平成13年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(佐田頴一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時八分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、報告いたします。
 十二月七日に行われました皇孫殿下のご命名の儀に対し、県議会として賀詞を奉呈いたしました。
 次に、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百四十六号から議案第百五十一号まで】
○議長(井出益弘君) 日程第一、ただいま報告の議案第百四十六号から議案第百五十一号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明を申し上げます。
 我が国経済は、同時多発テロ事件の影響等による世界経済の減速により景気は一段と悪化し、雇用情勢においても大変厳しい状況にございます。このような状況の中、国は中長期的な視点に立ち、個人消費を初め民需主導の持続的な発展を図る観点から、各般の構造改革を積極的に推進するため改革先行プログラムを策定し、あわせて第一次補正予算が編成されたところでございますが、さらなる対応として構造改革を加速しつつ、デフレスパイラルに陥ることを回避するため緊急対応プログラムを策定し、第二次補正予算の編成が行われているところでございます。
 県といたしましても、県内の厳しい経済雇用情勢にいち早く対応するため、景気雇用対策本部において、労働局等との連携のもと、県内主要企業や団体等のヒアリングを実施し実態把握に努めるとともに、対策について検討を重ね、このたび対策本部において取りまとめられた内容を盛り込んだ補正予算案を編成し、ご提案をさせていただきました。
 なお、国の第二次補正予算への対応につきましては、国の編成状況を見守りながら的確に対応してまいりたいと考えております。
 以下、今回の補正予算案の主な内容についてご説明を申し上げます。
 まず緊急雇用対策についてでございますが、国の第一次補正予算を受け本県に交付される緊急地域雇用創出特別交付金四十二億五千万円を原資として、新たに基金を設置いたします。この基金を活用して、森林環境保全対策を初めとした緑の雇用事業関連や廃棄物対策等の環境関連事業、教育・治安対策、電子県庁の推進など、本県の実情に即した緊急に対応すべき事業を平成十六年度末まで実施し、雇用就業機会の創出を図ってまいります。
 なお、これらの事業のうち、今回の補正予算におきましては、緑の雇用事業に関連する事業として不在村森林所有者等の整備のおくれた森林の現況把握や広葉樹植栽等による環境の整備、熊野古道や高野町石道を緑の回廊とするための修景整備事業等を計上し、あわせて雇用の創出を図ってまいります。
 次に中小企業金融対策として、雇用情勢が悪化する中、非自発的に離職された方を対象にした創業支援制度を創設するとともに、不況対策特別資金の金利の思い切った引き下げを行う等、融資制度の拡充を図り、取り組んでまいります。
 また、失業者の生活安全対策として、失業等により生計維持が困難となった失業者の世帯の自立を図るため、離職者支援資金貸付制度を創設することといたしております。さらに、ITの活用による地域の活性化対策として、高速インターネットの利用やコミュニティーチャンネル等の利用のほか、防災、福祉、教育などのさまざまな公共の分野で活用が可能であるケーブルテレビ網の広域的な整備を促進するため、導入に取り組んでいる新宮周辺広域市町村圏の市町村に対し助成することといたしております。
 牛海綿状脳症対策やテロ対策につきましても、検査機器の整備を図るなど、危機管理対策の充実に努めてまいります。
 最後に災害関連事業といたしまして、秋雨前線の活発化による大雨等に伴い発生した災害の早期復旧を図るため、所要の措置を講じることといたしております。
 これらの結果、総額で六十三億二千二百万円の増額補正となり、平成十三年度一般会計の補正後予算額は五千八百三十六億六千二百万円となっております。
 なお、今回の補正予算の財源につきましては、国庫支出金、地方交付税、県債等をもって充当することといたしております。
 次に条例案件でございますが、議案第百四十七号から議案第百五十号は職員等の給与改定に伴う関係条例の改正であり、去る十月十六日に出された県人事委員会勧告を受けて、期末手当の年間支給月数引き下げ等を実施するために所要の措置を講じるものでございます。
 また、議案第百五十一号は今回の補正予算に伴う建設事業市町村負担金について議決をお願いするものでございます。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
○議長(井出益弘君) 以上で、当局の説明が終わりました。
  【日程第二 議案第百三十号から議案第百四十五号まで、並
        びに報第七号から報第十号まで】
  【日程第三 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第二、議案第百三十号から議案第百四十五号まで、並びに知事専決処分報告報第七号から報第十号までをあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 三番佐田頴一君。
  〔佐田頴一君、登壇〕(拍手)
○佐田頴一君 それでは、議長のお許しをいただきましたので、これから一般質問をさせていただきたいわけでございますが、まず、質問に先立ち、十二月一日にお生まれになられました皇太子妃雅子様の初めてのお子様のご誕生を心からお喜び申し上げます。二十一世紀は女性の時代だと言われていますが、それを象徴するような女性のご誕生でありました。新宮様・愛子様の健やかなご成長と明るい家庭を築かれるよう、心からお祈り申し上げます。
 また、ワールドカップ、デンマークサッカーチームのキャンプ地が和歌山県に決まったこと、知事初め県誘致委員会の皆さんのご努力に感謝を申し上げ、これからの具体的な取り組み、県民へのPR活動になお一層頑張っていただきたいと思います。
 それでは、きょうから四日間、質疑及び一般質問となりますが、そのトップを切らせていただくことになりました。そのようにご配慮をいただいた議員皆さん方にお礼を申し上げて、代表質問に入りたいと思います。
 今、時代は明治維新、戦後の大改革に次ぐ第三の大きな転換期を迎えております。よく「失われた十年」と言われますが、バブル崩壊後、我が国経済は長期にわたり低迷を続けております。社会に閉塞感が充満する中で、いわゆる右肩上がりの成長神話は崩壊し、これまでの仕組み、中央集権的な手法の行き詰まりはさまざまな点で明らかになってまいりました。人々は自信を失い、将来に大きな不安を抱いています。国債・地方債発行残高六百六十六兆に象徴されるとおり、私たちは子や孫の代にまで引き続きこの繁栄を約束できるのか、それとも背負い切れない負の遺産を残してしまうのか、まさに岐路に立たされております。
 こうした状況を背景に、小泉首相は「改革なくして景気回復なし」を強く訴えてまいりました。六月二十六日にいわゆる「骨太の方針」を示して以降、その道筋や優先順位を明らかにした「改革工程表」や「改革先行プログラム」も整え、道路四公団の統合や民営化に代表される特殊法人改革、医療制度改革などを通じて徐々に具体的な施策が示されつつあります。今後具体的にあらわれてくるであろう国民の痛みがどの程度になるのだろうか、今、かたずをのんで注目しているところであります。
 これを受けて我が和歌山県も、木村知事を迎えて果たしてどのような二十一世紀になっていくのだろうか。現状の閉塞感から一日も早く脱却しなければならない世の中にあって、知事の手腕に大きな期待を寄せているところであります。この和歌山の新しい世紀を迎えて、県民みんなが希望に満ちあふれた二十一世紀未来の創造は、知事のリーダーシップによる改革に立ち向かう志と決意にかかっていると思います。
 まず、二〇一〇年(平成二十二年)中期を目標とする二十一世紀前期の新和歌山国づくり構想、グランドデザインをつくっていただき、県民に夢と希望を与えることも大切な政治の責務であると思いますので、まず知事に二十一世紀初頭の新和歌山国づくり構想の一端を示していただきたいと思います。知事のご所見をまずお伺いいたしたいと思います。
 そこで、この前提となる最近の和歌山県の現況を少し述べてみたいと思います。
 一、人口減の歯どめ問題であります。どこまで進むのか、県内の人口減であります。
 特に、県都和歌山市の急減が目を覆います。待望久しかった関西国際空港が開港できてもう七年、高速道路が大阪の幹線とつながって十二年、紀勢本線の新大阪駅乗り入れから十三年、インフラ整備や交通アクセスが整ってきたにもかかわらず、和歌山市の人口は昭和五十七年四十万二千九百六人が平成十二年三十八万六千五百一人に落ち込み、最近では平成七年から十一年までの減少は七千三百人の激減であり、その傾向は一向にとまっていないのが今の姿であります。少子高齢化進行の二十一世紀は何をおいても人口減を食いとめ、逆に人口の増加対策を考えなければ県、市のあすはありません。県全体で昭和五十八年の人口百八万九千三十三人から平成十三年四月の百六万六千三百五十四人となり、ほとんどの市町村でも人口減少が続いております。まず、人口流出防止と増加対策をお尋ねいたしたいと思います。
 次に、県民所得の減少についてであります。
 国民体育大会があった昭和四十六年の県民所得は全国で二十六位と聞いていますが、平成の時代に入って全国四十位前後に低迷していると言われています。この結果を見ても、ここ二十年近くは確実に県民所得が衰退し、将来は極めて悲観とならざるを得ない状況であります。県民所得向上のため、今県が、県民が何をなすべきか、それにどう立ち向かうのか、その方法や手段をお教え願いたいと思います。
 次に、農林水産業を含む産業の衰退防止と新産業創出の方策についてであります。
 和歌山本来の住友金属や石油を初め、繊維、染色、木材、家具や農林水産物など、これまで和歌山の産業を支えてきた地場産業はいずれも国外に生産シフトを移行され、空洞化が目立ち、将来の見通しが全く立たない時代であります。旧来型産業や農業は、国際化の進展などで人件費の安い世界の製造工場の地位を固めた中国など海外に移るため、日本の分野は知識集約型産業の分野しか残らないと言われています。和歌山での新産業や新しい農林水産業など、興せる環境にあるのかどうか、甚だ疑問であります。県内の新産業の受け入れ体制をまず整備しなければ、これらの施設は生まれてこないと思います。また、農林水産業に従事する人たちはどんどん高齢化が進み、あと十年も経過すれば農業に従事する人はほとんどなく、後継者も育っていません。将来、価格保証や生産量を保障しない限り、国から幾ら食糧安保や自給率向上を叫ばれても、農業に従事する人がいなくなり、現在の姿を維持することすらできるかどうか疑問であります。
 しかし、このまま産業や農業の地盤沈下をただ見ているだけでは能がありませんので、経済の地盤沈下防止のための新しい施策を生み出せないかどうか、よい案があれば示してほしいと思います。
 四に、失業、雇用の問題であります。
 福沢諭吉の「心訓」の中に「世の中で一番寂しいことはする仕事がないことです」と述べています。出口が見えない景気低迷の中にあって、最近遂に完全失業率が過去最悪の五・四%、三百五十二万人以上の完全失業者が出ており、関西地区ではもっと高く六・五%。和歌山県は一体どの程度なのでしょうか、お聞きしたいと思います。
 ITバブルによるソニー、松下、富士通などの大会社のリストラはこれから始まると言われており、産業の空洞化は中小企業や自営業者を直撃しています。緊急雇用対策法案が国会に提出され、中小企業対策でのセーフティーネットの早急な整備が図られても、具体的にこの人たちをどうやって助けるのか疑問であり、定職につけないフリーターと呼ばれる人、新卒の就職希望者の就職がかなえられない人、四十五歳以上の求人は非常に厳しく、この人たちの具体的な救済方法が余り聞こえてこず、不安ばかりを募らせています。果たして和歌山に雇用創出への新たな特効薬があるのだろうか、再就職先への紹介ができるのであろうか、この失業の痛みを最小限に食いとめる方策があるのだろうか、緊急雇用基金条例が今期に提案されているが、この程度でいいのだろうか、心配でなりません。
 国の雇用対策の中に公的雇用公共サービスで三年間、五十万人の臨時雇用を生み出すと述べ、他府県でも国の対策とは別に県独自の雇用創出の支援を計画している府県もあります。また、一日当たりの労働時間を短くして仕事を分かち合うワークシェアリングの本格導入に向け検討を開始するところもあると聞いているが、ハローワークに頼らない県当局の失業雇用問題に対する認識度と雇用失業救済に対する取り組みについてお教えください。
 以上、一から四までの質問について、目の前の課題にどう対応し解決してくれるのか、明るい希望の持てる答弁を各担当部長からお答えいただきたいと思います。
 次に、県下における情報通信基盤のブロードバンド化とケーブルテレビ施設整備事業についてお尋ねいたします。
 ITは、私たちの生活様式を根底から変革し、豊かな生活環境をもたらすとともに新たに地域の活性化をも可能にし得るものであることから、県では積極的な活用、推進に取り組んでいるものと認識しております。本県でのIT活用を積極的に推進していくためには、その基盤となる情報通信ネットワークの全県域での整備構築を進め、情報格差の是正を図っていかなければなりません。先日発表された和歌山県IT戦略の中間報告においても、県下一円を対象とした情報通信基盤のブロードバンド化が重点戦略として位置づけられ、平成十三年度までにおおむね全世帯において整備を図るとされており、大変心強く思っています。
 しかし、情報通信基盤につきましては、まず民間通信事業者の整備に負うところが大でありますが、民間事業者単独による情報通信基盤整備の進展が困難な地域を多く抱える本県にあっては、国、県を初めとした公的部門による支援も重要であると考えています。このような中で、現在、三重県内においてケーブルテレビ事業を展開している第三セクターの株式会社ZTVの新宮周辺広域市町村圏への進出が計画されております。ケーブルテレビ事業は、高速インターネットも可能なケーブルテレビの整備を図るものであり、これによりテレビの難視聴地域の解消はもとより、行政情報の提供、住民の健康管理や在宅看護、防災、学校教育など、さまざまな分野での活用が期待されているところであります。
 そこで、当局にお伺いします。県としては県下における情報通信基盤のブロードバンド化とこの新宮広域市町村圏におけるケーブルテレビ事業について今後どのように取り組んでいこうとしているのか、企画部長にお伺いをします。
 次に、コスモパーク加太についてであります。
 先日の新聞報道にもあったように、県土地開発公社の保有する未利用土地の検討委員会からコスモパーク加太の開発についての基本的な考えを示されました。コスモパーク加太の土地区画整理事業は当面凍結すべきというものであります。バブル経済崩壊後の地方の景気は回復基調と言われる時期にも全く好転せず、近年は特に厳しい状況にあります。地価の下落傾向が続く中、住宅需要が低迷しています。また、工場も安価な労働力を求め、争って海外へ移転し、遊休土地がどんどん生まれているのが現状であります。可能性のある地域であるから整備すれば必ずうまくいくといった期待感によって開発整備に先行投資をするのは大変危険な時期になっているわけであります。
 コスモパーク加太に時代が要求する新しい町並みが早急に整備されることを期待していた私にとって、委員会の意見は大変残念なことではありますが、最近の社会経済情勢を見るとやむを得ないものと考えます。とは申しましても、コスモパーク加太は二十一世紀の和歌山県にとっては非常に大きなポテンシャルを持った貴重な財産であります。大阪湾を取り巻く社会経済交流の一翼をなし、関空を基点とした国際交流の中心地として県勢発展に寄与することのできる将来性豊かな地域であります。いずれにしても、委員会の意見はコスモパーク加太の町づくりは長期的な視点に立って考えていかなければならないことを示唆しておりますが、知事はコスモパーク加太の今後の整備についてどのような考えであるのか、その見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、林道紀泉高原線延長と風力発電所の新設についてであります。
 昭和七年度から工事が始まった林道紀泉高原線が完成し、関係者、地元の皆さんの喜びの中で開通のお祝いをいたしましたが、この林道は打田町神通の県道泉佐野打田線を起点に那賀町中尾に至る全長十・六キロメートル、幅員六メートルの林道で、この沿線には国の天然記念物のブナ林やキャンプ場を備え、粉河町ハイランドパークを含み、関西国際空港も一望でき夜景の名所として有名になりつつある場所で、和歌山と大阪の交流が深まるにつき、自然を楽しむ観光客の増加が見込まれる地域であります。
 しかし、この完成された立派な林道も、現状のままでは山頂でストップしてしまい、このままではせっかくの投資も半減となっています。そこで、この林道をもっと有効に利用するため、現在の終点の葛城山頂からもう少し東側に林道を進め国道四百八十号線に接続すれば泉佐野打田線と国道四百八十号線が結ばれることになり、国定公園の日帰り観光名所として大いに売り出せる地域であると確信しています。知事は、和歌山は大自然を売り物に都会の人との交流をふやすことにより商売もでき利益も得られることなど、地域の力を高めることが大切と述べています。そのためにもまず、葛城山頂より東側ルートとして国道四百八十号線までの延長を早急に計画してほしいのであります。
 次に、この地域は国定公園に指定されているので、どんな建物、施設でもできる場所ではありませんが、一つの観光の目玉をつくる必要があります。他府県も実施している風力発電所施設をつくればよいと考えています。青森県青函トンネル入り口にある竜飛岬の風力発電施設を視察してまいりましたが、立派な観光名所になっています。今、世界の風力発電容量はこの十年間で六倍以上に広がり、地球温暖化防止対策として風力への期待が追い風となり、日本は九九年の発電容量はドイツの六十分の一にとどまっていますが、利用できる自然の恵みを逃がしているわけであります。
 最近になって、企業や団体が使う電気を風力発電などの自然エネルギー発電に転換するグリーン電力証書システム制度が動き出しており、本年平成十三年度中に二十社がこの制度を取り入れられ、千葉県銚子市にできた風力発電所の電気を買うソニーが第一号となっています。風力は自然に無尽蔵にあり、紀伊半島や大阪湾から暖かな水と風を運び込まれる和泉葛城山頂に大規模な風力発電所を設置すれば、すばらしい景観となります。国の建設補助が認められず風力発電を断念した御坊周辺広域圏組合の一件もありますが、施設規模を出力千五百キロワットにすれば二〇〇二年からでも建設費補助が認められることになっていますので、一度、和歌山県も年間風速や発電量予測調査などを実施し、この新設に向けた動きを開始してくれないかどうかも含み、林道は農林水産部長に、風力発電は企画部長にお尋ねいたします。
 次に、紀の川中流流域下水道那賀処理区の事業についてであります。
 国の経済財政諮問会議において、下水道整備については普及率の向上により整備テンポをおくらせるとの意見もあり、地方における道路整備や下水道整備などの基盤整備が今後国においてどのように取り扱われるかが非常に気がかりなところであります。こうした構造改革の動きを背景に、紀の川中流流域下水道那賀処理区事業についてご質問いたします。
 下水道は、豊かな自然環境、快適で文化的な生活環境にとって重要な都市基盤施設であります。平成十二年度県政モニターアンケート調査によりますと、県民が要求している整備を急ぐ公共事業は、一位、道路、二八・二%、二位、下水道、二六・〇%、三位、街路、一〇・二%等々という結果が出ております。このように、下水道に対する県民のニーズは非常に高いものと思われます。
 しかしながら、本県の平成十二年度末下水道普及率は一〇%であり、ようやく二けたとなりましたが、全国平均六二%に対して著しく低位な状況であり、依然として全国最下位と聞いております。また、下水道、農業集落排水、合併浄化槽等により生活排水処理を行っている汚水処理施設整備率についても、全国平均七一%に対し二七%で、同様に全国最下位と聞いております。
 このような状況下で、私たちが快適な日常生活を営む上で欠かすことのできない施設として、また公共用水域の貴重な水資源を未来に引き継ぐため、下水道整備が早急に必要であると考えております。特に那賀郡では、年々都市化が進行し、住民の生活環境の改善はもとより、紀の川を初めとした公共用水域の水質保全を図る上で下水道整備が急務となっております。伊都処理区が事業着手以来約二十年の歳月を要し、本年四月より一部供用を開始されたところでありますが、平成十四年度の国における公共投資の削減、特に下水道事業費を大幅に削減する動きの中、厳しい財政状況下でありますが、今年度より事業着手された紀の川中流流域下水道那賀処理区について早急に整備を進めていただきたいと思います。那賀処理区の現状並びに今後の取り組み、国への働きかけについて土木部長からお伺いいたしたいと思います。
 最後に、町村合併の進捗状況と合併実現への時期についてであります。
 地方分権の受け皿として町村合併のシナリオがつくられ、和歌山県でも県内五十市町村を最少八市一町、最多で十市七町となる合併パターンをまとめ、合併推進要綱も既に発表されているが、その後、正式な合併協議会の発足を見たという情報は聞こえてきていません。現在では、合併、合併というかけ声だけで具体的な目標や合併への手順まで踏み込んだ合併推進に必要な合併推進プログラムもできていない現況と思いますが、どうでしょうか。
 小泉首相は、全国知事会議であめとむちをどう考えて市町村合併を進めていくのか考えていかなければならないと述べ、財政支援などの優遇策だけでなく、強制的な手法を用いても合併を進める可能性を示唆している中にあって、本県でも知事を本部長とする市町村合併支援本部を、各振興局に地域支援本部を設置し、市町村においても海南市・海草郡、那賀郡、有田市・有田郡、御坊市・日高郡、田辺広域などの七地区で研究会が発足しており、各市町村においてもそれぞれ検討がなされ、また県は合併パターンの例示、「県民の友」七月号の合併特集の掲載、シンポジウムの開催、新たな合併推進事業補助金を創設し、機運の醸成に努められていますが、いつまでにどういう手法と手順でどことどことの町村が一緒になって合併を達成しようという具体的な組み合わせ合併案は示されておらず、県内の合併問題はPR程度に終わっており、一歩も前進していないようであります。
 最近、総務省は市町村合併を円滑に進めるための手順を示した運営マニュアルを発表したが、合併実現までの準備期間の目安は最少でも二十二カ月必要と、その具体的な流れを説明しています。合併期限の二〇〇五年三月三十一日までに余り時間的余裕はありません。
 知事は、市町村合併は自然体で合併し、県は合併を強制しないとこの議会で再三述べていますが、市町村合併に対する地域住民の関心は、メリットがある反面デメリットもある合併のあり方をめぐる議論はここに来ても全く低調であり、無関心であるため、既に定着している市町村をいじることは住民の反発も予想される中、合併しようとする機運も生まれにくく、市町村の自主性ばかりを強調している限り合併実現は進まないと思います。
 次に、和歌山県の合併はいつごろまでに終了するのかという期限であります。国は合併期限内と言っていますが、私は、合併を進めるためにはきちんと年限を切った市町村再編しか合併を進める最善の策はないと思っています。国は現在三千二百二十三の市町村を三分の一以下にする方針を打ち出し、片山総務相は地方行政体制の再整備を進めるため千程度にすると述べ、できれば合併特例法の制度の期限である二〇〇五年三月までにこの数字に近づけたいと目標年次、目標数値を挙げられているが、和歌山県の市町村再編を促すためのめどはいつごろに立てられているのか、法期限を守るための計画と時期をお聞かせください。
 次に、都道府県における平成十三年度中のできるだけ早い時期に知事を長とする全庁的支援体制を設置し、少なくとも数カ所の合併重点支援地域を指定した上で、管内の市町村の合併に向けた取り組みについて全庁的に計画的かつ積極的な支援策を講じることが望ましいと指示されているが、和歌山県の合併重点支援地域に指定されている市町村はどこの地域となっているのか、明確にしてほしいと思います。
 また、市町村合併に反し合併に参加せず、合併期限内に合併しなかった市町村に対する処置についてでありますが、国の支援はどうなるのだろうかという問題であります。いろんな方面で国の支援を受けられるのか、合併しない町村は現在のような支援を維持できるのかどうか、疑問であります。昭和三十年の大合併のときは合併に参加しなかった町村ほど優遇されてきたと伝えられてきておりますが、合併しなかった町村への国の支援、例えば交付金の削減など考えられますが、削減までに進んでいくのだろうか。町村合併へ参加するのかしないのかの一番大事な問題点であります。以上の問題点について総務部長に答弁を求めます。
 これで、第一回の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの佐田頴一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問、まず最初に二十一世紀初頭の和歌山づくりの構想についてということでございます。
 今、国も小泉首相のもと厳しい構造改革を進めているわけでございますが、いま一つ不安感が高まっているのは、二十一世紀に日本の国がどういうふうな形になっていくのかという姿がもうひとつ示されていないというところに国民の不安が高まっている一つの原因があろうかと思います。そういう意味で私も、非常に難しい中ではありますけれども、和歌山県の進むべき姿というものをひとつ示していく必要があろうというふうに思っているところでございます。
 そういう中で、まず一つには私は開かれた和歌山ということを言っておりまして、和歌山県、これから特にこの和歌山から橋本にかけての紀の川流域については関西大都市圏の外環部として大きく発展していくことを期待しておりますし、それから中紀、南紀につきましては大変豊かな自然を生かしながら都市との交流によっていろんな産業を生み出していくという形で大きく発展していく姿を思い描いているところでございます。そしてまた、それにあわせて紀の川流域では京奈和自動車道であるとか府県間道路、そして紀中、紀南では高速道路の南伸、こういうふうな骨格的な道路の整備ということを進めていきたいと。
 産業につきましては、中国の発展もありまして製造業を日本で新たに立地するということは非常に困難になっている中、和歌山県に今まである地場産業でありますとか第一次産業をブラッシュアップして、和歌山でないとできないというふうな高付加価値のものを生み出していくような仕組みを考えていきたい。これは県だけで考えることができるわけではありませんので、いろいろTLOとか、そしてまた民間の方々と協力することによって進めていきたいというふうに思っております。
 そしてまた、過疎対策ということにつきましては、私はつい先日、緑の雇用事業というものを提案いたしました。これは、前から言っております新しいふるさとづくり運動というものの一環でございまして、せっかく和歌山は隣に八百八十万の人口のある大阪というものがあるわけで、こういうところとか都会の人たちが今、非常に熊野とかそういうふうな自然の中にあこがれる気持ちが高まっているわけで、こういうところとの交流の中で、趣味的に移ってくる人があっても構いません、そして職を求めて移ってくる人があっても構いませんけれども、そういうふうな形で新たに都市から地方への人口流動を起こすような仕組みをやっぱり国として考えるべきときが来ているんじゃないかと。そして今、小泉構造改革の中で痛みを伴う──本当に現に痛みを伴ってきているわけで、そういうものと組み合わせながら新しい国土のあり方というふうなものを考えていく時期が来ているんじゃないかということで緑の雇用事業というものを提唱したわけでございますが、これを和歌山だけにとどまらず広く近畿圏、そしてまた日本全国でこういうことが起こっていくような仕掛けを今一生懸命考えているということがございます。
 それからもう一つは、今ちょっと下火になりましたけれども、やはり日本の国はこれからIT化が進んでいくと。和歌山県でもこのIT、ブロードバンドとかそういうもののうまい活用の仕方によっては、医療とかいろんな面で高齢化社会等に対応できる非常にいいツールになってくるというふうに考えております。
 和歌山県をただ単に全国でやったことの後追いをするような県にするんじゃなくて、例えばIT特区というふうなものを和歌山県の中に設定して──これは田辺や白浜地域でも構いませんし、そしてまた今度有線放送が三重の知事とお話しして入ることになった、協力して行う新宮・熊野地域でもいいんですけれども、こういうふうな地域。いろんな形でITの先進地にしていくというような努力。そしてまた、ITだと都市だけでなくて地方でも新しい事務所をつくることができるという話も聞いております。現に来てくれているところもあるので、そういうものを呼び込んでいくような努力をしていきたいと思っております。
 それからまた、和歌山県は非常に高齢化が進んでおります。まあ日本全国で高齢化が進んでいるので、私は二十一世紀には日本の国全体が高齢化の中でどういうふうな発展を遂げていくかというモデルを早くつくらないといかんというふうに考えておりますけれども、和歌山県でも何とか、単なる福祉という観点だけじゃなくて、高齢化の中での県のあり方というふうなものを考えていくことも必要であると考えております。
 いずれにせよ、こういうふうなことも含め、今ビジョンというものを考えているわけですけれども、今までの時代と違って非常に変化が激しい。そして国の方も、先ほど言いましたように方向が定まっていないというところもありますので、常に見直し、そして新しい方向にキャッチアップするような形でのビジョンというふうなものを県議会の皆様と一緒に考えていきたい、そのように考えているところでございます。
 それから、第二点目のコスモパーク加太の構想でございます。
 コスモパーク加太については、非常に夢の多い地域でありますとともに、先ほどご質問にもありましたように、はっきり言いまして今大変な状況に──これは借入金でやっているもんですから──なってきておりまして、和歌山県の土地開発公社は中央の方でも日本の国で一番大変な土地開発公社の一つというふうに認識されているところでございます。
 こういうところに、今どこが来てくれるということが決まらないままさらに二百億近いお金を投入して土地区画整理を行うということは、これはもうはっきり言って考えられないことであります。しかしながら、そうかといって、これはそのまま手をこまねいているわけにはいきませんので、一つには毎日かかっていく必要な経費をできるだけ減らしていくと。そしてまた、銀行等との金利の交渉であるとか、そういうふうなこともいろいろ進めていく。それからもう一つは、今までは売却ということが唯一の処分の方法であったと考えたわけでありますけれども、賃貸であるとか、個別分割割賦であるとか、そういうふうないろんな処分の方法ということも多面的に考えていかなければならない。もうとにかく土地がバブルのときと違って大いに下がっているわけですから、そのことを前提として何とかこの問題を処理していく方法について今鋭意検討を進めているところでございます。これはいいというふうなアイデアがありましたら、ぜひ議員各位からもお話をいただいて積極的に対応していきたいと、このように思っております。
 次に、市町村合併についてでございます。
 市町村合併はもう大変な問題でございまして、和歌山県でも鋭意進めているところでございます。そしてまた、私の感じでも、他の県に比べて和歌山県下の市町村は、この合併というものに対する認識が非常に高い──まあ住民まではわかりませんけれども──というふうに思っております。
 ただ、二〇〇五年三月という法律の期限があり、さらにその前に大体二十二カ月ぐらい時間がかかるということから言えば、これはゆっくりしていられるような状況ではないということが一つあります。そしてまた、先般、私、東京の方へ行ってきましてこの問題の責任者とも会ってまいりましたけれども、かなり厳しいことを言っていました。今までは原則的には強制はしない、地方の自主性に任せるということでしたけれども、先ほどのご質問にもありましたが、あめとむちというような形、そのむちの方──こんなのは僕は出てこないことを望んでおりますけれども、とにかく厳しい見方というものが出てきていることは間違いありません。
 今、小泉構造改革は公社、公団の見直しとか、そういうところに目が行っていますけれども、いずれこの市町村合併ということが一番中心的な話になってくるというふうにも思っておりますので、そういうふうな厳しい状況というものも踏まえながら、和歌山県でも合併重点地域の指定を行い、さらにそれについてどういうふうな今後の対応をとっていくか、真剣に対応をしていきたいと、このように考えております。
 私からは以上でございます。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 四点についてお答えを申し上げます。
 まず、人口流出に歯どめをとのご質問についてでございますが、少子化の時代にございまして、人口の流出を防止し、あるいはその増加をしようということにつきましては、いろんな面、さまざまな面からの努力が必要であろうと考えてございます。
 まず最初に、知事も新しく提案されましたように、都会生まれ、あるいは都会育ちの人々に対して本県が新しいふるさとを提供したり、あるいは中山間地域での雇用創出など、いわゆる緑の雇用事業に積極的に取り組みまして、いわば人口の逆流動を起こすといったような新しい発想での取り組みが重要であると思っております。また、あわせまして、魅力ある就業の場を確保、創出するため、若い人たちがみずからの知識あるいは技術、センスを生かして既存の地場産業あるいは農林水産業などの高度化、高付加価値化に取り組むことや、新規創業に挑戦することなどを積極的に支援する環境づくりが必要であると考えてございます。
 また、これからの社会におきましては、自然に恵まれた豊かな環境が住まいの場として人々を引きつけたり、情報基盤の整備と相まって情報産業などの新たなビジネスチャンスを生み出してくるものというふうな期待もいたしているところでございます。こうした新たな時代潮流を踏まえまして、それぞれの地域の特色を生かした定住条件の整備、Iターンの推進などの施策に努め、和歌山県の人口減少に対応し、さらにはその増加に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、県民所得の減少についてでございますが、和歌山県における一人当たりの県民所得は、全国平均と比較しておおむね八割前後で推移してございます。その一つの理由として、産業構造の転換のおくれが挙げられると思います。さらに、ニットなど全国有数の地場産業につきましても、中国等の台頭によりそのシェアを奪われるなど、非常に厳しい現状でございます。こうしたことが県民所得の大部分を構成します雇用所得、あるいは企業所得などに大きく反映、影響しているものと考えてございます。
 しかし、一方、和歌山県には独自の技術を生かして世界的なシェアを持つすぐれた企業があることもご承知のとおりでございます。こうしたことを踏まえ、現在県が今後展開すべき産業経済政策の方向性及び緊急的に取り組むべき具体的施策を提示する和歌山県経済活性化プログラムを策定し、和歌山県経済の活性化に取り組むこととしてございます。具体的内容は現在検討中でございますが、いずれにいたしましても、活力ある経済基盤を確立するためには、関西国際空港の活用ですとかオンリーワン技術の開発支援等によりまして、和歌山県のポテンシャルを生かした取り組みを推進することが県民所得の向上につながるものと考えてございます。
 次に、県下における情報通信基盤のブロードバンド化とケーブルテレビ事業の今後の取り組みについてお答えをいたします。
 県内におけるITの活用を進めていくためには、議員ご指摘のとおり、それを支える情報通信基盤の高速・大容量化が必須条件となってございます。高速情報通信基盤につきましては、民間の電気通信事業者による基盤整備を基本としつつも、民間事業者単独での整備が困難な地域につきましては、今後のIT社会の進展を踏まえ、国の公共投資の動向、現在提供されているNTTの電話回線を使ったADSLやCATVに加え、今後普及が期待される無線アクセスや次世代移動通信システムなどの通信メディアの特性等を総合的に勘案しながら、情報サービスの内容の充実やITを利活用する能力の向上と一体となったブロードバンド基盤の整備を図ることが重要であると認識してございます。
 新宮周辺広域市町村圏でのケーブルテレビ事業につきましては、テレビの難視聴対策への活用や来るべき放送のデジタル化への対応に加え、行政情報の伝達、医療、福祉、防災、教育等の公的サービスにおけるIT導入の基盤として整備が予定されているものでございまして、今議会におきましても国の補正予算を受け、一億八千万円の補正をお願いしているところでございます。県といたしましては、地元市町村におけるITを活用した地域活性化への広域的な取り組みを踏まえつつ、今後ともその整備促進を支援してまいりたいと考えてございます。
 次に、葛城山頂に観光を含めた風力発電所を設置してはとのご質問でございます。
 自然エネルギーの一つであります風力発電は、売電事業としてだけではなく、地球環境保全や地域の観光振興の観点からも注目され、導入が進みつつあるところでございます。しかしながら、風車の建設に当たりましては、風向、風速などの風況がすぐれていることはもちろん、自然公園法を初めとする規制あるいは建設地周辺における搬入路や配電線等を有していることなど、さまざまな条件をクリアしていることが必要でございます。
 和泉葛城山系を初め、県内における風力発電施設の導入につきましては、事業主体の検討も含め、これらの条件を勘案しながら研究をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) ご質問の二点についてお答えいたします。
 まず、農林水産業を含む産業の衰退のうち農林水産業についてでございますが、議員お話しのように、非常に厳しい状況にございます。こうした状況の中にありまして、本県では地域の特性を最大限に生かした農林水産業の振興が基本でございまして、後継者の育成確保対策を初め、コスト低減のための園内作業道等の基盤整備、また光センサー選果機や水産物の鮮度保持施設など、近代化施設の整備に努めているところでございます。特に、本年度よりミカンにつきまして生果の価格安定のため果樹経営安定対策が実施されることとなっておりますが、制度のより有効な運用を図るとともに、他の果実につきましても実施されるよう国に対しまして引き続き要望してまいりたいと考えてございます。また、森林整備など自然環境を回復させるとともに新たな雇用を創出するための緑の雇用事業を積極的に推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、林道紀泉高原線の国道四百八十号までの延長についてでございますが、林道紀泉高原線は、打田町神通の県道泉佐野打田線を起点に那賀町切畑地内に至る林道として平成十二年度に完成し開通したものでございます。周辺の森林整備を初めといたしまして、葛城山周辺の貴重な森林やハイランドパーク粉河などの周辺施設を利用した地域間の交流促進に生かされてございます。
 議員ご提案の国道四百八十号への接続につきましては、葛城山頂付近から林道及び町道を経由してかつらぎ町下広口付近で連絡するルートや、かつらぎ町の北端尾根筋付近を経由して連絡するルート等が考えられます。
 林道は、大切な森林の管理あるいは林産物の搬出、さらには森林体験への活用などを目的に開設するものでございまして、その必要性や採択条件等について検討し、計画する必要がございます。また、周辺地域は金剛生駒紀泉国定公園等に指定されていることや、地形的に急峻な箇所が想定されることから、ルートや工法等についても技術的な検討をする必要があると考えてございます。
 いずれにいたしましても、町の計画が重要でございますので、関係町の要望に応じ、関係部局と協議、検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 新産業の創出の方策についてでございますが、現在、県ではベンチャーの事業化支援のため、SOHOなどの施設整備、産学官交流・研究を初め、新技術開発や経営革新に対する支援、IT関連産業を創出するため株式会社バーチャル和歌山設立支援やふるさと和歌山わいわい市場の運営、IT投資のための融資制度の新設、和歌山県観光産業ネットワーク促進等のEビジネス支援を行っているところでございます。
 新産業の創出は、経営ノウハウ、技術、情報活用などが必要であり一朝一夕にはまいりませんが、事業の構想から成長、事業に至る各段階において総合的な支援を実施することにより、新産業の創出、雇用の新たな創出に今後とも取り組んでまいります。
 次に、和歌山県の完全失業率でございますが、都道府県の数値は五年に一度の国勢調査時のみに出されます。議員ご指摘のとおり、十月の近畿の完全失業率は六・五%でございます。現在の諸状況を考えますと、本県は近畿の六・五%より少し高いのではないかと推測してございます。
 次に、失業雇用問題に対する取り組みでございますが、県内の厳しい雇用失業情勢については、県として早急に対策を講じる必要があるため、副知事を本部長とする和歌山県景気雇用対策本部会議を開催し、緊急な取り組みをまとめたところでございます。景気雇用対策の施策といたしましては、緊急雇用創出のための緊急雇用創出特別基金、四十二億五千万円を創設、平成十六年度までにおおむね四千人規模の雇用創出を図ることとし、ただいま全体計画を策定中でございます。緑の雇用事業等、早急に着手すべき事業等、先ほど申し上げました特別基金等につきましては、今議会に補正予算案をお願いしているところでございます。
 また、雇用のミスマッチの解消の施策や失業者の生活安定支援を実施することとしてございます。さらに、緊急経済対策として、県内中小企業者に対する制度融資の拡充や離職者が創業するための金融支援措置並びに新産業の創出等の環境整備の推進や県内産品の活用等により県経済の活性化を図ってまいりたいと考えてございます。
 これらの施策を有機的、機能的に実施するとともに、国の総合雇用対策等との連携を密にし、雇用失業の救済に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 流域下水道事業の推進についてお答えいたします。
 下水道は、快適に暮らせる生活環境を整えるとともに、美しい川や海などの水環境を保全する大変重要な施設であり、都市との交流を進める上でも積極的に整備していかなければならないと考えております。
 紀の川中流流域下水道事業につきましては、去る十月二日に都市計画決定の告示を行い、現在、測量調査、設計などを行っているところでございます。今後とも、那賀郡六町と連携し説明会を実施するなど、関係住民の理解と協力が得られるよう取り組んでいくとともに、来年度から幹線管渠の工事と処理場の用地取得に着手することといたしております。
 なお、平成十四年度政府予算に関して、紀の川中流流域下水道の推進について国に対し強く要望しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併についての二項目のご質問に一括してお答えいたします。
 まず合併重点支援地域の指定についてでございますが、現在、県内七つの地域で複数市町村で組織する研究会が設置されております。その中でも、那賀郡六町及び田辺周辺十カ市町村で組織する研究会では各市町村が補正予算を組んで調査研究事業を行うなど取り組みの熟度が高まっており、現在、これらの二地域の各市町村長に対しまして合併重点支援地域に指定することについての意見を聞いているところでございます。また、それ以外の市町村長に対しましては合併推進の立場から重点支援地域の指定要請の意向についてお聞きをしているところでございます。
 次に、合併した市町村と合併に参加しない市町村への国の支援格差についてでございますが、ご質問にもございましたように、国、地方を通じて巨額の借入金残高を抱え、いずれにいたしましても地方行財政の構造改革が方向としては避けられない状況の中で、今後の地方財政の見通しについても極めて厳しいものがございます。市町村合併を行ったところとそうでないところでは、結果として将来行財政基盤に格差が生じるものと考えております。したがいまして、このようなことを見通すとき、市町村の合併によって行財政基盤の充実強化に努めていくことが重要であると、このように考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三番佐田頴一君。
○佐田頴一君 もう余り時間がありませんので、簡単に再質問をさせていただきます。
 知事から先ほど開かれた和歌山県ということでご答弁をいただきましたが、知事は二十一世紀の和歌山の三つのテーマとして、開かれた和歌山県、自立する和歌山県、チャレンジする和歌山県ということで、諸課題に向かって立ち向かっていきたいということを述べております。そういう意味で、県も既に県新時代を開く戦略的構想として六つの構想を発表されておるわけであります。そういうことから考えますと、長期計画はできておりますが、中期計画をぜひとも立てていただいて、あと九年ということになりますが、九年の歩みというものを──大変暗い時代でございます。私は三つの問題を指摘しましたけれども、もっともっと明るいことを県民に知らしていくのも大変政治の責任だろうと私は思います。そういう意味で、具体的な見取り図というようなものをつくっていただきたいなということで、再要望しておきます。
 それから、先ほど雇用の問題を承りましたが、実は先般、運営委員会で山形県へ視察に行きました。そのときに、山形県の補正予算が七十六億四千六百万円でございまして、そのうちの九割強が雇用対策の予算だというふうに聞いてきました。国の緊急雇用対策創出特別交付金、これは山形県の場合は四十七億五千万ですが、これに県が独自で十億円上積みして五十七億五千万円の予算化をしております。そういう意味で、和歌山県においてもこの基金について、大変厳しい予算の中だと思いますが、上積み等についても検討していただいて問題解決に当たっていただきたいと思います。
 ただ、この緑の公共事業の話もよく出ますけれども、緊急雇用創出特別基金の活用は、今言いましたように六カ月しかないわけです。六カ月雇っていただくとそれで終わりと、こういうことになりますので、その六カ月以後の問題についても十分県の方でご検討いただいて、今言いましたように何とかずっといけるような形をとっていただかなかったら、六カ月だったらもう行かないという人もたくさん出てくると思いますので、六カ月の後の問題についてもこれから──まだ始まったばかりですから──十分ご検討をいただきたいと思います。
 最後ですけれども、町村合併の問題です。
 どうしても期限内に合併するという目標を立てるとすれば、やっぱり合併専属の担当職員が要ると私は思うんです。合併しなさい、しなさいと言うているぐらいではなかなか進んでいかないと思うので、専任の職員さんというか指導する職員さん、そういう人をつくっていただけるのか、できないかによって、期限内にできるかできないか、はっきりしてくると思いますので、まずこの専任の職員さんを県の方で置く予定があるのかどうか、それもお伺いして、再質問を終わります。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 合併についての専任職員の再質問がございましたけれども、この四月に市町村課内に合併のための推進室というものを設けて専任職員を置いておりますけれども、各振興局とか、いろんな関係もございますので、十分検討してまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 三番佐田頴一君。
○佐田頴一君 今、合併のだけご答弁をいただいたんですが、私は中期計画の問題と、そして雇用の基金の六カ月採用後の問題についてどういうふうに考えているのかということを、もう一回再質問します。
○議長(井出益弘君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問でございます。ご要望とお聞きしておりましたので答弁いたしませんでしたけれども、改めてご答弁をいたします。
 今、日本の国も財源問題、いろんなことで非常にはっきりしません。それから、地方自治の方も、交付税の問題とか補助金の問題とか、これからどうなってくるか正直言って形がはっきりしない中で、しかしながら、一つの和歌山県の進むべき方向というものを示していかなければならないということがあるわけです。その中で、この道を何年までにつくりますとか、この道をどういうふうにしますということは、なかなか今までと違ってしがたい。だけど、大きな夢みたいなものをビジョンとして示していきますというご答弁を申し上げました。私の考えはそういうことでございます。
 それから、市町村の合併でございます。
 なかなか難しい問題なんですけれども、これは正直言って非常に厳しくなってきておりまして──雇用の六カ月の話は、これはもう本当に今先生のおっしゃるとおりで、今度のやつは失業対策的な非常に短い期間の雇用ということでございます。私が考えております緑の雇用事業というのは、もう少し長期的に都会の人が地方へ入ってきていろいろな活動をする、その中で地方もあわせてそのことの中からいろんな産業が生まれ、富が生み出されるというふうな仕組みを考えているということなので、言ってみれば今度の短期的な基金事業というものを呼び水にして、その後はさらに国に働きかけて大きな補助事業を仕組んでいくなり、県として単独でいろんなことを考えていくというふうな努力が非常に大事だと思っておりまして、現に今そういう方向で担当部局の方を指示しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、佐田頴一君の質問が終了いたしました。

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