平成13年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
県議会の活動
平成十三年九月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
─────────────────────
議事日程 第三号
平成十三年九月十九日(水曜日)午前十時開議
第一 議案第百四号から議案第百二十号まで、並びに報第六号
(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第百四号から議案第百二十号まで、並びに報第六号
(質疑)
二 一般質問
出席議員(四十五人)
一 番 新 島 雄
二 番 山 田 正 彦
三 番 佐 田 頴 一
四 番 大 沢 広 太 郎
五 番 堀 本 隆 男
六 番 宇 治 田 栄 蔵
七 番 門 三 佐 博
八 番 西 本 長 弘
九 番 坂 本 登
十 番 小 原 泰
十一 番 木 下 善 之
十二 番 永 井 佑 治
十三 番 尾 崎 要 二
十四 番 小 川 武
十六 番 橋 本 進
十七 番 生 駒 三 雄
十八 番 原 日 出 夫
十九 番 谷 洋 一
二十 番 山 下 直 也
二十一番 高 瀬 勝 助
二十二番 吉 井 和 視
二十四番 町 田 亘
二十五番 金 田 眞
二十六番 高 田 由 一
二十七番 神 出 政 巳
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 向 井 嘉 久 藏
三十 番 野 見 山 海
三十一番 平 越 孝 哉
三十二番 下 川 俊 樹
三十三番 中 山 豊
三十四番 浜 田 真 輔
三十五番 鶴 田 至 弘
三十六番 冨 安 民 浩
三十七番 村 岡 キ ミ 子
三十八番 中 村 裕 一
三十九番 井 出 益 弘
四十 番 阪 部 菊 雄
四十一番 江 上 柳 助
四十二番 長 坂 隆 司
四十三番 森 正 樹
四十四番 飯 田 敬 文
四十五番 新 田 和 弘
四十六番 松 本 貞 次
四十七番 和 田 正 人
欠席議員(一人)
十五 番 宗 正 彦
〔備考〕
二十三番欠員
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
理事 安 居 要
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 稲 山 博 司
企画部長 垣 平 高 男
環境生活部長 秋 月 成 夫
福祉保健部長 白 井 保 世
商工労働部長 内 田 安 生
農林水産部長 辻 健
土木部長 大 山 耕 二
企業局長 増 田 充 孝
教育委員会委員長職務代行者
赤 松 壽 男
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 高 垣 宏
警察本部長 岩 井 良 行
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 北 村 亮 三
職務のため出席した事務局職員
事務局長 田 村 徳 美
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 北 垣 内 敬
議事課副課長 松 谷 秋 男
議事班長 露 詰 勤
議事課主査 尾 崎 善 亮
議事課主査 井 口 好 晴
総務課長 梶 本 皓 造
調査課長 宗 野 幸 克
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課副主査 保 田 良 春
─────────────────────
午前十時二分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
【日程第一 議案第百四号から議案第百二十号まで、並びに
報第六号】
【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第百四号から議案第百二十号まで、並びに知事専決処分報告報第六号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
四十四番飯田敬文君。
〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。
議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、二日目、トップバッターの質問をいたします。
初めに、先般、想像を絶する非情なアメリカ中枢同時多発テロ事件が発生し、世界じゅうに衝撃が走りました。多くの犠牲者が出ております。こういう卑劣で非情な行為は、断じて許されることのできないものであります。事件に遭われた方々に対し、心より哀悼の意を表したいと思います。
また、去る七月に逝去されました木下秀男議員に、改めて、謹んで哀悼の意を表するものであります。
それでは、質問に入らせていただきます。
この事件により、世界経済も混乱をきわめ、我が国にも大きな影響が出てきております。アメリカ経済は、一時的ではあろうとは思いますが機能を停止しており、我が国の株価が一万円を下回り、崩壊寸前の我が国経済の先行きが不安視され始めております。このようなとき、国民の八割を超える支持を得た小泉首相が推し進めている痛みを伴う構造改革の断行は、長引く景気の低迷と相まって、多方面にわたり正と負の論議がされております。現在の日本の現状は、明治維新や第二次世界大戦直後に匹敵する歴史的な大転換期にあるのは間違いのない事実であり、このようなとき、これから十年後の日本のあるべき姿への道筋を決定する必要はだれもが認めるところであります。政治にかける期待、それを動かす政治家への期待には大きなものがあります。
さて、小泉改革とは具体的に何でありましょうか。また、痛みとは何であり、どれほどの痛みなのかであります。首相の所信表明演説では、第一に「改革断行内閣」と位置づけ、「恐れず・ひるまず・とらわれず」の姿勢で、二十一世紀に日本と国民が自信と誇りを回復するため、聖域なき構造改革を進めることを主張いたしました。さらに、今の痛みに耐えてあすをよくしようという精神、いわゆる「米百俵」の精神こそ改革を進めようとする今日の日本には必要であると訴えたわけであります。
具体的には、首相公選制実現の政治構造改革、不良債権処理や競争的経済システムの構築などの経済、財政構造改革、中央分権とかかわった特殊法人の改廃、郵政三事業の民営化の行政構造改革など、あらゆる分野において一貫した構造改革を推し進めることとなっております。これは、あらゆる側面での構造改革を通じて日本の立て直しを図るという、これまでのいわゆる守旧派型政治からの脱却によらなければ日本の活性化、再生はあり得ないという認識に基づくものであります。
私は、このような認識のもとに、構造改革については大いに賛意を表するものでありますが、この構造改革の名のもとに、国民及び地方、弱者のみにそのしわ寄せを押しつけ、犠牲を強いることには断固反対であります。日本経済を混乱に陥れた不良債権の一掃のために、その元凶である大手銀行経営者やゼネコン、旧大蔵省幹部などの責任を徹底的に追及し、その癒着の構造改革をこそまず徹底させなければなりません。
一方、日本の経済情勢は一段と厳しさを増しております。本月七日に内閣府が発表した本年四月から六月期の国民所得統計によると、国民総生産いわゆるGDPは、実質一月から三月期の前期に比べ〇・八ポイント減少し、年率換算で三・二ポイント減となり、四半期ぶりのマイナス成長に転落したことを報告いたしました。また、この景気の落ち込みを受け、従来よりの民間企業は一層のリストラを推し進め、本年七月の完全失業率が五%に達し、近畿地区においては六・三%という高い数値が示されました。さらなる失業率の上昇が予想され、国民全体に大きな不安が広がっております。この大きな不安により、新聞紙上をにぎわわせている凶悪な犯罪が増加し、治安の面からも不安視され、犯罪をなくす一番の方法は、構造改革ではなく景気を回復させることが大事であるという意見もあり、政府の方針と矛盾することとなっております。
私は、小泉首相の「構造改革なくしては景気の回復なし」と、そのこと自体の意味は正しいとは思いますが、それは一面を言っているにすぎないと思います。構造改革をしさえすれば景気が回復するということにはならないと思うわけであります。なぜならば、景気や経済というのは生き物であり、人間の意識や行動、政策とは独立した法則のもとに動いているものであり、その法則に見合う政策を打たなければ景気の回復はありません。今回の株式の一万円割れはそのことを端的に示していると思います。構造改革と景気回復の将来を、両方同時に強力に推進していく以外、方法はないと思うわけであります。
構造改革というのは、一般的に言われておるわけでありますけれども、幾つもの側面があると思うわけであります。すなわち、不良債権を一掃する経済改革、特殊法人、公団等、民営化に見られる行政改革、さらに国、地方の行財政改革、この三つから成っていると思うわけであります。私は、今やるべき構造改革は経済改革の徹底であり、不良債権の一掃のために全力を注ぐべきである、これを支えるセーフティーネットの確立が最も求められていると思います。行政改革とは同時に実施するのではなく、時間をかけて時期を見て実施すべきではないでしょうか。
先ごろ、県組織の見直しを検討していく和歌山県行政組織等検討懇話会なるものが設置されたと聞いております。これは必ずやり遂げなければなりませんけれども、今これを実行することは、失業者をふやしたり経済の失速を招きかねるという意味で、危惧をいたしているところであります。このままの構造改革の推進は、地方に大きな負担がかかることが目に見えております。中でも政府の構造改革の柱となっている不良債権処理と公共事業の削減は、失業者をふやすだけでなく、和歌山県などの地方にとりましては発展の基礎を危うくすることとなると思います。
先般、道路特定財源の見直しを掲げた政府に対し、存続の議会決議を行い、陳情してきたところでありますが、このような地方の切り捨ては断じて許すことのできないことであります。確かに、将来の日本を見詰めたとき構造改革は必要不可欠のことではありますが、むだを省き、重要な施策については強力に推し進めることが、地方の活力維持とともに主眼に置かれるべきであると思います。
木村知事におかれましては、小泉政権の目指す構造改革を踏まえた基本的な考え方についてお伺いをいたします。
次に、本年二月議会におきまして木村知事にご質問をいたしました二十一世紀の和歌山県のありよう、地域づくりについて、どのような方針のもと、どのような県にしていくのかをお聞きし、木村知事の将来ビジョン、いわゆる木村ビジョンを明らかにされるよう質問をいたしました。知事就任一周年を迎え、和歌山再生のこれまでのご努力に対し敬意を表するわけでありますが、いまだ政治家木村知事としてのビジョンが全県民に見えていないように思われますが、いかがなものでしょうか。
とにかく現在の和歌山県は、県財政の悪化とともに、長引く景気の低迷により、失業者の増大に加え、中小企業の倒産やその予備軍を抱え、また環境面や安全面においても危機的状況にあります。この危機的状況を打破し、厳しい状態であるからこそチャンスととらえ、県民の負託にこたえることが知事としての責務であることは、言うまでもないことであります。まず、木村ビジョンなるものをお示しいただきたい。
さて、これまで何度となく質問させていただいております和歌山県の活力ある発展には関西空港を中心とする泉南地域との連携と、さらには近畿圏の総合的な施策によって考えるところに立ち至っております。しかし、これまでの和歌山は、そのことを後回しにし、今までこれに乗りおくれてきたのであります。その証拠に、県民所得の低下や企業誘致が進まない現象が起きており、近畿圏の中で最低の水準であります。これまで、全県下的なばらまき施策により進められてきた財政投資や事業の推進により活性に重要な事業がおくれてきたことが原因ではないでしょうか。私が県議会に登壇以来提唱し続けてきた紀泉百万都市構想は、近畿圏第四の経済集積地域をつくり出すもととなるものであり、もちろん県全域の発展を見据えた構想であります。ただし、これも我が県がその体制を早急に整えた上での話であります。
まず、木村ビジョンの中において、紀泉百万都市圏域の推進について、知事の見解を求めます。
特に、那賀郡を初めとする紀北地域が大阪府南部に隣接していることもあり、この地域を一体として和歌山県の玄関口として位置づけるところから始めなければなりません。具体的には、道路体系の整備が急務であります。中でも京阪神と二時間でつなぐことができる京奈和自動車道路の完成が大事であり、今までにも要望させていただいてきた和歌山市側、紀北西道路の着工を紀北東道路と同時に進めることで京阪神とつながり、今まで以上に企業誘致が進み、経済効果が期待できると思うわけであります。
次に、生活道路である府県間道路の泉佐野岩出線が今急ピッチで整備され、県においてもこの完成に重点を置かれ、来月五日に備前─根来間の竣工式を迎えることは喜ばしいことであります。しかしながら、和泉山脈を抜けるトンネルの建設がおくれていることと、大阪側の改修が進んでおらないように思われますので、早急な工事の着手を大阪側に要望していただきたいと思います。
また、泉佐野岩出線の南下計画や府県間道路泉佐野打田線の大阪側の全面改良をあわせて強く要請いたします。現状と今後の取り組みについて、当局の答弁を求めます。
都市計画にかかわる土地利用については、先般和歌山市において和歌山インター下と和歌山市東部地区の二十四号線沿いで条件つきの開発許可が設定され、近隣の都市構造に大きな変化が見込まれるように思われます。紀泉百万都市の形成は、未来を見据えた都市計画の整備が基本であります。現在、那賀郡内において都市計画が完成されている地域はほとんどなく、用途制限のみで運用している現状であり、近畿圏の一翼を担う地域として構想の推進を考えるならば、早期に計画の推進を図ることが大事であります。また、快適で安全な住環境をつくり上げることは地域の願いであり、中でも下水道那賀処理区の建設の推進を図る上で終末処分場の建設を早急に進めなければなりません。これと同時に、必ず出るごみの処理が環境を守る上で重要であります。現在、一市九町の協議が進んでおりますが、処理場候補地など課題が山積しており、県当局の指導が待たれるところであります。
一方、和歌山県はたくさんの文化遺産や自然環境に恵まれ、高野・熊野を世界遺産へと登録申請をする動きがあり、観光資源の宣伝材料として生かすことは和歌山県の文化及び観光資源の利用に役立つものと期待をしております。世界に一番近い観光地は、京都でも奈良でもありません。紀北地域にも、根来寺を初めとする粉河寺、青洲の里、紀伊国分寺など、たくさんの文化と歴史に彩られた遺産があり、先ごろ開通した紀泉スカイラインを利用した最近流行の「いやし」をキーポイントに、高野・熊野を含んだ交流とか観光ルートの開発を急がなければなりません。また、以前にも要望を申し上げた打田町神通から岩出町根来までのスカイラインの延長が図られるならば、地域を一体とした観光ルートができ上がることとなりますので、この計画とともに推し進められたいと思います。当局の答弁を求めたいと思います。
さて、今、最も重要なことは雇用問題であり、先ほども申し上げた失業率の問題は、単に景気の低迷だけではなく、我が国の産業構造の疲弊と教育の方向から来る問題も含まれております。経済産業省が過去五年間に日本に進出した外資系企業のアンケートでは、四四%の企業が人材確保が困難と答えており、求めている人材は語学であるとか専門知識を持った人材であることが指摘されております。私は、かねてより専門技術の人材育成が必要だと、新設高校の建設や既存の高校を専門系の学校にするべきではないかと言ってまいりました。IT関連を含めた外資系企業への就職があるのであれば、この方面に対し、公共での人材育成も可能であります。以上の施策を強力に推進することにより、大阪泉南地域との連携や、ひいては近畿圏とともに発展できる一つの条件が整うわけであります。
また、現在進行している地方分権に絡んだ市町村合併問題が大きな要素を含んでおり、このことを抜きにして体制が整ったとは言いがたいのであります。基本的なこの地域の進むべき将来は、市町村合併をチャンスととらえるところから活力ある地域づくりを目指すべきであります。現在、那賀郡の合併問題は、郡内六町の町長さんの協議とあわせて、行政レベルでの具体的な課題について検討を重ねておられると聞いておりますが、この協議の中で問題となることは何か、徹底的な論議の中で進められるよう希望しており、それと同時に、基本的な都市としてのあり方、どういうふうな都市を目指すのか、都市計画を含めた論議が必要であります。私は、那賀郡を中心とした二十万都市を目指すべきだと考えております。これが完成されれば県都和歌山市に匹敵する都市ができ上がり、和歌山県下の中で互いに競争することにより我が県の発展が可能であると信じております。
木村ビジョンの中での紀泉百万都市構想の都市構築体制の整備推進と生活道路である府県間道路の改良促進、及び市町村合併にかかわる那賀地域の都市づくりについてお伺いをいたします。
続いて、農業問題についてお伺いをいたします。
前段でも申し上げました構造改革は、農林水産業にも大きな改革の波が押し寄せております。政府農水省は、この秋の米の生産目標と流通の簡素化を目的とした構造改革を決定し、米価格の安定を図るため、需要と供給の格差を是正する改革を断行すると発表いたしました。現在、米価格の主要指標である自主流通米の入札価格、全銘柄平均は、二〇〇〇年産が六十キロ当たり一万六千八十四円であったのに対し、入札が始まった十年前に比べ、約七割の水準に下がっております。また、米の消費に至っては、一人当たり年間消費量が一九六二年度の百十八キロをピークに下がり続け、一九九九年度には六十五キロまで減っていることが主な原因であり、農家は毎年のように生産調整いわゆる減反を強いられ、本年度も三万一千ヘクタールの青田刈りを実施することとなっております。しかしながら、このことだけで農業の基本的な解決につながるとは到底思えないわけであります。
日本農業の実情を見てきますと、戦後に策定された農業政策が激動する世界情勢に見合わなくなってきており、農業基本法にかわるものとして平成十一年に食料・農業・農村基本法が制定され、新しい時代へ踏み出しております。現在、日本農業も国際化を迎え、輸入の増大、市場原理の大幅な導入による競争時代に突入しております。しかし、農産物自給率の低下、農業の高齢化、後継者不足、それに伴う中山間地の過疎化と耕作放棄の増加による国土の原野化など、問題が山積しております。さらに、生産の効率化を追い続けてきたツケとして、地球環境の悪化、途上国の爆発的な人口増加を前にした食糧危機など、世界的な問題を抱えております。特に、長引く景気の低下と生産だけではなく、販売競争による農家所得の低下が深刻な問題として浮上しております。我が和歌山県もこれらの問題の渦中にあり、農家就労世帯がわずか十年前の平成二年当時より約二割弱の減少を示し、三万九千八百六十三世帯に減少しているところであります。農業が魅力のない、夢のないものとなっているからであり、これからの農業のあり方を模索する上で重要なポイントであります。
昨年十一月、那賀郡打田町に紀の里農業協同組合が設立した農産物の販売施設、いわゆる「めっけもん広場」が開設されました。この中身は、地域農業基盤確立農業構造改善事業により、国、県、市町村の補助金を利用し進められております。開設して十一カ月が経過しており、取扱物品は、近郊農家千三百人が出品し、一日平均の買い物客が千八百人で、一日約四百万円の売り上げを見ております。買い物客の内訳は、県外以外で四割に対し、泉南地域のみでは三割に達しております。これは、これからの都市近郊農業のあり方を示唆しているものであり、同時に買い物客は安全で新鮮な農産物を求めているとともに、観光とまではいかなくても、遊び感覚での遠出を目的に来ているように思います。一方、現在の人のライフスタイルは、物の豊かさより心の豊かさを求めており、自然との触れ合いを通じて自然の大切さを追求するようになってきており、山中に自宅を構え、土や自然に親しむ生活を望む人々もおります。
私はかねがね、農業というものは環境・健康・文化産業と位置づけし、農業施策全般を推進するべきと訴えてまいりました。田園や森林は、単に第一次産業の農林業としてだけではなく、大切な水を蓄え、洪水を防ぐ役割や水質を浄化する作用、気温調節や二酸化炭素の吸収、酸素の供給、野生動植物などの保護、さらに文化、伝統、習俗など多くの役割と機能を持っております。構造改革が進む中、生産性を高めるためだけの農業への政策や補助金制度を改め、土に親しみ、物をつくり出す喜び、体を動かし、適度な運動を生み、健康で夢のある農業政策を総合的に推進していくことがこれからの農業に必要な視点ではないでしょうか。
例えば、めっけもん広場の近距離に複合した観光農園化や既存の田園や森林、農家を利用した観光型農業、遊びに来て、食べて、農業を体験できる農園ファームのような公園づくりを進めるべきであります。また同時に、那賀郡岩出町には緑花センターが県の施設として設置されているわけでございますけれども、これも地元とともに農林業を育成するという観点から検討し、見直す必要があるのではないかと思っているところであります。
また、今月三日、木村知事と三重県北川知事の共同で、きのうの知事の答弁では失業対策にはしないと、こういうことで説明をされておったわけでありますけれども、そういった緑の雇用事業、地方版セーフティーネットの構築を提言されたところであります。このことと農林業振興とどのように関係をしておるのか、どのような整合性があるのか、ひとつこの点についてお聞かせをいただきたいと思います。
さらに、安全性の問題でありますけれども、国内において狂牛病の疑いが持たれ、新聞やテレビで報道されております。国民の食糧に対する安全性に大きな脅威をもたらしています。食品の安全面からも、今後の畜産の振興にとっても徹底的な調査を実施し、県民の不安を取り除くための対策を望むものであります。
今後の農業のあり方、及び緑の雇用事業の中身、農林業との関係、健康、環境、文化を結びつけた施策及び県内における狂牛病の現状と対策についてお伺いをいたします。
続いて、福祉のまちづくり条例についてであります。
平成八年、高齢者と体に障害を持つ方々を初め、だれもが自由に行動でき、安全で快適に過ごせる優しい町づくりを目指して福祉のまちづくり条例が制定されました。その内容は、道路の段差の解消、音の鳴る信号機の設置、公共の建物のエレベーター、スロープ及び車いす用トイレの設置などの施設や建築物のバリアフリー化を目的に整備推進することとなっております。しかしながら、本当に事業が進んでいるのか、どこまで進められているのか、条例制定から五年を経過していることから総点検が必要であります。まず、県みずからが先取りした整備をしていくことが先決であります。
例えば県庁舎は、前回の質問の折に要望いたしましたエレベーターの設置と障害者用トイレなど整備をされてきております。しかしながら、庁舎前正面玄関から車いすで障害者や高齢者などが入れない構造となっており、全面改修を望むものであります。また、先ごろ県民文化会館での高齢者に対する功労者表彰が行われた際、舞台に上がる高齢者の方が階段を上がるのに支障があるなど、バリアフリーにはほど遠いこととなっております。県内各施設についても、これと同様な現象がありますので総点検をし、あわせて整備を図る必要があります。さらに、一番身近な市町村の状況は、古い建物のためでもありますが、役場内の手すりや障害者用エレベーターの設置率が全体で約四割であり、役場外施設、例えば地域改善対策集会場は約三〇%、隣保館、公民館の障害者用トイレとエレベーターの設置はほとんど進んでいない状況であり、早急な推進とともに市町村指導の強化を図るべきであります。行政サイドでもこのような結果であることを考えますと、民間・公共施設においてはほとんど進んでいないことが予想できます。なお、今までの指導では新規建設の施設がほとんどであり、既存の建物に対する改良も検討する必要があります。
また、道路の段差解消については、平成十年、県内調査の結果、八千二百余りの改修箇所があったにもかかわらず、平成十一年末までの整備は二割弱の整備にとどまっております。一方、視覚障害者用信号機などの交通弱者用の信号機の設置については、平成十二年度末での設置済み数は二百六十五カ所で、平成十三年度の目標は十五カ所となっております。また、歩行者の保護に重点を置いた交通安全のための安全施設を中心に設置しておりますが、自動車を運転する身体障害者もあることから、例えば本道に出る場合、押しボタン式信号機では、障害者みずからが車から下車し、ボタンを押すということが難しいわけであります。このことから感応式信号機を整備することが大事であり、あわせて早急な整備が必要であると思います。
こうして見ますと、条例制定より五年が経過しているにもかかわらず、全体的に見ますと整備が進んだとは言いがたい結果であり、福祉のまちづくり条例の効力というか、罰則のない要請であるため進行しないのではないか、達成目標を決めて推進することが大事であります。
なお、民間においての福祉のまちづくり条例の振興を図る上で、現在、和歌山県建築士協会の協力で施設アドバイザー派遣事業というのが行われております。これを拡大させ、さらに推進することによって、この分野にも雇用が生まれてくると考えるところであります。
福祉のまちづくり条例の進捗状況と今後の推進の考え方、及び達成目標をお伺いいたします。
最後に、人権擁護全般のあり方について質問をいたします。
二十一世紀は人権の世紀であるということがよく話されるわけでありますが、先般のアメリカ中枢同時テロ事件でもあるように、人の尊厳を無視した事件、犯罪が日本国内においても続発しております。人の権利を認めるとは一体どういうことなのかをいま一度研さんしてまいらなければならないところに来ているのではないかと思います。
我が国においては、日本国憲法のもと、すべての国民は基本的人権の享有を妨げられず、個人として尊重され、法のもとに平等とされております。政府は、これまで人権に関する諸制度の整備や施策の推進を図り、国際社会の一員として人権に関する諸条約に加入するなど、さまざまな施策を講じられてきました。しかし、今日においても、同和問題など社会的身分や門地による不当な差別、人種、信条、性別による差別、その他の人権侵害が依然として存在しており、我が国社会の国際化、高齢化、情報化の進展に伴い、人権に関する新たな課題も見られるようになっております。これらの状況を踏まえ、あらゆる場所、立場において人権擁護に関する教育や啓発が強化されてきました。また、人権を侵害されたときの被害者救済にも目が向けられております。和歌山県においても、教育・啓発はもとより、これまでの「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画や和歌山県同和行政総合推進プランなどを推し進められておりますことは、人権先進県として喜ばしいことと敬意を表したいと思いますが、しかし県内においても依然、差別事件がさまざまな形で続発しており、極めて人権意識の希薄さを浮き彫りにしております。
こういう事態の中、本年二月にも質問させていただき、六月議会の松本議員の質問もございましたが、県の果たす役割、責任、行政の基本的なあり方を含めて早急な体制を築くべきであり、福祉のまちづくり条例がハード面のバリアフリーであるならば、人権の町づくり条例といいますか、心のバリアフリーである人権条例の早期の制定を訴えたところであります。人権条例の制定については、県としても人権施策啓発法を受けた人権条例の制定に向け、人権施策審議会や人権教育啓発センターの設置を検討し、来年二月議会に議案の提出を目指して条例の内容などを作成するように聞いておりますが、これを作成するに当たり、例えば、市町村への指導体制はどうするのか、人権推進事業、例えば三月三十一日で期限切れとなる現行の地対財特法の同和対策事業にかかわる残事業の推進、こういったことの具体的な計画を含め、審議会委員の選出のあり方、人権教育啓発センターの設置状況や具体的な取り組みなどを念頭に入れた内容の作成が大切であるとともに、人権擁護の理念である、すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等であるという人類普遍の原理を念頭に入れたものになるよう強く要望するものであります。
和歌山県人権条例の中身と具体的な取り組み、及び審議会委員の選出のあり方、人権教育センターの中身についてお伺いをいたしまして、一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(井出益弘君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問、まず小泉構造改革への対応ということでございますけれども、景気が非常に悪くなってきている、そしてまた同時多発テロ事件があったりして不透明感が増してきているということはあろうかと思います。いずれにせよ、日本の国がうまくやっていくためには、不良債権の処理とか、効率の悪い分野にある資源とか人材を効率のよい分野に移していくという構造改革が必要であるということは、これは論をまたないことだろうと思うわけでございます。しかしながら、その中で例えば交付税制度、和歌山県はこれに非常に依存しているわけでございますけれども、これをドラスチックな形で見直して県が成り立ち行かないような形になるということは、県にとっても県内の市町村にとっても非常に困ることでございますので、私も鳥取県の知事と共同で、この地方交付税の持つ財源調整制度が本来の機能を失うことなく行っていけるようにという緊急のアピールを行ったところでございますし、これについては今後もまたいろんなところで主張していかなければならないと考えているところでございます。
それから、道路特定財源の見直しの問題があります。
これは、道路はもう十分だというところもあるかもしれませんけれども、和歌山県について言えば、先ほどもありました京奈和自動車道、府県間道路、高速道路の南伸等々、まだまだこの県の発展のためには道路が大事ということがありまして、県議会の皆さん方とご一緒に東京で大会を開き、有楽町でビラ配りをしましたところ、これが非常にタイムリーであったものですから、和歌山県は全国でも一番道路財源の維持ということに熱心な県ということになってきておりますけれども、これは必要なことだと思いますので、今後ともこの点についても十分頑張っていきたいと思っているところでございます。
それからまた、こういう不景気の中で構造改革をするというところで痛みの問題が非常に出てきていると。一言で何十万人の失業者が出ると言いますけれども、その失業する人の痛みというものは、これはもう家族の方も含めて大変な事柄であると私自身は思っております。
そういうふうな中で、個人としての尊厳を維持しつつ、今までどおりの所得を確保できないのであれば、確保できない所得の中でも十分人間らしい立派な生活を送ることができるという観点も含めて私は緑の雇用事業を提言したところでございます。やはり、人間はライフサイクルの中で自然の中に親しみながら、環境保全とか社会の役に立つ時期も必要だ、そういうことにいろんな人がかかわってくれるということが雇用対策になれば非常にいいことだということなんで、どちらかというと、これは今度の補正予算の雇用対策の中でも一番の柱になってきたような感じですけれども、それが何となく短期的な、失業対策的な感じでとらえられているところがちょっと私が思っているところと違うところでございますので、これについてももう少し大きな面からとらえられるような形で頑張っていきたいと思っているわけでございます。
いずれにせよ、小泉構造改革に対しては、こういういろんな形で県としての姿を主張していかないといかんと思っていますけれども、それとあわせて和歌山県も自立できる県になっていかないといかんということは当然のことでございますので、県としても行財政改革に取り組んでいかなければならないと考えているところでございます。
次に、紀泉百万都市構想の問題でございます。
これは、もう既に百万人以上の人口があると思いますけれども、大阪との間で関空を中心に大きな都市圏を考えて、そこから和歌山県の発展をさせていこうという発想で、今はもうはっきり言って都道府県単位で物を考えている時代ではない、大きな圏域の中でどういうふうにその地域を持っていくかということを考えていく時代だと思いますので、私はこの紀泉百万都市構想というのは非常にすばらしい構想であると思っております。
ただ、正直言いまして、関空に対する中だるみ感というふうなことがちょっとありまして必ずしも十分進んでいるわけではありませんけれども、今後とも京奈和自動車道の整備であるとか府県間道路の整備を進めることによって地域的な連携を高めて、本当の意味での紀泉百万都市というふうな一体性を持った地域になっていくように頑張っていきたいと思います。
和歌山県は府県間道路にことしあたりからもう割と重点的に予算配分しているんですけれども、隣の大阪府の方が非常に厳しいという状況の情報が入ってきまして、ずっと私、ここへ来るまで電話をかけたりいろいろ手を尽くしていたんですけれども、いずれにせよ、こうふうなところを一体としてやっていくということは必要だと思います。
それから、こういう交通の面だけではなくて文化の面でも結びつきをもっともっと深めていく必要があるので、今、紀の川高野ルネッサンス事業ということで、この間、高野山で最初のイベントを行いましたけれども、こういうふうな形でこの地域の一体感を文化の面でも高めていく努力をしたいと。
もう一つは関空で、関空二期工事が今進んでおりますけれども、関空というものの持つこの地域に対するありがたみというのが意識の中で若干薄れてきているという面があるので、もう一度関空の影響力といいますか、この地域にもたらすであろう価値を再認識するという運動を進めていきたいと思っております。
それから、この紀泉百万都市とじかに関係があるかどうかはわかりませんけれども、先ほどありましたこれからの近郊型農業のあり方についてのお考えについては私も大いに共鳴するところでございますので、この点について、いろんな形でいろんな方面に働きかけ、また県としても主体的に頑張っていきたいと思っているところでございます。
次に人権条例の制定についてでございますが、この条例は、今後和歌山県が人権に関する施策を進める上での基本的事項を定めるものであり、ご指摘のような、世界人権宣言にうたわれている自由・平等という人類普遍の原理などを踏まえて検討しているところでございます。
条例の内容は、同和問題を初めとするあらゆる人権問題に対する取り組みの基本理念、県などの責務、市町村等との協力体制、人権施策を進める上での基本方針の策定、審議会の設置等を考えており、今後、学識経験者、各界等の意見を聞きながら、来年二月議会上程をめどに検討してまいります。
以上です。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 那賀地域の都市づくりについてでございますが、都市計画法の改正によりまして、長期的視点に立った都市の将来ビジョンを示す都市計画区域マスタープランの策定が義務づけられました。それを受けて、郡内六町の意見を聞きながら、広域的見地から那賀圏域の都市計画マスタープランを策定していきたいと考えてございます。
都市づくりの骨格となるのが道路整備でございますが、そのうち初めに京奈和自動車道につきましては、紀北東道路におきまして現地測量等を進めるとともに、紀北西道路におきましても調査立ち入りに向けた諸準備を進めているところでございます。今後は、各区間の優先順位の検討を行った上で、より効果的、効率的に整備が図られるよう国に働きかけてまいります。
泉佐野岩出線につきましては、大阪側では金熊寺バイパスが平成十四年度に供用されますが、引き続き府県境までの事業促進を強く要望してまいります。和歌山側では、トンネル前後の区間の整備を促進してございます。また、その南伸につきましては、路線の位置づけ、整備のあり方について検討してまいります。
泉佐野打田線の大阪側の整備につきましては、府県境部の用地買収及び犬鳴地内の地元調整が難航していると聞いておりますが、引き続き整備促進を働きかけてまいります。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 和歌山県の将来の姿についてのうち、紀泉百万都市圏構想にかかわっての具体的な那賀郡の都市づくりについてでございます。
紀泉高原スカイラインの延長につきましては、打田町神通から町道及び林道を経由して岩出町内の広域農道に連絡するルート等が考えられます。いずれにいたしましても、今後の事業実施につきましては町の計画が重要でございますので、関係町の要望に応じ、関係部局と協議してまいりたいと考えてございます。
次に、二十一世紀の農林業のあり方についてのうち、まず環境・健康・文化産業としての農業の振興についてでございます。
農業は本県の基幹産業であり、食糧等の生産を初めとして県土や環境の保全、水資源の涵養といった多面的な機能を果たしてございます。近年、環境問題に対する意識が強まる中で、「健康」、「安全」がキーワードとなる一方、土や自然に親しむ生活が強く求められるようになってきてございます。このような中にあって、農業はこれからの時代を担う産業として見直されつつあり、自然と共生した産業としてその機能を一層充実させていくことが重要であると認識してございます。県ではこうした視点に立って、今後とも高品質、健康、安全な農産物の供給に努めるとともに、農業、農村の持つ豊かな環境を守り、生かす取り組みを積極的に展開してまいりたいと考えてございます。
また、高齢者の方々も生き生きと農業に取り組めるよう、顔の見える直販施設の設置を初めとして、収穫体験を取り入れたグリーンツーリズムなども引き続き推進してまいりたいと考えてございます。
なお、ご提案の農園ファームのような公園につきましては、自然環境を生かした農業と観光を結びつけ、農業体験などの要素を取り入れるとともに、地場産品の活用などにより都市近郊農業の活性化が図れる有効な方策と受けとめておりまして、県緑花センターなど既存施設を活用した展開や民間活力の導入も視野に入れながら検討してまいりたいと考えてございます。
次に、いわゆる緑の雇用事業と農林業振興についてでございますが、緑の雇用事業は、従来の公共事業の枠にとらわれない自然環境を保全、回復させる事業で、地方における森林や清流、海洋等の保全や整備を行い、雇用の創出を図ることを考えてございます。
緑の雇用事業と農林水産業との関係についてでございますが、この事業によりまして、荒廃林の整備や清流、海洋等の保全整備が図れるとともに、いやしを求める都市住民との交流の場の提供や地域資源を生かした新しい事業展開にもつながり、中山間地域の活性化とともに農林水産業の振興に寄与するものと考えてございます。今後とも、継続的な事業となりますよう国に対して強く要望してまいりたいと考えてございます。
最後に、県内における狂牛病の現状と取り組みについてでございますが、牛海綿状脳症いわゆる狂牛病が家畜法定伝染病に制定された平成八年四月以来、家畜保健衛生所におきまして診療業務等を通じ、生産農家への立ち入りを実施してきたところでございます。
今回の千葉県での発生を疑う報告を受け、農林水産省の一斉検査の通達に基づき、九月十一日から十七日までの全戸、全頭の立入検査を行ってまいりましたが、異常は認められませんでした。また、風評被害や不安を払拭するため報道機関へ資料提供を行うとともに、ホームページを開設し、啓発を行っているところでございます。今後とも、生産農家への立入検査等を引き続き実施するとともに、食肉、牛乳、乳製品の安全性についての啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 福祉のまちづくり条例制定五年を迎えての進捗状況と今後の推進についてお答えをいたします。
福祉のまちづくり条例を平成八年十月に制定し、障害者や高齢者等の利用に配慮した施設整備基準につきましては、平成九年十月より施行しているところでございます。この間、新築や大規模修繕を行った特定施設についてはバリアフリー化がなされておりますので、条例制定の意義があったものと考えてございます。
一方、既存特定施設の整備については努力規定となっておりますので、設置者の理解が重要でございます。そのため、他の模範となるべく、県の建物について、平成九年度より約十億円をかけ、八十三件の整備を行い、本年度は日高総合庁舎や田辺運転免許センターへエレベーターの設置を進めてございます。主な建物についてはおおむね整備できておりますが、今後も着実に進めてまいらなければならないと考えてございます。しかしながら、県内のバリアフリー化については、施設それぞれの事情もあり、進捗状況に差があるのも事実であります。今後、より一層積極的に取り組まなければならないと認識しており、施設の整備状況の把握に努めながら、関係部局や市町村とともに進めてまいりたいと考えてございます。
次に人権推進事業の具体的な計画についてでございますが、平成十年に「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画を策定し、これを推進するため和歌山県推進本部を設置し、同和問題を初めとするあらゆる人権問題に取り組んでいるところでございます。この計画は平成十六年末までとなっており、この間の施策の成果を踏まえ、人権条例により設置される審議会にお諮りしながら、新たな時代に対応した人権施策の基本方針の策定作業に取り組んでまいりたいと考えております。
なお、国においては、本年度中をめどに人権教育及び人権啓発に関する基本的な計画が策定される予定であると聞いております。これらの動向も反映させてまいりたいと考えてございます。
次に人権教育啓発センターについてでございますが、人権に関する各種展示、啓発資料、図書等を整備し、県民の皆様が人権に関して学ぶことができる場とするとともに、ここを拠点として広く県民を対象に研修会、講演会、その他の教育啓発事業を展開してまいりたいと考えてございます。
また、市町村指導についてでございますが、県といたしましては、人権教育啓発を進める上で市町村の果たす役割は重要であると認識しており、市町村がより一層主体的に人権問題に取り組めるような組織を検討していただくようお願いしてまいりたいと考えてございます。
なお、市町村が行う人権教育啓発事業に対して必要な支援をし、県、市町村が協力して人権が尊重される社会づくりに取り組んでまいります。
最後に審議会に関してでございますが、人権条例により設置される審議会の委員の選任につきましては、人権施策の基本的方針や人権が尊重される社会づくりについて、幅広く県民の意見を反映できるような構成を検討しているところでございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 福祉のまちづくり条例との関連で、県庁正面玄関の改善についてのご質問にお答えをいたします。
障害者の方や高齢者の方が来庁されたときの利便性の向上を図るため、福祉のまちづくり条例制定後、平成九年度より計画的に障害者用トイレ、また本館及び東別館のエレベーターの設置、階段手すり、点字ブロック、自動ドア等の設置など改善を行ってきたところでございます。
障害者や高齢者の方の本館正面からの出入りにつきましてはご不便をかけているところでございますが、本館建物の正面の階段の傾斜がかなり急であるなどの構造上の問題もあり、一般的なバリアフリー化につきましてはなかなか困難ではないかと考えておりますが、いろんな方策につきまして幅広く検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十四番飯田敬文君。
○飯田敬文君 答弁をいただきました。時間がございませんので、二点ばかり要望をしておきたいと思います。
一つは、木村ビジョンの策定についてでございます。
木村県政が一年を経過したわけでありますけれども、二十一世紀の和歌山県のあり方、どのような県づくりをしていくのかという木村ビジョンの策定がまだされておらないということは非常に残念に思うわけであります。私は昨年の九月に議会でこのことを提案いたしまして、ことしの二月議会の再度の質問に対して知事は、「今新しいビジョンを示していないこと、非常に恥ずかしいことだと思っているわけでございますけれども、今後、時代潮流に即した政策展開が何よりも大事であるという認識に立って、ご指摘のように、県政の具体的な指針となる新しいビジョンを早急に作成していき、二十一世紀の和歌山がどのようになっていくのがいいのかということを県民の皆様と一緒に考えていきたい」と、このように答弁されているところでございます。二度目の十四年度の予算編成の時期が迫っている今日、何を目指して予算編成をされるのか。木村ビジョンというのがあって、初めて単発的ではない体系的な、系統的な夢のある和歌山県づくりが推進されると私は思うわけであります。本九月議会でそのビジョンをめぐって論戦ができると楽しみにしておったわけでございますけれども、まだ提示されておらないということでございます。早急に策定をしていただきまして、十二月議会での論戦に期待をしたいと、このことを強く要望しておきたいと思います。
それから、二つ目に福祉のまちづくり条例についてであります。
県条例が制定されて五年が経過して、一定の成果があらわれておるということは、だれしもが認めることであります。しかし、先ほど総務部長からも話がございましたけれども、県庁正面玄関から障害者や高齢者が出入りできないというのは、五年間このままほったらかしになっておるわけでございます。県文の階段も含めてであります。こんなことは、県民の模範となるべき県の恥ずべき姿勢であると思います。このことを不思議に思わないという、指摘されて初めて対応するという、この県行政の意識に私は愕然とするわけであります。こういう姿勢で市町村や民間は指導できるはずがない。やってやるとか、条例があるから仕方がないからやるといった姿勢では、真の福祉、人権福祉社会は実現できないと思うわけであります。意識改革を含めて、福祉のまちづくり条例の総点検等、徹底実施を強く要望したいと思います。
さらに、このことが新しい福祉の公共事業としての雇用対策や即効性のある景気浮揚にもなるということを申し添えたいと思います。段差解消だけで全国ベースで二兆円の景気浮揚が成ると聞き及んでいるわけでありますけれども、緑の雇用事業等の推進も含めて、あわせてこの福祉のまちづくり条例についての徹底方をひとつよろしくお願いいたしまして、要望といたします。
以上です。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十二番吉井和視君。
〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 おはようございます。ただいまから質問をさせていただきます。
まず初めに、故木下秀男先生に哀悼の誠をささげながら、ただいまから森林、林業の活性化について質問をさせていただきます。
故木下秀男先生は、森林・林業・林産業活性化促進地方議員連盟の会長として、新基本法の制定に向けて大きな努力と精力的な活動をされました。昨年の六月に会長に就任以来、二十一世紀の森林、林業を守るためには林業基本法を改正し、国を挙げて森林対策を強化する以外にないということから、まだ全国的に整備されていなかった地方議会の議員組織の整備を緊急課題として取り組まれ、四十三都道府県及びその市町村における林活議連を誕生させたわけであります。そして、林業基本法改正の山場となったさきの国会で、与野党の農林関係国会議員、議運関係議員、国対関係議員、それぞれの地元関係議員への要請活動を的確に指揮し、会期日程が危ぶまれる中、どうしても今国会で成立という気迫で活動されました。そして、新しい林業基本法が六月十四日衆議院を通過し、六月二十九日、参議院を会期ぎりぎりで可決成立したものであります。そばで見ていた者として、林活議連会長木下秀男先生の獅子奮迅の活躍がなければ今国会での成立はなかったと言っても言い過ぎではないと思います。新法が成立した日は、ちょうど六月県議会中でありました。木下秀男先生におかれては、大きな安堵感と満足でいっぱいのご様子でありました。国会が閉会したので参議院選挙が終わったらみんなでお礼に行かねばと、私に言っておりました。そして、新法成立十日後の七月十日に急逝されたわけであります。故木下秀男林活議連会長のご功績に対し、心から感謝を申し上げる次第であります。
さて、この新基本法のもとでの取り組みについてお尋ねをさせていただきます。
一九九二年六月、ブラジルのリオデジャネイロで、世界じゅうから百八十三カ国の首脳が集まり、地球サミットが開催されました。地球環境問題が議論され、先進国と発展途上国が激しい議論をしたわけでありますが、地球環境を保全しつつ、社会経済の持続的な発展を図っていくという考え方がまとまり、森林に関する初めての世界的合意である森林原則声明が採択されました。これは、地球上から毎年一千百万ヘクタール、これは和歌山県の面積の約三分の一ぐらいであろうと思いますけれども、そういう森林が失われていく現実を何とかしなければいけないということで、森林は再生することができる循環資源であるから、森林の成長範囲内で木材を使用するようにして、もし使用し過ぎたら、その分以上の森林をつくっていこうという合意であります。国内においても、このような地球規模での環境問題と、国内の森林、林業を取り巻く厳しい情勢から、どうしても新しい林政の構築が必要となりました。そして、時代に対応した林業基本法の改正が急務の課題となったわけであります。そして、四十年ぶりに新しい森林・林業基本法ができました。国は、今後、新基本法の「森林の有する多面的機能の発揮」、「林業の持続的かつ健全な発展」という新たな理念のもとに新たな政策を実施するわけでありますが、二十一世紀の山村振興を考えていく上で、地方公共団体においてもこの新基本法の新たな理念を実現していく新しい施策が必要であると考えるわけであります。
そういう意味で、この問題についてどのように取り組まれるのか、知事の決意のほどをお尋ねいたします。
具体的な県の取り組みについて、何点かお尋ねいたします。
国においては、森林整備のための国民支援をどのようにするのか検討中と聞いております。紀州木の国・我が和歌山県として、自分たちが幸せで恵み豊かな生活をするため、この森林整備について県民がどのように負担すべきかを検討することが必要であると考えます。例えば、地方税として水資源涵養税のようなものを検討できないものか。森林から恩恵を受けている者がその森林を守るべきだという県民意識の高揚の見地からも、ぜひとも必要であると思います。他府県で実施を考えているところがあると聞いておりますので、そのことも調査検討をしていただいて、和歌山県の取り組みを考えていただきたいと思います。その他、森林整備における県民支援の方法がありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
次に、森林、緑を守るという県民啓発についてであります。
森林の多面的機能はたくさんあります。国土の保全、水資源の涵養、自然環境、生活環境の保全、地球温暖化の防止等で、これを金銭で換算すると七十五兆円相当であると言われております。きょうの新聞でも、和歌山県の森林の多面的機能を金銭で換算してみれば一兆三百億円ということが載っておりました。これだけ森林の多面的機能に恩恵を受けているということを、我々は日ごろ忘れがちであります。私たちはこういったことを思い切り宣伝し、そして啓発する必要があると思うわけであります。そのことを県民に啓発することが、森林資源を活用した循環型社会の実現や、林業や山村地域の振興の第一歩であると考えます。新基本法の理念に基づいて、森林を守っていくという県民意識の高揚を図るための県民啓発について再検討する必要があると思いますが、今後の取り組みとお考えについてお聞かせ願いたいと思います。
次に、森林の恵みについて次代を担う子供たちに学校で学習させることも大変必要であると思います。山村において森林、林業の体験教育をさせる中で、循環型社会の実現について学習させることが望ましいと考えますが、森林教育について教育長のお考えをお尋ねいたします。
次に、市町村合併についてお尋ねいたします。
私はこの問題について、仮谷知事、そしてまた西口知事に対しても、この議場でたびたび質問させていただきました。その質問内容についても、今回質問させていただく内容と似通っております。しかし、時期がたてば、その答弁も当然変わってくると思います。そういう意味で、今回もまたこの質問をさせていただくわけであります。
県が合併要綱をことしの二月に作成されました。市町村合併については、さまざまなところで論議をされ、住民の関心も非常に高くなってきております。市町村合併の基本は市町村の自主的な意思であり、大多数の住民の判断で決定すべきものであります。しかし、この市町村合併は、地方分権の実現、本当にせっぱ詰まった国及び地方の行財政改革のためにどうしても避けて通ることのできない緊急の課題であります。国においても各地でシンポジウムを開催し、その推進に積極的に取り組んでおります。
木村知事は、県行政を大改革し、二十一世紀に対応すべき体制づくりに邁進されております。しかし、和歌山県のこの木村革命とも言うべきものを本当に実現していくためには、県下全般を見渡し、五十市町村を強力に指導する果敢なリーダーシップが必要であります。そして、木村県政の重要な柱である市町村合併についても、これを早急に進めるためには、県政のトップである知事ができるだけ市町村に直接足を運び、首長、市町村議会議員、そして住民と直接対話をし、強力な指導力を発揮していかなければならないと考えます。
先日、知事は、吉備町でのシンポジウムにも参加されておりまして、いろいろ発言をされておりました。知事の言葉というのは、非常に影響力が大きいわけであります。そういう意味でも、今後十分に指導力を発揮していただきたいとお願いするわけであります。
また、国の姿勢として、市町村合併をすれば地方分権が今後どのように進むのか非常に心配でありますが、まず地方分権の推進には合併の意義が大きいということを明確にすると同時に、権限移譲等の具体的なメニューについてもできるだけ具体的に示す必要があると思います。また、この間の吉備町でのシンポジウムで感じたことでありますが、合併特例法の切れる平成十七年以降の市町村に対する国の方針を明確にし、十七年以降もっともっと厳しい状態になるんだということを説明していただき、市町村の自己責任を促すようにすべきであると考えます。
合併に対する知事の熱意は、相当感じられます。合併協議会を設置し、合併に至るまでに二年程度の期間が必要と聞いております。二年以上の期間が必要であるとするならば、時間的に余裕はございません。あと一年の間に推進をする必要があります。今後の県の取り組みと、知事の決意のほどをお尋ねいたします。
また、県は近く重点支援地域を指定すると聞いておりますが、どの地域を指定しようとしているのか、また県下の市町村の合併に対する状況をお聞きしたいと思います。
国は、合併支援策として、各省庁において重点地域に対する特別支援策を最近まとめたと聞いておりますが、県独自の支援策についてはどのように考えているのかをお尋ねいたします。
教科書問題について質問をさせていただきます。
新しい歴史教科書が検定を通過したことにより、中国、韓国から、すさまじいとも言うべき抗議が相次ぎました。各地で交流行事がキャンセルという事態が発生いたしました。和歌山市でも、日韓のサッカーの試合が流れたと聞いております。これはどういう意図を持っているのか私にはわかりませんが、内政干渉以外の何物でもないと思うわけであります。そのことについて抗議できないでいる政府は、表現の自由を持つ日本の検定制度をみずから否定していることであり、自主独立権の放棄に等しいことを本当に簡単にする国であるなという感じがいたします。この教科書問題の騒動が今回の教科書採択に少なからず影響を与えたことは事実であり、私は非常に残念に思います。
まず、今回の外交問題にまで発展した教科書問題と日本の検定制度について、教育長のご所見をお伺いいたしたいと思います。
そして、八月十四日付の、こういう「きび民報」というものが吉備町四千世帯ほどに新聞の折り込みで配布されたわけであります。「きび民報」第八号、発行責任者は森元基男さんであります。記事の内容についてでありますが、こういう記事で、吉備町の共産党の町会議員の二名の方が「残暑お見舞い申し上げます」という記事に始まって、「みなさんのご要望を町議会へ」──電話番号も入れて松坂さん、堀江さん二名の名前を書いておるわけであります。
その中で、「子どもと教育が危ない 侵略戦争美化の教科書採択の策動」というタイトルで、こういう記事が載せられておりました。それをちょっと読ませていただきます。
「来年度から学校では、新しい教科書が使われます。社会科の歴史と公民分野に、「新しい歴史教科書をつくる会」という団体が、とんでもない教科書を作り、教科書として採用してもらおうという動きがありました。 この教科書は、太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼び、「自尊自衛」「アジア解放」の戦争と美化しています。 このような教科書を、東京都・愛媛県では、養護学校で採用しました。 この教科書は、日本が起こした戦争を反省せず、「正しい戦争だった」とする人たちが、その独断的な考えを子どもたちに押しつけるために作ったものです。だから、全国で多くの人たちが「採択しないで」と声をあげたのです。中国・韓国などアジア諸国からは、厳しい批判があがっています。 和歌山県でも、吉井和視県議が中心となって、特に有田・西牟婁でこの教科書を採択させようという動きがありました。 有田地方では、良識ある判断のもと、この教科書は採択されませんでした。 みなさん、未来を担う子どもたちに、戦争賛美の教育を押しつける教科書を使用させようという、吉井県議の考えについて、どう思われますか」──こういう記事であります。
私は、この記事に対して、共産党の松坂さんに質問を申し上げました。この記事については、あなた方共産党の議員が責任を持っておりますかという質問であります。そうすると松坂議員は、当然責任を持っておりますということでありましたので、私は、発行責任者に対して抗議文、そして声明文を送らせていただきました。なかなか返事がなかったのですけれども、最近、公開討論の申し入れをさせていただいたところ、返事がありました。公開討論を受けていただけるということでありましたが、私の抗議文に対して返事がなかったのは、この記事について確信を持っておるからということでありました。
私が個人的にこの記事について断じて許せないところは、「戦争賛美の教育を押しつける教科書を使用させようという、吉井県議の考えについて」というくだりであります。あたかも私が戦争賛美の教育を推進しているがごとき表現をされるのは、一方的な記事であり、間違った記事であり、ひきょうな表現であると思うわけであります。そのことに関して私は個人的に憤りを感じておりますので、今後、公開討論、そしてまた私の名誉を回復するためにも法的な手段を考えていきたいと考えておるところであります。
それで、教科書の中身の問題であります。戦争を賛美している教科書だと言われているこの新しい歴史教科書についてでありますが、これは国の検定を通過しておるのであります。今回、この教科書を含めて、県下の採択地域で教育委員の皆さんが選定作業に当たったのであります。この「きび民報」に書かれている、戦争を賛美しているような教科書であれば、今回の検定作業そのものが間違っているように思います。
そこで、今回の教科書の採択について、教育行政の中で明確にすべき点があると思います。もし、新しい歴史教科書が和歌山県下で採択されていたなら問題があるのか、またこの新しい歴史教科書は戦争を賛美した教科書であるのか、この「きび民報」では戦争を賛美した教科書であると言っているわけでありますが、和歌山県の教育を預かる教育長に、この教科書についての認識をお尋ねいたします。
歴史教科書問題が起こったことで、歴史教育のあり方が、教育関係者だけでなく多くの国民の間で論議されております。何のために歴史教育が必要であるのかということが問われているのであります。学者による歴史観は、さまざまであります。その中でどのような歴史教育をし、子供たちはどのように学んでいけばよいのか、教育長のお考えをお尋ねいたします。
以上であります。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま吉井議員のご質問の中で、林業基本法の改正に対する故木下議員の思いを知り、深く感銘を受けたところでございます。
この林業基本法の改正、今までの林業基本法はどちらかというと森林からどのように収益を上げていくかということが中心であったと心得ておりますけれども、今回の改正で森林の持つ多面的な機能を評価して高めていこうということで、ほとんど新しい法律になったということは大変立派なことだと考えております。
私が今回提言いたしました緑の雇用事業も、大きくはこれに軌を一にするものでございまして、森林の持つCO2の吸収機能であるとか、環境保全機能であるとか、そういうものを森林だけではなく、清流とか魚つき林とか、また中山間地域とか、そういうものの全体を広く見て保全していくことが大切であるという観点から訴えたものでございます。特に和歌山県などにとっては、地域防衛という観点からも大変大事なものだと考えているところでございます。
県といたしましても、国の方へ提言していくことは当然ですけれども、県としても自分たちでできることはどんどんやっていかなければならないということですので、今年度からできることは今年度から始めますし、来年度以降、ますます厚みを持たせた森林対策を構築していきたいと思います。そういう中で、ボランティアの方の活動であるとか、子供の森林体験ということは非常に大事なことで、新しいふるさとづくりという面から考えても、この辺はもっともっと強調していかないといかんと考えておりますので、何とかいろんな形で施策として実現化していきたいと考えております。
次に、市町村合併でございます。
ご質問にありましたように、もちろん、これは県の方から強制してどうこうという性格のものでないことは自明のことでございます。しかしながら、今の地方行財政、国の財政状況とか世の中の流れを勘案すると、やはりある程度の市町村が合併して足腰の強い自治体にしていくことが地方分権、そして日本の国があるべき分権型社会になっていく上でも非常に大事なことではないかという基本的な認識を持っているわけでございます。
地域にはいろいろな実情とか事情がありますけれども、私がこれまで感じているところでは、和歌山県下の市町村長の方は他県に比べて非常に市町村合併について積極的であるし、そしてまたまじめに検討なさっている方が、別にお世辞じゃなくて多いと思っております。こういう方々の真剣な取り組みといったものを県としてどんな形でサポートしていけるか。今までもいろんな形の施策を打ったきたわけですけれども、年限が限られてきておりますので、ますますそういうふうな手助けができるようにしていきたいと思います。
そして、一つ大きな流れとしては、今までは合併といいますと旧自治省、今の総務省といったところが中心になって行ってきたわけですけれども、来年度以降は関係各省が全部合併に向けたいろんな補助制度や施策を打ち出してくるということになっておりますので、この面からも大分地域の合併に対する考え方が変わってくるのではないかと思っております。
私のところへも、県下の市町村長さんが選挙で当選されておいでになるときにお話をしますと、合併を一つの大きな事柄と考えて対応していこうと思っておりますということを言われる方が非常に多いわけでございます。私もこういう皆さん方の意向を受けて、県として積極的な対応を進めていきたい。そして、これは平成十七年という期限があるわけですけれども、今のいろいろな状況を勘案しますと──今までだったら時間が途過しても必ず同じようなことがやられるだろうということが一般的だったんですが、今の日本が置かれているいろんな状況を見ると、必ずしも今までのようにだらだらと続いていくという状況ではないという感じもいたしますので、私どももそういう認識を持って事柄に対応していきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 森林整備についてのうち、まず森林整備における県民支援についてでございます。
本県では、これまでも幅広い県民の協力を得るため、ボランティア参加による護摩壇山森林公園でのシャクナゲの植栽や根来山森林公園での森林整備、また漁民の森の整備などを実施してまいりました。さらに、地域緑化に対する募金事業として緑の募金活動を実施しているところでございます。また、清水町、白浜町、那智勝浦町などでは、森林の整備に対する基金を設け、水源の森づくりなどに流域住民等が参加する制度が始まってございます。
なお、議員ご指摘の水資源涵養税につきましては、複数の県で検討がなされていると聞いてございます。本県でも、総務部において水資源涵養税を含めた環境関連税について、受益と負担の関係から法定外税としてどのように構築できるか、先進団体の事例も含め、調査研究しているところでございます。
いずれにいたしましても、多くの公益的機能を有する森林は国民共有の財産と言えるものであり、今後、県民支援はもとより、幅広い都市からのボランティア支援などについても一層検討を進めてまいりたいと考えてございます。
次に森林を守る県民啓発についてでございますが、従来より森林の持つ多面的機能を広く県民にPRするため、毎年、四月二十九日のみどりの日を中心に県下各地で緑の感謝祭を実施し、広く県民に啓発を行うとともに、紀州山の日の開催や緑の少年団の育成、かしの木バンクの森づくりなどの取り組みを行ってまいりました。
今後につきましては、林業基本法の基本理念に基づき、さらなる森林の多面的機能の持続発展について県民啓発を進めるため、従来のPR手法に加え、近年各地で芽生えつつある森林ボランティアやNPO法人の育成を図るとともに、森林資源の持続可能な循環利用の推進の立場から、地球に優しい資源である木材の利用推進を柱とする新たな県民啓発に取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併についての三項目のご質問に一括してお答えいたします。
まず県内市町村の取り組み状況についてでございますが、現時点で法定あるいは任意の合併協議会は設置されておりませんが、複数の市町村で組織する研究会が五つの地域で設置されるとともに、十九の市町村議会において特別委員会が、また二十八の市町村において庁内の研究検討組織が設置されているところでございます。
次に合併重点支援地域の指定についてでございますが、シンポジウムの開催などを通じてさらに合併機運の醸成を図り、また地域の取り組み状況等を踏まえながら、本年中をめどに複数箇所を指定してまいりたいと考えております。
次に県の支援策についてでございますが、地域においてさらに合併推進に向けた取り組みが活発に行われるためには、地域の実情に応じた支援を行っていくことが重要であると考えております。このため、県の合併支援本部において、政府の市町村合併支援プランなどを踏まえながら、各部局が連携して新市町村の円滑な建設に資する総合的な支援策を検討してまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 初めに、森林教育についてお答えいたします。
子供たちに森林を守り育てようとする態度をはぐくみ、森林と人間とのかかわりについての理解を深めさせることは、二十一世紀の地球環境を考える上で極めて重要でございます。県内では、現在、小中学校約八十校において、地域の方々の協力のもと、学校林の育成活動を初め、炭焼きや間伐材を用いた木工品づくり、枝打ち体験、森林と林業について講話を聞くなど、さまざまな教育活動に取り組んでおります。こうした取り組みを通して、森林が緑豊かな空間をつくり出し、肥沃な土壌をはぐくむことなどにより、我々に大きな恵みを与えており、森林資源の循環利用の大切さを子供たちに理解させることができると考えております。
次に、教科書問題についてお答えいたします。
学校教育においては、一定の教育水準を維持し、適正な教育内容を確保することが肝要でございます。そのため、国においては学習指導要領に示された目標等に照らし、国際協調等にも配慮して、主たる教材である教科書検定を実施しているところであります。
こうした中、今般の教科書の検定及び採択につきましては、国の内外からさまざまな意見が寄せられましたが、本来、教科書は教育的な見地から主体的判断で責任を持って決定するものであると考えております。歴史教育、なかんずく中学校における歴史学習の目標は、子供たちに歴史的事象についての学習を通して歴史への関心を高め、大きな流れを理解させることにあります。さらに、我が国の文化と伝統の特色を考える力を身につけさせるとともに、歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てることが大切でございます。また、国の検定に合格した教科書はすべて児童生徒に国民として必要とされる基礎的、基本的な事項を習得させるにふさわしいと認められたものであると考えております。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十二番吉井和視君。
○吉井和視君 答弁をいただきまして、ありがとうございます。
合併問題についてでありますけれども、ややもすると、これはデメリットの一つとして挙げられておるところですが、過疎地域、山村地域が合併するとほうっておかれると。これはデメリットではないわけなんですけれども、たびたび議論の中に出てくるわけであります。
そういう中で、今回、知事が緑の公共事業ということを提唱された。私は、川上の山村地域と川下の町が一つになることによって、その恩恵を受けている川下が山村地域の支援をするという考え方に立たないと緑の公共事業は実現できないし、基本はそこにあると思うわけであります。
そうすると、山村地域は合併をにらんで千載一遇のチャンスではないかと思ったわけであります。デメリットをメリットに変える。一つのことが達成できたような気がして、この提唱について非常に喜んでいるところであります。これをできるだけ進めていただきたい。
進めていくためには、お金がかかるわけであります。そういう中で、私は水資源涵養税というものを検討していただきたいということを申し上げさせていただきました。毎日水道をひねって感謝することによって一人一円を支払うということを考えれば、和歌山県で一年間で大体三億七、八千万円の金ができるわけなんです。それを山村地域の振興に充てる。これを十倍の十円にすれば、三十数億円のお金が山村に流れ、森林整備に使われるようになるわけであります。そういうことを考えて積極的に取り組んでいただきたい。そのことを要望しておきます。
それから教科書問題については、教育長は勇気あるといいますか、本当に積極的な評価をしていただいた答弁であるということで、非常に喜んでおります。子供たちにふさわしい教科書であるという答弁をいただいたわけであります。
今後とも教科書問題について、私は委員会の中でもまた申し上げたいと思うわけですけれども、偏見あるいはまた偏った一方的な中傷があるわけですが、本当に子供たちに何がいいか、ふさわしいかということを今後とも私自身も学んでいって、みんなで議論をさせていただきたいと思っております。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十分休憩
─────────────────────
午後一時一分再開
○副議長(堀本隆男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十八番玉置公良君。
〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 まず最初に、ちょうど私の前に見えます、花が飾られておりますけれども、その席からいつも一般質問をじっと聞いていただき、そして時には、終わった後アドバイスをいただきました今は亡き木下秀男県会議員に、心から哀悼の意を表したいと思います。
また、アメリカで起こりました同時多発テロ、この事故によって亡くなられた方々、また災害に遭った方々に、心から哀悼の意を表したいと思います。そして、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
それでは、通告に従って一般質問をしてまいりたいと思います。
私は、きょう取り上げてみたいのは、木村知事が去る九月三日に新聞発表されました緑の公共事業ということについて、その内容とねらいを問い、新しい和歌山の進路についてお尋ねをしたいと思います。
それは、木村知事と三重県北川知事の連名で、国の公共事業削減による失業者対策と荒廃する森林や清流などの環境保全、再生をうたったものです。この名称は「緑の雇用事業」と後に変えられてはいますが、私は前の方が印象が強いので、あえて「緑の公共事業」という言葉を使わせていただきます。
その前の八月二十一日付朝日新聞に、木村知事ご自身が投稿された「山の環境保全で雇用創出」と題した主張が掲載されました。この投稿の反響は大きく、早速、私の友人であります自然を愛する会代表の方から電話があり、大変よいことなので知事に激励も含めた手紙を送りたいが、と相談がありました。その手紙は知事のところに行っていると思います。この方のほかにも、私自身が開いてきました県政懇談会においても、このことに対する期待の声が多くありました。
今日の公共事業と言えば、国民のとうといお金を使ってむだな工事をするという、悪いイメージばかりがひとり歩きをする。それなのに、あえて「緑」という形容詞をつけることによって、何かさわやかなようにイメージが変わることは不思議なことです。私自身も、さわやかな感じを受けています。単に知事はイメージを変えるということだけでなくて、もっと深いお考えがあるのではと感じています。
そこで、今回は知事の新聞投稿に絞って、その趣旨とねらいをお聞きしたいと思います。
知事の言われていることは、国民のとうとい税金を使ってむだな工事をする、この風当たりが強いため、壊すことへの反発から逆に壊さない、守るという工事、つまり自然を補修、補強することによってもとの形に戻す事業を「緑の公共事業」と名づける、公共事業の姿勢を変えることによって国民の信頼を得るということであります。それによって森林の二酸化炭素の吸収力、水の保全能力を高め、洪水を防止するなどの役割が果たされ、国民の安全とともに、ひいては地球全体の環境を守ることに貢献できるということをねらったものと思います。
知事、そういう意味合いもあの投稿に中に入っていると私は解釈していますが、いかがでしょうか。そうだとすれば、私たち世界遺産登録運動を展開している者にとっても大きな励みになります。
去る九月五日から十日まで、ユネスコ世界遺産委員会の専門会議である信仰の山会議が和歌山で開催されました。私自身もこの会に参加させていただきましたが、これは何を隠そう、私たちが望んでいる世界遺産登録実現へのスケジュールが具体化してきているあかしだと確信をしています。これは、知事が緑の公共事業として提案していることと、私たちが進めている世界遺産登録運動とは趣旨とねらいが同じであり、非常に気を強くした次第であります。言葉を変えれば、知事の投稿によって私たちの仲間の活動を全国に発信していただいたと、強く感動しています。私たちはこのように理解をしていますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
続いて、知事の緑の公共事業を一歩進めるために、こういうふうに生かしたらどうかと考えます。そのヒントは、例の地球温暖化防止のための、いわゆる京都議定書から受けました。それは、気候変動に関する国際連合枠組条約の中で、二酸化炭素等の削減を二〇〇八年から二〇一二年の五カ年間実施するのに、少なくとも五%削減していくことが決まりました。その中でも主要各国の削減率は、アメリカ、ヨーロッパはともに七%で、日本は六%となっています。注目すべきは、その条約の第十七条で、与えられた排出枠の一部を売り買いするという、排出量取引ができることが盛り込まれています。これをわかりやすく言えば、削減五%に達しないでいる国は、既に削減五%に達している国の余裕分をお金で買い取るというものです。つまり、緑をたくさん持っているが、経済活動の乏しいアフリカなどの国は二酸化炭素の削減目標を達成しやすく、そうでない、経済を重視するアメリカなどの国は目標を達成できないためペナルティーとしてお金を出さなければならないという内容であります。この制度を緑の公共事業に生かし、日本でも全国的に大いに活用してみてはどうかと考えるのであります。それには、次のような数字が根拠になっています。
和歌山県には、世界に誇れる大自然、森林があります。和歌山県民一人当たりの緑の面積は、県内全森林面積を全県民人口で割ると〇・三三九ヘクタールとなり、近畿府県の中で県民一人当たりの緑の面積が一番多い県となっています。ちなみに、奈良県が二位となっています。和歌山県のお隣の大阪府が一番少なく、一人当たり〇・〇〇七ヘクタールとなっています。近畿六府県の一人当たりの平均は〇・〇九七ヘクタールとなっており、和歌山県の約三分の一しか保有していません。したがって、大阪は緑の少ない分だけ、一番多い和歌山県に緑の恩恵、つまり生命維持装置を供給してもらっているのですから、その役割に対して財政面で応分の負担をしてもよいではないかと考えます。
森林が少ないがために、他府県にその恩恵を頼るために毎年そのペナルティーを払い続けることによっていつも財政的に負担がかかるならば、緑をふやした方が得ではないかという環境への意識改革も生まれてくる効果もあります。当然、これは基本的な考え方であり、これからの制度であるので、内容を十分検討し、ペナルティー係数等を整理して、各府県が納得のいく制度として実施していかなければならないのは言うまでもありません。
このように、理由のある、お互いに納得のする形での財源の捻出を考えればよいと私は思います。今までの交付税にかわり、当然の権利として我が県にも新しい税金としてお金が来ることで、従来の交付税とは違い、堂々と胸を張ってもらえるお金です。他府県ではできないことを和歌山県がかわって行う、また和歌山県でなければできないことだと思います。
環境を守るための責任分担を果たさないとペナルティーをとられるというのが、今や国際ルールになりました。ならば、日本においても例外ではないということであります。こうして緑のないところを緑のあるところが補う、そういった図式が広がっていくのであります。そのよい例が、全国的にも情報公開や行政の先取りをしている、話題の多い三重県の北川知事が和歌山県の木村知事にエールを送り、森林の豊かな県同士が行動を起こすことはこれからの日本の環境行政に影響を与えるものと思われ、このことは画期的な試みだと私は思います。
三重県にあるすばらしい海と数々の点在している島々、それに和歌山県の大きな森林と水量豊かな河川を持つこの二県がタッグを組み、環境問題に進めていけば、単に関西圏だけでなく、地球人全体のために利用し、貢献すれば、さらに日本への世界からの見方も変わってくると思います。知事、いかがでしょうか。
環境保全の意識が高まっている今日こそ、京都議定書のルールを我が国にも適用してみてはどうでしょうか。この構想のために、とりあえず近畿六府県の知事が関西圏サミットとして集まり、日本版京都議定書ルールを検討してみてはいかがでしょうか。そして、緑の公共事業の財政面での具体的な検討をしてみる価値があると思いますが、知事のお考えはいかがでしょうか。お伺いします。
経済だけが豊かさの指標だったのが、緑を持つことによってもう一つの豊かさの指標が加わり、そのことによって近畿圏の新たな進むべき方向が見えてくるのではないでしょうか。
続いて、緑の公共事業のテーマの三つ目は、世界遺産登録という事業を通じて起きてくる雇用の問題であります。
その雇用創出のきっかけは、各方面から注目を集めているNPOに期待しており、このNPOの立ち上げに全力を挙げようと考えております。NPOの重要なところは、非営利が原則ですから、利益を上げることはできません。しかし、必ずしも無償の活動ではなく、かかる費用の実費についてはもらえるのであります。NPOの多くの活動は、有償でよいのであります。活動の対価をちゃんともらってよいのであります。しかし、根底にはボランティア活動が流れているのです。それゆえ、コストも低く抑えることができます。
NPOは、新しいビジネス雇用を生み出す第一歩だと私は思います。そして、周辺の人たちには歓迎され、参加する人たちにも生きがいを与え、企業も積極的に何らかの支援をする傾向があり、行政もそのNPOの事業が推進するようバックアップするのであります。今までの企業と違って、住民の反対だとか行政が悩むようなものはNPOにはありません。つまり、県民の皆さんが幸せになること、それがNPOであります。NPOは、地域にできるからこそ意義があると思います。この地域には世界遺産があるから、さらに値打ちが出てくるのであります。アメリカでは、労働市場の一つになるくらいであります。
これほどすべての機関が好意的に支援し、関係者が協力体制をとれるNPOは、当然、官の行政から民間に移っているのが時代の流れであります。これは県行政でやっていたこと、つまり官から民に移して委託することでもあります。それによって民間の知恵が生かされ、行政コストも安上がりになります。これが完全に行われたとき、地方分権が完成された時点でもあると私は思います。これほど、NPOの応用と活用によって今まで日本が経験もしなかったさまざまな業種が生まれてくることが期待されます。それなのに、NPO方式を一番とりやすい条件にある、我が国の世界遺産登録されている日光や白川郷や屋久島について、私自身調べたところ、活発な動きが見られません。世界遺産を通じてNPO等が新しい労働市場になるということが、失礼ですが、県庁の中でも余り期待を持って動いているように思えないのであります。NPO事務局はできましたが、その指導については必ずしも充実をしているとは思いません。
そこで、我々は、先輩の轍を踏まないために、世界遺産登録の活動前から話し合っています。私の地元では、NPOに関心のある人たちと、どういうことが我々にお手伝いできるのかと話し合っているのですが、その中からいろんな動きも出てきています。
例えば、昨年発足し、私もスタッフとして活動しているNPO法人地球人学校では、事業部として世界遺産を守るエコ実践グループが発足する予定で今準備を進めており、十月から富田川や日置川の河川の環境整備や電線への枝がかりの伐採、廃屋の環境整備など、一人の常用雇用と約十人の地元の技術を持った高齢者の方々を臨時雇用として働いてもらい、今後さらに事業を広げていこうと計画をしています。これらのグループが、例えば県下に百グループ生まれれば、我々の甘い見積もりかもしれませんが、臨時雇用も含めて約一千人の雇用が創出されます。そして、このことは若者の雇用や高齢者の生きがい対策、介護予防対策にもなり、世界遺産を守る基金のかかわりにもなるのだと思います。今までの企業誘致に頼るのではなくて、雇用創出は地元の住民の中から、その人たちの知恵と工夫によって生まれてくるものだと私は思います。
今まで申し上げてきましたことに、なぜ私は全力を挙げるのか。それは、和歌山県における雇用の創出と世界遺産を守るということに尽きると思っています。そして、二十世紀と二十一世紀の企業、雇用のあり方を根本的に問い直し、変えることになると思うからであります。このことは、きっと和歌山を救うことになり、そしてこの新しい試みが和歌山から日本を変えることになると確信をいたします。
以上、私の具体的な提案を申し上げましたが、どのような支援と協力ができるのかお伺いをして、私の質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの玉置議員のご質問にお答えいたします。
まず最初に、緑の雇用事業、そしてまた緑の公共事業というものに対する考え方ということでございます。
和歌山県にはたくさん森林があるわけですけれども、八十年ぐらいたった木じゃないとなかなか経済林にならないということで荒れている傾向があり、これを何とかしないといかんということが一つあります。一方で、今度の小泉構造改革の中で、都市の再生ということは言われるんだけれども、地方の再生ということは全然言われずに、どうもそちらの方ばっかり目がいくと。やはり何か地方の方から、これだけ自分のところには値打ちのあるものがあるんだ、そちらへお金を持ってくる、人を持ってくるということも大事なことじゃないかということをアピールしていく一番大事な時期じゃないかと思いましたので、アピールしたわけです。
そうすると、その後、痛みを伴うということで、雇用問題というのが非常に大きな問題になってきました。私はかねてから心を痛めておりましたのは、私より二、三年上ぐらいの団塊の世代の人なんかを中心に自殺をする方が非常にふえていると。長く社会で頑張ってきたのにそういうふうなことになるということは、何よりもまして大きな不幸だと。そういうことで、何とかそういう方にもいいような職場を提供できる方法はないかと、非常にユートピア的な考えだったんですけれども、投稿いたしましたところ非常に共感を集めたので、それでまたそれを具体化していって、いろんな方策を考えているということでございます。
そして、こういうことが進んでいきますと、今、地方の方の例えば道路は、口の悪い人はタヌキとかキツネしか通らないとか言いますけれども、そんなことはもちろんないんですが、そういうふうな形で、日本の中である程度人口のライフサイクルに合った流動が起こるようになれば、今までつくってきた地方の公共事業なんかもまた役に立ってくると。そしてまた今、京都議定書なんかでCO2の吸収ということから森林が物すごく大事だということが言われたので、そういう面でのアピールもできるということで、まあ一石五鳥ぐらいかなということで考えて提言したわけでございます。
そして、当然のことながら、今、和歌山県は、 高野熊野の参詣道というものを世界遺産の登録を目指して頑張っているわけですけれども、非常に面積も広いですし、参詣道というのは非常に長い距離があると。そういう中で、やはり山を整備していくことは非常に大事なことになってきますので、そういう面でもこの緑の雇用事業というものが大きくかかわってくると考えているわけでございます。
それから、今、ご質問の中にありましたCO2の排出量の売り買い──これは売り買いを地方公共団体の中でやったらどうかというのは、私は大変なアイデアだろうと思います。今度の私の提言にも、都会の県は余り賛同していないんで、 なかなかうまくいかないかもしれませんけれども、そういうふうな発想でこれから物事を考えていかないと、うまくない。そして、例えば近畿圏とか大きな圏域の中で、この地域は環境保全に物すごく役立っている地域だ、この地域はある意味では生産に役立っている地域だと。どこも生産にも役立たないといかんのだけれども、大きな役割分担、そしてその地域に対してそれぞれ尊敬を持って物を考えるというふうな考え方がこれから大事になってくると思うんです。いきなりお金を出してくださいという話になるとうまくいかないかもしれませんけれども、近畿の知事会議などでそういうふうなことをまた提言していきたいと思います。
また、CO2の吸収とか、森林を大事にするとか、清流を大事にするとかということは、世界の中でも日本はちょっと変わった国だと言われているわけですけれども、こういうグローバルに通用するような価値を大事にしているんだということを世界に向けて発信できれば、当然のことながら経済だけでなくて、世界の中でも日本が非常に尊敬を受ける国になるということで、これも私は非常に大事なことだろうと思っております。
それから、NPOの問題です。
これも、今、玉置議員が言われたことと私は全く同感でして、全くただということとフルタイムワーカーとの間にいろいろ段階があるので、NPOの人も当然のことながら一定の──報酬という形じゃなくても、例えば交通費であるとか、作業をしたときのお弁当であるとか、その後皆で会合をする経費であるとか、そういうふうなものは当然出してもいいと思うんですよね。そういう形で、参加する人が生きがいを持って、尊厳を持ちながら仕事にもつけるという形というのは、これからの時代には望ましい雇用形態であると。それがアメリカでは大きな分野になっているという話を今お聞きいたしましたけれども、これはもう和歌山にとっても大事なことだと思いますし、そしてそれと世界遺産の登録の中からそういうふうな仕事を生み出してこようという発想は、私も非常に共鳴するところでございます。これについては、今年度もそうですけれども、来年度からNPOの人たちと協働していけるような仕組みを予算化していくことも必要だと思いますので、また関係各部局に指示して対応していきたいと思います。
私から、以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 知事、ご答弁ありがとうございました。
今提案させてもらいましたことについて、本当に前向きな、積極的なご答弁をいただきました。とりわけミニ京都議定書版については、一遍ひとつそういう趣旨を近畿サミットの中ででもよろしくお願いしておきたいと思います。
これからの世界のサミットも、あなたの国の森林は何%減った、なぜ減ったんなという問題の議論には、あなたの国の森林は、森林づくりまではいかんけれどもメンテナンスなどで森林を保全した、そのためにお金もかかるから国連費用の何%を持ってこようと、こういうことになっていくんではないかと私は思います。したがって、お金を出す日本ではなくて、お金が来る日本、和歌山になってほしいなと思います。
森林交付税構想も、大変すばらしいと思います。そう思いますけれども、こういう発想になってくればこの日本という狭い枠だけでなくて世界を相手にすることになってくると思います。
今、石原東京都知事さんを中心とした関東圏の知事さん方が、首都圏全体を経済の強いブロックにさらに構築しようと努力していると思います。それに対して木村知事の緑の公共事業というのは、緑を売り物にした、関西圏を構想しながら東西の文化の対比というんですか、これをはっきりしようということも考えられるんではないかなという感想を持っております。
経済圏は、二十一世紀には限界があると思います。経済は必要でありますけれども、あえて経済ばっかりに固執する必要はないと思うんです。しかも二十一世紀は、地球人という時代でもあります。緑の公共事業を打ち出したように、自然豊かな三重県の北川知事と木村知事と手を結んだことは、関西圏の特色を打ち出して、ひいては日本の進むべき進路に一つの指標を与えたことにもなるだろうと私は思っています。
提言いたしましたミニ京都議定書づくりなども研究していただき、和歌山が関西の生命維持装置の県として二十一世紀の新しい和歌山づくりを進められますよう、要望しておきたいと思います。
もう一つございます。雇用の問題についても、知事、触れていただきました。
実は、熊野古道の世界遺産登録に向けて今準備が進められている中辺路町で、生涯学習による町づくりを話し合うため、「関西地区生涯学習まちづくり実践交流会」という名称で、この九月二十九日、三十日にかけて開催をされ、私も参加をする予定にしております。これは、NPOなどの連携によって生涯学習をもっと充実していこうということで、たしか昨年の二月県議会で教育長に提言をさせていただきました。そうしたら、小関教育長が大変積極的に賛同してくれまして、中辺路町に文部省のモデル事業を持っていただきました。その中辺路町が、昨年、NPOとの連携による町づくり事業というのをやってきました。私も参加させてもらいましたけれども、大変成功したと思っております。それを受けて、今度は幅広く関西圏という形でやられるわけですけれども、こういったNPO等を通じての町づくりが具体的に進んでおりますことをご紹介しておきたいと思います。当日、そういう議論を私もしたいと思っております。
それから、これからの時代というのは、いかに生活をぜいたくにするかとか、あるいは現金収入がないからだめだと、そういう時代ではなくて、祖先が残してくれたふるさとがもたらしてくれる恵み──私はこれをあえてよく「ふるさとの利子」と呼んでおりますけれども、我々のふるさとの利子で生活できれば、まずそこで幸せだと感じる時代だと私は思っております。
また、二十一世紀の地球時代にふさわしいその利子が大きな財を生む時代でもあると思います。自然を壊さずに職場が生まれるのが、これからの時代であると思います。今までは、自然を壊すことによってその代償として工場が建ったりしました。それが、私も含めてですけれども、職場だと思っておったのが多数ではなかったかと思います。しかし、先ほど提案しました世界遺産、さらには自然環境を守っていくそういう職場というのは、ふるさとの足元から生まれていくということに私自身も気づいてきました。その強みは、やっぱり世界遺産というふるさとの大きなバックを持っていることだと思います。それを十分生かした生活をつくり上げていくことだと思っておりますので、どうか、知事を初め県当局の力強い支援をお願いしておきたいと思います。
そして、こうしたことにすぐに対応できるような──きのうも知事は、雇用のための検討委員会等を表明されておりました。大変いいことだと思っております。そういった対応ができるよう、そのための支援体制をつくってほしいなと思っております。
私は、例えば仮称「和歌山県民の労働力の創出と世界遺産を守り生かすNPO等推進実行委員会」──こういう名称を勝手につくりましたけれども、その会長に知事がなって、県庁挙げての運動にしていただきたいと思います。
もう一つだけ、予算です。
これも、先ほど知事の方から来年度予算についても触れられました。私は、総花式ではなくて、やっぱり一点重点主義というような、いろいろ課題はあると思うんですけれども、そういう予算の支出が今こそ必要であると思います。
私も、昨年の十二月議会で、行政とNPOとのパートナーシップで行政コストの軽減を図ってほしいということで、そのために委託事業等の見直しを提言してきました。来年度予算には、そういう具体的な予算執行をぜひとも考えてほしいと思います。このことが二十世紀と二十一世紀の企業、さらには雇用のあり方を根本的に問い直し、変えることになると思います。そして、この新しい試みがぜひとも、木村知事の和歌山から日本を変えることにしていってほしい。そう願って、私どもも頑張りますから、よろしくお願いを申し上げまして、質問にかえます。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
十番小原 泰君。
〔小原 泰君、登壇〕(拍手)
○小原 泰君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。今回は大きく、観光立県の推進と緑の雇用事業、それに台風十一号災害対策についてお伺いいたします。
私は、昨年九月議会において、観光立県の推進には観光行政の機構改革が必要かつ急務であると提案させていただいたところであります。知事のご英断により本年四月から観光局が設置され、バージョンアップした新たな観光行政がスタートしたことに観光立県を推進する一人として喜びを感じ、今後の和歌山県の観光振興に期待するとともに、知事の時代の流れを酌み取るといった姿勢に対し、敬意を表するものであります。
さて、現在、NHK朝の連続テレビ小説では沖縄と東京を舞台にした「ちゅらさん」が放映され、家族をテーマにしたドラマ展開が連日二四%を超える高視聴率を呼んでいると聞いております。ビデオリサーチによりますと、例えば関東地区に限ってでありますが、視聴率一%が約十五万六千世帯と言われており、これに視聴率二四%をかけると、関東地区では三百七十四万四千世帯にも上り、一世帯で二人が見ているとすると、関東地区だけでも七百四十八万八千人が見ていることとなります。朝の連続テレビ小説は、全国に向けて、日曜日を除く毎朝六カ月間にわたり放映されることから、全国の視聴者数となると、それは驚く限りであります。
ことしの夏の沖縄への旅行者数は、前年に比べ大幅に伸びていると聞いており、沖縄の特産品であるゴーヤについても、テレビの特集が組まれるなどして人気を博しているとのことであります。また、沖縄県庁観光企画課によりますと、正確な分析はいまだ放映中なので行っていないとのことでありますが、「ちゅらさん」効果は大変なものであるとの見解を示しております。
この「ちゅらさん」も九月いっぱいで放送が終了し、十月からは本県熊野地方・本宮町を舞台にした「ほんまもん」というドラマが始まることは、既にご承知のとおりであります。言うまでもなくこのドラマ「ほんまもん」の主人公は、本宮町で生まれ育ち、新宮高校を卒業後、大阪で料理人の修行をし、後に地元に帰り、精進料理の店を開くというストーリーであります。先日も本宮町で撮影が行われ、地元の町民もエキストラとして出演するなど、十月からの放映を心待ちにしているとともに、全国から注目される期待もしているところであります。
このタイミングに合わせ、県は今議会に補正予算を計上し、大阪において「ほんまもん」に関連したイベントを計画しており、時宜を得たものだと思っております。せっかくの機会であるこの時期に、関西だけにとどまらず、首都圏さらには全国に向けてもドラマのタイトルのような熊野の持つほんまもんの自然、ほんまもんの歴史・文化、ほんまもんの産品、さらにはほんまもんのいやしを発信する仕掛けが必要であると考えます。県として、具体的に熊野地方の振興策、例えば熊野ほんまもんキャンペーンなど、いわゆる熊野の本物の自然、歴史、文化、産品、いやしを見つけに来ていただく観光キャンペーンを首都圏または全国に向かって行ってはどうか提案するものでありますが、商工労働部長の所見をお伺いいたします。
次に、緑の雇用事業の関連について質問いたします。
木村知事と三重県の北川知事の国への提言は、「緑の公共事業で地方版セーフティーネット」として、新聞やテレビなどで大きく取り上げられました。今月九日の日曜の朝、竹村健一が出演している報道番組を見ていますと、番組の終わりの方で竹村氏が新聞の記事を差し出し、「和歌山県と三重県が共同で緑の公共事業を始めることになった。これは、地球環境問題を含め、高齢者の雇用にも大いに役立つもので、なかなか地方の取り組みとしてはすばらしいことだ」と評価していました。この緑の雇用事業については私のほかにも何人かの先輩議員が取り上げられておりますが、私は、山村に住む議員の一人としての観点から質問させていただきます。
私の尊敬する中山喜弘前本宮町長は、ちょうど今から十年前、九月定例町議会で森林交付税構想を表明いたしました。「森は公共性が高く、その恩恵は都市にも及ぶ。整備に必要な費用を地元だけで負担するのではなく、国からの交付を受け、荒廃が進む森を守れないか」と、各方面に働きかけました。林業で栄えた本宮町では、深刻な過疎と高齢化の現実を見据え、中山前町長や町関係者は正面から取り組まれ、森林交付税構想を打ち出し、町議会はもちろんのこと、和歌山、三重、奈良の五町村とともに熊野川流域サミットを開催いたしました。その後、全国の市町村の共感を得て促進連盟が結成され、今では一千近くの市町村が参加する団体に発展しています。この動きが消極的だった国を動かし、風穴をあけ、平成十年度には、地方交付税の枠内からの予算配分ながらも国土保全ソフト事業として六百億円が計上され、森林管理対策の充実や後継者対策などに活用されています。
この取り組みが「森林交付税構想十年」と題し、読売新聞の全国版に特集記事として二回にわたり大きく掲載されています。その記事の中で、活動を見守ってきた明海大学の森巌夫教授は、こう述べられています。「政治的野心とはまったく無縁で、名もない町長が、日本の森や山村を守りたいという熱意だけで進めてきた「ささやかな運動」だけに大きな意義がある。そこには既得権益という言葉は存在しない」と評価しています。また「構造改革の嵐は森林交付税にとって追い風になる可能性もある」とも述べられ、森林交付税を積極的に推進したいと表明した六月議会での知事のコメントも掲載されています。
緑の雇用事業の共同発表以前の八月二十一日付朝日新聞のオピニオン欄に、「地方活性化 山の環境保全で雇用創出」との見出しつきで木村知事の記事が掲載されていました。この中で、「構造改革の過程で多くの人が仕事を失う中、ITなどの分野に適応しない人もあり、雇用の受け皿の多様化を考えるべきだ。山合いの中山間地域は、高齢化で、若い労働力を望んでいるが、この地域には所得を保障する仕組みが欠けている。環境管理に焦点を当てた施策の実施は、ふるさとのない都会人の住む都市と地方の対立の緩和に役立つ。小泉構造改革に厚みを持たせるためにも自主的な受け皿をつくり、地方の自立を」と訴えています。自治省財政局指導課長や大阪府副知事を歴任され、行政経験から生まれたオピニオン記事として拝見させていただきました。
また、日本最大の労働団体・連合は百万人のふるさと回帰・循環運動構想を打ち出し、朝日新聞で、「過疎の山村の活性化と田舎暮らしにあこがれる都市住民にこたえる。リストラで失業した都市労働者の受け皿づくりも担う」と紹介されています。このほか、「生活拠点を移す定住者を歓迎するが、週末だけ暮らす一時滞在者や農山漁村で休暇を楽しむグリーンツーリズムにも力を入れる」とし、実行委員会をつくって取り組みを伝えています。
なお、連合の小委員会の審議では、「送り出す側と地方生活者側の双方がコミュニケーションのとれるネットワークの構築も重視する」としており、このように地元の事情を組み入れた中での運動展開が望まれるところであります。
そこで、緑の雇用事業を推進する上では、知事も唱える自主的な受け皿や連合の小委員会の唱えるコミュニケーションのとれるネットワークの構築が大きなウエートを占めるものと考えます。
今月八日付の「紀伊民報」には、「森林関係者に期待の声」との見出しがつけられた記事が掲載されていました。その中では、自然豊かな里山で都会の人たちが休暇などを利用して森林の下草刈りや石垣積み、シイタケ栽培、稲刈りで汗を流すという新しいライフスタイルが注目されていることが紹介されています。その一方で、中辺路町森林組合の岡上参事は、この事業への談話として、「都市から来る人やIターンする人にとって山仕事は大変で、ただ漫然と田舎に来るのではなく、環境保全の理念を十分理解することが大切。一定期間、山に入って山仕事のノウハウを覚え、地元住民と交流するなど、事前研修も必要だ」とコメントしています。これは、ほかの森林・林業関係者も同じ意見で、今回の事業をどのように展開していくのか、長年の木材不況で経済の地盤沈下が進む山合いの町では注目しています。
私は、知事の提言に賛同する一人として、さまざまな観点からこの事業の推進に向けて質問をさせていただきます。
一点目は、今回の提言についての各種報道を見たとき、都会での失業者やIターン希望者を対象とした事業との印象を強く受けるものでありますが、失業については山村地域においても例外ではなく、公共事業の減少等により失業者が増加している現状であることから、緑の雇用事業は都会の人だけに焦点を当てたものではなく、もちろん山村地域で生活している人々をも対象とするものであることを、いま一度知事の口からお聞かせ願いたい。
二点目、私は、緑の雇用事業を推進するにはボランティア団体や企業の協力を得た中での事業展開も大きな効果があるととらえています。これらのボランティア団体や企業による活動を県が積極的に推進しているNPO活動と位置づけ、県内外の団体、企業に働きかけ、社会貢献活動への参加を呼びかけるとともに、これに参加する人へのボランティア休暇やボランティア求職制度の創設を積極的に国や各方面に働きかけてはいかがなものでしょうか。この点についても、あわせて知事のご見解をお伺いいたします。
三点目は、今回の事業を実施する際の受け入れ体制の整備についてであります。山の仕事は危険を伴う大変な仕事であり、初めての人には各種の事前研修や技術指導が必要であります。都会から山村へ移り住む人には住居が必要でありますし、NPOやボランティア団体を受け入れるには、専用のハウスを建設するとか、廃校となった校舎の利用や、経済の地盤沈下で白浜や勝浦など紀南を中心に百カ所以上あると言われている、多くの企業が放置している保養所等の有効利用も視野に入れた取り組みが必要であると考えますが、受け入れ体制のソフト面、ハード面をどのように整備するお考えなのか、農林水産部長にお伺いいたします。
四点目でありますが、本宮町では「熊野の森の中で心地よい汗をかこう」とのスローガンで、女性を対象とした森林作業体験ツアー「山の神汗かきツアー」を企画し、山村、農村の活性化を図っています。このツアーは、来月の六日から三泊四日の日程で、参加費二万円で町内の民家に宿泊して、昼間は間伐などの林業体験を行い、その後、温泉への入浴や交流会で地元の人たちとの交流を深めてもらうもので、参加する多くの女性から人気を呼んでいます。
八月十八日付の日本経済新聞の体験型観光の特集記事では、「近畿各地で新たな町おこしの手段として自治体を中心に力を入れ始めた。豊かな自然を資源としてとらえ、「見る」から「する」へと変わりつつある旅行ニーズを取り込み、滞在型観光の経済効果は高い。地元では、高齢者や有志を体験型観光のインストラクターとして養成し、事業を展開すれば、雇用対策にもなるほか、今後は修学旅行の需要拡大も見込まれ、各地の取り組みは活発化しそうだ」と伝えています。来年春から導入される総合学習枠には体験型学習も含まれていることから、これらの学校の動きに対し那智勝浦町役場は、「修学旅行に体験型ツアーを取り入れる学校がふえそうだ。積極的にPRを展開したい」とコメントしています。
一方、東京都武蔵野市では、十年余り前から体験型ツアーを小中学校の授業として取り入れています。市の教育委員会が協力して発行された「とべ!緑の教室 武蔵野市セカンドスクールの挑戦」に詳しく記述されています。このセカンドスクールは、学校を離れてクラスで自然の中に飛び出し、先生やクラスメートと一緒に寝泊まりしながら農林水産業を体験したり、緑の中で思う存分遊ぶといった自然の学校であります。ソバの収穫や稲刈り、果物取りや豆乳づくり、魚釣りや地びき網体験など農林水産業の仕組みを勉強し、遊びながら共同生活の中で人と人との交流のあり方を学んだりするというものであります。この十年間の児童生徒たちの訪問先は長野や富山、山形など各地にわたっており、小学校は五年生が一週間程度、中学校は一年生が五日間程度の日程で実施され、全員が参加しています。この催しは、夏休みの林間学校や臨海学校といった特別な授業ではなく正規の授業として取り組まれ、子供たちは塾通いやテレビ漬け、テレビゲーム漬けといった都会生活の中での閉塞状況を打破し、別世界の生活を満喫していると紹介されています。
この制度は、都会の子供は屋外での遊びが薄れ、子供社会の衰退に危惧を感じ始めた土屋市長や教育関係者らが昭和六十一年から協議を始め、「単なる遊びだ。遊びのために授業が食われては困る」といった反発や意見が出された中で、さまざまな議論の末に平成三年から試行運用され、今ではその成果が認められ、周辺市町村を初め各方面から注目や脚光を浴びています。このセカンドスクール事業に武蔵野市は、今年度の予算として九千七百十三万円を計上しています。武蔵野市の土屋市長は、「都市と地方が交流することで新たな産業も生まれ、地方、田舎が生きていける仕組みをつくりたい」と、第五次産業づくりを呼びかけています。
そこで、緑の雇用事業を打ち出した本県でも、このようなセカンドスクール制度を導入してはいかがでしょうか。また、緑の雇用事業と結びつけた運用により、青少年の指導育成として取り組まれてはいがかなものでしょうか。教育長のご見解をお伺いいたします。
最後に、台風十一号災害対策についてであります。
八月二十一日午後七時ごろ串本町付近に上陸した台風十一号は、本県に大きな被害をもたらしました。道路が崩壊し、家屋が浸水、田畑が冠水し、つり橋が流失、養殖アユが流出し、養殖マグロが被害を受ける等、各地で多くの被害が発生し、被災した地域では今もなおその後片づけに追われ、不自由な生活を強いられています。浸水被害のひどかった古座川と那智勝浦町の太田川では、上流にある七川ダム、小匠ダムの放流が適切であったのかといった、ダム放流の影響を指摘する住民の声が高まっています。浸水被害が発生するたびにダムの放流と洪水との因果関係が議論され、今もなお解消されておらず、幾度となく浸水の被害を受けている住民は、いたたまれない心境であります。
また道路関係につきましても、国道百六十八号や三百七十一号、それに主要県道では数カ所で山腹崩壊、路側決壊が発生して不通となり、約一カ月たった今も崩壊箇所の下を通ったり決壊箇所の横を通ったりと、安全が確保されない状態での通行となっています。
ご存じのとおり、百六十八号や三百七十一号などは熊野川筋、古座川筋の住民にとっては動脈であり、一刻も早く安心して通行できるよう早急な復旧を願うものであります。
今回の台風十一号による被災地の状況を視察したところ、各河川の堤防付近などに多くの土砂の堆積が見受けられました。これらの堆積土砂が河川の流下能力を低下させ、そのことが浸水の被害をさらに大きくした一因ではないかと考えられ、このような土砂は、洪水の防止を目的とし、環境に配慮しつつ、事前に取り除く等の対策が必要であると考えます。
今回の台風十一号被害につきましては、昨日先輩議員からも同様の質問がありましたが、私も思いは同じでございます。県行政には県民の命、財産を守る義務があると考えることから、この件につきましては、私からも早急な復旧、早急な問題解決を強く要望し、以上で私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの小原泰君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問でございます。
これは私に対する質問じゃないんですけれども、これから例の「ほんもまん」がNHKの連続ドラマで放映されます。私も連続ドラマをずっと見ているんですが、本当にこれはもう影響力が大きいということがありまして、和歌山県の熊野地域が取り上げられるということは千載一遇のチャンスだと思っております。こういうふうなものを積極的に活用して観光振興、そしてまた地域振興に役立てていこうという気持ちを持っております。今回、予算も計上しておりますが、またその時々の状況に合わせて、ほんまもんの自然があるということを発信していくことについて、これからも予算に限らず絶えず対応していきたいと思っております。
それから、緑の雇用事業の関係でございます。
お話にありましたように、本宮町の前町長の中山さんは、私もずっと仲よくしていただいていたんですけれども、緑の森林交付税ということで長い活動をされて、非常に大きな成果を上げてこられたと。私の発想も、当然のことながら中山町長の運動を根底に置いて考えついた面もありますので、これからもそういうことを参考にしながら対応していきたいと思っております。
そしてその中で、先ほどありましたように、都会の人を呼び込むということばかりみたいだけれども、田舎の人の方はいいのかという話がありました。私は、かねてから「車の両輪」という言い方をしておったんですが、実は、地方の方の公共事業が少なくなって雇用の場が少なくなるから、そういう人たちの受け皿ということを余り言うとよくないという指摘がありましたので、ちょっとそちらの方を抑えていた面があるんですけれども、地方の方で雇用がなくなったり、そういう人たちの受け皿として考えているということは、これはもう当然のことでございます。
それから、フルタイムの働き手のことだけじゃなくてボランティアとか民間企業とかの関係──これを全部NPOと言えるかどうかわかりませんけれども、そういうNPOの方々の働きというものを森林保護とか地域保全の中に生かしていくというのは当然のことでございまして、ぜひそれこそ肉厚な施策にしてもらいたいということで、きょうもお昼の時間、ちょっとその関係で、中央省庁の方の考え方と大分隔たりがありますので、そういうことについてやりとりをしていたんですけれども、何とかこの施策が、単なる森林の下草刈りとか枝打ちとか、そういうふうな局限された作業になってしまうんじゃなくて、地域を維持していくという大きな、観点の広がりのあるものになっていくように頑張っていきたいと思っています。これはなかなか難しい感じではありますけれども。
それからもう一つ、これも教育委員会の関係でもあるんですけれども、体験型観光ということが大事だということはおっしゃるとおりでございまして、ことし和歌山県では、最初から観光の大きな施策の一つとして体験型観光のメニューを考える委員会を立ち上げています。先ほどのお話の中にもありました、私も非常に参考になったんですけれども、交流から新しい産業が生まれるという武蔵野の市長さんの発想というのは大変示唆に富むものだと思っておりますので、私も何とか交流からいろんな面──もちろん子供が来ることから、壮年の人や老人が来ることからも新しい産業を生んでいくというふうな発想でこれからいろんなことに対応していきたいと思っております。
○副議長(堀本隆男君) 商工労働部長内田安生君。
〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 連続テレビ小説「ほんまもん」に関連して、首都圏や全国に向けたPRについてでございます。
ただいま知事からお答えいただきましたので私の答弁は必要ないかもわかりませんが、私は詳細についてお答えをさせていただきます。
県といたしましても、この十月から本県を舞台としたNHK朝の連続ドラマが放映されることは、全国から注目を集める絶好の機会と認識してございます。議員ご提案にもありましたように、時機を失することなく本県の魅力、すなわち「ほんまもん」の観光資源を全国に向けて情報発信することは極めて重要なことと考えてございます。
今議会において補正予算をお願いしている「ほんまもん!和歌山」キャンペーンは、その一環として十一月十日、十一日の二日間、NHK大阪センターとタイアップして、NHK大阪放送局及び難波宮跡公園で実施する予定でございます。
この機会に、「ほんまもん和歌山」をテーマに、同番組とのイメージリンクを図りながら、関西圏はもとより首都圏、中京圏、さらには九州でのキャンペーン、全国エリアに向けたポスターの掲出、主要旅行雑誌への記事の掲載を行います。特に今回はホームページを開設し、インターネットを活用した情報発信を行うなど、関係市町村と連携をしながら和歌山の自然、温泉、歴史、文化、食等の魅力を全国に向けて強力に情報発信し、集客に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 緑の雇用事業についてのうち、受け入れ体制の整備についてお答え申し上げます。
新規就業者の受け入れに当たりましては、地域の多様な農林水産資源を有効活用した新しい就業機会の創出が必要であり、そのための技術習得への支援が重要であると考えてございます。特に、複雑、高度な現場作業を伴う林業におきましては、県林業センターにおいて、林業に関する技術、技能講習や安全作業講習、作業に必要な各種研修を実施してございます。今後は、新規就業者にできるだけ事前に研修を受講するよう積極的に働きかけるとともに、なお一層講習内容の充実に努めてまいります。
次に、山村への移住者等に対する住居の整備につきましては、新築による定住住宅整備とあわせて、空き家情報のホームページを開設し、Iターン希望者等に対して住宅等の情報提供を行っているところでございます。
また、廃校校舎を交流施設としてリフォームも行っておりますが、今後、NPOなどの団体の受け入れに当たりましては、遊休施設の有効活用も大切ではなかろうかと考えてございます。
いずれにいたしましても、新規就業者の受け入れに当たりましては、生活環境の整備も含め、ソフト・ハード両面から各地域の実態に応じた条件整備を進めてまいる考えでございます。
以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 緑の雇用事業に関連して、教育関連のご質問にお答えいたします。
既に多くの方々からご指摘されておりますように、今日の子供は自然や人とのかかわりが次第に希薄になってきており、そのため、学校教育では海、山、川の自然を舞台にした活動を通してさまざまな体験や学習をさせるとともに、人々と積極的に触れ合う機会を設けることが求められていると思っております。
こうしたことから、お話ありましたように、総合的な学習の時間を初め、特別活動等においても地域の方々を講師に迎え、例えばカルガモ農法を取り入れた農業体験、間伐材を利用したおもちゃづくり、丸太切り等を行う林業体験など、現在、本県の学校においても数多くのさまざまな学習活動を実施いたしているところでございます。今後とも地域の特色を生かし、より一層こうした教育が充実したものとなるよう指導を行ってまいります。
また、議員からご紹介のありました東京都武蔵野市のセカンドスクールのことにつきましては、早速市教委にお願いし、資料を取り寄せて勉強させてもらっております。
和歌山の豊かな自然を体験活動の場として広く他府県の子供たちに提供し、その結果、その子供たちが本県を心のふるさとと思えるようなあり方ができないかということについて検討してまいりたいと考えております。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
十番小原 泰君。
○小原 泰君 答弁、ありがとうございました。
緑の雇用事業についてでありますが、景気対策上、雇用の確保という点では大変重要なことであります。私が申し上げたいのは、まず県民、国民に緑や森の大切さを知ってもらうことから始め、それに親しんでもらうためには学校教育やボランティアの活動を通じて取り組むべきであると思います。
また、教育長、和歌山の豊かな自然を体験活動の場として他府県の子供たちに広く提供する方策について研究するとの答弁をいただきましたが、まず和歌山市やその周辺の子供たちに紀南を訪れてもらうことから始めることも大切であると思います。
それから、武蔵野市の事業は、自然科学や歴史を勉強するという点はもちろんのこと、道徳教育の面からもすばらしい取り組みであると思います。このような事業を単なる市町村の取り組みとしてではなく、国策として取り組むよう国に働きかけてみてはいかがでしょうか。
以上、要望として私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小原泰君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十五番鶴田至弘君。
〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 議長のお許しをいただきましたので、まず最初に故木下秀男議員のご冥福を心よりお祈りいたしまして、質問に入らせていただきます。
最初に、県財政の中期展望と来年度の予算編成にかかわってお尋ねをいたします。
地方交付税の一兆円減税が示唆されまして、事態は非常に厳しい状況の中で進行しつつあります。言うまでもなく、地方交付税に大きく依存している我が県にあって、言われるとおりの削減が行われれば、極めて深刻な問題となってまいります。国は、「地方の自立」と言いながら地方の財政的自立への方策は示すことなく、いたずらに削減のみに突っ走っているという感じであります。同時に、国が責任を持つべき社会保障政策においても、医療関係などに端的に国民負担増大の動きが見られるところであります。知事にあっては、地方財政にかかわる国の予算編成の動向について、いかなる所感をお持ちでしょうか。地方交付税制度にも改善すべき点は多々あるでしょうが、地方を成り立たせる基幹的な制度であります。これの削減などは絶対認められないよう一層働かれることを願うところですが、いかがでしょうか。
二番目、財政の中期展望を読ませていただきました。中期展望は、近年の財政危機は過去最大の七百四十億円にもなった公債費によって義務的経費が膨張したことと指摘しているところであります。その公債費の膨張の原因は、知事が「最前線から地方行財政改革論議に寄せる」という一文で述べられているように、国の責任がその主要なものであります。もちろん、国の方策に諾々と従ってきた従来の県政の担当者の責任も免れるところでありませんが、いずれにしろ、またまた国の方からは、「地方の自立」という言葉を掲げて地方に困難が押しつけられようとしています。そのような中で中期展望が発表されたわけですが、地方交付税の一方的削減が行われたり、あるいは地方財政にかかわる制度の改悪がさらに進められたりするならば、この中期展望はたちまち見直さなければならなくなってまいります。いずれにしろ、トータルして今よりよりよい方向に制度改正が行われるとは考えにくいところですが、その展望をどのように持っておられますか。
三番目、地方の自立が保障されるためには、それを支える財源が保障されることが当然の前提であるはずです。しかし、地方分権論議の中でもそれは盛んに論じられたものの、結果的にはほとんど考慮されないままでした。小泉改革でも、地方交付税の削減だけが提示され、かわるべき財源が示されず、地方に大きな不安を与えているところであります。
そのような中で、全国知事会や市長会などで地方消費税の拡充による税源移譲や、本県の国への予算要望に見られるような、法人事業税をその所得にかかわりなく外形標準課税とするような要望もありますが、問題の正しい解決にはならないと考えるところです。地方消費税の拡充は、恐らくさらなる消費税率のアップを呼ぶことは間違いないでしょうし、消費税引き下げの道を閉ざしてしまうでしょう。日本のような社会保障が貧弱で貧富の格差が次第に大きくなってきている国においては、消費税は最悪の大衆課税だと考えられ、その増税に道を開く危険を持つ要求はすべきではないと思います。法人事業税を赤字の中小企業にまで課税する外形標準課税にすることは、中小企業を一層苦しい立場に追いやるものだと思います。
この夏、私も和歌山県下の中小企業団体を訪問しながらいろいろとご意見を伺いますと、税の問題では、現在では消費税以上に外形標準課税が怖いといずれの団体の方々も言っておられましたが、まさにそのとおりであろうかと思います。地方財源の充実のためにも、やはり租税の民主主義、直接税中心、総合累進性、生活費非課税という原則が貫かれるべきであろうと考えるところです。知事の考え方を聞かせてください。
さて、来年度も厳しい予算編成を強いられるところです。その編成に当たっては、現下の深刻な不況の中でさまざまな形での生活苦や営業の困難を余儀なくされたり、社会保障制度の改悪で今まで以上に暮らしの困難を味わわざるを得ない方々への温かい視線をしっかりと持って予算編成に努めていただきたいと思うところであります。そのために、県独自で行っている福祉関係の諸制度はしっかりと維持されることを求めたいと思います。本年度予算でのその点に関する努力は、県民の喜びとしたところでした。ぜひ、引き続く努力を求めるところであります。また、景気・雇用対策の一環として進められる事業にあっては、ゼネコン型事業ではなく、地域や暮らしに密着した事業で、小零細企業にも仕事が回るような、また極力雇用の拡大につながるような施策を大幅に展開されることを求めるものであります。いかがでございましょうか。
以上、知事にお伺いいたします。
次に、景気・雇用対策についてであります。
深刻な不況がさらに深刻となって、県民の生活にとって本当に厳しい時代になってきています。歴代政府は、大型公共投資を積み増すことによる景気刺激策をここ数年来際限なく続けてまいりましたが、当然のこと、その効はなく、結果は国と地方自治体に莫大な債務を背負わせることになって、一段と我々を苦しめているところであります。企業倒産は次々とその数と規模を拡大し、完全失業者もついに五%を超え、近畿では六・三%と、統計史上最悪を記録するに至っています。県下の倒産件数は、昨年の統計でも百六十八件を数え、有効求人倍率は〇・四五倍にとどまり、全国でも最悪のグループに位置してきています。それは、そのまま県民生活の厳しさを反映したものであろうと思いますが、事態はまだ一層深刻なものになろうとしています。
政府が有効な景気対策を講じずに適切な雇用対策を提起しないまま、ただいたずらに構造改革を唱え、中でもその切り札として不良債権の早期処理を強引に進めようとしているところに最大の問題があります。我々も不良債権の放置を認めるものではありませんが、現在の主要な不良債権問題と言えば、かつてのバブル期の放漫経営による大手企業の不良債権というよりも、この不況によって中小企業の中に蓄積されてきているものです。そこに情け容赦なく不良債権の早期処理というものを持ち込むということは、当該の中小企業をたちまちにして破産に至らしめるものであります。
幾つかの調査研究機関がその結果を予測いたしております。大手銀行の持つ不良債権処理の対象になる企業は二十万から三十万社の中小企業があると言われ、それらが淘汰されることによる失業者の発生をニッセイ基礎研究所は百三十万人、第一生命経済研究所は百十一万人、ドイツ証券では百一万人と予測しています。地方銀行にそれが波及するときに、それがさらに規模を拡大することは十分に予測されるところです。当然のこと、和歌山県下にも大きな影響が出てくることでしょう。荒っぽい試算ではありますが、県下でも千件をはるかに上回る倒産、あるいはさらに一万を前後する失業の増大という話もあります。平年の数倍の倒産、三万人をはるかに超える失業──二、三年の間にそんな事態が生じたら、経済的基盤の総体的に弱い本県にあって、本当に事は深刻だと思います。県民生活と福祉の向上を進める責務を持った自治体・和歌山県として、どのような予測を持っておられますか。
二番目、政府の方は、雇用に十分なセーフティーネットを持って対処するとしています。経済財政諮問会議は、五百三十万人の雇用創出を図るとしています。しかし、五百三十万という数字を消化する裏づけはありません。新しい産業の創出やサービス産業への期待が見込まれていますが、それ自体、リストラ旋風です。和歌山のサービス産業の厳しさは、銀行の倒産や大手小売店の撤退などに、絵にかいたようにあらわれています。新しい雇用の創出も極めて厳しい状況で、予想される大量失業の受け皿になるとは到底考えられないところであります。
国の方は、今までに幾度か雇用対策を実施してまいりました。九八年の緊急雇用開発プログラムを初めとして、これまで四回の雇用対策を打ち出してきました。そのうち三回は、具体的な雇用創出目標を掲げ、その合計は二百五万人になりましたが、しかし厚生労働省のことし四月現在の集計では、雇用に結びついたのは二十七万人だとされています。和歌山県下の実績はどうだったのでしょうか。五百三十万人の雇用創出プランに我々がどれだけ期待を持てるのか、関係当局が今どう考えているのかをお示しください。
三番目、地方自治体の景気対策、雇用対策は、事の性格上、おのずと限界があります。しかし、このような状況にあって自治体として何ができるか──できることは精いっぱいやって県民の生活の安定に資することが重要だろうと思います。昨年度来の景気・雇用対策の実績は、いかがなものだったでしょうか。特に青年や高齢者の雇用対策など、どのように対策されたでしょうか。中高年の失業者は、住宅ローン、子供の就学資金、雇用保険の切れた後の生活など、実に深刻な問題を抱えていたと思います。これらの点で、特にどのような対策がされてきたでしょうか。総括されている点があればお示しください。
今後はさらに、不良債権早期処理という政策から、金融対策で大きな困難に直面する中小零細企業がふえてくると思われます。融資枠の拡大や返済期限の延長、信用保証協会の保証条件の緩和、さらに失業者の生活相談、それ以前に失業の危機にさらされている方々の相談窓口の設置、県独自の雇用の開発、さらに来年度予算における景気・雇用対策の充実など、積極的な対応を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。今考えている点があれば、お示しいただきたいと思います。
四番目、かねがね私は、不況や雇用問題に対する県の対応と社会の現実の厳しさとの間に相当の乖離があるように思ってまいりました。経営難に苦しむ小零細企業の思い、解雇あるいは不当な配転による労働者とその家族の気持ち、そういうものを行政機関としてそのままに体感することはできないとしても、その現実と心情がそれに近く理解できるようになってこそ血も涙もある行政になるのだろうと思っております。それで、幾度か、中小零細企業の実態やそこで働く人々の生活実態の悉皆調査などをやってみてはとの意見を述べたところでありますが、かなえられないところでありました。
今、この大不況に苦しむ県民がますますふえていく状況にあるとき、その状況をできるだけ具体的につかみ、対策を考え、その方々に希望の持てる生活の展望を指し示す必要があります。その部署として、仮称「緊急景気・雇用対策本部」をつくって対処する必要があろうと思います。幹部だけの、形だけの会議ではなく、実態が反映されるような、実効の伴うような対策機構をぜひ立ち上げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
さて、さきにも述べましたが、不況対策、雇用対策というのは、そ根幹のところは国の仕事であります。自治体としては大きな限界があります。国がその責務を果たし得ていないとき、地方自治体から積極的な提言や働きかけが求められるところです。
現在の不況打開には、何といっても消費の六割を占める国民の購買力を高めることが必要だということは、さまざまな研究機関でも明らかになっています。そのためには、消費税の引き下げ、社会保障の充実、大手企業の野放し状態の解雇の規制、サービス残業の規制、あるいは労働時間の短縮による雇用の拡大などが緊急に求められるところです。
国民の消費意欲を刺激する消費税減税が最も効果的だということは、国の機関の中でも認め、提言されているところでもあります。たび重なる社会保障制度の後退は将来不安を惹起させ、財布のひもは必然的にかたく締められました。その上、昨今の失業者の未曾有の増加です。加えるにサービス残業は底知れない状況で、しかも不良債権の早期処理による倒産と失業の波がさらに押し寄せようとしています。これでは、景気回復も雇用の拡大も望めるところではありません。リストラよる解雇規制やサービス残業の規制による雇用の拡大などは、個々の企業努力ではできないことです。国の景気対策・雇用対策の転換を県として腰を据えて求めるべきだと思います。
知事にあっては、小泉改革に期するところ大であったとしても、県民のこの厳しい生活実態の改善のためには、しっかりとした、実効性のある対策を求めるべきだと考えます。知事の緑の雇用事業に大きな期待を寄せるものであります。ぜひ実現方を図られるようご努力を求めるところでありますが、しかし、それだけでは追っつかないという事態だと思います。消費税減税、大企業の横暴な解雇の規制、サービス残業を規制して労働時間を短縮し、その分で雇用の拡大を図ることなどを政府に求めるべきであろうと思いますが、いかがでございましょうか。
次に、過日、和歌山下津港へアメリカの戦艦が入港いたしましたが、その件についてお尋ねをいたします。
去る八月二十八日から三十一日、和歌山下津港にアメリカの戦艦二隻が入港いたしました。アメリカの戦艦がこの港に入るのは、日本の敗戦時の一時期、占領目的での入港を除いては初めてのことだそうであります。五十六年ぶりです。
私は、幾つかの点から、今回の目的がこの戦艦の入港の目的である休養、補給、ボランティアだけではないように思います。と申しますのも、この入港が和歌山だけでなく、他の三港の姫路、名古屋、清水への同時入港──姫路と名古屋は初寄港──という形で、全体として非常に計画的な入港であろうということです。また、入港前には第七艦隊の訓練として、海上自衛隊とともに訓練に参加しての帰途となっています。そして、このような民間港湾への入港がこの四港だけでなく、あちらこちらでも最近は行われ始めているということです。さらに、入港目的の補給や休養ということについては、これは母港で当然やれることであります。この背景に周辺事態法との関連があるのではないかと考えると、今回の寄港が表向きの理由とは別のところにあるのではないかと考えざるを得ないのであります。
ご承知のように、一九九九年、日米新ガイドライン関連法として周辺事態法が成立をいたしました。そこでは、アメリカ軍の出動に対して地方自治体や民間企業に必要な協力を求めることができるし、協力しなければならない旨の定めがありました。港湾の軍事利用は、最も一般的な協力として求められるところでした。私は、その懸念の上に立って同年の二月議会で、周辺事態の宣告がなされたら和歌山下津港も軍艦の寄港による軍事利用が想定されるところだから、同港の軍事利用はきっぱりと拒否されるよう求めたところでありました。
今回の寄港は、一概に軍事利用とは申しませんが、軍事演習後の物資の補給、休養となれば、軍事性がないとは言い切れない性格のものであります。そういう面も含めて考えるなら、今回の寄港は周辺事態法の発動の地ならし、あるいはそれに関する必要な調査のための寄港ではなかったかと考えているところです。
かつて、舞鶴港にアメリカ戦艦ブルーリッジ号が、表向き今回と同じような目的で入港したことがありました。そしてその際、港湾と町の機能を細かく調査していたということがわかりました。アメリカ海軍の公文書「太平洋地域港湾案内(第五巻)」という文書があるそうです。私は直接読んだわけではございませんが、その内容が報道されておりました。その報道によりますと、調査は、港の水深、それから海流、艦船収容能力、修理整備能力、寄港に適した港かどうかを中心に軍需品、食料、通信、医療、衛生などの供給補充、輸送機関の情報収集など、兵たん支援の調査も命じられています。港湾関係だけでなく、ホテル、レストラン、バーなどの施設や能力なども調査対象となり、レストランには英語のメニューがないとか、クラブやバーはどこも一様に高かったとか、外国人ということで断る店もあったとかいうようなところまで調査をしていた事実がありました。そのときには、二十八港を指定して調査されました。現在では和歌山も当然対象になってきたと思いますが、このようなことを考えますと、唐突な親善友好は表向き、実際はガイドライン関連法、周辺事態法の地ならし、調査などが目的ではなかったかと思いますが、知事の所感をお示しください。
二番目、今回寄港の戦艦は核弾頭発射機能を持った戦艦でした。当然、核兵器登載の有無が問題になります。知事にあっては、そのことを外務省に問い合わせ、事前協議がないから搭載されていないという外務省の回答をもって入港を是とされております。
知事にお伺いいたしますが、核兵器の搭載が確認されれば寄港は恐らく拒否されるのだろうとは思いますが、核兵器の搭載の疑惑のある場合はどうされるのか。知事として、国是である非核三原則──持たず、つくらず、持ち込ませずの原則を遵守するならば、当然疑わしきは入港させずとの方針になると思います。事前協議がないから搭載していないという外務省の見解や、我が国の方針として搭載の有無は明らかにしないというアメリカ戦艦の艦長の言明は、搭載していないということを裏づけるものではありません。
和歌山市長が非核証明を求めるよう知事に要請をしたそうでありますが、知事はそれを行わなかったようであります。本気で真剣に「持ち込ませず」を願うなら、非核の証明を求めるべきではなかったでしょうか。国の方がグレーゾーンはシロとしている現状で、それは勇気の要ることでしょうが、神戸港がしっかりとその立場を堅持していることを考えれば、知事として和歌山市長の要請にこたえるべきではなかったかなと考えますが、いかがですか。
今回の寄港は、通告による寄港だそうであります。入港の許可について、協議などの余地がない地位協定による通告と聞いております。もしそうだとすれば、それは余りにも屈辱的な話ではありませんか。港湾管理者としての知事の立場も、あったものじゃありません。そんな姿勢から友好親善が語られるなど、まことにおこがましい話ではありませんか。そこには、アメリカとの対等・平等の姿勢は全くありません。完全な軍事的従属の姿です。また、二隻の戦艦の和歌山下津港の岸壁使用料は、日米地位協定によって和歌山県が徴収できないそうであります。県が防衛庁に請求すれば損失補てんとして支払われるそうですが、アメリカが日本に支払うことはないとのことです。これらのことは知事の責任ではありませんが、日本の主権の問題として考え直すべきだと思いますが、いかがお考えですか。
私は、日本とアメリカは対等で平和的な友好関係であって、そういう立場での交流が和歌山下津港で進められるということならば、大いに望むところであります。したがって、和歌山下津港をいささかでも軍事色に染めたくないと思っているものです。周辺事態法は、アメリカの指揮のもと、日本がさまざまな形で米軍に協力していくことを定めています。地方自治体もそれに協力するということが求められ、それは港湾だけにとどまらないものです。和歌山下津港が平和的な日米友好の場になることを大いに歓迎するところですが、砲身を高々と掲げ、ミサイル発射装置のデモンストレーションを行う戦艦との友好はあり得ないことだと思います。核の問題については、入港に当たって非核証明の提示を前提とし、県下の港湾は軍事利用には供さないということを知事として宣言すべきだと思いますが、知事のお考えをお伺いするものです。
教育関係について、二点お尋ねをいたします。
今、「米百俵」の逸話が小泉総理によって随分と有名になりました。本来の意味から離れて、単に我慢せよという話のネタにされている嫌いがありますが、本来の意味での「米百俵」を教育委員会の皆さんは十分おわかりのことと信じます。
さて、財政運営プログラムIIによって平成十一年から十五年にかけて教職員の五百名削減の方針が打ち出され、目下進行中のところであります。私は、現下の教育の状況から見て三十人学級の実現を切望する立場から、教職員の削減は何とか思いとどまってほしい、差し当たりふやさなくても結果的にはふえることになるのだから、そこは頑張ってほしいと訴え続けてまいりました。残念ながら、今のところ、かなえられないところとなっています。
ところで、過日、山形県が二、三年かけて三十人学級を実現したいと発表いたしました。なかなか財政力もあるところかと調べてみましたが、そうでもないようであります。ただ、一般会計における教育費の割合は和歌山県よりもまだ低く、和歌山の方がその点努力しているのかなという思いを抱いたりしたのですが、そこはそれぞれの団体の事情もあろうかと、単純に比較できないところでしょう。しかし、三十人学級を目指すということは、まさに英断であろうと思います。それに比べて和歌山県は、どうも意気込みが足りません。気迫が見えてまいりません。国の制度内でいろいろ工夫される努力も結構ですが、もっと大胆な、計画性のある三十人学級へのプランでも作成してはいかがでしょうか。片や三カ年で三十人学級、片や五カ年で五百人の削減──大きな格差を感じざるを得ないのであります。ついては、来年度の削減は見合わせ、小学校の一年とか中学校の三年とか、教育上最も増員が求められているところから考える余地はありませんか。同和事業の特別対策が終了するときでもあります。同和加配の二百八十五人を一般の方に回すことも考えれば、相当の仕事が可能であろうと思います。山形は知事のトップダウンで決まったようですが、こういうことは教育委員会の主体性が何よりだと思いますので、教育長に所見を伺いたいと思います。
さて、目下、高校受験を目指して中学三年生たちは懸命の努力をしている秋であろうと思います。毎年、受験生を持つ父母の皆さんから教育委員会へ要望の出されるところでもあります。地域によって要求はさまざまで違う点もあるでしょうが、共通する一番は、やはり希望する高校にぜひ全員を受け入れてほしいという願いであります。高校入学は選抜であって初めから全員入学は考えていないというのが当局の態度のようでありますが、全員を受け入れていくというのが本来のあり方ではなかろうかと思います。
昨年も、数百人の子供たちが涙を流しました。幾つかの高校では相当数の不合格者を出しました。昨年の例では、募集定数よりはるかに多い受験生があった有田地方で、当該の高校や隣接校の学級をふやして受け入れるという特例措置をとられましたが、来年も同様の事態が予測されそうな同地域やその他幾つか大幅オーバーが見込まれる和歌山市部なども含めて、必要なところは募集定員の増員をする必要があろうと思いますが、教育長の見解を伺うものであります。
以上で、第一問を終わります。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 財政の中期展望と来年度の予算編成についてのご質問でございます。
まず、地方財政にかかわる国の動向についてでございますが、近々にも発表が予定されている改革工程表など、これからの国の動向等を見守りつつ、引き続き事務事業の見直しに取り組み、今後の改革に柔軟に対応できる財政構造の確立に努めていくことが肝要と考えております。
また、地方交付税の見直しに当たっては、地方の実情や意見に十分な配慮が必要であると考えており、先日も鳥取県知事と共同で緊急アピールを行ったところでありますが、今後とも機会あるごとに、国に対して地方の生きた意見を申し上げていきたいと考えております。
次に県の財政の中期展望に関連してですが、この中期展望は、ご指摘のように今後進められるであろう地方財政制度の改革の影響が反映されておりません。したがいまして、今後、改革の具体的内容等を踏まえ、見直しの必要が出てくるものと考えておりますが、現在行われている交付税の縮減議論などを踏まえると、より厳しい内容になるものと認識をしております。
次に、地方消費税の拡充による税源移譲につきましては、さきの地方分権推進委員会の最終報告において、地方税充実確保の一方策として地方消費税の充実がうたわれているところでありますが、本県といたしましても、地方分権を推進する上で、国から地方への税源移譲に当たっては、税源の地域的偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築が必要であると考えております。
次に、法人事業税への外形標準課税の導入につきましては、税負担の公平性の確保、応益課税としての税の性格の明確化、それに何よりも地方分権を支える基幹税の安定化を図るものであり、増税を目的として導入するものではありません。また、その導入により新たに税負担の生じる法人のあることは事実でございますが、昨年十一月に発表された旧自治省案では、中小法人には軽減税率の適用や簡易事業規模額の選択、さらに赤字法人には新たな徴収猶予制度の創設が盛り込まれる等、中小法人及び赤字法人に配慮されたものとなっております。今後、地方税制改革のファーストステップとして税負担の激変緩和や中小法人の負担に配慮しながら、全国的な制度として、早期導入に向け、議論されるものと考えております。
最後に、来年度の予算編成と景気・雇用対策についてでございます。
まず、福祉関係の事業の見直しに当たっては、その特性に十分配慮していくことが重要と考えております。また、景気・雇用対策に係る事業につきましては、従来の公共事業の形態にとらわれることなく、例えば緑の雇用事業のように、自然環境の回復・再生事業と景気・雇用対策を両立させるような工夫した事業の創出について検討してまいりたいと考えております。
次に景気・雇用対策について、国への要望関係でございます。
大変厳しい経済社会情勢のもと、大企業、中小企業を問わず、工場等の統廃合や人員削減を伴う事業の再構築が行われている実情等、ご指摘のように労働者を取り巻く雇用情勢は非常に厳しいものがございますので、現在国が進めているセーフティーネットの構築等、雇用対策の充実や実効ある実施を働きかけてまいりたいと考えております。また、私が先般提唱いたしました緑の雇用事業もそういう趣旨に沿ったものであり、国に働きかけているところでございます。
なお、国税である消費税の減税につきましては、現下の経済・景気動向や国の財政状況の中、国政の場で議論されるべきものであると考えております。
次に、今回の米軍艦船の入港目的についてのご質問でございます。
今回の入港の目的は、日米地位協定に基づく通常入港であり、乗組員の休養や水等の物資の補給であると理解をいたしております。
次に、核兵器の搭載と非核証明書についてのご質問でございます。
外務省に確認いたしましたところ、日米安全保障条約上、いかなる核の持ち込みについても事前協議の対象であり、核の持ち込みについての事前協議が行われた場合、政府としては常にこれを拒否する所存であるので非核三原則を堅持するとの我が国の立場は確保されているとの回答を得ており、核兵器を搭載しての寄港はあり得ないものであり、これ以上の対応は考えていないところでございます。
日米地位協定に関してのご質問でございます。
日米地位協定は国家間の条約であり、基本的には外交や防衛は国の専管事項でございまして、意見を述べる立場にはございません。
なお、入港料及び港湾施設使用料につきましては、防衛施設庁に対し、既に請求することで事務を進めているところでございます。
県下の港湾の利用についてのご質問につきましては、米軍艦船は、日米安全保障条約第六条に基づき締結されている日米地位協定第五条で、入港料を課されないで日本の港に出入りすることができるとなっており、水深が足りないとか、係留施設にあきがないなど、物理的に港湾施設が利用できないといった正当な理由がある場合を除いて制限することができないこととなっております。
また、周辺事態安全確保法に関連した県内の港湾施設等の利用でございますが、現段階では具体的な協力依頼の内容も明らかでない状況であり、仮定の問題にお答えするのは難しいところでございますが、私といたしましては、県民の安全と幸せを守ることを常に念頭に置いて県行政を進めているところでございまして、この立場を堅持してまいりたいと考えております。
○副議長(堀本隆男君) 商工労働部長内田安生君。
〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 景気・雇用対策について、私の方から四点お答えをさせていただきます。
まず、県下の景気・雇用の状況の見通しについてでございます。
内閣府の試算によれば、不良債権最終処理によって離職者は三十九万人から六十万人、うち失業者は十三万人から十九万人発生すると見込まれています。また倒産については、民間の調査機関の調査によりますと、平成十二年は全国で負債総額が約二十四兆円で戦後最悪となり、倒産件数も約一万九千件と戦後四番目の高水準となりました。本年上半期でも、負債総額が約七兆二千億円、倒産件数は約九千四百件と、いずれも昨年の上半期を若干上回っている状況にあります。
県内の倒産につきましては、平成十二年は負債総額が約三百六十三億円で、過去五年間では二番目に少ない金額でありましたが、倒産件数は百六十八件と、過去二十年間で最悪の数字を記録しました。本年一月から八月の負債額の累計は、大型倒産の影響もあり、約五百八十九億円と昨年同期の約二倍、倒産件数は九十五件と昨年同期を約二〇%下回っている状況であります。
今後、景気の低迷の長期化や不良債権最終処理の影響により、破綻する企業の増加が予想されているところでございます。連鎖倒産、失業者の増加をできる限り抑制するため、金融を初めとする支援策を強化するとともに、和歌山労働局との連携を密にしながら雇用対策の充実に取り組んでまいる所存でございます。
次に、政府のセーフティーネットと和歌山での見通しについてでございます。
平成十年の緊急雇用開発プログラムを初めとして、今まで国において七つの雇用対策を実施しており、和歌山県下における実績は、失業の予防を目的とした雇用調整助成金が千三百三十六件、四十一億五千九百十八万円で、また雇用機会の増大等を図ることを目的とした特定求職者雇用開発助成金など六種の助成制度が六千七百二十二件、三十億四千四百二十五万円で、これにより新たな雇用者数が約五千八百人、IT化等に対応した職業訓練等が入所者数で七百九十九人となってございます。
五百三十万人の雇用創出プランですが、例えば子育て支援、高齢者向けのケアハウスの創設等、今後、雇用機会の拡大が見込まれるサービス部門への労働力移動を円滑に促進するなど、産業構造の変化に対処した諸施策の実施により五年間で新たな雇用を創出するものであり、大いに期待しているところでございます。
三番目として、県としての対策の強化をということについてでございます。
景気対策は、これまで国の経済対策とあわせて実施しているところでありますが、本県の景気動向の一致指数は本年二月から五〇を下回り、また鉱工業生産指数も本年一月から対前年を下回り、引き続き悪化しています。有効求人倍率も〇・四五と、引き続き全国平均を下回ってございます。
このように、本県を取り巻く経済環境が一層厳しさを増す中で、総合的な経済対策を行う必要があるため、有識者による委員会を近く設置し、新産業の創出支援等、具体策を進めるとともに、積極的な来年度予算編成に取り組みたいと考えてございます。
現在、金融対策では、県制度融資の融資枠の拡大や金利の引き下げ、融資期間の延長等の措置を講じるとともに、信用保証協会においても無担保枠の拡大等、保証条件の緩和に鋭意取り組んでいるところでございます。
なお、最近の景気動向の悪化により、中小企業の資金繰りは一段と厳しい状況になることが懸念されるため、不況対策特別資金制度を拡充することといたしてございます。
また、雇用対策といたしましては、本年度も実施しておりますが、平成十二年度の実績では人材Uターンフェア及び合同面接会を開催し、総来場者数は三千八百二十三人で、合計三百八十九人の採用内定がありました。高齢者の雇用対策といたしまして、十月の高齢者雇用促進月間を中心として、国及び関係機関とともに事業主に対して求人の開拓を働きかけてまいります。
今後とも、求職者と求人事業主とが一堂に会し、効率的な面接の機会を設けることが非常に有効な手段であると考えており、和歌山労働局と緊密な連携のもと、これからも一層積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
次に、仮称「緊急景気・雇用対策本部」の設置についてでございます。
国の緊急雇用対策への対応等に関して協議するため、平成六年に全庁的な和歌山県景気・雇用対策本部を設置してございます。現在の厳しい状況に対処する必要があるため、近くこの対策本部を開催することにしてございます。今後も、国の施策等を注視し、関係団体等の意見や要望を十分聞きながら、効果的な実施に向けて努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育関係のご質問にお答えいたします。
教職員定数の確保及びその配置に当たっては、学力の向上やいじめ、不登校、問題行動の増加などの教育課題に対応するため、チームティーチングや生徒指導のための教員加配など、改善を行ってきたところです。さらに本年度は、算数、国語、英語などの教科を中心にして二十人程度の学習集団で指導ができるよう、少人数指導のための教員を配置いたしました。
今後も児童生徒数の減少が見込まれるため、教職員定数が減少するのは避けられませんが、限られた数の中で個に応じたきめ細かな指導など効果的な教育を推進するため、教職員定数の確保について引き続き努力をしてまいります。
次に高等学校への入学者選抜に関して、来年度の募集定員でございますが、現在、県内各地域における中学校卒業予定生徒数や学校の規模、進学率、各学科への志望状況、さらに最近の保護者や生徒の希望状況を反映した県立高校への戻り傾向をも十分考慮しながら、総合的な観点に立って慎重に検討を行っており、今後、関係当局と協議しながら決定をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十五番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問や要望を幾つかさせていただきたいと思います。
まず、知事に。日米地位協定の問題です。
これはもう国の専管事項であるので意見を申し上げるべき立場にないとおっしゃいましたが、私は、必要なときには言っていただかなければならんというふうにも思うんです。例えば、先ほどご答弁をいただきましたけれども、アメリカの戦艦が入ってくるときに、水が足りない──水深です──それから係留施設にあきがない、物理的に港湾施設が利用できないという以外は、これについてはもうとやかく言えないんだということなんですね。ところが、知事としては、港を軍事利用に供さないようにしてほしいという私の質問に対してやはり、県民の安全と幸せを守ることを常に念頭に置いて県行政を進めていきたい、この立場を堅持したいとおっしゃられるんですね。そうすると、最初に言ったことと県民を守っていくという立場の間に矛盾が起こることだってあるでしょう。
例えば、戦艦が明らかに軍事利用を目的として入ってくるということは、和歌山下津港にとっては非常に不幸なことです。県民にとっても、いただけない話なんですね。安全を守るという立場からは、これは明らかに矛盾してくることです。そういうときには、知事として、やはり一言物を申していただかなければならない。無言でおるということは、これは無責任だと思うんですね。そういうような点をどのように考えておられるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
それから、もう一つ知事に質問します。例の、緑の公共事業です。
私も、その結果を楽しみにさせていただいて、和歌山県勢の発展のためにも、全国の農山村あるいは漁村を抱える地域の方々の改善のためにも大いに役立ってもらえればと願っているわけですが、知事の方も心配されておりましたように、一時的な失業対策ということになっては、それこそ本当に本来の思いと別なものになってしまうわけです。そこで、結果としてはどういうふうになるかわかりませんけれども、これこそが木村知事の言う緑の公共事業なんだ、これが和歌山県での農山村あるいは地域全体を発展させていく大きな力なんだというような見本をひとつ実際に行政の中において示す、そしてさらに内容を発展させていくということが大事じゃないかと思うんですが、そういうおつもりはないか、お聞きしたいと思います。
次に、商工労働部長にお尋ねをいたします。緊急景気・雇用対策本部の設置の問題についてです。
そういう本部があるというのは私は知りませんでして、全く同じ名前でした。いつ開かれたのかというのを担当課の方に聞きますと、平成十一年に開いたなり、開いてないそうです。これじゃ、緊急性もないし、景気・雇用対策にもなっていないんですね。なぜかと言うと、国のいろんな景気・雇用対策事業が提示されたとき、県としてそれをどう消化するかというために各部長の皆さん方などが集まって協議をするという、そういう組織にしかなっていないんですね。私が求めたのはそういうことではなくて、県民の方々が今この不況の中で雇用問題あるいは景気の問題でどのようにご苦労しておられるか、苦しんでおられるかということをまずしっかりつかんでいただけるような組織にしていただきたいと思うんです。そういう思いがないと、本当に血の通った仕事ができないと思うからなんです。そういう点で、先ほど幾つかやっていただきたい仕事を挙げましたけれども、そういうような仕事ができるように組織も充実し、必要な職員も配置をしてこの不況対策、景気対策に当たっていくということにしていただきたいと思うんですが、そういう方向で拡充し、仕事の内容も見直していくというおつもりはないかどうか。そこをひとつお聞きをしたいと思います。
質問は、以上です。
幾つか要望を申し上げます。
また知事です。いろいろ言いますが、非核三原則の問題です。
これは、外務省がそういうふうに言うておるから一県の知事としてそれ以上のことをもうとやかく言ってもというような思いがあるんかもわかりませんけれども、私は、県民の安全ということを責任を持って対応するというのであれば、やはり本当に核が乗っていないのかどうかということをみずから確認するという思いが必要だと思うんですよ。といいますのは、非核三原則が本当に守られているのかどうか、日本に出入りしている艦船の中に核が本当にないのかどうかということは、国会の中でいろいろと議論をされて、本当に限りなくクロに近い灰色だというようなところまで議論が進んできているんですね。そういう段階にあって知事としては、やはり責任ある態度として、みずからがそれを確認するということがぜひ必要ではないかと思います。いろいろとよく勉強される知事でございます。あと、ぜひともそういう点を研究していただいて対応されることを求めておきたいと思います。
それから、外形標準課税の問題です。これも要望です。
外形標準課税を求めるということは、税が安定する、あるいは増収になるということなんですね。イコール、それは中小企業への負担の増加ということにつながってくるんです。だから、いろいろと緩和措置をつけようという話がありますけれども、基本的にそういう性格を持っていますから、中小零細企業の方々は本当に今それに対して、えらいこっちゃなというふうに警戒をしているんですね。何とか反対してほしいという話が出てくるんです。
私も驚いたのですが、先ほどもちょっと言いましたけれども、いろんな中小企業団体がございますね。そこの方々も異口同音にそういうふうにおっしゃる。県の方が説明に来ても、よう聞かんよというような話まで出てくるところもあるんですね。そういうことを考えると、今の段階で知事として、国に対してこういう税を設けるということを求めるというのはいかがなものかと思うんですよ。そういう点をぜひお考えいただいて、きょうまではこういう考えで来たのを直ちにここで変えてもらうわけにはいかんと思いますので、ぜひ研究をして、中小零細企業の方々の気持ちを、それこそ血の通った心で受けとめてやっていただきたいという要望をして、私の質問を終わります。
○副議長(堀本隆男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの私に対する再質問でございます。
アメリカの戦艦の入港の問題でございますけれども、今回の場合は、私の方に参ったアメリカ総領事の方からの私信の内容とか、兵庫県の方へ同じ方から行った手紙の内容、そして外務省の判断というもの、そしてまた今のアメリカと日本の置かれている状況とか、先ほど言いましたように外交問題は国の専管事項であるという大原則があるわけですから、そうしたことを総合的に判断して今回こういう対応をとったわけでございますので、当然のことながら、諸般の情勢の中から私が、これはちょっと和歌山県民の生命・財産にかかわると判断した場合には、それはもう何も私には関係ありませんというような態度をとるのじゃなくて、当然、必要な対応はとっていこうと思っております。
それから緑の公共事業でございますが、これはもう今おっしゃったように、一時的な失業対策的なものになるのであれば、個人の尊厳を守りながら定住を進めたらいいなという私の考えと大きく離れてくるものでございますので、何とか思っていることが実現するように今一生懸命いろんな方面に働きかけているんですけれども、なかなか難しい面もあります。
ただ、今おっしゃったように、やっぱり国に頼むばっかりではいけないんで、和歌山県として財政的にもゆとりがないのでなかなか思い切ったことができなくても、こういうことの一端はこういうことだというふうな事業をやっていく必要はあると思っております。これは当然、人頼みだけじゃなくて、自分の県でもそういうことを考えていくということは今考えているところでございます。
私からは、以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 商工労働部長内田安生君。
〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 景気・雇用対策につきましては、県の対策では限りがあり、国の施策と相まって総合的に行うことにより一層効果が上がると考えておりまして、このため、国の施策の動向を注視してきたところでございます。
もう一点、仕事の内容についてでございますが、平成七年に急激な円高に対応するために対策本部が実施した業務といたしましては、融資制度の拡充、巡回指導の強化、相談窓口の設置、実情把握のための産地等のヒアリングなどを行いました。今後も対策本部を開催してこういうような業務を一生懸命頑張ってやりたいと思ってございます。
以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が参りましたので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後三時十五分散会