平成13年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十三年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
     ─────────────────────
議事日程 第二号
 平成十三年十二月十日(月曜日)午前十時開議
  第一 議案第百四十六号から議案第百五十一号まで(知事説明・質疑)
  第二 議案第百三十号から議案第百四十五号まで、並びに報第七号から報第十号まで(質疑)
  第三 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百四十六号から議案第百五十一号まで(知事説明・質疑)
   二 議案第百三十号から議案第百四十五号まで、並びに報第七号から報第十号まで(質疑)
   三 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十三番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         安   居       要
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       増   田   充   孝
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    大   岡   淳   人
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      井   口   好   晴
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
     ─────────────────────
  午前十時八分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、報告いたします。
 十二月七日に行われました皇孫殿下のご命名の儀に対し、県議会として賀詞を奉呈いたしました。
 次に、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百四十六号から議案第百五十一号まで】
○議長(井出益弘君) 日程第一、ただいま報告の議案第百四十六号から議案第百五十一号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明を申し上げます。
 我が国経済は、同時多発テロ事件の影響等による世界経済の減速により景気は一段と悪化し、雇用情勢においても大変厳しい状況にございます。このような状況の中、国は中長期的な視点に立ち、個人消費を初め民需主導の持続的な発展を図る観点から、各般の構造改革を積極的に推進するため改革先行プログラムを策定し、あわせて第一次補正予算が編成されたところでございますが、さらなる対応として構造改革を加速しつつ、デフレスパイラルに陥ることを回避するため緊急対応プログラムを策定し、第二次補正予算の編成が行われているところでございます。
 県といたしましても、県内の厳しい経済雇用情勢にいち早く対応するため、景気雇用対策本部において、労働局等との連携のもと、県内主要企業や団体等のヒアリングを実施し実態把握に努めるとともに、対策について検討を重ね、このたび対策本部において取りまとめられた内容を盛り込んだ補正予算案を編成し、ご提案をさせていただきました。
 なお、国の第二次補正予算への対応につきましては、国の編成状況を見守りながら的確に対応してまいりたいと考えております。
 以下、今回の補正予算案の主な内容についてご説明を申し上げます。
 まず緊急雇用対策についてでございますが、国の第一次補正予算を受け本県に交付される緊急地域雇用創出特別交付金四十二億五千万円を原資として、新たに基金を設置いたします。この基金を活用して、森林環境保全対策を初めとした緑の雇用事業関連や廃棄物対策等の環境関連事業、教育・治安対策、電子県庁の推進など、本県の実情に即した緊急に対応すべき事業を平成十六年度末まで実施し、雇用就業機会の創出を図ってまいります。
 なお、これらの事業のうち、今回の補正予算におきましては、緑の雇用事業に関連する事業として不在村森林所有者等の整備のおくれた森林の現況把握や広葉樹植栽等による環境の整備、熊野古道や高野町石道を緑の回廊とするための修景整備事業等を計上し、あわせて雇用の創出を図ってまいります。
 次に中小企業金融対策として、雇用情勢が悪化する中、非自発的に離職された方を対象にした創業支援制度を創設するとともに、不況対策特別資金の金利の思い切った引き下げを行う等、融資制度の拡充を図り、取り組んでまいります。
 また、失業者の生活安全対策として、失業等により生計維持が困難となった失業者の世帯の自立を図るため、離職者支援資金貸付制度を創設することといたしております。さらに、ITの活用による地域の活性化対策として、高速インターネットの利用やコミュニティーチャンネル等の利用のほか、防災、福祉、教育などのさまざまな公共の分野で活用が可能であるケーブルテレビ網の広域的な整備を促進するため、導入に取り組んでいる新宮周辺広域市町村圏の市町村に対し助成することといたしております。
 牛海綿状脳症対策やテロ対策につきましても、検査機器の整備を図るなど、危機管理対策の充実に努めてまいります。
 最後に災害関連事業といたしまして、秋雨前線の活発化による大雨等に伴い発生した災害の早期復旧を図るため、所要の措置を講じることといたしております。
 これらの結果、総額で六十三億二千二百万円の増額補正となり、平成十三年度一般会計の補正後予算額は五千八百三十六億六千二百万円となっております。
 なお、今回の補正予算の財源につきましては、国庫支出金、地方交付税、県債等をもって充当することといたしております。
 次に条例案件でございますが、議案第百四十七号から議案第百五十号は職員等の給与改定に伴う関係条例の改正であり、去る十月十六日に出された県人事委員会勧告を受けて、期末手当の年間支給月数引き下げ等を実施するために所要の措置を講じるものでございます。
 また、議案第百五十一号は今回の補正予算に伴う建設事業市町村負担金について議決をお願いするものでございます。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
○議長(井出益弘君) 以上で、当局の説明が終わりました。
  【日程第二 議案第百三十号から議案第百四十五号まで、並
        びに報第七号から報第十号まで】
  【日程第三 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第二、議案第百三十号から議案第百四十五号まで、並びに知事専決処分報告報第七号から報第十号までをあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 三番佐田頴一君。
  〔佐田頴一君、登壇〕(拍手)
○佐田頴一君 それでは、議長のお許しをいただきましたので、これから一般質問をさせていただきたいわけでございますが、まず、質問に先立ち、十二月一日にお生まれになられました皇太子妃雅子様の初めてのお子様のご誕生を心からお喜び申し上げます。二十一世紀は女性の時代だと言われていますが、それを象徴するような女性のご誕生でありました。新宮様・愛子様の健やかなご成長と明るい家庭を築かれるよう、心からお祈り申し上げます。
 また、ワールドカップ、デンマークサッカーチームのキャンプ地が和歌山県に決まったこと、知事初め県誘致委員会の皆さんのご努力に感謝を申し上げ、これからの具体的な取り組み、県民へのPR活動になお一層頑張っていただきたいと思います。
 それでは、きょうから四日間、質疑及び一般質問となりますが、そのトップを切らせていただくことになりました。そのようにご配慮をいただいた議員皆さん方にお礼を申し上げて、代表質問に入りたいと思います。
 今、時代は明治維新、戦後の大改革に次ぐ第三の大きな転換期を迎えております。よく「失われた十年」と言われますが、バブル崩壊後、我が国経済は長期にわたり低迷を続けております。社会に閉塞感が充満する中で、いわゆる右肩上がりの成長神話は崩壊し、これまでの仕組み、中央集権的な手法の行き詰まりはさまざまな点で明らかになってまいりました。人々は自信を失い、将来に大きな不安を抱いています。国債・地方債発行残高六百六十六兆に象徴されるとおり、私たちは子や孫の代にまで引き続きこの繁栄を約束できるのか、それとも背負い切れない負の遺産を残してしまうのか、まさに岐路に立たされております。
 こうした状況を背景に、小泉首相は「改革なくして景気回復なし」を強く訴えてまいりました。六月二十六日にいわゆる「骨太の方針」を示して以降、その道筋や優先順位を明らかにした「改革工程表」や「改革先行プログラム」も整え、道路四公団の統合や民営化に代表される特殊法人改革、医療制度改革などを通じて徐々に具体的な施策が示されつつあります。今後具体的にあらわれてくるであろう国民の痛みがどの程度になるのだろうか、今、かたずをのんで注目しているところであります。
 これを受けて我が和歌山県も、木村知事を迎えて果たしてどのような二十一世紀になっていくのだろうか。現状の閉塞感から一日も早く脱却しなければならない世の中にあって、知事の手腕に大きな期待を寄せているところであります。この和歌山の新しい世紀を迎えて、県民みんなが希望に満ちあふれた二十一世紀未来の創造は、知事のリーダーシップによる改革に立ち向かう志と決意にかかっていると思います。
 まず、二〇一〇年(平成二十二年)中期を目標とする二十一世紀前期の新和歌山国づくり構想、グランドデザインをつくっていただき、県民に夢と希望を与えることも大切な政治の責務であると思いますので、まず知事に二十一世紀初頭の新和歌山国づくり構想の一端を示していただきたいと思います。知事のご所見をまずお伺いいたしたいと思います。
 そこで、この前提となる最近の和歌山県の現況を少し述べてみたいと思います。
 一、人口減の歯どめ問題であります。どこまで進むのか、県内の人口減であります。
 特に、県都和歌山市の急減が目を覆います。待望久しかった関西国際空港が開港できてもう七年、高速道路が大阪の幹線とつながって十二年、紀勢本線の新大阪駅乗り入れから十三年、インフラ整備や交通アクセスが整ってきたにもかかわらず、和歌山市の人口は昭和五十七年四十万二千九百六人が平成十二年三十八万六千五百一人に落ち込み、最近では平成七年から十一年までの減少は七千三百人の激減であり、その傾向は一向にとまっていないのが今の姿であります。少子高齢化進行の二十一世紀は何をおいても人口減を食いとめ、逆に人口の増加対策を考えなければ県、市のあすはありません。県全体で昭和五十八年の人口百八万九千三十三人から平成十三年四月の百六万六千三百五十四人となり、ほとんどの市町村でも人口減少が続いております。まず、人口流出防止と増加対策をお尋ねいたしたいと思います。
 次に、県民所得の減少についてであります。
 国民体育大会があった昭和四十六年の県民所得は全国で二十六位と聞いていますが、平成の時代に入って全国四十位前後に低迷していると言われています。この結果を見ても、ここ二十年近くは確実に県民所得が衰退し、将来は極めて悲観とならざるを得ない状況であります。県民所得向上のため、今県が、県民が何をなすべきか、それにどう立ち向かうのか、その方法や手段をお教え願いたいと思います。
 次に、農林水産業を含む産業の衰退防止と新産業創出の方策についてであります。
 和歌山本来の住友金属や石油を初め、繊維、染色、木材、家具や農林水産物など、これまで和歌山の産業を支えてきた地場産業はいずれも国外に生産シフトを移行され、空洞化が目立ち、将来の見通しが全く立たない時代であります。旧来型産業や農業は、国際化の進展などで人件費の安い世界の製造工場の地位を固めた中国など海外に移るため、日本の分野は知識集約型産業の分野しか残らないと言われています。和歌山での新産業や新しい農林水産業など、興せる環境にあるのかどうか、甚だ疑問であります。県内の新産業の受け入れ体制をまず整備しなければ、これらの施設は生まれてこないと思います。また、農林水産業に従事する人たちはどんどん高齢化が進み、あと十年も経過すれば農業に従事する人はほとんどなく、後継者も育っていません。将来、価格保証や生産量を保障しない限り、国から幾ら食糧安保や自給率向上を叫ばれても、農業に従事する人がいなくなり、現在の姿を維持することすらできるかどうか疑問であります。
 しかし、このまま産業や農業の地盤沈下をただ見ているだけでは能がありませんので、経済の地盤沈下防止のための新しい施策を生み出せないかどうか、よい案があれば示してほしいと思います。
 四に、失業、雇用の問題であります。
 福沢諭吉の「心訓」の中に「世の中で一番寂しいことはする仕事がないことです」と述べています。出口が見えない景気低迷の中にあって、最近遂に完全失業率が過去最悪の五・四%、三百五十二万人以上の完全失業者が出ており、関西地区ではもっと高く六・五%。和歌山県は一体どの程度なのでしょうか、お聞きしたいと思います。
 ITバブルによるソニー、松下、富士通などの大会社のリストラはこれから始まると言われており、産業の空洞化は中小企業や自営業者を直撃しています。緊急雇用対策法案が国会に提出され、中小企業対策でのセーフティーネットの早急な整備が図られても、具体的にこの人たちをどうやって助けるのか疑問であり、定職につけないフリーターと呼ばれる人、新卒の就職希望者の就職がかなえられない人、四十五歳以上の求人は非常に厳しく、この人たちの具体的な救済方法が余り聞こえてこず、不安ばかりを募らせています。果たして和歌山に雇用創出への新たな特効薬があるのだろうか、再就職先への紹介ができるのであろうか、この失業の痛みを最小限に食いとめる方策があるのだろうか、緊急雇用基金条例が今期に提案されているが、この程度でいいのだろうか、心配でなりません。
 国の雇用対策の中に公的雇用公共サービスで三年間、五十万人の臨時雇用を生み出すと述べ、他府県でも国の対策とは別に県独自の雇用創出の支援を計画している府県もあります。また、一日当たりの労働時間を短くして仕事を分かち合うワークシェアリングの本格導入に向け検討を開始するところもあると聞いているが、ハローワークに頼らない県当局の失業雇用問題に対する認識度と雇用失業救済に対する取り組みについてお教えください。
 以上、一から四までの質問について、目の前の課題にどう対応し解決してくれるのか、明るい希望の持てる答弁を各担当部長からお答えいただきたいと思います。
 次に、県下における情報通信基盤のブロードバンド化とケーブルテレビ施設整備事業についてお尋ねいたします。
 ITは、私たちの生活様式を根底から変革し、豊かな生活環境をもたらすとともに新たに地域の活性化をも可能にし得るものであることから、県では積極的な活用、推進に取り組んでいるものと認識しております。本県でのIT活用を積極的に推進していくためには、その基盤となる情報通信ネットワークの全県域での整備構築を進め、情報格差の是正を図っていかなければなりません。先日発表された和歌山県IT戦略の中間報告においても、県下一円を対象とした情報通信基盤のブロードバンド化が重点戦略として位置づけられ、平成十三年度までにおおむね全世帯において整備を図るとされており、大変心強く思っています。
 しかし、情報通信基盤につきましては、まず民間通信事業者の整備に負うところが大でありますが、民間事業者単独による情報通信基盤整備の進展が困難な地域を多く抱える本県にあっては、国、県を初めとした公的部門による支援も重要であると考えています。このような中で、現在、三重県内においてケーブルテレビ事業を展開している第三セクターの株式会社ZTVの新宮周辺広域市町村圏への進出が計画されております。ケーブルテレビ事業は、高速インターネットも可能なケーブルテレビの整備を図るものであり、これによりテレビの難視聴地域の解消はもとより、行政情報の提供、住民の健康管理や在宅看護、防災、学校教育など、さまざまな分野での活用が期待されているところであります。
 そこで、当局にお伺いします。県としては県下における情報通信基盤のブロードバンド化とこの新宮広域市町村圏におけるケーブルテレビ事業について今後どのように取り組んでいこうとしているのか、企画部長にお伺いをします。
 次に、コスモパーク加太についてであります。
 先日の新聞報道にもあったように、県土地開発公社の保有する未利用土地の検討委員会からコスモパーク加太の開発についての基本的な考えを示されました。コスモパーク加太の土地区画整理事業は当面凍結すべきというものであります。バブル経済崩壊後の地方の景気は回復基調と言われる時期にも全く好転せず、近年は特に厳しい状況にあります。地価の下落傾向が続く中、住宅需要が低迷しています。また、工場も安価な労働力を求め、争って海外へ移転し、遊休土地がどんどん生まれているのが現状であります。可能性のある地域であるから整備すれば必ずうまくいくといった期待感によって開発整備に先行投資をするのは大変危険な時期になっているわけであります。
 コスモパーク加太に時代が要求する新しい町並みが早急に整備されることを期待していた私にとって、委員会の意見は大変残念なことではありますが、最近の社会経済情勢を見るとやむを得ないものと考えます。とは申しましても、コスモパーク加太は二十一世紀の和歌山県にとっては非常に大きなポテンシャルを持った貴重な財産であります。大阪湾を取り巻く社会経済交流の一翼をなし、関空を基点とした国際交流の中心地として県勢発展に寄与することのできる将来性豊かな地域であります。いずれにしても、委員会の意見はコスモパーク加太の町づくりは長期的な視点に立って考えていかなければならないことを示唆しておりますが、知事はコスモパーク加太の今後の整備についてどのような考えであるのか、その見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、林道紀泉高原線延長と風力発電所の新設についてであります。
 昭和七年度から工事が始まった林道紀泉高原線が完成し、関係者、地元の皆さんの喜びの中で開通のお祝いをいたしましたが、この林道は打田町神通の県道泉佐野打田線を起点に那賀町中尾に至る全長十・六キロメートル、幅員六メートルの林道で、この沿線には国の天然記念物のブナ林やキャンプ場を備え、粉河町ハイランドパークを含み、関西国際空港も一望でき夜景の名所として有名になりつつある場所で、和歌山と大阪の交流が深まるにつき、自然を楽しむ観光客の増加が見込まれる地域であります。
 しかし、この完成された立派な林道も、現状のままでは山頂でストップしてしまい、このままではせっかくの投資も半減となっています。そこで、この林道をもっと有効に利用するため、現在の終点の葛城山頂からもう少し東側に林道を進め国道四百八十号線に接続すれば泉佐野打田線と国道四百八十号線が結ばれることになり、国定公園の日帰り観光名所として大いに売り出せる地域であると確信しています。知事は、和歌山は大自然を売り物に都会の人との交流をふやすことにより商売もでき利益も得られることなど、地域の力を高めることが大切と述べています。そのためにもまず、葛城山頂より東側ルートとして国道四百八十号線までの延長を早急に計画してほしいのであります。
 次に、この地域は国定公園に指定されているので、どんな建物、施設でもできる場所ではありませんが、一つの観光の目玉をつくる必要があります。他府県も実施している風力発電所施設をつくればよいと考えています。青森県青函トンネル入り口にある竜飛岬の風力発電施設を視察してまいりましたが、立派な観光名所になっています。今、世界の風力発電容量はこの十年間で六倍以上に広がり、地球温暖化防止対策として風力への期待が追い風となり、日本は九九年の発電容量はドイツの六十分の一にとどまっていますが、利用できる自然の恵みを逃がしているわけであります。
 最近になって、企業や団体が使う電気を風力発電などの自然エネルギー発電に転換するグリーン電力証書システム制度が動き出しており、本年平成十三年度中に二十社がこの制度を取り入れられ、千葉県銚子市にできた風力発電所の電気を買うソニーが第一号となっています。風力は自然に無尽蔵にあり、紀伊半島や大阪湾から暖かな水と風を運び込まれる和泉葛城山頂に大規模な風力発電所を設置すれば、すばらしい景観となります。国の建設補助が認められず風力発電を断念した御坊周辺広域圏組合の一件もありますが、施設規模を出力千五百キロワットにすれば二〇〇二年からでも建設費補助が認められることになっていますので、一度、和歌山県も年間風速や発電量予測調査などを実施し、この新設に向けた動きを開始してくれないかどうかも含み、林道は農林水産部長に、風力発電は企画部長にお尋ねいたします。
 次に、紀の川中流流域下水道那賀処理区の事業についてであります。
 国の経済財政諮問会議において、下水道整備については普及率の向上により整備テンポをおくらせるとの意見もあり、地方における道路整備や下水道整備などの基盤整備が今後国においてどのように取り扱われるかが非常に気がかりなところであります。こうした構造改革の動きを背景に、紀の川中流流域下水道那賀処理区事業についてご質問いたします。
 下水道は、豊かな自然環境、快適で文化的な生活環境にとって重要な都市基盤施設であります。平成十二年度県政モニターアンケート調査によりますと、県民が要求している整備を急ぐ公共事業は、一位、道路、二八・二%、二位、下水道、二六・〇%、三位、街路、一〇・二%等々という結果が出ております。このように、下水道に対する県民のニーズは非常に高いものと思われます。
 しかしながら、本県の平成十二年度末下水道普及率は一〇%であり、ようやく二けたとなりましたが、全国平均六二%に対して著しく低位な状況であり、依然として全国最下位と聞いております。また、下水道、農業集落排水、合併浄化槽等により生活排水処理を行っている汚水処理施設整備率についても、全国平均七一%に対し二七%で、同様に全国最下位と聞いております。
 このような状況下で、私たちが快適な日常生活を営む上で欠かすことのできない施設として、また公共用水域の貴重な水資源を未来に引き継ぐため、下水道整備が早急に必要であると考えております。特に那賀郡では、年々都市化が進行し、住民の生活環境の改善はもとより、紀の川を初めとした公共用水域の水質保全を図る上で下水道整備が急務となっております。伊都処理区が事業着手以来約二十年の歳月を要し、本年四月より一部供用を開始されたところでありますが、平成十四年度の国における公共投資の削減、特に下水道事業費を大幅に削減する動きの中、厳しい財政状況下でありますが、今年度より事業着手された紀の川中流流域下水道那賀処理区について早急に整備を進めていただきたいと思います。那賀処理区の現状並びに今後の取り組み、国への働きかけについて土木部長からお伺いいたしたいと思います。
 最後に、町村合併の進捗状況と合併実現への時期についてであります。
 地方分権の受け皿として町村合併のシナリオがつくられ、和歌山県でも県内五十市町村を最少八市一町、最多で十市七町となる合併パターンをまとめ、合併推進要綱も既に発表されているが、その後、正式な合併協議会の発足を見たという情報は聞こえてきていません。現在では、合併、合併というかけ声だけで具体的な目標や合併への手順まで踏み込んだ合併推進に必要な合併推進プログラムもできていない現況と思いますが、どうでしょうか。
 小泉首相は、全国知事会議であめとむちをどう考えて市町村合併を進めていくのか考えていかなければならないと述べ、財政支援などの優遇策だけでなく、強制的な手法を用いても合併を進める可能性を示唆している中にあって、本県でも知事を本部長とする市町村合併支援本部を、各振興局に地域支援本部を設置し、市町村においても海南市・海草郡、那賀郡、有田市・有田郡、御坊市・日高郡、田辺広域などの七地区で研究会が発足しており、各市町村においてもそれぞれ検討がなされ、また県は合併パターンの例示、「県民の友」七月号の合併特集の掲載、シンポジウムの開催、新たな合併推進事業補助金を創設し、機運の醸成に努められていますが、いつまでにどういう手法と手順でどことどことの町村が一緒になって合併を達成しようという具体的な組み合わせ合併案は示されておらず、県内の合併問題はPR程度に終わっており、一歩も前進していないようであります。
 最近、総務省は市町村合併を円滑に進めるための手順を示した運営マニュアルを発表したが、合併実現までの準備期間の目安は最少でも二十二カ月必要と、その具体的な流れを説明しています。合併期限の二〇〇五年三月三十一日までに余り時間的余裕はありません。
 知事は、市町村合併は自然体で合併し、県は合併を強制しないとこの議会で再三述べていますが、市町村合併に対する地域住民の関心は、メリットがある反面デメリットもある合併のあり方をめぐる議論はここに来ても全く低調であり、無関心であるため、既に定着している市町村をいじることは住民の反発も予想される中、合併しようとする機運も生まれにくく、市町村の自主性ばかりを強調している限り合併実現は進まないと思います。
 次に、和歌山県の合併はいつごろまでに終了するのかという期限であります。国は合併期限内と言っていますが、私は、合併を進めるためにはきちんと年限を切った市町村再編しか合併を進める最善の策はないと思っています。国は現在三千二百二十三の市町村を三分の一以下にする方針を打ち出し、片山総務相は地方行政体制の再整備を進めるため千程度にすると述べ、できれば合併特例法の制度の期限である二〇〇五年三月までにこの数字に近づけたいと目標年次、目標数値を挙げられているが、和歌山県の市町村再編を促すためのめどはいつごろに立てられているのか、法期限を守るための計画と時期をお聞かせください。
 次に、都道府県における平成十三年度中のできるだけ早い時期に知事を長とする全庁的支援体制を設置し、少なくとも数カ所の合併重点支援地域を指定した上で、管内の市町村の合併に向けた取り組みについて全庁的に計画的かつ積極的な支援策を講じることが望ましいと指示されているが、和歌山県の合併重点支援地域に指定されている市町村はどこの地域となっているのか、明確にしてほしいと思います。
 また、市町村合併に反し合併に参加せず、合併期限内に合併しなかった市町村に対する処置についてでありますが、国の支援はどうなるのだろうかという問題であります。いろんな方面で国の支援を受けられるのか、合併しない町村は現在のような支援を維持できるのかどうか、疑問であります。昭和三十年の大合併のときは合併に参加しなかった町村ほど優遇されてきたと伝えられてきておりますが、合併しなかった町村への国の支援、例えば交付金の削減など考えられますが、削減までに進んでいくのだろうか。町村合併へ参加するのかしないのかの一番大事な問題点であります。以上の問題点について総務部長に答弁を求めます。
 これで、第一回の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの佐田頴一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問、まず最初に二十一世紀初頭の和歌山づくりの構想についてということでございます。
 今、国も小泉首相のもと厳しい構造改革を進めているわけでございますが、いま一つ不安感が高まっているのは、二十一世紀に日本の国がどういうふうな形になっていくのかという姿がもうひとつ示されていないというところに国民の不安が高まっている一つの原因があろうかと思います。そういう意味で私も、非常に難しい中ではありますけれども、和歌山県の進むべき姿というものをひとつ示していく必要があろうというふうに思っているところでございます。
 そういう中で、まず一つには私は開かれた和歌山ということを言っておりまして、和歌山県、これから特にこの和歌山から橋本にかけての紀の川流域については関西大都市圏の外環部として大きく発展していくことを期待しておりますし、それから中紀、南紀につきましては大変豊かな自然を生かしながら都市との交流によっていろんな産業を生み出していくという形で大きく発展していく姿を思い描いているところでございます。そしてまた、それにあわせて紀の川流域では京奈和自動車道であるとか府県間道路、そして紀中、紀南では高速道路の南伸、こういうふうな骨格的な道路の整備ということを進めていきたいと。
 産業につきましては、中国の発展もありまして製造業を日本で新たに立地するということは非常に困難になっている中、和歌山県に今まである地場産業でありますとか第一次産業をブラッシュアップして、和歌山でないとできないというふうな高付加価値のものを生み出していくような仕組みを考えていきたい。これは県だけで考えることができるわけではありませんので、いろいろTLOとか、そしてまた民間の方々と協力することによって進めていきたいというふうに思っております。
 そしてまた、過疎対策ということにつきましては、私はつい先日、緑の雇用事業というものを提案いたしました。これは、前から言っております新しいふるさとづくり運動というものの一環でございまして、せっかく和歌山は隣に八百八十万の人口のある大阪というものがあるわけで、こういうところとか都会の人たちが今、非常に熊野とかそういうふうな自然の中にあこがれる気持ちが高まっているわけで、こういうところとの交流の中で、趣味的に移ってくる人があっても構いません、そして職を求めて移ってくる人があっても構いませんけれども、そういうふうな形で新たに都市から地方への人口流動を起こすような仕組みをやっぱり国として考えるべきときが来ているんじゃないかと。そして今、小泉構造改革の中で痛みを伴う──本当に現に痛みを伴ってきているわけで、そういうものと組み合わせながら新しい国土のあり方というふうなものを考えていく時期が来ているんじゃないかということで緑の雇用事業というものを提唱したわけでございますが、これを和歌山だけにとどまらず広く近畿圏、そしてまた日本全国でこういうことが起こっていくような仕掛けを今一生懸命考えているということがございます。
 それからもう一つは、今ちょっと下火になりましたけれども、やはり日本の国はこれからIT化が進んでいくと。和歌山県でもこのIT、ブロードバンドとかそういうもののうまい活用の仕方によっては、医療とかいろんな面で高齢化社会等に対応できる非常にいいツールになってくるというふうに考えております。
 和歌山県をただ単に全国でやったことの後追いをするような県にするんじゃなくて、例えばIT特区というふうなものを和歌山県の中に設定して──これは田辺や白浜地域でも構いませんし、そしてまた今度有線放送が三重の知事とお話しして入ることになった、協力して行う新宮・熊野地域でもいいんですけれども、こういうふうな地域。いろんな形でITの先進地にしていくというような努力。そしてまた、ITだと都市だけでなくて地方でも新しい事務所をつくることができるという話も聞いております。現に来てくれているところもあるので、そういうものを呼び込んでいくような努力をしていきたいと思っております。
 それからまた、和歌山県は非常に高齢化が進んでおります。まあ日本全国で高齢化が進んでいるので、私は二十一世紀には日本の国全体が高齢化の中でどういうふうな発展を遂げていくかというモデルを早くつくらないといかんというふうに考えておりますけれども、和歌山県でも何とか、単なる福祉という観点だけじゃなくて、高齢化の中での県のあり方というふうなものを考えていくことも必要であると考えております。
 いずれにせよ、こういうふうなことも含め、今ビジョンというものを考えているわけですけれども、今までの時代と違って非常に変化が激しい。そして国の方も、先ほど言いましたように方向が定まっていないというところもありますので、常に見直し、そして新しい方向にキャッチアップするような形でのビジョンというふうなものを県議会の皆様と一緒に考えていきたい、そのように考えているところでございます。
 それから、第二点目のコスモパーク加太の構想でございます。
 コスモパーク加太については、非常に夢の多い地域でありますとともに、先ほどご質問にもありましたように、はっきり言いまして今大変な状況に──これは借入金でやっているもんですから──なってきておりまして、和歌山県の土地開発公社は中央の方でも日本の国で一番大変な土地開発公社の一つというふうに認識されているところでございます。
 こういうところに、今どこが来てくれるということが決まらないままさらに二百億近いお金を投入して土地区画整理を行うということは、これはもうはっきり言って考えられないことであります。しかしながら、そうかといって、これはそのまま手をこまねいているわけにはいきませんので、一つには毎日かかっていく必要な経費をできるだけ減らしていくと。そしてまた、銀行等との金利の交渉であるとか、そういうふうなこともいろいろ進めていく。それからもう一つは、今までは売却ということが唯一の処分の方法であったと考えたわけでありますけれども、賃貸であるとか、個別分割割賦であるとか、そういうふうないろんな処分の方法ということも多面的に考えていかなければならない。もうとにかく土地がバブルのときと違って大いに下がっているわけですから、そのことを前提として何とかこの問題を処理していく方法について今鋭意検討を進めているところでございます。これはいいというふうなアイデアがありましたら、ぜひ議員各位からもお話をいただいて積極的に対応していきたいと、このように思っております。
 次に、市町村合併についてでございます。
 市町村合併はもう大変な問題でございまして、和歌山県でも鋭意進めているところでございます。そしてまた、私の感じでも、他の県に比べて和歌山県下の市町村は、この合併というものに対する認識が非常に高い──まあ住民まではわかりませんけれども──というふうに思っております。
 ただ、二〇〇五年三月という法律の期限があり、さらにその前に大体二十二カ月ぐらい時間がかかるということから言えば、これはゆっくりしていられるような状況ではないということが一つあります。そしてまた、先般、私、東京の方へ行ってきましてこの問題の責任者とも会ってまいりましたけれども、かなり厳しいことを言っていました。今までは原則的には強制はしない、地方の自主性に任せるということでしたけれども、先ほどのご質問にもありましたが、あめとむちというような形、そのむちの方──こんなのは僕は出てこないことを望んでおりますけれども、とにかく厳しい見方というものが出てきていることは間違いありません。
 今、小泉構造改革は公社、公団の見直しとか、そういうところに目が行っていますけれども、いずれこの市町村合併ということが一番中心的な話になってくるというふうにも思っておりますので、そういうふうな厳しい状況というものも踏まえながら、和歌山県でも合併重点地域の指定を行い、さらにそれについてどういうふうな今後の対応をとっていくか、真剣に対応をしていきたいと、このように考えております。
 私からは以上でございます。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 四点についてお答えを申し上げます。
 まず、人口流出に歯どめをとのご質問についてでございますが、少子化の時代にございまして、人口の流出を防止し、あるいはその増加をしようということにつきましては、いろんな面、さまざまな面からの努力が必要であろうと考えてございます。
 まず最初に、知事も新しく提案されましたように、都会生まれ、あるいは都会育ちの人々に対して本県が新しいふるさとを提供したり、あるいは中山間地域での雇用創出など、いわゆる緑の雇用事業に積極的に取り組みまして、いわば人口の逆流動を起こすといったような新しい発想での取り組みが重要であると思っております。また、あわせまして、魅力ある就業の場を確保、創出するため、若い人たちがみずからの知識あるいは技術、センスを生かして既存の地場産業あるいは農林水産業などの高度化、高付加価値化に取り組むことや、新規創業に挑戦することなどを積極的に支援する環境づくりが必要であると考えてございます。
 また、これからの社会におきましては、自然に恵まれた豊かな環境が住まいの場として人々を引きつけたり、情報基盤の整備と相まって情報産業などの新たなビジネスチャンスを生み出してくるものというふうな期待もいたしているところでございます。こうした新たな時代潮流を踏まえまして、それぞれの地域の特色を生かした定住条件の整備、Iターンの推進などの施策に努め、和歌山県の人口減少に対応し、さらにはその増加に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、県民所得の減少についてでございますが、和歌山県における一人当たりの県民所得は、全国平均と比較しておおむね八割前後で推移してございます。その一つの理由として、産業構造の転換のおくれが挙げられると思います。さらに、ニットなど全国有数の地場産業につきましても、中国等の台頭によりそのシェアを奪われるなど、非常に厳しい現状でございます。こうしたことが県民所得の大部分を構成します雇用所得、あるいは企業所得などに大きく反映、影響しているものと考えてございます。
 しかし、一方、和歌山県には独自の技術を生かして世界的なシェアを持つすぐれた企業があることもご承知のとおりでございます。こうしたことを踏まえ、現在県が今後展開すべき産業経済政策の方向性及び緊急的に取り組むべき具体的施策を提示する和歌山県経済活性化プログラムを策定し、和歌山県経済の活性化に取り組むこととしてございます。具体的内容は現在検討中でございますが、いずれにいたしましても、活力ある経済基盤を確立するためには、関西国際空港の活用ですとかオンリーワン技術の開発支援等によりまして、和歌山県のポテンシャルを生かした取り組みを推進することが県民所得の向上につながるものと考えてございます。
 次に、県下における情報通信基盤のブロードバンド化とケーブルテレビ事業の今後の取り組みについてお答えをいたします。
 県内におけるITの活用を進めていくためには、議員ご指摘のとおり、それを支える情報通信基盤の高速・大容量化が必須条件となってございます。高速情報通信基盤につきましては、民間の電気通信事業者による基盤整備を基本としつつも、民間事業者単独での整備が困難な地域につきましては、今後のIT社会の進展を踏まえ、国の公共投資の動向、現在提供されているNTTの電話回線を使ったADSLやCATVに加え、今後普及が期待される無線アクセスや次世代移動通信システムなどの通信メディアの特性等を総合的に勘案しながら、情報サービスの内容の充実やITを利活用する能力の向上と一体となったブロードバンド基盤の整備を図ることが重要であると認識してございます。
 新宮周辺広域市町村圏でのケーブルテレビ事業につきましては、テレビの難視聴対策への活用や来るべき放送のデジタル化への対応に加え、行政情報の伝達、医療、福祉、防災、教育等の公的サービスにおけるIT導入の基盤として整備が予定されているものでございまして、今議会におきましても国の補正予算を受け、一億八千万円の補正をお願いしているところでございます。県といたしましては、地元市町村におけるITを活用した地域活性化への広域的な取り組みを踏まえつつ、今後ともその整備促進を支援してまいりたいと考えてございます。
 次に、葛城山頂に観光を含めた風力発電所を設置してはとのご質問でございます。
 自然エネルギーの一つであります風力発電は、売電事業としてだけではなく、地球環境保全や地域の観光振興の観点からも注目され、導入が進みつつあるところでございます。しかしながら、風車の建設に当たりましては、風向、風速などの風況がすぐれていることはもちろん、自然公園法を初めとする規制あるいは建設地周辺における搬入路や配電線等を有していることなど、さまざまな条件をクリアしていることが必要でございます。
 和泉葛城山系を初め、県内における風力発電施設の導入につきましては、事業主体の検討も含め、これらの条件を勘案しながら研究をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) ご質問の二点についてお答えいたします。
 まず、農林水産業を含む産業の衰退のうち農林水産業についてでございますが、議員お話しのように、非常に厳しい状況にございます。こうした状況の中にありまして、本県では地域の特性を最大限に生かした農林水産業の振興が基本でございまして、後継者の育成確保対策を初め、コスト低減のための園内作業道等の基盤整備、また光センサー選果機や水産物の鮮度保持施設など、近代化施設の整備に努めているところでございます。特に、本年度よりミカンにつきまして生果の価格安定のため果樹経営安定対策が実施されることとなっておりますが、制度のより有効な運用を図るとともに、他の果実につきましても実施されるよう国に対しまして引き続き要望してまいりたいと考えてございます。また、森林整備など自然環境を回復させるとともに新たな雇用を創出するための緑の雇用事業を積極的に推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、林道紀泉高原線の国道四百八十号までの延長についてでございますが、林道紀泉高原線は、打田町神通の県道泉佐野打田線を起点に那賀町切畑地内に至る林道として平成十二年度に完成し開通したものでございます。周辺の森林整備を初めといたしまして、葛城山周辺の貴重な森林やハイランドパーク粉河などの周辺施設を利用した地域間の交流促進に生かされてございます。
 議員ご提案の国道四百八十号への接続につきましては、葛城山頂付近から林道及び町道を経由してかつらぎ町下広口付近で連絡するルートや、かつらぎ町の北端尾根筋付近を経由して連絡するルート等が考えられます。
 林道は、大切な森林の管理あるいは林産物の搬出、さらには森林体験への活用などを目的に開設するものでございまして、その必要性や採択条件等について検討し、計画する必要がございます。また、周辺地域は金剛生駒紀泉国定公園等に指定されていることや、地形的に急峻な箇所が想定されることから、ルートや工法等についても技術的な検討をする必要があると考えてございます。
 いずれにいたしましても、町の計画が重要でございますので、関係町の要望に応じ、関係部局と協議、検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 新産業の創出の方策についてでございますが、現在、県ではベンチャーの事業化支援のため、SOHOなどの施設整備、産学官交流・研究を初め、新技術開発や経営革新に対する支援、IT関連産業を創出するため株式会社バーチャル和歌山設立支援やふるさと和歌山わいわい市場の運営、IT投資のための融資制度の新設、和歌山県観光産業ネットワーク促進等のEビジネス支援を行っているところでございます。
 新産業の創出は、経営ノウハウ、技術、情報活用などが必要であり一朝一夕にはまいりませんが、事業の構想から成長、事業に至る各段階において総合的な支援を実施することにより、新産業の創出、雇用の新たな創出に今後とも取り組んでまいります。
 次に、和歌山県の完全失業率でございますが、都道府県の数値は五年に一度の国勢調査時のみに出されます。議員ご指摘のとおり、十月の近畿の完全失業率は六・五%でございます。現在の諸状況を考えますと、本県は近畿の六・五%より少し高いのではないかと推測してございます。
 次に、失業雇用問題に対する取り組みでございますが、県内の厳しい雇用失業情勢については、県として早急に対策を講じる必要があるため、副知事を本部長とする和歌山県景気雇用対策本部会議を開催し、緊急な取り組みをまとめたところでございます。景気雇用対策の施策といたしましては、緊急雇用創出のための緊急雇用創出特別基金、四十二億五千万円を創設、平成十六年度までにおおむね四千人規模の雇用創出を図ることとし、ただいま全体計画を策定中でございます。緑の雇用事業等、早急に着手すべき事業等、先ほど申し上げました特別基金等につきましては、今議会に補正予算案をお願いしているところでございます。
 また、雇用のミスマッチの解消の施策や失業者の生活安定支援を実施することとしてございます。さらに、緊急経済対策として、県内中小企業者に対する制度融資の拡充や離職者が創業するための金融支援措置並びに新産業の創出等の環境整備の推進や県内産品の活用等により県経済の活性化を図ってまいりたいと考えてございます。
 これらの施策を有機的、機能的に実施するとともに、国の総合雇用対策等との連携を密にし、雇用失業の救済に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 流域下水道事業の推進についてお答えいたします。
 下水道は、快適に暮らせる生活環境を整えるとともに、美しい川や海などの水環境を保全する大変重要な施設であり、都市との交流を進める上でも積極的に整備していかなければならないと考えております。
 紀の川中流流域下水道事業につきましては、去る十月二日に都市計画決定の告示を行い、現在、測量調査、設計などを行っているところでございます。今後とも、那賀郡六町と連携し説明会を実施するなど、関係住民の理解と協力が得られるよう取り組んでいくとともに、来年度から幹線管渠の工事と処理場の用地取得に着手することといたしております。
 なお、平成十四年度政府予算に関して、紀の川中流流域下水道の推進について国に対し強く要望しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併についての二項目のご質問に一括してお答えいたします。
 まず合併重点支援地域の指定についてでございますが、現在、県内七つの地域で複数市町村で組織する研究会が設置されております。その中でも、那賀郡六町及び田辺周辺十カ市町村で組織する研究会では各市町村が補正予算を組んで調査研究事業を行うなど取り組みの熟度が高まっており、現在、これらの二地域の各市町村長に対しまして合併重点支援地域に指定することについての意見を聞いているところでございます。また、それ以外の市町村長に対しましては合併推進の立場から重点支援地域の指定要請の意向についてお聞きをしているところでございます。
 次に、合併した市町村と合併に参加しない市町村への国の支援格差についてでございますが、ご質問にもございましたように、国、地方を通じて巨額の借入金残高を抱え、いずれにいたしましても地方行財政の構造改革が方向としては避けられない状況の中で、今後の地方財政の見通しについても極めて厳しいものがございます。市町村合併を行ったところとそうでないところでは、結果として将来行財政基盤に格差が生じるものと考えております。したがいまして、このようなことを見通すとき、市町村の合併によって行財政基盤の充実強化に努めていくことが重要であると、このように考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三番佐田頴一君。
○佐田頴一君 もう余り時間がありませんので、簡単に再質問をさせていただきます。
 知事から先ほど開かれた和歌山県ということでご答弁をいただきましたが、知事は二十一世紀の和歌山の三つのテーマとして、開かれた和歌山県、自立する和歌山県、チャレンジする和歌山県ということで、諸課題に向かって立ち向かっていきたいということを述べております。そういう意味で、県も既に県新時代を開く戦略的構想として六つの構想を発表されておるわけであります。そういうことから考えますと、長期計画はできておりますが、中期計画をぜひとも立てていただいて、あと九年ということになりますが、九年の歩みというものを──大変暗い時代でございます。私は三つの問題を指摘しましたけれども、もっともっと明るいことを県民に知らしていくのも大変政治の責任だろうと私は思います。そういう意味で、具体的な見取り図というようなものをつくっていただきたいなということで、再要望しておきます。
 それから、先ほど雇用の問題を承りましたが、実は先般、運営委員会で山形県へ視察に行きました。そのときに、山形県の補正予算が七十六億四千六百万円でございまして、そのうちの九割強が雇用対策の予算だというふうに聞いてきました。国の緊急雇用対策創出特別交付金、これは山形県の場合は四十七億五千万ですが、これに県が独自で十億円上積みして五十七億五千万円の予算化をしております。そういう意味で、和歌山県においてもこの基金について、大変厳しい予算の中だと思いますが、上積み等についても検討していただいて問題解決に当たっていただきたいと思います。
 ただ、この緑の公共事業の話もよく出ますけれども、緊急雇用創出特別基金の活用は、今言いましたように六カ月しかないわけです。六カ月雇っていただくとそれで終わりと、こういうことになりますので、その六カ月以後の問題についても十分県の方でご検討いただいて、今言いましたように何とかずっといけるような形をとっていただかなかったら、六カ月だったらもう行かないという人もたくさん出てくると思いますので、六カ月の後の問題についてもこれから──まだ始まったばかりですから──十分ご検討をいただきたいと思います。
 最後ですけれども、町村合併の問題です。
 どうしても期限内に合併するという目標を立てるとすれば、やっぱり合併専属の担当職員が要ると私は思うんです。合併しなさい、しなさいと言うているぐらいではなかなか進んでいかないと思うので、専任の職員さんというか指導する職員さん、そういう人をつくっていただけるのか、できないかによって、期限内にできるかできないか、はっきりしてくると思いますので、まずこの専任の職員さんを県の方で置く予定があるのかどうか、それもお伺いして、再質問を終わります。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 合併についての専任職員の再質問がございましたけれども、この四月に市町村課内に合併のための推進室というものを設けて専任職員を置いておりますけれども、各振興局とか、いろんな関係もございますので、十分検討してまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 三番佐田頴一君。
○佐田頴一君 今、合併のだけご答弁をいただいたんですが、私は中期計画の問題と、そして雇用の基金の六カ月採用後の問題についてどういうふうに考えているのかということを、もう一回再質問します。
○議長(井出益弘君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問でございます。ご要望とお聞きしておりましたので答弁いたしませんでしたけれども、改めてご答弁をいたします。
 今、日本の国も財源問題、いろんなことで非常にはっきりしません。それから、地方自治の方も、交付税の問題とか補助金の問題とか、これからどうなってくるか正直言って形がはっきりしない中で、しかしながら、一つの和歌山県の進むべき方向というものを示していかなければならないということがあるわけです。その中で、この道を何年までにつくりますとか、この道をどういうふうにしますということは、なかなか今までと違ってしがたい。だけど、大きな夢みたいなものをビジョンとして示していきますというご答弁を申し上げました。私の考えはそういうことでございます。
 それから、市町村の合併でございます。
 なかなか難しい問題なんですけれども、これは正直言って非常に厳しくなってきておりまして──雇用の六カ月の話は、これはもう本当に今先生のおっしゃるとおりで、今度のやつは失業対策的な非常に短い期間の雇用ということでございます。私が考えております緑の雇用事業というのは、もう少し長期的に都会の人が地方へ入ってきていろいろな活動をする、その中で地方もあわせてそのことの中からいろんな産業が生まれ、富が生み出されるというふうな仕組みを考えているということなので、言ってみれば今度の短期的な基金事業というものを呼び水にして、その後はさらに国に働きかけて大きな補助事業を仕組んでいくなり、県として単独でいろんなことを考えていくというふうな努力が非常に大事だと思っておりまして、現に今そういう方向で担当部局の方を指示しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、佐田頴一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番中山 豊君。
  〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長から発言の許可を得ましたので進めてまいりますが、与えられている時間内に用意した原稿のままを申し上げると言い尽くせない点があろうかと思うので、要点だけを先に申し上げます。
 皆さんにお渡ししている質問の項目表を見てください。四点あります。県下七市の都市基盤整備、二点目は伝統工芸品教育事業について、三点目はイノブタ論争を試みる、四番目は生石高原ススキ原復元についての諸問題、この四項目であります。さしずめ、質問しようとする要点だけを申し上げておきたいと思います。
 県下七市の都市基盤整備というのは、建設常任委員会で県内を視察して回りました。もう至るところでさまざまな要求が県政に投げかけられておるわけなんですが、さしずめ七市の皆さんはことごとく、都市基盤を整備して町を中心としながらその地方の発展のために寄与するというふうな形で燃えておるんですが、特に道路の問題等については県の力の支えがなければどうにもならないと、こういう切実な要求が寄せられているところであります。
 こういう点について、振興局単位であれこれ取り組まれるということでは物事は片づかないんではないか。先ほど来の知事の答弁にもありましたけれども、新しく和歌山県が発展するとするならば、新時代を開く構想を持って当たるというふうなことからしたら、今までのような形態ではちょっと臨めない、こういう感じがしてなりません。マクロ的に和歌山県をどうするかという観点からの迫り方が必要であろうと考えて、ひとつそういう立場からの推進方をお願い申し上げようというところで一番目の問題を掲げたわけであります。
 二つ目、伝統工芸品教育事業。これは、なかんずく海南市の紀州漆器の問題であります。もう低迷がかなり長い期間続いているんですけれども、後継者が生まれてつつがなく海南市の紀州漆器が雄々しく発展するというふうな兆しが一向に見えてこない。これをどうするかというところからいろいろと考えたところ、経済産業省からですか、本年度から新規に事業を立ち上がらせて伝統工芸品教育事業なるものを始めました。これに大きく期待しながら、後継者をどうつくっていくかということに絡んでのお話であります。
 三つ目は「イノブタ論争を試みる」という変わった提起の仕方をしておるんですけれども、県が開発をしたイノブタがやたらとそのあたりに繁殖して増殖し、農産物を荒らし農地を荒らすという被害が続出しているところから、地域の人たちからのお訴えをそのまま提起をしようとするものであります。
 県はしかし、これはイノブタだというふうな明確な対応と答弁をされようとしないのが今までの話であります。せんだって、共産党が議員団を中心にして地方の皆さんと一緒になって来年度の予算編成に向けていろいろ要望を重ねたその席上でも、この問題を投げかけたところ、イノブタだとは言えない、言わない。イノブタは、野に放ち山に放たれると、みずからがえさをとって生き延びているというふうなことにならないでやせこけて飼育されたもとのところへ戻ってきたと、こういうふうな言われ方さえするような話であります。ハンターにしろ、被害を受けている地域の農民や地域の人々は、すべてイノブタだと言っている。この認識を誤っているとするならば、その誤った認識を誤っているとして対処していく取り組みが県の立場においてなされるべきではないか。こういうふうな観点から、ハンターとか地域の人たちから言われているそっくりそのままを代弁して議会を通じて当局の皆さんに投げかけ、いやそうじゃないんだ、そうだというふうなやりとりをして、しっかりした自然認識に至るように供しようとするものであります。
 さらに、その被害をどう防止するかというふうな観点も抜かしてはならない課題だと、その中に入れているわけであります。
 四つ目、これは二回目の訴えですが、生石高原スキキ原復元の問題であります。
 これは、県の行政のあれこれにかかわってみると、自然公園班とか土木だとか、いろいろかかわってくる部署がありますが、それぞれがばらばらに対応したとしてもあの広大な自然に対応していくような好ましい施策が打ち出されにくいという実感を持つので、大所的、高なる立場からマクロ的に、あの自然をどう生かし、我々に供するような状態に持っていくかと、こういうふうな立場からの問題提起であります。
 要点を言えばそういうふうなことですが、せっかく与えられた時間のいっぱいを使ってご説明してまいりたいと思います。
 第一番目の七市の基盤整備の問題ですけれども、これは橋本市に例をとってみたら、国道三百七十一号にかかわるバイパスの問題が都市基盤整備の上から欠かすことのできない課題だということが冒頭に訴えられます。まだほかにもありますけれども。
 和歌山市は、特に中心街への流入交通の円滑化の問題が長年訴えられているわけですが、それらに対する対応が遅々として進まないという現状を訴えられるところであります。以下、ずうっと海南市から田辺、新宮市にまで至るところ、すべてそれにかかわるような、類するような問題が訴えられるんですけれども、いずれにせよ、今日県内で検討され始めている市町村合併問題に絡ませても、当然、問題視される課題であります。また、七市をそれぞれ取り巻く各地域においても急がれなくてはならない課題がその中に絡まってくるわけであります。
 そういうふうにして見ますと、いずれも市街地へのアクセス整備がおくれているというのが共通であります。県下地方都市の基盤に係る道路やこれらの整備について、それぞれの市が独自に取り組まれていかなければならない問題ですけれども、県が強力な、しかも計画的な支援策を立ててこそ和歌山県の活性化に大きな見通しが立つものであろうと、こういうふうにも考えられます。長期的展望を持って七市と県による対策協議会を打ち上げてかかるべきではないかというふうにも考えるわけであります。してみると、いずれの形にせよ、振興局単位で事に当たるにしては、全体的な課題追求には迫力が欠けるというふうな感じがしてなりません。県政全体をマクロ的に見て課題解決への手だてを組んでいく、それに値する課題だというふうに考えて問題提起を申し上げておきます。
 二番目は、伝統工芸品教育事業であります。
 平成十三年度から新規事業として興された児童生徒に対する伝統工芸品教育事業は、今日的に海南の紀州漆器を再生、興隆させるための大きな支えになるであろう、こういうふうに期待しているところであります。それだけに、この事業の実施に当たっては、経済産業省の所管する事業だから教育委員会は関係ないなどというようなことじゃなくて、それらを相絡ませながら、学童、生徒に対して、この事業がつつがなく受け入れられるような進め方をしていただきたいわけであります。この事業が広く多くの人々の漆器への関心を深めるということについては、多大な成果を期待することができるでしょう。経済産業省が所管する事業だといって教育行政は横を見て通るというようなことであってはならない、こういうふうに思うから、統一的にこの問題がつつがなく発展していくようにお取り組み願うわけであります。
 伝統工芸品教育事業は、伝統工芸士が保持する伝統的技術や技法に触れたりすることにより伝統的工芸品に対する関心を高め、伝統的工芸品の製造にかかわる人材の発掘や確保を図ろうとしているところです。しかし、実際現地でなされている状況を見れば、漆器のほんまものに迫る取り組みとはほど遠い。短絡化して、多数の児童生徒や人々が体験学習に参加してくれているというその一面だけを見て、漆器とは何たるものかというものに迫っていくそういう事業にはなっていないのではないかという危惧が感じられるわけであります。
 例えば、体験学習一つとってみたとしても、漆器というのは木地とか塗りとかまき絵とか沈金とかというそれぞれの部門に分かれて、全体として一つの商品、作品ができ上がっていくという工程でなされているわけであります。体験学習はただ単にまき絵だけで事済まされているとするならば、ほんまものに迫るということにはほど遠いということを申し上げたかったわけであります。
 「ほんまもん」というのは今NHKテレビで朝流されておりますけれども、あれはただ単に本宮を中心とする熊野の話だけではなくて、紀北の海南にさえほんまものを要求しなくちゃならないようなそういう事態、これを申し上げておきたかったわけであります。
 多くの人々に体験学習をしていただくことによって多くの人々に関心を寄せていただく、このことはよいことですけれども、後継者は自然発生的に生まれてくるものとは思われません。独自的に特別の手だてが必要であります。伝統工芸士はそれぞれの分野に分かれ、一人で最終製品までつくり上げることはできないという難しさがあると、このように本事業の実施要綱の中にも記されているわけであります。ほんまものに触れ、迫る構えと体制が求められてくるのが当然でありましょう。このように申し上げておきたいわけであります。
 重ねて申しますと、伝統工芸士たちの主体的な取り組みの構えとあわせて、一般的に広く多くの人々を対象にしないで、後継者育成のため特定された方々、すなわち工芸品教育で発掘された人材に特別の手だてを講じて集中的、持続的に研修を図ってもらう、その体制が行政に求められているのではないかと、こういうふうに考えるわけであります。後継者育成事業は工芸士の命をかけた仕事としてやってもらうという位置づけをもって、この産業をこの地域に将来残せるかどうかにかかわった仕事だという認識の上でこの事業を進めてもらいたいわけであります。
 紀州漆器は、先ほども申し上げましたように、木地、塗り、まき絵、沈金と四つの部門から成って、製品まで一人で仕上げることができない仕組みになっているということであります。しかし、ともすると、広く皆さんに漆を知ってもらうための講習会や児童生徒の体験学習となると、ほんまものに迫れない弱点をみずから持っているというふうに考えるわけであります。興味をそそるまき絵に集中して、それで終えてしまうというのが常であるからであります。今年度から始めた本事業をさらに実りあるものにするためには、以上申し上げたところを篤と受けとめていただきながら、来年度予算編成に向けても後継者育成のための取り組みを進めてもらいたいわけであります。
 特に、後継者育成及びそれの養育問題については、例えば伝統工芸士が、ごく少数でいい、四人、五人程度の生徒に集中的、持続的にある一定期間、四つの部門をすべて身につけさせていく取り組みを、会館などを利用して伝統工芸士が行政の補助を受けて進めるという事業の形態をつくり上げていただく。こういうふうなことにしないと、先ほども申し上げましたけれども、体験学習にたくさん人が集まってきてそれで事を済ませ、とにかく紀州漆器は万全なのだ、将来にわたっても大丈夫だというふうな誤った認識に陥らせてはならないのではないかと危惧されておりません。そういう立場から申し上げたかったわけであります。
 次に、三つ目のイノブタの問題であります。
 ここに言うイノブタは、ハンターの人たちや地域の人々、ことごとくイノブタだと表現されているからであります。学問的、学術的に事実を正確に表現しているかどうかは別です。ハンターや地域の人たちが申しているその言葉を、そのまま議会を通じて皆さんに申し上げたいところであります。これだけ県下でとやかく言われているにもかかわらず、県当局は何ら打ち消しもせず、認識の違いを正そうともしないのはなぜか、不思議でならないからであります。機会を得て正しい認識に立ち返る、こういうふうなことを念願してやみません。
 そもそもイノブタとは、在来のイノシシと豚をかけ合わせて県畜産課がつくったものであることから、もしこれがイノブタでないとするなら県民の認識を正確にしていただくことが必要であろうと、こういうふうな考えであります。これがやたらと増殖し、都市近郊にまであらわれ、農産物や農地を荒らし回るという事態に対しては、大きな異変と言えます。この異変に的確な対応が迫られているのではないかと考えるからであります。
 イノブタでないという具体的な理由を、よくわかるように述べていただきたい。私は、県民の方々やハンターたちから言われるイノブタではないかとの立場で、そっくりそのまま皆さんにご報告申し上げているところですけれども、いささか不明な点があるとするなら、学問的、科学的に検討、検証される必要があろうし、イノブタであるとするなら、県が開発した立場からそれへの対処が強く求められるのではないか。農業者を初め地域の人々やハンターから聞いたところからの話をそのままに冒頭に申し上げたところであります。
 さて、イノブタが出現している状況についてでありますが、ことしになって急に被害を訴える声が上がりました。タイワンザルに続いてのイノブタ被害であります。ただでさえ農業経営が窮地に追いやられているにもかかわらず、引き続いての被害で大打撃であり、農業放棄へとつながりかねないところになってきています。猿の捕獲が県の方針として決定され、農業者の心の安らぎかとの思いもつかの間、イノブタの稲作、カンショ、タケノコ、桃畑等への被害が拡大されてきているわけであります。
 被害の状況であります。高津の桃が、タイワンザルにやられながらも収穫期を越したところで、桃畑、中でも桃の木の根方を掘り返される。これでは桃の木が傷み、来年の収穫が見込めないと言う。和歌山市山東、岡崎方面では、来春に出てくるであろう地中のタケノコを掘り起こされて食われてしまうと言う。来春の収穫は見込めないと言う。海南市は孟子、野上新、ひや水地域にあっては、カンショ畑やら水田が荒らされ、稲はまだ十分結実していない乳状のうちに食べられ、収穫期は突っ立ったまま、稲穂は天を突いている。サツマイモはイモだけ巧みに食べられ、つるや葉は返されないでいるから被害を受けたとは見えない状態でやられている、このように申されます。山間地の飲料水のパイプや取水施設を壊されたり、まさに被害は多様であります。
 なぜ急増したかに触れてまいりたいと思います。
 イノシシは山深く山地に生息して、海南東部の山間などに出没することはなかったわけであります。本年、なぜイノシシが人家近くまで出現するようになったか。山にえさとなるものがなくなるという自然環境が劣悪化し、生態系が崩されたこと。また、それより頭数がやたらと増殖したからだとハンターや農業者は申されるわけであります。加えて、出現するのはイノブタであると言います。なぜイノブタなのかを関係者たちやハンターに聞きますと、次のように言われます。イノブタは県農林水産部畜産試験場が養豚農家の経営安定化のために改良開発し、増殖、生産物の品質向上、産地経営の近代化及び普及に努めてきた。いわば動物性たんぱく質の需要とイノシシ肉を好む嗜好に基づいて食肉環境に寄与するとの期待にこたえるため改良・開発し、普及に努めてきたと。よくご存じのようであります。しかし、肉食への嗜好傾向の変化及びイノシシでないイノブタ肉が求めに合致しないとして思うほど伸びてこないことから、それに向け当て込んで大量飼育した業者がその処置に困ることとなった。県下では該当する飼育者は平成十三年二月一日現在で次のようであるが、大量飼育している業者が困り抜いて野に放したとの話が、ハンターや地域の農業者たちからよく言われるところであります。
 ちなみに、イノブタ飼育農家戸数及び頭数は、るる当局から資料をもらったところによると、貴志川町を初め本宮町まで合わせて十二戸の方たちが飼育なさっている。頭数でいえば三百三頭。当局の方の話では、県内で放したりしたことはただ一頭もないと申される一方、なぜふえたのか──話は続きます。県外に持ち出され、それぞれ逃したり放したりしたと言われていることには触れられないわけであります。例えば、猟犬の訓練に使ったイノブタが逃げ出したなど、県外の事情は全く把握されていないようであります。
 増殖の理由として次のようにも話されているけれども、まさに県内のイノブタの状況については、ひょっとしたらそうかもわかりません。しかし、現実に海南市の東部にまで及んで、紀の川筋から始まって葛城山系、そのあたりに随分とたくさんあるわけであります。経験則からすると──海南のハンターたちの話ですが、一冬に二十頭、三十頭、ある冬には四十頭さえ捕獲したと、こういうふうな話がまことしやかに語られているところです。イノシシなんていうのは僕らの感じから言うとそんなにたくさんとれるものではないというふうに認識しているところですが、それほどに増殖していると、こういう話であります。イノシシは年に一回の出産であるのに対し、イノブタは二回。しかも、一回の出産数はイノシシは一、二頭であるけれども、イノブタは七頭から八頭だということですから、まさに急増の原因はここにあると見て間違いないだろう。こういうふうに考えるわけであります。
 さて、そういう状況から被害をどう防止するか、こういうふうなところに及ばなければなりません。
 皆さんから聞きますと、被害が出たら被害が出たとして自治体の長にその旨を申し上げる、自治体の長はそれがイノシシかどうかということを確かめて、イノシシだとなったら猟友会の皆さんに出動してもらってそれの捕獲のために働いてもらうと、こういうことであります。しかし、実態としては、ハンターの皆さん、猟友会の皆さんは老齢化してその求めに十分応じられる体制に今日的にはないと、地域の皆さんから聞かされるわけであります。
 被害が出たらまさにそのようなハンターたちに依拠して被害を防止するということだけれども、被害がなくなるためには、猟友会の皆さんに依拠しなければならないということのみならず、わな、くくりもこのごろ随分と皆さん普及しているみたいであります。わな、くくりというのは大変危険なようであります。イノシシが出たら、出たという山を猟友会の皆さんが取り囲んで、猟犬を連れてその山から追い出す、追い出されたイノシシは待ち構えているハンターたちの前に出現してくる、それで射とめると、こういうふうな仕組みのようですけれども、山の事情によって必要なハンターの数が確保できないということになってくると十分な効果を上げることにはならない。出動したからといって、必ず射とめるということの方が少ないようであります。そういうふうなことからしたら、ハンターをどう確保するかという問題であります。
 先ほど、県の猟友会の会長、県会議員の宗猟友会会長にもお聞きすると、まさに実態はそうだというお話ですけれども、少なくなってきておるからといって、それの補充は不可能かといったら決してそうではない。若い人たちにそのような立場に立って立ち働いてもらうというふうな取り組みをすれば、猟友会の皆さんの増員は可能だと申されます。その可能な条件を確保するための県行政の支援が要るであろうと、こういうふうに宗会長のお話を聞きながら思ったわけであります。
 銃を持ってやたらとだれしもが山に入るということができない。県知事の認可を受けた者だけが保有することができるわけです。その認可を持った若い人たちが、与えられたからといって銃が必ずしも巧みに操作できるものではない。巧みに操作できるような訓練をしなくちゃならない。訓練する場所が要る。その場所が県内にはないと、こういうお話であります。今日そういうふうな状況に陥りつつあるところでしかるべき対処方が要るのではないかということを、ここで申し上げたいわけであります。
 さらに、わなの問題についても、人々がそれぞれ勝手に、イノシシが出てくる、イノブタが出てくるからといって、山にくくりをかけに行くというふうなことにもならない。たまたまハンターの人たちが犬を連れて山へ入ったとする。イノシシに迫っていくために猟犬を放つ。むしろイノシシよりも、放った猟犬がかかって帰ってこない、こういう事態もよくあるみたいであります。ハンターたちは、犬が帰ってこないから山を駆けめぐって猟犬を探し求めるというふうな事態にもよく陥るようであります。だから、くくりとかわなとかいうのは、資格があるからといって、そうやたらと山に仕掛けていいものかどうかということも検討しなくちゃならない課題であろうと、こういうふうな形であります。
 だから、戻りますが、イノブタかイノシシかという判定はやがて科学的、学問的な検証と検討が必要なところに来ているとするならば、県はそのような立場で潔しとして、イノブタなのかイノシシなのか、県民やハンターたちが誤認しているあたりを明確に対応してあげていただきたいわけであります。
 次に、もう時間も迫ってきましたから、生石山の問題について申し上げたいと思います。冒頭にも申し上げましたように、二度目の取り上げであります。
 十一月の十八日に、ボランティアたちが二百名ほど集まってススキ刈りをしましたが、それに僕も参加して、事態はどういうことなのかということをつぶさに見てきたつもりであります。他の雑木が侵入してきてススキ原が大きく狭められているということは、まさにそのとおりであります。
 これを防ぐためには、あそこに火を放ち、ススキの原を燃やすことが一番効果的だということを共通認識として皆さんが皆持っているわけです。しかし、それがそのようなことになりにくい。山を取り囲む自然環境が、あるいはまた人為的な環境がそれを許さないというふうなことになっているようであります。これを、その燃やすということによってススキ原がつつがなく再現されるために、そういう条件を確保するいろいろな取り組みが要るであろう。そのいろいろな取り組みの中で、それぞれの分野、それぞれの与えられた部署でその課題を個々に追求しているようでは対応し切れないのではないかと、こういうふうな感じもします。例えば、道路の問題があります。例えば、あれを利用しようとする人々の数の問題もあります。自然公園を訪ねてくる人たちによってまさにもう一遍再認識してもらうというような問題もあります。さらには、開発ブームに乗せられて、あの周辺の山林地が開発の対象として多くの融資を受けて買われたという話もあります。買われたけれども開発に至らず、そのまま放置して償還期限が来て難儀していると、こういうお話でもあります。さらに、山に上がっていく道が整備されていないために、心ない人たちによって都市部から廃棄物が運ばれてきて路肩や山林に放置されるということも間々あるようであります。
 こういうふうなことに対処しようと思ったら、総合的に対応する協議会のようなものを立ち上がらせて検討し、それに迫っていくという、こういうふうなことがあるであろう。ましてや、あの山に上がっていく道の整備も求められておるようであります。かなり整備は進んでいるけれども、まだ狭隘なところが、数多くはないけれども残されておる。そういうふうなあたりは、やはり生石山高原が多くの人々によって利用され、そして特にあの高原を利用して青少年のいろいろな活動に供されるような環境を整備するためには、それぞれの部署、それぞれのところで個々ばらばらに対応するだけでは話にならんのではないか。
 例えば、あの生石高原の家。あれは、青少年課が担当しながらも、教育委員会とは何ら関係のないような話であります。だから、健全育成という立場から見たとしても、自然公園というサイドから見るのではなくて健全育成にかかわる青少年の分野で見たときに、ともに総合的に対応していくという行政の力の発揮のしようがどこかにあってしかるべきだと、こういうふうな点を申し上げながら、以上四点にかかわって、冒頭に申し上げたあたりを篤とお受けとめいただきながら、第一回の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 伝統工芸品教育事業についてお答えをいたします。
 県では、平成十二年に海南地域の漆器産地の活性化計画を策定し、この計画に基づいて漆器組合が行う事業の支援を行っているところでございます。特に、後継者の育成については重要なことだと認識をしてございます。伝統漆器技術者養成事業や漆器組合青年部への実技指導に取り組んでいるところでございます。今後とも、漆器組合及び地元海南市と十分連携をとりながら、漆器産業が新しい時代へ脱皮を図れるような取り組みを県も積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
 また、伝統工芸士の活用による伝統的工芸品教育事業については、教育委員会とも連携をとりながら事業の周知を図ってまいります。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) イノブタなのかイノシシなのか、その実態についてのご質問でございますが、豚はもともとイノシシを改良したものでございまして、イノシシの血液が濃くなればなるほどイノブタとの判別は難しくなってまいります。畜産試験場におきましては、イノブタの子の配布を行っておりますが、雄のイノブタにつきましてはすべて去勢をして農家に配布してございます。
 なお、近年、農家から豚やイノブタが逃げたり放逐されたという情報は入ってございません。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) イノブタに関する三点についてお答えいたします。
 まず、イノブタの野外における繁殖状況については、近年、狩猟関係者等から伺ってはおりますが、その存在の有無や生息状況については現在までのところ把握できてございません。
 野生下でのイノブタの存在の確認方法については、イノシシと同種であり、DNA鑑定によって可能かどうかなど技術的な問題もあることから、今後の課題と認識しております。
 次に、イノシシが人里近くに多く出没するようになった原因については、耕作放棄地の増加によりイノシシのえさ場やぬた場などの生息域が人里近くに増加したことや、シイやドングリの実を供給する広葉樹林が減少したこと、あるいは狩猟者が減少したことなども人里におりてくる原因となっているものと考えております。
 次に被害駆除策について、近年の被害発生量の増加に対しては、今年度から県といたしましても有害駆除事業に対しての市町村補助制度を創設したところでございます。今後は、今年度の状況を踏まえつつ有害駆除事業に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、狩猟者の減少に関する点でございますが、本県のみならず、全国的に狩猟者数は減少傾向にあります。その対策として、環境省及び大日本猟友会において一般啓発用冊子の作成や狩猟者資格取得手続の改善対策の検討、狩猟者定着対策の検討などが行われているところでございます。本県におきましても、これらを踏まえ、今後の対策について検討を進めてまいりたいと考えております。
 続きまして、生石山のススキ草原の保全・復元活動につきましては、本年四月、ボランティアの方々によって生石山の大草原保存会が設立され、自然観察会や資料展示、ススキ刈り取り会などの活動を実施していただいております。これらの活動に対する支援としては、本年度から地元の一市四町及び民間企業で構成する生石高原観光協会を窓口として保全活動に要する経費の一部を補助することとしているほか、先般実施されましたススキ刈り取り会に対しても職員を派遣するなど、同会と連携し、協力を行っております。また、こうした保存会の活動への参加呼びかけにつきましては、県の広報番組や関係市町の広報紙など、各種の方法で協力を行ってまいりました。
 また、山焼きに関しましては、大草原保存会も将来の目標であると言っておりますように、消火用水の確保や民有地の混在などの課題があるところですが、草原維持の効果的な手法の一つでありますので、地元市町や保存会の方々とも協議を行い、取り組んでまいりたいと思っております。
 議員ご指摘のとおり、生石高原のススキ草原は近畿でも有数の規模を持ち、多様な動植物が生息する豊かな生態系であります。この生態系を保存するため県では平成八年に生石高原県立自然公園の公園計画見直しを行い、保護計画及び利用計画を策定したところでありますので、今後ともこの計画を踏まえ、関係機関とも連携を図り、適正な利用を促進してまいります。
 また、生石高原の家は、昭和五十三年、地元市町村からの強い要望にこたえ青少年のための施設として開設したものでございますが、他の施設より小規模であり、利用団体の自主性を重視した施設としております。今後、生石山の自然環境を生かしていかに利活用できるのか、検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 県道野上清水線の生石高原までの間につきましては、特に交通の支障となる箇所に待避所を設置する等の現道対策を講じております。しかしながら、一部の事業区間につきましては地権者の協力が得られてございません。
 今後、地元関係者のご協力をいただきながら地権者のご理解を得てまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番中山 豊君。
○中山 豊君 生石山への道は、土木部長のお話のように随分よくなっております。改良してほしいと求められている箇所というのは、ごく──野上町から上がっていく道についてはそうたくさんあるとは申しがたいところにあります。だから、一層のご努力をお願い申し上げておきたいと思います。
 それと、特に生石山のススキ草原の保存問題については、山焼きというのは効果的な手法だというふうな当局のご認識をいただきました。まさに一緒であります。その効果的な手法をいかに実現するか、具現するかという点についての迫り方が今後の大きな課題であろうと思われますから、懸命な検討と各機関との調整を進めながら、どう具現するかの課題に迫っていけるように鋭意努力していただきたいとお願い申し上げておきたいと思います。
 イノシシの問題ですけれども、増殖して随分と被害が拡大されてきているという事実があります。そして、ハンターや地域の農業者や地域の人たちはイノブタだと申されている。それがそうでないとするんやったら、そうでないというふうにはっきりした理由でもって県が答えていく、こういうふうな立場に立たされているのではないかと。もしイノシシだとしたら、イノシシがこういう近郊に出てきて荒らし回るというふうなことになっているその具体的な関係をどう認識するか。自然が壊されて──イノシシは山深いところで生息して、人里に出てくるというふうなことがかつてはなかった。そういう事態が壊されて人里へ出てきて農地とか農産物を荒らす、これは何なのかと。それが、山が荒れてイノシシがすむことができなくて人里に出てこざるを得ないということであるとするならば、荒れている山をどうするかというふうな大きな課題に迫っていかなくちゃならないという問題もあるでしょう。
 だから、これはイノブタなのかイノシシなのか、こういう点についての判断は極めて重要な問題だと思われます。そして、イノシシのふえ方とイノブタのふえ方の違いからして、ふえているというこの事実からしたとしても、イノシシなのかイノブタなのかという点についてははっきり言えないというのもまさに問題であります。
 このまま放置すると、紀北だけにあるんではなくて、ただでさえ昔の県民が言っていたイノシシに加えてイノブタ、紀北の方でふえているイノブタが紀南の方へ伸びていって、さらに大きな自然を破壊し、農家や農産物を荒らすという、こういうふうな事態が出てこないとも限らない。まさに火を見るよりも明らかだというふうに申しておきたいと思います。しっかりとこれについての検証、検討を加えていただくことをお願い申し上げて、はっきり「そうします」と言ってほしいんだけれども、もう時間がないので終わります。よろしくお願いします。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後零時九分休憩
     ─────────────────────
  午後一時五分再開
○議長(井出益弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 議長のお許しを得て、一般質問を行います。
 私が今までの議会質問で一貫して訴えている考え方は、二十一世紀は積極的に和歌山のよさを全国にPRし、県民一人一人が知恵を出し合って、自分たちに必要な経費をみずから生み出すことが求められている時代であるということ、かつてのような国からの交付税や補助金等によって財源を賄うのではなくて、和歌山県内に蓄積されている資源や人材、生き抜くためのノウハウや知恵を使い、和歌山県自身の創造と努力によってそれをなし遂げることが二十一世紀の和歌山県政の進路であること、つまり無から有を生む発想で、県が独立国となって、国、世界を相手に県が財を生み、県民が幸せになる一石二鳥、一石三鳥の政策を生み出していく時代であることを提言してまいりました。その一つが世界遺産登録運動であります。その考え方に沿って、私はさきの九月議会での質問をさらに発展させるために、「京都議定書から読み解く二十一世紀の和歌山の挑戦」─新税・構造改革・画期的な雇用・都市との交流など地球を救う壮大な事業で日本一の環境知事に─と題して一般質問を行ってまいります。
 去る十一月十日、モロッコのマラケシュにおいて、地球温暖化ガスを削減する京都議定書の運用規則を定めた合意文書が採択され、離脱した米国を除き、日本など各国は二〇〇二年の発効に向け批准作業に着手することになりました。二十一世紀は環境の世紀と言われています。京都で行われましたそのシンボリックな会議が地球温暖化防止会議であり、そこで採択された京都議定書にかかわっている森林の大切さを私は九月議会で取り上げました。
 京都会議は、皆さんご存じのように、地球温暖化が進む現状を早急に食いとめなければならない、そのために各国が協力をして、温暖化の元凶であるCO2の排出量を削減しようではないかという会議です。CO2の排出の削減方法は、大まかに言うと、企業活動を縮小するか、森林の持つCO2吸収力によるものかの二通りです。しかし、各国はそれぞれの国の事情から企業活動を縮小してまで京都議定書に同意するわけにはいかないという国もあり、その一つがアメリカです。しかし、日本は幸い森林に恵まれていて、一九九〇年時点のCO2の排出量を、二〇〇八年から二〇一二年の間、平均で六%分削減することに協力することになりました。
 そこで、二十一世紀の我々が挑戦しなければならないことについて京都議定書から読み取れるポイントを考えてみましたので、知事のお考えをお聞きしたいと思います。
 まず、森林のCO2削減量の科学的な分析と金銭価値についてであります。
 和歌山県が、森林という地球にとってかけがえのない大きな宝を豊富に持っているということは、誇りと同時に、これは将来大変な収入財源になるということが京都議定書の中からわかりました。そして、CO2枠の売り買いが考えられるのです。つまり、近畿の府県を仮想の国際社会と見立てて、CO2枠のやりとりをしてはどうかというものであります。ご承知のように、地球環境のためのCO2削減に関する取り決めは、国際的に京都議定書により行われます。その京都が属する近畿においてこそ、まず先駆的に京都議定書の考え方、枠組みに取り組んでみてはどうかというものであります。CO2排出量の削減目標六%を、日本の場合、企業活動を縮小せずに、京都議定書にある日本のノルマである森林吸収力だけで達成しようとする場合ですが、これを公平に近畿各府県に六%削減義務を課すという前提で試算をしてみました。これをもう少しかみ砕いて説明をしてみたいと思います。そのために、私は図表を用意しました。この図表で説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。(図表を示す)
 この表は、皆さんご承知のように、日本で有数の杉、ヒノキ、そして広葉樹であります。一ヘクタール当たりのCO2の吸収量については、トンで計算されます。そこで調べましたら、杉は大体一ヘクタール当たり、成木で六十年で切るとしたら千本から千二百本らしいです。ヒノキもそのくらい。広葉樹でシイタケの原木林になるクヌギとかコナラ、こういう木は千五百本から二千本らしいです。
 そこで、この図の説明に入りたいと思います。この木が、一生でどれだけ、どういう期間にCO2を吸収しておるかと。十六まで升をつくっていますけれども、一齢級が五年です。そうすると、杉が一番CO2の吸収をしておるのが三齢級、十一年から十五年で十・九トンです。そして、ヒノキは同じく三齢級で、十一年から十五年。そして広葉樹は、緑の線ですけれども、六・四が四齢級、十六年から二十年だと思います。こういう形で杉、ヒノキ、広葉樹が吸収をされて、高低はありますけれども、もう植えたときからずっと切るまで吸収をしてくれると。こういうことが今まで評価されなかったということが一つ言えると思います。こういう、僕に言わせてもらったらぴちぴちの青年期というんですか、子供から青年期に入る、このころが一番吸収量が多いのですけれども、もう親のすねをかじらんでも、こういう若いときから吸収をしてくれておると。こういったことが、杉、ヒノキ、広葉樹でわかってくると思います。
 次に、この図は、今の和歌山県の森林とか近畿の森林を描いて数値にしたわけであります。
 先ほど申し上げましたように、京都議定書の排出量の削減については、大まかに言うたら企業活動を縮減する。いわゆる技術改善をして排出をとめ、少なくしていく。もしくは森林の吸収量、ここで補っていくわけでありますけれども、この図は森林のCO2の吸収量にスポットを当てて調べてみました。そして、もう一つ説明しておきますと、先ほど言いましたCO2の吸収量の単位はトンであります。そして、一トン当たりどのくらいの金額かも調べてみました。そうしたら、一トン当たり一万二千七百円であります。これは、火力発電所の化学的湿式吸着法のCO2の回収コスト、そういった表があるらしいんですけれども、そこの金額です。これは、林野庁も使っております。それともう一つは、森林がCO2をどれだけ吸収をしているかと。この計算は、実は国にも問い合わせをしましたけれども、まだ決まっていません。したがって、大変苦労をしたんですけれども、県の専門家の方々に協力を仰いで、基本的には平成十二年に林野庁が出しております「森林の公益的機能の評価額について」を基礎にはじき出してもらいました。
 そこで、説明いたします。時間がありませんから、きょうはこの赤だけ説明いたします。赤の大阪、兵庫、和歌山を見てください。和歌山は森林が多い県です。大阪は森林が少ない。そして、兵庫は森林も多いけれども排出量がべらぼうに多いと、こういうことです。ここを見てください。六%削減する数字がありますけれども、ここと森林の吸収量を見ますと、吸収量が少ない大阪とか兵庫はほかの県の協力を仰がなければならない。反対に、和歌山のように多いところはほかの県に売っていけるという試算であります。
 そこで、一つだけ和歌山を取り上げてみます。これは、京都議定書の排出量のそのままのやつを全部はじき出したんですけれども、和歌山は全体で一千六百二十五万トンであります。そして、六%削減をすれば九十七万五千トン。和歌山県の森の吸収率は二百五万トンあります。二百五万トンから六%削減の九十七万五千トンを引いたら、百七万五千トンが余ってきます。これを他県へ売れると。他県というよりも、そういう価値が出てくる。そして、これを金額に直すと、一万二千七百円を掛けてもらったら百三十六億五千二百五十万円という数字が出てきます。ちなみに、兵庫はマイナスの百四十四億七千八百万円。大阪はマイナスの四百十五億四千百七十万円。ここは他県から協力を仰がなければならない、こういう試算数値であります。ほかに滋賀、京都、奈良もはじき出しましたけれども、一応簡単にわかってもらえるために、こういう形で図表を示しました。
 以上で、この図表の説明はひとまず終わります。いかに和歌山県が豊かな森林を持っているか、それが環境時代に大切なのかがおわかりになったと思います。これが第一のポイントであります。
 二つ目のポイントは、この森林に対する林野庁を中心とする関係者の見方を変えざるを得ない現実がやってくるということであります。つまり、森林の環境への貢献と地球温暖化防止への役目というものがこれだけ大きくなっている中で、国においてもことしの夏に森林・林業基本法という名の法律をつくりました。これは、従来の森づくりの見直しを遅まきながら調整していこうという林野庁関係者の意識改革、構造改革のあらわれだと思いますが、まだまだ不十分であり、さらなる意識改革と構造改革が必要であると私は思います。小泉政権がうたっている構造改革をもう一歩先んじて実行せざるを得ない状況に追い込まれているのであります。
 具体的に申しますと、今の厳しい林業情勢の中で森林所有者の意識改革も必要です。山林に木を植えて成木になるまでいろんな手入れをしてやっと伐採をして、市場に出しても採算がとれない。多くの森林所有者はこうした中で森林への投資意欲を低下させ、整備されずに放置された森林が増加しています。しかし、森林のCO2吸収の能力が世界的に求められることをきっかけに、これが莫大な財を生む宝であるということになってきたのであります。それは、先ほどの表でもおわかりのとおりであります。
 それと、皆さん方のお手元の方にカラー刷り──これは県庁の大変優秀な方が私の考え方をイラストにしてくれたんですけれども、それを見てもらいながら、もう少しおつき合いをお願いしたいと思います。
 つまり、従来の林野庁の考えにある森林を経済的価値から評価することから、環境という視点に変わることによって、大げさに言えば、今の山林が金やダイヤモンドに変わるのです。つまり、森林を持つ環境という側面から、国民全体、ひいては和歌山県民の大きな財産となります。しかもこの事業は、森林づくりは景気、不景気には影響されません。ただ、山に木を植え、成長させ、間伐などで手助けすればよいのであります。そして、この環境価値は未来永劫続き、年とともにその評価はおのずと高まることが必至です。なぜならば、特に東南アジアあたりの発展途上国が経済活動を活発にすればするほど地球上のCO2の量がふえるとともに森林面積が減少するからです。それにつれて、いや応なしに我が県の森林育成というものは大きな意義と価値を生み出すものです。また、県内にも山林以外に遊休農地等、多くの土地があります。いろんな意見がありますが、ある森林の専門家は、これらの土地に植林をしていくことによってさらに価値が高まると言っています。
 この和歌山方式について大阪府、兵庫県が難色を示したとしても、日本は京都会議の議長国でもある立場から環境への実績を積むという責務を持っています。また国も、交付税というものを環境という視点から見直す動きも当然出てくるはずであります。そして、年々CO2吸収量を中心として算定基準の見直しが行われていくのは必至であります。地球温暖化に鋭い視線を注いでいる世界じゅうの人たちの後押しが、私たちのこの試みを支援してくれるものと確信しています。来年、日本が京都議定書を批准するのが確実視されていますが、もしこれが実現すれば、つまり和歌山森林元年として世界から注目されることになるでしょう。
 続いて第三のポイントは、この森林の排出量をめぐる取り組みの中で、私が最も期待をし、各界から注目されるのが雇用という問題であります。
 ご承知のとおり、日本は未曾有の不況が続き、毎日マスコミでリストラの話が絶えるときはありません。一説によると、その数字は五百万人から八百万人と言われ、その失業者が職を探すのに大変難しい状況にあります。その人たちのために、この元気な森林づくりが大きな雇用を生み出す母体になるのではないかと考えます。結論から申しますと、近畿で有数の和歌山県が持っている森林にどれだけ雇用が創出できるかと計算をしてみました。その結果は、五千七百人から七千五百人近くにもなります。今、国がしゃかりきになって雇用回復をすると言っていますが、明るい兆しは出ていません。ましてや、地方においても財政緊迫のために雇用に重点を置く予算計上をすることは大変苦しい状況であります。そんな中で、和歌山県の森林づくりだけで五千七百人から七千五百人近い雇用というのは、まさに救国の地方自治体として評価されてもよいと思うのであります。
 その五千七百人から七千五百人近い根拠ですが、和歌山県における森林労働者の現行の基準を目安とするならば、一日日当一万二千円掛ける年間百五十日労働で、年収百八十万円となります。これが、現在の森林組合の調べの実態であります。しかし、現実問題として、この収入で生活を営むことはできますが、もう少し余裕が欲しいと思います。
 そこで、この基準を若干修正し、年間二百日労働で年収二百四十万円とした場合、どのぐらいの人が雇用できるかと言いますと、単純な計算ですが、先ほどの試算数値、CO2吸収量を売った場合の金額百三十六億五千二百五十万円を、この修正年収二百四十万円で割ると約五千七百人が雇えることになり、また年収百八十万円とすると約七千五百人の雇用が生まれます。これは、大企業を誘致してきたほどの大きな数字となります。しかも、この企業は永久に続くのであります。企業は、その時々によって拡大したり、あるいはリストラによって、そこに働く従業員は不安がありますが、私流に言わせていただくと、森のサラリーマンにはそんなリストラへの不安も心配も解消され、しかもいつも周りの人から地球人として感謝されることで、生きがいも生まれてくるのであります。失業者を救済する方法としては画期的なことですが、果たしてそれだけ人員が要るのかという専門家もいます。そこで私は、森林の雇用について関係者に当たってみました。
 今、和歌山の山林常用雇用者は、森林組合調べで、年間平均百五十日労働で五百五十八人であるということであります。現在の山林の状況で、年間百五十日の常用雇用者はどれぐらい必要なのかと聞くと、一千五百人ぐらいと聞かされました。今の山の経済性からいうと、人を使うということが全く経済的に合わないから、できる限り人数を減らして最低限の従業員に抑えているだけであり、CO2を吸収できる健全な山にするために、それだけの従業員を雇用することができれば、植栽、下草刈り等の手入れをすることにより、山の本来持っている健康な姿を取り戻すことができます。そして、山の重要な機能を十分発揮でき、決してむだな人員ではないとのお墨つきをもらいました。最盛期の昭和三十年ごろには、県内で一万四千人も働いていたこともあるのであります。つまり、森に従事することによって、本来の日本の山が復活するということであります。しかも、リストラに遭わない人たちの中でも、都会の雑踏から逃れて山の生活に引かれる人たちがふえている中でもあり、より優秀な人たちを雇用できる環境にあることも、この事業をさらに前進させる勇気を与えてくれると思います。
 続いて第四のポイントは、雇用対象者をどうするのか、都市との交流をどう図っていくのか、県内の雇用をどうしていくのか、その人たちの訓練をどうしていくのかについてであります。
 その雇用対象者は、地元対象者はもとより、リストラに遭って生活に困窮している働き手の都会のサラリーマン失業者を主流にすることにします。その人たちは、都会での厳しい試練を受けている人たちであり、そして時代の最先端のノウハウを身につけている人たちであります。サラリーマンと言えば、今までは都会のサラリーマンというまくら言葉がつきものでしたが、これからは農村のサラリーマン、森のサラリーマンという状況が生まれてきそうであります。この人たちが山に入ることによって、森林全体が森のサラリーマンゾーンという形で、今までの農村の森とは一味違い、その様相が一変し、地元の人たちとの活発な交流が図られることは必至であります。お互いの交流が深められ、それぞれのよさが生かされるのであります。二十一世紀の新しい都会と農村との、私がつくった言葉で言いますと「混合文化」というものが生まれるのであります。この雇用の中には、他県からのサラリーマンの希望者以外にも、地元におられる元気な中高年齢者の方々や子育てを終えた主婦、若者たちにも働いてもらえる新しい雇用システムの始まりでもあります。例えば和歌山県内で、平成七年の国勢調査ベースですが、六十歳から七十四歳の中で、元気だが未就労の中高年齢者が十万二千九百六人もあり、その人たちの就労の場としても広がるのであります。そして、この森づくりに関連して、間伐、伐採だけでなく、苗木づくり、植林作業など、初心者から訓練した者まで就労できる、いろいろな職場が生まれてくると私は思います。
 続いて、その人たちを訓練する場が必要であります。それには、廃校した小中学校を借りて、県下の農業学校の先生や森林関係者が質問に答えたり、実習ができるような体制をつくってもらいたいと思います。つまり、働く人はできる限りお金を使うことなしに森づくりに入れるようなシステムを考えてもらいたいということであります。そのためには、運営、人事配置、作業手配の進め方のスケジュール等でNPO等に働きかけることも、このサラリーマンの森づくりを成功させる陰の力としての重要なポイントであると思います。
 以上申し上げてきましたが、最後のポイントとして、森林のCO2の吸収で得られると思われる収入を、この新しい森づくりのために重点的に投資することをあえてお願いしたいと思うのでありますけれども、知事としてどのように考えておられるのでしょうか。
 私は、あえて申し上げます。これらの貴重な県民の税金は、必ず財を生み、返済ができ、そしてそれにつぎ込むことによって新たな財を生むという確かな保証、しかも継続性がある。それと、この事業が県益、ひいては日本のため、世界じゅうからも歓迎される対象であることは、言うまでもありません。そうした観点から見ると、私はあえて都会から森林に入山する人たちを「森のサラリーマン」と呼びますが、この人たちへの投資は、今、口酸っぱく言われている税金のむだにはならないと思います。もし、この和歌山で五千七百人から七千五百人もの雇用が誕生するとなると、これは画期的な事業です。国は、失業率五%を超えていることから、景気浮上に巨額の金を投入し、景気回復すれば雇用が創出されると強調していますが、いつになってもその明るい兆しは生まれてきません。まして地方自治体は、税収不足と国の煩雑な法律の壁に遭い、新しい雇用政策まで踏み込めていません。
 私が調べたところでも、ほとんどが時間給での短期雇用対策等であります。進んでいると言われているお隣の三重県で、本格的な雇用促進計画を実施しても、今のところ新規の雇用は二けたぐらい、つまり百人にも満たない数字にとどまっていると聞いています。一県だけで何千人という雇用創出をすること、しかも長期に継続性があるということは、まさに信じられない奇跡というべきものであります。その上、森林吸収によるいわば外貨獲得という手法は、新税の形の変えたものと言えなくはありません。さきの石原知事の銀行に対する課税、あるいは三重県の北川知事の産廃税は、その県の特色を生かした中で新税が生まれていますが、これらの新税はいずれも徴収される側との対立抗争が起こり、将来の展望がなかなか描きにくいものであります。それに比べてこの和歌山県の方式は、人間の生命に直接つながる大切な事業であり、政府も環境に力を入れているという後押しもあり、世界も地球環境を守るという視点からの強い支援と、世界各国からの後押し、追い風も期待されると私は思います。つまり、手前みそになりますが、よいことずくめであります。しかも、将来どんどんこの事業は必然的に拡大しなくてはならない性格を持った事業なのであります。「意義のある」、そして「人の役に立つ」、ひいては「地球を救う」という大義名分が幾つもつくのであります。この取り組みをきっかけに、ほかの県にもかなりの刺激を与えるのではないかと思います。そして、国も助けることになります。新税をつくるのは大はやりですが、新税とともに雇用促進を絡めたのは日本では初めての挑戦と言えます。つまり、和歌山県での初めての新税によって、日本じゅうの失業者救済という一石二鳥の試みにトライするということは、救国の主として持ち上げられてもいいほどの価値があると確信します。
 以上、京都議定書を読み解く中から、二十一世紀の重要なテーマが解きほぐされ、五つのポイントとして申し上げてきましたが、これから知事のご意見を伺いたいと思います。
 その一点目は、近畿知事会においでになって提言されましたとき、どのような空気だったのでしょうか。どのような反応と感触があったのでしょうか。お聞かせください。
 第二点目は、和歌山方式が具体的に行動するには、どういう形でこの計画を遂行していかれるのか。私たち県民がどのような支援ができるのかを考えています。なぜかと言いますと、この問題を取り巻く状況は、国及び世界じゅうの人たちの方が好意的に見てくれているのではないかと思います。むしろ、国や世界へ訴えた方が通りやすいと思いますが、いかがでしょうか。
 第三点目は、もしこれが実現したときに入ってくる収入の使い方は、とらぬタヌキの皮算用ですが、こうした新しい二十一世紀の事業に投資すべきだと思います。森に従事する人たちに投資することは新たな雇用創出につながることになると思いますが、いかがでしょうか。また、このことは永久的に新たな安定した財源を創出することになり、財政状況が厳しい本県にふさわしい政策になると思われますが、いかがでしょうか。あわせて、知事のお考えをお聞かせください。
 第四点目は、都市との交流については、実際に約五千七百人から七千五百人も都会からサラリーマンが来れば、いや応なしにそこの地域が活性化すると思います。そして、都会と田舎の混合文化が生まれ、近い将来、「過疎」という言葉が死語になる日も来ると思います。森林を通じていろんな成果が得られると思いますが、知事の考え方はいかがでしょうか。
 第五点目は、健全な森林をふやすことについて和歌山はさらに力を入れていくべきだと思いますが、どうでしょうか。
 以上五点申し上げましたが、あえて一つ、東京の石原知事が提唱しています、東京を中心に関東を経済圏にしようとしていることに比較をして申し上げますと、経済は好不況があり不安であります。その上、企業活動につきものの資源消費によって、CO2がいや応なく発生します。経済成長にCO2はつきものになっています。これは、今の二十一世紀のあるべき環境の姿から見ると問題があると思います。日本のために経済成長をと頑張れば頑張るだけ京都会議の打ち出したメッセージとは逆行し、いろんな矛盾を抱えることになりがちだと思います。それに比べて、北川三重県知事と木村和歌山県知事が取り組もうとされている環境重視の関西圏づくりの動きは、世界から評価をされてくるものであると私は思います。しかも身近には京都会議があり、いよいよ来年が山場で、これが批准されて日本が環境大国になろうとしています。今、この森の植林というものに全力を投球することは身近な京都会議の提唱を生かすことになり、まさに意義のあることであり、日本の知事の中でも傑出した環境知事として呼ばれることを祈っています。私も、県民の一人として、環境人として、あるいは環境の民として、我がふるさとの森林に熱い視線を注いでいくことをお誓い申し上げまして、私の質問を終わります。 
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの、京都議定書から読み解く二十一世紀の和歌山の挑戦に関するご質問にお答えを申し上げます。
 前議会で、玉置議員の方からこの和歌山方式、CO2の吸収の売買ということで、近畿知事会議でぜひ発言するようにということがありましたので、私も先般の近畿知事会議で、余りそういう雰囲気でもなかったんですけれども、勇を鼓して発言をいたしました。余り関心は呼ばなかったんですが、とにかく都会地の自治体も和歌山県なんかの持っている森林の重さということを感じてくれないと困りますよという発言をしたところ、二、三の知事からは非常に強い支持を得たというふうなことがございました。
 今、議員の方から図表によってご説明された中身、非常に興味もありますし、また実際問題として、京都議定書が批准されて、各国ごとのCO2の吸収量の売買ということになってきたら、今度は国内でそれをどうしていくのかという話が当然次の課題になってくる。そうなってくると、やはり都市はCO2をたくさん排出している、地方は森林によって吸収していると、そういうふうな関係が出てくると思います。その間の財源の調整といいますか、そういうことが必ずしも──今、都市の方も非常に手元不如意なんで、たちまちすぐに大阪府から何百億和歌山に来るという形にはならないと思いますけれども、ただ、今、地方交付税のことを考えたりするときに、何か都会地から恩恵的に地方の方へ交付税という形でお金が回ってきているというふうな論調が世の中にあるわけですけれども、そうではないと。お互いに非常に重要な役割をこの地球、国土に対して果たしているんだという物すごく強いアピールになってくると思いますし、いよいよ厳しい状況になってきたときに、やはりこういうふうなものが切り札となって、そこで交付税の中に算定するかどうかは別として、そういうことで胸を張って、これだけのお金は当然地方というものを維持していくのに必要なんだということの大きなよりどころになると考えております。
 それから、新たな雇用創出についてということでございます。
 私が緑の雇用事業を提唱いたしましたのも、現に今、大変な痛みというか、毎日のように新聞にリストラの記事が載っております。こういうふうなことで、今は知識を持った、意欲を持った人たちが職を失うと、しかも都会地においてそれにかわる職が簡単には手に入らないというふうな中で、先ほど森のサラリーマンというお話がありましたけれども、これは非常にいい言葉だと思います。本当に森がサラリーマンを受け入れるというふうな新しい発想ということがなければやっていけないということで、やりたいということで考えたんですけれども、実際問題として先ほどお話にありましたように、森のサラリーマンに保障できる年収は百八十万円ぐらい。しかし、百八十万円ではなかなかしんどいという問題もあります。そしてまた、今のところその百八十万円もわずか五百人ぐらいの人にしか和歌山県では出せないというふうな状況ですので、これを何とかしないといかんということでいろんな提唱を行った。その結果として、今度の基金のお金として、和歌山県は全国で伸び率が四番目だったと思いますけれども、かなりの額が来たんですが、先ほどお話があったように、これは六カ月の非常に短期的な話であって、長期的に都会から地方へ人が移ってくるというふうな形にはならないということです。これについては、国の補助金なんかについてもそういう方向へ回ってくるように働きかけをしていかなければなりませんし、そして和歌山県でも、乏しい財源の中からいろいろ工夫をして、何とかそちらの方へ財源を向けていくという努力をしていく必要があると思います。
 それから、交流が地域の活性化をもたらすんだと。この話につきましては、先般、玉置議員のご質問の中で、人口の交流が産業を生むんだというお話がありました。私も、いろんなところで引用してその話をさせていただいているんですけれども。この緑の雇用ということについても、必ずしも別に都市で職を失った方だけではなくて、先般来、新聞に連載されていましたが、文化人の方なんかが、若いうちに早く第二のふるさとを持たなければならないというふうな提唱をなさっていました。それは、東京に研究や活動の拠点を持ちながら、早いうちから中山間地域にも自分の心のふるさとみたいなものを持っていろいろつながりをつけているという方々ですけれども、そういうふうな動きが出てきておりますので、和歌山県では両面をにらみながら、中山間地域へいろんな才能のある人たち、そして職がなくなった人たちを呼び込んでくるような仕組みを考えていく。そして、そのことがただ単に都市の人のためだけじゃなくて、そのことがその地域の人たちに活気をもたらして、そしてまたその交流の中からいろいろな新しい産業が生まれてくるということになってくると思います。
 そしてまた、今の地方の公共事業については、口の悪い人は、キツネとかタヌキしか走らない道路ということを言う人がいますけれども、そんなことは現にないわけですが、仮にそういうことがあるにしても、こういうふうな形で都市から地方へ人が行くようになれば、それぞれの公共事業とか文化施設なんかもまた新しい光を放つようになるのではないか。そして、それがひいては過疎化、高齢化に悩んでいる和歌山県の南部等の市町村にとって福音になってくるのではないかということで、いろいろこういうふうな事業を進めているわけでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど石原東京都知事の──今はもう、何か東京とそれ以外というふうに日本の国がくくられるような形になってきましたけれども、私はどこそこの県ということは余り好きな言葉ではないでんすが。仮に関西が景気が悪くて沈滞していると。すべてではないですけれども、救う一つの方策があるとすれば、環境というふうなものに力を入れて、環境ということから関西が一つぬきんでたものになっていくということによってオリンピックも来ると。こういうふうな感じも持ったりするわけでございます。いずれにせよ、この緑の雇用事業、力を入れてやっていきたいと思いますので、ご支援方よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 ご答弁ありがとうございました。
 ちょっと大きな話になってきたのであれですけれども、今の知事の答弁から言いますと、本当にこの趣旨が伝わって、積極的な答弁をいただきました。
 一つだけ。最近、私も選挙区を回っていますと、県民が誇りに思う一つとして、今テレビにも出ていますから、自分のところのふるさととともに、自分のふるさとのトップの県知事が、どういうユニークな発想をしているとか、どういう傑出をした発案をしているとか、そういうところに大変興味が持たれておりまして、さらにそれを誇りに思っているということをよく聞きます。
 この間も、全国都道府県議会の研修会がありまして東京へ参加をしたんですけれども、パネラーに出てきておられる方々は、全部、有名な知事のところの県会議員さんなんです。例えば、東京の石原知事はいろいろやっておられますけれども、「東京から日本を変える」というメッセージを出しておられるし、宮城県の浅野知事は、これも私流ですけれども、「福祉厚生県を先取りしていく」という取り組み、長野県の田中知事は、これまたいろいろ出していますけれども、やはり考え方としたら、「納税県民のための政治」というんですか、そういうところかなと。北川さんは「生活者基点の県政」と、こんなことでやっておられますけれども。
 知事が大変すばらしい発想をされて、緑の雇用事業を生み出しました。私がきょう提案させてもらったことをさらに検討していただいて、できれば環境と雇用の和歌山県知事として傑出をした知事になってほしいと思いますし、私らも頑張っていきますので、ひとつよろしくお願いを申し上げまして、質問を終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十八番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 最初に、敬宮愛子様のご生誕を心からお祝い申し上げ、県民の皆様とともに喜び合い、そしてお健やかなご成長をお祈り申し上げる次第でございます。
 以下、通告順に従い、質問を申し上げます。
 まず、日高港についてであります。
 日高港は、高度成長期の昭和四十年代後半、中紀地方の物流の拠点として構想され、熱心な運動が実り、昭和五十八年、重要港湾に昇格、その後、紆余曲折はあったものの、平成九年にようやく着工されました。現在、御坊市塩屋沖にだんだんと姿をあらわしつつある陸地を見ておりますと、大変感慨深いものがあります。今、改めて木村知事初め歴代知事のご英断、県当局のご努力、二階代議士のご尽力、当時の運輸省のご理解、地元関係者の協力に感謝を申し上げたいと思います。
 予定では平成十五年に一部供用開始と聞いておりますが、今後、開港までのスケジュールはどうなっているのか。また、解決しなければならない課題はないのか。特に開発港湾という性格上、ポートセールスが成功の決め手になると思います。海事新聞などを読んでおりましても、大きい港ほど日ごろから熱心にポートセールスをやっていることがわかります。日高港におきましても、これからが正念場で、積極的なポートセールスが期待されますが、どのように取り組まれるのでしょうか。
 また、御坊市には県企業局の工業団地が二カ所あります。この際、港湾の完成とあわせて売り込むことが大切であると考えます。どのようにお考えでしょうか、あわせてお答えいただきたいと存じます。
 次は、これに関連して企業誘致についてであります。
 バブルのころは、「経済一流、政治は三流」ということが言われました。ところが最近は、その三流の政治に何とかしてくれとの大合唱であります。そして、まるであいさつのように、「景気が悪い」という言葉が交わされます。今こそ、あの高度成長時代を思い出してほしいと思うのであります。そんなに資金があったわけではなく、高度な技術があったわけでもないのに、多くの人が新しい事業を興し、チャレンジしていったのであります。もちろん、うまくいかず、つぶれていったところもありました。それでも、つぶれる数以上に次々と事業を興す人が出てきて、あの高度成長をなし遂げたのであります。今はその逆で、新しく始めるより、やめていく方が圧倒的に多いです。そういう意味で、最近、国や県においてベンチャー事業を奨励し、新しく事業を始める人を応援する政策が充実されていくのは大賛成であります。
 そして、もう一方の産業政策として企業誘致があると思います。景気指標に企業の設備投資というのがあって、これが今は悪いと言われています。しかし、ゼロにはなっておりません。産業の空洞化が言われ、投資が東南アジア、最近では中国へ多く行っていることも事実ですが、すべて行っているわけではありません。
 先日NHKで、「伝説の商社マン」という番組をやっていました。伊藤忠商事の韓国人商社マンの奮闘記です。その中で、主人公チャイさんが、今アメリカで投資の対象として注目しているのはいわゆるハイテクではなく、あるくぎメーカーを例に挙げて、ローテクですき間産業なのに市場をほぼ押さえている企業だと言っておりました。私は、意外に思いました。アメリカのくぎなんかは中南米か東南アジアでつくっているのだろうと、だれしも思います。翻って我が国を考えても、あの高度成長を支えたのは中小企業でありますし、今日も元気な中小企業はたくさんあります。中には世界市場を支配する中小企業だってあります。こういうところにも注目すべきだと思います。実際、本県にも大企業を含め、昭和五十七年度以来七十四社の企業を誘致し、約三千三百人の雇用が生まれました。そういう意味におきまして、今日もなお企業誘致は有効な経済政策だと思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。
 ことし関経連が調査したレポートによりますと、関西地方は企業誘致のポテンシャルが高いのに実際に立地する企業が少ないのは自治体の取り組み不足だと指摘しております。本県では、IT・新産業推進課におきまして、課長以下専従四名の職員が獅子奮迅の努力をしてくれておりますが、私は絶対数が少ないと思います。この際、人数も含め、誘致の方法など体制の組み直しをすべきだと思います。場合によっては、民間へのアウトソーシングも必要であると思います。あわせて、知事からお答えいただきたいと思います。
 さらに、海外からの直接投資にも視野を広げるべきだと考えますが、いかがでしょうか。お答え願います。
 三番目は、脊髄損傷者の急性期治療についてであります。
 去る十月六日、御坊市におきまして日高地方脊髄損傷者会の定例総会があり、冨安・坂本両県議とともに出席してまいりました。総会では、主催者の皆さんから、ある日突然、事故や病気で脊髄が侵され、つらい治療を乗り越えても、より大変な現実の生活が待っているとの切実なお声を聞いた後、県立医科大学の吉田宗人助教授が「現在の脊髄損傷者の急性期医療について」と題しての講演があり、続いて川辺町の開業整形外科医・島欽也先生のもとで参加者一同討論を行いました。
 それによると、脊髄損傷者は、毎年事故や病気で人口百万人当たり四十人程度発生していること、そして一たん損傷した場合は緊急に高度な治療を施さねばならないこと、ところが治療可能な県内の高度医療機関は急性期医療が専門のため、治療と同時にあわせて行わなければならないリハビリについては途中退院しなければならず、中には県外の医療機関へ転院する人もいるということなどが論点であったと思います。
 そこで、県においては脊髄損傷者の急性期医療についてどのように考えておられるのか、また他県のように公的医療機関での長期リハビリ患者を受け入れる考えはないのか、あわせてお答え願います。
 四番目は、防災計画についてであります。
 平成七年の阪神・淡路大震災は、大きな悲しみと幾つもの教訓を我々に残しました。しかし、大方の人の記憶の中では忘却のかなたへと去りつつある出来事ではないでしょうか。国の地震調査委員会では、今後三十年以内に四〇%、五十年以内に八〇%の確率で南海道地震が発生する可能性が高いと発表しています。そのような中、我々は常に警鐘を鳴らしつつ、そのときに備えて最大限の努力を続けておかなければならないと思います。なぜなら、我々行政や政治にかかわる者が地震のことを正しく理解し、準備を怠らなければ何千、何万という命を救うことができるのであります。
 幸い、木村知事も同じ思いでおってくださると拝察いたしております。その証拠に、ことし春の人事で防災監のポストを新設され、防災センターについても決断をされました。私はかねがね、防災という眼鏡をかけたら、この世の中が違う景色に見えると思っております。そういう意味におきまして防災監は、単なる行政マンではなく、まさに防災のプロでなくてはなりません。そのプロは、地震や気象についての正しい知識はもちろんのこと、土木や建築、交通、都市計画、医療等あらゆる知識の積み重ねにより、日常的には防災計画を充実させる業務に精励し、実際に災害が起きたときは次々と的確な判断を下し、知事に進言しなければなりません。そのためには、長い時間をかけて人材を養成しなければと思います。また、防災監のスタッフとなる消防防災課の職員も同様でありましょう。
 そこでお聞きしたいのは、防災監やスタッフを養成するためには、通常の人事異動をするのではなく、専門家を養成するといった特別の人事制度が必要になってくるのではと考えますが、どうでしょうか。
 次に、効果的な防災計画をつくり、それを実現していくためには、常に県の意思決定をする場合に、防災の観点からどう見るか点検しておく必要があると考えます。具体的には、毎年行う予算査定、各種長期計画の策定に立ち会わせるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、防災計画は毎年見直しされていますが、市町村防災計画の手本となる県の計画はもっと早く具体的に計画していくべきだと思いますが、どうでしょうか。
 さらに、拠点となる防災センターの計画は現在どこまで進んでいるのでしょうか。
 ところで、緊急救助体制を整備するためには常備消防の一層の広域化、最終的には県全体を目指すべきであると思いますが、どのようにお考えでしょうか。それぞれお答え願います。
 五番目は、道路整備員についてであります。
 道路整備員は、現在八十六名。各振興局建設部道路整備課に所属し、県下の知事管理国道、県道の整備に励んでくれております。この道路整備員制度ができたのは恐らく戦前のことで長い歴史があり、劣悪な道路事情の整備に頑張ってきてくれました。統計がとれている高度成長期前の昭和三十年当時の県道は、延長で既に二千キロメートルもあるのに舗装率はわずか四%という、今日では考えられないようなひどいありさまでした。以来、半世紀を迎える今日、舗装率は飛躍的に向上し九五・一%、数字的には一〇〇%ではありませんが、通行不能区間を除けば、ほとんど一〇〇%と言っても間違いない整備状況にあります。私が中学生だった二十数年前は、砂利道はまだまだあちこちにありました。学校へ自転車で行くときなどは、路肩に寄ってしまった砕石が車輪に絡まって、よくこけたものであります。あのほこりっぽい砂利道は、今はどこにもありません。交通事情に合わせた改良はまだまだ必要なものの、道路は本当によくなったと思います。そう思うとき、果たして道路整備だけにそれほどの人が要るのかという疑問が残ります。
 一方、同様に知事が管理する河川や海岸、港湾では、折からの厳しい財政事情で、従来の業者に発注して管理、修繕することが困難になりつつあります。また、その管理や修繕は軽微なものが多く、わざわざ業者に発注すればかえって時間がかかり、予算が要る割には効果が上がらないという現実もあります。
 そこでこの際、道路整備員には道路のほかに、河川愛護会などでは管理が困難な大きな河川や海岸、港湾などを一体的に担当してもらえばいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。お答え願いたいと思います。
 六番目は、直轄国道の整備についてであります。
 現在、本県には直轄国道は二十四号、二十六号、四十二号の三線があります。それぞれ、奈良県、大阪府、三重県につながる総延長三百四キロメートルの県下最大の動脈であります。この動脈が通じたのは昭和四十四年、当時、小野知事が大野伴睦建設大臣をほこりまみれの道路を通ってきてもらい陳情したという苦労話も聞きました。以来、長い間県民の生活、経済を支えてきました。最近では、その地位を高速道路に明け渡しつつも、依然、最も大切な基幹道路であることは違いありません。しかしながら、その高度整備、つまりバイパスや交通安全対策などは幾分おくれてきて、今では部分的に県道や市町村道以下のところがあります。厳しい懐は国も同様であり、京奈和道路、勝浦道路などへ集中しているのだと思えば辛抱もできます。ところが、人の通らないところに歩道をつけたり、何の前ぶれもなく突然工事を始めたりすることがあります。情報開示や説明責任が言われる中、直轄工事は非常にわかりにくいと思います。国は、歩道の設置などの計画や工事箇所を決定するとき、事業費の一部を負担する本県に当然相談すべきであると思いますが、どのようにお考えでしょうか。お答え願います。
 七番目は、御坊第二火力発電所についてであります。
 ことし二月定例県議会予算委員会におきまして、門委員長初め委員各位のご理解で、当時の関西電力鍵本昌久専務にお越しいただき、状況をお聞きしました。大変厳しいお話でしたが、希望を失うものではなかったと記憶しております。そして、予想どおり十三年度の電力供給計画では、御坊、和歌山両発電所ともに操業時期の繰り延べが行われました。幸い、工事はその後も細々と続けられているとは聞いておりますが、現在どの程度進んでいるのか。
 また、ことしの夏は特に暑かったことや、米エネルギー大手のエンロンが破綻したこと、住民投票で電源開発が困難になっているとの報道もありましたが、近々、電力自由化第二弾が準備されているほか、燃料電池の開発が進み、相変わらず景気が好転しない中、果たして来年度の電力供給計画はどうなるのか。このことで関西電力から説明は受けていないのか。当然の約束を果たすべく発電所の計画を進めるべきであるが、県はその後、関西電力にどのように働きかけているのか。また同様に、和歌山発電所についてはどうなっているのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
 最後は、IT対策についてであります。
 情報ハイウエーの提唱者にして、まさにIT革命の旗手であったゴア前アメリカ副大統領がジョージ・ブッシュ氏との大統領選挙に敗北するのに合わせたかのようにITバブルがはじけ、一転してIT不況という事態が出現いたしました。しかし、相変わらずIT革命は進行中で、いや応なしに我々の生活の隅々にも押し寄せてきております。そんな中で、このたび和歌山県IT戦略の中間報告が取りまとめられました。最終報告は来年三月末と聞いておりますが、掲げられた政策が一刻も早く実現されるよう期待いたします。
 特に注目するのは、佐田議員の質問にありましたように、情報基盤の整備についてであります。世の中、まさに規制緩和のあらしが吹き荒れ、民営化が叫ばれていますが、その意味するところは、これまでの公共性が優先され、独占が認められていた時代のいわゆるユニバーサルサービスが期待できなくなるという厳しい現実であります。民営化され、競争していくためには、採算の悪いことはしない、採算の悪いところでは商売しない、いや、できないと言う方が正確かもしれません。今、ちょうど高速道路のことが注目されています。しかし、こちらの道、情報ハイウエーの方は知らないうちに静かにおくれてきております。数年前、御坊JCの皆さんと懇談したとき、和歌山は道路でおくれをとってきたが、今度の情報の道だけはおくれんといてよとの指摘もありました。残念ながら、この情報基盤の整備こそ、通信事業者だけに多く期待しても我々が目指すレベルには達し得ない、一番格差が出てくる分野であると思います。この差は、果たしてだれが埋めるのか、いずれは私たち自身が負担してやらなければならないのであれば、見きわめは必要だと思いますが、この際、先駆けてやってしまうことも必要だと考えます。私からも、特に要望しておきたいと思います。
 項目が多くなり、まことに恐縮でございますが、私の一般質問を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 企業誘致についてのご質問にお答えをいたします。
 議員ご指摘のとおり、不況下であっても、世の中が変わってきても、企業誘致ということが有用な雇用創出の手段であるということは変わらないと思います。緑の雇用ということを言っておりますけれども、これですべてがいくわけではなくて、やはり新しい企業の誘致ということは非常に大事なことだという認識を持っております。
 ただ、ご案内のように、中国が世界の工場になってきているというふうな中で、従来型の製造業を呼んでくるというふうなことはなかなか難しい。そういうふうな中で、例えばソフトウエアなどの情報産業でありますとか、環境産業、バイオ関係、こういうふうな新しい分野で非常に高付加価値の分野についていろいろトライをしてみるということは非常に意味があることだと思っております。現に、つい先般も、田辺、白浜地域で、そういうIT関係の企業の方がたくさん来られて非常に関心を示してもらったというような例もありますし、そういうふうな分野も力いっぱいやっていかないといかんと思います。
 それからもう一つは、確かにローテクが大事だという今のご指摘、本当にそのとおりだと思います。昔は、イタリアというのは、日本と違ってゆったりしていて、余り成長がないというような認識でしたけれども、今やイタリアの一つずつ手づくりで、高付加価値の製品というのは世界で非常に高く評価されているというふうな状況に変わってきている。そういう中で、和歌山県でも地場産業とか近隣の中小企業なんかで非常にきらっと光るものを持っているような企業を誘致してきて、そこでいろいろ生産活動を行ってもらうということも非常に大事だろうと思っております。こうふうな二つの面を合わせて誘致活動に取り組みたい。
 そしてまた、誘致の体制でございますけれども、これは県の組織を褒めるのはなんですけれども、新しくできたIT・新産業推進課は非常によくやっていまして、先ほどの白浜、田辺のやつなんかも進めているんですが、やはり一つの課だけの少ない人数でやるには事柄が大き過ぎるということであれば組織の見直しということも考えていかなければなりませんし、そしてまたこういう分野は公務員だけがやるのではなくて、民間の人の幅広い知識というものを入れて頑張っていく必要があると思います。
 それから、海外企業の直接投資を求めるということですが、これもはっきり言って人件費の高い日本へ製造業なんかがすぐに来てくれるとは思いませんけれども、しかしながら、その他の分野、例えばレジャーであるとか、小売業とかという分野で、現によそへ来ている例はたくさんあるわけですから、そういうものについて和歌山県へぜひ来てもらえるような方策、そしてどんな優遇策をしていけばいいのか、そういうことも含めて積極的に考えていきたいと思っております。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 最初に、日高港の振興に関する二点の質問に一括してお答えいたします。
 日高港の供用に向けての課題といたしましては、日高港で取り扱う貨物量を確保すること、また利用しやすい港湾にする方向で管理や運営方法を定めていくことが挙げられます。これら課題の解決に向けて、ポートセールス活動の主体として、地元商工会議所を中心に設立された日高港振興協会においてポートセールスの取り組みが精力的に行われているところであります。県といたしましては、それらの活動を積極的に支援してまいりたいと考えております。
 またスケジュールにつきましては、今年度は日高港振興協会とともに港湾のPRを行い、、周辺の企業に対しては利用の意向ヒアリングを行っております。十四年度も引き続き、より広範な企業や団体に対し日高港を利用するよう働きかけを行うこととしております。
 日高港の振興は地元の熱意がかぎであると考えておりますので、議員を初め皆様方の絶大なご支援をお願いいたします。
 次に、道路整備員についてお答えいたします。
 道路整備員による業務対応は、外注に比べ機動性にすぐれていると考えられます。こういった特性を生かして、河川、海岸、港湾等、道路以外においても緊急を要する業務に対して道路整備員で対応する方向で取り組んでまいります。
 次に直轄国道の歩道等の整備についてでございますが、国土交通省におきまして、必要性や地元協力等を勘案し、順次整備が進められてございます。直轄国道の整備につきましては、今後、国に対し、県と十分連絡調整を図り、計画的に進めるよう強く働きかけを行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 企業局長増田充孝君。
  〔増田充孝君、登壇〕
○企業局長(増田充孝君) 日高港振興のうち、御坊第一、第二工業団地についてでございます。
 御坊市の内陸工業団地のうち、御坊第二工業団地は、完成以来、鋭意販売に努力をしてまいりましたが、平成七年六月に一部を売却して以来誘致が進んでございません。
 また、御坊第一工業団地につきましては、今後の社会情勢を見ながら、利用計画等慎重に検討をしてまいりたいと考えてございます。
 議員ご提言のように、御坊市内の内陸工業団地につきましては、日高港の完成をインパクトに、その有利性を最大限に生かした方策を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 海外の企業誘致についてでございますが、知事から方針についてご説明がありましたので、私からは現状についてご報告を申し上げます。
 海外からの企業誘致につきましては、平成十二年の工場立地動向調査によりますと、全国での外資系企業の誘致件数は四十六件であり、近畿は五件の状況であります。本県では、関西対日投資促進協議会等を通じ、各方面からの情報収集に努めてございます。
 なお、本県も英文のホームページ等での広報活動を行ってございますので、今後とも本県への立地条件等の把握など情報分析を行い、積極的に誘致活動を行ってまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 脊髄損傷者の急性期医療につきましては、高度医療機関で初期のリハビリテーション医療を含む専門的な医療を行い、その後の病状の回復経過に応じたリハビリ医療につきましては、それが可能な病院に転院し、治療を継続していただいております。
 県といたしましては、三次医療機関と二次医療機関との機能分担を図っているところでございますが、ただ社会復帰に向けた長期リハビリを要する方につきましては、適当な医療機関等が十分ではなく、受け入れが困難なケースもあると認識はしてございます。こうした実態をさらに調査し、医大等関係機関と協議をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 防災計画に関してのご質問に、順次お答えいたします。
 まず防災監の人事及び職責についてでございますが、ご指摘のとおり、防災監を初め防災に携わる職員につきましては、防災に関する専門的な知識はもちろんのこと、行政に関する幅広い知見が求められるものと考えております。このため、機会あるごとに担当職員を防災に関する研修に参加させ、専門的な知識の習熟などに努めさせているところでございます。また、防災は予算編成や長期計画策定の過程における調整にとどまらず、県のすべての分野において常に意識し対処しなければならない問題でございまして、その総合的な調整を行わせるべく防災監を配置したところでございます。
 なお、南海地震のように大規模災害が発生した場合には、防災関係職員のみならず、職員全体で対応しなければならないことから、本年度から全職場を対象とした災害対策本部運営訓練を行うこととしております。このような訓練を通じまして、職員各自の防災意識の高揚を図るとともに、災害時に果たすべきみずからの役割を認識させるべく努めてまいりたいと考えております。
 次に、防災計画の見直しについてでございます。
 地域防災計画につきましては、毎年その見直しを行っているところでございますが、大規模な災害が発生した場合には、これに基づき各職員が迅速かつ的確な初動対応を行う必要があります。このため、地域防災計画をより具体化した災害初動対応マニュアルを作成する予定にいたしております。今後、先ほど申し上げた本部運営訓練を通しまして、このマニュアルをより実践的なものに見直すとともに、これを地域防災計画の見直しへとつなげてまいりたいと考えております。
 次に県の防災センターでございますが、現在、センターが受け持つ基本的な機能構成について検討しているところでございます。また、庁内の防災関係部局の持つ防災情報一元化のためのワーキングを設けまして、IT革命に対応した防災情報システムの構築を研究しているところでございます。防災センターは、言うまでもなく、災害から県民の生命、財産を守るために不可欠なものでございますので、その早急な整備に向け、鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、常備消防の広域化についてでございます。
 住民の期待と信頼にこたえられる高度な消防サービスを提供するための組織、設備、装備等の充実強化を図るという観点から、消防の広域化は非常に重要であると考えております。本県といたしましても、これまでも消防広域化に向けて取り組んでまいったところでございますが、現在、県内各地域で市町村合併のご議論が行われているところから、その動向を見きわめながら、今後ともより効果的な消防の広域化を推進してまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 御坊第二発電所の工事の進捗状況についてでございますが、関西電力は昨年二月に公有水面埋立工事に着手し、現地での橋脚の床掘り工事及び由良町内での橋脚と護岸のケーソンの一部の製作が進められてきてございますが、発電所の運転開始時期の繰り延べの関係から、当初の工事スケジュールからは遅延している状況でございます。
 来年度の電力供給計画につきましては、電力会社からは平成十四年三月に提出され、その時点で説明を受けることとなっております。
 議員ご指摘のように、電力需要の伸びが好転する兆しはなかなか見られない状況にございまして、来年度の供給計画につきましても、すぐには好転する可能性は少ないと考えてございます。このような状況を踏まえまして、県としては地域振興を図る観点から、発電所の建設について、機会をとらえ、関西電力と話し合いを行ってきております。和歌山発電所につきましても、昨年七月に準備工事に着手し、工事事務所の建設や埋立地の土壌調査が進められてきておりますが、工事の進捗は緩やかな状況にございます。
 これらの発電所計画につきましては、今後とも地元の意向を踏まえながら、計画が進みますよう関西電力に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十五分散会

このページの先頭へ