中小企業の八割以上が赤字経営と言われる厳しい経営環境に置かれているとして、経営危機を打開する中小企業家の重点要望、提言をまとめております。その中で、地場産業の創出、育成や地域内での企業育成を強め、雇用と税収の確保などによって景気回復の措置を講じられたい、また中小企業に必要な資金をとして、二〇〇一年三月末で打ち切られた保証協会の特別融資枠の復活をされたいとしております。
 国の補正予算では、総額二兆九千九百五十五億円、事業規模にして約五兆八千億円となっております。そのうち雇用対策に五千五百一億円、地域のニーズに沿った雇用機会の創出のため、緊急地域雇用創出特別交付金三千五百億円が創設され、地方公共団体が地域の実情に応じ、緊急かつ臨時的な雇用を創出する事業を実施することになっております。果たしてこの程度でいいのかといった議論もあり、現在、国の方で経済・雇用対策として第二次補正予算案の検討がなされているところであります。
 県では、緊急景気・雇用対策として五十四億五千万円の補正予算を編成し、本十二月定例会に提案がなされております。その中で、国の緊急地域雇用創出特別交付金三千五百億円を受け、四十二億五千万円の基金創設のための補正予算案が盛り込まれております。また、中山副知事を本部長とする景気・雇用対策本部を設置し、緊急な雇用の創出と雇用のミスマッチの解消、中小企業対策に向けての検討がなされているところであります。
 以上のことから、知事、副知事並びに関係部長にお尋ねいたします。
 第一点、知事は本県の深刻な景気・雇用情勢をどのようにとらえ、今後、景気・雇用対策に取り組むお考えか。
 第二点、知事が提唱された緑の雇用事業が緊急地域雇用創出特別交付金三千五百億円の中に取り入れられたことに敬意を表したいと思います。しかし本県にとっては、交付金を財源として三年間で四十二億五千万円の基金を造成し、その中から数億円が緑の雇用事業として執行されるわけであります。知事が描く本来の緑の雇用事業と若干違う感じがいたします。知事のお考えをお聞かせください。
 第三点、景気・雇用対策本部の会合で、公共事業に県産品を積極的に活用して県内企業を潤わせ、雇用の創出につなげる方針が確認され、昨日、県産品(土木建築資材)活用促進行動が発表されました。本県では、中小企業創造活動促進法いわゆる創造法の認定を受け、県内のベンチャー企業がいいものをつくったとしても、まず県では、実績がない、品質がよくても価格が高いとして、最初は聞く耳さえかしてもらえなかったそうであります。ベンチャーで初めていいものをつくったわけですから、実績がないのは当たり前で、価格の面は相談をすれば解消できるわけであります。さらに、県有施設には、ほとんどと言っていいほど杉、ヒノキといった紀州材が活用されておりません。このたび、公共事業に県産品活用促進の方針が打ち出されたことは画期的なことだと思います。早急に公共事業に県産品の活用を図るとともに、それらの数値目標を設定して景気・雇用の拡大を図るべきだと考えます。景気・雇用対策本部本部長の中山副知事に、これらの取り組みについて決意をお伺いいたします。
 第四点、国は補正予算で中小企業のセーフティーネット保証・貸付制度の拡充では、事業規模を二兆四千億円としております。これから年末、年始を迎えるに当たり、中小零細商工業者の資金需要は増大いたします。中小零細商工業者への保証協会の特別融資枠の復活や特別支援策を講じる必要があると考えるが、どうか。
 第五点、昨年四月から介護保険制度が導入されました。介護保険制度によってどれだけの雇用が創出され、今後、介護サービスの供給体制の充実等で新たにどれだけの雇用が見込めるのか、介護保険施設等での雇用の実態とあわせお答えください。また、本県のIT化の促進でどれだけの雇用が創出され、今後IT化の推進等によって新たな市場と雇用が見込めるのか。
 第六点、緊急地域雇用創出特別交付金における奨励事業は、一応国から示されております。県では、この基金による事業について市町村からメニューを集約しております。その状況はどのようになっているのか。また、メニューの集約には電子メールが活用されておりません。県と市町村間で電子メールが余り活用されていないということは、本県行政のIT化がおくれていると言われても仕方がありません。木村知事は、かねがねIT先進県を目指す、そしてまたIT戦略本部も設置をされて議論が重ねられておるところでございますが、県行政の中で、市町村とのやりとりで電子メールを活用されていない。電子メールを活用すると経費の節減にもなりますし、さらにはそのデータベースを管理することも容易であります。事務の合理化にもつながるわけでございます。これらのメニューや要望、提言などは、IT化を促進する上から電子メールで受け付けるようにすべきであります。今後の取り組みについてお答えください。
 次に、市町村合併についてお尋ねいたします。
 市町村合併は県政の重要課題であり、市町村の最大の関心事でもあります。昨日の先輩議員の佐田議員の質問と重複する点、お許しをいただき、知事にお尋ねいたします。
 今、なぜ市町村合併なのか。地方分権の時代にあって、住民に身近な総合的な行政サービスを提供する市町村の役割はますます重要となってきています。また、少子高齢化の進展などによって高度化、多様化する行政需要への的確な対応が求められております。一方、厳しい財政状況、県下市町村で五千二百二十六億円の起債残高、ほとんどの市町村で一般会計予算を上回る起債の残高がございます。こういう状況の中で、効率的な財政運営に努めることが必要となっています。しかしながら、将来的に見て、行政サービスが多様化する中で現状のままでやっていけるのか。右肩上がりの経済状況で税収があった時代から低成長の時代に、市町村は借金をしながら事業を実施しております。果たしてこのままで市町村の行政をやっていけるのかといった課題があります。このような状況の中で、市町村の効率的な財政運営、行政体制の充実強化は緊急の課題となっており、市町村合併は最も有効な方策と考えられるわけであります。
 政府は、昨年十二月一日、与党行財政改革推進協議会における現在三千二百ある市町村の合併数一千を目標とする方針を踏まえ、自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化する旨を盛り込んだ行政改革大綱を閣議決定し、本年三月二十七日、総務大臣を本部長とする市町村合併支援本部を設置しました。そして、八月三十日に市町村合併支援本部は、市町村が合併による新しい町づくりを行うに当たっての支援策等を策定しています。
 本県の市町村合併への取り組み状況は、昨年四月の地方分権一括法の施行を受け、自主的な市町村合併を推進し、市町村の行財政基盤を強化することが必要であると考え、本年一月に和歌山県市町村合併推進要綱を策定、そして本年七月十六日、知事を本部長とする市町村合併支援本部を設置されました。また、振興局ごとに支援本部を設置しております。一方、和歌山市を除く各市町村では複数市町村による研究会等を設置、また多くの単独市町村では研究会、検討会等の庁内組織等を設置し、さらに多くの市町村議会では特別委員会が設置されております。そこで、市町村の事務事業にどういう事業があるのか、サービス水準、料金負担などを調査研究、合併したときどの水準に合わすのかといった研究、検討がなされていると聞き及んでおります。
 市町村合併は時代の趨勢であり、避けて通れない課題であります。しかしながら合併については、市町村が議論を深め、自主的な判断を基本として進めることが重要であることは申すまでもありません。そして、国の市町村合併支援本部が策定した市町村合併支援プランの概要では、都道府県の取り組みとして、少なくとも数カ所の合併重点支援地域を指定した上で、支援プランの内容に十分留意しつつ、管内の市町村の合併に向けた取り組みについて全庁的、計画的かつ積極的な支援策を講ずることが望まれるとしております。
 地域住民の間で合併に向けての機運が盛り上がっている地域など合併重点支援地域の指定をすることが望まれるわけでありますが、いつ、どの地域を合併重点支援地域とし、どのような支援を行うお考えか。
 また、知事が指定した合併重点支援地域で市町村が議論を尽くした結果、合併協議会の設置に至らなかった場合、「市町村の合併の推進についての要綱」が総務省から出されておりますが、この中で「合併重点支援地域に指定後、一年以内に合併協議会が設置されない場合において、必要に応じて、地方自治法第二百五十二条の二第四項及び市町村合併特例法第十六条の二第一項の規定に基づき、当該地域の市町村に対し、合併協議会の設置についての勧告を行うことを検討するものとする」とされております。知事は合併協議会設置を勧告することもあり得るのかどうか、お尋ねいたします。
 次に、市町村合併のメリットとして、地方分権の推進や少子高齢化の進展に伴う行政需要への対応、効率的な財政運営など考えられるわけであります。しかしながら、市町村合併後の自治体並びに住民サービスの具体的な姿がもうひとつ見えてこないわけであります。一部では、地方交付税が大きく減少することによって住民関連の予算が削られる、また大型公共事業が促進され、地場産業や旧来の商店街、農林漁業などが衰退し地域の活力がなくなる、さらに合併された役所が支所化しその機能が低下する、そして合併後の市役所までの距離が遠くなるといった声があります。このような懸念にどのようにこたえ、市町村合併後のメリットをどのように考えているのか、国、県の支援策とあわせ、具体的にお聞かせください。
 次に、市町村合併に関する本県市町村の取り組み状況等について、県の熱心な取り組みにもかかわりませず、複数市町村による広域市町村圏での研究会等は設置されているものの、いまだ単独市町村での研究会、検討会等の庁内組織の設置や市町村議会での特別委員会の設置がなされていない市町村があります。また、地域住民の間で合併に向けての機運が盛り上がっていない地域もあります。それぞれの事情もあることだと思いますが、これらの状況をどのようにとらえ、今後どのように対応されるお考えか、お聞かせください。
 次に、水の水質環境についてお尋ねいたします。
 現在、私たちの身近にある文明の利器の発達は目覚ましく、利便性や快適性は著しく向上しました。しかしながら、一昔前ならば至るところで流れていたきれいな水は姿を消し、良好な水資源の多くを失ってしまいました。ペットボトルに入ったミネラルウオーターの消費量の増加は目覚ましく、一九九九年の消費量は十年前の約八倍となっております。価格は五百ミリリットル当たりで百二十円、水道料金の全国平均の千三百倍に相当いたします。また、レギュラーガソリンの小売価格はリッター当たり百円とすると、約六十円は税金でありますので、正味のガソリンの価格はリッター当たり約四十円ということになります。おいしい水の価格はガソリンよりも高いということが一般化した現状となっております。このような比較はいささか単純かもわかりませんが、私たちの志向してきた文明の行き先について深く考えさせられるものがあります。
 環境問題についてよく知られている例え話に、なべの中のカエルの話があります。熱い湯の中にカエルを入れると、カエルはびっくりしてなべから飛び出すわけでありますが、水の状態からゆっくりと温度を上げていくと、カエルは脱出するタイミングを逸してゆで上がってしまいます。このようなことを考えると、私たちの周りの水環境は相当悪化してきているのではないかと考えられます。
 二十一世紀は「環境の世紀」、「水の世紀」とも言われております。二〇〇三年──二年後でありますが、第三回世界水フォーラムが京都、滋賀、大阪を結んで開催されます。一九九二年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた地球サミットは、今日の地球環境時代の幕あけを告げるものでありました。この地球サミットを受けて、我が国は一九九三年に、これまでの公害対策基本法にかわって環境基本法を制定しました。環境基本法では広く環境保全にかかわる基本的な理念や方針が示され、具体的な規則は、そのもとに位置するさまざまな個別法によって定められております。水質の環境基準は環境基本法第十六条に基づいて地下水の環境基準が、水道法第四条で水道水の水質基準が定められております。
 今回は、特に地下水の環境基準、水道水の水質基準の中で、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素について触れてみようと思います。
 硝酸性窒素は、浄水場では取り除けない化学物質の一つで、畑作の窒素肥料などが土に浸透、分解されて地中に生成されるものであります。沸騰しても取り除くことができず、地中で時間を経ても消滅しないという厄介な化学物質であります。濃度が高くなるほど有機物濃度も高くなり、細菌が繁殖しやすい水になります。特に、高濃度の硝酸性窒素を含む水は健康に多大な影響をもたらします。乳幼児の突然死の原因と考えられております酸欠や窒息状態を引き起こすメトヘモグロビン血症は、乳幼児が胃の中で硝酸を亜硝酸性窒素に還元してしまい、血液中のヘモグロビンが酸素よりも先に亜硝酸窒素と結合することから、ヘモグロビン(赤血球)が酸素を運ばなくなるため発生します。また、硝酸・亜硝酸窒素は体内で食物中のたんぱく質に含まれているアミン類と結合し、強力な発がん物質のニトロソアミンをつくり出します。
 本県の「環境白書」によりますと、「地下水の監視状況」として、「平成十二年度は、県が百地点、和歌山市が三十地点について調査を行ったが、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の項目について、県の調査地点で五地点、和歌山市の調査地点で三地点で環境基準を満たしていなかった」──いわゆる環境基準を超えていたということであります。地下水の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の環境基準は、一リッター当たり十ミリグラム以下であります。県の調査地点の五地点を申し上げます。リッター当たり十三ミリグラム、十一ミリグラム、十三ミリグラム、二十一ミリグラム、十七ミリグラムとなっております。環境基準を超えているわけであります。一応、環境基準のリッター当たり十ミリグラムを超えてはおりませんけれども、測定数値の高いものとしてリッター当たり九・七ミリグラム、八ミリグラム、七・五ミリグラム、七・三ミリグラム、七・二ミリグラム、七・〇ミリグラム、六・八ミリグラムと続くわけであります。県民の健康と安全にかかわる地下水、井戸水の環境基準項目の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が基準値を超えていることや特定数値の高い実態をどのように受けとめ、今後どのような対策を講じていくお考えか、お聞かせください。
 次に、上水道、簡易水道の水質基準についてお尋ねいたします。
 私は、地下水、井戸水での硝酸性窒素、亜硝酸性窒素が環境基準を超えている問題で、どのように対応しているかを当局にお尋ねいたしました。当局からは、「生活用水でも飲料水には使わないよう指導しております。水道水を飲料水に使用するよう指導しております」と答えられました。水道水ならば安全だと、だれもが思うわけであります。ところが、本県下の上水道、簡易水道の水源のほとんどが地下水、井戸水であるわけであります。例えば、紀の川流域の上水道の水源が紀の川の堤防近くの地下水、井戸水であったとしても、その水源のもとは紀の川だけではなく、和泉山系や森林、山林、田畑であるようであります。
 そこで、上水道、簡易水道の原水、浄水の水質の検査結果を教えてもらいました。いずれの検査項目も水質基準は満たしておるわけであります。これは当然であります。検査項目が水質基準を満たしていなければ、それは水道水として使用できないとなっているわけであります。
 しかし私は、ここで注目すべき検査結果、データを見たわけです。それは、平成十二年度の水道の水質検査で、先ほど井戸水の環境基準で触れました硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が一リッター当たり八ないし九ミリグラム──これは、浄水する前の原水の水質検査で一カ所、結果が出ております。それから、浄水の水質試験結果で一カ所出ております。これは、八ないし九ミリグラムが浄化されませんから、八ないし九ミリグラムの亜硝酸窒素を含む環境基準には満たしておるけれども、八ないし九ミリグラムの水道施設が一カ所ある、こういうことになります。さらには、七ないし八ミリグラムが一カ所ございました。硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素については一ミリグラム以下が望ましいわけでありますが、水質基準の十ミリグラムに近いリッター当たり八ないし九、また七ないし八ミリグラム、これらの水道については、県民の健康と安全を守る立場から水道の水源地を変更するなど、その改善を図るべきだと私は考えます。ご所見を承りたいと思います。
 また、安全でおいしい水を飲みたいと思うのは県民すべての願いであり、水道事業者の責務でもあります。安全でおいしい水を飲みたいという欲求から、ペットボトルに入ったミネラルウオーターや浄水器が大変なブームとなっております。本県では、日置川町や上富田町、中辺路町などに飲料水としての水をくみに行く人がふえてきております。県は、安全でおいしい水をつくるために水道事業者等に対しどのような指導を行っているのか、お尋ねいたします。
 次に、紀の川工業用水の海南市への移管についてお尋ねいたします。
 現在、海南市は県の紀の川工業用水を浄水処理して水道として使用しております。昭和二十一年の南海道地震で地下水から塩水が上がったため、水源を持たない海南市は県の紀の川工業用水を水道として使用しているわけであります。昭和三十三年に成立いたしました工業用水道事業法では、このような事態を想定しておりません。法的には、紀の川工業用水は上水道として送れないわけであります。しかも、もし取水口のある紀の川が渇水となった場合、工業用水から順次、取水制限が行われることになります。紀の川が渇水になったとしても、海南市民のライフラインである紀の川工業用水の取水制限は当然避けなければなりません。今日まで、いろんな経過があったことだと思います。
 昭和三十三年に工業用水道事業法が成立したとき、昭和五十年四月に海南市が室山浄水場を県から引き取ったとき、紀の川大堰建設着手のとき、それぞれの時点で県の責任において海南市に移管する話を進める時期があったように思います。なぜ、今日まで海南市への移管がおくれているのか。平成八年に、海南市から県に対し日量二万二千トンを三万三千トンに更新したいとの申し出があったようでありますが、日量一万一千トン増量分の確保を県はどのようにお考えか。
 最終的には、紀の川工業用水問題は知事と海南市長との協定処理によって解決されるわけであります。今日までの五十数年に及ぶ経過にかんがみ、海南市民の負担にならないように考慮すべきであります。知事は、海南市長との協定をどのように結ぶお考えでしょうか。
 最後に、トルコ共和国のメルシン市、ヤカケント町との姉妹都市・串本町への支援についてお尋ねいたします。
 皆様ご承知のとおり、一八九〇年・明治二十三年九月十六日、オスマン・トルコ帝国よりの最初の親善使節を乗せた軍艦・エルトグロール号が樫野沖で座礁、沈没。特命全権大使エミン・オスマン少将以下五百八十六名が殉職。生存者はわずか六十九名。このとき、大島島民は献身的に生存者の救助、介護に当たりました。この事件及び島民の活動はトルコ本国にも伝えられ、トルコの人々に深い感銘を与え、現在も、日本、トルコ友好の原点としてトルコの人々の心の中に特別の位置を占めております。そして、樫野の漁村風景が黒海沿岸の町ヤカケントによく似ていることから、昭和三十九年十一月、串本町とトルコ・ヤカケント町が姉妹都市盟約を結び、昭和五十年十月、トルコ・メルシン市との姉妹都市提携が結ばれているわけであります。昭和四十九年十二月には、大島にトルコ記念館が竣工されました。現在、串本町とトルコ共和国のメルシン市、ヤカケント町との姉妹都市国際交流は活発に行われております。
 ところが、国際交流は継続してこそ成果が見えてくるものでありますが、この分野での地道な活動に対して国や県の補助金がありません。国際交流における一時的な行事やイベントには、現行の県の補助金を活用することもあるようであります。ところが、国際交流が活発化してくると、国の機関や民間団体、その他もろもろのルートを介して、いろいろな国の方が訪問するようになってまいります。このようなお客様の受け入れには、国際礼儀に準じ、晩さん会を開催したりホテル代を負担するなど、日本人の訪問者とは全く違った、国際的に礼を失しないような待遇を行うこともしばしばのようであります。
 私は、景気が悪く、財政状況が厳しいときこそ、世界に打って出て、観光立県和歌山のすばらしい観光資源を世界にアピールするときだと思います。国際交流予算の増額とあわせ、国際交流の行事やイベントなどへの補助の拡充や継続していくことが大切な国際交流に当たっては、外国からの訪問者を受け入れる等の地道な交流にも活用できる補助金の創設または交付金などによる支援をどのように考えているのか、ご所見を承りたいと思います。
 なお、このたびワールドカップのキャンプ地招致に際しまして、県は串本町の紹介をもらってトルコ共和国に行かれたそうでございます。大変な歓待を受けられたようにも聞いております。そしてまた、このたび皆様のご尽力によりまして、一応デンマークが和歌山の方にキャンプを張るということに決まりました。関係者のご努力に敬意を表したいと思いますが、しかし今なお、トルコからもいろんなお話もあるようでございます。その点は、つけ加えさせていただきます。そして、トルコ共和国から見ますと、串本町の中に和歌山県があるのではないか、このように言われているようでございますので、どうぞ積極的なご支援をお願いしたいと思います。
 また、串本町の大島には、二年前、くしもと大橋が開通いたしました。大島には、本県及び串本町の観光資源としてトルコ記念館があり、くしもと大橋の開通とともに年々観光客もふえてきているようであります。現在、トルコ記念館では日ト友好の礎を築いた野田正太郎氏、山田寅二郎氏の特別展が開催されております。
 私は、二年前のトルコ大地震で、真心の義援金をトルコ大使館のバシュクット駐日特命全権大使に手渡してまいりました。そのときバシュクット大使は、「私たちは、百九年前の恩を決して忘れない。先日、くしもと大橋の開通式──これは平成十一年九月四日が開通式でありまして、九月十日に行ったわけでございますが──でトルコ記念館を訪れたとき、お土産や記念品販売などの充実の必要性を感じた。トルコでお手伝いすることがあれば、協力、応援します」と話しておられました。一義的にはトルコ記念館は串本町が整備することでありますが、県として、串本町からトルコ記念館の整備やお土産、記念品販売の充実について支援の要請があった場合、県の観光振興の観点から協力する用意があるのかどうか。
 以上、お尋ねをいたしまして、私の第一回目の質問といたします。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、和歌山県の現今の厳しい経済状況に対する景気・雇用対策についてのご質問でございます。
 今、日本の国は一般的にデフレスパイラルに入ってしまったんじゃないかというふうな極めて厳しい状況でございます。きょうの新聞にも来年の後半には景気は上向くというふうなことが言われておりましたけれども、これもなかなか楽観できるような状況ではございません。私も、極めて厳しい感じを持っております。そしてまた失業率につきましても、一応五・四%とか近畿では六・五%ということが言われておりますけれども、実態的にはもっときついんじゃないかと、むしろ就業率というふうな観点から物を考えていくべきではないかというようなことも言われているわけでございます。とりわけ中高年や新卒の学生、こういう人たちにいろいろなしわ寄せが行っているのではないかということで非常に心を痛めているところでございます。
 こういうことの打開の一つとして緑の雇用事業というものを提案したわけでございますが、もとよりきのうの人数の話でもわかりますように、これで十分な解決がもたらされるわけのものでもなく、県では景気・雇用対策本部を設けて失業対策や経済対策、いろいろな打てる手を考えて打っているところでございます。また、この議会でも総額五十四億五千万円の景気・雇用対策に関する補正予算を提案させていただいたところでございます。この中には、緑の雇用等を含む基金事業四十数億円が入っているわけでございます。これについては、和歌山県は全国で四番目程度というふうな伸び率を確保できたということで、それなりには成果があると思っておりますけれども、これでもちろん十分というわけではございません。今後、国の方での二次補正の動向、こういうふうなものにも十分注意していきたいと思っておりますし、来年度の予算におきましても、引き続き景気・雇用対策ということを継続してとっていかなければならないというふうに考えております。
 そして、この緑の雇用事業、今、こういうふうな短期な雇用ということで考えていたのとは違うんじゃないかというご質問でございます。これはそのとおりでございまして、きのうも申し上げましたけれども、この緑の雇用事業は、片方で森林のCO2の吸収という非常に高い効果、そして片方で痛みを伴う構造改革というもの、そしてまた国民の中にある自然へのあこがれというふうなものをうまくミックスさせて、都市から地方への新しい人口流動を起こすことによって、日本の国の十全な発展を図るべきではないかというふうな大きな考えに基づいているものでございますので、もとより和歌山県の数億円のお金で達成できるというふうには思っておりません。今後、和歌山県でも単独事業で一生懸命努力していく必要があります。それから、国の補助事業などもそういうふうな方向へ向いていくように各方面で努力をしていきたい。
 つい先日も、関経連の秋山会長に話しましたところ、非常に興味を持ってもらった。それから、連合もこのことに大変関心を持っております。労使あわせて、もっと広い範囲でこの問題を考えていきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、市町村合併でございます。
 きのうの総務部長の答弁にもありましたように、今、二つの地域を合併重点地域として指定するような方向で市町村長さんの意見の確認を急いでいるところでございます。これがなされますれば一つの弾みということになって、また局面が変わってくるものと私は期待しておりますが、これでもなかなか進まないというふうな場合には、先ほどもありました勧告というようなことも視野に入れて考えていかなければならない、非常に厳しい状況になってきております。
 そしてまた、合併ということについて、これはもう正直なところ、合併すればどういういいことがあるのかということに対しての答えがなかなか出ないと。これは、ご質問のとおりであろうと思います。ただ一方で、この日本の狭い国土の中に三千三百の自治体がひしめいて、そして介護保険であるとか国民健康保険であるとか、いろいろ難しい問題を抱えている事業に対応していくということになると、なかなか財源的な問題とかいろんな問題でこれから厳しくなってくるのではないかというのも、これまた私は真実であろうと思います。
 いずれにせよ、この問題につきましては、来年度の予算に、国の方も、今までは旧自治省、総務省を中心に考えていたのを各省で、例えば道路予算における重点的な配分であるとか、いろんなことを考えていくという方向を出していくということを聞いておりますので、そういうふうなことも見きわめながら対応してまいりたいと思います。
 なお、合併特例債といって、合併したところの団体がいろんなものを整備するときには有利な起債というのがあることになっているわけですけれども、これにつきましても、来年度の交付税制度の中で、こういうふうな借金の返済を交付税で見るという制度が大幅に圧縮されようとしている中で、こういうふうな合併特例債というものがあるという形になってきますので、こういうふうなもののメリットというものも今後クローズアップされてくるのではないか、このように考えております。
 それから、当然のことながら、県の方も国と協力してシンポジウムとかいろんなことで合併問題についての地元議会や住民の方の理解を高めるような努力をしているところでございますけれども、なかなかまだ十分でないというところもございます。これは、何といっても住民の理解が一番大事ということでございますから、今後ともそういうふうなことについてさらに力を入れて努力をしていかなければならないと思っておりますし、それぐらいこの合併の問題、今は小泉構造改革も特殊法人の改革に割と目が行っておりますけれども、いずれこの合併の問題に大きく焦点が当たってくると思いますので、この問題について県としてもいろんな努力をしていかなければならないと思っております。
 それから、紀の川工業用水の海南市への移管の問題でございます。
 これは、今ご質問にもありましたように、非常に長い経緯のある問題でございまして、今回一万一千トンの増量問題が出てきておりますので、いよいよもう、先送りするということではなくて解決していかなければならないというふうな問題だと思っております。海南市にも十分配慮して協定の締結に向けて調整を行っていきたいと、このように考えております。
 私の方からは、以上でございます。
○議長(井出益弘君) 副知事中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○副知事(中山次郎君) 公共事業に県産品の活用についてお答えします。
 さきに開催しました和歌山県景気・雇用対策本部におきまして、景気・雇用対策としての補正予算を検討するとともに、公共事業に土木建築資材などの県産品の活用を一層促進することを決めたところでございます。このことを積極的かつ迅速に取り組む必要があると考えまして、一つには、土木建築資材に関するホームページの開設、二つに、施設の基本計画、事業計画等の段階からの積極的な取り組み、三つに、工事発注時における優先使用等を県産品活用促進行動として決定したところでございます。実際の取扱基準となる活用方針につきましては、実効性を高める有効な方策を十分検討しまして、新年度と言わず、来年一月の制度実施を目指しております。これによりまして、ベンチャー企業の製品や紀州材を含めまして、県産品を県の発注工事に積極的に活用するきっかけとして県産品のシェアの拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 いずれにしましても、今後とも緊急の課題でございます景気・雇用対策に全力を挙げて取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 中小零細商工業者への支援策についてでございます。
 支援策は、中小企業者に対して金融対策が最も重要であるというふうに考えてございます。その金融対策といたしましては、依然として厳しい県内景気の状況を踏まえ、新規融資枠の拡大や金利の引き下げ、不況対策特別資金制度の継続等、県制度融資の拡充に取り組んでいるところでございます。また、最近になって中小企業の資金繰りは一層厳しい状況となっており、年末年始の資金需要に対応するため、十月、十一月には年末資金の受け付けを行うとともに、不況対策特別資金の借りかえ制度を創設したところであります。また、今議会に景気・雇用対策本部で決定いたしました離職者創業支援特別資金融資制度の創設や不況対策特別資金の大幅な金利の引き下げ、一部の運転資金の返済期間の延長等、県制度融資の充実につきましてお願いしているところでございます。
 国におきましても、中小企業信用保険法が改正され、補正予算で売掛金債権担保保険の創設や特別小口保険の限度額の引き上げ措置等が講じられたところでありますが、本県でも同法の改正にあわせ、小規模事業者向けの特別小口融資資金や新規開業支援資金B型の融資限度額の引き上げを行うことといたしております。
 なお、ご質問の平成十年十月から本年三月まで実施されました中小企業金融安定化特別保証制度につきましては、全国で約百七十万件二十九兆円、本県でも百一万件二千億円の利用があったところでございますが、国では制度の復活は考えていないと聞いてございます。これから、年末や年度末に向けてより一層の資金需要が見込まれることから、金融機関や信用保証協会に対し、できるだけ弾力的な対応を図るよう依頼するとともに、関係機関と連携を密にし、適切かつ迅速な対応を図り、中小企業金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、IT化による雇用の実態につきましては、専門技術者の養成やIT講習等の実施等により雇用の創出が図られているところですが、現段階では統一的な統計数値のおくれから全体を把握することが困難な状況でございます。しかしながら、公共職業訓練機関におけるIT関連職業訓練受講後の就職者は平成十二年度で三百名、和歌山県労働局における平成十三年四月から十月までの職業別常用就職充足状況報告ではIT関連職業は百四十名となっており、相当数の雇用者の増加があったものと考えております。
 一方、IT関連市場につきましては、電子商取引を初めとするインターネットビジネスの市場規模は年々増加しており、「情報通信白書」によれば、国内全体で平成十二年の約四十八兆円に対し、平成十七年には約百三十三兆円と三倍近い伸びが予測されています。県といたしましても、このような動向を踏まえ、中小企業者のEコマース参入を促進する事業など各種のIT化促進施策を進め、県内産業の販路開拓・拡大、顧客の管理など、県内企業の活性化に努めているところであります。
 また、企業のIT化が進むにつれ、さらにホームページのデザイン制作、システム構築などを行う企業、個人やインターネット接続業などの需要の増大が見込まれ、それらに伴う雇用機会の拡大も考えられます。県といたしましても、これらのIT関連産業の振興を図り、雇用の確保に努めてまいります。
 次に基金事業のメニューでございますが、緊急雇用創出特別基金による事業については、関係各課、教育委員会、警察本部、市町村等から提出された事業計画を集約したところ、緑の雇用事業や環境関連事業、生活安全対策事業、IT関連事業及び教育関係事業等で予定額四十二億五千万円を超える申し出があり、平成十六年度末までの事業計画につきましては、緊急に対応すべき事業で、真に事業効果が高いものを関係各課と協議して採用したいと考えてございます。
 次に、トルコ記念館の整備への支援でございます。
 トルコ軍艦遭難の歴史を伝えるトルコ記念館は、訪れる人々に感動を与えるすばらしい観光施設であり、海金剛や樫野崎灯台、日米修好記念館などとともに、大島観光にとっても重要なスポットと認識してございます。
 県といたしましても、これまでも大島観光のPRや施設等の整備に努めてきたところであり、今後も地元と十分連携しながら、さらなる観光振興に取り組んでまいりたいと考えております。具体的な施策につきましては、串本町の意向を踏まえ、協議してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 介護保険サービスにおける雇用の実態でございますが、県が指定をしてございます介護サービス施設及び事業所全体で約九千人の方が雇用されてございます。このうち約二千人が介護保険制度導入による新規雇用者と推計されます。
 また、介護保険施設等の整備による今後の雇用見込みについてでございますが、県では平成十六年度を目標年次といたしまして策定をいたしましたわかやま長寿プラン二〇〇〇に基づき、計画的に施設整備を進めているところであります。このプランの整備目標を達成いたしますと、新たに八百人程度の雇用を見込むことができると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) IT化の促進に係る今後の取り組みについてお答えを申し上げます。
 行政のIT化を図っていく上で、電子メールを県庁内部のみならず、市町村との連絡などに積極的に活用せよとのご指摘は、ご指摘のとおりでございます。県庁内部では、平成十年度から行政事務用パソコンを利用しまして他課室への事務連絡ですとか調査、問い合わせなどを行ってきたところでございます。しかしながら、ご指摘のとおり、特に県と市町村との間での電子メールの利用につきましては、現状ではまだ十分とは言えない状況にあると認識してございます。このため、その活用を促進する観点から、本年度で本庁全職員への行政事務用パソコンの配備を行うとともに、本庁及び出先機関で行政事務用パソコンを配備されている職員に対してメールアドレスの交付を行うほか、電子メールや情報検索などのパソコンの利活用研修も実施しているところでございます。
 今後、県行政のIT化推進と電子県庁の構築を図るため、県庁内部はもとより、市町村等との間での電子メール利用をより一層積極的に実施すべく徹底を図ってまいる所存でございます。
 次に海南市の水道事業に関連してでございますが、海南市水道の新規水源につきましては、給水区域の拡張や簡易水道の統合等によりまして、新たに日量一万一千立方メートルが必要として水源確保の要望があり、現状の諸課題の解決を前提としまして、海南市が大滝ダムにダム使用権を確保することで海南市及び関係機関との協議を進めているところでございます。今後とも、関係部局と連携し、取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 水質環境のうち、一点目の地下水、井戸水の環境基準についてでございますが、県においては、平成十二年度に環境基準の設定されている二十五物質について、県下百地点の調査を実施いたしました。その結果、硝酸・亜硝酸性窒素が五地点で環境基準を超過しておりましたが、その他の物質につきましては環境基準を満足しておりました。今回の調査において環境基準を超過した井戸所有者に対しては飲用しないよう指導するとともに、また汚染の広がりを把握するため、周辺の状況調査及び地下水調査を実施しております。
 なお、環境省が取りまとめました平成十一年度における全国の概況調査においては、環境基準超過率は約五・一%で、本県も同程度であります。また濃度につきましても、全国的に見まして平均水準であると認識いたしております。今後とも、関係部局と連携を図りながら、効果的な対応を検討してまいりたいと考えてございます。
 次に上水道、簡易水道の水質基準でございますが、上水道、簡易水道の水質維持につきましては、水道法に基づき定期的に水質検査を実施しており、県内の全施設において水質基準を満たしております。しかしながら、議員ご指摘のとおり、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の検査の結果、生涯にわたって連続的に摂取をしても人の健康に影響が生じない安全性を十分考慮した水質基準値であります十ミリグラム・パー・リッターの限度に近い施設もございます。これらの施設を含め水質監視を強化し、汚染の発生源対策にもかかわらず、数値の増加傾向が続くものや減少の兆候が見られないような水源については、水源地の変更も含め改善策を講じるよう指導してまいりたいと考えてございます。
 次に安全でおいしい水づくりについてでございますが、水道水の安全性につきましては、水道法に基づき各水道事業体において定期的に水質検査を行っております。
 なお、安全でおいしい質の高い水道水を供給するため、水質基準のよりレベルの高い目標値として、においを感じる臭気強度やカルキ臭さを示す残留塩素など十三項目の快適水質項目が示されております。安全でおいしい水道水への関心が高まる中、浄化施設の整備や水質のチェックについての強化を図るとともに、飲んでおいしいと感じられる水道水の供給に努めるよう、県下各水道事業体を指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 知事公室長小佐田昌計君。
  〔小佐田昌計君、登壇〕
○知事公室長(小佐田昌計君) 国際交流予算の増額と串本町とトルコとの国際交流支援についてお答えを申し上げます。
 議員ご指摘のとおり、国際交流は継続していくことが重要であると考えております。財政状況厳しい中ではありますが、財源の確保に知恵を絞り、交流をさらに深めていけるように努めてまいります。
 また串本町とトルコの交流でありますが、トルコ大使が我が国に新たに赴任されると、まず串本町にあいさつに見えられるなど、全国的にも有名な、市町村のレベルを超えた交流をしていただいております。ただ、地方レベルでの国際交流はその自治体のできる範囲内でという国の考え方もあり、県の財政状況を考えますと、国際交流に関する新たな補助金の創設は困難であります。しかし、姉妹交流活動をしている県内十市町と連携をとりながら、イベントへの助成など従来の施策に加え、ソフト面で県としてできるだけの支援をしていきたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 企業局長増田充孝君。
  〔増田充孝君、登壇〕
○企業局長(増田充孝君) 紀の川工業用水の海南市への移管のうち、移管がおくれている理由についてでございます。
 紀の川第一工業用水道施設の海南市への移管につきましては、従前より申し入れを行ってきたところでございます。送水管の大部分が和歌山市域に埋没されていることや、改良工事等が必要であるため、海南市と協議を重ね、現在、基本合意案の細部調整を行っている段階に進展してきております。今後とも精力的に協議を行い、早期に移管できるよう努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 この際、申し上げます。所定の時間の六十分を過ぎておりますので、再質問される場合、簡潔にお願いします。
 四十一番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま、知事並びに副知事、そして関係部長から、極めて前向きのご答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。
 特に景気・雇用対策で、来春の高卒者の就職状況が非常に悪い。やはり、希望を持った未来を担う若者が就職できるように関係方面に折衝していただき、また合同の就職面接会等も設けて、ひとつ就職できるようにお取り計らいいただきたいと思います。これは要望でございます。
 それから県産品の活用の促進につきましては、これも前向きのご答弁をいただきましたが、これは先ほども申し上げましたが、本当に画期的なことだと思いますので、ぜひ成功させていただきたいなと思います。例えば、間伐材を使う。駅のホームとかいろんな用途があるようですけれども、三重県とか岐阜県にお願いに行きますと、三重県、岐阜県の間伐材を使ってくださいと、こうなるわけです。そうなると、知事がかねがね主張されます緑の公共事業という視点からいきましても、やはり和歌山県内の間伐材を積極的に活用してもらいたいなと、このように思うんです。
 それから、ベンチャーの方、大変いい品物をつくっています。県内シェアが三割、全国七割ということではいかがかなと思うんです。ですから、和歌山県でつくったものを全国に発信し、全世界へ発信できるような取り組みをお願いしたいと思います。そのことが、ひいては税収の確保にもつながりますし、雇用の拡大にもつながります。
 それから、今回、水質の問題をやりましたけれども、人間の体の六〇%が水分でありますし、何といっても人間の飲む水は大事であります。知事は、緑の公共事業でCO2という視点もお持ちなんですね。これも非常に大事なことですけれども、もう一つ水源涵養という視点。これは知事は、「清流の環境保全」というふうな表現をされていますけれども。やはり、杉とかヒノキが立ち茂りますと、光が当たらないものですから、その表土が腐食していくという状態で、そこで雨が降ると土の表面が全部流れてしまう。ミネラル分も全部飛んでしまいまして、水がよくならない。ミネラルが少なくなります。そういうことですから、森林を植林するときには考えておられますけれども、背の高いものと低いもの、さらには落葉樹もしっかり植えていただきたい、このように思います。
 いずれにしましても、安全でおいしい水づくり、この視点を今後県行政の中でひとつ持っていただきたい。ともすれば環境基準大丈夫かな、そういう検査とか、しっかり頑張っていただいております。県民が望む安全でおいしい水をつくることに心がけていただきたい。水をやりましたのは、決して和歌山の水はよくない、淀川の水と余り変わらない。例えば、紀の川の船戸地域では環境基準を超えています。BODが環境基準を超えて、本当に溶存酸素が少ないという状況になっておりますから、こういう視点を持って、またいずれ次の機会には河川の環境の整備と保全ということも議論したいと思います。
 以上、要望にさせていただきます。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ