平成13年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(金田 眞議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 議長のお許しを得ましたので、一般質問を始めます。
 最初の、熊野川に清流を取り戻すために二津野ダムの撤去について質問いたします。
 欧米では、九〇年代の初めからダムだけに頼らない利水、治水対策に切りかえ、改修済みの河川を再び自然に戻す工事が行われ、アメリカでは「川の再生」をテーマに既に五百を超えるダムを撤去し、河川の自然環境としての価値を大切にする方向に踏み出しています。この方向転換の背景には、膨大な開発費用をかけた巨大ダムが自然を破壊した上に、将来は土砂がたまり無用の産業廃棄物と化すという認識に基づいた過去の手法に対する根本的な反省があります。自然環境の保全と財政のむだをなくすために、今やコンクリートダムからの脱却は二十一世紀の世界の流れではないでしょうか。
 日本では、平成九年、河川の持つ多様な自然環境や水辺の空間に対する国民の関心の高まりにこたえることと地域の実情に応じた河川整備の必要性から、従来の河川管理の目的、「治水」「利水」だけでなく、「河川環境」を加えて水質、景観、生態系などの整備と保全を推進する河川法に改正されました。旧建設省河川審議会は九九年八月の中間答申に、ダム以外の治水方式も検討していくことを盛り込みました。地方でも新たな動きが始まり、昨年四月、鳥取県の片山知事は治水と利水の両面から中部ダムの中止を決め、ことし二月には長野県の田中知事が「脱ダム宣言」を発表しました。こうした流れの中で、今あるダムについても、経済の変化や自然環境と人とのかかわりなど、多面的な視点からの再検討が必要との思いから質問をいたします。
 最近の熊野川の状況は、ことし六月十九日から二十日にかけ十津川に集中豪雨があり、ダムにたまった濁水が一カ月間、熊野川に流れました。そのため新宮漁協では二週間シラス漁ができず、三輪崎漁協も五日漁ができず、また新宮市の上水道も対策に追われました。この八月二十一日の台風十一号による出水でも大量の濁水が発生し、水道水が濁るなど、瀞観光やアユ漁など観光や自然環境分野にも相変わらず悪影響を及ぼしております。
 さて、熊野川は昔から清流と豊かな水量で名を知られ、年間流量平均五十億トンとされる熊野川の十津川水系と北山川水系にダムが建設された歴史的背景には、日本の戦後復興に水力発電による電力確保が国家的な要請としてあり、地元は「建設中とその後二、三年は濁るが、やがてもとの清流に戻る」という説明を信じて受け入れてきました。そして、ダムの建設は、昭和二十八年の建設省の猿谷ダムから始まり、昭和三十三年からは電源開発のダム建設と続き、昭和五十三年の関西電力奥吉野発電所のダム建設が終わるまで、十一のダムと九つの発電所がつくられ、四十年以上も経過しました。
 この間、ダムによる自然環境破壊や水質汚濁、冷水、減水、塩分遡上などは、水道水の濁りなどの市民生活はもとよりアユ等の内水面漁業や沿岸漁業、観光、製紙などの産業に大きな被害を及ぼし、地域の産業・経済に与えたマイナス影響ははかり知れません。さらに、ダムの放流による洪水被害だけではなく、流域住民の水泳や川遊びなど川との触れ合いをも奪い、自然の生態系を変え、山、川、海という吉野熊野の自然を背景に発展してきた地域の文化も損なわれてきました。
 特に熊野川の濁水問題が表面化してきたのは昭和四十五年の大阪万博前後からで、全国から紀南に訪れた観光客が瀞峡を見て「清らかに澄んだ水が流れる瀞峡ではなく、汚い泥水が流れる泥水の泥峡だ」と不評を買ったのが始まりです。
 新宮市水道事業所の熊野川の取水口での濁りを調べる濁度調査によれば、ダム建設以前は濁度ゼロの月が毎年記録されていたのに、昭和三十三年、十津川の風屋ダム工事以後は濁水が急速にふえ始め、昭和三十七年以降は濁度ゼロの月が完全になくなりました。昭和五十三年には国を初めとする関係機関によって新宮川水質汚濁対策連絡協議会が発足し、汚濁軽減の調査研究と対策にこの間当たってきました。また、流域の市町村は対策連合会などを結成して、ダムによる濁水の長期化や自然環境の改善を目指して国や電源開発に対策を求めてきましたが、現状は年々悪化するばかりでした。今までにダムへの直接的な対策として、ダムでの選択取水、表面取水、混合希釈、濁水防止膜、赤潮対策、発電の一時停止、ダム操作改善などを行い、恒久的な対策としてダム湖への濁水流入を未然に防ぐための治山事業、植林事業、砂防事業などを実施されてきましたが、目立った効果が出ておらず、対策を講じたが抜本的な対策に至っていないのが現実です。
 そもそも昔、県の砂防利水課は濁り水の発生について、「河川の濁度は河川の中に含まれる岩石、鉱物の細片微粒子──小さな砂の粒ですが──特に長期間澄まないことはその中の粘土鉱物のためである。また、地質、崩壊などに密接な関係が深いことは河川工学上明らかなことである。十津川はV字型の川底で、砂礫層(砂と小石の層)の堆積が厚く、また流域一帯に大規模な崩壊地が多く、特に通称「底なし川」と言われる加納川などは大規模な断層破壊帯が存在する。さらにその上流には「八丁崩れ」と呼ばれる大崩壊地があり、そこには粘土鉱物のモンモリロナイトなどが生成されており、平常でも白く濁った水が流れ込んでいる」としています。このように十津川水系は、地質が悪い上に明治二十二年の大水害の後遺症もあり昔から濁水は流れたが、すぐもとの清流に戻ったそうです。ですから、濁り水が長期化するのはダムが原因であり、こんな地質の場所にダムをつくったのがそもそもの間違いのもとです。
 電源開発も「ダムがある限り濁水は不可避である。いかに軽減するかが課題」と言っており、ダムを撤去しない限り、濁水は永久に続くことになります。この十津川水系の地質とダム湖での濁り水がたまることを考えたときに、これからどんな有効な対策があるのでしょうか。発電ダムから多目的ダムに変更しては、いや、もうダムの機能停止、撤去しかないという議論が出るのは当然です。検討に値すると思います。
 現在、和歌山県は電力輸出県となっており、熊野川水系の九つの発電所の最大発電出力は百八十五万キロ、そのうちの奥吉野発電所の百二十万キロを除く八つの発電所の合計六十五万キロは現在の火力発電所百万キロの一基にも及ばないものであります。特に、二津野ダムはわずか五万八千キロと小規模で、ダム湖も小さく利用水深も五メートルと浅いので、濁水軽減機能を持っていません。現在の日本の電力需要からすれば二津野ダムの発電を停止しても支障がなく、また、水力発電がCO2を排出しないクリーンエネルギーであっても、それ以上に濁水などによって環境破壊をもたらしているのですから、その発電を目的とした歴史的使命はもはや終わったものと考えるべきではないでしょうか。
 今も、二津野ダムから送られてきた濁り水が熊野川椋呂の十津川第二発電所の発電に使われた後、放流されるため、本流の清流と発電放流の汚れ水がはっきりと見分けがつき、本流の清流が濁水にのみ込まれ、熊野川が濁流に変わっています。二津野ダムの撤去や発電停止が実現すれば、それがなくなるのです。二津野のダム湖は濁り水がたまらなくなり、二津野ダムから椋呂の第二発電所に送られてくる発電放流も停止され、濁水が流れなくなります。その分の水が上流の風屋ダムや十津川村滝の第一発電所からの流れとなり、今までの十津川から新宮までの川の流れに加わり、河川の自然浄化作用も加わって、熊野川に少しでも清流を取り戻すことができます。
 死んだ川、死の川となった熊野川をダム建設以前のもとの清流に戻せという要求は、水質基準や見た目だけの濁水解消だけではなく、自然環境まで視野に入れた内容にならざるを得ません。なぜなら、もとの清流とは、そこに魚や動物、人間が経済活動を含めて共存することを意味し、魚もすみ、人も親しめる川にすることだからであります。熊野川の本流が水泳禁止になり、天然アユの遡上が激減し、釣り人の姿も見かけない状況では、川と人とのかかわりが薄れ、川に対する愛着も見方も変わります。後を絶たない不法投棄は、川や自然環境の変化への反映ではないでしょうか。川は、水をただ流すものになっては終わりです。
 今、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録を進めています。その中で熊野もうでの「川の道」として、熊野川が参詣道として利用されていたことから遺産登録を目指しておりますが、単に川の参詣道というだけではなく、熊野信仰や熊野文化を生み出し、はぐくんできた聖なる川です。その母なる川がダムによって汚され、犯されているのです。こんなみじめな状況をいつまでも許しておくのですか。熊野川をもとの清流に戻すことは、今後の紀南のあり方を考えても最重要課題です。
 もちろん、濁水対策としてのダムの表面取水など、当面するダム本体の対策と治山、植林、砂防対策などの恒久対策には優劣はないと考えますが、原因究明やこれまでの対策だけでは問題の抜本的解決を先送りするだけではないかと思います。抽象的な要求や理念だけでは、なかなか進展しません。要求は具体的なものが常に必要とするならば、熊野川をもとの清流に戻せという悲願をかなえるためには、まずその歴史的役割を果たした濁りのひどい十津川水系のダムの撤去を要求することが必要であり、根本的な濁水解消の第一歩として二津野ダムの発電停止を国や電源開発に求めるべきです。
 知事、熊野川をもとの清流に戻すために、二津野ダムの撤去あるいは発電停止を国や電源開発に訴えてください。地域流域住民の悲願であり、新しい世紀の人と自然との生き方にかかわる事柄として、環境行政に大きな一石を投じる決意をしてください。お答えをお尋ねいたします。
 二番目の質問項目の自然と健康を守る環境行政の実現ですが、最初の新宮市松山の産廃問題については、たとえ建設業者がみずから請け負った工事で発生した産業廃棄物の自社処分であっても、良好な住環境が維持されるべき第一種中高層住居専用地域では行うべきではないと訴えているのです。二年以上も野焼き同然の焼却が行われ、無届けでコンクリートの破砕機が稼働し、行政指導になかなか応じていませんでした。議会で、改善命令や措置命令で作業の一時停止を命じるべきと県当局に厳しい対応を求め、一定の改善があり、焼却炉が新設されました。しかし、この場は法律でトイレなどの施設ですら建てることのできない場所であり、操業すること自体無理であることがこのことでも明らかです。こうしたことからも、問題は解決されたとは思いません。この間の到達と今後の対応をお尋ねします。
 一、今まで廃掃法に基づく産業廃棄物管理票や委託契約書の提出を求めても応じませんでしたが、今回の管理型処分場での処理が必要な廃棄物の管理票はすべて提出されたのですか。
 二、廃棄物保管について、焼却灰を詰めた大量のドラム缶が長期間放置されていますが、適切な保管でしょうか。また、廃棄物置き場の床面にシートまたはコンクリートがされていないのは改善されたでしょうか。
 三、里道が無断で埋め立てられ使用されているのに、なぜ放置しているのですか。
 この項二つ目の新宮市営球場のダイオキシンの再調査としゅんせつ土砂の処分についてですが、ことし一月に県土地開発公社所有の球場予定地のダイオキシン土壌調査が実施されましたが、二万六千平米もの広い場所で、埋められた物質も場所も特定せず、たった二点だけの調査結果では住民の安心が得られないと、ダイオキシンの再調査をお願いいたしました。また、同じ敷地の河川しゅんせつ土砂九千八百立米を野球場に敷きならす際に、そのしゅんせつ土砂にはいろいろなごみや廃棄物がまざっており、それらを完全に取り除くこともお願いしましたが、この二点についてどうなりましたか、お尋ねいたします。
 また、今後どのような形で新宮市の事業計画に協力していくのか、お尋ねをいたします。
 三項目めの、住民の命と財産を守るダム操作についてお尋ねいたします。
 今回、台風十一号における七川ダムの操作は基本的に規則に外れていたものではなく、このダムの洪水調整と発電を目的とする意義は認識するものであります。しかし、今回のダム操作について、住民の方々が納得いかないと言われることも十分理解できますので、幾つかの疑問点と今後の操作規則の見直しなどについて、六点質問をいたします。
 一、最低水位は九十五メーターであり、予備放流水位の最低水位は百三・四メーターですが、コンジットゲートからの放流で八十八メートルまで水位を下げることは技術的には可能であるのに、百三・四メーター以下にすることができなかったのは操作規則があるからですか。この点を明らかにしてください。
 二、満潮時に大量放流を行っており、今回の洪水調整計画はどのようなものだったのですか。
 三、これまでにも内部で操作規則の見直しが必要との意見がありながら、昭和四十五年に規則が定められてから操作規則の見直しをなぜ行わなかったのですか。
 四、椿山ダムの洪水期間は六月十六日から十月十五日までで、この七川ダムの洪水期間は七月一日から九月三十日と、他のダムに比べても短いですが、なぜですか。
 同様に、洪水調整は百三・四メーターからの治水容量二千万トンで行うより、少しでも最低水位の九十五メーターに近づけて治水容量をふやすことの方が、発電よりも生命、財産を優先させる姿勢ではないですか。
 五、事前の放流の下流への影響ですが、私どもの調査では、古座川水道事業団は、「冬場の渇水期に水をとめられると大潮との関係で取水口に塩水がついてくることがあるので影響が出るが、洪水期の洪水調整であればほとんど影響はないものと思う。むしろ、洪水調整はしっかりやってほしい」、また熊野川漁協は、「渇水期に水をとめられると、本流でどの程度の被害が出るかはよくわからない。洪水期の洪水調整であれば問題がないと思うが、断言できない。ただし、もし影響があるとしても、人的、物的被害というものではない」と言っており、洪水調整のための事前の放流は住民の理解と納得は十分得られるし、十分可能です。今後は、訓練だけではなく、関係機関との連絡会などを常設し、ダム操作規則の見直しなどの協議や洪水時には地元の意見が反映できるシステムづくりが大切ではありませんか。
 最後、六つ目です。雨の降り始めの二十一日午前六時時点でのダムの空き容量は二千二百八万トンであったのが、何と午後六時時点では百九十一万トンと危険な状態になっています。結局、ダムの流入量のピークを迎えた午後五時前にはほぼダムは満水状態になっており、それ以上は調整規則どおりの調整ができなくなりました。確かに、今回のダムの流入量は毎秒千二百七十二トンと大きなものでしたが、かといって、ダムの基本計画では毎秒千三百八十トンもの流入量を調整できることになっていますから、予想の範囲内です。しかし、現実には計画の三百二十トンの放流の倍近い六百二十七トンの放流を行っています。この点からも、事前放流によってダムの空き容量を大きくすることは必要であり、もう一つ大切なことは、放流量の設定などは洪水に対する七川ダムの能力を過大評価したものではないかと思われ、その点も補える河川改修計画が必要であると思います。
 以上、六点についての土木部長の答弁をお願いいたします。
 四項目めの市町村の合併問題について、簡単に質問いたします。
 合併を進める要因の一つに、厳しい状態にある地方財政が挙げられていますが、国は合併推進のために莫大な建設事業を市町村に大盤振る舞いするような内容が挙げられており、財政のひずみをもたらすのではないかと心配しております。例えば、和歌山市を除く和歌山県の市町村の合併特例債などを試算してみたら、十年間で約三千五百億円となり、一年間に三百五十億円の事業が通常の建設事業に上乗せされ、十年間の平均の建設費用は三五%増しとなります。私の住んでいる新宮市の一市四町一村の組み合わせで試算すると、何と四〇%増しで一・四倍の建設事業となります。
 これでは、公共事業がふえてうれしいかもわかりませんが、大変な財政状態に追い込まれるのではないでしょうか。合併特例債などは、合併による財政債権とは裏腹に、合併バブルによる財政のさらなる悪化につながるのではないかと心配するものであります。知事の見解を伺います。
 次に、合併の大前提は市町村の自主性を前提としたものですが、県の合併重点支援地域の指定はその自主性を損なうものではありませんか。なぜなら、ことしの十二月までには指定をする計画ですが、残り三カ月、今から市町村に打診し、意思を確認して回答を得ようとするわけですから、時間的に果たして自主性に基づいた対応は可能なのでしょうか。
 また、市町村の意向とは、首長の意思ですか、議会の意思も含むのですか、また住民説明会などの情報公開をした後の意向なのですか。自主性が前提の支援地域の指定とは、いかなる手続と期間、どの程度の意思決定が必要だと考えているのか、具体的にお示しください。
 次に、新聞記事に、龍神村で今月三日に開かれた合併問題講演会で県の職員が龍神村の人口は四千六百三十四人から二〇二五年には二千六百人に減るとの推計を示し、「こうならない間に若年人口をふやすことだが、その一つの方法は合併」と述べたとあります。一体、合併することで若年人口がふえるという根拠はどこにあるのですか。これは県としての見解なのでしょうか。
 また、「龍神村の予算の状況」というグラフを配って、歳入では村民税と地方消費税交付金が二倍になり、反対に地方交付税が半分になるという仮定を示しました。いかなる根拠からですか。そんな仮定の数字を示したことに対して参加者から、将来はこうなるという脅しではないかとの批判があります。合併は住民自治の問題ですから、住民が正確な情報でメリットもデメリットも正しく評価できる材料を提供することが必要であり、住民に示した材料は正確ではなく、反省を求めるものです。見解をお尋ねいたします。
 最後の項目ですが、日本共産党は公共事業不要論ではありません。公共事業の中身を大型プロジェクト中心から生活優先に切りかえ、公共事業からむだと浪費を一掃すれば、公共事業を段階的に減らしても必要な社会資本整備を進めることができ、福祉・暮らし型の公共事業の方が中小企業への発注率も雇用効果も大きいことは明らかではないでしょうか。低家賃の公共住宅の大量建設、下水道処理、生活道路などの生活関連施設、特養ホームや保育所の新増設、学校の大規模改修、バリアフリー化など、必要な公共事業は大いに推進すべきとの立場から、熊野川に新たな橋をかけることを提案します。
 新宮の交通渋滞の緩和のために海岸道路としての県道あけぼの広角線の工事が進捗していますが、以前から熊野川の河口に橋をかけて海岸バイパス道路としての機能を強化させてはとの構想がありますが、これとは別に新たに熊野川沿いの国道百六十八号の新宮地内から対岸の三重県紀宝町へ橋をかける必要性が叫ばれております。
 現在、新宮市を起点として大阪枚方市に至る国道百六十八号は、一日の交通量約六千台と、地域にとっては身近な生活道路であり、産業を支える生命線と言えます。それだけではなく、その県内延長の四十二キロの沿線ほとんどが吉野熊野国立公園であり、自然といやしを求めて熊野を訪れる観光客に利用されております。そして、一九九四年に紀伊半島を南北に結ぶ道路として地域高規格道路五條新宮道路の指定を受け、整備が進められており、その利活用が期待されているところであります。
 しかし、現在でも新宮市内で国道四十二号と合流することによって市内の交通渋滞の原因ともなっており、対策が求められております。また熊野川には、国道四十二号の新宮市内の熊野大橋から国道百六十八号の熊野川町日足の三和大橋までの約二十キロの間、橋がないというお粗末な状況です。このことは日常生活の上で大変不便な思いをしているだけではなく、地域活性化対策や洪水や防災行政としての道路のあり方が問われており、国や県にとっても重大な課題だと考えます。特に現在の旧熊野大橋は昭和十年にかけられた橋で老朽化しており、新熊野大橋が災害などによって使用できなくなれば交通が遮断され、近くに迂回路すらないでは大変な事態になります。
 新たに橋がかかれば、車の流れが分散して渋滞が緩和されるだけではなく、熊野大橋のバイパスや迂回路としての役割を果たすことができます。特に紀宝町の住民は、今回の台風被害から防災対策の面からもその必要性を訴えており、県境にかける橋ですから、こうした動きにも和歌山県も機敏に対応し、協力して事に当たっていくことが実現への近道だと思います。初めての話でもあり、調査研究していただいて、ぜひ次の機会に前向きのご答弁をいただくことを期待・要望して、第一回目の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの、熊野川の汚濁といいますか白濁の問題でございます。
 熊野川は、世界遺産登録の問題もあります。そしてまた、環境保全、緑の保護ということから非常に大事な川であるという基本的な認識を私自身持っております。そういうふうな中で、あそこを車で通りますと、あるところから急に乳白色の水がまざってくるという問題について、私、かねてから非常に問題視をしていたところでございます。
 二津野ダムについては、電源開発の方もこれを全く問題視していないわけではなくて、県からの今までの要求等もあって、洪水後、濁水をできるだけ早く放流し、そして発電を一時停止し、きれいな水を貯留し、さらに濁水を軽減するということは実施していただいているようでございますけれども、これが十分でないということは今の結果でも明らかなわけでございます。
 今後といいますか、近々のうちに、これはいろいろ──本当はもう最終的には発電中止、ダムの廃止ということなんだろうと思いますけれども、いろんな事情があると思いますので、すぐにそこまでというわけにもいかないと思いますが、選択取水等、いろんな方法も考えられると思いますので、近々、県の幹部を電源開発の方へ派遣して、この問題にいかに地元として強い要望があるかということを──要望というより意向というものがあるかということを示していきたいというふうに考えております。
 次に、合併特例などで財政需要が高まるので、これは財政再建とかそういうふうなことと反するのではないかというご質問だろうと思います。これは確かに、一面短期的には、起債をしてその元利償還金を全部交付税で見ると。そうすると、その交付税の原資はまた借金によっているわけですから、今の財政再建路線とちょっと違うんじゃないかと。これは、その限りでは当たっていると思うんですけれども、ただ、この市町村合併ということは、合併することによって長期的に行政コストの効率化を図るということを目指しておりますので、さらにその先にある大きなコスト縮減ということの観点からこういう措置をとるというふうに理解をしているところでございます。
 この観点から、国の構造改革のプログラムの中でも市町村の再編促進がそういうことにつながるというふうに言っておりますので、この限りでは一応筋が通っている話ではないかと私は思っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 新宮市の産業廃棄物処分関係、三点のご質問にお答えいたします。
 まず一点目の管理票に関するご質問についてでございますが、平成十三年八月二十四日に事業者から新宮保健所長に対し、平成十一年度及び平成十二年度の管理票等の写しが提出されたところであります。そのうち、管理型廃棄物である石こうボードに係る管理票について調査中であり、廃棄物の量及び受入先等について関係者に確認をしてまいりたいと考えております。
 次に、二点目の焼却灰の保管についてでございますが、事業者から平成十年十一月から平成十三年八月までの間、事業場内でドラム缶容器に詰めて保管しているとの報告を受けており、飛散流出のおそれはないものの、長期間の保管は廃棄物の適正処理の観点から望ましくないため、適切な処理業者に処理を委託するよう指導しているところでございます。
 最後に、三点目の廃棄物保管施設に関するご質問でございますが、保管基準では地下水を汚染させるおそれがある場合は床面等の浸透防止を図ることとされておりますが、現在保管しているのは木くず、廃プラスチック類等であり、地下水を汚染させるおそれがないものと判断しており、今後、燃え殻等の地下水を汚染させる廃棄物を保管する場合は浸透防止を図るよう指導してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず新宮市松山での里道の無断使用についてですが、里道を無断で埋め立てて使用することは、国有財産の適切な管理に反する行為と認識しております。このため、行為を知ったときから、里道を埋め立てて使用している者に対して境界明示と払い下げ、またはつけかえの手続を行うよう継続的に指導しています。引き続き強力に指導を行い、境界を明確化するとともに、適切な財産管理に努めてまいります。
 次に、新宮市営球場に関するご質問にお答えいたします。
 まず、新宮市営球場の土壌追加調査の結果につきましては、重金属類、ダイオキシンともに環境基準を満足しており、安全であると確認いたしました。
 次に、しゅんせつ土砂以外の処理については、分別等を行い、適切に処理いたしました。また、野球場予定地の整地につきましては、野球場建設の主体である新宮市と協議してまいります。
 次に、七川ダム操作についてお答えいたします。通告の四点をまとめて順次お答えいたします。
 一点目のダム操作についてでございますが、操作規則に基づき実施しております。今回のダム操作によりまして、最大毎秒千二百七十二立方メートルの洪水を約半分に調節したところでございます。また、事前放流につきましては、今回の事前の水位が百・二メートルであり、操作規則で定めた予備放流水位百三・四メーターよりも低い状態でありましたので、行わなかったものでございます。また、仮に放流する時期を満潮時よりも早めた場合には、今回よりも最大放流量を多くせざるを得なかったものと考えます。
 二点目の操作規則の見直しについてでございますが、今後よりよい操作を目指して、洪水前の放流等も含め、企業局や町と連携して操作規則の見直しについて検討してまいりたいと考えてございます。
 また、三点目の地元意見の反映についてでございますが、地元の皆様からも予備放流水位の見直しができないか等の要望をいただいておりますので、町と連携しながら検討してまいりたいと考えてございます。
 四点目の河川改修計画につきましては、今回の災害の実態を踏まえて策定してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併についてのご質問に一括してお答えいたします。
 まず、合併重点支援地域の指定に当たっての県から市町村への意見聴取に対する市町村における意見集約についてでございます。これは各市町村ごとにご判断いただくものでございますが、一般的には市町村長が議会などとご相談いただきながら回答いただくことが多いのではないかと考えております。
 また、その回答期限は必要とされる期間等を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、龍神村が開催した講演会に関してでございますけれども、まずご指摘の若年人口をふやすことの趣旨でございます。これは、若年人口の割合が高い市町村と合併した場合に若年人口比率は同村の現在の数値よりも高まると、こういう趣旨のものであると理解をいたしております。
 次に、財政に関する資料に関する指摘でございますが、まず市町村合併と交付税の見直しは別のものでございまして、合併したことをもって交付税を減らすといった関係に立つものとは考えておりません。今後、地方財政制度改革の一環として交付税制度の見直しが行われていくことが予想される中で、市町村長など交付税の将来のあり方に関する関心が非常に高くなってきておりまして、ほかにもいろいろ理由があろうかとは思いますけれども、このようなことも踏まえる中で合併に対する真剣な検討の機運が生じているものと理解をいたしております。
 このため、配布資料に示しました交付税の二分の一という数値はわかりやすい例としてあくまでも仮定の数値を置いて示したものでございまして、誤解のないようにその旨の説明も行い、また、いろんな別の数字を置いてそれぞれ財政面からの検討をいただけるよう注意を申し上げたものでございます。市町村の方々が市町村合併についての取り組みを行う際に適切かつ具体的な情報の提供が大切であると考えておりまして、さらに適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 知事、熊野川の濁水問題についてですけれども、この問題は、この間いろいろ調べさせていただきましたら、本当に新宮、東牟婁選出の先輩議員の方々がそれぞれ重要な時期に濁水対策について、この議場で取り上げておられます。まさに、こういう意味では地元の悲願だと思います。
 ここに、昭和二十一年から昭和五十三年までの新宮川に関する新聞記事のファイルがありますけれども、この中に、昭和五十二年十月十六日、新宮市議らが県庁を訪れた様子が書かれております。この記事では、二津野ダムの撤去や発電停止について、新宮市議が当時の下川県会議長とご一緒に知事など県幹部と会談したとあります。そしてその中で、新宮市議の一人が二津野ダムの撤去、このことをもう既に述べているわけであります。別に今、私が初めて言うわけではないわけです。まさに昭和五十二年、この当時から問題だったんです。その点を十分認識していただきたい。長い歴史があります。
 たまたま、きのう、テレビドラマのお話の中で「ほんまもん」の話がありました。その中で知事が、熊野には、紀南にはほんまもんの自然があると発言しておられました。そうありたいと思います。しかし、熊野川をこのままの状態で置いていたら、ほんまもんの自然はある、ただし熊野川は別ですと、ただし書きをつけなければうそになるというような残念な結果になってしまいます。ぜひ発電停止、よろしくお願いしておきたいと思います。
 次、合併の支援地域の指定について確認しておきます。いつまでにそれを決めるかというのは各自治体、市町村で決めたらいいことですね。その点を確認しておきます。
 また、龍神の講演会について、職員はそれなりに一生懸命資料もつくったんですけれども、その真意が伝わらず、また根拠のない数字を示したから混乱を与えました。こうしたこと、根拠のない数字を出すのはやめていただきたい。このことは要望しておきます。
 次、松山の産廃問題です。土木部長、答弁わかりました。もう本当にご指摘のとおり、前からの話で、以前にもここの問題、ちょうど同じ場所、県の土地を無断使用していることで議場で取り上げました。直ちにそれをやめさせていただきました。そのように、今回も適切、敏速にかつ住民も納得できるような形で作業を行っていただきますよう要望する次第です。
 さて、七川ダムの問題について、はっきり申しまして、答弁者漏れはありませんが、私は答弁漏れだらけだと思います。私は、今回もできるだけ具体的に六点の質問をしました。それを要約して四点だけ答弁いただいたわけですけれども、具体的な話ですよね。二者択一のような質問ですよ。一つ目の質問は、百三・四メーター以下になぜできないのか、それは規則があるからですかと、こう聞いているんです。そうです、そうでないです、はっきり言ってくれればいいいんです。何でこんな当たり前のことを聞くかと言えば、以前は事前放流をやってくれたやないか、何で今度はやってくれんのな、こうした住民の疑問があるからですよ。だから、それに答えたいから聞いているわけです。
 次もそうですよね。三つ目の、これまで内部で操作規則の見直しが必要との意見があったはずやと。それが何で変わらんのよ、昭和四十五年から変えてくれなんだんよと聞かれたら、答えたいじゃないですか。だから教えてくださいと言っているんです。簡単なことでしょう。
 それから、ダムの洪水期間。ほかのところは長いのに、何で七川ダムだけそんなに短いんよと言われたら、それはこうこうの理由ですよと答えてあげたいじゃないですか。また、答える義務があるんじゃないですか、県は。
 そして、百三メートルの水位にするよりも九十五メーターに下げた方が、発電優先でなく生命、財産を優先にするんじゃないですか。これは、だれでも考える単純なことですよ。そのことに対して、こうこうですよと説明してくれりゃいいことです。
 特に、二つ目の問題です。特に問題になったのは、満潮時に大量放流を行ったと。だから、今回の洪水の調節の計画、予想はどうだったんですかと、そういうことも十分事前に予想して立ててくれたんですかと聞いているわけです。だから、こういうふうに立てました、これですと、はっきりと示してくれればそれで済むことでしょう。そうしたことには明確に答えてくれないで、ほかのことを言っておられるのでね。今回、幸い人の命を失うことはありませんでしたけれども、本当に大きな被害を与えました。そのことに対して、いろんな疑問を持っております。もちろん、感謝している面もあるんですよ。しかし、いろんな疑問があったら、そのことに対して、わかる範囲、答えられる範囲は答えてくださいよ。これぐらいのことは答えられる範囲でしょう。違いますか。再度ご答弁をお願いいたします。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず市町村合併についての再質問でございますけれども、言うまでもなく、市町村合併は市町村が自主的にみずからの将来の展望に立ってご判断いただくべきものであることは当然でございます。
 重点支援地域の指定に当たっての市町村からの回答も、当然のことながら市町村それぞれのご判断によるべきものと承知をいたしております。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 再質問にお答えいたします。
 まず事前放流についてでございますが、事前放流につきましては、今回の事前の水位が百・二メートルでありまして、操作規則で定めた予備放流水位百三・四メートルよりも低い状態でありましたので、行わなかったものでございます。
 また、満潮と放流との関連でございますけれども、仮に放流する時期を満潮よりも早めた場合には今回よりも最大放流量を多くせざるを得なかったものと考えております。
 それから、操作規則の見直しの件でございますけれども、ご指摘のとおり、この規則は昭和四十五年に定めたものであります。いずれにいたしましても、今回、地元の皆様からも見直しに関する強い要望をいただいておりますので、今後よりよい操作を目指して町と連携しながら検討してまいりたいと考えております。
 それから、洪水期間のお尋ねがございました。洪水期間につきましては、流域の特性等を考慮して定めておりまして、水系により異なるのが一般的でございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 答えてくれということでまた答えて、またそれが答えになってないということの繰り返しになるので、もうあれですけど、一つ、非常に心配しているのを一点だけ指摘しておきますよ。予想、計画の問題です。
 ここに、そちらからいただいた「出水時におけるダム管理状況」という表があります。これには、調整した放流量等も全部書いておられます。それは結構なんですよ。ただ、私ども、国から出ている一つのマニュアルがあるんですよ。その中には、予定の流入量、放水量を書くような欄があるんです。しかし、おたくからいただいたやつにはその予定量がないんですよ。ね。ですから、こういうことでは、果たして予想を立てたんかな、計画を立てたんかな、そのこと自体疑問に思うじゃないですか。そのことを聞いているんですよ、我々ずっと。だから、特別難しいこと、何にも言ってないんですよ。比較してみたら予想というのが足らんから。国のやつにはあるけど、こっちにはない。だから、ちゃんと立ててくれたんたかなと、そういう不安、疑問さえ感じてしまいますよ。そういうことを本当に真摯に考えていただいて、特にダムの能力の問題について──あのダムの果たす役割、わかっています。しかし、過大に評価しないで、本当に住民が安心して暮らしていける──今回の地元説明会の中でも県の職員の方は言っておられましたね。ダム一つで守れるもんじゃないんだと。能力の限界がありますよと、県みずから認めているわけですから、住民が安心して暮らしていけるようにぜひ対策を講じていただきますことを要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十五分休憩
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